説明

モルタル圧縮成形金型

【課題】
圧縮、成形により製造されるモルタル製品を、分量や水分に多少のばらつきがあっても寸法(厚み)精度の高い製品を製造することができるモルタル圧縮、成形金型を提供する。
【解決手段】
あらかじめモルタル分量だけ加圧部を下げた下型にモルタルを投入し、上、下型を合致させた後、脱水部より排水、排気をしながら加圧部を上昇させ圧縮、加圧をした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモルタル製品の厚みを、投入されたモルタルの分量や水分に多少のばらつきがあっても、圧縮成形において一定に保つ圧縮成形金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モルタル製品の圧縮成形時における厚みの決定は、容器による計量や、重量による計量の他、押出し成形の口金により決定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、容器計量や重量計量では成形時の圧縮、加圧、脱水により、モルタル中の水分の変化が、即厚みの変化となっている。
【0004】
又、押出成形の場合は一方向への押出しのため、厚みの変化は少ないものの意匠的に問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、モルタル中の水分に多少のばらつきがあってスランプの度合が一定でなくても、厚みが一定に保てて意匠的にも何の制約も受けない寸法精度に優れたモルタル製品を成形することができる成形金型を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は上、下に分割された金型の下型3に加圧部6をもうけ、その加圧部6を下型3の上面より下げた状態でモルタルを投入して、上型2を下型3と合致させた後加圧部6を上昇させ、加圧、圧縮するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
又、下型3には脱型後の変形を防止するため任意の位置に受座5を形成してもよい。そして上型2の一部分にも上、下のスライド片7を形成することができる。又、下型3の製品の厚み部分に脱水部4を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモルタル圧縮成形金型によれば、寸法精度の必要とされるモルタル製品の成形において、最初から上、下型を合致させて寸法空間を形成したまま加圧部の上昇により、加圧、圧縮するため水分等のばらつきがあるモルタルでも設定寸法を保持することができる。
【0009】
また、モルタル製品の形状により外周等一部に垂直面が必要な場合は上型にスライド片を形成してもよい。そして、下型に必要に応じて受座を形成することにより脱形後の製品の変形を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明のモルタル圧縮成形金型の実施形態について説明する。本発明のモルタル圧縮成形金型は、モルタル製品の厚さを材料に含まれた水分のばらつきに影響されることなく精度良く成形するのに最適な金型である。図1ないし図6は本発明のモルタル圧縮成形金型の実施形態を示している。
【0011】
本実施形態においてモルタル圧縮成形金型1(以下、単に〈金型〉という)は、図1に示すように上型2と下型3に分割されている。そして下型3は上型2の合致面8と脱水、排気部4と加圧部6にて構成され、必要に応じて受座5を形成することができる。
【0012】
さらに本実施形態において、金型1の下型3の脱水部4には排気、脱水用の孔が複数形成されている。これは下型3の上に不定形状なかたちで投入されたモルタルの流動性を高めるための水分空気を排出するためである。
【0013】
次に図1ないし図6を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。図1は金型1が開いた状態を示す。下型3の加圧部6は次の工程で投入されるモルタル12の容積分だけ低くなっている。図2はモルタル12を投入した状態を示す。次に図3は上型2と下型3が合致した状態を示す。上型2と下型3の合致により加圧部6以外は所定の寸法空間となる。
【0014】
次の図4は加圧部6の上昇による圧縮、加圧状態を示す。このことにより上型2と下型3の合致により確保された所定寸法9を保持しながら脱水部4に形成された、排気、脱水孔11より空気や水分を排出して多少のモルタル12の分量や水分のばらつきがあっても所定寸法9が変わらないモルタル製品14を圧縮、成形することができる。
【0015】
しかし、所定寸法9はモルタル12のばらつきの影響は受けないものの、其の影響はモルタル製品14の中であまり寸法精度を必要としない受圧部10の厚みに誤差となって表れることになる。したがって受圧部10の厚み寸法は+より−の方が望ましいので、モルタル12の計量は若干少なくした方がよい。
【0016】
次に図5は加圧部6による圧縮、加圧が完了しモルタル製品14を上型2に吸着したまま上、下に開いた金型1の中にモルタル製品14を受取るべく受板13の進入状態を示す。そして図6に示すように押出ピン15による突出しやスライド片7の上、下微動により受板13上にモルタル製品14を排出、取り出すことにより一連の製造工程を完了することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
以上、説明した本発明のモルタル圧縮、成形金型はモルタルの流動性を高めるため含まれた水分や空気を圧縮、成形と同時に排出し、多少の分量や水分の誤差があっても製品寸法(厚み)を保持することができるモルタル圧縮成形金型であるが、成形上の物性がモルタルと同程度であればモルタル以外でも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の圧縮、加圧工程のスタート状態の説明図である
【図2】モルタル投入状態の説明図である
【図3】圧縮、加圧状態の説明図である
【図4】圧縮、加圧完了の説明図である
【図5】受板挿入説明図である
【図6】脱形完了説明図である
【符号の説明】
【0019】
1 金型
2 上型
3 下型
4 脱水部
5 受座
6 加圧部
7 スライド片
8 上型、下型の合致面
9 所定寸法
10 製品受圧部
11 排気、排水孔
12 モルタル
13 受板
14 モルタル製品
15 押出ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上、下に分割された金型であって其の下型の厚み部分を脱水排気部とし、厚み部分以外を上、下スライドによる加圧部として上、下型を合致させた状態で加圧部を上昇させて圧縮加圧することを特徴とするモルタル圧縮成形金型。
【請求項2】
上、下に分割された金型であって其の下型の厚み部分を脱水排気部とし、厚み部分以外を上、下スライドによる加圧部として上、下型を合致させた状態で加圧部を上昇させて圧縮加圧することを特徴とするモルタル圧縮成形金型であって、其の脱水排気部以外の加圧部に受座を形成してなることを特徴とする請求項1に記載のモルタル圧縮成形金型。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−237709(P2007−237709A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67110(P2006−67110)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(501277921)
【Fターム(参考)】