ライブラリ装置、その制御方法、及び情報処理装置
【課題】 ライブラリ装置のロボット交換に関し、活電状態での交換を実現する。
【解決手段】 ホストコンピュータ4により情報の書込み/読出しを行う記録媒体(カートリッジ10)を保管するライブラリ装置6であって、記録媒体を搬送する複数のロボット部161、162と、イベントが生起した場合に、イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、ホストコンピュータの問い合わせに対してイベントの処理中を表す応答を発する制御部(ライブラリ制御部24)とを備える構成である。
【解決手段】 ホストコンピュータ4により情報の書込み/読出しを行う記録媒体(カートリッジ10)を保管するライブラリ装置6であって、記録媒体を搬送する複数のロボット部161、162と、イベントが生起した場合に、イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、ホストコンピュータの問い合わせに対してイベントの処理中を表す応答を発する制御部(ライブラリ制御部24)とを備える構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のカートリッジ式記録媒体を保管するとともに、ホストコンピュータと連係されて情報の書込み/読出し等の処理を行うライブラリ装置に関し、特に、ロッカに保管されるカートリッジ式記録媒体の収納や、記録又は再生をロボット(アクセッサ)により行うライブラリ装置、その制御方法、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カートリッジ式記録媒体は、カートリッジに収納された磁気テープ等の記録媒体である。ライブラリ装置には、斯かるカートリッジ式記録媒体を収納保管するためにロッカが備えられるとともに、その収納保管や、取出しにカートリッジ搬送機構であるロボットが用いられる。このロボットは定期的な保守等により、必要に応じて交換される。
【0003】
斯かるライブラリ装置のロボット交換に関し、特許文献1には、アクセッサ(ロボット)の交換に際し、交換後のアクセッサとフレームとの相対位置測定について開示され、また、特許文献2には、ライブラリ装置の構成に変更を生じた場合に、フレームの位置情報を更新すること等について開示されている。
【特許文献1】特開平09−198755号公報(段落番号0021、図1〜図3等)
【特許文献2】特開平11−149696号公報(段落番号0040、図1、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ライブラリ装置に関し、ロボット交換は定期的な保守等により、必要不可欠であり、避けることができない。従来より、ロボット交換は、ライブラリ装置の動作を停止させて行われるため、そのバックアップソフト自体も当然に停止される。また、このロボット交換作業には、オペレータだけではなく、運用管理者も関わるので、業務停止の時間が長くなると、システム運用や情報処理に多大な影響を及ぼすことになる。
【0005】
斯かる課題について、特許文献1、2にはその開示はなく、それを解決する構成についての開示や示唆はない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ホストコンピュータとの連係関係を解除することなく、ライブラリ装置のロボット交換等のイベント処理を実現することにある。
【0007】
要するに、本発明の目的を具体的に述べれば、例えば、バックアップソフトを停止させることなく、ドライブのテープへの書込みを継続させながら、システム運用に影響を及ぼすことなく、即ち、活電状態を維持しながら、ロボット交換等のイベント処理を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置であって、前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで前記ロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する制御部とを備える構成である。
【0009】
斯かる構成において、イベントは、ロボット部、その構成部品等の交換、保守、点検、故障等、ロボット部を停止させるに必要な事象である。そこで、イベントの生起に基づき、イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで、ロボット部の給電を停止させるとともに、ホストコンピュータからの問い合わせに対し、制御部よりホストコンピュータに対し、イベントの処理中を表す応答を発する。ここで、イベントの処理時間又は所定時間について、イベントの処理時間は、イベント処理に必要な時間であり、また、所定時間は、イベント処理に必要な時間が長くなる場合を想定した適当な時間である。斯かる構成によれば、給電を停止させたロボット部に対し、そのロボット部又はその構成部品等の交換、保守、点検、故障修理等の処理を行うことができる。給電停止により、ロボット部が停止しているので、オペレータ等の安全性が確保される。
【0010】
上記目的を達成するためには、前記ライブラリ装置において、前記イベント生起を表す情報を入力する情報入力部を備える構成としてもよい。イベント生起は、制御部側で自動検出する構成としてもよく、また、ユーザが入力部よりイベント生起を表す情報を入力する構成としてもよい。後者の場合には、ロボット部を停止させるユーザの自由度が拡大される。
【0011】
上記目的を達成するためには、前記ライブラリ装置において、前記制御部は、前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知出力を発生する構成としてもよい。斯かる構成によれば、告知出力の発生を、ホストコンピュータとの情報授受が所定時間内で解除する契機とすることができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御方法であって、前記記録媒体を搬送する処理と、イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する処理とを含む構成である。
【0013】
斯かる構成によれば、給電を停止させたロボット部に対し、そのロボット部又はその構成部品等の交換、保守、点検、故障修理等の処理を行うことができ、給電停止により、ロボット部が停止しているので、オペレータ等の安全性が確保される。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第3の側面は、ホストコンピュータと、情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置とを備える情報処理装置であって、前記ライブラリ装置に、前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、イベントが生起した場合に、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理を表す通知を発するとともに、前記イベントの処理期間中、前記ロボット部の給電を停止させ、前記イベントの処理完了後又は所定時間経過後、前記ロボット部の給電を再開し、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける制御部とを備える構成である。
【0015】
斯かる構成によれば、ホストコンピュータとライブラリ装置との連係システムを構成した情報処理装置において、ライブラリ装置側のイベント処理として、給電を停止させたロボット部に対し、そのロボット部又はその構成部品等の交換、保守、点検、故障修理等の処理を行うことができる。既述した通り、給電停止によりロボット部が切り離されるので、ロボット部の交換等の作業に対し、オペレータ等の安全性が確保される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0017】
(1) ホストコンピュータとライブラリ装置との間で情報処理が可能な状態を維持しながら、選択的にロボット部の給電を停止させて、待機状態でのロボット部の保守、点検等のイベント処理を実現することができる。
【0018】
(2) ライブラリ装置とホストコンピュータとの連係関係を解除することなく、ライブラリ装置側のイベント処理が行え、イベント処理中にもホストコンピュータとの情報処理を継続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係るライブラリ装置、その制御方法、及び情報処理装置について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、ライブラリ装置を備える情報処理装置を示すブロック図、図2は、ライブラリ制御部の構成例を示すブロック図である。
【0020】
この情報処理装置2は、ホストコンピュータ4とともにライブラリ装置6を備え、ライブラリ装置6に情報を格納し、その情報等を用いた各種の情報処理に用いられる。この情報処理装置2において、ライブラリ装置6には、ホストコンピュータ4からの指示を受けることにより、情報の書込み/読出しを行う書込み/読出し装置としてドライブ群8が設置されているとともに、複数の記録媒体としてカートリッジ式記録媒体(以下「カートリッジ」と称する)10が保管されている。この場合、ドライブ群8は、複数のドライブ81、82、83、84で構成されている。また、カートリッジ10には、磁気テープ等の記録媒体が格納されている。このカートリッジ10の保管には、カートリッジ10を収納する複数のセル12が備えられている。即ち、これらセル12がカートリッジ10の保管部14を構成する。
【0021】
これらセル12とドライブ8との間のカートリッジ10の搬送には、複数のカートリッジ搬送機構として第1及び第2のロボット部161、162が設置されている。これらロボット部161、162には、保管部14に対する、カートリッジ10の搬送エリアを設定してもよく、それぞれが全エリアを担当する構成としてもよい。この場合、担当する搬送エリアを割り当てた場合には、ロボット161、162の一方に故障等のイベントが生起した場合に、正常状態にあるロボット161又はロボット162が他方の搬送エリアを補完する形態としてもよい。ここで、イベントとは、ロボット部161又は162、その構成部品等の交換、保守、点検、故障等、ロボット部161又は162を停止させるに必要な事象であり、オペレータが必要に応じてロボット部161、162の停止を必要とする場合の指示等も含まれる。
【0022】
各ロボット部161、162には、カートリッジ10を掴むピッカ(picker)部18とともに、ピッカ部18を、指示されたセル12又はドライブ81〜84に移動させるロボット移動機構201、202が設置されている。各ロボット移動機構201、202は、ロボット部161、162のピッカ部18をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動させ、また、ピッカ部18をS軸を中心に回転させる。
【0023】
このようなロボット移動機構201、202を制御するため、ロボット部161にはロボット制御部221が備えられ、また、ロボット部162にはロボット制御部222が備えられている。ロボット部161には、ライブラリ制御部24の指示に基づき、ロボット制御部221により操作される電源遮断スイッチ26を通して給電され、また、ロボット部162には、ライブラリ制御部24の指示に基づき、ロボット制御部222により操作される電源遮断スイッチ28を通して給電されている。ロボット制御部221は、ロボット移動機構201を通じてロボット部161の駆動及び位置を制御し、また、ロボット制御部222は、ロボット移動機構202を通じてロボット部162の駆動及び位置を制御する。電源遮断スイッチ26、28による給電遮断部分は例えば、ロボット部161、162の機構部分等、メンテナンスに支障を来さない部分を設定すればよい。そこで、電源遮断スイッチ26、28は、ライブラリ制御部24により操作される構成としてもよい。
【0024】
ライブラリ制御部24は、ホストコンピュータ4から情報の書込み又は読出し等の指令を受けるとともに、ライブラリ装置6側に生起した既述のイベントの処理に関する情報の通知を発する等、ホストコンピュータ4との情報の授受を行い、ロボット部161、162に対する給電停止からの経過時間を監視する。また、このライブラリ制御部24には、オペレータがイベント生起を表す情報等、必要な情報の入力や処理途上の情報を表示するオペレータパネル部30が備えられている。従って、このオペレータパネル部30は、既述のイベント生起を入力するための情報入力部であるとともに、オペレータに対する告知情報を提示する告知部を構成している。
【0025】
このライブラリ制御部24は、図2に示すように、ホストコンピュータ4と必要な情報を授受するコンピュータで構成され、プロセッサ32、記憶部34、タイマー36等を備える。プロセッサ32は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random-Access Memory)等を備える。記憶部34は、各種データやプログラム等を格納する記録媒体で構成され、データ授受等の各種のデータ処理に用いられるバックアップソフトウェア、ロボット部161、162の交換処理に用いられるイベント処理プログラム381、時間監視プログラム382・・・が格納されている。タイマー36は、時間監視のため、計時部を構成している。
【0026】
斯かる構成によれば、ホストコンピュータ4からの指示をライブラリ制御部24で受け、カートリッジ10の搬送のため、ロボット部161、162が制御され、ドライブ81〜84により情報の読出し又は書込みが実行される。
【0027】
イベントとして定期検査が到来し、例えば、ロボット部161を交換する場合には、オペレータはオペレータパネル部30より指示入力としてロボット交換を入力する。この入力を受けると、ライブラリ制御部24に受け付けられているカートリッジ10のドライブ81〜84への搬送予約を全て完了させ、その運搬処理が完了した後、ホストコンピュータ4にライブラリ制御部24から準備時間告知(Not Ready )を応答し、ロボット部161に対する給電を停止する。この給電停止は、電源遮断スイッチ26の操作により実行される。この場合、電源遮断スイッチ28の操作により、ロボット部162側の給電も停止される。
【0028】
また、ロボット部161の給電停止により、オペレータパネル部30を通してオペレータに保守開始が通知されるとともに、給電停止時点からタイマー36の計時が開始される。このロボット部161の交換のための一定時間Tが設定され、タイマー36が一定時間Tを計時したとき、保守作業の中止指令がオペレータパネル部30に告知される。この一定時間Tは、ロボット交換に必要な時間としてもよいが、長時間に亘る場合には情報処理の障害となるので、ロボット交換の進捗に無関係に所定時間を設定してもよい。この保守時間中、ホストコンピュータ4からの問い合わせに対し、ライブラリ制御部24から準備時間告知が応答される。
【0029】
給電停止から一定時間Tが経過すると、ロボット交換が中途であれば、それを中止し、必要な復帰処理を行った後、給電を開始させる。この場合、ロボット部161が故障していても、ロボット部162が正常であれば、通常の情報処理を行うことができ、イベント処理による情報処理が妨げられることはない。
【0030】
次に、ライブラリ装置6の具体例について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、インナーロッカを引き出したライブラリ装置を示す外観図、図4は、ライブラリ装置の内部構造を示す図である。
【0031】
このライブラリ装置6は装置筐体であるアウターロッカ40の内部にインナーロッカ42を備えている。アウターロッカ40にはインナーロッカ42の引出しが可能な開口部44が備えられ、この開口部44は扉46を以て開閉可能である。扉46は、インナーロッカ42の内部機構の保守点検や故障時に開かれ、図3は、扉46を開いた開口部44からインナーロッカ42の一部が引き出された状態である。
【0032】
インナーロッカ42には、カートリッジ10の保管部14が設置され、保管部14には複数のセル12が設置されているとともに、二基のロボット部161、162が設置されている。各セル12はインナーロッカ42に設置されてカートリッジ10を個別に収納する。ロボット部161、162は、セル12からカートリッジ10の取出し及び搬送、セル12への搬送及び収納等を行う。ロボット部161には、カートリッジ10を把持するピッカ部18を所望のセル12の位置に移動させるロボット移動機構201が設置されている。また、ロボット部162には、同様に、カートリッジ10を把持するピッカ部18を所望のセル12の位置に移動させるロボット移動機構202が設置されている。そして、ロボット移動機構201、202には、ロボット部161、162を上下方向(Y軸方向)に移動させるレール部50、インナーロッカ42の左右方向(X軸方向)に移動させるレール部52、ピッカ部18をインナーロッカ42の前後方向(Z軸方向)に移動させるレール部54が設置されているとともに、各ピッカ部18をロボット部161、162に設定されたS軸上で回転可能に設置されている。
【0033】
また、ロボット部161、162は、図4に示すように、レール部54に移動可能に支持されているとともに、レール部52上で矢印aで示す方向に移動可能である。また、ロボット部161、162は、レール部52とともにインナーロッカ42から引き出すことが可能である。
【0034】
斯かる構成において、ロボット部161、162における交換可能な保守部品としてアセンブリ56、このアセンブリ56の一部としてサブアセンブリ58が存在する。ここで、アセンブリ56は、ロボット移動機構201、202、ロボット部161、162の全部でもよいし、一部でもよい。また、サブアセンブリ58は、交換可能なユニットとして構成された例えばピッカ部18やその周辺部品である。
【0035】
次に、このライブラリ装置6のイベントとしてロボット交換について、図5、図6及び図7を参照して説明する。図5、図6及び図7は、ロボット部の交換手順を示す図である。図5〜図7において、図1、図2及び図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0036】
ライブラリ装置6に生起するイベントとしてロボット交換では、既述の給電停止の後、図5の(A)に示すように、保守部品となるアセンブリ56を引き出す。この場合、任意の位置にあるアセンブリ56を矢印aの方向に引き出し、次に、図5の(B)に示すように、サブアセンブリ58を中央へ移動する(矢印b)。
【0037】
この状態で、図6の(A)に示すように、アセンブリ56を90度だけ回転させ(矢印c)、図6の(B)に示すように、インナーロッカ42から保守専用のスライド部60をスライドさせて引き出し(矢印d)、図7に示すように、引き出されたスライド部60からアセンブリ56を離脱させ(矢印e)、交換する。
【0038】
このアセンブリ56の交換後、スライド部60は、再びインナーロッカ42の内部に戻し、既述の手順と逆の順序で図4{図5の(A)}に示すように、ロボット部161、162を再現させる。
【0039】
このようなロボット交換は一例であって、ライブラリ装置6におけるイベント処理はこのようなロボット交換に限定されるものではない。
【0040】
次に、オペレータ、ホストコンピュータ及びライブラリ装置の処理シーケンスについて、図8を参照して説明する。図8は、オペレータ、ホストコンピュータ及びライブラリ装置の処理シーケンスを示す図である。
【0041】
ライブラリ装置6のライブラリ制御部24には、オペレータによりオペレータパネル部30からロボット交換指示が与えられる(ステップS1)。この例では、ロボット部161の交換処理である。即ち、これがイベント生起である。
【0042】
このロボット交換指示に基づき、ライブラリ制御部24からロボット制御部221に対し、順番待ち動作(キューイングムーブ:queuing move)の実行を指示し(ステップS2)、この順番待ち動作が順次行われる。この順番待ち動作は、イベント生起の際、ホストコンピュータ4からライブラリ制御部24に既に必要な実行命令が付与されている場合に、その実行命令をイベント処理の前に完了させる処理であり、ロボット交換指示即ち、イベント生起の後は、ホストコンピュータ4からの実行命令を一旦拒否するか保留する処理を行う。
【0043】
ロボット制御部221側で順番待ち動作が完了すると、その完了通知がロボット制御部221からライブラリ制御部24に発せられ(ステップS3)、これを受け、ライブラリ制御部24からロボット制御部221、222に電源遮断スイッチ26、28による電源切断指示が発せられ(ステップS4、S5)、電源の切断が完了すると、ロボット制御部221、222から切断完了がライブラリ制御部24に通知される(ステップS6、S7)。即ち、イベント生起の後、ロボット部161、162に対し給電停止が実行される。
【0044】
このようなステップS2〜ステップS7の期間では、イベント処理に入っているので、ライブラリ制御部24ではホストコンピュータ4からの実行命令を受けることができないので、ホストコンピュータ4からの問い合わせとしてポーリング(polling )通知を発し(ステップS8)、このポーリング通知に対し、実行命令を受けることができない待機中である旨の応答としてビジー(busy)通知を発する(ステップS9)。ポーリング通知はホストコンピュータ4から定期的に発せられ(ステップS10、S12)、これに対応し、イベント処理中、ライブラリ制御部24からビジー通知が発せられる(ステップS11、S13)。この結果、ライブラリ装置6側のイベント処理中では、ホストコンピュータ4との連係関係は維持されるが、待機中であるとして具体的な実行命令が拒否されることになる。
【0045】
ライブラリ制御部24がロボット制御部221、222からの電源切断完了通知を受けると、ライブラリ制御部24からオペレータパネル部30に交換準備完了を表す通知が発せられる(ステップS14)。この時点を捉え、ライブラリ制御部24では、タイマー36による時間監視が開始され、計時動作が開始される(ステップS15)。この交換準備完了通知が発せられた後、ライブラリ制御部24がホストコンピュータ4からポーリング通知を受けると(ステップS16)、待機中であることを表す、準備時間告知(Not Ready )が発せられる(ステップS17)。
【0046】
ロボット部161、162の給電を停止し、待機時間に移行すると、オペレータは、イベント処理として例えば、既述の交換手順(図5〜図7)により、ロボット交換を実行する。
【0047】
この場合、交換作業が予め設定された一定時間Tを越えた場合には、その作業についてタイムアウトとなり(ステップS18)、ライブラリ制御部24から作業中止通知がオペレータパネル部30に表示される(ステップS19)。この告知を確認したオペレータは、交換作業を中止し、既述の交換手順とは逆の手順により、インナーロッカ42にロボット部161を戻し、動作が可能な状態にライブラリ装置6を復帰させる。
【0048】
斯かる作業を中止した後、オペレータがオペレータパネル部30から操作により作業中断完了がライブラリ制御部24に通知される(ステップS20)。この通知の後、ライブラリ制御部24がホストコンピュータ4からポーリング通知を受けると(ステップS21)、実行命令を受けることができる状態に移行したことを表す準備完了通知(Ready )がライブラリ制御部24から発せられる(ステップS22)。この結果、通常の情報処理が可能となるが、ロボット交換が完了していない場合には、次のイベント処理によりロボット交換を行う。
【0049】
なお、この例では、一定時間T内にイベント処理が完了しない場合について説明したが、一定時間T内に斯かる処理が完了した場合には、作業中断完了通知(ステップS20)に代え、オペレータが作業完了通知をオペレータパネル部30からライブラリ制御部24に通知すればよい。この場合、一定時間T内においても、通常の情報処理に復帰することができる。
【0050】
次に、ホストコンピュータ4の制御処理について、図9を参照して説明する。図9は、ホストコンピュータ4の制御プログラムを示すフローチャートである。
【0051】
ホストコンピュータ4側の処理は、ライブラリ装置6に対し、実行命令の処理が可能か否かを確認し、可能である場合には、ライブラリ装置6に対し、カートリッジ10の情報の読出し又は書込みを行う。
【0052】
即ち、ホストコンピュータ4とライブラリ装置6との連係が維持されていれば、ホストコンピュータ4からポーリング処理が実行され(ステップS31)、この処理により、ポーリング通知を契機としてライブラリ装置6が実行命令を受けることができるか否か(即ち、ビジーか否か)を確認し(ステップS32)、実行命令を受けることができない場合には、ステップS31に戻り、実行命令を受けることができる場合には、実行命令を発して動作に移行し(ステップS33)、その実行完了(ステップS34)の後、ステップS31に戻る。
【0053】
斯かる処理によれば、ホストコンピュータ4とライブラリ制御部24との連係関係により、ライブラリ装置6におけるロボット交換等のイベント処理による時間を監視することができ、情報処理の中断時間を最小限に食い止めることができ、合理的な処理が実現される。
【0054】
次に、ライブラリ制御部24の制御処理について、図10を参照して説明する。図10は、ライブラリ制御部24の制御プログラムを示すフローチャートである。
【0055】
ライブラリ制御部24では、イベント生起の確認処理、順番待ち動作処理、作業時間監視処理、給電停止処理及びその復帰処理、ホストコンピュータ4との対話処理等が実行される。
【0056】
そこで、このライブラリ制御部24では、ロボット交換指示があるか否かを監視し(ステップS41)、ロボット交換指示を受けると、順番待ち動作を実行し(ステップS42)、その実行の後、ロボット制御部221、222及び電源遮断スイッチ26、28に対し、電源切断指示をする(ステップS43)。
【0057】
電源切断が完了すると、ロボット交換準備完了通知が発せられ(ステップS44)、電源切断を契機とし、時間監視開始が実行され(ステップS45)、一定時間Tが経過したか否かが監視され(ステップS46)、一定時間Tが経過すると、ロボット交換作業の進捗に関係なく、オペレータパネル部30に対し、作業中止通知が発せられる(ステップS47)。
【0058】
作業が中断し、その中断が完了した後、オペレータの操作により、オペレータパネル部30から作業中断完了通知を受け(ステップS48)、この通知を契機に、ロボット部161、162に対し給電が開始される(ステップS49)。この給電開始を契機に、ホストコンピュータ4からの問い合わせに対し、準備完了通知(Ready )が発せられ(ステップS50)、ライブラリ制御部24の処理が完了する。
【0059】
このライブラリ制御において、一定時間T(ステップS45、S46)では、ホストコンピュータ4からのポーリング通知に対し、準備時間告知(Not Ready )として、実行命令の処理ができない旨の通知が発せられる。
【0060】
次に、ロボット制御部221、222の制御処理について、図11を参照して説明する。図11は、ロボット制御部221、222の制御プログラムを示すフローチャートである。
【0061】
各ロボット制御部221、222では、カートリッジ10の搬送制御、電源切断処理及びその復帰処理等が実行される。
【0062】
即ち、ライブラリ制御部24がホストコンピュータ4より受けた実行命令により、順番待ち動作(Move)が実行され(ステップS61)、その動作が完了した後、ライブラリ制御部24に対しその完了通知が発せられ(ステップS62)、電源切断指示を受け(ステップS63)、ロボット部161、162に対する電源を切断する。この電源切断は、電源遮断スイッチ26、28により実行される。
【0063】
以上説明した実施の形態の特徴事項又は変形例について、列挙して説明する。
【0064】
(1) 一つのライブラリ装置6に冗長化のため、ロボット部161、162が設置されている。そこで、ロボット保守時、各ロボット部161、162を搭載しているインナーロッカ42が引き出されるが、このインナーロッカ42の引出しにより、各ロボット部161、162が同時に引き出されるインナーロッカ構造が備えられている。
【0065】
(2) 保守時には、ホストコンピュータ4に対してライブラリ装置6からNot Ready 応答することにより、ホストコンピュータ4からライブラリ装置6を切り離したり、バックアップソフトを停止することなく、ロボット交換を可能にしている。
【0066】
(3) 保守前には、受け付けたドライブ81〜84へのカートリッジ10の運搬動作を全て完了し、ドライブ81〜84での読出し又は書込みが継続して行えるように制御し、ロボット部161、162の停止時間を最小限にし、情報処理に対する影響を少なくすることができる。
【0067】
(4) 保守時間即ち、作業時間が一定時間を越えた場合には、オペレータにアラームを以て告知し、一旦、ロボット部161、162を組み込むように指示することにより、故障していないロボット部161又は162での搬送動作を可能にしている。
【0068】
(5) 上記実施の形態では、イベント処理としてロボット交換を例示したが、ライブラリ装置6側のイベントとしては、ロボット交換に限定されるものではなく、オペレータが必要に応じてロボット部161、162の給電を停止させる各種のイベントを含むものである。
【0069】
(6) 上記実施の形態では、電源遮断スイッチ26、28による給電遮断部分を例えば、ロボット部161、162におけるメンテナンスに支障を来さない部分と例示したが、ロボット移動機構201、202に対する給電の全部遮断又は一部遮断、又は、ロボット制御部221、222の全機能又はその一部の機能を停止させる構成としてもよい。
【0070】
次に、以上述べた本発明のライブラリ装置、その制御方法、及び情報処理装置の実施の形態から抽出される技術的思想を請求項の記載形式に準じて付記として列挙する。本発明に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0071】
(付記1) ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置であって、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで前記ロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する制御部と、
を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【0072】
(付記2) 付記1記載のライブラリ装置において、
前記イベント生起を表す情報を入力する情報入力部を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【0073】
(付記3) 付記1記載のライブラリ装置において、
前記制御部は、前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知出力を発生することを特徴とするライブラリ装置。
【0074】
(付記4) 付記3記載のライブラリ装置において、
前記告知出力により、アラームを発する告知部を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【0075】
(付記5) 付記1記載のライブラリ装置において、
前記制御部は、前記ホストコンピュータに対し、前記イベントを完了したことを表す告知出力を発した後、前記ホストコンピュータからの指示を受け付けることを特徴とするライブラリ装置。
【0076】
(付記6) ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御方法であって、
前記記録媒体を搬送する処理と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する処理と、
を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0077】
(付記7) 付記6記載のライブラリ装置の制御方法において、
情報入力部に前記イベント生起を表す情報を入力する処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0078】
(付記8) 付記6記載のライブラリ装置の制御方法において、
前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知情報を発生させる処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0079】
(付記9) 付記8記載のライブラリ装置の制御方法において、
前記告知情報に基づき、アラームを発生させる処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0080】
(付記10) 付記6記載のライブラリ装置の制御方法において、
前記ホストコンピュータに対し、前記イベントを完了したことを表す告知出力を発した後、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0081】
(付記11) ホストコンピュータと、情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置とを備える情報処理装置であって、
前記ライブラリ装置に、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理を表す通知を発するとともに、前記イベントの処理期間中、前記ロボット部の給電を停止させ、前記イベントの処理完了後又は所定時間経過後、前記ロボット部の給電を再開し、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0082】
(付記12) ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御プログラムであって、
前記記録媒体を搬送するステップと、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発するステップと、
を含み、これらステップをコンピュータに実行させることを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0083】
(付記13) 付記12記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
情報入力部に前記イベント生起を表す情報を入力するステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0084】
(付記14) 付記12記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知情報を発生させるステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0085】
(付記15) 付記14記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
前記告知情報に基づき、アラームを発生させるステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0086】
(付記16) 付記12記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
前記ホストコンピュータに対し、前記イベントを完了したことを表す告知出力を発した後、前記ホストコンピュータからの指示を受け付けるステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0087】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置に用いられ、ライブラリ装置側のロボット交換等のイベント処理をホストコンピュータとの連係動作を終了することなく行うことができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】ライブラリ装置を備える情報処理装置を示すブロック図である。
【図2】ライブラリ制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】インナーロッカを引き出したライブラリ装置を示す外観図である。
【図4】ライブラリ装置の内部構造を示す図である。
【図5】ロボット部の交換手順を示す図である。
【図6】ロボット部の交換手順を示す図である。
【図7】ロボット部の交換手順を示す図である。
【図8】オペレータ、ホストコンピュータ及びライブラリ装置の処理シーケンスを示す図である。
【図9】ホストコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図10】ライブラリ制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図11】ロボット制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
2 情報処理装置
4 ホストコンピュータ
6 ライブラリ装置
8 ドライブ群
81、82、83、84 ドライブ
10 カートリッジ式記録媒体
12 セル
14 保管部
161、162 ロボット部
18 ピッカ部
201、202 ロボット移動機構
221、222 ロボット制御部
24 ライブラリ制御部
26、28 電源遮断スイッチ
30 オペレータパネル部(情報入力部)
56 アセンブリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のカートリッジ式記録媒体を保管するとともに、ホストコンピュータと連係されて情報の書込み/読出し等の処理を行うライブラリ装置に関し、特に、ロッカに保管されるカートリッジ式記録媒体の収納や、記録又は再生をロボット(アクセッサ)により行うライブラリ装置、その制御方法、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カートリッジ式記録媒体は、カートリッジに収納された磁気テープ等の記録媒体である。ライブラリ装置には、斯かるカートリッジ式記録媒体を収納保管するためにロッカが備えられるとともに、その収納保管や、取出しにカートリッジ搬送機構であるロボットが用いられる。このロボットは定期的な保守等により、必要に応じて交換される。
【0003】
斯かるライブラリ装置のロボット交換に関し、特許文献1には、アクセッサ(ロボット)の交換に際し、交換後のアクセッサとフレームとの相対位置測定について開示され、また、特許文献2には、ライブラリ装置の構成に変更を生じた場合に、フレームの位置情報を更新すること等について開示されている。
【特許文献1】特開平09−198755号公報(段落番号0021、図1〜図3等)
【特許文献2】特開平11−149696号公報(段落番号0040、図1、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ライブラリ装置に関し、ロボット交換は定期的な保守等により、必要不可欠であり、避けることができない。従来より、ロボット交換は、ライブラリ装置の動作を停止させて行われるため、そのバックアップソフト自体も当然に停止される。また、このロボット交換作業には、オペレータだけではなく、運用管理者も関わるので、業務停止の時間が長くなると、システム運用や情報処理に多大な影響を及ぼすことになる。
【0005】
斯かる課題について、特許文献1、2にはその開示はなく、それを解決する構成についての開示や示唆はない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ホストコンピュータとの連係関係を解除することなく、ライブラリ装置のロボット交換等のイベント処理を実現することにある。
【0007】
要するに、本発明の目的を具体的に述べれば、例えば、バックアップソフトを停止させることなく、ドライブのテープへの書込みを継続させながら、システム運用に影響を及ぼすことなく、即ち、活電状態を維持しながら、ロボット交換等のイベント処理を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置であって、前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで前記ロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する制御部とを備える構成である。
【0009】
斯かる構成において、イベントは、ロボット部、その構成部品等の交換、保守、点検、故障等、ロボット部を停止させるに必要な事象である。そこで、イベントの生起に基づき、イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで、ロボット部の給電を停止させるとともに、ホストコンピュータからの問い合わせに対し、制御部よりホストコンピュータに対し、イベントの処理中を表す応答を発する。ここで、イベントの処理時間又は所定時間について、イベントの処理時間は、イベント処理に必要な時間であり、また、所定時間は、イベント処理に必要な時間が長くなる場合を想定した適当な時間である。斯かる構成によれば、給電を停止させたロボット部に対し、そのロボット部又はその構成部品等の交換、保守、点検、故障修理等の処理を行うことができる。給電停止により、ロボット部が停止しているので、オペレータ等の安全性が確保される。
【0010】
上記目的を達成するためには、前記ライブラリ装置において、前記イベント生起を表す情報を入力する情報入力部を備える構成としてもよい。イベント生起は、制御部側で自動検出する構成としてもよく、また、ユーザが入力部よりイベント生起を表す情報を入力する構成としてもよい。後者の場合には、ロボット部を停止させるユーザの自由度が拡大される。
【0011】
上記目的を達成するためには、前記ライブラリ装置において、前記制御部は、前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知出力を発生する構成としてもよい。斯かる構成によれば、告知出力の発生を、ホストコンピュータとの情報授受が所定時間内で解除する契機とすることができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御方法であって、前記記録媒体を搬送する処理と、イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する処理とを含む構成である。
【0013】
斯かる構成によれば、給電を停止させたロボット部に対し、そのロボット部又はその構成部品等の交換、保守、点検、故障修理等の処理を行うことができ、給電停止により、ロボット部が停止しているので、オペレータ等の安全性が確保される。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第3の側面は、ホストコンピュータと、情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置とを備える情報処理装置であって、前記ライブラリ装置に、前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、イベントが生起した場合に、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理を表す通知を発するとともに、前記イベントの処理期間中、前記ロボット部の給電を停止させ、前記イベントの処理完了後又は所定時間経過後、前記ロボット部の給電を再開し、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける制御部とを備える構成である。
【0015】
斯かる構成によれば、ホストコンピュータとライブラリ装置との連係システムを構成した情報処理装置において、ライブラリ装置側のイベント処理として、給電を停止させたロボット部に対し、そのロボット部又はその構成部品等の交換、保守、点検、故障修理等の処理を行うことができる。既述した通り、給電停止によりロボット部が切り離されるので、ロボット部の交換等の作業に対し、オペレータ等の安全性が確保される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0017】
(1) ホストコンピュータとライブラリ装置との間で情報処理が可能な状態を維持しながら、選択的にロボット部の給電を停止させて、待機状態でのロボット部の保守、点検等のイベント処理を実現することができる。
【0018】
(2) ライブラリ装置とホストコンピュータとの連係関係を解除することなく、ライブラリ装置側のイベント処理が行え、イベント処理中にもホストコンピュータとの情報処理を継続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係るライブラリ装置、その制御方法、及び情報処理装置について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、ライブラリ装置を備える情報処理装置を示すブロック図、図2は、ライブラリ制御部の構成例を示すブロック図である。
【0020】
この情報処理装置2は、ホストコンピュータ4とともにライブラリ装置6を備え、ライブラリ装置6に情報を格納し、その情報等を用いた各種の情報処理に用いられる。この情報処理装置2において、ライブラリ装置6には、ホストコンピュータ4からの指示を受けることにより、情報の書込み/読出しを行う書込み/読出し装置としてドライブ群8が設置されているとともに、複数の記録媒体としてカートリッジ式記録媒体(以下「カートリッジ」と称する)10が保管されている。この場合、ドライブ群8は、複数のドライブ81、82、83、84で構成されている。また、カートリッジ10には、磁気テープ等の記録媒体が格納されている。このカートリッジ10の保管には、カートリッジ10を収納する複数のセル12が備えられている。即ち、これらセル12がカートリッジ10の保管部14を構成する。
【0021】
これらセル12とドライブ8との間のカートリッジ10の搬送には、複数のカートリッジ搬送機構として第1及び第2のロボット部161、162が設置されている。これらロボット部161、162には、保管部14に対する、カートリッジ10の搬送エリアを設定してもよく、それぞれが全エリアを担当する構成としてもよい。この場合、担当する搬送エリアを割り当てた場合には、ロボット161、162の一方に故障等のイベントが生起した場合に、正常状態にあるロボット161又はロボット162が他方の搬送エリアを補完する形態としてもよい。ここで、イベントとは、ロボット部161又は162、その構成部品等の交換、保守、点検、故障等、ロボット部161又は162を停止させるに必要な事象であり、オペレータが必要に応じてロボット部161、162の停止を必要とする場合の指示等も含まれる。
【0022】
各ロボット部161、162には、カートリッジ10を掴むピッカ(picker)部18とともに、ピッカ部18を、指示されたセル12又はドライブ81〜84に移動させるロボット移動機構201、202が設置されている。各ロボット移動機構201、202は、ロボット部161、162のピッカ部18をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動させ、また、ピッカ部18をS軸を中心に回転させる。
【0023】
このようなロボット移動機構201、202を制御するため、ロボット部161にはロボット制御部221が備えられ、また、ロボット部162にはロボット制御部222が備えられている。ロボット部161には、ライブラリ制御部24の指示に基づき、ロボット制御部221により操作される電源遮断スイッチ26を通して給電され、また、ロボット部162には、ライブラリ制御部24の指示に基づき、ロボット制御部222により操作される電源遮断スイッチ28を通して給電されている。ロボット制御部221は、ロボット移動機構201を通じてロボット部161の駆動及び位置を制御し、また、ロボット制御部222は、ロボット移動機構202を通じてロボット部162の駆動及び位置を制御する。電源遮断スイッチ26、28による給電遮断部分は例えば、ロボット部161、162の機構部分等、メンテナンスに支障を来さない部分を設定すればよい。そこで、電源遮断スイッチ26、28は、ライブラリ制御部24により操作される構成としてもよい。
【0024】
ライブラリ制御部24は、ホストコンピュータ4から情報の書込み又は読出し等の指令を受けるとともに、ライブラリ装置6側に生起した既述のイベントの処理に関する情報の通知を発する等、ホストコンピュータ4との情報の授受を行い、ロボット部161、162に対する給電停止からの経過時間を監視する。また、このライブラリ制御部24には、オペレータがイベント生起を表す情報等、必要な情報の入力や処理途上の情報を表示するオペレータパネル部30が備えられている。従って、このオペレータパネル部30は、既述のイベント生起を入力するための情報入力部であるとともに、オペレータに対する告知情報を提示する告知部を構成している。
【0025】
このライブラリ制御部24は、図2に示すように、ホストコンピュータ4と必要な情報を授受するコンピュータで構成され、プロセッサ32、記憶部34、タイマー36等を備える。プロセッサ32は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random-Access Memory)等を備える。記憶部34は、各種データやプログラム等を格納する記録媒体で構成され、データ授受等の各種のデータ処理に用いられるバックアップソフトウェア、ロボット部161、162の交換処理に用いられるイベント処理プログラム381、時間監視プログラム382・・・が格納されている。タイマー36は、時間監視のため、計時部を構成している。
【0026】
斯かる構成によれば、ホストコンピュータ4からの指示をライブラリ制御部24で受け、カートリッジ10の搬送のため、ロボット部161、162が制御され、ドライブ81〜84により情報の読出し又は書込みが実行される。
【0027】
イベントとして定期検査が到来し、例えば、ロボット部161を交換する場合には、オペレータはオペレータパネル部30より指示入力としてロボット交換を入力する。この入力を受けると、ライブラリ制御部24に受け付けられているカートリッジ10のドライブ81〜84への搬送予約を全て完了させ、その運搬処理が完了した後、ホストコンピュータ4にライブラリ制御部24から準備時間告知(Not Ready )を応答し、ロボット部161に対する給電を停止する。この給電停止は、電源遮断スイッチ26の操作により実行される。この場合、電源遮断スイッチ28の操作により、ロボット部162側の給電も停止される。
【0028】
また、ロボット部161の給電停止により、オペレータパネル部30を通してオペレータに保守開始が通知されるとともに、給電停止時点からタイマー36の計時が開始される。このロボット部161の交換のための一定時間Tが設定され、タイマー36が一定時間Tを計時したとき、保守作業の中止指令がオペレータパネル部30に告知される。この一定時間Tは、ロボット交換に必要な時間としてもよいが、長時間に亘る場合には情報処理の障害となるので、ロボット交換の進捗に無関係に所定時間を設定してもよい。この保守時間中、ホストコンピュータ4からの問い合わせに対し、ライブラリ制御部24から準備時間告知が応答される。
【0029】
給電停止から一定時間Tが経過すると、ロボット交換が中途であれば、それを中止し、必要な復帰処理を行った後、給電を開始させる。この場合、ロボット部161が故障していても、ロボット部162が正常であれば、通常の情報処理を行うことができ、イベント処理による情報処理が妨げられることはない。
【0030】
次に、ライブラリ装置6の具体例について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、インナーロッカを引き出したライブラリ装置を示す外観図、図4は、ライブラリ装置の内部構造を示す図である。
【0031】
このライブラリ装置6は装置筐体であるアウターロッカ40の内部にインナーロッカ42を備えている。アウターロッカ40にはインナーロッカ42の引出しが可能な開口部44が備えられ、この開口部44は扉46を以て開閉可能である。扉46は、インナーロッカ42の内部機構の保守点検や故障時に開かれ、図3は、扉46を開いた開口部44からインナーロッカ42の一部が引き出された状態である。
【0032】
インナーロッカ42には、カートリッジ10の保管部14が設置され、保管部14には複数のセル12が設置されているとともに、二基のロボット部161、162が設置されている。各セル12はインナーロッカ42に設置されてカートリッジ10を個別に収納する。ロボット部161、162は、セル12からカートリッジ10の取出し及び搬送、セル12への搬送及び収納等を行う。ロボット部161には、カートリッジ10を把持するピッカ部18を所望のセル12の位置に移動させるロボット移動機構201が設置されている。また、ロボット部162には、同様に、カートリッジ10を把持するピッカ部18を所望のセル12の位置に移動させるロボット移動機構202が設置されている。そして、ロボット移動機構201、202には、ロボット部161、162を上下方向(Y軸方向)に移動させるレール部50、インナーロッカ42の左右方向(X軸方向)に移動させるレール部52、ピッカ部18をインナーロッカ42の前後方向(Z軸方向)に移動させるレール部54が設置されているとともに、各ピッカ部18をロボット部161、162に設定されたS軸上で回転可能に設置されている。
【0033】
また、ロボット部161、162は、図4に示すように、レール部54に移動可能に支持されているとともに、レール部52上で矢印aで示す方向に移動可能である。また、ロボット部161、162は、レール部52とともにインナーロッカ42から引き出すことが可能である。
【0034】
斯かる構成において、ロボット部161、162における交換可能な保守部品としてアセンブリ56、このアセンブリ56の一部としてサブアセンブリ58が存在する。ここで、アセンブリ56は、ロボット移動機構201、202、ロボット部161、162の全部でもよいし、一部でもよい。また、サブアセンブリ58は、交換可能なユニットとして構成された例えばピッカ部18やその周辺部品である。
【0035】
次に、このライブラリ装置6のイベントとしてロボット交換について、図5、図6及び図7を参照して説明する。図5、図6及び図7は、ロボット部の交換手順を示す図である。図5〜図7において、図1、図2及び図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0036】
ライブラリ装置6に生起するイベントとしてロボット交換では、既述の給電停止の後、図5の(A)に示すように、保守部品となるアセンブリ56を引き出す。この場合、任意の位置にあるアセンブリ56を矢印aの方向に引き出し、次に、図5の(B)に示すように、サブアセンブリ58を中央へ移動する(矢印b)。
【0037】
この状態で、図6の(A)に示すように、アセンブリ56を90度だけ回転させ(矢印c)、図6の(B)に示すように、インナーロッカ42から保守専用のスライド部60をスライドさせて引き出し(矢印d)、図7に示すように、引き出されたスライド部60からアセンブリ56を離脱させ(矢印e)、交換する。
【0038】
このアセンブリ56の交換後、スライド部60は、再びインナーロッカ42の内部に戻し、既述の手順と逆の順序で図4{図5の(A)}に示すように、ロボット部161、162を再現させる。
【0039】
このようなロボット交換は一例であって、ライブラリ装置6におけるイベント処理はこのようなロボット交換に限定されるものではない。
【0040】
次に、オペレータ、ホストコンピュータ及びライブラリ装置の処理シーケンスについて、図8を参照して説明する。図8は、オペレータ、ホストコンピュータ及びライブラリ装置の処理シーケンスを示す図である。
【0041】
ライブラリ装置6のライブラリ制御部24には、オペレータによりオペレータパネル部30からロボット交換指示が与えられる(ステップS1)。この例では、ロボット部161の交換処理である。即ち、これがイベント生起である。
【0042】
このロボット交換指示に基づき、ライブラリ制御部24からロボット制御部221に対し、順番待ち動作(キューイングムーブ:queuing move)の実行を指示し(ステップS2)、この順番待ち動作が順次行われる。この順番待ち動作は、イベント生起の際、ホストコンピュータ4からライブラリ制御部24に既に必要な実行命令が付与されている場合に、その実行命令をイベント処理の前に完了させる処理であり、ロボット交換指示即ち、イベント生起の後は、ホストコンピュータ4からの実行命令を一旦拒否するか保留する処理を行う。
【0043】
ロボット制御部221側で順番待ち動作が完了すると、その完了通知がロボット制御部221からライブラリ制御部24に発せられ(ステップS3)、これを受け、ライブラリ制御部24からロボット制御部221、222に電源遮断スイッチ26、28による電源切断指示が発せられ(ステップS4、S5)、電源の切断が完了すると、ロボット制御部221、222から切断完了がライブラリ制御部24に通知される(ステップS6、S7)。即ち、イベント生起の後、ロボット部161、162に対し給電停止が実行される。
【0044】
このようなステップS2〜ステップS7の期間では、イベント処理に入っているので、ライブラリ制御部24ではホストコンピュータ4からの実行命令を受けることができないので、ホストコンピュータ4からの問い合わせとしてポーリング(polling )通知を発し(ステップS8)、このポーリング通知に対し、実行命令を受けることができない待機中である旨の応答としてビジー(busy)通知を発する(ステップS9)。ポーリング通知はホストコンピュータ4から定期的に発せられ(ステップS10、S12)、これに対応し、イベント処理中、ライブラリ制御部24からビジー通知が発せられる(ステップS11、S13)。この結果、ライブラリ装置6側のイベント処理中では、ホストコンピュータ4との連係関係は維持されるが、待機中であるとして具体的な実行命令が拒否されることになる。
【0045】
ライブラリ制御部24がロボット制御部221、222からの電源切断完了通知を受けると、ライブラリ制御部24からオペレータパネル部30に交換準備完了を表す通知が発せられる(ステップS14)。この時点を捉え、ライブラリ制御部24では、タイマー36による時間監視が開始され、計時動作が開始される(ステップS15)。この交換準備完了通知が発せられた後、ライブラリ制御部24がホストコンピュータ4からポーリング通知を受けると(ステップS16)、待機中であることを表す、準備時間告知(Not Ready )が発せられる(ステップS17)。
【0046】
ロボット部161、162の給電を停止し、待機時間に移行すると、オペレータは、イベント処理として例えば、既述の交換手順(図5〜図7)により、ロボット交換を実行する。
【0047】
この場合、交換作業が予め設定された一定時間Tを越えた場合には、その作業についてタイムアウトとなり(ステップS18)、ライブラリ制御部24から作業中止通知がオペレータパネル部30に表示される(ステップS19)。この告知を確認したオペレータは、交換作業を中止し、既述の交換手順とは逆の手順により、インナーロッカ42にロボット部161を戻し、動作が可能な状態にライブラリ装置6を復帰させる。
【0048】
斯かる作業を中止した後、オペレータがオペレータパネル部30から操作により作業中断完了がライブラリ制御部24に通知される(ステップS20)。この通知の後、ライブラリ制御部24がホストコンピュータ4からポーリング通知を受けると(ステップS21)、実行命令を受けることができる状態に移行したことを表す準備完了通知(Ready )がライブラリ制御部24から発せられる(ステップS22)。この結果、通常の情報処理が可能となるが、ロボット交換が完了していない場合には、次のイベント処理によりロボット交換を行う。
【0049】
なお、この例では、一定時間T内にイベント処理が完了しない場合について説明したが、一定時間T内に斯かる処理が完了した場合には、作業中断完了通知(ステップS20)に代え、オペレータが作業完了通知をオペレータパネル部30からライブラリ制御部24に通知すればよい。この場合、一定時間T内においても、通常の情報処理に復帰することができる。
【0050】
次に、ホストコンピュータ4の制御処理について、図9を参照して説明する。図9は、ホストコンピュータ4の制御プログラムを示すフローチャートである。
【0051】
ホストコンピュータ4側の処理は、ライブラリ装置6に対し、実行命令の処理が可能か否かを確認し、可能である場合には、ライブラリ装置6に対し、カートリッジ10の情報の読出し又は書込みを行う。
【0052】
即ち、ホストコンピュータ4とライブラリ装置6との連係が維持されていれば、ホストコンピュータ4からポーリング処理が実行され(ステップS31)、この処理により、ポーリング通知を契機としてライブラリ装置6が実行命令を受けることができるか否か(即ち、ビジーか否か)を確認し(ステップS32)、実行命令を受けることができない場合には、ステップS31に戻り、実行命令を受けることができる場合には、実行命令を発して動作に移行し(ステップS33)、その実行完了(ステップS34)の後、ステップS31に戻る。
【0053】
斯かる処理によれば、ホストコンピュータ4とライブラリ制御部24との連係関係により、ライブラリ装置6におけるロボット交換等のイベント処理による時間を監視することができ、情報処理の中断時間を最小限に食い止めることができ、合理的な処理が実現される。
【0054】
次に、ライブラリ制御部24の制御処理について、図10を参照して説明する。図10は、ライブラリ制御部24の制御プログラムを示すフローチャートである。
【0055】
ライブラリ制御部24では、イベント生起の確認処理、順番待ち動作処理、作業時間監視処理、給電停止処理及びその復帰処理、ホストコンピュータ4との対話処理等が実行される。
【0056】
そこで、このライブラリ制御部24では、ロボット交換指示があるか否かを監視し(ステップS41)、ロボット交換指示を受けると、順番待ち動作を実行し(ステップS42)、その実行の後、ロボット制御部221、222及び電源遮断スイッチ26、28に対し、電源切断指示をする(ステップS43)。
【0057】
電源切断が完了すると、ロボット交換準備完了通知が発せられ(ステップS44)、電源切断を契機とし、時間監視開始が実行され(ステップS45)、一定時間Tが経過したか否かが監視され(ステップS46)、一定時間Tが経過すると、ロボット交換作業の進捗に関係なく、オペレータパネル部30に対し、作業中止通知が発せられる(ステップS47)。
【0058】
作業が中断し、その中断が完了した後、オペレータの操作により、オペレータパネル部30から作業中断完了通知を受け(ステップS48)、この通知を契機に、ロボット部161、162に対し給電が開始される(ステップS49)。この給電開始を契機に、ホストコンピュータ4からの問い合わせに対し、準備完了通知(Ready )が発せられ(ステップS50)、ライブラリ制御部24の処理が完了する。
【0059】
このライブラリ制御において、一定時間T(ステップS45、S46)では、ホストコンピュータ4からのポーリング通知に対し、準備時間告知(Not Ready )として、実行命令の処理ができない旨の通知が発せられる。
【0060】
次に、ロボット制御部221、222の制御処理について、図11を参照して説明する。図11は、ロボット制御部221、222の制御プログラムを示すフローチャートである。
【0061】
各ロボット制御部221、222では、カートリッジ10の搬送制御、電源切断処理及びその復帰処理等が実行される。
【0062】
即ち、ライブラリ制御部24がホストコンピュータ4より受けた実行命令により、順番待ち動作(Move)が実行され(ステップS61)、その動作が完了した後、ライブラリ制御部24に対しその完了通知が発せられ(ステップS62)、電源切断指示を受け(ステップS63)、ロボット部161、162に対する電源を切断する。この電源切断は、電源遮断スイッチ26、28により実行される。
【0063】
以上説明した実施の形態の特徴事項又は変形例について、列挙して説明する。
【0064】
(1) 一つのライブラリ装置6に冗長化のため、ロボット部161、162が設置されている。そこで、ロボット保守時、各ロボット部161、162を搭載しているインナーロッカ42が引き出されるが、このインナーロッカ42の引出しにより、各ロボット部161、162が同時に引き出されるインナーロッカ構造が備えられている。
【0065】
(2) 保守時には、ホストコンピュータ4に対してライブラリ装置6からNot Ready 応答することにより、ホストコンピュータ4からライブラリ装置6を切り離したり、バックアップソフトを停止することなく、ロボット交換を可能にしている。
【0066】
(3) 保守前には、受け付けたドライブ81〜84へのカートリッジ10の運搬動作を全て完了し、ドライブ81〜84での読出し又は書込みが継続して行えるように制御し、ロボット部161、162の停止時間を最小限にし、情報処理に対する影響を少なくすることができる。
【0067】
(4) 保守時間即ち、作業時間が一定時間を越えた場合には、オペレータにアラームを以て告知し、一旦、ロボット部161、162を組み込むように指示することにより、故障していないロボット部161又は162での搬送動作を可能にしている。
【0068】
(5) 上記実施の形態では、イベント処理としてロボット交換を例示したが、ライブラリ装置6側のイベントとしては、ロボット交換に限定されるものではなく、オペレータが必要に応じてロボット部161、162の給電を停止させる各種のイベントを含むものである。
【0069】
(6) 上記実施の形態では、電源遮断スイッチ26、28による給電遮断部分を例えば、ロボット部161、162におけるメンテナンスに支障を来さない部分と例示したが、ロボット移動機構201、202に対する給電の全部遮断又は一部遮断、又は、ロボット制御部221、222の全機能又はその一部の機能を停止させる構成としてもよい。
【0070】
次に、以上述べた本発明のライブラリ装置、その制御方法、及び情報処理装置の実施の形態から抽出される技術的思想を請求項の記載形式に準じて付記として列挙する。本発明に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0071】
(付記1) ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置であって、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで前記ロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する制御部と、
を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【0072】
(付記2) 付記1記載のライブラリ装置において、
前記イベント生起を表す情報を入力する情報入力部を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【0073】
(付記3) 付記1記載のライブラリ装置において、
前記制御部は、前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知出力を発生することを特徴とするライブラリ装置。
【0074】
(付記4) 付記3記載のライブラリ装置において、
前記告知出力により、アラームを発する告知部を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【0075】
(付記5) 付記1記載のライブラリ装置において、
前記制御部は、前記ホストコンピュータに対し、前記イベントを完了したことを表す告知出力を発した後、前記ホストコンピュータからの指示を受け付けることを特徴とするライブラリ装置。
【0076】
(付記6) ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御方法であって、
前記記録媒体を搬送する処理と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する処理と、
を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0077】
(付記7) 付記6記載のライブラリ装置の制御方法において、
情報入力部に前記イベント生起を表す情報を入力する処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0078】
(付記8) 付記6記載のライブラリ装置の制御方法において、
前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知情報を発生させる処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0079】
(付記9) 付記8記載のライブラリ装置の制御方法において、
前記告知情報に基づき、アラームを発生させる処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0080】
(付記10) 付記6記載のライブラリ装置の制御方法において、
前記ホストコンピュータに対し、前記イベントを完了したことを表す告知出力を発した後、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける処理を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【0081】
(付記11) ホストコンピュータと、情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置とを備える情報処理装置であって、
前記ライブラリ装置に、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理を表す通知を発するとともに、前記イベントの処理期間中、前記ロボット部の給電を停止させ、前記イベントの処理完了後又は所定時間経過後、前記ロボット部の給電を再開し、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0082】
(付記12) ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御プログラムであって、
前記記録媒体を搬送するステップと、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発するステップと、
を含み、これらステップをコンピュータに実行させることを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0083】
(付記13) 付記12記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
情報入力部に前記イベント生起を表す情報を入力するステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0084】
(付記14) 付記12記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知情報を発生させるステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0085】
(付記15) 付記14記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
前記告知情報に基づき、アラームを発生させるステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0086】
(付記16) 付記12記載のライブラリ装置の制御プログラムにおいて、
前記ホストコンピュータに対し、前記イベントを完了したことを表す告知出力を発した後、前記ホストコンピュータからの指示を受け付けるステップを含むことを特徴とするライブラリ装置の制御プログラム。
【0087】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置に用いられ、ライブラリ装置側のロボット交換等のイベント処理をホストコンピュータとの連係動作を終了することなく行うことができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】ライブラリ装置を備える情報処理装置を示すブロック図である。
【図2】ライブラリ制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】インナーロッカを引き出したライブラリ装置を示す外観図である。
【図4】ライブラリ装置の内部構造を示す図である。
【図5】ロボット部の交換手順を示す図である。
【図6】ロボット部の交換手順を示す図である。
【図7】ロボット部の交換手順を示す図である。
【図8】オペレータ、ホストコンピュータ及びライブラリ装置の処理シーケンスを示す図である。
【図9】ホストコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図10】ライブラリ制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図11】ロボット制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
2 情報処理装置
4 ホストコンピュータ
6 ライブラリ装置
8 ドライブ群
81、82、83、84 ドライブ
10 カートリッジ式記録媒体
12 セル
14 保管部
161、162 ロボット部
18 ピッカ部
201、202 ロボット移動機構
221、222 ロボット制御部
24 ライブラリ制御部
26、28 電源遮断スイッチ
30 オペレータパネル部(情報入力部)
56 アセンブリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置であって、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで前記ロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する制御部と、
を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
請求項1記載のライブラリ装置において、
前記イベント生起を表す情報を入力する情報入力部を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【請求項3】
請求項1記載のライブラリ装置において、
前記制御部は、前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知出力を発生することを特徴とするライブラリ装置。
【請求項4】
ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御方法であって、
前記記録媒体を搬送する処理と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する処理と、
を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【請求項5】
ホストコンピュータと、情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置とを備える情報処理装置であって、
前記ライブラリ装置に、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理を表す通知を発するとともに、前記イベントの処理期間中、前記ロボット部の給電を停止させ、前記イベントの処理完了後又は所定時間経過後、前記ロボット部の給電を再開し、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項1】
ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置であって、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまで前記ロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する制御部と、
を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
請求項1記載のライブラリ装置において、
前記イベント生起を表す情報を入力する情報入力部を備えることを特徴とするライブラリ装置。
【請求項3】
請求項1記載のライブラリ装置において、
前記制御部は、前記ロボット部の給電停止からの時間経過を監視し、所定時間が経過したことを表す告知出力を発生することを特徴とするライブラリ装置。
【請求項4】
ホストコンピュータにより情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置の制御方法であって、
前記記録媒体を搬送する処理と、
イベントが生起した場合に、前記イベントの処理時間又は所定時間が経過するまでロボット部の給電を停止させるとともに、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理中を表す応答を発する処理と、
を含むことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【請求項5】
ホストコンピュータと、情報の書込み/読出しを行う記録媒体を保管するライブラリ装置とを備える情報処理装置であって、
前記ライブラリ装置に、
前記記録媒体を搬送する複数のロボット部と、
イベントが生起した場合に、前記ホストコンピュータの問い合わせに対して前記イベントの処理を表す通知を発するとともに、前記イベントの処理期間中、前記ロボット部の給電を停止させ、前記イベントの処理完了後又は所定時間経過後、前記ロボット部の給電を再開し、前記ホストコンピュータからの指示を受け付ける制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−18621(P2007−18621A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200204(P2005−200204)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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