説明

ライセンスプレートランプ

【課題】レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプを、低コストで得られるようにする。
【解決手段】右側のライセンスプレートランプ10Rにおいて、そのランプボディ12の下端開口部12aに取り付けられたレンズ14として、可視光および赤外光を放射する光源バルブ16からの光を、ライセンスプレート4へ向かう光として出射させる第1レンズ領域14Aと、車両後方路面100の右斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域14Bとに区分けされた構成とする。そして、灯室20内における第2レンズ領域14Bの近傍に、赤外光透過樹脂からなる透光部材18を配置し、この第2レンズ領域14Bから出射する光を赤外光とする。これにより、単一の光源バルブ16から放射される光を利用して、ライセンスプレート4に対する可視光照射とレーンマークに対する赤外光照射とを同時に行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ライセンスプレートの上端縁近傍に配置されるライセンスプレートランプに関するものであり、特に、レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ライセンスプレートランプの構成として、例えば「特許文献1」に記載されているように、白熱バルブ等の光源バルブを光源とするものが知られている。
【0003】
これに対し、例えば「特許文献2」に記載されているように、発光ダイオードを光源とするものも提案されている。その際、この「特許文献2」に記載された車両用照明装置は、ライセンスプレートランプとしての機能のほかにバックモニタ用ランプとしての機能も備えており、ライセンスプレートランプの光源として白色発光ダイオードが用いられるとともに、バックモニタ用ランプの光源として赤外光発光ダイオードが用いられている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−168438号公報
【特許文献2】特開2007−145048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の車両においては、レーンマーク照射用ランプが設けられることが少なくない。
【0006】
このレーンマーク照射用ランプは、車両後方路面の斜め側方領域へ向けて赤外光を照射するためのランプであって、このランプから赤外光を照射した状態で、車両後方路面を暗視カメラで撮像し、その撮像画像のモニタ表示等を行うことにより、レーンマーク(すなわち道路の走行レーンに沿って延びる左右両側の白線)を認識可能とするようになっている。そしてこれにより、車両の自動運転制御等の実現を図るようになっている。
【0007】
このようなレーンマーク照射機能は、テール&ストップランプが、従来のように光源バルブを光源とする構成となっていれば、この光源バルブから放射される光に含まれる赤外光(すなわち近赤外線領域の光)により達成することが可能である。
【0008】
しかしながら、近年のテール&ストップランプにおいては、点消灯の応答性やデザインの自由度等の観点から、発光ダイオードがその光源として用いられるようになってきている。ところが、この発光ダイオードからは赤外光が放射されないので、レーンマーク照射を行うためには、レーンマーク照射用ランプを別途設けることが必要となる。
【0009】
その際、上記「特許文献2」に記載された、赤外光発光ダイオードを光源とするバックモニタ用ランプの構成を一部変更して、車両後方路面の斜め側方領域へ向けて光照射を行うレーンマーク照射用ランプとして構成することも考えられる。しかしながら、このようにした場合には、白色発光ダイオードのほかに赤外光発光ダイオードが必要となるので、その分だけ灯具全体のコストが高くなってしまう、という問題がある。
【0010】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプを、低コストで得ることができるライセンスプレートランプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、可視光および赤外光を放射する光源バルブを光源として用いるようにした上で、所定の赤外光透過手段を備えた構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0012】
すなわち、本願発明に係るライセンスプレートランプは、
車両後部に設けられたライセンスプレートの上端縁近傍に配置され、このライセンスプレートに向けて光照射を行うように構成されたライセンスプレートランプにおいて、
ランプボディと、このランプボディの下端開口部に取り付けられ、該ランプボディとで灯室を形成するレンズと、上記灯室内に配置され、可視光および赤外光を放射する光源バルブと、を備えてなり、
上記レンズが、上記光源バルブからの光を上記ライセンスプレートへ向かう光として出射させる第1レンズ領域と、上記光源バルブからの光を車両後方路面の斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域とに区分けされており、
上記第2レンズ領域から出射する光を赤外光とする赤外光透過手段が、所定位置に設けられている、ことを特徴とするものである。
【0013】
上記「光源バルブ」は、可視光および赤外光を放射する構成となっていれば、その種類や形状等の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0014】
上記「赤外光透過手段」は、第2レンズ領域から出射する光を赤外光とすることができるものであれば、これを実現するための具体的な構成や、この「赤外光透過手段」が設けられる「所定位置」の具体的な位置は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
上記構成に示すように、本願発明に係るライセンスプレートランプは、車両後部に設けられたライセンスプレートの上端縁近傍に配置され、このライセンスプレートに向けて光照射を行うように構成されているが、そのランプボディの下端開口部に取り付けられたレンズが、可視光および赤外光を放射する光源バルブからの光を、ライセンスプレートへ向かう光として出射させる第1レンズ領域と、車両後方路面の斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域とに区分けされており、そして、その第2レンズ領域から出射する光を赤外光とする赤外光透過手段が所定位置に設けられた構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0016】
すなわち、光源バルブから放射される光のうち、第1レンズ領域へ向かった光は、この第1レンズ領域を介して、可視光および赤外光のままライセンスプレートへ向うこととなるので、ライセンスプレートに対する可視光照射(赤外光照射も含まれる)を行うことができ、これによりライセンスプレートランプ本来の機能を発揮させることができる。
【0017】
一方、光源バルブから放射される光のうち、第2レンズ領域へ向かった光は、赤外光透過手段により、この第2レンズ領域を介して、赤外光として車両後方路面の斜め側方領域へ向うこととなるので、レーンマークに対する赤外光照射を行うことができ、これによりレーンマーク照射用ランプとしての機能も発揮させることができる。
【0018】
このように、本願発明に係るライセンスプレートランプにおいては、単一の光源バルブから放射される光を利用して、ライセンスプレートに対する可視光照射とレーンマークに対する赤外光照射とを同時に行うことができる。
【0019】
したがって本願発明によれば、レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプを、低コストで得ることができる。
【0020】
またこれにより、テール&ストップランプの光源として赤外光を放射しない発光ダイオード等を用いるようにした場合においても、レーンマーク照射用ランプを別途設けることを必要とせずにレーンマーク照射を行うことができる。
【0021】
しかも本願発明においては、単一の光源バルブからの放射光が、ライセンスプレートに対する可視光照射とレーンマークに対する赤外光照射とに用いられるようになっているので、レーンマーク照射用の赤外光に赤色光成分が含まれてしまっているような場合においても、この赤色光成分によってライセンスプレートランプのレンズ周辺が赤っぽく見えてしまうのを、ライセンスプレート照射用の可視光の存在により効果的に抑制することができる。そしてこれにより、後続車両のドライバ等に違和感を与えてしまうおそれを無くすことができる。その際、第2レンズ領域が第1レンズ領域の前方側に配置された構成とすれば、このような作用効果を一層高めることができる。
【0022】
上記構成において「赤外光透過手段」の具体的な構成が特に限定されるものでないことは上述したとおりであるが、例えば、以下のような構成を採用することが可能である。
【0023】
すなわち、上記「赤外光透過手段」を、灯室内における第2レンズ領域の近傍に配置された、赤外光透過樹脂からなる透光部材で構成することが可能である。
【0024】
このような構成を採用することにより、通常のライセンスプレートランプの構成に対して、この透光部材を追加配置するだけで、上記作用効果を得ることができる。したがって、これによりライセンスプレートランプの低コスト化を一層推進することができる。
【0025】
ここで「赤外光透過樹脂」とは、近赤外線領域の光は透過させるが可視光領域の光は透過させない光学特性を有する樹脂材料を意味するものであり、その具体的な組成については特に限定されるものではない。
【0026】
また、上記「赤外光透過手段」を、灯室内における第2レンズ領域の近傍に配置された透光部材の表面に赤外光透過膜を形成することにより構成することも可能である。
【0027】
このような構成を採用することにより、透光部材の材質として通常の透明な樹脂材料を用いることができる。
【0028】
あるいは、上記「赤外光透過手段」を、レンズにおける第2レンズ領域の部分を赤外光透過樹脂で形成することにより構成されたものとすることも可能である。
【0029】
このような構成を採用することにより、灯室内に新たな部材を配置する必要を無くすことができる。そしてこれにより、灯室内スペースを十分に確保できないような場合においても上記作用効果を得ることができる。
【0030】
上記構成において、灯室内に、光源バルブから第1レンズ領域または第2レンズ領域以外の所定の方向へ向かう光を第2レンズ領域へ向けて反射させるリフレクタが設けられた構成を採用することも可能である。
【0031】
このような構成を採用することにより、光源バルブから放射される光を有効に利用することができる。また、このような構成を採用することにより、レンズにおける第2レンズ領域の部分あるいはその近傍に配置された透光部材に、光源バルブからの光を車両後方路面の斜め側方領域へ向かう光として出射させるための複数のレンズ素子あるいは反射プリズム素子を形成する必要を無くすこと、または、これら複数のレンズ素子あるいは反射プリズム素子の形状を無理のない形状に設定することが可能となる。
【0032】
ここで「所定の方向」は、該「所定の方向」へ向かう光を第2レンズ領域へ向けて反射させることにより、第2レンズ領域から車両後方路面の斜め側方領域へ向かう出射光を得ることができる方向であれば、その具体的な方向は特に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0034】
図1は、本願発明の一実施形態に係る左右1対のライセンスプレートランプ10L、10Rを備えた車両2が走行している状態を、その後方から見て透視的に示す図である。また、図2は、図1の要部詳細図である。
【0035】
これらの図に示すように、本実施形態においては、車両2の後部に設けられたライセンスプレート4の上端縁近傍に左右1対のライセンスプレートランプ10L、10Rが配置されている。その際、ライセンスプレート4は、車両2のトランクリッド6に形成された凹部6aに配置されている。
【0036】
左右1対のライセンスプレートランプ10L、10Rは、車両2の車幅方向中心に関して左右対称の位置関係で配置されており、かつ左右対称の構造を有している。
【0037】
左側のライセンスプレートランプ10Lは、ライセンスプレート4の左上コーナ部近傍に配置されている。このライセンスプレートランプ10Lは、ライセンスプレート4に向けて可視光を照射するとともに、車両後方路面100の左斜め側方領域へ向けて赤外光を照射するようになっている。
【0038】
そして、このライセンスプレートランプ10Lから照射された可視光により、ライセンスプレート4の略左半部を明るく照らし出すとともに、このライセンスプレートランプ10Lから照射された赤外光により、車両後方路面100において車両2が走行しているレーンの左側に位置するレーンマーク102Lを左右に跨ぐ赤外光配光パターンPLを形成するようになっている。
【0039】
一方、右側のライセンスプレートランプ10Rは、ライセンスプレート4の右上コーナ部近傍に配置されている。このライセンスプレートランプ10Rは、ライセンスプレート4に向けて可視光を照射するとともに、車両後方路面100の右斜め側方領域へ向けて赤外光を照射するようになっている。
【0040】
そして、このライセンスプレートランプ10Rから照射された可視光により、ライセンスプレート4の略右半部を明るく照らし出すとともに、このライセンスプレートランプ10Rから照射された赤外光により、車両後方路面100において車両2が走行しているレーンの右側に位置するレーンマーク102Rを左右に跨ぐ赤外光配光パターンPRを形成するようになっている。
【0041】
これら左右1対のライセンスプレートランプ10L、10Rから車両後方路面100の左右斜め側方領域へ赤外光を照射した状態で、車両2に搭載された暗視カメラ(図示せず)で車両後方路面100を撮像し、その撮像画像のモニタ表示等を行うことにより、レーンマーク102L、102Rを認識可能とし、これにより車両2の自動運転制御等の実現を図るようになっている。
【0042】
上述したように、左右1対のライセンスプレートランプ10L、10Rは、左右対称の構造を有しているので、以下、右側のライセンスプレートランプ10Rについて、その具体的な構成を説明する。
【0043】
図3は、右側のライセンスプレートランプ10Rを示す、図2のIII−III線断面図である。また、図4は、図3のIV部詳細図であり、図5は、図4のV−V線断面図である。
【0044】
これらの図に示すように、このライセンスプレートランプ10Rは、トランクリッド6の内部空間における凹部6aの上方に位置するように配置されている。その際、このライセンスプレートランプ10Rは、そのレンズ14が、トランクリッド6における凹部6aの上面壁に形成された開口部6bから、トランクリッド6の外部空間に臨むようにして配置されている。
【0045】
このライセンスプレートランプ10Rは、略下方へ向けて開口したランプボディ12と、このランプボディ12の下端開口部12aに取り付けられたレンズ14とで形成される灯室20内に、光源バルブ16と透光部材18とが配置された構成となっている。
【0046】
ランプボディ12は、その下端開口部12aが平面視において横長の略矩形状に形成されており、その下端開口部12aは、前壁部よりも後壁部の方がやや高くなっている。このランプボディ12の上壁部における略中央部には、バルブ挿入孔12bが形成されている。
【0047】
光源バルブ16は、ランプボディ12のバルブ挿入孔12bから略下向きにして挿入された状態で、その上壁部に位置決め固定されている。この光源バルブ16は、白熱バルブであって、そのフィラメント16aが灯室20内の略中央部において車幅方向に延びるようにして配置されている。
【0048】
レンズ14は、無色透明の樹脂材料からなり、前後2段で形成されている。すなわち、このレンズ14は、その略後半部分が上段水平部として形成されており、その前端部分が下段水平部として形成されており、両者の中間部分が後方へ向けて40〜50°程度の傾斜角で上向きに延びる傾斜部として形成されている。
【0049】
そして、このレンズ14は、その上段水平部が、光源バルブ16からの光をライセンスプレート4へ向かう光として出射させる第1レンズ領域14Aとして構成されており、その傾斜部が、光源バルブ16からの光を車両後方路面の右斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域14Bとして構成されている。
【0050】
このような光学的な機能を実現するため、第1レンズ領域14Aの内面(すなわち上面)には、複数の反射プリズム素子14Asが形成されている。これら複数の反射プリズム素子14Asは、鋸歯状の断面形状で車幅方向に延びている。
【0051】
そして、これら各反射プリズム素子14Asにおいては、その前部傾斜面において光源バルブ16からの光を該反射プリズム素子14Asに入射させた後、その後部傾斜面において、これを全反射させるようになっており、これにより第1レンズ領域14Aの外面(すなわち下面)から出射する光の向きを、光源バルブ16から該反射プリズム素子14Asに入射する際の光の向きに対して前方側へ大きく偏向させるようになっている。
【0052】
このとき、第1レンズ領域14A全体としては、その出射光を、真下の方向に対してやや前方寄りの方向を中心にして、前後方向に僅かに拡散させるとともに、左右方向にある程度拡散させるようになっている。そしてこれにより、図2に網線で示す右側の照射領域を確保するようになっている。
【0053】
一方、図4に示すように、第2レンズ領域14Bは、素通し状に形成されており、その内面近傍に上記透光部材18が配置された構成となっている。
【0054】
この透光部材18は、ポリカーボネート樹脂等をベースとして構成された赤外光透過樹脂からなる板状部材の上面に、複数の反射プリズム素子18sが形成された構成となっている。そして、この透光部材18は、その下面が第2レンズ領域14Bの内面と平行になるように近接配置された状態で、その車幅方向両端部においてランプボディ12の側壁部に固定支持されている。
【0055】
この透光部材18における複数の反射プリズム素子18sは、前後方向に延びる鉛直面に沿った断面形状が、鋸歯状に設定されており、車幅方向に延びる鉛直面に沿った断面形状が、右上がりの凸状円弧を略鋸歯状に連続させたような形状に設定されている。
【0056】
そして、これら各反射プリズム素子18sにおいては、その後部傾斜面において光源バルブ16からの光を該反射プリズム素子18sに入射させた後、その前部傾斜面において、これを全反射させるようになっており、これにより第2レンズ領域14Bの外面から出射する光の向きを、光源バルブ16から該反射プリズム素子18sに入射する際の光の向きに対して後方側へ大きく偏向させるようになっている。
【0057】
このとき、透光部材18および第2レンズ領域14B全体としては、その出射光を、右斜め後方へ向けて、やや下向きで上下方向に僅かに拡散させるとともに、左右方向にある程度拡散させるようになっている。そしてこれにより、図1に斜線で示す右側の照射領域を確保するようになっている。
【0058】
上述したように、ライセンスプレートランプ10Rは、そのレンズ14が、トランクリッド6における凹部6aの上面壁に形成された開口部6bから、トランクリッド6の外部空間に臨むようにして配置されているが、その際、このレンズ14は、その第2レンズ領域14Bの略下半部以外の部分が、車両後面視においてトランクリッド6に隠れて見えないように配置されている。
【0059】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0060】
本実施形態に係る右側のライセンスプレートランプ10Rは、車両2の後部に設けられたライセンスプレート4の上端縁近傍に配置され、このライセンスプレート4に向けて光照射を行うように構成されているが、そのランプボディ12の下端開口部12aに取り付けられたレンズ14が、可視光および赤外光を放射する光源バルブ16からの光を、ライセンスプレート4へ向かう光として出射させる第1レンズ領域14Aと、車両後方路面100の右斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域14Bとに区分けされており、そして、その第2レンズ領域14Bから出射する光を赤外光とする赤外光透過手段として、赤外光透過樹脂からなる透光部材18が灯室20内における第2レンズ領域14Bの近傍に配置された構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0061】
すなわち、光源バルブ16から放射される光のうち、第1レンズ領域14Aへ向かった光は、この第1レンズ領域14Aを介して、可視光および赤外光のままライセンスプレート4へ向うこととなるので、ライセンスプレート4に対する可視光照射(赤外光照射も含まれる)を行うことができ、これによりライセンスプレートランプ本来の機能を発揮させることができる。
【0062】
一方、光源バルブ16から放射される光のうち、第2レンズ領域14Bへ向かった光は、透光部材18により、この第2レンズ領域14Bを介して、赤外光として車両後方路面100の右斜め側方領域へ向うこととなるので、右側のレーンマーク102Rに対する赤外光照射を行うことができ、これによりレーンマーク照射用ランプとしての機能も発揮させることができる。
【0063】
このように、本実施形態に係る右側のライセンスプレートランプ10Rにおいては、単一の光源バルブ16から放射される光を利用して、ライセンスプレート4に対する可視光照射とレーンマーク102Rに対する赤外光照射とを同時に行うことができる。
【0064】
したがって本実施形態によれば、レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプ10Rを低コストで得ることができる。
【0065】
またこれにより、テール&ストップランプの光源として赤外光を放射しない発光ダイオード等を用いるようにした場合においても、レーンマーク照射用ランプを別途設けることを必要とせずにレーンマーク照射を行うことができる。
【0066】
しかも本実施形態においては、単一の光源バルブ16からの放射光が、ライセンスプレート4に対する可視光照射とレーンマーク102Rに対する赤外光照射とに用いられるので、レーンマーク照射用の赤外光に赤色光成分が含まれてしまっているような場合においても、この赤外光に含まれる赤色光成分によってライセンスプレートランプ10Rのレンズ14の周辺が赤っぽく見えてしまうのを、ライセンスプレート照射用の可視光の存在により効果的に抑制することができる。そしてこれにより、後続車両のドライバ等に違和感を与えてしまうおそれを無くすことができる。その際、本実施形態においては、第2レンズ領域14Bが第1レンズ領域14Aの前方側に配置されているので、このような作用効果を一層高めることができる。
【0067】
また、本実施形態においては、第2レンズ領域14Bから出射する光を赤外光とする赤外光透過手段が、灯室20内における第2レンズ領域14Bの近傍に配置された、赤外光透過樹脂からなる透光部材18で構成されているので、通常のライセンスプレートランプの構成に対して、この透光部材18を追加配置するだけで、上記作用効果を得ることができる。したがって、これによりライセンスプレートランプ10Rの低コスト化を一層推進することができる。
【0068】
本実施形態に係る左側のライセンスプレートランプ10Lについても、右側のライセンスプレートランプ10Rに対して、車両2の車幅方向中心に関して左右対称の位置関係で配置されており、かつ左右対称の構造を有しているので、右側のライセンスプレートランプ10Rの場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0070】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0071】
図6(a)は、本変形例に係るライセンスプレートランプ110Rを示す、図4と略同様の図である。
【0072】
同図に示すように、このライセンスプレートランプ110Rは、その基本的な構成は上記実施形態に係るライセンスプレートランプ10Rと同様であるが、その透光部材118の構成が上記実施形態の透光部材18と異なっている。
【0073】
すなわち、本変形例の透光部材118は、無色透明の樹脂材料からなる透光部材本体118Aの下面に赤外光透過膜118Bが形成された構成となっている。その際、透光部材本体118Aの形状および配置は、上記実施形態の透光部材18の場合と全く同様である。
【0074】
本変形例の構成を採用した場合においても、第2レンズ領域14Bから出射する光を赤外光とすることができ、これにより上記実施形態の場合と同様、レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプ110Rを低コストで得ることができる。
【0075】
その際、本変形例の構成を採用することにより、透光部材本体118Aの材質として通常の透明な樹脂材料を用いることができる。
【0076】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0077】
図6(b)は、本変形例に係るライセンスプレートランプ210Rを示す、図4と略同様の図である。
【0078】
同図に示すように、このライセンスプレートランプ210Rは、その基本的な構成は上記実施形態に係るライセンスプレートランプ10Rと同様であるが、レンズ214の構成が上記実施形態のレンズ14と異なっており、また上記実施形態の透光部材18は設けられていない。
【0079】
すなわち、本変形例のレンズ214は、上記実施形態のレンズ14と同様、ライセンスプレート4へ向かう光として出射させる第1レンズ領域14Aと、車両後方路面100の右斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域214Bとに区分けされているが、この第2レンズ領域214Bの部分は、2色成形により赤外光透過樹脂で形成されている。また、この第2レンズ領域214Bは、上記実施形態の第2レンズ領域14Bのように素通し状には形成されておらず、その内面に複数の反射プリズム素子214Bsが形成された構成となっている。これら各反射プリズム素子214Bsの光学的な機能は、上記実施形態の透光部材18における各反射プリズム素子18sの場合と略同様である。
【0080】
本変形例の構成を採用した場合においても、第2レンズ領域214Bから出射する光を赤外光とすることができ、これにより上記実施形態の場合と同様、レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプ210Rを低コストで得ることができる。
【0081】
その際、本変形例の構成を採用することにより、灯室20内に上記実施形態の透光部材18のような新たな部材を配置する必要を無くすことができる。そしてこれにより、灯室内スペースを十分に確保できないような場合においても上記作用効果を得ることができる。
【0082】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0083】
図6(c)は、本変形例に係るライセンスプレートランプ310Rを示す、図4と略同様の図である。
【0084】
同図に示すように、このライセンスプレートランプ310Rは、その基本的な構成は上記実施形態に係るライセンスプレートランプ10Rと同様であるが、レンズ314および透光部材318の構成が上記実施形態のレンズ14および透光部材18と異なっており、また本変形例においては、リフレクタ322が追加配置されている。
【0085】
本変形例のレンズ314は、上記実施形態のレンズ14と同様、ライセンスプレート4へ向かう光として出射させる第1レンズ領域14Aと、車両後方路面100の右斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域314Bとに区分けされているが、この第2レンズ領域314Bの形状が異なっている。すなわち、この第2レンズ領域314Bは、上記実施形態の第2レンズ領域14Bと同様、素通し状に形成されているが、その傾斜角が上記実施形態の第2レンズ領域14Bよりもかなり大きくなっている。具体的には、この第2レンズ領域314Bは、後方へ向けて70〜80°程度の傾斜角を有している。
【0086】
本変形例の透光部材318は、赤外光透過樹脂からなる平行平面板で構成されている。その際、この透光部材318は、その下面が第2レンズ領域314Bの内面と平行になるように近接配置された状態で、その車幅方向両端部においてランプボディ12の側壁部に固定支持されている。
【0087】
本変形例のリフレクタ322は、灯室20内における透光部材318の前方近傍に配置された状態で、この透光部材318に固定支持されている。そして、このリフレクタ322は、その反射面322aにおいて、光源バルブ16から第2レンズ領域314Bよりも前方側へ向かう光を第2レンズ領域314Bへ向けて反射させるようになっている。その際、このリフレクタ322からの反射光は、透光部材318を介して赤外光として第2レンズ領域314Bから出射することとなる。
【0088】
このリフレクタ322の反射面322aは、その反射光を、右斜め後方へ向けて、やや下向きで上下方向に僅かに拡散させるとともに、左右方向にある程度拡散させるようになっている。そしてこれにより、図1に斜線で示す右側の照射領域を確保するようになっている。これを実現するため、この反射面322aには、光源バルブ16からの光を右斜め側方へ偏向させるとともに水平方向に拡散させる複数の反射素子322sが形成されている。
【0089】
本変形例の構成を採用した場合においても、第2レンズ領域314Bから出射する光を赤外光とすることができ、これにより上記実施形態の場合と同様、レーンマーク照射機能を兼ね備えたライセンスプレートランプ310Rを低コストで得ることができる。
【0090】
その際、本変形例の構成を採用することにより、光源バルブ16から放射される光を有効に利用することができる。また、このような構成を採用することにより、上記実施形態や上記第1変形例のように透光部材18、118に複数の反射プリズム素子18sを形成したり、上記第2変形例のように第2レンズ領域214Bに複数の反射プリズム素子214Bsを形成したりする必要を無くすことができる。さらに、このような構成を採用することにより、第2レンズ領域314Bからの出射光の制御を容易に行うことが可能となる。
【0091】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本願発明の一実施形態に係る左右1対のライセンスプレートランプを備えた車両が走行している状態を、その後方から見て透視的に示す図
【図2】図1の要部詳細図
【図3】上記実施形態に係る右側のライセンスプレートランプを示す、図2のIII−III線断面図
【図4】図3のIV部詳細図
【図5】図4のV−V線断面図
【図6】上記実施形態の変形例を示す、図4と略同様の図
【符号の説明】
【0093】
2 車両
4 ライセンスプレート
6 トランクリッド
6a 凹部
6b 開口部
10L、10R、110R、210R、310R ライセンスプレートランプ
12 ランプボディ
12a 下端開口部
12b バルブ挿入孔
14、214、314 レンズ
14A 第1レンズ領域
14As、18s、214Bs 反射プリズム素子
14B、214B、314B 第2レンズ領域
16 光源バルブ
16a フィラメント
18、118、318 透光部材
18a 車幅方向両端部
20 灯室
100 車両後方路面
102L、102R レーンマーク
118A 透光部材本体
118B 赤外光透過膜
322 リフレクタ
322a 反射面
322s 反射素子
PL、PR 赤外光配光パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部に設けられたライセンスプレートの上端縁近傍に配置され、このライセンスプレートに向けて光照射を行うように構成されたライセンスプレートランプにおいて、
ランプボディと、このランプボディの下端開口部に取り付けられ、該ランプボディとで灯室を形成するレンズと、上記灯室内に配置され、可視光および赤外光を放射する光源バルブと、を備えてなり、
上記レンズが、上記光源バルブからの光を上記ライセンスプレートへ向かう光として出射させる第1レンズ領域と、上記光源バルブからの光を車両後方路面の斜め側方領域へ向かう光として出射させる第2レンズ領域とに区分けされており、
上記第2レンズ領域から出射する光を赤外光とする赤外光透過手段が、所定位置に設けられている、ことを特徴とするライセンスプレートランプ。
【請求項2】
上記赤外光透過手段が、上記灯室内における上記第2レンズ領域の近傍に配置された赤外光透過樹脂からなる透光部材で構成されている、ことを特徴とする請求項1記載のライセンスプレートランプ。
【請求項3】
上記赤外光透過手段が、上記灯室内における上記第2レンズ領域の近傍に配置された透光部材の表面に赤外光透過膜を形成することにより構成されている、ことを特徴とする請求項1記載のライセンスプレートランプ。
【請求項4】
上記赤外光透過手段が、上記レンズにおける上記第2レンズ領域の部分を赤外光透過樹脂で形成することにより構成されている、ことを特徴とする請求項1記載のライセンスプレートランプ。
【請求項5】
上記灯室内に、上記光源バルブから上記第1レンズ領域または上記第2レンズ領域以外の所定の方向へ向かう光を上記第2レンズ領域へ向けて反射させるリフレクタが設けられている、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のライセンスプレートランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−105426(P2010−105426A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276640(P2008−276640)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】