説明

モビリティ管理装置、第1移動局装置、第2移動局装置、移動通信システム及び通信方法

【課題】
MBMSマルチキャスト配信において、同じコンテンツが異なるネットワークのUEに同時に配信されている場合、受信しているUEから別のUEにマルチキャスト配信する手段を提供し、オフロードを実現する事
【解決手段】
MBMSマルチキャスト配信において、同じコンテンツが異なるネットワークのUEに同時に配信されている場合、事業者の管理下において受信しているマルチキャストルータ機能を保有するUEから別のUEに直接マルチキャスト配信する事により、従来のネットワークルートのトラフィックオフロードを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPPにて、EPC(Evolved Packet Core)によるマルチキャストデータ配信およびブロードキャストデータ配信を行うMBMSベアラサービスを提供する方法としてMBMS(Multimedia Broadcast/Multicast Service)が規格化されている。
【0003】
例えば、非特許文献1によれば、MBMSサービスエリアはあるMBMSセッションを行う範囲として定義される。例えば全国や関東等の地域単位でサービスエリアを設定し、当該サービスエリア内の複数の基地局装置のセルや、GWを通した複数のホーム基地局装置のセルよって構成される。そして、コアネットワークに接続するUTRAN等の無線アクセスネットワークにマルチキャストの配信経路を設定し、サービスエリア内の各セルの基地局装置(eNodeB)や、無線ネットワーク制御局(RNC)、ホーム基地局(HeNB)が、端末装置(UE)にMBMSベアラを設定し、データを配信する。
【0004】
今後こうしたマルチキャストデータ配信のサービスは、サービスエリアを比較的広範囲としている従来のブロードキャストサービスに加え、狭い範囲のみを対象としたブロードキャストサービスも増加していく等多様化していくことが予想される。
【0005】
さらには、こうしてサービス形態が多様化すれば、配信するマルチキャストデータも広く配信する公共的な用途のものからパーソナルコミュニティに向けたもの等多様化し、種類も著しく増加していくことが予想される。
【0006】
例えば、非特許文献2にあるように、旅行のガイドツアー等のユースケースが挙げられている。また、例えばスポーツやコンサート会場、ショッピングセンター等の集客施設の客を対象としたマルチキャストサービスも考えられる。さらに、災害被災地の被災者に対してのみ情報配信を行うようなケースも考えられる。
【0007】
こうしたサービス形態や配信データの増加していく流れに対して最適化することなく、すべて一元的に個々のマルチキャスト配信データに対してMBMSベアラ等の通信路を確立し、データを配信していた。特に高画質動画コンテンツ等、大容量のものも多く、サービス利用者が増加するとトラフィックが急増したり、コアネットワークや無線アクセスのリソースが不足するといった新たな問題が発生する。
【0008】
一方、いわゆるスマートフォンの急速な普及に伴い、MBMSに限らずトラフィックが急増しており、今後前年比数倍の比率でのトラフィックの増加が予想されている。しかし、定額制の普及等により通信量の増加が収益の増加に比例しない事が顕在化しており、通信事業者は通信量増加に見合った携帯電話設備強化への投資がすぐには出来ない事が予想されている。
【0009】
このようなトラフィック増加による輻輳に伴うコアネットワークや無線アクセスのリソース不足の問題を解決、あるいは軽減するため、データトラフィックを本来の経路とはとは異なる経路にバイパスさせる「オフロード技術」が検討されている。
【0010】
例えば、携帯電話通信事業者が公共の場にコアネットワークとは別のネットワークで接続された公衆無線LANアクセスポイントを設置して、無線LANの機能も持つ移動局装置の通信を公衆無線LANアクセスポイント経由させたり、家庭に接続されたブロードバンド回線に接続された家庭用無線LAN装置を経由させることにより、コアネットワーク網及び無線アクセス網のトラフィックを軽減させる取り組みが進んでいる。
【0011】
また、例えば、非特許文献3にあるように、移動局装置の通信をブロードバンド回線に接続されたホーム基地局装置を経由してコアネットワーク網のトラフィックを削減させる動きがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】TS 23.246、Technical Specification Group Services and Architecture; Multimedia Broadcast/Multicast Service (MBMS); Architecture and functional description
【非特許文献2】3GPP TR 22.947、Technical Specification Group Services and System Aspects; Study on Personal Broadcast Service
【非特許文献3】TS23.829 Local IP Access and Selected IP Traffic Offload
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、高データトラフィックを必要とする事の多いマルチキャストやブロードキャストでは、一つのサーバから複数の端末に同じデータを配信する場合、サーバから端末までの共通ルート部分は1本の共通データが流れ、ルートの分岐点で配信データのコピーを作成しそれ以降は複数本のデータを並行して流す仕組みがあり、受信端末の数だけ独立したデータ配信ルートを設ける必要が無く、マルチキャストやブロードキャストの仕組み自体にトラフィックの輻輳を削減する仕組みが既に存在している。
【0014】
しかしながら、分岐点がサーバに近づく程共通部分が減り、削減効果が少なくなり、サーバに近い分岐点程、ネットワークにおけるデータトラフィック輻輳の影響を受けやすい、という課題があった。
【0015】
一例として、マルチキャストやブロードキャストにおいてサーバの配信データを配信ルートの異なる2台の受信端末が同時に受信している時に、配信ルートがサーバから離れた下流の地点で分岐した場合と、サーバに近い上流で分岐した場合とを比較すると、サーバに近い方場合の方が独立してデータが流れる部分が増えるため、サーバから離れた地点での分岐の場合に比べてトラフィックの削減効果が少なくなると共に、ネットワークのトラフィックが輻輳した場合に、より影響を受けやすい。
【0016】
一方、データフローの配信ルートの一部を別のルートに迂回させ、本来のルートのトラフィックを削減する技術としてオフロード技術がある。しかしながら、例えばサーバから受信端末へデータをダウンロードする際に、トラフィックが輻輳した時に途中の特定区間を別のルートにオフロードする事を考えると、その特定区間のトラフィックは削減されるが、特定区間以外の輻輳は解決されない。すなわち、従来のオフロード技術は一定の効果はあるもののトラフィック輻輳の削減効果は限定的であるという課題があった。
【0017】
さらに、現在検討されているオフロード技術では、マルチキャストやブロードキャストといったMBMSには対応しておらず、また通信の最初からオフロードを行う、という静的な制御が検討されているが、トラフィックの変動に対応して通信の途中でも動的にオフロードを行う仕組みは存在していない。
【0018】
ここで、マルチキャストやブロードキャストデータを受信した1つの配信ルートの端末から、別の配信ルートの端末に直接通信する手段が存在する時に、1つの配信ルートで受信した端末が受信しているデータを端末内でコピーして別の端末に直接配信する機能を有していれば、サーバから別の端末迄の分岐点以降の配信データのトラフィックを停止することが可能となる。すなわち、サーバから別の端末までの配信データフローを、1つの受信端末から別の受信端末へオフロードする事により、ネットワークのデータトラフィックを削減する事が可能となる。これはサーバから別の受信端末までのルートの分岐点がサーバに近い程トラフィック削減効果は大きい。
【0019】
しかし、その場合に端末間で勝手に転送を実行してしまうと、例えば有料コンテンツが勝手に無料で配信できる事になってしまい、端末間でのテータ転送を行う場合にはネットワーク及びサービス事業者の許可・管理下で行う必要がある、という課題があった。
【0020】
それを実現する手段として、マルチキャストデータ配信の仕組みを受信端末に具備し、その端末から別の端末にネットワーク及びサービス事業者側の管理下において配信する事が考えられるが、現在その様な仕組みは無い。
【0021】
すなわち、複数の端末が同時に受信する事が出来るマルチキャストやブロードキャストデータ配信においては、サーバからネットワークのデータトラフィックが輻輳した場合、配信ルート分岐点がサーバに近い上流である程輻輳の影響を受けやすくなる、という課題がある。また、トラフィック輻輳を削減する手段としてオフロード技術があるが、オフロードさせる特定部分以外には削減効果がない、という課題があった。
【0022】
また、ある端末から別の端末にマルチキャストやブロードキャストデータを勝手に配信してしまうと、例えば有料コンテンツを無料で配信してしまうので、ネットワーク及びサービス事業者の許可・管理下で行う必要がある、という課題がある。
【0023】
そこで本発明では、第1の目的として、ネットワーク及びサービス管理者の管理下において、端末から別の端末へのマルチキャストやブロードキャストデータ配信をオフロードさせる事により、データトラフィックの輻輳を削減可能な移動通信システムを提供することを目的とする。
また、第2の目的として、マルチキャストやブロードキャストデータ配信の途中でトラフィックの輻輳を検出した場合でも動的にオフロードさせる事により、より効率的にトラフィックの輻輳を削減可能な移動通信システムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上述した課題に鑑み、本発明のモビリティ管理装置は、
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムにおけるモビリティ管理装置であって、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行えるか否かを判断し、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行える場合には、第1移動局装置に、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行う要求を送信することを特徴とする。
【0025】
また、本発明のモビリティ管理装置は、前記第1移動局装置から、通信開始の通知を受信した場合には、前記第1基地局装置に対して、サービス配信装置からのサービス配信を停止する要求を送信することを特徴とする。
【0026】
本発明の第1移動局装置は、
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムにおける第1移動局装置であって、
前記モビリティ管理装置から、オフロードの要求信号を受信し、
当該要求信号を受信した際に、第2基地局装置との制御信号の転送路が確立できている場合には、前記第2移動局装置とサービスの配信を受信するサービスデータ転送路を確立し、
前記サービス配信装置からのサービスの配信を、前記サービスデータ転送路を介して第2移動局装置から受信することを特徴とする。
【0027】
本発明の第2移動局装置は、
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムにおける第2移動局装置であって、
第1移動局装置とサービスデータ転送路を確立し、
第1移動局装置に、MBMS開始通知を送信した後に、サービス配信装置からサービスを受信しつつ、受信したサービスを前記サービスデータ転送路を介して第1移動局装置に配信することを特徴とする。
【0028】
本発明の移動通信システムは、
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムであって、
前記モビリティ管理装置は、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行えるか否かを判断し、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行える場合には、第1移動局装置に、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行う要求を送信し、
前記第1移動局装置は、
前記モビリティ管理装置から、オフロードの要求信号を受信し、
当該要求信号を受信した際に、第2基地局装置との制御信号の転送路が確立できている場合には、前記第2移動局装置とサービスの配信を受信するサービスデータ転送路を確立し、
前記サービス配信装置からのサービスの配信を、前記サービスデータ転送路を介して第2移動局装置から受信する、
ことを特徴とする。
【0029】
本発明の通信方法は、
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムの通信方法であって、
前記モビリティ管理装置は、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行えるか否かを判断し、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行える場合には、第1移動局装置に、他の移動局装置を経由してオフロード通信を行う要求を送信するステップと、
を実現し、
前記第1移動局装置は、
前記モビリティ管理装置から、オフロードの要求信号を受信するステップと、
当該要求信号を受信した際に、第2基地局装置との制御信号の転送路が確立できている場合には、前記第2移動局装置とサービスの配信を受信するサービスデータ転送路を確立し、
前記サービス配信装置からのサービスの配信を、前記サービスデータ転送路を介して第2移動局装置から受信するステップと、
を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明では、マルチキャストやブロードキャストデータ配信の1つの配信ルートで受信する端末が、他の受信端末と直接通信する手段を有し、端末においてマルチキャストやブロードキャスト配信する機能を有する時に、受信端末から別のルートでマルチキャストやブロードキャストデータ配信データを受信する端末に配信する事により、別の配信ルートの分岐点から受信端末までのデータを停止する事、すなわち別の配信ルートから、1つの受信端末からの配信ルートにオフロードする事が可能となり、データトラフィックの削減が出来る。
【0031】
本発明によれば、
BM−SCから、MBMSベアラが確立されたMBMS GW及びMME、基地局装置及びホーム基地局に接続される移動局装置にMBMSベアラサービスによりマルチキャストデータ配信を行う移動通信システムにおいて、MMEは複数の端末に配信されているマルチキャストデータの種類、セッション等を管理し、同一マルチキャストコンテンツが、異なるセッションの端末に配信されている事を検出した場合、端末間通信の可否、及び端末にマルチキャストルーティング機能の有無を確認する。
【0032】
端末からのオフロード要求も含めて総合的に判断し、条件を満足した場合には、マルチキャストルーティング機能を保有する端末から別の端末に本来のネットワークルートを介さずにマルチキャストデータの配信指示を行う事により、従来のネットワークルート全てのオフロードを行う事が可能となり、ネットワークトラフィックの輻輳回避や無線資源の有効利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態における移動通信システムの概略を示した図である。
【図2】本実施形態におけるBM−SCの機能構成を説明する為の図である。
【図3】BM−SCにおけるMBMSサービスDBのデータ構成の一例を示した図である。
【図4】BM−SCにおけるMBMSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図5】BM−SCにおけるMBMS UEコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図6】MBMS GWの機能構成を説明する為の図である。
【図7】MBMS GWにおけるMBMSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図8】MBMS GWにおける上流コントロールノードDBのデータ構成の一例を示した図である。
【図9】MBMS GWにおけるMBMS UEコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図10】MMEの機能構成を説明する為の図である。
【図11】MMEにおけるMBMSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図12】MMEにおけるMBMS UEコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図13】MMEにおけるUE間通信コネクティビティテーブルのデータ構成の一例を示した図である。
【図14】HSSの機能構成を説明する為の図である。
【図15】HSSにおけるUE間通信許可テーブルのデータ構成の一例を示した図である。
【図16】eNBの機能構成を説明する為の図である。
【図17】eNBにおけるMBMSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図18】eNBにおける無線フレーム情報のデータ構成の一例を示した図である。
【図19】eNBにおけるMBMS UEコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図20】GWの機能構成を説明する為の図である。
【図21】HeNBの機能構成を説明する為の図である。
【図22】HeNBにおけるMBMSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図23】HeNBにおける無線フレーム情報のデータ構成の一例を示した図である。
【図24】HeNBにおけるMBMS UEコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図25】UEhの機能構成を説明する為の図である。
【図26】UEhにおけるMBMSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図27】UEhにおける無線フレーム情報のデータ構成の一例を示した図である。
【図28】UEhにおけるMBMS UEコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図29】UEhにおけるUE間通信コネクティビティテーブルのデータ構成の一例を示した図である。
【図30】UEmの機能構成を説明する為の図である。
【図31】UEmにおけるMBMSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図32】UEmにおける無線フレーム情報のデータ構成の一例を示した図である。
【図33】UEmにおけるMBMS UEコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図34】UEmにおけるUE間通信コネクティビティテーブルのデータ構成の一例を示した図である。
【図35】第1実施形態におけるWLAN APの機能構成を説明する為の図である。
【図36】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図37】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図38】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図39】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図40】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図41】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図42】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図43】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図44】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図45】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図46】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図47】第1実施形態における処理の流れについて説明した図である。
【図48】第2実施形態における移動通信システムの概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、本明細書の記載は、本発明を説明するための一形態であり、明細書の実施形態に限定されるものでは無いことは勿論である。
【0035】
[1.第1実施形態]
[1.1 システム構成]
図1は、本発明を適用した場合における移動通信システム1の概要を説明するための図である。移動通信システム1は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタであるBM−SC(Broadcast Multicast- Service Center)10と、ゲートウェイ装置であるMBMS GW(MBMS GateWay)20と、モビリティ管理装置であるMME(Mobility Management Entity)30と、認証装置であるHSS(Home Subscriber Server)40と、GW(GateWay)60とを含むコアネットワーク2が構成されている。
【0036】
MBMS GW20からは、基地局装置であるeNB50と、eNB50に接続される移動局装置であるUEm90とを含んで構成され、一方GWからブロードバンドアクセスネットワーク4を経由して、家庭用基地局であるHeNB(Home evolved Node B)70とHeNB70に接続される移動局であるUEh80とを含んで構成される。
【0037】
また、UEh80とUEm90とは、直接接続で構成される。また、UEh80とUEm90とは、WLAN AP(Wireless LAN Access Point)1000の中継接続による接続形態においても構成される。
【0038】
コアネットワーク2にeNB50が接続されており、eNB50にUEm90が接続可能な状態で構成されている。また、コアネットワーク2からブロードバンドアクセスネットワーク4を経てHeNB70が接続されており、HeNB70にUEh80が接続可能な状態で構成されている。
【0039】
具体的には、BM−SC10の下位にはMBMS GW20が接続されており、MBMS GW20の下位にはMME30を介して又は直接eNB50が接続されている。さらに、eNB50の下位にはUEm90が接続されている。また、MBMS GW20の下位にはGW60が接続されており、GW60からブロードバンドアクセスネットワーク4を経てHeNB70が接続されており、HeNB70の下位にはUEh80が接続されている。また、UEh80とUEm90は、HeNB70やeNB50を介さずに、直接、あるいはWLAN AP1000を経由して接続されている。
【0040】
ここで、本実施形態の図1においては、説明の都合上、各構成装置が1つとして記載されているが、複数の装置が接続されていてもよい。例えば、一又は複数のMBMS GWを移動通信システム1は含んでおり、各MBMS GWの下位に一又は複数のMME、eNBがそれぞれ接続されてもよい。また、UEmもeNBに一又は複数接続可能である。
【0041】
同様にMBMS GWの下位には一又は複数のGW及び一又は複数のブロードバンドアクセスネットワークを経て一又は複数のHeNBが接続可能であり、HeNBの下位には一又は複数のUEhが接続可能である。またUEmはHeNBに接続される場合はUEhとして動作し、同様にUEhはeNBに接続される場合はUEmとして動作する。さらに、UEhは一又は複数のUEmあるいは一又は複数のUEhと直接通信可能であり、一又は複数のWLAN APを中継して接続する事も可能である。また、WLAN APは代表的にはIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)で規定される802.11や802.16があるが、特に限定されない。
【0042】
[1.2 装置構成]
続いて、各装置の機能構成について、図を用いて説明する。
【0043】
[1.2.1 BM−SC]
BM−SC10の機能構成について、図2を用いて説明する。BM−SC10は、制御部100に、送受信部110と記憶部120とが接続されている。
【0044】
制御部100は、BM−SC10の全体を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部120に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0045】
送受信部110は、ネットワークに接続されるインタフェース部であり、例えばネットワークを介してMBMS GW20と接続されている。
【0046】
記憶部120は、BM−SC10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部120は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、本実施形態においては、MBMSサービスDB122と、MBMSベアラコンテキスト124と、MBMS UEコンテキスト126とがそれぞれ記憶されている。
【0047】
MBMSサービスDB122は、配信可能なMBMSベアラサービスを管理するために、MBMSベアラサービス毎の配信データのサービス識別子を記憶するDBである。図3に、MBMSサービスDB122のデータ構成の一例を示す。
【0048】
ここで、「サービス識別子」としては種々のものが用いられるが、例えば、
(1)MBMSベアラコンテキストを識別するTMGI(Temporary Mobile Group Identity)
(2)その他の識別子(例えば、BM−SC10を運用してサービス事業を行う事業者が割り当てる識別子)等が利用可能である。本実施形態では、(1)のTMGIを利用することとして説明する。
【0049】
具体的には、MBMSベアラサービスでマルチキャストデータ配信時、サービス毎に生成するMBMSベアラコンテキスト124を識別するTMGIを用いる。ここで、TMGIとは、従来携帯電話サービスで利用されている一時的に割り当てられた加入者識別情報だが、MBMSにおいてはMBMSベアラサービスを識別する情報として利用されており、コンテンツの内容(映画のタイトル等)の識別にも利用される。
【0050】
MBMSベアラコンテキスト124は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータを配送するために確立するMBMSベアラの管理情報である。図4に、MBMSベアラコンテキスト124のデータ構成の一例を示す。
【0051】
MBMSベアラコンテキスト124は、MBMS登録の際に必要とするTMGI等のMBMSベアラサービス識別子(例えば、「TMGI1」)と、配信のために確立するセッションの識別子(例えば、「セッションID1」)と、マルチキャストモードかブロードキャストモードかを識別するためのモード(例えば、「マルチキャスト」)と、MBMSベアラの状態をアクティブかサスペンドかを管理する状態情報(例えば、「アクティブ」)と、データ配信先の配信ノード(例えば、「MBMS GW20」)とが含まれている。なお、本実施形態では、「マルチキャストモード」を中心に説明する。
【0052】
ここで、配信ノードは、配信するノードを特定する情報を記憶しており、例えばIPアドレス(図4の場合はMBMS GW20のIPアドレス)が記憶される。ここで、配信ノードは一又は複数記憶することができる。
【0053】
また、配信ノード又は後述する上位配信ノードが各装置のMBMSベアラコンテキストに記憶されることから、各装置のMBMSベアラコンテキスト情報を参照していくと、BM−SC10からUEまでの配信経路がわかる。すなわち移動通信システム1としての仮想的な配信リストが形成されている事になる。
【0054】
配信リストとは、配信ノードを特定するためのものであり、配信リストに従ってBM−SC10とUE間のベアラが確立される。
【0055】
ここで、各装置を所定の配信リストに登録する為には、各装置が記憶しているMBMSベアラコンテキストの配信ノードに関する情報(上位配信ノード、配信ノード)をそれぞれ更新・登録すれば良い。逆に配信リストから外れる場合は、各装置が記憶しているMBMSベアラコンテキストの配信ノードに関する情報から、所定の装置を削除すれば良い。
【0056】
MBMS UEコンテキスト126は、MBMSサービス毎に生成され、UEがMBMSサービスに参加することを示すUEの管理情報である。BM−SC10は、MBMS UEコンテキスト126を参照し、MBMSサービス毎にユーザ登録し、MBMSサービス毎に課金を行うことができる。図5に、MBMS UEコンテキスト126のデータ構成の一例を示す。
【0057】
MBMS UEコンテキスト126は、MBMSサービスへアクティベーションする場合に必要とするIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、UEが初期接続時に、IPアドレスを取得する際に必要とするAPN(Access Point Name)の情報(例えば、「APN1」)と、UEを識別するために用いられるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)の情報(例えばUEm90を識別する「IMSI1」、UEh80を識別する「IMSI2」)とが含まれている。
【0058】
[1.2.2 MBMS GW]
続いて、MBMS GW20の機能構成について、図6を用いて説明する。MBMS GW20は、制御部200に、送受信部210と記憶部220とが接続されている。
【0059】
制御部200は、MBMS GW20の全体を制御するための機能部である。制御部200は、記憶部220に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0060】
送受信部210は、ネットワークに接続されるインタフェース部であり、例えばネットワークを介してBM−SC10と、MME30と、eNB50と、GW60とに接続されている。
【0061】
記憶部220は、MBMS GW20の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部220は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、本実施形態においては、MBMSベアラコンテキスト222と、上流コントロールノードDB224と、MBMS UEコンテキスト226とがそれぞれ記憶されている。ここで、MBMSベアラコンテキスト222は、TMGIで一意に識別することができる。
【0062】
MBMSベアラコンテキスト222は、MBMSベアラサービス毎に生成し、マルチキャストデータを配送するために必要な管理情報である。図7に、MBMSベアラコンテキスト222のデータ構成の一例を示す。
【0063】
例えば、図7(a)に示すように、MBMSベアラコンテキスト222は、TMGI等のMBMSベアラサービス識別子(例えば、「TMGI1」)と、配信のために確立するセッションの識別子(例えば、「セッションID1」)と、IPマルチキャスト通信を行うためのIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、マルチキャストモードかブロードキャストモードかを識別するためのモード(例えば「マルチキャスト」)と、MBMSベアラの状態をアクティブかサスペンドかを管理する状態情報(例えば、「アクティブ」)と、MBMS制御装置の情報(例えば、「MME30」)と、上位配信ノードに関する情報(例えば、「BM−SC10」)、配信ノードに関する情報(例えば、「eNB50」、「HeNB70」)とが含まれている。
【0064】
ここで、上位配信ノードは、上位ノードを特定する情報を記憶しており、例えばIPアドレス(図7(a)の場合はBM−SC10のIPアドレス)が記憶される。同様に配信ノードは、配信するノードを特定する情報を記憶しており、例えばIPアドレス(図7(a)の場合はeNB50、HeNB70のIPアドレス)が記憶される。また、配信ノードは複数記憶することができる。
【0065】
上流コントロールノードDB224は、上流のマルチキャストデータ配信装置を特定するための情報を記憶するためのDBである。図8に上流コントロールノードDB224の構成の一例を示す。本実施形態においては、BM−SC10に関する情報について記憶しており、例えば、BM−SC10のIPアドレスが記憶されている。
【0066】
本実施形態の上流コントロールノードDB224は、図8に示すように一つの上流コントロールノード(BM−SC10)を記憶するが、サービス毎に複数の上流コントロールノード(BM−SC10)を記憶してもよい。その場合には、TMGI等で識別できるMBMSベアラコンテキスト毎に記憶する。
【0067】
MBMS UEコンテキスト226は、MBMSサービス毎に生成され、UEがMBMSサービスに参加することを示すUEの管理情報である。MBMS GW20は、あるMBMSサービスにおいて最初のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録を行う。また、あるMBMSサービスにおいて、最後のMBMS UEコンテキスト226が削除された場合、MBMS登録解除する。図9に、MBMS UEコンテキスト226のデータ構成の一例を示す。
【0068】
図9(a)に示すように、MBMS UEコンテキスト226は、MBMSサービスへアクティベーションする場合に必要とするIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、UE50が初期接続時に、IPアドレスを取得する際に必要とするAPNの情報(例えば、「APN1」)と、サービス配信において経由するeNB(例えば、「eNB50」)と、HeNB(例えば、「HeNB70」)と、UE(例えば、「UEm90」)、あるいはUE(例えば、「UEh80」)を識別するために用いられるIMSIの情報(例えば、UEh80を識別する「IMSI1」、UEm90を識別する「IMSI2」)とが含まれている。
【0069】
[1.2.3 MME]
続いて、MME30の機能構成について、図10を用いて説明する。MME30は、制御部300に、送受信部310と記憶部320とが接続されている。
【0070】
制御部300は、MME30の全体を制御するための機能部である。制御部300は、記憶部320に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0071】
送受信部310は、ネットワークに接続されるインタフェース部であり、例えばネットワークを介してMBMS GW20と、eNB50、GW60、HSS40とに接続されている。
【0072】
記憶部320は、MME30の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部320は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、本実施形態においては、MBMSベアラコンテキスト322と、MBMS UEコンテキスト324と、UE間通信コネクティビティテーブル326とが記憶されている。
【0073】
MBMSベアラコンテキスト322は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータを配送するために必要な管理情報である。図11に、MBMSベアラコンテキスト322のデータ構成の一例を示す。ここで、MBMSベアラコンテキスト322は、TMGIで一意に識別することができる。
【0074】
図11(a)に示すように、TMGI等のMBMSベアラサービス識別子(例えば、「TMGI1」)と、配信のために確立するセッションの識別子(例えば、「セッションID1」)と、IPマルチキャスト通信を行うためのIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、マルチキャストモードかブロードキャストモードかを識別するためのモード(例えば、「マルチキャスト」)と、MBMSベアラの状態をアクティブかサスペンドかを管理する状態情報(例えば、「アクティブ」)と、データ配信先の配信ノード(例えば、「eNB50」、「HeNB70」)と、上位の配信ノードとなる上位配信ノード(例えば、「MBMS GW20」)とが含まれている。
【0075】
ここで、配信ノード及び上位配信ノードは、それぞれのノードを特定する情報を記憶しており、例えばIPアドレス(図11の場合はeNB50、HeNB70や、MBMS GW20のIPアドレス)が記憶される。また、配信ノードは複数記憶することができる。
【0076】
IPマルチキャストアドレスは、MBMSベアラコンテキスト322を生成するMBMSベアラサービス毎に記憶する。
【0077】
MBMS UEコンテキスト324は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータ配信におけるUEの管理情報である。MME30は、あるMBMSサービスにおいて最初のMBMS UEコンテキスト324が生成された場合、MBMS登録をする。また、あるMBMSサービスにおいて、最後のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録解除する。図12に、MBMS UEコンテキスト324のデータ構成の一例を示す。
【0078】
図12(a)に示すように、MBMS UEコンテキスト324は、MBMSサービスへアクティベーションする場合に必要とするIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、UEが初期接続時に、IPアドレスを取得する場合に必要とするAPNの情報(例えば、「APN1」)と、上位の配信ノードとなる上位配信ノードの情報(例えば、「MBMS GW20」)と、データ配信先の配信ノードの情報(例えば、「eNB50」、「HeNB70」)と、UEが参加するマルチキャストサービスを示すTMGI(例えば、「TMGI1」)と、UE(例えば、「UEh80」、「UEm90」)を識別するために用いられるIMSIの情報(例えば、UEh80を識別する「IMSI1」、UEm90を識別する「IMSI2」)とが含まれている。
【0079】
UE間通信コネクティビティテーブル326は、トラフィックのオフロードの為にMME30がUE間で直接通信が可能かどうかを判断する為の管理情報であり、後述するHSS40に問い合わせてテーブルを作成する。各UEから報告されたUE間通信コネクティビティテーブル(例えば、後述する図29、図34)の情報に関し、HSS40に登録しているIMSI毎(UE毎)の直接通信又は異種ネットワーク経由での通信許可情報(例えば、図15)を問い合わせて照合し、作成する。図13にUE間通信コネクティビティテーブル326のデータ構成の一例を示す。
【0080】
UE間通信コネクティビティテーブル326は、IMSI毎に、コネクティビティテーブルが記憶されている。具体的には、コネクティビティ(例えば、「UEh80」)と、通信形態(例えば「直接」)と、UE間通信許可(例えば「許可」)と、アクセス情報(例えば「アクセス手段1」)と、アクセス秘匿情報と、マルチキャストルータ機能の有無(例えば、「無し」)と、無線の接続方法を規定する無線接続モード(例えば「TDD」、「FDD」)とが含まれている。
【0081】
マルチキャストルータ機能は、受信しているマルチキャストデータを、そのままあるいは一時的にバッファ等に蓄積して下位のノードに配信する機能である。また、無線接続モードのTDDモード及びFDDモードは後述する。
【0082】
[1.2.4 HSS]
次にHSS40の機能構成について、図14を用いて説明する。HSS40は、制御部400に、送受信部410と記憶部420とが接続されている。
【0083】
制御部400は、HSS40の全体を制御するための機能部である。制御部400は、記憶部420に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0084】
送受信部410は、ネットワークに接続されるインタフェース部であり、例えばネットワークを介してMME30に接続されている。
【0085】
記憶部420は、HSS40の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部420は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、本実施形態においては、UE間通信許可テーブル422が記憶されている。
【0086】
図15にUE間通信許可テーブル422のデータ構成の一例を示す。UE間通信許可テーブル422は、各UE間で直接(例えば、「直接」)又はWLANやWiMAX等異種無線システムを経由(例えば「異種無線経由1(WLAN AP1000)」)して他のUEと通信を行って良いかの許可情報(例えば、「許可」)と、各々での無線周波数や拡散方式、無線設備識別番号(MACアドレス等)等を記述したアクセス手段(例えば、「アクセス手段1」)と、SSID等アクセスするための秘匿情報(例えば、「アクセス秘匿情報1」)と、マルチキャスト配信を行う機能である、マルチキャストルータ機能の有無(例えば、「有り」)と、無線の接続方法を規定する無線接続モード(例えば「TDD」、「FDD」)が含まれている。
【0087】
なお、UE通信許可テーブル422は、通信事業者がユーザとの契約に基づき事前に登録してあっても良いし、初期通信等の時点でUEから情報を得て後に登録しても良い。
【0088】
[1.2.5 eNB]
続いて、eNB50の機能構成について、図16を用いて説明する。eNB50は、制御部500に、送受信部510と、無線送受信部520と、記憶部530とが接続されている。
【0089】
制御部500は、eNB50の全体を制御するための機能部である。制御部500は、記憶部530に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0090】
送受信部510は、ネットワークに接続されるインタフェース部であり、例えばネットワークを介してMBMS GW20と、MME30と接続されている。また無線送受信部520を介してUEm90が接続可能である。
【0091】
記憶部530は、eNB50の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部530は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、本実施形態においては、MBMSベアラコンテキスト532と、無線フレーム情報534と、MBMS UEコンテキスト536とがそれぞれ記憶されている。
【0092】
MBMSベアラコンテキスト532は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータを配送するために必要な管理情報である。図17に、MBMSベアラコンテキスト532のデータ構成の一例を示す。
【0093】
図17(a)に示すように、MBMSベアラコンテキスト532は、TMGI等のMBMSベアラサービス識別子(例えば、「TMGI1」)と、配信のために確立するセッションの識別子(例えば、「セッションID1」)と、IPマルチキャスト通信を行うためのIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、マルチキャストモードかブロードキャストモードかを識別するためのモード(例えば、「マルチキャスト」)と、MBMSベアラの状態をアクティブかサスペンドかを管理する状態情報(例えば、「アクティブ」)と、MBMS制御装置の情報(例えば、「MME30」)と、上位の配信ノードとなる上位配信ノードの情報(例えば、「MBMS GW20」)とが含まれている。
【0094】
ここで、上位配信ノードに関する情報は、ノードを特定する情報を記憶しており、例えばIPアドレス(図17(a)の場合はMBMS GW20のIPアドレス)が記憶される。また、IPマルチキャストアドレスは、MBMSベアラコンテキストを生成するMBMSベアラサービス毎に記憶される。
【0095】
無線フレーム情報534は、MBMSベアラサービス毎に、eNB50がUEm90へ無線区間を通して送信するための無線フレームの情報を記憶する。図18に、無線フレーム情報534のデータ構成の一例を示す。
【0096】
具体的には、図18(a)に示すように、MBMSベアラサービスを識別する識別子毎(例えばTMGI毎)に、マルチキャストモードかユニキャストモードかを示すモード情報(例えば、「フレームモード」)を記憶する。さらに、ユニキャストモードの場合には、フレーム配送するUEm90のIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等の識別情報が記憶されている。ここで、フレーム配送するUE(識別情報)については複数記憶することができる。
【0097】
MBMS UEコンテキスト536は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータ配信におけるUEの管理情報である。eNB50は、あるMBMSベアラサービスにおいて最初のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録する。また、あるMBMSベアラサービスにおいて、最後のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録解除を行う。図19に、MBMS UEコンテキスト536のデータ構成の一例を示す。
【0098】
図19(a)に示すように、MBMS UEコンテキスト536は、MBMSベアラサービスへアクティベーションする場合に必要とするIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、UEm90が初期接続時に、IPアドレスを取得する際に必要とするAPN(例えば、「APN1」)と、UEが参加するマルチキャストサービスを示すTMGI(例えば、「TMGI1」)と、UE(例えば、「UEh80」、「UEm90」)を識別するために用いられるIMSIの情報(例えば、UEh80を識別する「IMSI1」)とが含まれている。
【0099】
[1.2.6 GW]
次にGW60の構成機能について、図20を用いて説明する。GW60は、制御部600に、送受信部610と記憶部620とが接続されている。
【0100】
制御部600は、GWの全体を制御するための機能部である。制御部600は、記憶部620に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0101】
送受信部610は、ネットワークに接続されるインタフェース部であり、例えばネットワークを介してMBMS GW20と、ブロードバンドアクセスネットワーク4に接続されており、MBMS GW20のあるコアネットワーク2とブロードバンドアクセスネットワーク4のデータを双方向に中継する。
【0102】
記憶部620は、GW60の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部620は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0103】
[1.2.7 HeNB]
続いて、HeNB70の機能構成について、図21を用いて説明する。HeNB70は、制御部700に、送受信部710と、無線送受信部720と、記憶部730とが接続されている。
【0104】
制御部700は、HeNB70の全体を制御するための機能部である。制御部700は、記憶部730に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0105】
送受信部710は、ネットワークに接続されるインタフェース部であり、例えばブロードバンドアクセスネットワーク4と接続されており、無線送受信部720を介してUEh80が接続可能である。
【0106】
記憶部730は、HeNB70の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部730は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、本実施形態においては、MBMSベアラコンテキスト732と、無線フレーム情報734と、MBMS UEコンテキスト736とがそれぞれ記憶されている。
【0107】
MBMSベアラコンテキスト732は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータを配送するために必要な管理情報である。図22に、MBMSベアラコンテキスト732のデータ構成の一例を示す。
【0108】
図22(a)に示すように、MBMSベアラコンテキスト732は、TMGI等のMBMSベアラサービス識別子(例えば、「TMGI1」)と、配信のために確立するセッションの識別子(例えば、「セッションID1」)と、IPマルチキャスト通信を行うためのIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、マルチキャストモードかブロードキャストモードかを識別するためのモード(例えば、「マルチキャスト」)と、MBMSベアラの状態をアクティブかスタンバイかを管理する状態情報(例えば、「アクティブ」)と、MBMS制御装置の情報(例えば、「MME30」)と、上位の配信ノードとなる上位配信ノードの情報(例えば、「MBMS GW20」)とが含まれている。
【0109】
ここで、上位配信ノードに関する情報は、ノードを特定する情報を記憶しており、例えばIPアドレス(図22(a)の場合はMME30のIPアドレス)が記憶される。また、IPマルチキャストアドレスは、MBMSベアラコンテキストを生成するMBMSベアラサービス毎に記憶される。
【0110】
無線フレーム情報734は、MBMSベアラサービス毎に、HeNB70がUEへ無線区間を通して送信するための無線フレームの情報を記憶する。図23に、無線フレーム情報734のデータ構成の一例を示す。
【0111】
具体的には、MBMSベアラサービスを識別する識別子毎(例えばTMGI毎)に、マルチキャストモードかユニキャストモードかを示すモード情報(例えば、「フレームモード」)を記憶する。さらに、ユニキャストモードの場合には、フレーム配送するUEのIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等の識別情報が記憶されている。ここで、フレーム配送するUE(識別情報)については複数記憶することができる。
【0112】
MBMS UEコンテキスト736は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータ配信におけるUEの管理情報である。HeNB70は、あるMBMSベアラサービスにおいて最初のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録する。また、あるMBMSベアラサービスにおいて、最後のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録解除を行う。図24に、MBMS UEコンテキスト736のデータ構成の一例を示す。
【0113】
図24(a)に示すように、MBMS UEコンテキスト736は、MBMSベアラサービスへアクティベーションする場合に必要とするIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、UEが初期接続時に、IPアドレスを取得する際に必要とするAPN(例えば、「APN1」)と、UEが参加するマルチキャストサービスを示すTMGI(例えば、「TMGI1」)と、UEを識別するために用いられるIMSIの情報(例えば、「IMSI2」)とが含まれている。なお、IMSIは下流の構成等によっては情報が含まれない場合がある。
【0114】
[1.2.8 UEh]
続いて、UEh80の機能構成について、図25を用いて説明する。UEh80は、制御部800に、無線送受信部810と、記憶部820とが接続されている。
【0115】
制御部800は、UEh80の全体を制御するための機能部である。制御部800は、記憶部820に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0116】
無線送受信部810は例えば1つ又は複数にて構成される。また無線送受信部810は例えばFDD(Frequency Division Duplex)モード及び/又はTDD(Time Division Duplex)モードの無線接続モードにて構成される。
【0117】
FDDモードでは送信と受信の通信を送信周波数帯と受信周波数帯に分離して実現し、TDDモードは同じ周波数帯にて送信時間と受信時間に分離して実現する。
【0118】
例えば、基地局とUEの間で通信する場合、FDDモードの場合は、基地局の送信周波数でUEが受信し、逆にUEの送信周波数で基地局が受信し、通信を行っている。
【0119】
一方、TDDモードの場合、基地局とUE両方とも同じ周波数帯で送信、受信を時間で切り替えている。
【0120】
従って、UE間で直接通信を行う場合、FDDモードのUE同士の場合、どちらかのUEが基地局の送信設備と基地局の受信設備を具備するか、双方のUEが基地局の送信設備、あるいは基地局の受信設備を同時に具備する必要がある。
【0121】
一方、TDDモードのUE同士で直接通信を行う場合、送信と受信とのタイミングを切り替えれば基地局の動作とUEとの動作を切り替える事が可能であるので、どちらかのUEが基地局のタイミング、反対側のUEがUEのタイミングで送受信すれば、UE間直接通信を行う事ができ、例えばUEh80とUEm90が直接通信する事ができる。
【0122】
なお、FDDモードのUEの場合、無線LAN等の他の無線システムを具備している場合、無線LAN AP等を中継する事により、UE間通信を行う事が可能であり、例えばWLAN AP1000を中継して、UEh80とUEm90とが通信する事ができる。
【0123】
TDDモードとFDDモードとの両方をUEが具備し、同時に動作する、例えば基地局からFDDモードで受信した信号を、TDDモードを用いて他のUEと直接通信により、配信する事ができる。また、基地局からFDDモードで受信しながら、UEとUE間直接通信を行い、同時に2つの信号を受信する事ができる。
【0124】
TDDモード、FDDモードが同時に動作しない場合でも、切り替えて動作させることにより、バッファ等にデータを蓄積する事により多少の時間ロスはあっても上記の機能を行う事ができる。
【0125】
記憶部820は、UEh80の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部820は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0126】
また、本実施形態においては、MBMSベアラコンテキスト822と、無線フレーム情報824と、MBMS UEコンテキスト826と、UE間通信コネクティビティテーブル828と、マルチキャストルーティングプログラム830と、UE間直接通信プログラム834がそれぞれ記憶されている。さらに記憶部の一部がマルチキャストルーティング用バッファ832として割り当てられている。ただし、専用の記憶領域が割当てられていなくても良い。
【0127】
マルチキャストルーティングプログラム830の実行により、マルチキャストルータとしての動作が実行され、マルチキャスト配信機能を具備する。すなわち、マルチキャストルーティング用バッファ832の一部の領域には、上流から配信を受けたマルチキャスト配信データのコピーが作成され、別の領域に作成されているマルチキャストルーティングテーブルに従って、下流にマルチキャスト配信する。
【0128】
ここで、マルチキャストルーティングプログラム830の代わりに、ブロードキャストルーティングプログラムが記憶され、マルチキャストルーティング用バッファの代わりに、ブロードキャストルーティング用バッファを割り当て、ブロードキャストルーティングプログラムを実行した場合は、マルチキャスト同様に、下流にブロードキャスト配信を行う事により、ブロードキャスト配信機能を具備する。
【0129】
また、オフロード要求フラグ836が記憶されている。これはUEが、一例として受信品質の低下等によりオフロードの必要性を判断した場合や、ユーザが、一例として課金等の理由によりユーザの意思で例えばキー入力、音声入力、振動入力等の手段によりオフロードを要求する場合に変化する1つ又は複数のフラグである。
【0130】
マルチキャストルーティングプログラム830を制御部800で実行する事により、UEh80が受信したマルチキャストデータをマルチキャストルーティング用バッファ832に一時的に蓄積し、蓄積したマルチキャストデータをUEh80から配下のUE等の端末に配信する事ができる。
【0131】
その際、例えばUEh80がFDDモード、TDDモードの両方を具備している場合は、上流のHeNB70からFDDモードでマルチキャストデータを受信し、受信したマルチキャストデータをTDDモードでのUE間直接通信で配下のUEに配信する事ができる。また、上流のHeNB70からTDDモードでマルチキャストデータを受信する事も可能であり、無線LANアクセスポイント等を経由してFDDモードで配下のUEに配信する事も可能である。さらにそれぞれの組み合わせも可能である。またTDDモードとFDDモードが同時に動作する場合も、切り替えて動作する場合も、あるいはそれぞれ単独で動作する場合も、組み合わせ可能である。
【0132】
なお、UE間直接通信は、UE間直接通信プログラム834を制御部800で実行する事により動作する。例えばマルチキャストルーティングによる配信を行う場合は、マルチキャストルーティング用バッファ832、及び上記TDDモードやFDDモードの制御も行う。
【0133】
MBMSベアラコンテキスト822は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータを配送するために必要な管理情報である。図26に、MBMSベアラコンテキスト822のデータ構成の一例を示す。
【0134】
図26(b)を例にとって説明すると、MBMSベアラコンテキスト822は、TMGI等のMBMSベアラサービス識別子(例えば、「TMGI1」)と、配信のために確立するセッションの識別子(例えば、「セッションID1」)と、IPマルチキャスト通信を行うためのIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、マルチキャストモードかブロードキャストモードかを識別するためのモード(例えば、「マルチキャスト」)と、MBMSベアラの状態をアクティブかサスペンドかを管理する状態情報(例えば、「アクティブ」)と、MBMS制御装置の情報(例えば、「MME30」)と、上位の配信ノードとなる上位配信ノードの情報(例えば、「HeNB70」)とが含まれている。
【0135】
ここで、上位配信ノードに関する情報は、ノードを特定する情報を記憶しており、例えばIPアドレス(図26の場合はHeNB70のIPアドレス)が記憶される。また、IPマルチキャストアドレスは、MBMSベアラコンテキストを生成するMBMSベアラサービス毎に記憶される。
【0136】
なお、MBMSベアラコンテキスト822の情報は、下流の構成によっては含まれない場合がある。
【0137】
無線フレーム情報824は、MBMSベアラサービス毎に、HeNB70がUEへ無線区間を通して送信するための無線フレームの情報を記憶する。図27に、無線フレーム情報824のデータ構成の一例を示す。
【0138】
図27(b)を例にとって説明すると、無銭フレーム情報824は、MBMSベアラサービスを識別する識別子毎に(例えばTMGI毎)、マルチキャストモードかユニキャストモードかを示すモード情報(例えば、「フレームモード」)を記憶する。さらに、ユニキャストモードの場合には、フレーム配送するUEのIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等の識別情報が記憶されている。ここで、フレーム配送するUE(識別情報)については複数記憶することができる。
【0139】
なお、無線フレーム情報824の情報は、下流の構成等によっては含まれない場合がある。
【0140】
MBMS UEコンテキスト826は、MBMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータ配信におけるUEの管理情報である。HeNB70は、あるMBMSサービスにおいて最初のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録する。また、あるMBMSサービスにおいて、最後のMBMS UEコンテキストが生成された場合、MBMS登録解除を行う。図28に、MBMS UEコンテキスト826のデータ構成の一例を示す。
【0141】
図28(b)を例にとって説明すると、MBMS UEコンテキスト826は、MBMSサービスへアクティベーションする場合に必要とするIPマルチキャストアドレス(例えば、「IPマルチキャストアドレス」)と、UEが初期接続時に、IPアドレスを取得する際に必要とするAPN(例えば、「APN1」)と、UEが参加するマルチキャストサービスを示すTMGI(例えば、「TMGI1」)と、UEを識別するために用いられるIMSIの情報(例えば、「IMSI1」)とが含まれている。なお、MBMS UEコンテキスト826の情報は、下流の構成等によっては含まれない場合がある。
【0142】
UE間通信コネクティビティテーブル828は、UEh80が通信可能な他のUEの情報である。図29にUE間通信コネクティビティテーブルの一例を示す。
【0143】
具体的には、UE間通信コネクティビティテーブル828は、UEh80が直接通信可能なUE情報(例えば、「UEm90」とするが、IMSI等UEを識別できる情報を用いても良い)及び異種無線手段経由で通信可能なUE情報(例えば「WLAN AP1000経由UEm90」。WLAN AP1000はWLAN AP1000の保有するMacアドレスやベンダーが提供しWLAN AP1000を特定可能な識別番号でも良い。
【0144】
またUEm90はIMSI等UEを識別できる情報を用いても良い)と、無線接続モード(例えば「TDD」、「FDD」)と、マルチキャストルーティング機能(例えば「有り」)が含まれている。
【0145】
[2.9 UEm]
続いて、UEm90の機能構成について、図30を用いて説明する。UEm90は、制御部900に、無線送受信部910と、記憶部920とが接続されている。
【0146】
制御部900は、UEm90の全体を制御するための機能部である。制御部900は、記憶部920に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0147】
無線送受信部910は、例えば1つ又は複数にて構成される。また無線送受信部910は例えばFDD(Frequency Division Duplex)モード及び/又はTDD(Time Division Duplex)モードの無線接続モードにて構成される。
【0148】
FDDモードでは送信と受信の通信を送信周波数帯と受信周波数帯に分離して実現し、TDDモードは同じ周波数帯にて送信時間と受信時間に分離して実現する。
【0149】
例えば、基地局とUEの間で通信する場合、FDDモードの場合は、基地局の送信周波数でUEが受信し、逆にUEの送信周波数で基地局が受信し、通信を行っている。
【0150】
一方、TDDモードの場合、基地局とUE両方とも同じ周波数帯で送信、受信を時間で切り替えている。
【0151】
従って、UE間で直接通信を行う場合、FDDモードのUE同士の場合、どちらかのUEが基地局の送信設備と基地局の受信設備を具備するか、双方のUEが基地局の送信設備、あるいは基地局の受信設備を同時に具備する必要がある。
【0152】
一方、TDDモードのUE同士で直接通信を行う場合、送信と受信のタイミングを切り替えれば基地局の動作とUEの動作を切り替える事が可能であるので、どちらかのUEが基地局のタイミング、反対側のUEがUEのタイミングで送受信すれば、UE間直接通信を行う事ができ、例えばUEm90とUEh80が直接通信する事ができる。
【0153】
なお、FDDモードのUEの場合、無線LAN等の他の無線システムを具備している場合、無線LAN AP等を中継する事により、UE間通信を行う事が可能であり、例えばWLAN AP1000を中継して、UEm90とUEh80とが通信する事ができる。
【0154】
記憶部920は、UEm90の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部920は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、本実施形態においては、MBMSベアラコンテキスト922と、無線フレーム情報924と、MBMS UEコンテキスト926、UE間通信コネクティビティテーブル928と、UE間直接通信プログラム930とがそれぞれ記憶されている。また、オフロード要求フラグ932が記憶されている。これはUEが、一例として受信品質の低下等によりオフロードの必要性を判断した場合や、ユーザが、一例として課金等の理由によりユーザの意思で例えばキー入力、音声入力、振動入力等の手段によりオフロードを要求する場合に変化する1つ又は複数のフラグである。
【0155】
UE間直接通信は、UE間直接通信プログラム930を制御部900で実行する事により動作する。例えば、他のUEから直接通信によりデータを受信する場合や、eNB50からのデータも併せて受信する場合は、TDDモードやFDDモードの制御も行う。その際、TDDモードとFDDモードが同時に動作する場合も、切り替えて動作する場合も、あるいはそれぞれ単独で動作する場合も組み合わせが可能である。
【0156】
MBMSベアラコンテキスト922は、MSMSベアラサービス毎に生成され、マルチキャストデータを配送するために必要な管理情報である。図31に、MBMSベアラコンテキスト922のデータ構成の一例を示す。
【0157】
MBMSベアラコンテキスト922は、MBMSベアラサービス識別子と、セッション識別子と、IPマルチキャストアドレスと、モードと、状態情報と、MBMS制御装置に関する情報と、上位配信ノードに関する情報と、配信ノードに関する情報とが記憶されるが、例えばUEm90にマルチキャストルーティングの機能が搭載されず、UEm90の下流にMSMSベアラサービスが存在しない場合には、それらの情報は記憶されない。
【0158】
無線フレーム情報924は、MBMSベアラサービス毎に、UEm90から下流へ無線区間を通して送信するための無線フレームの情報を記憶する。図32に、無線フレーム情報924のデータ構成の一例を示す。
【0159】
無線フレーム情報924は、MBMSベアラサービス識別子と、フレームモードとが記憶されるが、例えばUEm90にマルチキャストルーティングの機能が搭載されず、UEm90の下流にMSMSベアラサービスが存在しない場合には、情報は記憶されない。
【0160】
MBMS UEコンテキスト926は、下流のUEがMBMSサービスへアクティベーションする場合に必要とする情報を記憶する。図33にMBMS UEコンテキスト926のデータ構成の一例を示す。
【0161】
MBMS UEコンテキスト926のIMSIは、IPマルチキャストアドレスと、APNと、TMGIと、IMSIとが記憶されるが、例えばUEm90にマルチキャストルーティングの機能が搭載されず、UEm90の下流にMSMSベアラサービスが存在しない場合には、情報は記憶されない。
【0162】
UE間通信コネクティビティテーブル928は、UEm90が通信可能な他のUEの情報である。図34にUE間通信コネクティビティテーブル928の一例を示す。
【0163】
具体的には、UE間通信コネクティビティテーブル928は、UEm90が直接通信可能なUE情報(例えば「UEh80」、IMSI等UEを識別できる情報を用いても良い)及び異種無線手段経由で通信可能なUE情報(例えば「WLAN AP1000経由UEh80」、WLAN AP1000はWLAN AP1000の保有するMacアドレスやベンダーが提供しWLAN AP1000を特定可能な識別番号でも良い。またUEh80はIMSI等UEを識別できる情報を用いても良い)と、無線接続モード(例えば「TDD」、「FDD」)とが含まれている。
【0164】
[1.2.9 WLAN AP]
続いて、WLAN AP1000の機能構成について、図35を用いて説明する。WLAN AP1000は、制御部1100に、無線送受信部1200と記憶部1300とが接続されている。
【0165】
制御部1100は、WLAN AP1000全体を制御するための機能部である。制御部1100は、記憶部1300に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)により構成されている。
【0166】
無線送受信部1200は例えば1つ又は複数にて構成される。無線送受信部1200と同じ無線システムを保有するUEh80やUEm90と同時に通信を行う事により、WLAN AP1000を経由したUEh80とUEm90の通信が可能となる。
【0167】
[1.3 手続き処理]
続いて、本実施形態における移動通信システム1の手続き処理について、図を用いて説明する。
【0168】
[1.3.1 サービスアナウンスメント手続き]
まず、図36に示すように、HeNB70とUEh80間の制御信号用無線リソース割り当て処理(S98)を行い、UEh80とBM−SC10間で制御信号が通信出来る様にする。すなわち基地局と移動局間において、制御信号やコンテンツデータや音声のユーザデータを流す為に利用する無線周波数、無線帯域、タイミング等を設定する。
【0169】
制御信号用無線リソース割り当てとは、制御信号のやり取りをする為に無線周波数、無線帯域、タイミング等の無線資源(リソース)をMME30やHeNB70主導で割り当て、UEh80に通知し、UEh80で設定する事を言う。
【0170】
一例として、UEh80がHeNB70の無線圏内に入ると、HeNB70が定期的にまたは連続的に送信している制御信号用無線リソース割り当て信号を含む報知信号をUEh80が受信する事により、UEh80はHeNB70と制御信号の通信を行う為の無線の設定を行う事が出来る。
【0171】
その後、BM−SC10はまず始めにUEh80に対してサービスアナウンスメント手続きを行う(S100)。すなわち、BM−SC10は配信可能なサービスをUEh80へ通知する。UEh80はこれによりマルチキャストサービスを検知する。
【0172】
BM−SC10は、MBMSサービスDB122で管理されているサービスの配信が可能であることを、サービス識別子を通知することでUEh80へ伝える。さらには、番組タイトルやコンテンツタイトル、配信開始時間等のサービスを説明する情報を付与して通知してもよい。
【0173】
ここで、サービス識別子としては種々のものが用いられるが、例えば、
(1)TMGI
(2)その他の識別子(例えば、事業者の設定したでMBMSベアラサービスを識別することができるその他の識別子)
等が利用可能である。本実施形態では、(1)のTMGIを利用することとして説明する。
【0174】
また、具体的な通知方法としては、種々の方法が考えられるが、例えば、SMS(Short Message Service)等を用いて、予め登録されている配信可能なUEへ通知したり、不特定多数のUEへ通知したり、WEBに情報を掲示して、UEがWEBサーバにアクセスすることで情報を取得したりしてもよい。
【0175】
[1.3.2 アクティベーション手続き]
続いて、UEh80は、サービスアナウンスメントで通知されたマルチキャストサービスに参加するためのアクティベーション手続きを行う(S102)。ここで、UEh80がマルチキャストサービスに参加するためのアクティベーション手続きについて、図37を用いて説明する。
【0176】
本手続きでは、UEh80がMBMS GW20へIGMP参加要求を行うことにより、アクティベーション手続きが開始される(S200)。ここで、UEh80がMBMS GW20へMBMSサービスに参加するための要求方法は種々存在するが、例えば、上記サービスアナウンスメントより通知されてきたサービスを一意に示す情報をUEh80がMBMS GW20へ通知することが可能である。具体的には、IPv4で通信する場合には、IGMP Membership Reportを送信し、IPv6で通信する場合にはMLD Membership Reportを送信する。
【0177】
次に、MBMS GW20は、UEh80からの参加要求を受けて、UEh80がサービスに参加するためのMBMS承認要求をBM−SC10へ送信する(S202)。MBMS承認要求を受信したBM−SC10は、そのサービス規約に基づいて、参加要求のあったUEh80を承認する。ここで、承認対象となるUEh80に対して課金処理を行っても良いし、その後のコンテンツ要求に応じて課金処理を行っても良い。
【0178】
続いて、BM−SC10は、MBMS GW20へUEh80を承認したことを示す承認応答を送信する(S204)。ここで、BM−SC10は、承認応答にAPNを含めて送信する。ただし、BM−SC10がUEh80にサービスの参加を許可しない場合には、承認応答を送信しなくても良い。
【0179】
次に、MBMS GW20は、MME30へMBMS通知要求を送信する(S206)。ここで、MBMS GW20は、IPマルチキャストアドレスと、APNとを含めて送信する。また、IPマルチキャストアドレスは、UEh80が参加要求を行ったアドレスである。次に、MME30は、MBMS GW20へMBMS通知応答を送信する(S208)。
【0180】
さらに、MME30は、UEh80へMBMS UEコンテキストを有効にするために、MBMSコンテキストアクティベーション要求を送信する(S210)。ここで、MME30は、MBMSコンテキスト要求に、IPマルチキャストアドレスと、APNとを含めて送信する。
【0181】
MBMSコンテキストアクティベーション要求を受信したUEh80は、MBMSコンテキストアクティベーション応答をMME30へ送信する(S212)。ここで、MBMSコンテキストアクティベーション応答には、TMGIと、IPマルチキャストアドレスと、APNと、UEが処理することができるQoSに関する情報と、UEh80を識別するIMSIとが含まれる。ここで、TMGIは、MBMSサービスを一意に示す識別子である。
【0182】
次に、UEh80からMBMS UEコンテキストアクティベーション応答を受信したMME30は、MBMSコンテキスト要求をMBMS GW20へ送信する(S214)。ここで、MBMSコンテキスト要求には、IPマルチキャストアドレスと、APNとTMGIと、UEh80を識別するIMSIとが含まれる。
【0183】
次に、MME30からMBMSコンテキスト要求を受信したMBMS GW20は、UEh80によるサービス参加を確認するために、MBMS承認要求をBM−SC10へ送信する(S216)。
【0184】
ここで、MBMS承認要求には、IPマルチキャストアドレスと、APNと、TMGIと、UEh80を識別するIMSIとが含まれる。
【0185】
MBMS GW20からMBMS承認要求を受信したBM−SC10は、UEh80によるサービス参加を確認した後、MBMS UEコンテキスト126を作成する。図5に示すように、作成されたMBMS UEコンテキスト126には、「IPマルチキャストアドレス」と、「APN1」と、UEh80を特定する「IMSI2」とを含める。
【0186】
続いて、BM−SC10は、MBMS承認応答をMBMS GW20へ送信する(S220)。ここで、MBMS承認応答には、IPマルチキャストアドレスと、APNと、TMGIと、UEh80を識別するIMSIとを含める。
【0187】
BM−SC10からMBMS承認応答を受信したMBMS GW20は、MBMS UEコンテキスト226を作成し、MBMSコンテキスト応答をMME30へ送信する(S222)。ここで、MBMSコンテキスト応答には、IPマルチキャストアドレスと、APNと、TMGIと、UEh80を識別するIMSIとを含める。
【0188】
また、図9(a)に示すように、作成されたMBMS UEコンテキスト226には、「IPマルチキャストアドレス」と、「APN1」と、TMGIと、UEh80を識別する「IMSI2」とを含める。
【0189】
MBMS GW20からMBMSコンテキスト応答を受信したMME30は、MBMS UEコンテキスト324を作成する。図12(a)に示すように、作成されたMBMS UEコンテキストには、「IPマルチキャストアドレス」と、「APN1」と、上位配信ノードである「MBMS GW20」と、配信ノードである「HeNB70」及び「eNB50」と、「TMGI1」と、UEh80を識別する「IMSI2」とを含める。
【0190】
ここで、上位配信ノード及び配信ノードは、例えばそれぞれMBMS GW20、HeNB70及びeNB50のIPアドレスが記載される。
【0191】
次に、MME30は、MBMS UEコンテキストの通知をHeNB70へ送信する(S224)。
MBMS UEコンテキストの通知には、IPマルチキャストアドレスと、APNと、TMGIと、UEh80を識別するIMSIとを含める。
【0192】
MME30からMBMS UEコンテキストの通知を受信したHeNB70は、MBMS UEコンテキスト736を作成する。図24(a)に示すように、作成されたMBMS UEコンテキストには、「IPマルチキャストアドレス」と、「APN1」と、「TMGI1」と、UEh80を識別する「IMSI2」とを含める。
【0193】
次に、MME30は、UEh80へMBMSコンテキストアクティベーション許可応答を送信する(S226)。MME30は、MBMSコンテキストアクティベーション許可応答にIPマルチキャストアドレスと、APNと、TMGIと、UEh80を識別するIMSIとを含めて送信する。
【0194】
MBMSコンテキストアクティベーション許可応答を受信したUEh80は、MBMS UEコンテキスト826を作成する。図28−(a)に示すように、作成されたMBMS UEコンテキストには、「IPマルチキャストアドレス」と、「APN1」と、「TMGI1」とが含まれる。
【0195】
[1.3.3 MBMS登録手続き]
続いて、あるMBMSサービスにおけるMBMS登録手続きを、図36に戻って説明する。MBMS登録手続きにより、BM−SC10からHeNB70への通信経路が確立される。
【0196】
通信経路の確立には、BM−SC10においてMBMSベアラコンテキスト124、MBMS GW20においてMBMSベアラコンテキスト222、MME30においてMBMSベアラコンテキスト324、HeNB80においてMBMSベアラコンテキスト732を作成し、BM−SC10におけるMBMSベアラコンテキスト124、MBMS GW20におけるMBMSベアラコンテキスト222、MME30におけるMBMSベアラコンテキスト324、それぞれの配信ノードのリストに下位ノードの情報を登録する必要がある。
【0197】
すなわち、MME30における配信ノードにはHeNB70の情報が登録され、MBMS GW20における配信ノードにはMME30の情報が登録され、BM−SC10における配信ノードにはMBMS GW20の情報がそれぞれ登録される。
【0198】
また、BM−SC10、MBMS GW20、MME30におけるそれぞれの配信ノードには、複数の下りリンクノードに関する情報が登録される場合もある。
【0199】
まず、HeNB70は、MBMSサービスに参加するUEh80を検出することにより、MBMS登録手続きを開始する。ここで、HeNB70がMBMSサービスに参加するUEh80の検出方法は種々存在するが、例えば、上記サービスアナウンスメントより通知されてきたサービスを一意に示す情報をUEh80がHeNB70へ通知することが可能である。
【0200】
HeNB70がMBMS登録手続きを開始するトリガは、上記以外でもオペレータのポリシ等により、任意のタイミングで行ってもよい。
【0201】
HeNB70は、UEh80に指定されたサービスをMBMS登録するためのMBMS登録要求をMME30に送信する(S104)。ここで、HeNB70は、MBMS登録要求にMME30の配信ノードとなるHeNB70の情報と、TMGIと、IPマルチキャストアドレスと、APNとを含めて送信する。
【0202】
HeNB70からMBMS登録要求を受信したMME30はMBMS GW20へMBMS登録要求を送信する(S106)。ここで、MBMS登録要求には、MBMS GW20の配信ノードとなるHeNB70の情報と、MBMS制御装置となるMME30の情報と、TMGIと、IPマルチキャストアドレスと、APNとを含める。
【0203】
MME30からMBMS登録要求を受信したMBMS GW20は、MBMS登録要求をBM−SC10へ送信する(S108)。MBMS登録要求には、BM−SC10MBの配信ノードであるMME30の情報と、TMGIと、IPマルチキャストアドレスと、APNとを含める。
【0204】
MBMS GW20からMBMS登録要求を受信したBM−SC10は、MBMSベアラコンテキスト124を作成し、「TMGI1」をMBMSベアラサービス識別子に登録し、モードを「マルチキャスト」に設定し、状態情報を「スタンバイ」に設定し、S108でMBMS登録要求を送信した「MBMS GW20」の情報を配信ノードに登録し、MBMS登録応答をMBMS GW20に送信する(S110)。MBMS登録応答には、TMGI及びQoSに関する情報が含まれている。
【0205】
MBMS登録応答を受信したMBMS GW20は、MBMSベアラコンテキスト222を作成し、MBMS登録応答を送信した「BM−SC10」を上位配信ノードに登録し、「TMGI1」をMBMSベアラサービス識別子に登録し、S106で受信した情報によりMBMS登録要求を送信した「MME30」をMBMS制御装置に登録し、「HeNB70」の情報を配信ノードに登録する。さらにモードを「マルチキャスト」に設定し、状態情報を「スタンバイ」に設定する。次にMBMS登録応答をMME30に送信する(S112)。MBMS登録応答には、TMGIに関する情報が含まれている。
【0206】
MBMS登録応答を受信したMME30は、MBMSベアラコンテキスト322を作成し、MBMS登録応答を送信した「MBMS GW20」を上位配信ノードに登録し、「TMGI1」をMBMSベアラサービス識別子に登録し、S104で受信した情報により「HeNB70」の情報を配信ノードに登録する。さらにモードを「マルチキャスト」に設定し、状態情報を「スタンバイ」に設定する。次にMBMS登録応答をHeNB70に送信する(S114)。MBMS登録応答には、TMGIに関する情報が含まれている。
【0207】
MBMS登録応答を受信したHeNB70は、MBMSベアラコンテキスト732を作成し、「MBMS GW20」を上位配信ノードに登録し、「TMGI1」をMBMSベアラサービス識別子に登録し、「MME30」をMBMS制御装置に登録する。
さらにモードを「マルチキャスト」に設定し、状態情報を「スタンバイ」に設定する。
【0208】
以上のサービスアナウンスメント手続きと、アクティベーション手続きと、MBMS登録手続きにより、UEh80とBM−SC10との間で配信リストを形成することにより、BM−SC10が送信したサービスのマルチキャスト配信データはHeNB70まで配送するための経路を生成することができる。
【0209】
なお、配信リストに登録されるノードは、上記に従う必要はなく、オペレータによって予め登録されていてもよい。
【0210】
なお、上記では、MME30がMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMMEがHeNB70からMBMS登録要求を受信した場合にも、MME30と同様の手続きを行う。
【0211】
同様にMBMS GW20においても、MBMS GW20がMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMBMS GW20がMME30からMBMS登録要求を受信した場合にも、MBMS GW20と同様の手続きを行う。
【0212】
同様にBM−SC10においても、BM−SC10がMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のBM−SCがMBMS GW20からMBMS登録要求を受信した場合にも、BM−SC10と同様の手続きを行う。
【0213】
[1.3.4 セッション開始手続き]
続いて実行するセッション開始手続きを、図38を用いて説明する。セッション開始手続きにより、MBMSベアラを確立し、データを送信する準備を行う。
【0214】
BM−SC10は、サービスを指定したセッション開始要求をMBMS GW20に送信する(S300)。
【0215】
ここでは、セッションを識別するためのセッション識別子を生成し、生成したセッション識別子とサービスを指定するためのTMGIとをセッション開始要求に含めて送信する。これによりセッション開始手続きを開始する。
【0216】
また、MBMS登録手続きで既に作成済みでTMGIで識別可能なMBMSベアラコンテキスト124に、セッション識別子「セッションID1」を登録し、状態情報を「スタンバイ」から「アクティブ」に変更する。図4に、状態情報が「アクティブ」に変更されたMBMSベアラコンテキスト124の一例を示す。
【0217】
なお、セッション開始要求は、MBMSベアラコンテキスト124の配信ノードに登録される総てのMBMS GWへ送信する。
【0218】
MBMS GW20は、セッション開始要求を受信し、セッション開始応答をBM−SC10に送信し応答する(S302)。また、MBMS登録手続きで既に作成済みでTMGIで識別可能なMBMSベアラコンテキスト222にセッション識別子「セッションID1」を登録し、状態情報を「スタンバイ」から「アクティブ」に変更する。配信ノードには、「HeNB70」に関する情報が登録されている。ここで、配信ノードには、複数のHeNB、及びeNBが登録される。
【0219】
なお、登録される配信ノードであるHeNB及びeNBは、オペレータによって予め登録されているものでも良いし、上記MBMS登録手続きを経て登録されたMBMSサービスエリア毎の配信ノード(HeNB70等)のリストを利用し、BM−SC10から送信されたセッション開始要求に含まれるMBMSサービスエリア識別子に基づいて対応するHeNB70を選択してもよい。
【0220】
以上の手続きにより、BM−SC10とMBMS GW20間でマルチキャストデータ配信のための通信品質を確保した配送路であるMBMSベアラが確立される。
【0221】
さらに、MBMSベアラでの送信をIPマルチキャスト通信で行うため、サービスに対してIPマルチキャストアドレスを割り当て、MBMSベアラコンテキスト222に登録する。
【0222】
図7(a)に、セッション識別子に「セッションID1」を登録し、状態情報が「スタンバイ」から「アクティブ」に変更され、複数のHeNB「HeNB70」、及びeNB「eNB50」が登録され、IPマルチキャストアドレス「IPマルチキャストアドレス」が登録されたMBMSベアラコンテキスト222の一例を示す。
【0223】
MBMS GW20は、MBMSベアラコンテキスト222のMBMS制御装置に登録されているMME30へセッション開始要求を送信する(S304)。サービスを指定するために、セッション開始要求にはTMGIと、セッション識別子と、IPマルチキャストアドレスとが含まれている。
【0224】
また、セッション開始要求は、MBMSベアラコンテキスト222のMBMS制御装置に登録される総てのMMEへ送信される。
【0225】
MME30は、セッション開始要求を受信し、セッション開始応答をMBMS GW20に送信し、応答する(S310)。また、既に作成済みでTMGIで識別可能なMBMSベアラコンテキスト322にセッション識別子「セッションID1」とIPマルチキャストアドレス「IPマルチキャストアドレス」とを登録し、状態情報を「スタンバイ」から「アクティブ」に変更する。
【0226】
配信ノードには、HeNB70に関する情報が登録されている。ここで、配信ノードには、複数のHeNBやeNBが登録される。
【0227】
図11(a)に、セッション識別子に「セッションID1」を登録し、状態情報が「スタンバイ」から「アクティブ」に変更され、複数のHeNB「HeNB70」、及びeNB「eNB50」が登録され、IPマルチキャストアドレス「IPマルチキャストアドレス」が登録されたMBMSベアラコンテキスト322の一例を示す。
【0228】
また、MME30は、MBMSベアラコンテキスト322の配信ノードに登録されるHeNB70へセッション開始要求(S306)を送信する。セッション開始要求にはTMGIと、セッション識別子と、IPマルチキャストアドレスとが含まれている。
【0229】
なお、セッション開始要求は、MBMSベアラコンテキスト322の配信ノードに登録される総てのHeNB及びeNBへ送信される。
【0230】
HeNB70は、セッション開始要求を受信し、セッション開始応答をMME30に送信し、応答する(S308)。また、既に作成済みでTMGIで識別可能なMBMSベアラコンテキスト732にセッション識別子「セッションID1」とIPマルチキャストアドレス「IPマルチキャストアドレス」とを登録し、状態情報を「スタンバイ」から「アクティブ」に変更する。
【0231】
図22(a)に、セッション識別子に「セッションID1」を登録し、状態情報が「スタンバイ」から「アクティブ」に変更され、IPマルチキャストアドレス「IPマルチキャストアドレス」が登録されたMBMSベアラコンテキスト732の一例を示す。
【0232】
以上の手続きにより、MBMS GW20とHeNB70間でマルチキャストデータ配信のための通信品質を確保した配送路であるMBMSベアラを確立する。
【0233】
次に、HeNB70は、UEh80へのサービスデータ転送路の一つとしてユーザ信号用無線リソース割り当て処理を行う(S312)。
ユーザ信号用無線リソース割り当てとは、前述の制御信号用無線リソース割り当て処理(S100)と同様に、マルチキャストデータ等のユーザ信号が通信出来る為に定義された無線周波数、帯域等の無線資源(リソース)を、通信事業者の管理下にあるMME30やHeNB70等が主導で割当て、UEh80に通知し、UEh80において設定する事を言う。
【0234】
ここで、制御信号用無線リソース割り当て処理(S100)とユーザ信号用無線リソース割り当て処理(S312)との関係であるが、まず制御信号通信の為、基地局と移動局間において利用する無線周波数、帯域等が制御信号用無線リソースとしてMME30やHeNB70等の主導で割り当てられ、制御データのやり取りを行った後、制御信号用無線リソースを利用してコンテンツデータや音声等のユーザデータを利用する為の無線周波数、帯域等がユーザ信号用無線リソースとして、同様にMME30やHeNB70等の主導で割当てられ、ユーザデータのやり取りを行う、という2段階のステップで無線リソースの割り当てが行われる。但し、制御信号用の無線リソースとユーザ信号用無線リソースを区別なく割当てても良い。
【0235】
その後HeNB70は、配送するための情報を無線フレーム情報734に登録する。具体的には、無線フレームのモードがマルチキャストモードであるか、ユニキャストモードであるかのモード情報(例えば、「フレームモード」)をMBMSベアラサービス識別子毎に登録する。サービス識別子としてはTMGIを用いることができる。
【0236】
また、マルチキャストモードで送信する場合は、フレームは不特定多数のUEへ送信するためUE情報を保持する必要はないが、ユニキャストモードで送信する場合には、個々のUEに無線フレームを送信する必要があるため、その場合には、UE情報としてIMSIを保持しておきUE情報として登録する。
【0237】
ここで、HeNB70からUEh80へのマルチキャストデータを配信する準備が整った事により、HeNB70は、BM−SC10に対しIPマルチキャスト参加処理を行い(S314)、BM−SC10にマルチキャストデータの配信を要求する。HeNB70は、MBMSベアラコンテキスト732を参照し、サービスに対応するIPマルチキャストアドレスを用いてBM−SC10に参加要求を行う。具体的には、IPv4で通信する場合には、IGMP Membership Reportメッセージを送信し、IPv6で通信する場合にはMLD Membership Reportを送信する。
【0238】
ここで、IPマルチキャスト参加処理としては、上述したようにHeNB70から、参加要求を行うという処理の他に種々の処理が行われる場合がある。例えばBM−SC10による課金処理等を行う処理である。
【0239】
これにより、BM−SC10、MBMS GW20及びHeNB70で確立したMBMSベアラに、IPマルチキャストパケットが配送される。また、マルチキャストデータは、IPマルチキャストによりBM−SC10からHeNB70まで送信される。
【0240】
以上のサービスアナウンスメント手続き、MBMS登録手続き、セッション開始手続きにより、UEh80とBM−SC10の間で通信路が確立し、BM−SC10が送信したデータはHeNB70まで配送することができる。
【0241】
最後に、HeNB70はUEh80に対してMBMS開始通知を送信する(S316)。開始通知にはサービスを識別するサービス識別子を含めて通知する。これにより、UEh80はマルチキャストデータの受信を開始する。
【0242】
ここで、サービス識別子としては種々のものが用いられるが、例えば、
(1)MBMSベアラコンテキスト732に登録されるTMGI
(2)MBMSベアラコンテキスト732に登録されるセッションID
(3)その他の識別子(例えば、HeNB70とUEh80とでMBMSベアラサービスを識別することができる識別子)
等を利用する。
【0243】
本実施形態では、(1)のTMGIを利用することとして説明するが、(3)の場合には、サービス識別子とMBMSベアラコンテキスト732とを対応づけて登録することとなる。
【0244】
上記の例では、MBMS GW20がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMBMS GW20がBM−SC10からセッション開始要求を受信した場合にも、MBMS GW20と同様の手続きを行う。
【0245】
同様にMMEにおいても、MME30がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMMEがMBMS GWからセッション開始要求を受信した場合にも、MME30と同様の手続きを行う。
【0246】
同様にHeNBにおいても、HeNB70がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のHeNBがMMEからセッション開始要求を受信した場合にも、HeNB1と同様の手続きを行う。
【0247】
同様にUEにおいても、UEh80がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のUEがHeNBからセッション開始要求を受信した場合にも、UEh80と同様の手続きを行う。
【0248】
これにより、BM−SC10が配信するマルチキャストデータは、複数のMBMS GW、MME及びHeNBを介して階層的にUEへ配送される。
【0249】
なお、上記では、UEh80、HeNB70の説明を行ったが、UEh80をUEm90と読み替え、HeNB70をeNB50と読み替え、IMSI2をIMSI1と読み替えると、図39、図40に示すように同様の手順でUEm90とBM−SC10とのMBMS登録手続きが行われる。
【0250】
また同様の読み替えにより図41に示すUEm90とBM−SC10とのセッション開始手続き及びマルチキャストデータ配信手続きが行われる。
【0251】
これにより、BM−SC10からUEm90にマルチキャストデータの配信が開始される。
【0252】
図17(a)にBM−SC10からeNB50を経由してUEm90にマルチキャストデータの配信が開始された時のMBMSベアラコンテキスト532の一例を示す。MBMSベアラサービス識別子には「TMGI1」、セッション識別子には「セッションID1」、IPマルチキャストアドレスには「IPマルチキャストアドレス」、モードには「マルチキャスト」、MBMS制御装置には「MME30」、上位配信ノードには「MBMS GW20」が登録されている。
【0253】
同様に、図18(a)に無線フレーム情報534の一例を示す。MBMSベアラサービス識別子(例えば、「TMGI」)毎にフレームモードとして、TMGI1には「マルチキャスト」、TMGI2には「ユニキャスト(IMSI1)」が登録されている。
【0254】
また、図19(a)にMBMSUEコンテキスト536の一例を示す。IPマルチキャストアドレスには、「IPマルチキャストアドレス」、APNには「APN1」、TMGIには「TMGI1」、IMSIには「IMSI1」が登録されている。
【0255】
ただし、本実施形態では、UEを識別するIMSIは、UEh80では「IMSI2」、UEm90では「IMSI1」を用いる。
【0256】
また、MBMSUEコンテキスト126を図9(a)に示す、UEコンテキスト226、MBMS UEコンテキスト324、におけるIMSIは、「IMSI1」及び「IMSI2」の両方のUEが、また、MBMSUEコンテキスト536、MBMSUEコンテキスト736には片方のUEが接続されている状態を示す。
【0257】
[1.3.5 UE間通信によるマルチキャストデータのオフロード]
複数UEがBM−SCから同じマルチキャストデータ配信を受けている場合、マルチキャストデータを受信している1つのUEから、他UEに直接マルチキャストデータを配信すること(マルチキャストデータオフロードと呼ぶ)により、BM−SCから他のUEへ配信される区間にマルチキャストデータを流す必要が無くなり、有線区間及び無線区間のトラフィックの輻輳が改善される可能性がある。
【0258】
しかしながら、UE間で勝手に配信を開始してしまうと、さまざまな課題が予想される。例として、本来課金対象としてBM−SCが管理していたマルチキャストデータの課金管理ができなくなる可能性がある。また、BM−SCからUEのデータを停止しないと、削減可能なデータトラフィックを削減出来なくなる可能性がある。
【0259】
従って、一例としてMMEの管理においてマルチキャストデータオフロードの制御を行う事により、トラフィックの削減が可能となる。
【0260】
なお、マルチキャストデータオフロードの開始判断は、MMEが必要性を判断して開始も良いし、UEにおいてユーザによる入力、又はUEが必要性を判断してMMEに要求を送付して、MMEが判断の後、指示により開始しても良い。
【0261】
MMEは、マルチキャストセッション情報を管理できるため、複数のUEが受けているマルチキャストサービスの状況を管理する事ができる。
【0262】
すなわち、例えば図11(a)又は図12(a)に示すMBMSベアラサービス識別子であるTMGIを管理する事により、複数UEに配信されているコンテンツの内容が同一か異なるかを管理できる。また、同じTMGIにおいて複数の配信ノードが存在する事を管理する事により、同一のコンテンツが異なる配信ノードに配信されている事が管理出来る。
【0263】
異なるTMGIトラフィックの数及び各TMGI毎の配信ノードの数を管理する事により、特定のトラフィック、またはトラフィック全体の輻輳状態を把握あるいは予測できる。例えば、MBMS GWからあるeNBに複数のTMGIの異なるコンテンツが、各々複数の配信ノードに同時に集中して配信されている事を把握する事により、特定のトラフィックが輻輳している事を把握できる。同様に同じコンテンツが別のeNBやHeNBに配信されている状態や、MBMS以外のトラフィックの流れを把握する事により、トラフィック全体の輻輳状態を把握できる。さらに配信ノードの増え方や、トラフィックの増加率の時間的変化を把握する事により、輻輳状態の予測ができる。従って、トラフィックの輻輳の把握、または輻輳の予測を基に、マルチキャストデータオフロードの必要性を判断できる。
【0264】
図42で直接通信までの手順を説明する。図38及び図41の手順により、図42に示すようにBM−SC10からUEh80及びUEm90までのマルチキャストデータ配信が開始される(S702、S704)。
【0265】
ここでは、BM−SC10からMBMS GW20に配信されたマルチキャストデータがMBMS GW20から2つの流れに分岐している事を示している。すなわち1つはMBMS GW20からHeNB70を経由してUEh80に配信され、もうひとつはMBMS GW20でコピーされた同じマルチキャストデータがeNB50を経由してUEm90に配信されている。
【0266】
この時、MME30により、オフロード要否判断の処理が実行される(S720)。オフロード要否判断処理を説明する。
【0267】
まず、例えばMBMS GW20からHeNB70を経由してUEh80迄のトラフィック、又はMBMS GW20でからeNB50を経由してUEm90迄のトラフィック、又はトラフィック全体の輻輳状態を把握又は予測し必要かどうかを判断する。
必要と判断した場合に、例としてUEh80及びUEm90への同一の2つのマルチキャストデータ配信において、削減が必要と判断したなMBMS GW20からUE迄のトラフィックを停止し、停止しなかったUEから直接配信を受けるという、マルチキャストデータオフロードを実行させる事により、トラフィックの削減に有効となる可能性がある事を判断する。
【0268】
トラフィックの削減に有効となる可能性があると判断した場合に、各々のUE間で実際に直接通信可能かどうかを判断する手順に移行する必要性があるか否かを判断する。
以上の手順による処理をオフロード要否判断処理と呼ぶ。
【0269】
なお、トラフィックの削減が必要かどうかの判断は、通信事業者による指示等により必要と判断する事もある。以下、オフロード要否判断処理の手順を順を追って説明する。
【0270】
本実施形態では、MME30は、MBMS UEコンテキスト324のTMGIに複数のIMSIが存在している事により、同じマルチキャストデータが、異なる複数UEに配信している事を把握する。例えば、図12(a)において、同じTMGI1のコンテンツが、IMSI1、IMSI2という複数のUEに配信している事を把握する。
【0271】
また、IMSIと配信ノードとの関連を確認し、各UEが異なるネットワークのおける異なる配信ノード配下に存在している事を把握する。
【0272】
すなわち、MME30は、MBMSベアラコンテキスト322において、同じTMGIにおける複数の配信ノードアドレスを比較し、複数の配信ノードは異なるネットワークである事を把握する。例えば、図11(a)において、同じTMGI1のコンテンツが、HeNB70とeNB50との異なる複数の配信ノードに配信されており、HeNB70とeNB50とのIPアドレスを比較する事により、異なるネットワークである事を把握する。
【0273】
この時、例えばMBMS GW20からHeNB70を経由してUEh80迄のトラフィック、又はMBMS GW20でからeNB50を経由してUEm90迄のトラフィックのいずれかで、データの輻輳によるトラフィック削減の必要があるかどうかを判断する。
【0274】
必要があると判断した場合、MBMS GW20からHeNB70を経由してUEh80迄と、MBMS GW20でからeNB50を経由してUEm90迄の異なるネットワークの各UEに同一のマルチキャストデータが配信されている事を把握しているので、削減が必要なMBMS GW20からUE迄のトラフィックを停止し、停止しなかったUEから直接配信を受けるという、マルチキャストデータオフロードが有効であると判断する。
【0275】
ここで、例えば同一eNB配下の異なる複数のUEに同一のマルチキャストデータを配信する場合、eNBまでは共通のデータとして配信されeNBにおいてマルチキャストデータが複数のUEの数分コピーされ、各々に配信される。すなわち同一ネットワークでの異なるUE間では、マルチキャストデータオフロードが有効では無く、例えばマクロのeNB配下のUEと、家庭のHeNB配下のUEという異なるネットワークのUE間でのマルチキャストデータオフロードが有効となる。
【0276】
以上により、いずれかの配信ノードのUEから別の配信ノードのUEにUE間直接通信を行う事によるマルチキャストデータオフロードが有効であると判断し、各々のUE間で実際に直接通信可能かどうかを判断する手順に移行する必要性があると判断する。
【0277】
なお、図38及び図41の手順等の過程で、UEがHeNBやeNBを通してMMEと接続しているので、MME30はUEh80がHeNB70の配下に存在し、UEm90がeNB50配下に存在している事を把握できる。従って、MME30はMBMS UEコンテキスト324及びMBMSベアラコンテキスト322の情報と併せて、マルチキャストデータオフロードが有効となる可能性を判断する事ができる。
【0278】
また、MMEがオフロード要否判断をするのは、上述の場合に加え次の様な内容を基に単独で、あるいは複合的にマルチキャストデータオフロードが有効となる可能性がある事を判断しても良い。
【0279】
すなわち、同じコンテンツが異なるネットワークに配信されていて、マルチキャストデータオフロードの効果が高い事、無線LAN等を利用する場合、携帯電話通信事業者からの制御がしやすい事、に関する複数の観点で判断を行う。
【0280】
具体的な例を示すと、
・同じMME配下の複数のUEが同時に通信しているか。
・UEの通信はマルチキャスト又はブロードキャストか。
・複数のUEに同じコンテンツが同時に配信されているか。
・オフロード判断対象の複数UEは同じeNBあるいはNBの配下において通信していないか。
・オフロード実行により、UE迄のコアのトラフィックを削減できるか。
・オフロードを中継するUEにW−LAN等の異種無線システムを具備しているか。
・オフロードを中継するUEに具備しているW−LAN等の異種無線システムは、UEに内蔵されているか。
・オフロードを中継するUEに内蔵されているW−LAN等の異種無線システムは、UEが具備する携帯電話通信システムと同一の事業者か。
・オフロードを中継するUEに内蔵されているW−LAN等の異種無線システムには、通信事業者が管理するテザリング機能を具備しており、内蔵無線LAN等のシステムの動作が携帯電話通信事業者からの制御が可能であるか。
等といったことが考えられる。
【0281】
さらに、MME30によるオフロード要否判断処理の開始は、MME30が判断開始する場合に加え、UEからの要求により、MME30が判断を開始してもよい。例えば、図43に示すように、UEm90の判断によりオフロード要求処理が実行され(S706)、オフロード要求がMME30に送信される(S712)。これにより、MME30は、オフロード要否判断処理を実行する。
【0282】
なお、UEm90からのオフロード要求(S712)は、eNB50を経由してMME30に送信される。
【0283】
また、UEh80の判断によりオフロード要求処理が実行され(S708)、オフロード要求がMME30に送信されてもよい(S710)。UEh80からのオフロード要求(S710)は、HeNB70を経由してMME30に送信される。
更に、UEm90及びUEh80の両者からオフロード要求が送信されても良い。
【0284】
オフロード要求処理は、具体的には、各端末のオフロード要求フラグを変化させる。例えば、UEm90においてユーザがオフロードを要求する操作を行う事により、オフロード要求フラグ932を変化させる等の処理を行い(S706)、オフロード要求フラグ932の内容をMME30にオフロード要求として通知し(S712)、MME30はオフロード要否判断処理を開始する。
【0285】
同様にUEh80の判断やUEh80のユーザ要求による操作により、オフロード要求フラグ836の内容を変化させる等の処理を行い(S708)、オフロード要求フラグ836の内容をMME30にオフロード要求として通知し(S710)、MME30はオフロード要否判断処理を開始する。
【0286】
このように、UEm90とUEh80のオフロード要求通知(S712、S710)は片方の端末から送信されるが、両方の端末から送信されてもよい。
【0287】
なお、UEからの要求とは、例としてUEにおいて受信品質低下等の判断をして要求する場合や、UEを使用しているユーザの意思で、例として課金の差等の理由で要求する場合が含まれる。また、通信事業者のポリシー等によりマルチキャストデータオフロードが有効との判断に基づいてもよい。
【0288】
MME30は、オフロード要求判断処理(S720)によるマルチキャストデータオフロードが有効となる可能性があるとの判断により、各々のUE間で実際に直接通信可能かどうかを判断する以下の手順に移行する。
【0289】
MME30は、UEh80とUEm90とのUE間通信許可情報(例えば、UE間通信許可テーブル情報)をHSS40に要求する(S722)。UE間通信許可情報(例えば、UE間通信許可テーブル情報)は、UEh80とUEm90間での直接通信が許可されているか、UE間でどのような通信形態、無線接続モード機能を具備しているか、通信形態に応じた必要なアクセス情報、アクセス秘匿情報はどのようなものか、UEから他のUEにマルチキャストデータを配信する機能であるマルチキャストルータ機能は具備しているか、等を含む情報であり、MME30が実際にUE間で直接通信を行う事が可能かどうかを判断する1つの情報として利用できる。
【0290】
HSS40は、UE間通信許可情報(例えば、UE間通信許可テーブル422の情報)をMME30に返答する(S724)。図15にUE間通信許可テーブル422の一例を示す。
【0291】
MME30は、UE間通信コネクティビティテーブル326を作成し、HSS40から受信したUE間通信許可テーブル422の情報を登録する。
【0292】
本実施形態では、MME30は、登録されたUE間通信コネクティビティテーブル326から、各UEでの可能な通信形態が各々「直接」あるいは「異種無線経由1(WLAN AP1000)」であり、UE間直接通信許可が各々「許可」であり、各UEがWLANアクセスポイント等に接続する際必要なアクセス情報、アクセス秘匿情報を把握し、各UEのマルチキャストルータ機能の具備状況を把握し、各UEの具備する無線接続モードを把握する。
【0293】
これらの情報より例えばTDDモードによるUE間直接通信及び異種無線であるWLANアクセスポイント等をFDDモードにより経由して、UEh80とUEm90が、それぞれの通信形態においてお互いに電波の到達範囲に存在すればUE間通信の可能性がある事を確認し、さらにそのそれぞれの通信形態における通信が許可されている事を確認する。さらにWLANアクセスポイント等に接続可能な場合は、無線周波数や拡散方式、無線設備識別番号(MACアドレス等)等を記述した「アクセス手段」、SSID等アクセスするための秘匿情報である「アクセス秘匿情報」を確認する。
【0294】
なお、UE間通信許可テーブル422は、UEの契約情報を基にあらかじめ登録されていても良いし、HSS40が各UEに問い合わせて情報を入手し、作成しても良い。
【0295】
その後、MME30はUEh80及びUEm90に、各UE同士が現時点において電波の到達範囲に存在し、各UE間で直接通信が実際に可能かどうかをUE間通信コネクティビティテーブル要求を送信し(S726、S728)各UEに問い合わせる。
なお、UE間通信コネクティビティテーブル要求(S728)は、MME30からeNB50を経由してUEm90へ送信され、UE間通信コネクティビティテーブル要求(S726)はMME30からHeNB70を経由してUEh80へ送信される。
【0296】
MME30はUE間通信コネクティビティテーブル326の情報を基に、各UEへのUE間通信コネクティビティテーブル要求に、直接通信する対象UEの情報と、経由する異種無線アクセス情報を含める。例として、UEh80へのUE間通信コネクティビティテーブル要求(S726)には、直接通信する対象UEとしてUEm90、無線接続モード、経由する異種無性アクセスとしてWLAN AP1000の情報及びWLAN AP1000に接続する場合の「アクセス手段」、「アクセス秘匿情報」の情報を含める。また、マルチキャストルータ機能の有無情報を含め、HSS40から得た情報とUEh80が保有している情報との照合による有無情報の再確認を実行させる。
【0297】
これは、マルチキャストルータ機能の有無をHSS40に設定後、UEにおいてマルチキャストルータ機能をダウンロード等により追加した場合や、削除された場合に最新の情報に更新する為である。
【0298】
同様にUEm90へのUE間通信コネクティビティテーブル要求(S728)には、直接通信する対象UEとしてUEh80、及び無線接続モード、経由する異種無性アクセスとして、WLAN AP1000の情報及びWLAN AP1000に接続する場合の「アクセス手段」、「アクセス秘匿情報」の情報を含める。また、マルチキャストルータ機能の有無情報を含め、HSS40から得た情報とUEm90が保有している情報の再確認を実行させる。
【0299】
MME30からのUE間通信コネクティビティテーブル要求(S726,S728)を受信したUEh80及びUEm90は、要求に含まれる対象UEに関して、UE間通信制御信号用無線リソース割り当て処理を行い、お互いに電波の到達範囲に存在して直接通信が可能かどうかのUE間通信可否判断処理を行う(S730)。
【0300】
その判断においては、UE間で直接通信が可能か否かを確認する事が目的であるので、制御信号が相手までの往復通信が行える事が確認出来れば通信可能と判断しても良く、例えばACK、NACKやPING等の簡易な制御信号の通信によって確認しても良い。
ここで、制御信号の通信の為に無線リソース割り当てを行う。
【0301】
この時、HeNB70とUEh80間の制御信号用無線リソース割り当て処理(S100)においては、MME30やHeNB70主導で割り当てを行い、HeNB70が送信している制御信号用無線リソース割り当て信号を含む報知信号をUEh80が受信する事により、UEh80はHeNB70と制御信号の通信を行う為の設定を行う事が出来た。
【0302】
UE間での直接通信においても、UE間で勝手に無線リソースを設定するのではなく、MME30、HeNB70等の通信事業者管理下で設定する。
【0303】
本実施形態ではMME30から受信したUE間通信コネクティビティテーブル要求(S726,S728)で指定された情報により、UE間通信制御信号用無線リソース割り当て処理を行い(S730)、UE間通信コネクティビティテーブル要求(S726、S728)で指定された対象UEが例えばTDDモードによるUEh80とUEm90間での直接通信及び異種無線手段を経由した直接通信(例えば、FDDモードによるWLAN AP1000の異種無線手段を経由した直接通信)の無線設定を行い、例えばACK、NACKやPING等の簡易な制御信号の通信の通信可否によって、UE間通信可否判断処理(S730)を行う。
【0304】
なお、無線リソースの割り当ての設定は、MME30とHeNB70が協調して行っても良い。
【0305】
なお、本実施形態においては、UEh80とUEm90間での直接通信及びWLAN AP1000経由での直接通信が行われる例について説明するが、通信路としてはどちらか一方(例えば、UEh80とUEm90間での直接通信)であっても良いことは勿論である。
【0306】
つづいて、各UEは、UE間通信制御信号用無線リソース割り当て処理、UE間通信可否判断処理によって確認されたUE間通信の接続性、すなわち接続可能となった相手のUE、及び例えばUE間での直接通信かWLAN AP経由での直接通信か、を示す接続経路情報であるUE間通信コネクティビティ、相手のUEと例えばTDDモードで接続されたのか、FDDモードで接続されたのかを示す、無線接続モード等に関し、各UEはUE間通信コネクティビティテーブル828及びUE間通信コネクティビティテーブル928を作成し、確認内容を登録する。さらにMME30から通知されてきたマルチキャストルーティング機能の有無情報と各UEが持っている情報を比較し、最新の情報をUE間通信コネクティビティテーブルに登録する。
【0307】
なお、UE間通信コネクティビティテーブルは事前に作成されていて、マルチキャストルーティング機能を保有しているかの有無の情報が事前に格納されていても良い。そして、登録内容をMME30にUE間通信コネクティビティテーブル応答として送信する(S732、S734)。
【0308】
図29にUE間通信コネクティビティテーブル828の一例を、図34にUE間通信コネクティビティテーブル928の一例を示す。図29では、UEh80が直接TDDモードによりUEm90と通信が可能であり、WLAN AP1000経由でのFDDモードでUEm90と通信が可能な事を示しており、図34ではUEm90が直接及びWLAN AP1000経由でUEh80と通信が可能な事を示している。
【0309】
さらに、UEh80はマルチキャストルーティング機能を保有し、UEm90は保有しない事から、UEh80からUEm90へのマルチキャスト配信が可能な事を示している。
【0310】
MME30は、各UEからのUE間通信コネクティビティテーブル応答を受信すると、その内容をUE間通信コネクティビティテーブル326に登録する。図13に、登録後のUE間通信コネクティビティテーブル326の一例を示す。
【0311】
以上の処理の後、MME30はUE間通信によるオフロード可否判断処理(S736)を行う。すなわち、トラフィックの輻輳が発生した場合等において、マルチキャストデータオフロードが必要な状況になった場合、あるいはUEからの要求があった場合、MME30は、UEh80とUEm90間におけるマルチキャストデータオフロードが有効であり、実際にUEh80とUEm90間での直接通信が可能である事を判断する。
【0312】
更に、マルチキャストルーティング機能の有無により、UEh80とUEm90間でどちらからマルチキャストデータを配信するか、さらにどこのトラフィックの輻輳を削減させたいのか、すなわちMBMS GW20からeNB50のトラフィックを削減したいのか、MBMS GW20からHeNB70のトラフィックを削減したいのか、等を判断して、例えば、UEm90がeNB50を経由して受信しているマルチキャストデータを、マルチキャストルーティング機能を保有しているUEh80からの直接通信によって受信する事により、MBMS GW20からeNB50へのマルチキャストデータ配信を止める事が可能となり、コアネットワークからUEh80からUEm90への直接通信によるマルチキャストデータオフロードが可能と判断する。
【0313】
この時、MME30は、UEh80からUEm90への直接通信手段として、TDDモードによるUEh80からUEm90直接通信によるか、FDDモードによるWLAN AP1000経由で行うかを判断する。この判断基準としては、どちらかを優先するように設定してあっても良いし、ユーザや通信事業者のポリシに従っても良いし、受信電波強度等の通信品質情報を入手し判断しても良い。
【0314】
次に、MME30は、UEm90(S738)及びUEh80(S740)にUE間通信開始要求を送信する。
【0315】
各UE間通信開始要求には、相手のUE情報、通信手段、例えばTDDモードによる直接通信、あるいはFDDモードによりWLAN AP1000を経由した直接通信等の通信手段情報を含める。
【0316】
ここで、本実施形態ではUE間通信制御信号用無線リソース割り当て(S730)により、UEh80とUEm90間での直接通信及びWLAN AP1000経由での直接通信の2つの通信手段による通信路が構成されている。
【0317】
最終的にどの通信路を使用するかは、UE間通信開始要求(S738、S740)により指定されるが、UE間通信によるオフロード可否判断処理(S736)による判断によりオフロードを行わない判断となり、UE間通信開始要求がUEに送信されない場合もある。したがって、UE間通信制御信号用無線リソース割り当て(S730)において所定のタイマーを設定し、無線リソース割り当て後、タイマー設定の所定時間までにUE間通信開始要求(S738、S740)がUEに到達しない場合は、各UE無線リソースを解放しても良い。また、UE間通信開始要求(S738、S740)を受信した各UEは、指定された通信手段以外の通信路を解放しても良い。
【0318】
(アクティベーション・MBMS登録、セッション開始 手続き)
UEm90はMME30からのUE間通信開始要求を受信して、図44に示すアクティベーション・MBMS登録手続き(S750)、セッション開始手続き(S752)に入る。
【0319】
ここで、アクティベーション、MBMS登録、セッション開始の手続きは既に、UEh80に関して、図36、図37、図38にて、UEm90に関して、図39、図40、図41にて説明している。
【0320】
UEm90がUEh80からマルチキャスト配信を受ける場合のアクティベーション、MBMS登録、セッション開始の手順は、図45、図46、図47を用いて説明するが、例えば図36と図45の大きな差異は、UEm90とHeNB70の間に位置する、UEh80の役割である。
【0321】
すなわち、UEm90がマルチキャスト配信を受ける上位ノードはUEh80であり、UEh80はUEm90においては通常上位ノードとして配信を受けるHeNB70と同じ役割に相当する。従って、UEh80は図36、図37、図38ではマルチキャストデータ受信端末のみとして動作しているが、図45、図46、図47においては、マルチキャストデータ受信端末としての機能に加え、マルチキャストルータ機能を動作させ、UEm90にマルチキャストデータを配信する、というHeNB70と同様な動作も併せて行う。
【0322】
従って、図45、図46、図47によるアクティベーション、MBMS登録、セッション開始の手順は、UEh80がHeNB70の役割を担う観点で、図36、図37、図38において、UEh80をUEm90と置き換えたとした時の差異を中心に説明する。
【0323】
(アクティベーション手続き)
図45に示すアクティベーション手続き(S102)開始に際し、図36に示すサービスアナウンスメント(S101)は、UEm90は既にeNB50を経由してサービスを開始する際に受けており、必要な情報は得ているので、図45では必要が無い。但しUEm90が再度サービスアナウンスメントを受信してもよい。
【0324】
UEm90は現在eNB50を経由して受信しているマルチキャストサービスに関し、UEh80、及びHeNB70を経由した別のセッションとして参加するため、まずアクティベーション手続き(S102)を行う。
【0325】
ここで、図45に示すUEm90がマルチキャストサービスに参加するためのアクティベーション手続き(S102)について、図46を用いて説明する。
【0326】
図46に示すアクティベーション手続きは、図37でのUEh80同様、UEm90がMBMS GW20へIGMP参加要求(S200)を行うことにより、アクティベーション手続きが開始される。
【0327】
以下、図46において、図37に示すUEh80のアクティベーション手続きに同様に、MBMS承認要求(S202)、MBMS承認応答(S204)、MBMS通知要求(S206)、MBMS通知応答(S208)と続き、MBMSコンテキストアクティベーション要求(S211)とMBMSコンテキストアクティベーション応答(S213)が、MME30とUEm90間で行われる。
【0328】
続いて図37同様、MBMSコンテキスト要求(S214)、MBMS承認要求(S216)、MBMS承認応答(S220)、MBMSコンテキスト応答(S222)、MBMS UEコンテキストの通知(S224)の手続きが行われる。
【0329】
次に、図46においてHeNB70からUEh80にMBMS UEコンテキストの通知(S225)が送信される。これは前述のように、UEh80がマルチキャストルーティング機能を動作させ、HeNB70と同様の動作を行う為、拡張した手続きである。
【0330】
ここで、MBMS UEコンテキスト736を、図24(a)から図24(b)に書き換えを行う。すなわち、HeNB70の配下にUEh80に加えUEm90が追加になった事により、UEh80を示すIMSI2に加え、UEm90を示すIMSI1を追加する。
【0331】
また、同様の理由でHeNB70からのMBMSUEコンテキストの通知(S225)を受信したUEh80は、MBMSUEコンテキスト826を図28(a)から図28(b)に書き換える。すなわち、UEh80のマルチキャスト配信配下に新たにUEm90が加わったため、UEm90を示すIMSI1を追加する。
【0332】
その後、図37同様UEm90に対し、MME30からMBMSコンテキストアクティベーション許可応答(S226)が送信され、UEm90のアクティベーション手続きが完了する。
【0333】
なお、MBMSUEコンテキスト126、MBMSUEコンテキスト226、MBMSUEコンテキスト324は、情報が変わらない場合は変更しなくても良い。更に、UEh80へのUEコンテキストの通知は、MME30から直接行っても良い。また、各々のMBMS UEコンテキストにおけるIMSIは、他にUEを特定可能な情報があれば、含めなくても良い。
【0334】
例えば、TMGIと配信ノードとUEの関係は、少なくともBM−SCは管理しており、後述のMBMSベアラコンテキストに登録されるTMGIと配信ノードが判ればサービスを受けているUEを特定する事ができる。
【0335】
[3.6 MBMS登録手続き]
続いて、あるMBMSサービスにおけるMBMS登録手続きを、図45に戻って図36と対比しながら説明する。MBMS登録手続きにより、BM−SC10からUEh80への通信経路が確立される。
【0336】
図36において、一例としてHeNB70がMBMSサービスに参加するUEh80を検出して、MBMS登録手続きを開始したのと同様、図45においてUEh80がMBMSサービスに参加するUEm90を検出することにより、MBMS登録手続きを開始する。
【0337】
図36において、まずHeNB70がMME30にMBMS登録要求(S104)の送信から始まったのと同様、図45においてまずUEh80がHeNB70にMBMS登録要求(S103)を送信する。
【0338】
その後、図36同様、MBMS登録要求(S104)、MBMS登録要求(S106)、MBMS登録要求(S108)、MBMS登録応答(S110)、MBMS登録応答(S112)、MBMS登録応答(S114)、と手順が進む。
【0339】
その後、HeNB70から、UEh80にMBMS登録応答(S115)を送信し、MBMS登録手続きが完了する。
【0340】
ここで、MBMSベアラコンテキスト732を図22(a)から図22(b)に書き換えを行う。すなわち、マルチキャストルーティング機能を持つノードであるUEh80が配下に新たに追加となったため、配信ノードに「UEh80」を追加登録する。なお配信ノードには、例えばUEh80のIPアドレスが記憶される。
【0341】
また、HeNB70からのMBMS登録応答(S115)を受信したUEh80は、MBMSベアラコンテキスト822を作成し、MBMS登録応答(S115)に含まれる、MBMSベアラサービス識別子「TMGI1」、MBMS制御装置「MME30」、上位配信ノード「HeNB70」を登録し、モードを「マルチキャスト」、状態情報を「スタンバイ」にて登録する。
【0342】
なお、MBMSベアラコンテキスト822は、UEの基本機能としては具備しなくても良いが、例えばUEがMBMSマルチキャスト機能を具備し、実行する際に初めて必要となる。従って、MBMSマルチキャスト機能を具備した段階でMBMSベアラコンテキスト822をテーブルの内容をNullとして作成しておいても良いし、MBMS登録手順の時に作成しても良い。さらに、図31に示すように、MBMSマルチキャスト機能を具備していないUEにMBMSベアラコンテキスト922の様にNullとして作成しておいても良い。
【0343】
また、MBMSベアラコンテキスト124、MBMSベアラコンテキスト222、MBMSベアラコンテキスト322は、情報が変わらない場合は変更しなくても良い。
【0344】
UEh80がMBMS登録手続きを開始するトリガは、上記以外でもオペレータのポリシ等により、任意のタイミングで行ってもよい。
【0345】
以上のサービスアナウンスメント手続きと、アクティベーション手続きと、MBMS登録手続きにより、UEh80とBM−SC10との間で配信リストを形成することにより、BM−SC10が送信したサービスのマルチキャスト配信データはUEh80まで配送するための経路を生成することができる。
【0346】
同時にBM−SC10は、UEm90が今までeNB50経由で配信されていたマルチキャストデータと同じデータを、HeNB70、UEh80経由でも要求された事を知る。
【0347】
なお、配信リストに登録されるノードは、上記に従う必要はなく、オペレータによって予め登録されていてもよい。
【0348】
なお、上記では、UEh80において、UEh80がUEm90からMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のUEが他のUEからMBMS登録要求を受信した場合にも、UEh80と同様の手続きを行う。
【0349】
同様にHeNB70においても、HeNB70がUEh80からMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のHeNBがUEからMBMS登録要求を受信した場合にも、HeNB70と同様の手続きを行う。
【0350】
同様にMME30においても、MME30がHeNB70からMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMMEがHeNB70からMBMS登録要求を受信した場合にも、MME30と同様の手続きを行う。
【0351】
同様にMBMS GWにおいても、MBMS GW20がMME30からMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMBMS GWがMME30からMBMS登録要求を受信した場合にも、MBMS GW20と同様の手続きを行う。
【0352】
同様にBM−SCにおいても、BM−SC10がMBMS GW20からMBMS登録要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のBM−SCがMBMS GW20からMBMS登録要求を受信した場合にも、BM−SC10と同様の手続きを行う。
【0353】
[1.3.7 セッション開始手続き]
ここで、図44に戻り、続いて実行するセッション開始手続き(S752)を、図47を用いて図38との対比で説明する。セッション開始手続きにより、MBMSベアラを確立し、データを送信する準備を行う。
【0354】
図47では、図38同様、BM−SC10が、サービスを指定してセッション開始要求をMBMS GW20に送信する(S300)。その後、図38同様セッション開始応答(S302)、セッション開始要求(S304)、セッション開始要求(S306)を送信する。
【0355】
その後、HeNB70はUEh80にセッション開始要求(S305)を送信する。セッション開始要求(S305)を受信したUEh80は、MBMSベアラコンテキスト822を図26(a)から図26(b)に書き換える。すなわち、セッション開始要求(S305)に含まれるセッション識別子「セッションID1」、IPマルチキャストアドレス「IPマルチキャストアドレス」を登録し、状態情報を「アクティブ」に変更する。その後、UEh80はHeNB70にセッション開始応答(S307)を送信する。
【0356】
次に図36同様HeNB70はMME30にセッション開始応答(S308)を送信し、MME30はMBMS GW20にセッション開始応答(S310)を送信する。
【0357】
以上の手続きにより、MBMS GW20とUEh80間でマルチキャストデータ配信のための通信品質を確保した配送路であるMBMSベアラを確立する。
【0358】
ここで、図44に戻り、UE間通信ユーザ信号用無線リソース割り当て処理(S753)を説明する。UE間通信ユーザ信号用無線リソース割り当て処理とは、図38、図41のユーザ信号用無線リソース割り当て処理(S312)同様、マルチキャストデータ等のユーザ信号が通信出来る為に定義された無線周波数、帯域等の無線資源(リソース)を、UEh80、UEm90において設定する。
【0359】
ここで、UE間通信制御信号用無線リソース割り当て処理(S730)同様、UE間で勝手に無線リソースを設定するのではなく、MME30、HeNB70等の通信事業者管理下で設定する。
【0360】
一例として、HeNB70が単独で、あるいはMME30と協調してUE間通信における無線周波数、帯域、タイミング等のUE間通信ユーザ信号用無線リソース割り当てを行い、UEh80、及びUEh80を経由してUEm90に通知する。UEh80、及びUEm90は、通知に従いユーザ信号用に無線設定を行う。
【0361】
UEh80、及びUEm90は指示の範囲で独自の判断により設定しても良い。一例として、複数の無線設定条件の通知を受け、各UEによりキャリアセンスを行い最適な設定をUEh80、及びUEm90間で決定しても良い。
【0362】
また、各UEは、UE間通信制御信号用無線リソース割り当て処理(S730)でMME30、またはHeNB70から割り当てられる際に、UE間通信ユーザ信号用無線リソース割り当ての処理方法の指示を受けても良い。
【0363】
すなわち、一例として指示によりUE間通信制御信号用無線リソース割り当て処理(S730)において割り当てられた制御信号の無線リソースをそのまま利用しても良いし、改めてUE間通信ユーザ信号用無線リソース割り当てを受けても良い。さらに、緊急時の処理方法の指示を受けても良い。
【0364】
一例として、MME30、またはHeNB70等の通信事業者管理下の装置より、緊急時対応の指示を受けた時には、UE間でキャリアセンス等の干渉回避処置を行う事により独自に無線リソースの割り当てをおこなう、マルチキャストデータ通信の利用優先度を下げる、等の指示を受けて実行しても良い。
【0365】
さらに、UEh80は、無線フレーム情報824を作成し、配送するための情報を登録する。具体的には、無線フレームのモードがマルチキャストモードであるか、ユニキャストモードであるかのモード情報(例えば、「フレームモード」)をMBMSベアラサービス識別子毎に登録する。サービス識別子としてはTMGIを用いることができる。
【0366】
また、マルチキャストモードで送信する場合は、フレームは不特定多数のUEへ送信するためUE情報を保持する必要はないが、ユニキャストモードで送信する場合には、個々のUEに無線フレームを送信する必要があるため、その場合には、UE情報としてIMSIを保持しておきUE情報として登録する。
【0367】
図27(a)に、登録前の無線フレーム情報824、図27(b)に登録後の無線フレーム情報824の一例を示す。
【0368】
なお、無線フレーム情報824は、UEの基本機能としては具備しなくても良いが、例えばUEがMBMSマルチキャスト機能を具備し、実行する際に初めて必要となる。従って、UEh80がMBMSマルチキャスト機能を具備した段階で無線フレーム情報824をテーブルの内容をNullとして作成しておいても良いし、MBMS登録手順の時に作成しても良い。さらに、図32に示すように、MBMSマルチキャスト機能を具備していないUEに無線フレーム情報924として登録内容をNullにて作成しておいても良い。
【0369】
本実施形態おいても、図27(a)はNullとなっており、MBMS登録手順の時に作成する説明をしたが、上記のように事前に作成されていても良い。
【0370】
次に、IPマルチキャスト参加処理(S754)を説明する。UEh80は、図38のHeNB70同様IPマルチキャスト参加処理を行う(S754)。
【0371】
UEh80は、UEh80とUEm90間のUE間通信ユーザ信号用無線リソース割り当てが完了し、UEm90間にマルチキャストデータを配信する準備が整った事により、BM−SC10に対しIPマルチキャスト参加処理を行い(S314)、BM−SC10にマルチキャストデータの配信を要求する。
【0372】
そのため、図38におけるHeNB70同様MBMSベアラコンテキスト822を参照し、サービスに対応するIPマルチキャストアドレスを用いてBM−SC10に参加要求を行うが、本実施形態において要求するIPマルチキャストパケットの配信に関しては、図42に示すようにBM−SC10からHeNB70を経由してUEh80へ既に、配信されている。
【0373】
そこで、UEh80はIPマルチキャスト参加処理(S754)として、UEh80からUEm90にマルチキャストデータの配信を行う事を通知し、既に配信されているデータ(S702)をコピーしUEm90への配信の準備を行う。
【0374】
ここでUEh80はUEm90に対してMBMS開始通知を送信する(S756)。開始通知にはサービスを識別するサービス識別子を含めて通知する。次にUEh80は受信した配信データをコピーしながらUEm80に配信する(S758)。これにより、UEm90はBM−SC10から配信されUEh80で受信した後にコピーされ、UEh80から配信されたマルチキャストデータの受信を開始する。
【0375】
すなわち、BM−SC10から配信されたマルチキャストデータはUEh80において受信されつつ、UEh80からUEm90に対してマルチキャストデータが配信されることとなる。従って、UEm90は、UEh80を介してマルチキャストデータを受信することが出来るようになる。
【0376】
また、ネットワーク全体としても、BM−SC10から、マルチキャストデータを、UEh80と、UEm90とそれぞれに配信する必要が無くなり、トラフィック全体が軽減されることとなる。
【0377】
ここで、サービス識別子としては種々のものが用いられるが、例えば、
(1)MBMSベアラコンテキスト822に登録されるTMGI
(2)MBMSベアラコンテキスト822に登録されるセッションID
(3)その他の識別子(例えば、UEh80とUEm90とでMBMSベアラサービスを識別することができる識別子)
等を利用する。本実施形態では、(1)のTMGIを利用することとして説明するが、(3)の場合には、サービス識別子とMBMSベアラコンテキスト822とを対応づけて登録することとなる。
【0378】
上記の例では、MBMS GW20がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMBMS GWがBM−SC10からセッション開始要求を受信した場合にも、MBMS GW20と同様の手続きを行う。
【0379】
同様にMMEにおいても、MME30がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のMMEがMBMS GWからセッション開始要求を受信した場合にも、MME30と同様の手続きを行う。
【0380】
同様にHeNBにおいても、HeNB70がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のHeNBがMMEからセッション開始要求を受信した場合にも、HeNB1と同様の手続きを行う。
【0381】
同様にUEにおいても、UEh80がセッション開始要求を受信した場合の処理を説明したが、その他のUEがHeNBからセッション開始要求を受信した場合にも、UEh80と同様の手続きを行う。
【0382】
これにより、BM−SC10が配信するマルチキャストデータは、複数のMBMS GW、MME及びHeNBを介して階層的にUEへ配送される。
【0383】
(セッション変更前配信の停止)
UEm90が、BM−SC10から、HeNB70、UEh80を経由してマルチキャストデータを受信している間は、それ以前にeNB50経由でサービスを受けていたセッションも継続している。これによりマルチキャストデータが途切れることなくサービスを受ける事が可能となる。
【0384】
すなわち、UEh80は例えばFDDモードによりHeNB70から受信したマルチキャストデータをTDDモードによるUE間直接通信により、UEm90に配信している。
【0385】
UEm90は例えばTDDモードによるUE間直接通信によりUEh80からマルチキャストデータを受信し同時に、FDDモードによりeNB50から同じデータを受信している。
【0386】
これは、MME30がUE間通信許可テーブル422又はUE間通信コネクティビティテーブル326の無線接続モード「TDD」及び「FDD」を把握する事により、例えばFDDモードで通信するHeNB70とUEh80とは、FDDモード、同様にFDDモードで通信するeNB50とUEm90とは、FDDモードで通信を行い、同時にTDDモードを保有するUEh80及びUEm90とは、TDDモードでの直接通信を指示した結果による。例えば、HeNB70がTDDモードで通信を行っていれば、HeNB70とUEh80の通信及びUEh80とUEm90の直接通信を共にTDDモードで指示する事も可能である。
【0387】
しかし、HeNB70、UEh80経由でのUEm90への配信サービスが開始されて時点で、eNB50経由の配信サービスは不要となるので、eNB50からの配信停止の手続きが必要となる。
【0388】
図44に戻り説明する。UEm90はUEh80からのマルチキャストデータ受信を開始すると、MME30にUE間直接開始通知を送信する(S760)。
【0389】
MME30は、UEm90からのUE間直接開始通知の受信を受けて、MBMSベアラコンテキスト322、MBMSUEコンテキスト324により、TMGI1が配信されているUEがeNB50配下に存在しない事を、TMGI1に関する配信ノードとIMSIとの関係を基に確認後、eNB50経由の配信停止要求をeNB50に送信する(S762)。
【0390】
eNB50はMME30からの配信停止要求(S762)を受けて、UEm90への配信を停止しTMGI1に関するMBMSベアラコンテキスト532、無線フレーム情報534、MBMSUEコンテキスト536の登録内容を削除する。図17(b)にTMGI1に関する情報を削除後のMBMSベアラコンテキスト532の一例を示す。
【0391】
図17(b)では、テーブルがNull情報となっているが、他の情報が無い場合MBMSベアラコンテキスト532を削除しても良い。
【0392】
同じく、図18(b)にTMGI1に関する情報を削除後の無線フレーム情報534の一例を示す。図18(b)では、TMGI1に関するテーブルがNull情報となっているが、他の情報が無い場合MBMSUEコンテキスト536を削除しても良い。
【0393】
同様に、図19(b)にTMGI1に関する情報を削除後のMBMS UEコンテキスト536の一例を示す。図19(b)では、テーブルがNull情報となっているが、他の情報が無い場合MBMSUEコンテキスト536を削除しても良い。
【0394】
次に、eNB50は、MME30に配信停止応答(S764)を送信する。MME30は、eNB50からの配信停止応答を受けて、MBMSベアラコンテキスト322の配信ノードのeNB50の情報を削除し、MBMSUEコンテキスト324のeNB50に関する情報を削除する。
【0395】
図11(b)に配信ノードのeNB50削除後のMBMSベアラコンテキスト322の一例を示す。又、図12(b)にeNB50に関する情報を削除後のMBMS UEコンテキスト324の一例を示す。
【0396】
その後、MME30はMBMS GW20に、TMGI1のeNB50への配信停止要求(S766)を送信する。
【0397】
MBMS GW20は、MME30からのeNB50への配信停止要求(S766)を受けて、MBMSベアラコンテキスト222の配信ノードのeNB50の情報を削除し、MBMS UEコンテキスト226のeNB50の情報を削除する。
【0398】
図7(b)に配信ノードのeNB50削除後のMBMSベアラコンテキスト222の一例を示す。又、図9(b)にeNB50に関する情報を削除後のMBMSUEコンテキスト226の一例を示す。 MBMS GW20はMME30に配信停止応答(S768)を送信する。
【0399】
なお、MME30における、MBMSベアラコンテキスト322の配信ノードのeNB50の情報を削除、及びMBMSUEコンテキスト324のeNB50に関する情報の削除は、MBMS GW20から配信停止応答(S768)を受信した後でも良い。
【0400】
以上により、BM−SC10からeNB50を経由してUEm90で受信していたマルチキャストデータが、HeNB70、UEh80を経由しての受信が可能となり、MBMS GW20からeNB50への有線区間のトラフィックが不要となり、また、eNB50からUEm90への無線区間のトラフィックが不要となる。
【0401】
以上のUEでのオフロードによりコアネットワーク及び無線区間のトラフィック輻輳回避ができる。
【0402】
なお、上記ではMME50からの配信停止要求及び応答は、eNB50、MBMS GW20の順番で行ったが、逆の順番でも良い。さらに、上記ではeNB50ではMME30からの配信停止要求(S762)を受けて、MBMSベアラコンテキスト532、無線フレーム情報534、MBMSUEコンテキスト536のTMGI1に関する内容の削除を行ったが、MBMSベアラコンテキスト532の状態情報を「アクティブ」から「スタンバイ」に変更するのみでも良い。
【0403】
同様に、MME50及びMBMS GW20では、MBMSベアラコンテキスト322の配信ノード及びMBMSベアラコンテキスト222の配信ノードのeNB50の情報を削除し、MBMS UEコンテキスト324及びMBMS UEコンテキスト226のeNB50の情報を削除したが、各々のMBMSベアラコンテキスト322及びMBMSベアラコンテキスト222において、eNB50のみの配信を「アクティブ」から「スタンバイ」に設定出来る機能がある場合、eNB50の項目を削除せずに、eNB50のみの配信を「アクティブ」から「スタンバイ」に設定しても良い。
【0404】
なお、上記では、UEh80から、UEm90への1台へのマルチキャストデータ配信について述べたが、UEh80の無線送受信が複数同時に動作する能力があれば、UEh80から複数のUEへの配信が可能となる。
【0405】
本実施形態では、UE間通信許可テーブル422、UE間通信コネクティビティテーブルに示すマルチキャストルータ機能に関し、UEm90は「無し」として説明した。
【0406】
UEm90にマルチキャストルータ機能を保有する場合、UEh80を経由して配信されたマルチキャストデータをUEm90からさらに複数のUEに配信する事が可能となる。
【0407】
また、UEm90が配信したUEにも同様にマルチキャストルータ機能を保有する場合、ツリー状に配信範囲を広げる事が可能となり、より幅広いトラフィックのオフロードが実現出来る。
【0408】
なお、UEh80とUEm90は、説明上別のUEとして扱ったが、マルチキャストルータ機能の有無のみの違いである。すなわち、図25に示すマルチキャストルーティングプログラム830、マルチキャストルーティング用バッファ832の有無の違いである。
【0409】
マルチキャストルーティングプログラム830は、ダウンロード等の手段によりUEの機能追加の仕組みがあれば追加可能であり、マルチキャストルーティング用バッファ832は、専用のハードウエアを準備する事無くUEに装備されている記憶装置で代用が可能である。
【0410】
従って、本実施形態ではUEh80からUEm90への直接通信を行ったが、UEm90がマルチキャストルータ機能を保有する場合UEm90からUEh80への直接通信を行い、BM−SC10からHeNB70までのトラフィックのオフロードを行う事もできる。
【0411】
上記の場合でも、MME30、HSS40、BM−SC10等がTMGI、IMSI、配信ノード等を管理し、TMGI単位で、どの配信ノード配下でIMSIで規定されるUEがマルチキャストデータを受信しているか、を把握する事により実現する。
【0412】
なお、UEがテザリング機能を保有し、例えばWLAN AP1000に相当する異種無線のアクセスポイントの機能を内蔵する場合、直接内蔵のアクセスポイントから、内蔵のアクセスポイントに接続した他のUEと通信する事ができ、UEから他のUEへマルチキャストデータの配信ができる。USBケーブル等、UEと有線接続で異種無線のアクセスポイントを外付けし、UEのマルチキャストデータを接続アクセスポイント経由で、外付けのアクセスポイントに接続した他のUEにマルチキャストデータを配信する事ができる。
【0413】
また、本実施形態では、同じセッションIDにおいてIMSIが示すUEが配信ノードを変更する場合で説明したが、配信ルートが変更になった事を、セッションID以外の別の情報で管理しても良い。例としてUE単位での配信ルートとして、IMSIや配信ノード情報を用いて管理しても良いし、データの流れとしての「フロー情報」により、データ配信ルートを管理しても良い。
【0414】
以上により、BM−SCから、MBMSベアラが確立されたMBMS GW及びMME、基地局装置及びホーム基地局に接続される移動局装置にMBMSベアラサービスによりマルチキャストデータ配信を行う移動通信システムにおいて、MMEは複数の端末に配信されているマルチキャストデータの種類、セッション等を管理し、同一マルチキャストコンテンツが、異なるセッションの端末に配信されている事を検出した場合、端末間通信の可否及び端末にマルチキャストルーティング機能の有無を確認する。
【0415】
端末からの要求も含めて総合的に判断し、条件を満足した場合には、マルチキャストルーティング機能を保有する端末から別の端末に本来のネットワークルートを介さずにマルチキャストデータの配信指示を行う事により、従来のネットワークルート全てのオフロードを行う事が可能となり、ネットワークトラフィックの輻輳回避や無線資源の有効利用が可能となる。
【0416】
[2.第2実施形態]
続いて第2実施形態について説明する。第1実施形態では異なるネットワークの複数の基地局装置配下の各移動局装置間において説明したが、同一ネットワーク内における複数の基地局装置配下の各移動局装置間においても、同様の事が実現出来る。
【0417】
図48は、本実施形態における移動通信システム1aの概要を説明するための図である。MME30には、eNB50と、eNB55とが接続されている。そして、eNB55には、UEm95が接続されている。
【0418】
なお、UEm95は、第1実施形態のUEh80と同様にマルチキャストルータの機能を有しているとする。すなわち、UEm95は、図30のUEmの機能構成に、図25のマルチキャストルーティングプログラム830と、マルチキャストルーティング用バッファ832を更に有していることとなる。
【0419】
ここで、接続されたeNB55の配下のUEm95が、UEm90と同じマルチキャストサービスを受けていた場合に、第1実施形態と同様に、UEm95からUEm90へUE間直接通信、あるいはWLAN AP1050を経由して、マルチキャストデータを配信するオフロードを行う事が可能となる。これにより、MBMS−GW20と、eNB50間のトラフィックを止める事が出来、トラフィック削減を行う事が出来る。
【0420】
なお、詳細な処理手順については、第1実施形態で説明した処理について、UEh80をUEm95に、HeNB70をeNB55と置き換えることにより説明可能であるので、説明を省略する。
【0421】
[3.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0422】
なお、上述した各実施形態ではマルチキャストデータ配信の例により説明したが、ブロードキャストデータ配信においても、同様に、UEにブロードキャスト配信機能とUE間通信機能を具備した場合、UEで受信したブロードキャストデータをUE内でコピーし、他のUEに直接配信する事により、他のUEが受信していたサーバからの配信トラフィックを止める事により、トラフィック削減が可能となる。
【0423】
また、各実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0424】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等
のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0425】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【0426】
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個
別にチップ化してもよいし、一部、又は全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。
【0427】
なお、上述した実施形態においては、UE間の直接通信の場合は無線接続モードをTDD、WLAN AP1000経由の通信の場合は無線接続モードをFDDとして説明したが、無線接続モードは上記に限定されるものではない。例えば、UE間の直接接続の無線接続モードをFDDとしたり、WLAN AP1000経由の無線接続モードをTDDとしたり、両者を共にFDDやTDDとしてもよい。また、IEEE802.11bのような半二重無線通信等といった異なる無線接続モードでも適用可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0428】
1 移動通信システム
2 コアネットワーク
4 ブロードバンドアクセスネットワーク
10 BM−SC
100 制御部
110 送受信部
120 記憶部
122 MBMSサービスDB
124 MBMSベアラコンテキスト
126 MBMS UEコンテキスト
20 MBMS GW
200 制御部
210 送受信部
220 記憶部
222 MBMSベアラコンテキスト
224 上流コントロールノードDB
226 MBMS UEコンテキスト
30 MME
300 制御部
310 送受信部
320 記憶部
322 MBMSベアラコンテキスト
324 MBMS UEコンテキスト
326 UE間通信コネクティビティテーブル
40 HSS
400 制御部
410 送受信部
420 記憶部
422 UE間通信許可テーブル
50 eNB
500 制御部
510 送受信部
520 無線送受信部
530 記憶部
532 MBMSベアラコンテキスト
534 無線フレーム情報
536 MBMS UEコンテキスト
60 GW
600 制御部
610 送受信部
620 記憶部
70 HeNB
700 制御部
710 送受信部
720 無線送受信部
730 記憶部
732 MBMSベアラコンテキスト
734 無線フレーム情報
736 MBMS UEコンテキスト
80 UEh
800 制御部
810 無線送受信部
820 記憶部
822 MBMSベアラコンテキスト
824 無線フレーム情報
826 MBMS UEコンテキスト
828 UE間通信コネクティビティテーブル
90 UEm
900 制御部
910 無線送受信部
920 記憶部
922 MBMSベアラコンテキスト
924 無線フレーム情報
926 MBMS UEコンテキスト
928 UE間通信コネクティビティテーブル
1000 WLAN AP
1100 制御部
1200 無線送受信部
1300 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムにおけるモビリティ管理装置であって、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行えるか否かを判断し、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行える場合には、第1移動局装置に、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行う要求を送信することを特徴とするモビリティ管理装置。
【請求項2】
前記第1移動局装置から、通信開始の通知を受信した場合には、前記第1基地局装置に対して、サービス配信装置からのサービス配信を停止する要求を送信することを特徴とする請求項1に記載のモビリティ管理装置。
【請求項3】
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムにおける第1移動局装置であって、
前記モビリティ管理装置から、オフロードの要求信号を受信し、
当該要求信号を受信した際に、第2基地局装置との制御信号の転送路が確立できている場合には、前記第2移動局装置とサービスの配信を受信するサービスデータ転送路を確立し、
前記サービス配信装置からのサービスの配信を、前記サービスデータ転送路を介して第2移動局装置から受信することを特徴とする第1移動局装置。
【請求項4】
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムにおける第2移動局装置であって、
第1移動局装置とサービスデータ転送路を確立し、
第1移動局装置に、MBMS開始通知を送信した後に、サービス配信装置からサービスを受信しつつ、受信したサービスを前記サービスデータ転送路を介して第1移動局装置に配信することを特徴とする第2移動局装置。
【請求項5】
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムであって、
前記モビリティ管理装置は、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行えるか否かを判断し、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行える場合には、第1移動局装置に、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行う要求を送信し、
前記第1移動局装置は、
前記モビリティ管理装置から、オフロードの要求信号を受信し、
当該要求信号を受信した際に、第2基地局装置との制御信号の転送路が確立できている場合には、前記第2移動局装置とサービスの配信を受信するサービスデータ転送路を確立し、
前記サービス配信装置からのサービスの配信を、前記サービスデータ転送路を介して第2移動局装置から受信する、
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項6】
サービス配信装置と、ゲートウェイ装置及び第1基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第1移動局装置と、ゲートウェイ装置及び第2基地局装置を経由してMBMSベアラが確立されている第2移動局装置と、モビリティ管理装置とを含む移動通信システムの通信方法であって、
前記モビリティ管理装置は、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行えるか否かを判断し、
第1移動局装置が、第2移動局装置を経由してオフロード通信を行える場合には、第1移動局装置に、他の移動局装置を経由してオフロード通信を行う要求を送信するステップと、
を実現し、
前記第1移動局装置は、
前記モビリティ管理装置から、オフロードの要求信号を受信するステップと、
当該要求信号を受信した際に、第2基地局装置との制御信号の転送路が確立できている場合には、前記第2移動局装置とサービスの配信を受信するサービスデータ転送路を確立し、
前記サービス配信装置からのサービスの配信を、前記サービスデータ転送路を介して第2移動局装置から受信するステップと、
を実現することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2013−102334(P2013−102334A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244495(P2011−244495)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】