説明

モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー

本発明は生体適合性メディカルデバイスの製造に有用なポリマー組成物に関する。より詳細には、本発明は、重合して、眼科デバイスの製造に有用な望ましい物理特性を有するポリマー組成物を形成することができる、特定のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先願に対する優先権主張
本願は2009年7月9日に出願された米国特許出願第12/499,854号の一部継続出願であり、その内容を参照により本明細書中に取り込む。
【0002】
分野
本発明は生体適合性メディカルデバイスの製造において有用な新規のモノマーに関する。より詳細には、本発明は、重合して、眼科デバイスの製造において有用な望ましい物理特性を有するポリマー組成物を形成することができるモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーをベースとする特定のモノマーに関する。このような特性としては、低い弾性率、改良された潤滑性及び改良された加水分解安定性が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
背景及び要旨
バイオメディカルデバイスを含む各種物品は有機ケイ素含有材料から形成されている。ソフトコンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスに有用な1つのクラスの有機ケイ素含有材料はシリコーン含有ヒドロゲル材料である。ヒドロゲルは、水和された架橋されたポリマー系であって、平衡状態で水を含有する系である。ヒドロゲルコンタクトレンズは比較的に高い酸素透過性を、望ましい生体適合性及び快適性とともに提供する。ヒドロゲル製剤中にシリコーン含有材料を導入することで、一般に、より高い酸素透過性が付与される。というのは、シリコーンをベースとする材料は水よりも高い酸素透過性を有するからである。
【0004】
コンタクトレンズを含むバイオメディカルデバイスに有用な有機ケイ素含有材料は下記の米国特許:米国特許第4,208,506号明細書(Deichertら); 米国特許第4,686,267号明細書 (Ellisら);米国特許第5,034,461号明細書 (Laiら);及び米国特許第5,070,215号明細書 (Bamburyら)に開示されている。
【0005】
米国特許第5,358,995号明細書及び同第5,387,632号明細書は、シリコーンマクロマー、TRIS、n−ビニルピロリドン(NVP)及びDMAの様々な組み合わせから製造されるヒドロゲルを記載している。実質的な部分のシリコーンマクロマーをTRISで置き換えることにより、得られるヒドロゲルの弾性率が低減された。同一の筆者の2つの刊行物"The Role of Bulky Polysiloxanylalkyl Methacrylates in Polyurethane-Polysiloxane Hydrogels", J. Appl. Poly. Sci.. Vol. 60, 1193-1199 (1996)及び"The Role of Bulky Polysiloxanylalkyl Methacrylates in Oxygen-Permeable Hydrogel Materials", J. Appl. Poly. Sci., Vol. 56, 317-324 (1995)も、シリコーンマクロマー及びDMAなどの親水性モノマーの反応混合物から製造されるヒドロゲルの弾性率が添加されるTRISとともに低下するということを示す実験結果を記載している。メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)の添加がこのようなヒドロゲルの弾性率を低減しているが、多くの実施例では、弾性率は所望されうるよりも依然として高い。
【発明の概要】
【0006】
米国特許第4,208,506号明細書は活性化不飽和基によりキャッピングされたモノマー系ポリパラフィンシロキサンならびにそのポリマー及びコポリマーを記載している。米国特許第4,208,506号明細書のモノマーは架橋剤である。しかしながら、ソフトコンタクトレンズを製造するために十分にソフトであるシリコーンヒドロゲルであって、高い酸素透過性、適切な含水率及び十分な弾力性を有し、そしてコンタクトレンズ装着者に快適であるシリコーンヒドロゲルを提供するための新規のモノマーが当該技術分野においてなおも要求されている。
【0007】
図面の簡単な説明
なし
【0008】
詳細な説明
別段明確に記述しないかぎり、モノマーミックスを形成するのに使用されるすべての材料は質量基準として示す。また、別段明確に記述しないかぎり、本明細書中に開示されるモノマー及びモノマーミックスを製造するために使用される材料のすべての量は、本明細書中に開示されるモノマー及びモノマーミックスの実験的又は商業的製造において通常に経験するような質量値の正規分布の統計的平均を表すものと理解されるであろう。それゆえ、別段明確に記述しないかぎり、すべての数値は用語「約」により修飾されているものとして理解されるべきである。
【0009】
本明細書中に使用されるときに、表現「ポリカルボシロキサンモノマー」又は「EDS」は少なくとも1つの−[シリル−アルキル−シロキサニル]−基を有するモノマーを指す。−[シリル−アルキル−シロキサニル]−基は置換基を有することができるいかなる原子においても置換されていてよく、そして−[シリル−アルキル−シロキサニル]−基は繰り返し基であってよい。−[シリル−アルキル−シロキサニル]−基のアルキル部分はシリル基とシロキサニル基との間の結合基であり、そして好ましくは2〜7個の炭素原子の長さである。
【0010】
本明細書中に使用される用語「モノマー」は、重合可能な各種分子量の化合物(すなわち、通常、数平均分子量が約300〜約100,000である)を指し、また、さらに重合することができる官能基を含む、時折、マクロモノマーと呼ばれる中程度の分子量から高分子量の化合物又はポリマー(すなわち、通常、数平均分子量が600を超える)を指す。このように、用語「有機ケイ素含有モノマー」、「シリコーン含有モノマー」及び「親水性モノマー」としては、モノマー、マクロモノマー及びプレポリマーが含まれることが理解される。プレポリマーは部分的に重合したモノマー又はさらなる重合が可能なモノマーである。
【0011】
「有機ケイ素含有モノマー」はモノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1つの[シロキサニル]又は少なくとも1つの[シリル−アルキル−シロキサニル]繰り返し単位を含む。好ましくは、Si及び結合しているOの総計は有機ケイ素含有モノマーの合計分子量の5質量%を超え、より好ましくは30質量%を超える量で有機ケイ素含有モノマー中に存在する。「シリコーン含有モノマー」はモノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1つの[シロキサニル]繰り返し単位を含むものである。
【0012】
第一の態様において、本発明は式(I)
【化1】

【0013】
(上式中、Xは開環剤又はキャッピング剤の残基であり、Lは同一であるか又は異なり、結合基又は結合であり、Vはエチレン系不飽和重合性基であり、R、R、R、R、R、Rは独立にH、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル又は芳香族であり、R及びRは、存在する場合には、独立にH又はアルキルであり、ここで、R又はRの少なくとも1つは水素であり、yは2〜7であり、そしてnは1〜100である)のモノマーに関する。
【0014】
開環剤は文献にてよく知られている。アニオン性開環剤の非限定的な例としては、アルキルリチウム、アルコキシド、トリアルキルシロキシリチウムが挙げられ、ここで、アルキル基はハロ原子を含んでも又は含まなくてもよい。
【0015】
キャッピング剤は文献にてよく知られている。キャッピング剤の非限定的な例としては、3−メタクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン、クロロジメチルシラン及びブロモジメチルシランが挙げられる。
【0016】
結合基は任意の二価基又は二価部分であってよく、そして置換もしくは未置換アルキル、アルキルエーテル、アルケニル、アルケニルエーテル、ハロアルキル、置換もしくは未置換シロキサン及び開環を伝播することができるモノマーが挙げられる。
【0017】
エチレン系不飽和重合性基は当業者によく知られている。エチレン系不飽和重合性基の非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、ビニルカーボネート、O−ビニルカルバメート、N−ビニルカルバメート、アクリルアミド及びメタクリルアミドが挙げられる。
【0018】
本発明のモノマーの追加の好ましい実施形態としては、式(II)
【化2】

【0019】
(上式中、Lは同一であるか又は異なり、結合基又は結合であり、Vはエチレン系不飽和重合性基であり、R、R、R、R、R、R及びRは独立にH、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル又は芳香族であり、R及びRは、存在する場合には、独立にH又はアルキルであり、ここで、R又はRの少なくとも1つは水素であり、yは2〜7であり、そしてnは1〜100である)のモノマーが挙げられる。
【0020】
本発明のモノマーの追加の好ましい実施形態としては、下記式III及びIV
【0021】
【化3】

【0022】
(上式中、R、R10及びR11は独立にH、アルキル、ハロアルキル又は他の置換アルキル基であり、nは上記に規定されるとおりであり、nは0〜10である)及び
【0023】
【化4】

【0024】
(上式中、nは1〜100であり、好ましくはnは2〜80であり、より好ましくはnは2〜30であり、最も好ましくはnは5〜15である)のモノマーが挙げられる。
【0025】
本発明のモノマーの追加の好ましい実施形態としては、下記式V〜IX
【0026】
【化5】

のモノマーが挙げられる。
【0027】
本発明のモノマーの追加の好ましい実施形態としては、下記式X〜XII
【0028】
【化6】

【0029】
(上式中、R、R10及びR11は独立にH、アルキル、ハロアルキル又は他の置換アルキル基であり、n及びnは上記に規定されるとおりである)のモノマーが挙げられる。
【0030】
本発明のモノマーの追加の好ましい実施形態としては、下記式XIII〜XV
【0031】
【化7】

【0032】
(上式中、nは上記に規定されるとおりであり、Xは全体として中性電荷を提供するための対イオンである)のモノマーが挙げられる。
【0033】
全体として中性電荷を提供することができる対イオンは当業者によく知られており、たとえば、ハロゲン化物及びホウ酸イオンが挙げられる。
【0034】
本発明のモノマーの追加の好ましい実施形態としては、下記式XVIのモノマーが挙げられる。
【化8】

【0035】
式Iのモノマーは種々の合成方法により調製でき、たとえば、下記のように調製できる。
【0036】
【化9】

【0037】
式IIのモノマーは種々の合成方法により調製でき、たとえば、例6に示すとおりに調製できる。
【0038】
なおも別の態様において、本発明は、単独又は組み合わせとして、式I〜XVIの任意のモノマーを含むデバイス形成性モノマー混合物から形成される物品を含む。好ましい実施形態によると、その物品は、式I〜XVIの上記の少なくとも1種のモノマー及び少なくとも1種の第二の共重合可能なモノマーを含む混合物の重合生成物である。本発明は、目の上又は目の中への移植のための剛性もしくは柔軟性眼科材料のいずれかである、種々のポリマー材料に応用可能である。特に好ましいポリマー材料はコンタクトレンズ、有水晶体もしくは無水晶体眼内レンズ及び角膜インプラントを含む眼科レンズであるが、生体材料を含むすべてのポリマー材料が本発明の範囲内において考えられる。好ましい物品は光学的に透明であり、そしてコンタクトレンズとして有用である。
【0039】
本発明のモノマーミックスは、また、人工心臓弁、レンズ旋盤加工用ボタン、フィルム、外科用デバイス、血管代替物、子宮内デバイス、メンブレン、ダイアフラム、外科インプラント、人工血管、人工尿管、人工乳房組織及び、身体外で体液と接触することが意図されたメンブレン、たとえば、腎臓透析及び心/肺機械用メンブレンなど、カテーテル、マウスガード、義歯ライナー、眼科デバイス、特にヒドロゲルコンタクトレンズなどのメディカルデバイスを提供する。
【0040】
上記に示すとおり、別段明確に記述しないかぎり、本明細書中に開示されるモノマー及びモノマーミックスを製造するために使用される材料のすべての量は本明細書中に開示されるモノマー及びモノマーミックスの実験的又は商業的製造において通常に経験するとおりの質量値の正規分布の統計的平均であることが理解されるであろう。それゆえ、別段明確に記述しないかぎり、すべての数値は用語「約」により修飾されているものとして理解されるべきである。
【0041】
本発明のモノマーのモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーの有用な濃度はモノマーミックスの0.1〜30質量%である。より好ましい濃度は0.1〜20質量%である。さらにより好ましい濃度は5〜15質量%である。
【0042】
モノマーミックスの好ましい組成物は親水性モノマー及び疎水性モノマーを有する。特定の用途によって、これらの材料から製造される有用な物品は、追加の(主題のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー以外の)疎水性であって、シリコーンを含有しうるモノマーを要求することがある。これらの追加のシリコーン含有疎水性モノマーは0.1〜75.8質量%、より好ましくは2〜20質量%、さらにより好ましくは5〜13質量%で存在するであろう。シリコーン不含疎水性モノマーの量は0〜60質量%であろう。シリコーン不含疎水性材料の例としては、アルキルアクリレート及びメタクリレートが挙げられる。シリコーン含有ヒドロゲル形成性材料は特に好ましい。
【0043】
用途によって、有用な物品は米国特許第6,921,802号明細書中に開示されている嵩高モノマーをも要求し、嵩高モノマーとしては、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシプロピルシラン、フェニルテトラメチル−ジシロキサニルエチルアクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピオールアリルカルバメート及び3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネートが挙げられる。これらの嵩高モノマーは、存在する際には、0〜41.2質量%、34〜41質量%、又はさらには25〜41質量%で存在することができる。
【0044】
有機ケイ素含有ヒドロゲルは少なくとも1種の有機ケイ素含有モノマー及び少なくとも1種の親水性モノマーを含む混合物を重合することにより調製される。さらに、架橋剤として機能するシリコーン含有モノマー(架橋剤は複数の重合性官能基を有するモノマーとして定義される)又は別個の架橋剤を用いてよい。疎水性架橋剤として、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)及びアリルメタクリレート(AMA)などのメタクリレートが挙げられる。Ma2D37などのメタクリルアミド架橋剤はそのメタクリレート対応物よりもモノマーミックス中に多量の親水性コモノマーを取り込むことを可能にする。この、より多量の親水性コモノマーにより、より多量の水含有分及び改良された湿潤化能を備えた最終のレンズが提供される。架橋剤の量は0〜76質量%、2〜20質量%又は5〜13質量%である。
【0045】
本発明のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは種々の親水性モノマーと共重合して、シリコーンヒドロゲルレンズを製造することができる。適切な親水性モノマーとしては、不飽和カルボン酸、たとえば、メタクリル酸及びアクリル酸、アクリル置換アルコール、たとえば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルラクタム、たとえば、N−ビニルピロリドン(NVP)及び1−ビニルアゾナン−2−オン、及び、アクリルアミド、たとえば、メタクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)が挙げられる。これらの親水性モノマーは別々に又は組み合わされて、0〜60質量%、20〜45質量%、0〜48.6質量%、0〜30質量%、0〜25質量%、0〜9.5質量%又は2〜7質量%の量で存在するであろう。
【0046】
本発明で使用できるシリコーン含有モノマー混合物の他の例としては下記のものが挙げられる:米国特許第5,070,215号及び同第5,610,252号明細書(Bamburyら)に開示されているとおりのビニルカーボネート及びビニルカルバメートモノマー混合物、米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号及び同第5,539,016号明細書(Kunzlerら)に開示されているとおりのフルオロシリコンモノマー混合物、米国特許第5,374,662号、同第5,420,324号及び同第5,496,871号明細書(Laiら)に開示されているとおりのフマレートモノマー、米国特許第5,451,651号、同第5,648,515号、同第5,639,908号及び同第5,594,085号明細書(Laiら)に開示されているとおりのウレタンモノマーが挙げられ、それらはすべて同一譲受人であるBausch & Lomb Incorporatedに譲渡されたものであり、その全開示を参照により本明細書中に取り込む。他の適切な親水性モノマーは当業者に明らかであろう。
【0047】
有機希釈剤は初期モノマー混合物中に含まれてよい。本明細書中で使用されるときに、用語「有機希釈剤」は初期モノマー混合物中の成分の非適合性を最小化しかつ初期混合物中の成分と実質的に非反応性である有機化合物を包含する。さらに、有機希釈剤はモノマー混合物の重合により生じる重合生成物の相分離を最小化する役割を担う。また、有機希釈剤は、一般に、比較的に不燃性であろう。
【0048】
考えられる有機希釈剤としては、tert-ブタノール(TBA)、tert-アミルアルコール、ヘキサノール及びノナノールなどのアルコール、エチレングリコールなどのジオール及びグリセロールなどのポリオールが挙げられる。好ましくは、有機希釈剤は抽出溶剤中に十分に可溶性であり、それにより、抽出工程の間に硬化した物品からのその除去を促進する。他の適切な有機希釈剤は当業者に明らかであろう。
【0049】
有機希釈剤は所望の効果(たとえば、重合した生成物の相分離を最小化すること)を提供するのに有効な量で含まれる。一般に、希釈剤はモノマー混合物の0〜60質量%で含まれ、1〜40質量%はより好ましく、2〜30質量%はさらにより好ましく、そして3〜25質量%は特に好ましい。
【0050】
本プロセスによると、少なくとも1種の親水性モノマー、少なくとも1種のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー、及び、場合により、有機希釈剤を含む、モノマー混合物は静的キャスティング又はスピンキャスティングなどの慣用の方法により成形されそして硬化される。
【0051】
レンズ形成はアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの開始剤及び過酸化物触媒を米国特許第3,808,179号明細書(参照により本明細書中に取り込む)に示すような条件下に用いてフリーラジカル重合により行うことができる。IRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)及びDAROCURE1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)などの開始剤を用いたモノマー混合物の重合の光開始は当該技術分野においてよく知られており、本明細書中に開示されるとおりの物品の形成方法に使用されうる。モノマーミックスの光重合を行うために適切な波長の光を注意深く選択することにより、表面親水性及び表面潤滑性などの所望の特性を有する仕上がり製品を得ることができる。光重合に重要な他の反応条件としては、入射光強度、露光時間が挙げられ、そして制御された雰囲気も好結果の商業品を提供するために重要であることがある。適切な光強度は、モールド材料、モノマーミックス及び開始剤濃度比などの重合条件によるであろう。たとえば、適切な強度は1.0mW/cm〜25.0mW/cmの範囲で変更可能である。同様に、露光時間は重合条件によって様々であることができる。それゆえ、露光時間は1分〜60分間の範囲であることができる。コンタクトレンズを重合するための雰囲気条件の制御は当該技術分野においてよく知られている。モノマーの重合の前に着色剤などを添加してもよい。
【0052】
続いて、十分な量の未反応モノマー、及び、存在する場合には、有機希釈剤を硬化した物品から除去し、それにより、物品の生体適合性を改良する。レンズ装着時に目の中に重合していないモノマーが解放されると、刺激及びその他の問題が生じることがある。それゆえ、本明細書中に開示されたモノマーを含むモノマーミックスを重合したものから形成される生体材料が一旦形成されると、パッケージング及び最終使用の準備のために抽出される。抽出は、水、2−プロパノールなどの種々の溶剤に、種々の時間、重合した材料を暴露することにより行われる。たとえば、1つの抽出プロセスは、重合した材料を水中に約3分間浸漬し、水を除去し、そしてその後、重合した材料を別のアリコートの水に約3分間浸漬し、その水のアリコートを除去し、その後、重合した材料を、水、緩衝剤溶液又は他のパッケージング溶液中でオートクレーブ処理することである。
【0053】
表面構造及び組成は多くの物理的特性及び固体材料の最終的な用途を決定する。湿潤性、摩擦性及び付着性又は潤滑性などの特性は表面特性によって大きく影響を受ける。表面特性の変更は生体適合性が特に問題となる生体技術用途に特に重要性を有する。メディカルデバイスのコーティングにおいて、用語「表面」は「少なくとも1つの完全な表面」を意味することに限定されるべきでないことを覚えておくべきである。表面被覆は、表面機能化又は表面処理に有効であるために、均一又は完全である必要はない。このようにして、改良された湿潤化能を示すだけでなく、一般に、長時間にわたって人間の目の中で有機ケイ素含有ヒドロゲルコンタクトレンズを使用することを可能にする,光学的に透明な親水性表面膜を有する有機ケイ素含有ヒドロゲルコンタクトレンズを提供することが望ましい。長時間装着のための有機ケイ素含有ヒドロゲルレンズの場合には、改良された脂質及び微生物挙動を示すだけでなく、一般に、長時間にわたって人間の目の中で有機ケイ素含有ヒドロゲルコンタクトレンズを使用することを可能にする、光学的に透明な表面膜を有する改良された有機ケイ素含有ヒドロゲルコンタクトレンズを提供することがさらに望ましいであろう。このよう表面処理されたレンズは実使用において装着が快適であり、刺激無く又は角膜に他の悪影響を及ぼさずにレンズの長時間装着が可能になる。
【0054】
眼内レンズ材料などの移植可能なメディカルデバイスにこれらの表面改良コーティングを適用することが望ましいこともあり、それにより、レンズ上皮細胞の移植デバイスへの付着性を低減しかつ眼内レンズが目の中にインサータをとおして通過する際の摩擦を低減することができる。それゆえ、好結果の商業製品を製造することが必要ならば、重合した材料は場合によりコーティングされてよい。
【0055】
コンタクトレンズのコーティング方法及びコンタクトレンズのための種々のタイプのコーティングは当業者によく知られている。基材のコーティング方法としては、表面コーティング材料を含む溶液中への基材のディップコーティングが挙げられる。表面コーティング材料を含む溶液は実質的に表面コーティング材料を溶剤中に含むことができ、又は、クリーニング材料及び抽出材料などの他の材料を含んでもよい。他の方法としては、表面コーティング材料でデバイスをスプレイコーティングすることが挙げられる。特定の実施形態において、適切な触媒、たとえば、縮合触媒を使用することが必要なことがある。又は、基材及び他の表面コーティング材料はオートクレーブ条件に付されることができる。特定の実施形態において、基材及び表面コーティング材料は被覆された基材を含むパッケージング材料中でオートクレーブ処理されてよい。一旦、基材と表面コーティング材料との間の相互作用が起こると、残りの表面改良剤は実質的に除去され、そしてパッケージング溶液は基材パッケージング材料に添加されることができる。シーリング及び他の加工工程は通常どおりに行われる。又は、表面改良剤は貯蔵の間及び基材デバイスの最終使用者への輸送の間に基材パッケージング材料中に保持されていてよい。
【0056】
メディカルデバイスのためのコーティングは、通常、オリゴマーもしくはポリマーであり、そして被覆されるメディカルデバイスの表面に適切な特性を付与するようなサイズである。本発明の特定の実施形態によるコーティングは、通常、基材(すなわち、未被覆のメディカルデバイス)にコーティングが結合したときに、良好な表面特性を示す親水性ドメインを含むであろう。親水性ドメインは少なくとも1種の親水性モノマー、たとえば、HEMA、グリセリルメタクリレート、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド又はN,N’−ジメチルアクリルアミド;それらのコポリマー;親水性プレポリマー、たとえば、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、環状ラクタム、たとえば、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)又はそれらの誘導体を含むであろう。なおもさらなる例は親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーである。親水性モノマーは非イオン性モノマーであることができ、たとえば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(メタ)アクリレート)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(又は他のN−ビニルラクタム)、N−ビニルアセトアミド及びそれらの組み合わせである。親水性モノマーのなおもさらなる例は米国特許第5,070,215号明細書に開示されているビニルカーボネート及びビニルカルバメートモノマー、及び、米国特許第4,910,277号明細書に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。これらの特許の内容を参照により本明細書中に取り込む。親水性モノマーは、また、アニオン性モノマーであることもでき、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルスルホン塩である。アクリル酸及びメタクリル酸などから得られる置換アニオン性親水性モノマーであって、置換基が簡単な化学プロセスで除去されうるものも利用できる。このような置換アニオン性親水性モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸のトリメチルシリルエステルが挙げられ、それは加水分解されて、アニオン性カルボキシル基を再生する。親水性モノマーは、また、カチオン性モノマーであることもでき、3−メタクリルアミドプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩、2−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩及びアミン含有モノマー、たとえば、3−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミンからなる群より選ばれる。他の適切な親水性モノマーは当業者に明らかであろう。
【0057】
一般に、本発明に係る眼科レンズの貯蔵のためのパッケージング装置は、水性レンズパッケージング溶液中に浸漬された1つ以上の未使用眼科レンズを含む少なくとも1つのシール済み容器を含む。好ましくは、シール済み容器は気密シールされたブリスタパックであり、ここで、ブリスタパックを開放するためにピールするようになっている金属もしくはプラスチックシートにより、コンタクトレンズを含む凹型ウェルがカバーされている。シール済み容器はレンズの合理的な程度の保護を行う任意の適切な一般に不活性のパッケージング材料であって、好ましくはポリアルキレン、PVC、ポリアミドなどのプラスチック材料である。
【0058】
有機ケイ素含有基材は一般に疎水性である。患者の経験、特に快適性に関する患者の経験を改良するために、基材の疎水性を低減するための又は改良された潤滑性をもって容易に使用される製品を提供するためのパッケージング溶液又は他の方法を使用することはよく行うことである。表面の相対疎水性は当業者に知られている多くの手段により測定されうる。接触角測定の方法の1つの例はセシルドロップ(Sessile Drop)技術である。有機ケイ素含有基材では、高いセシルドロップ接触角は比較的に高い疎水性材料(乾燥状態)の特定の指標である。実験的観測に基づいて、約75°未満のセシルドロップ接触角を有する材料を提供する他のパッケージング溶液は比較的に親水性であり、そしてハンドヘルドメスにより加えられるような力を用いて材料(この場合には、成形済みコンタクトレンズ)をスライスするときに、ポリスチレンペトリ皿により提供されるような疎水性表面に対して容易にスライドする傾向がある。約75°を超えるセシルドロップ接触角を有する材料を提供するパッケージング溶液は比較的に疎水性であり、そしてポリスチレンペトリ皿により提供されるような疎水性表面に対して付着する傾向がある。有機ケイ素ヒドロゲル材料をホウ酸塩緩衝ポリホスホコリン溶液でパッケージした際に、レンズは、それがあたかも、より疎水性の材料を提供するパッケージング溶液中にパッケージされたように挙動するが(たとえば、セシルドロップ接触角が約75°を超える)、なおも、セシルドロップ接触角が約75°未満である材料を提供するパッケージング溶液でパッケージされた材料と同様の潤滑性をもって挙動する。それゆえ、ホウ酸塩緩衝ポリホスホコリン溶液でパッケージされるメディカルデバイスは本発明の好ましい実施形態である。
【0059】
適切なパッケージング溶液材料の選択は特性のレンズ配合によるであろう。それゆえ、幾分広い範囲の性質である。下記は非限定的で、代表的なカチオン、アニオン及び両イオン性ポリマー又は成分の例であり、パッケージング溶液中に有用である(意図した使用による)非イオン性界面活性剤及びペプチドをベースとする材料とともに使用される。
【0060】
アニオン性ポリマー
・ポリ(アクリル酸)
・ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)
・カルボキシメチルセルロース
カチオン性ポリマー
・ポリマーJR
・潜伏性アミンを有するポリマー
両イオン性成分
・ホスホコリン
・潜伏性アミノ酸
ポリペプチド
・ポリ(グルタミン酸)
・ポリ(リシン)
非イオン性界面活性剤
・Tetronic T1107
・Tetronic T908
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース
・シリコーン界面活性剤(NVP−コ−TRIS VC)
・グリセレスココエート(Glycereth cocoate)
【0061】
単純化のために、パッケージング溶液の下記の議論では非イオン性ポリマーコンディショニング剤に焦点を当てるであろう。一般に、モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーをベースとするモノマーを含有するモノマーミックスを重合したものから形成された眼科デバイスのために適切なパッケージング溶液の選択は当業者の範囲内で行われることが認識されるであろう。しかしながら、上記のとおり、有機ケイ素含有デバイスに使用される特定のパッケージング溶液はそれ自体が発明性があることができる。
【0062】
本明細書中に記載されるとおりに機能しそして貯蔵されるコンタクトレンズ又はコンタクトレンズの装着者に対して実質的に悪影響がないかぎり、いかなる適切な非イオン性ポリマーコンディショニング剤成分を本発明により使用してもよい。この成分は使用濃度で眼科的に許容される。特に有用な成分は、水溶性であり、たとえば、現在有用である液体水性媒体中に使用される濃度で可溶性であるものである。
【0063】
これらの化合物は下記の1つ以上の特性を付与することによりレンズを条件調節する:レンズ上での滞留時間を上げるために粘度が高められていること、レンズ表面の湿潤性が向上されていること、表面摩擦力が低減されていること(すなわち、潤滑性が改良されていること)又はレンズ表面上にクッション膜を形成することによりコンタクトレンズの快適性が向上していること。
【0064】
1つのクラスの非イオン性ポリマーコンディショニング剤としては、非イオン性ポリサッカリドが挙げられる。ここでの使用に適切な成分の代表的な例としては、限定するわけではないが、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルヒドロキシエチルデンプンが挙げられる。
【0065】
別のクラスの非イオン性ポリマーコンディショニング剤としては、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリジノンが挙げられる。
【0066】
別のクラスの非イオン性ポリマーコンディショニング剤としては、PEOホモポリマー及び、PEOとPPOとのブロックコポリマーを含む、PEOのポリマーが挙げられる。このクラスとしては、米国特許第6,440,366号明細書中に開示されているものを含むポロキサマー及びポロキサミンが挙げられる。
【0067】
上記のクラスの非イオン性ポリマーコンディショニング剤は例示の目的のみであり、本発明の範囲を限定することが意図されない。このようなポリマーは当業者に知られている。
【0068】
一般に、非イオン性ポリマーコンディショニング剤の平均分子量は最小で約1kDaであり、最大で約700kDaであり、より好ましくは約5kDa〜約500kDaである。
【0069】
非イオン性ポリマーコンディショニング剤の使用量は非イオン性非ポリマー性ポリオールと合わされたときに、眼科デバイスの表面特性を改良するために有効な量である。好ましくは、非イオン性ポリマーコンディショニング剤は少なくとも0.01%w/vの量で本発明のパッケージング溶液中に存在する。このような成分の特定の使用量は、特定のポリマー成分及び非イオン性ポリオールが使用されることなどの多くの要因により広く変更できる。一般に、非イオン性ポリマーコンディショニング剤の濃度は約0.01〜約10%w/wであり、好ましくは約0.5〜約1.5%w/wである。
【0070】
1つの実施形態において、ここでの使用のための非イオン性非ポリマー性ポリオールは2〜約12個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子及び2〜8個のヒドロキシル基を含む非イオン性ポリオールであることができる。このような非イオン性ポリオールの代表的な例としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、モノサッカリド、トレハロースなどのジサッカリドなど及びそれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、非イオン性ポリオールはグリセリン、エチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、モノサッカリド及びそれらの混合物であることができる。
【0071】
パッケージング溶液中の非イオン性非ポリマー性ポリオールの量は、一般に、本発明に係るパッケージング溶液中にパッケージしたときにレンズの表面上により均一なコーティングを形成するのに十分な量であろう。一般に、非イオン性ポリオールの濃度は、通常、約0.01〜約10%w/w、好ましくは約0.1〜約3.0%w/wの範囲であろう。
【0072】
本発明に係るパッケージング溶液は生理学的に適合性である。詳細には、溶液はコンタクトレンズなどのレンズでの使用のために「眼科的に安全」でなければならず、それは一般に溶液で処理したコンタクトレンズが濯ぎ無しに目の上に直接配置するのに適切でかつ安全であることを意味し、すなわち、溶液は溶液により湿潤化されたコンタクトレンズを介した目との日々の接触に関して安全でかつ快適であることを意味する。眼科的に安全な溶液は目に適合性のある張度及びpHを有し、ISO標準及び米国食品医薬品局(FDA)規制により非細胞毒性である材料及びその量を含む。溶液は解放前に製品中に微生物汚染がないことがこのような製品に必要とされる程度に統計的に示されなければならない点で無菌であるべきである。本発明に有用な液体媒体は処理され又は扱われるレンズに対して実質的に悪影響がなく、かつ、そのレンズの単一又は複数の処理を可能にし又はさらには容易にするように選択される。液体媒体は好ましくは水性である。特に有用な水性液体媒体は慣用の塩類溶液又は慣用の緩衝塩類溶液などの塩類溶液から得られるものである。
【0073】
本溶液のpHは約6.0〜約8.0、好ましくは約6.5〜約7.8の範囲に維持されるべきである。適切な緩衝剤は添加されてよく、たとえば、その緩衝剤はホスフェート、ボレート、シトレート、カーボネート、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−イミノ−トリス−(ヒドロキシメチル)アミノアルコール(bis−tris)、両イオン性緩衝剤、たとえば、N−[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン(Tricine)及びN−[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン、MOPS、N−(カルバモイルメチル)タウリン(ACES)、アミノ酸及びアミノ酸誘導体ならびにそれらの混合物である。一般に、緩衝剤は溶液の約0.05〜約2.5質量%、そして好ましくは約0.1〜約1.5質量%の範囲の量で使用されるであろう。本発明のパッケージング溶液は、好ましくは、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム又はその混合物のいずれか1つ以上を含むボレート緩衝剤を含む。
【0074】
もし必要ならば、本発明の溶液は、塩化ナトリウム0.9%溶液又はグリセロール2.5%溶液に相当する標準涙液の浸透圧に近づけるように等張化剤により調節されてよい。溶液は単独又は組み合わせで使用される生理食塩水により実質的に等張性とされ、さもなければ、もし単に無菌水とブレンドされ、低張性又は高張性とされるならば、レンズは所望の光学パラメータを失うであろう。対応して、過剰の塩類溶液は高張性溶液の形成をもたらすことがあり、それはチクチクした痛み及び目に対する刺激の原因となるであろう。
【0075】
適切な張度調節剤の例としては、限定するわけではないが、塩化ナトリウム及び塩化カリウム、デキストロース、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムなどならびにそれらの混合物が挙げられる。これらの薬剤は、通常、約0.01〜約2.5%w/v、好ましくは約0.2〜約1.5%w/vの範囲の量で個々に使用される。好ましくは、等張化剤は少なくとも約200mOsm/kg、好ましくは約200〜約450mOsm/kg、より好ましくは約250〜約400mOsm/kg、そして最も好ましくは約280〜約370mOsm/kgの最終浸透圧値を提供する量で使用されるであろう。
【0076】
所望ならば、1種以上の追加成分をパッケージング溶液中に含んでよい。このような追加成分はパッケージ溶液に少なくとも1つの有利な又は望ましい特性を付与し又は提供するように選択される。このような追加成分は1種以上の眼科ケア組成物中に従来から使用されている成分から選ばれることができる。このような追加成分の例としては、クリーニング剤、湿潤化剤、栄養剤、金属イオン封鎖剤、粘度ビルダー、コンタクトレンズコンディショニング剤、酸化防止剤など及びそれらの混合物が挙げられる。これらの追加成分は、パッケージング溶液に有利な又は望ましい特性を付与し又は提供するために有効な量でパッケージング溶液中に各々含まれてよい。たとえば、このような追加成分は、他の、たとえば、従来のコンタクトレンズケア製品中に使用されるこのような成分の量と同様の量でパッケージ溶液中に含まれてよい。
【0077】
有用な金属イオン封鎖剤としては、限定するわけではないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、アルカリ金属ヘキサメタホスフェート、クエン酸、クエン酸ナトリウムなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0078】
有用な酸化防止剤としては、限定するわけではないが、ナトリウムメタビスルフィット、チオ硫酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0079】
本発明に係る眼科レンズをパッケージしそして貯蔵する方法は上記に記載の水性コンタクトレンズパッケージング溶液中に浸漬した眼科レンズを少なくともパッケージすることを含む。上記の方法としては、コンタクトレンズの製造の直後に顧客/装着者に送達される前に、水性コンタクトレンズ溶液中に眼科レンズを浸漬させることを含むことができる。又は、本発明の溶液中にパッケージしそして貯蔵することは、レンズの製造及び乾燥状態での輸送の後であるが、最終顧客(装着者)への送達の前の中間時点で行うことができ、ここで、乾燥したレンズはレンズをコンタクトレンズパッケージング溶液中に浸漬することにより水和される。結果的に、顧客への送達のためのパッケージは、本発明に係る水性コンタクトレンズパッケージング溶液中に浸漬された1つ以上の未使用のコンタクトレンズを含む、シール済み容器を含むことができる。
【0080】
1つの実施形態において、本眼科デバイスパッケージング装置を導く工程は(1)少なくとも第一モールド部分及び第二モールド部分を含むモールド中で眼科デバイスを成形すること、(2)前記モールド部分からレンズを取り出すこと、(3)本発明のパッケージング溶液及び眼科レンズを容器中に導入すること、及び(4)容器をシールすることを含む。好ましくは、その方法は、また、容器の内容物を無菌化する工程を含む。無菌化は容器のシーリングの前、又は、最も便利には容器のシーリングの後に行われてよく、約120℃以上の温度でシール済み容器を平衡化オートクレーブ処理することなど、当該技術分野において知られた任意の適切な方法によって行ってよい。好ましいパッケージはプラスチックブリスタパッケージであり、そのパッケージはコンタクトレンズ及びパッケージ溶液を受け入れるための凹みを含み、その凹みはパッケージ内容物の滅菌の前に蓋材(リッドストック)によりシールされる。特に好ましいパッケージはコンタクトレンズのための使い捨てパッケージ及びパッケージアセンブリを含む。単一のパッケージはコンタクトレンズを溶液中に保持するために形成されたウェルを備えたフランジを含む。柔軟なカバーシートはフランジ上に延在しており、そしてウェルの周縁をシールして、ウェル中にレンズ及び溶液をシールする。カバーシートは使用者によりフランジから容易に剥離でき、ウェル中に保持されているレンズを手に入れることができる。第一の支持構造及び第二の支持構造は互いに反対側に形成されており、フランジからほぼ垂直に延在している。支持構造はテーブルなどの平坦な表面上でパッケージを安定的に支持するような形態である。
【0081】
各支持構造は一般に空間を空けた互いに平行な平面に並んだ主要壁及び非主要壁を含むが、主要壁及び非主要壁は1つ以上のポイントに沿って相互連結していても又は接触していてもよい。好ましい実施形態において、非主要壁はそれぞれの主要壁の内側に配置される。
【0082】
第一のパッケージと実質的に同一の形態の第二のパッケージを含み、第一の支持構造及び第二の支持構造により互いにメッシュ係合で各々第一のパッケージ及び第二のパッケージを互いに取り外し可能に結合しうる、パッケージアセンブリも開示される。
【0083】
特定の実施形態において、未反応モノマー及びいずれかの有機希釈剤の抽出に次いで、成形された物品、たとえば、RGPレンズは場合により、当該技術分野において知られている種々のプロセスにより機械加工される。機械加工工程としては、レンズ表面の旋盤切削、レンズ縁の旋盤切削、レンズ縁のバフ研磨、又は、レンズ縁もしくは表面のポリッシングが挙げられる。表面が粘着性であり又はゴム状である場合に、レンズの表面の機械加工が特に困難であるから、レンズ表面が旋盤切削される方法では本方法は特に有利である。
【0084】
一般に、このような機械加工法は物品をモールド部品から解放する前に行われる。機械加工操作の後に、レンズをモールド部品から解放しそして水和させることができる。又は、物品をモールドから解放した後に機械加工し、その後、水和させてもよい。
【実施例】
【0085】
下記の実施例は当業者が本発明を実施することができるように提供され、そして本発明の単なる例示である。実施例は特許請求の範囲に規定されるとおりの本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0086】

すべての溶剤及び試薬を市販の源から入手し、そして受け取ったまま使用した。
【0087】
分析測定
ESI−TOF MS:エレクトロスプレイイオン化(ESI)飛行時間型(TOF)質量分析をApplied Biosystems Mariner 計器にて行った。正イオンモードで計器を操作した。計器を、リシン、アンジオテンシノーゲン、ブラジキニン(フラグメント1−5)及びデスプロブラジキニンを含む標準溶液により質量検量した。この混合物は7点検量を147〜921m/zで提供する。印加される電圧パラメータを同一の標準溶液から得られるシグナルから最適化した。正確な質量測定のために、400Daの基準Mn値を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)を注目のサンプルに添加し、そして内部質量標準として用いた。注目のサンプル質量を括弧に入れた2つのPEGオリゴマーを用いて質量スケールを検量した。2体積%飽和NaCl(IPA中)の添加により、サンプルをイソプロパノール(IPA)中で30μM溶液として調製した。サンプルを35μL/分の速度でESI−TOF MS計器中に直接的に注入した。各サンプルに対してモノアイソトピック質量を得るために十分な分解能(6000RPm/ΔmFWHM)を分析において達成した。各分析において、実験モノアイソトピック質量をそれぞれの元素組成から決定される理論モノアイソトピック質量と比較した。各分析において、モノアイソトピック質量比較は10ppm未満の誤差であった。非荷電性サンプルは元素組成中に含まれるナトリウム(Na)原子を有することが注目されるべきである。このNa原子はサンプル調製手順において添加される必要な電荷剤として存在する。幾つかのサンプルはそれぞれの構造に内在している第四級窒素原子からの電荷を含むので、添加される電荷剤を必要としない。
【0088】
GC:
ガスクロマトグラフィーをHewlett Packard HP 6890シリーズGC 装置を用いて行った。純度を第一ピークの積分及び正規化クロトグラフに対する比較により決定した。
【0089】
NMR:
H−NMR特性化は当該技術分野において標準的な技術を用い、400MHzVarian分光計を用いて行った。特に注記しないかぎり、サンプルをクロロホルム−d(99.8 原子 % D)中に溶解させた。7.25ppmで残留クロロホルムピークを割り当てることによりケミカルシフトを決定した。ベースライン分離ピークの積分によりピーク面積及びプロトン比を決定した。存在しそして明確に識別できる場合には、分裂パターン(s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項、br=広域)及び結合定数(J/Hz)を報告する。
【0090】
機械特性及び酸素透過係数:
ASTM D- 1708aにしたがって、Instron (Model 4502)計器を用いて弾性率及び伸び率試験を行った。ここで、ヒドロゲルフィルムサンプルをホウ酸緩衝塩溶液中に浸漬し、フィルムサンプルの適切なサイズはゲージ長さ22mm及び幅4.75mmであり、ここで、サンプルはInstron計器のクランプによるサンプルのグリッピングを確保するためにドッグボーン形状を形成する末端をさらに有し、そして厚さ200+50ミクロンである。
【0091】
酸素透過係数(Dkとも呼ぶ)を下記の手順により決定した。得られる酸素透過係数値が記載される方法と同等であるかぎり、他の方法及び/又は計器を用いてよい。シリコーンヒドロゲルの酸素透過係数は、中央の円形状金カソードを末端に有しそしてカソードから絶縁された銀アノードを有するプローブを有するOパーミオメータ(Permeometer) Model 201T計器(Createch, Albany, California USA)を用いて、ポーラログラフィー法(ANSI Z80.20-1998)により測定される。測定は、予備検査したピンホールを有しない平坦なシリコーンヒドロゲルであって、150〜600ミクロンの範囲の3つの異なる中央厚さのものに対してのみ行う。フィルムサンプルの中央厚さの測定はRehder ET-I電子厚ゲージを用いて行うことができる。一般に、フィルムサンプルは円状ディスクの形状を有する。35°C+/−0 2°で平衡化した循環ホウ酸緩衝塩溶液(PBS)を含む浴中に浸漬したフィルムサンプル及びプローブを用いて測定を行う。プローブ及びフィルムサンプルをPBS浴に浸漬させる前に、カソードとフィルムサンプルとの間に気泡又は過剰のPBSが存在しないようにして、平衡化PBSで予備湿潤化したカソード上にフィルムサンプルを中心に配置し、その後、プローブのカソードの部分がフィルムサンプルのみに接触するようにして、フィルムサンプルを取り付けキャップによりプローブに固定する。シリコーンヒドロゲルの場合には、プローブカソードとフィルムサンプルとの間に、円形ディスク形状などを有するテフロンポリマー膜を用いることがしばしば有用である。このような場合には、テフロン膜を最初に予備湿潤化したカソード上に配置し、その後、テフロン膜又はフィルムサンプルの下に気泡又は過剰のPBSが存在しないようにして、テフロン膜上にフィルムサンプルを配置する。一度、測定値を回収すると、0.97以上の相関係数値(R2)を有するデータのみをDk値の計算に導入すべきである。1つの厚さ当たりに、R2値を満たす少なくとも2つのDk測定値を得る。既知の回帰分析を用いて、酸素透過係数(Dk)を少なくとも3つの異なる厚さを有するフィルムサンプルから計算する。PBS以外の溶液で水和したすべてのフィルムサンプルは最初に精製水中に浸漬し、そして少なくとも24時間平衡化させ、その後、PHB中に浸漬し、そして少なくとも12時間平衡化する。計器は周期的にクリーニングし、RGP標準を用いて周期的に検量する。William J. Benjamin, ら, The Oxygen Permeability of Reference Materials, Optom Vis Sci 7 (12s): 95 (1997)(その内容の全体を参照により本明細書中に取り込む)により確立されたリポジトリ値(Repository value)の+/-8.8%を計算することにより上限値及び下限値が確立される。
【0092】
材料名 リポジトリ値 下限値 上限値
Fluoroperm 30 26.2 24 29
Menicon EX 62.4 56 66
Quantum II 92.9 85 101
【0093】
略語
NVP 1−ビニル−2−ピロリドン
TRIS 3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
HEMA 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
v−64 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)
EGDMA エチレングリコールジメタクリレート
BHT ブチル化ヒドロキシトルエン
【0094】
【化10】

【0095】
別段特に記載しない又はその使用から明らかにならないかぎり、実施例において使用されるすべての数値は用語「約」により修飾されており、また、質量%と考えられるべきである。
【0096】
【化11】

【0097】
例1:M1−EDS7−TMSの合成
【化12】

【0098】
2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(19.2g、0.12モル)をN下に50mLの乾燥シクロヘキサン中に入れ、そして25℃で30分間攪拌した。この混合物に、攪拌しながらリチウムトリメチルシラノレート(1.92g、0.02モル)を添加した。1時間後に、乾燥THF(25mL)を添加し、そして反応混合物を25℃にて24時間攪拌し続けた。ジメチルクロロシラン(1.9g、0.02モル)を、その後、添加し、そして変色を観測した。攪拌をさらに3時間続け、その後、反応混合物をろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、調製法に基づいて期待される生成物として22g収量で透明オイルを提供し、NMR、SEC及びMALDIにより特性化して、約7つの縮合2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン開環単位を示した。ろ液をそのまま用いて、トルエン(20mL)中に入れ、そしてアリルメタクリレート(3.15g、0.025モル、約25ミリモル)をN雰囲気下に添加し、次いで、キシレン中の白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体3wt%溶液を(触媒として)添加することにより、ヒドロシリル化を行った。反応混合物を6時間、40〜45℃で攪拌した。ロータリーエバポレータ上で、その後、高真空中で溶剤をストリッピングして、MALDIにより特性化して所望の生成物M−1−EDS7−TMSとして黄色のオイルを17gの収量で提供した。
【0099】
例2 M1−EDS6−TMSの合成
雰囲気下に、マグネティックスターリングバー及び凝縮器を装備した、炉乾燥した2L2つ口丸底フラスコに、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(77.22g、0.482モル)及び無水シクロヘキサン(150mL)をN雰囲気中で攪拌下に添加した。リチウムトリメチルシラノレート(7.2g、0.0749モル)を上記の反応混合物に添加し、次いで、シクロヘキサン(25mL)を添加した。1時間の攪拌の後に、THF(70mL、Na/ベンゾフェノン上で蒸留)を添加し、そして反応混合物を16時間攪拌し続けた。メチルアクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン(20g、0.09モル)を、その後、添加し、混合物をさらに24時間攪拌した。その後、反応混合物をろ過し、そしてシリカゲル(3.5g、160℃で3時間乾燥)を添加し、そして反応混合物をさらに4時間攪拌した。反応混合物を、その後、セライト(20g)のベッドをとおしてろ過し、そしてろ液にBHT(5mg)を添加した。その後、ろ液を真空下に濃縮した(40℃/0.3mmHg)。その後、振盪しながら濃縮物にヘプタン(200mL)を添加し、そして脱イオン水(100mL)、水性NaHCO(2×100mL、10gのNaHCOを200mLの脱イオン水中に溶解させることで調製)、ブライン(100mL)、そして最終的に脱イオン水(100mL)で洗浄した。その後、ヘプタン(50mL)を添加し、そしてMgSO(15g)上で20時間乾燥した。MgSOをろ過して除去し、そして溶剤をロータリーエバポレータ上で除去した。粗生成物を活性化塩基性アルミナ(30gで24時間)上で攪拌し、その後、薄いセライト床上でろ過した。25℃で0.2mmHgにて30分間すべての残留溶剤をストリッピングし、所望の生成物M−1−EDS6−TMSを透明オイルとして80gの量で生じた。それをNMR、GPC、GC−MS及びMALDIにより特性化した。
【0100】
例3:M1−EDS9−TMSの合成
2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(14.4g、0.09モル)をN下に35mLの乾燥シクロヘキサン中に入れ、そして25℃で10分間攪拌した。これに、攪拌しながらリチウムトリメチルシラノレート(960mg、0.01モル)を添加した。2時間後に、乾燥THF(20mL)を添加し、そして反応混合物を25℃にて24時間攪拌し続けた。クロロジメチルシリルプロピルオキシメタクリレート(2.20g、0.01モル)を、その後、添加し、そして変色を観測した。攪拌をさらに24時間続け、その後、反応混合物を10mgのNaHCOにてクエンチした。シクロヘキサン(10mL)を添加し、さらに2時間攪拌を続けた。反応混合物を、その後、セライト上でろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、調製法に基づいて期待される生成物M1−EDS9−TMSとして16g収量で透明オイルを提供し、NMR、SEC及びMALDIにより特性化した。
【0101】
例4:M1−EDS12−TMSの合成
2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(19.2g、0.12モル)をN下に50mLの乾燥シクロヘキサン中に入れ、そして25℃で30分間攪拌した。この混合物に、攪拌しながらリチウムトリメチルシラノレート(960mg、0.01モル)を添加した。2時間後に、乾燥THF(20mL)を添加し、そして反応混合物を25℃にて24時間攪拌し続けた。クロロジメチルシリルプロピルオキシメタクリレート(2.20g、0.01モル)を、その後、添加し、そして変色を観測した。攪拌をさらに24時間続け、その後、反応混合物を、セライト上でろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、調製法に基づいて期待される生成物M1−EDS12−TMSとして20g収量で透明オイルを提供し、NMR、SEC及びMALDIにより特性化した。
【0102】
例5:M1−EDS15−TMSの合成
2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(24g、0.15モル)をN下に60mLの乾燥シクロヘキサン中に入れ、そして25℃で10分間攪拌した。これに、攪拌しながらリチウムトリメチルシラノレート(960mg、0.01モル)を添加した。2時間後に、乾燥THF(20mL)を添加し、そして反応混合物を25℃にて24時間攪拌し続けた。クロロジメチルシリルプロピルオキシメタクリレート(2.20g、0.01モル)を、その後、添加し、そして変色を観測した。攪拌をさらに24時間続け、その後、反応混合物を10mgのNaHCOにてクエンチした。シクロヘキサン(10mL)を添加し、さらに2時間攪拌を続けた。反応混合物を、その後、セライト上でろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、調製法に基づいて期待される生成物M1−EDS15−TMSとして25g収量で透明オイルを提供し、NMR、SEC及びMALDIにより特性化した。
【0103】
例6 M1−ビス−EDS3−TMSの合成
【化13】

【0104】
メカニカルスターラ、アルゴンガス及び滴下漏斗を装備した500mL丸底フラスコ中、リチウムトリメチルシラノレート(19.7g、0.2モル)を無水ヘキサン(100mL)中に懸濁させた。2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(32.07g、0.2モル)の無水ヘキサン(100mL)中の溶液を攪拌しながらフラスコに素速く添加した。1時間後に、フラスコをアイスバスで冷却し、そして攪拌を続けながらDMF(50mL)を添加した。4時間後、3−メタクリルオキシプロピルメチルジクロロシラン(29g、0.12モル)を反応混合物に滴下して加えた。反応混合物をさらに24時間、室温にて攪拌した。その後、脱イオン水(50mL)を攪拌しながらフラスコに添加した。有機層を分離させ、そして無水硫酸ナトリウム上で乾燥しそしてろ過した。溶剤をロータリーエバポレータ上で蒸発させ、所望の生成物M1−ビス−EDS3−TMSを40gの量で透明の黄色がかったオイルとして提供した。生成物をGC、GC/MS、IR及びNMRにより特性化した。
【0105】
例7 ジメチルアンモニウムメタクリルアミド(MA1−Q−EDS9−TMS)の合成
【化14】

(上式中、nは9である)
【0106】
2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(48g、0.3モル)をN下に55mLの乾燥シクロヘキサン中に入れ、そして25℃で30分間攪拌した。これに、攪拌しながらリチウムトリメチルシラノレート(4.8g、0.05モル)を添加した。1時間後に、乾燥THF(25mL)を添加し、そして反応混合物を25℃にて24時間攪拌し続けた。ジメチルクロロシラン(5.1g、0.55モル)を、その後、添加し、そして変色を観測した。攪拌をさらに3時間続け、その後、反応混合物をろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、調製法に基づいて期待される生成物として42g収量で透明オイルを提供し、NMR、SEC及びMALDIにより特性化した。このもの28.0gを用いて、トルエン(30mL)中に入れ、そして1−ブロモブテン(4g、0.03モル)をN雰囲気下に添加し、次いで、キシレン中の白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体3wt%溶液(100μL、触媒として)を添加することにより、ヒドロシリル化を行った。反応混合物を4時間、45〜50℃で攪拌し、その後、25℃で48時間攪拌した。反応混合物を綿プラグを用いてセライト上でろ過した。ロータリーエバポレータ上で、その後、高真空中で溶剤をストリッピングして、MALDIにより特性化して所望のブロモ化合物であるトリメチルシリルオキシ−[ポリ(ジメチルシリル−エチル−ジメチルシリルオキシ)]−ジメチルシリルブチルブロミド(n=約9単位)として黄色のオイルを27gの収量で提供した。
【0107】
6.6g(0.004モル)のブロモ化合物及び680mg(0.004モル)のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを一緒に混合し、そしてN下に25℃にて6時間攪拌した。ある程度の発熱を観測した。反応混合物を高真空に10時間後に付し、所望の生成物MA1−Q−EDS9−TMSをほとんど定量的収量で提供し、そしてNMR及びMALDIにより特性化した。
【0108】
例8 比較のモノ官能性M1−MCR−C12の合成
【化15】

(nは11である)
【0109】
Gelest, Inc.から入手可能なヒドロキシエトキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(50g、0.048モル)(MCR−C12)を500mL丸底フラスコに添加し、そしてトルエンの共沸蒸留により乾燥した。そのフラスコに、無水塩化メチレン(200mL)及びトリエチルアミン(17.12g、0.17モル)を添加し、反応物を20分間攪拌した。反応フラスコに添加漏斗を取り付け、それに塩化メタクリロイル(17.18g、0.16モル)を装填し、さらに85mLの無水塩化メチレンを装填した。添加漏斗の内容物を反応混合物に滴下して加え、その際、滴下漏斗を還流凝縮器と交換した。その後、反応物を4時間還流した。冷却の後に、反応混合物をろ過し、そして分液漏斗中に入れて、それを0.1NのHCl(150mL)で2回洗浄し、重炭酸ナトリウム溶液(150mL)で2回洗浄し、そしてブライン溶液(150mL)で2回洗浄した。その後、有機層を10gの脱色性炭素及び10gのシリカゲルとともに24時間攪拌し、その後、ろ過し、そしてロータリーエバポレータ上で乾燥させた。反応により、45gの透明で黄色のオイルM1−MCR−C12を生じ、それをGC、NMR及びMALDIにより特性化した。
【0110】
例9 比較のモノ官能性MCA1−MCR−C12の合成
【化16】

(上式中、nは11である)
【0111】
Gelest, Inc.から入手可能なヒドロキシエトキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(200g、0.193モル)(MCR−C12)を2L丸底フラスコに添加し、そしてトルエンの共沸蒸留により乾燥した。そのフラスコに、無水塩化メチレン(500mL)及びジブチルスズジラウレート(0.474g、0.0007モル)を添加した。反応フラスコに添加漏斗を取り付け、それに2−イソシアナトエチルメタクリレート(45.0g、0.290モル)を装填し、さらに100mLの無水塩化メチレンを装填した。添加漏斗の内容物を、その後、反応混合物に滴下して加え、そして反応物を48時間攪拌した。その後、50gのシリカゲル(EMDシリカゲル60)を反応混合物に添加し、そして24時間攪拌し、過剰のイソシアナトエチルメタクリレートを掃去した。その後、反応混合物をろ過し、そしてロータリーエバポレータ上で濃縮し、210gの透明オイルMCA1−MCR−C12を生じ、それをGC、NMR及びMALDIにより特性化した。
【0112】
【表1】

【0113】
調製手順
例10〜15、17〜23、32、54〜56、69及び70では、示した特定のモノマーミックスを上記の表1及び下記の表3、5及び6により、成分の種々の質量%を測定することにより調製した。モノマーミックスをポリプロピレンモールドの間に送り出し、そしてDkサンプルの場合にレンズ又は平板として調製した。重合をUV光(約350nm)下に2時間行った。重合後に、水中33%IPAを用いてレンズ又は平板をモールドから解放し、その後、100%IPA中で4時間抽出した。レンズ/平板を、その後、脱イオン水中に30分間入れ、そして4mLのホウ酸緩衝塩溶液(BBS)を含むバイアル中にパッケージした。レンズ/平板に関する測定特性を下記の表に示す。
【0114】
【表2】

【0115】
4502メカニカルテスタMTSインストロンを用いてレンズの弾性率、引張強度、%伸び率及び引裂強度を測定した。サンプルを、ホウ酸緩衝塩溶液を含む水浴中で試験した。捕獲気泡接触角データをFirst Ten Angstroms FTA- 1000 Drop Shape Instrument上に回収した。分析前にすべてのサンプルをHPLCグレードの水中で濯ぎ、サンプル表面からパッケージング溶液の成分を除去した。データ回収の前に、すべての実験で使用される水の表面張力をペンダントドロップ法を用いて測定した。水を使用に適格であるとするためには、表面張力が70〜72ダイン/cmであることが期待された。すべてのレンズサンプルを曲面サンプルホルダー上に配置し、そしてHPLCグレードの水で満たした石英セル中に沈めた。後退及び前進捕獲気泡接触角を各サンプルについて回収した。後退接触角はサンプル表面を横切って気泡が広がる(水が表面から後退する)ときに水中で測定される角度として定義される。前進接触角は気泡がレンズ表面から退く(水が表面を横切って前進する)ときに水中で測定される角度と定義される。すべての捕獲気泡データはサンプル/気泡界面に焦点を合わせた高速デジタルカメラを用いて回収した。接触角はサンプル/気泡界面を横切る接触線移動の直前にディジタルフレームにて計算した。
【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
【表6】

【0120】
例87 クロロジメチル(3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキシ)プロピル)シランによるEDSのキャッピング
【0121】
【化17】

【0122】
【表7】

【0123】
還流凝縮器、サーモコントローラ、マグネティックスターラ及びアルゴンガスブランケットを装備した1000mL3つ口丸底フラスコに、ジメチルクロロシラン、トルエン及びTHFの混合物を添加した。その後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを添加した。フラスコを60℃に7時間加熱した。反応混合物は約0.5時間後に約85℃で発熱した。サンプルをフラスコから取り出し、そしてGCによりチェックし、少量の出発材料を示した。反応を約7時間続けた。クロロジメチル(3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキシ)プロピル)シランを70〜80℃にて真空蒸留した。
【0124】
【化18】

【0125】
脱イオン水(100mL)及びジエチルエーテル(200mL)を、マグネティックスターラを備えた500mL1つ口丸底フラスコに添加した。フラスコをアイスバス中で0℃に冷却した。フラスコに滴下漏斗を取り付け、そして(10g、0.45モル)の3−メタクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン及び50mLの無水THFの混合物をフラスコに添加した。反応物を0℃で1時間攪拌した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥しそしてろ過した。溶剤をロータリーエバポレータ上で蒸発させ、3−メタクリルオキシプロピルジメチルヒドロキシシランを9.0gの量、99%収率で無色透明のオイルとして提供した。
【0126】
3−メタクリルオキシプロピルジメチルヒドロキシシラン(4g、0.02モル)を、マグネティックスターラを備えた500mL1つ口丸底フラスコに添加した。2.5Mのn−BuLi(0.006モル)混合物をフラスコにゆっくりと添加した。2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(65.3g、0.4モル)及びTHF(50mL)の混合物をフラスコに添加した。反応物を24時間攪拌した。クロロジメチル(3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキシ)プロピル)シラン(7.1g、0.02モル)をフラスコに添加し、そして24時間攪拌した。溶剤をロータリーエバポレータ上で蒸発させ、3−メタクリルオキシプロピルジメチルシリルオキシ−EDS10−ジメチルシリルプロピルオキシオクタフルオロペンタンを38g収量、90%収率で無色透明のオイルとして提供した。サンプルをNMR分光器、GC−MS及びMALDIによりチェックした。
【0127】
例88 クロロジメチル(3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキシ)プロピル)シランによるEDSの開環
【0128】
【化19】

【0129】
工程1
アイスバス中で窒素ガス下に、マグネティックスターラを備えた250mL1つ口丸底フラスコ中に、水及びエーテルを添加し、そして攪拌した。クロロジメチル(3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキシ)プロピル)シラン及びTHFを滴下漏斗に添加し、水/エーテル混合物に滴下して加えた。反応物を0℃で1時間攪拌した。生成物混合物をエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過しそしてエーテルをロータリーエバポレータで除去した。3−ジメチル(3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキシ)プロピル)シラノール生成物を反応の次の工程にて用いた。
【0130】
工程II
メカニカルスターラ、Arガス及び滴下漏斗を装備した500mL丸底フラスコに、3−ジメチル(3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキシ)プロピル)シラノール生成物(7g、0.02モル)を添加した。2.5Mのn−BuLi(0.006モル)混合物をフラスコにゆっくりと添加し、次いで、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン(65.3g、0.4モル)のTHF(50mL)中の溶液を添加した。反応物を24時間攪拌し続けた。3−(クロロジメチルシリル)プロピルメタクリレート(4.84g、0.022モル)を反応混合物に添加し、そして攪拌をさらに6時間続けた。その後、溶剤を真空下に蒸発させ、生成物を提供し、それをNMR及びMALDIにより特性化した。
【0131】
例89 ホスホリルコリンによる被覆による向上した潤滑性
各サンプルで、BBS中の0.5%溶液を、1.25gのポリマーをBBSに添加することにより調製した。溶液の合計体積は250mLであった。溶液のpHは7.2であった。試験溶液はポリ(ホスホコリン)であった。別々にポリ(アクリル酸)−450,000g/モル、Tetronic T1107、Tetronic T908、HPMC又はポリマーJRを含む比較溶液も調製した。すべての溶液をBBS中で0.5%の濃度で製造し、必要ならば(当該技術分野において知られている標準技術により)pHを7.2に調節した。レンズ試験では、4.5mLの各溶液をガラスオートクレーブバイアルに添加した。有機ケイ素含有レンズを各バイアル中に入れ、そして系をテフロンコートされたクリンプキャップによりキャップした。その後、各系をオートクレーブ処理した(121℃で30分間)。パッケージされたレンズを、その後、パッケージから取り出し、そして脱イオン水で濯いだ。濯いだレンズを、その後、ポリスチレンペトリ皿上に配置し、レンズが平らに横たわるようにメスを用いて区分した。
【0132】
好ましい実施形態
本発明の特定の好ましい実施形態で下記のものを開示する。
1.構造式(I)
【化20】

【0133】
(上式中、Xは開環剤又はキャッピング剤の残基であり、Lは同一であるか又は異なり、そして結合基又は結合であり、Vはエチレン系不飽和重合性基であり、R、R、R、R、R、Rは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル又は芳香族であり、R及びRは、存在する場合には、独立に、H又はアルキルであり、R又はRの少なくとも1つは水素であり、yは2〜7であり、そしてnは1〜100である)を有するモノマー。
【0134】
2.構造式(II)
【化21】

【0135】
(上式中、Lは同一であるか又は異なり、そして結合基又は結合であり、Vは同一であるか又は異なり、そしてエチレン系不飽和重合性基であり、R、R、R、R、R、R及びRは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル又は芳香族であり、R及びRは独立にH又はアルキルであり、R又はRの少なくとも1つは水素であり、yは2〜7であり、そしてnは1〜100である)を有するモノマー。
【0136】
3.Xは酸触媒の存在下でのアルキルリチウム、アルコキシド、トリアルキルシロキシリチウム及びアクリルエステルキャップされたポリシロキサンプレポリマーからなる群より選ばれる開環剤の残基である、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0137】
4.開環剤の残基はハロ原子を含む、好ましい実施形態3記載のモノマー。
【0138】
5.結合基は置換もしくは未置換アルキル、アルキルエーテル、アルケニル、アルケニルエーテル、ハロアルキル、置換もしくは未置換シロキサン及び開環を伝播することができるモノマーからなる群より選ばれる、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0139】
6.結合基は置換もしくは未置換アルキル、アルキルエーテル、アルケニル、アルケニルエーテル、ハロアルキル、置換もしくは未置換シロキサン及び開環を伝播することができるモノマーからなる群より選ばれる、好ましい実施形態2記載のモノマー。
【0140】
7.構造式(III)
【化22】

【0141】
(上式中、R、R10及びR11は独立にH、アルキル、ハロアルキル又は他の置換アルキル基であり、nは1〜100であり、そしてnは0〜10である)を有する、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0142】
8.構造式(IV)
【化23】

【0143】
(上式中、nは1〜100である)を有する、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0144】
9.nは2〜80である、好ましい実施形態8記載のモノマー。
【0145】
10.nは3〜20である、好ましい実施形態8記載のモノマー。
【0146】
11.nは5〜15である、好ましい実施形態8記載のモノマー。
【0147】
12.Vはアクリレート、メタクリレート、ビニルカーボネート、O−ビニルカルバメート、N−ビニルカルバメート、アクリルアミド及びメタクリルアミドからなる群より選ばれる、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0148】
13.Vはアクリレート、メタクリレート、ビニルカーボネート、O−ビニルカルバメート、N−ビニルカルバメート、アクリルアミド及びメタクリルアミドからなる群より選ばれる、好ましい実施形態2記載のモノマー。
【0149】
14.下記構造式
【化24】

【0150】
からなる群より選ばれる構造式を有する、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0151】
15.下記構造式
【化25】

【0152】
(上式中、R、R10及びR11は独立にH、アルキル、ハロアルキル又は他の置換アルキル基であり、そしてnは1〜100であり、そしてnは0〜10である)からなる群より選ばれる構造式を有する、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0153】
16.下記構造式
【化26】

【0154】
(上式中、nは1〜100であり、そしてXは全体として中性電荷を提供する対イオンである)からなる群より選ばれる構造式を有する、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0155】
17.下記構造式
【化27】

【0156】
を有する、好ましい実施形態1記載のモノマー。
【0157】
18.メディカルデバイスを形成するのに有用なモノマーミックスであって、該モノマーミックスは好ましい実施形態1のモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーを含み、そして重合したときにメディカルデバイスを形成する、モノマーミックス。
【0158】
19.メディカルデバイスを形成するのに有用なモノマーミックスであって、該モノマーミックスは好ましい実施形態2のモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーを含み、そして重合したときにメディカルデバイスを形成する、モノマーミックス。
【0159】
20.共重合可能な第二のモノマーをさらに含む、好ましい実施形態18記載のモノマーミックス。
【0160】
21.共重合可能な第二のモノマーをさらに含む、好ましい実施形態19記載のモノマーミックス。
【0161】
22.形成されるメディカルデバイスは硬質コンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、有水晶体眼内レンズ、無水晶体眼内レンズ及び角膜インプラントからなる群より選ばれる、好ましい実施形態18記載のモノマーミックス。
【0162】
23.形成されるメディカルデバイスは硬質コンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、有水晶体眼内レンズ、無水晶体眼内レンズ及び角膜インプラントからなる群より選ばれる、好ましい実施形態19記載のモノマーミックス。
【0163】
24.形成されるメディカルデバイスは人工心臓弁、フィルム、外科用デバイス、血管代替物、子宮内デバイス、メンブレン、ダイアフラム、外科インプラント、人工血管、人工尿管、人工乳房組織、身体外で体液と接触することが意図されたメンブレン、腎臓透析機械用メンブレン、心/肺機械用メンブレン、カテーテル、マウスガード、義歯ライナー、眼科デバイス及びヒドロゲルコンタクトレンズからなる群より選ばれる、好ましい実施形態18記載のモノマーミックス。
【0164】
25.形成されるメディカルデバイスは人工心臓弁、フィルム、外科用デバイス、血管代替物、子宮内デバイス、メンブレン、ダイアフラム、外科インプラント、人工血管、人工尿管、人工乳房組織、身体外で体液と接触することが意図されたメンブレン、腎臓透析機械用メンブレン、心/肺機械用メンブレン、カテーテル、マウスガード、義歯ライナー、眼科デバイス及びヒドロゲルコンタクトレンズからなる群より選ばれる、好ましい実施形態19記載のモノマーミックス。
【0165】
26.前記メディカルデバイスはヒドロゲルコンタクトレンズである、好ましい実施形態24記載のモノマーミックス。
【0166】
27.前記メディカルデバイスはヒドロゲルコンタクトレンズである、好ましい実施形態25記載のモノマーミックス。
【0167】
28.好ましい実施形態1のモノマーからなる群より選ばれる前記少なくとも1種のモノマーはモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーである、好ましい実施形態18記載のモノマーミックス。
【0168】
29.好ましい実施形態2のモノマーからなる群より選ばれる前記少なくとも1種のモノマーはモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーである、好ましい実施形態19記載のモノマーミックス。
【0169】
30.前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは前記モノマーミックスの約0.1〜約30質量%の量で存在する、好ましい実施形態28記載のモノマーミックス。
【0170】
31.前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは前記モノマーミックスの約0.1〜約20質量%の量で存在する、好ましい実施形態28記載のモノマーミックス。
【0171】
32.前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは前記モノマーミックスの約5〜約15質量%の量で存在する、好ましい実施形態28記載のモノマーミックス。
【0172】
33.前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは前記モノマーミックスの約0.1〜約30質量%の量で存在する、好ましい実施形態29記載のモノマーミックス。
【0173】
34.前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは前記モノマーミックスの約0.1〜約20質量%の量で存在する、好ましい実施形態29記載のモノマーミックス。
【0174】
35.前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは前記モノマーミックスの約5〜約15質量%の量で存在する、好ましい実施形態29記載のモノマーミックス。
【0175】
36.前記共重合可能な第二のモノマーは疎水性シリコーン含有モノマーである、好ましい実施形態20記載のモノマーミックス。
【0176】
37.前記疎水性シリコーン含有モノマーは約0.1〜約75.8質量%の量で前記モノマーミックス中に存在する、好ましい実施形態36記載のモノマーミックス。
【0177】
38.前記疎水性シリコーン含有モノマーは約2〜約20質量%の量で前記モノマーミックス中に存在する、好ましい実施形態36記載のモノマーミックス。
【0178】
39.前記疎水性シリコーン含有モノマーは約5〜約13質量%の量で前記モノマーミックス中に存在する、好ましい実施形態36記載のモノマーミックス。
【0179】
40.前記共重合可能な第二のモノマーは疎水性シリコーン含有モノマーである、好ましい実施形態21記載のモノマーミックス。
【0180】
41.前記疎水性シリコーン含有モノマーは約0.1〜約75.8質量%の量で前記モノマーミックス中に存在する、好ましい実施形態40記載のモノマーミックス。
【0181】
42.前記疎水性シリコーン含有モノマーは約2〜約20質量%の量で前記モノマーミックス中に存在する、好ましい実施形態40記載のモノマーミックス。
【0182】
43.前記疎水性シリコーン含有モノマーは約5〜約13質量%の量で前記モノマーミックス中に存在する、好ましい実施形態40記載のモノマーミックス。
【0183】
44.前記共重合可能な第二のモノマーはシリコーン不含疎水性モノマーである、好ましい実施形態20記載のモノマーミックス。
【0184】
45.前記共重合可能な第二のモノマーはシリコーン不含疎水性モノマーである、好ましい実施形態21記載のモノマーミックス。
【0185】
46.前記シリコーン不含疎水性モノマーは約0〜約60質量%で存在する、好ましい実施形態20記載のモノマーミックス。
【0186】
47.前記シリコーン不含疎水性モノマーは約0〜約60質量%で存在する、好ましい実施形態21記載のモノマーミックス。
【0187】
48.前記シリコーン不含疎水性モノマーはアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートからなる群より選ばれる、好ましい実施形態20記載のモノマーミックス。
【0188】
49.前記シリコーン不含疎水性モノマーはアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートからなる群より選ばれる、好ましい実施形態21記載のモノマーミックス。
【0189】
50.前記共重合可能な第二のモノマーはメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシプロピルシラン、フェニルテトラメチル−ジシロキサニルエチルアクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピオールアリルカルバメート及び3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネートからなる群より選ばれる嵩高モノマーである、好ましい実施形態20記載のモノマーミックス。
【0190】
51.前記共重合可能な第二のモノマーはメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシプロピルシラン、フェニルテトラメチル−ジシロキサニルエチルアクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピオールアリルカルバメート及び3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネートからなる群より選ばれる嵩高モノマーである、好ましい実施形態21記載のモノマーミックス。
【0191】
52.前記嵩高モノマーは約0〜約41.2質量%で存在する、好ましい実施形態50記載のモノマーミックス。
【0192】
53.前記嵩高モノマーは約34〜約41質量%で存在する、好ましい実施形態50記載のモノマーミックス。
【0193】
54.前記嵩高モノマーは約25〜約41質量%で存在する、好ましい実施形態50記載のモノマーミックス。
【0194】
55.前記嵩高モノマーは約0〜約41.2質量%で存在する、好ましい実施形態51記載のモノマーミックス。
【0195】
56.前記嵩高モノマーは約34〜約41質量%で存在する、好ましい実施形態51記載のモノマーミックス。
【0196】
57.前記嵩高モノマーは約25〜約41質量%で存在する、好ましい実施形態51記載のモノマーミックス。
【0197】
58.少なくとも1種のシリコーン含有モノマー及び少なくとも1種の親水性モノマーを含む混合物を含む、好ましい実施形態26記載のモノマーミックス。
【0198】
59.別個の架橋剤を含む、好ましい実施形態26記載のモノマーミックス。
【0199】
60.前記別個の架橋剤はメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)及びアリルメタクリレート(AMA)からなる群より選ばれる、好ましい実施形態59記載のモノマーミックス。
【0200】
61.前記別個の架橋剤は約0〜約76質量%で存在する、好ましい実施形態60記載のモノマーミックス。
【0201】
62.前記別個の架橋剤は約2〜約20質量%で存在する、好ましい実施形態60記載のモノマーミックス。
【0202】
63.前記別個の架橋剤は約5〜約13質量%で存在する、好ましい実施形態60記載のモノマーミックス。
【0203】
64.前記シリコーン含有モノマーは架橋剤である、好ましい実施形態27記載のモノマーミックス。
【0204】
65.前記共重合可能な第二のモノマーは親水性モノマーである、好ましい実施形態20記載のモノマーミックス。
【0205】
66.前記親水性モノマーは不飽和カルボン酸、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル置換アルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン(NVP)、1−ビニルアゾナン−2−オン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0206】
67.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約60質量%の量で存在する、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0207】
68.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約20〜約45質量%の量で存在する、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0208】
69.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約48.6質量%の量で存在する、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0209】
70.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約30質量%の量で存在する、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0210】
71.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約25質量%の量で存在する、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0211】
72.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約9.5質量%の量で存在する、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0212】
73.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約2〜約7質量%の量で存在する、好ましい実施形態65記載のモノマーミックス。
【0213】
74.前記共重合可能な第二のモノマーは親水性モノマーである、好ましい実施形態21記載のモノマーミックス。
【0214】
75.前記親水性モノマーは不飽和カルボン酸、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル置換アルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン(NVP)、1−ビニルアゾナン−2−オン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0215】
76.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約60質量%の量で存在する、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0216】
77.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約20〜約45質量%の量で存在する、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0217】
78.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約48.6質量%の量で存在する、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0218】
79.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約30質量%の量で存在する、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0219】
80.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約25質量%の量で存在する、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0220】
81.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約0〜約9.5質量%の量で存在する、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0221】
82.前記親水性モノマーは、別々に又は組み合わせ質量で、約2〜約7質量%の量で存在する、好ましい実施形態74記載のモノマーミックス。
【0222】
83.有機希釈剤をさらに含む、好ましい実施形態36記載のモノマーミックス。
【0223】
84.前記有機希釈剤はアルコール、tert-ブタノール(TBA)、tert-アミルアルコール、ヘキサノール及びノナノール、ジオール、エチレングリコール、ポリオール、グリセロール及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、好ましい実施形態83記載のモノマーミックス。
【0224】
85.前記有機希釈剤はモノマー混合物の約0〜約60質量%で存在する、好ましい実施形態83記載のモノマーミックス。
【0225】
86.前記有機希釈剤は約1〜約40質量%で存在する、好ましい実施形態83記載のモノマーミックス。
【0226】
87.前記有機希釈剤は約2〜約30質量%で存在する、好ましい実施形態83記載のモノマーミックス。
【0227】
88.前記有機希釈剤は約3〜約25質量%で存在する、好ましい実施形態83記載のモノマーミックス。
【0228】
89.有機希釈剤をさらに含む、好ましい実施形態40記載のモノマーミックス。
【0229】
90.前記有機希釈剤はアルコール、tert-ブタノール(TBA)、tert-アミルアルコール、ヘキサノール及びノナノール、ジオール、エチレングリコール、ポリオール、グリセロール及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、好ましい実施形態89記載のモノマーミックス。
【0230】
91.前記有機希釈剤はモノマー混合物の約0〜約60質量%で存在する、好ましい実施形態89記載のモノマーミックス。
【0231】
92.前記有機希釈剤は約1〜約40質量%で存在する、好ましい実施形態89記載のモノマーミックス。
【0232】
93.前記有機希釈剤は約2〜約30質量%で存在する、好ましい実施形態89記載のモノマーミックス。
【0233】
94.前記有機希釈剤は約3〜約25質量%で存在する、好ましい実施形態89記載のモノマーミックス。
【0234】
95.約0.1〜約75.8質量%のメタクリルアミド架橋剤、約0〜約41.2質量%の嵩高シロキサンモノマー、約0〜78質量%の少なくとも1種の親水性モノマー、約0〜約48.6質量%のアルコール、約0.1〜約29.9質量%のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー、約0.1〜約1.0質量%の開始剤及び約90〜約200ppmの可視着色剤を含む重合性モノマー混合物を含むモノマーミックスを重合したものを含むヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0235】
96.重合性モノマー混合物の一部として、約5〜約13質量%のメタクリルアミド架橋剤、約34〜約41質量%の嵩高シロキサンモノマー、約28〜52質量%の少なくとも1種の親水性モノマー、約0〜約25質量%のアルコール、約5〜約15質量%のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー、約0.2〜約0.8質量%の開始剤及び約90〜約145ppmの可視着色剤を含む、好ましい実施形態95記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0236】
97.重合性モノマー混合物の一部として、約2〜約8質量%のメタクリルアミド架橋剤、約25〜約38質量%の嵩高シロキサンモノマー、約35〜45質量%の少なくとも1種の親水性モノマー、約3〜約8質量%のアルコール、約10〜約13質量%のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー、約0.3〜約0.6質量%の開始剤及び約145〜約200ppmの可視着色剤を含む、好ましい実施形態95記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0237】
98.メディカルデバイスを形成するのに有用なモノマーミックスであって、前記モノマーミックスは好ましい実施形態1〜17のいずれか1つのモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーを含み、そして重合したときに、目の中又は目の上に移植されるべき眼科メディカルデバイスを形成する、モノマーミックス。
【0238】
99.実施形態18〜94のいずれか1項記載のモノマーミックスを重合したものを含む、メディカルデバイス。
【0239】
100.前記メディカルデバイスは少なくとも1種の下記のモノマー:HEMA、グリセリルメタクリレート、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド又はN,N’−ジメチルアクリルアミド;それらのコポリマー;親水性プレポリマー、たとえば、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、環状ラクタム、たとえば、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーを含むポリマーにより被覆されている、実施形態99記載のメディカルデバイス。
【0240】
101.好ましい実施形態1〜17のいずれか1つのモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーを含むモノマーミックスを、メディカルデバイスを形成するのに適したモールド中に提供すること、及び、前記モノマーミックスを重合しそして目の中又は目の上に移植されるべき眼科メディカルデバイスを形成するのに十分な強度でかつ十分な時間、前記モノマーミックスを含むモールドを少なくとも可視光に暴露すること、を含む、メディカルデバイスの製造方法。
【0241】
102.コンタクトレンズを溶液中に保持するために形成されたウェルを有するフランジと、該フランジの上に延在しておりかつ前記ウェル中にレンズ及び溶液をシールするためのウェルの周囲でシールされている柔軟性カバーシートを含むパッケージであって、該パッケージは互いに反対側に形成されておりかつフランジからほぼ垂直に延在している第一の支持構造及び第二の支持構造を少なくとも有し、該支持構造は平坦な表面上にパッケージを安定的に支持するような形態であるパッケージ中に、実施形態18〜94のいずれか1つのモノマーミックスのモノマー混合物を重合したものを含む、ヒドロゲルコンタクトレンズ系。
【0242】
103.パッケージング系の構成要素としてパッケージング溶液をさらに含み、該パッケージ溶液はアニオンポリマー、たとえば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)又はカルボキシメチルセルロース、カチオンポリマー、たとえば、ポリマーJR又は潜伏性アミンを有するポリマー、両イオン性成分、たとえば、ホスホコリン、ポリホスホコリン又は潜伏性アミノ酸、ポリペプチド、たとえば、ポリ(グルタミン酸)又はポリ(リシン)、非イオン性界面活性剤、たとえば、Tetronic T1107、Tetronic T908、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シリコーン界面活性剤(NVP−コ−TRIS VC)又はグリセレスココエート(Glycereth cocoate)及び上記のパッケージング溶液成分のいずれかの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む、実施形態102記載のヒドロゲルコンタクトレンズ系。
【0243】
104.各支持構造は一般に間隔が空いた互いに平行の平面にある主要壁及び非主要壁を含む、実施形態102又は103記載のヒドロゲルコンタクトレンズ系。
【0244】
105.前記主要壁及び非主要壁は1つ以上のポイントに沿って相互に連結し又は接触している、実施形態104記載のヒドロゲルコンタクトレンズ系。
【0245】
106.前記非主要壁はそれぞれの主要壁の内側にある、実施形態102〜105のいずれか1項記載のヒドロゲルコンタクトレンズ系。
【0246】
107.本明細書中に実質的に示しそして記載したとおりのモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー。
【0247】
108.本明細書中に実質的に示しそして記載したとおりのモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー及び少なくとも1種の他のモノマーを含むモノマーミックス。
【0248】
109.本明細書中に実質的に示しそして記載したとおりのモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー及び少なくとも1種の他のモノマーを含むモノマーミックスを重合したものを含むメディカルデバイス。
【0249】
110.前記メディカルデバイスは本明細書中に実質的に示しそして記載したとおりの少なくとも1種の下記の材料:HEMA、グリセリルメタクリレート、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド又はN,N’−ジメチルアクリルアミド;それらのコポリマー;親水性プレポリマー、たとえば、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、環状ラクタム、たとえば、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、又はそれらの誘導体、親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーを含むコーティング材料により被覆されている、実施形態109記載のメディカルデバイス。
【0250】
111.コンタクトレンズを溶液中に保持するために形成されたウェルを有するフランジと、該フランジの上に延在しておりかつ前記ウェル中にレンズ及び溶液をシールするためのウェルの周囲でシールされている柔軟性カバーシートを含むパッケージであって、該パッケージは互いに反対側に形成されておりかつフランジからほぼ垂直に延在している第一の支持構造及び第二の支持構造を少なくとも有し、該支持構造は平坦な表面上にパッケージを安定的に支持するような形態であるパッケージ中に、実施形態18〜94のいずれか1つのモノマーミックスのモノマー混合物を重合したものを含む、ヒドロゲルコンタクトレンズ系であって、前記溶液はパッケージ溶液であり、該パッケージ溶液は本明細書中に実質的に示しそして記載したとおりのアニオンポリマー、たとえば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)又はカルボキシメチルセルロース、カチオンポリマー、たとえば、ポリマーJR又は潜伏性アミンを有するポリマー、両イオン性成分、たとえば、ホスホコリン、ポリホスホコリン又は潜伏性アミノ酸、ポリペプチド、たとえば、ポリ(グルタミン酸)又はポリ(リシン)、非イオン性界面活性剤、たとえば、Tetronic T1107、Tetronic T908、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シリコーン界面活性剤(NVP−コ−TRIS VC)又はグリセレスココエート(Glycereth cocoate)及び上記のパッケージング溶液成分のいずれかの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む、ヒドロゲルコンタクトレンズ系。
【0251】
112.モノマー混合物の重合したものの中に、コモノマーとしてモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーを含むヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、本明細書中に実質的に示しそして記載したとおりに行う、方法。
【0252】
113.ヒドロゲルコンタクトレンズ系の中のパッケージング溶液の一部として、ポリホスホリルコリンを含む、ヒドロゲルコンタクトレンズ系。
【0253】
本明細書中に開示された実施形態に種々の変更がさなれてよいことは理解されるであろう。それゆえ、上記の記載は限定するものとしてでなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。たとえば、本発明を実施するための最良の形態として上記しそして実現した機能は例示の目的に過ぎない。本発明の範囲及び精神を逸脱することなく当業者が他の構成及び方法を実現することが可能である。さらに、当業者は添付の特徴及び利点の範囲及び精神の範囲内で他の変更を想起するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1〜約75.8質量%のメタクリルアミド架橋剤、約0〜約41.2質量%の嵩高シロキサンモノマー、約0〜78質量%の少なくとも1種の親水性モノマー、約0〜約48.6質量%のアルコール、約0.1〜約29.9質量%のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー、約0.1〜約1.0質量%の開始剤及び約90〜約200ppmの可視着色剤を含む重合性モノマー混合物を含むモノマーミックスを重合したものを含むヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項2】
重合性モノマー混合物の一部として、約5〜約13質量%のメタクリルアミド架橋剤、約34〜約41質量%の嵩高シロキサンモノマー、約28〜52質量%の少なくとも1種の親水性モノマー、約0〜約25質量%のアルコール、約5〜約15質量%のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー、約0.2〜約0.8質量%の開始剤及び約90〜約145ppmの可視着色剤を含む、請求項1記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項3】
重合性モノマー混合物の一部として、約2〜約8質量%のメタクリルアミド架橋剤、約25〜約38質量%の嵩高シロキサンモノマー、約35〜45質量%の少なくとも1種の親水性モノマー、約3〜約8質量%のアルコール、約10〜約13質量%のモノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマー、約0.3〜約0.6質量%の開始剤及び約145〜約200ppmの可視着色剤を含む、請求項1記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは構造式(I)
【化1】

(上式中、Xは開環剤又はキャッピング剤の残基であり、Lは同一であるか又は異なり、そして結合基又は結合であり、Vはエチレン系不飽和重合性基であり、R、R、R、R、R、Rは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル又は芳香族であり、R及びRは、存在する場合には、独立に、H又はアルキルであり、R又はRの少なくとも1つは水素であり、yは2〜7であり、そしてnは1〜100である)を有するモノマーである、請求項1〜3のいずれか1項記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは構造式(II)
【化2】

(上式中、Lは同一であるか又は異なり、そして結合基又は結合であり、Vは同一であるか又は異なり、そしてエチレン系不飽和重合性基であり、R、R、R、R、R、R及びRは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル又は芳香族であり、R及びRは独立に、H又はアルキルであり、R又はRの少なくとも1つは水素であり、yは2〜7であり、そしてnは1〜100である)を有するモノマーである、請求項1〜3のいずれか1項記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項6】
Xは酸触媒の存在下でのアルキルリチウム、アルコキシド、トリアルキルシロキシリチウム及びアクリルエステルキャップされたポリシロキサンプレポリマーからなる群より選ばれる開環剤の残基である、請求項4記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記結合基は置換もしくは未置換アルキル、アルキルエーテル、アルケニル、アルケニルエーテル、ハロアルキル、置換もしくは未置換シロキサン及び開環を伝播することができるモノマーからなる群より選ばれる、請求項4又は5記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは構造式(III)
【化3】

(上式中、R、R10及びR11は独立にH、アルキル、ハロアルキル又は他の置換アルキル基であり、nは1〜100であり、そしてnは0〜10である)を有するモノマーである、請求項1〜3のいずれか1項記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは構造式(IV)
【化4】

(上式中、nは1〜100である)を有するモノマーである、請求項1〜3のいずれか1項記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項10】
nは2〜80である、請求項9記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項11】
nは3〜20である、請求項9記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項12】
nは5〜15である、請求項9記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項13】
Vはアクリレート、メタクリレート、ビニルカーボネート、O−ビニルカルバメート、N−ビニルカルバメート、アクリルアミド及びメタクリルアミドからなる群より選ばれる、請求項4又は5記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは下記構造式
【化5】

からなる群より選ばれる構造式を有するモノマーである、請求項4記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは下記構造式
【化6】

(上式中、R、R10及びR11は独立にH、アルキル、ハロアルキル又は他の置換アルキル基であり、そしてnは1〜100であり、そしてnは0〜10である)からなる群より選ばれる構造式を有するモノマーである、請求項4記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは下記構造式
【化7】

(上式中、nは1〜100であり、そしてXは全体として中性電荷を提供する対イオンである)からなる群より選ばれる構造式を有するモノマーである、請求項4記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記モノエチレン系不飽和重合性基含有ポリカルボシロキサンモノマーは下記構造式
【化8】

を有するモノマーである、請求項4記載のヒドロゲルコンタクトレンズ。

【公表番号】特表2012−533090(P2012−533090A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519720(P2012−519720)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041336
【国際公開番号】WO2011/005937
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】