説明

ヤマビルトラップ容器

【課題】本発明は、ヤマビル生息地等に設置してヤマビルを捕獲し死滅させるヤマビルトラップ容器を提供する。
【解決手段】ヤマビル生息地等に設置されたヤマビルトラップ容器には、ヤマビルがヤマビル誘引物6の臭い(ガス)に誘引されて集まり、大型容器1の外壁を尺取り虫式に登り、複数個の小穴7から大型容器1内に入り、ヤマビル誘引物6の臭いが濃い上方を目指して大型容器1の内壁を登り、上方容器部分3の肩部のシリコーンオイル等の潤滑油の滑落面5で滑り落ち、大型容器1の下部に充填されている水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液等の殺ヒル剤8中に落下する。落下したヤマビルは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液等の殺ヒル剤8中に接触、或いは沈み、最終的には殺ヒル剤8の殺ヒル効果で死亡する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤマビル生息地等に設置してヤマビルを捕獲し死滅させるヤマビルトラップ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
秋田県秋田市や五城目町、及び千葉県、神奈川県等では毎年ヤマビルの被害に見舞われ、多数の吸血被害が発生している。そのため、市販の虫除けスプレー等によりヤマビルの被害を防止しているが、個人は守れても、田畑やキャンプ場、住宅地近辺の人や動物が活動する地域へのヤマビルの侵入を防ぐことはできない。
この種の先行技術として、山蛭の習性を利用して一個所に集め、高圧電源により感電死させて駆除する山蛭集殺器が実用新案登録出願されている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、全体の外観がキノコのような形状をしており、表面に太陽電池パネルを張り付けた傘と該傘を支える本体からなり、該本体は、基台の外周から上方に格子状に張り巡らした下方の高電圧ワイヤと、該高電圧ワイヤの上方に配置し、側面に白熱電球を有する高電圧発生器と、該高電圧発生器の外周から下方に格子状に張り巡らした上方の高電圧ワイヤと、両方の高電圧ワイヤがそれぞれ接触しないように配置すると共に高電圧発生器に電気接続され、傘頂部内側に放出ノズルを配置したパイプを連結した炭酸ガスボンベを高電圧ワイヤ格子の内側に配置したものである。
【特許文献1】実用新案登録第3058165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ヤマビル生息地等に設置してヤマビルを捕獲し死滅させるヤマビルトラップ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のヤマビルトラップ容器は、透明プラスチック素材の大型容器の内底部中央に小型容器を直立固定した二重構造容器とし、前記大型容器は底部から2/3のところで上下に切り離し可能とし、飲口部を備えた上方容器部分と前記小型容器が収納される下方容器部分とに上下分割され、前記上方容器部分の肩部の内壁にヤマビルが滑り落ち易いようにシリコーンオイル等の潤滑油を塗布して滑落面を形成する一方、小型容器は、ヤマビルを誘引する二酸化炭素や臭気を発生するイースト菌等二酸化炭素生成生物、酪酸水溶液、イソ吉草酸水溶液、血液又は尿等のヤマビル誘引物を充填し、吸熱目的に外表面を黒く塗り、さらに前記下方容器部分の上部周囲にはヤマビルが通り抜けることができる小穴を複数個形成し、そして前記小型容器と下方容器部分との間には小型容器の1/2高さ位置まで、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液等の殺ヒル剤を充満させたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明のヤマビルトラップ容器は、空き大型ペットボトルや空き小型ペットボトルを利用して製作することができるため、材料費がかからず、簡単に入手することができるため、ヤマビル生息地に設置してヤマビル死滅を促進する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のヤマビルトラップ容器の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、本発明のヤマビルトラップ容器は、透明プラスチック素材の空き大型容器1、例えば空き大型ペットボトルの内底部中央に空き小型容器2、例えば空き小型ペットボトルを直立固定した二重構造容器からなり、前記大型容器1は底部から2/3のところで上下に切り離し可能とし、飲口部を備えた上方容器部分3と前記小型容器2が収納される下方容器部分4とに上下分割される。そして前記上方容器部分3の肩部(胴部から飲口部にかけて円錐状となっている部分)の内壁にヤマビルが滑り落ち易いようにシリコーンオイル等の潤滑油を塗布してシリコーンオイル等の潤滑油の滑落面5を形成する。
【0007】
一方、前記下方容器部分4の小型容器2は、ヤマビルを誘引する二酸化炭素を発生するイースト菌等生物、酪酸水溶液、イソ吉草酸水溶液、血液又は尿等のヤマビル誘引物6を充填し、吸熱目的に外表面を黒く塗り、太陽光を吸収し易くして前記大型容器1の内部空間に蒸発し易くする。また前記下方容器部分4の上部周囲にはヤマビルが通り抜けることができる小穴7を複数個形成する。そして、前記下方容器部分4には小型容器2の1/2高さ位置まで水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液等の殺ヒル剤8を充満させる。
【0008】
次に、本発明のヤマビルトラップ容器の使用動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図2に示すように、空き大型容器1の上方容器部分3と下方容器部分4とを分離し、下方容器部分4の開口部から露出している小型容器2のキャップを取り外し、空き小型容器2に二酸化炭素や臭気を発生するイースト菌等二酸化炭素生成生物、酪酸水溶液、イソ吉草酸水溶液、血液又は尿等のヤマビル誘引物6を充填し、充填した後キャップを施してヤマビル誘引物6が漏れないようにする。
なお、これらのヤマビル誘引物は、全てを一つの小型容器に入れる必要は無く、状況に応じて、更に小分けして小さな容器に入れても良い。又、イースト菌等を用いて二酸化炭素を発生させるには、小型容器2内に糖分を溶かし込んだゼリーを入れて、それに当該菌を散布させるだけで良い。当然、この場合、他の誘引物は別の小型容器に入れることになる。
【0009】
このようにして、小型容器2にヤマビル誘引物6を充填したら、ヤマビル生息地等にヤマビルトラップ容器を運搬し、図1に示すように大型容器1が倒れないように所定大きさの穴を掘って大型容器1の底部側を地面Gに埋設し固定する。なお、ヤマビルは容器の外壁を尺取り虫式に登るので大型容器1が倒れないような深さで埋設すればよい。
【0010】
そして、図1に示すようにヤマビル生息地等に設置されたヤマビルトラップ容器には上部容器部分3を分離して前記小型容器2と下方容器部分4との間には水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液等の殺ヒル剤8を充填し、小型容器2のキャップを取り外した後、上部容器部分3を戻して接合部分に粘着テープ等を貼り、上方容器部分3と下方容器部分4とを接合固定する。
【0011】
このようにして、ヤマビルトラップ容器はヤマビル生息地等に捕獲のために設置される。そして、小型容器2は外表面を黒く塗り、太陽光を吸収し易くしたので、二酸化炭素、酪酸水溶液、イソ吉草酸水溶液、血液又は尿等のヤマビル誘引物6の臭い(ガス)が大型容器1の上部容器部分3に充満する。上部容器部分3空間に充満した後、下方容器部分4の上部周囲に形成した小穴7からも臭い(ガス)が周囲に拡散する。
【0012】
すると、ヤマビルがヤマビル誘引物6の臭い(ガス)に誘引されて集まり、大型容器1の外壁を尺取り虫式に登り、複数個の小穴7から大型容器1内に入り、ヤマビル誘引物6の臭い(ガス)が濃い上方を目指して大型容器1の内壁を登り、上方容器部分3の肩部のシリコーンオイル等の潤滑油の滑落面5で滑り落ち、大型容器1の下部に充満されている水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液等の殺ヒル剤8中に落下する。落下したヤマビルは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液等の殺ヒル剤8中に接触、或いは沈み、最終的には殺ヒル剤8の殺ヒル効果で死亡する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のヤマビルトラップ容器を設置した状態の正面図である。
【図2】本発明のヤマビルトラップ容器の正面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 大型容器
2 小型容器
3 上方容器部分
4 下方容器部分
5 滑落面
6 ヤマビル誘引物
7 小穴
8 殺ヒル剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明プラスチック素材の大型容器の内底部中央に小型容器を直立固定した二重構造容器とし、前記大型容器は底部から2/3のところで上下に切り離し可能とし、飲口部を備えた上方容器部分と前記小型容器が収納される下方容器部分とに上下分割され、前記上方容器部分の肩部の内壁にヤマビルが滑り落ち易いように潤滑油を塗布して滑落面を形成する一方、小型容器は、ヤマビルを誘引する二酸化炭素や臭気を発生するヤマビル誘引物を充填し、吸熱目的に外表面を黒く塗り、さらに前記下方容器部分の上部周囲にはヤマビルが通り抜けることができる小穴を複数個形成し、そして前記小型容器と下方容器部分との間には小型容器の1/2高さ位置まで、殺ヒル剤を充満させたことを特徴とするヤマビルトラップ容器。
【請求項2】
前記殺ヒル剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム溶液からなることを特徴とする請求項1記載のヤマビルトラップ容器。
【請求項3】
前記ヤマビル誘引物は、イースト菌等二酸化炭素生成生物、酪酸水溶液、イソ吉草酸水溶液、血液又は尿からなることを特徴とする請求項1記載のヤマビルトラップ容器。
【請求項4】
前記潤滑剤は、シリコーンオイルからなることを特徴とする請求項1記載のヤマビルトラップ容器。

【図1】
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【図2】
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