説明

ラウドスピーカー

創意に富むラウドスピーカーは、ダイアフラムと、構造物伝播音を前記ダイアフラム(12)内に生成するための第1励起手段(14)と、前記ダイアフラム(12)を前記ダイアフラムの延在部分に対して垂直な方向に縦方向に振動させるための第1励起手段とは異なる第2励起手段とを備える。本発明により、不十分なバス再生、および/または目に見えない組込みまたは実装に矛盾する大きさの問題は、第2励起子システムを導入することで解決され、該第2励起システムは、前記ダイアフラム(12)、またはダイアフラムとして機能するプレートを、構造物伝播音の屈曲波のほかに前後に移動させる。したがって、音響再生は、目に見えない組込みまたは実装という目標を犠牲にすることなく、可聴周波数全体にわたって可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウドスピーカーに関し、特にフラットパネルラウドスピーカーまたはフラットパネル音響変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ホームエンターテインメント製品に明らかなように、構成部品が絶えず小型化し、絶えずよりコンパクトになる傾向は、ラウドスピーカー技術にも当てはまる。この傾向は、ラウドスピーカーは小型であるのみならず、リスナーの「目に見えない」、つまり、リスナーの目からは隠れているべきであると提案されるところまで行っている。目に見えない実装の可能性は、特に、サラウンドなどのマルチチャネル再生、および波動場の合成(WFS)に非常に有用である。そのために必要な個々のチャネル、ひいてはラウドスピーカーの数は、急速に50個を超える品目に達する。しかし、こうした再生システムは、家庭用としても開発および提供されるべきであり、顧客は、空間上の理由から、たとえばWFSシステムのために50個の従来のラウドスピーカーを自身のリビングルームに取り付けたくはないと思う筈であるから、別法によるラウドスピーカーを使用しなければならない。
【0003】
目的は、他の機器または家具のようなものに一体化できるようにラウドスピーカーを設計し、こうして、ラウドスピーカーを部屋全体に目立たないように分散させることである。たとえば、同時に額縁、モニター、またはワードローブの扉として機能するラウドスピーカーは、既に存在していた。
【0004】
コーンラウドスピーカーは、こうした「隠された」ラウドスピーカーの技術的実装には適さない。なぜなら、コーンラウドスピーカーは、ダイアフラムの形状のために十分に平坦ではないからである。ダイアフラムが第1にプレートのように平坦であるものが適しており、電子音響励起システムが寸法の点でできる限り小さいラウドスピーカーが一層適している。この原理、つまり励起システムの使用に関連して、プレートをダイアフラムとして使用することは、1929年に公開された独国特許第465189号、並びに音響ショップウィンドウの広告に関するその追加独国特許第484409号および第484872号に既に採用されている。次に、ショーウィンドウの窓枠が、取り付けられた電気力学的励起システムにより励起されて音を再生するためのダイアフラムとして使用された。
【0005】
この原理の基礎となる機能的メカニズムは、電気力学的励起システムに印加される電気信号が機械的な可聴周波数の振動に変換されることである。励起システムがダイアフラムに存在するか、または固定される励起点では、この機械的振動は、ダイアフラムとして使用されるプレートに伝達され、それにより、構造物伝播音がプレート内に生成される。空気伝搬音の生成を行なうのは、屈曲波によりダイアフラムに伝播する構造物伝播音の部分である。
【0006】
その結果、このラウドスピーカーの原理では、空気伝搬音の生成は、構造物伝播音という間接的な方法を介して行なわれる。コーンラウドスピーカーと違って、励起システムの振動パルスの縦方向振動運動は、ダイアフラムによって伝達されるのではなく、直ちに空気伝搬音に変換されるが、構造物伝播音は、最初は、ダイアフラムに生成され、特に、構造物伝播音の最終波部分は、その後、周囲空気を励起して、縦波または疎密波、つまり音を形成する。ここで、構造物伝播音が空気伝搬音に変換することは、信号の連鎖におけるフィルタと同様に作用する。その結果、再生される信号部分で、構造物伝播音としてプレート内を伝播し、その後空間内に放射される部分は空気伝搬音として再生される。
【0007】
上記のとおり、屈曲波の形態で伝播する構造物伝播音の部分は、プレートダイアフラムにより、空気伝搬音の生成に最も貢献するので、屈曲波の特性、特に屈曲波の励起および伝播は、屈曲波の原理に基づくフラットパネルラウドスピーカーの構造に決定的な影響を及ぼす。これらの特性を考慮に入れると、広帯域音響再生の場合、低重量および大型のダイアフラムプレートが必要であるという事実が生じる。しかし、必要なプレートサイズは、ラウドスピーカーが見えないようにリスナーの環境に組み込むという目的と矛盾する。一例として、約200Hz未満の周波数範囲の再生は、比較的大きいプレートの場合は品質が劣る。この理由は、プレートは、対応する固有周波数を有するプレートの固有モードでのみ共振し、モードの密度、つまり周波数範囲当たりのモードの数は、音の再生に関して決定的であるからである。しかし、十分なモード密度は、これまでのところ、200Hz未満では達成されていない。
【0008】
したがって、一方では、目に見えない組込みに対応性があり、つまりフラットかつ小型であるように実装でき、他方では、中高音範囲のみならず、低音またはバス範囲でも完全な音の再生を可能にするラウドスピーカーに対する必要性が存在する。
【0009】
独国特許出願公開第19541197号には、電気力学的振動システム、コーン形ダイアフラム、サラウンド、およびダイアフラムをサラウンド上に懸垂するバスケットを有するコーンラウドスピーカーが記載されている。音響信号が振動システムに印加されると、ダイアフラムは、中心線に沿って上方運動を行なう。ダイアフラムには圧電材料の層が設けられ、この層は、音響信号源にも接続され、処理時に伸張変化が発生する。この層がさらに他の層に接続されるか、または反対向きに分極され、互いに接着されている2個の長手方向および/または半径方向振動プレートのバイモルフ構成であるかどうかに応じて、この層は、厚さ振動子または屈曲振動子として作用する。
【0010】
独国特許出願公開第19960082号には、背面で振動駆動装置により駆動されるプレートダイアフラムを有するラウドスピーカーが記載されている。振動時、プレートダイアフラムは上方運動を行なう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、一定のサイズで、再生品質の改善を可能にするか、または一定の再生品質で、よりコンパクトな構造を可能にするラウドスピーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載のラウドスピーカーにより達成される。
創意に富むラウドスピーカーは、ダイアフラムと、ダイアフラム内で構造物伝播音を励起するための第1励起手段と、ダイアフラムをダイアフラムの延在部分に対して垂直方向に縦方向振動させるための第1励起手段とは異なる第2励起手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、一方では、こうした不十分な低音再生、他方では、目に見えない組込みまたは実装と矛盾するサイズの問題は、ダイアフラムまたはダイアフラムとして機能するプレートを、構造物伝播音の屈曲振動に加えて、前方および後方に均一に動かす第2励起システムを組み込むことにより解決される。その結果、目に見えない組込みまたは実装の目的を妨げることなく、全体の可聴周波数範囲で、音の再生が可能である。
【0014】
換言すれば、本発明の中心のコンセプトは、ダイアフラムと、対応する励起手段とからなるコンパクトなラウドスピーカーにより広帯域再生を達成することであり、そのため、ダイアフラムを励起するための2つの異なる励起手段であって、ダイアフラムを異なる態様で振動させ、異なる周波数帯域または周波数範囲を生じる手段が用いられる。ダイアフラムに構造物伝播音を生成するための先行技術の1つ励起手段は、本発明により、高中音範囲の生成のみを行い、その作業は、できるだけ多くの屈曲波をダイアフラムに励起することのみである。これまで欠けていた低音範囲は、本発明により追加された励起手段であって、ダイアフラムを励起させて、大きいストロークで縦方向前方および後方の振動動作を行なう励起手段により可能となる。構造物伝播音励起手段により行なわれる音響再生と対照的に、ダイアフラムは、本発明により導入された第2励起手段により縦方向振動を行なうように励起され、その結果、ダイアフラムは、屈曲波の形態でダイアフラム自体の内部で振動し、さらに均一な態様で全体として前方および後方に動作する。
【0015】
第2励起手段の偏向は、構造物伝播音生成手段の屈曲波の偏向より大きい。ダイアフラムは比較的大きい架空のダイアフラム表面を有するため、プレートの均一な前方および後方運動により、多量の空気が移動する。こうして、バス領域における十分な音のレベルの生成は、屈曲波の原理より明らかに容易に実現され、ダイアフラムの偏向も比較的小さい。
【0016】
したがって、本発明の利益は、励起のタイプ、つまり構造物伝播音の生成、並びに縦方向の振動による前方および後方運動の両方をダイアフラム上で結合することは、可聴周波数範囲全体を明らかに、より良好に再生することを可能にする。
【0017】
本発明により追加され、ダイアフラムを前方および後方に振動運動させるための励起手段は、バス範囲における比較的大きいダイアフラム動作を可能にするため、ダイアフラムの表面が減少し、かつ再生品質は維持される。これと対照的に、構造物伝播音の再生のみに基づくフラットパネルスピーカは、十分な音のレベルをバス領域に生成するために、非常に大きいダイアフラム表面積を必要とする。なぜなら、屈曲波の小さいダイアフラム動作は、同じ量の変位を達成するためには、できる限り大きいダイアフラム表面積により補正しなければならないからであり、これは、従来のフラットパネルラウドスピーカーが必然的に比較的大きくなる理由である。したがって、本発明の利益は、そのコンパクトさにより、本発明のラウドスピーカーが目に見えない組込みまたは実装に、より適することでもある。
【0018】
逆に言えば、本発明の利益は、2つの励起手段の組合せにより、バス再生が明らかに改善され、かつダイアフラムのサイズは同じサイズを保つことである。目に見えない組込みまたは実装の利益は、これによって帳消しになることはなく、改善された再生品質により補足される。
【0019】
本発明のさらに他の利益は、縦方向振動運動によって多量の空気が動くという事実により、従来のフラットパネルラウドスピーカーでは、バス範囲の再生の改善にはつながらなかったバス反射原理を効果的に利用することができる。
【0020】
本発明のさらに他の利益は、バス範囲における再生はダイアフラムの前方および後方の振動動作の生成により行われるため、圧電原理が適する非常に狭い周波数範囲による構造物伝播音の生成のみを使用した場合、構造物伝播音生成手段は圧電原理に従って機能することであり、これは、これまで帯域幅を犠牲にすることによってのみ可能だった。ダイアフラムの縦方向振動運動のための追加の励起システムと組み合わせると、結果として音響再生の著しい改善が得られ、その結果、構造物伝播音生成手段は圧電原理に従って機能する。
【0021】
本発明のさらに他の好ましい実施態様について、以下で、添付の図面に関してより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明について、以下で、図面に関してより詳細に説明する前に、同じであるか、または機能上同じである要素は、同じ参照符号、または類似の参照符号で図示し、説明の反復を避けるため、これらの要素の新たな説明は省略することを指摘しておく。
【0023】
図1a〜図1dでは、最初に、本発明の一般的な原理を、一実施態様を使用するラウドスピーカーに関してより詳細に説明する。全体として10で示されるラウドスピーカーは、本質的にダイアフラムとして機能するプレート12と、構造物伝播音生成手段14と、縦方向振動励起手段16と、励起信号生成手段18とから成る。
【0024】
構造物伝播音生成手段14は、電気力学的原理に従って動作し、図1aに詳細に断面を示す。構造物伝播音生成手段14は、磁石の回転軸に沿って分極された環状永久磁石20と、環状永久磁石20に対して中心または同軸状に配置された円筒状磁極体22と、磁極体22と永久磁石20との間の空気の環状隙間内に延在する発振コイル24とを備える。さらに、電気力学的駆動装置として形成される構造物伝播音生成手段14は、たとえば、プレート状またはリング状磁極プレートを示す。明らかに、異なる構造の電動駆動装置も可能である。一方では発振コイル24から成る構造物伝播音生成手段14の部分、および他方では、磁極体22および永久磁石20から成る構造物伝播音生成手段14の部分は、互いに対して摺動可能である。したがって、構造物伝播音生成手段14は、振動コイル22を含む部分を介して、プレート12の中心に固定される。以下で説明するとおり、逆の場合も実現可能である。それは別として、構造物伝播音生成手段は固定されないか、または結合されず、つまり構成部品20および22からなる他の部分は自由に移動可能である。
【0025】
本明細書では、ダイアフラム12は、例示的に直立ダイアフラム12として説明した。このダイアフラム12はコイル24を有し、円筒状磁極体22と環状永久磁石20との間のこれらの環状隙間内に埋め込まれたコイル24がダイアフラム12に結合され、磁極体22および永久磁石20は、発振コイル24を横断して案内されるユニットであって、発振コイル24に対して、ダイアフラム12の延在方向に垂直な方向に摺動可能であるユニットを形成する。直立ダイアフラムは、たとえば壁部の一部である。この垂直構成では、ダイアフラム12の表面の法線方向に向く、つまり、この部分が発振コイル24に対して変位する方向に向く力は、駆動装置14の結合されていない部分20、22上に加わらず、これらの部分20,22には下方に向く重力のみが加わる。励起信号が印加されない場合、必然的に、部分20、22を省略する理由はない。さらに、この部分は、公知のとおり、励起手段14がダイアフラム12に構造物伝播音を生成するために設けられるように、当然、一定量の慣性を示し、つまり、ダイアフラム12のグリッド内を伝播する機械的波動は高周波数で励起され、その結果、ダイアフラム12の慣性および/または重量に比べて駆動装置の自由に移動可能な部分20、22の十分な量の慣性および/または十分な重量を示し、この部分は実質的にその位置から離れず、空気の隙間内においてダイアフラム12に沿って前方および後方に発振コイル24を移動させ、自由に移動可能な部分20、22が重力により下方に引っ張られるのを継続的に防止する。ダイアフラム材料の弾性などの要素は、ダイアフラム12、ひいては発振コイル24がどの程度動くかという役割を果たし、その結果、発振コイル24が、適切な注意を払うことで、励起手段14の空気の隙間から滑り出すのを防止することができる。さらに、縦方向振動励起手段16により生じる動作も、コイルが隙間から引き出されるのを防止するために考慮しなければならない。コイルが引き出されるのは、言ってみれば、自由に移動可能な部分の慣性によって停止する。これは、たとえば、コイル24と空気の隙間との重複部分に対応する長さによって行なわれる。さらに、互いに対して摺動的に変位可能な駆動装置14の2個の部分間に、弾性接続部が設けられ、その結果、自由に移動可能な部分は、振動が存在する時に、ダイアフラム、およびダイアフラムに固定されている部分と共に移動し、さらに、固定部分に対する比較的高い周波数運動により、ダイアフラムに構造物伝播音を生成する。
【0026】
明らかに、図示のタイプのラウドスピーカーは、別の位置、たとえば天井に固定することもできる。しかし、この場合、機械的な空気隙間発振コイル案内手段のほかに、たとえば弾性接続部を介して、駆動装置14の移動可能な部分を互いに結合し、駆動装置14の2個の移動可能部分がそれら自体で、振動システムを形成し、駆動装置14の自由に移動可能な部分が、コイル24により案内手段から滑り落ちるのを防止するように、追加の備えをする必要がある。
【0027】
電気力学的原理により、電気力学的駆動装置14は、発振コイル24を流れる電気励起信号を、2つの部分、つまりプレート12に固定された部分と自由に移動可能な部分との間で、機械的な相対振動運動に変換する。自由に移動可能な部分は、機械的な相対振動運動をプレート12に効果的に伝達するための十分な慣性を有利に示し、その結果、図1aに誇張して示すように、構造物伝播音、特に屈曲波がプレート12に生成される。発振コイル24は、発振コイル24を流れる励起信号を励起信号生成手段18から受信し、次に、表現される情報を適切に示す電気音響信号から励起信号を生成する。
【0028】
縦方向振動励起手段16も電気力学的原理によって機能し、図1bに断面図が示されている。縦方向振動励起手段16は、構造物伝播音生成手段14に関連して同軸状に配置される。縦方向振動励起手段16の電気力学的駆動装置も、永久磁石30と、磁極体32と、発振コイル34とを備える。発振コイル34も、その電気励起信号を励起信号生成手段18から得て、表現される情報を示す同じ音響信号から、前記電気励起信号を生成する。発振コイル34を含む部分は、アダプタ36を介してプレート12に接触するか、またはプレート12に接続される。換言すれば、発振コイル34はアダプタ36に固定して接続され、アダプタ36は発振コイル34からプレート12方向に延在し、その過程で半径方向に拡張して、ラウドスピーカー10のアイドル状態で、特定の直径の環状励起領域に沿ってプレート12上に存在するか、またはプレート12に固定、たとえば接着されて、プレート12と共に構造物伝播音生成手段14を包囲する。特に、アダプタ36は、最も狭い位置においてプレート12の延在部分の10分の1を超える直径であるシリンダバレル38と、半径方向に延在し、シリンダバレル38を発振器コイル34と接続するリッジ40とから成り、シリンダバレル38は、構造物伝播音生成手段14の機械的振動がプレート12上に加わる励起点に同軸状に整列する。
【0029】
アダプタ36は、図1a〜図1dに示すように、環状断面または円形励起領域を呈する必要はなく、たとえば矩形でも良い。励起領域の延在部分は、プレート12のそれぞれの延在方向におけるプレート12の延在部分の10分の1〜9分の1に達する。アダプタ36は、駆動装置16の機械的振動により、以下に説明するように、ほぼ全体的、つまり直動的にプレート12の縦方向振動運動が生じることを可能にする。同軸または中心対称構造により、縦方向振動励起手段16が、励起領域または支持表面領域によって、構造物伝播音生成手段14により生成された屈曲波、構造物伝播音生成手段14の同軸励起点からほぼ等方的に伝播する屈曲波に加わる影響は減少する。
【0030】
支持部は、アダプタ36の支持表面に沿って配置され、アダプタ36からプレート12方向に突出し、その結果、アダプタ36は、支持部の絶縁点、つまり支持部の両端においてのみプレート12を支持するか、またはプレート12に結合される。その結果、アダプタ36および/または縦方向振動励起手段16が、生成される構造物伝播音に与える影響は、縦方向振動励起手段16の駆動装置の均一性を著しく犠牲にせずに、さらに減少させることができる。
【0031】
発振コイル34から成る縦方向振動励起手段16の電気力学的駆動装置の当該部分は、アダプタ36を介してプレート12に接続されるか、またはプレート12上に支持することによりプレート12に結合されるが、磁石30および磁極体32などの他の部分は、ラウドスピーカーのバックパネル(図示しない)に結合などにより不動状態で固定される。こうして、プレート12に対する縦方向振動励起手段16により生成された機械的振動の力の伝達は、構造物伝播音生成手段14の場合よりもはっきりしたものになる。
【0032】
図1a〜図1dのラウドスピーカーの構造について上記で説明したので、その動作モードを以下で説明する。表現される情報を指示する電気音響信号を縦波および/または疎密波の形態の空気伝搬音に変換するため、ラウドスピーカー10は両方の手段14および16を備える。両方の手段14および16は、異なる周波数範囲または周波数帯域で表現される情報の表現を担う。構造物伝播音生成手段14は、高中周波数範囲の再生を担い、縦方向振動励起手段16はバス範囲を担う。電気的音響信号を両方の手段14および16の電気力学的駆動装置に供給し、ひいては両方の電気力学的駆動装置に同じ励起信号を供給することは可能だが、場合によっては、手段18が不要になり、これらの電気力学的駆動装置には、周波数帯域が互いに逸脱し、それぞれ手段14および16のそれぞれの動作領域に最適な方法で適応された別の励起信号を供給することが好ましい。したがって、たとえば、手段14は、手段16よりも音響信号の比較的高周波数部分を取得する。構造物伝播音生成手段14の励起信号の周波数範囲は、たとえば100Hz〜25kHz、好ましくは150Hz〜20kHzの範囲であり、縦方向振動励起手段16の励起信号の周波数範囲は、たとえば10Hz〜2kHz、好ましくは20Hz〜200Hzの範囲である。このため、励起信号生成手段18は、たとえば周波数分離手段として実装することができる。したがって、周波数範囲は、一般に、構造物伝播音を生成する点で、縦方向振動励起の周波数範囲に含まれるすべての周波数より高い周波数を含むか、または周波数範囲は、構造物伝播音を生成するための励起信号が他の励起信号より高い第1周波数、および第1周波数より低く、縦方向振動励起の励起信号が他の励起信号と同じであるか、または他の励起信号より高い第2周波数を含むと有利である。
【0033】
発振コイル24を流れる励起信号により生成される機械的振動運動は、構造物伝播音、特に屈曲波をプレート12に生じ、これらは、空気/プレート界面において空気伝搬音に変換される。このため、構造物伝播音生成手段14は、十分な慣性モーメントを示すことが好ましい。
【0034】
縦方向振動励起手段16は、構造物伝播音生成手段14の振幅、たとえば20mmより大きく、たとえば、構造物伝播音生成手段14の振幅の20倍を超える動作で、プレート12に縦方向振動運動42をもたらす。プレート12が行なうこの縦方向前方および後方運動42は、直ちに縦方向空気伝搬音または疎密波44をバス範囲に生じる。発振コイル34が空気隙間の領域に垂直にそれ以上埋め込まれず、したがって、縦方向振動励起手段16の駆動装置の質量により、歪が生じることがなく、縦方向振動励起手段16の大きい動作を可能にするために、縦方向振動励起手段16は、磁石30および磁極体32を含む駆動装置の部分と共に、バックパネルなどに固定される。アダプタ36は、プレート12が、プレート12の延在方向に垂直な方向に、本質的に直動振動運動を行なうように励起され、つまり、プレートが、できるだけ全体として前後に振動するように、プレート12全体に分布するように発振コイル34の機械的振動運動を伝達する機能を果たす。したがって、プレート12は、図1aに示すように屈曲波の形態で振動し、さらに、図1bに二重矢印で示すように、全体として均一に前後に振動する。
【0035】
発振コイル34を含む縦方向振動励起手段16の駆動装置の部分とともにアダプタ36を介した固定的接続によってのみ、プレート12を支持し、ラウドスピーカーを天井に実装して、ラウドスピーカーを天井から懸垂する時などに、永久磁石30および磁極体32を含む当該部分に、この部分の案内手段を支持することは可能だが、以下の実施態様のように、プレート12のブラケットをさらに設けることが好ましい。電気力学的駆動装置によってのみプレート12の直動縦方向振動運動42を生成することは可能だが、プレート12は、振動するように懸垂または軸支されることが好ましく、その結果、プレート12がプレート12のアイドル位置から、プレートの延在部分に対して垂直な方向に、縦方向に平行移動した時に、サスペンションによって生じる力が、この直動偏向に対抗して、ダイアフラムをアイドル位置に戻すことができる。こうして、サスペンションおよびプレート12は振動システムを形成し、プレート12は、延在方向に垂直な方向に直動的に前後に移動することが可能である。この振動システムは、共鳴の逓増を利用することができるように、縦方向振動励起手段16が担うバス範囲付近の固有周波数に応じて設計するべきである。
【0036】
以下で、いくつかの実施態様について説明し、それにより、ダイアフラムとして機能するプレートを懸垂し、縦方向振動励起手段を結合し、縦方向振動励起手段をプレート上に配置する様々な可能性を説明する。
【0037】
図2aおよび図2bはラウドスピーカーの一実施態様であって、図1a〜図1dの実施態様に比較した唯一の相違は、縦方向振動励起手段が、電気力学的に動作する4個の駆動装置16a、16b、16cおよび16dから成り、ダイアフラムとして機能するプレート12が、スパイダー50によりフレーム52から懸垂され、フレーム52がバックパネル54に結合され、パックパネル54に、電気力学的に動作し、永久磁石30および磁心32を含む駆動装置16a〜16dの部分が結合される点である実施態様を示す。
【0038】
スパイダー50は、ゴムバンドなどの弾性バンド56から成り、弾性バンド56は、プレート12の周囲に沿って実装され、プレート12の中心から外側に向かって、プレート12周囲の弾性バンド56の実装端部から、本質的に星状に他方の端部がフレーム52に結合されるように延在する。バンド56は、その結合およびばね定数に関して、縁部の各部分が同様に影響を受けるように設計される。一方では、駆動装置16a〜16dがバックパネルに結合され、他方では、プレート12がスパイダー50により懸垂されるという事実は、駆動装置16a〜16dの質量により、駆動装置16a〜16dの発振コイル34が、空気隙間の領域内に垂直に埋め込まれず、その結果、歪を生じる危険性をなくす。組立ての際、ダイアフラムとして機能するプレート12、および駆動装置16a〜16dは、他の部分の運動方向に影響を与えないように調節することが好ましい。このようにして、ダイアフラムまたはプレートの質量、および縦方向振動励起手段16の質量は、駆動装置16a〜16dの励起コイル34の振動方向に影響を与えない。スパイダー50は、ダイアフラムまたはプレート12を各々の偏向後に減衰させ、始動位置またはアイドル位置に戻すサラウンド機能を果たす。バックパネル54は、ラウドスピーカーの筐体として機能する。しかし、ラウドスピーカーの筐体を設けることは、必須ではない。駆動装置16a〜16dは中心に対して対称に配置されるので、構造物伝播音生成手段14によって生成される屈曲波に関して、励起点におけるこれらの駆動装置とプレート12との接触または接続によって生じる外乱は減少する。励起駆動装置(16a〜16d)は、全く同一の励起信号により、または振幅が異なる励起信号により同相状態で駆動され、ダイアフラムプレート12のフリンジ効果を相殺する。
【0039】
図3に関して、図2a〜図2bのラウドスピーカーとはサスペンションが異なるが、ダイアフラムとして機能するプレート12が、やはり、ほぼアイドル位置で直動する縦方向振動前後運動を行なうことが可能なラウドスピーカーの一実施態様について説明する。この実施態様では、ダイアフラム12は、ダイアフラムとして機能する矩形プレート12のコーナーごとに、それぞれ1個の心棒60上にばね実装される。心棒60は、やはり駆動装置16a〜16dが実装されたバックパネル54にしっかりと結合され、心棒60は、プレート12に平行に延在するバックパネル54から垂直に突出し、つまり、心棒60は、駆動装置16a〜16dによって生じる直動縦方向振動運動の方向に延在する。プレート12を各コーナーに実装するのは、たとえば、個々の心棒60が貫通して延在する各コーナーにおけるそれぞれの孔により行われる。プレート12を各コーナーにおいて心棒60上にばね実装することは、たとえば、コイルばね62により行なわれ、コイルばね62は心棒60の周囲に形成され、心棒60により案内されて、プレート12のそれぞれのコーナーに結合された端部と、たとえばバックパネル54に接続された固定端部とを有する。明らかに、その他の弾性手段は、それぞれのコーナーに対する最小のポテンシャルを画定するために使用される。
【0040】
駆動装置16a〜16dのばねコイルが垂直に埋め込まれることも、図3のサスペンションにより確保される。さらに、やはり、組立体は、ダイアフラム12および駆動装置16a〜16dがそれぞれの運動方向に相互に影響を与えないように実装することが好ましい。やはり図2aおよび図2bの場合と同様、バックパネル54は、ラウドスピーカー筐体の一部として機能する。ダイアフラムの質量および縦方向振動励起手段16の質量が、駆動装置16a〜16dの発振コイル34の振動方向に与える影響は比較的少なく、つまり、発振コイル34は、組み立てられていない状態のように、それぞれの空気隙間内に埋め込まれる。コイルは、ダイアフラム12を各々の偏向後に減衰させ、ダイアフラム12を始動位置に戻すサラウンド機能を果たす。
【0041】
図1a〜図1dに関して既に説明したように、発振コイルを含む縦方向振動励起手段の駆動装置部分は、プレート12に確実に接続されるか、またはプレート12を単に支持する。どちらの場合も、図2a、図2bおよび図3のラウドスピーカーの組立て時に、ダイアフラムプレート12のアイドル位置におけるダイアフラムプレート12と駆動装置16a〜16dとの間の距離は、これらが、アイドル位置においてほぼ接触するが、互いに力を加えないように設定される。ダイアフラムプレートが駆動装置16a〜16dの動作を追跡することを容易にするために、発振コイル22または34を備える駆動装置16a〜16dの部分は、たとえばプレート12に接着することが好ましい。
【0042】
図4は、図3のラウドスピーカーと違って、縦方向励起手段を構成する駆動装置16a〜16dが、発振コイル34を含む部分を介して、たとえば発振コイル支持体を介してダイアフラムプレート12に結合されるのではなく、永久磁石30を含む電気力学的励起システムの部分を介して結合されるラウドスピーカーの実施態様を示す。しかし、発振コイル34は、ダイアフラムプレート12ではなくラウドスピーカーバックパネル54に結合される。永久磁石30と磁極体32との間の隙間内に発振コイル34を垂直に埋め込むのは、サスペンション、つまりばね62を含む心棒60、および/またはスパイダー50により継続的に行なわれる。
【0043】
図5は、上記の実施態様と同様、励起手段14および16が共に、電気力学的原理に従って動作するラウドスピーカーであって、縦方向振動励起手段16の電気力学的駆動装置が、構造物伝播音生成手段14の永久磁石を磁石として使用するラウドスピーカーの一実施態様を示す。サスペンションおよび構造物伝播音生成手段14に関して、図5の実施態様は図3および図4の実施態様に対応する。しかし、図3および図4の実施態様と違って、縦方向振動励起手段は発振コイル70のみを備え、発振コイル70は、構造物伝播音生成手段14の駆動装置の発振コイル24と同軸状に配置され、バックパネル54に結合される。発振コイル24および70は共に、同じ永久磁石20と相互作用する。この構造では、その他の磁極体は、発振コイル70の周囲にさらに設けられてもよい。したがって、発振コイル70は、構造物伝播音生成手段14の周囲に円を形成する。図2a、図2bおよび図3の実施態様と同様、発振コイル70を含む縦方向振動励起手段16の駆動装置の部分は固定され、他の部分はダイアフラムプレート12に結合されており、つまり、この場合、他の部分は構造物伝播音生成手段14の永久磁石20である。対照的に、構造物伝播音生成手段14の駆動装置は、プレート12、つまり発振コイル24を含む部分にのみ結合される。
【0044】
図6は、構造物伝播音生成手段14をダイアフラムとして機能するプレート12に結合する特定の形態の一実施態様を示す。上記の実施例で行ったように、励起領域の環状発振コイル支持体を介して発振コイルをダイアフラムプレート12に結合するのではなく、図6の実施態様は、発振コイル24を支持する発振コイル支持体80を有し、ダイアフラムプレート12に対向する側部に、円錐の頂点がダイアフラム12に接続された円錐形の部分を呈する。その結果、屈曲波、および構造物伝播音生成手段のより高い最高カットオフ周波数を形成するために、ダイアフラムとして機能するプレート12の最適なドット励起が達成される。
【0045】
最後に、筐体を有する創意に富むラウドスピーカーであって、ダイアフラムとして機能するプレートが、気密サスペンションにより筐体に懸垂されて、筐体を気密的に封止するラウドスピーカーを製造することが可能であることを指摘しておく。これを可能にするには、たとえば、プレート12の周囲からラウドスピーカーボックスのそれぞれの凹部の周囲まで伸張する連続弾性バンドなど、特殊なサラウンドを使用する。非常に重量のあるダイアフラムプレート、またはダイアフラムプレートと固着された励起システムとの組合せの場合、サラウンドは、さらに図3のばね−心棒サスペンション、または図2aおよび図2bのスパイダーサスペンションによっても支持される。ダイアフラム全体の縦方向の直動運動により十分な空気量が移動するため、この場合、さらにバスリフレックス原理が使用される。このため、リフレクションチャネル用の孔を、筐体内、たとえば側部に組み込む。
【0046】
上記の各々の実施態様には、1つの構造物伝播音生成手段のみを設けたが、さらに数個のこうした手段を使用することができることを指摘しなければならない。この場合、ダイアフラムプレートの中心周囲に分布させることが好ましい。しかし、1個の構造物伝播音生成手段のみを有する場合、および数個の構造物伝播音生成手段を有する場合のいずれも、中心から離れた距離に分散して配置することも可能である。この配置は、屈曲波が最適な状縦で励起されるように選択するべきである。
【0047】
さらに、ダイアフラムプレートを縦方向前後に振動動作させるため、1個または4個の駆動装置だけではなく、必要に応じて任意の数の駆動装置を備えることができる。数個のこうした縦方向に振動する駆動装置を使用する場合、これらの駆動装置は、ダイアフラムプレートが、表面全体にわたって均一に駆動されるように配置すると有利である。数個の駆動装置の場合、アダプタは、図2〜図4の実施例と同様に省略することができる。こうした数個の縦方向振動駆動装置を配置する場合、これらの駆動装置は、ダイアフラムプレートに対して常に中心対称に配置することが好ましい。数個の縦方向振動駆動装置を使用すると、ラウドスピーカーのポテンシャル音響レベルが増加する。
【0048】
さらに、図1a〜図6の実施態様の上記の変形は、サスペンション、および駆動装置の位置の両方に関して望ましい任意の方法で互いに組合せ、互いに対して移動可能な駆動装置の部分を実装することができることを指摘しなければならない。
【0049】
また、図2a〜図5の上記の説明に関して、上記の弾性手段によるダイアフラムプレートの弾性または振動サスペンション、つまり弾性バンド56およびばね62ではなく、弾性サスペンションまたは縦方向振動励起手段の駆動装置の取り付けを準備することもでき、ダイアフラムプレートは心棒60によってのみ案内されるか、または自由な状態である。
【0050】
さらに、上記の駆動装置以外の駆動装置、電気力学的原理とは異なる変換器原理に基づく駆動装置を準備することもできる。特に、構造物伝播音の生成に使用される駆動装置は、圧電原理に従って動作するように、たとえば一方の側部上でダイアフラムに接続し、他方の側部上でウェイトに接続され、ウェイトから離れて自由に動く圧電結晶として実現することも可能である。
【0051】
また、最後に、構造物伝播音生成手段をダイアフラムにしっかりと接続するのではなく、適切なデバイスにより、特定の高さで上から懸垂するように保持し、さもなければ、垂直に整列したダイアフラムの縦方向振動方向に自由に移動可能であるように保持し、ダイアフラムをアイドル位置に支持することも可能であることを指摘しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1a】図1aは、本発明の一実施態様によるフラットパネルラウドスピーカーの部分側断面図であり、ダイアフラムとして機能するプレートのみを、縦方向振動励起手段を備えない構造物伝播音生成手段と共に示し、ダイアフラムの振動挙動、つまり構造物伝播音生成手段により生成される屈曲波が示されている。
【図1b】図1bは、図1aのラウドスピーカーの部分側断面図であり、構造物伝播音生成手段ではなく、ダイアフラムとして機能するプレート、および縦方向振動励起手段のみが図示され、やはり縦方向振動励起手段による振動挙動、つまりプレートの前方および後方振動運動が示されている。
【図1c】図1cは、図1aおよび図1bのラウドスピーカーの前面図である。
【図1d】図1dは、ラウドスピーカーの部分平断面図であり、図1bの縦方向振動励起手段および図1aの構造物伝播音生成手段はラウドスピーカー内に結合されている。
【図2a】図2aは、本発明のさらに他の実施態様によるラウドスピーカーの前面図である。
【図2b】図2bは、本発明のさらに他の実施態様によるラウドスピーカーの部分平断面図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の実施態様によるラウドスピーカーの部分平断面図である。
【図4】図4は、本発明のさらに他の実施態様によるラウドスピーカーの部分平断面図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の実施態様による部分平断面図である。
【図6】図6は、本発明のさらに他の実施態様によるラウドスピーカーの部分平断面図であり、縦方向振動励起手段ではなく、構造物伝播音生成手段のみが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウドスピーカーであって、
ダイアフラム(12)と、
構造物伝播音を前記ダイアフラム(12)内に生成するための第1励起手段(14)と、
前記ダイアフラム(12)を前記ダイアフラムの延在部分に対して垂直な方向に縦方向振動運動(42)させるための、第1励起手段とは異なる第2励起手段(16)とを備えるラウドスピーカー。
【請求項2】
前記第1励起手段(14)が、電気力学的または圧電原理に従って動作するように構成される、請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項3】
第1周波数範囲を有する第1電気励起信号と、第2周波数範囲を有する第2電気励起信号とを、表現される情報を指示する電気信号から生成する手段(18)をさらに備え、前記第1周波数範囲が、前記第2周波数範囲に含まれるすべての周波数範囲より高い周波数を含むか、または前記第1および第2周波数範囲が第1周波数を含み、第1励起信号が第2励起信号より高く、かつ第2周波数が第1周波数より低く、第2励起信号が第1励起信号に等しく、または第2励起信号が第1励起信号より高い、請求項1または2に記載のラウドスピーカー。
【請求項4】
前記第1励起手段(14)がダイアフラム(12)に結合され、さもなければ結合されない、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項5】
前記第2励起手段(16)が不動状態で固定される、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項6】
前記第2励起手段(16)が、アイドル状態において、前記第2励起手段(16)と前記ダイアフラム(12)とが互いに力を及ぼさない距離だけ、前記ダイアフラム(12)から離間配置される、請求項5に記載のラウドスピーカー。
【請求項7】
前記第2励起手段(16)が前記ダイアフラム(12)に接続される、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項8】
前記第2励起手段(16)が、前記ダイアフラム(12)に沿った近接拡張領域において前記ダイアフラム(12)を励起するように構成される、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項9】
前記第2励起手段(16)が、前記ダイアフラム(12)に沿った複数の励起点において前記ダイアフラム(12)を励起するように構成される、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項10】
前記第2励起手段が、前記ダイアフラム(12)を均一に励起するように構成される、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項11】
前記近接する拡張領域または複数の励起点が、前記ダイアフラム(12)に対して中心対称に配置される、請求項8または請求項9に記載のラウドスピーカー。
【請求項12】
前記第2励起手段が、互いに離間配置された支持体を介してダイアフラムを支持するか、またはプレートに結合されるアダプタを備える、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項13】
前記第2励起手段(16)が、電気力学的原理に従って動作するように構成される、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項14】
前記第2励起手段(16)が、アダプタ(36)を介して前記ダイアフラム(12)に結合された発振コイル(34)を有し、その結果、前記発振コイル(34)の振動が、環状励起領域に沿って前記ダイアフラム(12)に伝達される、請求項13に記載のラウドスピーカー。
【請求項15】
前記第2励起手段(16)が、同じ励起信号により駆動される数個の励起子ユニット(16a〜16d)を有する、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項16】
前記ダイアフラム(12)を振動するように実装するためのサスペンション(50、60、62)であって、その結果、前記ダイアフラム(12)がアイドル位置から前記ダイアフラムの延在部分に垂直な方向に長手方向平行移動することが可能であり、前記アイドル位置からの前記ダイアフラム(12)の平行移動が前記平行移動を抑えるように作用するサスペンションをさらに備える、請求項1ないし請求項15のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項17】
スパイダー(50)をさらに備え、前記ダイアフラム(12)が前記スパイダー(50)によって懸垂される、請求項1ないし請求項16のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項18】
前記ダイアフラム(12)が、前記ダイアフラムの延在部分に垂直な方向に移動可能に周囲に沿って、前記ダイアフラムの延在部分に垂直に延在する心棒(60)により実装され、ばね手段(62)が、一方の端部が前記ダイアフラム(12)の周囲に結合されると共に、他方の端部が不動状態に固定される各心棒(60)に設けられる、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項19】
前記第1および第2励起手段(14、16)が、第1発振コイル(24)および永久磁石(20)を有すると共に、前記ダイアフラム(12)に結合される第1励起手段(14)と、前記第1励起手段(14)を包囲して、前記第1永久磁石(20)と相互作用する第2発振コイル(70)を有する第2励起手段(16)とを電気力学的に作動させるように構成される、請求項1ないし請求項18のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項20】
前記第1励起手段(14)が、前記第1励起手段(14)のさらに非結合部分方向に移動可能な円錐形部分を有し、前記円錐形部分の円錐の頂点が、前記ダイアフラム(12)に結合されて、前記第1励起手段(14)の機械的振動が前記ダイアフラム(12)に伝達される励起点を画定する、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項21】
ダイアフラム(12)が、前記ダイアフラムの延在部分に垂直な方向に直動的に移動可能であるように懸垂され、前記第2励起手段(16)が結合されて、前記ダイアフラムと共にバスリフレックス筐体を形成するバックパネル(54)をさらに備える、請求項1ないし請求項20のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウドスピーカーであって、
ダイアフラム(12)と、
構造物伝播音を前記ダイアフラム(12)内に生成するための第1励起手段(14)と、
前記ダイアフラム(12)を前記ダイアフラムの延在部分に対して垂直な方向に縦方向振動運動(42)させるための、第1励起手段とは異なる第2励起手段(16)であって、前記第2励起手段(16)が、発振コイル(34)を含む第1部分と、磁石(30)を含む第2部分とを備える電気力学的駆動装置を有し、前記第1および第2部分の一方の部分が不動状態で結合され、他方の部分が前記ダイアフラム(12)に結合されるか、または前記ダイアフラム(12)に接触する第2励起手段(16)とを備える、ラウドスピーカー。
【請求項2】
前記第1励起手段(14)が、電気力学的または圧電原理に従って動作するように構成される、請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項3】
第1周波数範囲を有する第1電気励起信号と、第2周波数範囲を有する第2電気励起信号とを、表現される情報を指示する電気信号から生成する手段(18)をさらに備え、前記第1周波数範囲が、前記第2周波数範囲に含まれるすべての周波数範囲より高い周波数を含むか、または前記第1および第2周波数範囲が第1周波数を含み、第1励起信号が第2励起信号より高く、第2周波数が第1周波数より低く、第2励起信号が第1励起信号に等しいか、または第1励起信号より高い、請求項1または請求項2に記載のラウドスピーカー。
【請求項4】
前記第1励起手段(14)がダイアフラム(12)に結合され、さもなければ結合されない、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項5】
前記第2励起手段(16)の電気力学的駆動装置が、アイドル状態において、前記第2励起手段(16)と前記ダイアフラム(12)とが互いに力を及ぼさないように、前記ダイアフラム(12)から離れた距離に不動状態で結合される、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項6】
前記第2励起手段(16)が前記ダイアフラムに結合される、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項7】
前記第2励起手段(16)が、前記ダイアフラム(12)に沿った近接拡張領域において前記ダイアフラム(12)を励起するように構成される、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項8】
前記第2励起手段(16)が、前記ダイアフラム(12)に沿った複数の励起点において前記ダイアフラム(12)を励起するように構成される、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項9】
前記第2励起手段が、前記ダイアフラム(12)を均一に励起するように構成される、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項10】
前記近接する拡張領域または複数の励起点が、前記ダイアフラム(12)に対して中心対称に配置される、請求項7または請求項8に記載のラウドスピーカー。
【請求項11】
前記ダイアフラム(12)に接続または結合された部分が、前記ダイアフラム(12)に結合されるか、またはアダプタを介して前記ダイアフラム(12)に接触し、前記アダプタが、互いに離間配置された支持体を介して前記ダイアフラム(12)を支持するか、または前記ダイアフラム(12)に結合される、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項12】
前記発振コイル(34)を含む部分が前記ダイアフラム(12)に結合されるか、またはアダプタ(36)を介して前記ダイアフラム(12)に接触し、その結果、発振コイル(34)の振動が、環状励起領域に沿って前記ダイアフラム(12)に伝達される、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項13】
前記第2励起手段(16)が、同じ励起信号により駆動される数個の励起子ユニット(16a〜16d)を有する、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項14】
前記ダイアフラム(12)を振動するように実装するためのサスペンション(50、60、62)であって、前記ダイアフラム(12)がアイドル位置から前記ダイアフラムの延在部分に垂直な方向に長手方向に平行移動することを可能にし、前記アイドル位置からの前記ダイアフラム(12)の平行移動が前記平行移動を抑えるように作用するサスペンションをさらに備える、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項15】
スパイダー(50)をさらに備え、前記ダイアフラム(12)が前記スパイダー(50)によって懸垂される、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項16】
前記ダイアフラム(12)が、前記ダイアフラムの延在部分に垂直な方向に移動可能に周囲に沿って、前記ダイアフラムの延在部分に垂直に延在する心棒(60)により実装され、ばね手段(62)が、一方の端部が前記ダイアフラム(12)の周囲に結合されると共に、他方の端部が不動状態で固定される各心棒(60)に設けられる、請求項1ないし請求項15のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項17】
前記第1および第2励起手段(14、16)が、第1発振コイル(24)および永久磁石(20)を有すると共に、前記ダイアフラム(12)に結合される第1励起手段(14)と、前記第1励起手段(14)を包囲して、前記第1永久磁石(20)と相互作用する第2発振コイル(70)を有する第2励起手段(16)とを電気力学的に作動させるように構成される、請求項1ないし請求項16のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項18】
前記第1励起手段(14)が、前記第1励起手段(14)のさらに非結合部分方向に移動可能な円錐形部分を有し、前記円錐形部分の円錐の頂点が、前記ダイアフラム(12)に結合されて、前記第1励起手段(14)の機械的振動が前記ダイアフラム(12)に伝達される励起点を画定する、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載のラウドスピーカー。
【請求項19】
前記ダイアフラム(12)が、前記ダイアフラムの延在部分に垂直な方向に直動的に移動可能であるように懸垂され、前記第2励起手段(16)が結合されて、前記ダイアフラムと共にバスリフレックス筐体を形成するバックパネル(54)をさらに備える、請求項1ないし請求項18のいずれかに記載のラウドスピーカー。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−500803(P2006−500803A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530150(P2004−530150)
【出願日】平成15年8月14日(2003.8.14)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009036
【国際公開番号】WO2004/019652
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(591037214)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ. (259)
【Fターム(参考)】