説明

ユニット式液体処理装置

【課題】様々な下水等の規模に拘らず施工の短納期化が可能な低コストのユニット式液体処理装置を提供する。
【解決手段】本発明のユニット式液体処理装置は、被処理液3を貯留する処理槽1a、…、1nと、該処理槽に被処理液3を供給する供給流路11a、…、11nと、被処理液3の液面または液面近傍に浮上したスカム2を回収するスカム回収器5a1、…、5n5と、該スカム回収器からスカム2を排出するスカム排出流路10a、…10nと、他の単位液体処理装置1A〜1Nを連結させる排出流路脱着部15a、…、15nとを備える単位液体処理装置1A〜1Nと、排出流路脱着部15aによってスカム排出流路10aに接続されスカム排出流路10aからの流路を開閉するスカム排出弁7とを具備し、スカム回収器5a1、…、5n5に回収されたスカム2を、スカム排出流路10a、…10nを介して、スカム排出弁7を開弁することにより排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水等の規模の大小に拘わらず懸濁物を除去できるユニット式液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、懸濁物を含む下水や排水等は、浮上した懸濁物を除去する処理が行われる(非特許文献1参照)。下水では、曝気槽後段(下流)の最終沈殿池や、重力濃縮槽、消化タンク等の水面において、下水中の懸濁物等や油脂類に付着した汚泥中の活性汚泥が、気泡の吸着や汚泥中の生物の活動により浮上して蓄積する固形物(以下、「スカム」と称す)を発生させる。
このスカムを水(処理液)から分離して除去するためには、水面に滞留するスカムを一ヶ所に掻き寄せて、処理槽の端部等に設けられた排出口等に流入させるスカム除去装置が用いられている。
【0003】
また、非特許文献1に記載されるように、排水中に含有する微細な物質や汚濁分等を除去して排水を浄化する排水処理では、浮上分離処理装置が用いられる場合がある。懸濁物を水面に浮上させて水から分離させる浮上分離処理装置は、懸濁物に微細な気泡を強制的に付着させて、空気と水との比重差で気泡が付着した懸濁物を浮上させて固液分離する方式である。この場合も浮上した懸濁物を回収して排出する処理装置が必要である。
【0004】
この浮上した懸濁物を分離して排出する装置及び方法としては、特許文献1に開示された浮上分離処理装置及び方法が知られている。
特許文献1に記載された浮上分離処理装置は、主に気泡注入装置を備えた浮上分離槽とスラッジタンクと、スカム除去装置とから構成されている。スラッジとは、沈殿または浮遊している汚泥をいう。
【0005】
この浮上分離処理装置は、運転中に、浮上分離槽に被処理液(原水)を供給し、その被処理液中に含有されたスカムをスカム除去装置で除去した処理液(処理水)を連続して排出する装置である。この浮上分離処理装置では、被処理液の一部が加圧された後、再び浮上分離槽へ循環されて減圧されることにより、圧力が開放され気泡が発生して懸濁物に付着するようになっている。その結果、比重が軽くなった懸濁物は、液面に浮上してスカムとして蓄積する。この蓄積したスカムは、掻寄機(スキマ)により収集されて排出される。
【0006】
また、掻寄機を用いない方法として、特許文献2に記載された浮上分離処理装置では、浮上分離槽の内部にスカムを回収する回収器を設け、浮上分離層の水位がスカム排出舛まで上昇したときに、スカムを水(被処理液)と共にスカム排出舛に取り込み、水位が下降するときに、スカムとスカム排水用の水(処理水)とをスカム排出舛に留め、これらを、スカム排出手段を介して浮上分離層外へ排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−234458号公報
【特許文献2】公開実用平2−45195号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】拓植秀樹、海野肇著、『「泡」技術、使う、作る、排除する』、工業調査会出版、2004年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の下水や排水処理設備では、その規模に合わせた容量の液体処理装置を設置している現状がある。そのため、その設備規模ごとに仕様決定から施工までの手順が必要となり、段取り作業、施工が厄介で手間(作業時間)がかかるという問題がある。
図6は、従来の液体処理装置100A、100Bを上方から見た平面図である。
【0010】
また、大規模な設備においては、図6に示すように、液体処理装置100A、100Bを複数設置することで対応するが、その場合にスカム排出弁70a、70bも複数個必要になるため、経済的に非効率である。加えて、排出流路20a、20bも複数に拡大することになり、広範囲の設置面積が必要となる。
このような技術的背景から、様々な設備規模ごとに施工の短納期化に応える施工方法の開発が急務となっている。
本発明は上記実状に鑑み、下水等の規模に拘らず施工の短納期化が可能な低コストのユニット式液体処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、本発明に関わるユニット式液体処理装置は、スカムを含む被処理液から前記スカムを分離する処理を行うユニット式液体処理装置であって、前記被処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽に前記被処理液を供給する供給流路と、前記被処理液の液面または液面近傍に浮上した前記スカムを回収するスカム回収器と、前記スカム回収器からスカムを排出するスカム排出流路と、他の単位液体処理装置を連結させる排出流路脱着部とを備える単位液体処理装置と、前記排出流路脱着部によって前記スカム排出流路に接続されるとともに前記スカム排出流路からの流路を開閉するスカム排出弁とを具備し、前記スカム回収器に回収された前記スカムを、前記スカム排出流路を介して、前記スカム排出弁を開弁することにより排出している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、下水等の規模に拘らず施工の短納期化が可能な低コストのユニット式液体処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態1の液体処理装置を上方から見た概念的構成図である。
【図2】(a)は図1のA方向拡大矢視図であり、(b)は図1のB方向矢視図であり、(c)は図1のC方向矢視図である。
【図3】(a)は経過時間に対する槽内のスカムの量を示す図であり、(b)は経過時間に対するスカム検出装置のスカム検出のオン/オフを示す図であり、(c)は経過時間に対する処理液回収弁の開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、(d)は経過時間に対するスカム排出弁の閉開(CLOSE/OPEN)を示す図であり、(e)は経過時間に対する槽内の水位の高さ(High/Low)を示す図である。
【図4】(a)は経過時間に対するスカム排出弁の開閉(CLOSE/OPEN)を示す図であり、(b)は経過時間に対する単位液体処理装置1Aの処理液回収弁の開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、(c)は経過時間に対する単位液体処理装置1Bの処理液回収弁の開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、(d)は経過時間に対する単位液体処理装置1Nの処理液回収弁の開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、 (e)は経過時間に対するスカム検出装置のスカムの検出結果(ON/OFF)を示す図である。
【図5】実施形態2の液体処理装置を上方から見た平面図である。
【図6】従来の液体処理装置を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
<<実施形態1>>
図1本発明に係る実施形態1の液体処理装置Sを上方から見た概念的構成図である。
図2(a)は図1のA方向拡大矢視図であり、図2(b)は図1のB方向矢視図であり、図2(c)は図1のC方向矢視図である。
実施形態1の液体処理装置(ユニット式液体処理装置)Sは、スカム2を含む下水や生活排水等の被処理液3からスカム2を分離除去して処理液4を精製する処理を行う装置である。
なお、スカム2とは気泡によって液面または液面近傍に浮上した汚泥等の懸濁物をいう。
【0015】
液体処理装置Sは、スカム2を分離除去するための単数または複数の単位液体処理装置1A、1B、…、1Nのユニットと、液体処理装置Sを統括的に制御する制御装置8とを具備して構成される。
液体処理装置Sは、処理を行う被処理液3の容量規模に応じて、単位液体処理装置1A、…、1Nの数を増減して、被処理液3の容量に適合した単位液体処理装置1A、…、1Nの数を決定し、適切な規模の液体処理装置Sを施工可能としている。
【0016】
液体処理装置Sは、各単位液体処理装置1A、…、1Nの槽1a、…、1n内に貯留した被処理液3の水位が上昇した場合に、図2(b)、(c)に示すように、被処理液3の液面または液面近傍に浮上するスカム2を、それぞれスカム排出流路10a、…、10nを流下させ、開弁したスカム排出弁7(図1参照)を通過させて、外部に排出する構成である。
【0017】
制御装置8は、例えばPLC(programmable logic controller)等のコントローラであり、C言語やC++言語等で記述された制御プロラムを実行することにより、液体処理装置Sを統括的に制御する。
具体的には、制御装置8は、スカム排出弁7の開閉や、槽1a、…、1nで被処理液3が処理された処理液4が排出時に開弁される処理液回収弁6(6a、…、6n)(図2(b)参照)の開閉、被処理液3を供給する被処理液供給流路11a、…、11nの供給/停止等を、制御プロラムに記述されたソースコードに従って制御する。
【0018】
<単位液体処理装置1A、…、1N>
次に、液体処理装置Sを構成する単位液体処理装置1A、…、1Nについて説明する。
ここで、単位液体処理装置1Aは、他の単位液体処理装置1B、…、1Nと同様な構成、機構であるので、単位液体処理装置1Aの構成について説明を行い、他の単位液体処理装置1B、…、1Nについての説明は省略する。
なお、単位液体処理装置1Aに付した構成要素の符号のうちの“a”は、他の単位液体処理装置1B、…、1Nにおいては、それぞれ符号“b”、…、“n”に置き換えたものに相当する。
【0019】
単位液体処理装置1Aは、下水や生活排水等の被処理液3を貯留させ処理を行う槽1aと、被処理液3を槽1a内に流入させる被処理液供給流路11aと、槽1a内の被処理液3の液面または液面近傍に浮上するスカム2を検出するためのスカム検出装置9a(図2(b)、(c)参照)と、槽1aの一方向に配置され被処理液3から回収したスカム2を排出するスカム排出流路10aとを備えている。
【0020】
スカム排出流路10aは、水平に形成してもよいが、スカム2の流れの下流にいくに従い低くなるように形成することが望ましい。換言すれば、各スカム排出流路10a、…、10nは、水平に形成してもよいが、スカム2の流れの下流にいくに従い低くなるように形成することが望ましい。これにより、重力の作用により、スカム2を円滑に下流に流すことができる。
【0021】
スカム排出流路10aの延在方向の両端部には、隣接のスカム排出流路10bまたはスカム排出流路10zとをスカム排出流路10aに水密にシールするための耐水性、弾性を有するパッキン(図示せず)等のシール材が設置されている。
スカム検出装置9aは、槽1a内の被処理液3の液面に浮上したスカム2を検出する装置であり、例えば、フロートスイッチや超音波等による液位センサ等でなる。
【0022】
図2(b)、(c)に示すように、槽1aの下部には、被処理液3が処理された後の処理液4が排出される接続口12a1が設けられ、接続口12a1には処理液流出流路12aが接続されている。処理液流出流路12aには、当該流路12aを開閉する処理液回収弁6aが設けられている。処理液回収弁6aを開弁することにより、処理液4が排出される。
ここで、槽1aにおいて、被処理液供給流路11aから流入する被処理液3の流入口(被処理液供給流路11aの先端の被処理液3の流入口)は、槽1aの上方に配置される一方、処理液流出流路12aの接続口12a1は槽1aの下部に配置される。
【0023】
また、図1に示すように、上面視で、矩形状の槽1aに対して、被処理液供給流路11aからの被処理液3の流入口と処理液流出流路12aの接続口12a1とは、槽1aのほぼ対角線上に配置されている。
このように、被処理液供給流路11aからの被処理液3の流入口と処理液流出流路12aの接続口12a1との間の距離を遠く配置することで被処理液3の槽1a内の流路が長くなる。これにより、槽1a内の被処理液3の滞留時間が延び、被処理液3の処理の進行を促進することが可能である。
【0024】
槽1a内で行う処理としては、スカム2を分離除去する以外に次の処理が行われる。
例えばオゾン処理法がある。無色の気体のオゾン(O)は強力な酸化作用を持ち殺菌、脱臭、脱色などの効果がある。被処理液3中で泡を発生させる散気管(図示せず)によりオゾンバブル(ozone bubble)を発生させて有機物を除去する。その他の処理としては、例えば被処理液3中の活性汚泥の好気性・嫌気性微生物によって有機物を消化する処理等がある。
なお、槽1a内ではスカム2を分離除去する処理を行い、その他の処理を行わなくてもよいのは勿論である。
【0025】
図2(c)に示すように、単位液体処理装置1Aの槽1aには、上部側に上側仕切り壁13aが配設されており、下部側には下側仕切り壁14aが配設されている。上側仕切り壁13a、下側仕切り壁14aは、被処理液供給流路11aから流入した被処理液3の流れの障壁となり被処理液3を長く槽1a内に滞留させ、槽1a内での被処理液3の処理を充分に進行させる働きをする。
【0026】
また、槽1aの下側仕切り壁14a下流には、槽1aの下部に、槽1a内で処理した処理液4を槽1a外に流出させるための処理液流出流路12aが接続口12a1を介して連結されている。処理液流出流路12aには、流路を開閉する電磁弁等の処理液回収弁6a(図2(b)参照)が設けられている。
【0027】
これにより、図2(c)に示すように、被処理液供給流路11aから流入した被処理液3は、上側仕切り壁13aに沿って下方に流れる。そして、上側仕切り壁13aの下部を通過(図2(c)の矢印α1参照)した被処理液3は、上側仕切り壁13a、下側仕切り壁14aに沿って上方に流れる。そして、被処理液3は、下側仕切り壁14aの上部を通過し(図2(c)の矢印α2参照)、処理液流出流路12a、開弁した処理液回収弁6aを通過して、処理を終えた処理液4として、回収される。このように、被処理液3が槽1a内を流れる間に処理が行われる。
【0028】
図1に示すように、単位液体処理装置1Aの槽1aの液面は上面視でスカム回収路5a1、上側仕切り壁13aで2つに分割されている。
単位液体処理装置1Aの槽1aの上方には、被処理液3の液面または液面近傍に浮上するスカム2をオーバーフローさせて回収することを目的に、スカム回収路5a1、5a2、5a4が上側仕切り壁13aの上部の一方側に設けられ、また、スカム回収路5a1、5a3、5a5が上側仕切り壁13aの上部の他方側に設けられている。
【0029】
すなわち、スカム回収路5a1、5a2、5a4が、上側仕切り壁13aの上部の一方側に、被処理液3の液面を囲繞して(囲んで)3方向に配置されている。また、スカム回収路5a1、5a3、5a5が、上側仕切り壁13aの上部の他方側に、被処理液3の液面を囲繞して(囲んで)3方向に配置されている。
【0030】
単位液体処理装置1Aでは、被処理液3の液面または液面近傍のスカム2がオーバーフローするエリア(領域)を、スカム回収路5a1、…、5a5と広く形成している。これにより、スカム2が、円滑かつ容易にスカム回収路5a1、…、5a5内にオーバーフローして回収され、槽1a内の被処理液3から排出することができる。
【0031】
図2(a)に示すように、スカム回収路5a4、5a5を形成する排出流路壁5a10には、スカム排出流路10aに挿通するスカム排出口5a7、5a8、5a9がそれぞれスカム回収路5a1、5a2、5a3が延在する方向(図1参照)に沿った位置に開口して設けられている。なお、スカム排出口5a7、5a8、5a9は、それぞれスカム回収路5a1、5a2、5a3、5a4、5a5の下面より下方の位置まで開口されている。
これにより、スカム回収路5a1、…、5a5に回収したスカム2を、スカム排出口5a7、5a8、5a9を介して、円滑にスカム排出流路10aに流出させ、排出することができる。
【0032】
なお、スカム回収路5a1、5a2、5a3、5a4、5a5は、水平に形成してもよいが、スカム回収路5a1、5a2、5a3は、スカム排出流路10aに近づくに従って次第に低くなるように形成することが好ましい。これにより、スカム回収路5a1、5a2、5a3に回収したスカム2を、オーバーフローした被処理液3とともに、重力の作用でスカム排出流路10aへの流速を増加させ、より強い力でスカム排出流路10aに排出することができる。
【0033】
また、スカム回収路5a1、…、5a5を、槽1aの分割した液面のスカム排出流路10aの反対側を除く3方向に設けることでスカム2を広い領域で捉えるとともにスカム2の排出の流れのスムーズさを確保できる。
なお、槽1aの液面の分割数は2つの場合を例示したが、3以上でもよく適宜選択可能である。また、必ずしも分割しなくともよい。しかしながら、槽1aの液面を、分割してその分割面を囲繞してスカム回収路5aを設けることによりスカム2の回収エリアが広く、スカム2がより多く回収できる。そのため、槽1aの液面を分割し、その分割面を囲繞する少なくとも一部にスカム回収路を設けることがより望ましい。
【0034】
図1に示すように、スカム排出流路10aの延在方向の両端部近傍または一方端部近傍には、それぞれ排出流路脱着部15a、15aが設けられている。また、スカム排出流路10zのスカム排出流路10a側の端部近傍には、排出流路脱着部15zが設けられている。
単位液体処理装置1Aの排出流路脱着部15aは、スカム排出流路10aを、隣接する単位液体処理装置1Bのスカム排出流路10bまたはスカム排出弁7に続くスカム排出流路10zに連結するためのものである。
【0035】
ここで、スカム排出流路10bの延在方向の両端部には、スカム排出流路10a、10cと水密にシールするための耐水性、弾性を有するパッキン(図示せず)等のシール材が設置されている。また、スカム排出流路10zのスカム排出流路10a側の端部には、スカム排出流路10aと水密にシールするための耐水性、弾性を有するパッキン(図示せず)等のシール材が設置されている。
【0036】
そして、排出流路脱着部15a、15b、15zには、それぞれを互いに固定するための固定用ボルトが挿通されるボルト挿通孔(図示せず)や、固定用ボルトが螺着される雌ネジが螺刻されたネジ穴(図示せず)が穿設されている。
これにより、排出流路脱着部15a、15bによって、スカム排出流路10aを、隣接のスカム排出流路10bに合わせ、固定用ボルトをボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺着したり、固定用ボルトをネジ穴に螺着することで、スカム排出流路10a、10bのパッキン(シール材)をそれぞれ弾性変形させて、スカム排出流路10aと隣接するスカム排出流路10bとを水密に連結する。
【0037】
同様に、排出流路脱着部15a、15zによって、スカム排出流路10aを、隣接するスカム排出流路10zに合わせ、固定用ボルトをボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺着したり、固定用ボルトをネジ穴に螺着することで、スカム排出流路10a、10zのパッキン(シール材)をそれぞれ弾性変形させて、スカム排出流路10aと隣接するスカム排出流路10zとを水密に連結する。
なお、水密に連結できれば、固定用ボルトやナットに代替して、任意のワンタッチ式の脱着機構の排出流路脱着部15a、15b、15zでも構わない。或いは、水密に連結できれば、排出流路脱着部15a、15bおよび排出流路脱着部15a、15zをそれぞれシーム溶接等の溶接を用いて両者を連結する構成にしてもよく、その連結方法は限定されない。
【0038】
<液体処理装置Sの施工>
次に、液体処理装置Sの施工(設置)について説明する。
図1においては、液体処理装置Sとして、複数の単位液体処理装置1A、1B、…、1Nを連結した場合を例示している。
まず、液体処理装置Sの単位液体処理装置1A、…、1Nの数を決定するに際しては、スカム2の分離除去等の処理を行う被処理液3である下水や排水の規模(容量)に応じて適合した数の槽1aの容量を求め、単位液体処理装置1A、…、1Nの数を決定する。
【0039】
そして、決定した単位液体処理装置1A、…、1Nのスカム排出流路10a、…、10nを、それぞれ排出流路脱着部15a、…、15nの固定用ボルトや、ワンタッチ式の脱着機構、溶接等を用いて、互いに水密に連結する。
そして、単位液体処理装置1Aのスカム排出流路10aを、排出流路脱着部15a、15zによって、スカム排出弁7に続くスカム排出流路10zに水密に連結し、液体処理装置Sの施工(設置)が完了する。
このように、本液体処理装置Sでは、排出流路脱着部15a、…、15nによって複数の単位液体処理装置1A、…、1Nを並列に設置(並設)することが可能である。
【0040】
<液体処理装置Sの動作>
次に、液体処理装置Sの動作について説明する。なお、液体処理装置Sの動作は、前記したように、制御装置8の制御により行われる。
図1に示すように、単位液体処理装置1A、1B、…、1Nの被処理液供給流路11a、…、11nから、それぞれ槽1a、…、1nに被処理液3が流入する。
【0041】
図2(c)に示すように、単位液体処理装置1Aの槽1aに、被処理液供給流路11aから供給された被処理液3は、槽1a内の上側仕切り壁13aに沿って下方に流れ、矢印α1のように上側仕切り壁13aの下方を流れる。その後、被処理液3は、上側・下側仕切り壁13a、14a間を流れた後、矢印α2のように下側仕切り壁14aの上方を流れる。
【0042】
その後、被処理液3は、下側仕切り壁14aに沿って下方に向けて流れた後、接続口12a1から処理液流出流路12aに流入し、処理液流出流路12aを流れ開弁された処理液回収弁6aを通って、処理液4として排出される。このように、被処理液3は、槽1a内を流れることで処理され、槽1a内から処理液4として排出される。
【0043】
他の単位液体処理装置1B、…、1Nにおいても同様な制御が行われ、それぞれ被処理液3が処理され、処理液流出流路12b、…、12n、開弁された処理液回収弁6b、…、6nを介して、処理液4として排出される。
この間、各単位液体処理装置1A、…、1Nでは、図2(b)に示すように、それぞれスカム検出装置9a、…、9nが槽1a、…、1nの水位が上昇し、スカム2を検出されたか否か検出を行っている。
【0044】
そして、例えば、単位液体処理装置1Aにおいて、スカム検出装置9aによりスカム2を検知(検出)すると、制御装置8の制御により、処理液回収弁6aを閉弁することにより、槽1a内の水位を上昇させてスカム回収路5a1、5a2、5a3、5a4、5a5にオーバーフローさせて、スカム2が回収される。
【0045】
スカム回収路5a1、…、5a5に回収されたスカム2は、図2(a)に示すスカム排出口5a7、5a8、5a9から、スカム排出流路10aに流出する。スカム排出流路10aに排出されたスカム2は、スカム排出流路10aをスカム排出流路10zへ向けて流れ、スカム排出流路10zに流入する。これにより、槽1a内のスカム2は、スカム排出弁7を開弁することによりスカム排出弁7を通過して、単位液体処理装置1Aの外部に排出される。
【0046】
次に、複数の単位液体処理装置1A、…、1Nを並列に設置(並設)したときの動作例を詳細に説明する。
<単位液体処理装置1Aの動作例>
まず、単位液体処理装置1Aの動作について、説明を行う。
図3は単位液体処理装置1Aの動作例を示す図である。図3(a)は経過時間tに対する槽1a内のスカム2の量を示す図であり、図3(b)は経過時間tに対するスカム検出装置9aのスカム検出装置9aのON(スカム2を検知)/OFF(スカム2を検知せず)を示す図であり、図3(c)は経過時間tに対する処理液回収弁6aの開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、図3(d)は経過時間tに対するスカム排出弁7の閉開(CLOSE/OPEN)を示す図であり、図3(e)は経過時間tに対する槽1a内の水位の高さ(High/Low)を示す図である。
【0047】
図2(c)に示すように、単位液体処理装置1Aは、被処理液供給流路11aから槽1a内に被処理液3が供給されると、前記したように、被処理液3は上側仕切り壁13aに沿って下方に流れる(図2(c)の矢印α1参照)とともに、上側・下側仕切り壁13a、14aに沿って上・下方に流れ、下側仕切り壁14aの上方を通過(図2(c)の矢印α2参照)して、図2(b)に示すように、処理液流出流路12a、開弁した処理液回収弁6aを通過して、処理液4として回収される。
【0048】
基本動作としては、槽1a内の被処理液3の液面または液面近傍に浮遊するスカム2を、所定の高さに配置されるスカム検出装置9aにより常時検知している。
図3(a)に示すように、スカム2の量が増加した場合、スカム検出装置9aにより被処理液3の液面のスカム2を検知する(図3(b)でスカム検出装置9aがON)。
【0049】
すると、処理液回収弁6aを閉弁する(図3(c)で処理液回収弁6aがCLOSE)ことにより、液体処理装置A1内の水位を上昇させる(図3(e)で水位がHighへ)。すると、スカム2は槽1aからスカム回収路5a1、5a2、5a3、5a4、5a5にオーバーフローして回収され、スカム排出口5a7、5a8、5a9を介してスカム排出流路10aから、スカム排出流路10zに流出する。
【0050】
そして、スカム2は、スカム排出流路10zを流れ、スカム排出弁7を開弁する(図3(d)で処理液回収弁6aがOPEN)ことにより、スカム2が単位液体処理装置A1外に排出される。
なお、他の単位液体処理装置1B、…、1Nの動作は、単位液体処理装置1Aの動作と同様であるので説明は省略する。
【0051】
<単位液体処理装置1A、1B、1Nの動作例>
次に、単位液体処理装置1A、1B、1Nの動作について、説明を行う。
図4は単位液体処理装置1A、1B、1Nの動作例を示す図であり、図4(a)は経過時間tに対するスカム排出弁7の開閉(CLOSE/OPEN)を示す図であり、図4(b)は経過時間tに対する単位液体処理装置1Aの処理液回収弁6aの開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、図4(c)は経過時間tに対する単位液体処理装置1Bの処理液回収弁6bの開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、図4(d)は経過時間tに対する単位液体処理装置1Nの処理液回収弁6nの開閉(OPEN/CLOSE)を示す図であり、図4(e)は経過時間tに対するスカム検出装置9a、9b、9nのスカム2の検出結果(ON/OFF)を示す図である。
【0052】
図4で例示した状態を詳述すると、時刻t0からt1では、図4(a)に示すスカム排出弁7が閉弁するとともに、単位液体処理装置1A、1B、1Cの処理液回収弁6a、6b、6nが開弁し(図4(b)〜図4(d)参照)、処理液回収弁6a、6b、6nからそれぞれ処理液4が排出されている。
【0053】
時刻t1に至り、図4(e)に示すように、単位液体処理装置1Aのスカム検出装置9aが槽1a内のスカム2を検知すると、図4(b)に示すように、単位液体処理装置1Aの処理液回収弁6aが閉弁して処理液4の排出を停止し、図4(a)に示すように、スカム排出弁7が開弁される。
処理液回収弁6aの閉弁により、単位液体処理装置1Aの槽1a内の水位が上昇し、スカム2が、スカム回収路5a1、5a2、5a3、5a4、5a5にオーバーフローし、図2(a)に示すように、スカム排出流路10a、10z、開弁したスカム排出弁7を通過して排出される。
【0054】
その後、所定時間が経過すると、処理液回収弁6aが開弁される(図4(b)参照)とともに、スカム排出弁7が閉弁される(図4(a)参照)。
その後、時刻t2に至り、図4(e)に示すように、単位液体処理装置1Bのスカム検出装置9bがスカム2を検知すると、図4(c)に示すように、単位液体処理装置1Bの処理液回収弁6bが閉弁するとともに、図4(a)に示すように、スカム排出弁7を開弁し、単位液体処理装置1Aと同様に、槽1bからオーバーフローしたスカム2が、スカム回収路5b1、5b2、5b3、5b4、5b5から、スカム排出流路10b、10a、10z、開弁したスカム排出弁7を通過して排出される。
【0055】
その後、時刻t3に至り、図4(e)に示すように、単位液体処理装置1Nのスカム検出装置9nがスカム2を検知すると、図4(d)に示すように、単位液体処理装置1Nの処理液回収弁6nが閉弁するとともに、図4(a)に示すように、スカム排出弁7を開弁する。
そして、時刻t4に至ると、図4(d)に示すように、単位液体処理装置1Aのスカム検出装置9aがスカム2を検知するが、単位液体処理装置1Nの処理液回収弁6nが閉弁中(図4(d)参照)であるので、単位液体処理装置1Aの処理液回収弁6aの閉弁は待機状態となり(図4(b)参照)、開弁状態を継続する。
【0056】
同様に、時刻t5に至ると、図4(e)に示すように、単位液体処理装置1Bのスカム検出装置9bがスカム2を検知するが、図4(d)に示すように、単位液体処理装置1Nの処理液回収弁6nが閉弁中であるので、単位液体処理装置1Bの処理液回収弁6bの閉弁は待機状態となり(図4(c)参照)、開弁状態を継続する。
その後、時刻t6に至り、図4(d)に示すように、単位液体処理装置1Nの処理液回収弁6nが開弁すると、先に待機状態であった単位液体処理装置1Aの処理液回収弁6aが閉弁する(図4(b)の時刻t6でCLOSE参照)。
【0057】
そして、時刻t7に至り、図4(b)に示すように、単位液体処理装置1Aの処理液回収弁6aが開弁すると、次に待機状態にあった単位液体処理装置1Bの処理液回収弁6bが閉弁する(図4(c)の時刻t7でCLOSE参照)。
このようにスカム検出装置9a、9b、9nが連続してスカム2を検出した際には、一の単位液体処理装置1A、…、1Nのスカム2が排出された後に、他の一の単位液体処理装置1A、…、1Nのスカム2を排出するようにする。そのため、一の単位液体処理装置1A、…、1Nのスカム2の排出中は、他の単位液体処理装置1A、…、1Nのスカム2がスカム回収路5a1、…、5n5からスカム排出流路10a、…、10nに溢れない(オーバーフローしない)ように制御装置8が指令を発する。
【0058】
すなわち、図4(d)に示すように、処理液回収弁6nを閉弁している際(単位液体処理装置1Nでスカム2の排出中)にスカム検出装置9aがスカム2を検知する(図4(e)の時刻t4)した後にスカム検出装置9bがスカム2を検知した場合、時刻t6に至り、処理液回収弁6nを開弁するとともに(単位液体処理装置1Nのスカム2の排出後)、処理液回収弁6aを閉弁する(図4(b)の時刻t6)。
そして、時刻t7に至り、処理液回収弁6aを開弁するとともに(単位液体処理装置1Aのスカム2の排出後)、処理液回収弁6bを閉弁し (図4(c)の時刻t7)、単位液体処理装置1Bのスカム2を排出する。
【0059】
なお、単位液体処理装置1A、…、1Nの何れかで同時または時間差をもってスラム2を検知する場合に、単位液体処理装置1A、…、1N間でスカム2の排出の優先順位を設けることができる。
例えば、より下流の単位液体処理装置1のスカム2の排出の優先順位を高くすると、上流のスカム排出流路10のスカム2の排出の優先順位が低くなるので、後の時間に上流のスカム排出流路10から下流のスカム排出流路10に向けて、より高い流速、より強い力で流出できることからスカム2をスカム排出流路10a、…、10zに残留させることがなく、より望ましい。
なお、液体処理装置Sの状況如何によっては、その他の優先順位を設定してもよい。また、同時以外に時間差がある場合にも、優先順位を設けてもよい。
【0060】
実施形態1によれば、排出流路脱着部15a、…、15n、15zを設けたことで、大規模・小規模など下水、排水(被処理液3)の規模(容量)に適合させて、単位液体処理装置1A、1B、…、1Nを増減して、単位液体処理装置1A、1B、…、1Nを任意に連結して並列して設置(並設)することが可能である。そのため、被処理液3である下水、排水等の規模(容量)に拘わらず対応可能である。さらに、単位液体処理装置1A、1B、…、1Nを、ユニット化することで、設置対象の設備における必要容量に見合う分のユニット数を設置することで、迅速な施工が可能となる。
【0061】
また、スカム排出弁7を、排出流路脱着部15a、15zによって最下流となる単位液体処理装置1Aのスカム排出流路10aに連結したので、従来複数必要であったスカム排出弁7が一つで済み、経済面で効率的という利点がある。また、スカム排出弁7が1つとなることで設置スペースの削減という利点がある。
さらに、各単位液体処理装置1A、1B、…、1Nのスカム排出流路10a、…、10nを、槽1a、1b…、1nの一方側に揃えて設けるので、スカム排出流路10a、…、10nの長さが短く済む。
【0062】
そのため、スカム排出流路10a、…、10nが占めるスペースが狭小で済むので、液体処理装置Sの設置スペースが狭くて済む。また、スカム排出流路10a、…、10nを、簡素な構成で容易に連結できるので、配管の製造コストが低減され、材料コストが削減できる。また、連結作業、メンテナンス作業が容易で、組立てコスト、メンテナンスコストが低減できる。そのため、経済的であり、コスト低下に資することが可能である。
したがって、下水、排水が大規模・小規模など規模(容量)の大小に拘わらず、容量対応性に優れた懸濁物(スカム2)を除去できる低コストの液体処理装置Sを提供可能である。
【0063】
なお、実施形態1では、単位液体処理装置1A、1B、…、1Nの何れか一つがスカム2の排出を行っている場合、スカム2を検出した他の単位液体処理装置1A、1B、…、1Nは、スカム2の排出を待機状態とする場合を例示したが、スカム2の排出を行う単位液体処理装置1A、1B、…、1Nは、スカム2の量やスカム排出流路10の流量の大きさによっては、必ずしも一つの単位液体処理装置1のスカム2の排出を可能とする必要はない。
【0064】
例えば、2つ、3つ、…等の任意数の単位液体処理装置1A、1B、…、1Nのスカム2の同時排出を可能とし、その他の単位液体処理装置1を待機状態にするように構成してもよい。
すなわち、スカム2を同時に排出する単位液体処理装置1A、…、1Nの数、および/または、スカム2の排出を待機状態とする単位液体処理装置1A、…、1Nの数は限定されず、適宜選択可能である。
【0065】
<<実施形態2>>
次に、実施形態2の液体処理装置2Sについて説明する。
図5は、実施形態2の液体処理装置2Sを示す上方から見た平面図である。なお、図5の点線の矢印β2〜β4は、槽1a1内の被処理液3の流れを示したものである。
実施形態2の液体処理装置2Sは、実施形態1の液体処理装置Sのスカム回収路5a1、…、5n9、スカム排出流路10a、…、10n、被処理液供給流路11a、…、11nおよび処理液流出流路12a、…、12nの異なる構成を例示したものである。液体処理装置2Sのその他の構成は、実施形態1の液体処理装置Sの構成と同様であるので、同様な説明は適宜省略する。
【0066】
実施形態2の液体処理装置2Sは、単数または複数の単位液体処理装置21(21A、21B、…、21N)のユニットが連結されている。液体処理装置2Sは、実施形態1と同様、下水、排水等の規模(容量)に適合した数の単位液体処理装置21A、…、21Nが使用され、図示しない制御装置で統括的に制御される。
単位液体処理装置21Aは、被処理液3が貯留される槽1a1と、槽1a1内に被処理液3を流入口21a1を介して供給する被処理液供給流路21aと、被処理液3の処理後の処理液4が流出される処理液流出流路22aとを備える。被処理液供給流路21aの被処理液3の流入向き(図5の矢印β1)と処理液流出流路22aの処理液4の流出向き(図5の矢印β5)とは反対向きとしている。
【0067】
被処理液供給流路21aは、槽1a1の上側に設けられるとともに、処理液流出流路22aは、槽1a1の下側に設けられる。なお、被処理液供給流路21a、処理液流出流路22aの上下方向位置は、これに限定されない。
槽1a1内には、被処理液供給流路21aからの被処理液3の流入エリアと処理液流出流路22aへの処理液4の流出エリアとを区画する仕切り壁26aと、被処理液3の流路を長くするための仕切り壁27a、28aとが配設されている。なお、仕切り壁27aと仕切り壁28aは、槽1a1内の被処理液3の流路を長くするため、高さを異ならせるとよい。
【0068】
例えば、仕切り壁27aは槽1a1の上側に形成されるとともに、仕切り壁28aは槽1a1の下側に形成される。これにより、被処理液供給流路21aから槽1a内に流入した被処理液3(図5の矢印β1)は、仕切り壁27aに衝突し仕切り壁27aに沿って下方に向けて流れ、仕切り壁27aの下方を通過する(図5の矢印β2)。そして、被処理液3は、仕切り壁28aに向けて流れ(図5の矢印β3)、仕切り壁28aに衝突し仕切り壁28aに沿って上方に向けて流れ、仕切り壁28aの上方を通過する(図5の矢印β4)。そして、被処理液3は、槽1a1の壁面に案内され下方に向けて流れ、処理液流出流路22aから、処理液4として流出(図5の矢印β5)する。この間、被処理液3は、槽1a1内で処理が行われ、処理液4となる。
【0069】
仕切り壁26a、27a、28aにより、被処理液3の槽1a1内の流路が長くなるので、スカム2の分離除去等の処理が充分に行われる。
そして、槽1a1内には、被処理液3の水位が上昇した際にオーバーフローさせて被処理液3のスカム2を回収するスカム回収受け23aが設けられている。
また、槽1a1の一方側の被処理液供給流路21a、処理液流出流路22aに対して、その他方側には、回収したスカム2を流出させるための配管のスカム排出流路20aが設けられている。スカム排出流路20aには、スカム回収受け23aが連通されている。
【0070】
スカム排出流路20aは、スカム排出流路20b、…、その他の配管を介して、実施形態1と同様なスカム排出弁(図示せず)に接続されている。
スカム回収受け23aで回収したスカム2はスカム排出流路20aを通過して、スカム排出流路20b、…、その他の配管を介して、開弁したスカム排出弁を通過して、外部に排出する。スカム排出流路20a、20b、…の一方端部または両端部には、水密となるシールを行うシール材を有している。
【0071】
また、単位液体処理装置21Aのスカム排出流路20aの両端部または一方端部には、排出流路脱着部29(29a、29b、…)が設けられている。排出流路脱着部29は、実施形態1の排出流路脱着部15と同様な構成である。
その他の単位液体処理装置21B、…は、単位液体処理装置21Aと同様な構成であるので、説明は省略する。
なお、単位液体処理装置21B、…のスカム排出流路20b、…の両端部には、排出流路脱着部29b、…が設けられる。
単位液体処理装置21A、21B、…は、互いに各排出流路脱着部29を用いて、スカム排出流路20a、20b、…が、シール材により水密に連結され、図5に示すように、並設される。
【0072】
次に、単位液体処理装置21Aの動作処理について説明する。
単位液体処理装置21Aの被処理液供給流路21aから被処理液3が槽1a1内に流入される(図5の矢印β1)。槽1a1内の被処理液3は、槽1a1内を仕切り壁27aと仕切り壁28aとに沿いつつ、仕切り壁27aと仕切り壁28aの下方または上方を流れつつ処理され(図5の矢印β2、β3、β4)、処理液流出流路22aから処理液4として流出される。
【0073】
そして、図示しないスカム検出装置でスカム2を検知すると、処理液流出流路22aが図示しない処理液回収弁で閉られ、槽1a1内の水位を上昇させる。これにより、スカム2をスカム回収受け23aにオーバーフローさせて、スカム排出流路20a、20b、…、その他の配管を介して、開弁したスカム排出弁を通過させて、外部に排出する。
その他の単位液体処理装置21B、…も、単位液体処理装置21Aと同様な動作を行い、スカム2をスカム回収受け23b、…にオーバーフローさせて、スカム排出流路20b、…、その他の配管を介して、開弁したスカム排出弁を通過させて、外部に排出する。
なお、実施形態2の液体処理装置2Sの制御は、実施形態1の液体処理装置Sと同様に行われる。
【0074】
実施形態2の液体処理装置2Sによれば、単位液体処理装置21A、21B、…の被処理液供給流路21a、21b、…の被処理液3の流入向きと処理液流出流路22a、22b、…の処理液4の流入向きとは反対向きとしているので、被処理液3の流路が長くとれるとともに、流入時と流出時の被処理液3に働く力が逆向きなる。そのため、被処理液3の槽1a1、1b1、…内の滞留時間が長くなり、スカム2を多く回収することが可能である。また、槽1a1、1b1、…内の処理を促進させる効果を奏する。
その他、実施形態1の作用効果は同様に奏する。
【0075】
なお、前記実施形態1、2の液体処理装置S、2Sは、複数の単位液体処理装置1A、…、1N、21A、21Bで構成した場合を例示したが、下水や配水の規模によっては単数の液体処理装置1A、21A、で構成してもよいのは勿論である。
また、前記実施形態1、2では、上側・下側仕切り壁13、14、仕切り壁27、28を複数の場合を例示したが、仕切り壁を単数としてもよい。しかし、仕切り壁を複数、高さを異ならせて設けた方が被処理液3の槽1a内の滞留時間が延び、処理がより進行するので、より好ましい。また、図2(c)に示すように、上側・下側仕切り壁13、14、仕切り壁27、28は互い違いに高さを異ならせると被処理液4の流路がより長くなるので、さらに望ましい。
【0076】
なお、前記実施形態1、2では、上側・下側仕切壁13、14、仕切り壁27、28の数は2つの場合を例示したが、3つ以上としてもよい。そして、互い違いに高さを異ならせるとよい。
また、上側・下側仕切壁13、14、仕切り壁27、28は、複数、水平方向の位置を異ならせて設けてもよく、また、水平方向に互い違いになるよう形成してもよい。或いは、複数の上側・下側仕切壁13、14、複数の仕切り壁27、28は、高さを異ならせるとともに水平方向の位置を異ならせてもよく、また、複数の上側・下側仕切壁13、14、複数の仕切り壁27、28を、互い違いに高さを異ならせるとともに水平方向に互い違いに位置を異ならせて設けてもよい。
【0077】
なお、前記実施形態では、排出流路脱着部15a〜15zは、それぞれスカム排出流路10a、…、10n、10zの近傍に配置した場合を例示したが、スカム排出流路10a、…、10n、10zをそれぞれ隣接するスカム排出流路10a、…、10n、10zと水密に連結できれば、必ずしも排出流路脱着部15〜15zをそれぞれスカム排出流路10a、…、10n、10zの近傍に配置しなくてもよい。しかし、排出流路脱着部15a〜15zをそれぞれスカム排出流路10a、…、10n、10zの近傍に配置した方が連結力を強化でき、水密性をより確実にできるので、近傍に配置した方がより望ましい。
なお、前記実施形態1、2では、槽1a、…、1n、1a1、1b1が上面視で矩形状の形状の場合を例示したが、矩形以外の上面視で多角形、楕円等の曲率をもった形状でもよく、特に限定されない。
【0078】
また、実施形態1の被処理液供給流路11a、…、11nの被処理液3の槽1a、…、1nへの流入口(被処理液供給流路11a、…、11nの先端の被処理液3の流入口)と、処理液4の流出口である接続口12a1、…、12n1とは、上面視で矩形状の槽1a、…、1nのほぼ対角線状に配置した場合を例示したが、槽1a、…、1nが上面視で矩形状以外の形状の場合、流入口と接続口12a1、…、12n1とは最も遠い位置に配置するとよい。これにより、被処理液3の槽1a、…、1n内への滞留時間をより長くでき、処理をより充分に行うことができる可能性が高まる。
【符号の説明】
【0079】
1a、…、1n、1a1、1b1 槽(処理槽)
1A、…、1N 単位液体処理装置
2 スカム
3 被処理液
4 処理液(処理済み液)
5a1、…、5a5、5b1、…、5b5、…、5n1、…、5n5 スカム回収路(スカム回収器)
23 スカム回収受け(スカム回収器)
6、6a、6b、6n 処理液回収弁(処理液排出手段)
7 スカム排出弁
8 制御装置(制御部)
9a、9b、…、9n スカム検出装置(スカム検出手段)
10a、…、10n、20a、20b スカム排出流路
11a、…、11n、21a、21b 被処理液供給流路(供給流路)
12a1、…、12n1 接続口(流出口)
13、13a、13b、13n 上側仕切り壁(第2仕切り部材)
14、14a、14b、14n 下側仕切り壁(第2仕切り部材)
15a、…、15n、29a、29b 排出流路脱着部
26a、26b 仕切り壁(第1仕切り部材)
27a、27b、28a、28b 仕切り壁(第2仕切り部材)
β5 流出口での流れの向き
β1 流入口の流れの向き
S、2S 液体処理装置(ユニット式液体処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スカムを含む被処理液から前記スカムを分離する処理を行うユニット式液体処理装置であって、
前記被処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽に前記被処理液を供給する供給流路と、前記被処理液の液面または液面近傍に浮上した前記スカムを回収するスカム回収器と、前記スカム回収器からスカムを排出するスカム排出流路と、他の単位液体処理装置を連結させる排出流路脱着部とを備える単位液体処理装置と、
前記排出流路脱着部によって前記スカム排出流路に接続されるとともに前記スカム排出流路からの流路を開閉するスカム排出弁とを具備し、
前記スカム回収器に回収された前記スカムを、前記スカム排出流路を介して、前記スカム排出弁を開弁することにより排出する
ことを特徴とするユニット式液体処理装置。
【請求項2】
前記単位液体処理装置は、複数有り、
前記排出流路脱着部により、一の前記スカム排出流路と隣接する他の前記スカム排出流路とが結合され、複数の前記単位液体処理装置が並設される
ことを特徴とする請求項1に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項3】
前記スカム排出弁は、前記排出流路脱着部によって最下流となる前記単位液体処理装置の前記スカム排出流路に連結される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項4】
前記スカム排出流路は、下流側にいくに従い低くなる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項5】
前記処理槽は、上面視で、複数に分割され、該分割された液面の少なくとも一部を囲繞して前記スカム回収器が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項6】
前記スカム回収器は、前記スカム排出流路に近づくに従って低くなるように形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの何れか一項に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項7】
前記単位液体処理装置は、
その処理槽内に浮上する前記スカムを検知するスカム検出手段と、前記被処理液の処理後の処理済み液を開動作で排出する処理液排出手段とを備え、
前記ユニット式液体処理装置は、
一部の前記単位液体処理装置が、前記スカム検出手段でスカムを検知した際、その処理液排出手段を閉動作させ、前記スカムが、前記スカム回収器、前記スカム排出流路、開弁した前記スカム排出弁を介して排出する間、他の前記単位液体処理装置がそのスカム検出手段でスカムを検知した場合、その処理液排出手段の開動作を継続させ、前記一部の単位液体処理装置のスカム排出の動作の終了まで待機させ、前記一部の前記単位液体処理装置のスカム排出の動作の終了後、当該他の前記単位液体処理装置が、その処理液排出手段を閉動作させ、スカムを、前記スカム回収器、前記スカム排出流路、開いた前記スカム排出弁を介して排出させる制御を行う制御部を具備する
ことを特徴とする請求項2に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項8】
前記複数の単位液体処理装置は、それぞれ前記スカム排出の動作の優先順位が設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項9】
前記複数の単位液体処理装置は、下流側の前記スカム排出流路をもつ前記単位液体処理装置の前記スカム排出の動作の優先順位を、上流側の前記スカム排出流路をもつ前記単位液体処理装置より高くした
ことを特徴とする請求項8に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項10】
前記処理槽において、前記被処理液が流入する流入口の流入方向と、前記被処理液の処理後の処理済み液の流出口での流出方向とが異なる方向である
ことを特徴とする請求項1から請求項9のうちの何れか一項に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項11】
上面視で、前記処理槽における前記流入口と前記流出口との距離がほぼ最も遠い位置に配置される
ことを特徴とする請求項10に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項12】
前記処理槽における鉛直方向において、前記流入口は前記流出口より上側に配置される
ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項13】
前記処理槽内に前記流入口と前記流出口とを区切る第1仕切り部材を備え、
前記流入口の流れの向きと前記流出口での流れの向きとが逆向きである
ことを特徴とする請求項10に記載のユニット式液体処理装置。
【請求項14】
前記処理槽内に、異なる高さまたは/および異なる水平方向位置をもって設けられる複数の第2仕切り部材を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項13のうちの何れか一項に記載のユニット式液体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−228665(P2012−228665A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98919(P2011−98919)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】