ユニット式建物の外壁断熱構造
【課題】外壁部における断熱性の向上を図りつつ、外壁部の構築に際しての施工性を向上させることができるユニット式建物の外壁断熱構造を提供する。
【解決手段】建物ユニット20には柱外壁ユニット31及び主外壁ユニット33が取り付けられている。柱外壁ユニット31は柱集合部34に設けられ、主外壁ユニット33は柱外壁ユニット31に対して横並びに配置されている。柱外壁ユニット31は柱断熱部と柱外壁面材とを有しており、梁外壁ユニット32は梁断熱部と梁外壁面材とを有している。柱断熱部は柱集合部の各柱の屋外側に配置された屋外側柱断熱材と、屋外側柱断熱材から屋内側に向けて延びた延出断熱材とを有している。柱外壁ユニット31は、延出断熱材が柱21と主断熱部との間に挿し入れられることにより、延出断熱材と主断熱材とが連続した状態で建物ユニット20に対して組み付けられている。
【解決手段】建物ユニット20には柱外壁ユニット31及び主外壁ユニット33が取り付けられている。柱外壁ユニット31は柱集合部34に設けられ、主外壁ユニット33は柱外壁ユニット31に対して横並びに配置されている。柱外壁ユニット31は柱断熱部と柱外壁面材とを有しており、梁外壁ユニット32は梁断熱部と梁外壁面材とを有している。柱断熱部は柱集合部の各柱の屋外側に配置された屋外側柱断熱材と、屋外側柱断熱材から屋内側に向けて延びた延出断熱材とを有している。柱外壁ユニット31は、延出断熱材が柱21と主断熱部との間に挿し入れられることにより、延出断熱材と主断熱材とが連続した状態で建物ユニット20に対して組み付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物の外壁断熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、外壁部に断熱構造が採用されてその外壁部に断熱性が付与されている。その断熱工法としては、柱同士の間にグラスウール等の断熱材が設けられる充填断熱工法が知られている。
【0003】
しかしながら、このような充填断熱工法では、柱部分が熱橋となり、断熱性を低下させる原因となっていた。特に、柱部分が鉄等の金属材料により形成されている場合、柱部分が熱橋となる問題が顕著になる。これに対して、この柱部分の周囲にその屋外側から断熱材を設けて、その部分に断熱性を付与する外張り断熱工法を併用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−155588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の建物ユニットが組み合わされてなるユニット式建物が従来から一般的に存在しており、この建物ユニットでは、工場において建物ユニットを予め製造し、据付施工現場では極端に工数を減らすことにより、コスト低減効果が得られるものとなっている。上記特許文献1では、このようなユニット式建物において、前述した外張り断熱工法を併用することが記載されている。
【0006】
しかしながら、ユニット式建物の場合、建物ユニットの組合せによって複数の柱が集合した柱集合部が形成される。この場合、柱集合部に柱断熱部を工場にてあらかじめ取り付けておくことができず、据付施工現場にて取り付け作業を行わざるを得ない。したがって、施工現場において、柱集合部に柱断熱部及び外壁パネルをそれぞれ取り付けるという現場作業が必要となり、現場での施工工数削減の観点から改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、建物外壁部における断熱性の向上を図りつつ、建物外壁部の構築に際しての施工性を向上させることができるユニット式建物の外壁断熱構造を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明のユニット式建物の外壁断熱構造は、柱と大梁とからなる建物ユニットを複数並べて構築されるユニット式建物の外壁断熱構造であり、前記ユニット式建物に取り付けられる建物外壁部は、複数の前記建物ユニットの柱が集合する柱集合部に設けられる第1外壁部と、その第1外壁部に横並びで設けられる第2外壁部とを有し、前記第1外壁部は、前記柱集合部の柱周りに設けられる第1断熱部と、その屋外側に設けられる第1外壁面材とを有している断熱壁ユニットであり、前記第2外壁部は、前記建物ユニットにおいて外壁取り付け側であるユニット側面部の柱間に設けられる第2断熱部と、その屋外側に設けられる第2外壁面材とを備え、前記第1断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋外側においてそれら柱に跨って設けられる屋外側柱断熱材と、前記隣り合う各柱の互いの対向面側とは反対側で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる延出断熱材とを有し、前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部とが互いに離間して設けられており、前記第1外壁部は、前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間部分に前記延出断熱材が挿し入れられることにより前記第1断熱部と前記第2断熱部とが連続した状態で、前記建物ユニットに対して組み付けられていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、ユニット式建物において、第1外壁部及び第2外壁部により柱集合部とそれ以外の部位とについて好適なる断熱が可能になる。特に柱集合部においては、屋外側柱断熱材及び延出断熱材が柱集合部の各柱を囲うようにして設けられており、しかも第1外壁部においてそれら断熱材を有する第1断熱部が、第2外壁部の第2断熱部と連続した状態となっている。このため、柱部分が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることはもちろんのこと、建物外壁部において断熱を損なう隙間部が第1断熱部と第2断熱部との間に形成されることを抑制できる。
【0010】
また、柱集合部に設けられる第1外壁部は断熱壁ユニットとしてユニット化されているため、第2外壁部の工場先付けを行い、第1外壁部の現場後付けを行う場合に、建物施工現場での第1外壁部の取り付け作業を容易化できる。つまり、複数の建物ユニットにより構成される柱集合部への第1外壁部の取り付け作業は建物施工現場で行わざるを得ず、第1外壁部の取り付け作業を容易化することにより建物施工現場での施工性の向上を図ることができる。
【0011】
以上の結果、外壁における断熱性の向上を図りつつ、外壁の構築に際しての施工性を向上させることができる。
【0012】
第2の発明では、前記第1外壁部において、前記第1外壁面材の内側には長尺状の胴縁部材が取り付けられており、前記胴縁部材に対して前記屋外側柱断熱材が固定され、前記屋外側柱断熱材と前記第1外壁面材との間に通気層が形成されている。
【0013】
第2の発明によれば、通気層を通じて屋外側柱断熱材と第1外壁面材との間から湿気を壁外部に放出することが可能となるため、湿気により第1外壁部が劣化することを抑制できる。
【0014】
なお、前記第2外壁部においても、前記第2外壁面材の内側には胴縁部材が取り付けられ、前記第2断熱部と前記第2外壁面材との間に通気層が形成されていることが好ましい。これにより、湿気により第2外壁部が劣化することを抑制できる。
【0015】
第3の発明では、前記第1外壁部は、前記隣り合う各柱の間の隙間部分で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる柱隙間断熱材を有している。
【0016】
第3の発明によれば、柱隙間断熱材により柱集合部の柱間の隙間部分について好適なる断熱が可能となる。しかも、この断熱は第1外壁部(断熱壁ユニット)の取り付けに伴って実現されるため、柱間の隙間部分を好適に断熱する上で施工性が低下するということを回避できる。
【0017】
第4の発明では、前記第2外壁部において、前記第2断熱部は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットに対して先付けられるものであり、前記第2外壁面材は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第2断熱部に対して後付けされるものであり、前記第1外壁部において、前記第1外壁面材は、前記第2外壁部の前記第2外壁面材に対して面一、又は前記第2外壁面材よりも外方に突出して設けられている。
【0018】
第4の発明によれば、第2外壁部の第2外壁面材が後付けとなる構成であるため、建物ユニットがユニット製造工場から建物施工現場にトラック等により輸送されることを想定しても、その輸送物の外寸が輸送制限にかかってしまう事態を抑制できる。
【0019】
また、第1外壁部については、第1外壁面材が、第2外壁部の第2外壁面材に対して面一、又は第2外壁面材よりも外方に突出して設けられるものであるが、第1外壁部は現場後付けの断熱壁ユニットであるため、張出量の制限はなく、高い自由度で建物ユニットに組み付けられる。
【0020】
第5の発明では、前記建物外壁部は、前記建物ユニットの大梁の屋外側に設けられる第3外壁部を有し、前記第3外壁部は、前記大梁の屋外側に設けられる第3断熱部と、その屋外側に設けられる第3外壁面材とを有し、前記建物ユニットにおいて、前記第2外壁部と前記第3外壁部とは上下に並べて取り付けられている。
【0021】
第2外壁部は、建物ユニットにおいてユニット側面部の柱間に設けられる第2断熱部を有するものであり、かかる構成によれば、建物ユニットの上下方向に見て第2断熱部は、上下の大梁間(天井大梁と床大梁との間)に設けられるものとなる。つまり、第2外壁部は、上下の各大梁に断熱性を付与するものではない。この点、第5の発明によれば、建物ユニットの大梁に第3外壁部を取り付けることにより、大梁部分も含めて建物ユニットに高い断熱性能を付与できる。この場合、柱集合部の柱と第3外壁部の第3断熱部との間に第1外壁部の延出断熱材が挿し入れられることにより、第1断熱部と第3断熱部とが連続した状態で設けられることになる。したがって、断熱を損なう隙間部が第1断熱部と第3断熱部との間に形成されることを抑制できる。
【0022】
なお、第2断熱部と第3断熱部とが連続した状態で前記第3外壁部が建物ユニットに対して組み付けられていることが好ましい。この場合、建物外壁部において断熱を損なう隙間部が第2断熱部と第3断熱部との間に形成されることを抑制できる。つまり、建物外壁部の断熱性能をより一層高めることができる。
【0023】
第6の発明では、前記ユニット式建物は、多層階建物であり、前記第3外壁部の前記第3断熱部は、上下に隣接する上階建物ユニットと下階建物ユニットとについて、前記上階建物ユニットの下側大梁と前記下階建物ユニットの上側大梁とに跨るように設けられている。
【0024】
第6の発明によれば、第3外壁部により、上下の建物ユニットの大梁が集合した梁集合部について好適なる断熱が可能となる。
【0025】
なお、前記第3外壁部は、前記下側大梁と前記上側大梁との間の隙間部分で前記第3断熱部から屋内側に延びる梁隙間断熱部を有していることが好ましい。この場合、梁隙間断熱部により梁集合部の梁間の隙間部分について好適なる断熱が可能となる。
【0026】
第7の発明では、前記第3断熱部は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットの前記大梁の屋外側に先付けされる先付け断熱部と、複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第3外壁面材とともに前記先付け断熱部の屋外側に後付けされる後付け断熱部と、を有している。
【0027】
第3断熱部の厚み寸法を大きくして断熱性能を向上させた場合、第3断熱部の工場先付けを行うと、第3断熱部が取り付けられていることで建物ユニットが輸送に際しての輸送制限を超えることが懸念される。これに対して、第7の発明によれば、輸送制限を超えないように先付け断熱部を先付けしておき、輸送完了後に後付け断熱部を後付けすることが可能となる。したがって、第3断熱部の断熱性能を低下させることなく、建物ユニットが輸送制限にかかってしまうという事態を抑制できる。
【0028】
第8の発明では、前記柱集合部の屋内側に設けられる屋内壁部を備え、前記屋内壁部は、前記柱集合部の各柱の屋内側に設けられる屋内断熱部と、その屋内側に設けられる内壁面材とを有し、前記屋内断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋内側においてそれら柱に跨って設けられている。
【0029】
第8の発明によれば、屋内壁断熱体により柱部分が屋内側から断熱補強されているため、柱部分が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることの抑制効果をより一層高めることができる。
【0030】
第9の発明では、前記ユニット式建物には、前記建物ユニットの上側大梁に生じる揺れを低減させる制振装置が設けられており、前記制振装置は、前記上側大梁が揺れた場合の該上側大梁の振幅を、前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間距離より小さくするように低減させる。
【0031】
第9の発明によれば、地震発生時において下側大梁に対して上側大梁が相対的に揺れても、その揺れに伴って柱が第2断熱部の側端部に接触することを制振装置により抑制できる。ここで、第1外壁ユニットにおいて延出断熱材を支持する木枠等の支持材が延出断熱材とともに柱と第2断熱部の側端部との間に挿し入れられている場合、上側大梁の揺れに伴って支持材に柱が接触して支持材が変形したり破損したりするということを回避できる。つまり、第1外壁ユニットが変形したり破損したりすることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態における2つの建物ユニットとそれらに取り付けられる建物外壁部との構成を示す概略斜視図。
【図2】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び主外壁ユニット周辺の横断面図。
【図3】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び主外壁ユニット周辺の分解横断面図。
【図4】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の横断面図。
【図5】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の分解横断面図。
【図6】建物ユニットにおける柱外壁ユニット周辺の縦断面図。
【図7】建物ユニットにおける主外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の縦断面図。
【図8】制振装置周辺の建物ユニット正面図。
【図9】揺れ発生時の天井大梁の振幅について説明するための説明図。
【図10】建物ユニットにおける主外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の別例を示す縦断面図。
【図11】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び主外壁ユニット周辺の別例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、住宅等の建物が二階建てユニット式建物として鉄骨ユニット工法により構築されており、各階部分はそれぞれ複数の建物ユニットが並べられることで構成されている。ユニット式建物は屋内外を仕切る外壁体を有しており、外壁体は建物ユニットの柱や大梁などの躯体に対して建物外壁部が取り付けられることにより形成されている。ここでは、建物ユニット及び建物外壁部の構成について図1を参照しつつ説明する。図1は2つの建物ユニット20と、それらに取り付けられる建物外壁部30との構成を示す概略斜視図である。
【0034】
図1に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
【0035】
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。
【0036】
建物外壁部30は、建物ユニット20の側面部において屋外側に配置される柱21、天井大梁22及び床大梁23に対して取り付けられている。建物外壁部30は、柱21に対して取り付けられている柱外壁ユニット31と、天井大梁22又は床大梁23に対して取り付けられている梁外壁ユニット32と、上下の梁外壁ユニット32の間であって柱外壁ユニット31に横並びに配置された主外壁ユニット33とを有している。
【0037】
柱外壁ユニット31は、隣り合う建物ユニット20の各柱21が集合した柱集合部34に設けられており、天井大梁22及び床大梁23との連結部分を含んで柱集合部34の柱21に沿って上下方向に延びている。梁外壁ユニット32は天井大梁22又は床大梁23に沿って水平方向に延びている。
【0038】
なお、柱外壁ユニット31が断熱壁ユニットに相当し、第1外壁部を構成している。梁外壁ユニット32が第3外壁部を構成し、主外壁ユニット33が第2外壁部を構成している。また、言うなれば、主外壁ユニット33は充填断熱工法を用いた外壁部であり、柱外壁ユニット31及び梁外壁ユニット32は外張り断熱工法を用いた外壁部である。このため、建物外壁部30は充填断熱工法と外張り断熱工法とを併用した外壁部ということになる。
【0039】
建物ユニット20の側面部における建物外壁部30が取り付けられた部分の構成について説明する。まず、天井大梁22と床大梁23との間の部分(上下方向に見て仕口以外の部分)の壁構造について図2、図3を参照しつつ説明する。図2は建物ユニット20の柱外壁ユニット31及び主外壁ユニット33周辺の横断面図、図3は図2の分解図である。なお、隣り合う建物ユニット20の境界線をドッキングラインDLで示している。
【0040】
図2、図3に示すように、主外壁ユニット33は、建物ユニット20の側面に沿って延びるように設けられている主断熱部41と、その主断熱部41の屋外側に設けられている主外壁面材42とを有している。なお、主断熱部41が第2断熱部に相当し、主外壁面材42が第2外壁面材に相当する。
【0041】
主断熱部41は、建物ユニット20の一側面において2つの柱21の間に配置されており、柱集合部34の柱21から側方に向けて離間している。主断熱部41は、上下方向に延びる縦枠材44と、縦枠材44の屋内側に配置された主内壁面材45と、縦枠材44の屋外側に配置された壁下地面材46と、主内壁面材45及び壁下地面材46の間に設けられた充填断熱材47とを有している。主内壁面材45は石膏ボードにより形成され、壁下地面材46は合板により板状に形成され、それぞれ縦枠材44に対して固定されている。縦枠材44は木材により形成された間柱等の長尺材であり、天井大梁22と床大梁23との間において横並びに所定間隔で複数配置されている。
【0042】
充填断熱材47は、グラスウール等の繊維系断熱材(例えば熱伝導率λが0.38の断熱材)によりフェルト状に形成されており、天井大梁22と床大梁23との間において縦枠材44に沿って延びるように配置されている。充填断熱材47は主内壁面材45から屋外側に離間しており、その離間部分が屋内側通気層48とされている。
【0043】
主外壁面材42は、窯業系サイディング板等の外装材により形成されており、建物外壁部30の屋外面を形成している。主外壁面材42の屋内側面には主胴縁部材43が取り付けられている。主胴縁部材43は、主断熱部41と主外壁面材42との間に設けられ、主外壁面材42を主断熱部41から屋外側に離間させた位置で支持しており、その離間部分は、主断熱部41の屋外側に配置された主通気層52とされている。主胴縁部材43は上下方向に延びる木製の長尺材とされており、主断熱部41に沿って横並びに所定間隔で複数設けられている。主胴縁部材43は通気胴縁としての役割を果たしており、主断熱部41に対して固定されている。例えば釘等が屋外側から主外壁面材42及び主胴縁部材43を通じて壁下地面材46に打ち込まれている。
【0044】
柱外壁ユニット31は、柱集合部34の柱周りに設けられている柱断熱部61と、その柱断熱部61の屋外側に設けられている柱外壁面材62とを有している。なお、柱断熱部61が第1断熱部に相当し、柱外壁面材62が第1外壁面材に相当し、柱胴縁部材63が胴縁部材に相当する。
【0045】
柱外壁面材62は、主外壁面材42と同様に窯業系サイディング板等の外装材により形成されており、主外壁面材42と同一平面上にて建物外壁部30の屋外面を形成している。つまり、柱外壁面材62は主外壁面材42に対して面一で設けられている。柱外壁面材62の屋内側面には柱胴縁部材63が取り付けられている。柱胴縁部材63は、柱外壁面材62と柱21との間に設けられ、主胴縁部材43と同様に上下方向に延びる木製の長尺材とされており、柱外壁面材62の屋内側面に取り付けられている。柱胴縁部材63は柱外壁面材62と柱集合部34の各柱21とのそれぞれの間に配置されており、それら柱胴縁部材63は横並びで互いに離間した状態となっている。
【0046】
柱断熱部61は柱集合部34の各柱21に沿って延びている。柱断熱部61は、柱集合部34の各柱21の屋外側に配置された屋外側柱断熱材66と、柱集合部34において隣り合う柱の互いの対向面とは反対側で屋外側柱断熱材66から屋内側に延びている延出断熱材67と、隣り合う各柱21の間の隙間部分で屋外側柱断熱材66から屋内側に延びている柱隙間断熱材68と、延出断熱材67の主外壁ユニット33側に設けられ柱外壁面材62から屋外側に延びている延出板材69とを有している。
【0047】
屋外側柱断熱材66、延出断熱材67及び柱隙間断熱材68は、硬質ウレタンフォーム等の発泡プラスチック系断熱材(例えば熱伝導率λが0.02の断熱材)により形成されており、柱胴縁部材63に対して固定されている。延出板材69は断熱性を有する木製の合板により形成されており、柱外壁面材62に対して固定されている。
【0048】
屋外側柱断熱材66は、柱集合部34の各柱21と柱外壁面材62との間において柱外壁面材62から屋内側に離間した状態で配置されており、その離間部分が柱通気層65とされている。屋外側柱断熱材66は、柱集合部34の各柱21の屋外側面に沿って延びており、柱集合部34の各柱21に跨った状態とされている。
【0049】
延出断熱材67は屋外側柱断熱材66の両側端のそれぞれに設けられており、柱21における主外壁ユニット33側の側面に沿って延びている。この場合、延出断熱材67は天井大梁22と床大梁23との間において柱21とその柱21に隣り合う主断熱部41との間に入り込んだ状態となっている。柱隙間断熱材68は屋外側柱断熱材66の略中央に配置されており、柱集合部34の各柱21において互いに向かい合う各側面のそれぞれに沿って延びている。この場合、柱隙間断熱材68は、柱集合部34の各柱21の間の隙間に入り込んだ状態となっている。
【0050】
ここで、延出板材69は延出断熱材67と主断熱部41との間において延出断熱材67に沿って延びており、延出断熱材67及び主断熱部41の両方と当接している。この場合、延出板材69は延出断熱材67及び主断熱部41の両方と接触した状態となっていることになる。つまり、柱外壁ユニット31の柱断熱部61は主外壁ユニット33の主断熱部41と連続した状態で配置されていることになる。したがって、建物外壁部30において断熱を損なう隙間部分が柱断熱部61と主断熱部41との間に形成されることを抑制できる。
【0051】
柱外壁ユニット31は、柱胴縁部材63が柱集合部34の柱21に固定されることで柱集合部34に対して取り付けられている。例えば、釘等が屋内側から柱外壁面材62及び柱胴縁部材63を貫通して柱21に打ち込まれている。
【0052】
柱集合部34に対しては、建物外壁部30に加えて屋内壁ユニット71が取り付けられている。屋内壁ユニット71は、柱集合部34の各柱21の屋内側に設けられている屋内側柱断熱材72と、その屋内側柱断熱材72の屋内側に設けられている柱内壁面材73とを有している。屋内側柱断熱材72は柱集合部34の各柱21に跨った状態とされている。この場合、柱外壁ユニット31の延出板材69及び延出断熱材67は屋内壁ユニット71の柱内壁面材73まで延びており、それぞれの端面は柱内壁面材73の屋外側面に当接している。
【0053】
次に、天井大梁22を有する部分(上下方向に見て仕口部分)の壁構造について、図4、図5を参照しつつ説明する。図4は建物ユニット20における柱外壁ユニット31及び梁外壁ユニット32周辺の横断面図、図5は図4の分解図である。
【0054】
なお、図4、図5に示す柱外壁ユニット31は、図2、図3に示す柱外壁ユニット31と同じユニットであるが、天井大梁22部分とそれ以外の部分とでは断面形状が相違するものとなっている。また、天井大梁22を含む部分と床大梁23を含む部分との構成は上下が逆になるだけで同じとなっている。
【0055】
図4、図5に示すように、柱外壁ユニット31においては、延出板材69及び延出断熱材67が天井大梁22と床大梁23との間に入り込んだ状態ではなく、天井大梁22の屋外側に留まっている。この場合、延出板材69及び延出断熱材67の先端部が天井大梁22の屋外側面に当接している。なお、天井大梁22の屋内側は天井裏空間とされており、天井裏空間においては屋内壁ユニット71が設けられていない。
【0056】
天井大梁22の屋外側において、柱外壁ユニット31の側方には梁外壁ユニット32が配置されている。梁外壁ユニット32は、天井大梁22の屋外側に設けられた梁断熱部75と、その梁断熱部75の屋外側に設けられている梁外壁面材76とを有している。梁断熱部75は、天井大梁22に対して取り付けられている先付け断熱部77と、先付け断熱部77の屋外側に配置されその先付け断熱部77に対して取り付けられている後付け断熱部78とを有している。なお、梁断熱部75が第3断熱部に相当し、梁外壁面材76が第3外壁面材に相当する。
【0057】
先付け断熱部77は、天井大梁22の屋外側面に沿って延びており、柱集合部34の柱21から側方に離間して配置されている。先付け断熱部77は、天井大梁22の屋外面に固定され且つ上下方向に延びる縦枠材81と、縦枠材81の屋外側に配置された壁下地面材82と、天井大梁22及び壁下地面材82の間に設けられている先付け断熱材83とを有している。壁下地面材82は、主外壁ユニット33の壁下地面材46と同様に合板により板状に形成されており、その壁下地面材46に対して面一で配置されている。縦枠材81は、主外壁ユニット33の縦枠材44と同様に木材等により形成された長尺材であり、横並びに所定間隔で複数配置されている。先付け断熱材83は、柱断熱部61と同様に発砲プラスチック系断熱材により形成されており、縦枠材81の間に配置されている。
【0058】
梁外壁面材76は、主外壁面材42と同様に窯業系サイディング板等の外装材により形成されており、柱外壁面材62と同一平面上にて建物外壁部30の屋外面を形成している。梁外壁面材76の屋外側面には梁胴縁部材84が取り付けられている。梁胴縁部材84は、先付け断熱部77と梁外壁面材76との間に設けられ、主胴縁部材43と同様に上下方向に延びる木製の長尺材とされており、梁外壁面材76の屋内側面に取り付けられている。梁胴縁部材84は、横並びに所定間隔で複数設けられており、梁外壁面材76を先付け断熱部77から屋外側に離間させて支持している。
【0059】
後付け断熱部78は、柱断熱部61と同様に発砲プラスチック系断熱材により形成されており、梁外壁面材76と先付け断熱部77との間において梁胴縁部材84に対して取り付けられている。後付け断熱部78は、梁外壁面材76から屋内側に離間しており、その離間部分が梁通気層85とされている。
【0060】
ここで、柱外壁ユニット31の延出断熱材67及び延出板材69は、柱集合部34の柱21と梁外壁ユニット32の先付け断熱部77との間に挿し入れられた状態となっており、延出板材69は先付け断熱部77と接触している。この場合、柱外壁ユニット31の柱断熱部61は梁外壁ユニット32の先付け断熱部77と連続した状態で配置されていることになる。したがって、断熱を損なう隙間部分が柱断熱部61と梁断熱部75との間に形成されることを抑制できる。
【0061】
続いて、建物ユニット20に対する建物外壁部30(壁ユニット31〜33)の取り付け手順について、図6、図7を参照しつつ説明する。図6は建物ユニット20における柱外壁ユニット31周辺の縦断面図、図7は建物ユニット20における主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32周辺の縦断面図である。なお、図6においては、(a)に建物ユニット20と主外壁ユニット33と梁外壁ユニット32との分解図を示し、(b)にそれらが組み付けられた状態の図を示す。図7においては、(a)に建物ユニット20と柱外壁ユニット31との分解図を示し、(b)にそれらが組み付けられた状態の図を示す。
【0062】
建物ユニット20はユニット製造工場にて製造される。また、ユニット製造工場においては、主外壁ユニット33のうち主断熱部41と、梁外壁ユニット32のうち先付け断熱部77とが建物ユニット20に対してそれぞれ取り付けられる。この場合、図6(a)に示すように、主断熱部41の充填断熱材47と先付け断熱部77の先付け断熱材83とは上下に隣り合わせて配置され、互いに連続した状態となっている。この場合、充填断熱材47と先付け断熱材83との間に隙間が形成されて建物外壁部30における断熱を損なってしまうということを回避できる。
【0063】
建物ユニット20は、主断熱部41及び先付け断熱部77が取り付けられた状態でユニット製造工場から建物施工現場にトラック等により輸送される。そして、建物施工現場において複数の建物ユニット20同士が組み付けられた後、図6(b)に示すように、主外壁ユニット33のうち主外壁面材42と、梁外壁ユニット32のうち後付け断熱部78及び梁外壁面材76とが建物ユニット20に対して取り付けられる。この場合、主外壁面材42と梁外壁面材76とは同一平面上にて外壁面を形成している。つまり、これら外壁面材42,76は互いに面一で設けられる。また、主外壁ユニット33の主通気層52と梁外壁ユニット32の梁通気層85とは上下に連通されている。
【0064】
なお、先付け断熱材83は、ユニット製造工場にて天井大梁22の屋外側面に取り付けられるため、輸送制限の寸法上、充填断熱材47に比べて厚み寸法を小さくせざるを得ないが、先付け断熱材83に重なるように後付け断熱部78が屋外側から取り付けられる。このため、天井大梁22が熱橋となって建物外壁部30の断熱性が低下するということをより確実に回避できる。
【0065】
柱外壁ユニット31は建物施工現場にて柱集合部34に対して取り付けられる。これは、柱集合部34が複数の建物ユニット20同士の組み付けにより建物施工現場ではじめて形成されるためである。このため、ユニット製造工場においては、図7(a)に示すように、建物ユニット20に対しては柱外壁ユニット31が取り付けられていない状態となっている。建物施工現場において建物ユニット20に対して柱外壁ユニット31が取り付けられた状態では、天井大梁22を含む部分と含まない部分とが柱断熱部61により連続して断熱されている。なお、柱断熱部61の延出断熱材67は天井大梁22に合わせて上部が屋外側に向けて凹んだ形状とされている。
【0066】
ここで、建物において建物ユニット20には制振装置90が設けられており、制振装置90の構成について図8、図9を参照しつつ説明する。図8は制振装置90周辺の建物ユニット正面図、図9は揺れ発生時の天井大梁22の振幅について説明するための説明図である。
【0067】
図8に示すように、制振装置90は、建物ユニット20において天井大梁22と床大梁23との間に設けられている。また、床大梁23に固定されている床側フレーム92と、天井大梁22に固定されている天井側フレーム93と、それらフレーム92,93の間に設けられている減衰ダンパ94とを有している。
【0068】
床側フレーム92の上端部及び天井側フレーム93の下端部にはダンパ受部95,96がそれぞれ設けられており、それらダンパ受部95,96により、両端が回転可能な状態で減衰ダンパ94が取り付けられている。減衰ダンパ94は、シリンダ94aと、少なくとも一部がシリンダ94a内で摺動するロッド94bとを有しており、作動油が充填された油室を備える油圧式のダンパである。シリンダ94aは床側フレーム92のダンパ受部95に接続されており、ロッド94bは天井側フレーム93のダンパ受部96に接続されている。この場合、減衰ダンパ94は天井大梁22の長手方向に沿って伸縮するようになっている。
【0069】
地震等により揺れが生じた場合、制振装置90の減衰ダンパ94においてロッド94bがシリンダ94aに出入りすることによりロッド長が伸縮し、それによって床大梁23に対する天井大梁22の振動が減衰される。ここで、制振装置90は、ロッド長の振幅、すなわち柱21上端の揺れの振幅A(図9参照)が、建物外壁部30において柱外壁ユニット31の延出断熱材67の幅寸法W(図2参照)より小さくなるように天井大梁22の振動を減衰する。この場合、柱21と柱外壁ユニット31の延出板材69との離間距離は幅寸法Wと同じ大きさであるため、柱21は延出板材69に接触しない範囲で揺れることになる。したがって、柱21が延出板材69に接触して柱外壁ユニット31の変形や破損が生じるということを回避できる。
【0070】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0071】
建物ユニット20に対して柱外壁ユニット31に加えて主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32が取り付けられるため、柱集合部34とそれ以外の部位とについて好適なる断熱が可能になる。特に柱集合部34においては、柱外壁ユニット31の屋外側柱断熱材66及び延出断熱材67が柱集合部34の各柱21を囲むようにして設けられており、しかも、それら屋外側柱断熱材66及び延出断熱材67を有する柱断熱部61が主外壁ユニット33の主断熱部41と連続した状態となっている。このため、柱集合部34の柱21が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることはもちろんのこと、建物外壁部30において断熱を損なう隙間部分が柱断熱部61と主断熱部41との間に形成されることを抑制できる。
【0072】
また、柱外壁ユニット31はユニット化されているため、主外壁ユニット33の工場先付けを行い、柱外壁ユニット31の現場後付けを行う場合に、建築施工現場での柱外壁ユニット31の取り付け作業を容易化できる。つまり、柱集合部34に対する柱外壁ユニット31の取り付け作業は建物施工現場で行わざるを得ず、柱外壁ユニット31の取り付け作業を容易化することにより建物施工現場での施工性の向上を図ることができる。
【0073】
以上の結果、建物外壁部30における断熱性の向上を図りつつ、建物外壁部30の構築に際しての施工性を向上させることができる。
【0074】
柱外壁ユニット31は建物施工現場にて建物ユニット20に対して取り付けられるため、建物ユニット20の輸送に際して柱外壁ユニット31の張り出し量が制限されることはない。したがって、柱外壁ユニット31について厚み寸法や形状など建物ユニット20への組み付け状態に関する自由度を高めることができる。
【0075】
柱外壁ユニット31においては柱胴縁部材63が通気胴縁としての役割を果たしているため、柱通気層65が柱断熱部61の屋外側に確保されている。さらに、柱外壁面材62と柱断熱部61との間から柱通気層65を通じて湿気が壁外部に放出されることにより、建物外壁部30が湿気により劣化することを抑制できる。これらの効果は主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32についても奏することができる。しかも、主外壁ユニット33の主通気層52と梁外壁ユニット32の梁通気層85とは上下に連通しているため、梁通気層85又は主通気層52に湿気が溜まることを抑制できる。
【0076】
柱外壁ユニット31の柱隙間断熱材68が柱集合部34の柱21同士の隙間に挿し入れられているため、その隙間部分について好適なる断熱が可能となる。しかも、この断熱は柱外壁ユニット31の柱集合部34への取り付けに伴って実現されるため、柱21同士の隙間を好適に断熱する上で施工性が低下するということを回避できる。
【0077】
柱外壁ユニット31は、柱胴縁部材63が柱集合部34の柱21に当接することにより取り付け位置が設定される。しかも、柱外壁ユニット31の延出板材69が柱21と主外壁ユニット33との間に挿し入れられることにより、柱集合部34の各柱21が並ぶ方向において柱外壁ユニット31の取り付け位置を決めることができる。したがって、柱集合部34に対する柱外壁ユニット31の位置決めを好適に行うことができる。
【0078】
建物ユニット20の天井大梁22及び床大梁23に対して梁外壁ユニット32が取り付けられているため、天井大梁22や床大梁23が熱橋となり屋内外で伝熱が生じるということを抑制し、大梁部分も含めて建物ユニットに高い断熱性能を付与できる。しかも、梁外壁ユニット32はユニット化されているため、天井大梁22や床大梁23の各部分についての断熱に際して施工性が低下することを抑制できる。
【0079】
主外壁ユニット33のうち主外壁面材42が建物施工現場にて建物ユニット20に後付けされるため、建物ユニット20の輸送に際してその輸送物の外寸が輸送制限にかかってしまう事態を抑制できる。さらに、この場合、建物ユニット20の輸送に際して主外壁面材42の張り出し量が制限されることがないため、主外壁面材42について厚み寸法や形状など建物ユニット20への組み付け状態に関する自由度を高めることができる。
【0080】
梁外壁ユニット32の梁断熱部75のうち先付け断熱部77が工場先付けとされ、後付け断熱部78が現場後付けとされる。このため、梁断熱部75の厚み寸法を大きくして断熱性能を確保するという構成において、輸送制限を超えない範囲で先付け断熱部77を取り付けた状態で建物ユニット20を輸送し、輸送後に後付け断熱部78を取り付けることが可能となる。したがって、梁断熱部75の断熱性能を低下させることなく、建物ユニット20の輸送に際して輸送制限にかかってしまうという事態を抑制できる。さらに、梁外壁面材76も後付け断熱部78と同様に工場後付けとされているため、梁外壁面材76について厚み寸法や形状など建物ユニット20への組み付け状態に関する自由度を輸送制限にかかることなく高めることができる。
【0081】
屋内壁ユニット71により柱集合部34が屋内側から断熱補強されているため、柱集合部34の柱21が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることの抑制効果をより一層高めることができる。しかも、屋内壁ユニット71はユニット化されているため、建物外壁部30の構築に際して施工性が低下することを回避できる。
【0082】
建物ユニット20に設けられた制振装置90により、地震等により揺れが発生してもその揺れに伴う柱21の上端の振幅Aが、柱外壁ユニット31の延出断熱材67の幅寸法Wより小さくされる。この場合、柱21の揺れに伴って延出断熱材67が変形するだけであり、柱21が延出板材69や主断熱部41に接触して柱外壁ユニット31や主外壁ユニット33が変形したり破損したりすることを回避できる。なお、仮に柱外壁ユニット31を新規のものに取り替えるとしても、その取り換え作業を容易化できる。
【0083】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0084】
(1)梁外壁ユニット32の梁断熱部75は、図10に示すように、建物において上階部分としての二階部分の建物ユニット20の床大梁23と、上階部分に隣接する下階部分としての一階部分の建物ユニット20の天井大梁22とに跨るように設けられていてもよい。なお、図10は、建物ユニット20における主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32周辺の縦断面図である。また、二階部分の建物ユニットが上階建物ユニットに相当し、一階部分の建物ユニットが下階建物ユニットに相当する。
【0085】
この構成では、床大梁23と天井大梁22とが隣り合う部分が梁集合部98とされ、梁断熱部75は梁集合部98全体の屋外側を覆った状態となっている。この場合、主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32により、梁集合部98とそれ以外の部位とについて好適なる断熱が可能となる。しかも、梁集合部98は柱集合部34と同様に建物施工現場ではじめて形成されるものであるため、梁集合部98に対する梁外壁ユニット32の取り付け作業は建物施工現場で行わざるを得ず、梁外壁ユニット32の取り付け作業を容易化することにより建物施工現場での施工性の向上を図ることができる。
【0086】
また、梁外壁ユニット32は、梁集合部98における床大梁23と天井大梁22との間の隙間部分で梁断熱部75から屋内側に延びる梁隙間断熱部99を有している。この場合、梁隙間断熱部99により梁集合部98の大梁22,23間の隙間部分について好適なる断熱が可能となる。しかも、この断熱は梁外壁ユニット32の取り付けに伴って実現されるため、大梁22,23間の隙間部分を好適に断熱する上で施工性が低下するということを回避できる。
【0087】
(2)柱外壁ユニット31の柱外壁面材62は、図11に示すように、主外壁ユニット33の主外壁面材42より屋外側に突出して設けられていてもよい。なお、図11は、建物ユニット20における柱外壁ユニット31及び主外壁ユニット33周辺の横断面図である。この構成では、柱外壁ユニット31の屋外側柱断熱材66が主外壁ユニット33の充填断熱材47と同じ材料(熱伝導率λが同じ断熱材)により形成されており、充填断熱材47と同じ厚さ寸法を有している。この構成によれば、柱外壁面材62の突出寸法や厚み寸法、形状など柱外壁ユニット31が建物ユニット20に取り付けられた状態での自由度をより一層高めることができる。なお、この構成においては、柱外壁ユニット31が柱隙間断熱材68を有していない。
【0088】
(3)主外壁ユニット33は、主外壁面材42及び主胴縁部材43を含んで建物ユニット20に対して工場先付けされていてもよく、現場後付けされていてもよい。同様に、梁外壁ユニット32は、梁断熱部75、梁外壁面材76及び梁胴縁部材84を含んで建物ユニット20に対して工場先付けされていてもよく、現場後付けされていてもよい。
【0089】
(4)柱外壁ユニット31は、主外壁ユニット33に対して横並びにされる部分と、梁外壁ユニット32に対して横並びにされる部分とに分割されていてもよい。つまり、天井大梁22と床大梁23との間に配置される部分と、天井大梁22又は床大梁23に対して取り付けられる部分とに分割されていてもよい。
【0090】
(5)主外壁ユニット33と梁外壁ユニット32とは一体的に形成されていてもよい。例えば、主外壁面材42と梁外壁面材76とが連続して形成されており、主胴縁部材43と梁胴縁部材84とが連続して形成されている構成とする。
【0091】
(6)主外壁ユニット33は、ユニット化されていなくてもよい。例えば、ユニット製造工場において、縦枠材44、主内壁面材45、壁下地面材46、充填断熱材47が建物ユニット20に対して個別に取り付けられる構成とする。同様に、梁外壁ユニット32もユニット化されていなくてもよい。
【0092】
(7)主外壁ユニット33において、主外壁面材42と主断熱部41との間に断熱材が設けられていてもよい。例えば、その断熱材が主断熱部41側に配置され、主通気層52が断熱材の屋外側に形成されている構成とする。
【0093】
(8)柱外壁ユニット31の柱断熱部61は、延出板材69に代えて、屋外側柱断熱材66、延出断熱材67及び柱隙間断熱材68を支持するコ字状のコ字状部材を有していてもよい。この場合、コ字状部材の開放内側に各断熱材66〜68が取り付け固定されている構成とする。この場合、コ字状部材において互いに対向する対向部が延出板材に相当し、その対向部は延出断熱材67とともに柱集合部34の柱21と主外壁ユニット33の主断熱部41との間に挿し入れられている。
【0094】
(9)柱集合部が3つ以上の柱21が集合して構成されており、その柱集合部34に対して柱外壁ユニット31が取り付けられている構成としてもよい。例えば、建物外壁部30において3つの柱21が集合した柱集合部により入隅部分が形成されており、その柱集合部34に対して入隅部分から柱外壁ユニット31が取り付けられている構成とする。この構成においても、柱外壁ユニット31の柱断熱部61により柱集合部34の各柱21の屋外側面を覆い、柱外壁面材62により入隅部分における建物外壁面を形成することができる。
【0095】
(10)柱外壁ユニット31は、柱集合部34の柱21と当接する柱胴縁部材63を少なくとも1つ有していればよい。この場合でも、柱外壁ユニット31の位置決めを行うことができるとともに、柱胴縁部材63により柱外壁ユニット31に柱通気層65を確保することができる。
【0096】
(11)柱外壁ユニット31において柱胴縁部材63は水平方向に延びる横材とされていてもよい。これは、梁外壁ユニット32の梁胴縁部材84及び主外壁ユニット33の主胴縁部材43についても同様である。
【符号の説明】
【0097】
20…建物ユニット、21…柱、22…大梁及び上側大梁としての天井大梁、23…大梁及び下側大梁としての床大梁、30…建物外壁部、31…第1外壁部及び断熱壁ユニットとしての柱外壁ユニット、32…第3外壁部としての梁外壁ユニット、33…第2外壁部としての梁外壁ユニット、41…第2断熱部としての主断熱部、42…第2外壁面材としての主外壁面材、44…第2断熱部を構成する縦枠材、45…第2断熱部を構成する主内壁面材、46…第2断熱部を構成する壁下地面材、47…第2断熱部を構成する充填断熱材、61…第1断熱部としての柱断熱部、62…第1外壁面材としての柱外壁面材、63…胴縁部材としての柱胴縁部材、65…通気層としての柱通気層、66…第1断熱部を構成する屋外側柱断熱材、67…第1断熱部を構成する延出断熱材、68…第1断熱部を構成する柱隙間断熱材、69…第1断熱部を構成する延出板材、71…屋内壁部としての屋内壁ユニット、72…屋内断熱部としての屋内側柱断熱材、73…内壁面材としての柱内壁面材、75…第3断熱部としての梁断熱部、76…第3外壁面材としての梁外壁面材、77…先付け断熱部、78…後付け断熱部、81…先付け断熱部を構成する縦枠材、82…先付け断熱部を構成する壁下地面材、83…先付け断熱部を構成する先付け断熱材、90…制振装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物の外壁断熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、外壁部に断熱構造が採用されてその外壁部に断熱性が付与されている。その断熱工法としては、柱同士の間にグラスウール等の断熱材が設けられる充填断熱工法が知られている。
【0003】
しかしながら、このような充填断熱工法では、柱部分が熱橋となり、断熱性を低下させる原因となっていた。特に、柱部分が鉄等の金属材料により形成されている場合、柱部分が熱橋となる問題が顕著になる。これに対して、この柱部分の周囲にその屋外側から断熱材を設けて、その部分に断熱性を付与する外張り断熱工法を併用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−155588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の建物ユニットが組み合わされてなるユニット式建物が従来から一般的に存在しており、この建物ユニットでは、工場において建物ユニットを予め製造し、据付施工現場では極端に工数を減らすことにより、コスト低減効果が得られるものとなっている。上記特許文献1では、このようなユニット式建物において、前述した外張り断熱工法を併用することが記載されている。
【0006】
しかしながら、ユニット式建物の場合、建物ユニットの組合せによって複数の柱が集合した柱集合部が形成される。この場合、柱集合部に柱断熱部を工場にてあらかじめ取り付けておくことができず、据付施工現場にて取り付け作業を行わざるを得ない。したがって、施工現場において、柱集合部に柱断熱部及び外壁パネルをそれぞれ取り付けるという現場作業が必要となり、現場での施工工数削減の観点から改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、建物外壁部における断熱性の向上を図りつつ、建物外壁部の構築に際しての施工性を向上させることができるユニット式建物の外壁断熱構造を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明のユニット式建物の外壁断熱構造は、柱と大梁とからなる建物ユニットを複数並べて構築されるユニット式建物の外壁断熱構造であり、前記ユニット式建物に取り付けられる建物外壁部は、複数の前記建物ユニットの柱が集合する柱集合部に設けられる第1外壁部と、その第1外壁部に横並びで設けられる第2外壁部とを有し、前記第1外壁部は、前記柱集合部の柱周りに設けられる第1断熱部と、その屋外側に設けられる第1外壁面材とを有している断熱壁ユニットであり、前記第2外壁部は、前記建物ユニットにおいて外壁取り付け側であるユニット側面部の柱間に設けられる第2断熱部と、その屋外側に設けられる第2外壁面材とを備え、前記第1断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋外側においてそれら柱に跨って設けられる屋外側柱断熱材と、前記隣り合う各柱の互いの対向面側とは反対側で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる延出断熱材とを有し、前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部とが互いに離間して設けられており、前記第1外壁部は、前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間部分に前記延出断熱材が挿し入れられることにより前記第1断熱部と前記第2断熱部とが連続した状態で、前記建物ユニットに対して組み付けられていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、ユニット式建物において、第1外壁部及び第2外壁部により柱集合部とそれ以外の部位とについて好適なる断熱が可能になる。特に柱集合部においては、屋外側柱断熱材及び延出断熱材が柱集合部の各柱を囲うようにして設けられており、しかも第1外壁部においてそれら断熱材を有する第1断熱部が、第2外壁部の第2断熱部と連続した状態となっている。このため、柱部分が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることはもちろんのこと、建物外壁部において断熱を損なう隙間部が第1断熱部と第2断熱部との間に形成されることを抑制できる。
【0010】
また、柱集合部に設けられる第1外壁部は断熱壁ユニットとしてユニット化されているため、第2外壁部の工場先付けを行い、第1外壁部の現場後付けを行う場合に、建物施工現場での第1外壁部の取り付け作業を容易化できる。つまり、複数の建物ユニットにより構成される柱集合部への第1外壁部の取り付け作業は建物施工現場で行わざるを得ず、第1外壁部の取り付け作業を容易化することにより建物施工現場での施工性の向上を図ることができる。
【0011】
以上の結果、外壁における断熱性の向上を図りつつ、外壁の構築に際しての施工性を向上させることができる。
【0012】
第2の発明では、前記第1外壁部において、前記第1外壁面材の内側には長尺状の胴縁部材が取り付けられており、前記胴縁部材に対して前記屋外側柱断熱材が固定され、前記屋外側柱断熱材と前記第1外壁面材との間に通気層が形成されている。
【0013】
第2の発明によれば、通気層を通じて屋外側柱断熱材と第1外壁面材との間から湿気を壁外部に放出することが可能となるため、湿気により第1外壁部が劣化することを抑制できる。
【0014】
なお、前記第2外壁部においても、前記第2外壁面材の内側には胴縁部材が取り付けられ、前記第2断熱部と前記第2外壁面材との間に通気層が形成されていることが好ましい。これにより、湿気により第2外壁部が劣化することを抑制できる。
【0015】
第3の発明では、前記第1外壁部は、前記隣り合う各柱の間の隙間部分で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる柱隙間断熱材を有している。
【0016】
第3の発明によれば、柱隙間断熱材により柱集合部の柱間の隙間部分について好適なる断熱が可能となる。しかも、この断熱は第1外壁部(断熱壁ユニット)の取り付けに伴って実現されるため、柱間の隙間部分を好適に断熱する上で施工性が低下するということを回避できる。
【0017】
第4の発明では、前記第2外壁部において、前記第2断熱部は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットに対して先付けられるものであり、前記第2外壁面材は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第2断熱部に対して後付けされるものであり、前記第1外壁部において、前記第1外壁面材は、前記第2外壁部の前記第2外壁面材に対して面一、又は前記第2外壁面材よりも外方に突出して設けられている。
【0018】
第4の発明によれば、第2外壁部の第2外壁面材が後付けとなる構成であるため、建物ユニットがユニット製造工場から建物施工現場にトラック等により輸送されることを想定しても、その輸送物の外寸が輸送制限にかかってしまう事態を抑制できる。
【0019】
また、第1外壁部については、第1外壁面材が、第2外壁部の第2外壁面材に対して面一、又は第2外壁面材よりも外方に突出して設けられるものであるが、第1外壁部は現場後付けの断熱壁ユニットであるため、張出量の制限はなく、高い自由度で建物ユニットに組み付けられる。
【0020】
第5の発明では、前記建物外壁部は、前記建物ユニットの大梁の屋外側に設けられる第3外壁部を有し、前記第3外壁部は、前記大梁の屋外側に設けられる第3断熱部と、その屋外側に設けられる第3外壁面材とを有し、前記建物ユニットにおいて、前記第2外壁部と前記第3外壁部とは上下に並べて取り付けられている。
【0021】
第2外壁部は、建物ユニットにおいてユニット側面部の柱間に設けられる第2断熱部を有するものであり、かかる構成によれば、建物ユニットの上下方向に見て第2断熱部は、上下の大梁間(天井大梁と床大梁との間)に設けられるものとなる。つまり、第2外壁部は、上下の各大梁に断熱性を付与するものではない。この点、第5の発明によれば、建物ユニットの大梁に第3外壁部を取り付けることにより、大梁部分も含めて建物ユニットに高い断熱性能を付与できる。この場合、柱集合部の柱と第3外壁部の第3断熱部との間に第1外壁部の延出断熱材が挿し入れられることにより、第1断熱部と第3断熱部とが連続した状態で設けられることになる。したがって、断熱を損なう隙間部が第1断熱部と第3断熱部との間に形成されることを抑制できる。
【0022】
なお、第2断熱部と第3断熱部とが連続した状態で前記第3外壁部が建物ユニットに対して組み付けられていることが好ましい。この場合、建物外壁部において断熱を損なう隙間部が第2断熱部と第3断熱部との間に形成されることを抑制できる。つまり、建物外壁部の断熱性能をより一層高めることができる。
【0023】
第6の発明では、前記ユニット式建物は、多層階建物であり、前記第3外壁部の前記第3断熱部は、上下に隣接する上階建物ユニットと下階建物ユニットとについて、前記上階建物ユニットの下側大梁と前記下階建物ユニットの上側大梁とに跨るように設けられている。
【0024】
第6の発明によれば、第3外壁部により、上下の建物ユニットの大梁が集合した梁集合部について好適なる断熱が可能となる。
【0025】
なお、前記第3外壁部は、前記下側大梁と前記上側大梁との間の隙間部分で前記第3断熱部から屋内側に延びる梁隙間断熱部を有していることが好ましい。この場合、梁隙間断熱部により梁集合部の梁間の隙間部分について好適なる断熱が可能となる。
【0026】
第7の発明では、前記第3断熱部は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットの前記大梁の屋外側に先付けされる先付け断熱部と、複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第3外壁面材とともに前記先付け断熱部の屋外側に後付けされる後付け断熱部と、を有している。
【0027】
第3断熱部の厚み寸法を大きくして断熱性能を向上させた場合、第3断熱部の工場先付けを行うと、第3断熱部が取り付けられていることで建物ユニットが輸送に際しての輸送制限を超えることが懸念される。これに対して、第7の発明によれば、輸送制限を超えないように先付け断熱部を先付けしておき、輸送完了後に後付け断熱部を後付けすることが可能となる。したがって、第3断熱部の断熱性能を低下させることなく、建物ユニットが輸送制限にかかってしまうという事態を抑制できる。
【0028】
第8の発明では、前記柱集合部の屋内側に設けられる屋内壁部を備え、前記屋内壁部は、前記柱集合部の各柱の屋内側に設けられる屋内断熱部と、その屋内側に設けられる内壁面材とを有し、前記屋内断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋内側においてそれら柱に跨って設けられている。
【0029】
第8の発明によれば、屋内壁断熱体により柱部分が屋内側から断熱補強されているため、柱部分が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることの抑制効果をより一層高めることができる。
【0030】
第9の発明では、前記ユニット式建物には、前記建物ユニットの上側大梁に生じる揺れを低減させる制振装置が設けられており、前記制振装置は、前記上側大梁が揺れた場合の該上側大梁の振幅を、前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間距離より小さくするように低減させる。
【0031】
第9の発明によれば、地震発生時において下側大梁に対して上側大梁が相対的に揺れても、その揺れに伴って柱が第2断熱部の側端部に接触することを制振装置により抑制できる。ここで、第1外壁ユニットにおいて延出断熱材を支持する木枠等の支持材が延出断熱材とともに柱と第2断熱部の側端部との間に挿し入れられている場合、上側大梁の揺れに伴って支持材に柱が接触して支持材が変形したり破損したりするということを回避できる。つまり、第1外壁ユニットが変形したり破損したりすることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態における2つの建物ユニットとそれらに取り付けられる建物外壁部との構成を示す概略斜視図。
【図2】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び主外壁ユニット周辺の横断面図。
【図3】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び主外壁ユニット周辺の分解横断面図。
【図4】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の横断面図。
【図5】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の分解横断面図。
【図6】建物ユニットにおける柱外壁ユニット周辺の縦断面図。
【図7】建物ユニットにおける主外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の縦断面図。
【図8】制振装置周辺の建物ユニット正面図。
【図9】揺れ発生時の天井大梁の振幅について説明するための説明図。
【図10】建物ユニットにおける主外壁ユニット及び梁外壁ユニット周辺の別例を示す縦断面図。
【図11】建物ユニットにおける柱外壁ユニット及び主外壁ユニット周辺の別例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、住宅等の建物が二階建てユニット式建物として鉄骨ユニット工法により構築されており、各階部分はそれぞれ複数の建物ユニットが並べられることで構成されている。ユニット式建物は屋内外を仕切る外壁体を有しており、外壁体は建物ユニットの柱や大梁などの躯体に対して建物外壁部が取り付けられることにより形成されている。ここでは、建物ユニット及び建物外壁部の構成について図1を参照しつつ説明する。図1は2つの建物ユニット20と、それらに取り付けられる建物外壁部30との構成を示す概略斜視図である。
【0034】
図1に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
【0035】
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。
【0036】
建物外壁部30は、建物ユニット20の側面部において屋外側に配置される柱21、天井大梁22及び床大梁23に対して取り付けられている。建物外壁部30は、柱21に対して取り付けられている柱外壁ユニット31と、天井大梁22又は床大梁23に対して取り付けられている梁外壁ユニット32と、上下の梁外壁ユニット32の間であって柱外壁ユニット31に横並びに配置された主外壁ユニット33とを有している。
【0037】
柱外壁ユニット31は、隣り合う建物ユニット20の各柱21が集合した柱集合部34に設けられており、天井大梁22及び床大梁23との連結部分を含んで柱集合部34の柱21に沿って上下方向に延びている。梁外壁ユニット32は天井大梁22又は床大梁23に沿って水平方向に延びている。
【0038】
なお、柱外壁ユニット31が断熱壁ユニットに相当し、第1外壁部を構成している。梁外壁ユニット32が第3外壁部を構成し、主外壁ユニット33が第2外壁部を構成している。また、言うなれば、主外壁ユニット33は充填断熱工法を用いた外壁部であり、柱外壁ユニット31及び梁外壁ユニット32は外張り断熱工法を用いた外壁部である。このため、建物外壁部30は充填断熱工法と外張り断熱工法とを併用した外壁部ということになる。
【0039】
建物ユニット20の側面部における建物外壁部30が取り付けられた部分の構成について説明する。まず、天井大梁22と床大梁23との間の部分(上下方向に見て仕口以外の部分)の壁構造について図2、図3を参照しつつ説明する。図2は建物ユニット20の柱外壁ユニット31及び主外壁ユニット33周辺の横断面図、図3は図2の分解図である。なお、隣り合う建物ユニット20の境界線をドッキングラインDLで示している。
【0040】
図2、図3に示すように、主外壁ユニット33は、建物ユニット20の側面に沿って延びるように設けられている主断熱部41と、その主断熱部41の屋外側に設けられている主外壁面材42とを有している。なお、主断熱部41が第2断熱部に相当し、主外壁面材42が第2外壁面材に相当する。
【0041】
主断熱部41は、建物ユニット20の一側面において2つの柱21の間に配置されており、柱集合部34の柱21から側方に向けて離間している。主断熱部41は、上下方向に延びる縦枠材44と、縦枠材44の屋内側に配置された主内壁面材45と、縦枠材44の屋外側に配置された壁下地面材46と、主内壁面材45及び壁下地面材46の間に設けられた充填断熱材47とを有している。主内壁面材45は石膏ボードにより形成され、壁下地面材46は合板により板状に形成され、それぞれ縦枠材44に対して固定されている。縦枠材44は木材により形成された間柱等の長尺材であり、天井大梁22と床大梁23との間において横並びに所定間隔で複数配置されている。
【0042】
充填断熱材47は、グラスウール等の繊維系断熱材(例えば熱伝導率λが0.38の断熱材)によりフェルト状に形成されており、天井大梁22と床大梁23との間において縦枠材44に沿って延びるように配置されている。充填断熱材47は主内壁面材45から屋外側に離間しており、その離間部分が屋内側通気層48とされている。
【0043】
主外壁面材42は、窯業系サイディング板等の外装材により形成されており、建物外壁部30の屋外面を形成している。主外壁面材42の屋内側面には主胴縁部材43が取り付けられている。主胴縁部材43は、主断熱部41と主外壁面材42との間に設けられ、主外壁面材42を主断熱部41から屋外側に離間させた位置で支持しており、その離間部分は、主断熱部41の屋外側に配置された主通気層52とされている。主胴縁部材43は上下方向に延びる木製の長尺材とされており、主断熱部41に沿って横並びに所定間隔で複数設けられている。主胴縁部材43は通気胴縁としての役割を果たしており、主断熱部41に対して固定されている。例えば釘等が屋外側から主外壁面材42及び主胴縁部材43を通じて壁下地面材46に打ち込まれている。
【0044】
柱外壁ユニット31は、柱集合部34の柱周りに設けられている柱断熱部61と、その柱断熱部61の屋外側に設けられている柱外壁面材62とを有している。なお、柱断熱部61が第1断熱部に相当し、柱外壁面材62が第1外壁面材に相当し、柱胴縁部材63が胴縁部材に相当する。
【0045】
柱外壁面材62は、主外壁面材42と同様に窯業系サイディング板等の外装材により形成されており、主外壁面材42と同一平面上にて建物外壁部30の屋外面を形成している。つまり、柱外壁面材62は主外壁面材42に対して面一で設けられている。柱外壁面材62の屋内側面には柱胴縁部材63が取り付けられている。柱胴縁部材63は、柱外壁面材62と柱21との間に設けられ、主胴縁部材43と同様に上下方向に延びる木製の長尺材とされており、柱外壁面材62の屋内側面に取り付けられている。柱胴縁部材63は柱外壁面材62と柱集合部34の各柱21とのそれぞれの間に配置されており、それら柱胴縁部材63は横並びで互いに離間した状態となっている。
【0046】
柱断熱部61は柱集合部34の各柱21に沿って延びている。柱断熱部61は、柱集合部34の各柱21の屋外側に配置された屋外側柱断熱材66と、柱集合部34において隣り合う柱の互いの対向面とは反対側で屋外側柱断熱材66から屋内側に延びている延出断熱材67と、隣り合う各柱21の間の隙間部分で屋外側柱断熱材66から屋内側に延びている柱隙間断熱材68と、延出断熱材67の主外壁ユニット33側に設けられ柱外壁面材62から屋外側に延びている延出板材69とを有している。
【0047】
屋外側柱断熱材66、延出断熱材67及び柱隙間断熱材68は、硬質ウレタンフォーム等の発泡プラスチック系断熱材(例えば熱伝導率λが0.02の断熱材)により形成されており、柱胴縁部材63に対して固定されている。延出板材69は断熱性を有する木製の合板により形成されており、柱外壁面材62に対して固定されている。
【0048】
屋外側柱断熱材66は、柱集合部34の各柱21と柱外壁面材62との間において柱外壁面材62から屋内側に離間した状態で配置されており、その離間部分が柱通気層65とされている。屋外側柱断熱材66は、柱集合部34の各柱21の屋外側面に沿って延びており、柱集合部34の各柱21に跨った状態とされている。
【0049】
延出断熱材67は屋外側柱断熱材66の両側端のそれぞれに設けられており、柱21における主外壁ユニット33側の側面に沿って延びている。この場合、延出断熱材67は天井大梁22と床大梁23との間において柱21とその柱21に隣り合う主断熱部41との間に入り込んだ状態となっている。柱隙間断熱材68は屋外側柱断熱材66の略中央に配置されており、柱集合部34の各柱21において互いに向かい合う各側面のそれぞれに沿って延びている。この場合、柱隙間断熱材68は、柱集合部34の各柱21の間の隙間に入り込んだ状態となっている。
【0050】
ここで、延出板材69は延出断熱材67と主断熱部41との間において延出断熱材67に沿って延びており、延出断熱材67及び主断熱部41の両方と当接している。この場合、延出板材69は延出断熱材67及び主断熱部41の両方と接触した状態となっていることになる。つまり、柱外壁ユニット31の柱断熱部61は主外壁ユニット33の主断熱部41と連続した状態で配置されていることになる。したがって、建物外壁部30において断熱を損なう隙間部分が柱断熱部61と主断熱部41との間に形成されることを抑制できる。
【0051】
柱外壁ユニット31は、柱胴縁部材63が柱集合部34の柱21に固定されることで柱集合部34に対して取り付けられている。例えば、釘等が屋内側から柱外壁面材62及び柱胴縁部材63を貫通して柱21に打ち込まれている。
【0052】
柱集合部34に対しては、建物外壁部30に加えて屋内壁ユニット71が取り付けられている。屋内壁ユニット71は、柱集合部34の各柱21の屋内側に設けられている屋内側柱断熱材72と、その屋内側柱断熱材72の屋内側に設けられている柱内壁面材73とを有している。屋内側柱断熱材72は柱集合部34の各柱21に跨った状態とされている。この場合、柱外壁ユニット31の延出板材69及び延出断熱材67は屋内壁ユニット71の柱内壁面材73まで延びており、それぞれの端面は柱内壁面材73の屋外側面に当接している。
【0053】
次に、天井大梁22を有する部分(上下方向に見て仕口部分)の壁構造について、図4、図5を参照しつつ説明する。図4は建物ユニット20における柱外壁ユニット31及び梁外壁ユニット32周辺の横断面図、図5は図4の分解図である。
【0054】
なお、図4、図5に示す柱外壁ユニット31は、図2、図3に示す柱外壁ユニット31と同じユニットであるが、天井大梁22部分とそれ以外の部分とでは断面形状が相違するものとなっている。また、天井大梁22を含む部分と床大梁23を含む部分との構成は上下が逆になるだけで同じとなっている。
【0055】
図4、図5に示すように、柱外壁ユニット31においては、延出板材69及び延出断熱材67が天井大梁22と床大梁23との間に入り込んだ状態ではなく、天井大梁22の屋外側に留まっている。この場合、延出板材69及び延出断熱材67の先端部が天井大梁22の屋外側面に当接している。なお、天井大梁22の屋内側は天井裏空間とされており、天井裏空間においては屋内壁ユニット71が設けられていない。
【0056】
天井大梁22の屋外側において、柱外壁ユニット31の側方には梁外壁ユニット32が配置されている。梁外壁ユニット32は、天井大梁22の屋外側に設けられた梁断熱部75と、その梁断熱部75の屋外側に設けられている梁外壁面材76とを有している。梁断熱部75は、天井大梁22に対して取り付けられている先付け断熱部77と、先付け断熱部77の屋外側に配置されその先付け断熱部77に対して取り付けられている後付け断熱部78とを有している。なお、梁断熱部75が第3断熱部に相当し、梁外壁面材76が第3外壁面材に相当する。
【0057】
先付け断熱部77は、天井大梁22の屋外側面に沿って延びており、柱集合部34の柱21から側方に離間して配置されている。先付け断熱部77は、天井大梁22の屋外面に固定され且つ上下方向に延びる縦枠材81と、縦枠材81の屋外側に配置された壁下地面材82と、天井大梁22及び壁下地面材82の間に設けられている先付け断熱材83とを有している。壁下地面材82は、主外壁ユニット33の壁下地面材46と同様に合板により板状に形成されており、その壁下地面材46に対して面一で配置されている。縦枠材81は、主外壁ユニット33の縦枠材44と同様に木材等により形成された長尺材であり、横並びに所定間隔で複数配置されている。先付け断熱材83は、柱断熱部61と同様に発砲プラスチック系断熱材により形成されており、縦枠材81の間に配置されている。
【0058】
梁外壁面材76は、主外壁面材42と同様に窯業系サイディング板等の外装材により形成されており、柱外壁面材62と同一平面上にて建物外壁部30の屋外面を形成している。梁外壁面材76の屋外側面には梁胴縁部材84が取り付けられている。梁胴縁部材84は、先付け断熱部77と梁外壁面材76との間に設けられ、主胴縁部材43と同様に上下方向に延びる木製の長尺材とされており、梁外壁面材76の屋内側面に取り付けられている。梁胴縁部材84は、横並びに所定間隔で複数設けられており、梁外壁面材76を先付け断熱部77から屋外側に離間させて支持している。
【0059】
後付け断熱部78は、柱断熱部61と同様に発砲プラスチック系断熱材により形成されており、梁外壁面材76と先付け断熱部77との間において梁胴縁部材84に対して取り付けられている。後付け断熱部78は、梁外壁面材76から屋内側に離間しており、その離間部分が梁通気層85とされている。
【0060】
ここで、柱外壁ユニット31の延出断熱材67及び延出板材69は、柱集合部34の柱21と梁外壁ユニット32の先付け断熱部77との間に挿し入れられた状態となっており、延出板材69は先付け断熱部77と接触している。この場合、柱外壁ユニット31の柱断熱部61は梁外壁ユニット32の先付け断熱部77と連続した状態で配置されていることになる。したがって、断熱を損なう隙間部分が柱断熱部61と梁断熱部75との間に形成されることを抑制できる。
【0061】
続いて、建物ユニット20に対する建物外壁部30(壁ユニット31〜33)の取り付け手順について、図6、図7を参照しつつ説明する。図6は建物ユニット20における柱外壁ユニット31周辺の縦断面図、図7は建物ユニット20における主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32周辺の縦断面図である。なお、図6においては、(a)に建物ユニット20と主外壁ユニット33と梁外壁ユニット32との分解図を示し、(b)にそれらが組み付けられた状態の図を示す。図7においては、(a)に建物ユニット20と柱外壁ユニット31との分解図を示し、(b)にそれらが組み付けられた状態の図を示す。
【0062】
建物ユニット20はユニット製造工場にて製造される。また、ユニット製造工場においては、主外壁ユニット33のうち主断熱部41と、梁外壁ユニット32のうち先付け断熱部77とが建物ユニット20に対してそれぞれ取り付けられる。この場合、図6(a)に示すように、主断熱部41の充填断熱材47と先付け断熱部77の先付け断熱材83とは上下に隣り合わせて配置され、互いに連続した状態となっている。この場合、充填断熱材47と先付け断熱材83との間に隙間が形成されて建物外壁部30における断熱を損なってしまうということを回避できる。
【0063】
建物ユニット20は、主断熱部41及び先付け断熱部77が取り付けられた状態でユニット製造工場から建物施工現場にトラック等により輸送される。そして、建物施工現場において複数の建物ユニット20同士が組み付けられた後、図6(b)に示すように、主外壁ユニット33のうち主外壁面材42と、梁外壁ユニット32のうち後付け断熱部78及び梁外壁面材76とが建物ユニット20に対して取り付けられる。この場合、主外壁面材42と梁外壁面材76とは同一平面上にて外壁面を形成している。つまり、これら外壁面材42,76は互いに面一で設けられる。また、主外壁ユニット33の主通気層52と梁外壁ユニット32の梁通気層85とは上下に連通されている。
【0064】
なお、先付け断熱材83は、ユニット製造工場にて天井大梁22の屋外側面に取り付けられるため、輸送制限の寸法上、充填断熱材47に比べて厚み寸法を小さくせざるを得ないが、先付け断熱材83に重なるように後付け断熱部78が屋外側から取り付けられる。このため、天井大梁22が熱橋となって建物外壁部30の断熱性が低下するということをより確実に回避できる。
【0065】
柱外壁ユニット31は建物施工現場にて柱集合部34に対して取り付けられる。これは、柱集合部34が複数の建物ユニット20同士の組み付けにより建物施工現場ではじめて形成されるためである。このため、ユニット製造工場においては、図7(a)に示すように、建物ユニット20に対しては柱外壁ユニット31が取り付けられていない状態となっている。建物施工現場において建物ユニット20に対して柱外壁ユニット31が取り付けられた状態では、天井大梁22を含む部分と含まない部分とが柱断熱部61により連続して断熱されている。なお、柱断熱部61の延出断熱材67は天井大梁22に合わせて上部が屋外側に向けて凹んだ形状とされている。
【0066】
ここで、建物において建物ユニット20には制振装置90が設けられており、制振装置90の構成について図8、図9を参照しつつ説明する。図8は制振装置90周辺の建物ユニット正面図、図9は揺れ発生時の天井大梁22の振幅について説明するための説明図である。
【0067】
図8に示すように、制振装置90は、建物ユニット20において天井大梁22と床大梁23との間に設けられている。また、床大梁23に固定されている床側フレーム92と、天井大梁22に固定されている天井側フレーム93と、それらフレーム92,93の間に設けられている減衰ダンパ94とを有している。
【0068】
床側フレーム92の上端部及び天井側フレーム93の下端部にはダンパ受部95,96がそれぞれ設けられており、それらダンパ受部95,96により、両端が回転可能な状態で減衰ダンパ94が取り付けられている。減衰ダンパ94は、シリンダ94aと、少なくとも一部がシリンダ94a内で摺動するロッド94bとを有しており、作動油が充填された油室を備える油圧式のダンパである。シリンダ94aは床側フレーム92のダンパ受部95に接続されており、ロッド94bは天井側フレーム93のダンパ受部96に接続されている。この場合、減衰ダンパ94は天井大梁22の長手方向に沿って伸縮するようになっている。
【0069】
地震等により揺れが生じた場合、制振装置90の減衰ダンパ94においてロッド94bがシリンダ94aに出入りすることによりロッド長が伸縮し、それによって床大梁23に対する天井大梁22の振動が減衰される。ここで、制振装置90は、ロッド長の振幅、すなわち柱21上端の揺れの振幅A(図9参照)が、建物外壁部30において柱外壁ユニット31の延出断熱材67の幅寸法W(図2参照)より小さくなるように天井大梁22の振動を減衰する。この場合、柱21と柱外壁ユニット31の延出板材69との離間距離は幅寸法Wと同じ大きさであるため、柱21は延出板材69に接触しない範囲で揺れることになる。したがって、柱21が延出板材69に接触して柱外壁ユニット31の変形や破損が生じるということを回避できる。
【0070】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0071】
建物ユニット20に対して柱外壁ユニット31に加えて主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32が取り付けられるため、柱集合部34とそれ以外の部位とについて好適なる断熱が可能になる。特に柱集合部34においては、柱外壁ユニット31の屋外側柱断熱材66及び延出断熱材67が柱集合部34の各柱21を囲むようにして設けられており、しかも、それら屋外側柱断熱材66及び延出断熱材67を有する柱断熱部61が主外壁ユニット33の主断熱部41と連続した状態となっている。このため、柱集合部34の柱21が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることはもちろんのこと、建物外壁部30において断熱を損なう隙間部分が柱断熱部61と主断熱部41との間に形成されることを抑制できる。
【0072】
また、柱外壁ユニット31はユニット化されているため、主外壁ユニット33の工場先付けを行い、柱外壁ユニット31の現場後付けを行う場合に、建築施工現場での柱外壁ユニット31の取り付け作業を容易化できる。つまり、柱集合部34に対する柱外壁ユニット31の取り付け作業は建物施工現場で行わざるを得ず、柱外壁ユニット31の取り付け作業を容易化することにより建物施工現場での施工性の向上を図ることができる。
【0073】
以上の結果、建物外壁部30における断熱性の向上を図りつつ、建物外壁部30の構築に際しての施工性を向上させることができる。
【0074】
柱外壁ユニット31は建物施工現場にて建物ユニット20に対して取り付けられるため、建物ユニット20の輸送に際して柱外壁ユニット31の張り出し量が制限されることはない。したがって、柱外壁ユニット31について厚み寸法や形状など建物ユニット20への組み付け状態に関する自由度を高めることができる。
【0075】
柱外壁ユニット31においては柱胴縁部材63が通気胴縁としての役割を果たしているため、柱通気層65が柱断熱部61の屋外側に確保されている。さらに、柱外壁面材62と柱断熱部61との間から柱通気層65を通じて湿気が壁外部に放出されることにより、建物外壁部30が湿気により劣化することを抑制できる。これらの効果は主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32についても奏することができる。しかも、主外壁ユニット33の主通気層52と梁外壁ユニット32の梁通気層85とは上下に連通しているため、梁通気層85又は主通気層52に湿気が溜まることを抑制できる。
【0076】
柱外壁ユニット31の柱隙間断熱材68が柱集合部34の柱21同士の隙間に挿し入れられているため、その隙間部分について好適なる断熱が可能となる。しかも、この断熱は柱外壁ユニット31の柱集合部34への取り付けに伴って実現されるため、柱21同士の隙間を好適に断熱する上で施工性が低下するということを回避できる。
【0077】
柱外壁ユニット31は、柱胴縁部材63が柱集合部34の柱21に当接することにより取り付け位置が設定される。しかも、柱外壁ユニット31の延出板材69が柱21と主外壁ユニット33との間に挿し入れられることにより、柱集合部34の各柱21が並ぶ方向において柱外壁ユニット31の取り付け位置を決めることができる。したがって、柱集合部34に対する柱外壁ユニット31の位置決めを好適に行うことができる。
【0078】
建物ユニット20の天井大梁22及び床大梁23に対して梁外壁ユニット32が取り付けられているため、天井大梁22や床大梁23が熱橋となり屋内外で伝熱が生じるということを抑制し、大梁部分も含めて建物ユニットに高い断熱性能を付与できる。しかも、梁外壁ユニット32はユニット化されているため、天井大梁22や床大梁23の各部分についての断熱に際して施工性が低下することを抑制できる。
【0079】
主外壁ユニット33のうち主外壁面材42が建物施工現場にて建物ユニット20に後付けされるため、建物ユニット20の輸送に際してその輸送物の外寸が輸送制限にかかってしまう事態を抑制できる。さらに、この場合、建物ユニット20の輸送に際して主外壁面材42の張り出し量が制限されることがないため、主外壁面材42について厚み寸法や形状など建物ユニット20への組み付け状態に関する自由度を高めることができる。
【0080】
梁外壁ユニット32の梁断熱部75のうち先付け断熱部77が工場先付けとされ、後付け断熱部78が現場後付けとされる。このため、梁断熱部75の厚み寸法を大きくして断熱性能を確保するという構成において、輸送制限を超えない範囲で先付け断熱部77を取り付けた状態で建物ユニット20を輸送し、輸送後に後付け断熱部78を取り付けることが可能となる。したがって、梁断熱部75の断熱性能を低下させることなく、建物ユニット20の輸送に際して輸送制限にかかってしまうという事態を抑制できる。さらに、梁外壁面材76も後付け断熱部78と同様に工場後付けとされているため、梁外壁面材76について厚み寸法や形状など建物ユニット20への組み付け状態に関する自由度を輸送制限にかかることなく高めることができる。
【0081】
屋内壁ユニット71により柱集合部34が屋内側から断熱補強されているため、柱集合部34の柱21が熱橋となり屋内外で伝熱が生じることの抑制効果をより一層高めることができる。しかも、屋内壁ユニット71はユニット化されているため、建物外壁部30の構築に際して施工性が低下することを回避できる。
【0082】
建物ユニット20に設けられた制振装置90により、地震等により揺れが発生してもその揺れに伴う柱21の上端の振幅Aが、柱外壁ユニット31の延出断熱材67の幅寸法Wより小さくされる。この場合、柱21の揺れに伴って延出断熱材67が変形するだけであり、柱21が延出板材69や主断熱部41に接触して柱外壁ユニット31や主外壁ユニット33が変形したり破損したりすることを回避できる。なお、仮に柱外壁ユニット31を新規のものに取り替えるとしても、その取り換え作業を容易化できる。
【0083】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0084】
(1)梁外壁ユニット32の梁断熱部75は、図10に示すように、建物において上階部分としての二階部分の建物ユニット20の床大梁23と、上階部分に隣接する下階部分としての一階部分の建物ユニット20の天井大梁22とに跨るように設けられていてもよい。なお、図10は、建物ユニット20における主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32周辺の縦断面図である。また、二階部分の建物ユニットが上階建物ユニットに相当し、一階部分の建物ユニットが下階建物ユニットに相当する。
【0085】
この構成では、床大梁23と天井大梁22とが隣り合う部分が梁集合部98とされ、梁断熱部75は梁集合部98全体の屋外側を覆った状態となっている。この場合、主外壁ユニット33及び梁外壁ユニット32により、梁集合部98とそれ以外の部位とについて好適なる断熱が可能となる。しかも、梁集合部98は柱集合部34と同様に建物施工現場ではじめて形成されるものであるため、梁集合部98に対する梁外壁ユニット32の取り付け作業は建物施工現場で行わざるを得ず、梁外壁ユニット32の取り付け作業を容易化することにより建物施工現場での施工性の向上を図ることができる。
【0086】
また、梁外壁ユニット32は、梁集合部98における床大梁23と天井大梁22との間の隙間部分で梁断熱部75から屋内側に延びる梁隙間断熱部99を有している。この場合、梁隙間断熱部99により梁集合部98の大梁22,23間の隙間部分について好適なる断熱が可能となる。しかも、この断熱は梁外壁ユニット32の取り付けに伴って実現されるため、大梁22,23間の隙間部分を好適に断熱する上で施工性が低下するということを回避できる。
【0087】
(2)柱外壁ユニット31の柱外壁面材62は、図11に示すように、主外壁ユニット33の主外壁面材42より屋外側に突出して設けられていてもよい。なお、図11は、建物ユニット20における柱外壁ユニット31及び主外壁ユニット33周辺の横断面図である。この構成では、柱外壁ユニット31の屋外側柱断熱材66が主外壁ユニット33の充填断熱材47と同じ材料(熱伝導率λが同じ断熱材)により形成されており、充填断熱材47と同じ厚さ寸法を有している。この構成によれば、柱外壁面材62の突出寸法や厚み寸法、形状など柱外壁ユニット31が建物ユニット20に取り付けられた状態での自由度をより一層高めることができる。なお、この構成においては、柱外壁ユニット31が柱隙間断熱材68を有していない。
【0088】
(3)主外壁ユニット33は、主外壁面材42及び主胴縁部材43を含んで建物ユニット20に対して工場先付けされていてもよく、現場後付けされていてもよい。同様に、梁外壁ユニット32は、梁断熱部75、梁外壁面材76及び梁胴縁部材84を含んで建物ユニット20に対して工場先付けされていてもよく、現場後付けされていてもよい。
【0089】
(4)柱外壁ユニット31は、主外壁ユニット33に対して横並びにされる部分と、梁外壁ユニット32に対して横並びにされる部分とに分割されていてもよい。つまり、天井大梁22と床大梁23との間に配置される部分と、天井大梁22又は床大梁23に対して取り付けられる部分とに分割されていてもよい。
【0090】
(5)主外壁ユニット33と梁外壁ユニット32とは一体的に形成されていてもよい。例えば、主外壁面材42と梁外壁面材76とが連続して形成されており、主胴縁部材43と梁胴縁部材84とが連続して形成されている構成とする。
【0091】
(6)主外壁ユニット33は、ユニット化されていなくてもよい。例えば、ユニット製造工場において、縦枠材44、主内壁面材45、壁下地面材46、充填断熱材47が建物ユニット20に対して個別に取り付けられる構成とする。同様に、梁外壁ユニット32もユニット化されていなくてもよい。
【0092】
(7)主外壁ユニット33において、主外壁面材42と主断熱部41との間に断熱材が設けられていてもよい。例えば、その断熱材が主断熱部41側に配置され、主通気層52が断熱材の屋外側に形成されている構成とする。
【0093】
(8)柱外壁ユニット31の柱断熱部61は、延出板材69に代えて、屋外側柱断熱材66、延出断熱材67及び柱隙間断熱材68を支持するコ字状のコ字状部材を有していてもよい。この場合、コ字状部材の開放内側に各断熱材66〜68が取り付け固定されている構成とする。この場合、コ字状部材において互いに対向する対向部が延出板材に相当し、その対向部は延出断熱材67とともに柱集合部34の柱21と主外壁ユニット33の主断熱部41との間に挿し入れられている。
【0094】
(9)柱集合部が3つ以上の柱21が集合して構成されており、その柱集合部34に対して柱外壁ユニット31が取り付けられている構成としてもよい。例えば、建物外壁部30において3つの柱21が集合した柱集合部により入隅部分が形成されており、その柱集合部34に対して入隅部分から柱外壁ユニット31が取り付けられている構成とする。この構成においても、柱外壁ユニット31の柱断熱部61により柱集合部34の各柱21の屋外側面を覆い、柱外壁面材62により入隅部分における建物外壁面を形成することができる。
【0095】
(10)柱外壁ユニット31は、柱集合部34の柱21と当接する柱胴縁部材63を少なくとも1つ有していればよい。この場合でも、柱外壁ユニット31の位置決めを行うことができるとともに、柱胴縁部材63により柱外壁ユニット31に柱通気層65を確保することができる。
【0096】
(11)柱外壁ユニット31において柱胴縁部材63は水平方向に延びる横材とされていてもよい。これは、梁外壁ユニット32の梁胴縁部材84及び主外壁ユニット33の主胴縁部材43についても同様である。
【符号の説明】
【0097】
20…建物ユニット、21…柱、22…大梁及び上側大梁としての天井大梁、23…大梁及び下側大梁としての床大梁、30…建物外壁部、31…第1外壁部及び断熱壁ユニットとしての柱外壁ユニット、32…第3外壁部としての梁外壁ユニット、33…第2外壁部としての梁外壁ユニット、41…第2断熱部としての主断熱部、42…第2外壁面材としての主外壁面材、44…第2断熱部を構成する縦枠材、45…第2断熱部を構成する主内壁面材、46…第2断熱部を構成する壁下地面材、47…第2断熱部を構成する充填断熱材、61…第1断熱部としての柱断熱部、62…第1外壁面材としての柱外壁面材、63…胴縁部材としての柱胴縁部材、65…通気層としての柱通気層、66…第1断熱部を構成する屋外側柱断熱材、67…第1断熱部を構成する延出断熱材、68…第1断熱部を構成する柱隙間断熱材、69…第1断熱部を構成する延出板材、71…屋内壁部としての屋内壁ユニット、72…屋内断熱部としての屋内側柱断熱材、73…内壁面材としての柱内壁面材、75…第3断熱部としての梁断熱部、76…第3外壁面材としての梁外壁面材、77…先付け断熱部、78…後付け断熱部、81…先付け断熱部を構成する縦枠材、82…先付け断熱部を構成する壁下地面材、83…先付け断熱部を構成する先付け断熱材、90…制振装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と大梁とからなる建物ユニットを複数並べて構築されるユニット式建物の外壁断熱構造であり、
前記ユニット式建物に取り付けられる建物外壁部は、複数の前記建物ユニットの柱が集合する柱集合部に設けられる第1外壁部と、その第1外壁部に横並びで設けられる第2外壁部とを有し、
前記第1外壁部は、前記柱集合部の柱周りに設けられる第1断熱部と、その屋外側に設けられる第1外壁面材とを有している断熱壁ユニットであり、
前記第2外壁部は、前記建物ユニットにおいて外壁取り付け側であるユニット側面部の柱間に設けられる第2断熱部と、その屋外側に設けられる第2外壁面材とを備え、
前記第1断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋外側においてそれら柱に跨って設けられる屋外側柱断熱材と、前記隣り合う各柱の互いの対向面側とは反対側で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる延出断熱材とを有し、
前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部とが互いに離間して設けられており、前記第1外壁部は、前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間部分に前記延出断熱材が挿し入れられることにより前記第1断熱部と前記第2断熱部とが連続した状態で、前記建物ユニットに対して組み付けられていることを特徴とするユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項2】
前記第1外壁部において、前記第1外壁面材の内側には長尺状の胴縁部材が取り付けられており、前記胴縁部材に対して前記屋外側柱断熱材が固定され、前記屋外側柱断熱材と前記第1外壁面材との間に通気層が形成されている請求項1に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項3】
前記第1外壁部は、前記隣り合う各柱の間の隙間部分で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる柱隙間断熱材を有している請求項1又は2に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項4】
前記第2外壁部において、前記第2断熱部は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットに対して先付けられるものであり、前記第2外壁面材は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第2断熱部に対して後付けされるものであり、
前記第1外壁部において、前記第1外壁面材は、前記第2外壁部の前記第2外壁面材に対して面一、又は前記第2外壁面材よりも外方に突出して設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項5】
前記建物外壁部は、前記建物ユニットの大梁の屋外側に設けられる第3外壁部を有し、
前記第3外壁部は、前記大梁の屋外側に設けられる第3断熱部と、その屋外側に設けられる第3外壁面材とを有し、
前記建物ユニットにおいて、前記第2外壁部と前記第3外壁部とは上下に並べて取り付けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項6】
前記ユニット式建物は、多層階建物であり、
前記第3外壁部の前記第3断熱部は、上下に隣接する上階建物ユニットと下階建物ユニットとについて、前記上階建物ユニットの下側大梁と前記下階建物ユニットの上側大梁とに跨るように設けられている請求項5に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項7】
前記第3断熱部は、
複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットの前記大梁の屋外側に先付けされる先付け断熱部と、
複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第3外壁面材とともに前記先付け断熱部の屋外側に後付けされる後付け断熱部と、
を有している請求項5又は6に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項8】
前記柱集合部の屋内側に設けられる屋内壁部を備え、
前記屋内壁部は、前記柱集合部の各柱の屋内側に設けられる屋内断熱部と、その屋内側に設けられる内壁面材とを有し、
前記屋内断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋内側においてそれら柱に跨って設けられている請求項1乃至7のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項9】
前記ユニット式建物には、前記建物ユニットの上側大梁に生じる揺れを低減させる制振装置が設けられており、
前記制振装置は、前記上側大梁が揺れた場合の該上側大梁の振幅を、前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間距離より小さくするように低減させる請求項1乃至8のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項1】
柱と大梁とからなる建物ユニットを複数並べて構築されるユニット式建物の外壁断熱構造であり、
前記ユニット式建物に取り付けられる建物外壁部は、複数の前記建物ユニットの柱が集合する柱集合部に設けられる第1外壁部と、その第1外壁部に横並びで設けられる第2外壁部とを有し、
前記第1外壁部は、前記柱集合部の柱周りに設けられる第1断熱部と、その屋外側に設けられる第1外壁面材とを有している断熱壁ユニットであり、
前記第2外壁部は、前記建物ユニットにおいて外壁取り付け側であるユニット側面部の柱間に設けられる第2断熱部と、その屋外側に設けられる第2外壁面材とを備え、
前記第1断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋外側においてそれら柱に跨って設けられる屋外側柱断熱材と、前記隣り合う各柱の互いの対向面側とは反対側で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる延出断熱材とを有し、
前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部とが互いに離間して設けられており、前記第1外壁部は、前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間部分に前記延出断熱材が挿し入れられることにより前記第1断熱部と前記第2断熱部とが連続した状態で、前記建物ユニットに対して組み付けられていることを特徴とするユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項2】
前記第1外壁部において、前記第1外壁面材の内側には長尺状の胴縁部材が取り付けられており、前記胴縁部材に対して前記屋外側柱断熱材が固定され、前記屋外側柱断熱材と前記第1外壁面材との間に通気層が形成されている請求項1に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項3】
前記第1外壁部は、前記隣り合う各柱の間の隙間部分で前記屋外側柱断熱材から屋内側に延びる柱隙間断熱材を有している請求項1又は2に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項4】
前記第2外壁部において、前記第2断熱部は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットに対して先付けられるものであり、前記第2外壁面材は、複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第2断熱部に対して後付けされるものであり、
前記第1外壁部において、前記第1外壁面材は、前記第2外壁部の前記第2外壁面材に対して面一、又は前記第2外壁面材よりも外方に突出して設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項5】
前記建物外壁部は、前記建物ユニットの大梁の屋外側に設けられる第3外壁部を有し、
前記第3外壁部は、前記大梁の屋外側に設けられる第3断熱部と、その屋外側に設けられる第3外壁面材とを有し、
前記建物ユニットにおいて、前記第2外壁部と前記第3外壁部とは上下に並べて取り付けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項6】
前記ユニット式建物は、多層階建物であり、
前記第3外壁部の前記第3断熱部は、上下に隣接する上階建物ユニットと下階建物ユニットとについて、前記上階建物ユニットの下側大梁と前記下階建物ユニットの上側大梁とに跨るように設けられている請求項5に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項7】
前記第3断熱部は、
複数の前記建物ユニット同士の組み付け前に前記建物ユニットの前記大梁の屋外側に先付けされる先付け断熱部と、
複数の前記建物ユニット同士の組み付け後に前記第3外壁面材とともに前記先付け断熱部の屋外側に後付けされる後付け断熱部と、
を有している請求項5又は6に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項8】
前記柱集合部の屋内側に設けられる屋内壁部を備え、
前記屋内壁部は、前記柱集合部の各柱の屋内側に設けられる屋内断熱部と、その屋内側に設けられる内壁面材とを有し、
前記屋内断熱部は、前記柱集合部で隣り合う各柱の屋内側においてそれら柱に跨って設けられている請求項1乃至7のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【請求項9】
前記ユニット式建物には、前記建物ユニットの上側大梁に生じる揺れを低減させる制振装置が設けられており、
前記制振装置は、前記上側大梁が揺れた場合の該上側大梁の振幅を、前記建物ユニットにおいて前記柱と前記第2断熱部の側端部との離間距離より小さくするように低減させる請求項1乃至8のいずれか1項に記載のユニット式建物の外壁断熱構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−154063(P2012−154063A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12801(P2011−12801)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
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