説明

モデム装置及びプログラム

【課題】
簡単な操作で、利用開始までの待ち時間が短く、かつインターネット回線への接続をも考慮したパーソナルユースに好適な電子マネー用ICカードの自動チャージ機能を有するモデム装置を提供すること。
【解決手段】
モデム装置にICカードのリーダライタを接続し、ICカードを検知したら変復調機能を専用通信路に接続して電子マネーサーバと通信することによりICカードの認証及び電子マネーのチャージを行い、ICカードが検知されなくなったら変復調機能をインターネット通信路に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードに記憶されている電子マネーの残高が少なくなったときにチャージする機能を有するモデム装置及びプログラムに関するものであり、特に家庭内などのパーソナルユースに適している。
【背景技術】
【0002】
従来、ICカードに記憶されている電子マネーの残高が少なくなったときに、パソコンに接続したICカードを読み書きするリーダライタを用いてチャージする電子マネーのチャージ方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−134195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したチャージ方法は、パソコンに接続されたリーダライタを使用するので、パソコンの電源がオフのときにこのチャージ方法を利用する際、パソコンを立ち上げる時間を待つ必要があり、利用開始までの待ち時間が長くかかってしまうという問題点があった。
【0004】
また、このチャージ方法は、主に駅などに設置場所を限定する、又は使用するパソコンを限定する、使用時時刻を限定するなど、公共の場所でかつ第三者が操作しうるような使用環境の電子マネー専用チャージャの設置に適しているが、パソコンと電子マネーサーバの通信回線として専用回線を使用しているので、パソコンをインターネット回線にも接続する家庭内使用などのパーソナルユースには適さないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、利用開始までの待ち時間が短く、かつインターネット回線への接続をも考慮したパーソナルユースに好適な電子マネー用ICカードのチャージ機能を有するモデム装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明のモデム装置は、専用通信路及びインターネット通信路に接続され、送信信号によって送信搬送波を変調し、被変調受信搬送波から受信信号を復調する変復調機能と、電子マネーを保持するICカードの電子マネー情報を読み書きするリーダライタと、前記変復調機能と、前記リーダライタとを制御して、前記ICカードに電子マネーをチャージする制御機能とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載した本発明のモデム装置は、前記制御機能は、前記リーダライタが前記ICカードを検知することに応じて前記変復調機能を前記専用通信路に接続され電子マネー情報を管理する電子マネーサーバに接続することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、コンピュータを、専用通信路及びインターネット通信路に接続され、送信信号によって送信搬送波を変調し、被変調受信搬送波から受信信号を復調する変復調機能と、電子マネーを保持するICカードの電子マネー情報を読み書きするリーダライタと、前記変復調機能と、前記リーダライタとを制御して、前記ICカードに電子マネーをチャージする制御機能とを備えるモデム装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した本発明のモデム装置によれば、利用者はICカードをリーダライタに近接させるだけで、専用通信路を使用して簡単かつ安全に電子マネーをチャージすることができるという効果がある。利用者がパソコンに接続されたリーダライタを用いて同様の機能を利用する場合に比べると、パソコンの電源が不投入の場合でもパソコンが立ち上がるのを待つことなく即座に電子マネーのチャージを行うことができる効果がある。
【0010】
請求項2に記載した本発明のモデム装置によれば、ICカードをリーダライタから離すだけでインターネット通信路に接続されてパソコンによるインターネットアクセスができる効果があり、家庭内などのパーソナルユースに特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態によるモデム装置の構成図である。
【0013】
モデム装置1は変復調機能11、制御機能12、認証機能13、電源15、及びACプラグ16を備えており、モデム装置1には電子マネー用ICカードを読み書きする機能を有するリーダライタ4が接続されている。
【0014】
変復調機能11は、パソコン2と専用通信路31又はインターネット通信路32に接続されており、制御機能12の指示により、上記それぞれの通信路31、32の特性に合わせた光伝送、無線伝送、有線伝送などの通信方式に対応する通信信号を変復調してパソコン2に伝送する。
【0015】
リーダライタ4は、ICカード5を近接させることによりICカード5に記憶された電子マネーの残高を読み取り、又は制御機能12に指示された電子マネーを書き込んでチャージする機能を有する近接型ICカードリーダライタであり、表示器41、操作キー42を内蔵している。
【0016】
同図で、パソコン2、ICカード5、専用通信路31、インターネット通信路32、及び電子マネーサーバ6は本発明の一部ではないが、モデム装置1の機能動作の説明を簡単かつ明確に行うために示してある。
【0017】
図2は、制御機能12の電子マネーチャージ動作及びインターネット回線接続動作を示すフローチャートである。以下、同図を用いて制御機能12の動作を詳細に説明する。
【0018】
ICカード検知判断手順S1は常に、又は間歇的に動作しており、制御機能12はリーダライタ4がICカード5の近接を監視する。
【0019】
ICカード5が検知されない場合、ICカード検知判断手順S1のNO側を辿って、制御機能12はインターネット接続手順S2を実行し、変復調機能11をインターネット通信路32に接続するので、パソコン2の利用者はパソコン2でインターネットにアクセスできる。
【0020】
ICカード5が検知されると、ICカード検知判断手順S1のYES側を辿って、制御機能12はカード処理手順S3を起動する。
【0021】
認証手順S31で、制御機能12は変復調機能11を専用通信路31に接続する。認証機能13は制御機能12、変復調機能11、専用通信路31を介して電子マネーサーバ6と通信し、電子マネーサーバ6の指示に従ってICカード5の記憶内容を読み取って電子マネーサーバ6に伝え、電子マネーサーバ6が行う認証検査結果を受け取ることによりICカード5を認証し、その認証結果を合格判定判断手順S32に伝える。
【0022】
合格判定判断手順S32で、制御機能12は前記認証結果が不合格であればNO側を辿ってカード処理手順S3を終了する。
【0023】
合格判定判断手順S32で、制御機能12は前記認証結果が合格であればYES側を辿って残高表示手順S33を起動する。
【0024】
残高表示手順S33で、制御機能12はリーダライタ4にICカード5の記憶内容を読み取って電子マネーの残高を表示器41に表示する。利用者は、この表示器41の表示内容でICカード5に入っている電子マネーの残高を知ることができる。
【0025】
チャージ判断手順S34で、制御機能12はICカード5に電子マネーをチャージするか否かの質問を表示器41に表示し、これに対応した利用者の操作キー42の操作を識別する。
【0026】
利用者の操作が電子マネーをチャージしないと識別された場合、制御機能12はNO側を辿ってカード処理手順S3を終了する。
【0027】
利用者の操作が電子マネーをチャージすると識別された場合、制御機能12はYES側を辿ってチャージ手順S35を起動する。
【0028】
チャージ手順S35で制御機能12は変復調機能11、専用通信路31を介して電子マネーサーバ6に利用者の操作キー42の操作内容を伝え、これに対応する電子マネーサーバ6のチャージ指示を受け取り、リーダライタ4を動作させてICカード5に電子マネーをチャージすると共に、表示器41にチャージ結果を表示する。
【0029】
以上で説明したように、利用者はICカード5をリーダライタ4に近接させ、表示器41の表示内容を参照しながら操作キー42を操作するだけで、専用通信路31を使用して簡単かつ安全に電子マネーをチャージすることができ、その後ICカード5をリーダライタ4から離すだけで、手順S1により変復調機能11がインターネット通信路に接続されるので、パソコン2によるインターネットアクセスができる。
【0030】
ここで注目すべきは、上記手順S1〜S35はモデム装置1とICカード5、リーダライタ4により行われ、パソコン2は関与していないことである。
【0031】
すなわち、本発明によるモデム装置1は、ACプラグ16を常に商用電源に接続して電源15を投入しておくことにより、パソコン2の電源が入っていない場合でも、ACプラグ16を経て電源15がモデム装置1の内部に電源を供給しているのでモデム装置1が動作し、利用者はパソコン2が立ち上がるのを待つことなく即座に電子マネーのチャージを行うことができる。
【0032】
以上詳細に説明したように、本発明のモデム装置によれば、利用開始までの待ち時間が短いという効果があり、かつインターネット回線と専用回線との接続切り替えをICカード5をリーダライタ4に近接させるか離すだけで行えるので、家庭内などインターネットにもアクセスするパーソナルユースに好適であるという効果がある。
【0033】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0034】
図2に示した認証手順S31で、認証機能13は電子マネーサーバ6と通信し、電子マネーサーバ6の指示に従ってICカード5の記憶内容を読み取って電子マネーサーバ6に伝え、電子マネーサーバ6が行う認証検査結果を受け取ることによりICカード5を認証して、その認証結果を合格判定判断手順S32に伝えるとしたが、認証機能13に認証リストを内蔵し、この認証リストを参照してICカード5の予備認証を行ってから電子マネーサーバ6と通信するようにして電子マネーサーバ6の動作を簡易化し、認定検査の所要時間を短縮するとともに専用通信路31、電子マネーサーバ6の動作負荷を低減することができる。
【0035】
この場合、手順S31で、認証機能13は制御機能12を介してICカード5の記憶内容を読み取り、この記憶内容と認証リストの内容を比較することによりICカード5を予備認証検査し、その検査結果が合格の場合に限り電子マネーサーバ6と通信する。
【0036】
電子マネーサーバ6はICカード5に含まれる全ての認証情報を認証検査する代わりに、例えばこのICカード5がいわゆるブラックリストに載っている不正なものであるか否かなどの簡易化された認定検査を行い、その結果を認証機能13に通知するだけで済むので、認定検査の所要時間を短縮するとともに専用通信路31、電子マネーサーバ6の動作負荷を低減することができる。
【0037】
認証機能13が内蔵した認証リストを参照してICカード5の予備認証を行う場合、電子マネーサーバ6は定期的に認証機能13と通信し、認証リストの記憶内容を更新しておくことが望ましいのは言うまでもない。
【0038】
なお、上記で説明した本発明の実施形態では、ICカード5を近接型ICカード、リーダライタ4を近接型リーダライタとしたが、ICカードは接触型、近傍型、遠距離型などで、リーダライタはそれぞれに対応するものであれば良いのは言うまでもない。
【0039】
また、リーダライタ4に表示器41、操作キー42が内蔵されているとしたが、電子マネーのチャージを許容最高限度額まで自動的に充填するなど、利用者の操作が必ずしも必要でない方法とする場合は、表示器41をブザー音に、操作キー42を一個の操作ボタンにしたり、これらいずれかの片方又は両方を削除することができるのは言うまでもない。
【0040】
また、上記で説明した本発明の実施形態では、専用通信路31とインターネット通信路32を独立した2個の通信路であるとして説明したが、上記両方の通信路の独立性が確保されるならば、これら通信路の一部分が例えば宅内回線や公衆回線などの共通の回線であっても良いのは言うまでもない。
【0041】
また、本発明のモデム装置は、コンピュータを本モデム装置として機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
【0042】
このプログラムを記録した記録媒体は、図1に示されるモデム装置1のROMそのものであってもよいし、また、外部記憶装置としてCD−ROMドライブ等のプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なCD−ROM等であってもよい。
【0043】
また、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明によるモデム装置の構成図である。
【図2】制御機能の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 モデム装置
4 リーダライタ
11 変復調機能
12 制御機能
13 認証機能
15 電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
専用通信路及びインターネット通信路に接続され、送信信号によって送信搬送波を変調し、被変調受信搬送波から受信信号を復調する変復調機能と、
電子マネーを保持するICカードの電子マネー情報を読み書きするリーダライタと、
前記変復調機能と、前記リーダライタとを制御して、前記ICカードに電子マネーをチャージする制御機能と
を備えることを特徴とするモデム装置。
【請求項2】
前記制御機能は、前記リーダライタが前記ICカードを検知することに応じて前記変復調機能を前記専用通信路に接続され電子マネー情報を管理する電子マネーサーバに接続して、電子マネーのチャージに関する情報を送信し、該送信が完了することに応じて前記変復調機能をインターネット通信路への接続に戻すことを特徴とする請求項1記載のモデム装置。
【請求項3】
コンピュータを、
専用通信路及びインターネット通信路に接続され、送信信号によって送信搬送波を変調し、被変調受信搬送波から受信信号を復調する変復調機能と、電子マネーを保持するICカードの電子マネー情報を読み書きするリーダライタと、前記変復調機能と、前記リーダライタとを制御して、前記ICカードに電子マネーをチャージする制御機能とを備えるモデム装置
として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−176074(P2009−176074A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14315(P2008−14315)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(594170532)
【出願人】(508025323)
【Fターム(参考)】