ラジカル発生装置及びそれを用いた浄化方法
【課題】Oラジカル及び/又はOHラジカルの発生とマイクロバブルとを同時に効率良く発生できるラジカル発生装置及びそれを用いた浄化方法を提供する。
【解決手段】ラジカル発生装置1は、水を含む溶液9を収容する反応容器2と、反応容器2に配設してガス8を搬送するためのガス搬送管3と、ガス搬送管3にガス8を供給するガス供給部6と、反応容器2内に配設する陽極電極4と、ガス搬送管内3に配設する陰極電極5と、電源部7と、を備え、ガス搬送管3は、複数の微小孔3aを有しており、微小孔3aを介して溶液2中に大気圧以上のガス8の気泡11を発生し、気泡11内のガス8が放電することにより溶液2中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブル17を発生させる。
【解決手段】ラジカル発生装置1は、水を含む溶液9を収容する反応容器2と、反応容器2に配設してガス8を搬送するためのガス搬送管3と、ガス搬送管3にガス8を供給するガス供給部6と、反応容器2内に配設する陽極電極4と、ガス搬送管内3に配設する陰極電極5と、電源部7と、を備え、ガス搬送管3は、複数の微小孔3aを有しており、微小孔3aを介して溶液2中に大気圧以上のガス8の気泡11を発生し、気泡11内のガス8が放電することにより溶液2中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブル17を発生させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル発生装置及びそれを用いた浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度経済成長による産業の発展や都市部の人口集中により、産業排水や生活排水が急激に増加したため、水質汚染が深刻な問題となっている。21世紀は、地球規模で水の時代と言われ、国内外で水質浄化に強い関心が集まっている。現在、水質浄化に用いられているオゾン(O3)は、強酸化力、長寿命等の特徴を有しているが、オゾン単体の酸化力ではダイオキシンなど難分解性物質の分解には不十分である。
【0003】
オゾンより強い酸化力を有し、活性酸素の中で最も強力な酸化力を持つOラジカルやOHラジカルを用いた高度水処理(Advanced Oxidation Process :AOP)が近年注目されている(非特許文献1参照)。OラジカルやOHラジカルは難分解性物質を分解するために十分な酸化力を有している。
【0004】
これらのラジカルは強酸化力を有する一方で寿命が数百μs以下であり、水処理に応用するためには、生成と同時に使用しなければならない。OラジカルやOHラジカルの生成方法には、オゾンからの生成、過酸化水素の紫外分解、放電、電気分解及び超音波からの生成等が挙げられるが、特に大気圧非熱プラズマは、近年、環境汚染物質分解などの研究に活発に用いられている。
【0005】
特許文献1には、溶液中に気泡を噴出させて放電を生起して、液体中の有機フッ素化合物をプラズマ処理する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−056451号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K. Sato, K. Yasuoka and S. Ishii, IEEE Transactions on Fundamentals and Materials, Vol.128, No. 6, pp.401-406, 2008
【非特許文献2】N.Y.Babaeva and M. J. Kushner, Journal of Physics D, Applied Physics, Vol.42, pp.132003, 2010
【非特許文献3】柴田智弘、尾崎晃、高奈秀匡、西山秀哉、日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集、No.10-16, pp.127-128, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、有機フッ素化合物をプラズマ処理することが開示されているが、他の有機物や酢酸のような難分解性物質の処理方法については記載されていない。また、従来の方法では、効率良くOラジカルやOHラジカルの生成ができないという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、Oラジカル及び/又はOHラジカルの発生とマイクロバブルとを同時に効率良く発生できるラジカル発生装置を提供することを第1の目的とし、水と難分解性物質を含む水溶液の浄化等を可能とするラジカル発生装置を用いた浄化方法を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、水を含む溶液中に大気圧以上の気泡を噴出させ、この気泡中内でストリーマ放電を生起させて、OラジカルやOHラジカルを生成すると共に、大気圧以上の放電の後に気泡がさらにマイクロバブルに変化することを見出し、OラジカルやOHラジカルとマイクロバブルとの相乗効果により水に含有される被浄化物としてオゾンでは分解できない難分解性物質の分解ができるとの知見を得て本発明に想到した。
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明のラジカル発生装置は、水を含む溶液を収容する反応容器と、反応容器に配設してガスを搬送するためのガス搬送管と、ガス搬送管にガスを供給するガス供給部と、反応容器内に配設する陽極電極と、ガス搬送管内に配設する陰極電極と、電源部と、を備え、ガス搬送管は、複数の微小孔を有しており、微小孔を介して溶液中に大気圧以上のガスの気泡を発生し、気泡内のガスを放電させることにより溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブルを発生させるよう構成されている。
【0012】
上記構成において、好ましくは、ガス搬送管は、軸方向に複数の微小孔を備えている。ガス搬送管を複数備えていてもよい。
複数のガス搬送管における気泡の噴出方向が、好ましくは、ガス搬送管の軸方向に垂直な面内で互いに異なっている。
電源部は、好ましくはパルス電源である。電源部は交流電源でもよい。
ガスは、好ましくは酸素又は酸素を含むガスであり、さらに溶液中にオゾンを発生させる。
【0013】
本発明の浄化方法は、上記したラジカル発生装置を用い、水と被浄化物とが含まれている溶液を、反応容器に導入し、ガス搬送管に前記ガス供給部からガスを供給して、微小孔から溶液中に大気圧以上のガスの気泡を発生させ、陽極電極と陰極電極との間に電圧を印加して気泡内のガスを放電させ、放電の後の気泡からマイクロバブルを発生させ、かつ、溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルを発生させ、Oラジカル及び/又はOHラジカルと前記マイクロバブルとによって被浄化物を分解することを特徴とする。
【0014】
上記構成において、ガスを、好ましくはアルゴン、酸素、空気の何れかとする。ガスを、酸素又は酸素を含むガスとし、さらにオゾンを発生させて被浄化物を分解してもよい。
被浄化物が、好ましくは、オゾンでは分解され難い難分解性物質である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラジカル発生装置によれば、特にアルゴンや酸素等からなる大気圧以上の多数の気泡ジェットによる溶液の撹拌と、強酸化力を有するOラジカル及び/又はOHラジカルと、マイクロバブルと、を効率良く、かつ、低消費電力で発生することができる。例えば、数W程度の小さな消費電力で直径が0.1mm〜数mmの微小な気泡をパルス放電等により発生し、水溶液中に連続的にラジカルを供給できる。また、例えば、アルゴン、酸素、空気等の気泡内のガスを変えることにより発生するラジカルの種類を選択できる。
【0016】
本発明の浄化方法によれば、例えば被浄化物を含む水を高効率でOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブルにより浄化することができる。例えば、従来のマイクロバブルのみでは分解が不可能であった液中の例えば酢酸のような難分解性物質を、数十分程度の短時間で、かつ、低消費電力で分解することができる。水質浄化のみでなく、農水産業に活用するための活性水の生成も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るラジカル発生装置の構成例を示す図である。
【図2】陰極電極を挿入したガス搬送管を示し、(a)は部分断面図、(b)は(a)のI−I線に沿った平面図である。
【図3】気泡の挙動を模式的に経時的に示す図であり、(a)が放電時、(b)が放電後を示している。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るラジカル発生装置の構成例を示す図である。
【図5】複数のガス搬送管を示すもので、(a)はガス搬送管の部分断面図、(b)は(a)のII−II線に沿った平面図である。
【図6】高速度カメラを用い、ガスとしてアルゴンを用いた場合のパルス印加後の気泡の挙動の光学像を示す図で、それぞれ、(a)は980μs、(b)は1020μs、(c)は1060μs、(d)は1100μs、(e)は1960μs、(f)は2000μs、(g)は2040μs、(h)は2080μsが経過したときを示している。
【図7】高速度カメラにより撮影した写真から解析した気泡の断面積の経時変化を示す図である。
【図8】アルゴンガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域の、(b)は長波長領域の、分光特性を示している。
【図9】酸素ガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域の、(b)は長波長領域の、分光特性を示している。
【図10】空気の大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域の、(b)は長波長領域の、分光特性を示している。
【図11】各ガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生するオゾン濃度の経時変化を示す図である。
【図12】気泡ジェットによるメチレンブルー水溶液の脱色過程の経時変化を示す図であり、(a)は0分、(b)は10分後、(c)は20分後、(d)30分経過したときの光学像を示している。
【図13】ガスとしてアルゴン、酸素及び空気を用いたメチレンブルー水溶液の吸光度の経時変化を示す図である。
【図14】ガスの流量に対する分解効率を示す図である。
【図15】排出した二酸化炭素濃度を示す光学像であり、(a)は放電開始10分後、(b)は放電させないとき、(c)は(a)の説明図、(d)は(b)の説明図を示している。
【図16】難分解性物質である酢酸の分解により発生する二酸化炭素濃度のガス及びパルス繰り返し周波数の依存性と、ガスにアルゴンを用いた際の放電に要する消費電力を示す図である。
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るラジカル発生装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、ラジカル発生装置1は、反応容器2と、反応容器2の内部に配設されてガス8を搬送するためのガス搬送管3と、反応容器2の底部とガス搬送管3との間に配設される陽極電極4と、ガス搬送管3の内部に配設される陰極電極5と、ガス搬送管3にガス8を供給するガス供給部6と、陽極電極4と陰極電極5との間にガス8を放電させるための電源部7と、を含んで構成されている。
【0019】
反応容器2は、ガラスや樹脂等の絶縁物からなる容器であり、水や水を含む溶液9で満たされている。反応容器2内には、ガス搬送管3と、反応容器2の底部とガス搬送管3とのに間に配設される陽極電極4と、ガス搬送管3の内部に配設される陰極電極5とが配設されている。
【0020】
ガス搬送管3は、ガラス管、セラミック等の誘電体からなる断面が円や多角形の形状を有している管であり、外周部には、ガス8を反応容器2に噴出するための多数の微小孔3aが設けられている。
ガス搬送管3の一端はガス8が流入する入口3bとなり、入口3bが図示しないフランジや継ぎ手を介してガス供給部6に接続されている。ガス搬送管3の他端は閉じられている。ガラス管の材料としては、石英やパイレックスガラス(商標)を使用することができる。以下の説明では、ガス搬送管3は、一端が閉じられた円筒形状として説明する。気泡11はガス搬送管の側面に開口された、例えば、直径が0.5mmの微小孔3aからジェット状に噴出される。この気泡11内のガス8は大気圧以上の圧力とされている。このような微小孔3aから発生する気泡11は、気泡ジェットとも呼ばれている。複数の気泡ジェットを、多点気泡ジェットと呼ぶ。
【0021】
陽極電極4は、反応容器2の底部に配設されている。陽極電極4の材料としては、銅(Cu)を使用できる。
【0022】
陰極電極5は、ガス搬送管3の内部に配設されている。陰極電極5の材料としては、タングステン(W)を使用できる。
【0023】
図2は、陰極電極5が挿入されたガス搬送管3を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は(a)のI−I線に沿った平面図である。図2(a)に示すように、ガス搬送管3の中空部には陰極電極5が同心円状に配設されており、陰極電極5の直径は、ガス搬送管3の内壁の直径、つまり内径よりも小さい寸法を有している。ガス搬送管3の内壁と陰極電極5との間の空間が、ガス8の流路となっている。ガス搬送管3の外壁と内壁、つまり側面には複数の微小孔3aが円筒形状の長手方向に沿って設けられている。長手方向は軸方向とも呼ぶ。この軸方向は、反応容器2の深さ方向である。ガス搬送管3の軸方向に設けた微小孔から大気圧以上のガス8が内包された多点の気泡ジェットを発生させることにより、反応容器2の溶液9を効果的に攪拌することができる。
【0024】
ガス供給部6は、ガス8のボンベ6a、このボンベ6aに接続される圧力調整器、ストップバルブ及びマスフローコントローラー6b等からなり、樹脂や金属からなる配管6cによってガス搬送管3の入口3bに接続される。ガス供給部6からガス搬送管3には、ガス8として、アルゴン、工業用の乾燥空気及び酸素等が供給される。このガス8は、作動ガスとも呼ばれている。
【0025】
電源部7は、陽極電極4と陰極電極5とに接続される電源である。図示の場合、電源部6は直流高圧電源7aと発振器7b等から構成されるパルス電源であり、直流のパルスを発生する。パルスの繰り返し周波数やデューティサイクルは、発振器7bで調整される。陰極電極5は、アース又はグランド電位として接地されてもよい。この電位は0Vである。陽極電極4に印加される正の陽極電圧をVで表わす。
【0026】
さらに、電源部7は交流電源で構成されてもよい。交流電源と陽極電極4との間には、インピーダンス整合のためにマッチングボックスを設けてもよい。
【0027】
電源部7では陽極電極4及び陰極電極5に印加する電圧、電流、電力、電力の印加時間等の調整ができる。陽極電極4及び陰極電極5に印加する電圧の測定には、オシロスコープ14を使用する。電流の測定は、電流プローブ15を、例えば陰極電極5と直流高圧電源7aの間に挿入して測定することができる。
【0028】
本発明のラジカル発生装置の動作について説明する。発生させるラジカルは、酸素ラジカル(Oラジカルと呼ぶ。)及び/又は水酸基ラジカル(OHラジカルと呼ぶ。)である。
ガス搬送管3は、ガス搬送管3の長手方向、つまり軸方向に沿って複数の微小孔3aを有しており、この複数の微小孔3aを介して溶液9中に大気圧以上のガス8を内包した気泡11を発生させ、気泡11の放電により溶液9中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブル17を発生させることができる。マイクロバブル17は、気泡11がさらに細かい気泡になった状態を意味している。マイクロバブル17は、微細気泡とも呼ばれている。
【0029】
図3は、気泡11の挙動を模式的に経時的に示す図であり、(a)が放電時、(b)が放電後を示している。
最初に、図3(a)に示すように、気泡内界面に沿って、例えば大気圧以上のアルゴンガスにより放電16(ストリーマ放電とも呼ばれている。)が形成される(非特許文献2参照)。ストリーマ放電とは、エネルギーの大きい電子による雪崩放電である。
次に、図3(b)に示すように、大気圧以上の気泡11の放電後、気泡11の界面が変形し、さらに、断続的に形成されるガス流により、変形した気泡11の界面が崩壊し、この界面から気泡の周囲に茸状にマイクロバブル17が生成される。このような気泡11の挙動は、高速度カメラ23を用いて観測することにより判明したものである。溶液9中に気泡11を噴出し、この大気圧以上の気泡11中に放電を生じさせて、この放電の後で、マイクロバブル17が形成されることは、本発明者等が世界に先駆けて見出した現象である。
【0030】
マイクロバブル17の形成と同時に、水からなる溶液9中の分光特性を測定すると、ガス搬送管3の近傍には、ガス8がアルゴン、酸素、空気の何れからも、309nmからOHラジカルの発光が検知された。
さらに、酸素をガス8に用いた場合、777nmと845nmのOラジカルの発生が確認された。
これらの結果から、本発明のラジカル発生装置1によれば、酸化力の強いOラジカル及び/又はOHラジカルが気泡11の界面近傍もしくは気泡11内に生成されていることが確認された。
【0031】
(ラジカル発生装置を用いた浄化方法)
次に、本発明のラジカル発生装置1を用いた水質浄化方法について説明する。
本発明のラジカル発生装置1を用いた浄化方法は、以下の工程で行うことができる。
(a)被浄化物が含まれている水を、反応容器2に導入する第1工程。
(b)反応容器2内に配設されたガス搬送管3に、ガス供給部6からガス8を供給し、搬送管3の微小孔3aからジェット状にガス8を噴出させて大気圧以上のガス8を内包する気泡11とする第2工程。
(c)大気圧以上の気泡内のガス8を電源部7によって放電させて、OラジカルやOHラジカルを含む反応性ガスを発生させると共に、気泡11からマイクロバブル17を発生させる第3工程。
(d)第3工程で発生させたOラジカルやOHラジカルとマイクロバブル17とにより被浄化物が含まれている水を所定の時間で処理する第4工程。
【0032】
ラジカル発生装置1では、ガス8として、アルゴンを用いた場合には、ガス搬送管3に接している水中やガス搬送管3と水の界面近傍で効率よくOラジカルやOHラジカルを発生させることができる。このOラジカルやOHラジカルにより、難分解性物質を分解することができる。
【0033】
ラジカル発生装置1では、ガス8として、酸素を用いた場合には、ガス搬送管3に接している水中やガス搬送管3と水の界面近傍で効率よくOラジカルやOHラジカルと共にオゾンを発生させることができる。このOラジカル、OHラジカル及びオゾンにより、難分解性物質を分解することができる。
【0034】
被浄化物の内、難分解性物質としては、産業排水や生活排水に含まれているダイオキシン、染料等の有機物、有機フッ素化合物、フミン質、農薬等が挙げられる。
【0035】
水中に設置したガス搬送管3の微小孔3aから酸素、アルゴン、空気を噴出する際に直流パルス放電で、多くの微小気泡内でストリーマ放電を発生させることにより気泡11の界面を崩壊し、マイクロバブル17を発生させると共に、強酸化力のあるオゾン、酸素ラジカル、水酸基ラジカルを液中に生成することができる。
【0036】
特に多数のアルゴン気泡ジェットによる溶液9の撹拌と強酸化力を有する水酸基ラジカルの相乗効果により、マイクロバブル17のみでは不可能な液中での酢酸等の難分解性物質を数十分程度の短時間で分解することができる。
【0037】
ガス8として酸素を使用した場合、Oラジカル及び/又はOHラジカルに加えオゾンも発生する。オゾンは強力な酸化作用を有している。このため、水に含有されている各種の物質、つまり被浄化物の浄化を行うことができる。被浄化物としては微粒子等に付着した塵などが挙げられる。塵は、例えば有機物からなる。従って、オゾンによれば、例えば、有機物の除去、水中の菌やウイルスの殺菌や減菌等を行うことができる。さらに、オゾンによって有機物の脱臭、脱色等も行うことができる。
【0038】
本発明で得られた結果を以下に要約する。
(1)気泡11内の界面に沿ってストリーマ放電の放電経路が形成され、ストリーマ放電により気泡11の界面が変形、崩壊し、その結果微細気泡つまりマイクロバブル17が気泡11の周囲に生成される。
(2)分光計測によって、ガス8をアルゴンとした場合に特にOHラジカルが、ガス8を酸素とした場合にOラジカル、OHラジカルが生成されることが確認された。さらに酸素と空気からオゾンが検出され、これらの化学的活性種を気泡11の界面近傍または気泡11内で生成することが可能であることが分かった。
(3)気泡11内でストリーマ放電を発生させた多点気泡ジェットによりメチレンブルー水溶液が脱色され、さらに、全てのガス8において流量の増加に伴い分解速度が向上する。
(4)ガス8に酸素を用いた場合、OラジカルやOHラジカルの他にオゾンが高濃度で発生するため分解の速度は最も速くなる。また、アルゴンを使用した場合ではOHラジカルなどの活性種が直接分解に寄与していると考えられる。
【0039】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係るラジカル発生装置20の構成例を示す図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係るラジカル発生装置20は、複数のガス搬送管3と、複数の陰極電極5とを備えている点が図1の第の実施形態に係るラジカル発生装置1とは異なっている。複数のガス搬送管3のそれぞれに陰極電極5が配設されている。他の構成は同じであるので、説明は省略する。
【0040】
図5は、複数のガス搬送管3を示す図であり、(a)はガス搬送管3の部分断面図、(b)は(a)のII−II線に沿った平面図である。
図5(a)に示すように、各ガス搬送管3の部分断面図は、図2のガス搬送管3と同様の構造を有している。
図5(b)に示すように、ガス搬送管3は四角形の各頂点に配設され、上下左右に配設される各ガス搬送管3の気泡11の噴出方向は、時計周りで見た場合、それぞれ上方、右方、下方、左方に向いて配置されている。つまり、複数のガス搬送管3における気泡11の噴出方向が、各ガス搬送管3の軸方向に垂直な面内で互いに異なる配置となっている。このような配置によれば、各ガス搬送管3からの気泡11の噴出方向が異なるので、被浄化物の入った溶液9をさらに効率良く攪拌することができるという利点が生じる。ガス搬送管3は縦管状であり、狭く深い空間でも設置でき、上記のように気泡11の噴出方向を変えることにより、溶液9中で様々な方向に一様に撹拌でき、ラジカル分解反応を促進できるという効果が生じる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0041】
図4に示すラジカル発生装置20を作製した。
反応容器2は、直径が95mmで高さが120mmのパイレックガラスからなる容器を用いた。反応容器2は純水で満たした。純水の電気導電率は300μS/mである。ガス搬送管3としては、一端が閉じており、内径が3.5mm、外径6mm、長さ120mmの石英管を使用した。反応容器2に挿入した陰極電極5はタングステン製であり、直径が3mmである。陽極電極4としては、大きさが36mm×36mmの銅製電極を使用した。ガス8として、大気圧、室温の下で、アルゴン、酸素、空気の何れかをガス搬送管3に供給した。
【0042】
ガス搬送管3にガス8をマスフローコントローラー6bで流量を制御して流し、大気圧、室温の下でガス搬送管3から噴出させた大気圧以上の気泡11の放電を行った。印加電圧Vを変化させて放電を行い、放電で生成したOラジカルやOHラジカルの活性種は、分光器を用いて検知した。
【0043】
放電に伴う気泡ジェットの生成特性を明らかにするため、図4に示す光源22と高速度カメラ23による撮影を行い、撮影した画像の解析を行った。
図6は、高速度カメラ23を用い、ガス8としてアルゴンを用いた場合のパルス印加後の気泡11の挙動の光学像を示す図であり、それぞれ、(a)は980μs、(b)は1020μs、(c)は1060μs、(d)は1100μs、(e)は1960μs、(f)は2000μs、(g)は2040μs、(h)は2080μs、が経過したときを示している。
大気圧以上の気泡11の放電条件と撮影条件を以下に示す。
ガス8:アルゴン
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=100SmL/分 (Lはリットルである)
撮影露光時間:20μs
図6(a)〜(h)に示すように、例えば図6(c)では気泡11の大気圧以上の放電が気泡11内の界面に沿って形成され、この気泡11の大気圧以上の放電の後、図6(h)に示すように、気泡11と溶液9との界面が変形し、さらに、断続的に形成される気泡11により、変形した界面が崩壊し、界面から茸状にマイクロバブル17が生成された。
【0044】
図7は、高速度カメラ23により撮影された写真から解析した気泡11の断面積の経時変化を示す図である。図7の横軸は時間(ms)であり、縦軸は気泡断面積A(mm2)である。図7には、放電を行なわない場合と、気泡11に印加したパルスの繰り返し周波数を、500Hz、1000Hz、1500Hzに変化させて放電した場合とを示している。
図7に示すように、大気圧以上の放電を伴わない場合には、浮力で気泡が徐々に大きくなって気泡11の断面積が連続的に増加することが分かる。
一方、大気圧以上の放電を伴う場合には、瞬間的かつ周期的に気泡11の断面積が急激に増加している。この気泡11の断面積は、大気圧以上の放電の繰り返し周波数に依存していることが分かる。従って、気泡11の大気圧以上の放電により気泡11と溶液9との界面が崩壊する時、断面積が増減すると考えられる。
【0045】
さらに、各ガス8における大気圧以上の気泡の放電に伴って発生するOラジカルやOHラジカルの発光を示す。
図8は、アルゴンガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域、(b)は長波長領域の分光特性を示している。図8の横軸は分光波長(nm)、縦軸は発光強度(任意目盛)である。放電条件は、上記図6の気泡11の撮影と同じ条件である。
図8(b)に示すように、ガス8がアルゴンの場合には、大気圧以上の気泡の放電に伴って発生したOHラジカルの発光が検知された。
【0046】
図9は、酸素ガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示すもので、(a)は短波長領域、(b)は長波長領域の分光特性を示している。図9の横軸及び縦軸は、図8と同じである。
酸素ガスによる大気圧以上の気泡11の放電条件を以下に示す。
ガス8:酸素
印加電圧:V=8kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=100SmL/分
図9(a),(b)に示すように、ガス8が酸素の場合には、大気圧以上の放電に伴って発生した309nmからのOHラジカルの発光と、777nm及び845nmのOラジカルの発光が確認された。
【0047】
図8及び図9の測定結果から、ガス8がアルゴン又は酸素の場合には、酸化力の強いOラジカル及びOHラジカルが気泡11界面近傍もしくは気泡11内に生成されていることが確認された。
【0048】
図10は、空気の大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示し、(a)は短波長領域、(b)は長波長領域の分光特性を示している。図10の横軸及び縦軸は、図8と同じである。
空気による大気圧以上の気泡11の放電条件を以下に示す。
ガス8:空気
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=100SmL/分
図10(a),(b)に示すように、ガス8が空気の場合には、大気圧以上の気泡11の放電に伴って発生するのは窒素ガスの放電に伴う発光であり、OラジカルやOHラジカルの発光は測定されなかった。
【0049】
図11は、各ガス8の大気圧以上の気泡11による放電に伴って発生するオゾン濃度の経時変化を示す図である。図11の横軸は時間(分)、縦軸はオゾン濃度(ppm)である。各ガス8は、酸素、空気及びアルゴンである。
各ガス8の大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分
図11に示すように、オゾン濃度は、ガス8に酸素を使用した時に最大で165ppmであり、ガス8に空気を使用したときは最大46ppmとなった。ガス8にアルゴンを使用した時には、オゾンは発生しなかった。
【0050】
(メチレンブルー水溶液の浄化)
次に、上記ラジカル発生装置20を用いた水の浄化方法について説明する。
最初に、大気圧以上の気泡11の放電を伴い発生するOラジカルやOHラジカルや、オゾンを水の浄化へ応用するために、メチレンブルー水溶液(1mg/L)の脱色試験を行った。ガス8の大気圧以上の放電を開始した後、2分又は5分毎にメチレンブルー水溶液を、水質成分計を用いて波長660nmに対する吸光度を測定し、メチレンブルー水溶液の透明度を定量的に評価した。
【0051】
図12は、気泡ジェットによるメチレンブルー水溶液の脱色過程の経時変化を示す図であり、(a)は0分、(b)は10分後、(c)は20分後、(d)30分経過したときの光学像を示している。
アルゴンガスの大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分
図12に示すように、ガス8としてアルゴンを用いた場合、放電開始後約30分でメチレンブルー水溶液が完全に脱色された。
【0052】
図13は、ガス8としてアルゴン、酸素及び空気を用いたメチレンブルー水溶液の吸光度の経時変化を示す図である。図13の横軸は時間(分)、縦軸は吸光度(%)である。吸光度は波長660nmに対するものであり、放電開始前に計測された吸光度で正規化されている。
各ガス8の大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分、2.5SL/分、1SL/分
図13に示すように、何れのガス8でも放電の開始後、時間と共に吸光度は指数関数的に減少し、メチレンブルー水溶液が脱色されていることが分かる。
さらに、酸素を用いた場合においてメチレンブルー水溶液が最も短時間で脱色した。次いでアルゴン、空気の順で脱色に要する時間は長くなる。
【0053】
さらに、全てのガス8において流量が大きい場合により速く脱色されている。これは、流量が大きいためメチレンブルー水溶液が効果的に攪拌されることや、図8〜図10に示した単位時間当たりのOHラジカル及びO3等、化学的高活性種の供給量が増加するためと考えられる。
【0054】
ガス8として酸素を使用した場合にメチレンブルー水溶液が最も短時間で脱色されたが、これはOラジカルやOHラジカルと共に、長寿命のオゾンが分解に大きく寄与したものと考えられる。
【0055】
一方、ガス8としてアルゴンを使用した場合はオゾンはほとんど発生せず、生成したOHラジカルなどの活性種のみが直接分解に寄与していると考えられる。
【0056】
図14は、ガス8の流量に対する分解効率を示す図である。図14の横軸は流量(SL/分)、縦軸はメチレンブルーの分解効率(mg/J)である。なお、分解効率(mg/J)は単位投入エネルギー(J)当たりのメチレンブルーの分解量で定義される。
図14に示すように、酸素を用いた場合の分解効率が高く、さらにアルゴン、空気の順に分解効率が低くなる。
酸素からはOラジカルやOHラジカル、オゾンなどの活性種が他のガス8に比べ多く生成されるため、従来の水処理法(非特許文献3参照)と比較すると約2倍の分解効率が得られる。
空気を用いた場合では空気に含まれる窒素の電離電圧がアルゴンや酸素分子よりも高く、放電を形成、維持するために多くの電力を必要とすることから、効率が最も低くなる。
従来の水処理法(非特許文献3参照)と比較すると、ガス8としてアルゴンを用いた場合が同程度の分解効率であった。
【0057】
(酢酸の分解)
さらに、難分解性物質の分解実験として酢酸の分解(70mg/L)を行い、ガス8の放電開始10分後の排出二酸化炭素濃度を計測し、異なる放電周波数での酢酸の分解特性を測定した。
ガス8の大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
ガス8:アルゴン、酸素、空気
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分
【0058】
二酸化炭素の濃度は、検知管式の気体採取器セット(株式会社ガステック製、GV−110S及び短時間用検知管2LC、二酸化炭素測定範囲100〜4000ppm)を用いて測定した。ラジカル発生装置20の反応容器2を樹脂製の袋で覆い、袋内部の空気を抜き、ガス8や二酸化炭素が漏れないように密封した。この袋の中にはガス8が入っていない。この状態で10分間放電させた時と放電させなかった時の二酸化炭素濃度を比較した。ガス検知管の先端を袋の内部に差し込み、発生した二酸化炭素が袋の外部に漏れないようにして、ガス検知管の内部に袋の中にある二酸化炭素を吸入して二酸化炭素濃度を測定した。このガス検知管では、二酸化炭素の濃度が、ガス検知管内の粒子の色の変化に対応している。具体的には、赤色の粒子が黄色になることで二酸化炭素濃度がどの程度であるかを測定する。より高濃度であれば、ガス検知管内が広い範囲で黄色に変色する。
【0059】
図15は、排出した二酸化炭素濃度を示す光学像であり(a)は放電開始10分後、(b)は放電させないとき、(c)は(a)の説明図、(d)は(b)の説明図を示している。
図15(a)に示すように、目視では図15(b)の放電させない場合に比較して、下方向に黄色になっており、二酸化炭素濃度が約100ppm上昇していることが分かった。図15(c)の模式図において、黄色に変色した部分を斜線で区画すると、放電をさせていない場合に比較して、斜線で示す領域が増大する。
下記化学式(1)より、OラジカルやOHラジカルの強酸化力により酢酸分子の原子間共有結合が分断、分解され二酸化炭素が生成されたと考えられる。これにより、本発明の酸素及び水酸基ラジカル発生装置20を用いた水の浄化方法において、被浄化物として難分解性物質である酢酸の分解が確認された。なお、ガス8として空気を用いた場合にはほとんど酢酸は分解されなかった。
【化1】
【0060】
図16は、難分解性物質である酢酸の分解により発生する二酸化炭素濃度のガス8及びパルス繰り返し周波数の依存性と、ガス8にアルゴンを用いた際の放電に要する消費電力を示す図である。図16の横軸はパルス繰り返し周波数(Hz)であり、左縦軸は二酸化炭素濃度(ppm)であり、右縦軸は消費電力(W)である。
図16に示すように、ガス8が空気、酸素の場合に対し、アルゴンの場合ではより高濃度の二酸化炭素が生成されることがわかる。これは、アルゴンを気泡11の内部で放電した際に生じるOHラジカルの強酸化力により、酢酸分解反応が生じ、酢酸分子の分子間結合が分断、分解され、二酸化炭素が生成されるためである
さらに、ガス8がアルゴンの場合、印加されるパルスの繰り返し周波数が1000Hzの際に、排出される二酸化炭素濃度が最も高くなる。これは、パルスの繰り返し周波数が1000Hzの時に最も安定して放電されるためである。この際の放電に要する消費電力は周波数に対して若干上昇するもののほぼ一定であることから、パルスの繰り返し周波数が1000Hzの際に酢酸の分解効率が最も高くなることが判明した。
【0061】
以上の実施例から、本発明のラジカル発生装置1,20によれば、OラジカルやOHラジカルと共にマイクロバブル17を効率よく発生でき、メチレンブルー水溶液や難分解性物質である酢酸水溶液の分解を行えることが分かる。
【0062】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1、20:ラジカル発生装置
2:反応容器
3:ガス搬送管
3a:微小孔
3b:入口
4:陽極電極
5:陰極電極
6:ガス供給部
6a:ボンベ
6b:マスフローコントローラー
6c:配管
7:電源部
7a:直流高圧電源
7b:発振器
8:ガス
9:溶液
11:気泡
14:オシロスコープ
15:電流プローブ
16:大気圧以上のアルガンガスによる放電
17:マイクロバブル
22:光源
23:高速度カメラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル発生装置及びそれを用いた浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度経済成長による産業の発展や都市部の人口集中により、産業排水や生活排水が急激に増加したため、水質汚染が深刻な問題となっている。21世紀は、地球規模で水の時代と言われ、国内外で水質浄化に強い関心が集まっている。現在、水質浄化に用いられているオゾン(O3)は、強酸化力、長寿命等の特徴を有しているが、オゾン単体の酸化力ではダイオキシンなど難分解性物質の分解には不十分である。
【0003】
オゾンより強い酸化力を有し、活性酸素の中で最も強力な酸化力を持つOラジカルやOHラジカルを用いた高度水処理(Advanced Oxidation Process :AOP)が近年注目されている(非特許文献1参照)。OラジカルやOHラジカルは難分解性物質を分解するために十分な酸化力を有している。
【0004】
これらのラジカルは強酸化力を有する一方で寿命が数百μs以下であり、水処理に応用するためには、生成と同時に使用しなければならない。OラジカルやOHラジカルの生成方法には、オゾンからの生成、過酸化水素の紫外分解、放電、電気分解及び超音波からの生成等が挙げられるが、特に大気圧非熱プラズマは、近年、環境汚染物質分解などの研究に活発に用いられている。
【0005】
特許文献1には、溶液中に気泡を噴出させて放電を生起して、液体中の有機フッ素化合物をプラズマ処理する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−056451号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K. Sato, K. Yasuoka and S. Ishii, IEEE Transactions on Fundamentals and Materials, Vol.128, No. 6, pp.401-406, 2008
【非特許文献2】N.Y.Babaeva and M. J. Kushner, Journal of Physics D, Applied Physics, Vol.42, pp.132003, 2010
【非特許文献3】柴田智弘、尾崎晃、高奈秀匡、西山秀哉、日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集、No.10-16, pp.127-128, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、有機フッ素化合物をプラズマ処理することが開示されているが、他の有機物や酢酸のような難分解性物質の処理方法については記載されていない。また、従来の方法では、効率良くOラジカルやOHラジカルの生成ができないという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、Oラジカル及び/又はOHラジカルの発生とマイクロバブルとを同時に効率良く発生できるラジカル発生装置を提供することを第1の目的とし、水と難分解性物質を含む水溶液の浄化等を可能とするラジカル発生装置を用いた浄化方法を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、水を含む溶液中に大気圧以上の気泡を噴出させ、この気泡中内でストリーマ放電を生起させて、OラジカルやOHラジカルを生成すると共に、大気圧以上の放電の後に気泡がさらにマイクロバブルに変化することを見出し、OラジカルやOHラジカルとマイクロバブルとの相乗効果により水に含有される被浄化物としてオゾンでは分解できない難分解性物質の分解ができるとの知見を得て本発明に想到した。
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明のラジカル発生装置は、水を含む溶液を収容する反応容器と、反応容器に配設してガスを搬送するためのガス搬送管と、ガス搬送管にガスを供給するガス供給部と、反応容器内に配設する陽極電極と、ガス搬送管内に配設する陰極電極と、電源部と、を備え、ガス搬送管は、複数の微小孔を有しており、微小孔を介して溶液中に大気圧以上のガスの気泡を発生し、気泡内のガスを放電させることにより溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブルを発生させるよう構成されている。
【0012】
上記構成において、好ましくは、ガス搬送管は、軸方向に複数の微小孔を備えている。ガス搬送管を複数備えていてもよい。
複数のガス搬送管における気泡の噴出方向が、好ましくは、ガス搬送管の軸方向に垂直な面内で互いに異なっている。
電源部は、好ましくはパルス電源である。電源部は交流電源でもよい。
ガスは、好ましくは酸素又は酸素を含むガスであり、さらに溶液中にオゾンを発生させる。
【0013】
本発明の浄化方法は、上記したラジカル発生装置を用い、水と被浄化物とが含まれている溶液を、反応容器に導入し、ガス搬送管に前記ガス供給部からガスを供給して、微小孔から溶液中に大気圧以上のガスの気泡を発生させ、陽極電極と陰極電極との間に電圧を印加して気泡内のガスを放電させ、放電の後の気泡からマイクロバブルを発生させ、かつ、溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルを発生させ、Oラジカル及び/又はOHラジカルと前記マイクロバブルとによって被浄化物を分解することを特徴とする。
【0014】
上記構成において、ガスを、好ましくはアルゴン、酸素、空気の何れかとする。ガスを、酸素又は酸素を含むガスとし、さらにオゾンを発生させて被浄化物を分解してもよい。
被浄化物が、好ましくは、オゾンでは分解され難い難分解性物質である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラジカル発生装置によれば、特にアルゴンや酸素等からなる大気圧以上の多数の気泡ジェットによる溶液の撹拌と、強酸化力を有するOラジカル及び/又はOHラジカルと、マイクロバブルと、を効率良く、かつ、低消費電力で発生することができる。例えば、数W程度の小さな消費電力で直径が0.1mm〜数mmの微小な気泡をパルス放電等により発生し、水溶液中に連続的にラジカルを供給できる。また、例えば、アルゴン、酸素、空気等の気泡内のガスを変えることにより発生するラジカルの種類を選択できる。
【0016】
本発明の浄化方法によれば、例えば被浄化物を含む水を高効率でOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブルにより浄化することができる。例えば、従来のマイクロバブルのみでは分解が不可能であった液中の例えば酢酸のような難分解性物質を、数十分程度の短時間で、かつ、低消費電力で分解することができる。水質浄化のみでなく、農水産業に活用するための活性水の生成も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るラジカル発生装置の構成例を示す図である。
【図2】陰極電極を挿入したガス搬送管を示し、(a)は部分断面図、(b)は(a)のI−I線に沿った平面図である。
【図3】気泡の挙動を模式的に経時的に示す図であり、(a)が放電時、(b)が放電後を示している。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るラジカル発生装置の構成例を示す図である。
【図5】複数のガス搬送管を示すもので、(a)はガス搬送管の部分断面図、(b)は(a)のII−II線に沿った平面図である。
【図6】高速度カメラを用い、ガスとしてアルゴンを用いた場合のパルス印加後の気泡の挙動の光学像を示す図で、それぞれ、(a)は980μs、(b)は1020μs、(c)は1060μs、(d)は1100μs、(e)は1960μs、(f)は2000μs、(g)は2040μs、(h)は2080μsが経過したときを示している。
【図7】高速度カメラにより撮影した写真から解析した気泡の断面積の経時変化を示す図である。
【図8】アルゴンガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域の、(b)は長波長領域の、分光特性を示している。
【図9】酸素ガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域の、(b)は長波長領域の、分光特性を示している。
【図10】空気の大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域の、(b)は長波長領域の、分光特性を示している。
【図11】各ガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生するオゾン濃度の経時変化を示す図である。
【図12】気泡ジェットによるメチレンブルー水溶液の脱色過程の経時変化を示す図であり、(a)は0分、(b)は10分後、(c)は20分後、(d)30分経過したときの光学像を示している。
【図13】ガスとしてアルゴン、酸素及び空気を用いたメチレンブルー水溶液の吸光度の経時変化を示す図である。
【図14】ガスの流量に対する分解効率を示す図である。
【図15】排出した二酸化炭素濃度を示す光学像であり、(a)は放電開始10分後、(b)は放電させないとき、(c)は(a)の説明図、(d)は(b)の説明図を示している。
【図16】難分解性物質である酢酸の分解により発生する二酸化炭素濃度のガス及びパルス繰り返し周波数の依存性と、ガスにアルゴンを用いた際の放電に要する消費電力を示す図である。
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るラジカル発生装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、ラジカル発生装置1は、反応容器2と、反応容器2の内部に配設されてガス8を搬送するためのガス搬送管3と、反応容器2の底部とガス搬送管3との間に配設される陽極電極4と、ガス搬送管3の内部に配設される陰極電極5と、ガス搬送管3にガス8を供給するガス供給部6と、陽極電極4と陰極電極5との間にガス8を放電させるための電源部7と、を含んで構成されている。
【0019】
反応容器2は、ガラスや樹脂等の絶縁物からなる容器であり、水や水を含む溶液9で満たされている。反応容器2内には、ガス搬送管3と、反応容器2の底部とガス搬送管3とのに間に配設される陽極電極4と、ガス搬送管3の内部に配設される陰極電極5とが配設されている。
【0020】
ガス搬送管3は、ガラス管、セラミック等の誘電体からなる断面が円や多角形の形状を有している管であり、外周部には、ガス8を反応容器2に噴出するための多数の微小孔3aが設けられている。
ガス搬送管3の一端はガス8が流入する入口3bとなり、入口3bが図示しないフランジや継ぎ手を介してガス供給部6に接続されている。ガス搬送管3の他端は閉じられている。ガラス管の材料としては、石英やパイレックスガラス(商標)を使用することができる。以下の説明では、ガス搬送管3は、一端が閉じられた円筒形状として説明する。気泡11はガス搬送管の側面に開口された、例えば、直径が0.5mmの微小孔3aからジェット状に噴出される。この気泡11内のガス8は大気圧以上の圧力とされている。このような微小孔3aから発生する気泡11は、気泡ジェットとも呼ばれている。複数の気泡ジェットを、多点気泡ジェットと呼ぶ。
【0021】
陽極電極4は、反応容器2の底部に配設されている。陽極電極4の材料としては、銅(Cu)を使用できる。
【0022】
陰極電極5は、ガス搬送管3の内部に配設されている。陰極電極5の材料としては、タングステン(W)を使用できる。
【0023】
図2は、陰極電極5が挿入されたガス搬送管3を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は(a)のI−I線に沿った平面図である。図2(a)に示すように、ガス搬送管3の中空部には陰極電極5が同心円状に配設されており、陰極電極5の直径は、ガス搬送管3の内壁の直径、つまり内径よりも小さい寸法を有している。ガス搬送管3の内壁と陰極電極5との間の空間が、ガス8の流路となっている。ガス搬送管3の外壁と内壁、つまり側面には複数の微小孔3aが円筒形状の長手方向に沿って設けられている。長手方向は軸方向とも呼ぶ。この軸方向は、反応容器2の深さ方向である。ガス搬送管3の軸方向に設けた微小孔から大気圧以上のガス8が内包された多点の気泡ジェットを発生させることにより、反応容器2の溶液9を効果的に攪拌することができる。
【0024】
ガス供給部6は、ガス8のボンベ6a、このボンベ6aに接続される圧力調整器、ストップバルブ及びマスフローコントローラー6b等からなり、樹脂や金属からなる配管6cによってガス搬送管3の入口3bに接続される。ガス供給部6からガス搬送管3には、ガス8として、アルゴン、工業用の乾燥空気及び酸素等が供給される。このガス8は、作動ガスとも呼ばれている。
【0025】
電源部7は、陽極電極4と陰極電極5とに接続される電源である。図示の場合、電源部6は直流高圧電源7aと発振器7b等から構成されるパルス電源であり、直流のパルスを発生する。パルスの繰り返し周波数やデューティサイクルは、発振器7bで調整される。陰極電極5は、アース又はグランド電位として接地されてもよい。この電位は0Vである。陽極電極4に印加される正の陽極電圧をVで表わす。
【0026】
さらに、電源部7は交流電源で構成されてもよい。交流電源と陽極電極4との間には、インピーダンス整合のためにマッチングボックスを設けてもよい。
【0027】
電源部7では陽極電極4及び陰極電極5に印加する電圧、電流、電力、電力の印加時間等の調整ができる。陽極電極4及び陰極電極5に印加する電圧の測定には、オシロスコープ14を使用する。電流の測定は、電流プローブ15を、例えば陰極電極5と直流高圧電源7aの間に挿入して測定することができる。
【0028】
本発明のラジカル発生装置の動作について説明する。発生させるラジカルは、酸素ラジカル(Oラジカルと呼ぶ。)及び/又は水酸基ラジカル(OHラジカルと呼ぶ。)である。
ガス搬送管3は、ガス搬送管3の長手方向、つまり軸方向に沿って複数の微小孔3aを有しており、この複数の微小孔3aを介して溶液9中に大気圧以上のガス8を内包した気泡11を発生させ、気泡11の放電により溶液9中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブル17を発生させることができる。マイクロバブル17は、気泡11がさらに細かい気泡になった状態を意味している。マイクロバブル17は、微細気泡とも呼ばれている。
【0029】
図3は、気泡11の挙動を模式的に経時的に示す図であり、(a)が放電時、(b)が放電後を示している。
最初に、図3(a)に示すように、気泡内界面に沿って、例えば大気圧以上のアルゴンガスにより放電16(ストリーマ放電とも呼ばれている。)が形成される(非特許文献2参照)。ストリーマ放電とは、エネルギーの大きい電子による雪崩放電である。
次に、図3(b)に示すように、大気圧以上の気泡11の放電後、気泡11の界面が変形し、さらに、断続的に形成されるガス流により、変形した気泡11の界面が崩壊し、この界面から気泡の周囲に茸状にマイクロバブル17が生成される。このような気泡11の挙動は、高速度カメラ23を用いて観測することにより判明したものである。溶液9中に気泡11を噴出し、この大気圧以上の気泡11中に放電を生じさせて、この放電の後で、マイクロバブル17が形成されることは、本発明者等が世界に先駆けて見出した現象である。
【0030】
マイクロバブル17の形成と同時に、水からなる溶液9中の分光特性を測定すると、ガス搬送管3の近傍には、ガス8がアルゴン、酸素、空気の何れからも、309nmからOHラジカルの発光が検知された。
さらに、酸素をガス8に用いた場合、777nmと845nmのOラジカルの発生が確認された。
これらの結果から、本発明のラジカル発生装置1によれば、酸化力の強いOラジカル及び/又はOHラジカルが気泡11の界面近傍もしくは気泡11内に生成されていることが確認された。
【0031】
(ラジカル発生装置を用いた浄化方法)
次に、本発明のラジカル発生装置1を用いた水質浄化方法について説明する。
本発明のラジカル発生装置1を用いた浄化方法は、以下の工程で行うことができる。
(a)被浄化物が含まれている水を、反応容器2に導入する第1工程。
(b)反応容器2内に配設されたガス搬送管3に、ガス供給部6からガス8を供給し、搬送管3の微小孔3aからジェット状にガス8を噴出させて大気圧以上のガス8を内包する気泡11とする第2工程。
(c)大気圧以上の気泡内のガス8を電源部7によって放電させて、OラジカルやOHラジカルを含む反応性ガスを発生させると共に、気泡11からマイクロバブル17を発生させる第3工程。
(d)第3工程で発生させたOラジカルやOHラジカルとマイクロバブル17とにより被浄化物が含まれている水を所定の時間で処理する第4工程。
【0032】
ラジカル発生装置1では、ガス8として、アルゴンを用いた場合には、ガス搬送管3に接している水中やガス搬送管3と水の界面近傍で効率よくOラジカルやOHラジカルを発生させることができる。このOラジカルやOHラジカルにより、難分解性物質を分解することができる。
【0033】
ラジカル発生装置1では、ガス8として、酸素を用いた場合には、ガス搬送管3に接している水中やガス搬送管3と水の界面近傍で効率よくOラジカルやOHラジカルと共にオゾンを発生させることができる。このOラジカル、OHラジカル及びオゾンにより、難分解性物質を分解することができる。
【0034】
被浄化物の内、難分解性物質としては、産業排水や生活排水に含まれているダイオキシン、染料等の有機物、有機フッ素化合物、フミン質、農薬等が挙げられる。
【0035】
水中に設置したガス搬送管3の微小孔3aから酸素、アルゴン、空気を噴出する際に直流パルス放電で、多くの微小気泡内でストリーマ放電を発生させることにより気泡11の界面を崩壊し、マイクロバブル17を発生させると共に、強酸化力のあるオゾン、酸素ラジカル、水酸基ラジカルを液中に生成することができる。
【0036】
特に多数のアルゴン気泡ジェットによる溶液9の撹拌と強酸化力を有する水酸基ラジカルの相乗効果により、マイクロバブル17のみでは不可能な液中での酢酸等の難分解性物質を数十分程度の短時間で分解することができる。
【0037】
ガス8として酸素を使用した場合、Oラジカル及び/又はOHラジカルに加えオゾンも発生する。オゾンは強力な酸化作用を有している。このため、水に含有されている各種の物質、つまり被浄化物の浄化を行うことができる。被浄化物としては微粒子等に付着した塵などが挙げられる。塵は、例えば有機物からなる。従って、オゾンによれば、例えば、有機物の除去、水中の菌やウイルスの殺菌や減菌等を行うことができる。さらに、オゾンによって有機物の脱臭、脱色等も行うことができる。
【0038】
本発明で得られた結果を以下に要約する。
(1)気泡11内の界面に沿ってストリーマ放電の放電経路が形成され、ストリーマ放電により気泡11の界面が変形、崩壊し、その結果微細気泡つまりマイクロバブル17が気泡11の周囲に生成される。
(2)分光計測によって、ガス8をアルゴンとした場合に特にOHラジカルが、ガス8を酸素とした場合にOラジカル、OHラジカルが生成されることが確認された。さらに酸素と空気からオゾンが検出され、これらの化学的活性種を気泡11の界面近傍または気泡11内で生成することが可能であることが分かった。
(3)気泡11内でストリーマ放電を発生させた多点気泡ジェットによりメチレンブルー水溶液が脱色され、さらに、全てのガス8において流量の増加に伴い分解速度が向上する。
(4)ガス8に酸素を用いた場合、OラジカルやOHラジカルの他にオゾンが高濃度で発生するため分解の速度は最も速くなる。また、アルゴンを使用した場合ではOHラジカルなどの活性種が直接分解に寄与していると考えられる。
【0039】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係るラジカル発生装置20の構成例を示す図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係るラジカル発生装置20は、複数のガス搬送管3と、複数の陰極電極5とを備えている点が図1の第の実施形態に係るラジカル発生装置1とは異なっている。複数のガス搬送管3のそれぞれに陰極電極5が配設されている。他の構成は同じであるので、説明は省略する。
【0040】
図5は、複数のガス搬送管3を示す図であり、(a)はガス搬送管3の部分断面図、(b)は(a)のII−II線に沿った平面図である。
図5(a)に示すように、各ガス搬送管3の部分断面図は、図2のガス搬送管3と同様の構造を有している。
図5(b)に示すように、ガス搬送管3は四角形の各頂点に配設され、上下左右に配設される各ガス搬送管3の気泡11の噴出方向は、時計周りで見た場合、それぞれ上方、右方、下方、左方に向いて配置されている。つまり、複数のガス搬送管3における気泡11の噴出方向が、各ガス搬送管3の軸方向に垂直な面内で互いに異なる配置となっている。このような配置によれば、各ガス搬送管3からの気泡11の噴出方向が異なるので、被浄化物の入った溶液9をさらに効率良く攪拌することができるという利点が生じる。ガス搬送管3は縦管状であり、狭く深い空間でも設置でき、上記のように気泡11の噴出方向を変えることにより、溶液9中で様々な方向に一様に撹拌でき、ラジカル分解反応を促進できるという効果が生じる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0041】
図4に示すラジカル発生装置20を作製した。
反応容器2は、直径が95mmで高さが120mmのパイレックガラスからなる容器を用いた。反応容器2は純水で満たした。純水の電気導電率は300μS/mである。ガス搬送管3としては、一端が閉じており、内径が3.5mm、外径6mm、長さ120mmの石英管を使用した。反応容器2に挿入した陰極電極5はタングステン製であり、直径が3mmである。陽極電極4としては、大きさが36mm×36mmの銅製電極を使用した。ガス8として、大気圧、室温の下で、アルゴン、酸素、空気の何れかをガス搬送管3に供給した。
【0042】
ガス搬送管3にガス8をマスフローコントローラー6bで流量を制御して流し、大気圧、室温の下でガス搬送管3から噴出させた大気圧以上の気泡11の放電を行った。印加電圧Vを変化させて放電を行い、放電で生成したOラジカルやOHラジカルの活性種は、分光器を用いて検知した。
【0043】
放電に伴う気泡ジェットの生成特性を明らかにするため、図4に示す光源22と高速度カメラ23による撮影を行い、撮影した画像の解析を行った。
図6は、高速度カメラ23を用い、ガス8としてアルゴンを用いた場合のパルス印加後の気泡11の挙動の光学像を示す図であり、それぞれ、(a)は980μs、(b)は1020μs、(c)は1060μs、(d)は1100μs、(e)は1960μs、(f)は2000μs、(g)は2040μs、(h)は2080μs、が経過したときを示している。
大気圧以上の気泡11の放電条件と撮影条件を以下に示す。
ガス8:アルゴン
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=100SmL/分 (Lはリットルである)
撮影露光時間:20μs
図6(a)〜(h)に示すように、例えば図6(c)では気泡11の大気圧以上の放電が気泡11内の界面に沿って形成され、この気泡11の大気圧以上の放電の後、図6(h)に示すように、気泡11と溶液9との界面が変形し、さらに、断続的に形成される気泡11により、変形した界面が崩壊し、界面から茸状にマイクロバブル17が生成された。
【0044】
図7は、高速度カメラ23により撮影された写真から解析した気泡11の断面積の経時変化を示す図である。図7の横軸は時間(ms)であり、縦軸は気泡断面積A(mm2)である。図7には、放電を行なわない場合と、気泡11に印加したパルスの繰り返し周波数を、500Hz、1000Hz、1500Hzに変化させて放電した場合とを示している。
図7に示すように、大気圧以上の放電を伴わない場合には、浮力で気泡が徐々に大きくなって気泡11の断面積が連続的に増加することが分かる。
一方、大気圧以上の放電を伴う場合には、瞬間的かつ周期的に気泡11の断面積が急激に増加している。この気泡11の断面積は、大気圧以上の放電の繰り返し周波数に依存していることが分かる。従って、気泡11の大気圧以上の放電により気泡11と溶液9との界面が崩壊する時、断面積が増減すると考えられる。
【0045】
さらに、各ガス8における大気圧以上の気泡の放電に伴って発生するOラジカルやOHラジカルの発光を示す。
図8は、アルゴンガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示す図であり、(a)は短波長領域、(b)は長波長領域の分光特性を示している。図8の横軸は分光波長(nm)、縦軸は発光強度(任意目盛)である。放電条件は、上記図6の気泡11の撮影と同じ条件である。
図8(b)に示すように、ガス8がアルゴンの場合には、大気圧以上の気泡の放電に伴って発生したOHラジカルの発光が検知された。
【0046】
図9は、酸素ガスの大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示すもので、(a)は短波長領域、(b)は長波長領域の分光特性を示している。図9の横軸及び縦軸は、図8と同じである。
酸素ガスによる大気圧以上の気泡11の放電条件を以下に示す。
ガス8:酸素
印加電圧:V=8kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=100SmL/分
図9(a),(b)に示すように、ガス8が酸素の場合には、大気圧以上の放電に伴って発生した309nmからのOHラジカルの発光と、777nm及び845nmのOラジカルの発光が確認された。
【0047】
図8及び図9の測定結果から、ガス8がアルゴン又は酸素の場合には、酸化力の強いOラジカル及びOHラジカルが気泡11界面近傍もしくは気泡11内に生成されていることが確認された。
【0048】
図10は、空気の大気圧以上の気泡による放電に伴って発生する発光を示し、(a)は短波長領域、(b)は長波長領域の分光特性を示している。図10の横軸及び縦軸は、図8と同じである。
空気による大気圧以上の気泡11の放電条件を以下に示す。
ガス8:空気
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=100SmL/分
図10(a),(b)に示すように、ガス8が空気の場合には、大気圧以上の気泡11の放電に伴って発生するのは窒素ガスの放電に伴う発光であり、OラジカルやOHラジカルの発光は測定されなかった。
【0049】
図11は、各ガス8の大気圧以上の気泡11による放電に伴って発生するオゾン濃度の経時変化を示す図である。図11の横軸は時間(分)、縦軸はオゾン濃度(ppm)である。各ガス8は、酸素、空気及びアルゴンである。
各ガス8の大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分
図11に示すように、オゾン濃度は、ガス8に酸素を使用した時に最大で165ppmであり、ガス8に空気を使用したときは最大46ppmとなった。ガス8にアルゴンを使用した時には、オゾンは発生しなかった。
【0050】
(メチレンブルー水溶液の浄化)
次に、上記ラジカル発生装置20を用いた水の浄化方法について説明する。
最初に、大気圧以上の気泡11の放電を伴い発生するOラジカルやOHラジカルや、オゾンを水の浄化へ応用するために、メチレンブルー水溶液(1mg/L)の脱色試験を行った。ガス8の大気圧以上の放電を開始した後、2分又は5分毎にメチレンブルー水溶液を、水質成分計を用いて波長660nmに対する吸光度を測定し、メチレンブルー水溶液の透明度を定量的に評価した。
【0051】
図12は、気泡ジェットによるメチレンブルー水溶液の脱色過程の経時変化を示す図であり、(a)は0分、(b)は10分後、(c)は20分後、(d)30分経過したときの光学像を示している。
アルゴンガスの大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分
図12に示すように、ガス8としてアルゴンを用いた場合、放電開始後約30分でメチレンブルー水溶液が完全に脱色された。
【0052】
図13は、ガス8としてアルゴン、酸素及び空気を用いたメチレンブルー水溶液の吸光度の経時変化を示す図である。図13の横軸は時間(分)、縦軸は吸光度(%)である。吸光度は波長660nmに対するものであり、放電開始前に計測された吸光度で正規化されている。
各ガス8の大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分、2.5SL/分、1SL/分
図13に示すように、何れのガス8でも放電の開始後、時間と共に吸光度は指数関数的に減少し、メチレンブルー水溶液が脱色されていることが分かる。
さらに、酸素を用いた場合においてメチレンブルー水溶液が最も短時間で脱色した。次いでアルゴン、空気の順で脱色に要する時間は長くなる。
【0053】
さらに、全てのガス8において流量が大きい場合により速く脱色されている。これは、流量が大きいためメチレンブルー水溶液が効果的に攪拌されることや、図8〜図10に示した単位時間当たりのOHラジカル及びO3等、化学的高活性種の供給量が増加するためと考えられる。
【0054】
ガス8として酸素を使用した場合にメチレンブルー水溶液が最も短時間で脱色されたが、これはOラジカルやOHラジカルと共に、長寿命のオゾンが分解に大きく寄与したものと考えられる。
【0055】
一方、ガス8としてアルゴンを使用した場合はオゾンはほとんど発生せず、生成したOHラジカルなどの活性種のみが直接分解に寄与していると考えられる。
【0056】
図14は、ガス8の流量に対する分解効率を示す図である。図14の横軸は流量(SL/分)、縦軸はメチレンブルーの分解効率(mg/J)である。なお、分解効率(mg/J)は単位投入エネルギー(J)当たりのメチレンブルーの分解量で定義される。
図14に示すように、酸素を用いた場合の分解効率が高く、さらにアルゴン、空気の順に分解効率が低くなる。
酸素からはOラジカルやOHラジカル、オゾンなどの活性種が他のガス8に比べ多く生成されるため、従来の水処理法(非特許文献3参照)と比較すると約2倍の分解効率が得られる。
空気を用いた場合では空気に含まれる窒素の電離電圧がアルゴンや酸素分子よりも高く、放電を形成、維持するために多くの電力を必要とすることから、効率が最も低くなる。
従来の水処理法(非特許文献3参照)と比較すると、ガス8としてアルゴンを用いた場合が同程度の分解効率であった。
【0057】
(酢酸の分解)
さらに、難分解性物質の分解実験として酢酸の分解(70mg/L)を行い、ガス8の放電開始10分後の排出二酸化炭素濃度を計測し、異なる放電周波数での酢酸の分解特性を測定した。
ガス8の大気圧以上の気泡11による放電条件を以下に示す。
ガス8:アルゴン、酸素、空気
印加電圧:V=6kV
周波数 :f=1000Hz
ガス流量:Q=4SL/分
【0058】
二酸化炭素の濃度は、検知管式の気体採取器セット(株式会社ガステック製、GV−110S及び短時間用検知管2LC、二酸化炭素測定範囲100〜4000ppm)を用いて測定した。ラジカル発生装置20の反応容器2を樹脂製の袋で覆い、袋内部の空気を抜き、ガス8や二酸化炭素が漏れないように密封した。この袋の中にはガス8が入っていない。この状態で10分間放電させた時と放電させなかった時の二酸化炭素濃度を比較した。ガス検知管の先端を袋の内部に差し込み、発生した二酸化炭素が袋の外部に漏れないようにして、ガス検知管の内部に袋の中にある二酸化炭素を吸入して二酸化炭素濃度を測定した。このガス検知管では、二酸化炭素の濃度が、ガス検知管内の粒子の色の変化に対応している。具体的には、赤色の粒子が黄色になることで二酸化炭素濃度がどの程度であるかを測定する。より高濃度であれば、ガス検知管内が広い範囲で黄色に変色する。
【0059】
図15は、排出した二酸化炭素濃度を示す光学像であり(a)は放電開始10分後、(b)は放電させないとき、(c)は(a)の説明図、(d)は(b)の説明図を示している。
図15(a)に示すように、目視では図15(b)の放電させない場合に比較して、下方向に黄色になっており、二酸化炭素濃度が約100ppm上昇していることが分かった。図15(c)の模式図において、黄色に変色した部分を斜線で区画すると、放電をさせていない場合に比較して、斜線で示す領域が増大する。
下記化学式(1)より、OラジカルやOHラジカルの強酸化力により酢酸分子の原子間共有結合が分断、分解され二酸化炭素が生成されたと考えられる。これにより、本発明の酸素及び水酸基ラジカル発生装置20を用いた水の浄化方法において、被浄化物として難分解性物質である酢酸の分解が確認された。なお、ガス8として空気を用いた場合にはほとんど酢酸は分解されなかった。
【化1】
【0060】
図16は、難分解性物質である酢酸の分解により発生する二酸化炭素濃度のガス8及びパルス繰り返し周波数の依存性と、ガス8にアルゴンを用いた際の放電に要する消費電力を示す図である。図16の横軸はパルス繰り返し周波数(Hz)であり、左縦軸は二酸化炭素濃度(ppm)であり、右縦軸は消費電力(W)である。
図16に示すように、ガス8が空気、酸素の場合に対し、アルゴンの場合ではより高濃度の二酸化炭素が生成されることがわかる。これは、アルゴンを気泡11の内部で放電した際に生じるOHラジカルの強酸化力により、酢酸分解反応が生じ、酢酸分子の分子間結合が分断、分解され、二酸化炭素が生成されるためである
さらに、ガス8がアルゴンの場合、印加されるパルスの繰り返し周波数が1000Hzの際に、排出される二酸化炭素濃度が最も高くなる。これは、パルスの繰り返し周波数が1000Hzの時に最も安定して放電されるためである。この際の放電に要する消費電力は周波数に対して若干上昇するもののほぼ一定であることから、パルスの繰り返し周波数が1000Hzの際に酢酸の分解効率が最も高くなることが判明した。
【0061】
以上の実施例から、本発明のラジカル発生装置1,20によれば、OラジカルやOHラジカルと共にマイクロバブル17を効率よく発生でき、メチレンブルー水溶液や難分解性物質である酢酸水溶液の分解を行えることが分かる。
【0062】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1、20:ラジカル発生装置
2:反応容器
3:ガス搬送管
3a:微小孔
3b:入口
4:陽極電極
5:陰極電極
6:ガス供給部
6a:ボンベ
6b:マスフローコントローラー
6c:配管
7:電源部
7a:直流高圧電源
7b:発振器
8:ガス
9:溶液
11:気泡
14:オシロスコープ
15:電流プローブ
16:大気圧以上のアルガンガスによる放電
17:マイクロバブル
22:光源
23:高速度カメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含む溶液が収容される反応容器と、
上記反応容器に配設されてガスを搬送するためのガス搬送管と、
上記ガス搬送管にガスを供給するガス供給部と、
上記反応容器内に配設される陽極電極と、
上記ガス搬送管内に配設される陰極電極と、
電源部と、
を備え、
上記ガス搬送管は、複数の微小孔を有しており、
上記微小孔を介して上記溶液中に大気圧以上のガスの気泡を発生し、該気泡内のガスが放電することにより上記溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブルを発生させる、ラジカル発生装置。
【請求項2】
前記ガス搬送管は、軸方向に複数の微小孔を備えている、請求項1に記載のラジカル発生装置
【請求項3】
前記ガス搬送管を複数備えている、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項4】
前記複数のガス搬送管における前記気泡の噴出方向が、該ガス搬送管の軸方向に垂直な面内で互いに異なっている、請求項3に記載のラジカル発生装置。
【請求項5】
前記電源部は、パルス電源である、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項6】
前記電源部は、交流電源である、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項7】
前記ガスは、酸素又は酸素を含むガスであり、さらに前記溶液中にオゾンを発生させる、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のラジカル発生装置を用いた浄化方法であって、
水と被浄化物とが含まれている溶液を前記反応容器に導入し、
前記ガス搬送管に前記ガス供給部からガスを供給して、前記微小孔から前記溶液中に大気圧以上の前記ガスの気泡を発生し、
前記陽極電極と前記陰極電極との間に電圧を印加して前記気泡内のガスを放電し、該放電の後の該気泡から前記マイクロバブルを発生し、かつ、前記溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルを発生し、
前記Oラジカル及び/又はOHラジカルと前記マイクロバブルとによって前記被浄化物を分解する、浄化方法。
【請求項9】
前記ガスを、アルゴン、酸素、空気の何れかとする、請求項8に記載の浄化方法。
【請求項10】
前記ガスを、酸素又は酸素を含むガスとし、このガスからさらにオゾンを発生して前記被浄化物を分解する、請求項8に記載の浄化方法。
【請求項11】
前記被浄化物が、オゾンでは分解され難い難分解性物質である、請求項8に記載の浄化方法。
【請求項1】
水を含む溶液が収容される反応容器と、
上記反応容器に配設されてガスを搬送するためのガス搬送管と、
上記ガス搬送管にガスを供給するガス供給部と、
上記反応容器内に配設される陽極電極と、
上記ガス搬送管内に配設される陰極電極と、
電源部と、
を備え、
上記ガス搬送管は、複数の微小孔を有しており、
上記微小孔を介して上記溶液中に大気圧以上のガスの気泡を発生し、該気泡内のガスが放電することにより上記溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルと共にマイクロバブルを発生させる、ラジカル発生装置。
【請求項2】
前記ガス搬送管は、軸方向に複数の微小孔を備えている、請求項1に記載のラジカル発生装置
【請求項3】
前記ガス搬送管を複数備えている、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項4】
前記複数のガス搬送管における前記気泡の噴出方向が、該ガス搬送管の軸方向に垂直な面内で互いに異なっている、請求項3に記載のラジカル発生装置。
【請求項5】
前記電源部は、パルス電源である、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項6】
前記電源部は、交流電源である、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項7】
前記ガスは、酸素又は酸素を含むガスであり、さらに前記溶液中にオゾンを発生させる、請求項1に記載のラジカル発生装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のラジカル発生装置を用いた浄化方法であって、
水と被浄化物とが含まれている溶液を前記反応容器に導入し、
前記ガス搬送管に前記ガス供給部からガスを供給して、前記微小孔から前記溶液中に大気圧以上の前記ガスの気泡を発生し、
前記陽極電極と前記陰極電極との間に電圧を印加して前記気泡内のガスを放電し、該放電の後の該気泡から前記マイクロバブルを発生し、かつ、前記溶液中にOラジカル及び/又はOHラジカルを発生し、
前記Oラジカル及び/又はOHラジカルと前記マイクロバブルとによって前記被浄化物を分解する、浄化方法。
【請求項9】
前記ガスを、アルゴン、酸素、空気の何れかとする、請求項8に記載の浄化方法。
【請求項10】
前記ガスを、酸素又は酸素を含むガスとし、このガスからさらにオゾンを発生して前記被浄化物を分解する、請求項8に記載の浄化方法。
【請求項11】
前記被浄化物が、オゾンでは分解され難い難分解性物質である、請求項8に記載の浄化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−86072(P2013−86072A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231755(P2011−231755)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年4月22日 一般社団法人日本機械学会東北支部発行の「日本機械学会東北支部 第46期総会・講演会 講演論文集 No.2011−1」に発表
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年4月22日 一般社団法人日本機械学会東北支部発行の「日本機械学会東北支部 第46期総会・講演会 講演論文集 No.2011−1」に発表
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
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