説明

モータ用グリース封入軸受

【課題】比較的低温下で高速化を求められる環境下でも、転走面への油の供給性に優れ長時間使用可能なモータ用グリース封入軸受を提供する。
【解決手段】産業機械や情報機器のモータに用いられるモータ用グリース封入軸受1は、内輪2および外輪3と、複数の転動体4とを備え、シール部材6を内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bに設けてなり、グリース組成物7は、基油とウレア系増ちょう剤とを含み、上記基油は 40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec であり、上記ウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、該モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上含有するモノアミン成分であり、グリース全体に対して、上記ウレア系増ちょう剤を 3 重量%以上 9 重量%未満含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータ用グリース封入軸受に関し、特に換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、ステッピングモータなどの産業機械用、情報機器用のモータ用グリース封入軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ACモータ、DCモータなどの汎用モータでは、モータの小型化が進み、軸受がより高速、高面圧下で運転される傾向にある。従来から使用されている、例えばマルテンプSRL(協同油脂社製)などのリチウム石けんなどの金属石けんグリースを使用したものでは、十分な耐久性が得られない。そのため、より耐久性に優れたウレアグリースが使用される傾向にある。例えば、基油に用いる所定の構造を有する炭酸エステル化合物と、増ちょう剤に用いるウレア化合物とを所定量に規定したウレアグリースが知られている(特許文献1参照)。これは摩擦係数を低くして耐久性の向上を狙ったものである。
【0003】
また、自動車のエンジン関連の電装補機に用いられるモータの使用温度が 150℃以上であるのに対して、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータの使用温度は、150℃未満の比較的低温である場合が多い。
【0004】
このような比較的低温の使用環境下では、特許文献1などに示す従来のウレアグリースは、基油の流動性に乏しく、より高速化を求められる場合に、転走面への基油の供給が追いつかず、潤滑不良になりやすいという問題がある。
【特許文献1】特許3910953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、比較的低温下で高速化を求められる環境下でも、転走面への油の供給性に優れ長時間使用可能なモータ用グリース封入軸受の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータ用グリース封入軸受は、モータの回転子を支持するモータ用グリース封入軸受であって、該グリース封入軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体の周囲にグリース組成物を封止するためのシール部材を上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、上記グリース組成物は、基油とウレア系増ちょう剤とを含んでなり、上記基油は 40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec であり、上記ウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、該モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上含有するモノアミン成分であり、グリース全体に対して、上記ウレア系増ちょう剤を 3 重量%以上 9 重量%未満含有することを特徴とする。
【0007】
上記基油は表面張力が 25 mN/m 以上で、かつ密度が 0.95 g/cm3 以下であることを特徴とする。
【0008】
上記基油は合成炭化水素油、エステル油およびアルキルジフェニルエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする。
【0009】
上記モータ用グリース封入軸受は、深溝玉軸受であることを特徴とする。
【0010】
上記モータ用グリース封入軸受は、150℃未満の温度環境下で使用されることを特徴とする。特に、産業機械または情報機器のモータに用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のモータ用グリース封入軸受は、該軸受に封入されたグリース組成物が、40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec である基油に、所定のウレア系増ちょう剤を 3 重量%以上 9 重量%未満配合するので、少量のグリース封入量であっても、比較的低温下での使用において、耐荷重性を保ちつつ高速回転下で軌道面への油の供給能力に優れる。
【0012】
このため、本発明のモータ用グリース封入軸受は、良好な潤滑状態を保ち、長期間の寿命が要求される、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータに好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
モータの回転子を支持するモータ用グリース封入軸受の一例を図1に示す。図1はグリース組成物が封入されている深溝玉軸受の断面図である。深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5が設けられている。また、外輪3等に固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体4の周囲にグリース組成物7が封入される。このグリース組成物7は、後述する、40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec である基油に、所定のウレア系増ちょう剤を 3 重量%以上 9 重量%未満配合してなるグリース組成物7である。
【0014】
モータの一例を図2に示す。図2はモータの構造の断面図である。モータは、ジャケット9の内周壁に配置されたモータ用マグネットからなる固定子10と、回転軸11に固着された巻線12を巻回した回転子13と、回転軸11に固定された整流子14と、ジャケット9に支持されたエンドフレーム17に配置されたブラシホルダ15と、このブラシホルダ15内に収容されたブラシ16と、を備えている。上記回転軸11は、深溝玉軸受1と、該軸受1のための支持構造とにより、ジャケット9に回転自在に支持されている。該軸受1が本発明のモータ用グリース封入軸受である。
【0015】
本発明におけるモータ用グリース封入軸受は、150℃未満の比較的低温の温度環境下で使用される場合でも、高速回転時の潤滑不良を防ぎ、長期間の使用が可能である。ここで、150℃未満の温度環境下とは、使用中における該軸受の固定輪などの温度が 150℃未満である条件下をいう。
このような温度環境下における具体的用途としては、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータが挙げられる。これらは、通常 70〜120℃程度の温度環境下で使用される場合が多い。
【0016】
本発明のモータ用グリース封入軸受は、軸受空隙部の容積の 1 体積%以上 10 体積%未満のグリースを封入することが好ましい。1 体積%未満であると、潤滑に必要なグリース量が不足して枯渇しやすく、10 体積%以上であると、撹拌によるトルクが大きく発熱が大きくなり潤滑寿命が向上しないし、またコスト増、環境上も好ましくない。
【0017】
本発明のモータ用グリース封入軸受としては、図1に示す深溝玉軸受のほか、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等も使用できる。これらの中で高速回転での回転精度、耐荷重性と低コストを両方備える、深溝玉軸受を用いることが好ましい。
【0018】
本発明に使用できる基油は、40℃における動粘度(以下、単に動粘度と記す)が 15〜30 mm2/sec の潤滑油を用いることができる。特に、動粘度が 15〜25 mm2/sec の潤滑油が好ましい。動粘度が 15 mm2/sec 未満の場合、粘度が低すぎて十分な耐荷重性が得られない。また、動粘度が 25 mm2/sec をこえる場合、高速回転に伴って軌道面への油の供給が不足し、早期に軸受寿命に至るようになる。
【0019】
上記潤滑油の種類としては、合成炭化水素油、エステル油、アルキルジフェニルエーテル油、またはこれらの混合油が好ましい。
また、合成炭化水素油、エステル油、アルキルジフェニルエーテル油、それぞれの動粘度が 15〜30 mm2/sec であることが好ましい。この範囲であると混合油とした場合であっても、動粘度の範囲を 15〜30 mm2/sec とすることができる。
混合油とする場合、合成炭化水素油およびエステル油の混合油とすることが好ましい。混合比率としては、合成炭化水素油/エステル油(重量比)=8/2〜2/8が好ましく、特に合成炭化水素油はエステル油よりも重量割合で同量以上であることが好ましい。
また、アルキルジフェニルエーテル油は単独でも使用できる。
【0020】
合成炭化水素系油としては、例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1-デセンオリゴマー、1-デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリ-α-オレフィン等が挙げられる。
エステル油としては、例えばジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、炭酸エステル油等が挙げられる。
アルキルジフェニルエーテル油としては、モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリアルキルジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0021】
本発明に使用できる基油は、表面張力が 25 mN/m 以上、好ましくは 27〜40 mN/m で、かつ密度が 0.95 g/cm3 以下、好ましくは 0.8〜0.93 g/cm3 である。表面張力が 25 mN/m 未満であると、毛細管現象により転走部へ移動しにくく、高速下で必要な油量を安定的に供給できなくなり、密度が 0.95 g/cm3 をこえると同じく毛細管現象により転走部へ移動しにくく、高速下で必要な油量を安定的に供給できなくなる。
【0022】
本発明に使用できるウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。
ポリイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられる。これらの中でも芳香族ジイソシアネートが好ましい。
また、ジアミンと該ジアミンに対してモル比で過剰のジイソシアネートとの反応で得られるポリイソシアネートを使用することができる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0023】
モノアミン成分は、脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上、好ましくは 80 モル%以上含有するモノアミン成分である。50 モル%以上含むことにより増ちょう剤の高速下でのせん断力に容易に破壊されず、増ちょう剤繊維の毛細管現象により、転走面に安定的にグリース中の油分を供給することができる。
脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミン以外のモノアミンとしては芳香族モノアミンが挙げられる。
脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンが挙げられ、これらの中でもオクチルアミンが好ましい。
脂環式モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
芳香族モノアミンとしては、アニリン、p-トルイジンが挙げられ、これらの中でp-トルイジンが好ましい。
【0024】
本発明においてウレア系増ちょう剤は、グリース全体に対して、3 重量%以上 9 重量%未満、好ましくは 5 重量%以上 9 重量%未満含有する。配合量が 3 重量%未満では基油保持能力が十分ではなく、特に回転初期に一時に大量の油分が分離してグリースの漏洩が起こり、軸受耐久寿命が短くなる。また、配合量が 9 重量%以上であると、相対的に基油の量が少なくなり、油供給性が不十分で、早期に潤滑不足に陥って同様に軸受耐久寿命が短くなる。
【0025】
また、グリースには、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、りん系化合物などの摩耗防止剤等が挙げられる。これらを単独または 2 種類以上組み合せて添加できる。これらの添加剤の含有量は、個別にはグリース全量の 0.05 重量%以上、合計量でグリース全量の 0.15〜10 重量%の範囲となることが好ましい。特に、合計量で 10 重量%をこえる場合は、含有量の増加に見合う効果が期待できないばかりか、相対的に他の成分の含有量が少なくなり、またグリース中でこれら添加剤が凝集し、トルク上昇等の好ましくない現象を招くこともある。
【実施例】
【0026】
以下に試験例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。なお、各実施例および各比較例に用いた基油の密度( 15 ℃)および動粘度( 40℃)のデータを表1に示す。また、表1に示したちょう度はJISK2220 5.3に基づき測定した 60 回混和ちょう度を表し、25℃における基油の表面張力は、デュヌイ式簡易表面張力計にて測定した値を示す。
【0027】
実施例1〜実施例5、比較例1、比較例2および比較例5
表1に示した基油の半量に、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
MDIを溶解した溶液を撹拌しながら、これにモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃〜120℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させグリース試料を得た。用いた基油の密度、動粘度、表面張力測定結果を表1に示す。また、得られたグリース試料のちょう度および遠心離油度を測定するとともに、以下に示す遠心油分離試験、常温高速グリース試験に供し、遠心離油度および常温高速グリース寿命時間を測定した。測定結果を表1に併記する。
【0028】
<遠心油分離試験>
遠心分離機を用い、50 g のグリース試料を遠心分離管に入れ、40℃で 23000 G の加速度を 7 時間かけたときの遠心離油度を次式により求めた。
(遠心離油度、%)=(1−試験前の増ちょう剤濃度/試験後の増ちょう剤濃度)×100
【0029】
<常温高速グリース試験>
深溝玉軸受(6204)に、グリース試料を転走面狙いで 0.14 g (軸受全空間容積の約 3 体積%)封入し、非接触シールして試験軸受を作成した。試験軸受に、アキシアル荷重 670 N とラジアル荷重 67 N とを負荷し、常温環境下で 15000 rpm の回転速度で内輪回転させ、焼き付きに至るまでの時間をグリース寿命時間として測定した。この耐久試験における軸受のピッチ円径(mm)と回転数(rpm )との積であるdmN値は 52 万である。なお、各実施例および比較例の試験中における固定輪である軸受外輪温度は、いずれも70℃程度であった。
【0030】
比較例3および比較例4
基油と、ステアリン酸リチウムとを表1に示す割合で配合させてグリース試料を得た。用いた基油とグリース試料について実施例1と同様の項目を測定した。結果を表1に併記する。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示すように、本発明に使用されるグリース封入モータ軸受では、上記グリース組成物が、(1)40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec の基油に、ウレア系増ちょう剤を 3 重量%以上 9 重量%未満であること、(2)ウレア系増ちょう剤のモノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンであり、モノアミン全体に対して 50 モル%以上含有すること、(3)基油は、表面張力が 25 mN/m 以上で、かつ密度が 0.95 g/cm3 以下であり、基油が、合成炭化水素油、エステル油またはアルキルジフェニルエーテル油、これらの混合油であることが好ましいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のモータ用グリース封入軸受は、該軸受に封入されたグリース組成物が、40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec である基油に、所定のウレア系増ちょう剤を 3 重量%以上 9 重量%未満配合するので、少量のグリース封入量であっても、比較的低温下での使用において、耐荷重性を保ちつつ高速回転下で軌道面への油の供給能力に優れる。このため、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータのモータ用グリース封入軸受として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】深溝玉軸受の断面図である。
【図2】モータの構造の断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 深溝玉軸受(モータ用グリース封入軸受)
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a 両端開口部
8b 両端開口部
9 ジャケット
10 固定子
11 回転軸
12 巻き線
13 回転子
14 整流子
15 ブラシホルダ
16 ブラシ
17 エンドフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転子を支持するモータ用グリース封入軸受であって、該グリース封入軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体の周囲にグリース組成物を封止するためのシール部材を前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、
前記グリース組成物は、基油とウレア系増ちょう剤とを含んでなり、
前記基油は 40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec であり、
前記ウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、該モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上含有するモノアミン成分であり、グリース全体に対して、前記ウレア系増ちょう剤を 3 重量%以上 9 重量%未満配合することを特徴とするモータ用グリース封入軸受。
【請求項2】
前記基油は、表面張力が 25 mN/m 以上で、かつ密度が 0.95 g/cm3 以下であることを特徴とする請求項1記載のモータ用グリース封入軸受。
【請求項3】
前記基油は、合成炭化水素油、エステル油およびアルキルジフェニルエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のモータ用グリース封入軸受。
【請求項4】
前記モータ用グリース封入軸受は、深溝玉軸受であることを特徴とする請求項3記載のモータ用グリース封入軸受。
【請求項5】
前記モータ用グリース封入軸受は、150℃未満の温度環境下で使用されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載のモータ用グリース封入軸受。
【請求項6】
前記モータ用グリース封入軸受は、産業機械または情報機器のモータに用いられることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載のモータ用グリース封入軸受。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−209991(P2009−209991A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52195(P2008−52195)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】