説明

モニタリングにおける、およびモニタリングに関する改良

【課題】放射線をモニタリングする。
【解決手段】イベントの記録を該イベントの時刻および/または該イベントを検出した検出器の指標とともに含むデータセットを取得し、前記データセットの少なくとも一部を第一の基準のセットに従って分析して第一の分析されたデータセットを提供し、前記データセットの少なくとも一部を第二の基準のセットに従って分析して第二の分析されたデータセットを提供することを含む処理を前記データセットに対して行い、前記第二のセットのうちの一つまたは複数の基準が前記第一のセットの基準とは異なる、ことを含むことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモニタリングにおける、およびモニタリングに関する改良に、具体的にはこれに限るものではないが放射性物質のモニタリングに関係する改良に関する。
【背景技術】
【0002】
WO00/67044は放射性物質から生じる放射線についての情報を収集するための改良された方法を提供している。本発明は、そのような情報の処理および/またはそれが適用できる使用における発展に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第一の側面によれば:
イベントの記録を該イベントの時刻および/または該イベントを検出した検出器の指標とともに含むデータセットを取得し、
前記データセットの少なくとも一部を第一の基準のセットに従って分析して第一の分析されたデータセットを提供し、前記データセットの少なくとも一部を第二の基準のセットに従って分析して第二の分析されたデータセットを提供することを含む処理を前記データセットに対して行い、前記第二のセットのうちの一つまたは複数の基準が前記第一のセットの基準とは異なる、
ことを含むことを特徴とするモニタリング方法が提供される。
【0004】
本方法は、前記第一の分析されたデータセットおよび前記第二の分析されたデータセットの見直しを含みうる。該見直しに続いて、前記解析されたデータセットの一方を他方よりも優先して選択することがあってもよい。該選択は最良分析データセットについてであってもよい。最良分析データセットは、一つまたは複数の要因を考察することによって確立されうる。該要因は誤りおよび/または不確定性を含みうる。前記選択された分析データセットは、モニタリングにかかったイベントについて、位置および/または活性および/または物質組成および/または当該放出の原因となった質量といった情報を提供するのに使われうる。
【0005】
本方法は、第一および第二の分析データセットの両方の使用を含みうる。
【0006】
当該イベントは、放射性物質からの検出された放射線、たとえば中性子でありうる。イベントの時刻はある基準時刻に対する時間として、および/または時計の時刻として記録されうる。イベントの時刻はタイムスタンプ器によって記録されうる。
【0007】
前記検出器は、アルファ線および/またはベータ線および/またはガンマ線および/または中性子線および/またはX線の放射ならびに/または放射性崩壊の一つまたは複数についての直接的または間接的な検出器であることが好ましい。
【0008】
前記データセットは、WO00/67044の方法に基づいて取得されてもよく、該文書の内容は、特にイベントモニタリングおよびそれから生じる信号出力の方法に関して、ここに参照によって組み込まれる。
【0009】
前記データの処理は、前記データセットが取得されている間に、および/または前記データセットが取得されたのちに生起しうる。前記処理はオンラインおよび/またはオフラインで生起しうる。前記データセットは単一のモニタリング動作から得ることができ、および/または二つ以上のモニタリング動作からのデータセットを組み合わせることによって得ることもできる。
【0010】
前記第一の基準のセットおよび前記第二の基準のセットを使った前記処理は、逐次的および/または並列的に実行されうる。
【0011】
好ましくは、前記データセットの全体が分析される。該分析は前記データセット内の一部のデータ型のみを考察するのでもよい。たとえば、前記イベントおよびその時刻は考察するが、当該イベントを検出した検出器は考察しないというのでもよい。
【0012】
前記基準の一つまたは複数はある時間期間に関するものでもよい。前記基準は、あるできごとと前記時間期間の始まりとの間の時間、および/またはあるできごとと前記時間期間の終わりとの間の時間、および/または前記時間期間の始まりと前記時間期間の終わりとの間の時間でありうる。前記時間期間はゲートであってもよいし、および/または一つまたは複数のゲートによって定義されてもよい。
【0013】
前記第一の基準のセットは、時間期間の始まりと時間期間の終わりとの間の第一の時間の長さを含みうる。前記第二の基準のセットは、時間期間の始まりと時間期間の終わりとの間の第二の異なる時間の長さを含みうる。一つまたは複数のさらなる基準のセットは、前記時間期間の始まりと前記時間期間の終わりとの間のさまざまな異なる時間の長さを与えられていてもよい。理想的には各時間期間が異なっている。
【0014】
前記第一の基準のセットおよび/または第二の基準のセットの時間期間内にはいるイベントが考察されうる。好ましくは、基準のセットのそれぞれの時間期間内にはいる諸イベントが考察される。
【0015】
前記第一の基準のセットは、あるできごととある時間期間の始まりとの間の、および/またはあるできごととある時間期間の終わりとの間の時間の第一の長さを含みうる。前記第二の基準のセットは、前記できごとと前記時間期間のはじまりとの間の、および/または前記できごとと前記時間期間の終わりとの間の第二の異なる時間の長さを含みうる。一つまたは複数のさらなる基準のセットは、前記できごとと前記時間期間の始まりとの間の、および/または前記できごとと前記時間期間の終わりとの間のさまざまな異なる時間の長さを与えられていてもよい。理想的には各時間期間が異なっている。
【0016】
前記第一の基準のセットおよび/または前記第二の基準のセットの始まりおよび/または終わりの時刻によって定義される時間期間内にはいるイベントが考察されうる。好ましくは、前記基準のセットのそれぞれの始まりおよび/または終わりの時刻によって定義される時間期間内にはいる前記イベントが考察される。
【0017】
前記第一および/または第二および/またはさらなる基準のセットは、上述したいずれの方法によって定義される第一の時間期間および第二の時間期間を含んでいてもよい。前記第一の時間期間はイベントの実際および偶発の同時性の目安でありえ、前記第二の時間期間は偶発同時性の目安でありうる。
【0018】
前記時間期間内にはいるイベント数の分布を考えることができ、特に、理想的には異なる時間期間の間で積分された確率密度関数を考えることができる。このプロセスは、各基準セットに関して、ある第一の時間期間およびある第二のその後の時間期間に関して適用されうる。両時間期間についてのヒストグラムのような分布を、好ましくは各基準セットに関して逆たたみ込みすることができ、可能性としては多重実同時性ベクトルを生成する。前記分布は、ゲート応答確率分布頻度を時間の関数として与える単一の方程式を使ってモデル化されうる。二重同時性については、可能性として消尽(die away)時間がτであると想定すると、時刻tにおける実際プラス偶発の同時イベントの測定されるpdf、すなわちfRAtはfR(t)とfAの確率項の加算としてモデル化される:
【0019】
【数1】

項fRおよびfAは回帰分析によって得られる。
【0020】
選択された基準セットを選択することで、あるできごととある時間期間の始まりとの間の時間の長さならびに/またはあるできごととある時間期間の終わりとの間の時間の長さならびに/または、偶発同時事象のみが生起するおよび/または実同時事象の生起がある閾値レート未満である時間を除外する時間期間の長さを与えるようにできる。前記選択された基準は、あるできごととある時間期間の始まりとの間の時間の長さおよび/またはあるできごととある時間期間の終わりとの間の時間の長さおよび/またはある要求されるレベルの確実性をたとえば実同時事象レートにおいて与える時間期間の長さを与えるよう選択されてもよい。前記選択された基準は、あるできごととある時間期間の始まりとの間の時間の長さならびに/またはあるできごととある時間期間の終わりとの間の時間の長さならびに/またはモニタリングされる位置および/またはチェンバーの消尽時間に一致する時間期間の長さを与えるよう選択されてもよい。
【0021】
前記第一の基準のセットおよび/または前記第二の基準のセットおよび/または一つもしくは複数のさらなる基準のセットは、データセット中の全データに適用されてもよい。しかし、ある好ましい実施形態では、異なる基準のセットは異なる検出器によって検出されるイベントに適用されうる。よって、前記第一の基準のセットは第一の検出器によって検出されたイベントに適用されることができ、前記第二の基準のセットは第二の検出器によって検出されたイベントに、そして可能性としてはその他の検出器についても同様である。たとえば、前記第一の基準のセットは第一の種別の検出器によって検出されたイベントに適用されることができ、前記基準のセットは第二の種別の検出器によって検出されたイベントに、そして可能性としてはその他の種別の検出器についても同様である。たとえば、前記第一の基準のセットは第一の位置または第一の位置種別の検出器によって検出されたイベントに適用されることができ、前記第二の基準のセットは第二の位置または位置種別の検出器によって検出されたイベントに、そして可能性としてはさまざまな位置および/またはその他さまざまな位置種別についても同様である。前記さまざまな基準のセットは、異なるさまざまな検出器種別および/もしくは設計および/もしくは位置ならびに/またはさまざまなモニタリングされる物質を取り入れるために使用されうる。前記さまざまな基準のセットは、異なるさまざまな検出器ならびに/または検出器種別ならびに/または検出器位置および/もしくは位置種別に対して、異なる時間期間および/または時間期間の始まりおよび/または時間期間の終わりを適用するために使われうる。基準は異なる補正因子であってもよい。補正因子とは、一つまたは複数の個々の検出器または検出器グループについて観測された計数履歴および/または観測された不感時間を取り入れうる。
【0022】
前記第一の基準のセットは、nを正整数として、あるイベントとnイベント後のイベントとの間の時間であってもよい。前記第二のセットは、mをnとは異なる正整数として、あるイベントとmイベント後のイベントとの間の時間であってもよい。好ましくは、nは1であり、および/またはmは2である。一つまたは複数のさらなる基準のセットが提供されうるが、その基準とはあるイベントとある数のイベント後のイベントとの間の時間である。ここで、前記イベントの数は前記の他の基準における数とは異なる。好ましくは、前記数が3および/または4および/または5である基準の諸セットが提供される。好ましくは、決定された時間の分布が一つまたは複数の基準のセット、好ましくはそのそれぞれのセットに関して確立される。異なるさまざまな基準および/またはその分布は、イベントの多重性を反映しうる。
【0023】
前記第一の基準のセットは検出器のセットをなす一つまたは複数の検出器でありうる。前記第二の基準のセットは別の検出器のセットをなす一つまたは複数の検出器でありうる。一つまたは複数のさらなる基準のセットはさらに別の検出器のセットでありうる。好ましくは、前記さまざまな検出器のセットは当該セット内の検出器という意味で全体的に異なっているが、一つまたは複数の検出器が二つ以上のセットのメンバーであってもよい。前記さまざまな基準のセットは、空間感度のあるモニタリングを提供するために使われうる。前記第一の基準のセットがある位置をモニタリングするのに使用でき、前記第二の基準のセットがある位置をモニタリングするのに使用されうる。両位置は異なっていてもよいし、あるいは同じだが異なる仕方でモニタリングされるのであってもよい。
【0024】
本発明のこの第一の側面は、本出願の他所で述べられている特徴、オプションまたは可能性のいずれをも含むことができる。
【0025】
本発明の第二の側面によれば:
イベントの記録を該イベントの時刻および/または該イベントを検出した検出器の指標とともに含むデータセットを取得し、
前記データセットの少なくとも一部を第一の基準のセットに従って分析して第一の分析されたデータセットを提供することを含む処理を前記データセットに対して行う、
ことを含むことを特徴とするモニタリング方法が提供される。
【0026】
前記基準は数学的関数の適用であってもよい。前記基準はフーリエ変換などの変換の適用であってもよい。前記処理は、イベントおよび/または信号の頻度を表す第一の分析データセットを提供しうる。一つまたは複数の特徴、たとえば循環的または周期的変動のような時間変動が前記第一の解析されたデータセットから取得されうる。前記特徴は自己相関であってもよい。前記特徴は相互相関であってもよい。前記特徴はコヒーレントな信号またはイベントまたは変動であってもよい。前記情報は1秒から10秒の間の時間枠内で反復する変動に関係してもよい。前記情報は1μsから100μsの間の時間枠内で反復する変動に関係してもよい。
【0027】
このように本方法はイベントの時間的な生起を考察してもよいし、本方法はスペクトル分析を使ってもよい。
【0028】
本方法は、診断情報を提供するために使用されてもよい。
【0029】
本発明のこの第二の側面は、本出願の他所で述べられている特徴、オプションまたは可能性のいずれをも含むことができる。
【0030】
本発明の第三の側面によれば:
イベントの記録を該イベントの時刻および/または該イベントを検出した検出器の指標とともに含むデータセットを取得し、
前記データセットの少なくとも一部を処理して前記データセットによってカバーされる時間期間内のある第一の時間枠における一つまたは複数の変数についての値を取得し、
前記データセットの少なくとも一部を処理して前記データセットによってカバーされる時間期間内のある第二の時間枠における一つまたは複数の変数についての値を取得し、
前記第一の時間枠と前記第二の時間枠との間での前記変数のうちの一つまたは複数の値の変動を考える、
ことを含むことを特徴とするモニタリング方法が提供される。
【0031】
前記変数は背景イベントレベルおよび/または当該放射性物質の崩壊および/または同時事象レートおよび/または当該放射性物質の特性であってもよいし、それらを含んでいてもよい。
【0032】
前記時間期間は少なくとも1日、より好ましくは少なくとも10日、理想的には少なくとも50日でありうる。
【0033】
前記変動は検出器のパフォーマンスおよび/もしくはその変化、ならびに/または処理プラントのパフォーマンスおよび/もしくはその変化を考えるのに使われうる。
【0034】
前記変数は、たとえば処理プラントなどのモニタリングされる空間に関する、放射性物質の位置および/または活性および/または質量および/または組成でありうる。前記変数はポータルのようなある位置を通過する放射性物質の活性および/または質量でありうる。前記変数は、当該放射性物質がポータルのような前記位置を通過するのに従って、あるレベルからピークまで増加し、それからより低いレベルまで減少しうる。
【0035】
前記変数はイベント数および/またはイベントの計数レートおよび/または多重事象レートでありうる。前記時間枠はモニタリングされるある物品について、異なるさまざまな位置、特に異なるさまざまな回転位置を反映するものでありうる。前記変数の変動は、ドラムのような物品中の、あるいはそれに付随する放射性物質についての空間分布情報を提供しうる。
【0036】
前記変数は、イベント数ならびに/またはイベントについての計数レートならびに/または検出器および/もしくは検出器グループについての多重事象レートでありうる。異なる検出器および/または検出器グループについては別個の変数値が得られうる。その値は放射性物質の位置を示すのに、ならびに/または該放射性物質および/もしくは放出源の確率マップを与えるのに使われうる。
【0037】
前記第一の時間枠は前記第二の時間枠と重なりがあるが異なっているのでもよい。相続く時間枠は互いに重なっていてもよい。前記第一の時間枠および前記第二の時間枠および前記さらなる時間枠はローリング式に(in a rolling manner)進行しうる。前記変数は前記時間枠内に生起するイベント数であってもよい。前記変数はローリング平均(rolling average)を与えるのでもよい。前記値は時間枠が更新される際に更新されてもよい。
【0038】
本発明のこの第三の側面は、本出願の他所で述べられている特徴、オプションまたは可能性のいずれをも含むことができる。
【0039】
本発明の第四の側面によれば:
イベントの記録を該イベントの時刻および/または該イベントを検出した検出器の指標とともに含むデータセットを取得し、
前記データセットの少なくとも一部を処理して相関のある中性子どうしのようなリンクされたイベントについての情報を取得し、
リンクされたイベントを宇宙線イベントのような所望でないイベント検出によるものと判定し、該リンクされたイベントをデータセットから除去して処理済みデータセットを与える、
ことを含むことを特徴とするモニタリング方法が提供される。
【0040】
好ましくは、イベントのリンクおよび/またはその除去はリアルタイムで行われる。
【0041】
本発明のこの第四の側面は、本出願の他所で述べられている特徴、オプションまたは可能性のいずれをも含むことができる。
【0042】
本発明の第五の側面によれば、器具を考察する方法であって:
器具を提供し、
イベントの記録を該イベントの時刻および/または該イベントを検出した検出器の指標とともに含むデータセットを取得し、
前記データセットの少なくとも一部を前記器具に提供してそれに対する該器具の応答を考察する、
ことを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0043】
好ましくは、本方法は前記器具の較正を提供する。好ましくは、本方法は器具パフォーマンスの検証を提供する。本方法は前記データセットから提供される一つまたは複数の状況への器具の応答を検討するために使われうる。
【0044】
本発明のこの第五の側面は、本出願の他所で述べられている特徴、オプションまたは可能性のいずれをも含むことができる。
【0045】
本発明のさまざまな実施形態についてこれからあくまでも例として、付属の図面を参照しつつ説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
放射性物質からの放射線のコンテキストでは特に、本出願人はWO00/67044を通じて、モニタリングを提供するために必要なハードウェア量を著しく減らし、ノイズの影響を減らしてモニタリングをよりうまくいくようにする手法を提供している。
【0047】
本出願人は、上記の手法を発展させて、収集される情報の集まりを収集および/または処理および/または使用して結果として放射性物質のモニタリングの可能性を著しく改善することができることを認識するに至った。
【0048】
この手法からの利点および可能性について、いくつかの具体例を通じて詳細に述べる。
【0049】
例A
時間および/または位置特異的な情報を有することは、幅広い多様性をもつ異なる検出器構成に基づいて処理を実行できるということを意味している。
【0050】
既存の設計では、検出器構成は固定されている。よって、システムはたとえば6つの検出器グループを有し、各グループが4つの検出器を有することができるが、一つのグループからの信号は常にまとめて考察される。
【0051】
本発明は、モニタリング過程の前、モニタリング過程の途中およびモニタリング過程の後で、異なる構成を形成することを許容する。
【0052】
第一のケースでは、異なる構成は、さまざまな構成の間で同じ諸検出器を使うが異なる構成の間で使うパラメータは異なるようにすることによって提供される。よって、中性子同時計数のコンテキストでは、ゲートの一つまたは複数の部分の変動が可能である。第一の構成では、ゲート長がある第一の期間を与えられうる。第二の構成では、ゲート長はある第二の期間のものでありうる。前記異なる時間区間にわたる積分した計数確率密度関数(pdfs: probability density functions)が同時に記録され、その分布が根底にある多重性を決定するために解析される。その原理は下記の実例A1で例証される。
【0053】
異なる期間を考察することで、可能性としてはチェンバーの消尽時間と試料をより完全に一致させることを通じて、精度改善が可能となる。試料の緩和効果についての情報も取得されうる。ゲート長はこのようにして構成の間で変えることのできるいくつかの変数の一つである。他のものとしては、事前遅延(pre-delay)、長遅延(long-delay)、ゲート開始および終了時刻一般などが含まれる。
【0054】
たとえば、実事象および偶発事象のゲートについて異なる開始および/または終了時刻を考えることによって、実事象および偶発事象のモニタリングのみを行い、偶発事象のみに一致する計数の時には終了するようなゲート期間を定義することが可能になる。これは、実事象のレートに基づくその後の決定の精度を改善する。実事象レートが偶発事象レートに比べて低い状況では、ゲートの終了時刻を一部の実事象が破棄される点まで下げることが望ましいことさえある。そうすることによりはるかに多くの偶発事象が破棄され、よって実事象レートの不確定性が減少するからである。同様の仕方で、偶発事象のみがモニタリングされるよう偶発事象ゲートの最良のタイミングを決定することも可能である。
【0055】
中性子同時計数は、異なる諸構成において異なる変数形式を用いて処理することのできるいくつかの一般的な技法のうちの一つでもある。異なる諸構成は互いに並列に処理することができ、その最良のものが最終的な結果を計算するために使われる。
【0056】
第二のケースでは、異なる構成の提供に向けて別のアプローチがとられる。今度は、多重イベントのさまざまなレベルについて時間区間の分布を確立するためにタイムスタンプ情報が見直される。こうしてある信号と次の信号との間の時間が単発事象の指標、ある信号と次の次の信号との間の時間が二重事象の指標などとして使われる。これは各信号について、望むだけの多重レベルに関して繰り返すことができ、この分布の解析によって根底にある多重性が決定される。その原理は下記の実例A2で例証される。
【0057】
第三のケースでは、異なる構成は解析に使用される検出器を変えることによって、および/または解析に使われる検出器のグループをなす検出器を変えることによって提供される。よって、中性子多重計数のコンテキストでは、ここでもまた、ある構成では、システム全体での40の検出器のうちから検出器1、2、3、4から4つの検出器のグループが形成されうる。ある第二の構成では、4つの検出器のグループは検出器1、11、21、31から形成されうる。グループを形成するのに異なる検出器を使うことにより、一般により敏感なシステムが提供される。また、モニタリングされている空間のある部分に関する感度を優先的に上げることも可能になり、モニタリングにおける空間選択性がもたらされる。これは、モニタリングされている空間のある部分、たとえばグローブボックスの隅が中性子源の大部分を含んでおり、よってそこに調査を集中させることが好ましいときに有益である。
【0058】
第四のケースでは、異なる構成は異なる検出器型に異なる変数値を適用することによって提供される。よって、中性子同時計数のコンテキストでは、異なる位置では異なる検出器設計または異なる検出器パッケージ設計を使うことができる。異なる構成は、ある検出器型にはあるゲート長の値を使い、別の検出器型には別のゲート長の値を使うことからくる。ここでもまた、結果として全体としての器具の精度の向上が得られる。
【0059】
実例A1およびA2のためのデータ生成
純粋なランダムな単発事象、二重事象および三重事象を表すデータファイルを生成した。加えて、252Cfおよび240Puの完全な多重事象の放射線も生成された。システム構成は表1にまとめてある。
【0060】
【表1】


効率および消尽時間は通常の諸システムと一貫している。不感時間をこのレベルに設定したのは、提案されている諸方法のどれかがこのパラメータに過度に敏感でないかどうかを見るためである。
【0061】
前記データファイルから多重事象レートを得たのは、実(real)計数および偶発(accidental)計数R+Aに、そして偶発事象のみの計数Aに対応するゲートの標準的な考察からである。結果の詳細を表2に示す。
【0062】
【表2】


既存の諸方法と新しい諸構成との間の適正な比較を可能にするため、このデータを二重事象および三重事象の頻度に関して規格化した。これらはゲートトリガーあたりの多重事象頻度である。表3参照。
【0063】
【表3】


実例A1
異なるゲートを使ったデータファイルを考察するために、該異なるゲートを定義し、それをデータに適用してそのゲート内にはいるイベント数を確立した。計数は頻度レジスタに蓄積される。これによりR+AのヒストグラムおよびAのヒストグラムが得られる。
【0064】
これらは個々に逆たたみ込みして多重Rベクトルを生成することもできる一方、この例では、R+Aヒストグラムのセットはゲート応答確率分布頻度を時間の関数として与える単一の方程式を使ってモデル化される。二重事象については、消尽時間がτであるとすると、時刻tでのR+Aイベントの測定されたpdfすなわちfRAは確率項fR(t)とfAの加算としてモデル化される:
【0065】
【数2】


項fR(0)およびfAは回帰分析によって得られる。
【0066】
実例A2
パルスが検出されるときに時刻がタイムスタンプ器によって記録される。この時刻の記録から、相続くパルスのタイムスタンプ値の差を得て、観測された時間のヒストグラムまたはその他の分布指標を与えることが可能である。分布を時間ビンに分解する仕方はありとあらゆる変形が可能である。中性子イベントの分布についてのより詳細な情報がこうして提供される。同じ概念はさまざまな多重レベル、二重事象、三重事象などにも拡張できる。
【0067】
多重度n=0,...,Nについて単位時間ビンtに蓄積された実イベント+偶発イベント(R+A)の頻度(frequency)ヒストグラムfRAは、記録された待ち時間(time)の頻度分布fTIA(総和が1になるよう規格化されている)から次式に従って導出される:
【0068】
【数3】


ここで、fTIAs,nは後続n番目の多重イベントについての待ち時間sの規格化された頻度(確率)である。
【0069】
この区間法の詳細な性質のため、測定されたロッシ(Rossi)アルファ・プロファイルを逆たたみ込みしてそれによりナチュラルシステムの消尽時間よりもよい時間解像度を得ることが可能である。
【0070】
消尽時間(解像度)tの方法を使って蓄積されたfRAヒストグラムの逆たたみ込みfRA′は、それぞれの変換に分け、その結果の逆変換をとることによって得られる。このプロセスに関連したノイズを抑制するため、追加的なフィルタ、可能性としてはワイナー(Weinter)型のフィルタを含めることが可能である。これはパワースペクトルから得るか、あるいは推定することができる。
【0071】
【数4】


ここで、
FFTは有限フーリエ変換(Finite Fourier Transform)、
IFFTはその逆(inverse)変換、
Φはワイナーフィルタである。
【0072】
実例A1およびA2の既存の手法に対する結果
異なる時間期間の多重ゲートを適用することによって――実例A1――、そして多重度区間を適用することによって――実例A2――得られる結果を既存の手法と比較するのが表4である。
【0073】
【表4】


特に場合3、4、5に関しては多重ゲート法と多重度区間法は著しい改良を表している。それ以外の場合にはパフォーマンスは従来技術と同程度またはそれに近い。
【実施例1】
【0074】
例B
このアプローチは、前に用いたのとは根本的に異なる方法で表された信号を考察する。信号についての時間を考察する代わりに、その情報はデータセットを信号の周波数を表すデータに変換するために使われる。情報をこのようにして扱うことにより、データの時間表現からは明白でない特徴を見きわめ、利用することができるようになる。該特徴はプラント運転、ドラム回転などについての有用な情報を一つのスケールで、そして短い時間スケールでさまざまな核物理過程についての指標を提供することができる。
【0075】
その原理は、上記の実例A1および実例A2に与えられたのと同じ型の生成データを使用する実例B1において下記で例証される。
【0076】
実例B2の例証では、診断のコンテキストにおけるアプローチの適用が示される。
【0077】
実例B1
信号の時間領域から周波数領域への変換は、信号のさまざまな部分の間の自己相関および相互相関といった、他の方法では見えないある種の特徴を抽出することを可能にする。より長い時間スケール(約1〜10s)では、コヒーレントな信号源としては、処理運転、廃棄物ドラムの回転などが含まれうる。より短い時間スケール(約10〜100μs)では、コヒーレンスのある信号源としては、増倍または反応炉ノイズ効果が含まれうる。大きなデータセットからコヒーレントな信号を抽出することはフーリエ変換によって達成される。相関およびパワースペクトルの決定についての諸解析方法も可能性である。自己相関は、観測された信号がランダムでない時を識別し、根底にある信号の形を示すことになる。スペクトル解析は当該信号中に存在するさまざまな周波数成分を定量化することになる。たとえば実信号SのパワースペクトルPおよび自己相関Rは

P(S):=(|FFT(S)|)2
R(S):=IFFT(P(S))
によって与えられる。ここで、IFFTは逆変換である。

実例B2
データセットに変換を適用することの有用性は、図1のa、b、cを参照して、また図2のa、b、cを参照して例解される。
【0078】
図1のaは0.01sのビンに区分けされたデータセットを示している。図1のbは0から50秒の遅延についてプロットした自己相関関数を示している。図1のcはパワースペクトルを示している。データセットのこれらの提示からは何らの傾向もすぐ明白にはなってこない。しかし、周期2π秒の正弦波因子を用いた変調を適用することで結果が改善される。図2のaの場合には、この結果は図1のaと区別できず、何らの恩恵も明白ではない。しかし、図2のbおよびcのプロットでは、その因子により図1のbやcからは認識できなかった情報をあらわにすることが可能になるという効果が現れている。正弦波変動は図2のbの自己相関関数プロットでは今や容易に見て取れ、図2のcのパワースペクトルのプロットからは周波数およびパワーを導き出すことが可能である。このようなデータセットは回転ドラムから生じうるものであるが、変換によって根底にある有意なパターンがあらわにされるのである。そのパターンは、ドラム中でのソースが不均一な分布――この場合、回転とともに有意な変動がある――であるか均一な分布――この場合、回転の間有意な変動がない――であるかの指標となりうる。
【0079】
この型の変換は、診断の際に根底にある重要なパターンをあらわにするのに用いることもできる。
【実施例2】
【0080】
例C
時間および/または位置特異的な情報を有することは、履歴情報を考察することによって一連の有用なさらなる情報および指標を抽出することが可能であるということを意味している。この領域における考察は、上記の例Bで言及した種類の変換によって補佐されることもできる。
【0081】
この手法の恩恵は、問題となっている数が時間とともにどう変動するかを考察することが可能であるということである。そのような問題には、崩壊の時間変動、バックグラウンド信号の時間変動および/または程度などが含まれる。そのような考察は、データおよび/または傾向のモニタリングについて異なるアルゴリズムの比較を実行し、標準化問題のコンテキストで重要になりうる。変動はかなり短い時間スケールのこともあれば、数日/数週間にわたることもある。たとえば、本手法は、検出器のパフォーマンスの変動および/またはプラント変動を考察するために使うことができる。
【実施例3】
【0082】
例D
既存の手法では、器具が関わる信号に対しては単一の補正因子が適用される。本手法で信号を生じている特定の検出器についての情報は、特定チャネルの補正因子の適用を許容する。
【0083】
したがって、中性子同時計数のコンテキストでは、個別の検出器に対して個別の補正を適用することが可能である。これは計数履歴、よってその検出器の不感時間履歴の考察に基づくものであることができる。高多重度を効率的に考察する際には精確な不感時間補正が重要なので、これには格別の用途がある。
【0084】
考察されている物質の移動などのために信号が時間的に変動するこの手法のある拡張では、やはり時間変動する補正因子を適用することができる。回転するドラム上での中性子同時計数については、不感時間の変動は回転にリンクしており、よって適用される補正もその回転と同期させることができる。よって、不感時間補正の非線形な性質を承認することができ、より精確な補正を適用することができる。
【実施例4】
【0085】
例E
既知の位置にある検出器からの信号の考察は、環境中での放射性物質の位置および活性ならびに全物質測定量を決定するのに有用である。
【0086】
そのような手法は、物質を扱うプラント全体またはその一部をモニタリングするために使うことができる。これは、下記の実例E1で議論するように、プラントまたは区域モニタリングにおいて恩恵をもたらす。
【0087】
さらに、受動中性子計数システムでのそのような信号の使用は可能性としては、ドラム内での放射源の空間的な分布についての情報を提供するのに使うことができる。中性子計数時刻の情報は、ターンテーブル回転センサーの出力によるドラム回転についての情報とともに考察される。線源の中性子信号は信号中の正弦波変動として現れるはずである(上記実例B2参照)。この変動の解析を使って、ドラム中の放射源についての線源分布の示唆を得ることができる。
【0088】
本発明は、器具によって検出される信号の考察に対してより一般化された手法を適用する可能性をもたらす。ここでもまた中性子同時計数が使われる。検出されたある中性子同時イベントについて検出器アドレスは既知である。関係する諸検出器についての空間的応答関数も既知である。組み合わされたデータから、その中性子の起源についての確率マップが生成できる。多数の中性子のそれぞれについてこれを行い、結果を組み合わせることによって、環境内での線源分布が得られる。次いでこの特定の分布に対する当該検出器アレイの計数効率を使うことでサンプル結果における物質の質量に到達できるのであるが、これは以前に使われていた、線源の想定される位置に関わりないグローバルな数値を使用する場合と比べ、重要な改善をもってできる。この原理は下記の実例E2においてより詳細に例証される。

実例E1
プラントを考察するとき、諸検出器は、プラントの物質について、および/またはプラント内でのそのような物質の移動についての情報を与えるよう、選択された位置に位置されることができる。これは検出される計数の時間変化に基づく。たとえば第一の検出器Xが処理ユニットBにはいっていく処理ストリームA上に位置していることができる。さらなる検出器YおよびZはそれぞれ処理ユニットBから出てくる処理ストリームCおよびD上に提供されることができる。時刻情報をもつ計数が考察されるとき、検出器Xを過ぎる物質のバッチの通過は、物質が通過する際のあるレベルからの上昇、続いて物質が通過した後でのそのレベルへの復帰を与える。同様の状況が処理後に検出器YおよびZについても起こる。YおよびZについての上昇の相対レベルが分離についての情報を与えることができる。前記相対レベルは、YとZの情報がXの情報と釣り合わないところでは処理ユニットBにおける物質の保持を示すこともできる。

実例E2
本手法を使って、いくつかの中性子検出器の間に配される廃棄物箱が考察される。この特定の例ではそれぞれ4つの検出器からなる6つのグループが設けられるが、異なるグループ数やそれらのグループ中での異なる検出器数の場合であっても同じ原理が適用可能である。
【0089】
既存の固定手法を使うと、測定可能量の数は31の計数レートに限定される――6つの検出器ユニット×それぞれの4つの検出器の個別の計数レート、+6つの検出器ユニットのユニット計数レート、+1つの全体的なシステムのシステム計数レートである。この結果、環境中で空間位置が決定できる離散放出源の数は理論上7つ、実際上は2ないし3に限定される。
【0090】
新しい手法のもとでは、可能な各検出器はそれぞれ別の検出器と対をなし、よって対についての288の可能な計数レートおよび1700万までの相異なる構成が与えられる。検出器の対すべてが有用なわけではないながら、追加的データはこの上なく有用である。データレベルは中性子分布の離散表現を連続表現で置き換えるに十分な高さであることさえありうるのである。
【実施例5】
【0091】
例F
中性子計数に基づく技術のコンテキストでは特に、宇宙線イベントが精度に影響することが知られている。その影響は器具によって差がある可能性もあるが、標高の高いところで運用され、結果として大気による遮蔽が減少するあらゆる器具についてより重要である。
【0092】
現在のところ、モニタリングされた計数はブロック/セグメント単位で考察され、多重度の高いブロック/セグメントは完全に破棄される。
【0093】
本発明では、相関のある中性子のグループは、宇宙線イベントから生じる多重事象がリアルタイムで破棄されるので、タイムスタンプデータのおかげで生起する際に考察できる。
【実施例6】
【0094】
例G
いかなる新しい器具設計についても基本的な手法の検証、ハードウェア動作およびソフトウェア動作がキーとなる側面である。これらは当該器具ができる限り精確であることを保証するのみならず、制御者たちに当該手法の有効性を確信させるためにも重要である。新しいチェックは制御者によって定期的に要求される。器具が遭遇することになる放出の型およびシーケンスをシミュレートする試みもなされてきたが、プロセスの統計(ランダム性および時間区間)はシミュレートするのが難しい。検証はしばしば実際の測定において、ただしソースの位置、活性などは既知として器具を試用することによって実行される。そのような検証および較正目的に使われる同様の手続きは実行に時間がかかる。
【0095】
信号上に保持される時間およびシーケンス情報のおかげで、履歴データを、検証および/または較正プロセスに対する入力データとして使うことができる。本手法はまた、不感時間から生じる特性が器具に提示されることを許容し、あるいはまたそのようにして不感時間を測定してこれに対処することをも許容する。
【0096】
追加的または代替的に、よく特性評価された線源のコンテキストでは、そのような線源について当該器具によって得られるデータのレベルがその線源の以前の特性評価からの情報と比較され、当該器具が誤信号を生じるかどうか、そして生じる場合にはその誤信号の性質および考えられる起源が確立される。結果として当該器具の応答について得られる知識が改善される。
【0097】
同様の基礎の上に、履歴情報は、現実的なデータの集まりが必要とされる開発作業および/または診断作業において補佐するために使用されうる。
【実施例7】
【0098】
例H
現在の諸器具は、ある期間内に生じる計数に基づいて多様な計算を実行する。ある値が生成され、計算は次の期間へと進んで再び始まる。しかし、本発明では全検出器についての時系列情報は既知なので、計算は、その時点に至るまでの所与の長さの期間内に生じる計数に基づいたものでありうる。よって一連の固定値ではなくローリング平均を使うことになる。結果として精度が改善される。そのような手法は本出願人のFISSTRACK(登録商標)器具のようなシステムで使われうる。
【実施例8】
【0099】
例I
いくつかの状況において、ある位置にある放射物質の存在を示すために既存の諸器具が使われる。この目的のためには特にポータルモニタが使用される。
【0100】
本発明は、得られた時間情報のおかげで、物質の移動についてより大きな情報を提供できる。よって、ポータルモニタに近づき、通過する中性子放出物質は、時間とともに増大し、ピークになり、次いで時間とともに減少する信号を生成する。物質の通過についての、およびその実際の通過の時刻における情報が得られる。一連の検出器は一緒に考察されることができ、それぞれについての信号およびピークが当該物質のそれぞれに対する通過の時間についての情報を与える。
【実施例9】
【0101】
例J
本発明が提供する追加的な情報は、能動中性子考察の領域における追加的な可能性をももたらす。
【0102】
最初の例としては、パルス状中性子発生器を使用して中性子を物品中に導入することが可能である。本発明に基づく検出器(高速および/または熱中性子の)のアレイはこうした中性子を前記物品の通過後に検出し、検出時刻についての情報を含む。中性子パルスの時刻に比べた検出時刻は、中性子の当該物品通過についての重要な情報を与える。調べられる状況の環境に依存して、測定は受動中性子検出(反応炉ノイズのような)および/または線源急動測定(source jerk measurements)によって補足されうる。
【0103】
この能動中性子手法のある拡張では、中性子パルス発生器を使って中性子を大地のような物品中に導入することが可能である。その際、反射された中性子波は、パルス発生器位置およびパルス時刻に対して既知の位置で既知の時刻に検出できる。調べられる領域内の反射層および/または物体がこうして明らかにされうる。
【0104】
空間感度のある中性子検出器の使用も可能である。発生器からの中性子パルスは検出器において到着時に検出され、中性子検出器出力の高速中性子と中性子発生器制御パルスとの同時性によって背景ノイズなどに対して弁別される。検出された情報から画像を生成するために、オンラインまたはオフラインでの断層撮影再構成アルゴリズムが使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】aは時系列を、bは自己相関を、cはパワースペクトルをそれぞれプロットした図である。
【図2】同じようにaは時系列を、bは自己相関を、cはパワースペクトルをそれぞれプロットしているが、効率50%で周期2πの正弦波変動を加えた図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線をモニタリングする方法であって:
イベントの記録を該イベントの時刻および/または該イベントを検出した検出器の指標とともに含むデータセットを取得し、
前記データセットの少なくとも一部を第一の基準のセットに従って分析して第一の分析されたデータセットを提供し、前記データセットの少なくとも一部を第二の基準のセットに従って分析して第二の分析されたデータセットを提供することを含む処理を前記データセットに対して行い、前記第二のセットのうちの一つまたは複数の基準が前記第一のセットの基準とは異なる、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基準の一つまたは複数が、あるできごとと時間期間の始まりとの間の時間、および/またはあるできごとと時間期間の終わりとの間の時間、および/または時間期間の始まりと時間期間の終わりとの間の時間であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第一の基準のセットが時間期間の始まりと時間期間の終わりとの間の第一の時間の長さを含み、前記第二の基準のセットが時間期間の始まりと時間期間の終わりとの間の第二の異なる時間の長さを含むことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記第一の時間期間がイベントの実際および偶発の同時性の目安であり、前記第二の時間期間が偶発同時性の目安であることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記時間期間内にはいるイベント数の分布が考察されることを特徴とする、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
選択された基準セットが選択されることで、偶発同時事象のみが生起する時間を除外するある長さの時間期間を与えることを特徴とする、請求項1ないし5のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
選択された基準セットが選択されることで、実際の同時事象の生起がある閾値レートより低くなるある長さの時間期間を与えることを特徴とする、請求項1ないし6のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
異なる検出器によって検出されたイベントには異なる基準のセットが適用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第一の基準のセットがある第一の型の検出器によって検出されたイベントに適用され、前記第二の基準のセットがある第二の型の検出器によって検出されたイベントに適用されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第一の基準のセットが、nを正整数として、あるイベントとnイベント後のイベントとの間の時間であり、前記第二のセットが、mをnとは異なる正整数として、あるイベントとmイベント後のイベントとの間の時間であることを特徴とする、請求項1ないし9のうちいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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