説明

モノエチレン系不飽和グリコシルアミンの製造方法

本発明は、アルデヒド糖を第一級脂肪族アミン又はアンモニアと水性媒体中で反応させ、かつ中間単離せずに一不飽和カルボン酸の無水物と反応させるか、又はアルデヒド糖をアリルアミンと直接反応させることによる、モノエチレン系不飽和グリコシルアミンの製造方法、並びにN−アシル化グリコシルアミン基を共重合して含有するポリマーの製造方法、並びに新規な不飽和N−マレイニル化グリコシルアミンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノエチレン系不飽和グリコシルアミンの製造方法並びにN−アシル化グリコシルアミン基を共重合して含有するポリマーの製造方法に関する。
【0002】
不飽和N−アシル化グリコシルアミン又はN−アリルグリコシドは多様な経路で入手可能である。不飽和N−アシル化グリコシルアミンの標的化学合成は、糖残基の高い官能性のために難しい。
【0003】
例えば、国際公開(WO)第90/10023号には、(メタ)アクリル基がアノマー位に存在するオリゴマーN−アクリロイルグリコシルアミン及びN−(メタ)アクリロイルグリコシルアミンが記載されている。製造のためには、二糖類を水中の炭酸水素アンモニウムと共に、相応するグリコシルアミンに変換する。中間単離後に、グリコシルアミンは、溶剤としてのテトラヒドロフラン中でアクリル酸塩化物でN−アシル化される。これについて詳述された方法は、6〜14日の反応時間で極めて長い。
【0004】
アクリル基の導入のために前記文献に記載されたアクリル酸塩化物は、高い塩含量を有する生成物混合物をもたらし、この塩は費用のかかる精製工程により分離されなければならない。
【0005】
本発明の課題は、技術水準の前記の欠点を少なくとも部分的に回避する、モノエチレン系不飽和グリコシルアミンの製造方法を開発することであった。この合成は特に、所望のモノエチレン系不飽和グリコシルアミンの良好な収率で選択的に、すなわちポリアミンを形成せずに、ひいては複数のラジカル重合可能な二重結合を形成せずに、費用がかからずに実施可能であるベきである。さらに、この製造方法は、良好な空時収率を有するべきである。
【0006】
前記の課題は意外なことに、処理条件の的確な選択により、特に水性媒体中での操作により、有機溶剤の相対的に低い絶対割合で(使用されるアルデヒド糖の量を基準として)解決されることができた。
【0007】
それに応じて、アルデヒド糖を第一級脂肪族アミン又はアンモニアと水性媒体中で反応させ、かつ中間単離せずに一不飽和カルボン酸の無水物と反応させるか、又はアルデヒド糖を、アリルアミンと直接反応させることによる、モノエチレン系不飽和グリコシルアミンの製造方法が見出された。さらに、本発明は、N−アシル化グリコシルアミン基を共重合して含有するポリマーの製造方法、並びに新規の不飽和N−マレイニル化グリコシルアミンに関する。
【0008】
一実施態様によれば、モノエチレン系不飽和N−アシル化グリコシルアミンの製造は二工程で行われる:アルデヒド糖を第一級脂肪族アミン又はアンモニアと反応させて相応するグリコシルアミンにし、かつ生じたN−グリコシルアミンを不飽和カルボン酸の無水物と反応させてモノエチレン系不飽和N−アシル化グリコシルアミンにすることによる。双方の処理工程は、本発明によれば連続して直接、すなわち中間単離せずに実施される。
【0009】
第二実施態様によれば、N−アリルグリコシドの製造は、アルデヒド糖を、アリルアミンと水性媒体中で直接反応させることによって行われる。
【0010】
他に記載されていない限り、本明細書の範囲内でC1〜C8−アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル、n−、s−又はt−ブチル、n−又はt−アミル、並びにn−ヘキシル、n−ヘプチル及びn−オクチル並びにそれらの一分枝又は多分枝の類似体を表す。
【0011】
アルデヒド糖は、以下に、鎖状型でアルデヒド基を有する還元糖であると理解されるべきである。本発明により使用されるアルデヒド糖は、アルデヒド基もしくはそのヘミアセタールを有する天然起源及び合成起源の鎖状もしくは環状の単糖類及びオリゴ糖類である。特に、光学的に純粋な単糖類及びオリゴ糖類の中から選択されるアルデヒド糖が好ましい。これらはまた立体異性体混合物として適している。
【0012】
単糖類は、アルドース、特にアルドペントース及び好ましくはアルドヘキソースの中から選択されている。適した単糖類は、例えばアラビノース、リボース、キシロース、マンノース及びガラクトース、特にグルコースである。前記単糖類は水溶液中で変換されるので、これらは変旋光に基づいて環状ヘミアセタール型並びにある一定量の百分率で鎖状アルデヒド型で存在する。
【0013】
好ましくは、アルデヒド糖はオリゴ糖である。オリゴ糖類は、繰返し単位2〜20個を有する化合物であると理解される。好ましいオリゴ糖は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、及び六糖類、七糖類、八糖類、九糖類及び十糖類、好ましくは繰返し単位2〜9個を有する糖類の中から選択されている。鎖内部の結合は、1,4−グリコシド及び場合により1,6−グリコシドで行われる。アルデヒド糖類は、オリゴマーアルデヒド糖類である場合にも、1分子あたり1個の還元性基を有する。
【0014】
好ましくは、アルデヒド糖類(サッカリド類)として、一般式I
【化1】

[式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8の数を表す]で示される化合物が使用される。
【0015】
nが1〜8の整数を表すオリゴ糖類が特に好ましい。その際に、定義された数の繰返し単位を有するオリゴ糖類を使用することは可能である。例示的に、オリゴ糖類としてラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース及びマルトペンタオースを挙げることができる。
【0016】
好ましくは、混合物は、異なる数の繰返し単位を有するオリゴ糖類から選択されている。この種の混合物は、多糖、好ましくはセルロース又はデンプンの加水分解、例えばセルロース又はデンプンの酵素的な加水分解又は酸により触媒された加水分解により得られる。植物性デンプンは、デンプンの主成分としてアミロース及びアミロペクチンからなる。アミロースは、互いに1,4−グリコシド結合されているグルコース分子の主に非分枝鎖からなる。アミロペクチンは、1,4−グリコシド結合に加えて、付加的に分枝をもたらす1,6−グリコシド結合を与える分枝鎖からなる。本発明によれば、本発明による方法のための出発化合物としてアミロペクチンの加水分解生成物も適しており、かつオリゴ糖類の定義により含まれている。
【0017】
本発明によれば適した第一級脂肪族アミンは、線状又は分枝鎖状であってよい。本発明の範囲内の第一級脂肪族アミンは、脂肪族モノアミン、好ましくは第一級アミノ基1個を有する飽和モノアミンである。飽和脂肪族基は、通例、好ましくは炭素原子1〜8個を有するアルキル基であり、前記基は酸素原子により中断されていてよく、かつ場合により1個又は2個のカルボキシル基、ヒドロキシル基及び/又はカルボキサミド基を有していてよい。
【0018】
本発明によれば適した、ヒドロキシル、カルボキシル又はカルボキサミドで置換されている第一級脂肪族アミンとして、アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、及びアミノ酸、例えばグリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸及びグルタミン酸を挙げることができる。
【0019】
本発明によれば適した、アルキレン基が酸素で中断されている第一級脂肪族アミンは、好ましくは3−メトキシ−プロピルアミン、2−エトキシ−エチルアミン、及び3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンである。
【0020】
好ましくは、第一級脂肪族アミンとしてC1〜C8−アルキルアミン、特にC1〜C4−アルキルアミン、例えばエチルアミン、1−アミノ−プロパン、2−アミノ−プロパン、1−アミノ−ブタン、2−アミノ−ブタン、特にメチルアミンが使用される。
【0021】
好ましくは、第一級脂肪族アミンは、メチルアミン及びエタノールアミンの中から選択されている。さらに、アンモニアとの前記反応もしくはアンモニアと第一級脂肪族アミンとの混合物との前記反応が好ましい。
【0022】
本発明により使用される一不飽和カルボン酸の無水物(以下に"無水物"とも呼ばれる)は、好ましくは、アクリル酸無水物、C1〜C6−アルキル置換アクリル酸の無水物、イタコン酸無水物並びに無水マレイン酸の中から選択されている。好ましくは、これらはメタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、イタコン酸無水物及び無水マレイン酸の中から選択される。
【0023】
無水マレイン酸との反応により得られるモノエチレン系不飽和N−マレイニル化グリコシルアミンは、新規であり、かつ同様に本発明の対象である。
【0024】
新規のモノエチレン系不飽和N−マレイニル化グリコシルアミンは、一般式II
【化2】

[式中、
Zは、アルデヒド糖の残基を表し、その結合はアノマー炭素を介して行われ、すなわちN−グリコシド結合であり、
1は、水素又はC1〜C8−アルキルを表し、前記アルキルは中断されていないか又は酸素原子により中断されており、及び/又は1個又は2個のカルボキシル基、ヒドロキシル基及び/又はカルボキサミド基を有するか又は有しない]に従う。
【0025】
好ましくは、Zは、水素又はC1〜C4−アルキル、特にメチル、又はC1〜C4−ヒドロキシアルキルを表す。
【0026】
好ましくは、Zは、一般式III
【化3】

[式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8の数を表す]で示される基である。
【0027】
モノエチレン系不飽和グリコシルアミンへの反応は、水性媒体中で行われる。水性媒体は、その際に、水並びに水と混合物を基準として50質量%までの少なくとも1種の有機溶剤との混合物であると理解されるべきである。適した有機溶剤は、少なくとも部分的に、特に20℃で完全に水と混和性であるものである。これは、20℃で水中への少なくとも50質量%の溶剤の混和性であると理解される。適した有機溶剤は、C1〜C3−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、C2〜C6−アルキレン単位を有するモノアルキレングリコール、オリゴアルキレングリコール又はポリアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、多価アルコールのC1〜C4−アルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル又はエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル、多価アルコールのC1〜C4−アルキルエステル、グリセリン、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド又はテトラヒドロフランである。好ましい有機溶剤はアセトン、メタノール、エタノール及びテトラヒドロフランである。
【0028】
アルデヒド糖の濃度は、水性媒体を基準として通例10〜40質量%である。
【0029】
本発明によれば、第一級脂肪族アミン対アルデヒド糖のモル比は、幅広い範囲内にわたっていてよく、好ましくは5:1〜0.5:1、特に3:1〜0.8:1の比で変動してよい。特に好ましくは、第一級脂肪族アミン対アルデヒド糖のモル比は、2:1〜1:1である。
【0030】
アルデヒド糖の場合に、モル比は、前記分子の数ではなくて、還元末端(アルデヒド基)の数を基準としている。このことは、アルデヒド糖1モルが6.02217×1023個の還元末端を有するアルデヒド糖の量であることを意味する。
【0031】
本発明によれば、無水物対第一級脂肪族アミンのモル比は、2:1〜0.8:1の範囲内、好ましくは1.2:1〜0.9:1の範囲内、特に好ましくは1.1:1〜0.95:1の範囲内にわたっていてよい。
【0032】
前記反応は、連続的に、例えば管形反応器中又は撹拌反応器カスケード中で、又は不連続に行われることができる。
【0033】
前記反応は、そのような反応に適した全ての反応器中で実施されることができる。そのような反応器は当業者に知られている。好ましくは前記反応は撹拌釜反応器中で行われる。
【0034】
反応バッチの混合のために、任意の方法が使用されることができる。特殊な撹拌装置は不要である。反応媒体は一相であり、かつ反応物はその中に溶解されるか、懸濁されるか、又は乳化される。温度は、反応中に所望の値に調節され、かつ所望の場合には、反応過程中に高めてよく、又は低下してよい。
【0035】
本発明による反応操作の場合に、反応混合物に、いずれにせよ通例無水物中に含まれる貯蔵安定剤に加えて、付加的な安定剤、例えばヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、フェノール類、例えば2−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチル−フェノール又はN−オキシル、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル又はBASF SE製のUvinul(登録商標) 4040P又はアミン、例えばBASF SE製のKerobit(登録商標) BPD(N,N′−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン)が、例えば全バッチを基準として0.5〜100ppmの量で、添加されることができる。
【0036】
有利に、前記反応は酸素含有ガス、好ましくは空気又は空気−窒素−混合物の存在で実施される。
【0037】
第一級脂肪族アミンとアルデヒド糖との反応の際に、温度は、0℃〜90℃の範囲内、好ましくは15℃〜40℃の範囲内であってよい。反応期間は、通常約1〜24時間の範囲内、好ましくは2〜6時間の範囲内である。
【0038】
無水物との反応の際に、温度は−5℃〜40℃の範囲内、好ましくは−1℃〜25℃の範囲内であってよい。反応期間は通常約5〜40時間の範囲内、好ましくは10〜20時間の範囲内である。
【0039】
場合によりアミド形成の際に無水物から別の生成物として生じる酸、例えばアクリル酸無水物の場合のアクリル酸が、又はメタクリル酸無水物の場合のメタクリル酸が、適した方法で反応平衡から連続的に又は徐々に除去されることができる。このためには、好ましくはモレキュラーシーブ(例えば約3〜10Åの範囲内の孔径)が、又は蒸留によるか又は適した半透膜を用いる分離が、適している。しかしながら、これらは除去するのではなく、コモノマーとして直接、重合に併用することが有利である。
【0040】
反応の終了後に、所望の一不飽和N−アシル化グリコシルアミン又はN−アリルグリコシドを、必要な場合には有機溶剤から、例えばクロマトグラフィーにより、分離し、精製し、ついで所望のポリマーの製造に使用することができる。しかしながら通例、さらに反応させる前に有機希釈剤を、例えば蒸留により分離することで十分に間に合う。
【0041】
本発明による方法は、低い割合の有機溶剤により特徴付けられる。こうして、さらに反応させる前に費用のかかる単離方法が回避されることができる。むしろ、得られた反応混合物を直接、さらに重合に使用することが可能である。本発明による方法は、"ワンポット法"として良好な空時収率を有し、かつ費用がかからずに実施可能である。
【0042】
本発明のさらなる対象は、N−アシル化グリコシルアミン基を共重合して含有するポリマーの製造方法に関するものであり、前記方法は本発明による方法によりモノエチレン系不飽和N−アシル化グリコシルアミンを用意すること、引き続きコモノマーの添加後に又は添加せずにラジカル重合することを含む。
【0043】
適した別のコモノマーは次のものである:本発明により製造される他の不飽和N−アシル化グリコシルアミン又はN−アリルグリコシド又は重合可能な非糖モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、それらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩及びそれらのエステル、C1〜C25−カルボン酸のO−ビニルエステル、C1〜C25−カルボン酸のN−ビニル−アミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−オキサゾリドン、N−ビニルイミダゾール、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、スチレン。適したC1〜C25−カルボン酸の例は、飽和酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸及びn−酪酸及びイソ酪酸、n−吉草酸及びイソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸及びメリシン酸である。
【0044】
そのようなポリマーの製造は、例えば、"Ullmann′s Enzyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, 2000, Electronic Release, 見出語:Polymerisation Process"に一般的に記載された方法と同様にして行われる。好ましくは、(共)重合はラジカル重合として、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合又は乳化重合の形態で又はバルク重合により、すなわち溶剤なしで行われる。
【0045】
本発明は目下、次の例に基づいてより詳細に説明される:
【実施例】
【0046】
例1
N−メチル−メタクリルアミド−デンプン
酵素的に部分加水分解されたデンプン(254g、水系GPCによる平均モル質量 1000ダルトン、主成分(30%) マルトペンタオース)の水溶液1.52kg(固体含量18%)を、25℃で撹拌しながら一滴ずつ、メチルアミン水溶液42.0g(40%)と混合した。2時間後に、TEMPOL(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシド、1ppm)を添加し、この溶液を0℃に冷却する。アセトン(900g)中のメタクリル酸無水物(88.7g)の溶液を、ゆっくりとこの温度で滴加し、反応混合物を25℃に加温し、さらに12時間撹拌する。生成物の化学構造を、1H−及び13C−NMR分光法を用いて求めた。これはモル比1:1のN−メチル−メタクリルアミド−デンプン及びメタクリル酸の混合物である。
【0047】
例2
N−メチル−マレイン酸モノアミド−デンプン
酵素的に部分加水分解されたデンプン(77.4g、水系GPCによる平均モル質量 1000ダルトン、主成分(30%) マルトペンタオース)の水溶液430g(固体含量18%)を、25℃で撹拌しながら一滴ずつ、メチルアミン水溶液10.0g(40%)と混合した。4時間後に、メタノール(50g)中のマレイン酸塩化物(8.53g)の溶液をゆっくりと滴加し、反応混合物を25℃でさらに12時間撹拌する。生成物の化学構造を、1H−及び13C−NMR分光法を用いて求めた。
【0048】
例3
N−アリルアミノ−デンプン
酵素的に部分加水分解されたデンプン(50.6g、水系GPCによる平均モル質量 1000ダルトン、主成分(30%) マルトペンタオース)の水溶液280g(固体含量18%)を、25℃で撹拌しながら一滴ずつ、アリルアミン5.40gと混合し、反応混合物を25℃で12時間撹拌した。生成物の化学構造を、1H−及び13C−NMR分光法を用いて求めた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノエチレン系不飽和グリコシルアミンの製造方法であって、
アルデヒド糖を、第一級脂肪族アミン又はアンモニアと水性媒体中で反応させ、かつ中間単離せずに一不飽和カルボン酸の無水物と反応させるか、又はアルデヒド糖を、アリルアミンと直接反応させることを特徴とする、モノエチレン系不飽和グリコシルアミンの製造方法。
【請求項2】
アルデヒド糖がアルドヘキソースである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
アルデヒド糖がオリゴ糖である、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
アルデヒド糖が、多糖の加水分解により得られたものである、請求項1から3までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
アルデヒド糖が、セルロース又はデンプンの加水分解により得られたものである、請求項1から3までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
アルデヒド糖が、式I
【化1】

[式中、nは0、1、2、3、4、5、6、7、又は8の数を表す]で示される化合物である、請求項1から4までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
一不飽和カルボン酸の無水物が、アクリル酸無水物、C1〜C6−アルキル置換アクリル酸の無水物、イタコン酸無水物及び無水マレイン酸の中から選択されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法により得られるモノエチレン系不飽和N−マレイニル化グリコシルアミン。
【請求項9】
一般式II
【化2】

[式中、
Zは、アルデヒド糖の残基を表し、その結合はアノマー炭素を介して行われ、
1は、水素又はC1〜C8−アルキルを表し、前記アルキルは場合により酸素原子により中断されており、及び/又は場合により1個又は2個のカルボキシル基、ヒドロキシル基及び/又はカルボキサミド基を有する]で示されるモノエチレン系不飽和N−マレイニル化グリコシルアミン。
【請求項10】
N−アシル化グリコシルアミン基を共重合して含有するポリマーの製造方法であって、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法によりモノエチレン系不飽和N−アシル化グリコシルアミンを用意し、引き続き、場合によりコモノマーを添加した後に、ラジカル重合することを特徴とする、N−アシル化グリコシルアミン基を共重合して含有するポリマーの製造方法。

【公表番号】特表2012−524131(P2012−524131A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505113(P2012−505113)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054211
【国際公開番号】WO2010/118951
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】