説明

モバイル無線アクセスポイントを提供する方法及びシステム

【課題】費用削減できるモバイルアクセスポイントを提供する。
【解決手段】モバイルアクセスポイントは、ユーザによる使用のために、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む1又は複数の端末機能を提供するように構成された端末モジュールと、少なくとも1つのクライアントデバイスによる使用のために、前記少なくとも1つのクライアントデバイスへ、コンピュータネットワークへのアクセスを提供することを含む1又は複数のゲートウェイ機能を提供するように構成されたゲートウェイモジュールと、それら対応する機能を有効にするために端末モジュール及びゲートウェイモジュールを実行するように構成されたプロセッサとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(35U.S.C.§119の優先権主張)
本特許出願は、2005年3月2日に出願され、本願の譲受人に譲渡され、"METHOD AND SYSTEM FOR PROVIDING MOBILE WIRELESS ACCESS POINTS"と題され、本明細書に参照によって明確に組み込まれた仮出願60/658,268号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、無線通信に関し、特に、モバイル無線アクセスポイントを提供する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
無線モバイルサービスによって提供される便利さによって、そのようなサービスはますます人気を獲得している。人気の増加に加えて、より高いサービス品質レベルに対するユーザ欲求が更に強くなった。無線サービスは、様々な無線技術を用いて提供することができる。例えば、そのような無線技術の1つは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)及び無線デバイスのために、IEEE(Institute for Electrical and Electronics Engineers)によって開発されたWi−Fi(wireless fidelity)規格である。より具体的には、Wi−Fiは、802.11ファミリの仕様を使用するあるタイプのWLANを指す。802.11ファミリは、802.11a、802.11b及び802.11gを含む、無線ネットワーク規格又は仕様の発展セットである。802.11ファミリは、無線クライアントと基地局との間、あるいは、2つの無線クライアントの間のover-the-airインタフェースを指定する。
【0004】
Wi−Fiは、有線ローカルエリアネットワークの代わりとして、ビジネス、機関、学校、及び家庭を含む多くのタイプのユーザに受け入れられた。多くの空港、ホテル、及びファーストフード設備が、Wi−Fiネットワークへの公衆アクセスを提供する。これらの場所は、一般に、アクセスポイントあるいはホットスポットとして知られている。アクセスに対する代金の多くは、日割り又は時間従量性であるが、幾つかは無料である。
【0005】
Wi−Fiネットワークは、基本的にはローカルエリアネットワークであり、ホットスポットは、それらの位置に物理的に固定されているので、それらの有効範囲は、ホットスポットと無線クライアントとの間の距離に特に影響を受けやすい。有効範囲の品質は、一般に、無線クライアントの近くのホットスポットの数に応じて変わる。ホットスポットはそれぞれ、定義されたネットワーク領域内の多くの無線クライアントにサービス提供することができる。しかしながら、無線クライアントが1つのホットスポットの範囲を越えると、それら無線クライアントは、次のホットスポットに自動的にハンドオーバされる。従って、無線クライアントに、より良好な有効範囲を提供するために、Wi−Fiネットワークのオペレータは、様々な場所において、追加のホットスポットを設置するように促される。そのような追加のホットスポットを設置することは、実質的な設置のみならず運転費用も必要となるので、多分、何億ドルもの費用となるだろう。
【0006】
従って、モバイル無線アクセスポイントを提供することができる方法及びシステムを持つことが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で開示する技術は、モバイル無線アクセスポイントを提供することにより、上述した必要性に対処する。1つの局面では、モバイルアクセスポイントは、ユーザによる使用のために、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む1又は複数の端末機能を提供するように構成された端末モジュールと、少なくとも1つのクライアントデバイスによる使用のために、前記少なくとも1つのクライアントデバイスへ、コンピュータネットワークへのアクセスを提供することを含む1又は複数のゲートウェイ機能を提供するように構成されたゲートウェイモジュールと、それら対応する機能を有効にするために端末モジュール及びゲートウェイモジュールを実行するように構成されたプロセッサとを含む。
【0008】
別の局面では、モバイル電話は、前記モバイル電話と複数のクライアントと仲介ネットワークとの間の通信を容易にする手段を備える。ここでは、複数のクライアントとの通信は、第1の無線通信プロトコルを用いて行われ、前記仲介ネットワークとの通信は、第2の無線通信プロトコルを用いて行われる。前記モバイル電話は更に、ユーザによる使用のために、前記仲介ネットワークを経由して電話機能及びデータ機能を提供する手段と、前記第1の無線通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルとの間でデータを再フォーマットし、これによって、複数のクライアントと仲介ネットワークとの間でデータが交換されるようにする手段と、宛先コンピュータネットワークを、仲介ネットワークを経由して、複数のクライアントにアクセス可能にする手段とを備える。
【0009】
更なる局面では、モバイルアクセスポイントにおいて使用されるプロセッサが開示される。このプロセッサは、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む1又は複数の端末機能と、少なくとも1つのクライアントデバイスが、宛先コンピュータネットワークにアクセスすることを可能にする1又は複数のゲートウェイ機能とを制御するように構成されうる。
【0010】
また別の局面では、モバイルアクセスポイントを提供する方法は、モバイルデバイス上に、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む端末機能を実装することと、宛先コンピュータネットワークが、前記モバイルデバイスを経由して、少なくとも1つのクライアントデバイスによってアクセスされるようにするゲートウェイ機能をモバイルデバイス上に実装することとを含む。
【0011】
更なる局面では、複数の命令を有するプロセッサ読取可能媒体が開示される。この複数の命令は、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む1又は複数の端末機能を実行する命令セットと、前記モバイルデバイスを経由して、少なくとも1つのクライアントデバイスが、宛先コンピュータネットワークへアクセスできるように、1又は複数のゲートウェイ機能を有効にする命令セットとを含む。
【0012】
更に別の局面では、モバイルアクセスポイントを提供する方法は、第1の無線通信プロトコルに基づいて、前記モバイルデバイスと複数のクライアントとの間の通信を行うようにモバイルデバイスを構成することと、第2の無線通信プロトコルに基づいて、前記モバイルデバイスと仲介ネットワークとの間の通信を行うように前記モバイルデバイスを構成することと、ユーザによる使用のために、前記仲介ネットワークを経由して、前記モバイルデバイスに電話機能及びデータ機能を提供するように前記モバイルデバイスを構成することと、前記第1の無線通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルの間でデータを再フォーマットするように前記モバイルデバイスを構成し、これによって、複数のクライアントと仲介ネットワークとの間でのデータ交換を可能にすることと、前記仲介ネットワークを経由して、宛先コンピュータネットワークを、複数のクライアントにアクセス可能にするように前記モバイルデバイスを構成することとを含みうる。
【0013】
本発明の他の実施形態は、本発明の様々な実施形態が示され、例示によって説明された以下の詳細記述から、当業者に容易に明らかになるであろうことが理解される。理解されるように、本発明は、その他及び別の実施形態となることもでき、その幾つかの詳細は、その他様々な局面において変形することができる。従って、図面及び詳細説明は、本質的に例示的とみなされ、限定的とみなされない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本開示に従ったモバイル無線アクセスポイントシステムの1つの実施形態を図示する簡略概略図である。
【図2】図2は、本開示に従ったモバイル無線アクセスポイントシステムの別の実施形態を図示する簡略概略図である。
【図3】図3は、本開示に従ったモバイル無線アクセスポイントとして使用できるモバイル電話を図示する簡略概略図である。
【図4】図4は、本開示に従ったモバイル無線アクセスポイントの1つの実施形態を図示する簡略概略図である。
【図5】図5は、本開示に従ったモバイル無線アクセスポイントを提供するために使用可能な方法を図示する論理流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の局面は、添付図面において、限定ではなく、一例として例示される。
【0016】
添付図面と関連して以下に述べる詳細説明は、本発明の様々な実施形態の記載として意図され、本発明が実現されうる唯一の実施形態を表すように意図されていない。詳細説明は、本発明の完全な理解を提供することを目的とした具体的な詳細を含んでいる。しかしながら、本発明は、これら具体的な詳細がなくとも実現されうることが当業者に明らかになるであろう。幾つかのインスタンスでは、周知の構成及びコンポーネントが、本発明の概念を不明瞭にしないために、ブロック図形式で示される。
【0017】
図1は、モバイル無線アクセスポイントを提供するために使用可能な1つのシステム構成を図示する。システム100は、多くのモバイルデバイス102a,102bと、無線ローカルエリアネットワーク104(WLAN)と、モバイルアクセスポイント106と、無線ネットワーク108と、固定ネットワーク110とを含みうる。
【0018】
モバイルデバイス102a,102bは更に、モバイル電話、携帯情報端末(PDA)、及び、他のタイプのモバイル通信デバイスを含みうる。モバイルアクセスポイント106は、例えば端末機能及びゲートウェイ機能を含むデュアル機能又はマルチ機能を提供しうる。この端末機能は、モバイルデバイス102a,102bによって提供されるものに類似した機能を含みうる。また、ゲートウェイ機能は、モバイルデバイス102a,102b及び/又はWLAN104が、固定ネットワーク110と通信することを可能にする機能を含みうる。これらモバイルデバイス102a,102b、及びWLAN104は、例えば802.11ファミリのような様々な短距離無線通信プロトコルのうちの1つを用いて、モバイルアクセスポイント106と通信しうる。
【0019】
一方、モバイルアクセスポイント106は、例えばCDMA(符号分割多元接続)のような無線通信プロトコルや、有線通信プロトコルの多くを用いて、無線ネットワーク108と通信しうる。無線ネットワーク108は、セルラ電気通信ネットワークを含みうる。
【0020】
固定ネットワーク110は更に、インターネット、及び、その他のタイプのコンピュータネットワークを含みうる。
【0021】
上述したように、モバイルアクセスポイント106は、端末機能及びゲートウェイ機能を提供しうる。例えば、端末機能に関し、モバイルアクセスポイント106は、無線ネットワーク108を経由して音声通信アプリケーション及び/又はデータ通信アプリケーションを行うモバイル電話としてユーザによって使用されうる。ゲートウェイ機能に関し、モバイルアクセスポイント106は、固定ネットワーク110とのアクセス又は通信のためのアクセスポイントとして、モバイルデバイス102a,102bの1又は複数によって使用されうる。固定ネットワーク110は、例えばインターネットのような様々な異なるタイプのネットワークを含みうる。
【0022】
モバイルアクセスポイント106は、異なる無線通信プロトコル(例えば、802.11ファミリやCDMA)を用いてモバイルデバイス102a,102b、WLAN104、及び無線ネットワーク108と通信しうるので、モバイルアクセスポイント106との通信は、両端において無線でありうる。その結果、モバイルアクセスポイント106は、固定される必要はない。言い換えれば、モバイルアクセスポイント106は、物理的な制約なく移動することができる。モバイルアクセスポイント106を移動可能にすることによって、モバイルアクセスポイント106を、モバイルデバイス102a,102b及び/又はWLAN104の近くに持ってくることができる。その結果、固定ネットワーク110へのより容易、かつ、より便利なアクセスを達成することができる。更に、モバイルアクセスポイント106が、静止デバイス(図示せず)の近くで移動できることが注目されるべきである。従って、この静止デバイスは、固定ネットワーク110へのアクセスを有しうる。
【0023】
図2は、モバイル無線アクセスポイントを提供するために使用することができる別のシステム構成を図示する。システム200は、より高速なモバイルデータサービスを提供するために最近開発されたEV−DO(Evolution-Data Optimized)として一般に知られている別の無線技術と共に使用されてもよい。EV−DO技術は、CDMA2000−1x(符号分割多元接続規格)に基づいた3G技術と考えられる。EV−DOネットワークは、一般に、オフピーク時間中は600K〜1,200Kビット/秒の、ピーク時間中は150K〜300Kビット/秒の平均ダウンロードデータレートを提供する。瞬間的データレートは、最大2.4Mビット/秒である。これらのデータレートは、1.25MHzのスペクトルのみを使用して達成される。本明細書ではEV−DOが記述されているが、当業者であれば、他のタイプの無線技術が使用されてもよいことを認識するだろう。
【0024】
システム200は、多くのモバイルデバイス202a,202b、WLAN204、モバイルアクセスポイント206、ラジオノード208、IP(インターネットプロトコル)バックホールネットワーク210、中央オフィス212、サービスプロバイダコアネットワーク214、及び固定ネットワーク216を含みうる。モバイルデバイス202a,202b、WLAN204、及び固定ネットワーク216は、図1に記述したものに類似している。
【0025】
同様に、モバイルアクセスポイント206は、端末機能及びゲートウェイ機能を提供しうる。この構成では、モバイルアクセスポイント206は、端末機能に関して図1に記述したものと類似しており、更に、EV−DO機能を取り扱うように設計されている。EV−DO機能は、モバイルデータサービスに関連しており、ラジオノード208、IPバックホールネットワーク210、中央オフィス212、及びサービスプロバイダコアネットワーク214を含みうるEV−DOネットワーク222を経由して提供されうる。中央オフィス212は更に、ラジオネットワークコントローラ218及びパケットデータサービスノード220を含みうる。
【0026】
ラジオノード208は、セル又は送信サイトに設置され、多くの加入者又はユーザをサポートすることができる。ラジオネットワークコントローラ218は、中央オフィス212に配置され、ハンドオフ支援、移動管理、及び端末レベルセキュリティを行いうる。各ラジオネットワークコントローラ218は、1又は複数のラジオノード208をサポートし、パケットデータサービスノード220を介してサービスプロバイダコアネットワーク214に接続することができる。パケットデータサービスノード220は、標準的な無線ルータでありうる。
【0027】
EV−DOネットワークは、レガシー回路切換無線音声ネットワークから完全にデカップルされているという点で他の3Gネットワークとは異なる。これは、幾つかのベンダに、IP技術に完全に基づくEV−DOネットワークを構築させた。ラジオノード208とラジオネットワークコントローラ218との間でIP伝送を用いることは、フレーム中継器、ルータネットワーク、メトロポリタンイーサネット(登録商標)、及び無線バックホールを含むバックホールサービスの選択をオペレータに与えることによって、バックホールコストを低減する。IPベースのEV−DOネットワークは、ルータやサーバのようなオフザシェルフ(off-the-shelf)IP機器を活用し、ネットワーク管理のためにオープンスタンダードを用いる。更に、IPベースのEV−DOネットワークでは、ラジオノード208が、ラジオ周波数処理、ベースバンド変調/復調、及びパケットスケジューリングを行ないうる。
【0028】
モバイルアクセスポイント206は更に、ゲートウェイ機能を提供しうる。モバイルアクセスポイント206は、例えばインターネットのような固定ネットワーク216とのアクセス又は通信のために、モバイルデバイス202a,202bのうちの1又は複数、及び/又は、WLAN204によって、ホットスポット又はアクセスポイントとして使用されうる。図2に示す構成では、固定ネットワーク216へのアクセスは、EV−DOネットワーク222経由で達成されうる。例えば、モバイルデバイス202aは、802.11無線通信プロトコルを使用して、モバイルアクセスポイント206と通信しうる。一方、モバイルアクセスポイント206は、モバイルデバイス202aから受信したデータを、EV−DOプロトコルへ変換又は再フォーマットし、この再フォーマットしたデータを、ラジオノード208及びIPバックホールネットワーク210を経由して、中央オフィス212へ送信しうる。そして、中央オフィス212は、必要な場合には、データの更なる再フォーマットを行い、このデータを、固定ネットワーク216に接続された所望の宛先(図示せず)に更に配信するために、固定ネットワーク216へ送信しうる。同様に、固定ネットワーク216によって送信されたデータは、中央オフィス212によって、IPバックホールネットワーク210及びラジオノード208を経由して、モバイルアクセスポイント206へ転送されうる。一方、モバイルアクセスポイント206は、中央オフィス212から受信したデータを再フォーマットし、その後、このデータを、モバイルデバイス202a,202b及び/又はWLAN204へ転送する。
【0029】
図3は、プロセッサ310、端末モジュール320、及びゲートウェイモジュール330を備えるモバイルアクセスポイント300の例を示す。端末モジュール320は、ユーザによる使用のために、1又は複数の端末機能を提供する。限定される訳ではないが、端末機能は、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含みうる。これら通信アプリケーションによって、ユーザは、電話トランザクションを行なうことが可能となる。ゲートウェイモジュール330は、少なくとも1つのクライアントデバイスによる使用のために、1又は複数のゲートウェイ機能を提供する。このゲートウェイ機能は、限定される訳ではないが、コンピュータネットワークへのアクセスをクライアントデバイスへ提供する。プロセッサ310は、端末モジュール320及びゲートウェイモジュール330を制御する。プロセッサ310は、これら対応する機能を有効にするために、端末モジュール310及びゲートウェイモジュール320を実行する。
【0030】
図4は、図3に示すようなモバイルアクセスポイント300として使用されうるモバイル電話400の例を示す。モバイル電話400は、2つのトランシーバ402,404、WLAN処理ロジック406、EV−DO処理ロジック408、IP変換ロジック410、音声/データ通信処理ロジック412、及び、制御ロジックを有するプロセッサ414を含む多くの構成要素を用いて、端末機能とゲートウェイ機能との両方を提供する。モバイルアクセスポイントは、様々な実施の必要性に応じて、追加の要素を含みうることに注目されるべきである。
【0031】
プロセッサ414は、モバイル電話400の様々な構成要素の動作を調整及び制御するために使用される。プロセッサ414は、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションのような端末機能と、コンピュータネットワークへのアクセスを提供するゲートウェイ機能とを提供するように構成されうる。
【0032】
端末機能を提供するために、モバイル電話400は、例えば通話のような音声通信又はデータ通信を行うために、ユーザがモバイル電話400を使用できるようにともに構成されたトランシーバ404及び音声/データ通信処理ロジック412を利用しうる。
【0033】
ゲートウェイ機能を提供するために、モバイル電話400は、トランシーバ402、WLAN処理ロジック406、IP変換ロジック410、及び、EV−DO処理ロジック408をまとめて使用しうる。トランシーバ402は、モバイルデバイス202a,202b、WLAN204、及び、モバイルアクセスポイント206の間で通信されるデータの送受信のために使用されうる。WLAN処理ロジック406は、モバイルデバイス202a,202b、及び/又はWLAN204からの受信データ、又はモバイルデバイス202a,202b、及び/又はWLAN204へ転送されるデータを処理するように構成されている。WLAN処理ロジック406によって行なわれる処理機能の幾つかは、モバイルアクセスポイント206、モバイルデバイス202a,202b、及びWLAN204の間で使用される無線通信プロトコルに基づく変調、復調、符号化、及び復号を含みうる。IP変換ユニット410は、EV−DOネットワーク222、モバイルデバイス202a,202b、及びWLAN204の間で交換されたデータを変換又は再フォーマットするように構成されうる。例えば、IP変換ロジック410は、802.11プロトコルとEV−DOプロトコルとの間でデータを変換しうる。EV−DO処理ロジック408は、EV−DOネットワーク222から受信した、あるいは、EV−DOネットワーク222へ転送されるデータを処理するように構成されうる。WLAN処理ロジック406と同様に、EV−DO処理ロジック408によって行われる処理機能のうちの幾つかは、EV−DOプロトコルに基づく変調、復調、符号化、及び、復号を含みうる。EV−DO処理ロジック408はまた、EV−DOデータサービスを達成するために、音声/データ通信処理ロジック412と独立して協調しうる。
【0034】
モバイル電話400は、以下のように、図2に示すモバイルアクセスポイント206として使用されうる。この例では、モバイルデバイス202a,202b、及びWLAN204は、802.11bプロトコルを使用してモバイルアクセスポイント206と通信し、EV−DOネットワーク222は、固定ネットワーク216にアクセスするために使用されると仮定される。モバイルデバイス202aによって送信されたデータは、トランシーバ402を経由してモバイルアクセスポイント206によって受信される。この受信されたデータは、802.11bプロトコルに従ってWLAN処理ロジック406によって処理される。処理されたデータは、更に、IP変換ロジック410へ転送される。IP変換ロジック410は、このデータを、802.11bプロトコルからEV−DOプロトコルへ再フォーマットする。そして、再フォーマットされたデータは、EV−DO処理ロジック408へ提供される。EV−DO処理ロジック408は、送信準備ができたデータを、トランシーバ404を経由してEV−DOネットワーク222に渡す。中央オフィス212は、このデータを受信すると、適切な処理を行ない、処理したデータを、固定ネットワーク216へ転送する。固定ネットワーク216によってモバイルデバイス202aへ送られたデータに対し、モバイルアクセスポイント206は、トランシーバ404を経由してデータを受信する。そして、受信されたデータは、EV−DOプロトコルに従ってEV−DO処理ロジック408によって処理される。次に、処理されたデータは、EV−DOプロトコルからIP変換ロジック410へ転送され、802.11bプロトコルへ再フォーマットされる。そして、再フォーマットされたデータは、WLAN処理ロジック406に提供される。WLAN処理ロジック406は、送信準備のできたデータを、トランシーバ402を経由してモバイルデバイス202aへ渡す。
【0035】
図5は、モバイルアクセスポイント206を提供するために使用可能な方法のロジックフローを図示する。モバイルアクセスポイント206は、図4に示すようなモバイルデバイス400でありうる。ブロック500では、端末機能が、モバイルデバイス400上で実施される。この端末機能は、音声通信アプリケーション及び/又はデータ通信アプリケーションを含んでいる。ブロック510では、ゲートウェイ機能も、モバイルデバイス400上で実施され、モバイルデバイス400を経由して、少なくとも1つのクライアントデバイスによって、宛先コンピュータネットワークがアクセスされるようになる。この端末機能は更に、無線通信アプリケーションを含みうる。ブロック520では、モバイルデバイス400が、第1の無線通信プロトコルに基づいて、無線通信アプリケーションと仲介ネットワークとの間の通信を達成するように構成される。ブロック530では、モバイルデバイス400が、第2の無線通信プロトコルに基づいて、少なくとも1つのクライアントデバイスと、モバイルデバイス400との間の通信を達成するように構成される。ブロック540では、モバイルデバイス400が、第1の無線通信プロトコルと第2の無線通信プロトコルとの間でデータを再フォーマットするように構成される。これによって、少なくとも1つのクライアントデバイスが、仲介ネットワークと通信できるようになる。ブロック550では、モバイルデバイスは、仲介ネットワークを経由して、宛先コンピュータネットワークをアクセス可能にするように構成される。
【0036】
モバイルアクセスポイント300及び/又はモバイル電話400の構成要素は、モバイルアクセスポイントの動作に影響を与えることなく再設定されうることが当業者に明らかであるべきである。同様に、モバイルアクセスポイント300及び/又はモバイルアクセスポイント400のうちの1又は複数は、構成要素の機能に影響を与えることなく、共に結合、統合、及び/又は実装されうる。更に、モバイル電話は、説明目的で使用されたことが留意されるべきである。本開示に従って上述したシステムは、様々なアプリケーションにおいて用いることができる。例えば、本システムは、モバイル電話のみならず、限定される訳ではないが、PDA、ラップトップ、及び乗り物のようなその他様々なモバイルデバイスにおいて使用することができる。本システムはまた、非モバイルデバイス内でも実施されうる。本明細書で提供した開示及び教示に基づいて、当業者であれば、本システムを、他の用途においてどのように利用するかを理解するであろう。
【0037】
ここで開示された実施形態に関連して記述された様々の説明的論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、アプリケーションに固有の集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)あるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートあるいはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、又は上述された機能を実現するために設計された上記何れかの組み合わせを用いて実現又は実行されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることが可能であるが、代わりに、従来技術によるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは状態機器を用いることも可能である。プロセッサは、たとえばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1つ以上のマイクロプロセッサ、またはこのような任意の構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0038】
ここで開示された実施形態に関連して記述された方法やアルゴリズムは、ハードウェアや、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールや、制御ロジック、プログラム命令、又はその他の命令の形態によるこれらの組み合わせによって直接的に具現化され、単一のデバイスに含まれるか、又は、複数のデバイスにわたって分散される。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこに情報を書き込むことができるようにプロセッサに接続される。または、記憶媒体はプロセッサに統合されうる。
【0039】
開示された実施形態における上述の記載は、当該技術分野におけるいかなる人であっても、本発明の活用または利用を可能とするように提供される。これらの実施形態への様々な変形例もまた、当該技術分野における熟練者に対して明らかであって、ここで定められた一般的な原理は、他の実施形態にも適用されうる。このように、本発明は、ここで示された実施形態に制限されるものではなく、特許請求の範囲と整合のとれた全範囲に相当するものを意図しており、単数形の要素への参照は、「1又は複数」と具体的に述べられていないのであれば、「1及び1のみ」を意味するようには意図されていない。当業者に周知であるか、本開示全体を通じて記述され、後に周知になる様々な実施形態の構成要件と等価な全ての構成及び機能は、参照によって本明細書に明確に組み込まれており、特許請求の範囲に含まれていることが意図される。更に、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記述されているか否かに関わらず、本明細書で開示されている何れも、公衆に放棄されることを意図していない。特許請求の範囲の構成要件が、「〜する手段」(means for)という文言を用いて、また、方法発明の場合には「〜するステップ」(step for)という文言を用いて明確に記述されていなければ、何れの構成要件も、35U.S.C112条第6パラグラフの条件の下で解釈されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる使用のために、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む1又は複数の端末機能を提供するように構成された端末モジュールと、
少なくとも1つのクライアントデバイスによる使用のために、前記少なくとも1つのクライアントデバイスに対してコンピュータネットワークへのアクセスを提供することを含む1又は複数のゲートウェイ機能を提供するように構成されたゲートウェイモジュールと、
対応する機能を有効にするために前記端末モジュール及び前記ゲートウェイモジュールを実行するように構成されたプロセッサと
を備えるモバイルアクセスポイント。
【請求項2】
前記音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションは、ユーザが電話トランザクションを実行できるように構成された請求項1に記載のモバイルアクセスポイント。
【請求項3】
前記1又は複数の端末機能は更に、無線通信アプリケーションを含み、前記無線通信アプリケーションは、第1の無線通信プロトコルを使用し、前記モバイルアクセスポイントは、第2の無線通信プロトコルを使用して、前記少なくとも1つのクライアントデバイスと通信するように構成された請求項1に記載のモバイルアクセスポイント。
【請求項4】
前記プロセッサは更に、前記第1の無線通信プロトコルと前記第2の無線通信プロトコルとの間でデータを再フォーマットするように構成された請求項3に記載のモバイルアクセスポイント。
【請求項5】
前記コンピュータネットワークはインターネットを含む請求項1に記載のモバイルアクセスポイント。
【請求項6】
前記少なくとも1つのクライアントデバイスはモバイルデバイスを備える請求項1に記載のモバイルアクセスポイント。
【請求項7】
ユーザによる使用のために、音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを提供するように構成された端末モジュールと、
宛先コンピュータネットワークにアクセスするために、複数のモバイルクライアントによって使用可能なアクセスポイントを提供するように構成されたゲートウェイモジュールと、
前記端末モジュールと前記ゲートウェイモジュールとを実行するように構成されたプロセッサと
を備えるモバイルデバイス。
【請求項8】
前記音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションは、前記ユーザが電話トランザクションを実行できるように構成された請求項7記載のモバイルデバイス。
【請求項9】
前記音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションは、仲介ネットワークを利用するように構成され、
前記ゲートウェイモジュールは更に、前記仲介ネットワークを経由して前記宛先コンピュータネットワークへのアクセスを達成するように構成された請求項7記載のモバイルデバイス。
【請求項10】
前記ゲートウェイモジュールは更に、第1の無線通信プロトコルを使用して、前記複数のモバイルクライアントと前記モバイルデバイスとの間の通信を達成するように構成され、
前記ゲートウェイモジュールは更に、第2の無線通信プロトコルを使用して、前記モバイルデバイスと前記仲介ネットワークとの間の通信を達成するように構成された請求項9記載のモバイルデバイス。
【請求項11】
前記第1の無線通信プロトコルは802.11ファミリを含み、
前記第2の無線通信プロトコルはEV−DO(Evolution-Data Optimized)プロトコルを含む請求項10記載のモバイルデバイス。
【請求項12】
前記宛先コンピュータネットワークはインターネットを含む請求項7記載のモバイルデバイス。
【請求項13】
前記複数のモバイルクライアントはモバイル電話を含む請求項7記載のモバイルデバイス。
【請求項14】
モバイル電話、複数のクライアント、及び仲介ネットワークの間の通信を容易にする手段であって、
前記複数のクライアントとの通信は、第1の無線通信プロトコルを用いて行われ、前記仲介ネットワークとの通信は、第2の無線通信プロトコルを用いて行われる手段と、
ユーザによる使用のために、前記仲介ネットワークを経由して電話機能及びデータ機能を提供する手段と、
前記第1の無線通信プロトコルと前記第2の無線通信プロトコルとの間でデータを再フォーマットし、もって、前記複数のクライアントと前記仲介ネットワークとの間でデータが交換されるようにする手段と、
宛先コンピュータネットワークを、前記仲介ネットワークを経由して前記複数のクライアントへアクセスできるようにする手段と
を備えるモバイル電話。
【請求項15】
前記第1の無線通信プロトコルは802.11ファミリを含み、
前記第2の無線通信プロトコルはEV−DO(Evolution-Data Optimized)プロトコルを含む請求項14に記載のモバイル電話。
【請求項16】
前記仲介ネットワークは、セルラ電気通信ネットワークを含み、
前記宛先コンピュータネットワークは、インターネットを含む請求項14に記載のモバイル電話。
【請求項17】
前記複数のクライアントは、少なくとも1つのモバイル電話を含む請求項14に記載のモバイル電話。
【請求項18】
モバイルアクセスポイントにおいて使用されるプロセッサであって、
音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む1又は複数の端末機能と、
少なくとも1つのクライアントデバイスが、宛先コンピュータネットワークへアクセスできるようにする1又は複数のゲートウェイ機能と
を制御するように構成されたプロセッサ。
【請求項19】
前記音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションは、前記ユーザが電話トランザクションを実行できるように構成された請求項18に記載のプロセッサ。
【請求項20】
モバイルアクセスポイントを提供する方法であって、
音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む端末機能をモバイルデバイス上で実施することと、
宛先コンピュータネットワークが、前記モバイルデバイスを経由して少なくとも1つのクライアントデバイスによってアクセスされるようにするゲートウェイ機能を前記モバイルデバイス上で実施することと
を備える方法。
【請求項21】
前記音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションは、前記ユーザが電話トランザクションを実行できるように構成された請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記端末機能は更に無線通信アプリケーションを含み、前記方法は更に、
第1の無線通信プロトコルに基づいて、前記無線通信アプリケーションと仲介ネットワークとの間の通信を達成するように前記モバイルデバイスを構成することと、
第2の無線通信プロトコルに基づいて、前記少なくとも1つのクライアントデバイスと前記モバイルデバイスとの間の通信を達成するように前記モバイルデバイスを構成することと、
前記第1の無線通信プロトコルと前記第2の無線通信プロトコルとの間でデータを再フォーマットするように前記モバイルデバイスを構成し、もって、前記複数のクライアントと前記仲介ネットワークとの間でデータが交換されるようにすることと、
前記宛先コンピュータネットワークが前記仲介ネットワークを経由してアクセスできるように前記モバイルデバイスを構成することと
を備える請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の無線通信プロトコルはEV−DO(Evolution-Data Optimized)プロトコルを含み、
前記第2の無線通信プロトコルは802.11ファミリを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記モバイルデバイスは、第1のモバイル電話を含み、
前記少なくとも1つのクライアントデバイスは、第2のモバイル電話を含む請求項20に記載の方法。
【請求項25】
モバイルアクセスポイントを提供する方法であって、
第1の無線通信プロトコルに基づいて、モバイルデバイスと複数のクライアントとの間の通信を行うように前記モバイルデバイスを構成することと、
第2の無線通信プロトコルに基づいて、前記モバイルデバイスと仲介ネットワークとの間の通信を行うように前記モバイルデバイスを構成することと、
前記仲介ネットワークを経由したユーザによる使用のために、前記モバイルデバイス上に、電話機能及びデータ機能を提供するように前記モバイルデバイスを構成することと、
前記第1の無線通信プロトコルと前記第2の無線通信プロトコルとの間でデータを再フォーマットするように前記モバイルデバイスを構成し、もって、前記複数のクライアントと前記仲介ネットワークとの間でデータが交換されるようにすることと、
宛先コンピュータネットワークを、前記仲介ネットワークを経由して前記複数のクライアントへアクセス可能にするように前記モバイルデバイスを構成することと
を備える方法。
【請求項26】
前記第1の無線通信プロトコルは802.11ファミリを含み、
前記第2の無線通信プロトコルはEV−DO(Evolution-Data Optimized)プロトコルを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複数の命令を有するプロセッサ読取可能媒体であって、プロセッサによって実行された場合、
音声通信アプリケーション又はデータ通信アプリケーションを含む1又は複数の端末機能を実行することと、
少なくとも1つのクライアントデバイスが、前記モバイルデバイスを経由して宛先コンピュータネットワークにアクセスできるようにする1又は複数のゲートウェイ機能を実行することと
を備える方法を実行するように構成されたプロセッサ読取可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−239430(P2011−239430A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−138279(P2011−138279)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2007−558309(P2007−558309)の分割
【原出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】