モバイルプリンティングシステムおよびサーバー装置
【課題】 携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理を、一括して集中的に行うとともに、文書データファイルに基づく印刷を行う場合、事前に課金額をユーザーに提示する。
【解決手段】機器管理サーバー装置3は、(a)携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、(b)印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、携帯端末装置1との接続を確立したセットトップボックス6A(6B)へ送信し、そのセットトップボックスは、(c)課金額情報を受信し、その課金額を、その携帯端末装置1等で表示させ、(d)印刷承認のユーザー操作が検出された後、その機体識別子についての印刷データを機器管理サーバー装置3から取得し、そのセットトップボックスに接続された複合機へ供給して印刷を実行させる。
【解決手段】機器管理サーバー装置3は、(a)携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、(b)印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、携帯端末装置1との接続を確立したセットトップボックス6A(6B)へ送信し、そのセットトップボックスは、(c)課金額情報を受信し、その課金額を、その携帯端末装置1等で表示させ、(d)印刷承認のユーザー操作が検出された後、その機体識別子についての印刷データを機器管理サーバー装置3から取得し、そのセットトップボックスに接続された複合機へ供給して印刷を実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルプリンティングシステムおよびサーバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、スマートフォンなどといった携帯端末装置が普及しつつある。そのような携帯電話機を使用した印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、あるユーザー(送信ユーザー)が別のユーザー(受信ユーザー)に文書を送信する場合、クライアントPCが、(a)送信ユーザーにより指定された携帯電話機の番号に基づいて、携帯電話網の位置検出サービスを使用して、受信ユーザーの携帯電話機が存在する事業所またはフロアを特定し、(b)その事業所またはフロアに配置されているプリンターに接続されているブルートゥース通信装置を使用して受信ユーザーの携帯電話機(つまり、指定された番号の携帯電話機)を検索し、(c)受信ユーザーの携帯電話機を発見したブルートゥース通信装置に接続されているプリンターを、文書を印刷するプリンターとして選択し、(d)そのプリンターで印刷するか否かをユーザーに問い合わせる電子メールを、受信ユーザーの携帯電話機に送信し、(e)受信ユーザーの携帯電話機からの、印刷する旨の返答に従って、選択したプリンターに文書の印刷を実行させる。
【0004】
特許文献2に記載のシステムでは、複合機が、ブルートゥースで携帯電話機との接続を確立し、携帯電話機から画像データを受信してその画像データに基づく印刷を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−21860号公報
【特許文献2】特開2010−219680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のシステムでは、携帯電話機といった携帯端末装置に固有の機体識別子を管理していないため、携帯電話機といった携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定など)を、ある装置で一括して集中的に行うことが困難である。
【0007】
また、例えば、プリンターでそのような印刷に関する処理を行おうとすると、複数のプリンターが使用される可能性がある場合には、それらのプリンターのそれぞれにおいて、携帯端末装置の機体識別子を管理する必要があり、管理者やユーザーなどが、携帯端末装置の機体識別子の登録、印刷設定情報の登録や変更などを、すべてのプリンターに対して行わなければならず、作業が煩雑になってしまい、現実的ではない。
【0008】
さらに、このようなシステムにおいて文書データファイルに基づく印刷を行う場合、印刷設定によって課金額が変わるため、事前に課金額をユーザーに提示することが困難である。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)を、一括して集中的に行うとともに、文書データファイルに基づく印刷を行う場合、事前に課金額をユーザーに提示するモバイルプリンティングシステムおよびそのシステムで使用可能なサーバー装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。印刷制御装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる。
【0012】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。また、印刷前に課金額がユーザーに提示される。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得、送信を行うことができる。
【0013】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を画像形成装置へ送信する。画像形成装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。
【0014】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示される。
【0015】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する。
【0016】
これにより、携帯端末装置に、文書データファイルを印刷データに変換するドライバーをインストールしておく必要がない。
【0017】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0018】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0019】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する際に課金額を計算する。
【0020】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、印刷データに基づき画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する文書データファイルの送信元である携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持する。
【0021】
これにより、印刷についての課金をサーバー装置で集中的に行うことができる。
【0022】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、印刷制御装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、通信装置によりその通信方式で、周囲に存在する携帯端末装置を検出する。
【0023】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、通信装置によりその通信方式で、周囲に存在する携帯端末装置を検出する。
【0024】
本発明に係るサーバー装置は、予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、機体識別子が記憶装置に記憶されている携帯端末装置から送信されてくる文書データファイルを受信する文書データファイル受信部と、文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、印刷データの送信先から携帯端末装置の機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置から文書データファイル受信部により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷データの送信先へ送信し、印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、印刷承認通知が受信された後に、印刷データを印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部とを備える。
【0025】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定など)が、このサーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示される。
【0026】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データへ変換するデータ変換部をさらに備え、記憶装置は、機体識別子に関連付けて印刷設定データを記憶している。そして、データ変換部は、印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0027】
これにより、携帯端末装置に、文書データファイルを印刷データに変換するドライバーをインストールしておく必要がない。さらに、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0028】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、課金処理部は、データ変換部が文書データファイルを印刷データに変換する際に課金額を計算する。
【0029】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、機体識別子に関連付けて文書データファイルをジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、その機体識別子に関連付けられた文書データファイルをジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを機器管理サーバー装置から受信する印刷制御装置と、印刷データを前記印刷制御装置から受信し、印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備える。そして、機器管理サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。印刷制御装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置から受信する。
【0030】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置等で一括して集中的に行われる。また、印刷前に課金額がユーザーに提示される。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得、送信を行うことができる。
【0031】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、機体識別子に関連付けて文書データファイルをジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、その機体識別子に関連付けられた文書データファイルをジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを機器管理サーバー装置から受信し、印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備える。そして、機器管理サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。画像形成装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置から受信する。
【0032】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置等で一括して集中的に行われる。また、印刷前に課金額がユーザーに提示される。
【0033】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する際に課金額を計算する。
【0034】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、印刷データに基づき画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する文書データファイルの送信元である携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持する。
【0035】
これにより、印刷についての課金を機器管理サーバー装置で集中的に行うことができる。
【0036】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、機体識別子を受信したとき、その機体識別子により認証処理を行う。
【0037】
これにより、印刷に関する認証処理が、機器管理サーバー装置で一括して集中的に行われる。
【0038】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、携帯端末装置の機体識別子に関連付けて格納された印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0039】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0040】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。印刷設定データには、認可情報設定が含まれる。
【0041】
これにより、携帯端末装置ごとに、認可情報設定(各種機能の使用制限の設定)を適用することができる。
【0042】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。印刷制御装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる。
【0043】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得を行うことができる。さらに、サーバー装置がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0044】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を画像形成装置へ送信する。画像形成装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。
【0045】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、サーバー装置がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0046】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、ダウンロードした文書データファイルを印刷データに変換する。
【0047】
これにより、携帯端末装置に、文書データファイルを印刷データに変換するドライバーをインストールしておく必要がない。また、ユーザーがクラウドサービス上で文書データファイルを携帯端末装置の機体識別子に関連付けておけば、サーバー装置は、その文書データファイルを自動的にダウンロードする。その後、ユーザーが印刷したいときには文書データファイルに対応する印刷データが既にサーバー装置において生成されているため、印刷実行までの時間が短くなる。
【0048】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0049】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0050】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、印刷設定データをクラウドサーバー装置からダウンロードし、ダウンロードした印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0051】
これにより、ユーザーがクラウドサービス上で印刷設定を入力することができるので、ユーザーは、印刷したいときに、印刷設定を簡単に入力することができる。
【0052】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する際に上述の課金額を計算する。
【0053】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、印刷データに基づき画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する文書データファイルの送信元である携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持する。
【0054】
これにより、印刷についての課金をサーバー装置で集中的に行うことができる。
【0055】
本発明に係るサーバー装置は、予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、記憶装置に記憶されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードする文書データファイル受信部と、文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、その印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷データの送信先へ送信し、印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、印刷承認通知が受信された後に、印刷データを印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部とを備える。
【0056】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、サーバー装置がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0057】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データへ変換するデータ変換部を備える。データ変換部は、クラウドサーバー装置からダウンロードされた印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0058】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。また、ユーザーがクラウドサービス上で印刷設定を入力することができるので、ユーザーは、印刷したいときに、印刷設定を簡単に入力することができる。
【0059】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、課金処理部は、データ変換部が文書データファイルを印刷データに変換する際に上述の課金額を計算する。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、モバイルプリンティングシステムにおいて、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、一括して集中的に行われるとともに、文書データファイルに基づく印刷を行う場合、事前に課金額がユーザーに提示される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1における携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1における機器管理サーバー装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示す機器管理サーバー装置の記憶装置に記憶されている登録機器データの構成を示す図である。
【図5】図5は、図1におけるジョブ管理サーバー装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、図1における複合機の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図1におけるセットトップボックスの構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、図1に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図9】図9は、実施の形態1において、ユーザーが印刷承認を行うための入力画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、図10における複合機の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、図10に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態3に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、図13における機器管理サーバー装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、図13に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態4に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、図16に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図18】図18は、印刷データのリストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0063】
実施の形態1.
【0064】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムでは、ユーザーの携帯する携帯端末装置1が無線通信で基地局2aを介してネットワーク2に接続する。そのネットワーク2には、機器管理サーバー装置3、およびジョブ管理サーバー装置4が接続されており、さらに、学校などの公共施設や店舗などに配置されている1または複数の複合機5A,5Bにそれぞれ接続されたセットトップボックス6A,6Bがネットワーク2に接続されている。なお、図1では、携帯端末装置1が1台のみ描かれているが、複数のユーザーが存在する場合、複数のユーザーがそれぞれ携帯端末装置1を携帯している。また、機器管理サーバー装置3およびジョブ管理サーバー装置4は、例えば、ネットワーク2における同一のLAN(Local Area Network)に配置される。
【0065】
携帯端末装置1は、スマートフォンなどといった小型の携帯可能な端末装置であって、無線ネットワーク機能を有するとともに、ブルートゥースなどの近距離通信機能を有する。
【0066】
ネットワーク2は、インターネットなどの広域ネットワークである。なお、ネットワーク2は、LANでもよいし、広域ネットワークとそれに接続されたLANとからなるネットワークでもよい。
【0067】
機器管理サーバー装置3は、携帯端末装置1からネットワーク2を介して送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、文書データファイルに対応する印刷データを、セットトップボックス6A,6Bからの要求に応じて送信する。この印刷データは、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式のものである。機器管理サーバー装置3は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、印刷データの送信先となるセットトップボックス6A,6Bへ送信する。
【0068】
この実施の形態1では、機器管理サーバー装置3は、携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて印刷データをジョブ管理サーバー装置4に一時的に格納させておき、機体識別子を伴うデータ送信要求があると、その機体識別子に関連付けられている印刷データを要求元のセットトップボックス6A,6Bに送信させる。
【0069】
なお、この実施の形態1では、機器管理サーバー装置3は、要求の受信前に、文書データファイルを印刷データへ変換するが、機体識別子に関連付けて文書データファイルをジョブ管理サーバー装置4に一時的に格納させておき、機体識別子を伴うデータ送信要求を受信してから、その文書データファイルをジョブ管理サーバー装置4から読み出し、文書データファイルを印刷データへ変換するようにしてもよい。
【0070】
ジョブ管理サーバー装置4は、機器管理サーバー装置3からの要求に応じて、機体識別子に関連付けて印刷データ(あるいは文書データファイル)を保存する。なお、この実施の形態1では、機器管理サーバー装置3とは別の装置として、ジョブ管理サーバー装置4を設けているが、その代わりに、機器管理サーバー装置3内にジョブ管理サーバー装置4の構成要素を設け、1つのサーバー装置としてもよい。
【0071】
複合機5Aは、プリンター機能、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備え、複合機5Aの操作パネル、セットトップボックス6Aなどからの指令に従って上述の機能で各種ジョブを実行する画像形成装置である。特に、この実施の形態1では、複合機5Aにはセットトップボックス6Aが接続されており、セットトップボックス6Aから複合機5Aへ印刷データが供給され、複合機5Aのプリンター機能により印刷が実行される。複合機5Bも同様の装置である。
【0072】
セットトップボックス6Aは、周囲に存在する携帯端末装置1を検出すると、検出した携帯端末装置1の機体識別子を取得し、その機体識別子とともに機器管理サーバー装置3において受信された文書データファイルに対応する印刷データを、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、複合機5Aへ供給して印刷を実行させる。セットトップボックス6Bも同様の装置である。セットトップボックス6Aは、印刷データを取得する前に、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3から課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該セットトップボックス6A、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかで表示させ、当該セットトップボックス6A、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、複合機5Aへ供給して印刷を実行させる。
【0073】
ここで、システム内の各装置の構成について説明する。
【0074】
図2は、図1における携帯端末装置1の構成を示すブロック図である。
【0075】
携帯端末装置1は、無線ネットワークインターフェース11、近距離通信インターフェース12、演算処理装置13、表示装置14、入力装置15、および記憶装置16を有する。
【0076】
無線ネットワークインターフェース11は、無線LANおよび/または携帯電話回線でネットワーク2に接続する回路である。無線ネットワークインターフェース11は、無線ネットワークインターフェース11に固有のMAC(Media Access Control)アドレス11aを有する。
【0077】
近距離通信インターフェース12は、比較的近距離(例えば約10メートル以内)に存在する同一通信方式のインターフェースと無線通信する回路である。この実施の形態1では、近距離通信インターフェース12として、ブルートゥースが使用される。
【0078】
近距離通信インターフェース12は、近距離通信インターフェース12に固有のMACアドレス12aを有する。なお、MACアドレスは、インターフェースごとに割り当てられるため、MACアドレス11aとMACアドレス12aは互いに異なる値を有する。
【0079】
演算処理装置13は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置13において、CPUが、ROMや記憶装置16に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置13では、ネットワーク通信処理部21、近距離通信処理部22、ファイル送信処理部23、機器指定部24などが実現される。
【0080】
ネットワーク通信処理部21は、無線ネットワークインターフェース11または図示せぬ携帯電話のベースバンド回路を制御してネットワーク2に接続されている機器(機器管理サーバー装置3など)とのデータ通信を所定の通信プロトコル(HTTP(Hypertext Transfer Protocol)など)で実行する。
【0081】
近距離通信処理部22は、近距離通信インターフェース12を制御して、通信可能範囲内にある他の機器の近距離通信インターフェースとの接続を確立し、その機器とのデータ通信を実行する。
【0082】
ファイル送信処理部23は、近距離通信処理部22で近距離通信インターフェース12のMACアドレス12aを読み出し、そのMACアドレス12aをこの携帯端末装置1の機体識別子として、文書データファイルとともに、ネットワーク通信処理部21で機器管理サーバー装置3へ送信する。なお、文書データファイルは、例えばマイクロソフト社製のオフィスアプリケーションで生成されたファイル、テキストファイル、PDF(Portable Document Format)ファイル、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などのイメージファイルなどである。
【0083】
機器指定部24は、近距離通信インターフェース12で、近隣に存在する1または複数の近距離通信インターフェース(セットトップボックス6A,6Bの近距離通信インターフェース)が検出されたときに、印刷に使用するセットトップボックス(セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6B)を選択する。
【0084】
例えば、機器指定部24は、表示装置14に、検出された近距離通信インターフェースのリストを表示し、入力装置15に対する操作によりそのリストから選択された近距離通信インターフェース(つまり、セットトップボックス6A,6B)を、印刷に使用するセットトップボックスを選択する。
【0085】
あるいは、機器指定部24は、検出された近距離通信インターフェースのうちの1つを自動的に選択する。その場合、例えば、検出された近距離通信インターフェースが1つであるときには、その近距離通信インターフェースが選択され、検出された近距離通信インターフェースが複数であるときには、近距離通信インターフェース12で検出された電波強度が最も高いものが選択される。
【0086】
また、表示装置14は、例えば、液晶ディスプレイ、各種インジケータなどである。入力装置15は、例えば、タッチパネル、キースイッチなどである。記憶装置16は、プログラムやデータなどを記憶する、フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶装置である。
【0087】
図3は、図1における機器管理サーバー装置3の構成を示すブロック図である。
【0088】
機器管理サーバー装置3は、記憶装置31、ネットワークインターフェース32、および演算処理装置33を有する。
【0089】
記憶装置31は、プログラムやデータを記憶する装置である。記憶装置31には、不揮発性半導体メモリー、ハードディスクドライブなどが使用される。記憶装置31には、登録機器データ31aが記憶されている。
【0090】
図4は、図3に示す機器管理サーバー装置3の記憶装置31に記憶されている登録機器データ31aの構成を示す図である。
【0091】
登録機器データ31aは、予め登録されている1または複数の携帯端末装置1に固有の機体識別子(この実施の形態1では、MACアドレス)を有する。そして、登録機器データ31aには、機体識別子に関連付けられた印刷設定データ、課金データ、印刷データリストなどが含まれている。
【0092】
印刷設定データは、その機体識別子からの文書データファイルに対して適用される印刷設定を指定するデータである。印刷設定データには、例えば、印刷部数、用紙設定(用紙サイズ、用紙方向など)、カラー設定(カラーかモノクロか)、片面/両面印刷設定、集約印刷設定(2in1、4in1などの設定)、解像度設定、エコノミー印刷設定などの設定項目の値が含まれている。例えば、ユーザーが携帯端末装置1を操作して機器管理サーバー装置3に印刷設定データを登録する。その際、携帯端末装置1は、機体識別子と印刷設定データとを機器管理サーバー装置3へ送信し、機器管理サーバー装置3では、登録機器データ31aにおいて、その機体識別子に関連付けてその印刷設定データが記憶される。なお、印刷設定データには、例えば、ネットワーク2に接続された管理者用端末装置を使用して登録された、機体識別子に関連付けられた認可情報設定(例えば、印刷上限枚数の制限設定、モノクロ印刷のみの制限設定、エコノミー印刷のみの制限設定、集約印刷のみの制限設定、両面印刷のみの制限設定など)の制限設定項目の値が含まれていてもよい。
【0093】
課金データには、課金方法の情報、課金先の情報、合計課金額の情報(またはページカウンターなどといった課金額に対応する情報)などが含まれている。
【0094】
印刷データリストは、印刷処理が完了していない印刷データ(つまり、ジョブ管理サーバー装置4にスプールされている印刷データ)のリストである。
【0095】
ネットワークインターフェース32は、ネットワーク2に接続され、ネットワーク2に接続された他の機器(例えば携帯端末装置1、ジョブ管理サーバー装置4、セットトップボックス6A,6Bなど)とデータ通信を行う。
【0096】
演算処理装置33は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置33において、CPUが、ROMや記憶装置31に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置33では、ネットワーク通信処理部41、ジョブ登録処理部42、データ変換部43、ジョブ送信処理部44、課金処理部45などが実現される。
【0097】
ネットワーク通信処理部41は、ネットワークインターフェース32を使用して、ネットワーク2に接続されている他の機器とのデータ通信を所定の通信プロトコルで実行する。
【0098】
ジョブ登録処理部42は、ネットワーク通信処理部41で、機体識別子が登録機器データ31aとして記憶装置31に記憶されている携帯端末装置1からネットワーク2を介して送信されてくる文書データファイルを受信する。なお、ジョブ登録処理部42は、送信されてきた機体識別子が登録機器データ31aに登録されていない場合、その機体識別子とともに受信された文書データファイルを破棄する。これにより、登録されていない携帯端末装置1からの印刷が禁止される。
【0099】
データ変換部43は、文書データファイルを印刷データに変換する。複合機5A,5Bにより処理可能な印刷データがPDL(Page Description Language)データである場合には、データ変換部43は、文書データファイルをPDLデータに変換する。また、データ変換部43は、PDLデータの他にも例えばPDFデータに変換してもよい。さらに、データ変換部43は、その文書データファイルとともに受信された機体識別子に関連付けられている印刷設定データを登録機器データ31aから抽出し、その印刷設定データにより指定される印刷設定で印刷データを生成する。
【0100】
ジョブ送信処理部44は、複合機5A,5Bで処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信する。ジョブ送信処理部44は、印刷データの要求元(この実施の形態1ではセットトップボックス6A,6B)から、要求とともに携帯端末装置1の機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データを要求元へ送信する。ジョブ送信処理部44は、課金処理部45により印刷承認通知が受信された後に、印刷データをその要求元へ送信する。その印刷データは、例えば、登録機器データ31aにおける印刷データリストにより特定される。
【0101】
課金処理部45は、印刷前の課金額の計算、および印刷後の課金データの更新を行う。課金処理部45は、複合機5A,5Bで処理可能な印刷データの送信前に、印刷データの送信先(ここでは、セットトップボックス6A,6B)から携帯端末装置1の機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷データの送信先へ送信し、印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する。なお、印刷承認通知は、ユーザーが課金額を確認し印刷承認操作を行った場合のみ、機器管理サーバー装置3へ送信されてくる。
【0102】
課金処理部45は、印刷後に、ある機体識別子について送信された印刷データに基づく印刷についての課金データ(課金額、印刷ページ数など)を生成し、生成した課金データに基づいて、登録機器データ31a内のその機体識別子についての課金データ(つまり、累積値)を更新する。
【0103】
図5は、図1におけるジョブ管理サーバー装置4の構成を示すブロック図である。
【0104】
ジョブ管理サーバー装置4は、記憶装置51、ネットワークインターフェース52、および演算処理装置53を有する。
【0105】
記憶装置51は、機器管理サーバー装置3からの印刷データなどを一時的に記憶する他、プログラム、他のデータなどを記憶する装置である。記憶装置51には、不揮発性半導体メモリー、ハードディスクドライブなどが使用される。
【0106】
ネットワークインターフェース52は、ネットワーク2に接続され、ネットワーク2に接続された他の機器(例えば機器管理サーバー装置3、セットトップボックス6A,6Bなど)とデータ通信を行う。
【0107】
演算処理装置53は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置53において、CPUが、ROMや記憶装置51に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置53では、ネットワーク通信処理部61、スプール処理部62などが実現される。
【0108】
ネットワーク通信処理部61は、ネットワークインターフェース52を使用して、ネットワーク2に接続されている他の機器とのデータ通信を所定の通信プロトコルで実行する。
【0109】
スプール処理部62は、機器管理サーバー装置3からの指令に従って、印刷データなどを受信して記憶装置51に格納したり、記憶装置51から読み出して送信したりする。
【0110】
図6は、図1における複合機5Aの構成を示すブロック図である。なお、複合機5Bも同様の構成を有する。
【0111】
複合機5Aは、操作パネル81、ネットワークインターフェース82、周辺機器インターフェース83、プリンター84、および演算処理装置85を有する。
【0112】
操作パネル81は、複合機5Aの筐体に設置され、ユーザーに各種情報を表示する表示装置81aおよびユーザー操作を受け付ける入力装置81bを有する。表示装置81aは、例えば、液晶ディスプレイ、各種インジケータなどである。入力装置81bは、例えば、タッチパネル、キースイッチなどである。
【0113】
また、ネットワークインターフェース82は、ネットワーク2に接続可能であり、ネットワーク2に接続されている他の装置との間でデータ通信を行う装置である。
【0114】
また、周辺機器インターフェース83は、USB(Universal Serial Bus)などの所定の方式の通信回路である。
【0115】
また、プリンター84は、印刷データに基づいて用紙に印刷を行い印刷物を排出する内部装置である。電子写真方式の場合、プリンター84は、感光体ドラムを帯電させた後、印刷データに基づいて光源を発光させることにより、感光体ドラム表面に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像し、トナー画像を用紙に転写し定着し、その用紙を印刷物として排出する。
【0116】
また、演算処理装置85は、複合機5Aにおける各部を制御するとともに、データ処理を行う装置である。演算処理装置85は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置85において、CPUが、ROMや他の記憶装置(フラッシュメモリーなど)に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置85では、ネットワーク通信処理部91、制御部92などが実現される。
【0117】
ネットワーク通信部91は、ネットワークインターフェース82を使用して、所定の通信プロトコルでネットワーク2に接続されている装置との間でデータ通信を行うことができる。
【0118】
制御部92は、ネットワークインターフェース82、周辺機器インターフェース83などを介して印刷データを受信すると、その印刷データに対して必要なデータ処理(ラスタライズ、ハーフトーニングなど)を施した後、その処理された印刷データに基づいてプリンター84を制御して印刷を実行する。
【0119】
図7は、図1におけるセットトップボックス6Aの構成を示すブロック図である。なお、セットトップボックス6Bも同様の構成を有する。
【0120】
セットトップボックス6Aは、ネットワークインターフェース101、近距離通信インターフェース102、周辺機器インターフェース103、表示装置104、入力装置105、記憶装置106、および演算処理装置107を有する。
【0121】
ネットワークインターフェース101は、ネットワーク2に接続され、ネットワーク2に接続されている他の機器とのデータ通信を実行する回路である。
【0122】
近距離通信インターフェース102は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12と同一通信方式のものであって、近距離通信インターフェース12との間で接続を確立できるものである。
【0123】
周辺機器インターフェース103は、複合機5Aの周辺機器インターフェース83と同一方式の周辺機器インターフェースであって、その周辺機器インターフェース83に接続されている。
【0124】
表示装置104は、例えば、液晶ディスプレイ、各種インジケータなどである。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キースイッチなどである。記憶装置106は、プログラムやデータなどを記憶する、フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶装置である。
【0125】
演算処理装置107は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置107において、CPUが、ROMや記憶装置106に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置107では、ネットワーク通信処理部111、近距離通信処理部112、印刷データ取得部113、印刷承認受付部114などが実現される。
【0126】
ネットワーク通信処理部111は、ネットワークインターフェース101を制御してネットワーク2に接続されている機器(機器管理サーバー装置3など)とのデータ通信を所定の通信プロトコル(HTTPなど)で実行する。
【0127】
近距離通信処理部112は、近距離通信インターフェース102を制御して、通信可能範囲内にある他の機器の近距離通信インターフェースとの接続を確立し、その機器とのデータ通信を実行する。
【0128】
近距離通信処理部112は、近距離通信インターフェース102により携帯端末装置1との接続が確立されると、その携帯端末装置1の機体識別子(この実施の形態1では、MACアドレス12a)を取得する。
【0129】
印刷データ取得部113は、近距離通信処理部112により携帯端末装置1の機体識別子が取得されると、ネットワーク通信処理部111を使用して、その機体識別子を付してデータ送信要求を機器管理サーバー装置3へ送信し、その要求の応答として、その機体識別子の印刷データを受信し、その印刷データを周辺機器インターフェース103で複合機5Aへ送信する。印刷データ取得部113は、印刷承認受付部114により印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、複合機5Aへ供給して印刷を実行させる。
【0130】
印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3から課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該セットトップボックス6Aの表示装置104、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかで表示させ、当該セットトップボックス6Aの入力装置105、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出されたことを特定する。
【0131】
携帯端末装置1に課金額を表示させる場合には、印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112を使用して、携帯端末装置1へ入力画面の表示指令およびその課金額情報を送信し、印刷の承認、否認などを示すユーザー操作情報を携帯端末装置1から受信する。この場合、携帯端末装置1は、その表示指令および課金額情報を受信すると、課金額を含む入力画面を表示装置14に表示させ、印刷の承認、否認などのユーザー操作を入力装置15で検出すると、そのユーザー操作情報を近距離通信インターフェース12でセットトップボックス6Aへ送信する。
【0132】
複合機5Aに課金額を表示させる場合には、印刷承認受付部114は、周辺機器インターフェース103を使用して、複合機5Aへ入力画面の表示指令およびその課金額情報を送信し、印刷の承認、否認などを示すユーザー操作情報を複合機5Aから受信する。この場合、複合機5Aは、その表示指令および課金額情報を受信すると、課金額を含む入力画面を表示装置81aに表示させ、印刷の承認、否認などのユーザー操作を入力装置81bで検出すると、そのユーザー操作情報を周辺機器インターフェース83でセットトップボックス6Aへ送信する。
【0133】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図8は、図1に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0134】
携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、このシステムを利用して印刷を行いたい場合、まず、携帯端末装置1を操作して、携帯端末装置1内に保存されている文書データファイルを機器管理サーバー装置3へアップロードする。このとき、携帯端末装置1では、入力装置15がユーザーによる所定の操作を検出すると、ファイル送信処理部23は、無線ネットワークインターフェース11およびネットワーク通信処理部21を使用して、ユーザーの操作により指定された文書データファイルを、携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)とともに、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS1)。
【0135】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ登録処理部42が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その文書データファイルおよび機体識別子を受信する。
【0136】
機体識別子と文書データファイルが受信されると、データ変換部43は、その機体識別子に関連付けられている印刷設定データを登録機器データ31aから抽出し、その印刷設定データにより指定される印刷設定で、その文書データファイルから印刷データを生成する(ステップS2)。このとき、課金処理部45は、その印刷データで印刷を実行した場合の課金額を計算し、その課金額情報を、その機体識別子および/またはその印刷データに関連付けて記憶装置31、ジョブ管理サーバー装置4などにおいて保持する(ステップS101)。
【0137】
そして、ジョブ登録処理部42は、ネットワーク通信部41およびネットワークインターフェース32を使用して、その印刷データをジョブ管理サーバー装置4に格納する(ステップS3)。なお、文書データファイルが、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式を有している場合には、データ変換部43は、データ変換を行わずに、文書データファイルを印刷データとしてジョブ管理サーバー装置4に格納する。このとき、ジョブ管理サーバー装置4では、スプール処理部62が、ネットワーク通信処理部61およびネットワークインターフェース52を使用して、その印刷データを受信すると、記憶装置51に格納する。
【0138】
次に、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルを機器管理サーバー装置3へアップロードした後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機およびセットトップボックス(複合機5Aとセットトップボックス6A、あるいは複合機5Bとセットトップボックス6B)の設置場所に行く。
【0139】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6Bの近距離通信インターフェース102の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース102と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立したセットトップボックス(セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6B)の近距離通信インターフェース102は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS11)。
【0140】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部111を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS111)。
【0141】
機器管理サーバー装置3では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、そのセットトップボックスへ送信する(ステップS112)。
【0142】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS113)。
【0143】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、その課金額を示す入力画面を表示装置14に表示させる(ステップS114)。図9は、実施の形態1において、ユーザーが印刷承認を行うための入力画面の一例を示す図である。この入力画面では、印刷前に、今回の印刷の課金額201が表示されるとともに、印刷承認ボタン202、印刷否認ボタン203、および機器管理サーバー装置3とジョブ管理サーバー装置4からこのユーザーの印刷データおよび文書データファイルを削除するためのファイル削除ボタン204が表示される。図9に示す携帯端末装置1の表示装置14の表示面上には透明なタッチパネルが入力装置15として設置されており、これらのボタン202〜203の表示部分がユーザーにより押下されると、その操作がそのタッチパネルにより検出される。なお、機器管理サーバー装置3は、課金額情報とともに、印刷データの元となった文書データファイルのファイル名などの属性情報、印刷設定情報などの関連情報を送信し、その関連情報が課金額情報とともに入力画面において表示されるようにしてもよい(実施の形態2でも同様)。図9では、課金額とともに、文書データファイルのファイル名が表示されている。
【0144】
そして、印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS115)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立しているセットトップボックスに送信する(ステップS116)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立しているセットトップボックスに送信する。
【0145】
そのセットトップボックスにおいて、印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS117)には、以下に示すように、印刷データ取得部113に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0146】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、機器管理サーバー装置3へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置3は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データをジョブ管理サーバー装置4などから削除する。
【0147】
印刷承認受付部114が印刷承認を受け付けた場合(ステップS117)、印刷データ取得部113は、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS12)。なお、機器管理サーバー装置3は、送信されてきた機体識別子が登録機器データ31aに登録されていない場合、その機体識別子とともに受信された印刷データ送信要求を破棄する。これにより、登録されていない携帯端末装置1からの印刷が禁止される。
【0148】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信する。
【0149】
ジョブ送信処理部44は、受信した機体識別子についての印刷データの送信要求をジョブ管理サーバー装置4へ送信する(ステップS13)。ジョブ管理サーバー装置4では、スプール処理部62が、ネットワーク通信処理部61およびネットワークインターフェース52を使用して、その送信要求を受信すると、その要求により指定された印刷データを記憶装置51から読み出し、機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS14)。
【0150】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データを受信すると、印刷データの要求元であるセットトップボックスへその印刷データを送信する(ステップS15)。
【0151】
そのセットトップボックスでは、印刷データ取得部113が、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その印刷データを受信し、周辺機器インターフェース103で、その印刷データを、そのセットトップボックスに接続されている複合機へ送信する(ステップS16)。
【0152】
その複合機では、制御部92は、周辺機器インターフェース83でその印刷データを受信し、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS17)。これにより、ユーザーは、自己の携帯する携帯端末装置1の文書データファイルに基づき印刷された印刷物を得ることができる。
【0153】
印刷が完了すると、制御部92は、その印刷データについての印刷完了通知を、セットトップボックスを介して、またはセットトップボックスを介さずに直接ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS18)。
【0154】
機器管理サーバー装置3では、課金処理部45が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷完了通知を受信すると、その印刷完了通知に対応する印刷データについての課金処理を実行する(ステップS19)。
【0155】
なお、図示せぬコインベンダーがセットトップボックス6A,6Bに接続されている場合、課金処理部45は、そのコインベンダーを制御して決済処理を行う。また、クレジット決済などの外部サーバーを使用する決済方式の場合には、課金処理部45は、その外部サーバーにアクセスして決済処理を行う。
【0156】
なお、機器管理サーバー装置3における文書データファイルから印刷データへのデータ変換を、印刷データの送信要求を受けてから実行する場合には、文書データファイルの受信時にはデータ変換を行わずに、機器管理サーバー装置3のジョブ登録処理部42は、文書データファイルを、そのままジョブ管理サーバー装置4に格納し、印刷データの送信要求を受けたときにデータ変換部43が、上述のデータ変換を実行する。そして、データ変換により生成された印刷データが上述のようにしてセットトップボックスへ送信される。
【0157】
以上のように、上記実施の形態1によれば、機器管理サーバー装置3は、(a)携帯端末装置1から送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、(b)印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、携帯端末装置1との接続を確立したセットトップボックスへ送信し、そのセットトップボックスは、(c)課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、その携帯端末装置1などで表示させ、(d)印刷承認のユーザー操作が検出された後、携帯端末装置1の機体識別子とともに機器管理サーバー装置3において受信された文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置3から取得し、そのセットトップボックスに接続された複合機へ供給して印刷を実行させる。
【0158】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、携帯端末装置1からの印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置3で一括して集中的に行われる。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得、送信を行うことができる。また、ユーザーIDではなく機体識別子を使用することにより、ユーザーが識別子を入力したりする必要がなく、識別子の漏洩などに起因するなりすましが防止される。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示され、課金額を確認したユーザーによる印刷承認の後に、印刷が実行される。したがって、コインベンダー、プリペイドカードなどによる決済方法の他、電子マネー決済やクレジットカード決済など、決済額の事前の承認が必須な決済方法を使用することが可能となる。
【0159】
実施の形態2.
【0160】
図10は、本発明の実施の形態2に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態2に係るモバイルプリンティングシステムでは、複合機5C,5Dが、複合機5A,5Bの機能に加え、実施の形態1のセットトップボックス6A,6Bの機能を有している。
【0161】
実施の形態2では、機器管理サーバー装置3は、携帯端末装置1からネットワーク2を介して送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、複合機5C,5Dで処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、複合機5C,5Dからの要求に応じて送信する。
【0162】
実施の形態2では、複合機5C,5Dは、ネットワーク2に接続されており、携帯端末装置1との接続が確立すると、上述のセットトップボックス6A,6Bと同様の方法で、機器管理サーバー装置3から印刷データを取得して印刷を実行する。
【0163】
図11は、図10における複合機5Cの構成を示すブロック図である。なお、複合機5Dも同様の構成を有する。
【0164】
複合機5Cは、複合機5Aと同様の構成要素の他、近距離通信インターフェース121を有し、さらに、演算処理装置85において実現される近距離通信処理部122と印刷データ取得部123と印刷承認受付部124とを有する。近距離通信インターフェース121、近距離通信処理部122、印刷データ取得部123および印刷承認受付部124は、上述の近距離通信インターフェース102、近距離通信処理部112、印刷データ取得部113および印刷承認受付部114と同様のものである。
【0165】
なお、実施の形態2における携帯端末装置1、機器管理サーバー装置3、およびジョブ管理サーバー装置4の構成は、実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0166】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図12は、図10に示すシステムにおいて携帯端末装置1の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0167】
実施の形態2では、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルを機器管理サーバー装置3へアップロードした後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機(複合機5C、あるいは複合機5D)の設置場所に行く。
【0168】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、複合機5Cまたは複合機5Dの近距離通信インターフェース121の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース121と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立した複合機(複合機5Cまたは複合機5D)の近距離通信インターフェース121は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS21)。
【0169】
その複合機の印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部91を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS121)。
【0170】
機器管理サーバー装置3では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、その複合機へ送信する(ステップS122)。
【0171】
その複合機の印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS123)。
【0172】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、例えば図9に示すように、その課金額を示す入力画面を表示装置14に表示させる(ステップS124)。
【0173】
その入力画面において印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS125)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立している複合機に送信する(ステップS126)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立している複合機に送信する。
【0174】
その複合機において、印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS127)には、以下に示すように、印刷データ取得部123に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0175】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、機器管理サーバー装置3へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置3は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データを削除する。
【0176】
印刷承認受付部124が印刷承認を受け付けた場合(ステップS127)、印刷データ取得部123は、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS22)。
【0177】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信する。
【0178】
ジョブ送信処理部44は、受信した機体識別子についての印刷データの送信要求をジョブ管理サーバー装置4へ送信する(ステップS13)。ジョブ管理サーバー装置4では、スプール処理部62が、ネットワーク通信処理部61およびネットワークインターフェース52を使用して、その送信要求を受信すると、その要求により指定された印刷データを記憶装置51から読み出し、機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS14)。
【0179】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データを受信すると、印刷データの要求元である複合機へその印刷データを送信する(ステップS23)。
【0180】
その複合機では、印刷データ取得部123が、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用してその印刷データを受信すると、制御部92は、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS24)。
【0181】
なお、各装置のその他の動作については、実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0182】
以上のように、上記実施の形態2によれば、機器管理サーバー装置3は、(a)携帯端末装置1から送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、(b)印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、携帯端末装置1との接続を確立した複合機へ送信し、その複合機は、(c)課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、その携帯端末装置1などで表示させ、(d)印刷承認のユーザー操作が検出された後、携帯端末装置1の機体識別子とともに機器管理サーバー装置3において受信された文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、その印刷データに基づき印刷を実行する。
【0183】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、携帯端末装置1からの印刷に関する処理(課金処理、印刷設定など)が、機器管理サーバー装置3で一括して集中的に行われる。また、ユーザーIDではなく機体識別子を使用することにより、ユーザーが識別子を入力したりする必要がなく、識別子の漏洩などに起因するなりすましが防止される。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示され、課金額を確認したユーザーによる印刷承認の後に、印刷が実行される。したがって、コインベンダー、プリペイドカードなどによる決済方法の他、電子マネー決済やクレジットカード決済など、決済額の事前の承認が必須な決済方法を使用することが可能となる。
【0184】
実施の形態3.
【0185】
本発明の実施の形態3に係る画像形成システムでは、文書データファイルが、携帯端末装置からクラウドサービスを経由して機器管理サーバー装置へ伝送される。ユーザーが、文書データファイルをクラウドサービスにアップロードし、機器管理サーバー装置がクラウドサービスからその文書データファイルをダウンロードする。
【0186】
図13は、本発明の実施の形態3に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図13に示すシステムでは、ユーザーの携帯する携帯端末装置1が無線通信で基地局2aを介してネットワーク2に接続する。そのネットワーク2には、機器管理サーバー装置301およびクラウドサーバー装置302が接続されており、さらに、学校などの公共施設や店舗などに配置されている1または複数の複合機5A,5Bにそれぞれ接続されたセットトップボックス6A,6Bがネットワーク2に接続されている。なお、図13では、携帯端末装置1が1台のみ描かれているが、複数のユーザーが存在する場合、複数のユーザーがそれぞれ携帯端末装置1を携帯している。
【0187】
携帯端末装置1、複合機5A,5B、およびセットトップボックス6A,6Bは実施の形態1と同様のものである。また、ネットワーク2は、インターネットなどの広域ネットワークである。なお、ネットワーク2の一部は、LANでもよい。
【0188】
機器管理サーバー装置301は、所定の携帯端末装置1に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをクラウドサーバー装置302からダウンロードし、その文書データファイルに対応する印刷データを、セットトップボックス6A,6Bからの要求に応じて送信する。この印刷データは、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式のものである。
【0189】
この実施の形態3では、機器管理サーバー装置301は、携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて印刷データを内部の記憶装置、外部のデータベースサーバーなどに保存しておき、機体識別子を伴うデータ送信要求があると、その機体識別子に関連付けられている印刷データを要求元のセットトップボックス6A,6Bに送信する。
【0190】
なお、この実施の形態3では、機器管理サーバー装置301は、セットトップボックス6A,6Bからの要求の受信前に、文書データファイルを印刷データへ変換しておく。
【0191】
クラウドサーバー装置302は、Evernote、Dropbox、Googleドキュメント、Picasaウェブアルバムなどといったストレージ機能を有するクラウドサービスのサーバーである。このクラウドサービスでは、ユーザーごとにアカウントが設定され、ユーザーが携帯端末装置1などを操作して文書データファイルをクラウドサーバー装置302にアップロードすると、その文書データファイルは、そのアカウントに関連付けられてクラウドサービスで保存される。また、このクラウドサービスでは、機器管理サーバー装置301がこのクラウドサービス内の文書データファイルにアクセスできるように、機器管理サーバー装置301のためのアカウントが設定されており、機器管理サーバー装置301は、そのアカウントのユーザー権限で、クラウドサーバー装置302から、携帯端末装置1のユーザーの文書データファイルを読み出すことができる。クラウドサーバー装置302は、クラウドサービスに保存されている文書データファイルのうち、ユーザーにより指定された文書データファイルを、そのユーザーの携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて保存する(以下、この処理を「印刷予約」という)。ユーザーによる文書ファイルの指定は、携帯端末装置1などで行われる。例えば、携帯端末装置1が、クラウドサーバー装置302から、クラウドサービスに保存されている文書データファイルのリストを取得して表示し、ユーザーによりそのリストから選択された文書データファイルをクラウドサーバー装置302に通知して、そのユーザーの携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて保存させる。
【0192】
ここで、実施の形態3における機器管理サーバー装置301の構成について説明する。図14は、図13における機器管理サーバー装置301の構成を示すブロック図である。
【0193】
機器管理サーバー装置301は、記憶装置31、ネットワークインターフェース32、および演算処理装置311を有する。
【0194】
記憶装置31およびネットワークインターフェース32は、実施の形態1のものと同様である。なお、実施の形態3では、登録機器データ31a内の印刷設定データはデフォルトの印刷設定データであって、クラウドサーバー装置302において印刷設定データが登録されている場合には、その印刷設定データが使用される。例えば、ユーザーが携帯端末装置1を操作してクラウドサーバー装置302に対する印刷設定データの編集および/または登録を行う。
【0195】
演算処理装置311は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置311において、CPUが、ROMや記憶装置31に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置311では、ネットワーク通信処理部41、ジョブ登録処理部321、データ変換部43、ジョブ送信処理部44、課金処理部45、スプール処理部322などが実現される。
【0196】
ネットワーク通信処理部41、データ変換部43、ジョブ送信処理部44、および課金処理部45は、実施の形態1のものと同様である。
【0197】
ジョブ登録処理部321は、所定のタイミングで繰り返し(例えば定期的に)、ネットワーク通信処理部41を使用してネットワーク2を介してクラウドサーバー装置302にログインし、記憶装置31に登録機器データ31aとして記憶されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルがクラウドサーバー装置302により保存されているか否かを確認し、そのような文書データファイルがクラウドサーバー装置302により保存されている場合には、その文書データファイルをダウンロードする。また、ジョブ登録処理部321は、ダウンロードした文書データファイルに対応する印刷データをスプール処理部322に登録する。
【0198】
スプール処理部322は、上述のスプール処理部62と同様のものであり、印刷データを記憶装置31に格納したり、記憶装置31から読み出したりする。
【0199】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図15は、図13に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0200】
携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、まず、携帯端末装置1を操作して、携帯端末装置1内に保存されている文書データファイルをクラウドサーバー装置302へアップロードする。このとき、携帯端末装置1では、入力装置15がユーザーによる所定の操作を検出すると、ファイル送信処理部23は、無線ネットワークインターフェース11およびネットワーク通信処理部21を使用して、ユーザーの操作により指定された文書データファイルを、ネットワーク2を介してクラウドサーバー装置302へ送信する(ステップS201)。
【0201】
クラウドサーバー装置302は、その文書データファイルを受信すると、そのユーザーのアカウントに関連付けて保存する(ステップS202)。その後、このシステムを利用して印刷を行いたいときに、ユーザーは、携帯端末装置1を操作して、クラウドサービスに保存している文書データファイルのうち、ユーザーが印刷したい文書データファイルの「印刷予約」を行う(ステップS203)。例えば、この「印刷予約」の際に、ユーザーは、携帯端末装置1を操作してクラウドサーバー装置302にアクセスし、印刷設定データを携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて登録したり、既に登録されている印刷設定データを編集したりする。
【0202】
他方、機器管理サーバー装置301のジョブ登録処理部321は、クラウドサーバー装置302に、登録機器データ31aに登録されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルが保存されているか否かを監視しており、登録されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルが保存されていると、その文書データファイルを、クラウドサーバー装置302からダウンロードする(ステップS204)。このとき、その文書データファイル、そのユーザー、またはその機体識別子に関連付けられている印刷設定データがクラウドサーバー装置302により保存されている場合には、ジョブ登録処理部321は、その印刷設定データをその文書データファイルとともにダウンロードする。
【0203】
文書データファイルがダウンロードされると、データ変換部43は、ダウンロードした印刷設定データ(または登録機器データ31a内の印刷設定データ)により指定される印刷設定で、その文書データファイルから印刷データを生成する(ステップS205)。
【0204】
そして、ジョブ登録処理部321は、その印刷データをスプール処理部322に保存させる(ステップS206)。なお、文書データファイルが、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式を有している場合には、データ変換部43によるデータ変換を行わずに、文書データファイルを印刷データとしてスプール処理部322に保存させる。
【0205】
このとき、課金処理部45は、その印刷データで印刷を実行した場合の課金額を計算し、その課金額情報を、その機体識別子および/またはその印刷データに関連付けて記憶装置31などにおいて保持する(ステップS101)。
【0206】
次に、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルをクラウドサーバー装置302へアップロードし「印刷予約」を行った後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機およびセットトップボックス(複合機5Aとセットトップボックス6A、あるいは複合機5Bとセットトップボックス6B)の設置場所に行く。
【0207】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6Bの近距離通信インターフェース102の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース102と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立したセットトップボックス(セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6B)の近距離通信インターフェース102は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS11)。
【0208】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部111を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS111)。
【0209】
機器管理サーバー装置301では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、そのセットトップボックスへ送信する(ステップS112)。
【0210】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS113)。
【0211】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、その課金額を示す入力画面を図9に示すように表示装置14に表示させる(ステップS114)。
【0212】
そして、印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS115)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立しているセットトップボックスに送信する(ステップS116)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立しているセットトップボックスに送信する。
【0213】
そのセットトップボックスにおいて、印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS117)には、以下に示すように、印刷データ取得部113に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0214】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、機器管理サーバー装置301へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置301は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データを削除する。
【0215】
印刷承認受付部114が印刷承認を受け付けた場合(ステップS117)、印刷データ取得部113は、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS12)。なお、機器管理サーバー装置301は、送信されてきた機体識別子が登録機器データ31aに登録されていない場合、その機体識別子とともに受信された印刷データ送信要求を破棄する。これにより、登録されていない携帯端末装置1からの印刷が禁止される。
【0216】
機器管理サーバー装置301では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信し、受信した機体識別子についての印刷データをスプール処理部322から読み出し、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、印刷データの要求元であるセットトップボックスへ送信する(ステップS207)。
【0217】
そのセットトップボックスでは、印刷データ取得部113が、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その印刷データを受信し、周辺機器インターフェース103で、その印刷データを、そのセットトップボックスに接続されている複合機へ送信する(ステップS16)。
【0218】
その複合機では、制御部92は、周辺機器インターフェース83でその印刷データを受信し、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS17)。これにより、ユーザーは、自己の携帯する携帯端末装置1の文書データファイルに基づき印刷された印刷物を得ることができる。
【0219】
印刷が完了すると、制御部92は、その印刷データについての印刷完了通知を、セットトップボックスを介して、またはセットトップボックスを介さずに直接ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS18)。
【0220】
機器管理サーバー装置301では、課金処理部45が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷完了通知を受信すると、その印刷完了通知に対応する印刷データについての課金処理を実行する(ステップS19)。
【0221】
なお、図示せぬコインベンダーがセットトップボックス6A,6Bに接続されている場合、課金処理部45は、そのコインベンダーを制御して決済処理を行う。また、クレジット決済などの外部サーバーを使用する決済方式の場合には、課金処理部45は、その外部サーバーにアクセスして決済処理を行う。
【0222】
以上のように、上記実施の形態3によれば、機器管理サーバー装置301は、クラウドサーバー装置302から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、複合機5A,5Bで処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信する。セットトップボックス6A,6Bは、周囲に存在する携帯端末装置1を検出すると、検出した携帯端末装置1の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し、複合機5A,5Bへ供給して印刷を実行させる。さらに、機器管理サーバー装置301は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報をセットトップボックス6A,6Bへ送信する。セットトップボックス6A,6Bは、その課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該セットトップボックス6A,6B、携帯端末装置1、および複合機5A,5Bのいずれかで表示させ、当該セットトップボックス6A,6B、携帯端末装置1、および複合機5A,5Bのいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し、複合機5A,5Bへ供給して印刷を実行させる。
【0223】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置301で一括して集中的に行われる。さらに、画像形成装置(複合機5A,5B)とは別に印刷制御装置(セットトップボックス6A,6B)を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置1の検出や機体識別子の取得を行うことができる。さらに、機器管理サーバー装置301がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置1が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0224】
実施の形態4.
【0225】
図16は、本発明の実施の形態4に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態4に係るシステムでは、複合機5C,5Dが、複合機5A,5Bの機能に加え、実施の形態3のセットトップボックス6A,6Bの機能を有している。
【0226】
実施の形態4では、機器管理サーバー装置301は、実施の形態3のものと同様の構成を有し、携帯端末装置1に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、複合機5C,5Dで処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、複合機5C,5Dからの要求に応じて送信する。
【0227】
実施の形態4では、複合機5C,5Dは、ネットワーク2に接続されており、携帯端末装置1との接続が確立すると、上述のセットトップボックス6A,6Bと同様の方法で、機器管理サーバー装置301から印刷データを取得して印刷を実行する。
【0228】
なお、複合機5C,5Dの構成は、実施の形態2のものと同様である。また、実施の形態4における携帯端末装置1、機器管理サーバー装置301、およびクラウドサーバー装置302は、実施の形態3のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0229】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図17は、図16に示すシステムにおいて携帯端末装置1の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0230】
実施の形態4では、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルをクラウドサーバー装置302へアップロードし、「印刷予約」を行った後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機(複合機5C、あるいは複合機5D)の設置場所に行く。そして、ユーザーは、携帯端末装置1を、所定の位置(上述の配置エリア)に配置する。
【0231】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、複合機5Cまたは複合機5Dの近距離通信インターフェース121の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース121と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立した複合機(複合機5Cまたは複合機5D)の近距離通信インターフェース121は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS21)。
【0232】
その複合機の印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部91を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS121)。
【0233】
機器管理サーバー装置301では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、その複合機へ送信する(ステップS122)。
【0234】
その複合機の印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS123)。
【0235】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、例えば図9に示すように、その課金額を示す入力画面を表示装置14に表示させる(ステップS124)。
【0236】
その入力画面において印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS125)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立している複合機に送信する(ステップS126)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立している複合機に送信する。
【0237】
その複合機において、印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS127)には、以下に示すように、印刷データ取得部123に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0238】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、機器管理サーバー装置301へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置301は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データを削除する。
【0239】
印刷承認受付部124が印刷承認を受け付けた場合(ステップS127)、印刷データ取得部123は、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS22)。
【0240】
機器管理サーバー装置301では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信し、受信した機体識別子についての印刷データをスプール処理部322から読み出し、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、印刷データの要求元である複合機へ送信する(ステップS207)。
【0241】
その複合機では、印刷データ取得部123が、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用してその印刷データを受信すると、制御部92は、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS24)。
【0242】
なお、各装置のその他の動作については、実施の形態3の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0243】
以上のように、上記実施の形態4によれば、機器管理サーバー装置301は、クラウドサーバー装置302から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、複合機5C,5Dで処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信する。複合機5C,5Dは、周囲に存在する携帯端末装置1を検出すると、検出した携帯端末装置1の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。さらに、機器管理サーバー装置301は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を複合機5C,5Dへ送信する。複合機5C,5Dは、その課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該複合機5C,5Dおよび携帯端末装置1のいずれかで表示させ、当該複合機5C,5Dおよび携帯端末装置1のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。
【0244】
これにより、携帯端末装置1ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置301で一括して集中的に行われる。さらに、機器管理サーバー装置301がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置1が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0245】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0246】
例えば、上記実施の形態1〜4において、機器管理サーバー装置3,301および/またはジョブ管理サーバー装置4により保存された文書データファイルおよび/または印刷データを、送信要求に基づいて送信された後、ただちに消去するようにしてもよいし、印刷完了通知があったときに消去するようにしてもよいし、データ送信後または印刷完了通知後から再印刷可能に一定期間保持した後に消去するようにしてもよい。
【0247】
また、上記実施の形態1,3において、セットトップボックス6A,6Bは、データ送信要求とともに、セットトップボックス6A,6Bに接続されている複合機5A,5Bの機種情報を機器管理サーバー装置3,301に送信し、機器管理サーバー装置3,301は、その機種情報により示される機種に対応した印刷データを文書データファイルから生成し送信するようにしてもよい。同様に、実施の形態2,4において、複合機5C,5Dは、データ送信要求とともに、自己の機種情報を機器管理サーバー装置3,301に送信し、機器管理サーバー装置3,301は、その機種情報により示される機種に対応した印刷データを文書データファイルから生成し送信するようにしてもよい。さらに、これらの機種情報には、フィニッシャーなどのオプション機能が装備済みであるか否かを示すオプション情報を含めるようにしてもよい。
【0248】
また、上記実施の形態1,3において、セットトップボックス6Aと複合機5Aとは周辺機器インターフェース83,103で接続されているが、その代わりに、ネットワークインターフェース82,101で接続され、ネットワーク2を介して印刷データを送受するようにしてもよい。
【0249】
また、上記実施の形態1〜4において、複合機5A,5B,5C,5Dの代わりに、プリンターなどといった印刷機能を有する他の画像形成装置を使用してもよい。
【0250】
また、上記実施の形態1〜4においてはデータ変換時(ステップS2)に課金額を計算しているが、課金額情報の送信時に計算するようにしてもよい。
【0251】
また、上記実施の形態3,4では、機器管理サーバー装置301が、ジョブ管理サーバー装置4のスプール機能を有しているが、実施の形態1,2と同様に、機器管理サーバー装置とは別に、ジョブ管理サーバー装置4を設け、ジョブ管理サーバー装置4に印刷データをスプールするようにしてもよい。
【0252】
また、上記実施の形態1〜4において、ユーザーが携帯端末装置1にコード(例えば4ケタの英数字)を入力し、携帯端末装置1が機体識別子とともにそのコードをセットトップボックス6A,6Bまたは複合機5C,5Dへ送信し、ユーザーがコードをセットトップボックス6A,6Bまたは複合機5C,5Dに入力し、セットトップボックス6A,6Bおよび複合機5C,5Dは、携帯端末装置1から受信したコードと、ユーザーにより直接入力されたコードとが一致した場合のみ、印刷データ送信要求を送信し、そうでない場合には、印刷データ送信要求を送信しないようにしてもよい。
【0253】
また、上記実施の形態1〜4において、セットトップボックス6A,6Bおよび複合機5C,5Dは、検出した携帯端末装置1の機体識別子に関連付けられている印刷データのリストを機器管理サーバー装置3,301から取得し、そのリストを、近距離通信インターフェースで携帯端末装置1へ送信して表示させ、ユーザーによりそのリストから選択された印刷データを機器管理サーバー装置3,301から取得するようにしてもよい。図18は、印刷データのリストの一例を示す図である。例えば図18に示すように、印刷データに対応する文書データファイルのファイル名および印刷データに対応する課金額のリスト401が表示される。
【0254】
また、上記実施の形態1,3において、機器管理サーバー装置3,301の機能をすべてセットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6Bに内蔵させ、機器管理サーバー装置3,301を省略するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0255】
本発明は、例えば、店舗などに配置した画像形成装置による印刷サービスに適用可能である。
【符号の説明】
【0256】
1 携帯端末装置
3,301 機器管理サーバー装置(サーバー装置の一例)
5A,5B,5C,5D 複合機(画像形成装置の一例)
6A,6B セットトップボックス(印刷制御装置の一例)
12,102,121 近距離通信インターフェース
12a MACアドレス(機体識別子の一例)
31 記憶装置
42 ジョブ登録処理部(文書データファイル受信部の一例)
43 データ変換部
44 ジョブ送信処理部(印刷データ送信部の一例)
45 課金処理部
302 クラウドサーバー装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルプリンティングシステムおよびサーバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、スマートフォンなどといった携帯端末装置が普及しつつある。そのような携帯電話機を使用した印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、あるユーザー(送信ユーザー)が別のユーザー(受信ユーザー)に文書を送信する場合、クライアントPCが、(a)送信ユーザーにより指定された携帯電話機の番号に基づいて、携帯電話網の位置検出サービスを使用して、受信ユーザーの携帯電話機が存在する事業所またはフロアを特定し、(b)その事業所またはフロアに配置されているプリンターに接続されているブルートゥース通信装置を使用して受信ユーザーの携帯電話機(つまり、指定された番号の携帯電話機)を検索し、(c)受信ユーザーの携帯電話機を発見したブルートゥース通信装置に接続されているプリンターを、文書を印刷するプリンターとして選択し、(d)そのプリンターで印刷するか否かをユーザーに問い合わせる電子メールを、受信ユーザーの携帯電話機に送信し、(e)受信ユーザーの携帯電話機からの、印刷する旨の返答に従って、選択したプリンターに文書の印刷を実行させる。
【0004】
特許文献2に記載のシステムでは、複合機が、ブルートゥースで携帯電話機との接続を確立し、携帯電話機から画像データを受信してその画像データに基づく印刷を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−21860号公報
【特許文献2】特開2010−219680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のシステムでは、携帯電話機といった携帯端末装置に固有の機体識別子を管理していないため、携帯電話機といった携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定など)を、ある装置で一括して集中的に行うことが困難である。
【0007】
また、例えば、プリンターでそのような印刷に関する処理を行おうとすると、複数のプリンターが使用される可能性がある場合には、それらのプリンターのそれぞれにおいて、携帯端末装置の機体識別子を管理する必要があり、管理者やユーザーなどが、携帯端末装置の機体識別子の登録、印刷設定情報の登録や変更などを、すべてのプリンターに対して行わなければならず、作業が煩雑になってしまい、現実的ではない。
【0008】
さらに、このようなシステムにおいて文書データファイルに基づく印刷を行う場合、印刷設定によって課金額が変わるため、事前に課金額をユーザーに提示することが困難である。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)を、一括して集中的に行うとともに、文書データファイルに基づく印刷を行う場合、事前に課金額をユーザーに提示するモバイルプリンティングシステムおよびそのシステムで使用可能なサーバー装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。印刷制御装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる。
【0012】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。また、印刷前に課金額がユーザーに提示される。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得、送信を行うことができる。
【0013】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を画像形成装置へ送信する。画像形成装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子とともにサーバー装置において受信された文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。
【0014】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示される。
【0015】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する。
【0016】
これにより、携帯端末装置に、文書データファイルを印刷データに変換するドライバーをインストールしておく必要がない。
【0017】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0018】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0019】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する際に課金額を計算する。
【0020】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、印刷データに基づき画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する文書データファイルの送信元である携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持する。
【0021】
これにより、印刷についての課金をサーバー装置で集中的に行うことができる。
【0022】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、印刷制御装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、通信装置によりその通信方式で、周囲に存在する携帯端末装置を検出する。
【0023】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、通信装置によりその通信方式で、周囲に存在する携帯端末装置を検出する。
【0024】
本発明に係るサーバー装置は、予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、機体識別子が記憶装置に記憶されている携帯端末装置から送信されてくる文書データファイルを受信する文書データファイル受信部と、文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、印刷データの送信先から携帯端末装置の機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置から文書データファイル受信部により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷データの送信先へ送信し、印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、印刷承認通知が受信された後に、印刷データを印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部とを備える。
【0025】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定など)が、このサーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示される。
【0026】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データへ変換するデータ変換部をさらに備え、記憶装置は、機体識別子に関連付けて印刷設定データを記憶している。そして、データ変換部は、印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0027】
これにより、携帯端末装置に、文書データファイルを印刷データに変換するドライバーをインストールしておく必要がない。さらに、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0028】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、課金処理部は、データ変換部が文書データファイルを印刷データに変換する際に課金額を計算する。
【0029】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、機体識別子に関連付けて文書データファイルをジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、その機体識別子に関連付けられた文書データファイルをジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを機器管理サーバー装置から受信する印刷制御装置と、印刷データを前記印刷制御装置から受信し、印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備える。そして、機器管理サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。印刷制御装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置から受信する。
【0030】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置等で一括して集中的に行われる。また、印刷前に課金額がユーザーに提示される。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得、送信を行うことができる。
【0031】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、機体識別子に関連付けて文書データファイルをジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、その機体識別子に関連付けられた文書データファイルをジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを機器管理サーバー装置から受信し、印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備える。そして、機器管理サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。画像形成装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置から受信する。
【0032】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置等で一括して集中的に行われる。また、印刷前に課金額がユーザーに提示される。
【0033】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する際に課金額を計算する。
【0034】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、印刷データに基づき画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する文書データファイルの送信元である携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持する。
【0035】
これにより、印刷についての課金を機器管理サーバー装置で集中的に行うことができる。
【0036】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、機体識別子を受信したとき、その機体識別子により認証処理を行う。
【0037】
これにより、印刷に関する認証処理が、機器管理サーバー装置で一括して集中的に行われる。
【0038】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。機器管理サーバー装置は、携帯端末装置の機体識別子に関連付けて格納された印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0039】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0040】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。印刷設定データには、認可情報設定が含まれる。
【0041】
これにより、携帯端末装置ごとに、認可情報設定(各種機能の使用制限の設定)を適用することができる。
【0042】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷制御装置へ送信する。印刷制御装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、携帯端末装置、および画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し、画像形成装置へ供給して印刷を実行させる。
【0043】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得を行うことができる。さらに、サーバー装置がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0044】
本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、周囲に存在する携帯端末装置を検出すると、検出した携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備える。サーバー装置は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を画像形成装置へ送信する。画像形成装置は、課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データをサーバー装置へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。
【0045】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、サーバー装置がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0046】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、ダウンロードした文書データファイルを印刷データに変換する。
【0047】
これにより、携帯端末装置に、文書データファイルを印刷データに変換するドライバーをインストールしておく必要がない。また、ユーザーがクラウドサービス上で文書データファイルを携帯端末装置の機体識別子に関連付けておけば、サーバー装置は、その文書データファイルを自動的にダウンロードする。その後、ユーザーが印刷したいときには文書データファイルに対応する印刷データが既にサーバー装置において生成されているため、印刷実行までの時間が短くなる。
【0048】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0049】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。
【0050】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、印刷設定データをクラウドサーバー装置からダウンロードし、ダウンロードした印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0051】
これにより、ユーザーがクラウドサービス上で印刷設定を入力することができるので、ユーザーは、印刷したいときに、印刷設定を簡単に入力することができる。
【0052】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データに変換する際に上述の課金額を計算する。
【0053】
また、本発明に係るモバイルプリンティングシステムは、上記のモバイルプリンティングシステムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、印刷データに基づき画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する文書データファイルの送信元である携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持する。
【0054】
これにより、印刷についての課金をサーバー装置で集中的に行うことができる。
【0055】
本発明に係るサーバー装置は、予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、記憶装置に記憶されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードする文書データファイル受信部と、文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、その印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷データの送信先へ送信し、印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、印刷承認通知が受信された後に、印刷データを印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部とを備える。
【0056】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、サーバー装置で一括して集中的に行われる。さらに、サーバー装置がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0057】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、サーバー装置は、文書データファイルを印刷データへ変換するデータ変換部を備える。データ変換部は、クラウドサーバー装置からダウンロードされた印刷設定データによる印刷設定で文書データファイルを印刷データに変換する。
【0058】
これにより、携帯端末装置ごとに、その所有者であるユーザーにより指定された印刷設定を適用することができる。また、ユーザーがクラウドサービス上で印刷設定を入力することができるので、ユーザーは、印刷したいときに、印刷設定を簡単に入力することができる。
【0059】
また、本発明に係るサーバー装置は、上記のサーバー装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、課金処理部は、データ変換部が文書データファイルを印刷データに変換する際に上述の課金額を計算する。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、モバイルプリンティングシステムにおいて、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、一括して集中的に行われるとともに、文書データファイルに基づく印刷を行う場合、事前に課金額がユーザーに提示される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1における携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1における機器管理サーバー装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示す機器管理サーバー装置の記憶装置に記憶されている登録機器データの構成を示す図である。
【図5】図5は、図1におけるジョブ管理サーバー装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、図1における複合機の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図1におけるセットトップボックスの構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、図1に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図9】図9は、実施の形態1において、ユーザーが印刷承認を行うための入力画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、図10における複合機の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、図10に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態3に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、図13における機器管理サーバー装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、図13に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態4に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、図16に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【図18】図18は、印刷データのリストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0063】
実施の形態1.
【0064】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムでは、ユーザーの携帯する携帯端末装置1が無線通信で基地局2aを介してネットワーク2に接続する。そのネットワーク2には、機器管理サーバー装置3、およびジョブ管理サーバー装置4が接続されており、さらに、学校などの公共施設や店舗などに配置されている1または複数の複合機5A,5Bにそれぞれ接続されたセットトップボックス6A,6Bがネットワーク2に接続されている。なお、図1では、携帯端末装置1が1台のみ描かれているが、複数のユーザーが存在する場合、複数のユーザーがそれぞれ携帯端末装置1を携帯している。また、機器管理サーバー装置3およびジョブ管理サーバー装置4は、例えば、ネットワーク2における同一のLAN(Local Area Network)に配置される。
【0065】
携帯端末装置1は、スマートフォンなどといった小型の携帯可能な端末装置であって、無線ネットワーク機能を有するとともに、ブルートゥースなどの近距離通信機能を有する。
【0066】
ネットワーク2は、インターネットなどの広域ネットワークである。なお、ネットワーク2は、LANでもよいし、広域ネットワークとそれに接続されたLANとからなるネットワークでもよい。
【0067】
機器管理サーバー装置3は、携帯端末装置1からネットワーク2を介して送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、文書データファイルに対応する印刷データを、セットトップボックス6A,6Bからの要求に応じて送信する。この印刷データは、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式のものである。機器管理サーバー装置3は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、印刷データの送信先となるセットトップボックス6A,6Bへ送信する。
【0068】
この実施の形態1では、機器管理サーバー装置3は、携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて印刷データをジョブ管理サーバー装置4に一時的に格納させておき、機体識別子を伴うデータ送信要求があると、その機体識別子に関連付けられている印刷データを要求元のセットトップボックス6A,6Bに送信させる。
【0069】
なお、この実施の形態1では、機器管理サーバー装置3は、要求の受信前に、文書データファイルを印刷データへ変換するが、機体識別子に関連付けて文書データファイルをジョブ管理サーバー装置4に一時的に格納させておき、機体識別子を伴うデータ送信要求を受信してから、その文書データファイルをジョブ管理サーバー装置4から読み出し、文書データファイルを印刷データへ変換するようにしてもよい。
【0070】
ジョブ管理サーバー装置4は、機器管理サーバー装置3からの要求に応じて、機体識別子に関連付けて印刷データ(あるいは文書データファイル)を保存する。なお、この実施の形態1では、機器管理サーバー装置3とは別の装置として、ジョブ管理サーバー装置4を設けているが、その代わりに、機器管理サーバー装置3内にジョブ管理サーバー装置4の構成要素を設け、1つのサーバー装置としてもよい。
【0071】
複合機5Aは、プリンター機能、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備え、複合機5Aの操作パネル、セットトップボックス6Aなどからの指令に従って上述の機能で各種ジョブを実行する画像形成装置である。特に、この実施の形態1では、複合機5Aにはセットトップボックス6Aが接続されており、セットトップボックス6Aから複合機5Aへ印刷データが供給され、複合機5Aのプリンター機能により印刷が実行される。複合機5Bも同様の装置である。
【0072】
セットトップボックス6Aは、周囲に存在する携帯端末装置1を検出すると、検出した携帯端末装置1の機体識別子を取得し、その機体識別子とともに機器管理サーバー装置3において受信された文書データファイルに対応する印刷データを、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、複合機5Aへ供給して印刷を実行させる。セットトップボックス6Bも同様の装置である。セットトップボックス6Aは、印刷データを取得する前に、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3から課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該セットトップボックス6A、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかで表示させ、当該セットトップボックス6A、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、複合機5Aへ供給して印刷を実行させる。
【0073】
ここで、システム内の各装置の構成について説明する。
【0074】
図2は、図1における携帯端末装置1の構成を示すブロック図である。
【0075】
携帯端末装置1は、無線ネットワークインターフェース11、近距離通信インターフェース12、演算処理装置13、表示装置14、入力装置15、および記憶装置16を有する。
【0076】
無線ネットワークインターフェース11は、無線LANおよび/または携帯電話回線でネットワーク2に接続する回路である。無線ネットワークインターフェース11は、無線ネットワークインターフェース11に固有のMAC(Media Access Control)アドレス11aを有する。
【0077】
近距離通信インターフェース12は、比較的近距離(例えば約10メートル以内)に存在する同一通信方式のインターフェースと無線通信する回路である。この実施の形態1では、近距離通信インターフェース12として、ブルートゥースが使用される。
【0078】
近距離通信インターフェース12は、近距離通信インターフェース12に固有のMACアドレス12aを有する。なお、MACアドレスは、インターフェースごとに割り当てられるため、MACアドレス11aとMACアドレス12aは互いに異なる値を有する。
【0079】
演算処理装置13は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置13において、CPUが、ROMや記憶装置16に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置13では、ネットワーク通信処理部21、近距離通信処理部22、ファイル送信処理部23、機器指定部24などが実現される。
【0080】
ネットワーク通信処理部21は、無線ネットワークインターフェース11または図示せぬ携帯電話のベースバンド回路を制御してネットワーク2に接続されている機器(機器管理サーバー装置3など)とのデータ通信を所定の通信プロトコル(HTTP(Hypertext Transfer Protocol)など)で実行する。
【0081】
近距離通信処理部22は、近距離通信インターフェース12を制御して、通信可能範囲内にある他の機器の近距離通信インターフェースとの接続を確立し、その機器とのデータ通信を実行する。
【0082】
ファイル送信処理部23は、近距離通信処理部22で近距離通信インターフェース12のMACアドレス12aを読み出し、そのMACアドレス12aをこの携帯端末装置1の機体識別子として、文書データファイルとともに、ネットワーク通信処理部21で機器管理サーバー装置3へ送信する。なお、文書データファイルは、例えばマイクロソフト社製のオフィスアプリケーションで生成されたファイル、テキストファイル、PDF(Portable Document Format)ファイル、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などのイメージファイルなどである。
【0083】
機器指定部24は、近距離通信インターフェース12で、近隣に存在する1または複数の近距離通信インターフェース(セットトップボックス6A,6Bの近距離通信インターフェース)が検出されたときに、印刷に使用するセットトップボックス(セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6B)を選択する。
【0084】
例えば、機器指定部24は、表示装置14に、検出された近距離通信インターフェースのリストを表示し、入力装置15に対する操作によりそのリストから選択された近距離通信インターフェース(つまり、セットトップボックス6A,6B)を、印刷に使用するセットトップボックスを選択する。
【0085】
あるいは、機器指定部24は、検出された近距離通信インターフェースのうちの1つを自動的に選択する。その場合、例えば、検出された近距離通信インターフェースが1つであるときには、その近距離通信インターフェースが選択され、検出された近距離通信インターフェースが複数であるときには、近距離通信インターフェース12で検出された電波強度が最も高いものが選択される。
【0086】
また、表示装置14は、例えば、液晶ディスプレイ、各種インジケータなどである。入力装置15は、例えば、タッチパネル、キースイッチなどである。記憶装置16は、プログラムやデータなどを記憶する、フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶装置である。
【0087】
図3は、図1における機器管理サーバー装置3の構成を示すブロック図である。
【0088】
機器管理サーバー装置3は、記憶装置31、ネットワークインターフェース32、および演算処理装置33を有する。
【0089】
記憶装置31は、プログラムやデータを記憶する装置である。記憶装置31には、不揮発性半導体メモリー、ハードディスクドライブなどが使用される。記憶装置31には、登録機器データ31aが記憶されている。
【0090】
図4は、図3に示す機器管理サーバー装置3の記憶装置31に記憶されている登録機器データ31aの構成を示す図である。
【0091】
登録機器データ31aは、予め登録されている1または複数の携帯端末装置1に固有の機体識別子(この実施の形態1では、MACアドレス)を有する。そして、登録機器データ31aには、機体識別子に関連付けられた印刷設定データ、課金データ、印刷データリストなどが含まれている。
【0092】
印刷設定データは、その機体識別子からの文書データファイルに対して適用される印刷設定を指定するデータである。印刷設定データには、例えば、印刷部数、用紙設定(用紙サイズ、用紙方向など)、カラー設定(カラーかモノクロか)、片面/両面印刷設定、集約印刷設定(2in1、4in1などの設定)、解像度設定、エコノミー印刷設定などの設定項目の値が含まれている。例えば、ユーザーが携帯端末装置1を操作して機器管理サーバー装置3に印刷設定データを登録する。その際、携帯端末装置1は、機体識別子と印刷設定データとを機器管理サーバー装置3へ送信し、機器管理サーバー装置3では、登録機器データ31aにおいて、その機体識別子に関連付けてその印刷設定データが記憶される。なお、印刷設定データには、例えば、ネットワーク2に接続された管理者用端末装置を使用して登録された、機体識別子に関連付けられた認可情報設定(例えば、印刷上限枚数の制限設定、モノクロ印刷のみの制限設定、エコノミー印刷のみの制限設定、集約印刷のみの制限設定、両面印刷のみの制限設定など)の制限設定項目の値が含まれていてもよい。
【0093】
課金データには、課金方法の情報、課金先の情報、合計課金額の情報(またはページカウンターなどといった課金額に対応する情報)などが含まれている。
【0094】
印刷データリストは、印刷処理が完了していない印刷データ(つまり、ジョブ管理サーバー装置4にスプールされている印刷データ)のリストである。
【0095】
ネットワークインターフェース32は、ネットワーク2に接続され、ネットワーク2に接続された他の機器(例えば携帯端末装置1、ジョブ管理サーバー装置4、セットトップボックス6A,6Bなど)とデータ通信を行う。
【0096】
演算処理装置33は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置33において、CPUが、ROMや記憶装置31に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置33では、ネットワーク通信処理部41、ジョブ登録処理部42、データ変換部43、ジョブ送信処理部44、課金処理部45などが実現される。
【0097】
ネットワーク通信処理部41は、ネットワークインターフェース32を使用して、ネットワーク2に接続されている他の機器とのデータ通信を所定の通信プロトコルで実行する。
【0098】
ジョブ登録処理部42は、ネットワーク通信処理部41で、機体識別子が登録機器データ31aとして記憶装置31に記憶されている携帯端末装置1からネットワーク2を介して送信されてくる文書データファイルを受信する。なお、ジョブ登録処理部42は、送信されてきた機体識別子が登録機器データ31aに登録されていない場合、その機体識別子とともに受信された文書データファイルを破棄する。これにより、登録されていない携帯端末装置1からの印刷が禁止される。
【0099】
データ変換部43は、文書データファイルを印刷データに変換する。複合機5A,5Bにより処理可能な印刷データがPDL(Page Description Language)データである場合には、データ変換部43は、文書データファイルをPDLデータに変換する。また、データ変換部43は、PDLデータの他にも例えばPDFデータに変換してもよい。さらに、データ変換部43は、その文書データファイルとともに受信された機体識別子に関連付けられている印刷設定データを登録機器データ31aから抽出し、その印刷設定データにより指定される印刷設定で印刷データを生成する。
【0100】
ジョブ送信処理部44は、複合機5A,5Bで処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信する。ジョブ送信処理部44は、印刷データの要求元(この実施の形態1ではセットトップボックス6A,6B)から、要求とともに携帯端末装置1の機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データを要求元へ送信する。ジョブ送信処理部44は、課金処理部45により印刷承認通知が受信された後に、印刷データをその要求元へ送信する。その印刷データは、例えば、登録機器データ31aにおける印刷データリストにより特定される。
【0101】
課金処理部45は、印刷前の課金額の計算、および印刷後の課金データの更新を行う。課金処理部45は、複合機5A,5Bで処理可能な印刷データの送信前に、印刷データの送信先(ここでは、セットトップボックス6A,6B)から携帯端末装置1の機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を印刷データの送信先へ送信し、印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する。なお、印刷承認通知は、ユーザーが課金額を確認し印刷承認操作を行った場合のみ、機器管理サーバー装置3へ送信されてくる。
【0102】
課金処理部45は、印刷後に、ある機体識別子について送信された印刷データに基づく印刷についての課金データ(課金額、印刷ページ数など)を生成し、生成した課金データに基づいて、登録機器データ31a内のその機体識別子についての課金データ(つまり、累積値)を更新する。
【0103】
図5は、図1におけるジョブ管理サーバー装置4の構成を示すブロック図である。
【0104】
ジョブ管理サーバー装置4は、記憶装置51、ネットワークインターフェース52、および演算処理装置53を有する。
【0105】
記憶装置51は、機器管理サーバー装置3からの印刷データなどを一時的に記憶する他、プログラム、他のデータなどを記憶する装置である。記憶装置51には、不揮発性半導体メモリー、ハードディスクドライブなどが使用される。
【0106】
ネットワークインターフェース52は、ネットワーク2に接続され、ネットワーク2に接続された他の機器(例えば機器管理サーバー装置3、セットトップボックス6A,6Bなど)とデータ通信を行う。
【0107】
演算処理装置53は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置53において、CPUが、ROMや記憶装置51に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置53では、ネットワーク通信処理部61、スプール処理部62などが実現される。
【0108】
ネットワーク通信処理部61は、ネットワークインターフェース52を使用して、ネットワーク2に接続されている他の機器とのデータ通信を所定の通信プロトコルで実行する。
【0109】
スプール処理部62は、機器管理サーバー装置3からの指令に従って、印刷データなどを受信して記憶装置51に格納したり、記憶装置51から読み出して送信したりする。
【0110】
図6は、図1における複合機5Aの構成を示すブロック図である。なお、複合機5Bも同様の構成を有する。
【0111】
複合機5Aは、操作パネル81、ネットワークインターフェース82、周辺機器インターフェース83、プリンター84、および演算処理装置85を有する。
【0112】
操作パネル81は、複合機5Aの筐体に設置され、ユーザーに各種情報を表示する表示装置81aおよびユーザー操作を受け付ける入力装置81bを有する。表示装置81aは、例えば、液晶ディスプレイ、各種インジケータなどである。入力装置81bは、例えば、タッチパネル、キースイッチなどである。
【0113】
また、ネットワークインターフェース82は、ネットワーク2に接続可能であり、ネットワーク2に接続されている他の装置との間でデータ通信を行う装置である。
【0114】
また、周辺機器インターフェース83は、USB(Universal Serial Bus)などの所定の方式の通信回路である。
【0115】
また、プリンター84は、印刷データに基づいて用紙に印刷を行い印刷物を排出する内部装置である。電子写真方式の場合、プリンター84は、感光体ドラムを帯電させた後、印刷データに基づいて光源を発光させることにより、感光体ドラム表面に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像し、トナー画像を用紙に転写し定着し、その用紙を印刷物として排出する。
【0116】
また、演算処理装置85は、複合機5Aにおける各部を制御するとともに、データ処理を行う装置である。演算処理装置85は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置85において、CPUが、ROMや他の記憶装置(フラッシュメモリーなど)に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置85では、ネットワーク通信処理部91、制御部92などが実現される。
【0117】
ネットワーク通信部91は、ネットワークインターフェース82を使用して、所定の通信プロトコルでネットワーク2に接続されている装置との間でデータ通信を行うことができる。
【0118】
制御部92は、ネットワークインターフェース82、周辺機器インターフェース83などを介して印刷データを受信すると、その印刷データに対して必要なデータ処理(ラスタライズ、ハーフトーニングなど)を施した後、その処理された印刷データに基づいてプリンター84を制御して印刷を実行する。
【0119】
図7は、図1におけるセットトップボックス6Aの構成を示すブロック図である。なお、セットトップボックス6Bも同様の構成を有する。
【0120】
セットトップボックス6Aは、ネットワークインターフェース101、近距離通信インターフェース102、周辺機器インターフェース103、表示装置104、入力装置105、記憶装置106、および演算処理装置107を有する。
【0121】
ネットワークインターフェース101は、ネットワーク2に接続され、ネットワーク2に接続されている他の機器とのデータ通信を実行する回路である。
【0122】
近距離通信インターフェース102は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12と同一通信方式のものであって、近距離通信インターフェース12との間で接続を確立できるものである。
【0123】
周辺機器インターフェース103は、複合機5Aの周辺機器インターフェース83と同一方式の周辺機器インターフェースであって、その周辺機器インターフェース83に接続されている。
【0124】
表示装置104は、例えば、液晶ディスプレイ、各種インジケータなどである。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キースイッチなどである。記憶装置106は、プログラムやデータなどを記憶する、フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶装置である。
【0125】
演算処理装置107は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置107において、CPUが、ROMや記憶装置106に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置107では、ネットワーク通信処理部111、近距離通信処理部112、印刷データ取得部113、印刷承認受付部114などが実現される。
【0126】
ネットワーク通信処理部111は、ネットワークインターフェース101を制御してネットワーク2に接続されている機器(機器管理サーバー装置3など)とのデータ通信を所定の通信プロトコル(HTTPなど)で実行する。
【0127】
近距離通信処理部112は、近距離通信インターフェース102を制御して、通信可能範囲内にある他の機器の近距離通信インターフェースとの接続を確立し、その機器とのデータ通信を実行する。
【0128】
近距離通信処理部112は、近距離通信インターフェース102により携帯端末装置1との接続が確立されると、その携帯端末装置1の機体識別子(この実施の形態1では、MACアドレス12a)を取得する。
【0129】
印刷データ取得部113は、近距離通信処理部112により携帯端末装置1の機体識別子が取得されると、ネットワーク通信処理部111を使用して、その機体識別子を付してデータ送信要求を機器管理サーバー装置3へ送信し、その要求の応答として、その機体識別子の印刷データを受信し、その印刷データを周辺機器インターフェース103で複合機5Aへ送信する。印刷データ取得部113は、印刷承認受付部114により印刷承認のユーザー操作が検出された後、印刷データを機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、複合機5Aへ供給して印刷を実行させる。
【0130】
印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3から課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該セットトップボックス6Aの表示装置104、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかで表示させ、当該セットトップボックス6Aの入力装置105、携帯端末装置1、および複合機5Aのいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出されたことを特定する。
【0131】
携帯端末装置1に課金額を表示させる場合には、印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112を使用して、携帯端末装置1へ入力画面の表示指令およびその課金額情報を送信し、印刷の承認、否認などを示すユーザー操作情報を携帯端末装置1から受信する。この場合、携帯端末装置1は、その表示指令および課金額情報を受信すると、課金額を含む入力画面を表示装置14に表示させ、印刷の承認、否認などのユーザー操作を入力装置15で検出すると、そのユーザー操作情報を近距離通信インターフェース12でセットトップボックス6Aへ送信する。
【0132】
複合機5Aに課金額を表示させる場合には、印刷承認受付部114は、周辺機器インターフェース103を使用して、複合機5Aへ入力画面の表示指令およびその課金額情報を送信し、印刷の承認、否認などを示すユーザー操作情報を複合機5Aから受信する。この場合、複合機5Aは、その表示指令および課金額情報を受信すると、課金額を含む入力画面を表示装置81aに表示させ、印刷の承認、否認などのユーザー操作を入力装置81bで検出すると、そのユーザー操作情報を周辺機器インターフェース83でセットトップボックス6Aへ送信する。
【0133】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図8は、図1に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0134】
携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、このシステムを利用して印刷を行いたい場合、まず、携帯端末装置1を操作して、携帯端末装置1内に保存されている文書データファイルを機器管理サーバー装置3へアップロードする。このとき、携帯端末装置1では、入力装置15がユーザーによる所定の操作を検出すると、ファイル送信処理部23は、無線ネットワークインターフェース11およびネットワーク通信処理部21を使用して、ユーザーの操作により指定された文書データファイルを、携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)とともに、ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS1)。
【0135】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ登録処理部42が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その文書データファイルおよび機体識別子を受信する。
【0136】
機体識別子と文書データファイルが受信されると、データ変換部43は、その機体識別子に関連付けられている印刷設定データを登録機器データ31aから抽出し、その印刷設定データにより指定される印刷設定で、その文書データファイルから印刷データを生成する(ステップS2)。このとき、課金処理部45は、その印刷データで印刷を実行した場合の課金額を計算し、その課金額情報を、その機体識別子および/またはその印刷データに関連付けて記憶装置31、ジョブ管理サーバー装置4などにおいて保持する(ステップS101)。
【0137】
そして、ジョブ登録処理部42は、ネットワーク通信部41およびネットワークインターフェース32を使用して、その印刷データをジョブ管理サーバー装置4に格納する(ステップS3)。なお、文書データファイルが、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式を有している場合には、データ変換部43は、データ変換を行わずに、文書データファイルを印刷データとしてジョブ管理サーバー装置4に格納する。このとき、ジョブ管理サーバー装置4では、スプール処理部62が、ネットワーク通信処理部61およびネットワークインターフェース52を使用して、その印刷データを受信すると、記憶装置51に格納する。
【0138】
次に、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルを機器管理サーバー装置3へアップロードした後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機およびセットトップボックス(複合機5Aとセットトップボックス6A、あるいは複合機5Bとセットトップボックス6B)の設置場所に行く。
【0139】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6Bの近距離通信インターフェース102の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース102と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立したセットトップボックス(セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6B)の近距離通信インターフェース102は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS11)。
【0140】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部111を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS111)。
【0141】
機器管理サーバー装置3では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、そのセットトップボックスへ送信する(ステップS112)。
【0142】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS113)。
【0143】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、その課金額を示す入力画面を表示装置14に表示させる(ステップS114)。図9は、実施の形態1において、ユーザーが印刷承認を行うための入力画面の一例を示す図である。この入力画面では、印刷前に、今回の印刷の課金額201が表示されるとともに、印刷承認ボタン202、印刷否認ボタン203、および機器管理サーバー装置3とジョブ管理サーバー装置4からこのユーザーの印刷データおよび文書データファイルを削除するためのファイル削除ボタン204が表示される。図9に示す携帯端末装置1の表示装置14の表示面上には透明なタッチパネルが入力装置15として設置されており、これらのボタン202〜203の表示部分がユーザーにより押下されると、その操作がそのタッチパネルにより検出される。なお、機器管理サーバー装置3は、課金額情報とともに、印刷データの元となった文書データファイルのファイル名などの属性情報、印刷設定情報などの関連情報を送信し、その関連情報が課金額情報とともに入力画面において表示されるようにしてもよい(実施の形態2でも同様)。図9では、課金額とともに、文書データファイルのファイル名が表示されている。
【0144】
そして、印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS115)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立しているセットトップボックスに送信する(ステップS116)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立しているセットトップボックスに送信する。
【0145】
そのセットトップボックスにおいて、印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS117)には、以下に示すように、印刷データ取得部113に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0146】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、機器管理サーバー装置3へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置3は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データをジョブ管理サーバー装置4などから削除する。
【0147】
印刷承認受付部114が印刷承認を受け付けた場合(ステップS117)、印刷データ取得部113は、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS12)。なお、機器管理サーバー装置3は、送信されてきた機体識別子が登録機器データ31aに登録されていない場合、その機体識別子とともに受信された印刷データ送信要求を破棄する。これにより、登録されていない携帯端末装置1からの印刷が禁止される。
【0148】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信する。
【0149】
ジョブ送信処理部44は、受信した機体識別子についての印刷データの送信要求をジョブ管理サーバー装置4へ送信する(ステップS13)。ジョブ管理サーバー装置4では、スプール処理部62が、ネットワーク通信処理部61およびネットワークインターフェース52を使用して、その送信要求を受信すると、その要求により指定された印刷データを記憶装置51から読み出し、機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS14)。
【0150】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データを受信すると、印刷データの要求元であるセットトップボックスへその印刷データを送信する(ステップS15)。
【0151】
そのセットトップボックスでは、印刷データ取得部113が、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その印刷データを受信し、周辺機器インターフェース103で、その印刷データを、そのセットトップボックスに接続されている複合機へ送信する(ステップS16)。
【0152】
その複合機では、制御部92は、周辺機器インターフェース83でその印刷データを受信し、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS17)。これにより、ユーザーは、自己の携帯する携帯端末装置1の文書データファイルに基づき印刷された印刷物を得ることができる。
【0153】
印刷が完了すると、制御部92は、その印刷データについての印刷完了通知を、セットトップボックスを介して、またはセットトップボックスを介さずに直接ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS18)。
【0154】
機器管理サーバー装置3では、課金処理部45が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷完了通知を受信すると、その印刷完了通知に対応する印刷データについての課金処理を実行する(ステップS19)。
【0155】
なお、図示せぬコインベンダーがセットトップボックス6A,6Bに接続されている場合、課金処理部45は、そのコインベンダーを制御して決済処理を行う。また、クレジット決済などの外部サーバーを使用する決済方式の場合には、課金処理部45は、その外部サーバーにアクセスして決済処理を行う。
【0156】
なお、機器管理サーバー装置3における文書データファイルから印刷データへのデータ変換を、印刷データの送信要求を受けてから実行する場合には、文書データファイルの受信時にはデータ変換を行わずに、機器管理サーバー装置3のジョブ登録処理部42は、文書データファイルを、そのままジョブ管理サーバー装置4に格納し、印刷データの送信要求を受けたときにデータ変換部43が、上述のデータ変換を実行する。そして、データ変換により生成された印刷データが上述のようにしてセットトップボックスへ送信される。
【0157】
以上のように、上記実施の形態1によれば、機器管理サーバー装置3は、(a)携帯端末装置1から送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、(b)印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、携帯端末装置1との接続を確立したセットトップボックスへ送信し、そのセットトップボックスは、(c)課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、その携帯端末装置1などで表示させ、(d)印刷承認のユーザー操作が検出された後、携帯端末装置1の機体識別子とともに機器管理サーバー装置3において受信された文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置3から取得し、そのセットトップボックスに接続された複合機へ供給して印刷を実行させる。
【0158】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、携帯端末装置1からの印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置3で一括して集中的に行われる。さらに、画像形成装置とは別に印刷制御装置を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置の検出や機体識別子の取得、送信を行うことができる。また、ユーザーIDではなく機体識別子を使用することにより、ユーザーが識別子を入力したりする必要がなく、識別子の漏洩などに起因するなりすましが防止される。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示され、課金額を確認したユーザーによる印刷承認の後に、印刷が実行される。したがって、コインベンダー、プリペイドカードなどによる決済方法の他、電子マネー決済やクレジットカード決済など、決済額の事前の承認が必須な決済方法を使用することが可能となる。
【0159】
実施の形態2.
【0160】
図10は、本発明の実施の形態2に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態2に係るモバイルプリンティングシステムでは、複合機5C,5Dが、複合機5A,5Bの機能に加え、実施の形態1のセットトップボックス6A,6Bの機能を有している。
【0161】
実施の形態2では、機器管理サーバー装置3は、携帯端末装置1からネットワーク2を介して送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、複合機5C,5Dで処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、複合機5C,5Dからの要求に応じて送信する。
【0162】
実施の形態2では、複合機5C,5Dは、ネットワーク2に接続されており、携帯端末装置1との接続が確立すると、上述のセットトップボックス6A,6Bと同様の方法で、機器管理サーバー装置3から印刷データを取得して印刷を実行する。
【0163】
図11は、図10における複合機5Cの構成を示すブロック図である。なお、複合機5Dも同様の構成を有する。
【0164】
複合機5Cは、複合機5Aと同様の構成要素の他、近距離通信インターフェース121を有し、さらに、演算処理装置85において実現される近距離通信処理部122と印刷データ取得部123と印刷承認受付部124とを有する。近距離通信インターフェース121、近距離通信処理部122、印刷データ取得部123および印刷承認受付部124は、上述の近距離通信インターフェース102、近距離通信処理部112、印刷データ取得部113および印刷承認受付部114と同様のものである。
【0165】
なお、実施の形態2における携帯端末装置1、機器管理サーバー装置3、およびジョブ管理サーバー装置4の構成は、実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0166】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図12は、図10に示すシステムにおいて携帯端末装置1の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0167】
実施の形態2では、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルを機器管理サーバー装置3へアップロードした後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機(複合機5C、あるいは複合機5D)の設置場所に行く。
【0168】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、複合機5Cまたは複合機5Dの近距離通信インターフェース121の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース121と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立した複合機(複合機5Cまたは複合機5D)の近距離通信インターフェース121は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS21)。
【0169】
その複合機の印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部91を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS121)。
【0170】
機器管理サーバー装置3では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、その複合機へ送信する(ステップS122)。
【0171】
その複合機の印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS123)。
【0172】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、例えば図9に示すように、その課金額を示す入力画面を表示装置14に表示させる(ステップS124)。
【0173】
その入力画面において印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS125)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立している複合機に送信する(ステップS126)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立している複合機に送信する。
【0174】
その複合機において、印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS127)には、以下に示すように、印刷データ取得部123に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0175】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、機器管理サーバー装置3へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置3は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データを削除する。
【0176】
印刷承認受付部124が印刷承認を受け付けた場合(ステップS127)、印刷データ取得部123は、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS22)。
【0177】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信する。
【0178】
ジョブ送信処理部44は、受信した機体識別子についての印刷データの送信要求をジョブ管理サーバー装置4へ送信する(ステップS13)。ジョブ管理サーバー装置4では、スプール処理部62が、ネットワーク通信処理部61およびネットワークインターフェース52を使用して、その送信要求を受信すると、その要求により指定された印刷データを記憶装置51から読み出し、機器管理サーバー装置3へ送信する(ステップS14)。
【0179】
機器管理サーバー装置3では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データを受信すると、印刷データの要求元である複合機へその印刷データを送信する(ステップS23)。
【0180】
その複合機では、印刷データ取得部123が、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用してその印刷データを受信すると、制御部92は、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS24)。
【0181】
なお、各装置のその他の動作については、実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0182】
以上のように、上記実施の形態2によれば、機器管理サーバー装置3は、(a)携帯端末装置1から送信されてくるその携帯端末装置1に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、(b)印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を、携帯端末装置1との接続を確立した複合機へ送信し、その複合機は、(c)課金額情報を受信し、課金額情報により示される課金額を、その携帯端末装置1などで表示させ、(d)印刷承認のユーザー操作が検出された後、携帯端末装置1の機体識別子とともに機器管理サーバー装置3において受信された文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置3へ要求して取得し、その印刷データに基づき印刷を実行する。
【0183】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、携帯端末装置1からの印刷に関する処理(課金処理、印刷設定など)が、機器管理サーバー装置3で一括して集中的に行われる。また、ユーザーIDではなく機体識別子を使用することにより、ユーザーが識別子を入力したりする必要がなく、識別子の漏洩などに起因するなりすましが防止される。さらに、印刷前に課金額がユーザーに提示され、課金額を確認したユーザーによる印刷承認の後に、印刷が実行される。したがって、コインベンダー、プリペイドカードなどによる決済方法の他、電子マネー決済やクレジットカード決済など、決済額の事前の承認が必須な決済方法を使用することが可能となる。
【0184】
実施の形態3.
【0185】
本発明の実施の形態3に係る画像形成システムでは、文書データファイルが、携帯端末装置からクラウドサービスを経由して機器管理サーバー装置へ伝送される。ユーザーが、文書データファイルをクラウドサービスにアップロードし、機器管理サーバー装置がクラウドサービスからその文書データファイルをダウンロードする。
【0186】
図13は、本発明の実施の形態3に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図13に示すシステムでは、ユーザーの携帯する携帯端末装置1が無線通信で基地局2aを介してネットワーク2に接続する。そのネットワーク2には、機器管理サーバー装置301およびクラウドサーバー装置302が接続されており、さらに、学校などの公共施設や店舗などに配置されている1または複数の複合機5A,5Bにそれぞれ接続されたセットトップボックス6A,6Bがネットワーク2に接続されている。なお、図13では、携帯端末装置1が1台のみ描かれているが、複数のユーザーが存在する場合、複数のユーザーがそれぞれ携帯端末装置1を携帯している。
【0187】
携帯端末装置1、複合機5A,5B、およびセットトップボックス6A,6Bは実施の形態1と同様のものである。また、ネットワーク2は、インターネットなどの広域ネットワークである。なお、ネットワーク2の一部は、LANでもよい。
【0188】
機器管理サーバー装置301は、所定の携帯端末装置1に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをクラウドサーバー装置302からダウンロードし、その文書データファイルに対応する印刷データを、セットトップボックス6A,6Bからの要求に応じて送信する。この印刷データは、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式のものである。
【0189】
この実施の形態3では、機器管理サーバー装置301は、携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて印刷データを内部の記憶装置、外部のデータベースサーバーなどに保存しておき、機体識別子を伴うデータ送信要求があると、その機体識別子に関連付けられている印刷データを要求元のセットトップボックス6A,6Bに送信する。
【0190】
なお、この実施の形態3では、機器管理サーバー装置301は、セットトップボックス6A,6Bからの要求の受信前に、文書データファイルを印刷データへ変換しておく。
【0191】
クラウドサーバー装置302は、Evernote、Dropbox、Googleドキュメント、Picasaウェブアルバムなどといったストレージ機能を有するクラウドサービスのサーバーである。このクラウドサービスでは、ユーザーごとにアカウントが設定され、ユーザーが携帯端末装置1などを操作して文書データファイルをクラウドサーバー装置302にアップロードすると、その文書データファイルは、そのアカウントに関連付けられてクラウドサービスで保存される。また、このクラウドサービスでは、機器管理サーバー装置301がこのクラウドサービス内の文書データファイルにアクセスできるように、機器管理サーバー装置301のためのアカウントが設定されており、機器管理サーバー装置301は、そのアカウントのユーザー権限で、クラウドサーバー装置302から、携帯端末装置1のユーザーの文書データファイルを読み出すことができる。クラウドサーバー装置302は、クラウドサービスに保存されている文書データファイルのうち、ユーザーにより指定された文書データファイルを、そのユーザーの携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて保存する(以下、この処理を「印刷予約」という)。ユーザーによる文書ファイルの指定は、携帯端末装置1などで行われる。例えば、携帯端末装置1が、クラウドサーバー装置302から、クラウドサービスに保存されている文書データファイルのリストを取得して表示し、ユーザーによりそのリストから選択された文書データファイルをクラウドサーバー装置302に通知して、そのユーザーの携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて保存させる。
【0192】
ここで、実施の形態3における機器管理サーバー装置301の構成について説明する。図14は、図13における機器管理サーバー装置301の構成を示すブロック図である。
【0193】
機器管理サーバー装置301は、記憶装置31、ネットワークインターフェース32、および演算処理装置311を有する。
【0194】
記憶装置31およびネットワークインターフェース32は、実施の形態1のものと同様である。なお、実施の形態3では、登録機器データ31a内の印刷設定データはデフォルトの印刷設定データであって、クラウドサーバー装置302において印刷設定データが登録されている場合には、その印刷設定データが使用される。例えば、ユーザーが携帯端末装置1を操作してクラウドサーバー装置302に対する印刷設定データの編集および/または登録を行う。
【0195】
演算処理装置311は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターとして構成される。演算処理装置311において、CPUが、ROMや記憶装置31に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで各種処理部を実現する。この演算処理装置311では、ネットワーク通信処理部41、ジョブ登録処理部321、データ変換部43、ジョブ送信処理部44、課金処理部45、スプール処理部322などが実現される。
【0196】
ネットワーク通信処理部41、データ変換部43、ジョブ送信処理部44、および課金処理部45は、実施の形態1のものと同様である。
【0197】
ジョブ登録処理部321は、所定のタイミングで繰り返し(例えば定期的に)、ネットワーク通信処理部41を使用してネットワーク2を介してクラウドサーバー装置302にログインし、記憶装置31に登録機器データ31aとして記憶されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルがクラウドサーバー装置302により保存されているか否かを確認し、そのような文書データファイルがクラウドサーバー装置302により保存されている場合には、その文書データファイルをダウンロードする。また、ジョブ登録処理部321は、ダウンロードした文書データファイルに対応する印刷データをスプール処理部322に登録する。
【0198】
スプール処理部322は、上述のスプール処理部62と同様のものであり、印刷データを記憶装置31に格納したり、記憶装置31から読み出したりする。
【0199】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図15は、図13に示すシステムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0200】
携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、まず、携帯端末装置1を操作して、携帯端末装置1内に保存されている文書データファイルをクラウドサーバー装置302へアップロードする。このとき、携帯端末装置1では、入力装置15がユーザーによる所定の操作を検出すると、ファイル送信処理部23は、無線ネットワークインターフェース11およびネットワーク通信処理部21を使用して、ユーザーの操作により指定された文書データファイルを、ネットワーク2を介してクラウドサーバー装置302へ送信する(ステップS201)。
【0201】
クラウドサーバー装置302は、その文書データファイルを受信すると、そのユーザーのアカウントに関連付けて保存する(ステップS202)。その後、このシステムを利用して印刷を行いたいときに、ユーザーは、携帯端末装置1を操作して、クラウドサービスに保存している文書データファイルのうち、ユーザーが印刷したい文書データファイルの「印刷予約」を行う(ステップS203)。例えば、この「印刷予約」の際に、ユーザーは、携帯端末装置1を操作してクラウドサーバー装置302にアクセスし、印刷設定データを携帯端末装置1の機体識別子に関連付けて登録したり、既に登録されている印刷設定データを編集したりする。
【0202】
他方、機器管理サーバー装置301のジョブ登録処理部321は、クラウドサーバー装置302に、登録機器データ31aに登録されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルが保存されているか否かを監視しており、登録されている機体識別子に関連付けられている文書データファイルが保存されていると、その文書データファイルを、クラウドサーバー装置302からダウンロードする(ステップS204)。このとき、その文書データファイル、そのユーザー、またはその機体識別子に関連付けられている印刷設定データがクラウドサーバー装置302により保存されている場合には、ジョブ登録処理部321は、その印刷設定データをその文書データファイルとともにダウンロードする。
【0203】
文書データファイルがダウンロードされると、データ変換部43は、ダウンロードした印刷設定データ(または登録機器データ31a内の印刷設定データ)により指定される印刷設定で、その文書データファイルから印刷データを生成する(ステップS205)。
【0204】
そして、ジョブ登録処理部321は、その印刷データをスプール処理部322に保存させる(ステップS206)。なお、文書データファイルが、複合機5A,5Bで処理可能なデータ形式を有している場合には、データ変換部43によるデータ変換を行わずに、文書データファイルを印刷データとしてスプール処理部322に保存させる。
【0205】
このとき、課金処理部45は、その印刷データで印刷を実行した場合の課金額を計算し、その課金額情報を、その機体識別子および/またはその印刷データに関連付けて記憶装置31などにおいて保持する(ステップS101)。
【0206】
次に、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルをクラウドサーバー装置302へアップロードし「印刷予約」を行った後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機およびセットトップボックス(複合機5Aとセットトップボックス6A、あるいは複合機5Bとセットトップボックス6B)の設置場所に行く。
【0207】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6Bの近距離通信インターフェース102の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース102と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立したセットトップボックス(セットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6B)の近距離通信インターフェース102は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS11)。
【0208】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部111を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS111)。
【0209】
機器管理サーバー装置301では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、そのセットトップボックスへ送信する(ステップS112)。
【0210】
そのセットトップボックスの印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS113)。
【0211】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、その課金額を示す入力画面を図9に示すように表示装置14に表示させる(ステップS114)。
【0212】
そして、印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS115)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立しているセットトップボックスに送信する(ステップS116)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立しているセットトップボックスに送信する。
【0213】
そのセットトップボックスにおいて、印刷承認受付部114は、近距離通信処理部112および近距離通信インターフェース102を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS117)には、以下に示すように、印刷データ取得部113に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0214】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部114は、ネットワーク通信処理部111を使用して、機器管理サーバー装置301へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置301は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データを削除する。
【0215】
印刷承認受付部114が印刷承認を受け付けた場合(ステップS117)、印刷データ取得部113は、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS12)。なお、機器管理サーバー装置301は、送信されてきた機体識別子が登録機器データ31aに登録されていない場合、その機体識別子とともに受信された印刷データ送信要求を破棄する。これにより、登録されていない携帯端末装置1からの印刷が禁止される。
【0216】
機器管理サーバー装置301では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信し、受信した機体識別子についての印刷データをスプール処理部322から読み出し、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、印刷データの要求元であるセットトップボックスへ送信する(ステップS207)。
【0217】
そのセットトップボックスでは、印刷データ取得部113が、ネットワーク通信処理部111およびネットワークインターフェース101を使用して、その印刷データを受信し、周辺機器インターフェース103で、その印刷データを、そのセットトップボックスに接続されている複合機へ送信する(ステップS16)。
【0218】
その複合機では、制御部92は、周辺機器インターフェース83でその印刷データを受信し、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS17)。これにより、ユーザーは、自己の携帯する携帯端末装置1の文書データファイルに基づき印刷された印刷物を得ることができる。
【0219】
印刷が完了すると、制御部92は、その印刷データについての印刷完了通知を、セットトップボックスを介して、またはセットトップボックスを介さずに直接ネットワーク2を介して機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS18)。
【0220】
機器管理サーバー装置301では、課金処理部45が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷完了通知を受信すると、その印刷完了通知に対応する印刷データについての課金処理を実行する(ステップS19)。
【0221】
なお、図示せぬコインベンダーがセットトップボックス6A,6Bに接続されている場合、課金処理部45は、そのコインベンダーを制御して決済処理を行う。また、クレジット決済などの外部サーバーを使用する決済方式の場合には、課金処理部45は、その外部サーバーにアクセスして決済処理を行う。
【0222】
以上のように、上記実施の形態3によれば、機器管理サーバー装置301は、クラウドサーバー装置302から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、複合機5A,5Bで処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信する。セットトップボックス6A,6Bは、周囲に存在する携帯端末装置1を検出すると、検出した携帯端末装置1の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し、複合機5A,5Bへ供給して印刷を実行させる。さらに、機器管理サーバー装置301は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報をセットトップボックス6A,6Bへ送信する。セットトップボックス6A,6Bは、その課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該セットトップボックス6A,6B、携帯端末装置1、および複合機5A,5Bのいずれかで表示させ、当該セットトップボックス6A,6B、携帯端末装置1、および複合機5A,5Bのいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し、複合機5A,5Bへ供給して印刷を実行させる。
【0223】
これにより、携帯端末装置ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置301で一括して集中的に行われる。さらに、画像形成装置(複合機5A,5B)とは別に印刷制御装置(セットトップボックス6A,6B)を備えることで、既存の画像形成装置を改造または変更することなく携帯端末装置1の検出や機体識別子の取得を行うことができる。さらに、機器管理サーバー装置301がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置1が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0224】
実施の形態4.
【0225】
図16は、本発明の実施の形態4に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態4に係るシステムでは、複合機5C,5Dが、複合機5A,5Bの機能に加え、実施の形態3のセットトップボックス6A,6Bの機能を有している。
【0226】
実施の形態4では、機器管理サーバー装置301は、実施の形態3のものと同様の構成を有し、携帯端末装置1に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、複合機5C,5Dで処理可能な、文書データファイルに対応する印刷データを、複合機5C,5Dからの要求に応じて送信する。
【0227】
実施の形態4では、複合機5C,5Dは、ネットワーク2に接続されており、携帯端末装置1との接続が確立すると、上述のセットトップボックス6A,6Bと同様の方法で、機器管理サーバー装置301から印刷データを取得して印刷を実行する。
【0228】
なお、複合機5C,5Dの構成は、実施の形態2のものと同様である。また、実施の形態4における携帯端末装置1、機器管理サーバー装置301、およびクラウドサーバー装置302は、実施の形態3のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0229】
次に、上記システムにおいて携帯端末装置の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明する。図17は、図16に示すシステムにおいて携帯端末装置1の有する文書データファイルに基づく印刷を実行する際の各装置の動作について説明するシーケンス図である。
【0230】
実施の形態4では、携帯端末装置1を携帯しているユーザーは、文書データファイルをクラウドサーバー装置302へアップロードし、「印刷予約」を行った後、携帯端末装置1を携帯したまま、印刷に使用したい複合機(複合機5C、あるいは複合機5D)の設置場所に行く。そして、ユーザーは、携帯端末装置1を、所定の位置(上述の配置エリア)に配置する。
【0231】
このユーザーの動作により、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12は、複合機5Cまたは複合機5Dの近距離通信インターフェース121の通信エリア内に進入する。そして、このとき、その近距離通信インターフェース121と近距離通信インターフェース12とが接続を確立すると、接続を確立した複合機(複合機5Cまたは複合機5D)の近距離通信インターフェース121は、携帯端末装置1の近距離通信インターフェース12から携帯端末装置1の機体識別子(ここでは、MACアドレス12a)を受信する(ステップS21)。
【0232】
その複合機の印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122を介して携帯端末装置1の機体識別子を取得し、ネットワーク通信処理部91を使用して、その機体識別子とともに課金額情報要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS121)。
【0233】
機器管理サーバー装置301では、課金処理部45が、その課金額情報要求とその機体識別子を受信し、受信した機体識別子の携帯端末装置1からジョブ登録処理部42により受信された文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額情報を、その複合機へ送信する(ステップS122)。
【0234】
その複合機の印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、その課金額情報を受信し、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その課金額情報と入力画面の表示指令を携帯端末装置1へ送信する(ステップS123)。
【0235】
携帯端末装置1は、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12でその入力画面の表示指令と課金額情報を受信すると、例えば図9に示すように、その課金額を示す入力画面を表示装置14に表示させる(ステップS124)。
【0236】
その入力画面において印刷承認ボタン202が押下されると(ステップS125)、携帯端末装置1は、その操作情報を、近距離通信処理部22および近距離通信インターフェース12を使用して、接続を確立している複合機に送信する(ステップS126)。印刷否認ボタン203またはファイル削除ボタン204が押下された場合も、同様にして、携帯端末装置1は、その操作情報を、接続を確立している複合機に送信する。
【0237】
その複合機において、印刷承認受付部124は、近距離通信処理部122および近距離通信インターフェース121を使用して、その操作情報を受信すると、その操作情報が印刷承認ボタン202の押下を示している場合(ステップS127)には、以下に示すように、印刷データ取得部123に、印刷データの取得および印刷を実行させる。
【0238】
一方、その操作情報が印刷否認ボタン202の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、その携帯端末装置1が今回検出されたことに対する処理を終了し、所定の時間が経過したとき、またはその携帯端末装置1が次回検出されたときに、再度、同様の印刷承認のための入力画面を表示させる。また、その操作情報がファイル削除ボタン204の押下を示している場合には、印刷承認受付部124は、ネットワーク通信処理部91を使用して、機器管理サーバー装置301へ、その機体識別子とファイル削除要求を送信する。機器管理サーバー装置301は、その機体識別子とファイル削除要求を受信すると、その機体識別子に関連付けられて保持されている文書データファイルおよび印刷データを削除する。
【0239】
印刷承認受付部124が印刷承認を受け付けた場合(ステップS127)、印刷データ取得部123は、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用して、その機体識別子とともに印刷データ送信要求を機器管理サーバー装置301へ送信する(ステップS22)。
【0240】
機器管理サーバー装置301では、ジョブ送信処理部44が、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、その印刷データ送信要求および機体識別子を受信し、受信した機体識別子についての印刷データをスプール処理部322から読み出し、ネットワークインターフェース32およびネットワーク通信部41を使用して、印刷データの要求元である複合機へ送信する(ステップS207)。
【0241】
その複合機では、印刷データ取得部123が、ネットワーク通信処理部91およびネットワークインターフェース82を使用してその印刷データを受信すると、制御部92は、プリンター84でその印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS24)。
【0242】
なお、各装置のその他の動作については、実施の形態3の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0243】
以上のように、上記実施の形態4によれば、機器管理サーバー装置301は、クラウドサーバー装置302から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている文書データファイルをダウンロードし、複合機5C,5Dで処理可能な、その文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信する。複合機5C,5Dは、周囲に存在する携帯端末装置1を検出すると、検出した携帯端末装置1の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。さらに、機器管理サーバー装置301は、印刷データの送信前に、印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を複合機5C,5Dへ送信する。複合機5C,5Dは、その課金額情報を受信し、その課金額情報により示される課金額を、当該複合機5C,5Dおよび携帯端末装置1のいずれかで表示させ、当該複合機5C,5Dおよび携帯端末装置1のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した機体識別子に関連付けられている文書データファイルに対応する印刷データを機器管理サーバー装置301へ要求して取得し印刷データに基づく印刷を実行する。
【0244】
これにより、携帯端末装置1ごとに個別的に異なるような、印刷に関する処理(課金処理、印刷設定、認可情報設定など)が、機器管理サーバー装置301で一括して集中的に行われる。さらに、機器管理サーバー装置301がクラウドサービスを経由して文書データファイルを取得するため、携帯端末装置1が、ウェブブラウザーなどといった、そのクラウドサービスを使用可能なソフトウェアを有していれば、ユーザーは、このシステムによる印刷サービスを享受することができる。
【0245】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0246】
例えば、上記実施の形態1〜4において、機器管理サーバー装置3,301および/またはジョブ管理サーバー装置4により保存された文書データファイルおよび/または印刷データを、送信要求に基づいて送信された後、ただちに消去するようにしてもよいし、印刷完了通知があったときに消去するようにしてもよいし、データ送信後または印刷完了通知後から再印刷可能に一定期間保持した後に消去するようにしてもよい。
【0247】
また、上記実施の形態1,3において、セットトップボックス6A,6Bは、データ送信要求とともに、セットトップボックス6A,6Bに接続されている複合機5A,5Bの機種情報を機器管理サーバー装置3,301に送信し、機器管理サーバー装置3,301は、その機種情報により示される機種に対応した印刷データを文書データファイルから生成し送信するようにしてもよい。同様に、実施の形態2,4において、複合機5C,5Dは、データ送信要求とともに、自己の機種情報を機器管理サーバー装置3,301に送信し、機器管理サーバー装置3,301は、その機種情報により示される機種に対応した印刷データを文書データファイルから生成し送信するようにしてもよい。さらに、これらの機種情報には、フィニッシャーなどのオプション機能が装備済みであるか否かを示すオプション情報を含めるようにしてもよい。
【0248】
また、上記実施の形態1,3において、セットトップボックス6Aと複合機5Aとは周辺機器インターフェース83,103で接続されているが、その代わりに、ネットワークインターフェース82,101で接続され、ネットワーク2を介して印刷データを送受するようにしてもよい。
【0249】
また、上記実施の形態1〜4において、複合機5A,5B,5C,5Dの代わりに、プリンターなどといった印刷機能を有する他の画像形成装置を使用してもよい。
【0250】
また、上記実施の形態1〜4においてはデータ変換時(ステップS2)に課金額を計算しているが、課金額情報の送信時に計算するようにしてもよい。
【0251】
また、上記実施の形態3,4では、機器管理サーバー装置301が、ジョブ管理サーバー装置4のスプール機能を有しているが、実施の形態1,2と同様に、機器管理サーバー装置とは別に、ジョブ管理サーバー装置4を設け、ジョブ管理サーバー装置4に印刷データをスプールするようにしてもよい。
【0252】
また、上記実施の形態1〜4において、ユーザーが携帯端末装置1にコード(例えば4ケタの英数字)を入力し、携帯端末装置1が機体識別子とともにそのコードをセットトップボックス6A,6Bまたは複合機5C,5Dへ送信し、ユーザーがコードをセットトップボックス6A,6Bまたは複合機5C,5Dに入力し、セットトップボックス6A,6Bおよび複合機5C,5Dは、携帯端末装置1から受信したコードと、ユーザーにより直接入力されたコードとが一致した場合のみ、印刷データ送信要求を送信し、そうでない場合には、印刷データ送信要求を送信しないようにしてもよい。
【0253】
また、上記実施の形態1〜4において、セットトップボックス6A,6Bおよび複合機5C,5Dは、検出した携帯端末装置1の機体識別子に関連付けられている印刷データのリストを機器管理サーバー装置3,301から取得し、そのリストを、近距離通信インターフェースで携帯端末装置1へ送信して表示させ、ユーザーによりそのリストから選択された印刷データを機器管理サーバー装置3,301から取得するようにしてもよい。図18は、印刷データのリストの一例を示す図である。例えば図18に示すように、印刷データに対応する文書データファイルのファイル名および印刷データに対応する課金額のリスト401が表示される。
【0254】
また、上記実施の形態1,3において、機器管理サーバー装置3,301の機能をすべてセットトップボックス6Aまたはセットトップボックス6Bに内蔵させ、機器管理サーバー装置3,301を省略するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0255】
本発明は、例えば、店舗などに配置した画像形成装置による印刷サービスに適用可能である。
【符号の説明】
【0256】
1 携帯端末装置
3,301 機器管理サーバー装置(サーバー装置の一例)
5A,5B,5C,5D 複合機(画像形成装置の一例)
6A,6B セットトップボックス(印刷制御装置の一例)
12,102,121 近距離通信インターフェース
12a MACアドレス(機体識別子の一例)
31 記憶装置
42 ジョブ登録処理部(文書データファイル受信部の一例)
43 データ変換部
44 ジョブ送信処理部(印刷データ送信部の一例)
45 課金処理部
302 クラウドサーバー装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともに前記サーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記印刷制御装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子とともにサーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項2】
携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともに前記サーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記画像形成装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子とともにサーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行すること、
を備えることを特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項3】
前記サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項1または請求項2記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項4】
前記サーバー装置は、前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項3記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項5】
前記サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項3または請求項4記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項6】
前記サーバー装置は、前記印刷データに基づき前記画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する前記文書データファイルの送信元である前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項7】
前記印刷制御装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、前記通信装置により前記通信方式で、周囲に存在する前記携帯端末装置を検出することを特徴とする請求項1記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項8】
前記画像形成装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、前記通信装置により前記通信方式で、周囲に存在する前記携帯端末装置を検出することを特徴とする請求項2記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項9】
予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、
前記機体識別子が前記記憶装置に記憶されている携帯端末装置から送信されてくる文書データファイルを受信する文書データファイル受信部と、
前記文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、前記印刷データの送信先から前記携帯端末装置の機体識別子を受信し、受信した前記機体識別子の前記携帯端末装置から前記文書データファイル受信部により受信された前記文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷データの送信先へ送信し、前記印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、
前記印刷承認通知が受信された後に、前記印刷データを前記印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部と、
を備えることを特徴とするサーバー装置。
【請求項10】
前記文書データファイルを前記印刷データへ変換するデータ変換部を備え、
前記記憶装置は、前記機体識別子に関連付けて印刷設定データを記憶しており、
前記データ変換部は、前記印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換すること、
を特徴とする請求項9記載のサーバー装置。
【請求項11】
前記課金処理部は、前記データ変換部が前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項9記載のサーバー装置。
【請求項12】
携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、
携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、前記機体識別子に関連付けて前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、前記機体識別子に関連付けられた前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した前記文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、
前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を前記機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信する印刷制御装置と、
前記印刷データを前記印刷制御装置から受信し、前記印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記機器管理サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記印刷制御装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、前記印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信すること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項13】
携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、
携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、前記機体識別子に関連付けて前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、前記機体識別子に関連付けられた前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した前記文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、
前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を前記機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信し、前記印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記機器管理サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、前記印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信すること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項14】
前記機器管理サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項12または請求項13記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項15】
前記機器管理サーバー装置は、前記印刷データに基づき前記画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する前記文書データファイルの送信元である前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持することを特徴とする請求項12から請求項14のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項16】
前記機器管理サーバー装置は、前記機体識別子を受信したとき、前記機体識別子により認証処理を行うことを特徴とする請求項12または請求項15記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項17】
前記機器管理サーバー装置は、前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて格納された印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項12から請求項16のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項18】
前記印刷設定データには、認可情報設定が含まれることを特徴とする請求項17記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項19】
文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記印刷制御装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項20】
文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記画像形成装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行すること、
を備えることを特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項21】
前記サーバー装置は、ダウンロードした前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項19または請求項20記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項22】
前記サーバー装置は、前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項21記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項23】
前記サーバー装置は、前記印刷設定データを前記クラウドサーバー装置からダウンロードし、ダウンロードした前記印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項22記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項24】
前記サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項21記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項25】
前記サーバー装置は、前記印刷データに基づき前記画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する前記文書データファイルの送信元である前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持することを特徴とする請求項19から請求項24のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項26】
予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、
文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、前記記憶装置に記憶されている前記機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルをダウンロードする文書データファイル受信部と、
前記文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷データの送信先へ送信し、前記印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、
前記印刷承認通知が受信された後に、前記印刷データを前記印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部と、
を備えることを特徴とするサーバー装置。
【請求項27】
前記文書データファイルを前記印刷データへ変換するデータ変換部を備え、
前記データ変換部は、前記クラウドサーバー装置からダウンロードされた印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項26記載のサーバー装置。
【請求項28】
前記課金処理部は、前記データ変換部が前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項26記載のサーバー装置。
【請求項1】
携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともに前記サーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記印刷制御装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子とともにサーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項2】
携帯端末装置から送信されてくるその携帯端末装置に固有の機体識別子および文書データファイルを受信し、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子とともに前記サーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記画像形成装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子とともにサーバー装置において受信された前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行すること、
を備えることを特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項3】
前記サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項1または請求項2記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項4】
前記サーバー装置は、前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項3記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項5】
前記サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項3または請求項4記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項6】
前記サーバー装置は、前記印刷データに基づき前記画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する前記文書データファイルの送信元である前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項7】
前記印刷制御装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、前記通信装置により前記通信方式で、周囲に存在する前記携帯端末装置を検出することを特徴とする請求項1記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項8】
前記画像形成装置は、所定の通信方式の通信装置を有し、前記通信装置により前記通信方式で、周囲に存在する前記携帯端末装置を検出することを特徴とする請求項2記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項9】
予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、
前記機体識別子が前記記憶装置に記憶されている携帯端末装置から送信されてくる文書データファイルを受信する文書データファイル受信部と、
前記文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、前記印刷データの送信先から前記携帯端末装置の機体識別子を受信し、受信した前記機体識別子の前記携帯端末装置から前記文書データファイル受信部により受信された前記文書データファイルに対応する印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷データの送信先へ送信し、前記印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、
前記印刷承認通知が受信された後に、前記印刷データを前記印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部と、
を備えることを特徴とするサーバー装置。
【請求項10】
前記文書データファイルを前記印刷データへ変換するデータ変換部を備え、
前記記憶装置は、前記機体識別子に関連付けて印刷設定データを記憶しており、
前記データ変換部は、前記印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換すること、
を特徴とする請求項9記載のサーバー装置。
【請求項11】
前記課金処理部は、前記データ変換部が前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項9記載のサーバー装置。
【請求項12】
携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、
携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、前記機体識別子に関連付けて前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、前記機体識別子に関連付けられた前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した前記文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、
前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を前記機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信する印刷制御装置と、
前記印刷データを前記印刷制御装置から受信し、前記印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記機器管理サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記印刷制御装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、前記印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信すること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項13】
携帯端末装置の機体識別子に関連付けられた文書データファイルを格納するジョブ管理サーバー装置と、
携帯端末装置から機体識別子および文書データファイルを受信し、前記機体識別子に関連付けて前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置内に格納させ、機体識別子を受信すると、前記機体識別子に関連付けられた前記文書データファイルを前記ジョブ管理サーバー装置から受信し、受信した前記文書データファイルを印刷データに変換する機器管理サーバー装置と、
前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を前記機器管理サーバー装置に送信し、その機体識別子に関連付けられている印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信し、前記印刷データに基づき印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記機器管理サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、前記印刷データを前記機器管理サーバー装置から受信すること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項14】
前記機器管理サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項12または請求項13記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項15】
前記機器管理サーバー装置は、前記印刷データに基づき前記画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する前記文書データファイルの送信元である前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持することを特徴とする請求項12から請求項14のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項16】
前記機器管理サーバー装置は、前記機体識別子を受信したとき、前記機体識別子により認証処理を行うことを特徴とする請求項12または請求項15記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項17】
前記機器管理サーバー装置は、前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて格納された印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項12から請求項16のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項18】
前記印刷設定データには、認可情報設定が含まれることを特徴とする請求項17記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項19】
文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させる印刷制御装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷制御装置へ送信し、
前記印刷制御装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかで表示させ、当該印刷制御装置、前記携帯端末装置、および前記画像形成装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し、前記画像形成装置へ供給して印刷を実行させること、
を特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項20】
文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、所定の携帯端末装置に固有の機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルをダウンロードし、画像形成装置で処理可能な、前記文書データファイルに対応する印刷データを、要求に応じて送信するサーバー装置と、
周囲に存在する前記携帯端末装置を検出すると、検出した前記携帯端末装置の機体識別子を取得し、その機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行する画像形成装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記画像形成装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記課金額情報を受信し、前記課金額情報により示される課金額を、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかで表示させ、当該画像形成装置および前記携帯端末装置のいずれかへの印刷承認のユーザー操作が検出された後、取得した前記機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルに対応する印刷データを前記サーバー装置へ要求して取得し前記印刷データに基づく印刷を実行すること、
を備えることを特徴とするモバイルプリンティングシステム。
【請求項21】
前記サーバー装置は、ダウンロードした前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項19または請求項20記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項22】
前記サーバー装置は、前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けられている印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項21記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項23】
前記サーバー装置は、前記印刷設定データを前記クラウドサーバー装置からダウンロードし、ダウンロードした前記印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項22記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項24】
前記サーバー装置は、前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項21記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項25】
前記サーバー装置は、前記印刷データに基づき前記画像形成装置で印刷を行った場合の課金データを、その印刷データに対応する前記文書データファイルの送信元である前記携帯端末装置の機体識別子に関連付けて保持することを特徴とする請求項19から請求項24のうちのいずれか1項記載のモバイルプリンティングシステム。
【請求項26】
予め登録されている携帯端末装置に固有の機体識別子を記憶する記憶装置と、
文書データファイルのストレージ機能を有するクラウドサービスのクラウドサーバー装置から、前記記憶装置に記憶されている前記機体識別子に関連付けられている前記文書データファイルをダウンロードする文書データファイル受信部と、
前記文書データファイルに対応する、画像形成装置で処理可能な印刷データの送信前に、前記印刷データに基づく印刷の課金額を計算し、その課金額情報を前記印刷データの送信先へ送信し、前記印刷データの送信先からの印刷承認通知を受信する課金処理部と、
前記印刷承認通知が受信された後に、前記印刷データを前記印刷データの送信先へ送信する印刷データ送信部と、
を備えることを特徴とするサーバー装置。
【請求項27】
前記文書データファイルを前記印刷データへ変換するデータ変換部を備え、
前記データ変換部は、前記クラウドサーバー装置からダウンロードされた印刷設定データによる印刷設定で前記文書データファイルを前記印刷データに変換することを特徴とする請求項26記載のサーバー装置。
【請求項28】
前記課金処理部は、前記データ変換部が前記文書データファイルを前記印刷データに変換する際に前記課金額を計算することを特徴とする請求項26記載のサーバー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−138073(P2012−138073A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230308(P2011−230308)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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