モーターの電機子コイル
【課題】モーターの効率を上げローターの回転力を発生させている電機子コイルからの電力回生の逆電流として流れる逆起電力によるトルク損失を取り去り、永久磁石型モーターの出力効率をより高めたうえ、通電駆動時に電力回生をしようとするものである。
【解決手段】馬蹄型状の空芯コイルとその中に設けた円形空芯コイルとマグネットローターの形状の組み合わせにより生じる磁気パターンを利用し、運動起電力の逆トルクを取り去り、通電駆動時のモーターの電機子コイルから電力回生を行う。
【解決手段】馬蹄型状の空芯コイルとその中に設けた円形空芯コイルとマグネットローターの形状の組み合わせにより生じる磁気パターンを利用し、運動起電力の逆トルクを取り去り、通電駆動時のモーターの電機子コイルから電力回生を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石型モーターの電機子コイルと回生電力に関するものである。
【背景技術】
【0002】
永久磁石型モーター技術では、その永久磁石あるいは電機子によるローターのタイプは、フラットローター、インナーローター、アウターローターの三種が考案されており、それぞれ電力を動力に変換する電磁コイルが永久磁石との相対的回転面に対向する位置に複数円形配置して設けてある。
永久磁石の磁極に対して、回転方向に電磁コイルによる磁気力を作りモーターを回転させている。
この円形配置に設けられたモーター電機子コイルは、永久磁石の磁界と導体コイルとの相対的回転運動により、電磁誘導を行う発電技術としても知られた技術で、例えば電動車の下り坂道慣性走行時に電力回生電磁ブレーキ、つまりモーター外部からの強制回転により発電させ、その発電電力によって生じる逆トルクの制動利用や電力回生技術が良く知られている。
永久磁石型モーターを機械的に強制回転させた場合は発電機となる特徴を利用し、電力回生を行う技術として電源に使用するバッテリーへの蓄電によりバッテリーの消耗時間を引き延ばす効果があるため、電動車両等の走行距離や走行時間などの高効率化を図る上で必要不可欠の技術としてより効率の良い技術の開発が望まれている。
しかしその反面、モーターとして通電回転駆動させているときの逆トルクなどの回転損失の問題を抱えている。
モーターでありながら発電させる効率も求められたことにより、電機子と永久磁石の磁極数は増加、また、電機子には多くの強磁性材が使用され、鉄と磁石との引き合い力によって生じるコギングトルクなどのトルク損失問題や、磁極を多極とすることによって回転速度が減衰するなどの問題を抱えるようになった。
これらモーターを回している真の力の源は電磁コイルであり、その電磁コイルの性能を上げる方法は磁性体の材料の工夫か芯にコイルを巻き回したときの巻き線密度の増加方法に頼らざるを得なかった。
その一方、強磁性体のコアによる問題をもたない空芯コイルによるモーターがある。
従来の技術では、鉄芯などの強磁性体をコアに持たない空芯コイルによる永久磁石型の直流モーターは特開示2002−27781で技術開示されている。
特開示2002−27781で開示された技術情報によれば、空芯コイルでのトルク損失は、人工衛星に使用される高性能300Wクラスの空芯コイルモーターで10%あり、そのうちのコイル渦電流による逆トルク損失が7%であるということで、そのトルク損失を軽減するために、空芯コイルにダイオードの逆起電力による電流逆流を防止する回路を設けたものとして技術開示された。
このような従来の技術を持ってしても、逆起電力のトルク損失を5分の3にすることができるに留まっており、モーター駆動時のコイルと永久磁石の電磁誘導そのものによってもたらされる原理的な逆電流の発生を取り去る技術には至っていないものであった。
また、空芯コイルの特徴でもあるコギングレスや鉄との引き合いによるトルク損失がないとは言え、起電力を回生電力として取り出すには、逆トルクが加わるという、回転損失による回生方法に頼らざるを得なかった。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開示2002−27781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモーター技術により電力回生を行う場合などは、モーターのトルクを発生させるコイルに対して電力供給を止めた状態の慣性による回転から、永久磁石の相対的回転運動により、逆起電力を生じさせる発電機の原理による電力回生を積極的に利用するものであり、その逆起電力による回転損失を、モーター電機子コイルに対して電源供給が行われていない無給電時に、モーターのローターおよび連結された回転体の慣性モーメントに対する発電ブレーキ制動として働かせる目的のものであった。
また、空芯コイルのモーターにおいても、コイルそのものに働く逆起電力を回転原理的に減少させるものではなかった。
そのため、電源より電力が供給されている閉回路状態でのモーター駆動時の回転出力に対しては、コイル逆電流として流れる逆起電力による電流の逆流による回転損失を無くすことはできず、モーターの原理に関係した高効率化に関しては負の要因としての解決すべき課題を残しているものである。
従って発明が解決しようとする課題は、モーターの効率を上げローターの回転力を発生させている電機子コイルからの電力回生の逆電流として流れる逆起電力によるトルク損失を取り去り、永久磁石型モーターの出力効率をより高めたうえ、通電駆動時に電力回生をしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための手段の第一は、
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円盤状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、円盤状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイルである。
手段の第二は、
手段の第一に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、手段の第一に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、手段の第一に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させるモーターである。
手段の第三は、
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円筒状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で、円筒高さ方向に二つに分割するように設けられて、円筒状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイルである。
手段の第四は、
手段の第三に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、手段の第三に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、手段の第三に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させるモーターである。
手段の第五は、
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ杯状または同類形状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、杯状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイルである。
手段の第六は、
手段の第五に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、手段の第五に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、手段の第五に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させるモーターである。
【発明の効果】
【0006】
次に、本発明の基本的な技術の着眼点から説明する。
一次コイルの回りに二次コイルを巻いた二つの空芯コイルによるコイル同士の相互誘導を利用する。
コイルの形には関係なく電磁誘導は起こる。
一次コイルをモーターのコイルとした場合、二次コイルは、永久磁石に対しては発電機のコイルとして作用する。
二次コイルの起電力は一次コイル電力のコイル同士の相互誘導による起電力と永久磁石磁界の運動によって生じた逆起電力との和である。
以上が着眼点であるが、本発明は、二つのコイルの形状と永久磁石の形状と配置により次のような効果をもたらす。
図1に示した空芯コイルは楕円片側を凹ませた馬蹄型をしているが、馬蹄型空芯コイルは複数円盤状に隙間なく配置並べることができる。図2。
図2に示した馬蹄型空芯コイルは隙間なく合理的に12個配置されているが、12個に限るものではない。
この馬蹄型空芯コイルは、前記着眼点で説明した二つのコイルの一方に相当するもので、材料は一般の絶縁コーテイングされた銅線が相応しいが、コイル断面形状はどのようなものでもかまわないし、また線材も他の伝導体でもよい。
この図2の馬蹄型空芯コイルは順次交互に逆巻きとなって直列または並列に結線してある。
その表または裏から、あるいは表裏から挟み込むように、図2の馬蹄型空芯コイルと同数の図3に示すマグネットローターの界磁磁極面を馬蹄型空芯コイルに対向して回転させると、順次N極、S極と放射状に並んだ磁界が、馬蹄型空芯コイルに起電力を生じさせる。
表裏からマグネットローターを対向させた場合は、異極の磁極面が対向するようにマグネットローターを二枚設ける。馬蹄型空芯コイルを表裏から異極が挟み込んでいる磁界が最も相応しいが、表裏のどちらか一方からの磁界の回転でも良い。
このときに生じる運動起電力は、フレミングの法則どおり、e=Blv sinθである。
ここでlは導体の長さ、vは導体の動く早さ、θはvとB(磁束密度)との間の角度である。
また、このときに生じる正弦波の最大起電力時、例えば図3のマグネットローターを左に回転させた場合、その最大起電力を生じる磁石の位置は図4に示すとおり馬蹄型空芯コイルの隣同士が並んで一体となっている巻き線の真上の位置にあり、隣同士の馬蹄型空芯コイルに、それぞれ逆巻きにコイル電流が流れ、隣り合った馬蹄型の空芯コイルはマグネットローターに対向する面に、マグネットローターの永久磁石N極の左にN極、右にS極が生じている。
このときのコイル電流はマグネットローターの回転運動によって生じた運動起電力で、直列または並列につながったコイル両端の端子に負荷を繋いだ閉回路にして生じさせるコイル電流、つまり起電力の出力電力である。
このコイル電流によって生じたコイルの磁極は、マグネットローターの磁極に対して回転方向に位置する馬蹄型空芯コイルの磁極は同極となっており回転を止めようとする反発力を生じており、回転方向の反対方向に位置する馬蹄型空芯コイルの磁極は異極となって、吸引力により回転を止めようとする力を生じている。
前記馬蹄型空芯コイルではなく、もう一つの円形空芯コイルを設けてマグネットローターをモーターとして回転させるため、円形空芯コイルは順次交互に逆巻きとなって直列にまたは並列に結線してあるが、本発明は、この円形空芯コイルでモーターの駆動力を得ている時に、二次電力を出力させる構造を次のように作って作用させている。
その第一の構造は、図2に示した馬蹄型の空芯コイルの内側に図5に示したもう一つの円形空芯コイルを設けたことである。
図5の円形空芯コイルは、円形に巻き回されて、馬蹄型空芯コイルの中心に位置しているが、この円形空芯コイルは、馬蹄型空芯コイルの中に設けられているので、どちらか一方に交流または直流を周期的に逆転整流した電流を流すと、もう一方の空芯コイルにも電流を逆向きに流す相互誘導を起こす二重の空芯コイルでもある。
円形空芯コイルにモーターとしての駆動電力を直流電源から得てマグネットローターを回す整流回路を設けることでモーターとなるが、マグネットローターを回転位置検出センサで位置検出し、その信号で半導体パワー素子を開閉させて整流して、ブラシレスモーターとして回転させてもよく、また整流子のブラシコミューテーターで電力入力し回転させても良い。
図3の磁石で構成されているマグネットローターを左回転させるときで説明するが、その時の電流の整流で現れる磁極パターンを図6に示す。
マグネットローターを左回転させている時、円形空芯コイルには永久磁石に対向する面で磁石N極の左側にS極、右側にN極が生じるように、また磁石S極の左側にN極、右側にS極が生じるように円形空芯コイルに電流を電源より整流し流している。
この状態のとき、馬蹄型空芯コイルには、永久磁石の磁界により運動起電力が生じているが図4、その時の磁極パターンはマグネットローターの回転を妨げるものであったものが、円形空芯コイルが馬蹄型空芯コイルを遠心方向と向心方向に分割していることによって、馬蹄型空芯コイルの界磁エリアが分割され図6に示す磁極パターンとなっている。
マグネットローターの回転方向に円形空芯コイルが正方向のトルクを生じさせて、逆トルクとなる馬蹄型空芯コイルの界磁エリアを分割したことによって、マグネットローターを遠心方向と向心方向に押す力に変えている。
その時の力の作用の方向は図7に示すとおりとなり、マグネットローターは馬蹄型空芯コイルの運動起電力による逆トルクを全く受けていないことが分かる。
更に、この円形空芯コイルと馬蹄型空芯コイルのコイル間に働く相互誘導は、相互の電力により相互に電流を流しやすくしており、モーター入力電力と馬蹄型空芯コイルによる運動起電力の出力に対して、入出力の効率を良くする効果を与えている。
図6に示した磁極パターンは、マグネットローターを左回転させたときのものであるが、本効果は右回転させた場合は図8に示す磁極パターンとなっていて、馬蹄型空芯コイルの逆起電力の界磁は、マグネットローターを遠心方向と向心方向に引っ張る力として働き、その力の作用の方向は図9に示すとおりに、マグネットローターは馬蹄型空芯コイルの運動起電力による逆トルクを全く受けていないことが分かる。
以上が第一の構造による発明の効果である。
つぎに本発明の第二の構造による効果を説明する。
図3のマグネットローターの磁極面を図10で示すように図2の馬蹄型空芯コイルと反対向きの馬蹄型磁極面としたものである。
本明細では、この永久磁石の磁極面形状を馬蹄型として表すが、馬蹄型の二つの腕先端方向に磁極を伸ばした位置に同磁極を設けた界磁形状でも良いことを意味する。
図11は図10の馬蹄型磁極面の永久磁石を設けたマグネットローターを左方向に回転するモーターのローターとした場合の磁極パターンを示したものである。
図12は右回転のモーターとした場合の磁極パターンを示したものである。
馬蹄型空芯コイルの二つの界磁した先端に馬蹄型磁極面の磁極先端が位置しているが、馬蹄型空芯コイルに生じた運動起電力による界磁が馬蹄型磁極面の二つの磁極先端を左回りでも右回りでも回転方向に引き入れようと働いており、本発明の電機子コイルとマグネットローターは運動起電力を正トルクに変換し働かせている。
以上の効果はモーターによる電力回生の利用を、次のような効果をもたらしながら行うことができるものである。
その効果の第一は、モーターを通電駆動させている常態で、トルク損失なく二次電力を交流で出力できる。
その効果の第2は、モーターを通電駆動させている状態で、二次電力を交流で出力できて同時に回転トルクにトルク回生が行える。
以上が本発明の効果である。
また、本発明およびその効果は、フラットタイプのマグネットローターおよびフラットタイプの電機子コイルの扁平円盤形状に限るものではなく、図13の円筒形状のマグネットローターと電機子コイルの組み合わせでも、また図14の杯型などの対面回転できる形状であれば良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は馬蹄型空芯コイルの形状平面図である。
【図2】は馬蹄型空芯コイルの配置平面図である。
【図3】はマグネットローターの平面図である。
【図4】は最大起電力時の磁石の位置を示した図である。
【図5】は円形空芯コイルの配置平面図である。
【図6】は左回転のときの磁極パターン図である。
【図7】は力の作用の方向の図である。
【図8】は右回転のときの磁極パターン図である。
【図9】は力の作用の方向の図である。
【図10】マグネットローターの磁極面の平面図である。
【図11】は左回転のときの磁極パターン図である。
【図12】は右回転のときの磁極パターン図である。
【図13】は円筒形状の斜視図である。
【図14】は杯形状の斜視図である。
【図15】は実施形態の組図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図15に示す形態は本発明の一例であり、それは以下のように実施する。
図1の馬蹄型空芯コイルは、最初馬蹄型の括れ二つ分の楕円形の大きさにエナメル銅線を用いて楕円形に例えば100ターン扁平巻き回したものを、馬蹄型の括れの部分を作るように中心方向に凹ませ成型する。
図2のように図1の馬蹄形空芯コイルを図15の樹脂等の非磁性材の中央に穴を設けた電機子保持円盤Cに接着等の方法を用いて12個設ける。
そのとき、馬蹄型空芯コイルAの二つの先端がとなりの馬蹄型空芯コイルBに15度覆いかぶさるように設ける。
それぞれの馬蹄型空芯コイルの巻き始めと巻き終わりの巻き線両端を、となりの馬蹄形空芯コイルと逆巻きとなるように順次結線して行き、結線1番目の馬蹄型空芯コイルAの巻き始めと12番目の馬蹄型空芯コイルBの結線により出来た巻き終わりの巻き線からリード線を二本引き出して電力回生のための電気出力端子、図15のD1、D2とする。
次に円形空芯コイルを馬蹄型空芯コイルの中に納まる大きさで、同じ巻き線材料で例えば100ターン巻き回したものを図5のように馬蹄型空芯コイルの中に接着等の方法により設け、円形空芯コイルの巻き始めと巻き終わりの巻き線両端を、となりの円形空芯コイルと逆巻きとなるように順次結線して行き、結線1番目の円形空芯コイルaの巻き始めと12番目の円形空芯コイルbの結線により出来た巻き終わりの巻き線からリード線を二本引き出して、モーター電力の電気入力端子、図15のE1、E2とする。
シャフトFを電機子コイルHの中央穴に通し、シャフトFに図10に示したマグネットローターG1を固定して設け、電機子コイルHに馬蹄型永久磁石界磁面が馬蹄型空芯コイルの馬蹄型と反対向きになるよう対向させ僅かな空隙を作るように設け、電機子コイルHを挟んでもう一つのマグネットローターG2を対向する永久磁石の界磁が異極となるように同じように設ける。
ベアリングホルダーJ1とJ2のベアリングにシャフトFを通し、電機子コイルFを挟み込んでマグネットローターG1、G2が回転できるようにしてモーター筐体IにベアリングホルダーJ1、J2で上下よりマグネットローターG1、G2を保持して、モーター筐体Iの側面で電機子コイルHを固定子として固定保持する。
以上のように装置したモーターの電力入力電気接点E1、E2に回転角30度のマグネットローターの回転に同期した反転整流の電力を入力するが、図15のブラシコミューテーターKはシャフトFと一体に回転してDC電源に接続されて、円形空芯コイルの界磁中心位置よりマグネットローターの界磁磁極の中心が回転方向に10度進んだ時に、入力電気接点E1とE2の負荷電圧を交代させるように一回転12サイクルの整流に調整されている。
回生電力の出力はマグネットローター1回転で12サイクルの交流として、出力電気接点D1、D2に出力される。
【符号の説明】
【0009】
A・・・巻き始め馬蹄型空芯コイル
B・・・巻き終わり馬蹄型空芯コイル
a・・・巻き始め円形空芯コイル
b・・・巻き終わり円形空芯コイル
C・・・非磁性材の電機子保持円盤
D1・・電気出力端子
D2・・電気出力端子
E1・・電気入力端子
E2・・電気入力端子
F・・・シャフト
G1・・マグネットローター
G2・・マグネットローター
H・・・電機子コイル
I・・・モーター筐体
J1・・ベアリングホルダー
J2・・ベアリングホルダー
K・・・ブラシコミューテーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石型モーターの電機子コイルと回生電力に関するものである。
【背景技術】
【0002】
永久磁石型モーター技術では、その永久磁石あるいは電機子によるローターのタイプは、フラットローター、インナーローター、アウターローターの三種が考案されており、それぞれ電力を動力に変換する電磁コイルが永久磁石との相対的回転面に対向する位置に複数円形配置して設けてある。
永久磁石の磁極に対して、回転方向に電磁コイルによる磁気力を作りモーターを回転させている。
この円形配置に設けられたモーター電機子コイルは、永久磁石の磁界と導体コイルとの相対的回転運動により、電磁誘導を行う発電技術としても知られた技術で、例えば電動車の下り坂道慣性走行時に電力回生電磁ブレーキ、つまりモーター外部からの強制回転により発電させ、その発電電力によって生じる逆トルクの制動利用や電力回生技術が良く知られている。
永久磁石型モーターを機械的に強制回転させた場合は発電機となる特徴を利用し、電力回生を行う技術として電源に使用するバッテリーへの蓄電によりバッテリーの消耗時間を引き延ばす効果があるため、電動車両等の走行距離や走行時間などの高効率化を図る上で必要不可欠の技術としてより効率の良い技術の開発が望まれている。
しかしその反面、モーターとして通電回転駆動させているときの逆トルクなどの回転損失の問題を抱えている。
モーターでありながら発電させる効率も求められたことにより、電機子と永久磁石の磁極数は増加、また、電機子には多くの強磁性材が使用され、鉄と磁石との引き合い力によって生じるコギングトルクなどのトルク損失問題や、磁極を多極とすることによって回転速度が減衰するなどの問題を抱えるようになった。
これらモーターを回している真の力の源は電磁コイルであり、その電磁コイルの性能を上げる方法は磁性体の材料の工夫か芯にコイルを巻き回したときの巻き線密度の増加方法に頼らざるを得なかった。
その一方、強磁性体のコアによる問題をもたない空芯コイルによるモーターがある。
従来の技術では、鉄芯などの強磁性体をコアに持たない空芯コイルによる永久磁石型の直流モーターは特開示2002−27781で技術開示されている。
特開示2002−27781で開示された技術情報によれば、空芯コイルでのトルク損失は、人工衛星に使用される高性能300Wクラスの空芯コイルモーターで10%あり、そのうちのコイル渦電流による逆トルク損失が7%であるということで、そのトルク損失を軽減するために、空芯コイルにダイオードの逆起電力による電流逆流を防止する回路を設けたものとして技術開示された。
このような従来の技術を持ってしても、逆起電力のトルク損失を5分の3にすることができるに留まっており、モーター駆動時のコイルと永久磁石の電磁誘導そのものによってもたらされる原理的な逆電流の発生を取り去る技術には至っていないものであった。
また、空芯コイルの特徴でもあるコギングレスや鉄との引き合いによるトルク損失がないとは言え、起電力を回生電力として取り出すには、逆トルクが加わるという、回転損失による回生方法に頼らざるを得なかった。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開示2002−27781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモーター技術により電力回生を行う場合などは、モーターのトルクを発生させるコイルに対して電力供給を止めた状態の慣性による回転から、永久磁石の相対的回転運動により、逆起電力を生じさせる発電機の原理による電力回生を積極的に利用するものであり、その逆起電力による回転損失を、モーター電機子コイルに対して電源供給が行われていない無給電時に、モーターのローターおよび連結された回転体の慣性モーメントに対する発電ブレーキ制動として働かせる目的のものであった。
また、空芯コイルのモーターにおいても、コイルそのものに働く逆起電力を回転原理的に減少させるものではなかった。
そのため、電源より電力が供給されている閉回路状態でのモーター駆動時の回転出力に対しては、コイル逆電流として流れる逆起電力による電流の逆流による回転損失を無くすことはできず、モーターの原理に関係した高効率化に関しては負の要因としての解決すべき課題を残しているものである。
従って発明が解決しようとする課題は、モーターの効率を上げローターの回転力を発生させている電機子コイルからの電力回生の逆電流として流れる逆起電力によるトルク損失を取り去り、永久磁石型モーターの出力効率をより高めたうえ、通電駆動時に電力回生をしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための手段の第一は、
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円盤状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、円盤状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイルである。
手段の第二は、
手段の第一に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、手段の第一に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、手段の第一に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させるモーターである。
手段の第三は、
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円筒状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で、円筒高さ方向に二つに分割するように設けられて、円筒状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイルである。
手段の第四は、
手段の第三に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、手段の第三に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、手段の第三に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させるモーターである。
手段の第五は、
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ杯状または同類形状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、杯状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイルである。
手段の第六は、
手段の第五に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、手段の第五に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、手段の第五に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させるモーターである。
【発明の効果】
【0006】
次に、本発明の基本的な技術の着眼点から説明する。
一次コイルの回りに二次コイルを巻いた二つの空芯コイルによるコイル同士の相互誘導を利用する。
コイルの形には関係なく電磁誘導は起こる。
一次コイルをモーターのコイルとした場合、二次コイルは、永久磁石に対しては発電機のコイルとして作用する。
二次コイルの起電力は一次コイル電力のコイル同士の相互誘導による起電力と永久磁石磁界の運動によって生じた逆起電力との和である。
以上が着眼点であるが、本発明は、二つのコイルの形状と永久磁石の形状と配置により次のような効果をもたらす。
図1に示した空芯コイルは楕円片側を凹ませた馬蹄型をしているが、馬蹄型空芯コイルは複数円盤状に隙間なく配置並べることができる。図2。
図2に示した馬蹄型空芯コイルは隙間なく合理的に12個配置されているが、12個に限るものではない。
この馬蹄型空芯コイルは、前記着眼点で説明した二つのコイルの一方に相当するもので、材料は一般の絶縁コーテイングされた銅線が相応しいが、コイル断面形状はどのようなものでもかまわないし、また線材も他の伝導体でもよい。
この図2の馬蹄型空芯コイルは順次交互に逆巻きとなって直列または並列に結線してある。
その表または裏から、あるいは表裏から挟み込むように、図2の馬蹄型空芯コイルと同数の図3に示すマグネットローターの界磁磁極面を馬蹄型空芯コイルに対向して回転させると、順次N極、S極と放射状に並んだ磁界が、馬蹄型空芯コイルに起電力を生じさせる。
表裏からマグネットローターを対向させた場合は、異極の磁極面が対向するようにマグネットローターを二枚設ける。馬蹄型空芯コイルを表裏から異極が挟み込んでいる磁界が最も相応しいが、表裏のどちらか一方からの磁界の回転でも良い。
このときに生じる運動起電力は、フレミングの法則どおり、e=Blv sinθである。
ここでlは導体の長さ、vは導体の動く早さ、θはvとB(磁束密度)との間の角度である。
また、このときに生じる正弦波の最大起電力時、例えば図3のマグネットローターを左に回転させた場合、その最大起電力を生じる磁石の位置は図4に示すとおり馬蹄型空芯コイルの隣同士が並んで一体となっている巻き線の真上の位置にあり、隣同士の馬蹄型空芯コイルに、それぞれ逆巻きにコイル電流が流れ、隣り合った馬蹄型の空芯コイルはマグネットローターに対向する面に、マグネットローターの永久磁石N極の左にN極、右にS極が生じている。
このときのコイル電流はマグネットローターの回転運動によって生じた運動起電力で、直列または並列につながったコイル両端の端子に負荷を繋いだ閉回路にして生じさせるコイル電流、つまり起電力の出力電力である。
このコイル電流によって生じたコイルの磁極は、マグネットローターの磁極に対して回転方向に位置する馬蹄型空芯コイルの磁極は同極となっており回転を止めようとする反発力を生じており、回転方向の反対方向に位置する馬蹄型空芯コイルの磁極は異極となって、吸引力により回転を止めようとする力を生じている。
前記馬蹄型空芯コイルではなく、もう一つの円形空芯コイルを設けてマグネットローターをモーターとして回転させるため、円形空芯コイルは順次交互に逆巻きとなって直列にまたは並列に結線してあるが、本発明は、この円形空芯コイルでモーターの駆動力を得ている時に、二次電力を出力させる構造を次のように作って作用させている。
その第一の構造は、図2に示した馬蹄型の空芯コイルの内側に図5に示したもう一つの円形空芯コイルを設けたことである。
図5の円形空芯コイルは、円形に巻き回されて、馬蹄型空芯コイルの中心に位置しているが、この円形空芯コイルは、馬蹄型空芯コイルの中に設けられているので、どちらか一方に交流または直流を周期的に逆転整流した電流を流すと、もう一方の空芯コイルにも電流を逆向きに流す相互誘導を起こす二重の空芯コイルでもある。
円形空芯コイルにモーターとしての駆動電力を直流電源から得てマグネットローターを回す整流回路を設けることでモーターとなるが、マグネットローターを回転位置検出センサで位置検出し、その信号で半導体パワー素子を開閉させて整流して、ブラシレスモーターとして回転させてもよく、また整流子のブラシコミューテーターで電力入力し回転させても良い。
図3の磁石で構成されているマグネットローターを左回転させるときで説明するが、その時の電流の整流で現れる磁極パターンを図6に示す。
マグネットローターを左回転させている時、円形空芯コイルには永久磁石に対向する面で磁石N極の左側にS極、右側にN極が生じるように、また磁石S極の左側にN極、右側にS極が生じるように円形空芯コイルに電流を電源より整流し流している。
この状態のとき、馬蹄型空芯コイルには、永久磁石の磁界により運動起電力が生じているが図4、その時の磁極パターンはマグネットローターの回転を妨げるものであったものが、円形空芯コイルが馬蹄型空芯コイルを遠心方向と向心方向に分割していることによって、馬蹄型空芯コイルの界磁エリアが分割され図6に示す磁極パターンとなっている。
マグネットローターの回転方向に円形空芯コイルが正方向のトルクを生じさせて、逆トルクとなる馬蹄型空芯コイルの界磁エリアを分割したことによって、マグネットローターを遠心方向と向心方向に押す力に変えている。
その時の力の作用の方向は図7に示すとおりとなり、マグネットローターは馬蹄型空芯コイルの運動起電力による逆トルクを全く受けていないことが分かる。
更に、この円形空芯コイルと馬蹄型空芯コイルのコイル間に働く相互誘導は、相互の電力により相互に電流を流しやすくしており、モーター入力電力と馬蹄型空芯コイルによる運動起電力の出力に対して、入出力の効率を良くする効果を与えている。
図6に示した磁極パターンは、マグネットローターを左回転させたときのものであるが、本効果は右回転させた場合は図8に示す磁極パターンとなっていて、馬蹄型空芯コイルの逆起電力の界磁は、マグネットローターを遠心方向と向心方向に引っ張る力として働き、その力の作用の方向は図9に示すとおりに、マグネットローターは馬蹄型空芯コイルの運動起電力による逆トルクを全く受けていないことが分かる。
以上が第一の構造による発明の効果である。
つぎに本発明の第二の構造による効果を説明する。
図3のマグネットローターの磁極面を図10で示すように図2の馬蹄型空芯コイルと反対向きの馬蹄型磁極面としたものである。
本明細では、この永久磁石の磁極面形状を馬蹄型として表すが、馬蹄型の二つの腕先端方向に磁極を伸ばした位置に同磁極を設けた界磁形状でも良いことを意味する。
図11は図10の馬蹄型磁極面の永久磁石を設けたマグネットローターを左方向に回転するモーターのローターとした場合の磁極パターンを示したものである。
図12は右回転のモーターとした場合の磁極パターンを示したものである。
馬蹄型空芯コイルの二つの界磁した先端に馬蹄型磁極面の磁極先端が位置しているが、馬蹄型空芯コイルに生じた運動起電力による界磁が馬蹄型磁極面の二つの磁極先端を左回りでも右回りでも回転方向に引き入れようと働いており、本発明の電機子コイルとマグネットローターは運動起電力を正トルクに変換し働かせている。
以上の効果はモーターによる電力回生の利用を、次のような効果をもたらしながら行うことができるものである。
その効果の第一は、モーターを通電駆動させている常態で、トルク損失なく二次電力を交流で出力できる。
その効果の第2は、モーターを通電駆動させている状態で、二次電力を交流で出力できて同時に回転トルクにトルク回生が行える。
以上が本発明の効果である。
また、本発明およびその効果は、フラットタイプのマグネットローターおよびフラットタイプの電機子コイルの扁平円盤形状に限るものではなく、図13の円筒形状のマグネットローターと電機子コイルの組み合わせでも、また図14の杯型などの対面回転できる形状であれば良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は馬蹄型空芯コイルの形状平面図である。
【図2】は馬蹄型空芯コイルの配置平面図である。
【図3】はマグネットローターの平面図である。
【図4】は最大起電力時の磁石の位置を示した図である。
【図5】は円形空芯コイルの配置平面図である。
【図6】は左回転のときの磁極パターン図である。
【図7】は力の作用の方向の図である。
【図8】は右回転のときの磁極パターン図である。
【図9】は力の作用の方向の図である。
【図10】マグネットローターの磁極面の平面図である。
【図11】は左回転のときの磁極パターン図である。
【図12】は右回転のときの磁極パターン図である。
【図13】は円筒形状の斜視図である。
【図14】は杯形状の斜視図である。
【図15】は実施形態の組図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図15に示す形態は本発明の一例であり、それは以下のように実施する。
図1の馬蹄型空芯コイルは、最初馬蹄型の括れ二つ分の楕円形の大きさにエナメル銅線を用いて楕円形に例えば100ターン扁平巻き回したものを、馬蹄型の括れの部分を作るように中心方向に凹ませ成型する。
図2のように図1の馬蹄形空芯コイルを図15の樹脂等の非磁性材の中央に穴を設けた電機子保持円盤Cに接着等の方法を用いて12個設ける。
そのとき、馬蹄型空芯コイルAの二つの先端がとなりの馬蹄型空芯コイルBに15度覆いかぶさるように設ける。
それぞれの馬蹄型空芯コイルの巻き始めと巻き終わりの巻き線両端を、となりの馬蹄形空芯コイルと逆巻きとなるように順次結線して行き、結線1番目の馬蹄型空芯コイルAの巻き始めと12番目の馬蹄型空芯コイルBの結線により出来た巻き終わりの巻き線からリード線を二本引き出して電力回生のための電気出力端子、図15のD1、D2とする。
次に円形空芯コイルを馬蹄型空芯コイルの中に納まる大きさで、同じ巻き線材料で例えば100ターン巻き回したものを図5のように馬蹄型空芯コイルの中に接着等の方法により設け、円形空芯コイルの巻き始めと巻き終わりの巻き線両端を、となりの円形空芯コイルと逆巻きとなるように順次結線して行き、結線1番目の円形空芯コイルaの巻き始めと12番目の円形空芯コイルbの結線により出来た巻き終わりの巻き線からリード線を二本引き出して、モーター電力の電気入力端子、図15のE1、E2とする。
シャフトFを電機子コイルHの中央穴に通し、シャフトFに図10に示したマグネットローターG1を固定して設け、電機子コイルHに馬蹄型永久磁石界磁面が馬蹄型空芯コイルの馬蹄型と反対向きになるよう対向させ僅かな空隙を作るように設け、電機子コイルHを挟んでもう一つのマグネットローターG2を対向する永久磁石の界磁が異極となるように同じように設ける。
ベアリングホルダーJ1とJ2のベアリングにシャフトFを通し、電機子コイルFを挟み込んでマグネットローターG1、G2が回転できるようにしてモーター筐体IにベアリングホルダーJ1、J2で上下よりマグネットローターG1、G2を保持して、モーター筐体Iの側面で電機子コイルHを固定子として固定保持する。
以上のように装置したモーターの電力入力電気接点E1、E2に回転角30度のマグネットローターの回転に同期した反転整流の電力を入力するが、図15のブラシコミューテーターKはシャフトFと一体に回転してDC電源に接続されて、円形空芯コイルの界磁中心位置よりマグネットローターの界磁磁極の中心が回転方向に10度進んだ時に、入力電気接点E1とE2の負荷電圧を交代させるように一回転12サイクルの整流に調整されている。
回生電力の出力はマグネットローター1回転で12サイクルの交流として、出力電気接点D1、D2に出力される。
【符号の説明】
【0009】
A・・・巻き始め馬蹄型空芯コイル
B・・・巻き終わり馬蹄型空芯コイル
a・・・巻き始め円形空芯コイル
b・・・巻き終わり円形空芯コイル
C・・・非磁性材の電機子保持円盤
D1・・電気出力端子
D2・・電気出力端子
E1・・電気入力端子
E2・・電気入力端子
F・・・シャフト
G1・・マグネットローター
G2・・マグネットローター
H・・・電機子コイル
I・・・モーター筐体
J1・・ベアリングホルダー
J2・・ベアリングホルダー
K・・・ブラシコミューテーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円盤状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、円盤状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイル。
【請求項2】
請求項1に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、請求項1に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、請求項1に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させる請求項1に記載のモーター。
【請求項3】
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円筒状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で、円筒高さ方向に二つに分割するように設けられて、円筒状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイル。
【請求項4】
請求項3に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、請求項3に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、請求項3に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させる請求項2に記載のモーター。
【請求項5】
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ杯状または同類形状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、杯状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイル。
【請求項6】
請求項5に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、請求項5に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、請求項5に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させる請求項5に記載のモーター。
【請求項1】
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円盤状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、円盤状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイル。
【請求項2】
請求項1に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、請求項1に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、請求項1に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させる請求項1に記載のモーター。
【請求項3】
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ円筒状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で、円筒高さ方向に二つに分割するように設けられて、円筒状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイル。
【請求項4】
請求項3に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、請求項3に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、請求項3に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させる請求項2に記載のモーター。
【請求項5】
絶縁被覆した電導材により、複数の馬蹄型状に巻き回した空芯コイルが交互に巻き方向を逆転させ杯状または同類形状に隙間なく並び、馬蹄型状の空芯コイルの中に絶縁被覆した電導材による円形に巻き回した空芯コイルが、馬蹄型状の空芯コイルと同数で交互に巻き方向を逆転させて、馬蹄型状の空芯コイルをその内側で外径側と内径側二つに分割するように設けられて、杯状に配置した空芯コイルで構成されるその電機子の、馬蹄型状の空芯コイル内側に円形に巻き回した空芯コイルをモーターの駆動電力を入力するコイルとして、電機子コイル界磁面に僅かな空隙を空けて対面する円形の空芯コイルと同数の永久磁石の界磁によるマグネットローターを自由に回転できるように設け、マグネットローターの回転運動により馬蹄型状の空芯コイルに運動起電力を誘導生じさせ出力させるモーターおよびその電機子コイル。
【請求項6】
請求項5に記載の電機子コイルで駆動させるマグネットローターの界磁磁極の形状を、請求項5に記載の馬蹄形状の空芯コイルと反対向きの馬蹄型状または同類形状の界磁磁極の形状で、請求項5に記載の馬蹄型状の空芯コイルと同じ個数設けた永久磁石で構成したマグネットローターで駆動させる請求項5に記載のモーター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−4575(P2011−4575A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163148(P2009−163148)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(504376359)有限会社ベネラ研究所 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(504376359)有限会社ベネラ研究所 (3)
【Fターム(参考)】
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