モーア
【課題】マルチング形態での芝の刈取作業の作業性を向上させることのできるモーアを実現する。
【解決手段】モーアデッキ7の側部に回転ブレード8,9で刈り取った刈草を排出する排出口7aを備えてあるモーアMにおいて、排出口7aを開閉可能な開閉部材37と、排出口7aからの刈草を横外方に案内する案内部材30とを備え、案内部材30を、起立した起立姿勢と倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成するとともに、案内部材30を起立姿勢で保持する保持機構33,31Rを備える。
【解決手段】モーアデッキ7の側部に回転ブレード8,9で刈り取った刈草を排出する排出口7aを備えてあるモーアMにおいて、排出口7aを開閉可能な開閉部材37と、排出口7aからの刈草を横外方に案内する案内部材30とを備え、案内部材30を、起立した起立姿勢と倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成するとともに、案内部材30を起立姿勢で保持する保持機構33,31Rを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーアデッキの内部に縦軸心周りに回転駆動される複数の回転ブレードを並列配備してあるモーアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、細断用バッフル(特許文献1の図5の26)を着脱することにより、回転ブレードによって刈り取った刈草をモーアデッキ内に滞留させて細かく切断するマルチング形態と、回転ブレードによって刈り取った刈草をモーアデッキの側部から排出するサイドディスチャージ形態とを現出可能に構成し、モーアデッキの右端部の排出口(特許文献1の図3のd)に装着した出口カバー(特許文献1の図3の17)により、サイドディスチャージ形態での刈草を横外方に案内するように構成されたモーアが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−253387号公報(図3,図5及び段落番号「0020」参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のモーアでは、細断用バッフルを装着したマルチング形態で芝を刈り取る場合においても、サイドディスチャージ形態での刈草を横外方に案内する出口カバーがモーアデッキの右外方に突出したままの状態であった。その結果、モーアデッキの右外方に突出した出口カバーによってモーアの全幅が広くなって、例えば比較的幅の狭い場所ではモーアの移動が制限されてマルチング形態での芝の刈取作業を行うことができない場合があり、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性が悪いといった問題があった。
【0005】
また、例えば特許文献1のモーアでは、細断用バッフルを装着したマルチング形態でモーアデッキの右側を壁際や隣接芝(既に刈り取った隣接する芝)に寄せて芝を刈り取ると、出口カバーの装着された位置の下方に刈り残しが発生し易かった。そのため、刈り残しが発生しないように芝を刈り取るためには、モーアデッキの左側を壁際や隣接芝に寄せて刈り取る必要があった。その結果、マルチング形態で芝を刈り取る際のモーアを移動させる方向が制限されて、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性が悪いといった問題があった。
本発明は、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性を向上させることのできるモーアを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、モーアデッキの内部に縦軸心周りに回転駆動される複数の回転ブレードを並列配備するとともに、前記モーアデッキの側部に前記回転ブレードで刈り取った刈草を排出する排出口を備えてあるモーアにおいて、次のように構成することにある。
前記排出口を開閉可能な開閉部材と、前記排出口からの刈草を横外方に案内する案内部材とを備え、前記案内部材を、起立した起立姿勢と倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成するとともに、前記案内部材を起立姿勢で保持する保持機構を備える。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、開閉部材により排出口を開いてサイドディスチャージ形態を現出した状態では、倒伏姿勢に姿勢変更された案内部材によって回転ブレードにより刈り取った刈草を横外方に案内することができ、開閉部材により排出口を閉じてマルチング形態を現出した状態では、案内部材を起立姿勢に姿勢変更するとともに保持機構によって案内部材の起立姿勢を保持することにより、マルチング形態での案内部材がモーアデッキの横外方に突出し難くなる。その結果、マルチング形態でのモーアの全幅を狭く抑えることができ、比較的幅の狭い場所であってもモーアを移動させてマルチング形態での刈取作業を行うことができる。
【0008】
本発明の第1特徴によると、保持機構により案内部材を起立姿勢で保持することにより、マルチング形態での案内部材がモーアデッキの横外方に突出し難くなるため、刈り残しを発生させることなく、モーアデッキの左右両側を壁際や隣接芝(既に刈り取った隣接する芝)に寄せて芝を刈り取ることができる。その結果、モーアを移動させる方向が制限されることなく、刈り残しを発生させないでマルチング形態での刈取作業を行うことができる。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性を向上させることができる。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴のモーアにおいて、次のように構成することにある。
前記開閉部材により排出口を閉じた状態であると、前記案内部材を起立姿勢に保持し、前記開閉部材により排出口を開いた状態であると、前記案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更を許容するように、前記保持機構を構成する。
【0011】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、開閉部材により排出口を閉じてマルチング形態を現出することにより、保持機構によって案内部材が起立姿勢に保持された状態を現出することができ、開閉部材により排出口を開いてサイドディスチャージ形態を現出することにより、保持機構によって案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更が許容されて、案内部材が倒伏姿勢に姿勢変更された状態を現出することができる。その結果、保持機構によって、マルチング形態での案内部材の起立姿勢での保持及びサイドディスチャージ形態での案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更を簡易迅速に行うことができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、案内部材の操作性を向上させることができ、芝の刈取作業の作業性を更に向上させることができる。
【0013】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴のモーアにおいて、次のように構成することにある。
前記排出口を閉じた状態で前記起立姿勢での案内部材を支持する支持具を前記開閉部材に備えて、前記保持機構を構成する。
【0014】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第3特徴によると、保持機構の一部である支持具を備える場合、支持具を開閉部材に備えているので、開閉部材が案内部材を支持するための部材に兼用されることになり、支持具を備えるための専用の部材が不要になる(専用の部材を備えたとしても小規模のものでよくなる)。その結果、開閉部材に備えた支持具によって、簡素な構造で保持機構を構成することができる。
【0015】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、保持機構の製造コストを低く抑えながら、案内部材の操作性を向上させることができ、芝の刈取作業の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔乗用型芝刈り機の全体構成〕
図1〜図3に基づいて、乗用型芝刈り機の全体構成について説明する。図1に示すように、乗用型芝刈り機は、操向操作される前輪1と操向不能で駆動される後輪2とを備えた走行機体3の下腹部に、モーアMがリンク機構4を介して平行昇降可能に吊り下げ連結された構造となっている。走行機体3の前部には縦軸型のエンジン5が搭載され、このエンジン5の下方に突出された出力軸6から取り出された縦軸回転動力が、後輪2を装備した伝動ケース27とモーアMにそれぞれベルト伝達されるようになっている。
【0017】
図2及び図3に示すように、モーアMは、モーアデッキ7に縦軸駆動される2枚の回転ブレード8,9が左右に並列して装備されたツインブレード構造となっており、モーアデッキ7の上面左右に貫通装着された駆動軸10,11の下端部に各回転ブレード8,9が連結されている。(回転ブレード8,9は、帯板状の鋼板素材における両端部の一側に切刃8a,9aが形成されるとともに、両端部の他側に起風羽根8b,9bが折り上げ成形されている。)。
【0018】
モーアデッキ7の上面における左右中央の後方箇所に入力軸12が設けられ、この入力軸12に取り付けられた入力プーリー13と、エンジン5の出力軸6に取り付けられた出力プーリー14とに亘って駆動ベルト15が巻回張設されている。入力軸12に取り付けられた駆動プーリー16、各駆動軸10,11に取り付けられた伝動プーリー17,18、モーアデッキ7に配備されたガイドプーリー19,19及びテンションプーリー20に亘って1本の伝動ベルト21が巻回張設され、両回転ブレード8,9が互いに逆向きに回転駆動されるようになっている。両回転ブレード8,9の回転方向は、回転軸心P1,P2より機体後方において両回転ブレード8,9先端の回動軌跡が互いに内向きに対向するよう設定されている。
【0019】
モーアMは、平面視において機体左側の回転ブレード8の回転軸心P1が、機体右側の回転ブレード9の回転軸心P2よりも前方に位置するように少し傾斜して配備され、両回転ブレード8,9の先端回動軌跡を前後に少し重複させることで、両回転ブレード8,9の間で刈り残しが発生しないように構成されている。
【0020】
モーアデッキ7の内部における前方中央部と後方中央部には平面形状が山形の前部バキュームプレート22と後部バキュームプレート23が装着され、回転ブレード8,9の先端回動軌跡に沿った略円形の切断室24,25が回転ブレード8,9毎に形成されている。前部バキュームプレート22と後部バキュームプレート23との頂部同士は間隔をもって対向され、両切断室24,25の間に刈草の流動通過を許容する開口26が形成されている。
【0021】
モーアデッキ7は、平面視が長円形状で、断面形状がお椀形の湾曲させた形状に成形されており、後述するマルチング形態において回転ブレード8,9で刈り取った刈草をモーアデッキ7内に滞留させて細かく細断することができ、かつモーアデッキ7の強度が確保できるような形状に、鋼板をプレス成形することによって構成されている。
【0022】
モーアデッキ7下端の縁部7aは、後述する排出口7bの下部を除いた略全周に亘って、外方側へ折り曲げられ上方へ折り曲げられた断面形状が上向きに開口したU字状に一体成形されており、モーアデッキ7下端部の強度を確保できるように構成されている。排出口7bの下部に位置する縁部7aは、モーアデッキ7と一体成形された断面形状がL字状に成形されており、後述するサイドディスチャージ形態で刈草を排出口7bから排出する際に、縁部7aが刈草の排出を妨げる抵抗になり難いように構成されている。
【0023】
モーアデッキ7の縁部7aの下面側に、モーアデッキ7の縁部7aに合わせた形状に成形された帯状の補強板28が着脱可能に固定されており、モーアMを下降させた状態で乗用型芝刈り機を走行させて、モーアデッキ7の縁部7aが石等に接当して破損することを防止するとともに、モーアデッキ7の縁部7aの強度を向上でき、かつ、補強板28が破損した場合には交換できるように構成されている。
【0024】
図3に示すように、回転ブレード8,9の切刃8a,9aと逆側には、切欠き部8c,9cが形成されており、この切欠き部8c,9cにより回転ブレード8,9の先端部の重量を軽く設定することができ、回転ブレード8,9の回転トルクを小さく抑えることができるように構成されている。また、切欠き部8c,9cを形成することにより、起風羽根8b,9bを形成するための上方への折り曲げ成形を容易に行うことができ、回転ブレード8,9の製造コストを削減できる。
【0025】
切欠き部8c,9cの形状は、先端に向うに従って回転方向に徐々に広くなるように構成されており、その両端部に湾曲した湾曲部8d,9dが形成されている。このように、切欠き部8c,9cを形成し、回転ブレード8,9の両端部の形状を先細り状に徐々に細くなるように構成することにより、切欠き部8c,9cを形成することによる応力集中が回転ブレード8,9に発生することを防止できる。その結果、回転ブレード8,9の回転トルクを小さく抑え、回転ブレード8,9の製造コストを削減しながら、回転ブレード8,9の破損を防止できる。
【0026】
〔揺動カバーの詳細構造〕
図4,図5,図8〜図10に基づいて、揺動カバー30(案内部材に相当)の詳細構造について説明する。図4及び図5に示すように、モーアデッキ7の右側部には、揺動カバー30が前後向きの軸心P3周りに上下に揺動可能に取り付けられており、後述するサイドディスチャージ形態で、揺動カバー30を下方へ倒して、回転ブレード8,9を回転させながら走行すると、モーアデッキ7内で刈り取った刈草をモーアデッキ7の右斜め後方に排出することができるように構成されている。
【0027】
図8及び図9に示すように、揺動カバー30は、前後向きの軸心P3周りで上方に揺動した起立した起立姿勢と、前後向きの軸心P3周りで下方に揺動して走行面に沿って倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成されており、図4に示すように、起立姿勢での揺動カバー30の右外端がモーアデッキ7の右外端より内方側に位置し、起立姿勢での揺動カバー30が平面視でモーアデッキ7の外側に突出しないように構成されている。
【0028】
図4,図5,図8〜図10に示すように、揺動カバー30は、前後方向の断面形状が下向きに開放したコ字状に、平板を折り曲げ成形した形状に構成されており、倒伏姿勢での揺動カバー30の下方、接続部30a及び放出部30bがそれぞれ開放した形状に構成されている。揺動カバー30におけるモーアデッキ7との接続部30aの形状は、倒伏姿勢での平面視が直線状で、断面形状がモーアデッキ7の排出口7bの形状に合わせて湾曲させた下向きに開口したコ字状に成形されており、揺動カバー30における放出部30bの形状は、倒伏姿勢での平面視が外方側に凸状に湾曲し、断面形状が下向きに開口したコ字状に成形されている。
【0029】
揺動カバー30は、倒伏姿勢における平面視での形状が内方側の接続部30aから外方側の放出部30bに向かって末広がり状に構成されており、刈草を広角に放出できるように構成されている。また、揺動カバー30は、倒伏姿勢における背面視で、その上面側が斜め外方下方に傾斜する形状に成形されており、揺動カバー30から放出された刈草が上方に巻き上げられ難いように構成されている。
【0030】
揺動カバー30の上面側には、前後のアーム31F,31Rが固着されている。前側のアーム31Fは、帯板状のアーム本体31FAと、このアーム本体31FAから前方に延出された補強部材31FBとを備えて構成されており、このアーム本体31FA及び補強部材31FBに前後方向に連通する同心状の取付穴が形成されている。
【0031】
後側のアーム31Rは、帯板状のアーム本体31RAと、このアーム本体31RAから後方に延出された補強部材31RBとを備えて構成されており、このアーム本体31RA及び補強部材31RBに前後に連通する同心状の取付穴が加工されている。アーム31Rのアーム本体31RAの先端下部には、下方側に切り欠かれた後述する支持具33と係合する係合部31RCが形成されている(図8参照)。
【0032】
モーアデッキ7の右側部上部には、上向きのコ字状に成形されたブラケット32が固着されており、上方に折り曲げられた前後のボス部32F,32Rに、前後向きの貫通穴が形成されている。ブラケット32の前後の貫通穴と前後のアーム31F,31Rの取付穴にピン34が連通されて、揺動カバー30がピン34の軸心P3周りで上下に揺動可能に支持されている。
【0033】
前後のアーム本体31FA,31RAに亘って帯板状の前後フレームが固着されており、この前後フレームとモーアデッキ7とに亘ってねじりバネ35が設けられ、ねじりバネ35の付勢力によって揺動カバー30を下方へ押し付けることで、揺動カバー30が乗用型芝刈り機の走行等によって上下に動き難いように構成されている。
【0034】
以上のように揺動カバー30を構成することにより、揺動カバー30を下方へ揺動させると、揺動カバー30の自重よって揺動カバー30を下げた状態が保持されて、モーアデッキ7の排出口7bから排出された刈草を乗用型芝刈り機の右斜め後方に導くことができる。
【0035】
〔スライドカバーの詳細構造〕
図4〜図9に基づいて、スライドカバー37(開閉部材に相当)の詳細構造について説明する。図8及び図9に示すように、モーアデッキ7の上面側に設けたブレード取付部7cにプーリーホルダ38が締め付け固定されており、このプーリーホルダ38に上下一対のベアリング39を介して駆動軸11が回動自在に取り付けられている。駆動軸11の下端部には回転ブレード9が締め付け固定され、駆動軸11の上端部には伝動プーリー18が上方から締め付け固定されており、伝動ベルト21を介して伝動プーリー18が回転すると、回転ブレード9が回転するように構成されている。
【0036】
プーリーホルダ38の上端部における外周部には、全周に亘って凹状の溝38aが一体成形されており、円筒状の本体部に帯板状のアーム部材を固着した回転アーム40の本体部をプーリーホルダ38の上方から嵌め込み装着した状態で、この溝38aにリング状の止め金具41を装着することによって、回転アーム40が上下方向の移動を規制された状態でプーリーホルダ38に対して相対回転自在に取り付けられて、回転アーム40が回転ブレード9の軸心P2周りで前後に揺動するように構成されている。
【0037】
プーリーホルダ38及び駆動軸11等は、湾曲した円錐状の案内板36によって覆われており、後述するマルチング形態において、回転ブレード9先端部の起風羽根9bによって上方へ巻き上げられた刈草が切断室25内で効率よく流動して、刈草がプーリーホルダ38及び駆動軸11等の付近で滞留して刈草の流動が妨げられることがないように構成されている。
【0038】
図4及び図5に示すように、スライドカバー37はモーアデッキ7の排出口7bを上方から全面に亘って覆うことができる形状に成形されており、モーアデッキ7の形状に合わせた上下に湾曲させた形状に成形されている。
【0039】
図5,図8,図9に示すように、スライドカバー37の上端部にはブラケット42が固着され、このブラケット42と上述した回転アーム40とに亘って帯状の板バネ43が設けられて、回転アーム40及び板バネ43を介してスライドカバー37が回転ブレード9の軸心P2周りに前後に揺動自在に支持されている。
【0040】
スライドカバー37を開閉しない状態においては、スライドカバー37がその自重によってモーアデッキ7の外周面に接当して、スライドカバー37を上方に手で少し押し上げることによって板バネ43が変形してスライドカバー37がモーアデッキ7の外面から離れ、スライドカバー37を無理なくスライド移動させることができるように構成されている。
【0041】
スライドカバー37の下端縁は、上述したモーアデッキ7の縁部7aに沿うように取り付けられており、スライドカバー37を閉めた状態でモーアデッキ7内の空気が排出口7bから漏れ難く、かつ、モーアデッキ7の縁部7aに沿ってスライドカバー37を無理なくスライド移動させることができるように構成されている。
【0042】
スライドカバー37の上部でブラケット42の側部には、支持具33が固着されている。支持具33は、下端部がスライドカバー37に固着された縦板33Aと、この縦板33Aの上端部から折り曲げ成形された接当部33Bとによって構成されており、スライドカバー37を閉めた状態で、接当部33Bが起立姿勢での揺動カバー30に固着した後側のアーム31Rの下方に位置するように配設されている。
【0043】
スライドカバー37におけるブラケット42の外方端部には、縦断面形状がL字状の補助具39が一体成形されており、この補助具39の持ち手部39aを上方に引き上げてスライドカバー37を移動させることができ、スライドカバー37の操作性を向上できる。
【0044】
図6及び図7に示すように、モーアデッキ7の排出口7bの前部及び後部には係入穴44aを設けたL字状のフック44が固着されている。スライドカバー37の前端部にはフック44の係入穴44aに係合させる凸片45aを設けたプレート45が固着されており、スライドカバー37の後端部にはL字状のフック44に係合させる爪部46aを設けた固定具46が固着されている。
【0045】
スライドカバー37を開けた状態(図7の状態)からスライドカバー37を閉めてプレート45の凸片45aをフック44の係入穴44aに係合させてスライドカバー37の前端部を保持した状態で、固定具46の爪部46aをL字状のフック44に係合させて固定具46の操作部46bを前方に倒すと、スライドカバー37を閉めた状態(図6の状態)で固定できるように構成されている。
【0046】
図5に示すように、スライドカバー37を開けた状態におけるスライドカバー37の左端部に位置するモーアデッキ7の外周部にも、上述した排出口7bの前後両端部に設けたフック44と同一形状のフック44が固着されており、スライドカバー37を開けた状態で、モーアデッキ7の中央部後側に位置する固定具46の爪部46aをL字状のフック44に係合させて固定具46の操作部46bを右方に倒すと、スライドカバー37を開けた状態で固定できるように構成されている。
【0047】
以上のようにスライドカバー37を構成して、スライドカバー37により排出口7bを開いた状態から、固定具46を解除した上で、補助具39によってスライドカバー37を少し引き上げて前方にスライド移動させ、プレート45をフック44に係合させて固定具46を操作することにより、排出口7bを閉じることができる。また、スライドカバー37により排出口7bを閉じた状態から、固定具46を解除した上でプレート45とフック44の係合を解除し、補助具39によってスライドカバー37を上方に少し引き上げて後方にスライド移動させて固定具46を操作することにより、排出口7bを開くことができる。
【0048】
〔乗用型芝刈り機の作業形態〕
図4〜図10に基づいて、この乗用型芝刈り機で現出可能な2つの作業形態について説明する。図4,図6,図8,図10に示すように、揺動カバー30を上方へ揺動させて起立姿勢に姿勢変更し、スライドカバー37を前方へスライド移動させて排出口7bを閉じると、スライドカバー37に固定された支持具33が揺動カバー30のアーム31Rの下方に移動する。そして、スライドカバー37をモーアデッキ7に固定して、刈草をモーアデッキ7内に滞留させて細かく切断するマルチング形態を現出し、揺動カバー30から手を離すと、アーム31Rの係合部31RCが支持具33の接当部33Bに接当して、揺動カバー30が起立姿勢で保持される。この場合、ねじりバネ35の付勢力が係合部31RCを接当部33に押し付ける方向に作用して、揺動カバー30のガタツキを防止でき、揺動カバー30を安定して保持できる。このように、スライドカバー37に固定された支持具33、アーム31Rに形成された係合部31RCによってスライドカバー37を起立姿勢で保持する保持機構が構成されている。
【0049】
図5,図7,図9,図10に示すように、スライドカバー37を後方へスライド移動させて排出口7bを開くと、スライドカバー37に固定された支持具33が後方に移動し、揺動カバー30の下方への揺動が許容される。そして、スライドカバー37をモーアデッキ7に固定して、刈り取った刈草をモーアデッキ7内から車外右後方に排出させるサイドディスチャージ形態を現出し、揺動カバー30から手を離すと、揺動カバー30が倒伏姿勢に姿勢変更される。
【0050】
以上のように、揺動カバー30及びスライドカバー37を構成して、マルチング形態及びサイドディスチャージ形態の2つの作業形態を現出可能に構成することにより、それぞれの作業形態の切り替えを簡易迅速に行うことができるだけでなく、スライドカバー37や揺動カバー30等の部品をモーアデッキ7から取り外さなくても、マルチング形態とサイドディスチャージ形態の作業形態の切り替えを行うことができる。更に、揺動カバー30を起立姿勢で保持することにより、マルチング形態での揺動カバー30がモーアデッキ7の右外方に突出しなくなるため、マルチング形態でのモーアMの全幅を狭く抑えることができ、刈り残しを発生させることなく、モーアデッキ7の左右両側を壁際や隣接芝(既に刈り取った隣接する芝)に寄せて芝を刈り取ることができる。
【0051】
〔リンク機構の詳細構造〕
図1及び図11に基づいて、リンク機構4の詳細構造について説明する。図1に示すように、リンク機構4は、昇降リンク50と、前部リンク54と、前部及び後部ブラケット55,56と、連係部材61と、連係ボルト62とを備えて構成されている。
【0052】
昇降リンク50の前端部は、支持ブラケット53を介して左右方向の軸心周りで車体フレーム63に枢支連結されており、昇降リンク50の後端部は、後部ブラケット56を介してモーアデッキ7の後部に左右方向の軸心周りで枢支連結されている。昇降リンク50の前後中央部には、前部リンク54の一端部が左右方向の軸心周りで枢支連結されており、この前部リンク54の他端部がモーアデッキ7から上方に延出された前部ブラケット55に左右方向の軸心周りで枢支連結されている。
【0053】
運転座席57の下部に、昇降レバー58に連係された操作アーム59が左右方向の軸心周りに揺動可能に支持されており、この操作アーム59の先端部に連係ピン60が固定されている。操作アーム59の先端部は、連係部材61及び連係ボルト62を介して昇降リンク50の後部と連係されており、昇降レバー58を操作することにより、操作アーム59を揺動させると、昇降リンク50の後部が揺動して、前部及び後部ブラケット55,56を介してモーアMを昇降できるように構成されている。
【0054】
図11に示すように、昇降リンク50の後端部には、先端部に横向きの連係穴51aが加工された帯板状の第1部材51が固着されており、この第1部材51の外方側に所定の隙間を開けて第2部材52が固定されている。第2部材52の後端部には、切欠き部52aが形成されており、この切欠き部52aの下方に位置する先端下部52cが内方側に折り曲げられて第1部材51に固着されている。
【0055】
以上のように、昇降リンク50の後端部を構成することにより、図11(イ)に示す連係ボルト62が前後向きになった状態から連係ボルト62の先端部を第1部材51の連係穴51aに外方側から挿入し、図11(ロ)に示すように、連係ボルト62を上方へ揺動させて操作アーム59に連係された連係部材61と連結することにより、昇降リンク50の後部と連係部材61とを連係ボルト62で連結することができる。図11(ロ)に示す連係ボルト62を上方へ揺動し連係部材61を介して操作アーム59と連係した状態では、連係ボルト62の先端部(下端部)が第1部材51の先端部と第2部材52の先端上部52bとの間に挟まれて、横方向の移動が規制される。
【0056】
その結果、例えば昇降リンク50の後部と連係ボルト62とを割りピン等(図示せず)によって連結する場合に比べ、割りピンを着脱するニッパー等の工具(図示せず)を使用せずに昇降リンク50の後部と連係ボルト62とを簡易迅速に着脱することができ、リンク機構4の組立作業及びメンテナンス作業(モーアMのメンテナンス作業)の作業性を向上させることができる。
【0057】
〔ボンネットの開閉構造〕
図1,図12〜図14に基づいて、ボンネット65の開閉構造について説明する。図1に示すように、ボンネット65は、車体フレーム63から前方に延出された前部フレーム64の先端部に左右のブラケット66を介して揺動開閉可能に装着されており、ボンネット65を前方に揺動させることで、エンジン5等の上方を開放してエンジン5等のメンテナンスを行うことができる。
【0058】
図12〜図14に示すように、左右のブラケット66は、縦平板状の板材によって構成されており、一端部に内方側に折り曲げ成形された取付部66aが形成されており、この取付部66aに樹脂製のボンネット65が締め付け固定されている。ブラケット66の取付部66aとは逆側の他端部には、側面視での形状が扇形の開口部66bが形成されており、この開口部66bを外方側から覆うように板状部材67が固着され、この板状部材67にピン挿入穴67aが形成されている。
【0059】
前部フレーム64の先端部には、先端部に抜止め用のフランジ部68aが形成されたピン68が横外方に延出されており、このピン68の下方に固定部材69が固着されている。
【0060】
図14(ロ)に示すように、ボンネット65を前部フレーム64に組み付ける場合には、板状部材67のピン挿入穴67aを上下に並んで配設されたピン68及び固定部材69に位置決めし、上方からブラケット66をピン68及び固定部材69に差し込むことで、板状部材67のピン挿入穴67aにピン68及び固定部材69が入り込む。そして、ボンネット65を後方に倒すことで、固定部材69がブラケット66の開口部66bに係合して、ブラケット66の上方への移動がピン68及び固定部材69によって規制される。一方、ボンネット65を前部フレーム64から取り外す場合には、ボンネット65を後方に揺動させて板状部材67のピン挿入穴67aを上下に並んで配設されたピン68及び固定部材69に位置決めし、固定部材69のブラケット66の開口部66bへの係合を解除して、ボンネット65を上方へ引き上げる。
【0061】
上記のようなボンネット65の着脱構造を採用することにより、ボンネット65を取り外してエンジン5等のメンテナンスを行うことができ、メンテナンス作業の作業性を向上できるだけでなく、例えばボンネット65をボルトやナット等により着脱する場合(図示せず)に比べ、工具等を用いずにワンタッチで簡易迅速にボンネット65を着脱することができ、メンテナンス作業の作業性を更に向上できる。
【0062】
図14(イ)に示すように、ボンネット65を全閉にした全閉状態と、ボンネット65を全開にした全開状態との間に位置する中間状態でのみボンネット65を取り外し可能に構成されているため、例えばボンネット65を取り外さなくても行える簡易なメンテナンス作業や燃料タンク(図示せず)へ燃料を補給する場合には、ボンネット65を全開状態に揺動しボンネット65を取り外さずにエンジン5等のメンテナンスや燃料の補給等を行うことができる。その結果、メンテナンス作業の作業内容等に応じてボンネット65の着脱を選択することができ、メンテナンス作業の作業性を更に向上できる。
【0063】
〔パーキングブレーキペダル及びHSTペダルのロック構造〕
図1及び図15に基づいて、パーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72のロック構造について説明する。図1に示すように、運転座席57に着座した運転者の右足付近にパーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72が配設されている。パーキングブレーキペダル71は、右及び左の後輪2に装着された右及び左の後輪ブレーキ(図示せず)に連係されており、パーキングブレーキペダル71を踏み込み操作することにより右及び左の後輪ブレーキが作動する。HSTペダル72は、伝動ケース27に装備されたHST(静油圧式無段変速装置)に連係されており、HSTペダル72を踏み込み操作することにより乗用型芝刈り機を変速操作する。なお、パーキングブレーキペダル71は、踏み込み操作していない状態では、後輪ブレーキが作動していない状態に付勢されており、HSTペダル72は、踏み込み操作していない状態では、中立位置に付勢されている。
【0064】
図15に示すように、パーキングブレーキペダル71に連係されたブラケット71A及びHSTペダル72に連係されたブラケット72Aが、左右方向の軸心P4周りにそれぞれ独立して揺動可能に支持されている。ステアリングハンドル73の下部を覆う下部カバー74の内部に左右方向の軸心P5周りにロック具75が揺動自在に支持されており、このロック具75の上部から下部カバー74の右側方に操作部75aが延出されている。
【0065】
パーキングブレーキペダル71に連係されたブラケット71Aから側方に係合部71aが延出されており、このパーキングブレーキペダル71の係合部71aは正面視でロック具75と重なる位置に配設されている。HSTペダル72に連係されたブラケット72Aから側方に係合部72aが延出されており、このHSTペダル72の係合部72aは正面視でロック具75と重なる位置に配設されている。ロック具75の下端部には、パーキングブレーキペダル71の係合部71と係合する第1切欠部75bと、HSTペダル72の係合部72aと係合する第2切欠部75cとが形成されている。
【0066】
図15(イ)に示すロック具75が後方に揺動操作された解除状態から、パーキングブレーキペダル71を踏み込み操作してロック具75を前方に揺動操作すると、図15(ロ)に示すように、ロック具75の第1切欠部75bがパーキングブレーキペダル71の係合部71aに係合して、パーキングブレーキペダル71を踏み込んで後輪ブレーキが作動した状態が保持されたロック状態を現出できる。また、ロック具75の第2切欠部75cがHSTペダル72の係合部72aに係合して、HSTペダル72を踏み込み操作することができないロック状態を現出できる。
【0067】
一方、図15(ロ)に示すロック具75が前方に揺動操作されたロック状態から、パーキングブレーキペダル71を踏み込み操作してロック具75を後方に揺動操作すると、図15(イ)に示すように、ロック具75の第1切欠部75bのパーキングブレーキペダル71の係合部71aへの係合、及びロック具75の第2切欠部75cのHSTペダル72の係合部72aへの係合が解除されて、パーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72の踏み込み操作が可能な解除状態を現出できる。
【0068】
上記のように、ロック具75によってパーキングブレーキペダル71をロックすると共に、HSTペダル72をロックすることにより、パーキングブレーキペダル71による後輪ブレーキの保持と同時にHSTペダル72の操作を牽制することができ、HSTペダル72の誤操作を防止できる。その結果、例えばパーキングブレーキペダル71をロックし後輪ブレーキが作動している状態で、HSTペダル72が踏み込み操作されて(後輪ブレーキが作動している状態で乗用型芝刈り機を走行させて)、後輪ブレーキ及びHSTに無理な力が作用して、後輪ブレーキ及びHSTが故障することを防止できる。
【0069】
また、一つのロック具75によって、パーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72をロックできるように構成することにより、例えば別々のロック具(図示せず)を設けた場合に比べ、ロック具75の掛け忘れを防止できると共に、ロック具75の操作性を向上させることができる。
【0070】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、開閉部材としてのスライドカバー37をモーアデッキ7に沿ってスライド移動させるように構成した例を示したが、モーアデッキ7の排出口7aを開閉可能であれば開閉部材として異なる構成を採用してもよく、例えば着脱式の開閉部材(図示せず)によってモーアデッキ7の排出口7aを開閉可能に構成してもよい。
【0071】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、案内部材としての揺動カバー30をモーアデッキ7に揺動自在に支持し、起立姿勢と倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成した例を示したが、起立姿勢と倒伏姿勢とに姿勢変更可能であれば案内部材として異なる構成を採用してもよく、例えば案内部材をモーアデッキ7から着脱することにより姿勢変更可能に構成してもよい。
【0072】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、アーム31Rの接当部31RCと支持具33とによって、揺動カバー30を起立姿勢で保持できるように、保持機構を構成した例を示したが、揺動カバー30を起立姿勢で保持する保持機構として異なる構成を採用してもよく、例えばモーアデッキ7の上部又は揺動カバー30にチェーンやステー等の保持具(図示せず)を備え、この保持具によって起立姿勢での揺動カバー30とモーアデッキ7とを連結することにより、揺動カバー30を起立姿勢で保持できるように構成してもよい。
【0073】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、モーアデッキ7の右側にスライドカバー37及び揺動カバー30を装着し、サイドディスチャージ形態で右外方に刈草を排出するように構成した例を示したが、モーアデッキ7の左側にスライドカバー37及び揺動カバー30を装着し、サイドディスチャージ形態で左外方に刈草を排出するように構成してもよい。
【0074】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、モーアMに2枚の回転ブレード8,9を装備したツインブレード構造を採用した乗用型芝刈り機を例に示したが、モーアMに3枚のブレード(図示せず)を装備したトリプルブレード構造を採用した乗用型芝刈り機にも同様に適用できる。
【0075】
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、前輪1と後輪2の間の下腹部にモーアMを連結した乗用型芝刈り機(いわゆるゼロターンモーア)を例に示したが、前輪1の前方にモーアMを連結した乗用型芝刈り機(いわゆるフロントモーア(図示せず))の場合にも同様に適用できる。また、乗用型芝刈り機に限らず、歩行型芝刈り機のモーアMにおいても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】乗用型芝刈り機の全体左側面図
【図2】マルチング形態でのモーアの全体平面図
【図3】マルチング形態でのモーアの横断平面図
【図4】マルチング形態でのモーア右側部の平面図
【図5】サイドディスチャージ形態でのモーア右側部の平面図
【図6】マルチング形態でのモーアの右側面図
【図7】サイドディスチャージ形態でのモーアの右側面図
【図8】マルチング形態でのモーア右側部の縦断背面図
【図9】サイドディスチャージ形態でのモーア右側部の縦断背面図
【図10】揺動カバーの開閉構造を説明する斜視図
【図11】リンク機構の構造を説明する斜視図
【図12】ボンネットの開閉構造を説明する斜視図
【図13】ボンネットの開閉構造を説明する縦断正面図
【図14】ボンネットの開閉構造を説明する縦断側面図
【図15】HSTペダルのロック構造を説明する概略縦断側面図
【符号の説明】
【0077】
7 モーアデッキ
7a 排出口
8 回転ブレード
9 回転ブレード
30 揺動カバー(案内部材)
33 支持具
37 スライドカバー(開閉部材)
M モーア
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーアデッキの内部に縦軸心周りに回転駆動される複数の回転ブレードを並列配備してあるモーアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、細断用バッフル(特許文献1の図5の26)を着脱することにより、回転ブレードによって刈り取った刈草をモーアデッキ内に滞留させて細かく切断するマルチング形態と、回転ブレードによって刈り取った刈草をモーアデッキの側部から排出するサイドディスチャージ形態とを現出可能に構成し、モーアデッキの右端部の排出口(特許文献1の図3のd)に装着した出口カバー(特許文献1の図3の17)により、サイドディスチャージ形態での刈草を横外方に案内するように構成されたモーアが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−253387号公報(図3,図5及び段落番号「0020」参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のモーアでは、細断用バッフルを装着したマルチング形態で芝を刈り取る場合においても、サイドディスチャージ形態での刈草を横外方に案内する出口カバーがモーアデッキの右外方に突出したままの状態であった。その結果、モーアデッキの右外方に突出した出口カバーによってモーアの全幅が広くなって、例えば比較的幅の狭い場所ではモーアの移動が制限されてマルチング形態での芝の刈取作業を行うことができない場合があり、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性が悪いといった問題があった。
【0005】
また、例えば特許文献1のモーアでは、細断用バッフルを装着したマルチング形態でモーアデッキの右側を壁際や隣接芝(既に刈り取った隣接する芝)に寄せて芝を刈り取ると、出口カバーの装着された位置の下方に刈り残しが発生し易かった。そのため、刈り残しが発生しないように芝を刈り取るためには、モーアデッキの左側を壁際や隣接芝に寄せて刈り取る必要があった。その結果、マルチング形態で芝を刈り取る際のモーアを移動させる方向が制限されて、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性が悪いといった問題があった。
本発明は、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性を向上させることのできるモーアを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、モーアデッキの内部に縦軸心周りに回転駆動される複数の回転ブレードを並列配備するとともに、前記モーアデッキの側部に前記回転ブレードで刈り取った刈草を排出する排出口を備えてあるモーアにおいて、次のように構成することにある。
前記排出口を開閉可能な開閉部材と、前記排出口からの刈草を横外方に案内する案内部材とを備え、前記案内部材を、起立した起立姿勢と倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成するとともに、前記案内部材を起立姿勢で保持する保持機構を備える。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、開閉部材により排出口を開いてサイドディスチャージ形態を現出した状態では、倒伏姿勢に姿勢変更された案内部材によって回転ブレードにより刈り取った刈草を横外方に案内することができ、開閉部材により排出口を閉じてマルチング形態を現出した状態では、案内部材を起立姿勢に姿勢変更するとともに保持機構によって案内部材の起立姿勢を保持することにより、マルチング形態での案内部材がモーアデッキの横外方に突出し難くなる。その結果、マルチング形態でのモーアの全幅を狭く抑えることができ、比較的幅の狭い場所であってもモーアを移動させてマルチング形態での刈取作業を行うことができる。
【0008】
本発明の第1特徴によると、保持機構により案内部材を起立姿勢で保持することにより、マルチング形態での案内部材がモーアデッキの横外方に突出し難くなるため、刈り残しを発生させることなく、モーアデッキの左右両側を壁際や隣接芝(既に刈り取った隣接する芝)に寄せて芝を刈り取ることができる。その結果、モーアを移動させる方向が制限されることなく、刈り残しを発生させないでマルチング形態での刈取作業を行うことができる。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、マルチング形態での芝の刈取作業の作業性を向上させることができる。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴のモーアにおいて、次のように構成することにある。
前記開閉部材により排出口を閉じた状態であると、前記案内部材を起立姿勢に保持し、前記開閉部材により排出口を開いた状態であると、前記案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更を許容するように、前記保持機構を構成する。
【0011】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、開閉部材により排出口を閉じてマルチング形態を現出することにより、保持機構によって案内部材が起立姿勢に保持された状態を現出することができ、開閉部材により排出口を開いてサイドディスチャージ形態を現出することにより、保持機構によって案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更が許容されて、案内部材が倒伏姿勢に姿勢変更された状態を現出することができる。その結果、保持機構によって、マルチング形態での案内部材の起立姿勢での保持及びサイドディスチャージ形態での案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更を簡易迅速に行うことができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、案内部材の操作性を向上させることができ、芝の刈取作業の作業性を更に向上させることができる。
【0013】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴のモーアにおいて、次のように構成することにある。
前記排出口を閉じた状態で前記起立姿勢での案内部材を支持する支持具を前記開閉部材に備えて、前記保持機構を構成する。
【0014】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第3特徴によると、保持機構の一部である支持具を備える場合、支持具を開閉部材に備えているので、開閉部材が案内部材を支持するための部材に兼用されることになり、支持具を備えるための専用の部材が不要になる(専用の部材を備えたとしても小規模のものでよくなる)。その結果、開閉部材に備えた支持具によって、簡素な構造で保持機構を構成することができる。
【0015】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、保持機構の製造コストを低く抑えながら、案内部材の操作性を向上させることができ、芝の刈取作業の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔乗用型芝刈り機の全体構成〕
図1〜図3に基づいて、乗用型芝刈り機の全体構成について説明する。図1に示すように、乗用型芝刈り機は、操向操作される前輪1と操向不能で駆動される後輪2とを備えた走行機体3の下腹部に、モーアMがリンク機構4を介して平行昇降可能に吊り下げ連結された構造となっている。走行機体3の前部には縦軸型のエンジン5が搭載され、このエンジン5の下方に突出された出力軸6から取り出された縦軸回転動力が、後輪2を装備した伝動ケース27とモーアMにそれぞれベルト伝達されるようになっている。
【0017】
図2及び図3に示すように、モーアMは、モーアデッキ7に縦軸駆動される2枚の回転ブレード8,9が左右に並列して装備されたツインブレード構造となっており、モーアデッキ7の上面左右に貫通装着された駆動軸10,11の下端部に各回転ブレード8,9が連結されている。(回転ブレード8,9は、帯板状の鋼板素材における両端部の一側に切刃8a,9aが形成されるとともに、両端部の他側に起風羽根8b,9bが折り上げ成形されている。)。
【0018】
モーアデッキ7の上面における左右中央の後方箇所に入力軸12が設けられ、この入力軸12に取り付けられた入力プーリー13と、エンジン5の出力軸6に取り付けられた出力プーリー14とに亘って駆動ベルト15が巻回張設されている。入力軸12に取り付けられた駆動プーリー16、各駆動軸10,11に取り付けられた伝動プーリー17,18、モーアデッキ7に配備されたガイドプーリー19,19及びテンションプーリー20に亘って1本の伝動ベルト21が巻回張設され、両回転ブレード8,9が互いに逆向きに回転駆動されるようになっている。両回転ブレード8,9の回転方向は、回転軸心P1,P2より機体後方において両回転ブレード8,9先端の回動軌跡が互いに内向きに対向するよう設定されている。
【0019】
モーアMは、平面視において機体左側の回転ブレード8の回転軸心P1が、機体右側の回転ブレード9の回転軸心P2よりも前方に位置するように少し傾斜して配備され、両回転ブレード8,9の先端回動軌跡を前後に少し重複させることで、両回転ブレード8,9の間で刈り残しが発生しないように構成されている。
【0020】
モーアデッキ7の内部における前方中央部と後方中央部には平面形状が山形の前部バキュームプレート22と後部バキュームプレート23が装着され、回転ブレード8,9の先端回動軌跡に沿った略円形の切断室24,25が回転ブレード8,9毎に形成されている。前部バキュームプレート22と後部バキュームプレート23との頂部同士は間隔をもって対向され、両切断室24,25の間に刈草の流動通過を許容する開口26が形成されている。
【0021】
モーアデッキ7は、平面視が長円形状で、断面形状がお椀形の湾曲させた形状に成形されており、後述するマルチング形態において回転ブレード8,9で刈り取った刈草をモーアデッキ7内に滞留させて細かく細断することができ、かつモーアデッキ7の強度が確保できるような形状に、鋼板をプレス成形することによって構成されている。
【0022】
モーアデッキ7下端の縁部7aは、後述する排出口7bの下部を除いた略全周に亘って、外方側へ折り曲げられ上方へ折り曲げられた断面形状が上向きに開口したU字状に一体成形されており、モーアデッキ7下端部の強度を確保できるように構成されている。排出口7bの下部に位置する縁部7aは、モーアデッキ7と一体成形された断面形状がL字状に成形されており、後述するサイドディスチャージ形態で刈草を排出口7bから排出する際に、縁部7aが刈草の排出を妨げる抵抗になり難いように構成されている。
【0023】
モーアデッキ7の縁部7aの下面側に、モーアデッキ7の縁部7aに合わせた形状に成形された帯状の補強板28が着脱可能に固定されており、モーアMを下降させた状態で乗用型芝刈り機を走行させて、モーアデッキ7の縁部7aが石等に接当して破損することを防止するとともに、モーアデッキ7の縁部7aの強度を向上でき、かつ、補強板28が破損した場合には交換できるように構成されている。
【0024】
図3に示すように、回転ブレード8,9の切刃8a,9aと逆側には、切欠き部8c,9cが形成されており、この切欠き部8c,9cにより回転ブレード8,9の先端部の重量を軽く設定することができ、回転ブレード8,9の回転トルクを小さく抑えることができるように構成されている。また、切欠き部8c,9cを形成することにより、起風羽根8b,9bを形成するための上方への折り曲げ成形を容易に行うことができ、回転ブレード8,9の製造コストを削減できる。
【0025】
切欠き部8c,9cの形状は、先端に向うに従って回転方向に徐々に広くなるように構成されており、その両端部に湾曲した湾曲部8d,9dが形成されている。このように、切欠き部8c,9cを形成し、回転ブレード8,9の両端部の形状を先細り状に徐々に細くなるように構成することにより、切欠き部8c,9cを形成することによる応力集中が回転ブレード8,9に発生することを防止できる。その結果、回転ブレード8,9の回転トルクを小さく抑え、回転ブレード8,9の製造コストを削減しながら、回転ブレード8,9の破損を防止できる。
【0026】
〔揺動カバーの詳細構造〕
図4,図5,図8〜図10に基づいて、揺動カバー30(案内部材に相当)の詳細構造について説明する。図4及び図5に示すように、モーアデッキ7の右側部には、揺動カバー30が前後向きの軸心P3周りに上下に揺動可能に取り付けられており、後述するサイドディスチャージ形態で、揺動カバー30を下方へ倒して、回転ブレード8,9を回転させながら走行すると、モーアデッキ7内で刈り取った刈草をモーアデッキ7の右斜め後方に排出することができるように構成されている。
【0027】
図8及び図9に示すように、揺動カバー30は、前後向きの軸心P3周りで上方に揺動した起立した起立姿勢と、前後向きの軸心P3周りで下方に揺動して走行面に沿って倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成されており、図4に示すように、起立姿勢での揺動カバー30の右外端がモーアデッキ7の右外端より内方側に位置し、起立姿勢での揺動カバー30が平面視でモーアデッキ7の外側に突出しないように構成されている。
【0028】
図4,図5,図8〜図10に示すように、揺動カバー30は、前後方向の断面形状が下向きに開放したコ字状に、平板を折り曲げ成形した形状に構成されており、倒伏姿勢での揺動カバー30の下方、接続部30a及び放出部30bがそれぞれ開放した形状に構成されている。揺動カバー30におけるモーアデッキ7との接続部30aの形状は、倒伏姿勢での平面視が直線状で、断面形状がモーアデッキ7の排出口7bの形状に合わせて湾曲させた下向きに開口したコ字状に成形されており、揺動カバー30における放出部30bの形状は、倒伏姿勢での平面視が外方側に凸状に湾曲し、断面形状が下向きに開口したコ字状に成形されている。
【0029】
揺動カバー30は、倒伏姿勢における平面視での形状が内方側の接続部30aから外方側の放出部30bに向かって末広がり状に構成されており、刈草を広角に放出できるように構成されている。また、揺動カバー30は、倒伏姿勢における背面視で、その上面側が斜め外方下方に傾斜する形状に成形されており、揺動カバー30から放出された刈草が上方に巻き上げられ難いように構成されている。
【0030】
揺動カバー30の上面側には、前後のアーム31F,31Rが固着されている。前側のアーム31Fは、帯板状のアーム本体31FAと、このアーム本体31FAから前方に延出された補強部材31FBとを備えて構成されており、このアーム本体31FA及び補強部材31FBに前後方向に連通する同心状の取付穴が形成されている。
【0031】
後側のアーム31Rは、帯板状のアーム本体31RAと、このアーム本体31RAから後方に延出された補強部材31RBとを備えて構成されており、このアーム本体31RA及び補強部材31RBに前後に連通する同心状の取付穴が加工されている。アーム31Rのアーム本体31RAの先端下部には、下方側に切り欠かれた後述する支持具33と係合する係合部31RCが形成されている(図8参照)。
【0032】
モーアデッキ7の右側部上部には、上向きのコ字状に成形されたブラケット32が固着されており、上方に折り曲げられた前後のボス部32F,32Rに、前後向きの貫通穴が形成されている。ブラケット32の前後の貫通穴と前後のアーム31F,31Rの取付穴にピン34が連通されて、揺動カバー30がピン34の軸心P3周りで上下に揺動可能に支持されている。
【0033】
前後のアーム本体31FA,31RAに亘って帯板状の前後フレームが固着されており、この前後フレームとモーアデッキ7とに亘ってねじりバネ35が設けられ、ねじりバネ35の付勢力によって揺動カバー30を下方へ押し付けることで、揺動カバー30が乗用型芝刈り機の走行等によって上下に動き難いように構成されている。
【0034】
以上のように揺動カバー30を構成することにより、揺動カバー30を下方へ揺動させると、揺動カバー30の自重よって揺動カバー30を下げた状態が保持されて、モーアデッキ7の排出口7bから排出された刈草を乗用型芝刈り機の右斜め後方に導くことができる。
【0035】
〔スライドカバーの詳細構造〕
図4〜図9に基づいて、スライドカバー37(開閉部材に相当)の詳細構造について説明する。図8及び図9に示すように、モーアデッキ7の上面側に設けたブレード取付部7cにプーリーホルダ38が締め付け固定されており、このプーリーホルダ38に上下一対のベアリング39を介して駆動軸11が回動自在に取り付けられている。駆動軸11の下端部には回転ブレード9が締め付け固定され、駆動軸11の上端部には伝動プーリー18が上方から締め付け固定されており、伝動ベルト21を介して伝動プーリー18が回転すると、回転ブレード9が回転するように構成されている。
【0036】
プーリーホルダ38の上端部における外周部には、全周に亘って凹状の溝38aが一体成形されており、円筒状の本体部に帯板状のアーム部材を固着した回転アーム40の本体部をプーリーホルダ38の上方から嵌め込み装着した状態で、この溝38aにリング状の止め金具41を装着することによって、回転アーム40が上下方向の移動を規制された状態でプーリーホルダ38に対して相対回転自在に取り付けられて、回転アーム40が回転ブレード9の軸心P2周りで前後に揺動するように構成されている。
【0037】
プーリーホルダ38及び駆動軸11等は、湾曲した円錐状の案内板36によって覆われており、後述するマルチング形態において、回転ブレード9先端部の起風羽根9bによって上方へ巻き上げられた刈草が切断室25内で効率よく流動して、刈草がプーリーホルダ38及び駆動軸11等の付近で滞留して刈草の流動が妨げられることがないように構成されている。
【0038】
図4及び図5に示すように、スライドカバー37はモーアデッキ7の排出口7bを上方から全面に亘って覆うことができる形状に成形されており、モーアデッキ7の形状に合わせた上下に湾曲させた形状に成形されている。
【0039】
図5,図8,図9に示すように、スライドカバー37の上端部にはブラケット42が固着され、このブラケット42と上述した回転アーム40とに亘って帯状の板バネ43が設けられて、回転アーム40及び板バネ43を介してスライドカバー37が回転ブレード9の軸心P2周りに前後に揺動自在に支持されている。
【0040】
スライドカバー37を開閉しない状態においては、スライドカバー37がその自重によってモーアデッキ7の外周面に接当して、スライドカバー37を上方に手で少し押し上げることによって板バネ43が変形してスライドカバー37がモーアデッキ7の外面から離れ、スライドカバー37を無理なくスライド移動させることができるように構成されている。
【0041】
スライドカバー37の下端縁は、上述したモーアデッキ7の縁部7aに沿うように取り付けられており、スライドカバー37を閉めた状態でモーアデッキ7内の空気が排出口7bから漏れ難く、かつ、モーアデッキ7の縁部7aに沿ってスライドカバー37を無理なくスライド移動させることができるように構成されている。
【0042】
スライドカバー37の上部でブラケット42の側部には、支持具33が固着されている。支持具33は、下端部がスライドカバー37に固着された縦板33Aと、この縦板33Aの上端部から折り曲げ成形された接当部33Bとによって構成されており、スライドカバー37を閉めた状態で、接当部33Bが起立姿勢での揺動カバー30に固着した後側のアーム31Rの下方に位置するように配設されている。
【0043】
スライドカバー37におけるブラケット42の外方端部には、縦断面形状がL字状の補助具39が一体成形されており、この補助具39の持ち手部39aを上方に引き上げてスライドカバー37を移動させることができ、スライドカバー37の操作性を向上できる。
【0044】
図6及び図7に示すように、モーアデッキ7の排出口7bの前部及び後部には係入穴44aを設けたL字状のフック44が固着されている。スライドカバー37の前端部にはフック44の係入穴44aに係合させる凸片45aを設けたプレート45が固着されており、スライドカバー37の後端部にはL字状のフック44に係合させる爪部46aを設けた固定具46が固着されている。
【0045】
スライドカバー37を開けた状態(図7の状態)からスライドカバー37を閉めてプレート45の凸片45aをフック44の係入穴44aに係合させてスライドカバー37の前端部を保持した状態で、固定具46の爪部46aをL字状のフック44に係合させて固定具46の操作部46bを前方に倒すと、スライドカバー37を閉めた状態(図6の状態)で固定できるように構成されている。
【0046】
図5に示すように、スライドカバー37を開けた状態におけるスライドカバー37の左端部に位置するモーアデッキ7の外周部にも、上述した排出口7bの前後両端部に設けたフック44と同一形状のフック44が固着されており、スライドカバー37を開けた状態で、モーアデッキ7の中央部後側に位置する固定具46の爪部46aをL字状のフック44に係合させて固定具46の操作部46bを右方に倒すと、スライドカバー37を開けた状態で固定できるように構成されている。
【0047】
以上のようにスライドカバー37を構成して、スライドカバー37により排出口7bを開いた状態から、固定具46を解除した上で、補助具39によってスライドカバー37を少し引き上げて前方にスライド移動させ、プレート45をフック44に係合させて固定具46を操作することにより、排出口7bを閉じることができる。また、スライドカバー37により排出口7bを閉じた状態から、固定具46を解除した上でプレート45とフック44の係合を解除し、補助具39によってスライドカバー37を上方に少し引き上げて後方にスライド移動させて固定具46を操作することにより、排出口7bを開くことができる。
【0048】
〔乗用型芝刈り機の作業形態〕
図4〜図10に基づいて、この乗用型芝刈り機で現出可能な2つの作業形態について説明する。図4,図6,図8,図10に示すように、揺動カバー30を上方へ揺動させて起立姿勢に姿勢変更し、スライドカバー37を前方へスライド移動させて排出口7bを閉じると、スライドカバー37に固定された支持具33が揺動カバー30のアーム31Rの下方に移動する。そして、スライドカバー37をモーアデッキ7に固定して、刈草をモーアデッキ7内に滞留させて細かく切断するマルチング形態を現出し、揺動カバー30から手を離すと、アーム31Rの係合部31RCが支持具33の接当部33Bに接当して、揺動カバー30が起立姿勢で保持される。この場合、ねじりバネ35の付勢力が係合部31RCを接当部33に押し付ける方向に作用して、揺動カバー30のガタツキを防止でき、揺動カバー30を安定して保持できる。このように、スライドカバー37に固定された支持具33、アーム31Rに形成された係合部31RCによってスライドカバー37を起立姿勢で保持する保持機構が構成されている。
【0049】
図5,図7,図9,図10に示すように、スライドカバー37を後方へスライド移動させて排出口7bを開くと、スライドカバー37に固定された支持具33が後方に移動し、揺動カバー30の下方への揺動が許容される。そして、スライドカバー37をモーアデッキ7に固定して、刈り取った刈草をモーアデッキ7内から車外右後方に排出させるサイドディスチャージ形態を現出し、揺動カバー30から手を離すと、揺動カバー30が倒伏姿勢に姿勢変更される。
【0050】
以上のように、揺動カバー30及びスライドカバー37を構成して、マルチング形態及びサイドディスチャージ形態の2つの作業形態を現出可能に構成することにより、それぞれの作業形態の切り替えを簡易迅速に行うことができるだけでなく、スライドカバー37や揺動カバー30等の部品をモーアデッキ7から取り外さなくても、マルチング形態とサイドディスチャージ形態の作業形態の切り替えを行うことができる。更に、揺動カバー30を起立姿勢で保持することにより、マルチング形態での揺動カバー30がモーアデッキ7の右外方に突出しなくなるため、マルチング形態でのモーアMの全幅を狭く抑えることができ、刈り残しを発生させることなく、モーアデッキ7の左右両側を壁際や隣接芝(既に刈り取った隣接する芝)に寄せて芝を刈り取ることができる。
【0051】
〔リンク機構の詳細構造〕
図1及び図11に基づいて、リンク機構4の詳細構造について説明する。図1に示すように、リンク機構4は、昇降リンク50と、前部リンク54と、前部及び後部ブラケット55,56と、連係部材61と、連係ボルト62とを備えて構成されている。
【0052】
昇降リンク50の前端部は、支持ブラケット53を介して左右方向の軸心周りで車体フレーム63に枢支連結されており、昇降リンク50の後端部は、後部ブラケット56を介してモーアデッキ7の後部に左右方向の軸心周りで枢支連結されている。昇降リンク50の前後中央部には、前部リンク54の一端部が左右方向の軸心周りで枢支連結されており、この前部リンク54の他端部がモーアデッキ7から上方に延出された前部ブラケット55に左右方向の軸心周りで枢支連結されている。
【0053】
運転座席57の下部に、昇降レバー58に連係された操作アーム59が左右方向の軸心周りに揺動可能に支持されており、この操作アーム59の先端部に連係ピン60が固定されている。操作アーム59の先端部は、連係部材61及び連係ボルト62を介して昇降リンク50の後部と連係されており、昇降レバー58を操作することにより、操作アーム59を揺動させると、昇降リンク50の後部が揺動して、前部及び後部ブラケット55,56を介してモーアMを昇降できるように構成されている。
【0054】
図11に示すように、昇降リンク50の後端部には、先端部に横向きの連係穴51aが加工された帯板状の第1部材51が固着されており、この第1部材51の外方側に所定の隙間を開けて第2部材52が固定されている。第2部材52の後端部には、切欠き部52aが形成されており、この切欠き部52aの下方に位置する先端下部52cが内方側に折り曲げられて第1部材51に固着されている。
【0055】
以上のように、昇降リンク50の後端部を構成することにより、図11(イ)に示す連係ボルト62が前後向きになった状態から連係ボルト62の先端部を第1部材51の連係穴51aに外方側から挿入し、図11(ロ)に示すように、連係ボルト62を上方へ揺動させて操作アーム59に連係された連係部材61と連結することにより、昇降リンク50の後部と連係部材61とを連係ボルト62で連結することができる。図11(ロ)に示す連係ボルト62を上方へ揺動し連係部材61を介して操作アーム59と連係した状態では、連係ボルト62の先端部(下端部)が第1部材51の先端部と第2部材52の先端上部52bとの間に挟まれて、横方向の移動が規制される。
【0056】
その結果、例えば昇降リンク50の後部と連係ボルト62とを割りピン等(図示せず)によって連結する場合に比べ、割りピンを着脱するニッパー等の工具(図示せず)を使用せずに昇降リンク50の後部と連係ボルト62とを簡易迅速に着脱することができ、リンク機構4の組立作業及びメンテナンス作業(モーアMのメンテナンス作業)の作業性を向上させることができる。
【0057】
〔ボンネットの開閉構造〕
図1,図12〜図14に基づいて、ボンネット65の開閉構造について説明する。図1に示すように、ボンネット65は、車体フレーム63から前方に延出された前部フレーム64の先端部に左右のブラケット66を介して揺動開閉可能に装着されており、ボンネット65を前方に揺動させることで、エンジン5等の上方を開放してエンジン5等のメンテナンスを行うことができる。
【0058】
図12〜図14に示すように、左右のブラケット66は、縦平板状の板材によって構成されており、一端部に内方側に折り曲げ成形された取付部66aが形成されており、この取付部66aに樹脂製のボンネット65が締め付け固定されている。ブラケット66の取付部66aとは逆側の他端部には、側面視での形状が扇形の開口部66bが形成されており、この開口部66bを外方側から覆うように板状部材67が固着され、この板状部材67にピン挿入穴67aが形成されている。
【0059】
前部フレーム64の先端部には、先端部に抜止め用のフランジ部68aが形成されたピン68が横外方に延出されており、このピン68の下方に固定部材69が固着されている。
【0060】
図14(ロ)に示すように、ボンネット65を前部フレーム64に組み付ける場合には、板状部材67のピン挿入穴67aを上下に並んで配設されたピン68及び固定部材69に位置決めし、上方からブラケット66をピン68及び固定部材69に差し込むことで、板状部材67のピン挿入穴67aにピン68及び固定部材69が入り込む。そして、ボンネット65を後方に倒すことで、固定部材69がブラケット66の開口部66bに係合して、ブラケット66の上方への移動がピン68及び固定部材69によって規制される。一方、ボンネット65を前部フレーム64から取り外す場合には、ボンネット65を後方に揺動させて板状部材67のピン挿入穴67aを上下に並んで配設されたピン68及び固定部材69に位置決めし、固定部材69のブラケット66の開口部66bへの係合を解除して、ボンネット65を上方へ引き上げる。
【0061】
上記のようなボンネット65の着脱構造を採用することにより、ボンネット65を取り外してエンジン5等のメンテナンスを行うことができ、メンテナンス作業の作業性を向上できるだけでなく、例えばボンネット65をボルトやナット等により着脱する場合(図示せず)に比べ、工具等を用いずにワンタッチで簡易迅速にボンネット65を着脱することができ、メンテナンス作業の作業性を更に向上できる。
【0062】
図14(イ)に示すように、ボンネット65を全閉にした全閉状態と、ボンネット65を全開にした全開状態との間に位置する中間状態でのみボンネット65を取り外し可能に構成されているため、例えばボンネット65を取り外さなくても行える簡易なメンテナンス作業や燃料タンク(図示せず)へ燃料を補給する場合には、ボンネット65を全開状態に揺動しボンネット65を取り外さずにエンジン5等のメンテナンスや燃料の補給等を行うことができる。その結果、メンテナンス作業の作業内容等に応じてボンネット65の着脱を選択することができ、メンテナンス作業の作業性を更に向上できる。
【0063】
〔パーキングブレーキペダル及びHSTペダルのロック構造〕
図1及び図15に基づいて、パーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72のロック構造について説明する。図1に示すように、運転座席57に着座した運転者の右足付近にパーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72が配設されている。パーキングブレーキペダル71は、右及び左の後輪2に装着された右及び左の後輪ブレーキ(図示せず)に連係されており、パーキングブレーキペダル71を踏み込み操作することにより右及び左の後輪ブレーキが作動する。HSTペダル72は、伝動ケース27に装備されたHST(静油圧式無段変速装置)に連係されており、HSTペダル72を踏み込み操作することにより乗用型芝刈り機を変速操作する。なお、パーキングブレーキペダル71は、踏み込み操作していない状態では、後輪ブレーキが作動していない状態に付勢されており、HSTペダル72は、踏み込み操作していない状態では、中立位置に付勢されている。
【0064】
図15に示すように、パーキングブレーキペダル71に連係されたブラケット71A及びHSTペダル72に連係されたブラケット72Aが、左右方向の軸心P4周りにそれぞれ独立して揺動可能に支持されている。ステアリングハンドル73の下部を覆う下部カバー74の内部に左右方向の軸心P5周りにロック具75が揺動自在に支持されており、このロック具75の上部から下部カバー74の右側方に操作部75aが延出されている。
【0065】
パーキングブレーキペダル71に連係されたブラケット71Aから側方に係合部71aが延出されており、このパーキングブレーキペダル71の係合部71aは正面視でロック具75と重なる位置に配設されている。HSTペダル72に連係されたブラケット72Aから側方に係合部72aが延出されており、このHSTペダル72の係合部72aは正面視でロック具75と重なる位置に配設されている。ロック具75の下端部には、パーキングブレーキペダル71の係合部71と係合する第1切欠部75bと、HSTペダル72の係合部72aと係合する第2切欠部75cとが形成されている。
【0066】
図15(イ)に示すロック具75が後方に揺動操作された解除状態から、パーキングブレーキペダル71を踏み込み操作してロック具75を前方に揺動操作すると、図15(ロ)に示すように、ロック具75の第1切欠部75bがパーキングブレーキペダル71の係合部71aに係合して、パーキングブレーキペダル71を踏み込んで後輪ブレーキが作動した状態が保持されたロック状態を現出できる。また、ロック具75の第2切欠部75cがHSTペダル72の係合部72aに係合して、HSTペダル72を踏み込み操作することができないロック状態を現出できる。
【0067】
一方、図15(ロ)に示すロック具75が前方に揺動操作されたロック状態から、パーキングブレーキペダル71を踏み込み操作してロック具75を後方に揺動操作すると、図15(イ)に示すように、ロック具75の第1切欠部75bのパーキングブレーキペダル71の係合部71aへの係合、及びロック具75の第2切欠部75cのHSTペダル72の係合部72aへの係合が解除されて、パーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72の踏み込み操作が可能な解除状態を現出できる。
【0068】
上記のように、ロック具75によってパーキングブレーキペダル71をロックすると共に、HSTペダル72をロックすることにより、パーキングブレーキペダル71による後輪ブレーキの保持と同時にHSTペダル72の操作を牽制することができ、HSTペダル72の誤操作を防止できる。その結果、例えばパーキングブレーキペダル71をロックし後輪ブレーキが作動している状態で、HSTペダル72が踏み込み操作されて(後輪ブレーキが作動している状態で乗用型芝刈り機を走行させて)、後輪ブレーキ及びHSTに無理な力が作用して、後輪ブレーキ及びHSTが故障することを防止できる。
【0069】
また、一つのロック具75によって、パーキングブレーキペダル71及びHSTペダル72をロックできるように構成することにより、例えば別々のロック具(図示せず)を設けた場合に比べ、ロック具75の掛け忘れを防止できると共に、ロック具75の操作性を向上させることができる。
【0070】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、開閉部材としてのスライドカバー37をモーアデッキ7に沿ってスライド移動させるように構成した例を示したが、モーアデッキ7の排出口7aを開閉可能であれば開閉部材として異なる構成を採用してもよく、例えば着脱式の開閉部材(図示せず)によってモーアデッキ7の排出口7aを開閉可能に構成してもよい。
【0071】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、案内部材としての揺動カバー30をモーアデッキ7に揺動自在に支持し、起立姿勢と倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成した例を示したが、起立姿勢と倒伏姿勢とに姿勢変更可能であれば案内部材として異なる構成を採用してもよく、例えば案内部材をモーアデッキ7から着脱することにより姿勢変更可能に構成してもよい。
【0072】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、アーム31Rの接当部31RCと支持具33とによって、揺動カバー30を起立姿勢で保持できるように、保持機構を構成した例を示したが、揺動カバー30を起立姿勢で保持する保持機構として異なる構成を採用してもよく、例えばモーアデッキ7の上部又は揺動カバー30にチェーンやステー等の保持具(図示せず)を備え、この保持具によって起立姿勢での揺動カバー30とモーアデッキ7とを連結することにより、揺動カバー30を起立姿勢で保持できるように構成してもよい。
【0073】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、モーアデッキ7の右側にスライドカバー37及び揺動カバー30を装着し、サイドディスチャージ形態で右外方に刈草を排出するように構成した例を示したが、モーアデッキ7の左側にスライドカバー37及び揺動カバー30を装着し、サイドディスチャージ形態で左外方に刈草を排出するように構成してもよい。
【0074】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、モーアMに2枚の回転ブレード8,9を装備したツインブレード構造を採用した乗用型芝刈り機を例に示したが、モーアMに3枚のブレード(図示せず)を装備したトリプルブレード構造を採用した乗用型芝刈り機にも同様に適用できる。
【0075】
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、前輪1と後輪2の間の下腹部にモーアMを連結した乗用型芝刈り機(いわゆるゼロターンモーア)を例に示したが、前輪1の前方にモーアMを連結した乗用型芝刈り機(いわゆるフロントモーア(図示せず))の場合にも同様に適用できる。また、乗用型芝刈り機に限らず、歩行型芝刈り機のモーアMにおいても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】乗用型芝刈り機の全体左側面図
【図2】マルチング形態でのモーアの全体平面図
【図3】マルチング形態でのモーアの横断平面図
【図4】マルチング形態でのモーア右側部の平面図
【図5】サイドディスチャージ形態でのモーア右側部の平面図
【図6】マルチング形態でのモーアの右側面図
【図7】サイドディスチャージ形態でのモーアの右側面図
【図8】マルチング形態でのモーア右側部の縦断背面図
【図9】サイドディスチャージ形態でのモーア右側部の縦断背面図
【図10】揺動カバーの開閉構造を説明する斜視図
【図11】リンク機構の構造を説明する斜視図
【図12】ボンネットの開閉構造を説明する斜視図
【図13】ボンネットの開閉構造を説明する縦断正面図
【図14】ボンネットの開閉構造を説明する縦断側面図
【図15】HSTペダルのロック構造を説明する概略縦断側面図
【符号の説明】
【0077】
7 モーアデッキ
7a 排出口
8 回転ブレード
9 回転ブレード
30 揺動カバー(案内部材)
33 支持具
37 スライドカバー(開閉部材)
M モーア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーアデッキの内部に縦軸心周りに回転駆動される複数の回転ブレードを並列配備するとともに、前記モーアデッキの側部に前記回転ブレードで刈り取った刈草を排出する排出口を備えてあるモーアにおいて、
前記排出口を開閉可能な開閉部材と、前記排出口からの刈草を横外方に案内する案内部材とを備え、
前記案内部材を、起立した起立姿勢と倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成するとともに、
前記案内部材を起立姿勢で保持する保持機構を備えてあるモーア。
【請求項2】
前記開閉部材により排出口を閉じた状態であると、前記案内部材を起立姿勢に保持し、前記開閉部材により排出口を開いた状態であると、前記案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更を許容するように、前記保持機構を構成してある請求項1記載のモーア。
【請求項3】
前記排出口を閉じた状態で前記起立姿勢での案内部材を支持する支持具を前記開閉部材に備えて、前記保持機構を構成してある請求項2記載のモーア。
【請求項1】
モーアデッキの内部に縦軸心周りに回転駆動される複数の回転ブレードを並列配備するとともに、前記モーアデッキの側部に前記回転ブレードで刈り取った刈草を排出する排出口を備えてあるモーアにおいて、
前記排出口を開閉可能な開閉部材と、前記排出口からの刈草を横外方に案内する案内部材とを備え、
前記案内部材を、起立した起立姿勢と倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成するとともに、
前記案内部材を起立姿勢で保持する保持機構を備えてあるモーア。
【請求項2】
前記開閉部材により排出口を閉じた状態であると、前記案内部材を起立姿勢に保持し、前記開閉部材により排出口を開いた状態であると、前記案内部材の倒伏姿勢への姿勢変更を許容するように、前記保持機構を構成してある請求項1記載のモーア。
【請求項3】
前記排出口を閉じた状態で前記起立姿勢での案内部材を支持する支持具を前記開閉部材に備えて、前記保持機構を構成してある請求項2記載のモーア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−278818(P2008−278818A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126946(P2007−126946)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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