説明

ユリ科ハナスゲANEMARRHENAASPHODELOIDESBGE.のエストロゲン抽出物及びその使用

ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.のエストロゲン抽出物が提供される。また、特にヒト、例えば女性においてエストロゲン作用を達成するために前記抽出物を使用する方法が提供される。幾つかの実施形態において、前記方法は、更年期症状の治療を含む。幾つかの実施形態において、前記方法は、エストロゲン受容体陽性癌、例えばエストロゲン反応性乳癌の治療を含む。幾つかの実施形態において、前記方法は、骨粗鬆症の治療及び予防を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出物組成物に関し、さらに詳しくはユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.に属する植物種の抽出物を含有する組成物に関する。また、本発明は、このような植物抽出物組成物を使用する方法及び調製する方法に関する。
(相互参照及び優先権主張)
【0002】
本出願は、2008年4月11日付け出願の米国特許仮出願第61/044,405号から米国特許法35U.S.C.§119(e)の優先権の利益を主張し、前記米国特許仮出願は、その全体を参照することにより本明細書において援用される。
【背景技術】
【0003】
ホルモン補充療法(HRT)は、種々様々な疾患、例えば骨粗鬆症、閉経後の女性の心臓血管疾患のリスクの上昇及び更年期症状、例えばほてり、性欲減退及びうつ病を治療するのに首尾よく使用されている。しかし、エストラジオール(E)を単独で用いるか又はプロゲスチンと組み合わせて用いるHRTは、望ましくない効果をもたらすことがある。実際に、最近のウィメンズ・ヘルス・イニシアチブ〔Women’s Health Initiative(WHI)〕試験が、予備段階結果がHRTは乳癌の35%のリスク上昇に関連していることを示した際に、突然に中止された。
【0004】
乳癌は、いわゆる選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばタモキシフェンを使用することによって治療又は予防することできる。(タモキシフェンの承認前は、閉経前の女性の乳癌治療は、多くの場合、エストロゲンの癌刺激作用を低下させるために卵巣を摘出することを含んでいた。)タモキシフェンは、閉経前の女性の乳房組織においてエストロゲンの癌誘発作用を選択的に阻害すると思われる。別のSERMであるラロキシフェンは、エストロゲン補充の代替として骨粗鬆症の治療について承認されている。また、ラロキシフェンの長期投与は、骨組織でエストロゲン作用を選択的に誘導する他に、ラロキシフェンの多様効果〔Multiple Outcomes of raloxifene Evaluation(MORE)〕試験において乳癌の罹患率の減少に関連することも明らかにされている。
【0005】
SERM、例えばタモキシフェン及びラロキシフェンは、乳房でのエストロゲンの癌誘発作用の選択的低下を提供するが、これらはリスクがないわけではない。例えば、タモキシフェン療法及びラロキシフェン療法の両方は、ほてりの発生率の上昇に関連しており、またタモキシフェン療法は、子宮(子宮内膜)癌のリスクを上昇させることが明らかにされている。
【0006】
骨粗鬆症、管動脈性心疾患及び更年期症状の治療でのエストロゲン補充療法の成功、並びに乳癌及び骨粗鬆症の治療でのタモキシフェン及びラロキシフェンのようなSERMの成功にもかかわらず、エストロゲン特性を有する組成物の必要性が未だにある。さらに、薬剤化合物の製造コストの上昇を仮定すれば、おそらく天然源から得られるさらなるエストロゲン組成物の必要性がある。
【0007】
ユリ科ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の種々の栽培品種が、中国の湖南省、湖北省、福建省、江蘇省、浙江省及び江西省で栽培されている。種子の乾燥未熟(green)胚が秋に採取される。これは、きれいに洗浄され、乾燥される。
【0008】
エストロゲン組成物としてユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物を使用することについての報告は、知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、エストロゲン受容体に関連した1つ又はそれ以上の病状の治療に有用なエストロゲン組成物の必要性を確認した。また、本発明者は、前記組成物を投与された患者がエストロゲン受容体に関連した別の病状を患うリスク又は可能性を上昇させないエストロゲン組成物の必要性も確認している。本発明者は、同様に、1つ又はそれ以上のエストロゲン受容体介在病状のリスクを減らし、さらに同時に別のエストロゲン受容体介在病状を治療するエストロゲン組成物の必要性を認識している。本発明者はまた、天然源から容易に得られるエストロゲン組成物の必要性、及びこのようなエストロゲン組成物を調製する方法及び使用する方法の必要性も確認している。本明細書の開示は、このような必要性を満たし、また関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示される実施形態は、ユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の植物種の抽出物を含有する植物抽出物組成物を提供する。
【0011】
本明細書に開示される幾つかの実施形態は、医薬の製造に使用するためのユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の植物種の抽出物を含有する組成物を提供する。幾つかの実施形態において、前記医薬は、エストロゲン作用をもつ。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防すること;骨粗鬆症を治療又は予防すること;子宮癌を治療又は予防すること;及び心臓血管疾患を治療又は予防すること;からなる群から選択される少なくとも1つの作用である。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁、頭痛及びうつ病を治療又は予防することからなる群から選択される少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、骨粗鬆症を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、ほてりを治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、子宮癌又は乳癌を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを低下させることを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを低下させることを含む。幾つかの実施形態において、前記医薬は、閉経の1つ又はそれ以上の症状、例えばほてりを治療するのに有効であり、癌、具体的には乳癌のリスクを上昇させない。
【0012】
本明細書において提供される幾つかの実施形態は、医薬を製造するためのユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodelmdes Bge.の植物種の抽出物を含有する組成物の使用を提供する。幾つかの実施形態において、前記医薬はエストロゲン作用をもつ。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防すること、骨粗鬆症を治療又は予防すること、子宮癌を治療又は予防すること、及び心臓血管疾患を治療又は予防すること、からなる群から選択される少なくとも1つの作用である。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁、頭痛及びうつ病からなる群から選択される少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、骨粗鬆症を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、ほてりを治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、子宮癌又は乳癌を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを低下させることを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを低下させることを含む。幾つかの実施形態において、前記組成物は、閉経の1つ又はそれ以上の症状、例えばほてりを治療するのに有効であり、癌、具体的には乳癌のリスクを上昇させない。
【0013】
本明細書に開示される別の実施形態は、被検体においてエストロゲン作用を誘発させる方法を提供する。前記方法は、エストロゲン有効量の、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物を含有するエストロゲン組成物を被検体に投与することを含む。幾つかの実施形態において、前記組成物は、閉経の1つ又はそれ以上の症状、例えばほてりを治療するのに有効であり、癌、具体的には乳癌のリスクを上昇させない。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防すること;骨粗鬆症を治療又は予防すること;子宮癌を治療又は予防すること;及び心臓血管疾患を治療又は予防すること;からなる群から選択される少なくとも1つの作用である。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁、頭痛及びうつ病からなる群から選択される少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、骨粗鬆症を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、ほてりを治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、子宮癌又は乳癌を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを低下させることを含む。幾つかの実施形態において、前記エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを低下させることを含む。
【0014】
本明細書に開示されるさらなる実施形態は、エストロゲン応答要素(ERE)を活性化させる方法を提供する。この方法は、エストロゲン応答要素の制御下の遺伝子と、エストロゲン受容体との両方を有する細胞を、ERと前記エストロゲン応答要素との相互作用によって遺伝子を活性化させるのに有効な量の本発明のユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.抽出物組成物と接触させることを含む。
【0015】
本明細書に開示されるさらなる実施形態は、腫瘍壊死因子応答要素(TNF RE)の制御下で遺伝子を抑制する方法を提供する。この方法は、遺伝子に操作により連結されたTNF応答要素(TNF RE)を有する細胞に、腫瘍壊死因子の発現を抑制するのに有効な量の、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物を含有する組成物を投与することを含む。幾つかの実施形態において、前記遺伝子は、TNF−αである。別の実施形態では、前記遺伝子は、レポーター遺伝子である。
【0016】
本明細書に開示されるさらなる実施形態は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物を調製する方法を提供する。この方法は、ユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の植物から植物物質を得ることから開始する。この方法は、ユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の植物種由来の植物物質を、抽出液を形成するのに適した条件下で、抽出媒体と接触させることを続ける。次いで、この方法は、植物物質から抽出液(場合により濃縮又は希釈される)を分離し、それによって抽出物を形成することを提供する。抽出液は、濃縮される場合には、濃縮物又は固形残留物(残留物)であることができる。濃縮されるか否かに関わらず、抽出液、濃縮物及び残留物は、まとめて「抽出物」という。
【0017】
現在、ほてりについて癌のリスクを上昇させない有効な治療法はない。また、ER関連癌の治療に有効な治療薬タモキシフェン及びラロキシフェンは、ほてりの頻度及び重症度の上昇に関連する。
文献の援用
【0018】
本明細書に述べた全ての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照することにより援用されることが具体的に及び個々に示されているかのように同じ程度に参照することより本明細書において援用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の新規な特徴を、特に添付の特許請求の範囲に記載する。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を示す以下の詳細な説明、及び以下の添付図面を参照することにより得られるであろう:
【図1】エストロゲン受容体α(ERα)、エストロゲン受容体β(ERβ)のいずれか又はその両方の存在下でのエストラジオール(E)の濃度変化に応じた、最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーターと、ルシフェラーゼ(Luc)をコードする配列とに連結されたエストロゲン応答要素をコードするDNAを用いて形質転換されたU937(ヒト単球)細胞でのルシフェラーゼ発現のグラフである。ERβは、Eの存在下で、EREに対してERαよりもはるかに小さい刺激効果を有する。
【図2】エストロゲン受容体α(ERα)、エストロゲン受容体β(ERβ)のいずれか又はその両方の存在下でのエストラジオール(E)の濃度の変化に応じた、最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーターと、ルシフェラーゼ(Luc)をコードする配列とに連結されたエストロゲン応答要素をコードするDNAを用いて形質転換されたMDA−MB−435(ヒト転移性乳癌)細胞でのルシフェラーゼ発現のグラフである。ERβは、Eの存在下で、EREに対してERαよりもはるかに小さい刺激効果を有する。以外にも、ERαとERβがこの細胞株で同時発現されると、ERβの発現は、Eの存在下でERαのERE刺激効果を大きく低下させる。
【図3】エストロゲン受容体α(ERα)、エストロゲン受容体β(ERβ)のいずれかの存在下でのエストラジオール(E)の濃度の変化に応じた、最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーターと、ルシフェラーゼ(Luc)をコードする配列とに連結されたエストロゲン応答要素をコードするDNAを用いて形質転換されたU2OS(ヒト骨肉腫)細胞でのルシフェラーゼ発現のグラフである。EはERαとERβの両方を共にEREに対して刺激効果を有するが、ERβの存在下でのE介在刺激は、10−9〜10−8モル(M)のE濃度でERαの存在下でのE介在刺激よりもはるかに大きい。
【図4】エストロゲン受容体α(ERα)又はエストロゲン受容体β(ERβ)の存在下でのHerb16(ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.)の量の変化に応じた、最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーターと、ルシフェラーゼ(Luc)をコードする配列とに連結されたエストロゲン応答要素をコードするDNAを用いて形質転換されたU2OS(ヒト骨肉腫)細胞でのルシフェラーゼ発現のグラフである。Herb16は、ERαの存在下よりもERβの存在下でEREに対して大きい刺激効果を有する。従って、Herb16はERβ選択性薬物であると思われる。
【図5】エストロゲン受容体β(ERβ)の存在下での対照(水)、Herb16(ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.)、Herb16+ICI 182780、Herb16+ラロキシフェン、Herb16+タモキシフェンに応じた、最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーターと、ルシフェラーゼ(Luc)をコードする配列とに連結されたエストロゲン応答要素をコードするDNAを用いて形質転換されたU2OS(ヒト骨肉腫)細胞でのルシフェラーゼ発現のグラフである。Herb16は、tkプロモーターを介してERE介在発現を刺激する。この活性は、ERβ選択性抗エストロゲンICI 182780、ラロキシフェン及びタモキシフェンによって中和される。
【図6】MCF−7細胞に対するEとHerb16(ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.)との増殖刺激効果を比較するグラフである。MCF−7ヒト乳癌細胞のH−チミジンの取り込みは、チミジンがDNA複製中にDNAに取り込まれることから、細胞増殖に対するE及びHerb16の効果のモデルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に開示される実施形態は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.と呼ばれる植物の分類学上の種の抽出物を含有する植物抽出物組成物を提供する。本明細書に開示される別の実施形態は、本発明の組成物を使用するエストロゲン法(estrogenic method)を提供する。このようなエストロゲン法は、生体内(in vivo)法及び生体外(in vitro)法を含む。前記エストロゲン組成物は、エストラジオール(E)及びエストロゲン受容体(ER)によってエストロゲン応答要素(ERE)の制御下で遺伝子の活性化に拮抗する能力を有する。従って、適当な生体内法は、遺伝子発現のE刺激による活性化の拮抗作用に応答する医学適応症の治療及び/又は予防を含む。適当な生体外法は、エストロゲン応答要素(ERE)の制御下で遺伝子を活性化する方法及び腫瘍壊死因子応答要素(TNF RE)の制御下で遺伝子の発現を抑制する方法での使用を含む。本明細書に開示されるさらなる実施形態は、本発明の抽出物を調製する方法を提供する。
【0021】
乳房新生物は、女性において診断される最も一般的な癌である。2000年には、184,000件の乳癌の新しい症例が診断され、45,000人の女性が乳癌で亡くなった。乳癌の原因はおそらくは多数の因子によると思われるが、エストロゲン類が乳癌を促進していることを示唆する切実な臨床的、疫学的及び生物学的な研究が存在する:(a)ホルモン補充療法(HRT)は、51例の研究のメタ分析により乳癌のリスクの35%上昇に関連している;(b)乳癌は、タモキシフェン又はラロキシフェン(これらは、ERに結合し、乳房細胞におけるエストロゲン類の作用に拮抗する)によって予防することができる;(c)乳癌を患う閉経前の女性の両側の卵巣摘出は、生存率の上昇をもたらす;(d)エストロゲン類に対する曝露が多いほど(早い初潮又は遅い閉経、それぞれ相対リスク=1.3及び1.5〜2.0である)乳癌の発症率を上昇させる;(e)エストロゲン類は、ER陽性の乳癌細胞の増殖を増大させる;及び(f)エストロゲン類は、増殖促進遺伝子、例えばサイクリンD1、c−myc、c−fosの産生を高める。
【0022】
乳房腫瘍の約60〜70%は、エストロゲン受容体を含んでいる。この数十年間、乳房腫瘍は、ERの存在について分析されている。ER+腫瘍の約70%は、抗エストロゲン療法に反応する。この観察は、ER+腫瘍が、ER陰性腫瘍よりもより良い予後を有するという見解をもたらしている。しかし、ERβの発見は、これらの解釈を複雑にし、幾つかの重要な臨床上の問題を提起している。ERαとERβの役割を理解することは、最も重要である。なぜならば、腫瘍がER+であるか否かを決定する現在の方法は、ERαのみを検出する抗体を使用しているからである。従って、臨床結果に対する乳房腫瘍におけるERの効果を調べる研究の大部分は、ERαの状態のみを反映している。しかし、幾つかの最近の研究は、ヒト乳房腫瘍中のERβ mRNAの存在を検出している。これらの研究の大部分は、ERβに対する特異的で感受性の抗体がないことから、ERβを測定するのにRT−PCRに依存している。Dotzlawらは、RT−PCRで乳房腫瘍生検内のERβを最初に検出した。彼らは、乳房腫瘍の70%がERβを発現し、90%がERαを発現することを見出した。また、彼らは、数種のER陰性細胞株もまた、ERβ mRNAを発現することも実証した。これらの発見は、ERβが乳房腫瘍で高度に発現されること、及びERαとERβの両方が多数の腫瘍で同時に発現されることが多いことを示唆する。実際に、幾つかのER腫瘍は、ERβを含んでいる。Dotzlawらはまた、ERβ mRNAが、ER+/PR+腫瘍と比べてER+/PR−(PRは、プロゲスチン受容体である)腫瘍において著しく少ないことも明らかにした。この著者らは、ER+/PR+腫瘍はおそらくタモキシフェンに反応すると思われることから、この観察結果は、ERβの発現が予後不良に関連することを示すことを示唆した。他の研究は、ERβの存在が予後不良に関連することを示唆している。Speirsらは、大部分の乳房腫瘍がERβ mRNAを単独で発現するか又はERα mRNAと一緒に発現することを見出した。ERα mRNAとERβ mRNAの両方を発現するこれらの腫瘍は、陽性リンパ節に関連し、より高いグレードの腫瘍として特徴付けられる傾向にあった。また、高められたERβの発現は、化学発癌物質で処理されたMCF−10F細胞で生じ、ERβの発現が乳癌の開始と進行に寄与するであろうということを示唆している。最近、Jensenらは、免疫組織化学(IHC)により29種の浸潤性乳房腫瘍でERβの発現を分析した。彼らは、ERβの発現が細胞増殖の特異的マーカーであるKi67及びサイクリンAの上昇に関連していることを見出した。さらに、これらの増殖マーカーの最も高い発現は、ERα+/ERβ+腫瘍に存在した。ERα−/ERβ+の症例の数は極めて少なかった(n=7)が、この著者らは、ERβが乳房腫瘍における細胞増殖に介在することを示唆した。Speirsらはまた、ERβ mRNAが、タモキシフェン感受性腫瘍に比べてタモキシフェン耐性腫瘍において著しく高められることを報告した。
【0023】
それに比べて、他の研究は、ERβの存在が良好な予後を与えることを示している。Iwaoらは、乳房腫瘍が前浸潤腫瘍から浸潤腫瘍に進行するにつれて、ERα mRNAがアップレギュートされ、ERβ mRNAがダウンレギュレートされることを実証した。Jarvinenらは、凍結腫瘍切片のIHCを使用して、ERβの発現が陰性腋窩リンパ節状態、低グレード及び低S期分画に関連していることを見出した。Omotoらによる研究もまた、ERβ陽性腫瘍は、無病生存率がERβを含有する腫瘍でより高かったことから、ERβ陰性腫瘍よりも良い予後と相関することを見出した。ERβ発現はまた、プロゲステロン受容体の存在及び高分化型乳房腫瘍と強い関連性を示した。また、ERβの量は正常な乳房組織で最も高いこと及びERβの量は腫瘍が前癌病変から癌病変に進行するのにつれて減少することが報告されている。これらの研究は、ERβが腫瘍抑制因子として機能し得ること及びERβの量の低下(loss)が乳癌発症を促進することを示している。Mannらによる研究において、10%を超える癌細胞でのERβの発現は、タモキシフェンを用いて治療された女性のよりよい生存率に関連していることが明らかにされた。これらの研究結果を総合すると、ERβの存在は好ましい予後を与えることを示している。RT−PCRとIHCのデータの一致は、ERβのアデノウィルス介在発現が、ER陰性細胞株 MDA−MB−231の増殖のリガンド非依存阻害をもたらすことを明らかにした報告である。
【0024】
これらの結果は、乳癌の病因及び予後におけるERβの役割が明らかでないことを示す。幾つかの理由により、これらの研究の中での明らかな矛盾を説明し得る。第一は、ERβ mRNAとERβタンパク質との間に弱い相関関係が存在し得ることである。この考えは、リガンド結合アッセイによって検出できるERを有していない幾つかのER陰性細胞株でのERβ mRNAの存在と一致している。第二は、IHC研究は、特異性及び感受性について十分に特徴付けられていない種々の市販のERβ抗体を用いたことである。第三は、結論の大部分は、数例の乳癌症例に基づいていることである。明らかに、より多くの研究が、乳癌におけるERαとERβの役割を明らかにするために必要とされる。
【0025】
乳癌の補助療法及び予防的化学療法としてのSERMの役割:エストロゲン類は乳癌細胞の増殖を促進することから、数種の治療アプローチが、この乳房腫瘍に対するエストロゲン類の作用を阻止するために実施されている。卵巣切除、抗エストロゲン類、性腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体又はアロマターゼ阻害剤を含むこれらの方法は、エストロゲン類の産生を低下させるか又はエストロゲン類の作用を阻止することによって機能する。これらの方法の全てが、ERαとERβの両方の作用を非選択的に阻止する。乳房腫瘍を予防及び治療するために臨床使用される最も一般的なアプローチは、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であるタモキシフェン及びラロキシフェンである。
【0026】
タモキシフェンは、乳房などの幾つかの組織で拮抗作用を示すので、プロトタイプSERMである非ステロイド性トリフェニルエチレン誘導体であるが、子宮内膜や骨などの他の組織では作動薬作用を有する。タモキシフェンは、エストロゲン受容体陽性乳癌を有する女性において乳房腫瘍の再発を減少させる補助療法としてその臨床有効性について鋭意研究されている。5年間のタモキシフェン治療は、再発のリスクを42%低下させ、乳癌による死亡率を22%低下させ、二次対側原発性乳房腫瘍を減少させる。ほぼ2/3のER陽性乳房腫瘍がタモキシフェンに反応し、これに対してER陰性腫瘍を有する女性が補助タモキシフェンによる恩恵を受けることを示す証拠はほんのわずかである。ごく最近、米国乳癌予防試験(BCPT)は、タモキシフェンが乳癌について高いリスクにあると考えられる女性において原発性浸潤乳癌のリスクを49%低下させることを実証した。これらの研究は、タモキシフェンが乳癌の履歴をもつ女性において第一の有効な補助療法であり、乳癌の発症について高リスクである女性のための有効な化学予防薬であることを実証している。
【0027】
ラロキシフェンは、近年骨粗鬆症の予防及び治療について最近承認されているベンゾチオフェン類のSERMのメンバーである。ラロキシフェンは、乳癌を患う女性用の補助療法としての有効性についてはまだ評価されていない。しかし、ラロキシフェンの多様効果〔Multiple Outcomes of Raloxifene Evaluation(MORE)〕試験は、乳癌の予防に対するラロキシフェンの効果を評価した。MORE試験は、骨粗鬆症を患う7705人の閉経後の女性の3年間の無作為プラセボ対照試験であった。MORE試験では、40ヶ月間の中央値追跡期間の後に、プラセボを投与された2576人の女性の中に27例の乳癌が見出されたのに対して、ラロキシフェン治療群の5129人の女性の中に13例の乳癌が見出された(RR=0.24)。タモキシフェンと同様、ラロキシフェンは、エストロゲン受容体陽性腫瘍の発生率の減少において有効であるが、エストロゲン受容体陰性腫瘍の発生率の減少においては有効ではない。乳癌の促進におけるエストロゲン類の役割についてさらなる証拠は、ラロキシフェンは検出可能な量の血清エストラジオールを有する閉経後の女性の乳癌を予防するだけであることを示した最近の研究によってもたらされた。
【0028】
エストロゲン受容体の構造:SERMがER陽性腫瘍に作用するだけであるという事実は、その保護作用を乳房に対して発揮するためには、SERMがエストロゲン受容体と相互作用することが必要であることを示している。2つの公知のエストロゲン受容体、ERα及びERβが存在し、これらはステロイド核内受容体スーパーファミリーに属する。ERαは、1986年に最初にクローン化され、驚くべきことに約10年後に第二のERが発見され、ERβと命名された。ERαは、595個のアミノ酸を含有し、これに対してERβは、530個のアミノ酸を含有する。これら両方の受容体は、3つの異なるドメインからなるモジュールタンパク質である。アミノ末端ドメイン(A/Bドメイン)は、最も小さい保存領域であり、ERαとERβの間で15%の相同性を示すのみである。このドメインは、エストラジオール不存在下で遺伝子の転写活性をもたらすことができる活性化機能(AF−1)をもつ。それぞれのERの中央領域は、標的遺伝子のプロモーター内に配置された3個のヌクレオチドで隔てられた逆転パリンドローム反復配列に結合する2つのジンクフィンガーモチーフを含有する。ERαとERβのDNA結合ドメイン(DBD)は、実質的に同一であり、95%の相同性を示す。カルボキシ末端ドメインは、幾つかの必須機能を遂行するリガンド結合ドメイン(LBD)を含む。前記LBDはまた、エストロゲン化合物が結合する大きな疎水性ポケットを形成する領域と、ER二量化に関与する複数の領域とを含む。LBDはまた、同時制御タンパク質と相互作用する第二の活性化機能(AF−2)を含む。AF−2は、エストロゲン活性化と、遺伝子転写の抑制との両方に必要とされる。ERαのLBDと、ERβのLBDとは、約55%の相同性しかない。ERαのLBDと、ERβのLBDとのアミノ酸組成の顕著な相違は、転写の役割を有するERを作り出すために進化しているのかもしれない。これは、ERαとERβが異なる遺伝子の活性を調節すること及び異なる生理作用を生じることを可能にするであろう。この概念は、ERα及びERβノックアウトマウスの研究によって裏付けられる。例えば、ERαノックアウトマウスは未発達な乳房及び子宮発達を有し、これに対してERβノックアウトマウスは、正常な乳腺及び子宮を発達させる。これらの観察は、ERαのみがこれらの組織の発達に必要であることを実証している。また、本発明者は、ERαは活性化遺伝子においてERβよりも有効であり、これに対してERβは抑制遺伝子転写においてERαよりも有効であることを見出した。
【0029】
エストロゲン類の作用のメカニズム:エストロゲン類は、遺伝子転写を活性化するか又は抑制することができる。遺伝子転写の活性化には、2つの特徴付けられた経路、すなわち古典的なERE(エストロゲン応答要素)経路とAP−1経路がある。エストロゲン類が遺伝子の転写を調節するために必要な少なくとも3つの必須要素:ER類(ERα及び/又はERβ)、標的遺伝子のプロモーター要素、及び同時調節タンパク質がある。ERに対するエストラジオールの結合は、立体構造の変化を招き、これが転写経路を開始する幾つかの重要な段階を結果としてもたらす。最初に、EとERとの相互作用が、シャペロンタンパク質の解離を招き、これが、ERの二量化表面とDNA結合ドメインとを露出させる。シャペロンタンパク質の喪失は、ERが二量化し、標的遺伝子のプロモーター領域のEREに結合することを可能にする。
【0030】
次に、Eの結合は、ERのAF−2機能を構築する表面を作成するためにERのLBDのヘリックス12を移動させる。AF−2は、ERのヘリックス3、ヘリックス5及びヘリックス12からなる保存された疎水性ポケットからなり、これらは一緒になってコアクチベータータンパク質(コアクチベーター)、例えばステロイド受容体コアクチベーター−1(SRC−1)又はグルココルチコイド受容体相互作用タンパク質1(GRIP 1)のp160ファミリーのための結合表面を形成する。コアクチベーター(「コレギュレーター」としても知られている)は、LXXLLからなる数個の反復アミノ酸モチーフ〔これは、複数のAF−2ヘリックスによって囲まれた疎水性の割れ目(cleft)に突き出る〕を含む。このコアクチベーターは、ヒストンアセチラーゼ活性を有する。遺伝子の活性化は、DNAに結合されたヒストンタンパク質のアセチル化を生じるERE上でERとコアクチベータータンパク質が複合体を形成した後に生じると考えられる。ヒストンのアセチル化は、ER/コレギュレーター複合体が、遺伝子転写を開始するために標的遺伝子のTATAボックス領域で組み立てられる基本的な転写タンパク質とEREとの間で架橋を形成できるように、クロマチン構造を変化させる。
【0031】
ERE経路に対するSERMの効果:エストロゲン類と異なり、SERMは、ERE経路を活性化しない。その代わりに、SERMは、ERE経路に対するエストロゲン類の作用を競合的に阻止する。エストロゲンのように、SERMは、ERα及びERβと高い親和性で結合し、シャペロンタンパク質の解離、ERの二量化及びEREに対するERの結合を生じる。従って、SERMの拮抗作用は、プロモーター領域に対するERの結合よりも遠位の段階で生じる。SERMの拮抗作用の分子メカニズムは、ERα及びERβのLBDの結晶化によって明らかにされている。E、タモキシフェン及びラロキシフェンが同じ結合ポケットに結合することは、ERのLBDの構造から明らかである。しかし、タモキシフェンとラロキシフェンは、Eにはない嵩高な側鎖を含んでいる。ERのX線構造は、SERMの嵩高な側鎖がLBDの移動を阻止し、機能的AF−2表面の形成を防ぐことを明らかにしている。意外なことに、SERMがERαと結合すると、ヘリックス12の配列(LXXML)(これは、LXXLLモチーフに類似する)は、コアクチベーター認識部位を塞ぐためにAF−2表面の疎水性の割れ目と相互作用する。従って、エストロゲンと異なり、SERMは、機能的なAF−2表面を作らない。これが、コアクチベーターの結合を防ぐ。コアクチベータータンパク質はSERMの存在下でAF−2表面と結合しないので、活性化経路が不意に中断される。コアクチベーターを補充する代わりに、SERMと配位結合したERは、コリプレッサー、例えばN−CoRを補充する
【0032】
これらの研究は、SERMの拮抗特性が少なくとも3つの因子によることを実証した。第一に、SERMは、エストロゲンと同じ結合ポケットに結合し、ERに対するエストロゲンの結合を競合的に阻止する。第二に、SERMは、ERがERE経路の転写活性化に必要なコアクチベータータンパク質と相互作用するのを防ぐ。第三に、SERMは、遺伝子の転写活性化を妨げるコリプレッサーを補充する。SERMのこれらの作用は、ラロキシフェン及びタモキシフェンが乳癌の発症を阻止するために乳房細胞中で拮抗薬としてどのように作用するのかをおそらく最もよく説明している。
【0033】
SERMはまた、AP−1要素を有する遺伝子の活性化においてEよりも有効である。実際に、Eは、AP−1要素のSERM介在活性化の拮抗薬である。SERMが、組織、例えば骨や子宮内膜においてAP−1経路を活性化することによって作動薬作用を示すと仮定される。興味深いことに、SERMは、ERβの存在下でAP−1経路の活性化においてより強力であり、このことはSERMがERβに富む組織でより効果的にAP−1経路の引き金になることを示す。エストロゲン介在による乳癌発症におけるAP−1経路の役割は明らかではない。なぜならば、エストロゲンは、SERMと比べてAP−1経路の活性化においてかなり弱いからである。しかし、AP−1経路は、乳房腫瘍におけるタモキシフェン耐性に関与しているかもしれないことが提案されている。
【0034】
本発明の態様に従って、ERβがERE−tkLucの活性化においてERαよりも弱いこと、ERβがTNF−RE−tkLucの抑制においてERαよりも効果があること、及びERβがERE−tkLucのERα介在転写活性化を阻止することを実証する研究を行った。詳細な実験は、以下の実施例の欄で論じる。
【0035】
本明細書に開示される実施形態は、ユリ科の分類学上のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物を含有する植物抽出物組成物を提供する。「抽出物」とは、抽出媒体(溶媒)と植物物質とを、該植物物質から1種又はそれ以上の化合物を抽出媒体中に取り出し、抽出液を形成するのに適した条件下で接触させることによって調製される物質の組成物である。次いで、抽出液は、植物物質から分離され、場合により抽出物を形成するために希釈又は濃縮される。
【0036】
本発明の抽出物は、ユリ科の植物ハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の植物物質から得られる植物化学物質を含有する。植物物質は、以下でさらに定義する。
【0037】
ユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.はまた、ハナスゲZhi Muとも様々に呼ばれる。ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.0.5m〜1mに育つ常緑多年生植物。これは、8月から9月まで開花している。花は両性花である(雄性器官と雌性器官の両方をもつ)。この植物は、軽質土壌(砂質)、中質土壌(ローム質)及び重質土壌(粘土)を好む。この植物は、酸性土壌及び中性土壌を好む。この植物は、半日陰(明るい森林帯)で育つことができ、湿潤土壌を必要とし、強風に耐えるが、海洋曝露には耐えられない。
【0038】
抽出媒体は、適当な液状溶媒、例えば酢酸エチル、水又はエタノールである。抽出媒体は、ある場合には酢酸エチル、水、エタノール又は別の比較的極性の液状溶媒である。ある場合には、抽出媒体は、希釈又は濃縮される。抽出媒体は、完全に濃縮されていてもよく、それによって抽出物は残留物(残留抽出物)の形態をとる。従って、抽出物は、場合により溶媒に溶解されていてもよい少なくとも1種又はそれ以上の植物由来の化合物(植物化学物質)を含有する。濃縮抽出物又は残留抽出物は、再構成抽出物を形成するために適当な希釈剤、例えば酢酸エチル、水及び/又はエタノールを加えることによって再構成されていてもよい。
【0039】
幾つかの実施形態において、植物抽出物を含有する組成物は、純粋な抽出物又は分配抽出物(抽出物中の1種又はそれ以上のエストロゲン活性化合物に富む抽出物を含む)及びこのような抽出物と1種又はそれ以上の追加成分の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、前記組成物は、固体、半固体、液体、コロイドなどを含め種々の物理的形状の組成物を含む。組成物が医薬用途を目的とする場合には、追加成分は、製薬学的に許容できる。本発明の組成物が生体に関するものではないアッセイ又はその他の用途を目的とする場合には、添加成分(1つ又は複数)は製薬学的に許容できるものであってもよいし又は許容できないものであってもよい。
【0040】
幾つかの実施形態において、純粋な抽出物は、1種又はそれ以上の有機溶媒と組み合わせてもよい。このような有機溶媒は、種々の極性をもつものであってもよい。幾つかの実施形態において、適当な溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン類、(C−C)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、並びにその他の溶媒、例えば製薬学的に許容し得る溶媒及びヒトに使用するのに安全であると一般的にみなされている(GRAS)溶媒を包含する。
【0041】
幾つかの実施形態において、前記組成物は、純粋な抽出物を含有するか、あるいは抽出物と1種又はそれ以上の追加溶媒との組み合わせを含有する。幾つかの実施形態において、抽出物は、分配されるか又はさらに精製された抽出物を包含する。分配又は精製は、クロマトグラフィーを含め種々の分離法を使用して行ってもよい。幾つかの実施形態において、抽出物は、抽出物中の活性薬剤をさらに濃縮するために、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー又は排除クロマトグラフィーによって得られる精製又は分配抽出物である。幾つかの実施形態において、精製又は分配抽出物は、液体クロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の1つ又はそれ以上の工程によって得られる。幾つかの実施形態において、高速液体クロマトグラフィーは、分取規模の高速液体クロマトグラフィーである。幾つかの実施形態において、HPLCは、逆相クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィーである。その他の分離の手段、例えば分液ロートあるいはその他の二相又は多相分離メカニズムでの分離を、抽出物を精製又は分配するのに使用してもよい。幾つかの実施形態において、精製又は分配抽出物は、1種又はそれ以上の追加の活性又は不活性成分、例えば溶媒、希釈剤などと組み合わせてもよい。幾つかの実施形態において、適当な溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン類、(C−C)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、並びにその他の溶媒、例えば製薬学的に許容し得る溶媒及びヒトに使用するのに安全であると一般的にみなされている(GRAS)溶媒を包含し得る。
【0042】
幾つかの実施形態において、前記組成物は、純粋な抽出物を含有するか、あるいは抽出物と1種又はそれ以上の追加溶媒との組み合わせを含有する。幾つかの実施形態において、抽出物は、分配されるか又はさらに精製された抽出物を包含する。分配又は精製は、クロマトグラフィーを含め種々の分離法を使用して行ってもよい。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、抽出物中の活性薬剤をさらに濃縮するために、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー又は排除クロマトグラフィーによって得られる精製抽出物である。幾つかの実施形態において、精製又は分配抽出物は、液体クロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の1つ又はそれ以上の工程によって得られる。幾つかの実施形態において、高速液体クロマトグラフィーは、分取規模の高速液体クロマトグラフィーである。幾つかの実施形態において、HPLCは、逆相クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィーである。その他の分離の手段、例えば分液ロートあるいはその他の二相又は多相分離メカニズムでの分離を、抽出物を精製又は分配するのに使用してもよい。幾つかの実施形態において、精製又は分配抽出物は、1種又はそれ以上の追加の活性又は不活性成分、例えば溶媒、希釈剤などと組み合わせてもよい。幾つかの実施形態において、適当な溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン類、(C−C)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、並びにその他の溶媒、例えば製薬学的に許容し得る溶媒及びヒトに使用するのに安全であると一般的にみなされている(GRAS)溶媒を包含していてもよい。
【0043】
適当な追加成分としては、溶媒が挙げられる。溶媒は、製薬学的に許容し得る溶媒及び非製薬学的に許容し得る溶媒に細分化し得る。これに関連して、幾つかの製薬学的に許容し得る溶媒として注射用水(WFI)が挙げられ、これは予め選択されたpH又はpH範囲、例えば約2〜約8、さらに具体的には約4.0〜約7.5、さらに詳しくは約4.9〜約7.2にpH調整されていてもよい及び/又は緩衝されていてもよいことが理解されるべきである。
【0044】
製薬学的に許容し得る溶媒は、さらに、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る酸、塩基、塩又はその他の化合物、例えば担体、賦形剤などを含有していてもよい。製薬学的に許容し得る酸としては、HCl、HSO、HPO、安息香酸などが挙げられる。製薬学的に許容し得る塩基としては、NaOH、KOH、NaHCOなどが挙げられる。製薬学的に許容し得る塩としては、NaCl、NaBr、KClなどが挙げられる。酸及び塩基は、特定の予め選択されたpH、特別には約2〜8の範囲内のpH、さらに特別には約5.0〜約7.2の範囲内のpHで、製薬学的に許容し得る溶液を緩衝するために適当な割合で加えてもよい。
医薬組成物
【0045】
ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの抽出物は、溶液の形態又は乾燥形態で前記のようにして調製し得る。ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの抽出物は、エストロゲン様組成物を用いて治療できる1つ又はそれ以上の病気又は疾患を治療するための医薬組成物(医薬)を調製するのに使用し得る。このような医薬組成物(医薬)は、場合により1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤を組み込んでいてもよい。溶液の形態で、ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの抽出物は、フレーバーティー(tea)又はノンフレーバーティーの形態で投与されてもよい。幾つかの実施形態において、幾つかの調味料、例えば甘味料が、抽出物の苦味を中和するために望ましいものであり得る。溶液もまた、乾燥抽出物からティー又はエリキシルの形態で調製することができる。また、調味料、例えば甘味料が望ましいものであり得る。風味のマスキングを、患者の医薬組成物の投与を向上させるために用いてもよい。
【0046】
乾燥抽出物は、経口利用できる形態として、例えばカプセル、錠剤、カプレットなどとして製剤し得る。カプセルは、適当量の乾燥抽出物を1つ又はそれ以上のゼラチンカプセルシェルに測り取り、カプセルを組み立てることによって調製し得る。錠剤及びカプレットは、乾燥抽出物を、1種又はそれ以上の結合剤及び場合によっては1種又はそれ以上の崩壊剤と組み合わせることによって調製し得る。錠剤、カプレット、カプセルなどは、胃の不調を防止するために、例えば腸溶性コーティングで被覆されていてもよい。
【0047】
乾燥抽出物又は濃縮抽出液は、1種又はそれ以上のゲル化剤と組み合わせ、ゲルカプセルに挿入してもよい。また、乾燥抽出物又は濃縮抽出液は、食用ゲル又はノンフレーバー変種(variant)が直腸坐薬ゲル又はゲルカプセルとして投与し得ることから、経口投与のためにゲル化剤及び場合によっては1種又はそれ以上の着香剤と組み合わせてもよい。
【0048】
抽出物の単位用量は、剤形内に含まれる当量の乾燥抽出物によって特徴付けられる。例えば、幾つかの実施形態において、単位投薬量は、1mg〜約10gの乾燥抽出物又はその均等物を含有し得る。幾つかの実施形態において、前記単位用量は、約1mg〜約10mg、約1mg〜約100mg、約1mg〜約1000mg(1g)、約1mg〜約10000mg(10g)の乾燥抽出物又はその均等物を含有するであろう。幾つかの実施形態において、前記単位用量は、約10mg〜約100mg、約10mg〜約1000mg又は約10mg〜約10000mgの乾燥抽出物又はその均等物を含有する。幾つかの実施形態において、前記単位用量は、約100mg〜約5000mg、約100mg〜約2500mg、約100mg〜約2000mg、約100mg〜約1500mg、約100mg〜約1000mg、約100mg〜約800mgの乾燥抽出物又はその均等物を含有する。幾つかの実施形態において、1日用量は、ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの抽出物を乾燥重量で約1〜約100gを含有し、これは単一の単位又は分割した単位に調製してもよく、1回の用量あるいは2回、3回、4回又はそれ以上の分割用量で提供してもよい。幾つかの実施形態において、1日用量は、ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの抽出物の乾燥重量で約10〜約100g、約10〜約80g、約10〜約60g、約10〜約40g、約20〜約100g、約20〜約80g、約20〜約60g、約20〜約40gである。幾つかの実施形態において、1日用量は、ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの抽出物の乾燥重量で約10g、約15g、約20g、約25g、約30g、約35g、約40g、約45g、約50g、約55g、約60g、約65g、約70g、約75g、約80g、約85g、約90g、約95g又は約100gである。ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの乾燥抽出物の均等物は、ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの乾燥抽出物と同じ量のアポトーシス活性物を含有するハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの乾燥、液体、ゲル又はその他の混合物の量である。従って、ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの乾燥抽出物を0.5mg/mL含有するティー30mLは、15mgの乾燥ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeに相当する単位用量である;ハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの乾燥抽出物、結合剤、充填剤、崩壊剤のそれぞれを100mg含有する錠剤は、100mgの純乾燥抽出物に相当する。
【0049】
本発明の植物抽出物は、エストロゲン応答要素(ERE)の制御下で遺伝子のエストロゲン活性化を提供する。従って、幾つかの細胞において、本発明の植物抽出物は、エストロゲン特性を有する − すなわち、EREとER(ERα、ERβ又はその両方)とを含有する細胞を本発明の植物抽出物と接触させると、EREの制御下で遺伝子の刺激を引き起こす。生体外細胞系において、本発明のエストロゲン植物抽出物によるERE介在活性化は、EREに操作により連結された遺伝子の発現を招く。特定の実施形態において、ERと、最小チミジンキナーゼプロモーター及びルシフェラーゼ遺伝子に連結されたEREとのエストロゲン相互作用は、高められたルシフェラーゼ発現を引きこす。従って、本発明の植物抽出物は、レポーター遺伝子、例えばルシフェラーゼに操作により連結されたERE含有プロモーターを有するERα+細胞株、ERβ+細胞株及び/又はERα+/ERβ+細胞株を特定するのに使用し得る。本発明の植物抽出物はまた、ER+細胞株においてエストロゲン作用を有する化合物を特定するためのアッセイ試薬、例えば標準としても使用し得る。
【0050】
一つのこのようなアッセイ方法において、本発明の植物抽出物は、最初に、公知の活性又は濃度で調製される。本発明の植物抽出物の定量は、容器の風袋重量を測り、その容器に既知容量の植物抽出物を測り、植物抽出物を蒸発又は凍結乾燥によって濃縮して残留物を得、容器と植物抽出物の質量を得ることによって都合よく行われる。容器及び植物抽出物と、風袋質量との間の質量の差が、植物抽出物の乾燥質量である。植物抽出物の容量当たりの植物抽出物の乾燥質量の比が、単位容量当たりの濃度である。植物抽出物は、その濃度を特定するために前記の定量法の結果を使用してその最初の形態で使用し得る。残留物はまた、水又は他の適当な溶媒系を加えて既知濃度の植物抽出液を形成することによって再構成することができる。
【0051】
植物抽出物の濃度が分かると、標準曲線が調製される。一般的に、ER+細胞は、植物抽出物と接触され、エストロゲン活性に関するシグナルが記録される。特に、ER+細胞は、EREの制御下のレポーター遺伝子を有する。このER+細胞は、本発明の植物抽出物と接触し、加えられた植物抽出物の量に比例してレポーターシグナルを提供する。この工程は、同じ植物抽出物濃度で、種々の植物抽出物濃度で又はその両方で多数の試料を用いて実施し得る。例として、9個の試料が試験し得る。最初の3個は最初の濃度で、次の3個は最初の濃度よりも半log大きい濃度で、次の3個は最初の濃度よりも完全log大きい濃度で試験し得る。次いで、レポーターシグナルが観察され、記録され、得られるデータポイント(レポーターシグナル強度に対する植物抽出物濃度)が慣用の曲線適合法(例えば、最小二乗法)で標準曲線に当てはめられる。
【0052】
候補組成物のエストロゲン作用を評価するために、候補化合物を、レポーター遺伝子を有するE+細胞とEREの制御下で接触させる。レポーター遺伝子シグナルが観察され、候補化合物の相対エストロゲン作用を定量するために標準曲線と比較される。
【0053】
前記の方法で使用されるER+細胞株は、自然にERを発現する細胞株、例えばヒト由来のER+乳房細胞癌細胞株であってもよい。幾つかの実施形態において、ER+組織は、不死化ヒト細胞株、例えば不死化骨髄又は乳房細胞株である。典型的な細胞株としては、ヒト単球、骨芽細胞株、悪性乳癌株及び不死化上皮性乳房細胞株が挙げられる。挙げ得る具体的な細胞株としては、U937細胞、U2OS細胞、MDA−MB−435細胞及びMCF−7細胞株が挙げられる。また、他のER+細胞株、例えば不死化細胞株を使用してもよい。あるいは、ER+細胞株は、ER発現ベクターを用いて形質転換されているERを自然に発現しない細胞株、例えば細菌細胞株であってもよい。
【0054】
ER+細胞株は、レポーター遺伝子を制御するEREを含有するプロモーターを有するベクターを用いて形質転換される。例えば、前記ベクターは、ERE、最小チミジンキナーゼプロモーター(tk)及びルシフェラーゼ遺伝子(Luc)を含有するウイルスベクターであってもよい。典型的なERE−tk−Luk構造体は、配列番号1に示され、配列番号1においてEREは、ヌクレオチド1−で表され、tkはヌクレオチドnn−で表され、Lukはヌクレオチドmm−で表される。前記構造体は、標的細胞に公知の方法で移入され、ER−ERE−tk−Luk系の発現が、例えば既知量のEの存在下で推定されるER+細胞について前記のアッセイを行うことによって確認される。ER+細胞の首尾よい形質転換を検証する他の方法としては、公知のER抗体を用いた免疫染色法が挙げられる。
【0055】
ERE含有プロモーターは、ERE配列とプロモーター配列とを含有するDNAである。プロモーター配列は、当該技術で認識されているプロモーター配列、例えば最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーター配列(配列番号1、ヌクレオチドnn−参照)である。他のERE含有プロモーターは、可能であり、本発明の範囲内にある。ERE及びプロモーター配列は、一緒にレポーター遺伝子の発現を制御するために機能する。本明細書に記載のように、エストロゲン化合物(例えば、植物抽出物又はE)は、ERに結合し、ER二量体を生じ、AF−2表面を形成する。次いで、ER二量体は、EREに結合し、プロモーターの制御下で遺伝子を活性化させる。幾つかの実施形態において、EREは、前記プロモーターの(5´側)のすぐ上流にあり、該プロモーターにEREが直接に連結される。例として、ERE−tkプロモーター構造体を、配列番号1、ヌクレオチド1−nn−lに示す。
【0056】
レポーター遺伝子は、発現した場合に検出できるシグナルを生じる遺伝子である。ルシフェラーゼ遺伝子は、タンパク質ルシフェラーゼを生じるので適当なレポーター遺伝子であり、単一の試薬ルシフェリンの存在下で検出できる光シグナルを生じる。特に、ルシフェラーゼ遺伝子のcDNAは、発現されて62kDaの酵素タンパク質ルシフェラーゼを産生する。ルシフェラーゼ酵素は、Mg2+と酸素の存在下でルシフェリンとATPの反応を触媒してオキシルシフェリン、AMP、ピロリン酸(PPi)及び放射光を形成する。放射光は、黄緑色(560nm)であり、標準光度計を使用して容易に検出し得る。ATP、O及びMg2+は、すでに細胞中に存在するので、このレポーター遺伝子は、検出可能なシグナルを生じるために試薬ルシフェリンの添加を必要とするだけであり、本発明のアッセイで使用するのに特によく適している。当該技術で利用できると述べ得る他のレポーター遺伝子としては、クロラムフェニコールトランスアセチラーゼ(CAT)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)及びβ−グルクロニダーゼ(GUS)が挙げられる。
【0057】
本発明の幾つかのアッセイ方法において、標準植物抽出物を1種又はそれ以上のエストロゲン化合物、SERMなどと比較することによってさらに特定するのに有用である。このようなアッセイ方法は、本質的に前記のようにして行われ、前記方法の適切な部分において植物抽出物標準エストロゲン化合物及び/植物抽出物用SERMの適切な代用となる。
【0058】
本発明の植物抽出物はまた、TNF RE介在経路によって遺伝子の発現を抑制する。幾つかの場合には、本発明の植物抽出物は、特にTNF REの制御下のレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、Luc)を有する細胞において、遺伝子の発現を生体外で抑制する。幾つかの場合には、本発明の植物抽出物は、、TNF−α(これは、主として単球及びマクロファージによって産生されるサイトカインである)の発現を抑制する。このサイトカインは、種々の組織の滑膜細胞及びマクロファージに見出され、関節リウマチ(RA)に強く関与している。TNF−αはまた、他の炎症性疾患でも発現され、また細菌由来のエンドトキシンに対する反応としても発現される。TNF REリプレッサー経路によるTNF発現のリプレッサーとして、本発明の植物抽出物は、TNFの上昇濃度に関連した炎症性障害の治療において重要である。
【0059】
本発明の幾つかの実施形態において、ERα及びERβの一方又はその両方並びにレポーター遺伝子をTNF REの制御下で発現する細胞株が調製される。TNF REは、一般にレポーター遺伝子の(5´側)の上流にあり、シグナル検出は本明細書に既に記載したように行われる。TNF REの制御下にレポーター遺伝子(この場合はルシフェラーゼ遺伝子)を有するDNAの配列を、配列番号2に示す。ヌクレオチド1は、TNF REに相当し、これに対してヌクレオチドnnは、ルシフェラーゼ遺伝子に相当する。
【0060】
前記細胞TNF REを含有する細胞系は、さらに、ER遺伝子−すなわち、ERα、ERβ又はその両方のコピーを1つ又はそれ以上を含有する。前記の方法で使用されるER+細胞株は、自然にERを発現する細胞株、例えばヒト由来ER+乳癌細胞株であってもよい。幾つかの実施形態において、ER+組織は、不死化ヒト細胞株、例えば不死化骨髄細胞株又は乳房細胞株である。典型的な細胞株としては、ヒト単球、骨芽細胞株、悪性乳癌細胞株、不死化上皮性乳房細胞株が挙げられる。挙げ得る具体的な細胞株としては、U937細胞、U2OS細胞、MDA−MB−435細胞及びMCF−7細胞株が挙げられる。また、不死化細胞株を含め他のER+細胞株を使用してもよい。あるいは、ER+細胞株は、ERを自然に発現しない細胞株、例えばER発現ベクターを用いて形質転換されている細菌細胞株であってもよい。
【0061】
所定量のルシフェリンの存在下で及びエストロゲン化合物、例えばE又は本発明の植物抽出物の不存在下で、前記細胞系は、「対照強度」又は「基準強度」と呼ばれる強度で黄色光(560nm)を発する。560nmでの発光は、光学密度単位(O.D.560nm)で都合よく定量される。エストロゲン化合物、例えばE又は本発明の植物抽出物の1つを添加すると、560nmでの発光の強度は、対照に比べて弱められる。意外にも、SERM、例えばタモキシフェン又はラロキシフェンの存在下では、ルシフェラーゼの発現が上昇し、560nmでの発光の強度も高められる。従って、本発明の植物抽出物は、遺伝子発現のエストロゲンTNF REによって制御される抑制を誘導することができる。
【0062】
TNF RE含有細胞系は、本発明のアッセイ方法で使用できる。本発明のアッセイ方法において、ルシフェラーゼ活性の低下(すなわち、560nm光の放出の低下)は、エストロゲン活性の上昇と相関し、これに対してルシフェラーゼ活性の活性化(すなわち、560nmでの発光の増加)は、抗エストロゲン活性と相関する。標準曲線は、本明細書に記載のようにして既知量の本発明の植物抽出物を使用して調製し得る。このような標準曲線は、さらに、他の公知のエストロゲン又は抗エストロゲン標準、例えばE又は他の公知のエストロゲン化合物、及び/又は抗エストロゲンSERM、例えばタモキシフェン又はラロキシフェンを使用することによって増強し得る。
【0063】
次いで、形質転換E+細胞株由来の細胞は、候補化合物に曝露され、ルシフェラーゼシグナルが観察され、このシグナルが本明細書に記載のように予め調製された標準曲線と比較される。対照(基準)と比較してルシフェラーゼ活性の上昇を生じる化合物は、抗エストロゲンSERMと特定され、これに対して対照に対してルシフェラーゼ活性の低下を生じる化合物は、エストロゲン性として分類される。次いで、エストロゲン作用又は抗エストロゲン作用は、ルシフェラーゼ発現の減少又は増加の程度を、本発明の植物抽出物によって引き起こされる減少、場合によってはE、タモキシフェン及び/又はラロキシフェンによって引き起こされるそれぞれのシグナルの減少又は増加と比較することによって定量することができる。
【0064】
本発明の植物抽出物組成物はまた、E−ERとEREとの相互作用に拮抗する。特に、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物は、ERα及びERβと直接的に相互作用することによってEによるERE−tk−Lucの活性化に拮抗することが明らかにされている。ERE制御遺伝子のE−ERの拮抗薬のように、本発明の植物抽出物組成物は、作用においてタモキシフェンと類似しており、乳癌及び子宮癌に対して予防活性、緩和活性及び/又は抗増殖活性を有すると考えられる。
【0065】
本明細書に開示される実施形態は、本発明の組成物を使用して生体内エストロゲン方法を提供する。一般に、生体内方法は、被検体においてエストロゲン作用をもたらすのに十分な量の植物抽出物を被検体に投与することからなる。生体内方法は、エストロゲンERE制御遺伝子活性化、TNF RE制御遺伝子抑制(例えば、TNF−α抑制)又はその両方を生じるであろう。従って、生体内方法は、生体内で種々の陽性表現型効果を生じるであろう。
【0066】
被検体は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ又はヒツジであってもよく、一般的には雌である。被験体はまた、ヒト、特にヒトの女性であってもよい。幾つかの実施形態において、被検体は、閉経後又は卵巣全摘出後の女性であり、エストロゲン療法を必要としている。このような場合、被検体は、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁及びうつ病などの更年期症状に苦しんでいるかもしれない。他のこのような場合には、被検体は、骨粗鬆症にかかりやすいか又は骨粗鬆症を患っている場合がある。適当な生体内方法としては、エストロゲン補充療法に反応する医学的適応症の治療及び/又は予防が挙げられる。
【0067】
本発明の組成物の投与は、1つ又はそれ以上の植物抽出物が標的組織にその経路によって利用できる限りは、一般的に使用されている投与経路によるものであろう。挙げ得る幾つかの投与経路としては、経口、経鼻、口腔、直腸、膣及び/又は局所(経皮)が挙げられる。あるいは、投与は、同所、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内又は静脈内注射であってもよい。このような組成物は、通常は上記に記載された製薬学に許容し得る組成物として投与される。
【0068】
疾患、障害、症候群、状態又は症状の治療(及びその文法的変化 − 例えば、治療する、治療するために、治療しつつある、治療されたなど)は、臨床医がこのような治療を受ける被検体を確認し、この被検体に本発明の組成物を投与するという段階を含む。従って、治療は、本発明のエストロゲン植物抽出物を被検体に投与することによって回復され、軽減され、改善され、除去され、治癒される可能性がある疾患、症候群、状態又は症状の診断を含む。治療はまた、疾患、障害、症候群、状態又は症状の同時回復、軽減、改善、除去又は治癒も含む。幾つかの実施形態において、治療とは、疾患、障害、症候群、状態又は症状の発症の防止又は遅延(すなわち、予防)、疾患、障害、症候群、状態又は症状の進行の防止又は遅延、及び/又は疾患、障害、症候群、状態又は症状の重症度の軽減を意味する。特に、新生物増殖の場合には、治療は、新生物増殖の軽減、及び逆転、停止又は遅延を含む。これに関して、治療はまた、寛解、例えば完全寛解及び部分寛解も含む。更年期症状の場合には、治療は、種々の症状の予防及び軽減を含む。
【0069】
疾患、障害、症候群、状態又は症状の予防(及びその文法的変化)は、疾患、障害、症候群、状態又は症状を発症するリスクがある被検者を確認し、その被検体に前記の疾患、障害、症候群、状態又は症状の発症を未然に防ぐ又は遅らせる可能性のある十分な量の本発明の植物抽出物を投与することを含む。ある場合には、予防は、臨床医が、要求にかなう水準の医療を施し、ホルモン補充療法の必要があると考える閉経後の女性を確認し、その女性に本発明の植物抽出物を投与し、それによって1つ又はそれ以上の更年期症状を阻止するか又は遅らせることを含む。幾つかの実施形態において、骨粗鬆症の予防は、予防は、臨床医が、要求にかなう水準の医療を施し、骨粗鬆症を発症するリスクがあると考える閉経後の女性を確認し、その女性に本発明の植物抽出物を投与し、それによって骨量減少の開始を阻止するか又は遅らせることを含む。
【0070】
軽減は、疾患、障害、症候群、状態又は症状の重症度、発生の回数及び/又は頻度の減少を含む。更年期症状の軽減には、ほてり、不眠症、失禁、うつ病などの頻度及び/又は重症度を減少させることを含む。
【0071】
骨粗鬆症の治療は、ヒト、例えば骨量減少のリスクがある閉経後の女性を確認し、その女性に本発明の植物抽出物を投与し、それによって骨量減少を、重症度において軽減するか、開始時を遅らせるか又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、骨粗鬆症の治療はまた、骨量増加を含むこともできる。
【0072】
本明細書に開示されるさらなる実施形態は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の本発明の抽出物を調製する方法を提供する。本発明は、具体的には、本発明のエストロゲン植物抽出物を調製する方法を提供する。この方法は、ユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の植物由来の植物物質のある量を得、場合によりこの植物物質を粉砕し、前記植物物質を抽出媒体と接触させ、前記植物物質を抽出媒体から分離することを含む。
【0073】
ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物は、エストロゲン活性を有し、これら抽出物が、被検体、特に閉経期前後の女性及び閉経後の女性においてエストロゲン作用をもたらすことができることを特徴とすることを意味する。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用とは、少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防すること、骨粗鬆症を治療又は予防すること、子宮癌を治療又は予防すること、及び心臓血管疾患治療又は予防すること、からなる群から選択される少なくとも1つの作用を意味する。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁、頭痛及びうつ病からなる群から選択される少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、骨粗鬆症を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、ほてりを治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、子宮癌又は乳癌を治療又は予防することを含む。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを上昇させることを含まない。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、過形成又は癌のリスクを軽減することを含む。幾つかの実施形態において、エストロゲン作用は、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを軽減することを含む。
【0074】
幾つかの実施形態において、植物種は、ユリ科の植物ハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.であり、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の種々の栽培品種である。
【0075】
植物物質とは、ユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.由来の少なくとも1つの植物の任意の1つ又は複数の部分を意味する。植物物質とは、植物全体、あるいは該植物の任意の1つ又は複数の部分、例えば根、樹皮、木質、葉、花(又は花、例えば萼片、花弁、雄ずい、雌ずいなど)、果実、種子及び/又は前記のいずれかの部分又は混合物を包含する。植物物質は、切断直後物、乾燥物(凍結乾燥物を含む)、凍結物などであってもよい。植物物質は、その全体であってもよいし又はより小さい部分に分けられていてもよい。例えば、葉は、細断、寸断又は粉砕されていてもよく、根は、細断又は粉砕されていてもよく、果実は、細断されていてもよいし、薄切りされていてもよいし又は混合されてもよく、種子は、細断又は粉砕されていてもよく、茎は、寸断、細断又は粉砕されていてもよい。本発明の具体的な実施形態においては、使用される植物部分は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の葉である。
【0076】
本発明の植物抽出物組成物は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の少なくとも1つの抽出物を含有する。「抽出物」とは、植物部分を、抽出溶媒と、植物由来の1種又はそれ以上の化合物に適した条件下で接触させて植物物質から抽出溶媒に分配する際に得られる溶液、濃縮液又は残留物である。前記溶液は、次いで、場合により濃縮されて濃縮物又は残留物を形成する。
【0077】
本発明に適した抽出媒体としては、水及びエチルアルコールが挙げられる。具体的には、水が抽出溶媒である場合には、精製水が適している。精製水としては、蒸留水、脱イオン水、注射用水、限外濾過水、及び精製された他の形態の水が挙げられる。本発明の幾つかの実施形態において用いられるエチルアルコールは、穀粒エタノール、特に未変性エタノール(例えば、場合により若干の水、例えば最大約10%までの水を含有していてもよい純穀粒エタノール)である。幾つかの実施形態において、抽出溶媒は、水、エタノール又はこれらの混合物である。濃縮物又は残留物は、抽出液を濃縮する(例えば、蒸発させるか又は凍結乾燥する)ことによって調製してもよい。最初の抽出溶媒、濃縮物又は残留物の形態にかかわらず、これらの調製物のそれぞれは、本発明の目的の「抽出物」とみなされる。
【0078】
本発明の植物抽出物の製造方法は、場合により、植物物質を、その表面積と容積との比を増大させ且つ抽出プロセスの効率を同時に高めるために最初に粉砕することからなる。植物物質を粉砕する方法は、粉砕、細断、混合、寸断、微粉砕、磨砕などを含む。
【0079】
次いで、抽出媒体(溶媒)は、植物物質と、1種又はそれ以上の植物化学物質、特にエストロゲン植物化学物質に適した条件下で接触させ、植物物質から抽出溶媒に分配させる。このような条件としては、幾つかの場合には、室温を超える温度までの抽出媒体の加熱、撹拌、接触時間などが挙げられる。典型的な抽出温度は、約50℃から抽出溶媒の沸点までである。水が抽出溶媒である場合は、抽出温度は、一般的に室温から約100℃までであり、約50℃から約80℃までの温度が特に適しており、約75℃の温度が特に適している。抽出溶媒としてエタノールの場合には、抽出温度は、一般的に室温から約78.5℃までであり、約50℃から約78℃までの温度が特に適しており、約75℃の温度が特に適している。当業者には、一方の抽出効率と、他方の植物化学物質の安定性との間で適切な均衡が設けられるべきであることが認識されるであろう。
【0080】
抽出媒体と植物物質が組み合わされると、これらは、場合により、植物物質から抽出媒体へのエストロゲン化合物の効率的な交換を確実にするために撹拌され、植物物質から抽出媒体への有用な量の植物化学物質を抽出するのに十分な時間を接触させておく。このような時間(例えば、約5分〜約10時間、さらに詳しくは約10分〜約5時間、特に約30分〜約2時間)が経過した後に、植物化学物質を含有する抽出媒体は、植物物質から分離される。このような分離は、当該技術で認識されている方法で、例えば濾過、デカントなどによって達成される。
【0081】
本発明の組成物としては、本発明の植物抽出物又は本発明の植物抽出物を含有する組成物が挙げられる。このような実施形態において、本発明の組成物は、場合により1種又はそれ以上の追加成分を含有していていもよい。このような追加成分は、不活性であってもよいし又は活性であってもよい。不活性成分としては、溶媒、賦形剤又は他の担体が挙げられる。活性成分としては、活性医薬成分(API)、例えば本発明の植物抽出物と組み合わせて相乗活性を示す活性医薬成分が挙げられる。
【実施例】
【0082】
本発明は、以下の例示的及び非限定的な実施例を参照してさらに十分に理解し得る。
【実施例1】
【0083】
実施例1:ERβは、ERE−tkLucの活性化においてERαよりも弱い:
転写活性化に対するEの効果を、ルシフェラーゼレポーターcDNAに連結された最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーターの上流に標準的EREを含有するプラスミドとERα又はERβの発現ベクターとを移入することによって調べた。Eは、ヒト単球U937細胞において、ERβに比べてERαの存在下では10倍大きいEREの活性化を生じたが、EC50値は同様であった。図1参照。
【実施例2】
【0084】
実施例2:ERβは、TNF−RE−tkLucの抑制においてERαよりも有効である:
次いで、ERα及びERβ介在転写抑制に対するEの効果を、腫瘍壊死因子応答要素(TNF−RE)として知られているTNF−αプロモーターの−125から−82の領域を使用して比較した。TNF−αは、前記tkプロモーター(TNF−RE−tk−Luc)の上流のTNF−RE(−125〜−82)の3個のコピーの5〜10倍の活性化を生じた。Eは、ERα及びERβの存在下で、TNF−RE−tkLucのTNF−α活性化を60〜80%抑制した。しかし、ERβは、抑制においてERαよりも約20倍有効であった(それぞれ、ERαについては241pMのIC50、これに対してERβについては15pMのIC50)。未変性−1044〜+93のTNF−αプロモーターの抑制において、ERβはERαよりも有効であることも見出された。従って、ERαは、転写活性化においてERβよりもはるかに有効であり、これに対してERβは、転写抑制においてERαよりも有効である。Eと対照的に、抗エストロゲン剤であるタモキシフェン、ラロキシフェン及びICI 182780は、TNF−RE−tkLucの2倍活性化を生じた。また、これらの抗エストロゲン剤は、Eによって誘発された抑制を消滅させた。
【実施例3】
【0085】
実施例3:ERβは、ERE−tkLucのERα介在転写活性化を阻害する:
驚くべきことに、ERα又はERβが、U937細胞において同時発現された場合には、ERαによる活性化は著しく阻害された。図1参照。これらのデータは、ERβがERE−tkLucのERα活性化に対して抑制効果を発揮することを示す。同様の結果が、乳癌細胞株MDA−MB−435で観察された。図2参照。他の研究者らは、異なる細胞型においてERαのトランス活性化に対するERβの同様の抑制効果を見出している。これらの研究は、ERE−tkLucに対するERα及びERβの異なる活性化並びにERα介在転写に対するERβの抑制効果が、細胞型特異的でないこと及びERの固有特性によることを示す。ERβによるERαの抑制は、ERα/ERβヘテロ二量体の形成を必要とする。その理由は、二量化を防ぐERβのヘリックス11の変異がその抑制活性を阻害するからである(データは示されない)。
【実施例4】
【0086】
実施例4:
材料及び方法:試薬。フェノールレッド無含有ダルベッコ(Dulbecco)の変性イ−グル培地/F−12クーン修飾培地は、Sigma社から入手した。BiobreneはAplied biosystems社から購入した。U937細胞株は、American Type Culture Collectionから入手した。ヒト組換えTNF−αは、R & D Systems社から入手した。
【0087】
プラスミド構造体。ヒトTNF−α遺伝子pLT由来のPstI〜AhaII断片(−1044〜+93)は、ルシフェラーゼcDNAの上流にクローン化された。5´欠失は、独特な制限部位、−125欠失についてはApaI及び−82欠失についてはStyIを使用して組み立てた。−125から−82までの前記ヒトTNF−αプロモーター断片〔TNF応答要素(TNF−RE)〕の3個のコピー又はカエルビテロゲニンA2遺伝子由来のERE(vitA2−ERE、5´−TCAGGTCACAGTGACCTGA−3´)の1個のコピーを、ルシフェラーゼに連結された−32から+45の単純ヘルペスチミジンキナーゼ(TK)プロモーターの上流に連結した(それぞれ、TNF−RE−tkLuc、ERE−TKLuc)。ERβ変異体を、変異を含むオリゴヌクレオチドを使用することによって、QuikChange部位性特異的変異誘発キット(Stratagene社)を用いて作製した。この変異体を、変異の存在を検証するためにシークエナーゼ(Sequenase)キット(Amersham Pharmacia社)を用いて配列決定した。
【0088】
細胞培養、トランスフェクション、及びルシフェラーゼアッセイ − U937(ヒト単球)細胞、U2OS(ヒト骨肉腫)細胞、MDA−MB−435(ヒト転移性乳癌)細胞、及びMCF−7(ヒト乳癌)細胞は、サンフランシスコのカリフォルニア大学の細胞培養施設から入手した。U937細胞は、これまでに記載されているようにして維持し、これに対しU2OS細胞、MDA−MB−435細胞及びMCF−7細胞は、5%のウシ胎児血清、2mMグルタミン、50単位/mlのペニシリン及び50μg/mlのストレプトマイシンを含んでいるフェノールレッド無含有ダルベッコの変性イーグル培地/F−12培地に維持し、継代培養した。実験のために、細胞を採取し、キュベットに移し、次いで3μgのレポータープラスミド及び1μgのERα又はERβ発現ベクターを使用して前記のようにしてBio−Rad社製gene pulserを用いて電気穿孔した。電気穿孔の後に、細胞を培地に再懸濁し、12ウエルのマルチプレートに1ml/ディッシュで平板培養した。この細胞を、E、ゲニステイン、ダイゼイン又はビオカニンA(Sigma−Aldrich社)で3時間処理し、その後に5ng/mlのTNF−α(R & D Systems社)に37℃で24時間曝露した。細胞を、200μlの1×溶解緩衝液で可溶化し、ルシフェラーゼ活性を市販のキット(Promega社)を使用して測定した。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェラー活性の最大値半値誘導(EC50)又は最大値半値阻害(IC50)を生じるのに必要なホルモンの濃度を、Prism曲線適合プログラム(Graph Pad Software社、version 2.0b)を用いて算出した。増殖研究のために、親細胞MCF−7細胞を、0.1nMのEの存在下で細胞1個/ウエルでサブクローン化し、最も早く増殖したクローンを実験用に選択した。これらの細胞は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって測定されるように、もっぱらERαを発現した。これらの細胞を、3%剥離ウシ胎児血清を含む組織培養培地に、細胞25,000個/35mmプレートの密度で、2重反復で平板培養した。平板培養した翌日に、細胞を、E又はゲニステインの濃度を上昇させながら処理した。培地は、1日おきに交換し、E又はゲニステインをその培地に加えた。8日後に、細胞を、コールター細胞計数器を用いて計数した。図に示した全ての実験は、少なくとも3回行い、データは実験同士の間でほぼ同様であった。
【0089】
ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の調製:ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の試料を、市販の電気薬草粉砕機を用いて粉砕した。5gを秤量し、a)50mlの100%EtOH又はb)50mlの蒸留HOに75℃で45分間煮て抽出した。次いで、抽出物(a及びb)をデカントし、可溶性物質のみを使用した。
【0090】
結果:U2OS骨細胞における選択的エストロゲン受容体調節活性は、ルシフェラーゼアッセイによって測定した。U2OS骨肉腫細胞に、最小チミジンキナーゼ(tk)プロモーターの上流の標準的ERE(ERE−tk−Luc)と、ヒトERα又はERβの発現ベクターとを同時に移入した。エストラジオール(E)は、移入されたERE−tk−Luc遺伝子を、ERα又はERβの存在下で活性化した(前者に関してはより大きい程度まで活性化した)(図3)。それに比べて、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の存在下では、ERβによるERE−tk−Lucの活性化は、ERαによる活性化よりもはるかに大きかった(図4)。ERβは、1μL/mlのユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.を用いて4.67倍のERE−tk−Luc活性化を生じ、ERαに関しては1μl/mlを用いて4.03倍のERE−tk−Luc活性化を生じた。図4参照。ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物は、ERβの存在下でERE−tk−ルシフェラーゼ転写物によるルシフェラーゼの発現を刺激する。この効果は、選択的ERβ拮抗薬ICI、ラロキシフェン及びタモキシフェンの抽出物との同時投与によって弱められる。図5。これらの結果は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.が、ERβと直接に相互作用することによってERE−tk−Lucを活性化することを示す。ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.がER陽性の癌細胞の増殖を刺激しないことを実証するために、MCF−7細胞を、エストラジオール(E2)又はユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物の存在下でインキュベートした。図6で認めることができるように、E2は、MCF−7細胞においてH−チミジンの取り込みを著しく増大し、E2がDNAの複製及び細胞分裂を刺激することを示す。それに比べて、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物は、MCF−7細胞においてH−チミジンの強力な増大を誘発しない。この実験は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物が、生物において陽性のERβ依存性エストロゲン作用を誘発するのに使用でき、同時にER陽性の癌細胞の増殖の刺激のようなホルモン補充療法の欠点を回避することを裏付けている。
【0091】
転写抑制に対するユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の効果を調べるために、TNF−αプロモーター〔TNF−α−応答要素(TNF−RE)〕の−125から−82の領域を、この領域がTNF−α活性化及びE抑制に介在することから使用した。Eは、移入されたERα又はU2OS細胞におけるERαによる最小tkプロモーターの上流のTNF−RE(TNF−RE−tkLuc)のTNF−α活性化の十分な抑制を生じた。Eは、ERβに関してはTNF−α活性を消滅させることができる(100%抑制)が、ERαに関してはTNF−α活性を消滅させることができない(73.3%抑制)。ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.は、ERβ(109.6%)及びERα(102.8%)の存在下でTNF−REのTNF−α活性化の大きな抑制を生じた。これらの結果は、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.が、ERβ及びERαと直接に相互作用することによってTNF−RE−tk−LucによるTNF−α活性化を抑制することを示す。
【0092】
これらの実験において、エストロゲン活性に有効であるユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物の最小用量は、1.2μgである。しかし、他の細胞系ではこの数値は変動し得ると予想される。乾燥抽出物約0.1〜10μgの範囲内の値が、この薬草について典型的な値であると考えられる。
【実施例5】
【0093】
実施例5:非盲検用量増加投与試験
ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物(治験薬)の安全性及び最大耐量(MTD)を評価するために、以下のプロトコールを実施する。
【0094】
治験薬は、適当な大きさのゼラチンカプセルに、ユリ科のAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物を1mg(1週目)、10mg(2週目)、100mg(3週目)又は1000mg(4週目)含有する。(以下、ユリ科のハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bge.の抽出物を、「治験薬」と呼び得る)。前記用量は、必要に応じて2個又はそれ以上のゼラチンカプセルに分割してもよい。18歳〜60歳の標準的な健常ボランティアに、1週目については治験薬を1日当たり1mg投与し、2週目については治験薬を1日当たり10mg投与し、3週目については治験薬を1日当たり100mg投与し、4週目については治験薬を1日当たり1000mg投与する。被検体は、何らかの有害事象の出現について監視される。いかなる時にも、被検体が現行の用量に耐えられないように見える場合には、担当医療スタッフがこのような不耐性に注目するであろう。最大耐量は、被検体のそれぞれが前記用量に耐える最大用量とみなされるか、又は被検体が不耐容を経験しない場合には、1日当たり治験薬1000mgとみなされる。
【実施例6】
【0095】
実施例6:二重盲検有効性試験
エストロゲン性疾患の治療のための治験薬の有効性を実証するために、以下の二重盲検試験を行う。
【0096】
目的:ほてり(hot flushes)(hot flashesとしても知られている)の治療のためにERβ選択性中国薬草抽出物(治験薬)の最適用量及び安全性並びに有効性を調べること
【0097】
方法:1日当たり少なくとも7回又は1週当たり50回の中等度〜重度のほてりを報告する40〜60歳の概して健康な閉経後の女性100〜300人の多施設無作為盲検第II相プラセボ対照試験。女性を、12週間の治験薬1日当たり5g(SG5)又は10g(SG10)あるいは同一プラセボ(PG)に無作為に割り当てる。ほてりの頻度及び重症度を、日誌(daily diary)に記録する。
【0098】
結果:参加者は、平均年齢及び人種によって特徴付けられる。治験薬とプラセボの両方の投与を受ける参加者はまた、12週間の処置後のほてり頻度の%減少率(±S.D.及びp値)によって特徴付けられる。子宮内膜の厚みは、各参加者及び各群(全体、PG、SG5、SG10)について評価される。有害事象もまた、各参加者及び各群(全体、PG、SG5、SG10)について評価される。
【0099】
結論:評価は、健常な閉経後の女性のほてりの頻度及び重症度の低減並びに用量漸減効果に基づく。
方法
【0100】
設計及び設定:これは、治験薬が安全であり且つほてりの頻度及び重症度の低減に有効であるか否かを調べるために設計された多施設無作為盲検プラセボ対照試験である。この試験は、独立した第三者機関〔コーディネーティング・センター(Coordinating Center)〕によって調整され、参加者は多数の臨床現場で採用される。
【0101】
参加者:有資格参加者は、1日当たり少なくとも7回又は1週当たり50回の中等度〜重度のほてりを報告した40〜60歳の概して健康な閉経後の女性である。除外される女性:乳癌、子宮癌又は卵巣癌;黒色腫;静脈血栓塞栓症;心臓血管疾患、又は重度の食物及び薬物アレルギーの履歴を有する女性。また、活動性の肝疾患又は胆嚢疾患;異常子宮出血;妊娠又は授乳を報告する女性、及び癌を疑わせる異常な乳房X線撮影像、乳房検査、スミア診又は骨盤検査を有する女性も除外される。経膣超音波試験で測定される5mmを超える厚みの子宮内膜を有する女性及びほてりに影響及ぼすことが知られているか又は疑われる薬剤(エストロゲン類、タモキシフェン、ラロキシフェン、プロゲスチン、選択性セロトニン再取り込み阻害剤又はガバペンチン)を使用している女性も除外される。
【0102】
スクリーニングにおいて、プラセボの投薬並びにほてり、出血及び服薬アドヒアレンスを記録するための日誌が、1週導入期間に提供される。日誌を正確に記入し終え、少なくとも80%のプラセボ投薬を受け、身体検査、放射線検査及び臨床検査のスクリーニング後に依然として資格がある参加者が、無作為化される。
【0103】
薬物安全性は、データ安全性監視委員会(Data Safety and Board)によって評価される。
【0104】
データ収集:データは、調整センター(Coordinating Center)によって収集され、処理され、解析される。
【0105】
無作為化:無作為化は、最終月経期後経過時間(≦24ヶ月と>24ヶ月)及び臨床現場によって階層化される。層内において、治療は、1:1:1の比率において3〜6の無作為置換ブロック法で無作為に割り当てられる。調整センターの調査薬剤師は、Bionovo,Inc.社(エメリービル、カリフォルニア州)から治験薬を受け入れ、調整センターの統計学者によって作成された治療識別番号をラベルに適用し、治験薬を各臨床現場に発送する。治験薬は、無作為化スキームに従って連続的に有資格参加者に割り振られる。
【0106】
治験投薬及び盲検:治験薬を濾過し、本明細書に記載のようにして薬草の抽出物を乾燥した。米国食品医薬品局によって承認されたカルメル(Carmel)着色剤及び食品色素を、乾燥粉末に加えて均一な色を得、薬草の風味を覆い隠すために香味料及び甘味料を加える。同様の着色剤及び風味賦形剤を不活性固形希釈剤に加えて、活性薬剤と同じ外観、風味及び粒度を有するプラセボ粉末を得る。
【0107】
参加者は、粉末として包装されているプラセボか又は治験薬の前記2つの用量のうちの一つを受け取り、その小さな包みの内容物を少なくとも3オンスの非柑橘系液体に溶解し、得られる飲物を1日に2回飲むように指示される。全ての調査員、試験スタッフ、検査技師及び参加者は、治験投薬状況が分からなくされる(blinded)。
【0108】
測定:基準時すなわち治療開始前に、参加者は、個体群統計、健康診断、履歴、投薬、生活の質、更年期症状、不眠症(不眠重症度指標)及び性機能〔女性性機能指標(Female Sexual Function Index)〕に関するアンケートの記入を完成する。全ての参加者は、身体検査、例えば血圧及び心拍数、乳房及び骨盤検査を受け、また子宮摘出を受けていない女性は、子宮内膜二重壁厚を測定する経膣超音波を受ける。安全性を評価するために、各患者について血清血液学検査、クレアチン及び尿窒素検査、肝機能検査、並びに尿検査が行われる。全ての基準測定は、12週の治療後に又は最終試験診療時に反復される。
【0109】
ほてりの頻度及び重症度は、前の試験で広く使用された日誌を手本にして作られた日誌に記録される。7日目の日誌は、無作為化の前及び治験投薬の4週及び12週の間に記入される。それぞれのほてりについて、重症度は、1(軽度)、2(中等度)又は3(重度)と評価される。ほてりスコアは、それぞれのほてりの重症度評点を合計し、ほてりの数で除算することによって算出される。
【0110】
さらに、治験投薬の際に、参加者に2週目及び8週目に接触し(電話で又は病院で)、アドヒアレンス及び有害事象を監視するために4週目に来診させた。投薬の小さい包みは、アドヒアレンスを評価するために個数が数えられ、有害事象が記録される。
【0111】
治験投薬中断後4週目に、各参加者に有害事象に関する情報を確認するために電話で接触する。自己報告された有害事象を、医薬品規制用語集Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)の体系を使用して分類する。
【0112】
参加者が膣内点状出血又は出血を報告する場合、あるいは経膣超音波検査によって測定される最終子宮内膜壁厚が5mmを超えるか又は基準から2mm以上増大している場合には、診断子宮内膜生検が試験中に行われる。2人の盲検病理学者が、生検試料を、もしあるならば独立して評価する。この病理学者が組織学に関して同意しない場合には、別の第三の盲検病理学者がスライドを検査し、最終診断する。
【0113】
統計分析:参加者180人の試料を評価して、基準時から12週までのほてりの頻度の%変化において20%ポイントの群間差を検出する80%能力(power)を得る。
【0114】
全ての分析は、無作為化割付に従って、アドヒアレンスに関係なく及び欠損値に帰するか又は欠損値を繰り越すことなく処理する目的によるものである。多数の試験について調整は行われない。参加者の基準特性値は、直線回帰又はロジスティック回帰あるいは臨床施設及び閉経後経過年数について調整する比例オッズモデルを使用して比較される。
【0115】
一次分析は、治験薬群(SG5及びSG10)のそれぞれとプラセボ(PG)との間のほてりの頻度及びほてりスコアの基準から4週及び12週までの変化を比較する。得られた結果は右に裾を引いていたので、時間(4週及び12週 対 基準)、治療、及び時間と治療との相互作用、並びに臨床施設及び閉経後経過年数に関する項(terms)を用いた反復測定log−link Poisson一般化線形モデルが使用される。二次結果(生活の質、性機能及び不眠症スコア)の一次分析は、同様の方法を使用する。
【0116】
二次分析において、ANCOVAを使用し、治療群とプラセボ群の間のほてりの回数の順位(rank)変換%変化を比較するために現場及び閉経後経過時間を調整する。臨床現場及び閉経後経過年数について調整されたロジスティック回帰モデルを使用して、基準から12週までの50%以上のほてりの頻度の減少を有する各処置群の割合を比較する。
【0117】
治療群のいずれかの3%以上で生じる有害事象の頻度を、処置群同士の間で、適切な場合にはカイ二乗法及び厳密法を使用して比較し、臨床現場及び閉経後経過年数によって階層化される。
予め特定された予備分析において、年齢(45〜50歳;50〜55歳;55〜60歳)、民族性(白人、その他)、閉経後経過年数(2年未満;2年又はそれ以上)、両側の卵巣摘出(有り、無し)、エストロゲン使用の履歴(有り、無し)、喫煙(現行、以前に有り又は全く無い)、現行アルコール使用(有り、無し)、体重指数(三分位数)、基本血清エストラジオール濃度(5pg/ml以下;6pg/ml以上)、及びほてりの基準頻度(三分位数)を含むサブグループの治療効果(12週でのほてりの%変化)の差を調べるのに相互作用項が使用される。
結果
【0118】
結果は、無作為化される有資格女性の人数、各群(PG、SG5、SG10)の女性の人数、試験全体を終えている参加者及び各群及び階層の参加者の人数、参加者全体の人数及び割り当てられた投薬全部を服用する各群の人数、白人及び非白人参加者全体の人数及び各群の人数、ほてりの基準中央値及び平均1日当たり頻度(±S.D.、p)、中央値及び平均1日当たりほてりスコア(±S.D.、p)、ほてり頻度の中央値及び平均変化(±S.D.、p)並びに各評価間隔での中央値及び平均ほてりスコア(±S.D.、p)を含む。
【0119】
また、プラセボと比較して生活の質、睡眠の質及び性機能の測定に対する治験薬による治療の効果も評価される。
【0120】
基準時及び試験の終了時の経膣超音波検査を受ける参加者の人数も記録される。試験の終了時に子宮内膜超音波検査を受ける参加者の人数も記録される。基準時及び12週時の平均子宮内膜厚み(±S.D.)が測定される。必要と思われる場合には、子宮内膜の生検も行われる。膣内出血又は点状出血を報告する参加者の人数も記録される。また、子宮内膜の生検は、承諾としてこれらの参加者の多くが同意する場合である。前記生検は、子宮内膜の過形成及び癌の形跡について評価される。
【0121】
試験中の何らかの重大な有害事象もまた、記録される。
考察
【0122】
治験薬による治療は、中等度〜重度の症状を有する健常な閉経後の女性のほてりの頻度及び重症度を低下させると考えられる。この試験の結果は、治験薬を、同じ用量又はそれよりも多い用量の治験薬を試験し得るさらなる臨床試験に進めるために使用し得る。
【0123】
また、治験薬が選択性ERα作動薬であるので、エストロゲン補充療法に付随する有害事象、例えば子宮内膜増殖症及び癌は、治験薬について観察されるべきでないと考えられる。
【0124】
エストラジオールは閉経期のほてりの有効な治療法であるが、現在承認されている選択性エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)タモキシフェン及びラロキシフェンは、閉経期のほてりの発生を高める。エストラジオールもSERMもエストロゲン受容体サブタイプ選択性ではないので、ERα又はERβのどちらのエストロゲン受容体がこれらの作用に介在するかは明らかではない。ヒト乳癌細胞におけるエストロゲンによるERαの活性化は、増殖及び腫瘍形成を招き、これに対してERβの活性化は、増殖阻止をもたらし且つ腫瘍を形成しないことが明らかにされている。この試験は、ほてりが治験薬によって軽減される得る事を実証するデータを得るために設計される。この試験は、さらに、治験薬に付随し得る有害事象に関する予備データを得るためにさらに設計される
【0125】
結論:
治験薬による治療は、健常な閉経後の女性においてほてりの頻度及び重症度を減少させると予想される。また高投与量の治験薬は、低投与量よりも有効であると予想される。この試験は、さらに、ERβ経路がほてりの治療において役割を果たし得るというさらなる確認を提供すると予想される。
【0126】
本発明をある一定の実施形態及び実施例に関して例証したが、当業者にはその他の実施形態が本発明の範囲内において構想されることが認識されるであろう。
【0127】
本発明の好ましい実施形態を本明細書で示し、説明したが、このような実施形態が単なる例として提供されることは、当業者には明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の改変、変化及び置換を思い付くであろう。本発明の実施において本明細書に記載される本発明の実施形態の種々の代替を使用し得ることが、理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義すること及びそれによってこれらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにこれらの均等物が保護されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユリ科の分類学上のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.から選択される植物種の抽出物を含有する植物抽出物組成物。
【請求項2】
前記抽出物が水性抽出物、エタノール抽出物、精製抽出物又は分配抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抽出物がエタノール抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
医薬の製造において使用するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記医薬がエストロゲン作用をもつ、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記エストロゲン作用が、少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防すること;骨粗鬆症を治療又は予防すること;子宮癌を治療又は予防すること;及び心臓血管疾患を治療又は予防すること;からなる群から選択される少なくとも1つの作用である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記エストロゲン作用が、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁及びうつ病を治療又は予防することからなる群から選択される少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エストロゲン作用が骨粗鬆症を治療又は予防することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エストロゲン作用がほてりを治療又は予防することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記エストロゲン作用が子宮癌又は乳癌を治療又は予防することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記エストロゲン作用が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを上昇させることを含まない、請求項4〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記エストロゲン作用が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを低下させることを含む、請求項4〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
医薬を製剤するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
前記医薬がエストロゲン作用をもつ、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記エストロゲン作用が、少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防すること;骨粗鬆症を治療又は予防すること;子宮癌を治療又は予防すること;及び心臓血管疾患を治療又は予防すること;からなる群から選択される少なくとも1つの作用である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記エストロゲン作用が、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁、頭痛及びうつ病からなる群から選択される少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防することを含む、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記エストロゲン作用が、骨粗鬆症を治療又は予防することを含む、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記エストロゲン作用がほてりを治療又は予防することを含む、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記エストロゲン作用が子宮癌又は乳癌を治療又は予防することを含む、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
前記医薬が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクの統計学的に有意な上昇を引き起こさない、請求項13〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記医薬が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクの低下を引き起こす、請求項13〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
患者にエストロゲン有効量の請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物を投与することからなる、患者においてエストロゲン作用を誘発させる方法。
【請求項23】
前記抽出物が水性抽出物、エタノール抽出物、精製抽出物又は分配抽出物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抽出物がエタノール抽出物である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記エストロゲン作用が、少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防すること;骨粗鬆症を治療又は予防すること;子宮癌を治療又は予防すること;及び心臓血管疾患を治療又は予防すること;からなる群から選択される少なくとも1つの作用である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記エストロゲン作用が、ほてり、不眠症、膣乾燥、性欲減退、尿失禁及びうつ病を治療又は予防することからなる群から選択される少なくとも1つの更年期症状を治療又は予防することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記エストロゲン作用が骨粗鬆症を治療又は予防することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エストロゲン作用がほてりを治療又は予防することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記エストロゲン作用が子宮癌を治療又は予防することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記エストロゲン作用が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを上昇させることを含まない、請求項22〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記エストロゲン作用が、乳腺過形成、乳腺腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮腫瘍、子宮頸管過形成、子宮頸管腫瘍、卵巣過形成、卵巣腫瘍、卵管過形成、卵管腫瘍のリスクを低下させることを含む、請求項22〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
エストロゲン応答要素の制御下で遺伝子を活性化させる方法であって、前記遺伝子に操作により連結されたエストロゲン応答要素と、エストロゲン受容体とを有する細胞に、前記遺伝子を活性化させるのに十分な量の請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物を投与することからなる、方法。
【請求項33】
前記細胞が生体外に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞が生体内に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞がERα+乳房組織内に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞がERβ+乳房組織内に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞がERα/ERβ+乳房組織内に存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記エストロゲン応答要素が形質転換細胞内で発現される、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記エストロゲン応答要素と前記エストロゲン受容体の両方が、形質転換細胞内で発現される、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記エストロゲン応答要素が前記細胞内で異種発現される、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記エストロゲン応答要素と前記エストロゲン受容体の両方が前記細胞内で異種発現される、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞が、ERE制御遺伝子を用いて形質転換されたU937細胞、U2OS細胞、MDA−MB−435細胞及びMCF−7細胞からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞がERαを発現する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞がERβを発現する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ERE制御遺伝子がERE−tk−Lucである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
TNF RE制御遺伝子の発現を抑制する方法であって、TNF応答要素の制御下の遺伝子と、エストロゲン受容体とを含有する細胞に、前記TNF RE制御遺伝子を抑制するのに有効な量の請求項1に記載の組成物を投与することからなる、方法。
【請求項47】
前記TNF RE制御遺伝子がTNF−αである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記TNF RE制御遺伝子がTNF RE−Lucである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞が生体外に存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞が生体内に存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞がER+乳房組織内に存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記細胞がERα+乳房組織内に存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞がERβ+乳房組織内に存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記TNF応答要素が前記細胞内で内在発現される、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記TNF応答要素とエストロゲン受容体の両方が前記細胞内で内在発現される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記TNF応答要素が前記細胞内で異種発現される、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記TNF応答要素と前記エストロゲン受容体の両方が、前記細胞内で異種発現される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記細胞が、エストロゲン受容体遺伝子を含有し、TNF応答要素制御遺伝子を用いて形質転換され、且つU937細胞、U2OS細胞、MDA−MB−435細胞及びMCF−7細胞からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記エストロゲン受容体遺伝子が、ERαを発現する遺伝子である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記エストロゲン受容体遺伝子が、ERβを発現する遺伝子である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
ユリ科のハナスゲ種Anemarrhena asphodeloides Bge.の植物からある量の植物物質を得ることと、前記植物物質を、水、エタノール又はこれら両方を含有する抽出媒体と約25℃〜100℃の間の温度で接触させることと、前記抽出媒体を前記植物物質から分離することとからなる、請求項1に記載の植物抽出物を調製する方法。
【請求項62】
前記温度が約50℃〜80℃の間にある、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記温度が約75℃である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
精製抽出物又は分配抽出物を形成するために、前記抽出物をさらに精製又は分配することからなる、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記精製又は分配を1つ又はそれ以上のクロマトグラフィーの工程で行う、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記クロマトグラフィーが、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー又はアフィニティークロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記クロマトグラフィーがイオン交換クロマトグラフィーであり、前記イオン交換クロマトグラフィーが陰イオン交換クロマトグラフィー又は陽イオン交換クロマトグラフィーである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記クロマトグラフィーが逆相クロマトグラフィーである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記クロマトグラフィーが順相クロマトグラフィーである、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記クロマトグラフィーが高速液体クロマトグラフィーである、請求項66〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記高速液体クロマトグラフィーが分取規模の高速液体クロマトグラフィーである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
さらに、前記抽出物を1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤と組み合わせて医薬を形成することからなる、請求項66〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記賦形剤が、1種又はそれ以上の希釈剤、1種又はそれ以上の甘味料、1種又はそれ以上の風味マスキング剤、あるいは1種又はそれ以上の香味料を含有する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記賦形剤が水、果実フレーバー及び甘味料を含む、請求項73に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−516579(P2011−516579A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504218(P2011−504218)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/040262
【国際公開番号】WO2009/126923
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(507200569)バイオノボ・インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】