説明

モアレ防止反射フイルム

【課題】高い輝度や反射率を維持しながら、モアレの発生が極めて少ない反射フイルムを提供する。
【解決手段】モアレ防止層10と金属反射層4が形成されてなる反射フイルムにおいて、モアレ防止層10が、少なくとも、金属反射層4側から、プラスチックフイルム2、樹脂ビーズXと樹脂3とからなるビーズ層1が順次形成されているものであって、モアレ防止層10の厚さが50〜250μmであることを特徴とするモアレ防止反射フイルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルのバックライトに使用する反射フイルムに関し、バックライトの導光板と該反射フイルムが接する際に発生するモアレ(干渉縞)の防止効果に特に優れた反射フイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスチックフイルムに銀薄膜層やアルミニウム薄膜層などの金属反射層が形成された反射フイルムが知られている。
この反射フイルムは、金属反射層側を導光板に接して使用した場合には輝度は充分であったが、モアレの発生が激しく、プラスチックフイルム側を導光板に接して使用した場合には、金属反射層側を導光板に接して使用した場合と比べて、モアレの発生はやや少なくなるが反射率や輝度が悪くなる問題があった。
【0003】
そこで、反射率や輝度を低下させずにモアレの発生を抑制する反射フイルムが知られている。
特許文献1には、プラスチックフイルム、金属反射層、樹脂と無機フィラーとからなる高反射樹脂層が順次形成された高反射フイルムが記載されており、該高反射フイルムは高反射樹脂層側を導光板に接して使用するものである。
しかし、特許文献1記載の高反射フイルムは、高反射樹脂層の厚さが薄く(0.2〜0.5μm)、粒径の小さい無機フィラー(10〜60nm(0.01〜0.06μm))が高反射樹脂層の金属反射層側に主に形成されていたため、反射率や輝度は充分であったが、やはりモアレの発生を充分には防止することはできなかった。
また、本発明と類似の構成の反射フイルムで、プラスチックフイルムの片面に金属反射層が形成され、他の片面に、樹脂と真球状の樹脂微粒子を含む傷防止層が形成されている反射フイルムが知られている(特許文献2参照)。
特許文献2記載の反射フイルムは、反射フイルム製造時に生じる金属反射層の傷を防止することが目的であり、傷防止層側を導光板に接して使用するものである。
しかし、特許文献2記載の反射フイルムは、製造時に生じる金属反射層の傷は防止できたものの、傷防止層の厚さが薄く(0.03〜0.25μm)、樹脂微粒子の粒径も小さいこと(0.05〜0.3μm)から、やはりモアレの発生を防止することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−9006号公報
【特許文献2】特開2008−110565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で示した通り、
1.金属反射層側(特許文献1記載の高反射フイルムでは高反射層側)を導光板に接して使用する反射フイルムは、金属反射層が、反射フイルム全体の厚さのうちその大半を占めるプラスチックフイルムの導光板側に形成されているため、金属反射層と導光板との距離が短く、モアレの発生が激しいものであった。
2.プラスチックフイルム側(特許文献2記載の反射フイルムでは傷防止層側)を導光板に接して使用する反射フイルムは、上記金属反射層側を導光板に接して使用する反射フイルムと比べると、金属反射層と導光板との距離が長くなるため、モアレの発生は少なくなる。
しかし、仮に金属反射層と導光板との距離が50μm以上であったとしてもやはりモアレの発生は防止できなかった。
【0006】
そもそも、反射フイルムと導光板とが接することが原因で発生するモアレは、反射フイルムと導光板とが、隙間なく、ぴったりと接していれば理論的には発生しない。
しかし、現実には、反射フイルムにはわずかな厚薄の差やゆがみがあり、これらが原因で反射フイルムと導光板がぴったりと接しないことで、すなわち反射フイルムと導光板との間に部分的に隙間が生じることで、モアレが発生する。
出願人は、鋭意研究の結果、金属反射層と導光板との距離を一定の距離以上、すなわち50μm以上としたときに、反射フイルムのわずかな厚薄の差や歪みが原因で反射フイルムと導光板がぴったりと接しない場合であっても、モアレの発生を防止できることを見出した。
従って、モアレの発生防止だけを考慮すると、金属反射層と導光板との距離を長くすればよいが、このために、単純にプラスチックフイルムの厚さを厚くすることだけで対応しても、やはりモアレの発生を充分には防止できないこともわかった。
これは、導光板と接する側であるプラスチックフイルム表面はフラットで凹凸がほとんどない状態であるため、プラスチックフイルムが導光板と面で接することとなるので、反射フイルムと導光板の間に隙間がほとんどない状態となり、光源である冷陰極管やLEDから発せられる熱の影響をまともに受けて、経時で該反射フイルムが歪んでしまい、その歪みにより、モアレ(干渉ムラ)が発生する場合があるからである。
そこで、プラスチックフイルムの厚さだけで金属反射層と導光板との距離を50μm以上とするのではなく、少なくとも、金属反射層側から、プラスチックフイルム、樹脂ビーズと樹脂とからなるビーズ層が順次形成されたモアレ防止層を導光板と金属反射層間に形成することでモアレの発生を防止できることもわかった。
しかし、モアレ防止層の厚さをあまり厚くしすぎると、反射フイルム(特にプラスチックフイルム)の厚薄の差や歪みが大きくなり、かえってモアレが発生してしまったり、反射フイルムの反射率や輝度が低下してしまう問題が生じる。
モアレの発生を防止し、同時に高い輝度と反射率を維持するためには、モアレ防止層の厚さの上限を250μm以下とすること、さらには、樹脂ビーズの粒径、樹脂ビーズの混入量を特定の範囲とすることで対応できることも併せて見出した。
【0007】
出願人が見出した上記の点から従来技術を見てみると、
金属反射層側(特許文献1記載の高反射フイルムでは高反射層側)を導光板に接して使用する反射フイルムは、金属反射層と導光板との距離(一般的には数μm程度)が短いため、モアレの発生が激しいものとなる。
また、プラスチックフイルム側(特許文献2記載の反射フイルムでは傷防止層側)を導光板に接して使用する反射フイルムは、導光板と接する側であるプラスチックフイルム表面はフラットで凹凸がほとんどない状態であるため、プラスチックフイルムが導光板と面で接することとなるので、反射フイルムと導光板の間に隙間がほとんどない状態となり、光源である冷陰極管やLEDから発せられる熱の影響をまともに受けて、経時で該反射フイルムが歪んでしまい、その歪みにより、モアレ(干渉ムラ)が発生することとなる。
特許文献2記載の反射フイルムでは、傷防止層中の樹脂微粒子の粒径が小さいため、反射フイルムと導光板の間に隙間ができる程の凹凸が、導光板と接する傷防止層には存在しないため、やはり、光源である冷陰極管やLEDから発せられる熱の影響をまともに受けて、経時で該反射フイルムが歪んでしまい、その歪みにより、モアレが発生することとなる。
【0008】
本発明は、前記従来の反射フイルムの欠点を除去したものであり、高い輝度や反射率を維持しながら、モアレの発生が極めて少ない反射フイルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、少なくともモアレ防止層と金属反射層が形成されてなる反射フイルムにおいて、モアレ防止層が、少なくとも、金属反射層側から、プラスチックフイルム、樹脂ビーズと樹脂とからなるビーズ層が順次形成されているものであって、モアレ防止層の厚さが50〜250μmであることを特徴とするモアレ防止反射フイルムである。
[2]本発明は、ビーズ層が、樹脂ビーズの粒径が5〜60μmであり、かつ樹脂ビーズの混入量が樹脂に対して0.3〜60重量%である上記[1]記載のモアレ防止反射フイルムである。
[3]本発明は、モアレ防止層が、金属反射層側から、樹脂層又は金属薄膜層、プラスチックフイルム、ビーズ層が順次形成されているものである上記[1]、又は[2]記載のモアレ防止反射フイルムである。
[4]本発明は、金属反射層の、モアレ防止層が形成されている側と反対側に、腐食防止層が形成されている上記[1]〜[3]記載のモアレ防止反射フイルムである。
【発明の効果】
【0010】
(1)本発明のモアレ防止反射フイルムは、少なくもモアレ防止層と金属反射層が形成されてなる反射フイルムにおいて、モアレ防止層が、少なくとも、金属反射層側から、プラスチックフイルム、樹脂ビーズと樹脂とからなるビーズ層が順次形成されているものであって、モアレ防止層の厚さが50〜250μmである特徴を有する。
本発明のモアレ防止反射フイルムは上記の特徴を有するので、導光板と金属反射層との距離が一定の範囲となり、かつ導光板と接するビーズ層表面に適当な凹凸を形成することで、本発明の反射フイルムと導光板の間に隙間ができる結果、光源である冷陰極管やLEDから発せられる熱でも、経時で該反射フイルムが歪むことがなく、その結果、モアレの発生がほとんどない。さらには高い輝度や反射率を維持することができる
(2)本発明のモアレ防止反射フイルムは、ビーズ層を、樹脂ビーズの粒径が5〜60μmであり、かつ樹脂ビーズの混入量が樹脂に対して0.3〜60重量%としておけば、モアレの発生をより防止することができる。
さらに、モアレ防止層全体の厚さのうちビーズ層が占める厚さの割合を、1/50〜2/3としておけば万全である。
(3)本発明の反射フイルムのモアレ防止層を、金属反射層側から、樹脂層又は金属薄膜層、プラスチックフイルム、ビーズ層が順次形成されているものとしておけば、樹脂層又は金属薄膜層がプラスチックフイルム表面をより平滑にし、反射率や輝度がより向上するとともに、耐腐食性も向上する。
さらに、金属反射層の、モアレ防止層が形成されている側と反対側に、腐食防止層を形成しておけば、耐腐食性の点からも万全である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るモアレ防止反射フイルムの一例を示す一部拡大断面図であり、金属反射層4の片面に、樹脂層3、プラスチックフイルム2、及び樹脂ビーズXと樹脂とからなるビーズ層1が順次形成され、金属反射層4の他の片面に腐食防止層5が形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のモアレ防止反射フイルムは、前記の通り、少なくもモアレ防止層と金属反射層が形成されてなる反射フイルムにおいて、モアレ防止層が、少なくとも、金属反射層側から、プラスチックフイルム、樹脂ビーズと樹脂とからなるビーズ層が順次形成されているものである。
そして、本発明のモアレ防止反射フイルムは、モアレ防止層側を導光板側に接して使用するものである。
【0013】
本発明のモアレ防止反射フイルムに形成されるモアレ防止層は、前記の通り少なくとも、金属反射層側から、プラスチックフイルム、樹脂ビーズと樹脂とからなるビーズ層が順次形成されたものであり、本発明の反射フイルムを導光板に載置した際に、モアレの発生を防止する役割を果たすものである。
モアレ防止層は、プラスチックフイルムとビーズ層の2層から形成されていてもよいが、プラスチックフイルムのビーズ層が形成されている側と反対面側に、すなわちプラスチックフイルムと金属反射層との間に、耐腐食性、プラスチックフイルムの平滑性、プラスチックフイルムと金属反射層間の密着性の向上などを目的として、樹脂からなる樹脂層や、金属薄膜層を形成したものとしてもよい。
この場合、樹脂層と金属薄膜層の一方又は両方を、単層あるいは複数層形成したモアレ防止層としても構わない。
また、プラスチックフイルムとビーズ層間の密着性の向上などを目的に、プラスチックフイルムとビーズ層間に樹脂からなるプライマー層を形成しても構わない。
【0014】
本発明のモアレ防止反射フイルムが、高輝度、高反射で、かつモアレの発生を防止するためには、モアレ防止層の厚さを50〜250μmとすることが必要である。
モアレ防止層の厚さが50μm未満であれば、本発明のモアレ防止反射フイルムがモアレの発生を防止できず、厚さが薄くなるに従いモアレの発生が顕著になる。
また、モアレ防止層の厚さが250μmを越すと、反射フイルム(特にプラスチックフイルム)の厚薄の差や歪みが大きくなり、かえってモアレが発生してしまったり、反射フイルムの反射率や輝度が低下するので好ましくない。
【0015】
モアレ防止層の一部を構成するプラスチックフイルムは、従来から反射フイルムに使用されているプラスチックフイルムであれば特に問題はなく、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリエチレンナフタレートフイルム、ポリプロピレンフイルム、アクリルフイルム、ポリカーボネートフイルム、フッ素フイルム等が使用できる。
中でも、耐熱性や強度の点からポリエチレンテレフタレートフイルムが特に好ましい。
【0016】
プラスチックフイルムの厚さは、モアレ防止層の厚さの範囲との関係で適宜決定されるが、大よそ25〜245μmである。
【0017】
モアレ防止層を構成するビーズ層は、樹脂と樹脂ビーズとからなるものである。
前記の通り、金属反射層と導光板間の距離を、モアレの発生を防止できる最適な距離とするために、該距離をプラスチックフイルムのみでまかなうとすると、光源である冷陰極管やLEDから発せられる熱で、経時で該反射フイルムが歪んでしまい、その結果、モアレが発生してしまう。
ビーズ層は、プラスチックフイルムとともにモアレの発生を防止できる最適な距離を維持することで、モアレの発生を防止する役割を果たすものである。
さらには、ビーズが本来有する拡散反射性を向上させる効果により、本発明のモアレ防止反射フイルムの高い輝度や反射率を維持する役割も果たす。
【0018】
ビーズ層に使用する樹脂ビーズは、球状やラグビーボール状等の形状である、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂等からなる樹脂ビーズが使用できる。
【0019】
ビーズ層に使用する樹脂は、樹脂ビーズをプラスチックフイルムに固定するバインダーの役割を果たすものである。
ビーズ層に使用する樹脂は上記役割を果たすことができるものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂が使用できる。
プラスチックフイルムにポリエチレンテレフタレートフイルムを使用する場合には、密着性の点から塩化ビニル系樹脂が好ましい。
また、樹脂ビーズがビーズ層から脱落し難くするなど、ビーズ層の強度をより向上する目的で、上記樹脂にイソシアネート等の硬化剤を混合しても構わない。
【0020】
ビーズ層は、樹脂に樹脂ビーズを混入した塗料を、金属反射層が形成されていない側のプラスチックフイルム面上に、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知のコーティング方法で形成できる。
そして、上記塗料のコーティング時に樹脂ビーズはその底面がプラスチックフイルムと接触するかプラスチックフイルムの極めて近傍に位置することとなる。
その結果、形成されたビーズ層は、樹脂ビーズの直径の大よそ10〜50%程度がバインダーである樹脂の薄膜に埋め込まれ、樹脂ビーズのその他の部分が樹脂の薄膜から露出した状態となる。
従って、ビーズ層の厚さは、樹脂ビーズの粒径とほぼ同じとなる。
【0021】
樹脂ビーズの粒径は、5〜60μmが好ましい。
樹脂ビーズの粒径が5μmより小さいと、ビーズ層の厚さが薄くなり、例えモアレ防止層全体の厚さが50〜250μmであっても、本発明のモアレ防止反射フイルムのモアレの発生を防止することができないので好ましくない。
また、樹脂ビーズの粒径が60μmより大きいと、ビーズが本来有する拡散反射性を向上させる効果が悪くなったり、場合によっては透明性が悪くなり、結果的に、本発明のモアレ防止反射フイルムの反射率や輝度が悪くなるので好ましくない。
【0022】
また、ビーズ層中の樹脂ビーズの混入量は樹脂に対して0.3〜60重量%であるのが好ましい。
樹脂に対する樹脂ビーズの混入量が0.3重量%より低いと、本発明のモアレ防止反射フイルムがモアレの発生を充分に防止できない。
また、60重量%より高いと、本発明のモアレ防止反射フイルムの反射率や輝度が悪くなるので好ましくない。
樹脂ビーズの混入量は、樹脂ビーズの種類、粒径、形状等により適宜決定すればよい。
【0023】
モアレ防止層全体の厚さのうちビーズ層が占める厚さの割合は、1/50〜2/3が好ましい。
モアレ防止層全体の厚さのうちビーズ層が占める厚さの割合が、上記範囲からはずれると、本発明のモアレ防止反射フイルムがモアレの発生を防止できないか、反射率や輝度が悪くなるので好ましくない。
【0024】
本発明のモアレ防止反射フイルムに形成される金属反射層は、導光板の裏側へ漏れた光を再度導光板側に反射させる役割を果たすものである。
金属反射層は、金属薄膜からなり、従来から反射フイルムの金属反射層として使用されている金属薄膜が使用でき、銀薄膜からなる銀反射層、アルミニウム薄膜からなるアルミニウム反射層等が使用できる。
【0025】
金属反射層の厚さは、上記金属反射層の役割を果たせる範囲で適宜決定すればよく、金属の種類により多少異なるが、大よそ50〜1500nmが好ましい。
【0026】
金属反射層は、抵抗加熱方式や誘導加熱方式による真空蒸着法、スパッタ蒸着法、EB蒸着法、CVD法等の従来公知の方法が使用できる。
【0027】
本発明のモアレ防止反射フイルムは、モアレ防止層を、金属反射層側から、樹脂層又は金属薄膜層、プラスチックフイルム、ビーズ層が順次形成されたものとしてもよい。
プラスチックフイルムと金属反射層との間に、樹脂層や金属薄膜層の一方又は両方を、単層あるいは複数層形成することで、本発明のモアレ防止反射フイルムが、耐腐食性、プラスチックフイルムの平滑性、プラスチックフイルムと金属反射層間の密着性の向上などの効果を得ることができる。
上記樹脂層に使用する樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂が使用でき、樹脂層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
また、金属薄膜層は、クロム薄膜層、ニッケル薄膜層、銅薄膜層、スズ薄膜層などの金属薄膜層が使用でき、厚さは金属薄膜層の種類にもよるが、大よそ1〜10nmが好ましい。
【0028】
さらに、プラスチックフイルムとビーズ層間の密着性の向上などを目的に、プラスチックフイルムとビーズ層間に樹脂からなるプライマー層を形成しても構わない。
プライマー層に使用する樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂が使用でき、プライマー層の厚さは0.1〜10μmが好ましい。
【0029】
本発明のモアレ防止反射フイルムは、金属反射層の、モアレ防止層が形成されている側と反対側に、腐食防止層が形成されていても構わない。
腐食防止層を形成することで、金属反射層の腐食を防止することができる。
腐食防止層は、樹脂塗料をコーティングすることにより形成した樹脂からなる樹脂層やプラスチックフイルムが使用できる。
プラスチックフイルムを腐食防止層として使用する場合には、金属反射層上にプラスチックフイルムを押し出しラミネートするか、プラスチックフイルムを接着剤を介して金属反射層とラミネートする方法等が使用できる。
また、金属反射層を通過した光が漏れてしまうことを防止するため、上記樹脂層を白色顔料を混入した樹脂層としたり、上記プラスチックフイルムを白色顔料を混入した白色樹脂層を表面に形成したプラスチックフイルム又は、あらかじめ白色顔料を混入した白色プラスチックフイルムとしても構わない。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、ウレタン系樹脂をグラビアコート法にてコーティングし厚さ0.5μmの樹脂層を形成し、該樹脂層上に、真空蒸着法にて、厚さ100nmの銀薄膜からなる銀反射層を形成した。
次に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの他の片面に、塩化ビニル系樹脂100部、硬化剤としてXDI系イソシアネート45部、帯電防止剤2部からなる樹脂に、粒径が6μmのウレタン系樹脂からなる樹脂ビーズを1部混入したものをリバースコート法にてコーティングして、厚さ6μmのビーズ層を形成した。
さらに、銀反射層上に、ウレタン系接着剤を介して、白色顔料を混入した厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフイルムをラミネートして、モアレ防止層の厚さが56.5μmである実施例1の本発明のモアレ防止反射フイルムを得た。
【0031】
[実施例2]
ポリエチレンテレフタレートフイルムの厚さを75μmに変更したこと、及び樹脂ビーズの粒径を30μmに変更してビーズ層の厚さを30μmとした以外は実施例1と同様にして、モアレ防止層の厚さが105.5μmである実施例2の本発明のモアレ防止反射フイルムを得た。
【0032】
[実施例3]
ポリエチレンテレフタレートフイルムの厚さを188μmに変更したこと、及び樹脂ビーズの粒径を60μmに変更してビーズ層の厚さを60μmとした以外は実施例1と同様にして、モアレ防止層の厚さが248.5μmである実施例3の本発明のモアレ防止反射フイルムを得た。
【0033】
[比較例1]
ポリエチレンテレフタレートフイルムの厚さを25μmに変更したこと、及び樹脂ビーズの粒径を2μmに変更してビーズ層の厚さを2μmとした以外は実施例1と同様にして、モアレ防止層の厚さが27.5μmである比較例1の反射フイルムを得た。
【0034】
[比較例2]
ポリエチレンテレフタレートフイルムの厚さを250μmに変更したこと、及び樹脂ビーズの粒径を60μmに変更してビーズ層の厚さを60μmとした以外は実施例1と同様にして、モアレ防止層の厚さが310.5μmである比較例2の反射フイルムを得た。
【0035】
[比較例3]
ビーズ層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、モアレ防止層の厚さが50.5μmである比較例3の反射フイルムを得た。
【0036】
実施例1〜3で得られた本発明のモアレ防止反射フイルム、比較例1〜3で得られた反射フイルムについて、以下に示すモアレ試験を行って性能を比較した。
【0037】
(評価試料)実施例1〜3で得られた本発明のモアレ防止反射フイルム、比較例1〜3で得られた反射フイルムをそれぞれ、縦20cm、横30cmに切り取ったものを2枚ずつ準備して試料とした。
(評価方法)上記試料をそれぞれ、LEDを光源とした導光板に載置して、モアレの発生状態を目視にて観察した。
さらに、経時でのモアレの変化を見るために、LEDを照射して導光板に載置したまま、1時間経過後のモアレの発生状態も目視にて観察した。
(評価結果)表1
試料を導光板に載置した状態はもちろん、試料を指で導光板に押し当ててもモアレの発生が全くなかったものを◎、試料を導光板に載置した状態ではモアレの発生はないが、試料を指で導光板に押し当てればモアレが発生したものを○、試料を導光板に載置した状態でモアレが発生したものを△、試料を導光板に載置した状態で著しくモアレが発生したものを×とした。
尚、上記評価基準で、○及び◎であれば、モアレの発生防止を厳しく要求される用途に使用しても実用上問題ない。
【0038】
【表1】

【符号の説明】
【0039】
1 ビーズ層
2 プラスチックフイルム
3 樹脂層
4 金属反射層
5 腐食防止層
10モアレ防止層
X 樹脂ビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともモアレ防止層と金属反射層が形成されてなる反射フイルムにおいて、モアレ防止層が、少なくとも、金属反射層側から、プラスチックフイルム、樹脂ビーズと樹脂とからなるビーズ層が順次形成されているものであって、モアレ防止層の厚さが50〜250μmであることを特徴とするモアレ防止反射フイルム。
【請求項2】
ビーズ層が、樹脂ビーズの粒径が5〜60μmであり、かつ樹脂ビーズの混入量が樹脂に対して0.3〜60重量%である請求項1記載のモアレ防止反射フイルム。
【請求項3】
モアレ防止層が、金属反射層側から、樹脂層又は金属薄膜層、プラスチックフイルム、ビーズ層が順次形成されているものである請求項1、又は2記載のモアレ防止反射フイルム。
【請求項4】
金属反射層の、モアレ防止層が形成されている側と反対側に、腐食防止層が形成されている請求項1〜3記載のモアレ防止反射フイルム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−217638(P2010−217638A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65663(P2009−65663)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000156042)株式会社麗光 (33)
【Fターム(参考)】