説明

ユニバーサル末端部を備えるシリンジ

本発明は、液体を含有する貯蔵部(21)を画定しおよび前記液体の輸送のための通路を提供するチャンネル(11)を包含する末端部(10)を含む、シリンジ(20)に関し、前記チャンネル(11)は、2つの部分、第1部分(12)および第2部分(13)を含み、前記第1部分(12)は、末端部(10)の自由遠位端(14)から貯蔵部(21)の方向に伸び、および前記第2部分(12)は、チャンネル(11)の第1部分(12)と末端部(10)の近位端(15)との間に伸び、および前記第1部分(12)を貯蔵部に接続し、前記第1部分(12)は、前記第2部分(13)の平均直径よりも大きい平均直径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば円錐形組立品を介して、例えば「ルアー」タイプの6%円錐形組立品によって接続される、無針コネクタの搭載に適した末端部(end-piece)を有する慣用のすなわち事前充填されたシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
本願明細書において、構成部品または器具の遠位端は使用者の手から最も遠い端部を意味するよう理解されるべきであり、近位端は使用者の手に最も近い端部を意味するよう理解されるべきである。
【0003】
シリンジ、かん流および輸血器具、ならびにコネクタのような、医療用流体を輸送および/または保存するための多様な医療器具が知られている。これらの多様な医療器具が正確および安全に組み立て合わせられることは、必須である。
【0004】
円錐形組立品、例えば、その仕様が精密な標準(特に、ISO594/1 86およびISO594/2 98標準を参照)によって定義されるルアータイプの6%円錐形組立品は、多様なタイプの医療器具を搭載するための適合性を保証することを可能にする。これらの仕様は、硬質または半硬質材料製の円錐形組立品に適用される。
【0005】
慣用のシリンジは、大抵、前記シリンジから排出されるかまたは前記シリンジに注入されるべき医療用液体のための貯蔵部を形成する中空の本体、前記貯蔵部をその端部の1つ、特にその近位端で範囲を定めるために本体の内側に設置されるシール、および近接した握り部分とともにピストンを形成する該シールを作動させるためのロッドを含む。加えて、貯蔵部を形成する本体の遠位端は、大抵、末端部を含み、その中に軸方向通路が配置され、それを通って前記液体は貯蔵部から排出される。末端部は、例えばフルストコニカル(frustoconical)形状の「ルアー」タイプの、摩擦スリーブフィッティングのための表面を持つ外部遠位接合点を含んでいる可能性がある。
【0006】
液体の取扱い、特に、しばしば病院または緊急事態などにおいて、かん流器具を介して行われる患者への非経口投与は、一般的な方法において、円錐形組立品、例えば6%ルアー円錐形組立品が備え付けられたコネクタおよびカップリングの使用を意味する。よく使用され、および以下Clave(登録商標)タイプと称されるコネクタは、例えば、特許文献1に記載されている。このコネクタは、特に、雌型ルアー円錐形組立品の内側に取り付けられ、シリンジの末端部の軸方向通路に入るように設計された、内部の被覆カニューレを含む。そのようなコネクタは、医療器具の組立品をシールし、それらが含有する医療用液体の汚染に対して保護を提供することを可能にする。しかしながら、不適合であると判明した多様なシリンジとのこのタイプのコネクタの使用に関して、問題が報告されている。その結果、適合した中間のカップリングの使用がしばしば必要とされ、これは、特に緊急事態において、医療スタッフの治療介入を複雑にする。加えて、そのようなコネクタに不適合であるシリンジを組み込もうとする試みは、シリンジの末端部および/またはコネクタの内部カニューレの破損のために、シリンジおよび/またはコネクタを使用できなくする可能性がある。そのような場合において、薬の投与は不可能となり、またはよくても遅延する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,694,686号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるようなコネクタ内に存在する被覆内部カニューレは、前記コネクタおよびシリンジの正確な搭載を保証し、および医療用流体がコネクタおよびシリンジの間を移動するのを可能にするために、シリンジの末端部の軸方向通路の最小直径を必要とする。その上、もし円錐形組立品、例えば6%ルアーを備える他の器具との適合性を提供することが望まれるならば、シリンジの末端部の自由端の外径およびそのコニシティ(conicity)が、標準(標準ISO594/1 86およびISO594/2 98参照)によって課される。また、最終的には、一方では末端部の製造作業におよび他方では例えば6%ルアー雌型円錐形組立品のような円錐形組立品への前記末端部の挿入に、壁を破壊することなく耐えるために、壁が適切な抵抗を提供することを保証するのに十分であるそれを形成する壁の厚さを末端部が有する必要性によって、軸方向通路の直径は制限される。この末端部の壁の破損の問題は、シリンジおよび末端部を製造するために使用される材料がガラスのような壊れやすい材料から選択される場合に、なおさら重要である。
【0009】
さらに、もし医療用液体がシリンジから別の器具にコネクタによって輸送される場合は、「デッドボリューム」と呼ばれるものを構成する、医療用液体の輸送後に末端部に残存する医療用液体の体積は、一方では、医療用液体の損失を最小限にし、および他方では、投与される医療用液体の体積の精度の理由のために、できるだけ小さくあるべきである。
【0010】
本発明の対象は、内部カニューレを含むコネクタに関して見られる適合性の問題を解決することを可能にする末端部を有するシリンジである。また、好ましくは、本発明に従うシリンジは、円錐形組立品コネクタとの適合性の問題を解決することを可能にする。また、本発明のシリンジは、例えばかん流器具への接続の間、特に緊急事態において、必ずしもすぐに利用可能であるとは限らず、付加的な取扱いステップを加え、および医療設備のデッドボリュームを増大させる付加的なカップリングの使用を回避することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシリンジは、末端部の軸方向通路のデッドボリュームを低減させることを可能にする末端部を有する。
【0012】
本発明の1つの態様は、液体を含有するための貯蔵部を画定し、および縦軸Aを有する末端部を含むシリンジであり、前記末端部は、前記縦軸Aに整列しおよび前記液体の輸送のための通路を提供するチャンネルを包含し、前記チャンネルは、少なくとも2つの部分、第1部分および第2部分を含み、前記第1部分は、末端部の自由遠位端から貯蔵部の方向に伸び、および前記第2部分は、チャンネルの第1部分と末端部の近位端との間に伸びおよび前記第1部分を貯蔵部に接続し、前記第1部分は、前記第2部分の平均直径よりも大きい平均直径を有し、前記第1および第2部分のそれぞれは、円筒の形状を有することを特徴とする。
本明細書において、「平均直径」は、一部の一定の長さにわたっていくつかの横断面を取ることによって測定された多様な直径の平均値から得られる直径を意味する。
【0013】
本明細書において、「直径」は、一部の測定された横断面に対応する直径を意味する。
【0014】
従って、本明細書において、第1部分および第2部分のそれぞれは、一定の長さを有する。各部分に関して、直径は、前記部分の長さにわたって、例えば使用された材料または使用された製造方法に従って、わずかに変動することができる。各部分に関して、平均直径は、前記部分の長さにわたって測定することができる多様な直径の平均値に相当する。各部分は、円筒の形状を有する:換言すれば、各部分に関して、平均直径は実質的に一定である。そのような円筒状部分は、通路を通って放出されるときの医療用液体のよりよい流れ、容易な製造、円筒の形状を有する内部カニューレを含むコネクタとの適切な接続およびデッドボリュームの低減を可能にする。本発明に従うシリンジの末端部のチャンネルの第1部分は、コネクタとの前記シリンジの組立品の適合性を与えることを可能にし、同時に、シリンジの末端部のチャンネルの第2部分は、末端部に、前記末端部が円錐形組立品、例えば雌型6%ルアー円錐形組立品に挿入されるときに破損を防止するのに十分な強度を与える。
本発明の1つの実施形態において、前記第1部分は、無針コネクタシステム、特に、特許文献1に記載されているようなClave(登録商標)タイプの無針コネクタシステムを搭載するのに適切である。
【0015】
また、有利には、遷移帯(transition zone)が、前記第1部分と前記第2部分とを接続し、前記遷移帯は、0よりも大きい前記末端部の縦軸Aに沿った長さを有し、前記遷移帯の直径は、前記長さに沿って、前記第1部分の平均直径および前記第2部分の平均直径によって画定される範囲内で変動する。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、遷移帯は、部分的に球状の形状を有する。本発明の別の実施形態において、遷移帯は、フルストコニカル形状を有する。そのような部分的に球状の形状またはフルストコニカル形状は、末端部の強度を最適化し、およびデッドボリュームを低減させることを可能にする利点を有する。さらに、そのような形状は、また、特に末端部がガラスのような壊れやすい材料製である場合に、製造方法を容易にすることを可能にする。
【0017】
本発明に従うシリンジの1つの実施形態において、末端部の外部形状は、ルアータイプのコネクタに適合する。特に、本発明に従うシリンジの末端部の外部形状は、円錐形であってもよい。例えば、末端部の外部形状は、6%のコニシティを有するルアータイプコネクタに適合するために、6%のコニシティを有していてもよい。末端部のそのような外部形状は、本発明に従うシリンジの、円錐形組立品を介して組み立てられることを意図される他の医療器具との適合性を保証することを可能にする。
【0018】
従って、好ましくは、本発明に従うシリンジの末端部は、その縦軸Aに対する回転対称性を有する。末端部の近位端の外径は、次いで、有利には、4.30から4.50mmの範囲内にあってもよい。末端部の遠位端の外径は、有利には、3.90から4.10mmの範囲内にあってもよい。チャンネルの第2部分の平均直径は、1.00から1.30mmの範囲内にあってもよい。チャンネルの第1部分の平均直径は、1.60から1.90mmの範囲内にあってもよい。末端部の縦軸Aに沿ったチャンネルの第1部分の長さは、5.60から7.00mmの範囲内にあってもよい。遷移帯の長さは、0.30から2.00mmの範囲内にあってもよい。本段落において言及された寸法の少なくとも1つ、好ましくはすべての寸法を有する本発明に従うシリンジの末端部は、安全で、迅速で、単純で、効率的な組立のために特に有用および適切であり、破損、または、例えば6%のコニシティのルアーコネクタのような、円錐形組立品を備えるルアータイプコネクタを含む器具、および/または、例えばClave(登録商標)コネクタのような、無針タイプコネクタを含む器具との不適合性のリスクを伴わない。
【0019】
ある種の医療用液体の保存は、シリンジに使用される材料に拘束を強いる可能性がある。例えば、医療用液体は大きな安定性を必要とするので、ガラスを使用することが好ましい。ガラスのような材料は、シリンジ中に、もしプラスチックのシリンジ中にそれらが保存されていたならばそれらの安定性および/または完全性が危うくされていたであろう特定の医療用液体を保存することを可能にする。従って、ガラスは、特に、事前充填されたシリンジの場合に有利である。しかしながら、ガラスは、脆くて容易に壊れるという不利点を有する。
【0020】
本発明に従うシリンジは、その末端部の特定の構造のために、もしシリンジおよびその末端部がガラスを材料とする単一部品に構成されていたとしても、前記末端部の破損のリスクを伴わずに、ルアータイプのコネクタ、またはClave(登録商標)タイプの無針コネクタとの確実で効率的な接続を生み出すことを可能にする。
【0021】
従って、本発明の1つの実施形態において、シリンジおよび末端部は、ガラスを材料とする単一部品に構成されている。例えば、ガラスはホウケイ酸ガラスであってもよい。
【0022】
また、さらに、ガラスのような材料は、例えば蒸気またはエチレンオキシド滅菌のような厳しい滅菌処理に対して安定であるシリンジを製造することを可能にする。また、本発明に従うシリンジ末端部は、特にシリンジおよび末端部がガラス製である場合、ルアーロックアダプターを前記末端部に対して組み立てるのに適切な円形の溝を含んでいてもよく、前記円形の溝は、末端部の近位端とチャンネルの遷移帯との間の末端部の外表面に位置付けられる。次いで、有利には、シリンジは、ルアーロックアダプターが備え付けられていてもよい。
【0023】
例えば、前記円形の溝は、前記円形の溝の近位端および遠位端を画定する末端部の縦軸Aに沿った長さを有し、円形の溝の遠位端は、末端部の自由遠位端から少なくとも7.50mmの距離に位置付けられる。従って、例えば、本発明に従うシリンジにルアーロックアダプターを備え付けることが可能である。
【0024】
別の実施形態において、シリンジおよびその末端部は、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンコポリマー(COC)およびそれらのブレンドから選択されるポリマー製である。そのようなポリマー材料は、より簡単な成形に役立つ。
【0025】
本発明に従うシリンジは、事前充填されていてもよい。
【0026】
本発明およびこれから生じる利点は、添付図面を参照して、以下に示す発明の詳細な説明から明確に分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】特許文献1に記載されるもののような内部カニューレを含むコネクタに使用者が挿入しようと試みる、先行技術のシリンジおよびその末端部の部分横断面を示す図である。
【図1b】特許文献1に記載されるもののような内部カニューレを含むコネクタに使用者が挿入しようと試みる、先行技術のシリンジおよびその末端部の部分横断面を示す図である。
【図2】本発明に従うシリンジの末端部の側面図である。
【図3】図1に示されるようなコネクタに搭載された図2のシリンジの末端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aは、例えば、折り畳み式(retractable)シール6によって被覆された内部カニューレ5を有するClave(登録商標)タイプの無針コネクタ4の雌型円錐形組立品3に使用者が末端部1を挿入しようと試みている先行技術のシリンジ2の末端部1を示す。先行技術のシリンジ2の末端部1は、末端部1の縦軸に対してダクト7の全長にわたって同一の横断面を有するダクト7の形態の軸方向通路を含む。内部カニューレ5の円錐形形状および末端部1のダクト7の単一直径は、例えばシリンジ2の貯蔵部8に含有される医療用液体が内部カニューレ5に配列された開口部9を介して組立品を通って移動するのを可能にするために内部カニューレ5が前記ダクト7に十分に入ることを妨げる。先行技術のシリンジ2およびその末端部1は、従って、コネクタ4と不適合である。先行技術のシリンジ2およびコネクタ4からなる組立品は、従って、使用できず、および医療用液体の投与を不可能にする。
【0029】
図1bは、その内径はコネクタ4のカニューレ5を受け入れることを可能にしない末端部1を有するダクト7を含む先行技術の別のシリンジ2を示す:このカニューレ5は、ダクト7に全く入らない:シリンジ2およびコネクタ4間の接続は不可能である。
図2は、縦軸Aを有する末端部10を含む、液体、例えば医療用液体を含有するための貯蔵部21(部分的に示される)を画定する、本発明に従うシリンジ20(図中、部分的に示される)を示す。末端部10は、縦軸Aに沿って整列するチャンネル11を包含し、シリンジ20から排出されるかまたはシリンジ20に注入されるべき液体の輸送のための末端部10の遠位端14に向かう通路を提供する。チャンネル11は、示される例において、2つの部分、第1部分12および第2部分13を含む。前記第1部分12は、末端部10の自由遠位端14から本発明に従うシリンジ20の貯蔵部21の方向に伸びる。この部分12は、例えば、例えば図1に示されるもののような無針コネクタシステム4の搭載に適合している。前記第2部分13は、チャンネル11の第1部分12と末端部10の近位端15との間に伸び、同時に前記第1部分12を貯蔵部21と接続し、前記第1部分12は、前記第2部分13の平均直径D2よりも大きい平均直径D1を有する。図2に見られるように、各部分(12、13)は、円筒の形状を有する。換言すれば、各部分、すなわち、第1部分12および第2部分13のそれぞれに関して、平均直径D1およびD2のそれぞれは、実質的に一定である。加えて、示される例において、第1および第2部分(12、13)は、末端部10の縦軸Aに沿ったノンゼロ長さを有する遷移帯16を介して接続されている。この図に見られるように、遷移帯16の直径D3は、その長さに沿って、前記第1部分12の平均直径および前記第2部分13の平均直径によって画定される範囲内で変動する。図2に示される例において、遷移帯16は、フルストコニカル形状を有する。別の実施形態において、不図示であるが、遷移帯16は、部分的に球状の形状を有する。部分的に球状またはフルストコニカルであるそのような形状は、末端部10の強度を、特にその壁17で、より正確には後者がガラス製である場合に、強化する利点を有する。また、そのような形状は、示される例において第1および第2部分(12、13)ならびに遷移帯16によって表される体積に相当するデッドボリュームを低減させることを可能にする。また、さらに、そのような形状は、特に末端部10がガラスのような壊れやすい材料製である場合に、製造方法を容易にすることを可能にする。
【0030】
図2に示される末端部10は、好ましくは、その縦軸Aに対する回転対称性を有する;そのような場合において、末端部10は、好ましくは、以下の寸法のうちの少なくとも1つを有する:
・a)末端部10の近位端の外径は、4.30から4.50mmの範囲内にある、
・b)末端部10の自由遠位端14の外径は、3.90から4.10mmの範囲内にある、
・c)チャンネル11の第2部分13の平均直径は、1.00から1.30mmの範囲内にある、
・d)チャンネル11の第1部分12の平均直径は、1.60から1.90mmの範囲内にある、
・e)末端部10の縦軸Aに沿ったチャンネル11の第1部分12の長さは、5.60から7.00mmの範囲内にある、
・f)遷移帯16は、0.30から2.00mmの範囲内にある縦軸に沿った長さを有する、
・g)末端部の外部形状は、6%のコニシティを有する。
【0031】
上に特定した寸法の少なくとも1つ、好ましくはすべての寸法を有する本発明に従うシリンジの末端部は、安全で、迅速で、単純で、効率的な組立品のために、特に有用および適切であり、破損、または、例えば6%のコニシティのルアーコネクタのような円錐形組立品ルアータイプコネクタを含む器具および/または例えばClave(登録商標)コネクタのような無針タイプコネクタを含む器具との不適合性のリスクを伴わない。
【0032】
例えば、特徴a)およびc)を組み合わせて有する本発明に従うシリンジの末端部は、たとえもし後者がガラス製であったとしても、末端部の壁の優れた強度およびデッドボリュームの低減を得ることを可能にする。
【0033】
例えば、特徴b)、d)、e)およびg)を有する本発明に従うシリンジの末端部は、特に、すべてのタイプのコネクタ、例えばルアーコネクタおよびClave(登録商標)コネクタに適合する。
【0034】
1つの実施形態において、シリンジおよび末端部は、ガラス、例えばホウケイ酸ガラスの単一部品に構成される。
【0035】
本発明に従うシリンジの末端部は、図2に示されるように、ルアーロックアダプターを前記末端部10に組み立てるのに適切な円形の溝18を含んでいてもよく(図3参照)、前記円形の溝18は、末端部10の近位端15とチャンネル11の遷移帯16との間の前記末端部10の外表面に位置付けられる。
【0036】
円形の溝18は、従って、前記壁17を弱体化させるのを防止するために、 末端部の縦軸Aに沿って遷移帯16に対してオフセットされる。例えば、前記円形の溝18は、前記円形の溝の近位端18aおよび遠位端18bを画定する末端部10の縦軸Aに沿った長さを有し、および円形の溝18の遠位端18bは、次いで、末端部10の自由端14から少なくとも7.50mmの距離に位置付けられる。そのような末端部10は、たとえもしこの末端部10がガラス製であったとしても、ルアータイプコネクタとの接続のために特に適切である。
【0037】
本発明の別の実施形態において、末端部10は、ポリカーボネート製であってもよい。
【0038】
本発明に従うシリンジの末端部10は、ガラス、より具体的にはホウケイ酸ガラスのような壊れやすい材料製のシリンジに関して見られる問題を解決するために、特に有利である。具体的には、ガラスシリンジの固有の脆性の問題にかかわらず、後者は、しばしば、それが含有する医療用流体および薬のより良い保存を可能にする。従って、事前充填されたガラスシリンジを作成することが望ましい。この場合、本発明に従うシリンジは、このタイプのシリンジによって引き起こされる問題を解決するために、特に適切である。最終的には、ガラスシリンジは、例えば滅菌ガスを用いて、より容易に除染することが可能である。
【0039】
好ましくは、末端部10の外部形状は、ルアータイプコネクタとの接続に適合し、例えば、本発明に従うシリンジの末端部10は、特に、ルアー6%円錐形組立品を定義する標準によって強いられる寸法に従う。
【0040】
図3は、図1に示されるもののようなコネクタ4に搭載された、図2のシリンジ20(部分的に示される)およびその末端部10を示す。チャンネル11の第1部分12の平均直径は、第2部分13のそれよりも大きく、それは、コネクタ4の内部カニューレ5が末端部10のチャンネル11に正確に入ることを可能にし、および従って、医療用液体が、末端部10の破損のリスクを冒すことなく、末端部10の壁17と内部カニューレ5との間にリリースされた中間空間19の中の内部カニューレ5の窓9を通って移動することを可能にする。具体的には、第2部分13はより狭い横断面を有し、それは、壁17の厚さを増大させ、および従って、末端部10を全体的に強化することを可能にする。加えて、第2部分13のそのようなより狭い横断面は、第2部分13および遷移帯16の体積に加えられた中間空間19の体積に相当する組立品のデッドボリュームを低減させることを可能にする。
【0041】
末端部10の自由端14は、折り畳み式シール6を圧迫する。本発明の1つの実施形態において、末端部10の前記自由端14の表面は、好ましくは、実質的に平滑である。そのような構造は、末端部10およびコネクタ4によって形成された組立品の正確なシールを保証することを可能にする。
【0042】
従って、図3に示されるように、本発明に従うシリンジおよびその末端部は、安全で、単純で、効率的な方法で、Clave(登録商標)タイプの無針コネクタを備える前記シリンジの組立品、およびルアータイプのコネクタまたはルアーロックタイプのアダプターを備えるこの同一のシリンジの組立品を製造すること、およびたとえもしシリンジおよびその末端部がガラスのような壊れやすい材料の単一部品に構成されていたとしても、そうすることを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含有するための貯蔵部(21)を画定し、および縦軸Aを有する末端部(10)を含むシリンジ(20)であって、前記末端部(10)は、前記縦軸Aに整列しおよび前記液体の輸送のための通路を提供するチャンネル(11)を包含し、前記チャンネル(11)は、少なくとも2つの部分、第1部分(12)および第2部分(13)を含み、前記第1部分(12)は、末端部(10)の自由遠位端(14)から貯蔵部(21)の方向に伸び、および前記第2部分(13)は、チャンネル(11)の第1部分(12)と末端部(10)の近位端との間に伸び、および前記第1部分(12)を貯蔵部(21)と接続し、前記第1部分(12)は、前記第2部分(13)の平均直径よりも大きい平均直径を有し、前記第1および第2部分のそれぞれは、円筒の形状を有することを特徴とするシリンジ(20)。
【請求項2】
前記第1部分(12)は、無針コネクタシステム(4)を搭載するのに適切であることを特徴とする請求項1に記載のシリンジ(20)。
【請求項3】
さらに、遷移帯(16)は、前記第1部分(12)と前記第2部分(13)とを接続し、前記遷移帯(16)は、0よりも大きい前記末端部(10)の縦軸Aに沿った長さを有し、前記遷移帯(16)の直径は、前記長さに沿って、前記第1部分(12)の平均直径および前記第2部分(13)の平均直径によって画定される範囲内で変動することを特徴とする請求項1または2に記載のシリンジ(20)。
【請求項4】
遷移帯(16)は、部分的に球状の形状を有することを特徴とする請求項3に記載のシリンジ(20)。
【請求項5】
遷移帯(16)はフルストコニカル形状を有することを特徴とする請求項3に記載のシリンジ(20)。
【請求項6】
末端部(10)の外部形状は、ルアータイプのコネクタに適合することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項7】
前記末端部(10)は、その縦軸Aに対して回転対称性を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項8】
末端部(10)の近位端の外径は、4.30から4.50mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項9】
末端部(10)の遠位端(14)の外径は、3.90から4.10mmの範囲内にあることを特徴とする請求項7または8に記載のシリンジ(20)。
【請求項10】
チャンネル(11)の第2部分(13)の平均直径は、1.00から1.30mmの範囲内にあることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項11】
チャンネル(11)の第1部分(12)の平均直径は、1.60から1.90mmの範囲内にあることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項12】
末端部(10)の縦軸Aに沿ったチャンネル(11)の第1部分(12)の長さは、5.60から7.00mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項13】
遷移帯(16)は、0.30から2.00mmの範囲内にある縦軸に沿った長さを有することを特徴とする請求項3から12のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項14】
シリンジ(20)および末端部(10)は、ガラスを材料とする単一部品に構成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項15】
前記ガラスはホウケイ酸ガラスであることを特徴とする請求項14に記載のシリンジ(20)。
【請求項16】
シリンジ(20)および末端部(10)は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、およびそれらのブレンドから選択されるポリマーの単一部品に形成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項17】
前記ポリマーは、ポリカーボネートであることを特徴とする請求項16に記載のシリンジ(20)。
【請求項18】
さらに、末端部(10)は、ルアーロックアダプターを前記末端部(10)に組み立てるのに適切な円形の溝(18)をさらに含み、前記円形の溝(18)は、末端部(10)の近位端(15)とチャンネル(11)の遷移帯(16)との間の前記末端部(10)の外表面に位置付けられていることを特徴とする請求項3から17のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項19】
前記円形の溝(18)は、前記円形の溝(18)の近位端(18a)および遠位端(18b)を画定する、末端部(10)の縦軸Aに沿った長さを有し、円形の溝(18)の遠位端(18b)は、末端部(10)の自由遠位端(14)から少なくとも7.50mmの距離に位置付けられていることを特徴とする請求項18に記載のシリンジ(20)。
【請求項20】
末端部(10)は、ルアーロック末端部であることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項21】
シリンジ(20)は、ルアーロックアダプターが備え付けられていることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。
【請求項22】
シリンジ(20)は事前充填されていることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載のシリンジ(20)。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−521693(P2011−521693A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511108(P2011−511108)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006075
【国際公開番号】WO2009/144583
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(310021434)ベクトン ディキンソン フランス (21)
【Fターム(参考)】