説明

ラック・ピニオン駆動方式によるモノレールカーのトラバーサ装置及び離合システム

【課題】ラック・ピニオン駆動方式で走行するモノレールカーを本線レールから分岐した分岐レールを走行させることができるトラバーサ装置及び離合システムを提供すること。
【解決手段】本線レール91,92を走行する走行車両11を、台車30を往復動させることにより、台車上本線レール46を通してそのまま本線レール92を走行、又は台車上分岐レール47を通して本線レール91から分岐させた分岐レール102を走行させるトラバーサ装置10であって、台車上本線レール46及び台車上分岐レール47は、それぞれ本体レール48と本線レール91側に所定長さに分断されたスライドレール45a,45bとを具備し、スライドレール45a,45bは、本線レール91と端面52a,52b同士が接合するまで移動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラック・ピニオン駆動方式により走行可能とするモノレールカーのトラバーサ装置及びそのトラバーサ装置を含む離合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばタイヤ走行式モノレールカーにおいては、分岐方法として関節式分岐方法が技術的に確立されている(特許文献1に記載)。この関節式分岐方法とは、所定長さを有する複数の分岐桁が直列に接続されており、各分岐桁の可動により一方の桁から他方の桁に連結可能としている。
【0003】
これに対して、例えば特許文献2に記載のように、ラック・ピニオン駆動方式で走行させるモノレールカーは、レールにラックと給電線を併設しているため、関節式分岐方法では連結部でのラック及び給電線の連結ができない。このため、上記のような関節式分岐方法を採用することができない。したがって、ラック・ピニオン駆動方式で走行させるモノレールカーでは、実用的に特殊な方法及び工夫が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−070638号公報
【特許文献2】特開2001−048009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記ラック・ピニオン駆動方式のモノレールカーが走行するレールは、金属製のものを使用している。金属製のレールは、気温の変化により伸縮するため、分割された各連結部において膨張又は収縮する。
【0006】
このレールの伸縮によりレール間の隙間が大きくなったり、又はレールの膨張により膨張代がない場合連結部の両端同士による反りが生じたりするおそれがある。この結果、走行車両が連結部を走行するときに異音や振動が発生してしまうおそれがある。
【0007】
この発明は、ラック・ピニオン駆動方式で走行するモノレールカーを本線レールから分岐した分岐レールを走行させることができるトラバーサ装置及びそのトラバーサ装置を含む離合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)そこで、本発明では、走行車両の走行方向に敷設された本線レールを横切って往復動する台車を備え、同台車上に台車上本線レールと台車上分岐レールとを備え、本線レールを走行する走行車両を、台車を往復動させることにより、台車上本線レールを通してそのまま本線レールを走行、又は台車上分岐レールを通して本線レールから分岐させた分岐レールを走行させるトラバーサ装置であって、台車上本線レール及び台車上分岐レールは、それぞれ本体レールと本線レール側に所定長さに分断されたスライドレールとを具備し、スライドレールは、本線レールと端面同士が接合するまで移動可能に設けられたことを特徴とする。
【0009】
(2)また、本発明では、(1)において、スライドレールと本体レールとは、走行車両の車輪載置面の面積が連結部に向かって漸次小さく形成された連結端面をそれぞれ有し、所定隙間を有して連結端面を突き合わせ状態で連結させることを特徴とする。
【0010】
(3)また、本発明では、(1)又は(2)において、台車上本線レールと本線レール、又は台車上分岐レールと分岐レールとは、各連結部において、それぞれレールの長さ方向に対して斜めに形成された連結端面を所定間隙を有して突き合わせ状態で連結させることを特徴とする。
【0011】
(4)また、本発明では、(1)〜(3)のいずれかにおいて、各レールには走行車両の走行方向にラックが配設され、各連結部には異形のラックを配設したことを特徴とする。
【0012】
(5)また、本発明では、(1)〜(4)のいずれかにおいて、各レールには走行車両の走行方向に複数本の給電線が配設され、各連結部には各給電線の端部を固定する給電線端部固定金具を配設したことを特徴とする。
【0013】
(6)また、本発明では、(1)〜(5)のいずれかにおいて、台車は、本線レール若しくは分岐レールと、台車上本線レール若しくは台車上分岐レールとのそれぞれ連結の位置合わせする位置合わせ鎖錠装置を具備することを特徴とする。
【0014】
(7)また、本発明では、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のトラバーサ装置を含み、同第1トラバーサ装置を介して、本線レールを走行する走行車両を、そのまま本線レールを走行、又は本線レールから分岐させた分岐レールを走行させ、その後、本線レール又は分岐レールを走行させた走行車両を第2トラバーサ装置を介して本線レールを走行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
(1)請求項1に記載の発明にあっては、本線レールとスライドレールとの接合部において、気温の変化によりレールが膨張・収縮しても、台車上本線レール及び台車上分岐レールは、本線レールとの連結部側に所定長さに分断されたスライドレールを本線レールに接合させるように移動させるので、本線レールと台車上本線レール及び台車上分岐レールとの接合を確実にすることができ、接合部での隙間を無くすことで異音や振動を減らすことができ、乗り心地が改善される。
【0016】
(2)また、請求項2に記載の発明にあっては、上記のようにスライドレールを移動させることによりスライドレールと本体レールとの連結部には多少の隙間が生じるが、連結部において車輪をいずれかのレールの車輪載置面に接地させることができる。したがって、走行車両が隙間のある連結部を走行するときでも、走行時の異音や振動を発生させることを少なくすることができる。
【0017】
(3)また、請求項3に記載の発明にあっては、台車上本線レールと本線レール、又は台車上分岐レールと分岐レールとの間に多少の隙間を生じた場合でも、連結部において車輪をいずれかのレールの車輪載置面に接地させることができる。したがって、走行車両が隙間のある連結部を走行するときでも、走行時の異音や振動を発生させることを少なくすることができる。
【0018】
(4)また、請求項4に記載の発明にあっては、各レールには走行車両の走行方向にラックを配設し、本線レール若しくは分岐レールと、台車上本線レール若しくは台車上分岐レールとの各連結部において、異形のラックを配設しているので、ラックが気温の変化によって伸縮してもピニオンと円滑に噛み合わせることができる。
【0019】
(5)また、請求項5に記載の発明にあっては、各レールには走行車両の走行方向に複数本の給電線が配設され、各連結部には各給電線の端部を固定する給電線端部固定金具を配設しているので、連結部を車両が通過するときに集電子が給電線から離脱しないで確実に、しかも、円滑に車両が集電できる。
【0020】
(6)また、請求項6に記載の発明にあっては、上記台車は、本線レール若しくは分岐レールと、台車上本線レール若しくは台車上分岐レールとのそれぞれ連結部において連結の位置合わせする位置合わせ鎖錠装置を具備するので、その位置合わせ鎖錠装置により、本線レール若しくは分岐レールと、台車上本線レール若しくは台車上分岐レールとのそれぞれ連結の位置合わせ鎖錠を行うと共に、スライドレールの揺動を固定することができる。
【0021】
(7)また、請求項7に記載の発明にあっては、第1トラバーサ装置と第2トラバーサ装置との間に複線の走行領域を形成することでその他の領域では単線のレールで構成することができ、これにより、全線単線の走行領域に比べて、輸送量を大幅にアップすることができ、複線化や走行車両の大型化に比べて安い建設費で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態におけるトラバーサ装置の主要な構成を示す側面図である。
【図2】本実施形態におけるトラバーサ装置の主要な構成を示す平面図である。
【図3】本実施形態におけるトラバーサ装置の主要な構成を示す正面図である。
【図4】本実施形態におけるトラバーサ装置の台車及び台車を駆動させる駆動モータの構成を示す側面図である。
【図5】本実施形態におけるトラバーサ装置の台車及び台車を駆動させる駆動モータの構成を示す正面図である。
【図6】本実施形態におけるトラバーサ装置の下流側本線レールと台車上本線レールとの接合部の構成を示す平面図である。
【図7】本実施形態におけるトラバーサ装置の下流側本線レールと台車上分岐レールとの接合部の構成を示す平面図である。
【図8】本実施形態におけるトラバーサ装置の上流側本線レールと台車上本線レールとの連結部の構成を示す平面図である。
【図9】本実施形態におけるトラバーサ装置の上流側分岐レールと台車上分岐レールとの連結部の構成を示す平面図である。
【図10】本実施形態におけるトラバーサ装置の下流側本線レールとスライドレールとの接合部のラックの形状を示す側面図である。
【図11】本実施形態におけるトラバーサ装置のスライドレール移動体の構成を示す側面図である。
【図12】本実施形態におけるトラバーサ装置のスライドレール移動体の構成を示す正面図である。
【図13】本実施形態におけるトラバーサ装置の往復動する台車の状態を示す平面図である。
【図14】本実施形態におけるトラバーサ装置の下流側本線レールにスライドレールが接合された状態を示す平面図である。
【図15】本実施形態におけるトラバーサ装置の下流側本線レールとスライドレールとの接合が解除された状態を示す平面図である。
【図16】本実施形態におけるトラバーサ装置の走行車両の落下防止の構造を示す側面図である。
【図17】本実施形態における中間離合式の離合システムの構造を示す平面図である。
【図18】本実施形態における中間離合式の離合システムの構造を示す側面図である。
【図19】本実施形態における中間にプラットホームを設置した離合システムの構造を示す平面図である。
【図20】本実施形態における中間にプラットホームを設置した離合システムの構造を示す側面図である。
【図21】本実施形態における分岐レールの上流に車庫を設置した離合システムの構造を示す平面図である。
【図22】本実施形態における分岐レールの上流に車庫を設置した離合システムの構造を示す側面図である。
【図23】本実施形態における連結部における給電線の構造を示す正面図である。
【図24】本実施形態における連結部における給電線の構造を示す底面図である。
【図25】本実施形態における連結部における給電線の構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るトラバーサ装置は、走行車両の走行方向に敷設された本線レールを横切って往復動する台車を備え、同台車上に台車上本線レールと台車上分岐レールとを備え、本線レールを走行する走行車両を、台車を往復動させることにより、台車上本線レールを通してそのまま本線レールを走行、又は台車上分岐レールを通して本線レールから分岐させた分岐レールを走行させるトラバーサ装置である。
【0024】
すなわち、本実施形態に係るトラバーサ装置は、走行車両の走行方向に敷設された本線レールを横切るように往復動する台車が設けられている。台車を往復動する駆動装置としては、電動モータの駆動軸に配設したピニオンを回転自在に構成し、そのピニオンと噛合するラックを台車本体に配設している。
【0025】
台車上には、台車上本線レール及び台車上分岐レールが配設されている。台車上本線レールは一本であるが、台車上に配設する台車上分岐レールの本数は、一本でも複数本でもよい。
【0026】
そして、特徴的構造として、台車上本線レール及び台車上分岐レールは、それぞれ本体レールと本線レールとの連結部側に所定長さに分断されたスライドレールを具備し、同スライドレールは、本線レールと接合するまで移動可能に設けられている。
【0027】
すなわち、台車上本線レール及び台車上分岐レールは、気温の変化によってレールが伸縮しても、スライドレールは、本線レールと接合するまで移動可能に設けられているので、スライドレールと本線レールとが隙間なく接合され、その連結部を走行車両が通過するときの異音や振動を抑制するようにしている。
【0028】
また、特徴的構造として、スライドレールと本体レールとは、走行車両の車輪載置面の面積が連結部に向かって漸次小さく形成された連結端面をそれぞれ有し、所定隙間を有して連結端面を突き合わせ状態で連結させている。
【0029】
上記スライドレールの移動に伴い、スライドレールと台車上本線レールの本体レールとに隙間が生じるが、走行車両の車輪載置面の面積が各連結部に向かってそれぞれ漸次小さく形成されているので、走行車輪をいずれかのレールの車輪載置面に載置させることができる。
【0030】
ここで、走行車両の車輪載置面の面積が各連結部に向かってそれぞれ漸次小さく形成されているとは、例えば、車輪載置面の面積が各連結部に向かって平面視先細り形状、又は連結部に向かって中央部端面が凹型若しくは凸型に形成されていることをいう。
【0031】
さらに、特徴的構造として、台車上本線レールと本線レール、又は台車上分岐レールと分岐レールとは、各連結部において、それぞれレールの長さ方向に対して斜めに形成された連結端面を所定間隙を有して突き合わせ状態で連結させている。
【0032】
また、上記トラバーサ装置を含み、本線レールを走行する走行車両を、第1トラバーサ装置を介して、そのまま本線レールを走行、又は分岐レールに分岐させて走行させ、その後、走行車両を第2トラバーサ装置を介して本線レールを走行させる。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。まず、ラック・ピニオン駆動方式のモノレールカー11及びそのモノレールカー11が走行するレール構造について説明する。
【0034】
[走行車両の構成]
走行車両としての斜面走行式のモノレールカー11は、図1〜図3に示すように、減速電動機15に連動連結した車両用ピニオン20と車両用ラック18との機構を介して、敷設された本線レール91,92上を走行する。モノレールカー11は、車体が上部車両12と下部車両13とで構成される。
【0035】
上部車両12は、人員を搭乗させるキャビン14を備えた走行車両である。下部車両13は、本線レール91,92に沿って走行する減速電動機15を有する走行車両である。下部車両13には、本線レール91,92の上方から当接するように走行車輪16が走行方向に2個配設されている。
【0036】
また、本線レール91,92の左右側方から当接するように車両用サイドローラ17が複数個配設されている。さらに、図3に示すように、減速電動機15には、レールに付設した車両用ラック18に噛合させる車両用ピニオン20が設けられている。
【0037】
このようにして、モノレールカー11は、走行車輪16、車両用サイドローラ17及び車両用ピニオン20により走行するようにしている。また、減速電動機15は、車両用ピニオン20等を駆動させる構成となっている。
【0038】
[本線レールの構成]
本線レール91,92は、基本形態として、断面視略正方形の上下角パイプ21,22を、ラチス構造の補強部材23を介して所定の上下間隔を保持し、走行方向に延伸させている。
【0039】
また、本線レール91,92は、レール支柱24等を介して地上から所定高さを有して配置されている。すなわち、地上に打設されたコンクリート台座25上にはレール支柱24が取り付けられ、その取り付けられたレール支柱24頭部にはレール載置台26が配設されている。そして、そのレール載置台26上に下角パイプ22の底部に取り付けたレール載置用脚部27を載置し、本線レール91,92を走行方向に延伸させている。
【0040】
本線レール91,92の上角パイプ21の下面には、歯を下方向に突出させた車両用ラック18が付設されている。また、本線レール91,92の上角パイプ21には、導体よりなる給電線28(図12に示す)を長手方向に延伸させている。
【0041】
[台車フレームの構成]
次に、トラバーサ装置10の構造について詳細に説明する。図1〜図3は、本発明に係るトラバーサ装置10の全体構造を示している。
【0042】
トラバーサ装置10は、H型鋼からなる複数個のフレームを連結して台車フレーム31が構成され、その台車フレーム31の下部に往復動車輪34を複数個取り付けることにより台車30を構成している。また、その台車30は、下流側本線レール91を横切るように地上に設置された台車レール39上を往復動可能としている。
【0043】
台車フレーム31は、図2に示すように、平面視で左右一対の縦フレーム32と、その左右の縦フレーム32間に上下及び中央に架設した横フレーム33とにより略枠形状に構成されている。
【0044】
縦フレーム32は1本のH型鋼で構成されると共に、横フレーム33は2本のH型鋼を1つの組として左右の縦フレーム32間に横架されている。また、上中下に配設された各横フレーム33間の中央には中央の縦フレーム80がそれぞれ架設され、さらに横フレーム33と縦フレーム32との間に複数個の強化用のH型鋼81が配設されている。
【0045】
台車フレーム31には、往復動車輪34が各横フレーム33の下方に左右及び中央に計9箇所取り付けられている。往復動車輪34は、図4に示すように、台車フレーム31の横フレーム33の底部より下方に2つの車輪支持部35を突出させ、その左右の車輪支持部35間に往復動車輪34を回転自在に配設している。
【0046】
図2に示すように、地上にはコンクリートを打設した台車レール用台座38が平面視左右方向に3列構成で配設されている。そして、その打設された台車レール用台座38上には本線レール91,92を横切るように台車レール39が敷設され、その台車レール39上に台車フレーム31に取り付けられた往復動車輪34が載置されている。なお、台車レール39は通常の鉄道車両の走行する型と同じものを用いてもよい。台車レール39の両端部には、台車止めとしての台車用ゴムダンパ29が配設されている。
【0047】
また、図4及び図5に示すように、台車フレーム31下方の地上には、台車30が本線レール91,92を横切るように往復動可能とする台車用駆動モータ40が固設されている。台車用駆動モータ40は、地上に固設されたコンクリート台座25上に取り付けられ、回転軸42の先端には台車用ピニオン43が取り付けられている。
【0048】
さらに、図2に示すように、右側の縦フレーム32と中央の縦フレーム80との間に縦フレーム32よりも形状が小さいH型鋼からなるラック取付用フレーム37が横架されている。そのラック取付用フレーム37の底部には所定歯を有する台車用ラック41が左右方向に形成されている。その台車用ラック41には上記台車用ピニオン43が噛合わされている。
【0049】
そして、台車用駆動モータ40を回転させると、その回転軸42の先端に設けた台車用ピニオン43を回転させることができ、その台車用ピニオン43に噛合わされた台車用ラック41により、台車30を左右方向に往復移動自在に構成することができる。このようにして、トラバーサ装置10の台車30を本線レール91,92に対して横切るように往復動可能とすることができる。
【0050】
さらに、図1に示すように、台車フレーム31上には油圧ユニット44が載置されている。油圧ユニット44は、スライドレール移動体61a,61bの可動、位置合わせ鎖錠装置69a、69b,69c、69dの駆動を制御する。
【0051】
[台車上本線レール及び台車上分岐レールの構造]
トラバーサ装置10の台車フレーム31上には、台車上本線レール46と台車上分岐レール47とが取り付けられている。すなわち、図1に示すように、台車フレーム31上の横フレーム33上にはレール支柱24が取り付けられ、その取り付けられたレール支柱24頭部にレール載置台26を配設し、レール載置台26に台車上本線レール46及び台車上分岐レール47の底部に配設された複数個のレール載置用脚部27が載置されている。
【0052】
なお、台車上本線レール46及び台車上分岐レール47は、本線レール91、92と同様に、上下角パイプ21,22を、ラチス構造の補強部材23を介して、所定の上下間隔を有して走行方向に延伸させている。
【0053】
そして、トラバーサ装置10の往復動により、下流側本線レール91上を走行してきたモノレールカー11を、台車上本線レール46又は台車上分岐レール47のいずれかに分岐させて上流側に走行させる。
【0054】
また、図6及び図7に示すように、台車上本線レール46及び台車上分岐レール47は、それぞれ本体レール48a,48bと、下流側本線レール91側に所定長さに分断されたスライドレール45a,45bとを具備している。
【0055】
このスライドレール45a,45bの移動調整により、気温の変化による台車上本線レール46及び台車上分岐レール47の伸縮の影響を適切に調節することができ、又、スライドレール45a,45bと下流側本線レール91との接合部51の接合面の形状をレールの長さ方向に対して垂直な平面接合端面とし、反対側のスライドレール45a,45bと本体レール48a,48bとの連結部53の接合面の形状については平面視凹凸状とした山形接合端面とすることにより、トラバーサ装置10の台車30の往復動を可能とすると共に、接合部51及び連結部53での車両通過時の振動及び異音を抑制することができる。以下において、さらに詳しく説明する。
【0056】
下流側本線レール91の上下角パイプ21,22は、上流側端面がレールの長さ方向に対して垂直な接合端面52aを有する。これに対して、スライドレール45a,45bも下流側端面がレールの長さ方向に対して垂直な接合端面52bを有する。そして、本実施例では、接合部51において、下流側本線レール91に、スライドレール45a,45bを移動させて接合端面52a,52b同士を接合するようにしている。
【0057】
このようにすることで、接合時には車両が連結部を通過する時には振動・異音が抑制され、スライドレール45a,45bを本体レール48a,48b側に移動させて、スライドレール45a,45bと下流側本線レール91とに隙間を設けることによりトラバーサ装置10の台車30を往復動可能とすることができる。
【0058】
また、スライドレール45a,45bは、本体レール48a,48bとの連結部53において、車輪載置面60が中央部を上流側方向に向かって凹状に形成された連結端面54aを有する。これに対して、本体レール48a,48bは、スライドレール45a,45bとの連結部53において、車輪載置面60の中央部が下流側に凸状に形成された連結端面54bを有する。そして、スライドレール45a,45bと本体レール48a,48bとは、所定隙間を有して連結端面54a、54b同士を突き合わせた状態で連結させている。
【0059】
一方、台車上本線レール46と上流側本線レール92との連結部55では、それぞれレールの長さ方向に対して斜めに切断されたように形成された連結端面56a,56bを有している。すなわち、図8に示すように、台車上本線レール46の車輪載置面60が上流側の方向に、上流側本線レール92の車輪載置面60は下流側の方向に突出するように上下角パイプ21,22の端面が形成されている。
【0060】
そして、台車上本線レール46と上流側本線レール92とは、連結部55において、斜めに形成された連結端面56a、56b同士を所定間隙を有して突き合わせ状態で連結させている。
【0061】
また、図9に示すように、台車上分岐レール47と上流側分岐レール102との連結部57においても、そのレールの長さ方向に対して斜めに切断されたような連結端面58a、58bが形成され、連結端面58a、58b同士を所定間隙を有して突き合わせ状態で連結させている。
【0062】
なお、台車上本線レール46と上流側本線レール92との連結部55、台車上分岐レール47と上流側分岐レール102との連結部57とでは、斜めに突き合わせする方向がトラバーサ装置10の台車30が往復動する関係上逆の関係になっている。
【0063】
さらに、図10に示すように、下流側本線レール91と台車上本線レール46若しくは台車上分岐レール47との接合部51、さらに上流側本線レール92と台車上本線レール46との連結部55、上流側分岐レール102と台車上分岐レール47との連結部57では、接合又は連結されるそれぞれのレールに、接合面または連結面より数十センチ程度の所定の長さだけ異形の車両用ラック18を配設している。これにより、接合部51又は連結部55、57において、気温の変化によりレールが伸縮し、それぞれのレールに配設した異形の車両用ラック18の接合部51の間隔あるいは連結部55,57の間隔が変化しても、車両用ピニオン20とは円滑な噛み合いが可能となるようにしている。
【0064】
さらに、図12に示すように、各レールには走行車両の走行方向に複数本の給電線28が配設されている。この給電線28は下流側本線レール91と台車上本線レール46若しくは台車上分岐レール47との接合部51、さらに、上流側本線レール92と台車上本線レール46との連結部55、上流側分岐レール102と台車上分岐レール47との連結部57が切断されているので、接合部51さらに、連結部55,57では給電線28の断線部分が生じている。
【0065】
そのため、接合部51あるいは連結部55、57における各断線部分で給電線28の端部の位置がずれた場合に、車両に付属した給電線28に接触して摺動する集電子117が接合部51あるいは連結部55、57で給電線28から離脱し、モノレールカー11の円滑な走行が妨げられる。そこで、本実施形態では、図23〜図25に示すように、接合部51等で各給電線28の端部の位置がずれないように給電線端部固定金具110を取り付け、モノレールカー11が通過するときに集電子117が給電線28から離脱しないで確実に、しかも円滑にモノレールカー11が集電できるようにしている。
【0066】
給電線端部固定金具110は、各レールの側方でモノレールカー11の走行方向に延伸された給電線固定用レール113に固設される支持片111と、給電線28の端部を上方から固定する固定片112とからなる。支持片111は、絶縁体114と留め具115とを介してボルト119で3本の給電線28を支持している。また、固定片112は、各給電線28の端部に配設されたガイドキャップ116をボルト123で固定している。
【0067】
このように、給電線端部固定金具110が給電線28の端部を固定することにより、各給電線28が端部において位置ずれしないようにし、接合部51等をモノレールカー11が通過する時に集電子117が給電線28から離脱しないで円滑な走行と確実な給電を行うようにしている。また、接合部51等において、給電線28が断線していても、車両に付属する集電子117は、断線部118の長さより十分に長いものを使用しているので、接合部51等において集電子117が給電線28から離脱して給電が停止することはない。
【0068】
さらに、本実施例では、台車上本線レール46及び台車上分岐レール47の一部を構成するスライドレール45a,45bを、スライドレール移動体61a,61bにより移動させて、下流側本線レール91に接合させることにより、接合部51での隙間を無くすようにしているので、モノレールカー11が接合部51を通過するときに、異音や振動が生じにくい構造としている。以下、スライドレール移動体61a,61bの構成について詳細に説明する。
【0069】
[スライドレール移動体61a,61bについて]
スライドレール移動体61a,61bの構成について説明する。スライドレール移動体61a,61bは、図11、図12、図14及び図15に示すように、台車フレーム31上の下流側本線レール91側に略箱形状を有する固定枠体62を固設している。
【0070】
その固定枠体62内下部に2つの受けローラ軸受63を前後に2組固設している。そして、その2つの受けローラ軸受63間に受けローラ65を回転自在に枢支している。
【0071】
また、スライドレール45a,45bは、本線レール91,92の上下角パイプ21,22と同形状の角鋼121,122を、補強部材124を介して所定の上下間隔を保持した状態で走行方向に延伸させて配置され、そのスライドレール45a,45bの下角鋼122の底部には板状の揺動支持部材66を配置して上角鋼から底部揺動支持部材を一体化して配設されている。そして、角鋼121,122の端部は、焼入れ処理により硬くして、磨耗に対する強度を強化している。
【0072】
そして、大きく形成された受けローラ65の上部に上記揺動支持部材66を揺動自在に載置し、スライドレール45a,45bが固定枠体62内において揺動自在に構成している。
【0073】
また、上記固定枠体62の側方からガイドローラ取付部材67を配設し、そのガイドローラ取付部材67に取り付けたスライドレール用ガイドローラ68を揺動支持部材66の側壁部に当接するように構成している。スライドレール用ガイドローラ68は前後上下左右に8個配設されている。これにより、揺動支持部材66が本線レールの接合端面に向かって移動することにより、スライドレール45a,45bの接合端面が当接して接合できるようにしている。
【0074】
[位置合わせ鎖錠装置の構成]
次に、位置合わせ鎖錠装置69a、69bの構成について説明する。図6及び図7に示すように、上記揺動支持部材66の側方には位置合わせ鎖錠装置69a、69bが配設されている。位置合わせ鎖錠装置69a、69bは、シリンダ本体72が固定枠体62内の壁体84に取付部材85を介して固設され、そのシリンダ本体72に連結したシリンダロッド70をシリンダロッドスライドガイド64を介して下流側本線レール91の方向に滑動可能としている。
【0075】
シリンダロッド70には、その先端側に板状の前当接部材74を配設すると共に、その基端側に後当接部材75を配設している。また、前当接部材74と後当接部材75との間には揺動支持部材66の右側壁面(分岐レール側は左側側面)から側方に突出させた略板状の揺動作用部材76を設け、シリンダロッド70は揺動作用部材76の先端側の貫通孔に挿通させている。
【0076】
さらに、図1に示すように、下流側本線レール91を支持するレール支柱24の中途部には取付ブラケット59が取り付けられ、その取付ブラケット59上にはシリンダロッド70の先端部を嵌入させる凹み形状の位置決め固定部73が設けられている。そして、シリンダロッド70の先端部71を位置決め固定部73に嵌入させることにより、スライドレール45a,45bと下流側本線レール91との連結の位置決めを固定するようにしている。
【0077】
さらに、図8及び図9に示すように、上流側本線レール92と台車上本線レール46との連結部55、上流側分岐レール102と台車上分岐レール47との連結部57にも位置合わせ鎖錠装置69c、69dが配設されている。
【0078】
[離合方法について]
次に、トラバーサ装置10でのモノレールカー11の離合方法について説明する。
【0079】
図13上段に示すように、下流側本線レール91を通して走行してきたモノレールカー11はトラバーサ装置10に進出する。次いで、トラバーサ装置10に進出したモノレールカー11は台車上分岐レール47上を通過する。この後、モノレールカー11は台車上分岐レール47から上流側分岐レール102を走行する。
【0080】
また、図13下段に示すように、下流側本線レール91を通して走行してきたモノレールカー11はトラバーサ装置10に進出する。次いで、トラバーサ装置10に進出したモノレールカー11は台車上本線レール46上を通過する。この後、モノレールカー11は台車上本線レール46から上流側本線レール92を走行する。
【0081】
台車上本線レール46から台車上分岐レール47への切り替え、又は台車上分岐レール47から台車上本線レール46への切り替えは、トラバーサ装置10の台車30の往復動により行う。
【0082】
具体的には、台車上分岐レール47から台車上本線レール46側への切り換えを例にすると、まず、台車上分岐レール47のスライドレール45bと下流側本線レール91との接合が解除される。なお、具体的な接合の解除方法は詳細に後述する。
【0083】
この後、図13に示すように、台車30を平面視上方の方向に往動させる。すなわち、台車フレーム31の台車用駆動モータ40を駆動させ、台車フレーム31に設けた台車用ラック41と噛合された台車用ピニオン43の回転により、台車フレーム31を滑動させる。そして、台車上本線レール46が下流側本線レール91と位置合わせできるまで台車30を移動させる。
【0084】
台車30は、最初ゆるやかに移動を開始し、その後、やや速度を速めた状態で移動し、本線レール91,92とスライドレール45a,45bとの位置合わせ付近においてはスピードを遅くして位置合わせするようにしている。また、そのように駆動するように、台車用駆動モータ40の台車用ピニオン43の回転速度を制御している。
【0085】
台車30を往動させた後、スライドレール移動体61aにより、スライドレール45aの下流側の接合端面52bを本線レールの上流側の接合端面52aに接合させる。すなわち、図14に示すように、位置合わせ鎖錠装置のシリンダ本体72からシリンダロッド70を前方に進出させると、シリンダロッド70の基端部に配設された後当接部材75が前方に進出して揺動作用部材76を押し出す。これにより、下流側本線レール91及びスライドレール45aの端面同士が接合するまで、揺動作用部材76を支持している揺動支持部材66が受けローラ65上で前方に移動する。
【0086】
下流側本線レール91の接合端面52aとスライドレール45aとの接合端面52bが接合した後、シリンダロッド70はさらに前方に進出する。そして、シリンダロッド70は、レール支柱24上に固設された位置決め固定部73にその先端部71を嵌め込むようにしている。これにより、下流側本線レール91と台車上本線レール46との連結の位置合わせ鎖錠を行うと共に、スライドレール45aの揺動を固定することができる。
【0087】
この結果、台車上本線レール46のスライドレール45aは、接合部51において、下流側本線レール91と隙間なく接合させることができる。そして、下流側から走行してきたモノレールカー11は、トラバーサ装置10上の台車上本線レール46を通して、上流側本線レール92上を走行する。
【0088】
次に、台車上本線レール46から台車上分岐レール47に切り替えるときは、スライドレール45aと下流側本線レール91との接合の解除を行う。解除の方法は以下の通りである。
【0089】
すなわち、図15に示すように、位置合わせ鎖錠装置69aのシリンダロッド70を後方に戻して、シリンダロッド70の先端側に取り付けた前当接部材74の後端面の当接により揺動作用部材76を後方に戻す。これにより、揺動作用部材76を支持している揺動支持部材66が受けローラ65上で後方に移動し、結果的に揺動支持部材66上に位置するスライドレール45aも後方に移動することで台車上本線レール46側のスライドレール45aと下流側本線レール91との接合が解除される。
【0090】
この後、台車30の複動方向が前記往動方向とは逆である以外は、上述のような同じ動作を行い、スライドレール移動体61bにより、台車上分岐レール側のスライドレール45bと下流側本線レール91が接合される。以上のように、スライドレール45a,45bを下流側本線レール91に隙間なく接合させることができるので、気温の変化に応じてレールが膨張・収縮した状態でも、モノレールカー11がこれらの接合部51を通るときに異音や振動が生じにくい。
【0091】
また、スライドレール45a,45bは、台車上本線レール46の本体レール48a又は台車上分岐レール47の本体レール48bとの連結部53において、車輪載置面60の端面が平面視して凹形状、又は凸形状にしたものを対向させて配設しているので、連結部53におけるレールが気温により膨張・収縮して変化してレール間に隙間が生じても、走行車輪16はいずれかの車輪載置面60に接地させることができ、モノレールカー11が連結部53を走行する時に異音や振動が生じにくい。
【0092】
さらに、台車上本線レール46と上流側本線レール92、又は台車上分岐レール47と上流側分岐レール102とは、各連結部55,57において、それぞれレールの長さ方向の平面視して斜めに形成された連結端面を所定間隙を有して突き合わせ状態で連結させているので、連結部55,57において走行車輪16をいずれかのレールの車輪載置面60に接地させることができる。したがって、モノレールカー11が隙間のある連結部55,57を走行するときでも、走行時の異音や振動を発生させることを少なくすることができる。っ平面視
【0093】
[落下防止について]
図3及び図16に示すように、台車上本線レール46の上流側端部と台車上分岐レール47の上流側端部との間であって、台車フレーム31の上流側の横フレーム33上には落下防止柱77が鉛直方向に立設され、その落下防止柱77の頭部にダンパ取付部材79を介して車両用ゴムダンパ78を取り付けている。
【0094】
そして、図2及び図16に示すように、台車上分岐レール47と上流側分岐レール102とが連結された状態において、モノレールカー11は、誤って上流側本線レール92を通して進入しても、上記車両用ゴムダンパ78により停止させ、トラバーサ装置10の台車フレーム31上に落下しないようにしている。
【0095】
[離合システム]
次に、上記構造を有するトラバーサ装置10を含む離合システムについて図17〜図22を参照して説明する。
【0096】
まず、図17及び図18に示すように、第1の離合システムでは、トラバーサ装置10a、10bをモノレールカー11の走行方向の上流側と下流側とにそれぞれ配設することにより、その下流側の第1トラバーサ装置10aと上流側の第2トラバーサ装置10bとの間に中間離合地域Mを設置している。
【0097】
そして、下流側より走行してきたモノレールカー11は、下流側の第1トラバーサ装置10aを走行するとき、その第1トラバーサ装置10a上の台車上分岐レール47を通過するようにしている。
【0098】
一方、上流側より走行してきたモノレールカー11は、上流側の第2トラバーサ装置10bを走行するとき、その第2トラバーサ装置10b上の台車上本線レール46を通過するようにしている。そして、各モノレールカー11は、離合部複線レール93a,93b上の中間離合地域Mで離合するようにしている。
【0099】
この後、下流側のモノレールカー11が上流側の第2トラバーサ装置10bを通過する前に、第2トラバーサ装置10bの台車30を移動させて、台車上分岐レール47を台車上本線レール46から切替えて上流側本線レール92と連結させることにより、下流側のモノレールカー11を上流側へ走行させるようにしている。
【0100】
また、上流側のモノレールカー11が下流側の第1トラバーサ装置10aを通過する前に、第1トラバーサ装置10aの台車30を移動させて、台車上本線レール46を台車上分岐レール47から切替えて下流側本線レール91と連結させることにより、上流側のモノレールカー11を下流側へ走行させるようにしている。
【0101】
このような離合システムを設置することにより以下の効果を奏することができる。すなわち、輸送量を大幅にアップすることができ、複線化やモノレールカー11の大型化に比べて安い建設費で実現することができる。
【0102】
また、モノレールカー11は自走式であるため、複数台のモノレールカー11の運行が可能であり、客数の少ない閑散期などは台数を減らして運行するなど集客数に応じた効率的な運営ができる。
【0103】
次に、中間地域にプラットホームNがある第2の離合システムについて説明する。図19及び図20に示すように、下流側の第1トラバーサ装置10aと上流側の第2トラバーサ装置10bとの間にはプラットホームNが配設されている。なお、この方式では上述した中間離合方式の離合システムに比べて、第1トラバーサ装置10aと第2トラバーサ装置10bとの間の距離は大きい。
【0104】
すなわち、図19に示すように、下流側からのモノレールカー11は、下流側の第1トラバーサ装置10aを走行する際、下流側本線レール91から第1トラバーサ装置10a上の台車上分岐レール47を通過する。そして、下流側からのモノレールカー11は、離合部複線レール93b上を走行してプラットホームNで停車可能としている。
【0105】
一方、上流側からのモノレールカー11は、上流側の第2トラバーサ装置10bを走行する際、上流側本線レール92から第2トラバーサ装置10b上の台車上本線レール46を通過する。そして、上流側からのモノレールカー11は、上下複線上の本線レール上を走行してプラットホームNで停車可能としている。
【0106】
そして、各モノレールカー11がプラットホームNに到着後、上流側のモノレールカー11が下流側の第1トラバーサ装置10aを通過する前に、第1トラバーサ装置10aの台車30を移動させて、台車上本線レール46を台車上分岐レール47から切替えて下流側本線レール91に連結させることにより、上流側からのモノレールカー11を下流側へ走行させるようにしている。
【0107】
また、下流側のモノレールカー11が上流側の第2トラバーサ装置10bを通過する前に、第2トラバーサ装置10bの台車30を移動させて、台車上分岐レール47を台車上本線レール46から切替えて本線レールに連結させることにより、下流側のモノレールカー11を上流側へ走行させるようにしている。
【0108】
このように、通常の本線レールが単線であっても、プラットホームNにおいて上り方向又は下り方向に走行するモノレールカー11を離合させることにより、単線の本線レール上を上り方向と下り方向にモノレールカー11を走行させることができる。
【0109】
最後に、車庫Oを備えた第3の離合システムについて説明する。すなわち、図21及び図22に示すように、トラバーサ装置10を介して上流側本線レール92はモノレールカー11が通常走行する本線レールとし、また、トラバーサ装置10を介して上流側分岐レール102にはモノレールカー11の基地となる車庫Oが配設されている。
【0110】
そのような構成において、上流側本線レール92より走行してきたモノレールカー11は、トラバーサ装置10の台車上本線レール46を介して下流側本線レール91上まで走行させ、その後、トラバーサ装置10の台車30を移動させて台車上本線レール46から台車上分岐レール47に切り替える。
【0111】
そして、下流側まで走行させたモノレールカー11を、トラバーサ装置10上の台車上分岐レール47及び上流側分岐レール102を通して車庫Oまで走行させるようにしている。そして、車庫Oにおいてモノレールカー11の整備を行うようにしている。
【0112】
このように、車庫Oを備えた離合システムでは、車庫Oの設置、予備車両の配置が可能となり、定期的に整備が実施でき、また、モノレールカー11が1台故障しても、運行を休止することなく安定輸送ができる。
【符号の説明】
【0113】
10 トラバーサ装置
10a 第1トラバーサ装置
10b 第2トラバーサ装置
11 モノレールカー
12 上部車両
13 下部車両
14 キャビン
15 減速電動機
16 走行車輪
17 車両用サイドローラ
18 車両用ラック
20 車両用ピニオン
21 上角パイプ
22 下角パイプ
23 補強部材
24 レール支柱
25 コンクリート台座
26 レール載置台
27 レール載置用脚部
28 給電線
29 台車用ゴムダンパ
30 台車
31 台車フレーム
32 縦フレーム
33 横フレーム
34 往復動車輪
35 車輪支持部
37 ラック取付用フレーム
38 台車レール用台座
39 台車レール
40 台車用駆動モータ
41 台車用ラック
42 回転軸
43 台車用ピニオン
44 油圧ユニット
45a,45b スライドレール
46 台車上本線レール
47 台車上分岐レール
48a,48b 本体レール
51 接合部
52a 接合端面
52b 接合端面
53 連結部
54a連結端面
54b 連結端面
55 連結部
56a 連結端面
56b 連結端面
57 連結部
58a 連結端面
58b 連結端面
59 取付ブラケット
60 車輪載置面
61a,61b スライドレール移動体
62 固定枠体
63 受けローラ軸受
64 シリンダロッドスライドガイド
65 受けローラ
66 揺動支持部材
67 ガイドローラ取付部材
68 スライドレールガイドローラ
69a,69b、69c、69d 位置合わせ鎖錠装置
70 シリンダヘッド
71 先端部
72 シリンダ本体
73 位置決め固定部
74 前当接部材
75 後当接部材
76 揺動作用部材
77 落下防止柱
78 車両用ゴムダンパ
79 ダンパ取付部材
80 中央の縦フレーム
81 H型鋼
84 壁体
85 取付部材
91 下流側本線レール
92 上流側本線レール
93a,93b 離合部複線レール
102 上流側分岐レール
110 給電線端部固定金具
111 支持片
112 固定片
113 給電線固定用レール
114 絶縁体
115 留め具
117 集電子
118 断線部
119 ボルト
121,122 角鋼
123 ボルト
M 中間離合地域
N プラットホーム
O 車庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両の走行方向に敷設された本線レールを横切って往復動する台車を備え、同台車上に台車上本線レールと台車上分岐レールとを備え、
本線レールを走行する走行車両を、台車を往復動させることにより、台車上本線レールを通してそのまま本線レールを走行、又は台車上分岐レールを通して本線レールから分岐させた分岐レールを走行させるトラバーサ装置であって、
台車上本線レール及び台車上分岐レールは、それぞれ本体レールと本線レール側に所定長さに分断されたスライドレールとを具備し、
スライドレールは、本線レールと端面同士が接合するまで移動可能に設けられたことを特徴とするトラバーサ装置。
【請求項2】
スライドレールと本体レールとは、走行車両の車輪載置面の面積が連結部に向かって漸次小さく形成された連結端面をそれぞれ有し、所定隙間を有して連結端面を突き合わせ状態で連結させることを特徴とする請求項1に記載のトラバーサ装置。
【請求項3】
台車上本線レールと本線レール、又は台車上分岐レールと分岐レールとは、各連結部において、それぞれレールの長さ方向に対して斜めに形成された連結端面を所定間隙を有して突き合わせ状態で連結させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトラバーサ装置。
【請求項4】
各レールには走行車両の走行方向にラックが配設され、各連結部には異形のラックを配設したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトラバーサ装置。
【請求項5】
各レールには走行車両の走行方向に複数本の給電線が配設され、各連結部には各給電線の端部を固定する給電線端部固定金具を配設したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のトラバーサ装置。
【請求項6】
台車は、本線レール若しくは分岐レールと、台車上本線レール若しくは台車上分岐レールとのそれぞれ連結の位置合わせする位置合わせ鎖錠装置を具備することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のトラバーサ装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のトラバーサ装置を含み、同第1トラバーサ装置を介して、本線レールを走行する走行車両を、そのまま本線レールを走行、又は本線レールから分岐させた分岐レールを走行させ、その後、本線レール又は分岐レールを走行させた走行車両を第2トラバーサ装置を介して本線レールを走行させることを特徴とする離合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−236625(P2011−236625A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108456(P2010−108456)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000140731)株式会社嘉穂製作所 (12)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【Fターム(参考)】