説明

ラクトフェリン添加乾燥食品及びその製造方法

【課題】乳児下痢症、髄膜炎など、一連の食中毒ならびに感染症を予防するための乾燥食品に関する。
【解決手段】乳清等から分離精製して得られるラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを、いわゆるベビーフードと称する乳幼児用食品、または病者用食品やそれらの関連食品等の製造過程で添加し、乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンテロバクター サカサキ菌(Enterobacter Sakasakii; 以下ES菌と略)によって引き起こされる乳児下痢症、髄膜炎など、一連の食中毒ならびに感染症を予防するための腸管感染症予防物質を使用する乾燥食品に関する。より詳しくは、乳清等から分離精製して得られるラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを用い、乳幼児用、病者用、あるいはその関連の食品の製造過程で添加し、乾燥することにより、同食品に混入するES菌、あるいはサルモネラ菌などの食中毒原因菌が食品中で生残してヒトに感染し、食中毒を引き起こすことを阻害する乾燥食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、調整粉乳、あるいは、いわゆるベビーフードと称する乳幼児用食品、または病者用食品やそれらの関連食品の製造と販売が広まり、一大市場を形成している。その背景には、乾燥技術の進歩により乾燥食品の製造が容易になったこと、生活様式の変化により乾燥食品を育児や介護などの現場で利用する機会が増えたこと、商品単価が高く、付加価値が大きい割には少ない資本で参画できるため、中小の食品製造業者の同分野への参入が見られること、が指摘されている。しかし、予備的な抜き取り調査において、これらの食品、とくに、無菌であると思われる粉乳を含む乳幼児用の乾燥食品における食中毒原因菌の一つであるES菌の検出頻度が高いといわれており、早急な対策が必要である実情がある。
【0003】
ラクトフェリンは、乳汁等に含まれている天然の鉄結合蛋白質であり、アポラクトフェリンはラクトフェリンを脱鉄したものであり、ともに抗菌作用等の生理機能を示すことが知られている。それらの生理機能を利用した各種の食品が検討されている。例えば、ラクトフェリン類と安定剤からなる加熱安定性のあるラクトフェリン組成物を配合した飲食品がある(特許文献1)。これは、ラクトフェリン組成物からなる、ラクトフェリン類を含有する液状、ゲル状、粉末状、顆粒状等様々な形態の飲食品などを調製するものである。また、鉄−ラクトフェリンを配合して病原性細菌またはウイルス感染防御機能を賦与した医薬品または飲食品がある(特許文献2)。これは、鉄−ラクトフェリンを牛乳、乳飲料、コーヒー牛乳、ジュース、ゼリー、ビスケット、飴、パン、麺、ソーセージなどの飲食品 、さらには各種粉乳の他、乳児、幼児および低出生体重児などを対象とする栄養組成物に配合するものである。また、ラクトフェリンと非還元性糖類を含有することを特徴とする、ラクトフェリン含有食品およびその製造方法がある(特許文献3)。
【特許文献1】特開2004−352669号公報
【特許文献2】特開2000−290194号公報
【特許文献3】特開平5−276865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの食品はラクトフェリン類を単に分散し、乳化し、混合するものであって、分散・乳化・混合した後、乾燥するものではない。本発明は、ES菌、サルモネラおよびその他の食中毒起因菌の混入による乾燥食品の汚染ならびにその可能性に対し、これらの細菌の乾燥過程における生残性を阻害して減少させ、もって乾燥食品の安全性を確保し、あるいは高めることを目的とする。とくに、本発明の目的は、乳幼児用食品に混入して乳幼児の下痢症や髄膜炎の原因となるES菌に対し、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加した後乾燥することにより、ES菌等の乾燥食品中での生残性を阻害し、低下させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、対象となる乳幼児用、病者用等の食品の製造の過程で、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを食品に添加した後乾燥させるのである。この乾燥により、ES菌等の乾燥食品中での生残性を阻害し、低下させることができるのである。
【0006】
本発明において、対象とする食中毒原因菌とは、ES菌にとくに焦点を当てるとともに、サルモネラ菌属、ならびにその他の病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、コレラ菌、カンピロバクター菌など、経口摂取されて腸管を経由してヒト、家畜、ペットなどに感染する細菌類を意味する。Enterobacter Sakasakii(ES菌), Salmonella Enteritidis, Salmonella Typhimurium, Salmonella Infantis, Salmonella Johanesburg, Salmonella Weltevreden, Salmonella Oranienburg, などを含むSalmonella spp., Escherichia coli, Vibrio parahaemolyticus, Vibrio cholerae, Campylobacter jejuni, Campylobacter coliなどの細菌類が挙げられる。
【0007】
本発明において、ラクトフェリン、アポラクトフェリンとは、牛由来の乳清から精製した標品で、純度は最大95%のものであって、大腸菌群、サルモネラ菌、スタフィロコッカス陰性のものを使用する。
【0008】
本発明は、ラクトフェリン、またはアポラクトフェリンを食品に添加した後乾燥させることにより、ES菌等の乾燥食品中での生残性を阻害し、低下させることができることを発見したことに基づくものである。 即ち、ES菌等は乾燥食品中において乾燥耐性を有しているのであって、そのような乾燥食品を水等で溶解して37℃で保存すると、ES菌は増殖してくる。しかしながら、そのような食品であっても、これにラクトフェリン、またはアポラクトフェリンを添加して溶解した後、乾燥すると、その乾燥した食品について、これを水等で溶解して37℃で保存してもES菌の増殖が抑制されることを発見したのである。
【0009】
次に、ラクトフェリン、またはアポラクトフェリンを食品に添加した後乾燥させることにより、ES菌等の乾燥食品中での生残性を阻害し、低下させることができることを例証する。
【0010】
[試験例1]この試験は、乾燥粉末の細菌用富栄養培地の一種であるLB培地の溶液にES菌を添加し、その上にラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加して混合し、または添加することなく混合して、乾燥することなく37℃で振とう培養すると、いずれの場合もES菌は増殖し、その増殖を抑制できないことを示すものである。
【0011】
(試験方法)
トリプトン、酵母エキス及び塩化ナトリウムが1:0.5:1の重量比であるLB培地25.0gを1Lの水で溶解後(LB培地濃度25g/L)、オートクレーブ(121℃、2気圧、15分間)で滅菌してLB培地を作成する。このLB培地でES菌の菌株ESCl#1を37℃一晩培養し、新たなLB培地でOD550=0.05/mLになるように希釈して、37℃、105分振とう培養してlog phaseにしたあと、LB培地でOD550=0.01/mLになるように調製した。このlog phaseのES菌含有調製液にラクトフェリンを1.0 mg/mL、またはアポラクトフェリンを1.0 mg/mLになるように添加したもの、これらを添加しないものを0、1、2、4、6、24時間、37℃で振とう培養した。時間ごとにサンプリングし、氷冷後、OD550を測定した。結果を表1及び図1に示す。
【0012】
【表1】


表1に示すように、ラクトフェリン(LF)を添加したものも、しないもの(none)も、共にES菌は経時的に同じ様な速度で増殖する。図1に、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加したもの、添加しないもののES菌の増殖曲線を示す。
【0013】
(図1)

以上より、LB培地の溶液にES菌を添加し、これにラクトフェリン及びアポラクトフェリンを添加し、または添加することなく、かつ、乾燥することなくそのまま37℃で振とう培養した場合は、いずれの場合もES菌の増殖を抑制できない。
【0014】
[試験例2]この試験は、試験例1と同様に、乾燥粉末の細菌用富栄養培地の一種であるLB培地の溶液にES菌を接種し増菌させ、これを乾燥する前にラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加して混合した後、乾燥することによって、ES菌の増殖を抑制できることを示すものである。
【0015】
(試験方法)
LB培地でES菌の菌株ESCl#1を37℃一晩培養し、新たなLB培地でOD550=0.05/mLになるように調製した後、37℃、105分振とう培養してlog phaseに到達した後、リン酸緩衝食塩液で希釈してLB培地の濃度を2.5mg〜5.0mg/mLに調整する。このLB培地の濃度を調整したES菌含有調製液にラクトフェリンを0.001、0.03、0.01、0.1、1.0 、5.0mg/mL、また、アポラクトフェリンを0.001、0.01、0.03、0.1、1.0 、5.0mg/mLになるように添加した後、生理食塩水で10倍希釈して混合し、乾燥用チューブに混合液を10μLずつ採取し、室温の下、相対湿度30%で約20時間乾燥させた。乾燥後、乾燥用チュ−ブにリン酸緩衝食塩液1mLずつ加えて溶解し、その溶解した溶液25μLをLB寒天培地に塗布して、37℃で一晩培養した後、形成されるコロニーの数(CFU)を測定して生存菌数を比較した。結果を図2に示す。
【0016】
(図2)

【0017】
図2から明らかなように、LB培地にラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加して乾燥すると、その添加量に応じて、乾燥後のES菌の生存菌数が減少する。また、LB培地(LB培地濃度2.5mg〜5.0mg/mL)に対して、ラクトフェリンでは0.03 mg/mL、アポラクトフェリンでは0.10 mg/mL 併用することにより、乾燥耐性は約1/50まで低下することがわかる。即ち、LB培地によるES菌の乾燥耐性は、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンの添加により低下する。
なお、LB培地自体はES菌に対して乾燥耐性を付与するものであり、ここで使用するLB培地濃度2.5mg〜5.0mg/mLはES菌の乾燥耐性について最適の濃度である。
【0018】
[試験例3]この試験は、調製粉乳(ラクトフェリン及びアポラクトフェリンが含まれていない粉乳)の溶液にES菌を接種し、その上にラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加することなく、混合して乾燥した場合は、ES菌は乾燥耐性を有することを示す。
【0019】
(試験方法)
試験例2と同様にしてES菌の菌株ESCl#1をLB培地で振とう培養してlog phaseにした後、生理食塩水で洗浄してOD550=6.3/mLになるように希釈したES菌含有調製液を、最終濃度を0.1〜3.0mg/mLに調整した調整粉乳に接種した後、生理食塩水で10倍希釈して混合し、乾燥用チューブにその混合液10μLずつ採取し、室温の下、相対湿度30%で約20時間乾燥させた。乾燥後、乾燥用チュ−ブにリン酸緩衝食塩液1mLずつ加えて溶解し、その溶解した溶液25μLをLB寒天培地に塗布して、37℃で一晩培養した後、形成されるコロニーの数(CFU)を測定して生存菌数を比較した。結果を表2及び図3に示す。
【0020】
【表2】

表2に示すように、調製粉乳の濃度0.1〜1 mg/mLに比例して、ES菌の生存率は増加する。調製粉乳の濃度1.0 mg/mLでプラトーに達する。図3に、ES菌の乾燥耐性の変化を示す。
【0021】
(図3)

図3に示すように、ES菌の生存率は、調製粉乳の濃度に比例して増加する。即ち、調製粉乳の濃度が少ないときは、ES菌は乾燥により死滅に近い状態にあるが、調製粉乳の濃度が高くなると乾燥してもES菌は生存するのである。即ち、調整粉乳は、LB培地と同様にES菌に乾燥耐性を付与するのである。
【0022】
[試験例4]この試験は、調製粉乳(ラクトフェリン及びアポラクトフェリンが含まれていない粉乳)の溶液にラクトフェリン及びアポラクトフェリンを添加して混合して乾燥すると、ES菌の乾燥耐性が低下することを示す。
【0023】
(試験方法)
最終濃度を1.0mg/mLに調整した調整粉乳に、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを0.01〜1.0 mg/mLになるように添加して混合した溶液に、試験例3と同様にして得たES菌の菌株ESCl#1のES菌含有調製液を接種した後、生理食塩水で10倍希釈して混合し、乾燥用チューブにその混合液10μLずつ採取し、室温の下、相対湿度30%で約20時間乾燥させた。乾燥後、乾燥用チュ−ブにリン酸緩衝食塩液1mLずつ加えて溶解し、その溶解した溶液25μLをLB寒天培地に塗布して、37℃で一晩培養した後、形成されるコロニーの数(CFU)を測定して生存菌数を比較した。結果を表3及び図4に示す。
【0024】
【表3】

表3に示すように、試験例3の場合とは異なり、調製粉乳(ラクトフェリン及びアポラクトフェリンが含まれていない粉乳)の溶液にラクトフェリン及びアポラクトフェリンを添加して混合した後、乾燥することによって、ES菌の生存率は低下するのである。即ち、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンは、調製粉乳によるES菌の乾燥耐性の付与を阻害する。
【0025】
(図4)

図4に示すように、調製粉乳にラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加することにより、ES菌の乾燥耐性は低下し、その割合は、調製粉乳1.0 mg/mLにラクトフェリンまたはアポラクトフェリン0.01 mg/mLを加えることにより、ES菌の乾燥耐性が約1/3ほどに低下する。このように、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンは、調製粉乳によりES菌に付与された乾燥耐性を抑制するのである。
【0026】
[試験例5]この試験は、種々の栄養因子によるES菌の乾燥耐性の獲得、及びラクトフェリン及びアポラクトフェリンによるES菌の乾燥耐性獲得の阻害の効果の比較を示す。
栄養因子として、Saline(生理食塩水;栄養因子は無添加の対照とする)、20%LB培地(LB培地5g/L水)、調製粉乳(ラクトフェリン及びアポラクトフェリンが含まれていない粉乳1.0 mg/mL)、スキムミルク(1.0 mg/ml)、mix果汁(Wakodoベビーフード0.01 mg/mL)、及びコーンポタージュ(0.05 mg/mL)を使用して試験する。
【0027】
(試験方法)
上記の栄養因子を含む溶液に、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを1.0 mg/mLになるように添加し、または添加せずに混合した溶液に、試験例3と同様にして得たES菌の菌株ESCl#1のES菌含有調製液を接種した後、生理食塩水で10倍希釈して混合し、乾燥用チューブにその混合液10μLずつ採取し、室温の下、相対湿度30%で約20時間乾燥させた。乾燥後、乾燥用チュ−ブにリン酸緩衝食塩液1mLずつ加えて溶解し、その溶解した溶液25μLをLB寒天培地に塗布して、37℃で一晩培養した後、形成されるコロニーの数(CFU)を測定して生存菌数を比較した。生残数の結果を相対値(%)で表4及び図5に示す。
【0028】
【表4】

【0029】
(図5)

【0030】
表4及び図5より、栄養因子のうち、100%Saline(生理食塩水)やmix果汁(Wakodoベビーフード0.01 mg/mL)によっては、ES菌は乾燥によって増殖できず、また、乾燥耐性を獲得できないが、20%LB培地(LB培地5g/L水)、調製粉乳(ラクトフェリン及びアポクトフェリンが含まれていない粉乳1.0 mg/mL)、スキムミルク(1.0 mg/ml)、及びコーンポタージュ(0.05 mg/mL)によって、ES菌は増殖し、また、乾燥耐性を獲得する。
【0031】
また、ラクトフェリンまたはアポクトフェリンを、ES菌に乾燥耐性を付与する20%LB培地、調製粉乳(ラクトフェリン及びアポクトフェリンが含まれていない粉乳)、スキムミルク、及びコーンポタージュに添加後、乾燥したものは、ES菌の増殖は抑制され、ES菌の乾燥耐性は低下する。その効果は、ラクトフェリンよりもアポクトフェリンの方が大きい傾向にある。
【0032】
サルモネラ菌(Salmonella Enteritidis;SE菌)も、ES菌と同様に、LB培地により乾燥耐性を付与される。一方、同様に、その乾燥耐性はラクトフェリンまたはアポクトフェリンにより抑制される。また、卵黄やキャベツの抽出物も、LB培地と同様にES菌の乾燥耐性発現に寄与する。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、乳幼児用、病者用等の食品の製造の過程で、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加し、混合した後、乾燥させることにより、ES菌等の乾燥食品中での生残性を阻害し、その乾燥耐性を低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
エンテロバクター サカサキ菌、あるいはサルモネラ菌などの食中毒原因菌が食品中で生残してヒトに感染し、食中毒を引き起こすことを阻害する乳幼児用、病者用乾燥食品の製造を、ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを用いてその風味を損なわずに実現した。実施例には、噴霧乾燥、凍結乾燥のみを記載するが、その他の人工乾燥の方法も採用し得る。
【実施例1】
【0035】
生乳40kgを75℃の温度で殺菌し、冷却後、限外濾過装置により濃縮し、約4倍の濃縮乳10kgを得た。これにラクトフェリン40gを添加し、混合した溶液を、均質圧力150kg/cm2 に調整したホモゲナイザーで均質化し、これをフイルターでろ過し、熱風温度180℃、排風温度80℃の噴霧乾燥機に圧力200kg/cm2 で供給して噴霧乾燥した。得られたラクトフェリンを添加した乾燥粉乳は、温湯で戻しても良好な風味であった。
【実施例2】
【0036】
生乳40kgを75℃の温度で殺菌し、冷却後、限外濾過装置により濃縮し、約4倍の濃縮乳10kgを得た。これにアポラクトフェリン40gを添加し、混合した溶液を、均質圧力150kg/cm2 に調整したホモゲナイザーで均質化し、これをフイルターでろ過し、熱風温度180℃、排風温度80℃の噴霧乾燥機に圧力200kg/cm2 で供給して噴霧乾燥した。得られたアポラクトフェリンを添加した乾燥粉乳は、温湯で溶解しても良好な風味であった。
【実施例3】
【0037】
裏漉ししたコーン100gに生クリーム100gを加え、チキンエキス20g、グラニュー糖15g、食塩3g、牛乳100g、水100gを混合して85℃になるまで加熱し、65℃まで十分冷却する。品温が65℃になったところで、混合した溶液にラクトフェリン1gを添加し溶解し混合し、コーンポタージュスープのベースを得た後、大きさ70mm×50mm、深さ20mmのプラスチック製トレーに、1マス当たりおよそ45gずつ充填する。充填後、直ちに-30℃以下の凍結庫で凍結した後、80Paの真空条件下で凍結乾燥した。得られたラクトフェリンを添加した凍結乾燥コーンポタージュは、温湯で溶解しても良好な風味であった。
【実施例4】
【0038】
裏漉ししたコーン100gに生クリーム100gを加え、チキンエキス20g、グラニュー糖15g、食塩3g、牛乳100g、水100gを混合して85℃になるまで加熱し、65℃まで十分冷却する。品温が65℃になったところで、混合した溶液にアポラクトフェリン1gを添加し溶解し混合し、コーンポタージュスープのベースを得た後、大きさ70mm×50mm、深さ20mmのプラスチック製トレーに、1マス当たりおよそ45gずつ充填する。充填後、直ちに-30℃以下の凍結庫で凍結した後、80Paの真空条件下で凍結乾燥した。得られたアポラクトフェリンを添加した凍結乾燥コーンポタージュは、温湯で戻しても良好な風味であった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
いわゆるベビーフードと称する乳幼児用食品、または病者用食品やそれらの関連食品等の乾燥食品による乳児下痢症、髄膜炎など、一連の食中毒ならびに感染症を予防するができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加することを特徴とする乾燥食品。
【請求項2】
ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンを添加することを特徴とする乾燥食品の製造方法。