ライゲーションアッセイを用いてハイスループットシークエンスに基づき遺伝子関連配列を検出する方法およびその方法を用いるキット
識別子を含有する多様なライゲーション可能なプローブを用いる、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイに基づき、一つ又は複数の試料中の一つ又は複数の標的配列の有無を検出する方法、及びその後の、ハイスループットシークエンシング技術を使用する、単位複製配列又はライゲートしたプローブ中の識別子を同定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学及びバイオテクノロジーの分野に関する。特に、本発明は、核酸検出の分野、より詳細には、核酸のハイスループット検出に使用され得るプローブ(の収集)に関する設計及び組成物に関する。本発明は、プローブ及び組成物を使用して核酸を検出する方法にも関する。本発明はさらに、対象とする標的配列を利用してハイブリダイズすることが可能なプローブ、ライゲートしたプローブの増幅用プライマー、広範な遺伝的形質及び遺伝子に関係するヌクレオチド配列の同定及び/又は検出におけるこれらのプローブ及びプライマーの使用、並びに本発明による方法における使用に好適なプライマー及び/又はプローブのキットを提供する。本発明により、人工物、植物、動物若しくはヒト起源であれ、又はそれらの組合せであれ、標的ヌクレオチド配列のハイスループット検出の分野における適用性が見出される。本発明により、ハイスループット遺伝子型同定の分野における特別な適用性が見出される。
【背景技術】
【0002】
特定の核酸配列の検出への関心が急速に増大している。この関心は、最近開示されたヒトゲノム及び多くの他のゲノムのヌクレオチド配列案、並びにその中、及び多くの他の生物のゲノムにおける、多量の一塩基多型(SNP)及び小さな挿入/欠失(インデル:indel)多型の存在からだけではなく、選択的増幅技術であるAFLP(増幅断片長多型)(登録商標)のようなマーカー技術、SNPWave(SNPの遺伝子型決定方法の一つ)、及び例えば遺伝学的遺伝性疾患の指標としての特定の核酸配列の検出の関連性についての一般的認識からも生じている。乳癌遺伝子「BRCA 1」の各種アレルを検出して、乳癌に対する感受性をスクリーニングすることは、多数の例の一つに過ぎない。遺伝子における一塩基置換及びインデルの存在が広範な情報を提供するという認識も、この関心の増大に起因している。現在は、概して、これらの一塩基置換が、例えばヒトにおけるかなりの数の単因子遺伝病及び多因子遺伝病の主な原因の一つであるか、又はそうでなければ植物及び家畜種における能力形質等、複雑な表現型の発現に関与していることが認識されている。したがって、一塩基置換はまた、多くの場合、ヒト、植物、及び動物種における重要な形質に関係するか、又はそれを少なくとも示す。
【0003】
これらの一塩基置換及びインデルの分析は結果として、可能な限り広い点で医学及び農業に対して広範囲に及ぶ意義を有する大量の有益な情報をもたらす。例えば、これらの発展が結果として患者特異的な薬物治療をもたらすことが概して想定されている。これらの遺伝的多型を分析するために、得られるデータの品質を大きく損なうことなく、多数の試料、及び多数の(主に)SNPのハイスループットな方法での処理を可能にする、十分、確実、且つ迅速な方法の必要性が増大している。既知の配列の核酸の分析に使用される主な方法の一つは、二つのプローブを標的配列とアニーリングすること、及びプローブが標的配列と隣接してハイブリダイズされると、プローブとライゲートすることに基づく。
【0004】
OLA原理(オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイ原理)は、とりわけ、米国特許第4,988,617号公報(Landegren et al.)(特許文献1)に記載されている。この刊行物には、既知の可能な変異を有する既知の核酸配列の領域における核酸配列を判定する方法が開示されている。変異を検出するには、オリゴヌクレオチドを選択して、判定すべき配列のすぐ近くの区間にアニーリングする。選択したオリゴヌクレオチドプローブの一つは末端領域を有し、ここで末端領域ヌクレオチドの一つは、既知の核酸配列における対応位置の正常ヌクレオチド又は変異ヌクレオチドのいずれかと相補的である。それらが正確に塩基対合され、互いにすぐ近くに配置されると二つのプローブを共有結合的に連結するリガーゼが提供される。結合プローブの有無又は量は、既知の配列及び/又は変異の存在を示す。
【0005】
OLA系技法の他の変形は、とりわけ、非特許文献1(Nilsson et al. Human mutation, 2002, 19, 410-415、Science 1994, 265: 2085-2088)、並びに、特許文献2〜29(米国特許第5,876,924号公報、国際公開第WO98/04745号公報、同第98/04746号公報、米国特許第6,221,603号公報、同第5,521,065号公報、同第5,962,223号公報、欧州特許第185494-B1号公報、米国特許第6,027,889号公報、同第4,988,617号公報、欧州特許第246864-B1号公報、米国特許第6,156,178号公報、欧州特許第745140-B1号公報、同964704-B1号公報、国際公開第WO03/054511号公報、米国特許第2003/0119004号公報、同第2003/190646号公報、欧州特許第1313880号公報、米国特許第2003/0032016号公報、欧州特許第912761号公報、同第956359号公報、米国特許第2003/108913号公報、欧州特許第1255871号公報、同第1194770号公報、同第1252334号公報、国際公開第WO96/15271号公報、同第97/45559号公報、米国特許第2003/0119004-A1号公報、および同第5,470,705号公報)に開示されている。
【0006】
OLA技法における特別な進歩は、キージーン(Keygene)(オランダ王国、ワーゲニンゲン)によって報告されている。特許文献30〜33(国際公開特許第WO2004/111271号公報、国際公開特許第WO2005/021794号公報、国際公開特許第WO2005/118847号公報、及び国際公開特許第WO03/052142号公報)には、オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイの信頼性を改善した幾つかの方法及びプローブ設計が記載されている。これらの出願にはさらに、達成され得る、多重レベルでの重要な改善が開示されている。しかしながら、上記刊行物はすべて、電気泳動系検出方法又はアレイ系検出方法に基づくことを欠点に持つ。さらなる欠点は使用されるプローブ長の幅広い変化であり、これは、あまり一定しない増幅につながるおそれがある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,988,617号公報
【特許文献2】米国特許第5,876,924号公報
【特許文献3】国際公開第WO98/04745号公報
【特許文献4】国際公開第WO98/04746号公報
【特許文献5】米国特許第6,221,603号公報
【特許文献6】米国特許第5,521,065号公報
【特許文献7】米国特許第5,962,223号公報
【特許文献8】欧州特許第185494号B1公報
【特許文献9】米国特許第6,027,889号公報
【特許文献10】米国特許第4,988,617号公報
【特許文献11】欧州特許第246864号B1公報
【特許文献12】米国特許第6,156,178号公報
【特許文献13】欧州特許第745140号B1公報
【特許文献14】欧州特許第964704号B1公報
【特許文献15】国際公開第WO03/054511号公報
【特許文献16】米国特許第2003/0119004号公報
【特許文献17】米国特許第2003/190646号公報
【特許文献18】欧州特許第1313880号公報
【特許文献19】米国特許第2003/0032016号公報
【特許文献20】欧州特許第912761号公報
【特許文献21】欧州特許第956359号公報
【特許文献22】米国特許第2003/108913号公報
【特許文献23】欧州特許第1255871号公報
【特許文献24】欧州特許第1194770号公報
【特許文献25】欧州特許第1252334号公報
【特許文献26】国際公開第WO96/15271号公報
【特許文献27】国際公開第WO97/45559号公報
【特許文献28】米国特許第2003/0119004号A1公報
【特許文献29】米国特許第5,470,705号公報
【特許文献30】国際公開第WO2004/111271号公報、
【特許文献31】国際公開第WO2005/021794号公報、
【特許文献32】国際公開第WO2005/118847号公報
【特許文献33】国際公開第WO03/052142号公報
【特許文献34】国際公開第WO99/14226号公報
【特許文献35】国際公開第WO00/56748号公報
【特許文献36】国際公開第WO00/66604号公報
【特許文献37】国際公開WO01/25478号公報
【特許文献38】欧州特許第0974672−A号公報
【特許文献39】欧州特許第0534858号公報
【特許文献40】米国特許第5,476,930号公報
【特許文献41】国際公開第WO01/61033号公報
【特許文献42】欧州特許第185494号公報
【特許文献43】米国特許第5692223号公報
【特許文献44】国際公開第WO03054311号公報
【特許文献45】国際公開第WO00/77260号公報
【特許文献46】米国特許第5185243号公報
【特許文献47】欧州特許第439182号公報
【特許文献48】欧州特許第320308号公報
【特許文献49】国際公開第WO90/01069号公報
【特許文献50】欧州特許第534858号公報
【特許文献51】国際公開第WO03/004690号公報
【特許文献52】国際公開第WO03/054142号公報
【特許文献53】国際公開第WO2004/069849号公報
【特許文献54】国際公開第WO2004/070005号公報
【特許文献55】国際公開第WO2004/070007号公報
【特許文献56】国際公開第WO2005/003375号公報
【特許文献57】国際公開第WO0006770号公報
【特許文献58】国際公開第WO0027521号公報
【特許文献59】国際公開第WO0058507号公報
【特許文献60】国際公開第WO0123610号公報
【特許文献61】国際公開第WO0157248号公報
【特許文献62】国際公開第WO0157249号公報
【特許文献63】国際公開第WO02061127号公報
【特許文献64】国際公開第WO03016565号公報
【特許文献65】国際公開第WO03048387号公報
【特許文献66】国際公開第WO2004018497号公報
【特許文献67】国際公開第WO2004018493号公報
【特許文献68】国際公開第WO2004050915号公報
【特許文献69】国際公開第WO2004076692号公報
【特許文献70】国際公開第WO2005021786号公報
【特許文献71】国際公開第WO2005047301号公報
【特許文献72】国際公開第WO2005065814号公報
【特許文献73】国際公開第WO2005068656号公報
【特許文献74】国際公開第WO2005068089号公報
【特許文献75】国際公開第WO2005078130号公報
【非特許文献1】ニルソン他(Nilsson et al.)共著「Human mutation」 2002, 19, 410-415;Science 1994, 265: 2085-2088
【非特許文献2】ファンアイック他(Van Eijk et al)共著「Nucleic Acids Research」 2004, 32, e47
【非特許文献3】マインコス他(Meinkoth et al.)共著「Anal. Biochem」 1984, 138: 267-284
【非特許文献4】イアンノン他(Iannone et al.)共著「Cytometry」 2000, 39: pp. 131-140
【非特許文献5】サムブルックとラッセル(Sambrook and Russel)共著「分子クローニング:実験マニュアル(第3版)(Molecular Cloning: A Laboratory Manual(3rd edition))」 Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001
【非特許文献6】シュー他(Xu et al.)共著「Nucleic Acid Res.」27: 875-81(1999)
【非特許文献7】グリヤズノフとレッツインガー(Gryaznov and Letsinger)共著「Nucleic Acid Res.」 21: 1403-08(1993)
【非特許文献8】グリャズノフ他(Gryaznov et al.)共著「Nucleic Acid Res.」 22: 2366-69(1994)
【非特許文献9】カナヤとヤナガワ(Kanaya and Yanagawa)共著「Biochemistry」 25: 7423-30(1986)
【非特許文献10】リュプケとダーヴァン(Luebke and Dervan)共著「Nucleic Acids Res. 」20: 3005-09(1992)
【非特許文献11】シーバースとフォンキードロウスキー(Sievers and von Kiedrowski)共著「Nature」 369: 221-24(1994)
【非特許文献12】リューとテイラー(Liu and Taylor)共著「Nucleic Acids Res.」 26: 3300-04(1999)
【非特許文献13】ワンとクール(Wang and Kool)共著「Nucleic Acids Res.」 22: 2326-33(1994)
【非特許文献14】パーマル他(Purmal et al.)共著「Nucleic Acids Res.」 20: 3713-19(1992)
【非特許文献15】アッシュレーとクシュラン(Ashley and Kushlan)共著「Biochemistry」 30: 2927-33(1991)
【非特許文献16】チューとオーゲル共著(Chu and Orgel)「Nucleic Acids Res.」 16: 3671-91(1988)
【非特許文献17】ソコロバ他(Sokolova et al.)共著「FEBS Letters」 232:153-55(1988)
【非特許文献18】ネイラーとギルハム(Naylor and Gilham)共著「Biochemistry」 5:2722-28(1966)
【非特許文献19】ウーとウォレース(Wu and Wallace)共著1989, Gene 76: 245-254
【非特許文献20】アウスベル他(Ausubel et al.、)共著「分子生物学における現行のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons, Inc.(1995)
【非特許文献21】ヴォス他(Vos et al.)共著「Nucleic Acids Res」23: 4407-4414 (1995)
【非特許文献22】セオ他(Seo et al.)共著「Proc. Natl. Acad. Sci.」 USA 101:5488-93(2004)
【非特許文献23】バイオタージ(Biotage(スエーデン))ホームページ「ピロシークエンシング」 インターネット URL:http://www.pyrosequencing.com 2008年検索
【非特許文献24】ソレクサ(Solexa(英国))ホームページ「ソレクサ」 インターネット URL:http://www.solexa.co.uk
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当該技術分野において既知の各種ライゲーションプローブ種別及び検出方法の、利点を組み合わせ、且つ特定の欠点を回避するオリゴヌクレオチドプローブに対する継続的必要性があることは明らかである。さらなる利点を有するプローブを提供することによって技術をさらに改善する必要性もある。本発明の目標の一つは、かかるプローブを提供することである。本発明の別の目標は、本明細書中で前述した既知のプローブの欠点を回避することである。本発明のさらなる目標は、ハイスループットで検出する方法に好適なプローブを提供することである。また、本発明の目標は、好ましくはオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイを実施することによって、標的ヌクレオチド配列を検出するための、効率的、確実且つ/又はハイスループットな方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、同時にその多くの有利な態様の維持を試みながら、当該技術分野における既存の問題を排除するか、又は少なくとも減らし、且つ技術をさらに改善することに取りかかった。当該技術分野における他の問題、及び本発明によってそれに対して提供される解決手段は、本明細書中に記載の明細書、図面及び各種実施の形態の全体を通して明確になる。
【0010】
本発明者らは、新規のハイスループットシークエンシング技術を、オリゴヌクレオチド・ライゲーション系アッセイの汎用性と組み合わせることができた。特に、本発明は、オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイ(OLA)に基づく、標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法に関する。ここで、ライゲーションアッセイで使用されるプローブは、ハイスループットシークエンシング法を使用して、一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列量の当面の不足分が明瞭に現れ得るように修飾される。
【0011】
こうして、本発明者らは、試料中の各標的配列の検出、及びその後の、ハイスループットシークエンシング法による、ライゲーション工程及び増幅工程後の識別子検出のためにOLAアッセイで使用されるプローブのうち少なくとも一つに、ユニークなオリゴヌクレオチド識別子を組み込むことによって、既存技術の非常に効率的で確実な改善が提供されることを見出した。当該技術分野において既知のプローブとは対照的に、直鎖であれ、環化可能であれ、本発明の方法で使用されるプローブはすべて、同一又は非常に類似した長さを有し得る。この均一な長さは、ライゲートしたプローブが増幅される場合、すべてのライゲートしたプローブについての増幅効率が類似するので有利である一方、異なる長さでライゲートしたプローブに関しては、増幅効率が大きく異なり得ることが観察されているので、全体としてアッセイの信頼性が損なわれる。また、均一な長さにより、識別子がすべてのライゲートしたプローブに対して同一位置に位置するので、検出が容易となる。このようにOLAアッセイを改善することによって、特定の標的配列に対する設計が容易であり、標的配列又は試料を確実に判別可能であり、且つハイスループットで高度に多重化された様式で実施され得るという、一段と均一なアッセイの提供を大きく前進させることとなる。
【0012】
或る特定の実施の形態において、一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法が提供される。或る特定の実施の形態において、本方法は、一つ又は複数の試料に由来し得る、一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列のハイスループット検出を提供する。或る特定の実施の形態において、本方法は、各標的ヌクレオチド配列に、第1のプローブ及び第2のプローブを提供することを含む。
【0013】
或る特定の実施の形態において、第1のプローブは、その3ダッシュ末端(3プライム末端:3'end)に標的特異的区間を含む。或る特定の実施の形態において、第1のプローブはさらに、第1のタグ区間を含む。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間は標的ヌクレオチド配列と非相補的である。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間はさらに、第1のプライマー結合配列を含む。
【0014】
或る特定の実施形態では、第2のプローブは、その5ダッシュ末端(5プライム末端:5'end)に第2の標的特異的区間を含む。或る特定の実施の形態において、第2のプローブは第2のタグ区間を含む。或る特定の実施の形態において、第2のタグ区間は標的ヌクレオチド配列と非相補的である。或る特定の実施の形態において、第2のタグ区間はさらに、第2のプライマー結合配列を含む。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間又は第2のタグ区間は識別子配列を含有する。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間及び第2のタグ区間は共に、識別子配列を含有する。或る特定の実施の形態において、識別子配列は、第1のプライマー結合配列と、第1の標的特異的配列との間に位置する。或る特定の実施の形態において、識別子配列は、第2のプライマー結合配列と、第2の標的特異的配列との間に位置する。
【0015】
或る特定の実施の形態において、第1のプローブ及び第2のプローブは、試料中の標的配列とハイブリダイズすることが可能である。プローブの第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間はそれぞれ、好ましくは標的配列上の本質的に隣接する区間とハイブリダイズするが、幾つかの実施の形態では、二つの区間の間にギャップが存在し得る。或る特定の実施の形態において、第1のプローブ及び第2のプローブは、ライゲート、即ち、互いに連結する。第1のプローブ及び第2のプローブのライゲーションにより、ライゲートしたプローブが得られる。
【0016】
或る特定の実施の形態において、ライゲートしたプローブは増幅されて、単位複製配列を提供する。或る特定の実施の形態において、一つ又は複数のプライマーが増幅で使用される。或る特定の実施の形態では、第1のプライマー、或る特定の実施の形態では、第2のプライマーが増幅に使用される。
【0017】
或る特定の実施の形態では、第1のプライマー、そして或る特定の実施の形態では第2のプライマーが使用可能であり、それは、独立して制限酵素認識部位を含有して、単位複製配列を提供することができる。その単位複製配列は、第1のプライマー、そして或る特定の実施の形態では第2のプライマーの中に認識部位が存在するそれぞれの制限酵素で消化される。第3のプライマー、そして或る特定の実施の形態では第4プライマーを、続けて消化した単位複製配列にライゲートすることにより、増幅用の鋳型を得ることができる。或る特定の実施の形態では、第3のプライマー及び第2のプライマーを、或る特定の実施の形態では、第3のプライマー及び第4プライマーを増幅の際に使用する。
【0018】
或る特定の実施の形態では、ライゲートしたプローブ、又は或る特定の実施の形態では、ライゲートしたプローブの増幅に由来する単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付して、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列のヌクレオチドの少なくとも一部を求める。或る特定の実施形態では、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付すことによって求める、ヌクレオチド配列の一部分(複数可)は、識別子配列(複数可)を少なくとも含む。
【0019】
或る特定の実施の形態において、試料中の標的ヌクレオチド配列の存在は、ヌクレオチド配列中の関連識別子配列の有無を判定することによって同定される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、上述したように、試料中の各標的配列の検出、及びその後の、ハイスループットシークエンシング法による、ライゲーション工程及び増幅工程後の識別子検出のためにOLAアッセイで使用されるプローブのうち少なくとも一つに、ユニークなオリゴヌクレオチド識別子を組み込むことによって、既存技術の非常に効率的で確実な改善が提供されることが見出された。当該技術分野において既知のプローブとは対照的に、直鎖であれ、環化可能であれ、本発明の方法で使用されるプローブはすべて、同一又は非常に類似した長さを有し得る。
【0021】
この均一な長さは、ライゲートしたプローブが増幅される場合、すべてのライゲートしたプローブについての増幅効率が類似するので有利である。また、均一な長さにより、識別子がすべてのライゲートしたプローブに対して同一位置に位置するので、検出が容易となる。このようにOLAアッセイを改善することによって、特定の標的配列に対する設計が容易であり、標的配列又は試料を確実に判別可能であり、且つハイスループットで高度に多重化された様式で実施され得るという、一段と均一なアッセイの提供を大きく前進させるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、第1の態様において、一つ又は複数の試料中の一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法であって、当該方法が、次の(a)から(f)までの工程を含む。
【0023】
工程(a)は、各標的ヌクレオチド配列に対して、第1のプローブ及び第2のプローブを提供する工程であって、第1のプローブが、その3ダッシュ末端の標的特異的区間、及び標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第1のプライマー結合配列を含む第1のタグ区間を含み、第2のプローブが、その5ダッシュ末端の第2の標的特異的区間、及び標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第2のプライマー結合配列を含む第2のタグ区間を含み、第1のタグ区間若しくは第2のタグ区間、又は両方が、第1のプライマー結合配列又は第2のプライマー結合配列のそれぞれと、第1の標的特異的区間又は第2の標的特異的区間のそれぞれとの間に位置する識別子配列を含有する、各標的ヌクレオチド配列に対して、第1のプローブ及び第2のプローブを提供し、
工程(b)は、第1のプローブ及び第2のプローブを標的配列とハイブリダイズさせ、
工程(c)は、上記第1のプローブ及び第2のプローブの標的特異的区間がそれぞれ、標的配列上の本質的に隣接する区間とハイブリダイズし、それによりライゲートしたプローブが得られる、ハイブリダイズする場合の、第1のプローブ及び第2のプローブをライゲートし、
工程(d)は、任意選択で、ライゲートしたプローブを第1のプライマー及び第2のプライマーで増幅する工程であって、単位複製配列が得られ、
工程(e)は、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付す工程であって、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列の識別子配列を少なくとも含む、ヌクレオチド配列の少なくとも一部を求める、ハイスループットシークエンシング技術に付し、
工程(f)は上記工程(e)のヌクレオチド配列中の識別子配列の有無を判定することによって、試料中の標的ヌクレオチド配列の存在を同定する。
【0024】
本方法は、対象とする配列を含有し得る一つ又は複数の試料(組み合わされるか、又はプールされ得る)の提供で開始する。本試料に対して、プローブの組を加え(各標的配列に対して、異なる組のプローブが提供され得る)、好適な条件下で、プローブの標的特異的区間を標的配列とハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション後、標的配列上で隣接してハイブリダイズした任意のプローブをライゲートして、ライゲートしたプローブを生成する。ライゲートしたプローブを増幅するか、又は代替的には合成によるシークエンシングに基づくハイスループットシークエンシング法を使用するシークエンシングに直接付すことができる。シークエンシング工程、及びその後の識別子の同定により、試料中の標的配列の存在を判定し、遺伝子型同定を完結させる。
【0025】
本発明の一態様は、本発明で使用されるプローブの有利な設計に関する。これらのプローブを、以下に、より詳細に説明する。本発明の別の有利な態様は、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイに対する検出プラットフォームとしての、現行の技術水準のハイスループットによるシークエンシング技術と、OLA系アッセイの判別力とを連結させることにある。現在既知のOLAアッセイとしては、長さ/移動度の分離に基づく検出プラットフォーム(即ち、電気泳動分析)、ハイブリダイゼーション(アレイ系)又は質量決定(質量分析/MALDI−TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法−飛行時間型))が考案されているのみである。その一方で、ハイスループットによるシークエンシングの検出プラットフォームで使用され得る好適なプローブは全く開発されていない。本出願人等は、プローブ設計における技術革新は別にして、ハイスループットによるシークエンシングを併用してOLAアッセイを実施する方法も、プローブと手順の両方に大きな修正を必要とすることを観察している。
【0026】
「標的ヌクレオチド配列」
その最広義において、標的配列は対象とする任意のヌクレオチド配列であり得る。標的配列は、例えば、或る特定の病気(aliment)又は遺伝子構造(genetic make up)又は疾患を示すか、これに関連するか、又はこれを表すので、標的配列の判定/検出が望まれる任意の配列であり得る。標的配列は、好ましくは、多型を含有するか、表すか、又はこれに関連するヌクレオチド配列である。本明細書における多型という語は、或る集団において、二つ以上の遺伝的に求められる代替的な配列又はアレルが生じることを指す。多型マーカー又は部位は、配列分散が生じる遺伝子座である。好ましいマーカーは、少なくとも二つのアレルを有し、それぞれ選択集団の1%を超える頻度で、より好ましくは、10%又は20%を超える頻度で生じる。多型遺伝子座は一つの塩基対と同じくらいの小ささであり得る。
【0027】
多型マーカーとしては、制限酵素断片長多型(RFLP)、可変数タンデム反復(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復、及びアル(Alu:反復DNA配列の一種)等の挿入要素が挙げられる。最初に同定されたアレル形態が基準形態として適宜指定され、他のアレル形態は代替又は変形アレルとして指定される。選択集団において最も頻繁に生じるアレル形態は野性型形態と称されることが多い。二倍体(及び四倍体/六倍体)はアレル形態に関してホモ接合又はヘテロ接合であり得る。二アレル多型は二つの形態を有する。三アレル多型は三つの形態を有する。一塩基多型は、アレル配列間の変化部位である、単一のヌクレオチドによって占有された多型部位で生じる。通常、アレルの高度に保存された配列(例えば集団の構成員の「1/100」又は「1/1000」未満で変化する配列)が部位の前後にある。一塩基多型は通常、多型部位での一つのヌクレオチドの別のヌクレオチドに対する置換のために起こる。一塩基多型は、基準アレルに対する、ヌクレオチドの欠失、又はヌクレオチドの挿入からも起こり得る。他の多型としては、インデルと称される、幾つかのヌクレオチドの(小さな)欠失又は挿入が挙げられる。現在記載されている方法を使用して、個々のDNA試料中に存在する特定の遺伝的バリエーション(多型)を分析するプロセスは、本願では、遺伝子型同定、又は一塩基多型の頭文字をとって、SNP遺伝子型同定と称することもある。
【0028】
「DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)」
核酸試料において、標的を含む核酸は対象とする任意の核酸であり得る。試料中の核酸は通常DNAの形態ではあるが、試料中に含有されるヌクレオチド配列情報は、例えば、RNA(RiboNucleic Acid)、ポリA+RNA、cDNA、ゲノムDNA、ミトコンドリア若しくは葉緑体DNA等のオルガネラDNA、合成核酸、DNAライブラリ(BAC(細菌人工染色体)ライブラリ/プールされたBACクローン等)、クローンバンク、又はそれらの任意の選択若しくは組合せを含む、核酸の任意の供給源由来であり得る。核酸試料中のDNAは二本鎖、一本鎖、及び一本鎖DNAに変性された二本鎖DNAであり得る。二本鎖配列の変性により二つの一本鎖断片が生じ、その一方又は両方はそれぞれの鎖に対して特異的なプローブによって分析され得る。好ましい核酸試料は、cDNA、ゲノムDNA、制限断片、アダプタとライゲートした制限断片、増幅したアダプタとライゲートした制限断片、AFLP(登録商標)断片、又はAFLP(登録商標)鋳型の前増幅で得られる断片上の標的配列を含む。
【0029】
「試料」
試料は、二つ以上の異なる標的配列を含有することが好ましい。即ち、二つ以上とは、試料中の標的配列の量ではなく同一性を指す。特に、試料は、少なくとも二つの異なる標的配列、特に、少なくとも100個、好ましくは少なくとも250個、より好ましくは少なくとも500個、より特に好ましくは少なくとも1000個、好ましくは少なくとも2500個、より好ましくは少なくとも5000個、また最も好ましくは少なくとも10000個のさらなる標的配列を含む。実際には、分析され得る試料中の標的配列の数は、とりわけ、検出され得る単位複製配列の数によって制限される。現在利用されている検出方法では、比較的多数の標的配列が可能である。
【0030】
「プローブ」
標的配列と相補的なオリゴヌクレオチドプローブの区間は、試料中の各標的配列に対して、一対の第1のプローブ及び第2のプローブが提供されることにより、プローブがそれぞれ、標的配列の一部と相補的な末端の区間(それぞれ、標的配列の第1の部分及び第2の部分)を含有し、且つ好ましくは、標的配列の対応する相補的部分が互いに本質的に隣接して位置するように設計される。
【0031】
或る特定の実施形態では、遺伝子座の異なるアレルに対応する、さらなる第1のプローブ及び/又は第2のプローブが提供され得る。或る特定の実施形態では、アレル特異的ヌクレオチドは、ライゲーションが生じる第1のプローブ又は第2のプローブのいずれかの位置に、即ち、標的特異的区間の末端に位置する(図1A参照)。
【0032】
或る特定の実施形態では、一対のオリゴヌクレオチドプローブ内において、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その5ダッシュ(リン酸基)末端に標的配列の第1の部分と相補的な区間を有し、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その3ダッシュ(水酸基)末端に標的配列の第2の部分と相補的な区間を有する。したがって、プローブ対が標的配列の相補的部分にアニーリングされると、第1のオリゴヌクレオチドプローブの5ダッシュ末端は、二つのプローブの末端がそれぞれライゲートされて、ホスホジエステル結合を形成するか、又は他の好適な様式で共有結合的に連結するように、第2のオリゴヌクレオチドプローブの3ダッシュ末端に本質的に隣接する。或る特定の実施形態では、一対のオリゴヌクレオチドプローブ内において、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その3ダッシュ末端に、標的配列の第1の部分と相補的な区間を有し、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その5ダッシュ末端に、標的配列の第2の部分と相補的な区間を有する。したがって、プローブ対が標的配列の相補的部分にアニーリングされると、第1のオリゴヌクレオチドプローブの3ダッシュ末端は、二つのプローブの末端がそれぞれライゲートされて、ホスホジエステル結合を形成するか、又は他の好適な様式で共有結合的に連結するように、第2のオリゴヌクレオチドプローブの5ダッシュ末端に本質的に隣接する。
【0033】
或る特定の実施形態では、試料中の有無又は量を求める各標的配列に対して、特異的な第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの対を設計する(各プローブは、上記のように、各標的配列の隣接する相補的部分と相補的な区間を有する)。したがって、本発明の方法では、試料中に存在する各標的配列に対して、ライゲートしたプローブ又は対応する(特異的な)単位複製配列を、増幅した試料中に得ることができる。或る特定の実施形態では、試料中の様々な標的配列と相補的な、多様な第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブが提供される。試料中の所定の標的配列に対する第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの対は、他の標的配列又は他の試料に対するプローブ対とは、少なくともヌクレオチド配列が異なり、他の標的に対するプローブ対とは、長さ及び/又は質量が異なり得る(もっとも、上記で概説したように、このことはあまり好ましくない)。より好ましくは、所定の標的に対するプローブ対により、以下に記載する試料中の他の標的に対応する連結プローブとは配列が異なる、ライゲートしたプローブ若しくは連結プローブ及び/又は単位複製配列が生成される。
【0034】
「プローブの変形形態」
「パドロック(Padlock:南京錠)」
本発明の或る特定の実施形態では、環化可能プローブ又はパドロックプローブを使用し得る。この場合、第1のプローブ及び第2のプローブを一つのプローブに組み合わせる。環化可能なプローブは、標的配列とアニーリングした場合、及びライゲートした場合に、標的配列にトポロジー的にロックされた環状構造を有する直鎖オリゴヌクレオチドである。或る特定の実施形態では、ライゲーション工程後、且つ増幅、好ましくはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅前の試料のエキソヌクレアーゼ処理は、任意のライゲートしていない環状プローブを除去し、且つ任意のライゲートしていないプローブが増幅しないようにする働きがある。環化可能なプローブ自体は、例えば、特許文献13(欧州特許第745140号公報)、又は非特許文献2(Van Eijk et al, Nucleic Acids Research, 2004, 32, e47)により、当該技術分野において既知である。既知のプローブは一般的に、ローリングサークル増幅、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅され、コンカテマーを生じる。さらに、既知の環化可能なプローブにおけるプライマー結合部位は、環化したプローブ全体が、任意の標的特異的区間を含んで増幅されるように配向される。PCR増幅の間、コンカテマー産物を回避するために、特許文献33(国際公開第WO03/052142号公報)に記載された種類の二つのプライマー結合部位の間のライゲーションプローブに、ブロック修飾を組み込み得る。
【0035】
或る特定の実施形態では、本環化可能なプローブにおけるプライマー結合部位は、好ましくはプライマー結合部位及び識別子を含む区間のみが増幅されると共に、好ましくはライゲートした標的特異的区間が増幅されないように配向される。好ましくは、エキソヌクレアーゼ処理を併用して、ライゲートしていない環化可能なプローブを除去し、これにより、環化したプローブの従来法による増幅から得られる従来の単位複製配列と比較して、比較的短い長さを有する単位複製配列が得られる。これにより、大きなコンカテマーの形成、及びさらには環化したプローブ全体の不必要な増幅を回避する。
【0036】
或る特定の実施形態では、識別子は、増幅の際、単位複製配列が、二つのプライマー結合部位のうちの一つ、及び間欠的な識別子を少なくとも含むように、プライマー結合配列の一つと本質的に隣接して、好ましくは第1のプライマー結合部位と第2のプライマー結合部位との間に位置する。その後の単位複製配列のハイスループットシークエンシングにより、識別子の配列が得られるので、試料中の標的配列に存在する配列が得られる。
【0037】
「キーロック」
或る特定の実施形態では、検出すべき各所定の標的配列に対して、好ましくは少なくとも、二つのプローブの対が、対になった各プローブが標的配列の一部とハイブリダイズすることが可能であり、且つ対になったそれぞれのプローブがさらに、両方のプローブが互いにハイブリダイズすることが可能であるように、対になった他のプローブの対応区間と相補的な区間をそれぞれ含むように設計される。対になった二つのプローブは、互いにハイブリダイズする場合、それぞれが標的配列にもハイブリダイズすることが可能であるように設計される。互いにハイブリダイズする場合、二つのプローブは、標的ヌクレオチド配列を検出するためのオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイで使用される場合は、パドロックプローブを模擬するか、又はパドロックプローブとして作用する一方、その後の増幅工程及び検出工程においては、プローブは直鎖ライゲーション産物として機能する。この種のプローブは「キーロック」と呼ばれており、とりわけ、特許文献30(国際公開第WO2004111271号公報)に開示されている。
【0038】
或る特定の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その5ダッシュ末端に、標的配列の第1の部分と相補的な区間を有し、且つ第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その3ダッシュ末端に、標的配列の第2の部分と相補的な区間を有する。或る特定の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドプローブはさらに、第2のオリゴヌクレオチドプローブ内に位置する相補的なクランプ区間とハイブリダイズすることが可能なクランプ区間を含み、それにより、クランプ区間は標的配列と本質的に非相補的である。或る特定の実施形態では、本発明は、本明細書中で概説するように、試料中の標的配列の有無、又は少なくとも一つの標的配列の量を判定する方法であって、本明細書中で概説するように、クランプ区間を含むプローブ対を、検出すべき各標的配列に提供する工程を含む、方法に関する。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブを標的配列とアニーリングさせて、第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブを連結する手段を提供し、第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブを連結させて、試料中の標的配列に対応する連結プローブを生成する。
【0039】
クランプ区間は、好ましくは、標的区間より遠位であるプローブの末端又はその近くに位置する。即ち、標的区間が3ダッシュ末端に位置する場合、クランプ区間はより5ダッシュ末端の方に位置し、逆の場合も同じである。クランプ区間は必ずしも最も遠位の5ダッシュ末端又は3ダッシュ末端には位置せず、本明細書で他の部分で説明するように、他の区間が後に来る可能性がある。クランプ区間は、好ましくは、標的部分とハイブリダイズすることが可能でないように設計される。対の第1のプローブ及び第2のプローブのクランプ区間は、互いにハイブリダイズすることが可能である。クランプ区間は、好ましくは、二つの相補的なクランプ区間が、プローブの標的区間の、標的ヌクレオチド配列におけるその相補的部分に対する結合親和性よりも高い、互いに対する結合親和性を有するように設計される。
【0040】
これは、実際に、クランプ区間が、互いにハイブリダイズすると、標的ヌクレオチド配列における標的区間とその相補体との間のハイブリッドよりも強い二本鎖を形成し、且つ/又は相補的なクランプのハイブリダイゼーションが、プローブの標的相補的区間の標的とのハイブリダイゼーションよりも高い温度で起こることを意味する。即ち、ハイブリダイズされたクランプ区間は、その他の点では同等の条件下で、プローブ対における標的相補的区間の変性温度よりも高い温度又は高ストリンジェンシー条件で変性する。これにより、ハイブリダイズ又はロックされたクランプが、少なくともプローブが連結されて連結プローブを生成するまでハイブリダイズしたまま又は密接したままであるように、本発明の方法中で条件を選択することが可能になる。ロックされたクランプは、ロックされたクランプの変性を可能にする温度又は環境下で(連結)プローブを変性することによって開放され得る。
【0041】
ロックされたクランプを有するプローブ対は、環化可能なプローブ又はパドロックプローブと同様又は同一のハイブリダイゼーション動態及び挙動を表す。対の二つのプローブを別個に加えた後に、クランプ区間を試料中で互いにハイブリダイズすることができ、又は、代替的には、二つのプローブを試料に加える前にロックすることができる。
【0042】
好ましい実施形態では、クランプの変性温度(又は融解温度、Tm)は、プローブ対における標的相補的区間の変性温度を少なくとも1℃、好ましくは5℃上回り、より好ましくはT1区間又はT2区間の最低Tmよりも10℃高い。オリゴヌクレオチド配列の変性温度は、例えば、非特許文献3(Meinkoth et al.「Anal. Biochem」138: 267-284, 1984)における下記一般式を使用してヌクレオチド組成物から算出/推定され得る。
【0043】
「Tm(℃)=4×(G+C)+2×(A+T)」 又は
「Tm(℃)=4×G/C+2×A/T−5」
ここで、「G」,「C」,「A」,「T」は、オリゴマーでのグアニン(G)、シトシン(C)、アデニン(A)、チミン(T)それぞれのクレオチドの数である。
【0044】
本質は区間の間の変性温度差(Tm[クランプ]−Tm[標的])にあるので、他の式が同様に適用可能である。これはクランプ区間の長さを変えるだけではなく、GC塩基対がAT塩基対と比べ約2℃、「Tm」を増大させるので、クランプのGC含量を変えることによっても達成され得る。
【0045】
典型的なクランプ区間は、10〜30個、好ましくは15〜25個、より好ましくは18〜24個のヌクレオチドを含む。GC含量が低い場合、このヌクレオチドの数は、所望のハイブリダイズ特性が得られる限り増大し得る。代替的には、二つのクランプ区間の間でのハイブリダイゼーションを増大させる修飾ヌクレオチドが使用され得る。その例は、例えば、特許文献34〜37(国際公開第WO99/14226号公報、同第WO00/56748号公報、同第WO00/66604号公報、及び同第WO01/25478号公報)に開示されているロックされた核酸、ペプチド核酸、又は特許文献38(欧州特許第0974672-A号公報)に記載されているもの等、副溝結合剤他等のDNAハイブリダイゼーションを安定化又は増強する他の分子によって改善されたハイブリダイゼーション特性を有するヌクレオチドである。
【0046】
クランプのGC含量は変化し得るが、ここでクランプ区間のGC含量は、50%より多く100%までの範囲であり、好ましくは60%より多く、より好ましくは70%より多く、最も好ましくは80%よりも多く、好ましくは90〜100%の範囲である。したがって、ほとんどのクランプ区間は、より偶発的に、又は構造的理由で「A/T」の組合せを含有する。好ましいクランプ区間の群は「GC」が豊富なZIP配列である(非特許文献4「Iannone et al. Cytometry 2000、39: pp. 131-140」参照)。好ましくは、クランプ区間は、「T1」及び「T2」のそれぞれよりも多い、G(グアニン)及びC(シトシン)から成る群より選択される、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、3個、4個又は5個のヌクレオチドを含む。
【0047】
或る特定の実施形態では、プローブ対群が関与する場合、群の各プローブ対には、異なるクランプ区間が提供され得る。第1のプローブ対に対するクランプ、及び第2以降のプローブ対に対するクランプが互いに区別可能であり、好ましくは、ライゲーションアッセイで使用される条件下で交差ハイブリダイズすることがないように、クランプ区間が設計される。各プローブ対は独自のクランプを含み、それによって試料中の異なるプローブ対のクランプ間での交差ハイブリダイゼーションを回避する。この目的のために、クランプ区間はさらなるヌクレオチドを含み得るか、又はクランプ区間のオリゴヌクレオチド配列は群又はその組合せの中で独自であり得る。それによって、群における二つのクランプ間の区別が得られるか、又は多重ライゲーションアッセイで使用するための可能な非交差結合クランプ配列の数が増大する。この後者の実施形態により、一つの試料中で複数の標的配列を同時に検出することが可能になる。本実施形態により、プローブ対の同一の集合を使用して、続けて複数の試料中で一つ又は複数の異なる標的配列を検出することも可能になる。本実施形態により、同一の対群が異なる標的配列の検出のために何度も使用されることが可能になる。
【0048】
好ましくは、プローブ対群において異なるクランプを使用する場合、これらのクランプの「Tm」は、小さな範囲内、好ましくは約60〜90℃、より好ましくは65〜88℃、最も好ましくは70〜85℃である。既知のように、核酸のハイブリダイゼーション特性は、塩濃度によっても影響される。本明細書において使用する場合、一般のハイブリダイゼーション特性又は特にオリゴヌクレオチドの変性温度の比較は、特に明示のない限り、同等の塩濃度下で考察される。本発明において使用され得る代替的なクランプは、光分解性結合を含有する核酸である。ライゲーション後、光分解性結合は除去され、連結プローブが増幅及び/又は検出される。
【0049】
或る特定の実施形態では、本発明のプローブは、かかるクランプ区間を備える。或る特定の実施形態では、第1のプローブ及び/若しくは第2のプローブのクランプ区間、又はその一部は、他のプローブに関して、本明細書中の他の部分で概説するように、エキソヌクレアーゼ耐性となる。或る特定の実施形態では、クランプ区間又はその一部は、クランプ区間のハイブリダイゼーションに基づく、任意のライゲートしていない第1のプローブ及び/又は連結プローブの単離、例えば、本明細書の他の部分で開示されるように、ハイブリダイゼーション系の引抜き、又はガラススライド、アレイ、ビーズ、常磁性粒子等を使用する他のハイブリダイゼーション系の単離方法に使用され得る。或る特定の実施形態では、エキソヌクレアーゼ処理及び/又はライゲートしていない第1のプローブ若しくは連結プローブの単離の前に、クランプ区間を変性させる。
【0050】
キーロック型プローブにおいて、識別子は、プローブのプライマー結合区間と標的特異的区間との間に位置する。キーロックプローブの両半分は、識別子を備え得る。
【0051】
「複合プローブ」
本発明の或る特定の実施形態では、特許文献31(国際公開第WO2005/021794号公報)に記載されている一組のプローブを使用する。標的配列を第1のプローブ及び第2のプローブに接触させるが、ここで、第1のプローブは、標的配列と相補的な第1の標的特異的区間を含有し、且つ第1のプローブは、好ましくは任意選択の第1のタグ区間中に第1のプライマー結合配列を含有しない。第2のプローブは、第2の標的特異的区間及び第2のタグ区間を含有するが、ここで、第2のタグ区間は第2のプライマー結合配列を含有する。第2のタグ区間は、第2のプライマー結合配列と第2の標的特異的区間との間に識別子を含有し得る。二つのプローブのハイブリダイゼーション及びライゲーションの後、又はそれと同時に、第1の標的特異的区間(の一部)とハイブリダイズすることが可能な区間を含有し、且つプライマー結合区間を含有する区間をさらに含有する複合プローブが得られる。複合プローブは、ライゲートした第1のプローブ及び第2のプローブとハイブリダイズする。ライゲートした第1のプローブ及び第2のプローブに沿った複合プローブの伸長により、第1のプライマー結合部位及び第2のプライマー結合部位と結合し得る第1のプライマー及び第2のプライマーを使用して続けて増幅され得る伸長した複合プローブが得られる。得られた単位複製配列は、本明細書中に記載のハイスループットシークエンシング技術を使用して検出することができ、試料中の標的配列は、識別子の有無によって同定され得る。
【0052】
「非対称プローブ」
或る特定の実施形態では、特許文献32(国際公開第WO2005/118847号公報)に記載されている一組のプローブを使用する。本実施形態では、標的配列を第1のプローブ及び第2のプローブに接触させる。第1のプローブは、第1の標的特異的区間を含有し、好ましくはそれから構成される。即ち、第1のプライマー結合配列を含み得る第1のタグ区間を含有しない。第1の標的特異的区間は、好ましくは潜在的なライゲーション点から遠位の末端に、ビオチン等のエキソヌクレアーゼ、又はホスホロモノチオエート、ホスホロジチオエート及びホスホロアミデート修飾等の修飾ヌクレオチド、並びにPNA(ペプチド核酸)及びLNA(ロックト核酸)に対してプローブを耐性にする手段を含有し得る(また、この点に関してより詳細には、特許文献32(国際公開第WO2005/118847号公報)を参照されたい)。第2のプローブは、第2の標的特異的区間及び第2のタグ区間を含有する。第2のタグ区間は、典型的には第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列、並びに間欠的に位置する識別子を含有する。
【0053】
ハイブリダイゼーション及びライゲーションが上手くいくと、連結プローブが生じる。エキソヌクレアーゼ工程を実施することにより、すべてのライゲートしていないプローブ、即ち第2のプローブが除去される。増幅は、第1のプローブの存在によってエキソヌクレアーゼ耐性状態にされたライゲートプローブに対してのみ達成される。一組の第1のプライマー及び第2のプライマーでライゲートしたプローブを増幅すると、主に二つのプライマー及び間欠的な識別子から構成される短い単位複製配列が生成する。これらの短い単位複製配列(及びその中にある識別子、並びに結果的に関連標的配列)を、本発明のハイスループットシークエンシング法を使用して同定することができる。
【0054】
「タグ区間」
タグ区間という用語は、標的ヌクレオチド配列とハイブリダイズすることが不可能なプローブの部分を指すために使用される。通常、タグ区間は、識別子及びプライマー結合部位を含有し、場合によっては、本明細書中の他の部分で概説するように、クランプ区間を含有する。
【0055】
「プライマー結合配列」
線形的であれ指数的であれ、プライマー結合配列をプローブに組み込むことにより、増幅を容易にすることができる。プライマー結合部位は、好ましくは、標的特異的区間以外のプローブ部分、好ましくは、標的配列と本質的に非相補的なタグ区間に位置する。プライマー結合部位は、プライマーに結合して、プライマー伸長又は増幅を開始させることが可能である。好ましくは、プローブ対群の中で、プライマー結合部位は普遍的である。即ち、プライマー結合部位の所定の群のみがプローブに組み込まれることにより、限られた数のプライマーからの多重プライマー伸長又は増幅が可能になる。このプライマーは、例えば、AFLP(登録商標)(特許文献39「欧州特許第0534858号公報」参照)から既知であるような、3ダッシュ末端に一つ又は複数の選択的塩基を含むプライマーである。プローブ対群の間では、プライマー結合部位は異なり得る。或る特定の実施形態では、異なるプライマー結合部位に結合することが可能なプライマーの「Tm」は、プローブ対群の間で異なり得る。
【0056】
プローブにおける識別子及びプライマー結合部位の機能は組み合わせることができ、プローブの特異的部分は、(選択的な)プライマー伸長/増幅のためのプライマー結合部位(の一部)として機能し得ると同時に、又は別の時間に、識別子(の一部)として機能して、本明細書中の他の部分で開示されているような所望の検出プラットフォームに基づく差異を与え得るという意味で、相互に関係付けることができる。
【0057】
「識別子配列」
或る特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドプローブはさらに、識別子又は識別子配列を含む。識別子配列は、可変配列のオリゴヌクレオチド配列である。識別子の長さは1〜30ヌクレオチド、好ましくは2〜20ヌクレオチド、より好ましくは3〜10ヌクレオチド、最も好ましくは4〜6ヌクレオチドで変化する。識別子は独自の配列である。独自の特徴は、非特許文献4(Iannone et al. Cytometry, 2000, 39: pp. 131-140)によって記載される種類のZIPコード配列として説明され得る。6ヌクレオチドの識別子には、最大4096個(=46個)の独自の組合せが作製され得る。好ましくは、識別子は、3ダッシュ末端に、2塩基GC(又は他の規定の短くてGC豊富(G/C-rich)な)アンカー配列を含有して、均等な結合親和性及び増幅効率を保証する。また、明瞭な配列認識を保証するために、識別子は二つの同一連続塩基を含有しないことが好ましく、一組の識別子で使用されるすべての識別子は少なくとも二つの塩基が異なることがさらに好ましい。複数の試料を使用する場合、特異的な識別子の組を使用して、各試料を同定し得ることが好ましい。
【0058】
識別子は概して、プライマー結合配列を使用するライゲートしたプローブの増幅により、識別子が末端に組み込まれて、得られた単位複製配列が識別子配列を含有するように位置する。典型的には、このことはライゲートしたプローブでは、識別子がプライマー結合部位の間に位置することを意味する。二つ以上の識別子、例えば遺伝子座とアレルの組合せを使用する実施形態では、識別子はまた、プライマー結合部位の間に位置する。
【0059】
或る特定の実施形態では、各プローブに一つずつ、二つの識別子が与えられる。プローブのうちの一つは、遺伝子座プローブと見なされ得る。即ち、特定の遺伝子座を対象とし、且つ遺伝子座特異的識別子を含有する。他のプローブは、アレル特異的プローブであり得る。即ち、アレル特異的ヌクレオチドを、好ましくはそのライゲーション点に含有する。アレル特異的プローブは、アレル特異的識別子を含有し得る。こうして、特異的な遺伝子座とアレルの組合せの有無は、識別子の組合せの有/無によって同定される。多型のすべてのアレル変異について試験する場合には、四つのアレル特異的プローブと組み合わせた、一つの遺伝子座プローブのみが必要である。或る特定の実施形態では、アレル特異的プローブのみが、例えば5bp(塩基対)の遺伝子座識別子とそれに続く2bpのアレル識別子の形態で、遺伝子座特異的識別子区間及びアレル特異的識別子区間を含む識別子を含み得る。
【0060】
「ハイブリダイゼーション」
或る特定の実施形態では、プローブを試料中の標的配列と接触してハイブリダイズさせる。続けて、オリゴヌクレオチドプローブ対を、試料中の標的配列の好ましくは隣接した相補的部分にアニーリングさせる。相補的標的配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの特異的アニーリングに関する方法及び条件は当該技術分野において既知である(例えば、非特許文献5(Sambrook and Russel「分子クローニング:実験マニュアル(第3版)」Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)を参照)。通常、オリゴヌクレオチドプローブ及び標的配列の混合後、核酸を、塩緩衝液中で短時間(例えば、30秒〜5分)のインキュベーション(概して94℃〜96℃)によって変性させる。次に、変性プローブ及び標的配列を含有する試料を、プローブ及び標的配列の特異的アニーリングに最適なハイブリダイゼーション温度に冷却させる。これは通常、プローブの相補的区間(標的区間)と(標的配列における)その相補的配列との間のハイブリッドの融解温度よりも約5℃低い。対の二つのプローブのうち一つの、又は複数の標的配列を有する試料中での、非特異的又は非効率的なハイブリダイゼーションを防止するために、一つの試料内で、標的配列と相補的なプローブの区間は、試料中に存在する異なる標的配列間で同様、好ましくは同一の融解温度を有することが好ましい。
【0061】
したがって、第1のプローブ及び第2のプローブの相補的区間は、好ましくは、融解温度の差が20℃、15℃、10℃、5℃、又は2℃未満である。これは、同様の長さ及び/又は同様のG/C含量を有する第1のプローブ及び第2のプローブの相補的区間を使用することによって容易となり、相補的区間は、好ましくは、長さの差が20ヌクレオチド、15ヌクレオチド、10ヌクレオチド、5ヌクレオチド、又は2ヌクレオチド未満であり、G/C含量の差が30%、20%、15%、10%、又は5%未満である。本明細書中で使用される「相補的」とは、第1のヌクレオチド配列が、通常のストリンジェンシー条件下で第2のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることが可能であることを意味する。別のヌクレオチド配列と相補的であると見なされるヌクレオチド配列は、少量の、即ち、好ましくは、20%、15%、10%、5%、又は2%未満のミスマッチを含有し得る。代替的には、例えば、参照により本明細書中に援用される特許文献38(欧州特許第974672―A号公報)等に記載のいわゆるユニバーサルヌクレオチドを組み込むことによって、ミスマッチを補償することが必要であり得る。又は、例えば、LNAのような、例えば融解温度を上昇させるか、若しくは特異性を増大させることによりミスマッチを補償することが可能な或る特定の修飾ヌクレオチドを組み込むことによって、ミスマッチを補償することが必要であり得る。
【0062】
アニーリングは、プローブの標的配列に対して濃度依存性であるため、好ましくは少量即ち、25マイクロリッター未満、好ましくは10マイクロリッター未満で実施される。これらのハイブリダイゼーション条件下、プローブの標的配列に対するアニーリングは通常、迅速であり、5分、10分、又は15分を超えて進行することはないが、ハイブリダイゼーション温度を維持して非特異的なアニーリングを回避する限りにおいては、より長いアニーリング時間が使用され得る。試料間の標的配列の相対量のモニタリング(monitoring or relative amounts)を可能にするためのライゲーションプローブによる完全な標的占有に依拠する定量的利用には、より長いアニーリング時間がより重要であり/必要である。
【0063】
本発明の或る特定の実施形態では、ハイブリダイゼーション時間の延長(終夜のハイブリダイゼーション等)、又はハイブリダイゼーションの反復(1時間の10サイクル等)によって、優れた結果が得られている。ハイブリダイゼーション時間の延長は、異なるハイブリダイゼーション効率によるシグナル差が減少するのでこれらのアッセイにおいて有利であり得ると共に、標的配列が存在するすべてのプローブの完全なハイブリダイゼーション及びライゲーションを達成するために望ましいと考えられる。本明細書中に記載の熱安定性リガーゼを使用する、組み合わせたハイブリダイゼーション−ライゲーション工程によって優れた結果が得られている。本実施形態では、ハイブリダイゼーション−ライゲーションは、プローブを熱安定性リガーゼの存在下で1時間ハイブリダイズさせることと、その後の変性工程とによって実施された。これらの工程を少なくとも2回反復することにより良い結果が得られた。これらの工程を10回反復することにより優れた結果が得られた。
【0064】
変性及びアニーリング中の蒸発を回避するために、反応チャンバ(即ち、チューブ又はマイクロタイターウェル)の壁及び蓋も反応混合物と少なくとも同じ温度に加熱され得る。これは、市販のDNA増幅装置の使用、又は鉱油を上塗りすることによって一般的に達成される。好ましいオリゴヌクレオチドプローブでは、標的相補的区間の長さは、好ましくは少なくとも15ヌクレオチド、18ヌクレオチド、又は20ヌクレオチド、好ましくは30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、又は50ヌクレオチド以下であり、プローブの標的区間の融解温度は、好ましくは少なくとも50℃、55℃、又は60℃である。
【0065】
「ライゲーション」
標的特異的区間が、標的配列上の相補的部分と互いに本質的に隣接してアニーリングされる、一対の第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブ、又は環化可能なプローブの5ダッシュリン酸基化末端及び3ダッシュ水酸基化末端はそれぞれ連結されて、当該技術分野において既知の任意の好適な手段によって共有結合を形成する。プローブの末端は、リガーゼ、好ましくはDNAリガーゼによって酵素的に連結されて、ホスホジエステル結合を形成し得る。DNAリガーゼは、相補鎖での隣接部位で結合した二つのポリヌクレオチド鎖(の末端)間のホスホジエステル結合の形成を触媒することが可能な酵素である。DNAリガーゼは通常、ATP(EC 6.5.1.1)(アデノシン三リン酸)又はNAD(EC 6.5.1.2)(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)を、二本鎖DNAにおけるニックを封鎖するための補因子として必要とする。
【0066】
本発明における使用に好適なDNAリガーゼは、T4 DNAリガーゼ、大腸菌(E.coli)DNAリガーゼ、又は好ましくは、例えば、サーマス・アクアチクス(Taq)リガーゼ、サーマス・サーモフィルスDNAリガーゼ、若しくはパイロコッカスDNAリガーゼのような熱安定性リガーゼである。
【0067】
代替的には、好適に修飾されたポリヌクレオチド末端の化学的ライゲーションを使用して、標的配列の相補的部分における隣接部位でアニーリングされた二つのオリゴヌクレオチドプローブをライゲートし得る。修飾ポリヌクレオチド末端における反応基の例としては、ホスホロチオエート及びトシレート又はアイオダイド、エステル及びヒドラシド、RC(O)S、RCH2S及びα−ハロアシル、チオホスホリル及びブロモアセトアミド基、及びS−ピバロイルオキシメチル−4−チオチミジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
化学的ライゲーション剤としては、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、N−シアノイミダゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、ジチオスレイトール(DTT)、及び紫外光等の活性化剤、縮合剤、及び還元剤が挙げられるが、これらに限定されない。オートライゲーション、即ちライゲート剤の非存在下での自発的ライゲーションも本発明の範囲内である。化学的ライゲーション法に関する詳細なプロトコル及び適切な反応基の説明は、とりわけ、非特許文献6〜18(Xu et al., Nucleic Acid Res. , 27: 875-81(1999)、Gryaznov and Letsinger, Nucleic Acid Res. 21: 1403-08(1993)、Gryaznov et al., Nucleic Acid Res. 22: 2366-69(1994)、Kanaya and Yanagawa, Biochemistry 25: 7423-30(1986)、Luebke and Dervan, Nucleic Acids Res. 20: 3005-09(1992)、Sievers and von Kiedrowski, Nature 369: 221-24(1994)、Liu and Taylor, Nucleic Acids Res. 26: 3300-04(1999)、Wang and Kool, Nucleic Acids Res. 22: 2326-33(1994)、Purmal et al. , Nucleic Acids Res. 20: 3713-19(1992)、Ashley and Kushlan, Biochemistry 30: 2927-33(1991)、Chu and Orgel, Nucleic Acids Res. 16: 3671-91(1988)、Sokolova et al., FEBS Letters 232:153-55(1988)、Naylor and Gilham, Biochemistry 5:2722-28(1966))及び特許文献40(米国特許第5,476,930号公報)に見出され得る。
【0069】
化学的ライゲーション及び酵素的ライゲーションは共に、プローブの一方又は両方がライゲーション部位で、又はその近くで標的配列とミスマッチを形成する複合体と比べて、完全にマッチしたプローブ−標的配列複合体ではるかに効率的に生じる(非特許文献19「Wu and Wallace, 1989, Gene 76: 245-254」および上記非特許文献6,13(Xu and Kool)を参照)。ライゲーション特異性、即ち、ミスマッチオリゴヌクレオチドと比べ完全にマッチしたオリゴヌクレオチドの相対的なライゲーション効率を増大させるために、ライゲーションは、好ましくは高温で実施される。したがって、本発明の或る特定の実施形態では、長時間50〜65℃で活性のままであるが、より高い温度で容易に不活性化される(例えば、通常90〜100℃のPCR中の変性工程で使用される)DNAリガーゼが利用される。一つのかかるDNAリガーゼは、特許文献41(国際公開第WO01/61033号公報)から既知のように、グラム陽性菌(菌株MRCH065)からのDNAリガーゼを必要とする一つのNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)である。このリガーゼは「リガーゼ65」と称され、MRC(オランダ、アムステルダム)から市販されている。或る特定の実施形態では、サーマス・アクアチクス(Taq)リガーゼが使用される。或る特定の実施形態では、第1のプローブ及び第2のプローブをライゲートした後、リガーゼを不活性化する。或る特定の実施形態では、連結プローブは、標的配列から変性したものである。
【0070】
「ギャップライゲーション」
例えば、インデルの同定を対象とする、代替的な実施形態では、第1のプローブ及び第2のプローブの標的相補的区間の末端はそれぞれ、ギャップがそのままであるようにアニーリングされ得る。或る特定の実施形態では、標的ヌクレオチド配列の第1の部分及び第2の部分は隣接して位置しない。即ち、第1のプローブ及び第2のプローブの第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間は、隣接して位置する標的ヌクレオチド配列の第1の部分及び第2の部分とはハイブリダイズしない。これは、例えば、とりわけ、特許文献6(米国特許第5521065号公報)並びに特許文献42〜44(欧州特許第185494号公報、米国特許第5692223号公報、及び国際公開第WO03054311号公報)に開示されている、他の様々な種類の本技術とは根本的に異なる。このギャップは、好適な(第3の)(オリゴ)ヌクレオチドで充填され、ライゲートされ得る。
【0071】
かかる方法は「ギャップライゲーション」として当該技術分野において既知であり、とりわけ、特許文献45〜49(国際公開第WO00/77260号公報、米国特許第5185243号公報、欧州特許第439182号公報、欧州特許第320308号公報、及び国際公開第WO90/01069号公報)に開示されている。このギャップを充填する別の可能性は、「A」、「T」、「C」、若しくは「G」、又は二つ(di-)、三つ(tri-)、若しくは他の小さなオリゴヌクレオチドから任意選択で予め選択される単数又は複数のヌクレオチドと組み合わせてポリメラーゼ及びリガーゼを使用する、プローブの一端の伸長によるものである。標的配列がRNAである場合、ギャップを充填するさらに別の可能性は、「A」、「T」、「C」、若しくは「G」、又は二つ(di-)、三つ(tri-)、若しくは他の小さなオリゴヌクレオチドから任意選択で予め選択される単数又は複数のヌクレオチドと組み合わせて逆転写酵素及びリガーゼを使用する、プローブの一端の伸長によるものである。
【0072】
ギャップライゲーションは、単一のSNP/インデルの検出、又は近接して位置する複数のSNPの検出(ハプロタイピング)の両方での適用が見出され得る。
【0073】
「増幅」
本発明の方法では、当該技術分野において既知の任意の好適な核酸増幅法によって、連結プローブは増幅されて、標的ヌクレオチド配列を表す増幅された(検出可能な)連結プローブ(単位複製配列)を含む増幅試料を生成する。核酸増幅法は通常、一つ又は二つのプライマー、dNTP、及び(DNA)ポリメラーゼを利用する。好ましい増幅方法がPCRである。「PCR」すなわち「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特異的DNA部分のインビトロでの酵素的増幅のための迅速な手順である。増幅されるDNAは、試料を加熱することによって変性する。DNAポリメラーゼ及び過剰なデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で、標的配列と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは新しいDNA合成をプライムする。ポリメラーゼは、鎖置換活性を発現しないか、又は少なくとも有意に発現しないDNAポリメラーゼであることが好ましい。その例は、アンプリターク(Amplitaq:登録商標)及びアンプリタークゴールド(Amplitaq Gold:登録商標)(供給業者Perkin Elmer)、並びにアキュプライム(Accuprime:登録商標)(供給業者Invitrogen)である。1ラウンドの合成により、親鎖と同様に、変性及びアニーリングでプライマーとハイブリダイズし得る、明確な長さを有する新しい鎖が生じる。変性、アニーリング、及び合成の第2のサイクルは、別個の二本鎖産物、正確にプライマー末端間の長さを共に構成する二つの一本鎖産物を生成する。この別個の産物は、各増幅ラウンドに伴って指数的に蓄積する。約20〜30サイクルにわたって、別個の断片の何百万倍の増幅が達成され得る。
【0074】
PCRプロトコルは当該技術分野において既知であり、標準の実験教科書、例えば、非特許文献20(Ausubel et al.「分子生物学における現行のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」John Wiley & Sons, Inc.1995)に記載されている。本発明の方法におけるPCRの適用に好適な条件は、特許文献39(欧州特許第0534858−A号公報)、及び非特許文献21(Vos et al.「Nucleic Acids Res.」23: 4407-4414, 1995)に記載されており、この場合、70ヌクレオチド〜700ヌクレオチドで、且つ同一のプライマー結合配列を含有する複数のDNA断片が、一つのプライマー対を使用してほぼ同等の効率で増幅される。或る特定の実施形態では、ポリメラーゼは増幅後に不活性化される。適用され得る他の多重及び/又は等温の増幅法としては、例えば、ローリングサイクル増幅(RCA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自立性塩基配列複製(3SR)、Q−B−レプリカーゼ介在RNA増幅、又は鎖置換増幅(SDA)が挙げられる。場合によっては、これは、本発明の趣旨を逸脱することなく、プローブ及びプライマーの異なる設計を必要とし得る。
【0075】
「プライマー」
連結プローブは、プライマー結合部位に対応するプライマー対を使用して増幅される。或る特定の実施形態では、プライマー対は、一つのプライマーのみを含有し、増幅は、指数的というよりもむしろ線形的である。或る特定の実施形態では、対は、第1のプライマー結合区間とアニーリング可能であり、且つ増幅又は伸長を開始可能な第1のプライマーを含む。或る特定の実施形態では、対はさらに、第2のプライマー結合区間とアニーリング可能であり、且つ増幅又は伸長を開始可能な第2のプライマーを含む。或る特定の実施形態では、第2のプライマーは、プローブ中の第2のプライマー結合部位と同一の配列を有する。好ましい実施形態では、プライマーのうち少なくとも一つ、又は同一のプライマー対は、試料中の二つ以上の異なる連結プローブの増幅に、好ましくは、試料中のすべての連結プローブの増幅に使用される。かかるプライマーは、これらのプライマーが、対応するユニバーサルプライマー結合部位を含有するすべての連結プローブ、結果的には、ユニバーサルプライマー結合部位を含有するすべてのライゲートしたプローブの増幅をプライムすることが可能であるので、ユニバーサルプライマーと称されることが多い。
【0076】
工程の増幅において使用される異なるプライマーは、好ましくは、アニーリング及びプライミング効率が本質的に同等である。したがって、試料中のプライマーは、好ましくは、融解温度の差が20℃、15℃、10℃、5℃、又は2℃未満である。これはオリゴヌクレオチドプローブの標的特異的区間について本明細書中で概説したように達成され得る。標的特異的区間の配列と異なり、プライマーの配列は標的配列によって左右されない。したがって、プライマー配列は、ヌクレオチドの四量体(各四量体は、一つのA、T、C、及びGを含有する)からの配列を集めることによって、又はプライマーのG/C含量及び融解温度が同一又はきわめて類似することを保証する他の方法によって都合よく設計され得る。プライマー(及び第2のプローブのタグ区間における対応するプライマー結合部位)の長さは、好ましくは少なくとも12ヌクレオチド、15ヌクレオチド、又は17ヌクレオチド、好ましくは25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド以下である。
【0077】
或る特定の実施形態では、試料中の少なくとも二つの異なる標的配列と相補的な第2のオリゴヌクレオチドプローブのうち少なくとも二つが、単一のプライマー配列と相補的なプライマー結合区間を含むタグ区間をそれぞれ含む。
【0078】
或る特定の実施形態では、同一のアンカー配列を保有する他のプライマーと比較して同様のプライミング効率を保証するために、プライマーは、3ダッシュアンカー配列、好ましくは2bpのアンカー配列、好ましくはGCアンカー配列を含み得る。典型的には、対応するプライマー結合配列はその相補体も保有する。
【0079】
したがって、好ましくは、プライマー対における第1のプライマー及び第2のプライマーのうち少なくとも一つを、試料中の少なくとも二つの異なる標的配列に対応する連結プローブの増幅に、より好ましくは、試料中のすべての標的配列に対応する連結プローブの増幅に使用する。好ましくは、単一の第1のプライマーのみを使用し、幾つかの実施形態では、単一の第1のプライマー及び単一の第2のプライマーのみを、すべての連結プローブの増幅に使用する。複数の異なる断片の増幅に対して共通のプライマーを使用することは通常、増幅工程の効率に有利である。隣接してアニーリングされたプローブ区間のライゲーションから得られた連結プローブを、好ましくは、試料中の連結プローブのそれぞれに対するプライマー対から構成されるプライマー対を使用して増幅する。プライマー対は、連結プローブ中に存在するプライマー結合配列と相補的なプライマーを含む。通常、プライマー対は、第1のプライマー及び少なくとも第2のプライマーを含むが、両方向でプライムする単一のプライマーのみから構成され得る。例えば、とりわけ特許文献50(欧州特許第534858号公報)及び非特許文献21(Vos et al., Nucleic Acid Research, 1995, vol. 23, 4407-4414)に記載され、以下本明細書中でより詳細に説明される、AFLP(登録商標)プライマーとして当該技術分野において既知のプライマーを使用して、優れた結果が得られている。
【0080】
「選択的プライマー」
或る特定の実施形態では、本発明の増幅工程において使用されるプライマーの一つ又は複数は選択プライマーである。選択的プライマーは、本明細書中では、プローブにおけるプライマー結合部位と相補的なそのユニバーサル配列の他に、いわゆる「選択的ヌクレオチド」を含む領域を含有するプライマーと定義される。選択的ヌクレオチドを含有する領域は、ユニバーサルプライマーの3ダッシュ末端に位置する。選択的ヌクレオチドの原理は、異なる文脈、即ち、DNAフィンガープリント法ではあるが、とりわけ、特許文献50(欧州特許第534858号公報)及び非特許文献21(Vos et al., Nucleic Acid Research, 1995, vol. 23, 4407-4414)に開示されている。選択的ヌクレオチドは、プライマー結合配列に隣接して位置する(ライゲートした)プローブにおけるヌクレオチドと相補的である。選択的ヌクレオチドは概して、プライマー結合配列として描写される(ライゲートした)プローブにおける領域の一部を形成することはない。選択的ヌクレオチドを含有するプライマーは「+Nプライマー」として示され、ここで「N」はプライマーの3ダッシュ末端に存在する選択的ヌクレオチドの数を表し、「N」は好ましくは「A」、「C」、「T」、又は「G」の中から選択される。
【0081】
「単位複製配列」
本明細書中で使用される「単位複製配列」という用語は、連結プローブの増幅工程の産物を指す。したがって、本明細書中で使用される「単位複製配列」という用語は、増幅した連結プローブを指す。二つの標的特異的区間がリガーゼを用いて連結されるライゲーション工程の後、連結又はライゲートしたプローブは、一つ又は複数のプライマー及びポリメラーゼと組み合わされ、増幅されて、単位複製配列を生成する。ライゲートしたプローブ、プライマー、ポリメラーゼ及び/又は他のパラメータ及び変数は、増幅が結果として連結プローブの増幅した線形表現をもたらすようになっている。好ましくは、単位複製配列は、増幅した連結プローブのモノマー表現である。或る特定の実施形態では、単位複製配列は、第1のプライマー及び任意選択の第2のプライマー、並びに間に位置する識別子(複数可)のヌクレオチドを含み、好ましくはそれから構成される。本発明の各種実施形態は、この点においてさらなる詳細を提供する(図2参照)。
【0082】
「ハイスループットシークエンシング」
「HTS」と略されることの多い、ハイスループットシークエンシング又はハイスループットスクリーニングは、特に、生物学及び化学の分野に関連した科学実験用の方法である。現代のロボット工学及び他の専門化した実験ハードウェアの組合せによって、研究者は大量の試料を同時に効率的にスクリーニングすることが可能となる。
【0083】
シークエンシングは、特許文献51〜56(国際公開第WO03/004690号公報、国際公開第WO03/054142号公報、国際公開第WO2004/069849号公報、国際公開第WO2004/070005号公報、国際公開第WO2004/070007号公報、及び国際公開第WO2005/003375号公報)(すべて454 Life Sciences名義)、並びに非特許文献22(Seo et al.による、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:5488-93 2004)及びヘリオス(Helios)、ソレクサ(Solexa)、US ゲノミクス(Genomics)等の技術(これらは参照により本明細書中に援用される)で開示されている方法等のハイスループットシークエンシング法を使用して実施されることが好ましい。
【0084】
「454技術」
或る特定の実施形態では、シークエンシングは、上記特許文献51〜56(国際公開第WO03/004690号、同第WO03/054142号、同第WO2004/069849号、同第WO2004/070005号、同第WO2004/070007号、及び同第WO2005/003375号)(すべて454 Life Sciences名義)(これらは参照により本明細書中に援用される)に開示されている装置及び/又は方法を使用して実施されることが好ましい。記載されている技術は、1回の操作での4000万塩基のシークエンシングを可能にし、競合技術よりも100倍速く、且つ安価である。シークエンシング技術は、大まかには5工程:1)一本鎖DNA(ssDNA)のライブラリを作製するための、DNAの断片化及び特異的なアダプタのライゲーション、2)「ssDNA」のビーズへのアニーリング、油中水型マイクロリアクタにおけるビーズの乳化、及び個々の「ssDNA」分子をビーズ上で増幅させるためのエマルジョンPCRの実施、3)表面上に増幅した「ssDNA」分子を含有するビーズの選択/濃縮、4)ピコタイター(PicoTiter:登録商標)プレートにおける、DNA担持ビーズの沈着、及び5)ピロリン酸光シグナルの生成による100,000ウェルでの同時シークエンシングから構成される。以下、本方法をより詳細に説明する。
【0085】
好ましい実施形態において、シークエンシングは、
(a)アダプタと結合した断片をビーズにアニーリングする(各ビーズは単一のアダプタと結合した断片とアニーリングする)工程と、
(b)ビーズを油中水型マイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは単一のビーズを含む)工程と、
(c)ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)工程と、
ピロリン酸シグナルを生成する工程と、を含む。
【0086】
第1の工程において、シークエンシングアダプタは、組合せライブラリ内で断片とライゲートする。上記シークエンシングアダプタは、少なくともビーズにアニーリングするための「鍵」領域、シークエンシングプライマー領域及びPCRプライマー領域を含む。したがって、アダプタと結合した断片が得られる。第1の工程では、アダプタと結合した断片をビーズにアニーリングする(各ビーズは単一のアダプタと結合した断片とアニーリングする)。アダプタと結合した断片のプールに過剰のビーズを加えることにより、大部分のビーズに関して、ビーズ毎に単一のアダプタと結合した断片のアニーリングが保証される(ポワソン分布)。
【0087】
次の工程では、ビーズを油中水型マイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは単一のビーズを含む)。PCR試薬が油中水型マイクロリアクタ内に存在することにより、PCR反応がマイクロリアクタ内部で起こることが可能となる。続いて、マイクロリアクタを破壊して、DNAを含むビーズ(DNAポジティブビーズ)を濃縮する。
【0088】
続く工程では、ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)。ウェルは、好ましくは大量の断片の同時シークエンシングを可能にするピコタイター(PicoTiter:登録商標)プレートの一部である。
【0089】
酵素担持ビーズの添加後、ピロシークエンシングを使用して断片の配列を求める。引き続く工程で、従来のシークエンシング試薬存在下において、ピコタイター(登録商標)プレート並びにその中のビーズ及び酵素ビーズを異なるデオキシリボヌクレオチドに付し、デオキシリボヌクレオチドを組み込む際に、記録される光シグナルが生成される。正確なヌクレオチドの組込みにより、検出し得るピロシークエンシングシグナルが生成される。
【0090】
ピロシークエンシング自体は当該技術分野において既知であり、とりわけ非特許文献23(Byotage www.biotagebio.com「ピロシークエンシング」インターネットURL:http://www.pyrosequencing.com)の技術欄に記載されている。本技術は、例えば、上記の特許文献51〜56(国際公開第WO03/004690号、同第WO03/054142号、同第WO2004/069849号、同第WO2004/070005号、同第WO2004/070007号、及び同第WO2005/003375号)(すべて454 Life Sciences名義)(参照により本明細書中に援用される)でさらに適用される。
【0091】
本発明において、ビーズは好ましくは、場合によっては、単位複製配列又はライゲーションしたプローブと結合することが可能な、プライマー(結合)配列及び/若しくはクランプ区間又はそれらの一部を備える。他の実施形態において、続くエマルジョン重合、その後のシークエンシングを可能にするために、増幅で使用されるプローブ又はプライマーは、単位複製配列又はライゲーションしたプローブをビーズに結合させることが可能な配列を備える。ライゲートしたプローブの単位複製配列をシークエンスすることにより、識別子の同一性、ひいては試料中の標的配列の有無の同一性が明らかになる。
【0092】
「ソレクサ技術」
ハイスループットシークエンシング法の一つは、非特許文献24(ソレクサ(Solexa)(英国)(www.solexa.co.uk))の技術が利用可能であり、とりわけ、特許文献57〜75(国際公開第WO0006770号公報、国際公開第WO0027521号公報、国際公開第WO0058507号公報、国際公開第WO0123610号公報、国際公開第WO0157248号公報、国際公開第WO0157249号公報、国際公開第WO02061127号公報、国際公開第WO03016565号公報、国際公開第WO03048387号公報、国際公開第WO2004018497号公報、国際公開第WO2004018493号公報、国際公開第WO2004050915号公報、国際公開第WO2004076692号公報、国際公開第WO2005021786号公報、国際公開第WO2005047301号公報、国際公開第WO2005065814号公報、国際公開第WO2005068656号公報、国際公開第WO2005068089号公報、及び国際公開第WO2005078130号公報)に記載されている。
【0093】
本質的に、本方法はゲノムDNAのアダプタとライゲートした断片で開始する。アダプタとライゲートしたDNAは、典型的にはフローセルで、固体表面と結合したプライマーの濃密な叢(lawn)とランダムに結合する。アダプタとライゲートした断片の他端は、表面上で相補的なプライマーとハイブリダイズする。いわゆる固相ブリッジ増幅において、ヌクレオチド及びポリメラーゼの存在下でプライマーを伸長することにより、二本鎖の断片が得られる。変性及び固相ブリッジ増幅の反復の結果、増幅した断片の濃密なクラスタが表面全体に分布して生成する。四つの異なる標識をした可逆性終止ヌクレオチド、プライマー及びポリメラーゼをフローセルに加えることによって、シークエンシングを開始する。プライマー伸長の第1のラウンド後、標識を検出し、第1の組込み塩基の同一性を記録し、ブロックした3ダッシュ末端及び蛍光体(fluorophore:フルオロフォア)を組込み塩基から除去する。その後、同様に、第2の塩基の同一性を判定し、そのようにシークエンシングが継続する。
【0094】
本発明において、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列は、プライマー結合配列、プライマー配列、又は幾つかの実施形態では、クランプ区間若しくはそれらの組合せを介して表面と結合する。識別子配列及び関連標的配列を含む配列を概略通り求め、その有無を特定する。
【0095】
本明細書中に記載のシークエンシング法を対象とする、代替的な実施形態では、増幅で使用されるプローブ又はプライマーは、特異的区間(本明細書中に記載されるプライマー又はプライマー結合配列の代用として)を含有し得る。これは、次のシークエンシング工程で使用されて、ライゲートしたプローブ/単位複製配列を表面に結合させる。これらは、概して鍵領域として描写される。
【0096】
本明細書、図、及び添付の特許請求の範囲の全体を通して、「第1の」及び「第2の」という概念は、アッセイで使用されるプローブと、それぞれの構成成分とを見分けるために使用される。「第1の」及び「第2の」という概念は、本明細書中においては、合計としては使用されない。即ち、第1の構成成分も存在する場合に、第2の構成成分のみが存在し得るようなことはない。一貫性及び参照の容易性の理由から、これらの概念は、実施形態自体が二つのプローブ又は二つの構成成分から構成されない場合にも使用される。例えば、1プローブのみである環化可能なプローブも、第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間を含有する。同様に、図1Aにおいて、第1のプローブ及び第2のプローブのうちいずれか一つは、識別子を含有し得る。第1のプローブの場合には、これを第1の識別子と描写し、第2のプローブの場合には、これを第2の識別子と描写する。第2のプローブが識別子を含有し、且つ第1のプローブが含有しない場合、本願では、本識別子を、第1の識別子の存在と関係なく、第2の識別子と称し得る。
【0097】
本発明のさらなる態様は、本明細書中の他の部分で記載されるように、各種の第1のプローブ、第2のプローブ、又は環化可能なプローブを含む、本発明の方法で使用するためのキットに関する。
【実施例】
【0098】
DNAを、従来法を使用して2匹の親及び88匹の子孫から単離した。親(2×)及び子孫(=4×)を異なる識別子で二重化して、再現性を試験した。試料又はSNPアレルを互いに見分けるのに使用されるタグはそれぞれ、試料又はアレルの同定のために実験で使用される任意の他のタグとは少なくとも2ヌクレオチド異なった。アガロースゲルを使用して、各種工程全体にわたって品質を試験している。
【0099】
[実施例1]
各DNA試料に対して、30個のSNP遺伝子座(それぞれ二つのアレルを含む)を検出するように設計されたプローブセットを使用して、ライゲーション工程を実施する。増幅プライマー配列は、ソレクサハイスループットシークエンシングシステムの表面上に位置するハイブリダイズする配列に基づく。特に、P5配列(PBS2)は、TS2とハイブリダイズするプローブの5ダッシュ部分に位置する。P7配列(PBS1)は、TS1とハイブリダイズするプローブの3ダッシュ末端に位置する。
【0100】
NNNNN配列を含む縮重した試料識別配列(SIS)は、P5配列の3ダッシュ末端に隣接して位置する。GCジヌクレオチドアンカー配列はSISの後にある。5塩基の識別子配列を、GCクランプの3ダッシュ末端に隣接して位置付けることによって、アレルの同定が可能となる。シークエンシングプライマー結合部位(sPBS)の逆相補体は、アレル識別子配列(AIS)の後にある。
【0101】
ライゲーション混合物を、P5プライマー配列及びP7プライマー配列を使用して増幅する。ここで、P5プライマーは、試料識別配列及びその3ダッシュ末端のGCクランプを含有する。アガロース検出を使用して、収量及び適切な長分布について産物を検査し、続けてセファデックス(Sephadex:登録商標))カラムを使用して精製する。濃度を求め、標準化し、プールを作製する。プールを、ブリッジ増幅、及びシークエンシング、その後のデータ解析を含むソレクサ技術に基づく超並列処理シークエンシングに付して、親及び子孫の遺伝子型を求める。
【0102】
代替的なシナリオでは、ライゲーション混合物を、2工程アプローチで増幅する。
【0103】
試料識別配列を含まないP5プライマー配列及びP7プライマー配列を使用して、第1の増幅を実施する。アガロース検出を使用して、収量及び適切な長分布について産物を検査する。第2のPCRは、その3ダッシュ末端にSIS及びGCクランプを含有するP5プライマーと共に、P7プライマーを使用する。アガロース検出を使用して、収量及び適切な長分布について産物を検査する。濃度を標準化し、試料をプールする。産物をキアゲンカラムによって精製する。
【0104】
別の代替法では、増幅した産物を細菌プラスミドベクターへクローニングし、続けて形質転換及びコロニーPCR増幅をした後、サンガー(Sanger)シークエンシングを使用するシークエンス系検出を実施する。データ解析の結果、遺伝子型が同定される。
【0105】
[実施例2]
サンガーシークエンシングを使用して、増幅したライゲーション産物のシークエンス系検出を実施した。
【0106】
実験的シークエンスは、ライゲーション工程、SIS及びGCクランプを含まないプライマーを使用する第1の増幅、SIS及びGCクランプを含有するプライマーを使用する第2の増幅、第2の増幅の産物の細菌プラスミドへのクローニングとその後の細菌宿主に対する形質転換、単一コロニーのPCR増幅、及びサンガーシークエンシングによる配列決定を包含する。トウモロコシの父系性株B73及びMo17を使用し、シークエンスした。200個超の増幅したライゲーション産物をシークエンスすることにより、シークエンス系SNP検出の原理証明が得られた。
【0107】
父系性株B73及びMol7を選択した。30個のSNP遺伝子座を検出するように設計されたライゲーションプローブセットを使用して、ライゲーション産物を調製した。SIS及びGCクランプを含まないプライマーを使用して増幅を実施した。SIS及びGCクランプを含有するプライマーを使用して、クローニング用断片を調製した。インビトロジェン(Invitrogen)の「TOPO TA Cloning」(登録商標)キットを使用してクローニングを実施した。
【0108】
単一コロニーに対してPCR増幅を実施することによって、サンガーシークエンシング用鋳型断片を調製した。
【0109】
シークエンス系ライゲーションマーカーを、B73及びMo17において異なる頻度でシークエンスプライマー結合部位に隣接して観察される27bpの配列タグを抽出することによって同定した。
【0110】
シークエンス系ライゲーションマーカーデータを、長さ系検出を使用する従来のSNPWaveフィンガープリント法によって得られたSNPWaveマーカースコアと比較した。
【0111】
シークエンス系ライゲーションマーカー検出の実行可能性を、サンガーシークエンシングを使用して示した。それによると、シークエンス系検出を使用してスコア化されるライゲーションマーカーの数は、従来のスラブゲルよりも少ない。しかしながら、シークエンシング規模は、例えば、ソレクサの超並列処理シークエンシング技術を使用して、容易に大きく増大する。マーカーデータの比較により、シークエンス系検出とスラブゲル検出との間で同一の分離パターンが現れる。
【0112】
次に、図1について簡単に補足説明する。
【0113】
図1は、 A/C多型を保有する、対象とする標的ヌクレオチド配列(T)に対する、異なるプローブ種(A、B、C、D、E、F)を示す概略図である。全図を通して、同一の描写を使用して、プローブの各種構成成分を描写している。
【0114】
そのうち、図1Aは直鎖プローブ種を示す図である。ここで、第1のプローブ(1)は、第1の標的特異的区間(TS1)、並びに第1の識別子(ID1)、及び第1のプライマー(P1)にアニーリングすることが可能な第1のプライマー結合配列(PBS1)を含む、第1のタグ区間を含む。第2のプローブ(2)は、第2の標的特異的区間(TS2)、並びに第2の識別子(ID2)、及び第2のプライマー(P2)とアニーリングすることが可能な第2のプライマー結合配列(PBS2)を含む、第2のタグ区間を含む。アレル特異的検出のための実施形態において、TS2は、好ましくはその3ダッシュ末端に、異なる識別子(ID2又はID2`)と共に、アレル特異的ヌクレオチド(G又はT)を含有し得る。その結果、ID1とID2又はID2`との組合せの有無を検出することによって、遺伝子座とアレルの組合せについて判定(遺伝子型を同定)し得る。同様にして、多型のすべてのアレル変異について遺伝子型を同定し得る。同様にして、その他開示のプローブ種に対して、アレル特異的プローブを設計し得る。
【0115】
図1Bは、環化可能なプローブ種を示す図である。ここで、環化可能なプローブは、それぞれ環化可能なプローブの末端(それぞれの3ダッシュ末端及び5ダッシュ末端)に位置する第1の標的特異的区間(TS1)及び第2の標的特異的区間(TS2)、並びに第1の識別子(ID1)、第1のプライマー(P1)とアニーリングすることが可能な第1のプライマー結合配列(PBS1)、第2のプライマー(P2)とアニーリングすることが可能な第2のプライマー結合配列(PBS2)、及び任意選択の第2の識別子(ID2)を含むタグ区間を含む。ID1及びID2は隣接して又は隣接せずに位置し得る。或る特定の実施形態では、本プローブ種の使用をエキソヌクレアーゼ処理と組み合わせて、偽陽性の遺伝子型同定をもたらすおそれがあるライゲートしていないプローブを除去する。或る特定の設計では、ID1及びID2の組合せは、遺伝子座とアレルの組合せを表し得る。環状プローブの増幅の結果、シークエンスし得る短い単位複製配列が生成し、ID1及び/又はID2の存在を判定することにより、所望の多型について陽性の遺伝子型同定が得られる。
【0116】
図1Cは、代替的な環化可能なプローブ種を示す図である。プローブは、同一の構成成分を含有するが、ID1、ID2、PBS1及びPBS2の相対配置及び配向は、プローブが環化する場合に、増幅のみが生じるようになっている。これにより、ライゲートしていないプローブが全く除去されない。
【0117】
図1Dは、図1Aの直鎖種と類似した直鎖プローブ種を示す図である。これに加えて、クランプ区間C1及びC2が、タグ区間、好ましくは末端に組み込まれているが、IDとTSとの間、又はPBSとIDとの間にも位置し得る。C1及びC2が互いにアニーリング/ハイブリダイズすることにより、パドロックの挙動を模擬し、特に、従来の直鎖プローブ種(図1A)と比較してハイブリダイゼーション動態を改善する一方、同時に、図1B又は図1Cのプローブ種の単位複製配列の連結が回避され得る。
【0118】
図1Eは、複合プローブの構造及びその伸長を示す図である。第1のプローブ(1)は、好ましくは第1の標的特異的区間(TS1)から構成される。第2のプローブ(2)は、第2の標的特異的区間(TS2)、並びに第2の識別子(ID2)及び第2のプライマー結合配列(PBS2)を含む第2のタグ区間を含む。ハイブリダイゼーション/ライゲーション工程の後、又はそれと同時に、複合プローブ(C)を、第1の標的特異的区間(TSP1)(の一部)とハイブリダイズすることが可能な区間を有するTS1の一部にアニーリングする。(C)は、プライマー(P1)と結合することが可能なプライマー結合区間(PBS1)を含有する区間をさらに含有する。複合プローブの伸長により、第2の標的特異的区間(TSP2)と相補的な区間、第2の識別子(cID2)と相補的な区間、及びプライマーcP2にアニーリングすることが可能な、第2のプライマー結合配列(cPBS2)と相補的な区間が生成する。プライマーP1及びcP2を使用する増幅により、シークエンスされ得る単位複製配列が生成する。
【0119】
図1Fは、一組の非対称プローブの構造を示す図である。第1のプローブ(1)は、標的特異的区間(TS1)を含有し、且つエキソヌクレアーゼ耐性である(星印)。第2のプローブ(2)は、第2の標的特異的区間(TS2)、及び二つのプライマー結合部位(それぞれ、PBS1及びPBS2)を含有するタグ区間、並びにPBS1とPBS2との間に位置する第2の識別子ID2を含有する。ライゲーションの成功、及びライゲートしていないプローブの除去、その後の増幅により、シークエンスされ得る単位複製配列が得られる。
【0120】
また、図3は、本発明のハイスループットシークエンシング工程を示す概略図である。これにより、ライゲートしたプローブ/単位複製配列を、表面(454技術の場合、エマルジョンPCRと、その後のピロシークエンシングの際のビーズ、又はフローセル表面)に結合させる。表面は、一方又は両方のプライマー結合配列PBSにアニーリングすることが可能な配列(cPBS)を備える。ライゲートしたプローブ/単位複製配列の表面とのハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズした配列を増幅することにより、ビーズが増幅した配列で充填されるか、又はフローセル表面上に増幅した配列のクラスタが生成され得る。続けて、記載したハイスループットシークエンシング技術を使用して、これらの配列を求め得る。シークエンシングプライマー、ヌクレオチド及び酵素を加えることによって、配列を一方向又は両方向で求め得る。
【0121】
また、図4は、図1で描写された要素に加え、又はその代わりとして、例えば、標的区間(TS1、TS2等)、シークエンシング工程用の別個のプライマー結合部位(sPBS)、及び(リバース)PCRプライマー結合部位(PBS2)を含む、一組の縮重ライゲーションプローブ(即ち、アレル「A」及び「G」に関する)を示す図である。
【0122】
試料特異的(リバース)プライマー結合部位(OPBS)を、試料識別子(SIS)として機能する可変部を導入することによって縮重させる。試料特異的プライマー(SSP)を使用して、各試料を選択的に増幅し得る。ここでは試料1、試料2〜試料nについて示される。複数の縮重したリバースプライマーの使用はより経済的であり、複数のアッセイに使用し得る。対応して縮重した一組のプライマーを使用して、プールした試料を増幅し得る。すべてのアレル又は試料の均等なプライマー結合及び増幅効率は、GCアンカー配列を用いて提供され得る。プローブはさらに、プライマー結合部位の5ダッシュ末端(5’Pend)に位置する任意選択の「C」を含有し、(リバース)プライマー(SSP)の3ダッシュ末端(3’OHend)に位置する対応するCを含み得る。プローブはさらに、調査する各アレルに対するアレル識別子(AIS)を含有し得る。アレル識別子及び試料識別子は好ましくは3〜5bpであり、好ましくは二つの同一連続塩基(ホモポリマー)を含まない。好ましくは、識別子は、少なくとも二つの塩基が異なる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】A/C多型を保有する、対象とする標的ヌクレオチド配列(T)に対する、異なるプローブ種(A、B、C、D、E、F)それぞれを示す概略図である。
【図2】図1のプローブ種A〜Fのそれぞれに対する、ライゲーション/増幅後のライゲートしたプローブ/単位複製配列の主要構造を示す図である。
【図3】本発明のハイスループットシークエンシング工程を示す概略図である。
【図4】図1で描写された要素に加え、又はその代わりとして、例えば、標的区間、シークエンシング工程用の別個のプライマー結合部位、及びPCRプライマー結合部位を含む、一組の縮重ライゲーションプローブを示す図である。
【図5】図4で、プライマー(P1)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図6】図5の位置からプライマー(P1)がプライマー結合部位(sPBS)にある状態を実施の一形態で示す図である。
【図7】図4で、プライマー結合部位(sPBS)が除かれた状態を実施の一形態で示す図である。
【図8】図7の状態に、プライマー(P1)及びプライマー(P2)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図9】図7の状態に、シークエンスプライマー(sP)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図10】図4で、プライマー(P2)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図11】図4で、シークエンスプライマー(sP)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図12】図4内に、ライゲーション前のアレルの特異的身長を示す図である。
【図13】図7類似の一組の縮重ライゲーションプローブを示す図で、PCRプライマーI及びPCRプライマーIIを加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図14】図4の構成で、クランプを用いた状態を実施の一形態で示す図である。
【図15】図4の構成で、任意選択のブロック基を用いた状態を実施の一形態で示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学及びバイオテクノロジーの分野に関する。特に、本発明は、核酸検出の分野、より詳細には、核酸のハイスループット検出に使用され得るプローブ(の収集)に関する設計及び組成物に関する。本発明は、プローブ及び組成物を使用して核酸を検出する方法にも関する。本発明はさらに、対象とする標的配列を利用してハイブリダイズすることが可能なプローブ、ライゲートしたプローブの増幅用プライマー、広範な遺伝的形質及び遺伝子に関係するヌクレオチド配列の同定及び/又は検出におけるこれらのプローブ及びプライマーの使用、並びに本発明による方法における使用に好適なプライマー及び/又はプローブのキットを提供する。本発明により、人工物、植物、動物若しくはヒト起源であれ、又はそれらの組合せであれ、標的ヌクレオチド配列のハイスループット検出の分野における適用性が見出される。本発明により、ハイスループット遺伝子型同定の分野における特別な適用性が見出される。
【背景技術】
【0002】
特定の核酸配列の検出への関心が急速に増大している。この関心は、最近開示されたヒトゲノム及び多くの他のゲノムのヌクレオチド配列案、並びにその中、及び多くの他の生物のゲノムにおける、多量の一塩基多型(SNP)及び小さな挿入/欠失(インデル:indel)多型の存在からだけではなく、選択的増幅技術であるAFLP(増幅断片長多型)(登録商標)のようなマーカー技術、SNPWave(SNPの遺伝子型決定方法の一つ)、及び例えば遺伝学的遺伝性疾患の指標としての特定の核酸配列の検出の関連性についての一般的認識からも生じている。乳癌遺伝子「BRCA 1」の各種アレルを検出して、乳癌に対する感受性をスクリーニングすることは、多数の例の一つに過ぎない。遺伝子における一塩基置換及びインデルの存在が広範な情報を提供するという認識も、この関心の増大に起因している。現在は、概して、これらの一塩基置換が、例えばヒトにおけるかなりの数の単因子遺伝病及び多因子遺伝病の主な原因の一つであるか、又はそうでなければ植物及び家畜種における能力形質等、複雑な表現型の発現に関与していることが認識されている。したがって、一塩基置換はまた、多くの場合、ヒト、植物、及び動物種における重要な形質に関係するか、又はそれを少なくとも示す。
【0003】
これらの一塩基置換及びインデルの分析は結果として、可能な限り広い点で医学及び農業に対して広範囲に及ぶ意義を有する大量の有益な情報をもたらす。例えば、これらの発展が結果として患者特異的な薬物治療をもたらすことが概して想定されている。これらの遺伝的多型を分析するために、得られるデータの品質を大きく損なうことなく、多数の試料、及び多数の(主に)SNPのハイスループットな方法での処理を可能にする、十分、確実、且つ迅速な方法の必要性が増大している。既知の配列の核酸の分析に使用される主な方法の一つは、二つのプローブを標的配列とアニーリングすること、及びプローブが標的配列と隣接してハイブリダイズされると、プローブとライゲートすることに基づく。
【0004】
OLA原理(オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイ原理)は、とりわけ、米国特許第4,988,617号公報(Landegren et al.)(特許文献1)に記載されている。この刊行物には、既知の可能な変異を有する既知の核酸配列の領域における核酸配列を判定する方法が開示されている。変異を検出するには、オリゴヌクレオチドを選択して、判定すべき配列のすぐ近くの区間にアニーリングする。選択したオリゴヌクレオチドプローブの一つは末端領域を有し、ここで末端領域ヌクレオチドの一つは、既知の核酸配列における対応位置の正常ヌクレオチド又は変異ヌクレオチドのいずれかと相補的である。それらが正確に塩基対合され、互いにすぐ近くに配置されると二つのプローブを共有結合的に連結するリガーゼが提供される。結合プローブの有無又は量は、既知の配列及び/又は変異の存在を示す。
【0005】
OLA系技法の他の変形は、とりわけ、非特許文献1(Nilsson et al. Human mutation, 2002, 19, 410-415、Science 1994, 265: 2085-2088)、並びに、特許文献2〜29(米国特許第5,876,924号公報、国際公開第WO98/04745号公報、同第98/04746号公報、米国特許第6,221,603号公報、同第5,521,065号公報、同第5,962,223号公報、欧州特許第185494-B1号公報、米国特許第6,027,889号公報、同第4,988,617号公報、欧州特許第246864-B1号公報、米国特許第6,156,178号公報、欧州特許第745140-B1号公報、同964704-B1号公報、国際公開第WO03/054511号公報、米国特許第2003/0119004号公報、同第2003/190646号公報、欧州特許第1313880号公報、米国特許第2003/0032016号公報、欧州特許第912761号公報、同第956359号公報、米国特許第2003/108913号公報、欧州特許第1255871号公報、同第1194770号公報、同第1252334号公報、国際公開第WO96/15271号公報、同第97/45559号公報、米国特許第2003/0119004-A1号公報、および同第5,470,705号公報)に開示されている。
【0006】
OLA技法における特別な進歩は、キージーン(Keygene)(オランダ王国、ワーゲニンゲン)によって報告されている。特許文献30〜33(国際公開特許第WO2004/111271号公報、国際公開特許第WO2005/021794号公報、国際公開特許第WO2005/118847号公報、及び国際公開特許第WO03/052142号公報)には、オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイの信頼性を改善した幾つかの方法及びプローブ設計が記載されている。これらの出願にはさらに、達成され得る、多重レベルでの重要な改善が開示されている。しかしながら、上記刊行物はすべて、電気泳動系検出方法又はアレイ系検出方法に基づくことを欠点に持つ。さらなる欠点は使用されるプローブ長の幅広い変化であり、これは、あまり一定しない増幅につながるおそれがある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,988,617号公報
【特許文献2】米国特許第5,876,924号公報
【特許文献3】国際公開第WO98/04745号公報
【特許文献4】国際公開第WO98/04746号公報
【特許文献5】米国特許第6,221,603号公報
【特許文献6】米国特許第5,521,065号公報
【特許文献7】米国特許第5,962,223号公報
【特許文献8】欧州特許第185494号B1公報
【特許文献9】米国特許第6,027,889号公報
【特許文献10】米国特許第4,988,617号公報
【特許文献11】欧州特許第246864号B1公報
【特許文献12】米国特許第6,156,178号公報
【特許文献13】欧州特許第745140号B1公報
【特許文献14】欧州特許第964704号B1公報
【特許文献15】国際公開第WO03/054511号公報
【特許文献16】米国特許第2003/0119004号公報
【特許文献17】米国特許第2003/190646号公報
【特許文献18】欧州特許第1313880号公報
【特許文献19】米国特許第2003/0032016号公報
【特許文献20】欧州特許第912761号公報
【特許文献21】欧州特許第956359号公報
【特許文献22】米国特許第2003/108913号公報
【特許文献23】欧州特許第1255871号公報
【特許文献24】欧州特許第1194770号公報
【特許文献25】欧州特許第1252334号公報
【特許文献26】国際公開第WO96/15271号公報
【特許文献27】国際公開第WO97/45559号公報
【特許文献28】米国特許第2003/0119004号A1公報
【特許文献29】米国特許第5,470,705号公報
【特許文献30】国際公開第WO2004/111271号公報、
【特許文献31】国際公開第WO2005/021794号公報、
【特許文献32】国際公開第WO2005/118847号公報
【特許文献33】国際公開第WO03/052142号公報
【特許文献34】国際公開第WO99/14226号公報
【特許文献35】国際公開第WO00/56748号公報
【特許文献36】国際公開第WO00/66604号公報
【特許文献37】国際公開WO01/25478号公報
【特許文献38】欧州特許第0974672−A号公報
【特許文献39】欧州特許第0534858号公報
【特許文献40】米国特許第5,476,930号公報
【特許文献41】国際公開第WO01/61033号公報
【特許文献42】欧州特許第185494号公報
【特許文献43】米国特許第5692223号公報
【特許文献44】国際公開第WO03054311号公報
【特許文献45】国際公開第WO00/77260号公報
【特許文献46】米国特許第5185243号公報
【特許文献47】欧州特許第439182号公報
【特許文献48】欧州特許第320308号公報
【特許文献49】国際公開第WO90/01069号公報
【特許文献50】欧州特許第534858号公報
【特許文献51】国際公開第WO03/004690号公報
【特許文献52】国際公開第WO03/054142号公報
【特許文献53】国際公開第WO2004/069849号公報
【特許文献54】国際公開第WO2004/070005号公報
【特許文献55】国際公開第WO2004/070007号公報
【特許文献56】国際公開第WO2005/003375号公報
【特許文献57】国際公開第WO0006770号公報
【特許文献58】国際公開第WO0027521号公報
【特許文献59】国際公開第WO0058507号公報
【特許文献60】国際公開第WO0123610号公報
【特許文献61】国際公開第WO0157248号公報
【特許文献62】国際公開第WO0157249号公報
【特許文献63】国際公開第WO02061127号公報
【特許文献64】国際公開第WO03016565号公報
【特許文献65】国際公開第WO03048387号公報
【特許文献66】国際公開第WO2004018497号公報
【特許文献67】国際公開第WO2004018493号公報
【特許文献68】国際公開第WO2004050915号公報
【特許文献69】国際公開第WO2004076692号公報
【特許文献70】国際公開第WO2005021786号公報
【特許文献71】国際公開第WO2005047301号公報
【特許文献72】国際公開第WO2005065814号公報
【特許文献73】国際公開第WO2005068656号公報
【特許文献74】国際公開第WO2005068089号公報
【特許文献75】国際公開第WO2005078130号公報
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【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当該技術分野において既知の各種ライゲーションプローブ種別及び検出方法の、利点を組み合わせ、且つ特定の欠点を回避するオリゴヌクレオチドプローブに対する継続的必要性があることは明らかである。さらなる利点を有するプローブを提供することによって技術をさらに改善する必要性もある。本発明の目標の一つは、かかるプローブを提供することである。本発明の別の目標は、本明細書中で前述した既知のプローブの欠点を回避することである。本発明のさらなる目標は、ハイスループットで検出する方法に好適なプローブを提供することである。また、本発明の目標は、好ましくはオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイを実施することによって、標的ヌクレオチド配列を検出するための、効率的、確実且つ/又はハイスループットな方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、同時にその多くの有利な態様の維持を試みながら、当該技術分野における既存の問題を排除するか、又は少なくとも減らし、且つ技術をさらに改善することに取りかかった。当該技術分野における他の問題、及び本発明によってそれに対して提供される解決手段は、本明細書中に記載の明細書、図面及び各種実施の形態の全体を通して明確になる。
【0010】
本発明者らは、新規のハイスループットシークエンシング技術を、オリゴヌクレオチド・ライゲーション系アッセイの汎用性と組み合わせることができた。特に、本発明は、オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイ(OLA)に基づく、標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法に関する。ここで、ライゲーションアッセイで使用されるプローブは、ハイスループットシークエンシング法を使用して、一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列量の当面の不足分が明瞭に現れ得るように修飾される。
【0011】
こうして、本発明者らは、試料中の各標的配列の検出、及びその後の、ハイスループットシークエンシング法による、ライゲーション工程及び増幅工程後の識別子検出のためにOLAアッセイで使用されるプローブのうち少なくとも一つに、ユニークなオリゴヌクレオチド識別子を組み込むことによって、既存技術の非常に効率的で確実な改善が提供されることを見出した。当該技術分野において既知のプローブとは対照的に、直鎖であれ、環化可能であれ、本発明の方法で使用されるプローブはすべて、同一又は非常に類似した長さを有し得る。この均一な長さは、ライゲートしたプローブが増幅される場合、すべてのライゲートしたプローブについての増幅効率が類似するので有利である一方、異なる長さでライゲートしたプローブに関しては、増幅効率が大きく異なり得ることが観察されているので、全体としてアッセイの信頼性が損なわれる。また、均一な長さにより、識別子がすべてのライゲートしたプローブに対して同一位置に位置するので、検出が容易となる。このようにOLAアッセイを改善することによって、特定の標的配列に対する設計が容易であり、標的配列又は試料を確実に判別可能であり、且つハイスループットで高度に多重化された様式で実施され得るという、一段と均一なアッセイの提供を大きく前進させることとなる。
【0012】
或る特定の実施の形態において、一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法が提供される。或る特定の実施の形態において、本方法は、一つ又は複数の試料に由来し得る、一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列のハイスループット検出を提供する。或る特定の実施の形態において、本方法は、各標的ヌクレオチド配列に、第1のプローブ及び第2のプローブを提供することを含む。
【0013】
或る特定の実施の形態において、第1のプローブは、その3ダッシュ末端(3プライム末端:3'end)に標的特異的区間を含む。或る特定の実施の形態において、第1のプローブはさらに、第1のタグ区間を含む。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間は標的ヌクレオチド配列と非相補的である。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間はさらに、第1のプライマー結合配列を含む。
【0014】
或る特定の実施形態では、第2のプローブは、その5ダッシュ末端(5プライム末端:5'end)に第2の標的特異的区間を含む。或る特定の実施の形態において、第2のプローブは第2のタグ区間を含む。或る特定の実施の形態において、第2のタグ区間は標的ヌクレオチド配列と非相補的である。或る特定の実施の形態において、第2のタグ区間はさらに、第2のプライマー結合配列を含む。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間又は第2のタグ区間は識別子配列を含有する。或る特定の実施の形態において、第1のタグ区間及び第2のタグ区間は共に、識別子配列を含有する。或る特定の実施の形態において、識別子配列は、第1のプライマー結合配列と、第1の標的特異的配列との間に位置する。或る特定の実施の形態において、識別子配列は、第2のプライマー結合配列と、第2の標的特異的配列との間に位置する。
【0015】
或る特定の実施の形態において、第1のプローブ及び第2のプローブは、試料中の標的配列とハイブリダイズすることが可能である。プローブの第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間はそれぞれ、好ましくは標的配列上の本質的に隣接する区間とハイブリダイズするが、幾つかの実施の形態では、二つの区間の間にギャップが存在し得る。或る特定の実施の形態において、第1のプローブ及び第2のプローブは、ライゲート、即ち、互いに連結する。第1のプローブ及び第2のプローブのライゲーションにより、ライゲートしたプローブが得られる。
【0016】
或る特定の実施の形態において、ライゲートしたプローブは増幅されて、単位複製配列を提供する。或る特定の実施の形態において、一つ又は複数のプライマーが増幅で使用される。或る特定の実施の形態では、第1のプライマー、或る特定の実施の形態では、第2のプライマーが増幅に使用される。
【0017】
或る特定の実施の形態では、第1のプライマー、そして或る特定の実施の形態では第2のプライマーが使用可能であり、それは、独立して制限酵素認識部位を含有して、単位複製配列を提供することができる。その単位複製配列は、第1のプライマー、そして或る特定の実施の形態では第2のプライマーの中に認識部位が存在するそれぞれの制限酵素で消化される。第3のプライマー、そして或る特定の実施の形態では第4プライマーを、続けて消化した単位複製配列にライゲートすることにより、増幅用の鋳型を得ることができる。或る特定の実施の形態では、第3のプライマー及び第2のプライマーを、或る特定の実施の形態では、第3のプライマー及び第4プライマーを増幅の際に使用する。
【0018】
或る特定の実施の形態では、ライゲートしたプローブ、又は或る特定の実施の形態では、ライゲートしたプローブの増幅に由来する単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付して、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列のヌクレオチドの少なくとも一部を求める。或る特定の実施形態では、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付すことによって求める、ヌクレオチド配列の一部分(複数可)は、識別子配列(複数可)を少なくとも含む。
【0019】
或る特定の実施の形態において、試料中の標的ヌクレオチド配列の存在は、ヌクレオチド配列中の関連識別子配列の有無を判定することによって同定される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、上述したように、試料中の各標的配列の検出、及びその後の、ハイスループットシークエンシング法による、ライゲーション工程及び増幅工程後の識別子検出のためにOLAアッセイで使用されるプローブのうち少なくとも一つに、ユニークなオリゴヌクレオチド識別子を組み込むことによって、既存技術の非常に効率的で確実な改善が提供されることが見出された。当該技術分野において既知のプローブとは対照的に、直鎖であれ、環化可能であれ、本発明の方法で使用されるプローブはすべて、同一又は非常に類似した長さを有し得る。
【0021】
この均一な長さは、ライゲートしたプローブが増幅される場合、すべてのライゲートしたプローブについての増幅効率が類似するので有利である。また、均一な長さにより、識別子がすべてのライゲートしたプローブに対して同一位置に位置するので、検出が容易となる。このようにOLAアッセイを改善することによって、特定の標的配列に対する設計が容易であり、標的配列又は試料を確実に判別可能であり、且つハイスループットで高度に多重化された様式で実施され得るという、一段と均一なアッセイの提供を大きく前進させるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、第1の態様において、一つ又は複数の試料中の一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法であって、当該方法が、次の(a)から(f)までの工程を含む。
【0023】
工程(a)は、各標的ヌクレオチド配列に対して、第1のプローブ及び第2のプローブを提供する工程であって、第1のプローブが、その3ダッシュ末端の標的特異的区間、及び標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第1のプライマー結合配列を含む第1のタグ区間を含み、第2のプローブが、その5ダッシュ末端の第2の標的特異的区間、及び標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第2のプライマー結合配列を含む第2のタグ区間を含み、第1のタグ区間若しくは第2のタグ区間、又は両方が、第1のプライマー結合配列又は第2のプライマー結合配列のそれぞれと、第1の標的特異的区間又は第2の標的特異的区間のそれぞれとの間に位置する識別子配列を含有する、各標的ヌクレオチド配列に対して、第1のプローブ及び第2のプローブを提供し、
工程(b)は、第1のプローブ及び第2のプローブを標的配列とハイブリダイズさせ、
工程(c)は、上記第1のプローブ及び第2のプローブの標的特異的区間がそれぞれ、標的配列上の本質的に隣接する区間とハイブリダイズし、それによりライゲートしたプローブが得られる、ハイブリダイズする場合の、第1のプローブ及び第2のプローブをライゲートし、
工程(d)は、任意選択で、ライゲートしたプローブを第1のプライマー及び第2のプライマーで増幅する工程であって、単位複製配列が得られ、
工程(e)は、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付す工程であって、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列の識別子配列を少なくとも含む、ヌクレオチド配列の少なくとも一部を求める、ハイスループットシークエンシング技術に付し、
工程(f)は上記工程(e)のヌクレオチド配列中の識別子配列の有無を判定することによって、試料中の標的ヌクレオチド配列の存在を同定する。
【0024】
本方法は、対象とする配列を含有し得る一つ又は複数の試料(組み合わされるか、又はプールされ得る)の提供で開始する。本試料に対して、プローブの組を加え(各標的配列に対して、異なる組のプローブが提供され得る)、好適な条件下で、プローブの標的特異的区間を標的配列とハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション後、標的配列上で隣接してハイブリダイズした任意のプローブをライゲートして、ライゲートしたプローブを生成する。ライゲートしたプローブを増幅するか、又は代替的には合成によるシークエンシングに基づくハイスループットシークエンシング法を使用するシークエンシングに直接付すことができる。シークエンシング工程、及びその後の識別子の同定により、試料中の標的配列の存在を判定し、遺伝子型同定を完結させる。
【0025】
本発明の一態様は、本発明で使用されるプローブの有利な設計に関する。これらのプローブを、以下に、より詳細に説明する。本発明の別の有利な態様は、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイに対する検出プラットフォームとしての、現行の技術水準のハイスループットによるシークエンシング技術と、OLA系アッセイの判別力とを連結させることにある。現在既知のOLAアッセイとしては、長さ/移動度の分離に基づく検出プラットフォーム(即ち、電気泳動分析)、ハイブリダイゼーション(アレイ系)又は質量決定(質量分析/MALDI−TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法−飛行時間型))が考案されているのみである。その一方で、ハイスループットによるシークエンシングの検出プラットフォームで使用され得る好適なプローブは全く開発されていない。本出願人等は、プローブ設計における技術革新は別にして、ハイスループットによるシークエンシングを併用してOLAアッセイを実施する方法も、プローブと手順の両方に大きな修正を必要とすることを観察している。
【0026】
「標的ヌクレオチド配列」
その最広義において、標的配列は対象とする任意のヌクレオチド配列であり得る。標的配列は、例えば、或る特定の病気(aliment)又は遺伝子構造(genetic make up)又は疾患を示すか、これに関連するか、又はこれを表すので、標的配列の判定/検出が望まれる任意の配列であり得る。標的配列は、好ましくは、多型を含有するか、表すか、又はこれに関連するヌクレオチド配列である。本明細書における多型という語は、或る集団において、二つ以上の遺伝的に求められる代替的な配列又はアレルが生じることを指す。多型マーカー又は部位は、配列分散が生じる遺伝子座である。好ましいマーカーは、少なくとも二つのアレルを有し、それぞれ選択集団の1%を超える頻度で、より好ましくは、10%又は20%を超える頻度で生じる。多型遺伝子座は一つの塩基対と同じくらいの小ささであり得る。
【0027】
多型マーカーとしては、制限酵素断片長多型(RFLP)、可変数タンデム反復(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復、及びアル(Alu:反復DNA配列の一種)等の挿入要素が挙げられる。最初に同定されたアレル形態が基準形態として適宜指定され、他のアレル形態は代替又は変形アレルとして指定される。選択集団において最も頻繁に生じるアレル形態は野性型形態と称されることが多い。二倍体(及び四倍体/六倍体)はアレル形態に関してホモ接合又はヘテロ接合であり得る。二アレル多型は二つの形態を有する。三アレル多型は三つの形態を有する。一塩基多型は、アレル配列間の変化部位である、単一のヌクレオチドによって占有された多型部位で生じる。通常、アレルの高度に保存された配列(例えば集団の構成員の「1/100」又は「1/1000」未満で変化する配列)が部位の前後にある。一塩基多型は通常、多型部位での一つのヌクレオチドの別のヌクレオチドに対する置換のために起こる。一塩基多型は、基準アレルに対する、ヌクレオチドの欠失、又はヌクレオチドの挿入からも起こり得る。他の多型としては、インデルと称される、幾つかのヌクレオチドの(小さな)欠失又は挿入が挙げられる。現在記載されている方法を使用して、個々のDNA試料中に存在する特定の遺伝的バリエーション(多型)を分析するプロセスは、本願では、遺伝子型同定、又は一塩基多型の頭文字をとって、SNP遺伝子型同定と称することもある。
【0028】
「DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)」
核酸試料において、標的を含む核酸は対象とする任意の核酸であり得る。試料中の核酸は通常DNAの形態ではあるが、試料中に含有されるヌクレオチド配列情報は、例えば、RNA(RiboNucleic Acid)、ポリA+RNA、cDNA、ゲノムDNA、ミトコンドリア若しくは葉緑体DNA等のオルガネラDNA、合成核酸、DNAライブラリ(BAC(細菌人工染色体)ライブラリ/プールされたBACクローン等)、クローンバンク、又はそれらの任意の選択若しくは組合せを含む、核酸の任意の供給源由来であり得る。核酸試料中のDNAは二本鎖、一本鎖、及び一本鎖DNAに変性された二本鎖DNAであり得る。二本鎖配列の変性により二つの一本鎖断片が生じ、その一方又は両方はそれぞれの鎖に対して特異的なプローブによって分析され得る。好ましい核酸試料は、cDNA、ゲノムDNA、制限断片、アダプタとライゲートした制限断片、増幅したアダプタとライゲートした制限断片、AFLP(登録商標)断片、又はAFLP(登録商標)鋳型の前増幅で得られる断片上の標的配列を含む。
【0029】
「試料」
試料は、二つ以上の異なる標的配列を含有することが好ましい。即ち、二つ以上とは、試料中の標的配列の量ではなく同一性を指す。特に、試料は、少なくとも二つの異なる標的配列、特に、少なくとも100個、好ましくは少なくとも250個、より好ましくは少なくとも500個、より特に好ましくは少なくとも1000個、好ましくは少なくとも2500個、より好ましくは少なくとも5000個、また最も好ましくは少なくとも10000個のさらなる標的配列を含む。実際には、分析され得る試料中の標的配列の数は、とりわけ、検出され得る単位複製配列の数によって制限される。現在利用されている検出方法では、比較的多数の標的配列が可能である。
【0030】
「プローブ」
標的配列と相補的なオリゴヌクレオチドプローブの区間は、試料中の各標的配列に対して、一対の第1のプローブ及び第2のプローブが提供されることにより、プローブがそれぞれ、標的配列の一部と相補的な末端の区間(それぞれ、標的配列の第1の部分及び第2の部分)を含有し、且つ好ましくは、標的配列の対応する相補的部分が互いに本質的に隣接して位置するように設計される。
【0031】
或る特定の実施形態では、遺伝子座の異なるアレルに対応する、さらなる第1のプローブ及び/又は第2のプローブが提供され得る。或る特定の実施形態では、アレル特異的ヌクレオチドは、ライゲーションが生じる第1のプローブ又は第2のプローブのいずれかの位置に、即ち、標的特異的区間の末端に位置する(図1A参照)。
【0032】
或る特定の実施形態では、一対のオリゴヌクレオチドプローブ内において、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その5ダッシュ(リン酸基)末端に標的配列の第1の部分と相補的な区間を有し、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その3ダッシュ(水酸基)末端に標的配列の第2の部分と相補的な区間を有する。したがって、プローブ対が標的配列の相補的部分にアニーリングされると、第1のオリゴヌクレオチドプローブの5ダッシュ末端は、二つのプローブの末端がそれぞれライゲートされて、ホスホジエステル結合を形成するか、又は他の好適な様式で共有結合的に連結するように、第2のオリゴヌクレオチドプローブの3ダッシュ末端に本質的に隣接する。或る特定の実施形態では、一対のオリゴヌクレオチドプローブ内において、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その3ダッシュ末端に、標的配列の第1の部分と相補的な区間を有し、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その5ダッシュ末端に、標的配列の第2の部分と相補的な区間を有する。したがって、プローブ対が標的配列の相補的部分にアニーリングされると、第1のオリゴヌクレオチドプローブの3ダッシュ末端は、二つのプローブの末端がそれぞれライゲートされて、ホスホジエステル結合を形成するか、又は他の好適な様式で共有結合的に連結するように、第2のオリゴヌクレオチドプローブの5ダッシュ末端に本質的に隣接する。
【0033】
或る特定の実施形態では、試料中の有無又は量を求める各標的配列に対して、特異的な第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの対を設計する(各プローブは、上記のように、各標的配列の隣接する相補的部分と相補的な区間を有する)。したがって、本発明の方法では、試料中に存在する各標的配列に対して、ライゲートしたプローブ又は対応する(特異的な)単位複製配列を、増幅した試料中に得ることができる。或る特定の実施形態では、試料中の様々な標的配列と相補的な、多様な第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブが提供される。試料中の所定の標的配列に対する第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの対は、他の標的配列又は他の試料に対するプローブ対とは、少なくともヌクレオチド配列が異なり、他の標的に対するプローブ対とは、長さ及び/又は質量が異なり得る(もっとも、上記で概説したように、このことはあまり好ましくない)。より好ましくは、所定の標的に対するプローブ対により、以下に記載する試料中の他の標的に対応する連結プローブとは配列が異なる、ライゲートしたプローブ若しくは連結プローブ及び/又は単位複製配列が生成される。
【0034】
「プローブの変形形態」
「パドロック(Padlock:南京錠)」
本発明の或る特定の実施形態では、環化可能プローブ又はパドロックプローブを使用し得る。この場合、第1のプローブ及び第2のプローブを一つのプローブに組み合わせる。環化可能なプローブは、標的配列とアニーリングした場合、及びライゲートした場合に、標的配列にトポロジー的にロックされた環状構造を有する直鎖オリゴヌクレオチドである。或る特定の実施形態では、ライゲーション工程後、且つ増幅、好ましくはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅前の試料のエキソヌクレアーゼ処理は、任意のライゲートしていない環状プローブを除去し、且つ任意のライゲートしていないプローブが増幅しないようにする働きがある。環化可能なプローブ自体は、例えば、特許文献13(欧州特許第745140号公報)、又は非特許文献2(Van Eijk et al, Nucleic Acids Research, 2004, 32, e47)により、当該技術分野において既知である。既知のプローブは一般的に、ローリングサークル増幅、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅され、コンカテマーを生じる。さらに、既知の環化可能なプローブにおけるプライマー結合部位は、環化したプローブ全体が、任意の標的特異的区間を含んで増幅されるように配向される。PCR増幅の間、コンカテマー産物を回避するために、特許文献33(国際公開第WO03/052142号公報)に記載された種類の二つのプライマー結合部位の間のライゲーションプローブに、ブロック修飾を組み込み得る。
【0035】
或る特定の実施形態では、本環化可能なプローブにおけるプライマー結合部位は、好ましくはプライマー結合部位及び識別子を含む区間のみが増幅されると共に、好ましくはライゲートした標的特異的区間が増幅されないように配向される。好ましくは、エキソヌクレアーゼ処理を併用して、ライゲートしていない環化可能なプローブを除去し、これにより、環化したプローブの従来法による増幅から得られる従来の単位複製配列と比較して、比較的短い長さを有する単位複製配列が得られる。これにより、大きなコンカテマーの形成、及びさらには環化したプローブ全体の不必要な増幅を回避する。
【0036】
或る特定の実施形態では、識別子は、増幅の際、単位複製配列が、二つのプライマー結合部位のうちの一つ、及び間欠的な識別子を少なくとも含むように、プライマー結合配列の一つと本質的に隣接して、好ましくは第1のプライマー結合部位と第2のプライマー結合部位との間に位置する。その後の単位複製配列のハイスループットシークエンシングにより、識別子の配列が得られるので、試料中の標的配列に存在する配列が得られる。
【0037】
「キーロック」
或る特定の実施形態では、検出すべき各所定の標的配列に対して、好ましくは少なくとも、二つのプローブの対が、対になった各プローブが標的配列の一部とハイブリダイズすることが可能であり、且つ対になったそれぞれのプローブがさらに、両方のプローブが互いにハイブリダイズすることが可能であるように、対になった他のプローブの対応区間と相補的な区間をそれぞれ含むように設計される。対になった二つのプローブは、互いにハイブリダイズする場合、それぞれが標的配列にもハイブリダイズすることが可能であるように設計される。互いにハイブリダイズする場合、二つのプローブは、標的ヌクレオチド配列を検出するためのオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイで使用される場合は、パドロックプローブを模擬するか、又はパドロックプローブとして作用する一方、その後の増幅工程及び検出工程においては、プローブは直鎖ライゲーション産物として機能する。この種のプローブは「キーロック」と呼ばれており、とりわけ、特許文献30(国際公開第WO2004111271号公報)に開示されている。
【0038】
或る特定の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その5ダッシュ末端に、標的配列の第1の部分と相補的な区間を有し、且つ第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その3ダッシュ末端に、標的配列の第2の部分と相補的な区間を有する。或る特定の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドプローブはさらに、第2のオリゴヌクレオチドプローブ内に位置する相補的なクランプ区間とハイブリダイズすることが可能なクランプ区間を含み、それにより、クランプ区間は標的配列と本質的に非相補的である。或る特定の実施形態では、本発明は、本明細書中で概説するように、試料中の標的配列の有無、又は少なくとも一つの標的配列の量を判定する方法であって、本明細書中で概説するように、クランプ区間を含むプローブ対を、検出すべき各標的配列に提供する工程を含む、方法に関する。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブを標的配列とアニーリングさせて、第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブを連結する手段を提供し、第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブを連結させて、試料中の標的配列に対応する連結プローブを生成する。
【0039】
クランプ区間は、好ましくは、標的区間より遠位であるプローブの末端又はその近くに位置する。即ち、標的区間が3ダッシュ末端に位置する場合、クランプ区間はより5ダッシュ末端の方に位置し、逆の場合も同じである。クランプ区間は必ずしも最も遠位の5ダッシュ末端又は3ダッシュ末端には位置せず、本明細書で他の部分で説明するように、他の区間が後に来る可能性がある。クランプ区間は、好ましくは、標的部分とハイブリダイズすることが可能でないように設計される。対の第1のプローブ及び第2のプローブのクランプ区間は、互いにハイブリダイズすることが可能である。クランプ区間は、好ましくは、二つの相補的なクランプ区間が、プローブの標的区間の、標的ヌクレオチド配列におけるその相補的部分に対する結合親和性よりも高い、互いに対する結合親和性を有するように設計される。
【0040】
これは、実際に、クランプ区間が、互いにハイブリダイズすると、標的ヌクレオチド配列における標的区間とその相補体との間のハイブリッドよりも強い二本鎖を形成し、且つ/又は相補的なクランプのハイブリダイゼーションが、プローブの標的相補的区間の標的とのハイブリダイゼーションよりも高い温度で起こることを意味する。即ち、ハイブリダイズされたクランプ区間は、その他の点では同等の条件下で、プローブ対における標的相補的区間の変性温度よりも高い温度又は高ストリンジェンシー条件で変性する。これにより、ハイブリダイズ又はロックされたクランプが、少なくともプローブが連結されて連結プローブを生成するまでハイブリダイズしたまま又は密接したままであるように、本発明の方法中で条件を選択することが可能になる。ロックされたクランプは、ロックされたクランプの変性を可能にする温度又は環境下で(連結)プローブを変性することによって開放され得る。
【0041】
ロックされたクランプを有するプローブ対は、環化可能なプローブ又はパドロックプローブと同様又は同一のハイブリダイゼーション動態及び挙動を表す。対の二つのプローブを別個に加えた後に、クランプ区間を試料中で互いにハイブリダイズすることができ、又は、代替的には、二つのプローブを試料に加える前にロックすることができる。
【0042】
好ましい実施形態では、クランプの変性温度(又は融解温度、Tm)は、プローブ対における標的相補的区間の変性温度を少なくとも1℃、好ましくは5℃上回り、より好ましくはT1区間又はT2区間の最低Tmよりも10℃高い。オリゴヌクレオチド配列の変性温度は、例えば、非特許文献3(Meinkoth et al.「Anal. Biochem」138: 267-284, 1984)における下記一般式を使用してヌクレオチド組成物から算出/推定され得る。
【0043】
「Tm(℃)=4×(G+C)+2×(A+T)」 又は
「Tm(℃)=4×G/C+2×A/T−5」
ここで、「G」,「C」,「A」,「T」は、オリゴマーでのグアニン(G)、シトシン(C)、アデニン(A)、チミン(T)それぞれのクレオチドの数である。
【0044】
本質は区間の間の変性温度差(Tm[クランプ]−Tm[標的])にあるので、他の式が同様に適用可能である。これはクランプ区間の長さを変えるだけではなく、GC塩基対がAT塩基対と比べ約2℃、「Tm」を増大させるので、クランプのGC含量を変えることによっても達成され得る。
【0045】
典型的なクランプ区間は、10〜30個、好ましくは15〜25個、より好ましくは18〜24個のヌクレオチドを含む。GC含量が低い場合、このヌクレオチドの数は、所望のハイブリダイズ特性が得られる限り増大し得る。代替的には、二つのクランプ区間の間でのハイブリダイゼーションを増大させる修飾ヌクレオチドが使用され得る。その例は、例えば、特許文献34〜37(国際公開第WO99/14226号公報、同第WO00/56748号公報、同第WO00/66604号公報、及び同第WO01/25478号公報)に開示されているロックされた核酸、ペプチド核酸、又は特許文献38(欧州特許第0974672-A号公報)に記載されているもの等、副溝結合剤他等のDNAハイブリダイゼーションを安定化又は増強する他の分子によって改善されたハイブリダイゼーション特性を有するヌクレオチドである。
【0046】
クランプのGC含量は変化し得るが、ここでクランプ区間のGC含量は、50%より多く100%までの範囲であり、好ましくは60%より多く、より好ましくは70%より多く、最も好ましくは80%よりも多く、好ましくは90〜100%の範囲である。したがって、ほとんどのクランプ区間は、より偶発的に、又は構造的理由で「A/T」の組合せを含有する。好ましいクランプ区間の群は「GC」が豊富なZIP配列である(非特許文献4「Iannone et al. Cytometry 2000、39: pp. 131-140」参照)。好ましくは、クランプ区間は、「T1」及び「T2」のそれぞれよりも多い、G(グアニン)及びC(シトシン)から成る群より選択される、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、3個、4個又は5個のヌクレオチドを含む。
【0047】
或る特定の実施形態では、プローブ対群が関与する場合、群の各プローブ対には、異なるクランプ区間が提供され得る。第1のプローブ対に対するクランプ、及び第2以降のプローブ対に対するクランプが互いに区別可能であり、好ましくは、ライゲーションアッセイで使用される条件下で交差ハイブリダイズすることがないように、クランプ区間が設計される。各プローブ対は独自のクランプを含み、それによって試料中の異なるプローブ対のクランプ間での交差ハイブリダイゼーションを回避する。この目的のために、クランプ区間はさらなるヌクレオチドを含み得るか、又はクランプ区間のオリゴヌクレオチド配列は群又はその組合せの中で独自であり得る。それによって、群における二つのクランプ間の区別が得られるか、又は多重ライゲーションアッセイで使用するための可能な非交差結合クランプ配列の数が増大する。この後者の実施形態により、一つの試料中で複数の標的配列を同時に検出することが可能になる。本実施形態により、プローブ対の同一の集合を使用して、続けて複数の試料中で一つ又は複数の異なる標的配列を検出することも可能になる。本実施形態により、同一の対群が異なる標的配列の検出のために何度も使用されることが可能になる。
【0048】
好ましくは、プローブ対群において異なるクランプを使用する場合、これらのクランプの「Tm」は、小さな範囲内、好ましくは約60〜90℃、より好ましくは65〜88℃、最も好ましくは70〜85℃である。既知のように、核酸のハイブリダイゼーション特性は、塩濃度によっても影響される。本明細書において使用する場合、一般のハイブリダイゼーション特性又は特にオリゴヌクレオチドの変性温度の比較は、特に明示のない限り、同等の塩濃度下で考察される。本発明において使用され得る代替的なクランプは、光分解性結合を含有する核酸である。ライゲーション後、光分解性結合は除去され、連結プローブが増幅及び/又は検出される。
【0049】
或る特定の実施形態では、本発明のプローブは、かかるクランプ区間を備える。或る特定の実施形態では、第1のプローブ及び/若しくは第2のプローブのクランプ区間、又はその一部は、他のプローブに関して、本明細書中の他の部分で概説するように、エキソヌクレアーゼ耐性となる。或る特定の実施形態では、クランプ区間又はその一部は、クランプ区間のハイブリダイゼーションに基づく、任意のライゲートしていない第1のプローブ及び/又は連結プローブの単離、例えば、本明細書の他の部分で開示されるように、ハイブリダイゼーション系の引抜き、又はガラススライド、アレイ、ビーズ、常磁性粒子等を使用する他のハイブリダイゼーション系の単離方法に使用され得る。或る特定の実施形態では、エキソヌクレアーゼ処理及び/又はライゲートしていない第1のプローブ若しくは連結プローブの単離の前に、クランプ区間を変性させる。
【0050】
キーロック型プローブにおいて、識別子は、プローブのプライマー結合区間と標的特異的区間との間に位置する。キーロックプローブの両半分は、識別子を備え得る。
【0051】
「複合プローブ」
本発明の或る特定の実施形態では、特許文献31(国際公開第WO2005/021794号公報)に記載されている一組のプローブを使用する。標的配列を第1のプローブ及び第2のプローブに接触させるが、ここで、第1のプローブは、標的配列と相補的な第1の標的特異的区間を含有し、且つ第1のプローブは、好ましくは任意選択の第1のタグ区間中に第1のプライマー結合配列を含有しない。第2のプローブは、第2の標的特異的区間及び第2のタグ区間を含有するが、ここで、第2のタグ区間は第2のプライマー結合配列を含有する。第2のタグ区間は、第2のプライマー結合配列と第2の標的特異的区間との間に識別子を含有し得る。二つのプローブのハイブリダイゼーション及びライゲーションの後、又はそれと同時に、第1の標的特異的区間(の一部)とハイブリダイズすることが可能な区間を含有し、且つプライマー結合区間を含有する区間をさらに含有する複合プローブが得られる。複合プローブは、ライゲートした第1のプローブ及び第2のプローブとハイブリダイズする。ライゲートした第1のプローブ及び第2のプローブに沿った複合プローブの伸長により、第1のプライマー結合部位及び第2のプライマー結合部位と結合し得る第1のプライマー及び第2のプライマーを使用して続けて増幅され得る伸長した複合プローブが得られる。得られた単位複製配列は、本明細書中に記載のハイスループットシークエンシング技術を使用して検出することができ、試料中の標的配列は、識別子の有無によって同定され得る。
【0052】
「非対称プローブ」
或る特定の実施形態では、特許文献32(国際公開第WO2005/118847号公報)に記載されている一組のプローブを使用する。本実施形態では、標的配列を第1のプローブ及び第2のプローブに接触させる。第1のプローブは、第1の標的特異的区間を含有し、好ましくはそれから構成される。即ち、第1のプライマー結合配列を含み得る第1のタグ区間を含有しない。第1の標的特異的区間は、好ましくは潜在的なライゲーション点から遠位の末端に、ビオチン等のエキソヌクレアーゼ、又はホスホロモノチオエート、ホスホロジチオエート及びホスホロアミデート修飾等の修飾ヌクレオチド、並びにPNA(ペプチド核酸)及びLNA(ロックト核酸)に対してプローブを耐性にする手段を含有し得る(また、この点に関してより詳細には、特許文献32(国際公開第WO2005/118847号公報)を参照されたい)。第2のプローブは、第2の標的特異的区間及び第2のタグ区間を含有する。第2のタグ区間は、典型的には第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列、並びに間欠的に位置する識別子を含有する。
【0053】
ハイブリダイゼーション及びライゲーションが上手くいくと、連結プローブが生じる。エキソヌクレアーゼ工程を実施することにより、すべてのライゲートしていないプローブ、即ち第2のプローブが除去される。増幅は、第1のプローブの存在によってエキソヌクレアーゼ耐性状態にされたライゲートプローブに対してのみ達成される。一組の第1のプライマー及び第2のプライマーでライゲートしたプローブを増幅すると、主に二つのプライマー及び間欠的な識別子から構成される短い単位複製配列が生成する。これらの短い単位複製配列(及びその中にある識別子、並びに結果的に関連標的配列)を、本発明のハイスループットシークエンシング法を使用して同定することができる。
【0054】
「タグ区間」
タグ区間という用語は、標的ヌクレオチド配列とハイブリダイズすることが不可能なプローブの部分を指すために使用される。通常、タグ区間は、識別子及びプライマー結合部位を含有し、場合によっては、本明細書中の他の部分で概説するように、クランプ区間を含有する。
【0055】
「プライマー結合配列」
線形的であれ指数的であれ、プライマー結合配列をプローブに組み込むことにより、増幅を容易にすることができる。プライマー結合部位は、好ましくは、標的特異的区間以外のプローブ部分、好ましくは、標的配列と本質的に非相補的なタグ区間に位置する。プライマー結合部位は、プライマーに結合して、プライマー伸長又は増幅を開始させることが可能である。好ましくは、プローブ対群の中で、プライマー結合部位は普遍的である。即ち、プライマー結合部位の所定の群のみがプローブに組み込まれることにより、限られた数のプライマーからの多重プライマー伸長又は増幅が可能になる。このプライマーは、例えば、AFLP(登録商標)(特許文献39「欧州特許第0534858号公報」参照)から既知であるような、3ダッシュ末端に一つ又は複数の選択的塩基を含むプライマーである。プローブ対群の間では、プライマー結合部位は異なり得る。或る特定の実施形態では、異なるプライマー結合部位に結合することが可能なプライマーの「Tm」は、プローブ対群の間で異なり得る。
【0056】
プローブにおける識別子及びプライマー結合部位の機能は組み合わせることができ、プローブの特異的部分は、(選択的な)プライマー伸長/増幅のためのプライマー結合部位(の一部)として機能し得ると同時に、又は別の時間に、識別子(の一部)として機能して、本明細書中の他の部分で開示されているような所望の検出プラットフォームに基づく差異を与え得るという意味で、相互に関係付けることができる。
【0057】
「識別子配列」
或る特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドプローブはさらに、識別子又は識別子配列を含む。識別子配列は、可変配列のオリゴヌクレオチド配列である。識別子の長さは1〜30ヌクレオチド、好ましくは2〜20ヌクレオチド、より好ましくは3〜10ヌクレオチド、最も好ましくは4〜6ヌクレオチドで変化する。識別子は独自の配列である。独自の特徴は、非特許文献4(Iannone et al. Cytometry, 2000, 39: pp. 131-140)によって記載される種類のZIPコード配列として説明され得る。6ヌクレオチドの識別子には、最大4096個(=46個)の独自の組合せが作製され得る。好ましくは、識別子は、3ダッシュ末端に、2塩基GC(又は他の規定の短くてGC豊富(G/C-rich)な)アンカー配列を含有して、均等な結合親和性及び増幅効率を保証する。また、明瞭な配列認識を保証するために、識別子は二つの同一連続塩基を含有しないことが好ましく、一組の識別子で使用されるすべての識別子は少なくとも二つの塩基が異なることがさらに好ましい。複数の試料を使用する場合、特異的な識別子の組を使用して、各試料を同定し得ることが好ましい。
【0058】
識別子は概して、プライマー結合配列を使用するライゲートしたプローブの増幅により、識別子が末端に組み込まれて、得られた単位複製配列が識別子配列を含有するように位置する。典型的には、このことはライゲートしたプローブでは、識別子がプライマー結合部位の間に位置することを意味する。二つ以上の識別子、例えば遺伝子座とアレルの組合せを使用する実施形態では、識別子はまた、プライマー結合部位の間に位置する。
【0059】
或る特定の実施形態では、各プローブに一つずつ、二つの識別子が与えられる。プローブのうちの一つは、遺伝子座プローブと見なされ得る。即ち、特定の遺伝子座を対象とし、且つ遺伝子座特異的識別子を含有する。他のプローブは、アレル特異的プローブであり得る。即ち、アレル特異的ヌクレオチドを、好ましくはそのライゲーション点に含有する。アレル特異的プローブは、アレル特異的識別子を含有し得る。こうして、特異的な遺伝子座とアレルの組合せの有無は、識別子の組合せの有/無によって同定される。多型のすべてのアレル変異について試験する場合には、四つのアレル特異的プローブと組み合わせた、一つの遺伝子座プローブのみが必要である。或る特定の実施形態では、アレル特異的プローブのみが、例えば5bp(塩基対)の遺伝子座識別子とそれに続く2bpのアレル識別子の形態で、遺伝子座特異的識別子区間及びアレル特異的識別子区間を含む識別子を含み得る。
【0060】
「ハイブリダイゼーション」
或る特定の実施形態では、プローブを試料中の標的配列と接触してハイブリダイズさせる。続けて、オリゴヌクレオチドプローブ対を、試料中の標的配列の好ましくは隣接した相補的部分にアニーリングさせる。相補的標的配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの特異的アニーリングに関する方法及び条件は当該技術分野において既知である(例えば、非特許文献5(Sambrook and Russel「分子クローニング:実験マニュアル(第3版)」Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)を参照)。通常、オリゴヌクレオチドプローブ及び標的配列の混合後、核酸を、塩緩衝液中で短時間(例えば、30秒〜5分)のインキュベーション(概して94℃〜96℃)によって変性させる。次に、変性プローブ及び標的配列を含有する試料を、プローブ及び標的配列の特異的アニーリングに最適なハイブリダイゼーション温度に冷却させる。これは通常、プローブの相補的区間(標的区間)と(標的配列における)その相補的配列との間のハイブリッドの融解温度よりも約5℃低い。対の二つのプローブのうち一つの、又は複数の標的配列を有する試料中での、非特異的又は非効率的なハイブリダイゼーションを防止するために、一つの試料内で、標的配列と相補的なプローブの区間は、試料中に存在する異なる標的配列間で同様、好ましくは同一の融解温度を有することが好ましい。
【0061】
したがって、第1のプローブ及び第2のプローブの相補的区間は、好ましくは、融解温度の差が20℃、15℃、10℃、5℃、又は2℃未満である。これは、同様の長さ及び/又は同様のG/C含量を有する第1のプローブ及び第2のプローブの相補的区間を使用することによって容易となり、相補的区間は、好ましくは、長さの差が20ヌクレオチド、15ヌクレオチド、10ヌクレオチド、5ヌクレオチド、又は2ヌクレオチド未満であり、G/C含量の差が30%、20%、15%、10%、又は5%未満である。本明細書中で使用される「相補的」とは、第1のヌクレオチド配列が、通常のストリンジェンシー条件下で第2のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることが可能であることを意味する。別のヌクレオチド配列と相補的であると見なされるヌクレオチド配列は、少量の、即ち、好ましくは、20%、15%、10%、5%、又は2%未満のミスマッチを含有し得る。代替的には、例えば、参照により本明細書中に援用される特許文献38(欧州特許第974672―A号公報)等に記載のいわゆるユニバーサルヌクレオチドを組み込むことによって、ミスマッチを補償することが必要であり得る。又は、例えば、LNAのような、例えば融解温度を上昇させるか、若しくは特異性を増大させることによりミスマッチを補償することが可能な或る特定の修飾ヌクレオチドを組み込むことによって、ミスマッチを補償することが必要であり得る。
【0062】
アニーリングは、プローブの標的配列に対して濃度依存性であるため、好ましくは少量即ち、25マイクロリッター未満、好ましくは10マイクロリッター未満で実施される。これらのハイブリダイゼーション条件下、プローブの標的配列に対するアニーリングは通常、迅速であり、5分、10分、又は15分を超えて進行することはないが、ハイブリダイゼーション温度を維持して非特異的なアニーリングを回避する限りにおいては、より長いアニーリング時間が使用され得る。試料間の標的配列の相対量のモニタリング(monitoring or relative amounts)を可能にするためのライゲーションプローブによる完全な標的占有に依拠する定量的利用には、より長いアニーリング時間がより重要であり/必要である。
【0063】
本発明の或る特定の実施形態では、ハイブリダイゼーション時間の延長(終夜のハイブリダイゼーション等)、又はハイブリダイゼーションの反復(1時間の10サイクル等)によって、優れた結果が得られている。ハイブリダイゼーション時間の延長は、異なるハイブリダイゼーション効率によるシグナル差が減少するのでこれらのアッセイにおいて有利であり得ると共に、標的配列が存在するすべてのプローブの完全なハイブリダイゼーション及びライゲーションを達成するために望ましいと考えられる。本明細書中に記載の熱安定性リガーゼを使用する、組み合わせたハイブリダイゼーション−ライゲーション工程によって優れた結果が得られている。本実施形態では、ハイブリダイゼーション−ライゲーションは、プローブを熱安定性リガーゼの存在下で1時間ハイブリダイズさせることと、その後の変性工程とによって実施された。これらの工程を少なくとも2回反復することにより良い結果が得られた。これらの工程を10回反復することにより優れた結果が得られた。
【0064】
変性及びアニーリング中の蒸発を回避するために、反応チャンバ(即ち、チューブ又はマイクロタイターウェル)の壁及び蓋も反応混合物と少なくとも同じ温度に加熱され得る。これは、市販のDNA増幅装置の使用、又は鉱油を上塗りすることによって一般的に達成される。好ましいオリゴヌクレオチドプローブでは、標的相補的区間の長さは、好ましくは少なくとも15ヌクレオチド、18ヌクレオチド、又は20ヌクレオチド、好ましくは30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、又は50ヌクレオチド以下であり、プローブの標的区間の融解温度は、好ましくは少なくとも50℃、55℃、又は60℃である。
【0065】
「ライゲーション」
標的特異的区間が、標的配列上の相補的部分と互いに本質的に隣接してアニーリングされる、一対の第1のオリゴヌクレオチドプローブ及び第2のオリゴヌクレオチドプローブ、又は環化可能なプローブの5ダッシュリン酸基化末端及び3ダッシュ水酸基化末端はそれぞれ連結されて、当該技術分野において既知の任意の好適な手段によって共有結合を形成する。プローブの末端は、リガーゼ、好ましくはDNAリガーゼによって酵素的に連結されて、ホスホジエステル結合を形成し得る。DNAリガーゼは、相補鎖での隣接部位で結合した二つのポリヌクレオチド鎖(の末端)間のホスホジエステル結合の形成を触媒することが可能な酵素である。DNAリガーゼは通常、ATP(EC 6.5.1.1)(アデノシン三リン酸)又はNAD(EC 6.5.1.2)(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)を、二本鎖DNAにおけるニックを封鎖するための補因子として必要とする。
【0066】
本発明における使用に好適なDNAリガーゼは、T4 DNAリガーゼ、大腸菌(E.coli)DNAリガーゼ、又は好ましくは、例えば、サーマス・アクアチクス(Taq)リガーゼ、サーマス・サーモフィルスDNAリガーゼ、若しくはパイロコッカスDNAリガーゼのような熱安定性リガーゼである。
【0067】
代替的には、好適に修飾されたポリヌクレオチド末端の化学的ライゲーションを使用して、標的配列の相補的部分における隣接部位でアニーリングされた二つのオリゴヌクレオチドプローブをライゲートし得る。修飾ポリヌクレオチド末端における反応基の例としては、ホスホロチオエート及びトシレート又はアイオダイド、エステル及びヒドラシド、RC(O)S、RCH2S及びα−ハロアシル、チオホスホリル及びブロモアセトアミド基、及びS−ピバロイルオキシメチル−4−チオチミジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
化学的ライゲーション剤としては、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、N−シアノイミダゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、ジチオスレイトール(DTT)、及び紫外光等の活性化剤、縮合剤、及び還元剤が挙げられるが、これらに限定されない。オートライゲーション、即ちライゲート剤の非存在下での自発的ライゲーションも本発明の範囲内である。化学的ライゲーション法に関する詳細なプロトコル及び適切な反応基の説明は、とりわけ、非特許文献6〜18(Xu et al., Nucleic Acid Res. , 27: 875-81(1999)、Gryaznov and Letsinger, Nucleic Acid Res. 21: 1403-08(1993)、Gryaznov et al., Nucleic Acid Res. 22: 2366-69(1994)、Kanaya and Yanagawa, Biochemistry 25: 7423-30(1986)、Luebke and Dervan, Nucleic Acids Res. 20: 3005-09(1992)、Sievers and von Kiedrowski, Nature 369: 221-24(1994)、Liu and Taylor, Nucleic Acids Res. 26: 3300-04(1999)、Wang and Kool, Nucleic Acids Res. 22: 2326-33(1994)、Purmal et al. , Nucleic Acids Res. 20: 3713-19(1992)、Ashley and Kushlan, Biochemistry 30: 2927-33(1991)、Chu and Orgel, Nucleic Acids Res. 16: 3671-91(1988)、Sokolova et al., FEBS Letters 232:153-55(1988)、Naylor and Gilham, Biochemistry 5:2722-28(1966))及び特許文献40(米国特許第5,476,930号公報)に見出され得る。
【0069】
化学的ライゲーション及び酵素的ライゲーションは共に、プローブの一方又は両方がライゲーション部位で、又はその近くで標的配列とミスマッチを形成する複合体と比べて、完全にマッチしたプローブ−標的配列複合体ではるかに効率的に生じる(非特許文献19「Wu and Wallace, 1989, Gene 76: 245-254」および上記非特許文献6,13(Xu and Kool)を参照)。ライゲーション特異性、即ち、ミスマッチオリゴヌクレオチドと比べ完全にマッチしたオリゴヌクレオチドの相対的なライゲーション効率を増大させるために、ライゲーションは、好ましくは高温で実施される。したがって、本発明の或る特定の実施形態では、長時間50〜65℃で活性のままであるが、より高い温度で容易に不活性化される(例えば、通常90〜100℃のPCR中の変性工程で使用される)DNAリガーゼが利用される。一つのかかるDNAリガーゼは、特許文献41(国際公開第WO01/61033号公報)から既知のように、グラム陽性菌(菌株MRCH065)からのDNAリガーゼを必要とする一つのNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)である。このリガーゼは「リガーゼ65」と称され、MRC(オランダ、アムステルダム)から市販されている。或る特定の実施形態では、サーマス・アクアチクス(Taq)リガーゼが使用される。或る特定の実施形態では、第1のプローブ及び第2のプローブをライゲートした後、リガーゼを不活性化する。或る特定の実施形態では、連結プローブは、標的配列から変性したものである。
【0070】
「ギャップライゲーション」
例えば、インデルの同定を対象とする、代替的な実施形態では、第1のプローブ及び第2のプローブの標的相補的区間の末端はそれぞれ、ギャップがそのままであるようにアニーリングされ得る。或る特定の実施形態では、標的ヌクレオチド配列の第1の部分及び第2の部分は隣接して位置しない。即ち、第1のプローブ及び第2のプローブの第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間は、隣接して位置する標的ヌクレオチド配列の第1の部分及び第2の部分とはハイブリダイズしない。これは、例えば、とりわけ、特許文献6(米国特許第5521065号公報)並びに特許文献42〜44(欧州特許第185494号公報、米国特許第5692223号公報、及び国際公開第WO03054311号公報)に開示されている、他の様々な種類の本技術とは根本的に異なる。このギャップは、好適な(第3の)(オリゴ)ヌクレオチドで充填され、ライゲートされ得る。
【0071】
かかる方法は「ギャップライゲーション」として当該技術分野において既知であり、とりわけ、特許文献45〜49(国際公開第WO00/77260号公報、米国特許第5185243号公報、欧州特許第439182号公報、欧州特許第320308号公報、及び国際公開第WO90/01069号公報)に開示されている。このギャップを充填する別の可能性は、「A」、「T」、「C」、若しくは「G」、又は二つ(di-)、三つ(tri-)、若しくは他の小さなオリゴヌクレオチドから任意選択で予め選択される単数又は複数のヌクレオチドと組み合わせてポリメラーゼ及びリガーゼを使用する、プローブの一端の伸長によるものである。標的配列がRNAである場合、ギャップを充填するさらに別の可能性は、「A」、「T」、「C」、若しくは「G」、又は二つ(di-)、三つ(tri-)、若しくは他の小さなオリゴヌクレオチドから任意選択で予め選択される単数又は複数のヌクレオチドと組み合わせて逆転写酵素及びリガーゼを使用する、プローブの一端の伸長によるものである。
【0072】
ギャップライゲーションは、単一のSNP/インデルの検出、又は近接して位置する複数のSNPの検出(ハプロタイピング)の両方での適用が見出され得る。
【0073】
「増幅」
本発明の方法では、当該技術分野において既知の任意の好適な核酸増幅法によって、連結プローブは増幅されて、標的ヌクレオチド配列を表す増幅された(検出可能な)連結プローブ(単位複製配列)を含む増幅試料を生成する。核酸増幅法は通常、一つ又は二つのプライマー、dNTP、及び(DNA)ポリメラーゼを利用する。好ましい増幅方法がPCRである。「PCR」すなわち「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特異的DNA部分のインビトロでの酵素的増幅のための迅速な手順である。増幅されるDNAは、試料を加熱することによって変性する。DNAポリメラーゼ及び過剰なデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で、標的配列と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは新しいDNA合成をプライムする。ポリメラーゼは、鎖置換活性を発現しないか、又は少なくとも有意に発現しないDNAポリメラーゼであることが好ましい。その例は、アンプリターク(Amplitaq:登録商標)及びアンプリタークゴールド(Amplitaq Gold:登録商標)(供給業者Perkin Elmer)、並びにアキュプライム(Accuprime:登録商標)(供給業者Invitrogen)である。1ラウンドの合成により、親鎖と同様に、変性及びアニーリングでプライマーとハイブリダイズし得る、明確な長さを有する新しい鎖が生じる。変性、アニーリング、及び合成の第2のサイクルは、別個の二本鎖産物、正確にプライマー末端間の長さを共に構成する二つの一本鎖産物を生成する。この別個の産物は、各増幅ラウンドに伴って指数的に蓄積する。約20〜30サイクルにわたって、別個の断片の何百万倍の増幅が達成され得る。
【0074】
PCRプロトコルは当該技術分野において既知であり、標準の実験教科書、例えば、非特許文献20(Ausubel et al.「分子生物学における現行のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」John Wiley & Sons, Inc.1995)に記載されている。本発明の方法におけるPCRの適用に好適な条件は、特許文献39(欧州特許第0534858−A号公報)、及び非特許文献21(Vos et al.「Nucleic Acids Res.」23: 4407-4414, 1995)に記載されており、この場合、70ヌクレオチド〜700ヌクレオチドで、且つ同一のプライマー結合配列を含有する複数のDNA断片が、一つのプライマー対を使用してほぼ同等の効率で増幅される。或る特定の実施形態では、ポリメラーゼは増幅後に不活性化される。適用され得る他の多重及び/又は等温の増幅法としては、例えば、ローリングサイクル増幅(RCA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自立性塩基配列複製(3SR)、Q−B−レプリカーゼ介在RNA増幅、又は鎖置換増幅(SDA)が挙げられる。場合によっては、これは、本発明の趣旨を逸脱することなく、プローブ及びプライマーの異なる設計を必要とし得る。
【0075】
「プライマー」
連結プローブは、プライマー結合部位に対応するプライマー対を使用して増幅される。或る特定の実施形態では、プライマー対は、一つのプライマーのみを含有し、増幅は、指数的というよりもむしろ線形的である。或る特定の実施形態では、対は、第1のプライマー結合区間とアニーリング可能であり、且つ増幅又は伸長を開始可能な第1のプライマーを含む。或る特定の実施形態では、対はさらに、第2のプライマー結合区間とアニーリング可能であり、且つ増幅又は伸長を開始可能な第2のプライマーを含む。或る特定の実施形態では、第2のプライマーは、プローブ中の第2のプライマー結合部位と同一の配列を有する。好ましい実施形態では、プライマーのうち少なくとも一つ、又は同一のプライマー対は、試料中の二つ以上の異なる連結プローブの増幅に、好ましくは、試料中のすべての連結プローブの増幅に使用される。かかるプライマーは、これらのプライマーが、対応するユニバーサルプライマー結合部位を含有するすべての連結プローブ、結果的には、ユニバーサルプライマー結合部位を含有するすべてのライゲートしたプローブの増幅をプライムすることが可能であるので、ユニバーサルプライマーと称されることが多い。
【0076】
工程の増幅において使用される異なるプライマーは、好ましくは、アニーリング及びプライミング効率が本質的に同等である。したがって、試料中のプライマーは、好ましくは、融解温度の差が20℃、15℃、10℃、5℃、又は2℃未満である。これはオリゴヌクレオチドプローブの標的特異的区間について本明細書中で概説したように達成され得る。標的特異的区間の配列と異なり、プライマーの配列は標的配列によって左右されない。したがって、プライマー配列は、ヌクレオチドの四量体(各四量体は、一つのA、T、C、及びGを含有する)からの配列を集めることによって、又はプライマーのG/C含量及び融解温度が同一又はきわめて類似することを保証する他の方法によって都合よく設計され得る。プライマー(及び第2のプローブのタグ区間における対応するプライマー結合部位)の長さは、好ましくは少なくとも12ヌクレオチド、15ヌクレオチド、又は17ヌクレオチド、好ましくは25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド以下である。
【0077】
或る特定の実施形態では、試料中の少なくとも二つの異なる標的配列と相補的な第2のオリゴヌクレオチドプローブのうち少なくとも二つが、単一のプライマー配列と相補的なプライマー結合区間を含むタグ区間をそれぞれ含む。
【0078】
或る特定の実施形態では、同一のアンカー配列を保有する他のプライマーと比較して同様のプライミング効率を保証するために、プライマーは、3ダッシュアンカー配列、好ましくは2bpのアンカー配列、好ましくはGCアンカー配列を含み得る。典型的には、対応するプライマー結合配列はその相補体も保有する。
【0079】
したがって、好ましくは、プライマー対における第1のプライマー及び第2のプライマーのうち少なくとも一つを、試料中の少なくとも二つの異なる標的配列に対応する連結プローブの増幅に、より好ましくは、試料中のすべての標的配列に対応する連結プローブの増幅に使用する。好ましくは、単一の第1のプライマーのみを使用し、幾つかの実施形態では、単一の第1のプライマー及び単一の第2のプライマーのみを、すべての連結プローブの増幅に使用する。複数の異なる断片の増幅に対して共通のプライマーを使用することは通常、増幅工程の効率に有利である。隣接してアニーリングされたプローブ区間のライゲーションから得られた連結プローブを、好ましくは、試料中の連結プローブのそれぞれに対するプライマー対から構成されるプライマー対を使用して増幅する。プライマー対は、連結プローブ中に存在するプライマー結合配列と相補的なプライマーを含む。通常、プライマー対は、第1のプライマー及び少なくとも第2のプライマーを含むが、両方向でプライムする単一のプライマーのみから構成され得る。例えば、とりわけ特許文献50(欧州特許第534858号公報)及び非特許文献21(Vos et al., Nucleic Acid Research, 1995, vol. 23, 4407-4414)に記載され、以下本明細書中でより詳細に説明される、AFLP(登録商標)プライマーとして当該技術分野において既知のプライマーを使用して、優れた結果が得られている。
【0080】
「選択的プライマー」
或る特定の実施形態では、本発明の増幅工程において使用されるプライマーの一つ又は複数は選択プライマーである。選択的プライマーは、本明細書中では、プローブにおけるプライマー結合部位と相補的なそのユニバーサル配列の他に、いわゆる「選択的ヌクレオチド」を含む領域を含有するプライマーと定義される。選択的ヌクレオチドを含有する領域は、ユニバーサルプライマーの3ダッシュ末端に位置する。選択的ヌクレオチドの原理は、異なる文脈、即ち、DNAフィンガープリント法ではあるが、とりわけ、特許文献50(欧州特許第534858号公報)及び非特許文献21(Vos et al., Nucleic Acid Research, 1995, vol. 23, 4407-4414)に開示されている。選択的ヌクレオチドは、プライマー結合配列に隣接して位置する(ライゲートした)プローブにおけるヌクレオチドと相補的である。選択的ヌクレオチドは概して、プライマー結合配列として描写される(ライゲートした)プローブにおける領域の一部を形成することはない。選択的ヌクレオチドを含有するプライマーは「+Nプライマー」として示され、ここで「N」はプライマーの3ダッシュ末端に存在する選択的ヌクレオチドの数を表し、「N」は好ましくは「A」、「C」、「T」、又は「G」の中から選択される。
【0081】
「単位複製配列」
本明細書中で使用される「単位複製配列」という用語は、連結プローブの増幅工程の産物を指す。したがって、本明細書中で使用される「単位複製配列」という用語は、増幅した連結プローブを指す。二つの標的特異的区間がリガーゼを用いて連結されるライゲーション工程の後、連結又はライゲートしたプローブは、一つ又は複数のプライマー及びポリメラーゼと組み合わされ、増幅されて、単位複製配列を生成する。ライゲートしたプローブ、プライマー、ポリメラーゼ及び/又は他のパラメータ及び変数は、増幅が結果として連結プローブの増幅した線形表現をもたらすようになっている。好ましくは、単位複製配列は、増幅した連結プローブのモノマー表現である。或る特定の実施形態では、単位複製配列は、第1のプライマー及び任意選択の第2のプライマー、並びに間に位置する識別子(複数可)のヌクレオチドを含み、好ましくはそれから構成される。本発明の各種実施形態は、この点においてさらなる詳細を提供する(図2参照)。
【0082】
「ハイスループットシークエンシング」
「HTS」と略されることの多い、ハイスループットシークエンシング又はハイスループットスクリーニングは、特に、生物学及び化学の分野に関連した科学実験用の方法である。現代のロボット工学及び他の専門化した実験ハードウェアの組合せによって、研究者は大量の試料を同時に効率的にスクリーニングすることが可能となる。
【0083】
シークエンシングは、特許文献51〜56(国際公開第WO03/004690号公報、国際公開第WO03/054142号公報、国際公開第WO2004/069849号公報、国際公開第WO2004/070005号公報、国際公開第WO2004/070007号公報、及び国際公開第WO2005/003375号公報)(すべて454 Life Sciences名義)、並びに非特許文献22(Seo et al.による、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:5488-93 2004)及びヘリオス(Helios)、ソレクサ(Solexa)、US ゲノミクス(Genomics)等の技術(これらは参照により本明細書中に援用される)で開示されている方法等のハイスループットシークエンシング法を使用して実施されることが好ましい。
【0084】
「454技術」
或る特定の実施形態では、シークエンシングは、上記特許文献51〜56(国際公開第WO03/004690号、同第WO03/054142号、同第WO2004/069849号、同第WO2004/070005号、同第WO2004/070007号、及び同第WO2005/003375号)(すべて454 Life Sciences名義)(これらは参照により本明細書中に援用される)に開示されている装置及び/又は方法を使用して実施されることが好ましい。記載されている技術は、1回の操作での4000万塩基のシークエンシングを可能にし、競合技術よりも100倍速く、且つ安価である。シークエンシング技術は、大まかには5工程:1)一本鎖DNA(ssDNA)のライブラリを作製するための、DNAの断片化及び特異的なアダプタのライゲーション、2)「ssDNA」のビーズへのアニーリング、油中水型マイクロリアクタにおけるビーズの乳化、及び個々の「ssDNA」分子をビーズ上で増幅させるためのエマルジョンPCRの実施、3)表面上に増幅した「ssDNA」分子を含有するビーズの選択/濃縮、4)ピコタイター(PicoTiter:登録商標)プレートにおける、DNA担持ビーズの沈着、及び5)ピロリン酸光シグナルの生成による100,000ウェルでの同時シークエンシングから構成される。以下、本方法をより詳細に説明する。
【0085】
好ましい実施形態において、シークエンシングは、
(a)アダプタと結合した断片をビーズにアニーリングする(各ビーズは単一のアダプタと結合した断片とアニーリングする)工程と、
(b)ビーズを油中水型マイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは単一のビーズを含む)工程と、
(c)ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)工程と、
ピロリン酸シグナルを生成する工程と、を含む。
【0086】
第1の工程において、シークエンシングアダプタは、組合せライブラリ内で断片とライゲートする。上記シークエンシングアダプタは、少なくともビーズにアニーリングするための「鍵」領域、シークエンシングプライマー領域及びPCRプライマー領域を含む。したがって、アダプタと結合した断片が得られる。第1の工程では、アダプタと結合した断片をビーズにアニーリングする(各ビーズは単一のアダプタと結合した断片とアニーリングする)。アダプタと結合した断片のプールに過剰のビーズを加えることにより、大部分のビーズに関して、ビーズ毎に単一のアダプタと結合した断片のアニーリングが保証される(ポワソン分布)。
【0087】
次の工程では、ビーズを油中水型マイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは単一のビーズを含む)。PCR試薬が油中水型マイクロリアクタ内に存在することにより、PCR反応がマイクロリアクタ内部で起こることが可能となる。続いて、マイクロリアクタを破壊して、DNAを含むビーズ(DNAポジティブビーズ)を濃縮する。
【0088】
続く工程では、ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)。ウェルは、好ましくは大量の断片の同時シークエンシングを可能にするピコタイター(PicoTiter:登録商標)プレートの一部である。
【0089】
酵素担持ビーズの添加後、ピロシークエンシングを使用して断片の配列を求める。引き続く工程で、従来のシークエンシング試薬存在下において、ピコタイター(登録商標)プレート並びにその中のビーズ及び酵素ビーズを異なるデオキシリボヌクレオチドに付し、デオキシリボヌクレオチドを組み込む際に、記録される光シグナルが生成される。正確なヌクレオチドの組込みにより、検出し得るピロシークエンシングシグナルが生成される。
【0090】
ピロシークエンシング自体は当該技術分野において既知であり、とりわけ非特許文献23(Byotage www.biotagebio.com「ピロシークエンシング」インターネットURL:http://www.pyrosequencing.com)の技術欄に記載されている。本技術は、例えば、上記の特許文献51〜56(国際公開第WO03/004690号、同第WO03/054142号、同第WO2004/069849号、同第WO2004/070005号、同第WO2004/070007号、及び同第WO2005/003375号)(すべて454 Life Sciences名義)(参照により本明細書中に援用される)でさらに適用される。
【0091】
本発明において、ビーズは好ましくは、場合によっては、単位複製配列又はライゲーションしたプローブと結合することが可能な、プライマー(結合)配列及び/若しくはクランプ区間又はそれらの一部を備える。他の実施形態において、続くエマルジョン重合、その後のシークエンシングを可能にするために、増幅で使用されるプローブ又はプライマーは、単位複製配列又はライゲーションしたプローブをビーズに結合させることが可能な配列を備える。ライゲートしたプローブの単位複製配列をシークエンスすることにより、識別子の同一性、ひいては試料中の標的配列の有無の同一性が明らかになる。
【0092】
「ソレクサ技術」
ハイスループットシークエンシング法の一つは、非特許文献24(ソレクサ(Solexa)(英国)(www.solexa.co.uk))の技術が利用可能であり、とりわけ、特許文献57〜75(国際公開第WO0006770号公報、国際公開第WO0027521号公報、国際公開第WO0058507号公報、国際公開第WO0123610号公報、国際公開第WO0157248号公報、国際公開第WO0157249号公報、国際公開第WO02061127号公報、国際公開第WO03016565号公報、国際公開第WO03048387号公報、国際公開第WO2004018497号公報、国際公開第WO2004018493号公報、国際公開第WO2004050915号公報、国際公開第WO2004076692号公報、国際公開第WO2005021786号公報、国際公開第WO2005047301号公報、国際公開第WO2005065814号公報、国際公開第WO2005068656号公報、国際公開第WO2005068089号公報、及び国際公開第WO2005078130号公報)に記載されている。
【0093】
本質的に、本方法はゲノムDNAのアダプタとライゲートした断片で開始する。アダプタとライゲートしたDNAは、典型的にはフローセルで、固体表面と結合したプライマーの濃密な叢(lawn)とランダムに結合する。アダプタとライゲートした断片の他端は、表面上で相補的なプライマーとハイブリダイズする。いわゆる固相ブリッジ増幅において、ヌクレオチド及びポリメラーゼの存在下でプライマーを伸長することにより、二本鎖の断片が得られる。変性及び固相ブリッジ増幅の反復の結果、増幅した断片の濃密なクラスタが表面全体に分布して生成する。四つの異なる標識をした可逆性終止ヌクレオチド、プライマー及びポリメラーゼをフローセルに加えることによって、シークエンシングを開始する。プライマー伸長の第1のラウンド後、標識を検出し、第1の組込み塩基の同一性を記録し、ブロックした3ダッシュ末端及び蛍光体(fluorophore:フルオロフォア)を組込み塩基から除去する。その後、同様に、第2の塩基の同一性を判定し、そのようにシークエンシングが継続する。
【0094】
本発明において、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列は、プライマー結合配列、プライマー配列、又は幾つかの実施形態では、クランプ区間若しくはそれらの組合せを介して表面と結合する。識別子配列及び関連標的配列を含む配列を概略通り求め、その有無を特定する。
【0095】
本明細書中に記載のシークエンシング法を対象とする、代替的な実施形態では、増幅で使用されるプローブ又はプライマーは、特異的区間(本明細書中に記載されるプライマー又はプライマー結合配列の代用として)を含有し得る。これは、次のシークエンシング工程で使用されて、ライゲートしたプローブ/単位複製配列を表面に結合させる。これらは、概して鍵領域として描写される。
【0096】
本明細書、図、及び添付の特許請求の範囲の全体を通して、「第1の」及び「第2の」という概念は、アッセイで使用されるプローブと、それぞれの構成成分とを見分けるために使用される。「第1の」及び「第2の」という概念は、本明細書中においては、合計としては使用されない。即ち、第1の構成成分も存在する場合に、第2の構成成分のみが存在し得るようなことはない。一貫性及び参照の容易性の理由から、これらの概念は、実施形態自体が二つのプローブ又は二つの構成成分から構成されない場合にも使用される。例えば、1プローブのみである環化可能なプローブも、第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間を含有する。同様に、図1Aにおいて、第1のプローブ及び第2のプローブのうちいずれか一つは、識別子を含有し得る。第1のプローブの場合には、これを第1の識別子と描写し、第2のプローブの場合には、これを第2の識別子と描写する。第2のプローブが識別子を含有し、且つ第1のプローブが含有しない場合、本願では、本識別子を、第1の識別子の存在と関係なく、第2の識別子と称し得る。
【0097】
本発明のさらなる態様は、本明細書中の他の部分で記載されるように、各種の第1のプローブ、第2のプローブ、又は環化可能なプローブを含む、本発明の方法で使用するためのキットに関する。
【実施例】
【0098】
DNAを、従来法を使用して2匹の親及び88匹の子孫から単離した。親(2×)及び子孫(=4×)を異なる識別子で二重化して、再現性を試験した。試料又はSNPアレルを互いに見分けるのに使用されるタグはそれぞれ、試料又はアレルの同定のために実験で使用される任意の他のタグとは少なくとも2ヌクレオチド異なった。アガロースゲルを使用して、各種工程全体にわたって品質を試験している。
【0099】
[実施例1]
各DNA試料に対して、30個のSNP遺伝子座(それぞれ二つのアレルを含む)を検出するように設計されたプローブセットを使用して、ライゲーション工程を実施する。増幅プライマー配列は、ソレクサハイスループットシークエンシングシステムの表面上に位置するハイブリダイズする配列に基づく。特に、P5配列(PBS2)は、TS2とハイブリダイズするプローブの5ダッシュ部分に位置する。P7配列(PBS1)は、TS1とハイブリダイズするプローブの3ダッシュ末端に位置する。
【0100】
NNNNN配列を含む縮重した試料識別配列(SIS)は、P5配列の3ダッシュ末端に隣接して位置する。GCジヌクレオチドアンカー配列はSISの後にある。5塩基の識別子配列を、GCクランプの3ダッシュ末端に隣接して位置付けることによって、アレルの同定が可能となる。シークエンシングプライマー結合部位(sPBS)の逆相補体は、アレル識別子配列(AIS)の後にある。
【0101】
ライゲーション混合物を、P5プライマー配列及びP7プライマー配列を使用して増幅する。ここで、P5プライマーは、試料識別配列及びその3ダッシュ末端のGCクランプを含有する。アガロース検出を使用して、収量及び適切な長分布について産物を検査し、続けてセファデックス(Sephadex:登録商標))カラムを使用して精製する。濃度を求め、標準化し、プールを作製する。プールを、ブリッジ増幅、及びシークエンシング、その後のデータ解析を含むソレクサ技術に基づく超並列処理シークエンシングに付して、親及び子孫の遺伝子型を求める。
【0102】
代替的なシナリオでは、ライゲーション混合物を、2工程アプローチで増幅する。
【0103】
試料識別配列を含まないP5プライマー配列及びP7プライマー配列を使用して、第1の増幅を実施する。アガロース検出を使用して、収量及び適切な長分布について産物を検査する。第2のPCRは、その3ダッシュ末端にSIS及びGCクランプを含有するP5プライマーと共に、P7プライマーを使用する。アガロース検出を使用して、収量及び適切な長分布について産物を検査する。濃度を標準化し、試料をプールする。産物をキアゲンカラムによって精製する。
【0104】
別の代替法では、増幅した産物を細菌プラスミドベクターへクローニングし、続けて形質転換及びコロニーPCR増幅をした後、サンガー(Sanger)シークエンシングを使用するシークエンス系検出を実施する。データ解析の結果、遺伝子型が同定される。
【0105】
[実施例2]
サンガーシークエンシングを使用して、増幅したライゲーション産物のシークエンス系検出を実施した。
【0106】
実験的シークエンスは、ライゲーション工程、SIS及びGCクランプを含まないプライマーを使用する第1の増幅、SIS及びGCクランプを含有するプライマーを使用する第2の増幅、第2の増幅の産物の細菌プラスミドへのクローニングとその後の細菌宿主に対する形質転換、単一コロニーのPCR増幅、及びサンガーシークエンシングによる配列決定を包含する。トウモロコシの父系性株B73及びMo17を使用し、シークエンスした。200個超の増幅したライゲーション産物をシークエンスすることにより、シークエンス系SNP検出の原理証明が得られた。
【0107】
父系性株B73及びMol7を選択した。30個のSNP遺伝子座を検出するように設計されたライゲーションプローブセットを使用して、ライゲーション産物を調製した。SIS及びGCクランプを含まないプライマーを使用して増幅を実施した。SIS及びGCクランプを含有するプライマーを使用して、クローニング用断片を調製した。インビトロジェン(Invitrogen)の「TOPO TA Cloning」(登録商標)キットを使用してクローニングを実施した。
【0108】
単一コロニーに対してPCR増幅を実施することによって、サンガーシークエンシング用鋳型断片を調製した。
【0109】
シークエンス系ライゲーションマーカーを、B73及びMo17において異なる頻度でシークエンスプライマー結合部位に隣接して観察される27bpの配列タグを抽出することによって同定した。
【0110】
シークエンス系ライゲーションマーカーデータを、長さ系検出を使用する従来のSNPWaveフィンガープリント法によって得られたSNPWaveマーカースコアと比較した。
【0111】
シークエンス系ライゲーションマーカー検出の実行可能性を、サンガーシークエンシングを使用して示した。それによると、シークエンス系検出を使用してスコア化されるライゲーションマーカーの数は、従来のスラブゲルよりも少ない。しかしながら、シークエンシング規模は、例えば、ソレクサの超並列処理シークエンシング技術を使用して、容易に大きく増大する。マーカーデータの比較により、シークエンス系検出とスラブゲル検出との間で同一の分離パターンが現れる。
【0112】
次に、図1について簡単に補足説明する。
【0113】
図1は、 A/C多型を保有する、対象とする標的ヌクレオチド配列(T)に対する、異なるプローブ種(A、B、C、D、E、F)を示す概略図である。全図を通して、同一の描写を使用して、プローブの各種構成成分を描写している。
【0114】
そのうち、図1Aは直鎖プローブ種を示す図である。ここで、第1のプローブ(1)は、第1の標的特異的区間(TS1)、並びに第1の識別子(ID1)、及び第1のプライマー(P1)にアニーリングすることが可能な第1のプライマー結合配列(PBS1)を含む、第1のタグ区間を含む。第2のプローブ(2)は、第2の標的特異的区間(TS2)、並びに第2の識別子(ID2)、及び第2のプライマー(P2)とアニーリングすることが可能な第2のプライマー結合配列(PBS2)を含む、第2のタグ区間を含む。アレル特異的検出のための実施形態において、TS2は、好ましくはその3ダッシュ末端に、異なる識別子(ID2又はID2`)と共に、アレル特異的ヌクレオチド(G又はT)を含有し得る。その結果、ID1とID2又はID2`との組合せの有無を検出することによって、遺伝子座とアレルの組合せについて判定(遺伝子型を同定)し得る。同様にして、多型のすべてのアレル変異について遺伝子型を同定し得る。同様にして、その他開示のプローブ種に対して、アレル特異的プローブを設計し得る。
【0115】
図1Bは、環化可能なプローブ種を示す図である。ここで、環化可能なプローブは、それぞれ環化可能なプローブの末端(それぞれの3ダッシュ末端及び5ダッシュ末端)に位置する第1の標的特異的区間(TS1)及び第2の標的特異的区間(TS2)、並びに第1の識別子(ID1)、第1のプライマー(P1)とアニーリングすることが可能な第1のプライマー結合配列(PBS1)、第2のプライマー(P2)とアニーリングすることが可能な第2のプライマー結合配列(PBS2)、及び任意選択の第2の識別子(ID2)を含むタグ区間を含む。ID1及びID2は隣接して又は隣接せずに位置し得る。或る特定の実施形態では、本プローブ種の使用をエキソヌクレアーゼ処理と組み合わせて、偽陽性の遺伝子型同定をもたらすおそれがあるライゲートしていないプローブを除去する。或る特定の設計では、ID1及びID2の組合せは、遺伝子座とアレルの組合せを表し得る。環状プローブの増幅の結果、シークエンスし得る短い単位複製配列が生成し、ID1及び/又はID2の存在を判定することにより、所望の多型について陽性の遺伝子型同定が得られる。
【0116】
図1Cは、代替的な環化可能なプローブ種を示す図である。プローブは、同一の構成成分を含有するが、ID1、ID2、PBS1及びPBS2の相対配置及び配向は、プローブが環化する場合に、増幅のみが生じるようになっている。これにより、ライゲートしていないプローブが全く除去されない。
【0117】
図1Dは、図1Aの直鎖種と類似した直鎖プローブ種を示す図である。これに加えて、クランプ区間C1及びC2が、タグ区間、好ましくは末端に組み込まれているが、IDとTSとの間、又はPBSとIDとの間にも位置し得る。C1及びC2が互いにアニーリング/ハイブリダイズすることにより、パドロックの挙動を模擬し、特に、従来の直鎖プローブ種(図1A)と比較してハイブリダイゼーション動態を改善する一方、同時に、図1B又は図1Cのプローブ種の単位複製配列の連結が回避され得る。
【0118】
図1Eは、複合プローブの構造及びその伸長を示す図である。第1のプローブ(1)は、好ましくは第1の標的特異的区間(TS1)から構成される。第2のプローブ(2)は、第2の標的特異的区間(TS2)、並びに第2の識別子(ID2)及び第2のプライマー結合配列(PBS2)を含む第2のタグ区間を含む。ハイブリダイゼーション/ライゲーション工程の後、又はそれと同時に、複合プローブ(C)を、第1の標的特異的区間(TSP1)(の一部)とハイブリダイズすることが可能な区間を有するTS1の一部にアニーリングする。(C)は、プライマー(P1)と結合することが可能なプライマー結合区間(PBS1)を含有する区間をさらに含有する。複合プローブの伸長により、第2の標的特異的区間(TSP2)と相補的な区間、第2の識別子(cID2)と相補的な区間、及びプライマーcP2にアニーリングすることが可能な、第2のプライマー結合配列(cPBS2)と相補的な区間が生成する。プライマーP1及びcP2を使用する増幅により、シークエンスされ得る単位複製配列が生成する。
【0119】
図1Fは、一組の非対称プローブの構造を示す図である。第1のプローブ(1)は、標的特異的区間(TS1)を含有し、且つエキソヌクレアーゼ耐性である(星印)。第2のプローブ(2)は、第2の標的特異的区間(TS2)、及び二つのプライマー結合部位(それぞれ、PBS1及びPBS2)を含有するタグ区間、並びにPBS1とPBS2との間に位置する第2の識別子ID2を含有する。ライゲーションの成功、及びライゲートしていないプローブの除去、その後の増幅により、シークエンスされ得る単位複製配列が得られる。
【0120】
また、図3は、本発明のハイスループットシークエンシング工程を示す概略図である。これにより、ライゲートしたプローブ/単位複製配列を、表面(454技術の場合、エマルジョンPCRと、その後のピロシークエンシングの際のビーズ、又はフローセル表面)に結合させる。表面は、一方又は両方のプライマー結合配列PBSにアニーリングすることが可能な配列(cPBS)を備える。ライゲートしたプローブ/単位複製配列の表面とのハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズした配列を増幅することにより、ビーズが増幅した配列で充填されるか、又はフローセル表面上に増幅した配列のクラスタが生成され得る。続けて、記載したハイスループットシークエンシング技術を使用して、これらの配列を求め得る。シークエンシングプライマー、ヌクレオチド及び酵素を加えることによって、配列を一方向又は両方向で求め得る。
【0121】
また、図4は、図1で描写された要素に加え、又はその代わりとして、例えば、標的区間(TS1、TS2等)、シークエンシング工程用の別個のプライマー結合部位(sPBS)、及び(リバース)PCRプライマー結合部位(PBS2)を含む、一組の縮重ライゲーションプローブ(即ち、アレル「A」及び「G」に関する)を示す図である。
【0122】
試料特異的(リバース)プライマー結合部位(OPBS)を、試料識別子(SIS)として機能する可変部を導入することによって縮重させる。試料特異的プライマー(SSP)を使用して、各試料を選択的に増幅し得る。ここでは試料1、試料2〜試料nについて示される。複数の縮重したリバースプライマーの使用はより経済的であり、複数のアッセイに使用し得る。対応して縮重した一組のプライマーを使用して、プールした試料を増幅し得る。すべてのアレル又は試料の均等なプライマー結合及び増幅効率は、GCアンカー配列を用いて提供され得る。プローブはさらに、プライマー結合部位の5ダッシュ末端(5’Pend)に位置する任意選択の「C」を含有し、(リバース)プライマー(SSP)の3ダッシュ末端(3’OHend)に位置する対応するCを含み得る。プローブはさらに、調査する各アレルに対するアレル識別子(AIS)を含有し得る。アレル識別子及び試料識別子は好ましくは3〜5bpであり、好ましくは二つの同一連続塩基(ホモポリマー)を含まない。好ましくは、識別子は、少なくとも二つの塩基が異なる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】A/C多型を保有する、対象とする標的ヌクレオチド配列(T)に対する、異なるプローブ種(A、B、C、D、E、F)それぞれを示す概略図である。
【図2】図1のプローブ種A〜Fのそれぞれに対する、ライゲーション/増幅後のライゲートしたプローブ/単位複製配列の主要構造を示す図である。
【図3】本発明のハイスループットシークエンシング工程を示す概略図である。
【図4】図1で描写された要素に加え、又はその代わりとして、例えば、標的区間、シークエンシング工程用の別個のプライマー結合部位、及びPCRプライマー結合部位を含む、一組の縮重ライゲーションプローブを示す図である。
【図5】図4で、プライマー(P1)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図6】図5の位置からプライマー(P1)がプライマー結合部位(sPBS)にある状態を実施の一形態で示す図である。
【図7】図4で、プライマー結合部位(sPBS)が除かれた状態を実施の一形態で示す図である。
【図8】図7の状態に、プライマー(P1)及びプライマー(P2)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図9】図7の状態に、シークエンスプライマー(sP)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図10】図4で、プライマー(P2)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図11】図4で、シークエンスプライマー(sP)を加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図12】図4内に、ライゲーション前のアレルの特異的身長を示す図である。
【図13】図7類似の一組の縮重ライゲーションプローブを示す図で、PCRプライマーI及びPCRプライマーIIを加えた状態を実施の一形態で示す図である。
【図14】図4の構成で、クランプを用いた状態を実施の一形態で示す図である。
【図15】図4の構成で、任意選択のブロック基を用いた状態を実施の一形態で示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又は複数の試料中の一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法であって、該方法が、
各標的ヌクレオチド配列に対して、第1のプローブ及び第2のプローブを提供する際、
該第1のプローブが、その3ダッシュ(3’)末端の標的特異的区間、及び前記標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第1のプライマー結合配列を含む、第1のタグ区間を含み、
該第2のプローブが、その5ダッシュ(5’)末端の第2の標的特異的区間、及び前記標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第2のプライマー結合配列を含む、第2のタグ区間を含み、
前記第1のタグ区間若しくは前記第2のタグ区間、又は両方が、前記第1のプライマー結合配列又は前記第2のプライマー結合配列のそれぞれと、前記第1の標的特異的区間又は前記第2の標的特異的区間のそれぞれとの間に位置する識別子配列を含有しており、
各標的ヌクレオチド配列に対して、該第1のプローブ及び該第2のプローブを提供する工程(a)と、
前記第1のプローブ及び前記第2のプローブそれぞれの前記第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間を、前記標的配列とハイブリダイズさせる工程(b)と、
前記第1のプローブ及び前記第2のプローブの前記標的特異的区間それぞれを、前記標的配列上の本質的に隣接する区間とハイブリダイズする際、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブをライゲートしてライゲートしたプローブを得る工程(c)と、
任意選択で、前記ライゲートしたプローブを増幅させて、第1のプライマー及び第2のプライマーで、単位複製配列を得る工程(d)と、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付して、該ライゲートしたプローブ又は該単位複製配列で前記識別子配列(複数可)を少なくとも含む前記ヌクレオチド配列の少なくとも一部を求める工程(e)と、
前記試料中の前記標的ヌクレオチド配列の存在を、前記工程(e)の前記ヌクレオチド配列における前記識別子配列の有無を判定することによって同定する工程(f)と、
を含むことを特徴とする標的ヌクレオチド配列のハイスループット検出方法。
【請求項2】
前記第1及び第2のプローブが環化可能なプローブで置換されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2のプローブが、キーロック(Keylock)プローブであり、それぞれがクランプ区間を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプローブが、第1の標的特異的区間を含有する一方、第1のプライマー結合配列を含有しない第1のプローブで置換され、且つ該第1のプローブの前記第1の標的特異的区間及びプライマー結合区間(の一部)とハイブリダイズすることが可能な区間を含有する複合プローブが提供され、且つ該複合プローブの伸長により増幅可能な伸長した複合プローブが得られる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプローブが、第1の標的特異的区間を含有し、プライマー結合配列を含有せず、且つライゲーション点から遠位にある、エキソヌクレアーゼ耐性区間を含有し、且つ前記第2のプローブが、第2の標的特異的区間、第1及び第2のプライマー結合配列、並びに間欠的に位置する識別子を含む第2のタグ区間を含有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び前記第2のプローブが前記標的配列上の非隣接区間とアニーリングし、且つ、前記第1及び前記第2の標的特異的区間と隣接すると共に、その間にある該標的配列とアニーリングする第3のプローブが提供される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び前記第2のプローブが前記標的配列上の非隣接区間とアニーリングし、且つポリメラーゼ及びヌクレオチドを提供して該第1及び第2のプローブ間のギャップを充填する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
実行されるシークエンシングがハイスループットシークエンシングである、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記ハイスループットシークエンシングが固体支持体上で実施される、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハイスループットシークエンシングが合成によるシークエンシングに基づく、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズにアニーリングする(各ビーズは、単一のライゲートしたプローブ又は単位複製配列にアニーリングする)工程と、
前記ビーズをマイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは、単一のビーズを含む)工程と、
エマルジョンPCR(ポリメラゼ連鎖反応)を実施して、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズ表面上で増幅させる工程と、
任意選択で、増幅されたシークエンシング・アダプタ・ライゲートした断片を含有するビーズを選択/濃縮する工程と、
前記ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)工程と、
ピロリン酸シグナルを生成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズにアニーリングする(各ビーズは、単一のライゲートしたプローブ又は単位複製配列にアニーリングする)工程と、
前記ビーズをマイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは、単一のビーズを含む)工程と、
エマルジョンPCRを実施して、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズ表面上で増幅させる工程と、
任意選択で、増幅したシークエンシングアダプタとライゲートした断片を含有するビーズを選択/濃縮する工程と、
前記ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)工程と、
標識した可逆性終止ヌクレオチドを使用して、前記増幅したライゲートしたプローブ又は単位複製配列の前記ヌクレオチド配列を求める工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列を、第1のプライマー及び第2のプライマー又は第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列をそれぞれ含有する表面にアニーリングする工程と、
ブリッジ増幅を実施して、増幅したライゲートしたプローブ又は単位複製配列のクラスタ(集団)を得る工程と、
標識した可逆性終止ヌクレオチドを使用して、前記増幅しライゲートしたプローブ又は単位複製配列の前記ヌクレオチド配列を求める工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列を、第1のプライマー及び第2のプライマー又は第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列をそれぞれ含有する表面にアニーリングする工程と、
ブリッジ増幅を実施して、増幅しライゲートしたプローブ又は単位複製配列のクラスタを得る工程と、
ピロリン酸シグナルを生成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記識別子が一つの試料識別子である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記識別子が一つの遺伝子座/アレルの組合せ識別子である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記識別子が一つの試料識別子及び一つの遺伝子座/アレル識別子を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記識別子が、1〜30bp(塩基対)、好ましくは2〜16bp、より好ましくは3〜8bp、最も好ましくは4〜6bpである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記プライマーが3ダッシュアンカー配列を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記識別子が二つ以上の同一連続塩基を含有しない、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記対応する識別子が、二つ以上の試料、又は二つ以上の遺伝子座/アレルの組合せに対応し、少なくとも二つの異なるヌクレオチドを含有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記識別子配列を、二つ以上の試料、又は二つ以上の遺伝子座/アレルの組合せに対して使用して、SNP(一塩基多型)及び/又はインデル(挿入/欠失)を含む一つ又は複数の配列及び/又は多型について該試料(複数可)の遺伝子型を同定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ハイスループットシークエンシングにライゲーション系アッセイを使用して、一つ又は複数の試料中の一つ又は複数の標的配列の有無を判定する、ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1〜7のいずれか一項で規定した第1のプローブ及び/又は第2のプローブを含む、ことを特徴とするキット。
【請求項25】
環化可能なプローブを含む、ことを特徴とするキット。
【請求項26】
請求項24に記載のキットにおいて、複合プローブをさらに含む、ことを特徴とするキット。
【請求項27】
請求項24に記載のキットにおいて、第3のプローブをさらに含む、ことを特徴とするキット。
【請求項1】
一つ又は複数の試料中の一つ又は複数の標的ヌクレオチド配列をハイスループットで検出する方法であって、該方法が、
各標的ヌクレオチド配列に対して、第1のプローブ及び第2のプローブを提供する際、
該第1のプローブが、その3ダッシュ(3’)末端の標的特異的区間、及び前記標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第1のプライマー結合配列を含む、第1のタグ区間を含み、
該第2のプローブが、その5ダッシュ(5’)末端の第2の標的特異的区間、及び前記標的ヌクレオチド配列と非相補的であり、且つ第2のプライマー結合配列を含む、第2のタグ区間を含み、
前記第1のタグ区間若しくは前記第2のタグ区間、又は両方が、前記第1のプライマー結合配列又は前記第2のプライマー結合配列のそれぞれと、前記第1の標的特異的区間又は前記第2の標的特異的区間のそれぞれとの間に位置する識別子配列を含有しており、
各標的ヌクレオチド配列に対して、該第1のプローブ及び該第2のプローブを提供する工程(a)と、
前記第1のプローブ及び前記第2のプローブそれぞれの前記第1の標的特異的区間及び第2の標的特異的区間を、前記標的配列とハイブリダイズさせる工程(b)と、
前記第1のプローブ及び前記第2のプローブの前記標的特異的区間それぞれを、前記標的配列上の本質的に隣接する区間とハイブリダイズする際、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブをライゲートしてライゲートしたプローブを得る工程(c)と、
任意選択で、前記ライゲートしたプローブを増幅させて、第1のプライマー及び第2のプライマーで、単位複製配列を得る工程(d)と、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をハイスループットシークエンシング技術に付して、該ライゲートしたプローブ又は該単位複製配列で前記識別子配列(複数可)を少なくとも含む前記ヌクレオチド配列の少なくとも一部を求める工程(e)と、
前記試料中の前記標的ヌクレオチド配列の存在を、前記工程(e)の前記ヌクレオチド配列における前記識別子配列の有無を判定することによって同定する工程(f)と、
を含むことを特徴とする標的ヌクレオチド配列のハイスループット検出方法。
【請求項2】
前記第1及び第2のプローブが環化可能なプローブで置換されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2のプローブが、キーロック(Keylock)プローブであり、それぞれがクランプ区間を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプローブが、第1の標的特異的区間を含有する一方、第1のプライマー結合配列を含有しない第1のプローブで置換され、且つ該第1のプローブの前記第1の標的特異的区間及びプライマー結合区間(の一部)とハイブリダイズすることが可能な区間を含有する複合プローブが提供され、且つ該複合プローブの伸長により増幅可能な伸長した複合プローブが得られる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプローブが、第1の標的特異的区間を含有し、プライマー結合配列を含有せず、且つライゲーション点から遠位にある、エキソヌクレアーゼ耐性区間を含有し、且つ前記第2のプローブが、第2の標的特異的区間、第1及び第2のプライマー結合配列、並びに間欠的に位置する識別子を含む第2のタグ区間を含有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び前記第2のプローブが前記標的配列上の非隣接区間とアニーリングし、且つ、前記第1及び前記第2の標的特異的区間と隣接すると共に、その間にある該標的配列とアニーリングする第3のプローブが提供される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び前記第2のプローブが前記標的配列上の非隣接区間とアニーリングし、且つポリメラーゼ及びヌクレオチドを提供して該第1及び第2のプローブ間のギャップを充填する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
実行されるシークエンシングがハイスループットシークエンシングである、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記ハイスループットシークエンシングが固体支持体上で実施される、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハイスループットシークエンシングが合成によるシークエンシングに基づく、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズにアニーリングする(各ビーズは、単一のライゲートしたプローブ又は単位複製配列にアニーリングする)工程と、
前記ビーズをマイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは、単一のビーズを含む)工程と、
エマルジョンPCR(ポリメラゼ連鎖反応)を実施して、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズ表面上で増幅させる工程と、
任意選択で、増幅されたシークエンシング・アダプタ・ライゲートした断片を含有するビーズを選択/濃縮する工程と、
前記ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)工程と、
ピロリン酸シグナルを生成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズにアニーリングする(各ビーズは、単一のライゲートしたプローブ又は単位複製配列にアニーリングする)工程と、
前記ビーズをマイクロリアクタ中で乳化させる(各油中水型マイクロリアクタは、単一のビーズを含む)工程と、
エマルジョンPCRを実施して、ライゲートしたプローブ又は単位複製配列をビーズ表面上で増幅させる工程と、
任意選択で、増幅したシークエンシングアダプタとライゲートした断片を含有するビーズを選択/濃縮する工程と、
前記ビーズをウェルに充填する(各ウェルは単一のビーズを含む)工程と、
標識した可逆性終止ヌクレオチドを使用して、前記増幅したライゲートしたプローブ又は単位複製配列の前記ヌクレオチド配列を求める工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列を、第1のプライマー及び第2のプライマー又は第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列をそれぞれ含有する表面にアニーリングする工程と、
ブリッジ増幅を実施して、増幅したライゲートしたプローブ又は単位複製配列のクラスタ(集団)を得る工程と、
標識した可逆性終止ヌクレオチドを使用して、前記増幅しライゲートしたプローブ又は単位複製配列の前記ヌクレオチド配列を求める工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ハイスループットシークエンシングが、
前記ライゲートしたプローブ又は単位複製配列を、第1のプライマー及び第2のプライマー又は第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列をそれぞれ含有する表面にアニーリングする工程と、
ブリッジ増幅を実施して、増幅しライゲートしたプローブ又は単位複製配列のクラスタを得る工程と、
ピロリン酸シグナルを生成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記識別子が一つの試料識別子である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記識別子が一つの遺伝子座/アレルの組合せ識別子である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記識別子が一つの試料識別子及び一つの遺伝子座/アレル識別子を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記識別子が、1〜30bp(塩基対)、好ましくは2〜16bp、より好ましくは3〜8bp、最も好ましくは4〜6bpである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記プライマーが3ダッシュアンカー配列を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記識別子が二つ以上の同一連続塩基を含有しない、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記対応する識別子が、二つ以上の試料、又は二つ以上の遺伝子座/アレルの組合せに対応し、少なくとも二つの異なるヌクレオチドを含有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記識別子配列を、二つ以上の試料、又は二つ以上の遺伝子座/アレルの組合せに対して使用して、SNP(一塩基多型)及び/又はインデル(挿入/欠失)を含む一つ又は複数の配列及び/又は多型について該試料(複数可)の遺伝子型を同定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ハイスループットシークエンシングにライゲーション系アッセイを使用して、一つ又は複数の試料中の一つ又は複数の標的配列の有無を判定する、ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1〜7のいずれか一項で規定した第1のプローブ及び/又は第2のプローブを含む、ことを特徴とするキット。
【請求項25】
環化可能なプローブを含む、ことを特徴とするキット。
【請求項26】
請求項24に記載のキットにおいて、複合プローブをさらに含む、ことを特徴とするキット。
【請求項27】
請求項24に記載のキットにおいて、第3のプローブをさらに含む、ことを特徴とするキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−528054(P2009−528054A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557224(P2008−557224)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際出願番号】PCT/NL2007/000055
【国際公開番号】WO2007/100243
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(505464888)キージーン ナムローゼ フェンノートシャップ (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際出願番号】PCT/NL2007/000055
【国際公開番号】WO2007/100243
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(505464888)キージーン ナムローゼ フェンノートシャップ (11)
【Fターム(参考)】
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