説明

モアレ拡大素子

【課題】セキュリティ素子として使用できるモアレ拡大素子を実現すること。
【解決手段】本発明によるモアレ拡大素子は透明な基材を有し、この基材は、第1表面上の微細合焦要素の規則的な配列であって、合焦要素が焦点面を規定している微細合焦要素の配列と、合焦要素の焦点面と実質的に一致するプレーン内に配置された、微細画像要素の対応する第1の配列と、を担持する。モアレ効果に起因してそれぞれの配列の微細画像要素の個別の拡大されたバージョンが生成される。微細画像要素間及び/又は微細合焦要素間のピッチはそれぞれの配列を横断して連続的に変化し、観察者は、拡大された要素が素子の表面に対して傾斜しているか、又は湾曲している第1画像面に配置されていると知覚する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、銀行券、小切手、パスポート、身分証明書、正規品証明書(certificate of authenticity)、収入印紙、並びに、価値又は身元を保証するその他の文書などのセキュリティ文書及びその他の有価物品において使用されるセキュリティ素子などのモアレ拡大素子に関する。また、本発明は、包装又はこれに類似したものに使用される光学素子にも関する。
【背景技術】
【0002】
モアレ拡大は、多年にわたってセキュリティ素子の原理として使用されている。いくつかの例が国際特許出願公開第1994/27254号パンフレット及び欧州特許出願公開第1695121号明細書に記述されている。このような素子においては、焦点面を規定する微細合焦要素の規則的な配列が、合焦要素の焦点面と実質的にアライメントされたプレーン内に配置された画像要素の対応する配列の上方に設けられている。画像要素の配列のピッチ又は周期性は、合焦要素のピッチ又は周期性とわずかに異なるように選択されており、かつ、この不整合は、画像要素の拡大されたバージョンが生成されることを意味している。
【0003】
拡大倍率は、周期性又はピッチの間の差によって左右される。微細レンズ配列と微細画像配列との間のピッチ不整合は、微細レンズ配列及び微細画像配列が回転ミスアライメントを有するように、微細レンズ配列に対して微細画像配列を回転させることによって、又はこの逆を実行することによって、簡便に生成することもできる。回転ミスアライメント又はわずかなピッチ不整合は、結果的に、眼が画像の異なる部分をそれぞれの隣接するレンズ内において観察することをもたらし、この結果、拡大された画像が得られる。そして、眼がレンズ/画像配列に対して移動した場合には、画像の異なる部分が観察され、これによって、画像が異なる位置に存在しているという印象がもたらされる。眼が滑らかに移動した場合には、一連の画像が観察され、これによって、画像が表面に対して移動しているという印象がもたらされる。ピッチ不整合を回転ミスアライメントによって生成した場合には、拡大された画像の配列が微細画像配列に対して回転し、かつ、この結果、拡大された画像の見かけの動きを結果的にもたらすパララックス効果も回転することになる。これをスキューパララックスとして知られている。モアレ拡大素子内において観察される拡大された画像の拡大及び回転に対するピッチ不整合及び回転ミスアライメントの影響については、M. Hutley,R Hunt、R F Stevens及びP Savander,“The Moire Magnifier”,Pure Appl. Opt. 3(1994),133〜142,IOP Publishing Limited社、に記述されている。
【0004】
動き及び向きの変化の特性については、モアレの理論から説明することが可能であり、これについては、I. Amidror,“The theory of the Moire phenomemon”(ISBN 0−7923−5949−6),Kluiver Academic Publishers社,2000年、に詳細に記述されている。2つの周期的な構造体のモアレ効果は、2つの構造体の周波数ベクトルを検討することによって説明/予測することができる。周波数ベクトルの向きは、周期性の方向を表しており、かつ、長さは、周波数(すなわち、1/周期)を表している。このベクトルは、そのデカルト座標(u,v)によって表現され、ここで、u及びvは、周波数の水平及び垂直成分である。
【0005】
関係する原理については、国際特許出願公開第2005/106601号パンフレットに更に詳細に記述されている。
【0006】
通常、合焦要素は、微細レンズ又は微細ミラーを有し、かつ、画像要素は、単純なアイコン又はこれに類似したものによって規定されている。
【0007】
また、複数の画像をモアレ拡大素子内に設けることも知られている。例えば、国際特許出願公開第1994/27254号パンフレットは、素子の傾斜に対する画像切り替え効果を示している。国際特許出願公開第2005/106601号パンフレットは、素子が傾斜したとき、2つの拡大された画像の組を異なる速度で移動させる方法について記述している。別の例が国際特許出願公開第2009/139396号パンフレットに記述されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に素子がセキュリティ素子として使用されるとき、このような素子によって達成される視覚効果を増加させることには定常的なニーズがある。通常、強化された効果は、偽造者にとって複製がより困難であるため、増加した視覚効果は真正性の目印として、の素子の有効性を増加させる。さらに、純正素子と、ほかの手段によって形成された未遂の複製との差は、素子を含む物品を扱う人に対してはより明白であろう。さらに、素子が装飾的な立場で用いられる別の分野においても、増加した視覚効果は均等に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、透明な基材を有するモアレ拡大素子が提供され、この基材は、
i)第1表面上の微細合焦要素の規則的な配列であって、これらの合焦要素は、焦点面を規定している、微細合焦要素の配列と、
ii)合焦要素の焦点面と実質的に一致したプレーン内に配置された、微細画像要素の対応する第1配列と、
を担持しており、
微細合焦要素及び微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、微細合焦要素の配列が微細画像要素の配列と協働してモアレ効果に起因してそれぞれの配列の微細画像要素の拡大されたバージョンを生成するようになっており、
素子の少なくとも第1領域を横断する少なくとも一つの軸に沿って、微細画像要素間及び/又は微細合焦要素間のピッチはそれぞれの配列を横断して連続的に変化し、それによって観察者が、拡大された要素は素子の表面に対して傾斜しているか、又は湾曲している第1画像面に配置されていると知覚するように、モアレ効果が画像要素を種々の程度に拡大させる。
【0010】
今まで、すべての既知のモアレ拡大器素子は、素子のプレーンと本質的に平行な画像プレーン内にある合成的に拡大された画像を示していた。
【0011】
微細合焦要素と微細画像との間のピッチ不整合を連続的に変化させることによって(微細画像要素のピッチ及び/又は微細合焦要素のピッチを変化させた結果として)、本願発明は、観察者が見る拡大された画像が、素子のプレーンに対して著しく傾斜し、又は湾曲して見える画像プレーン又は画像面を有する素子を提供する。この新規かつ驚くべき視覚効果は、素子の外観を著しく強化する。さらに、必要なピッチ変化が製造の複雑度を増加させるため、素子と関係するセキュリティレベルが大いに増加し、そのため更に潜在的な偽造者を阻止する。
【0012】
拡大された画像が湾曲して見える可能性のため、「画像プレーン」という用語の代わりに「画像面」という用語が一般に用いられることに注意されたい。しかし、後者の用語が用いられるとき、「プレーン」とは、別途規定されない限り、平坦であることに限定されないものとする。
【0013】
この文脈において、「連続的に変化する」の記載は、(微細合焦要素又は微細画像要素の)一つの又は各配列を横断するピッチ変化は、拡大された画像要素が知覚される画像面が人の目には階段状ではなく実質的に滑らかに見えることを意味する。このことを達成するために必要なピッチ変化の分布は、拡大レベル及び人の目の解像力だけでなく、部分的には(微細画像又は微細合焦)要素の数及び間隔に依存する。したがって、いくつかの場合には、N個(N>2)の次の要素のグループに関してピッチが現象又は増加するまでに、2以上の隣接する要素対が同一のピッチを有していれば十分である。しかし、一般には1対の要素と次の対とではピッチが変わることが望ましい。すなわち、任意の一つの要素と、(一つの軸に沿った)その第1の隣接要素との間隔は、任意の一つの要素と、(同一軸に沿った反対方向の)その第2の隣接要素との間隔と異なることが望ましい。以降詳細に説明するとおり、「連続的に」の用語は各要素対(又は対のグループ)間で同一の量だけピッチが変化することを要しないが、もちろん、同一の量だけピッチが変化することも除外されない。
【0014】
好適には、素子の第1領域において、微細画像要素間及び/又は微細合焦要素間のピッチが同一の方向(sense)に連続的に変化する。すなわち、ピッチは第1領域を横断して連続的に増加又は連続的に減少する。このことは、第1領域全体を横断する画像面が、観察者に向かって、又は観察者から遠ざかって傾斜又は湾曲する結果となる。しかし、別の例においては、変化は一度又は時々方向を変えて(例えば、増加から減少に切替えて)、面が種々の位置にいる観察者に向かって、又は観察者から遠ざかって動くように見える追加の光学効果を生成する。
【0015】
特に好ましい実施形態においては、ピッチは配列の二つの直交軸のうちただ一つに沿って変化し、画像面が一つの方向に沿ってだけ傾斜又は湾曲するような効果をもたらす。しかし、別の有利な実施例においては、素子の第1領域において、微細画像要素間及び/又は微細合焦要素間のピッチは、それぞれの配列の両方の直交軸に沿って連続的に変化する。これは複雑度、したがって素子のセキュリティを更に増加させ、画像プレーンが両方の方向に傾斜又は湾曲するように見える結果となる。
【0016】
配列内の微細画像要素はすべて同一であってもよく、この場合、素子を横断して変化する拡大レベルは、サイズ歪みを生じさせる。これはそれ自体で視覚効果として用いることができる。しかし、好適な実施例においては、微細画像要素のサイズは、観察者が、拡大された画像要素は、第1画像面において互いに実質的に同一のサイズを有すると知覚するように対応して変化する。傾斜又は湾曲した画像面は、観察者には非常に明確に見分けが付くため、これは特に効果的である。
【0017】
画像面の位置は、微細合焦要素及び微細画像要素の相対ピッチと、サイズと、位置とを制御することによって、所望のとおり制御することができる。いくつかの好ましい例においては、微細合焦要素及び微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対位置は、第1画像面が素子の面の後ろ又は前に位置するようになっている。別の有利な実施形態においては、微細合焦要素及び微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対位置は、第1画像面が素子の面と交差するようになっている。
【0018】
画像面の傾斜又は湾曲した性質はまた、微細画像要素の配列を相互に区別するために用いることができる。したがって、特に好ましい実施例においては、素子は少なくとも素子の第1領域に、
iii)合焦要素の焦点面と実質的に一致するプレーン内に配置された、基材によって担持される微細画像要素の対応する第2の配列、を更に有し、
微細合焦要素及び微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、微細合焦要素の配列が微細画像要素の第2の配列と協働し、モアレ効果に起因して第2の配列の微細画像要素の拡大されたバージョンを生成し、
微細画像要素の第2の配列の拡大されたバージョンは、第1画像面とは異なる第2画像面に配置されており、素子が傾斜したとき、微細画像要素の第1の配列が、微細画像要素の第2の配列に対して動きを示すように観察者が知覚するようになっている。
【0019】
このようにして、拡大された画像要素の第1及び第2の配列は別個の面に配置されているように見え、そのうち少なくとも一つは傾斜又は湾曲している。第2画像面は素子に平行であってもよいし、第1微細画像配列に適用したものと同じ原理を用いて要素を連続的に変化させることによって、傾斜又は湾曲していてもよい。傾斜又は湾曲しているとき、第2画像面は第1画像面に平行かつ第1画像面の上又は下に間隔を有する。第2面が傾斜しているか、湾曲しているか、又は素子面に平行であるかにかかわらず、所望であれば第2面は第1画像面と1又は複数の位置で交差するように構成することができる。
【0020】
本質的ではないが、微細画像要素の第1の配列は第1の色であり、微細画像要素の第2の配列は、第1の色とは異なる第2の色(例えば、赤と青、黄と緑、白と黒)であることが特に望ましい。これは、通常の素子においては、2以上の色のインクを一つの配列の微細画像要素を形成するために必要な小さい寸法で十分に見当を合わせて印刷することができないため、多色画像を有することが不可能なためである。しかし、本願発明においては、二つの色が別個の配列に用いられ、別個の画像面に現れるようになっている。
【0021】
多くの場合、素子の第1領域は、一つの傾斜又は湾曲した面が明白であるように、配列の全範囲を含むように延長してもよい。しかし、既に言及したとおり、ピッチ変化が層著の各部分間で方向を変える様になっているときは、追加の効果を得ることができる。したがって、より一般的には、有利な実施例において、微細画像要素間及び/又は微細合焦要素間のピッチは、素子の第2領域を横断する少なくとも一つの軸に沿って連続的に変化し、観察者が、拡大された要素は素子の面に対して傾斜又は湾曲している第1画像面に配置され、第1領域において知覚される拡大された画像要素とは別に知覚するように、第2領域におけるピッチ変化は、第1領域における方向とは反対の方向であることが好ましい。第2領域は、例えば、第1及び第2領域が共に、観察者に向かって、又は観察者から遠ざかって急峻な「谷間」又は「丘」のように見えるように、画像面が第1領域の方向とは反対の方向に傾斜して見えるように構成してもよい。湾曲したバージョンもまた可能である。別の例においては、より微妙な効果を生じさせるために、傾斜/湾曲の方向は両方の領域において同一であり、例えば傾斜の角度が両者間で変化してもよい。任意の数のこのような領域を組み込んでもよい。
【0022】
既に述べたように、微細合焦要素及び/又は微細画像要素のピッチを素子を横断して変化するようにすることによって、種々の程度の拡大が達成される。拡大レベルを決定するのは、微細合焦要素配列ピッチと微細画像要素配列ピッチとの不一致の量である。したがって、微細合焦要素のピッチ若しくは微細画像要素のピッチのいずれか、又は双方を変化させることによって、このことを確かめることができる。実際上、一般に、微細合焦要素よりも微細画像要素のピッチを変化させる方が便利であるため、好適な実施形態においては、微細合焦要素のピッチは素子の少なくとも第1領域を横断して一定ピッチを有し、種々の程度の拡大は、微細画像要素の第1配列又は第2配列を連続的に変化させることによって達成される。これは2以上の微細画像要素配列があるときに特に当てはまるが、微細合焦要素配列にピッチ変化がある場合、第2微細画像要素配列のピッチを決定するとき、所望であればその効果を除去するためにピッチ変化を考慮することができるため、依然として本質的ではない(例えば、第2微細画像要素のピッチ変化を微細合焦要素配列のピッチ変化に一致させることによって、依然として第2画像面を素子面に平行にすることができる)。
【0023】
ある好適な実施例においては、微細合焦要素は球面レンズレット、円柱系レンズレット、平凸レンズレット、両凸レンズレット、フレネルレンズレット及びフレネルゾーンプレートのような微細レンズを備える。各レンズレットは、1〜100μm(ミクロン)の範囲、好適には1〜50μm(ミクロン)の範囲、更に好適には10〜30μm(ミクロン)の範囲の直径を有すると有利である。
【0024】
しかし別の実施例においては、鏡を用いて同一の効果を得ることができる。この場合、好適には微細合焦要素は凹面鏡を備える。
【0025】
各配列内の微細画像要素は、同一の印(indicia)であって、(例えば、上述のサイズ歪み効果を避けるために)任意選択でそれぞれの配列を横断してサイズ及び/又はアスペクト比が変化する印を表す。
【0026】
好適には、微細画像要素は、記号、幾何学図形、英数字、ロゴ若しくは画像表現のようなアイコン、又は例えば平行(直)線のような線パターン、単純幾何学図形若しくはギロシェパターンのような複雑な線構造のような背景を有する。2以上の微細画像要素配列がある例においては、好適には第1配列又は第2配列の微細画像要素は、記号、幾何学図形、英数字、ロゴ若しくは画像表現のようなアイコンを有し、残りの配列の微細画像要素は、例えば平行(直)線のような線パターン、単純幾何学図形若しくはギロシェパターンのような複雑な線構造のような背景を規定する。「背景」画像面は、「アイコン」画像面の後に現れると有利である。
【0027】
好適な例においては、微細画像要素は、グラビア、湿式又は乾式リソグラフ印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、及びフレキソ印刷などの任意の適切な印刷プロセスを使用し、基材上に印刷される。ただし、微細画像要素の配列のうちの1つ又は複数の配列は、基材上の格子構造体、凹部、又はその他のレリーフパターンとして形成することもできる。また、国際特許出願公開第2005/106601号パンフレットに記述されているように、反射防止構造体を使用してもよい。
【0028】
微細レンズ及び凹面鏡などの微細合焦要素は、好ましくは、基材表面内へのエンボス加工、注型硬化(cast−curing)、又はこれらに類似したものによって、形成される。
【0029】
本発明によって生成されるモアレ拡大素子は、2次元(2D)又は1次元(1D)構造体であってよい。球面レンズを使用する2Dモアレ拡大構造体が欧州特許出願公開第1695121号明細書及び国際特許出願公開第1994/27254号パンフレットに更に詳細に記述されている。2Dモアレ拡大素子においては、微細画像は、すべての方向において拡大される。1Dモアレ拡大構造体においては、球面微細レンズ又は微細ミラーが、円筒形の微細レンズ又は微細ミラーの反復配列によって置換される。この結果は、1つの軸だけにおいて、微細画像要素にモアレ拡大が適用されるというものであり、この軸は、ミラーがその曲がり又はレリーフの周期的変動を示す軸である。この結果、微細画像は、拡大軸に沿って強力に圧縮又は拡大解除(de−magnify)されるが、拡大軸に垂直の軸に沿った微細画像要素のサイズ又は寸法は、観察者から見て、実質的に同一であり、すなわち、拡大又は引き伸ばしが発生しない。
【0030】
本発明によって生成されるモアレ拡大素子は、それ自体としてセキュリティ素子を形成することができるが、ホログラム、回折格子、及びその他の光学可変効果生成構造体などのその他のセキュリティ機能との関連において使用することもできる。
【0031】
本発明の光学素子を使用することによって、基材の特性、具体的には、光学素子の対応する特性に影響を及ぼすその厚み及び柔軟性によって、様々な基材を真贋判定することができる。
【0032】
本発明は、紙、特に、銀行券などの曲がり易い基材の保護において特別な価値を有しており、この場合に、本素子は、パッチ、ストリップ、又はスレッドを規定することができる。本素子の厚みは、銀行券の印刷プロセスにおける紙の連形状(paper ream shape)の変形を回避するために本素子が銀行券内において用いられる方法と、更には、銀行券自体の形態及び柔軟性と、の影響を受けることになるが、本素子の厚みは、銀行券自体の厚み(通常は、85〜120μm)の半分を超過しないことが望ましく、したがって、任意の実施形態において、本光学素子は、固定接着剤を含んで50μm未満となるものと予想され、かつ、実質的にそのようになることが好ましい。
【0033】
例えば、銀行券に適用されるパッチとしては、望ましい厚みは、ラベルの場合には、数μm(ミクロン)(固定接着剤を除く)から最大で35〜40μm(この場合にも、接着剤を除く)の範囲となる。ストリップの場合には、厚みは、この場合にも、箔押し(hot−stamped)又は転写されるストリップの場合における数μmから最大では非転写型ストリップの場合の35〜40μmの範囲をとることになり(この場合にも、固定接着剤を除く)、この場合に、ストリップを銀行券の基材内の機械的アパーチャ上に貼付する場合には、必要に応じて、支持担持層が保持される。
【0034】
窓を有するスレッド(windowed thread)の場合には、好ましい最終厚みは、20〜50μmの範囲である。
【0035】
パスポートの紙のページ、プラスチックのパスポートカバー、査証、身分証明書、ブランド識別ラベル、改竄防止ラベル、任意の視覚的に真贋判定可能な物品を含む用途においては、セキュリティ素子の更に厚いバージョン(最大で300μm)を利用することもできる。
【0036】
更には、本素子をセキュリティ文書の透明な窓内に設けることによって、本素子を透過状態において観察できるようにすることもできる。
【0037】
本発明はさらに、上述の光学素子を備える物品を提供する。この物品は、好適には、銀行券、小切手、パスポート、身分証明書、正規品証明書、収入印紙、並びに、価値又は身元を保証するその他の文書のうち一つを有する。
【0038】
本発明によるセキュリティ素子のいくつかの例をここで添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】銀行券の概略平面図である。
【図2】素子の第1実施例の外観を示す平面図である。
【図3】得られる画像面を示す、図2の素子の断面図である。
【図4】図1の素子の組立てに用いることができる微細画像配列の例を示す図である。
【図5】素子の第2実施例の外観を示す平面図である。
【図6】得られる画像面を示す、図5の素子の断面図である。
【図7(a)】素子の第3実施例の外観を示す平面図である。
【図7(b)】第3実施例の第1画像面だけの外観を示す図である。
【図7(c)】第3実施例の第2画像面だけの外観を示す図である。
【図8】二つの得られる画像面を示す、図7(a)の素子の断面図である。
【図9】画像面を示す、素子の第4実施例の断面図である。
【図10】画像面を示す、素子の第5実施例の断面図である。
【図11】第6実施例の反射ベースのセキュリティ素子の概略を示す断面図である。
【図12(a)】図1〜11に示すセキュリティ装置の印刷部用装置の例を概略示す図である。
【図12(b)】図1〜11に示すセキュリティ装置の印刷部用装置の例を概略示す図である。
【図13】レリーフ微細画像の一つのタイプを示す図である。
【図14】ホログラムセキュリティ素子と組み合わせたモアレ拡大セキュリティ素子のほかの例を示す図である。
【図15】ホログラムセキュリティ素子と組み合わせたモアレ拡大セキュリティ素子のほかの例を示す図である。
【図16】ホログラムセキュリティ素子と組み合わせたモアレ拡大セキュリティ素子のほかの例を示す図である。
【図17a】図16の線A−Aに沿った断面を示す図である。
【図17b】図16の線B−Bに沿った断面を示す図である。
【図18a】セキュリティ素子を搭載した物品の例を示す図である。
【図18b】セキュリティ素子を搭載した物品の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、窓において露出したセキュリティスレッド2と、更なる透明な窓3と、を有する銀行券1を概略的に示している。銀行券1は、紙又はポリマー(二軸配向されたポリプロピレンなど)でできたものであってもよく、かつ、セキュリティスレッド2及び窓3のいずれか又は両方は、本発明によるセキュリティ素子を内蔵する。図2は素子10の第1実施例の外観を示す平面図である。図において、長方形の実線輪郭は素子自体の外周を示す。観察者は、ここでは数字「20」からなる反復パターンを有する拡大された画像15(「合成拡大画像」と呼ぶこともある)を知覚する。観察者にとって、拡大された画像15は素子プレーンに対して傾斜しているように見える。図においてこのことを強調するために、拡大された画像は、画像プレーン11を表す破線(実際には見えない)で示す極度に透視図化された長方形によって囲まれている。長方形の長い方の垂直面は、観察者により近い画像面の一部を表し、短い方の垂直面は観察者からより遠い画像面の一部に対応する。
【0041】
一つの例において、素子の左側(図2において方向付けされたとおり)において、画像プレーン11は素子の表面プレーンの後2mmに現れ、素子の右側においては、画像プレーンは素子のプレーンの6mm後に現れる。以降より詳細に説明するとおり、これは、画像プレーンの右側が画像の左側によって提示される(表面プレーンに対する)パララックス運動の3倍を提示するように設計又は製造することによって達成される。このようにして、表面プレーンから左側の3倍後の距離に配置されたような錯覚が生成される。
【0042】
図3は、図2に示されている素子の全体的な構造を断面において示している。すなわち、本素子は、透明なPET又はその他のポリマー層20を有し、その上部表面上には、球面微細レンズ22の二次元配列が形成されている。微細レンズ22の直径は、通常、1〜100μm(ミクロン)、好ましくは、1〜50μm(ミクロン)、更に好ましくは、10〜30μm(ミクロン)の範囲であり、これによって、類似した範囲のピッチを規定している。
【0043】
微細レンズ22の焦点距離(その平坦な背面から計測したもの)は、この例においては、任意選択で微細レンズ配列22とは反対側の基材20の表面上の印刷受容層(図示せず)の厚みを含む基材20の厚みを有する光学スペーサ層の厚みtに実質的に等しい。したがって、この例においては基材20の表面と実質的に一致する焦点面24を規定する。基材20上には微細画像配列25が印刷(又は別様に形成)されており、その例を図4に示す。微細画像配列は一般に、素子によって表示させたい、観察者に最終的に見えるものよりずっと小さな寸法のアイコン、記号、パターン又はほかの図形を有する。
【0044】
モアレ拡大の現象を生成し、かつ、移動する画像の生成を可能にするために、ピッチ不整合を微細画像配列25と微細レンズ配列22との間に導入する。1つの方法は、実質的に同一のピッチを有する微細レンズ及び微細画像配列を有するというものであり、この場合に、ピッチ不整合は、微細画像と微細レンズ配列との間に小さな回転ミスアライメントを導入することによって実現される。微細画像と微細レンズ配列との間の回転ミスアライメントの程度は、好ましくは、15°〜0.05°の範囲であり、これは、結果的に、微細画像配列の〜4×−1000×という拡大範囲をもたらす。更に好ましくは、回転ミスアライメントは、2°〜0.1°の範囲であり、これは、結果的に、微細画像配列の〜25×−500×という拡大範囲をもたらす。
【0045】
又は、この代わりに、微細画像配列及び微細レンズ配列は、実質的に完全な回転アライメント状態にあるが、わずかなピッチ不整合を有する。わずかなピッチ不整合は、25%〜0.1%の範囲の微細レンズ配列との関係における微細画像配列のピッチの比率増大/減少と等しく、これは、結果的に、微細画像配列の〜4×−1000×という拡大範囲をもたらす。更に好ましくは、微細レンズ配列に対する微細画像配列のピッチの比率増大/減少は、4%〜0.2%の範囲であり、これは、結果的に、微細画像配列の〜25×−500×という拡大範囲をもたらす。
【0046】
わずかなピッチ不整合とわずかな回転ミスアライメントとの組合せを使用することによって、モアレ拡大の現象を生成すると共に移動する画像の生成を可能にすることもできる。
【0047】
配列25と球面レンズ配列22との間のピッチ不整合の結果として、微細画像のモアレ拡大が生成される。ピッチ不整合が配列を横断して一定であるとき、拡大された画像は観察者には、素子面に平行な平坦な画像プレーンに配置されているように見える。しかし、本実施例においては、ピッチ不整合は一定ではなく、素子の少なくともある領域を横断する一つの軸(ここではx軸)に沿って連続的に変化する(この例においては、素子全体を横断して生じる変化が示されている)。これは、微細レンズ配列22のピッチを連続的に変化させるか、若しくは微細画像配列25のピッチを連続的に変化させることのいずれか、又はその双方によって達成できる。この例においては、微細レンズ配列22のピッチは実質的に一定であり、微細画像配列25のピッチが以降説明するように変化する。
【0048】
実現される拡大の程度は、M. Hutley、R Hunt、R Stevens、及びP Savanderによる“The Moire magnifier”(Pure Appl. Opt. 3(1994)、133〜142頁)において導出されている式によって規定される。
【0049】
この式の関係する部分を要約すれば、微細画像ピッチ=Aであり、かつ、微細レンズピッチ=Bであると仮定したときに、拡大Mは、次式によって得られる。
M=A/SQRT[(Bcos(θ)−A)2−(Bsin(θ))2
ここで、θは、2つの配列の間の回転角に等しい。
【0050】
A≠Bであり、かつ、cos(θ)≒1及びsin(θ)≒0となるように、θが非常に小さい場合には、次式のとおりである。
M=A/(B−A)=S/(1−S) (1)
ここで、S=B/Aである。
しかしながら、M>>10というようにMが大きい場合には、S≒1でなければならず、したがって、次式が得られる。
M≒1(1−S)
【0051】
表面プレーンに対する合成画像の「深度」は、焦点距離fのレンズのプレーンから距離Vに位置する画像の拡大に関係するなじみ深いレンズ等式から導出される。これは、次式のとおりである。
M=V/f−1 (2)
又は、通常は、v/f>>1であるため、次式が得られる。
M≒V/f
したがって、合成的に拡大された画像の深度vは=M*fである。
【0052】
図2及び図3の構造が、40μm又は0.04mmの焦点距離fを有する微細レンズ22から構成されていると仮定しよう。更には、微細レンズ及び支持基材20の両方が、いずれも、1.5の屈折率nを有する材料から構成されていると仮定しよう。この結果、レンズの基部直径Dは、次の式
D≦f*2(n−1)
によって制約されることになり、したがって、D≦0.04*2(1.5−1)であり、これによって、D≦0.04mmが得られる。この結果、本発明者らは、0.035mmのDの値と、(それぞれの軸に沿って)0.04mmのレンズピッチBと、を選択し、これによって、妥当な最密充てん(レンズ間ギャップ:5μm)を有する1に近いf/#値を有するレンズ配列が結果的に得られることになろう。
【0053】
微細画像要素のピッチを制御することによって、得られる画像の拡大レベル及び深度を制御することができる。比較のために素子面に平行な平坦な画像プレーンの場合を最初に検討する。第1の例において、本発明者らが、第1画像配列10が基材の表面プレーンの背後の2mmに位置することを必要としたと仮定しよう(表面プレーンの背後の画像は、定義によれば「虚像」であり、かつ、更に詳細な分析は、これらが、微細画像オブジェクト配列25に対して非倒立型となることを示している)。
更に説明をわかりやすくするために、本発明者らは、この例示において微細画像要素のピッチはx軸及びy軸に沿って同一であると仮定する(すなわち、Ay=Ax)。
M=v/fとすると、f=0.04mmであり、かつ、v=2mmである場合には、M=2/0.04=50となる。
したがって、M=A/(B−A)=50であるため、50(B−A)=Aであり、これによって、A=B(50/51)が得られることになる。
B=0.04mmを代入することによって、本発明者らは、A=0.0392mmを得る。
【0054】
第2の例において、本発明者らは素子のプレーンの後6mmに平坦な画像プレーンを得たいと仮定しよう。そうすると、M=6/0.04=150であり、したがって、150(B−A)=Aであり、これによって、A=B(150/151)=0.0397mmが得られる。
【0055】
したがって、種々の微細画像配列ピッチ(A)を用いることによって、種々の画像プレーン「深度」(V)が得られることが分かる。
【0056】
したがって、画像プレーンの傾斜又は湾曲を達成するために、素子を横断して微細画像配列ピッチ(A)を連続的に変化させることによって、知覚される深度が素子のある位置と別の位置とで変わるようにすることができる。本発明者らは上で、表面プレーンに対する画像プレーンの距離又は深度を記号Vで記した(特定の画像プレーンのVの値は、素子の表面を横断して一定である)。しかし、本実施例においては、Vの値は素子の左端からの距離xに応じて変化する。したがって、Vはxの関数であり、V=V(x)と書くことは適切である。別の実施例においては、深度Vは追加で、又は代替として、y軸方向にも変化してよく、したがってより一般的にはV=V(x,y)となる。
【0057】
本実施例においては、図3に示すように、所望の画像プレーン11は平坦かつ素子面に対してある角度で傾斜しており、最左端(x=0)では深度Vは素子面の2mm後であり、最右端(x=xmax)では深度Vは素子面の6mm後である。単純にするため、素子面をV=0とし、直線方程式
V(x)=kx + C (3)
ここで、k及びCは一定
を適用すると、x=0及びx=xmaxにおける既知の値を代入することができ、次のように書き直すことができる。
(V(x)−2)/x=(6ー2)/xmax
したがって、特定の値xに対する値V(x)を容易に決定することができる。
【0058】
さて、上の式(2)から画像深度Vはxの関数であるから、拡大率M及び画像ピッチAも同様である(レンズピッチBは固定されていると仮定)。したがって、式(1)と式(2)とを組み合わせて次のように書くことができる。
A(x)=B*[1−f/v(x)]
前と同様に、本実施例においてB=0.04mm、かつf=0.04mmとすると、次のようになる。
A(x=0)=0.04[1−0.04/2]=0.0392mm
A(x=xmax)=0.04[1−0.04/6]=0.0397mm
A(x=xmax/2)=0.04[1−0.04/4]=0.0396mm
【0059】
このようにして、x軸に沿った微細画像配列25の各位置において所望の傾斜を有する画像プレーン11を作り出すために必要なピッチA(x)を計算することができる。そして、ピッチ変化が配列に組み込まれるように、微細画像要素を計算された位置で基材20に印刷又は別様に形成することができる。
【0060】
図4は、図2及び3に示した素子を形成するために用いることができる適切な微細画像要素配列25の例であって、複数の微細画像要素26を示している。各微細画像要素26は数字「20」の形をしており、拡大された画像(図2参照)の「20」と本質的に同一であるが、通常、数十〜数百倍寸法が小さい。この微細画像は代替として、「2」の集合及び隣接する「0」の集合を有しても、類似の結果が得られる。
【0061】
配列25の左側、すなわちx=0において、隣接する微細画像要素26間の(x軸方向の)ピッチA(x=0)は、+2mmの画像深度V(X=0)を返すように選択される。配列25の最右端、すなわちx=xmaxにおいて、隣接する微細画像要素間のピッチA(x=xmax)は、+6mmのより大きな画像深度V(X=xmax)を返すように選択される。x=0とx=xmaxの間では、ピッチAは連続的に変化する。すなわち、この例においては、ピッチは配列の一方の側から他方へ0.0005mmだけ増加する。好適には、ピッチは隣接する一対の要素26の間で変化する。例えば、図4の要素26aと26bとの間の間隔は、要素26bと26cとの間の間隔よりもわずかに小さい。このようにして、画像プレーン深度のゆるやかな変化は、人間の目には滑らかな面のように知覚される。しかし、いくつかの場合には、2以上の隣接する要素対が同一の間隔を共有しているときでも、同一の結果が得られることがある。
【0062】
上述のとおり、この例においては、ピッチ変化はx軸に沿ってだけ適用される(“A(x)”)が、別の実施例においては、微細画像要素のピッチは代わりにy軸にそって変化してもよい(“A(y)”)。これは、プレーンが素子の左端/右端ではなく、素子の「上」端又は「下」端に向かって傾斜しているように見えることになる。更に別の実施例においては、ピッチはx軸及びy軸双方に沿って変化してもよく、この場合は、プレーンは両方向に傾斜しているように見える。
【0063】
図4において、個々の微細画像要素26のサイズもまた、配列25の左から右に向かって変化することに注意されたい。これは本質的ではない。すべての微細画像要素が同一サイズで形成されているときは、ここで説明する理由によって、拡大された画像に歪みが生じる。いくつかの実施形態において、これはそれ自体を視覚効果として利用することができる。しかし本実施例においては、拡大された要素が互いに実質的に同一サイズに見えるように、サイズ歪みを除去することが望ましい。
【0064】
傾斜した拡大画像がどのようにして生成されるかを理解するために、本発明者らは最初に、知覚される深度が次の近似によって与えられることに注目した。
深度(v)=M × レンズ配列の焦点距離(f)
ここで、Mは合成拡大率(上記式(1)参照)。
したがって、素子面の6mm後の合成画像の一部に配置された微細画像は、表面プレーンの2mm後にある画像の一部に配置された微細画像によって体験できる量の3倍だけ拡大される。したがって、数字「20」にサイズ歪みがないときは、画像プレーンから6mmだけ「深い」領域に配置された微細画像要素26は、プレーンから2mmだけ「深い」領域に配置された微細画像要素のサイズの1/3でなければならない。すなわち、要素26の高さ“h”は、h(x=0)とh(x=xmax)との間を変化し、h(x=0)=3h(x=xmax)である。
【0065】
また、中間深度のための微細画像のサイズ及びピッチのすべての変化は類似の方法で計算することができ、特に、平面合成画像の中間の値は、プレーンの2mm及び6mmだけ「深い」領域の値の平均値であることに気付くべきである。したがって、例えば、h(x=xmax/2)=[h(x=0)+h(xmax)]=[3+1]h(x=xmax)/2=2h(x=xmax)である。
【0066】
素子の第2実施例が図5及び6に示されている。ここで、素子は第1実施例に対して説明したものと同じ原理を用いて形成されているが、傾斜した画像プレーンは素子面のプレーンと交差する。すなわち、図5を参照すると、画像プレーン11の左側は、観察者には素子の上に配置されているように見え、画像プレーン11の右側は素子面の下に配置されているように見える。画像プレーンが素子と交差する位置はV=0と記されている。
【0067】
この考え方を説明するため、始めに、素子面に平行であり、素子の前2mmに配置された平坦な画像プレーンの例を、ほかのパラメータに関する前と同じ例示の値を用いて検討する。
【0068】
前の例と異なり、ここでは配列25の拡大された画像は実倒立像であり、拡大率の符号は負である(前の拡大率の式において、画像深度Vに負の値を指定することによる)。
【0069】
したがって、M=−2/0.04、かつ−50(B−A)=Aから、A=50/49B=0.0408mmとなる。
【0070】
したがって、画像プレーンが表面プレーンの前に配置される(すなわち、浮かんで見える)ためには、微細画像配列はレンズピッチより大きいピッチを有する必要がある。逆に画像ピッチがレンズピッチより小さいときは、画像配列は表面プレーンの下に配置されているように見える(前の例のとおり)。
【0071】
このようにして画像プレーンは、ピッチ不整合を制御することによって、素子面の前に位置することができる。したがって、図5及び6に示す画像面に到達するために、微細画像の配列を形成する適切なピッチ変化を決定するために、第1実施例に関係して述べた計算を同様に適用できる(例えば、V(x=0)=V=−2かつ、V(x=xmax)=V=+4を用いる)。例えば、V(x=xmax/2)=(−2+4)/2=1mmとなる。
A(x=0)=0.04[1+0.04/2]=0.0408mm
A(x=xmax)=0.04[1−0.04/4]=0.0396mm
A(x=xmax/2)=0.04[1−0.04/1]=0.0384mm
【0072】
図7及び8は、2以上の重複する画像プレーンが素子の同一領域に生成される、素子の第3実施例を示している。画像プレーンはそれぞれ自身に対応する微細画像要素配列から発生するため、このことは多色素子が要望されるとき特に有利である。したがって、二つの微細画像要素配列は、互いに位置合わせをしていなくてもよいため、別個の色で形成することができる。しかし、これは必須ではなく、所望であれば二つの配列が同一色であってもよい。
【0073】
図7(a)は完全な素子の外観を示す平面図を示す。二組の拡大された画像が見え、一つが他方に重なっている。第1組の拡大された画像、ここでは「星」の記号15は、傾斜した第1画像プレーン11の上にあるように見える。第1画像プレーン11は、図7(b)においてはそれ自身の上に示されている。星記号の上に第2組の拡大された画像、ここでは数字の「5」が、素子面に平行な、平坦な第2画像プレーン110の上に見える(したがって、図7(a)において、第2画像プレーン110の外周は素子自身の外周と一致し、見えない)。図7(c)は第2画像プレーン110だけを示す。素子が傾斜しているとき、一組の画像が他の「上」にあるように見えるため、これらを組み合せると、「星」と「5」との間に相対的な動きがあるように見える。
【0074】
このようにして、第1の傾斜した画像プレーン11は、第1及び第2実施例に関して上述したものと同一の原理を用いて形成される。すなわち、微細画像要素25の第1配列は、前述のとおり、少なくとも一つの軸における連続的な変化を組み込んだ要素のピッチによって、基材20(図8参照)の上に形成される。第2画像プレーン110は、微細画像要素250の第2配列を基材20の同一表面に付着させることによって形成される。しかし、この例においては第2画像プレーンは素子面に平行であるため、第2微細画像要素配列250のピッチは配列を横断して一定に保たれる。実際上、第1画像プレーン11が第2画像プレーン110の後にあるように知覚されるとき(本例のとおり)、第2微細画像要素配列の要素が第1微細画像要素配列の要素によって覆い隠されないように、第2微細画像要素配列は第1微細画像要素配列の前に基材に付着させてもよい。もちろん、代替として第1画像プレーンが第2画像プレーンの前に見えるようにしてもよい。この場合、微細画像要素配列を置く順序は逆になる。
【0075】
代替として、第1画像プレーン11の生成に適用されたものと同一の原理を用いて、第2画像プレーン110もまた傾斜又は湾曲させることができる。例えば、双方のプレーンが同一角度で傾斜し、互いに間隔を置いて平行に見えるようにすることができる。代替として、二つのプレーンが異なる角度で傾斜し、互いに収束又は分岐してもよい。また二つのプレーンが互いに及び/又は素子面と交差してもよい。交差する実施例を以降説明する。
【0076】
3以上の画像プレーンを、3以上の対応する微細画像要素配列を対応する方法で提供することによって提供することができる。
【0077】
既に述べたとおり、本願において開示した原理を用いて生成した画像面は平面である必要はなく、代わりに湾曲していてもよい。図9は本発明の第4実施例を示し、生成された画像面は湾曲している。ここでもこれは、微細画像要素配列25のピッチ(及び/又は微細レンズ配列22のピッチ)を少なくともx軸に沿って変化させることによって達成される。この場合、上述の実施例のとおりの直線方程式(3)を用いる代わりに、所望の深度変化V(x)は曲線として定義することができる。例として、円、楕円、双曲線又はほかの形態の多項関数によって定義される曲線、及び三角関数の形態によって定義される曲線が含まれる。一つの特に効果的な実施形態において、画像プレーンはx軸及びy軸双方に湾曲し、拡大された画像が提示される3D回転楕円面の外観を素子に与えるように構成してもよい。
【0078】
図7及び8に関して説明した画像面の重畳を達成するために、図9に示すような湾曲した画像面を、1又は複数のほかの平坦な、傾斜した、又は湾曲した画像面と組み合せてもよい。
【0079】
上述の実施例において、ピッチ不整合の変化は、概略全素子を包含する素子の一領域を横断して適用された。しかし、素子の別の横方向に間隔を有する(しかし好適には隣接した)領域がピッチ不整合に種々の変化を有し、したがって観察者に種々の画像面を表示するように指定することによって、追加の効果を得ることができる。一例においては、ピッチ不整合の変化が素子の一部に限定されるようにして、画像面が当該領域においてだけ傾斜又は湾曲して見え、周辺領域においては平坦且つ素子面に平行に見えるようにすることができる。しかし、更に複雑な構造によって、本発明の第5実施例として図10に示すような興味深い効果をもたらすことができる。ここで、素子の第1領域Rにおいて、画像プレーン11aは観察者から遠ざかって傾斜するように構成される。すなわち、深度Vは距離xと共に増加する。第2領域Rにおいては、画像プレーン11bは観察者に向かって傾斜するように構成される。すなわち、深度Vは距離xと共に減少する。二つの領域はx=xにおいて互いに隣接し、画像プレーン11a及び11bは同一の位置において互いに交差するように配置される。この結果は、観察者に「谷」のように見える「シェブロン」の形をした(領域11a及び11bからなる)画像プレーン11である。もちろん、二つの領域の配置は、「丘」のように見えるように逆転させてもよい。x軸だけでなくy軸に方向に沿って傾斜又は湾曲が起きるように配置することによって、面の複雑度を更に増すことができる。
【0080】
本発明は、任意の特定のタイプ又は形状の微細レンズに限定されるものではなく、唯一の要件は、微細レンズを使用して画像を形成することができるというものである。本発明に適した微細レンズは、平凸レンズレット、両凸レンズレット、及びフレネルレンズなどの均質な材料の適切に湾曲した表面において光を屈折させるものを含む。好ましくは、本発明は、球面微細レンズを有することになるが、円柱形レンズを含む任意の対称性を有するレンズを利用することもできる。球面及び非球面表面の両方を本発明に適用可能である。微細レンズが湾曲した表面を有することは不可欠ではない。傾斜屈折率(Gradient Refractive Index:GRIN)レンズは、屈折率の小さな変動の結果として材料の容積の全体を通じた漸進的な屈折によって光を結像する。フレネルゾーンプレートなどの回折に基づいた微細レンズを使用することもできる。GRINレンズ及び振幅又はマスクに基づいたフレネルゾーンプレートは、微細レンズ配列を含む表面が平坦になることを可能にし、かつ、印刷受容性及び耐久性における利点を提供する。
【0081】
複製プロセスによって生成されたレンズの周期的な配列を使用することが好ましい。光熱法、フォトレジストの溶解及びリフロー、及びフォトレジストの彫塑などのいくつかの技法によって、マスタ微細レンズ配列を製造することができる。このような技法については、当業者に知られており、かつ、1998年に再版されたTaylor and Francis社から刊行されているHans Peter Herzig編集による“Micro−Optics: Elements, Systems, and Applications”の第5章に詳述されている。次いで、ホットエンボス加工、成形、又は鋳造などの市場において入手可能な複製法によって、マスタ微細レンズ構造を物理的に複写することができる。微細レンズ構造をその内部に複製することができる材料は、限定を伴うことなしに、ホットエンボス加工及び成形プロセス用のポリカーボネート及びポリメチルメタクリレート(PMMA)などの熱可塑性ポリマー及び鋳造プロセス用の熱又は放射線によって硬化可能なアクリル化エポキシ材料を含む。好ましいプロセスにおいては、微細レンズ配列は、鋳造によって、PETなどの担持体ポリマー薄膜に適用されたUV硬化可能な被覆内に複製される。
【0082】
分かり易くするために、以下の例及び実施形態においては、球面微細レンズの使用について説明する。
【0083】
代替として、任意の実施例のセキュリティ素子は鏡ベースのモアレ素子として製造してもよく、その例を図11に示す。この場合、球面微細レンズ配列22は、透明ポリマー基材20の一つの面に形成された球面又は非球面凹面鏡配列40によって置き換えられる。残りの面は、前と同様に1又は複数の微細画像要素配列25,250が設けられる。この特定の例においては、微細画像要素は基材20に設けられた印刷受容層23に印刷される。この実施例それぞれにおいて、微細レンズ22又は凹面鏡配列4はポリマー基材20内に一体的に鋳造してもよいし、例えば注型硬化などによって、基材20の面に形成してもよい。
【0084】
図11に含まれる光線図は、鏡配列40が微細画像要素配列を通過する環境光を反射し、配列の下側の拡大されたバージョンを観察者に提示する様子を示す。この効果は微細レンズベースの実施例を用いて知覚されるものと同一であり、得られる画像プレーンはここでも素子面の上又は下にある。画像プレーンの傾斜又は湾曲を得るために、微細画像要素配列及び/又は鏡配列は、上述したものと同一の原理を用いて少なくとも一つの軸に沿ってピッチが変化するように配置される。
【0085】
この例においては二つの微細画像要素配列25,250が提供される。第1微細画像要素配列25は、図の右側に向かって傾斜した画像プレーン11を観察者に提示するように構成される。第2微細画像要素配列250は、反対方向に傾斜し、第1画像プレーン11と交差する画像プレーン110を提示するように構成される。このようにして、素子の左部分において、第1画像プレーンは第2画像プレーンの後に現れ、この順序は右側では反転する。
【0086】
ここに示した例においては、第1微細画像要素配列25が最初に印刷受容層21に付着させられ、その後第2微細画像配列250が付着されられるように描かれている。これによって第1画像プレーンに属する反射画像が微細画像の第2面の前、画像の右側にあるように可視化される。しかし、画像の混同を避けるために、画像の左側では微細画像を置く順序は逆転させる必要がある。
【0087】
この実施例において、入射光は、鏡配列によってコリメートされた光として反射される前に、印刷された微細画像配列25,250を通過又は伝達される(すなわち、空間的に変調される)。その後、印刷微細画像が実質的に不透明であるときは、合成的に拡大された画像が、鏡の背景によってもたらされる金属的色調に対して、黒っぽい色又は色調を帯びる。合成的に拡大された画像が対応する微細画像配列の色に見えるためには、微細画像が少なくとも部分的に半透明であることが必要である。微細画像が半透明であればあるほど、合成画像の色は明るくなる。しかし、背景に対する画像のコントラストが低下する代償を伴う。
【0088】
鏡の金属コーティングがアルミニウムのような「白い」反射器であるときは、背景の色調又は合成画像を取り巻く色は、見かけ上、銀−白色又は無色である。しかし、銅又はその合金のようなほかの入手可能な色のある金属を用いてもよいことを認識されたい。所望であれば、銀、金、プラチナ、クローム、ニッケル、ニッケル−クローム、パラジウム、スズ、などのほかの金属を用いてもよい。
【0089】
凹面鏡の焦点距離はその曲面の半径Rの半分に等しく、したがって鏡の基部直径の1/4に近い制限最小値を有する。簡単に言えば、与えられた基部直径に対して、鏡の焦点距離及びF値は均等なレンズの値の1/4である(通常の屈折率1.5を仮定)。しかし、F値を減少させることは焦点深度を減少させることと等しく、したがって実際には、2Rよりもずっと小さい鏡基部直径を有することが望ましいことが多い。
【0090】
例えば、前に引用した好適な素子厚みを考慮すると、鏡の焦点距離は40μmであることが必要であり、これは鏡の半径Rが80μmの値を有することを必要とし、したがって最大の理論的基部直径は160μmに近づき、F値f/#=0.25mmとなる。この構造は反射モードにおいてだけ見ることを意図しており、不透明な基材(ストリップ及びパッチ)の上に付着させること、又は不透明な基材に部分的に組み込むことに最も関係する。レンズ系によって、印刷された微細画像は、鏡系の焦点深度又はフィールドによって決定される精度で、鏡の焦点面と一致しなければならない。レンズベースのシステムの別の可能性は、図18を参照して以降に説明する。
【0091】
図12(a)は、基材20上に画像要素を印刷するための装置の一部分を示している。図12に示されている装置は、インク貯蔵部74に対してロールチェーン72を介して結合されたインキングロール70を有する。インクは、ロール70によって、関係する配列の微細画像要素に対応する突出した印刷要素78を担持する印刷ロール76上に転写される。基材20は、印刷ロール56とインプレッションローラー80との間に供給され、かつ、画像要素が基材20上に印刷される。
【0092】
この装置の下流には、画像要素の次の配列を印刷するために、図12(a)に示されているものに類似した第2装置が設けられる。
【0093】
図12(b)は、画像要素を印刷するための代替装置を示している。インクは、ロール70によって、関係する配列の微細画像要素に対応する凹入した印刷要素83を担持する印刷ロール82上に転写される。ドクタブレード84が、接触し、かつ、インク又は着色剤を印刷ローラー82の非凹入エリアから除去する。基材20は、印刷ローラー82とインプレッションローラー80との間に供給され、かつ、画像要素が基材上に印刷される。この装置の下流には、画像要素の次の配列を印刷するために、図12(b)に示されているものに類似した第2装置が設けられる。
【0094】
微細レンズ又は微細凹面鏡は、注型硬化、成形、又はこれらに類似したものによって、基材20の反対表面上に設けられる。
【0095】
上述の例においては、微細画像要素は、基材上に印刷することによって設けられている。画像要素の一部又はすべてをレリーフ構造体として設けることも可能であり、かつ、これらのいくつかの例が図13のA〜Jに示されている。これらの図において、“IM”は、画像を生成するレリーフの部分を示しており、“NI”は、画像を生成しない部分を示している。
【0096】
図13のAは、エンボス加工された又は凹入した画像要素を示している。図13のBは、デボス加工された画像要素を示している。図13のCは、格子構造体の形態を有する画像要素を示しており、図13のDは、蛾の目(moth−eye)又はその他の微細ピッチ格子構造体を示している。
【0097】
これらの構造体は、組み合わせることができる。例えば、図13のEは、凹部エリア内において格子によって形成された画像要素を示しており、図13のFは、デボス加工されたエリア上における格子を示している。
【0098】
図13のGは、粗いエンボス加工の使用を示している。
【0099】
図13のHは、エンボス加工されたエリア上における印刷の提供を示しており、図13のIは、“Aztec”形状の構造体を示している。
【0100】
図13のJは、インクが充填された凹部を示している。
【0101】
上述の素子構造の様々な実施形態は、既知の方法によって、プラスチック又は紙の基材に内蔵するために、パッチ、フォイル、ストライプ、ストリップ、又はスレッドに切り裂くか又は切断することができる。
【0102】
一実施形態においては、本発明は、窓を有するスレッドとして証券用紙に内蔵することができる。
【0103】
更なる例においては、セキュリティ素子は、1つ又は複数のその他の光学セキュリティ機能をも含む。この例が図14に示されている。この例においては、モアレ拡大器素子30は、上述の実施例のいずれかを参照して説明したように形成されている。また、このセキュリティ素子は、いくつかのホログラム画像生成構造体100をも含む。これらのホログラム画像構造体100は、微細レンズと同一の樹脂内に鋳造又はエンボス加工することができるが、同様に、微細レンズを鋳造するのに適したものとホログラム構造体をエンボス加工するのに適したものという2つの異なる樹脂を見当の合った状態において適用することもできる。又は、この代わりに、ホログラム構造体は、微細レンズとは反対のポリマー層の面に位置したポリマーラッカー内にエンボス加工することもできる。
【0104】
ホログラム生成構造体100は、ホログラム又はDOVID画像要素の形態を有することができる。図14に示されているラベル構造においては、微細レンズと、2つの拡大された画像配列の可視化されたものと、は、中央の水平な帯又はラベルの領域内に配置されており、ホログラム生成構造体100は、両側部に配置されている。ただし、この例は、純粋に例示を目的としたものであり、かつ、例えば、モアレ拡大素子30が両側部上の1つ又は複数の領域内に設けられた状態において、ホログラム生成構造体100を中央の帯又はストリップ内に配置することもできることを理解されたい。又は、この代わりに、モアレ拡大された画像と、ホログラム生成構造体によって提供される画像と、を、単一画像のそれぞれの提供コンポーネントによって、単一画像に統合することもできる。図15はこのような統合された設計の一例を示している。この場合には、ホログラム生成構造体101は、巻物(scroll)を形成しており、かつ、この巻物の中間部分において、ホログラム構造体は、この場合には(例えば図7に関して上述したとおりの)移動する「5」及び星であるモアレ拡大された画像を生成するために、モアレ拡大素子30によって置換されている。
【0105】
ホログラム構造体100、101の場合には、これらは、任意の従来の形態を有することが可能であり、かつ、完全に又は部分的に金属被覆することができる。又は、この代わりに、反射改善金属被覆層をZnSなどの実質的に透明な無機高屈折率層によって置換することもできる。
【0106】
どのような構成が規定されるのかとは無関係に、図14及び図15において2つの異なる光学効果に対して割り当てられている個々の領域は、それらの効果の明瞭な可視化を促進するために十分に大きいことが有利である。
【0107】
以上の図面に示されているセキュリティ素子は、保護対象文書に接触する素子の外側表面に対する感熱又は感圧接着剤の適用を通常必要とする文書を保護するためのラベルとして適用されるのに適している。更には、任意選択の保護被覆/ワニスを素子の露出した外側表面に適用することもできる。保護被覆/ワニスの機能は、セキュリティ基材上への転写の際及び流通の際の、素子の耐久性を増大させることである。
【0108】
ラベルではなく転写要素の場合には、セキュリティ素子は、好ましくは、担持体基材上に予め製造され、かつ、後続の作業ステップにおいて基材に転写される。セキュリティ素子は、接着剤層を使用して文書に貼付することができる。接着剤層は、セキュリティ素子に、又はその素子が貼付される保護対象文書の表面に、適用される。露出した層、又はこの代わりに担持体層が、外側保護層として機能する構造の一部として留まることができるため、転写の後に、担持体ストリップを除去し、これによって、セキュリティ素子を残すことができる。微細光学構造体を有する注型硬化素子に基づいてセキュリティ素子を転写するための適切な方法が欧州特許第1897700号明細書に記述されている。
【0109】
また、本発明のセキュリティ素子は、セキュリティストリップ又はスレッドとして内蔵することもできる。いまや、セキュリティスレッドは、世界の多くの通貨だけでなく、証票、パスポート、トラベラーズチェック、及びその他の文書にも、存在している。多くの場合に、スレッドは、部分的に埋め込まれた方式又は窓を有する方式によって設けられており、この場合に、スレッドは、紙の内外に編み込まれているように見える。所謂窓を有するスレッドを有する紙を製造する1つの方法は、欧州特許第0059056号明細書において見出すことができる。欧州特許第0860298号明細書及び国際特許出願公開第2003/095188号パンフレットは、幅の広い部分的に露出したスレッドを紙の基材に埋め込むための様々な方法について記述している。更なる露出エリアが本発明などの光学的に変化可能な素子の良好な使用法を許容するため、通常は2〜6mmの幅を有する幅広のスレッドが特に有用である。どの図に示されている素子構造体も、透明な無色の接着剤の層を素子の外側表面のいずれか又は両方に適用することによって、スレッドとして使用することができる。微細レンズとの接触状態にある接着剤の光学特性の慎重な選択が重要である。接着剤は、微細レンズの材料よりも低い屈折率を有することを要し、かつ、微細レンズと接着剤との間の屈折率の差が大きいほど、レンズの背面焦点距離が短くなり、かつ、したがって、最終的なセキュリティ素子が薄くなる。
【0110】
本発明のセキュリティ素子は、いずれかの層に検出可能な材料を導入することによって、又は、別個の機械可読層を導入することによって、機械によって判読可能なものにすることができる。外部刺激に対して反応する検出可能な材料は、限定を伴うことなしに、蛍光性材料、燐光性材料、赤外線吸収材料、サーモクロミック材料、フォトクロミック材料、磁性材料、エレクトロクロミック材料、導電性材料、及びピエゾクロミック材料を含む。
【0111】
薄膜干渉要素、液晶材料、及びフォトニック結晶材料などの更なる光学的に変化可能な材料をセキュリティ素子に含むことができる。このような材料は、フィルミック層の形態であってもよく、又は、印刷による適用に適した着色された材料であってもよい。
【0112】
本発明のセキュリティ素子は、不透明な層を有してもよい。
【0113】
図16及び図17は、本発明のセキュリティ素子に内蔵された金属被覆が剥離された(demetallised)画像の形態を有する更なるセキュリティ機能を示している。素子30の拡大された画像配列が、この素子の中央の帯内において観察される。これは、強力なレンチキュラータイプのアニメーションに起因した第1セキュリティ効果を提供する。図17において観察することができるように、断面A−Aに沿った図16内に示されている機能の構造は、図8に示されているとおりである。モアレ拡大を示す中央の帯の外の領域においては(断面B−Bに沿って観察されるように)、印刷受容層21は、金属被覆されている110。金属層の各部分115の金属被覆を剥離させることによって、金属被覆が剥離された画像を規定しており、かつ、これによって、反射光において観察可能であるが更に好ましくは透過光においても観察可能である金属被覆が剥離された標識の生成を可能にしている。
【0114】
更なる例においては、かつ、図11に示されているミラーに基づいたモアレの例を参照すれば、微細ミラーを形成する金属被覆された層は、微細ミラーを超えて延在してもよく、かつ、次いで、この層の各部分の金属被覆を剥離させて金属被覆が剥離された画像を規定することができる。
【0115】
制御され且つ明確に規定されたエリア内に金属が存在していない部分的に金属被覆された/金属被覆が剥離された薄膜を製造するための1つ方法は、米国特許第4652015号明細書に記述されているものなどのレジスト及びエッチング法を使用して領域の金属被覆を選択的に剥離させるというものである。類似の効果を実現するためのその他の技法としては、例えば、アルミニウムをマスクを通じて真空堆積させることが可能であり、又は、アルミニウムをプラスチック担持体の複合ストリップから選択的に除去することが可能であり、かつ、アルミニウムをエキシマレーザーを使用して選択的に除去することができる。又は、この代わりに、Eckart社が販売するMetalstar(登録商標)インクなどの金属質の外観を有する金属効果インクを印刷することによって、金属質の領域を設けてもよい。
【0116】
金属質層の存在を使用して機械可能暗色磁性層の存在を隠蔽することができる。磁性材料を装置に内蔵する際には、磁性材料を任意の設計において適用することができるが、一般的な例は、暗号化された構造体を形成するための磁気トラムラインの使用又は磁気ブロックの使用を含む。適切な磁性材料は、酸化鉄顔料(Fe23又はFe34)、バリウム又はストロンチウムフェライト、鉄、ニッケル、コバルト、及びこれらの合金を含む。この文脈において、「合金」という用語は、ニッケル:コバルト、鉄:アルミニウム:ニッケル:コバルト、及びこれらに類似したものなどの材料を含む。ニッケルのフレーク材料を使用することが可能であり、更には、鉄のフレーク材料が適している。一般的なニッケルのフレークは、5〜50μm(ミクロン)の横寸法と、2μm(ミクロン)未満の厚みと、を有する。一般的な鉄のフレークは、10〜30μm(ミクロン)の範囲の横寸法と、2μm(ミクロン)未満の厚みと、を有する。
【0117】
代替機械可読実施形態においては、透明な磁性層を装置構造内の任意の位置に内蔵することができる。所定のサイズを有すると共に磁気層が透明な状態に留まる濃度において分布した磁性材料の粒子の分布を含む適切な透明磁性層が国際特許出願公開第2003/091953号パンフレット及び国際特許出願公開第2003/091952号パンフレットに記述されている。
【0118】
図18a及び図18bは、レンズに基づいたモアレシステムが、それぞれ、反射限定モードにおいて、かつ、反射及び透過の両方において、動作する方法を示す2つの概略図を示している。図18aは、反射限定のシナリオを示しており、この場合には、図8のものと類似した構造を有する素子10は、実質的に不透明な基材31上に適用されるか、又は接着剤層32を介して不透明な基材(例えば、窓を有するスレッド)に部分的に埋め込まれる。この場合には、観察者によって観察される合成的に拡大された画像は、微細画像配列25,250と、微細画像配列に対する背景として機能する媒体と、から後方散乱された又は反射された光から最終的に導出される。微細画像配列と、これを取り囲む背景媒体との間の反射コントラストが大きいほど、合成的に拡大された画像の視覚的なコントラストは大きくなる。ここで、基材31の色又は反射特性が最適なものではない場合があり、例えば、基材が、低反射率を有するか、又は、微細画像配列のうちの1つと類似した色を有する場合がある。これに対処するために、本発明者らは、図18aに、微細印刷インターフェイスと、素子を基材31に接合させる接着剤層32との間に配置された任意選択のマスク被覆層33の追加を示している。マスク層33は、通常、限定を伴うことなしに、二酸化チタニウム粒子などの反射性の不透明顔料を樹脂バインダ中に含むことになる。この層の色は、単純に白色とすることもできるし、又は、着色料を追加することによって、このマスク層又は背景反射層が1つ又は両方の微細画像配列と対照をなす望ましい色相を有することを保証することもできる。
【0119】
更なる例においては、マスク被覆と、微細画像配列のうちの1つと、は、明白に同一の色を有しているが、この一方又は他方には、メタメリズム特性が提供されている。この結果、通常の観察状態においては、関連する微細画像配列は、不透明なマスクの背景色を伴ってわずかだけ弁別されるが(弁別可能な場合)、メタメリズムフィルタ下において観察された際には、前述の微細画像配列又は更に適切にはその合成的に拡大された画像は、くっきりと明白になる。又は、この代わりに、蛍光下において観察された際に、光を吸収する微細画像配列が黒色の合成的に拡大された画像を形成するための蛍光背景をマスク被覆が提供するように、蛍光添加剤をマスク被覆に提供してもよい。メタメリックインクの例は、英国特許第1407065号に記載されている。マスクコーティングもまた、耐久性を強化する層として働く。
【0120】
図18bは、素子10が少なくとも部分的に基材31内の透明なアパーチャ3の上方に適用されるシナリオを示している。セキュリティ素子を保護対象の文書内の透明なアパーチャに内蔵することが周知である(以下を参照されたい)。この場合には、合成的に拡大された画像を基材31内の観察アパーチャ3を通じて反射及び/又は透過状態において観察してもよい。観察者は、位置#1に位置した際には、拡大された画像だけを観察することになる。図18bにおいて観察することができるように、不透明なマスク被覆は、透過状態においてモアレ拡大システムを観察することができるように、省略されている。また、接着剤層34が良好な光学的透明性を有する(すなわち、低散乱、低吸収である)ことも1つの要件である。
【0121】
印刷された微細画像25,250が、実質的に不透明なインク又は着色剤から形成されている場合には、合成的に拡大された画像は、反射状態において観察された際には、有色となるが、透過状態において観察された際には、高コントラストの基本的に黒色の画像を形成することになることに留意されたい。
【0122】
透過状態において有色画像を観察するための1つの要件は、微細画像がある程度の透光性を有するというものである。光が、印刷された画像を通過可能でなければならず、かつ、望ましい色が透過可能でなければならない。
【0123】
また、観察者が場所#2から素子を観察する場合には、合成的に/モアレ拡大された画像は観察されず、代わりに、微細画像パターンの変更されていない又は直接的な画像が観察されることに留意されたい。
【0124】
基材31はセキュリティ文書の一部をなし、それ自身、紙及びポリマーを含む任意の従来の材料から形成されてもよい。当技術分野においては、これらのタイプの基材のうちのそれぞれの基材内に透明な領域を形成するための技法が知られている。例えば、国際特許出願公開第1983/00659号パンフレットは、基材の両面上に不透明被覆を有する透明基材から形成されたポリマー銀行券について記述している。基材の両面上の局所領域内において不透明被覆を省略し、透明領域を形成している。
【0125】
欧州特許第1141480号明細書は、紙の基材内に透明領域を製造する方法について記述している。紙の基材内に透明領域を形成するためのその他の方法は、欧州特許第0723501号明細書、欧州特許第0724519号明細書、欧州特許第1398174号明細書、及び国際特許出願公開第2003/054297号パンフレットに記述されている。
【0126】
本発明の微細画像配列のうちの1つ又は複数の配列は、非可視放射に対して可視的に応答する材料を有するインクによって印刷してもよい。当業者には、蛍光又は燐光特性を有する材料を含むものとして、ルミネセント材料が知られている。また、フォトクロミック材料及びサーモクロミック材料などの非可視放射に対して可視的に応答するその他の材料の使用も周知である。例えば、拡大された配列のうちの1つだけが通常の昼光条件において可視となり、第2の拡大された画像がUV照明下においてだけ可視になってもよいであろう。又は、この代わりに、2つの拡大された配列が、通常の昼光条件においては、同一色に見え、かつ、フィルタを使用して観察された際には、又は、UV照明下において観察された際には、異なる色に見えることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材を有するモアレ拡大素子であって、前記透明基材は、
i)第1表面上の微細合焦要素の規則的な配列であって、前記合焦要素は、焦点面を規定している、微細合焦要素の配列と、
ii)前記合焦要素の前記焦点面と実質的に一致するプレーン内に配置された、微細画像要素の対応する第1の配列と、
を担持しており、
前記微細合焦要素及び前記微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、前記微細合焦要素の配列が前記微細画像要素の配列と協働し、モアレ効果に起因して前記微細画像要素の拡大されたバージョンを生成するようになっており、前記素子の少なくとも第1領域を横断する少なくとも一つの軸に沿って、前記微細画像要素間及び/又は前記微細合焦要素間のピッチはそれぞれの配列を横断して連続的に変化し、それによって観察者が、拡大された要素は前記素子の表面に対して傾斜しているか、又は湾曲している第1画像面に配置されていると知覚するように、前記モアレ効果が前記画像要素を種々の程度に拡大させる、素子。
【請求項2】
前記素子の第1領域において、前記微細画像要素間及び/又は前記微細合焦要素間のピッチが同一の方向に連続的に変化する、請求項1に記載の素子。
【請求項3】
前記素子の第1領域において、前記微細画像要素間及び/又は前記微細合焦要素間のピッチが前記それぞれの配列の直交する両方の軸に沿って連続的に変化する、請求項1又は2に記載の素子。
【請求項4】
前記素子の第1領域において、前記微細画像要素の大きさは、前記観察者が、前記拡大された画像要素が、前記第1領域において互いに実質的に同じ大きさを有するように対応して変化する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の素子。
【請求項5】
前記微細合焦要素及び前記微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、前記第1画像面が前記素子の表面の後又は前に配置されるようになっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の素子。
【請求項6】
前記微細合焦要素及び前記微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、前記第1画像面が前記素子の面と交差するようになっている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の素子。
【請求項7】
少なくとも前記素子の第1領域に、
iii)前記合焦要素の前記焦点面と実質的に一致するプレーン内に配置された、前記基材によって担持される微細画像要素の対応する第2の配列、を更に有し、
前記微細合焦要素及び前記微細画像要素の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、前記微細合焦要素の配列が前記微細画像要素の第2の配列と協働し、モアレ効果に起因して前記第2の配列の微細画像要素の拡大されたバージョンを生成し、前記微細画像要素の第2の配列の拡大されたバージョンは、前記第1画像面とは異なる第2画像面に配置されており、前記素子が傾斜したとき、前記微細画像要素の第1の配列が、前記微細画像要素の第2の配列に対して動きを示すように前記観察者が知覚するようになっている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の素子。
【請求項8】
前記微細合焦要素及び前記微細画像要素の第1及び第2の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、前記第2画像面が前記第1画像面の上又は下に配置されているようになっている、請求項7に記載の素子。
【請求項9】
前記微細合焦要素及び前記微細画像要素の第1及び第2の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、前記第2画像面が前記第1画像面と交差するようになっている、請求項7又は8に記載の素子。
【請求項10】
前記微細合焦要素及び前記微細画像要素の第2の配列のピッチ並びにこれらの相対的な場所は、前記第2画像面が前記素子の表面と平行であるようになっている、請求項7〜9のいずれか一項に記載の素子。
【請求項11】
前記素子の少なくとも第1領域を横断する少なくとも一つの軸に沿って、前記第2微細画像配列の微細画像要素間及び/又は前記微細合焦要素間のピッチはそれぞれの配列を横断して連続的に変化し、それによって前記観察者が知覚する前記第2画像面は前記素子の表面に対して傾斜しているか、又は湾曲しているように、前記モアレ効果が前記画像要素を種々の程度に拡大させる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の素子。
【請求項12】
前記微細画像要素の第1の配列は第1の色であり、前記微細画像要素の第2の配列は、前記第1の色と異なる第2の色である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の素子。
【請求項13】
前記微細画像要素間及び/又は前記微細合焦要素間のピッチは、前記素子の第2領域を横断する少なくとも一つの軸に沿って更に連続的に変化し、前記第2領域内のピッチ変化は好適には、前記観察者が、前記拡大された要素は前記第1領域において知覚される拡大された要素とは異なって、前記素子の表面に対して傾斜しているか、又は湾曲している第1画像面に配置されていると知覚するように、前記第1領域内のピッチ変化とは反対方向になっている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の素子。
【請求項14】
前記微細画像要素の配列は、前記素子の少なくとも第1領域を横断して一定ピッチであり、前記種々の程度の拡大は、前記微細画像要素の第1及び/又は第2の配列のピッチの連続的な変化によって達成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の素子。
【請求項15】
前記微細合焦要素は、球面レンズレット、円柱形レンズレット、平凸レンズレット、両凸レンズレット、フレネルレンズレット及びフレネルゾーンプレートのような微細レンズを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の素子。
【請求項16】
前記微細レンズはそれぞれ、1〜100μm(ミクロン)、好適には1〜50μm(ミクロン)、更に好適には10〜30μm(ミクロン)の範囲の直径を有する、請求項15に記載の素子。
【請求項17】
前記微細合焦要素は凹面鏡を備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の素子。
【請求項18】
各配列内の微細画像要素は同一の印であって、任意選択でそれぞれの配列を横断してサイズ及び/又はアスペクト比が変化する印を表す、請求項1〜17のいずれか一項に記載の素子。
【請求項19】
前記微細画像要素は、記号、幾何学図形、英数字、ロゴ若しくは画像表示のようなアイコン、又は例えば平行(直)線のような線パターン、単純な幾何学図形若しくはギロシェパターンのような複雑な線構造のような背景を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の素子。
【請求項20】
前記第1又は第2の配列の微細画像要素は、記号、幾何学図形、英数字、ロゴ又は画像表示のようなアイコンを含み、その他の配列の微細画像要素は、例えば平行(直)線のような線パターン、単純な幾何学図形又はギロシェパターンのような複雑な線構造のような背景を規定する、請求項7に記載の素子。
【請求項21】
前記微細画像要素は前記基材上に印刷されている、請求項1〜20にいずれか一項に記載の素子。
【請求項22】
前記微細画像要素は、前記基材上の格子構造、凹部又はほかのレリーフパターンとして形成される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の素子。
【請求項23】
前記基材は、ポリエチレンテラフタレート(PET)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリプロピレンのうち一つのようなポリマーを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の素子。
【請求項24】
前記微細合焦要素配列の背面と、前記微細画像要素配列との距離は、1〜50μm(ミクロン)、好適には10〜30μm(ミクロン)の範囲にある、請求項1〜23のいずれか一項に記載の素子。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載のセキュリティ素子。
【請求項26】
セキュリティスレッド、ラベル又はパッチとして形成された、請求項25に記載のセキュリティ素子。
【請求項27】
前記素子は、銀行券、身分証明書、又はこれらの類似物のようなセキュリティ文書の透明な窓内に設けられる、請求項25に記載のセキュリティ素子。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の光学素子が設けられた物品。
【請求項29】
銀行券、小切手、パスポート、身分証明書、正規品証明書、収入印紙、及びセキュリティ価値又は身元に関するその他の文書のうちの1つを有する請求項28に記載の物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7(a)】
image rotate

【図7(b)】
image rotate

【図7(c)】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12(a)】
image rotate

【図12(b)】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17a】
image rotate

【図17b】
image rotate

【図18a】
image rotate

【図18b】
image rotate


【公表番号】特表2013−521527(P2013−521527A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555488(P2012−555488)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050398
【国際公開番号】WO2011/107782
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(598151304)ドゥ ラ リュ インターナショナル リミティド (20)
【Fターム(参考)】