説明

ラック実装機器の位置情報管理システム

【課題】即効性に優れ、管理サーバ側の机上で、各社の電子機器の位置情報を読取ることができるようにする。
【解決手段】複数のラック及び電子機器の位置情報のデータベースを有する管理サーバと、この管理サーバと接続されたLANと、このLANに接続され、かつ複数のラックに搭載された複数の電子機器に対して所要の距離を有して配設された複数の送受信手段と、電子機器に取り付けられている送受信アンテナを有しID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグとから成り、送受信手段は、複数の電子機器IDタグに対応する各ラックに配設された上下方向のアンテナを含み、管理サーバは送受信手段から発信されるID要求無線信号及び電子機器IDタグからの応答無線信号並びにアンテナの位置情報を把握し、データベースの情報に基づき各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力するラック実装機器の位置情報管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データセンターに配設されたラック実装機器の位置情報を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
まず、特許文献1には、「ラック2と、前記ラックに貼り付けられ、前記ラックの情報が記憶されたラック情報RFIDタグ3と、前記ラックの機器取付部に対応するように貼り付けられ、前記対応する機器取付部の位置情報が記憶された位置情報RFIDタグ4(4a〜4f)と、前記ラック内に取り付けられる機器9に貼り付けられ、前記機器の個別情報が記憶された個別情報RFIDタグ5と、前記機器が取り付けられた前記機器取付部に対応する位置情報RFIDタグを覆うシールド手段6と、前記ラック情報RFIDタグ3の情報を読み取り、さらに前記個別情報RFIDタグ5の情報及び露出する前記位置情報RFIDタグ4の情報を配置順に読み取る読取手段7と、前記ラック情報RFIDタグの情報、及び前記個別情報RFIDタグの情報と前記位置情報RFIDタグの情報とに基づいて、前記ラックの機器収容情報を取得する端末8と、を備えるラック収容機器管理システム」が記載されている。
【0003】
この特許文献1は、いわゆる駅の改札の如く、各ラックにそれぞれ最接近して、各ラック内の各ICタグの情報を非接触方式(いわば非接触型の近距離)で読取るものであり、本願発明の如く、いわばトランシバー方式(無線)で実行するものではない(符号は特許文献1のもの)。
【0004】
次に、特許文献2には、「複数のラックを有し各ラックに複数の機器が搭載され、各ラックと機器について識別子を取得する方法において、特定の1つのラックに搭載される各機器に設けられたラック選択情報が常に選択状態に設定されており、管理サーバは、応答が返る最初のラックが前記特定のラックであることを期待して現在のラック識別子を当該特定のラックを示す最初の値に設定し、各ラックの各機器にその識別子を要求し、前記機器の各々は、前記識別子の要求に応答し、各々設けられた前記ラック選択情報の選択状態を検出した時点で当該機器の識別子を前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、応答のあった前記機器のネットワークアドレス、現在のラック識別子および当該機器の識別子をテーブルに登録し、前記管理サーバは、所定の時間経過後に、応答のあった機器に対し当該機器の隣に位置づけられるラックに搭載される各機器のラック選択情報を選択状態に変更するよう要求し、次のラックからの応答を期待して現在のラック識別子が次のラックの識別子を示すように更新し、前記ラック選択情報の変更要求に応答し、前記機器の各々は、隣のラックに搭載される各機器のラック選択情報を選択状態に設定するよう制御することを特徴とするラック搭載機器の管理方法」が記載されている。
【0005】
この特許文献2は、各機器を特定するために、論理識別子としてのアドレス、例えばNTT方式のプロトコル、日本電気方式のプロトコル、富士通方式のプロトコル、東芝方式のプロトコル等の識別情報と、既存のインターネット2と、各ラック3、4,5とをそれぞれ結ぶケーブル6、7等を必要とする(なお、NTT、富士通、東芝は、それぞれ登録商標である)。
【0006】
これに対して、本願発明は、既存のインターネット2、論理回路等を利用して各ラックの複数の機器を選択状態で特定付けるものではない(符号は特許文献2のもの)。
【0007】
さらに、特許文献3には、「単一又は複数の構成品が搭載される機器の構成認識システムであって、前記構成品にその構成情報を表示した表示部と、前記機器の筐体内に認識部及び制御部を備え、前記認識部は、前記構成品の前記表示部から前記構成情報を非接触で認識し、前記制御部は、前記認識部で認識された前記構成情報により前記構成品が正常であるか否かを判別しその判別情報を出力することを特徴とする機器の構成認識システム」が記載されている。
【0008】
この特許文献3は、「筐体8内の各機器に貼り付けられた各ICタグを有する情報を非接触状態で読取るものである。付言すると、特許文献3は、(a)まず、非接触認識部12がラック8内に配設されていること、(b)該特許文献に具体的な記載はないものの、ラック8内には、情報読取手段12をラックの上下方向に沿って移動させる駆動源・案内手段・移送手段が必要であること、(c)さらに、非接触認識部12としての情報読取手段には、機械装置等を使用して、数字、文字等が示す意味内容を一旦別の形(電流、磁力線、光線等)に変換し、変換されたものをなんらかの物理的、化学的変化(例えば残留磁気、静電容量に関する誘導率の変化、電気抵抗の変化、光線の透過率の変化等)として貯えることによって記録する方法(つまり、各種のリーダ)であると解釈される(符号は特許文献3のもの)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−205127号公報
【特許文献2】特開2008−3917号公報
【特許文献3】特許第4566999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明の所期の目的は、即効性に優れていると共に、管理サーバ側の机上で、各社の電子機器の位置情報を読取ることができるようにすることである。付言すると、広い床面積を有するデータセンター内に配設された複数のラックに支持されている複数の電子機器を、作業員が読み取り手段を持って、いわゆる駅の改札の如く各ラックに最接近して各ICタグの情報を読取らなくても、無線方式により、簡単、かつ広範囲に読取ることができることである。第2の目的は、管理サーバ側の複数の無線でもって、ラックに実装された複数の電子機器に対して、距離的に離れている広範囲から自動的に各ICタグの情報を読取ることである。その他、各社の電子機器を読取ることができること、災害時にも使用することができること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のラック実装機器の位置情報管理システムは、データセンターに配設された複数のラック及び電子機器の位置情報に関するデータベースを有する管理サーバと、この管理サーバと有線又は無線のいずれかで接続されたLANと、このLANに接続され、かつ前記複数のラックに搭載された複数の電子機器に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段と、前記電子機器にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグ及び前記ラックに設けられたラックIDタグとから成り、前記管理サーバは、前記送受信手段から発信されるID要求無線信号及び前記電子機器IDタグ及び前記ラックに設けられたラックIDタグからの応答無線信号を介して、かつ前記データベースの情報に基づいて、前記各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のラック実装機器の位置情報管理システムは、データセンターに配設された複数のラック及び電子機器の位置情報に関するデータベースを有する管理サーバと、この管理サーバと有線又は無線のいずれかで接続されたLANと、このLANに接続され、かつ前記複数のラックに搭載された複数の電子機器に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段と、前記電子機器にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグとから成り、前記管理サーバは、前記送受信手段から発信されるID要求無線信号及び前記ラックの位置情報を含む前記電子機器IDタグからの応答無線信号を介して、かつ前記データベースの情報に基づいて、前記前記各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のラック実装機器の位置情報管理システムは、データセンターに配設された複数のラック及び電子機器の位置情報に関するデータベースを有する管理サーバと、この管理サーバと有線又は無線のいずれかで接続されたLANと、このLANに接続され、かつ、前記複数のラックに搭載された複数の電子機器に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段と、前記電子機器にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグとから成り、前記送受信手段は、前記複数の電子機器IDタグにそれぞれ対応するように各ラックにそれぞれ配設された上下方向のアンテナを含み、また前記管理サーバは、前記送受信手段から発信されるID要求無線信号及び前記電子機器IDタグからの応答無線信号並びに前記アンテナの位置情報を把握する送信認証部6Aを介して、かつ前記データベースの情報に基づいて、前記各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力することを特徴とする。そして、この実施形態に於いて、前記アンテナは、上下方向に配列された複数の単位アンテナで構成され、送信認証部6Aは前記単位アンテナが何番目の単位アンテナであるかを認証することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
(a)いわゆるトランシバー方式で実行するので、読み取り手段を所持する作業員が不要である。付言すると、即効性に優れていると共に、管理サーバ側の机上で、各社の電子機器の位置情報を読取ることができる。
(b)無線の容量如何により、管理サーバ側の複数の無線でもって、ラックに実装された複数の電子機器に対して、距離的に離れている広範囲から自動的に各ICタグの情報を読取ることが可能である。その際、商品の内容が異なる各社(A社、B社、C社…n社)の電子機器の位置情報を読取ることができる。
(c)インターネットのIPアドレス等を利用して複数の電子機器を識別しないので、汎用性がある。
(d)災害時がポイントである。既存のインターネットを利用しないので、例えばインターネット接続回線が断たれたときに全く支障がない。
(e)請求項3及び請求項4に記載の発明は、送受信手段が前記複数の電子機器IDタグにそれぞれ対応するように各ラックに配設された上下方向の複数のアンテナを含むので、隣同士の電波(呼応)が干渉しない。また、スキャン手段と同様に上下方向に配設された複数の電子機器IDタグを非接触状態で確実に読取ることができる。また、数の電子機器を確実に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1乃至図7は本発明の実施形態を示す各説明図。
【図1】第1実施形態の全体構成図。
【図2】管理サーバ側の送受信手段のブロック図。
【図3】電子機器又は/及びラックのIDタグの構成図。
【図4】データベース(DB)に記憶されているデータの概念図。
【図5】送受信手段からタグに対する要求信号のフォーマット図。
【図6】呼応のフローチャート。
【図7】実施化レベルの送信手段6と電気機器搭載のラック7の一例を示す概略説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(1)本願発明…トランシバー方式
本願発明は、所定の場所に存在する管理室又は広い床面積を有するデータセンター内に配設された管理サーバと、前記データセンター内に配設され、かつ前記管理サーバにケーブル(例えばLANケーブル)を介して接続する無線用のコントローラと、該コントローラに接続する管理サーバ側の無線と、複数の電子機器と、これらの電子機器を上下方向に収納する複数のラックと、少なくとも前記電子機器に貼付された各ICタグとを配設し、前記管理サーバは、前記管理サーバ側の無線と前記各ICタグとの情報の応答を、いわゆるトランシバー方式で実行し、前記無線を介して取得した前記ラック内の前記電子機器等に関する位置情報や電子機器の内容情報(会社名、形式、シリアルナンバー、購入年月日、設置年月日等)を出力(例えば表示)することを特徴とする。
【0017】
ここで「所定の場所」とは、データセンターの建屋の内外であって、かつLANが可能なエリアを言う。したがって、無線LAN又は有線LANで接続可能であれば、データセンターの外であっても良い。また、管理サーバは、図示しない電話回線を用いて通信網に接続され得る。
【0018】
(2)第1実施形態の基本的構成
図1乃至図7は本発明の実施形態を示す各説明図。図1はラック実装機器の位置情報管理システムの全体構成図である。まず、図1を参照にすると、1はデータベース(DB)3を有する管理サーバで、該管理サーバ1は情報を処理するための主たる制御部を始めとし、図示しない出入力部、認証情報判定部等を有し、商業用又は自己発電用の電源2と接続している。前述したように管理サーバ1は、広い床Fを有するデータセンターX内、又は、データセンターXに対して目地部を介して建てられた別の建物内に設置されている。
【0019】
データベース3には、ラック番号、ラックの位置番号(棚番号=番地と同様)、ラック並びに電子機器にそれぞれ貼有した各タグのID、アンテナを構成する単位アンテナの各識別番号、資産会社、メーカ、会社の電子機器の形式・型式、シリアル番号、購入年月日、設置年月日、メンテナンス日など各種の識別情報が行・列形式で格納されている(例えば図4参照)。
【0020】
次に、4は管理サーバ1と接続する有線又は無線のLAN(有線LAN,無線LAN)、5はLAN用ハブ、6はハブ5にそれぞれ接続すると共に、後述する送信認証部6Aを含む複数の送受信手段、7はデータセンターX内の床面Fに所要間隔を有して左右・前後に配設された多数のラック、8は各ラックにそれぞれ上下方向に搭載された複数の電子機器、そして、9(9a,9b,9c、…9n)は前記電子機器8(8a、8b、8c、…8n)の前面、左右の側面、背面等の側面に貼り付けられた機器位置情報用の電子機器IDタグ、加えて、10はラックの適宜箇所に貼り付けられたラック位置情報用のラックIDタグである(これは必ずしも発明の特定事項ではない)。
【0021】
次に、図2は管理サーバ側の送受信手段6のブロック図である。送受信手段6及びラック7は、例えばデータセンターX内に合計42のラックの位置番号(棚番号=番地と同様)が存在すれば、1乃至42の番地(アドレス)の範囲内で多数のラック7を床面F上に並べることができる。図2では説明の便宜上、一つの送受信手段6及びラック7を示している。
【0022】
送受信手段6は、前述したようにハブ5に電気的に接続し、単数又は複数のアンテナ11を始めとし、無線送受信部12、無線制御部(無線用コントローラ)13、認証情報記億部14、認証情報判定部15、出入力部16、電源部17、その他、前記アンテナ11が多数の単位アンテナから構成されている場合には、図示しない単位アンテナの番号検出用の検出部を有する。
【0023】
電源部17は、商業用又は自己発電用の電気が用いられる。また送受信手段6は、実施化レベルでは、複数の電子機器IDタグ9a,9b,9c、…9nにそれぞれ対応するようにラック7に配設された上下方向の複数の単位アンテナ11a…11nを含む。アンテナ11は、ラック7を構成する各棚板7a,7b,7c、…7nの上下方向の間隔・棚板数・電子機器の大きさ・電子機器IDタグの貼り付け位置等を考慮して、単位アンテナの本数や位置が決定され、各単位アンテナ或いはアンテナ11に識別情報が設けられる(図7参照)。
【0024】
アンテナ11は、ラック7の側面に所要の距離間隔を有して直接又は間接的に立設される。望ましくは、アンテナ11は隣同士の電波(呼応)が干渉しないように、また電子機器8の出し入れを簡単にできるように、ラック7の左右側面のいずれかの側面に対して離間し、かつ上下方向に直線状(例えば柱状、テープ状)に設けられ、非接触方式(いわば非接触型の所要距離)で、複数の電子機器IDタグ9a,9b,9c、…9n又は/及びラックIDタグ10と呼応する(この場合、各電子機器IDタグは、各電子機器IDの左側壁又は右側壁のいずれかに貼付する)。
【0025】
ところで、アンテナ11を構成する単位アンテナ11a、11b、11c、…11nの各断面形状は、多角形、或は円形であり、また5cm程度の長さであり、図7で示すように、これらの単位アンテナが1本の柱状支持バー19に上下方向に嵌入されて「1本のアンテナ11」となっている。
【0026】
もちろん、周波数(電波の強さ)如何にもよるが、アンテナ11は、一つのラック7に対して単数であっても良い。実施化レベルの電波に関して、例えば電子機器IDタグ9用の周波数は、「13.56メガヘルツ」であることから、複数の単位アンテナを上下方向に組み合わせている。
【0027】
さて、第1実施形態では、1本のアンテナ11は、一つのラック7のラックIDタグ10又は/並びに該ラック7の各棚7a,7b,7c、…7n上の各電子機器8a、8b、8c、…8nに対して、フォーマット情報を微弱なID要求無線信号に乗せて発信する(ID要求)。
【0028】
一方、アンテナ11は、電子機器IDタグ9a,9b,9c、…9n又は/及び前記ラック7に設けられたラックIDタグ10からの微弱な応答無線信号を受信する(呼応)。
【0029】
無線送受信部12は、前記ID要求無線信号並びに応答無線信号を送受信する部分である。無線制御部(無線用コントローラ)13は、認証情報記億部14の格納情報に基づき、前記ID要求無線信号並びに応答無線信号を処理する部分である。認証情報記億部14は、実施形態では当該ラックの棚番号、アンテナ番号、アンテナから発信されたIDタグ情報(個別情報)をそれぞれ格納する部分である。
【0030】
認証情報判定部15は、保全性・確認性等の理由から、無線制御部13が前記ID要求無線信号並びに応答無線信号を処理した際に、当該処理内容を認証する部分である。そして、出入力部16は、管理サーバ1からのID要求及び前記認証情報判定部15の判定結果をやり取りする部分である。
【0031】
次に、図3は、電子機器又は/及びラックのIDタグの構成図である。ここでは、電子機器IDタグ9の構成を説明し、ラックIDタグ10の具体的構成は、それを援用する。
【0032】
21は基板、22は一端部側に設けられた交差指形変換部(インターディジタルトランスジューサ、IDT)、23は他端部側に設けられたリフレクタ、24は入力パスル用アンテナ、25は出力パルス用アンテナである。
【0033】
交差指形変換部21及びリフレクタ23を有する電子機器用IDダグ9(ラックIDタグ10も同様)は、入力パルス信号(ID要求)aを前記入力パスル用アンテナ24で受信すると、該受信信号は交差指形変換部22で変換され、該変換信号は図面上右側に進行してリフレクタ23で反射される。そして、リフレクタ23で反射すると、再び交差指形変換部22に戻り、出力信号として出力パルス用アンテナ25から出て行く。この時の出力信号は、各電子機器IDタグ9a,9b,9c、…9nの固有情報(ID)である。
【0034】
実施形態では、送受信手段6側に設けられた無線制御部(無線用コントローラ)13、認証情報記億部14、認証情報判定部15等の送受信認証部6Aが、前記固有情報(ID)を認証した上で、ハブ5を含むLAN方式により、認証情報を管理サーバ1に送られる。
【0035】
(3)データベース、フローチャート等
図4はデータベース(DB)3に記憶されているデータの概念図である。記憶部の一例としてのデータベース3にはプログラムが格納されているが、該プログラムは、例えば複数のデータセンターXで使用することができるように標準仕様の信号処理手順が規定されている。
【0036】
周知のように、記憶部は、ハードディスクやフレキシブルディスク、或いは光ディスク等のストレージ手段であり、本実施形態では、一つのデータセンターXの床面F上に配列された多数のラック7、これらのラックの棚に上下方向に搭載された多数の電子機器8、その他資産会社、電子機器の製造メーカ等に対して、それぞれ識別番号を割り当てたデータテーブル(図4)を初めとし、単位アンテナの識別情報、設置時に関する日時情報、使用期間情報、会計情報等の必要な情報が前記ラックに割り当てたラック番号や電子機器情報に対応して格納されている。
【0037】
しかして、データテーブル31は、例えば行列方式のデータベーステーブルであり、各行(レコード)の複数のフィールドは、ラック番号フィールド31a、ラック番地(場所)フィールド31b、電子機器IDフィールド31c、資産会社フィールド31d、メーカフィールド11eなどに分けている。これらの各フィールドは、要因コードとしての顧客情報に記憶された各情報(例えば各社)に対応し(関連付けら)ており、図示しない操作部の入力情報(例えば社名)に基づいてラック7に電子機器8を搭載するたびに新規レコードを追加し、そのレコードの各フィールド31a〜31nに、当該電子機器8に対して特定の識別コード等の情報を格納するようになっている。
【0038】
図5は、送受信手段6からタグ9、10に対する要求信号のフォーマット図である。このフォーマット41は、一例であって、該フォーマット41に限定されるものではない。
しかして、フォーマット41は、信号種別部42、認証情報部43、データ部及び誤り訂正部45等を含む。信号種別部42は、当該信号はラックの番地識別であることを示す特定情報を格納する部分である。また認証情報部43は、管理サーバ1からの個別識別情報を格納する部分である。またデータ部は、アンテナ11が複数個の単位アンテナ(11a、11b、11c、11n)で構成されている場合には、単位アンテナを判別するための判別情報を格納する部分である。
【0039】
図6は呼応のフローチャートを簡単に示したものである。ステップS1は管理サーバ1からのIDの要求である。このID要求は前述したように無線方式で行われる。ステップS2はダク側の受信である。ID要求は、当該ラック7に搭載されている全ての電子機器8の電子機器IDダク9a,9b,9c、…9n及び実施例によっては当該ラックIDに対して瞬時に行われるものであるが、これらのIDダク(9、10)から応答信号(ID)が出力された場合には、アンテナ11側の認証情報部43の送受信認証部6Aは、まず、「ID=1?」を、認証情報判定部15でもって判定する。そして、ステップS3で示すように「No」であればステップS2の受信に戻る。次にステップS4以下もステップS3と同様である。このような認証を繰り返して、最後にステップSnまで進み、「ID=n」になれば終了である。
【0040】
(4)第1実施形態の特定事項
したがって、本発明の特定事項は、データセンターXに配設された複数のラック7及び電子機器8の位置情報に関するデータベース3を有する管理サーバ1と、この管理サーバ1と有線又は無線のいずれかで接続されたLAN4と、このLAN4に接続され、かつ前記複数のラック7に搭載された複数の電子機器8に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段6と、前記電子機器8にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグ9及び前記ラック7に設けられたラックIDタグ10とから成り、前記管理サーバ1は、前記送受信手段6から発信されるID要求無線信号及び前記電子機器IDタグ9及び前記ラックに設けられたラックIDタグ10からの応答無線信号を介して、かつ前記データベース3の情報に基づいて、前記各ラック7の各電子機器8の位置情報や電子機器の内容情報を出力して、管理サーバ1の表示部で直ちに見ることができる。
【実施例】
【0041】
図7は、説明の便宜上、各電子機器IDタグ9(9a、9b、9c…n)を、各電子機器8の正面の右側に貼付し、これに対応して「1本のアンテナ11」をラック7の右側前面に立設しているが、実施化レベルでは、電子機器8の出し入れ等に配慮して、前記各電子機器IDタグ9を、各電子機器ID8の左側壁又は右側壁のいずれかに貼付し、これに対応して、アンテナ11は隣同士の電波(呼応)が干渉しないように、ラック7の左右側面のいずれかの側面に対して離間し、かつ上下方向に直線状に配設される。
【0042】
ところで、本発明の実施形態では、送受信手段6からタグ9、10に対する要求信号のフォーマット41は、前記ラックの位置情報を含むので、これに対応して、電子機器IDタグにラックの位置情報を含めることも可能である。
【0043】
したがって、このように設計した実施形態(第2実施形態)は、データセンターXに配設された複数のラック7及び電子機器8の位置情報に関するデータベース3を有する管理サーバ1と、この管理サーバ1と有線又は無線のいずれかで接続されたLAN4と、このLANに接続され、かつ前記複数のラックに搭載された複数の電子機器8に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段6と、前記電子機器にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグ9とから成り、前記管理サーバは、前記送受信手段から発信されるID要求無線信号及び前記ラックの位置情報を含む前記電子機器IDタグからの応答無線信号を介して、かつ、前記データベースの情報に基づいて、前記前記各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力する。
【0044】
また、本発明の実施形態では、望ましくは、送受信手段6は、複数の電子機器IDタグ9にそれぞれ対応するように各ラック7にそれぞれ配設された上下方向のアンテナ11を含み、また前記管理サーバ1は、前記送受信手段6から発信されるID要求無線信号及び前記電子機器IDタグからの応答無線信号及び前記アンテナの位置情報(望ましくはアンテナを構成する複数の単位アンテナ)を把握する送信認証部6Aを介して、かつ、前記データベースの情報に基づいて、前記各ラックの各電子機器8の位置情報や電子機器の設置時、型式、メーカ等の内容情報を出力する。そして、前記送信認証部6Aは、ラックに直接又は間接的に配設され、かつ何番目の単位アンテナであるかを認証する。これにより、各電子機器を確実に識別することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明はデータセンターで使用される。
【符号の説明】
【0046】
X…データセンター、1…管理サーバ、2…電源、3…データベース、4…LAN、5…ハブ、6…送受信手段、7…ラック、8…電子機器、9…電子機器IDタグ、10…ラックIDタグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンターに配設された複数のラック及び電子機器の位置情報に関するデータベースを有する管理サーバと、この管理サーバと有線又は無線のいずれかで接続されたLANと、このLANに接続され、かつ前記複数のラックに搭載された複数の電子機器に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段と、前記電子機器にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグ及び前記ラックに設けられたラックIDタグとから成り、前記管理サーバは、前記送受信手段から発信されるID要求無線信号及び前記電子機器IDタグ及び前記ラックに設けられたラックIDタグからの応答無線信号を介して、かつ前記データベースの情報に基づいて、前記各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力するラック実装機器の位置情報管理システム。
【請求項2】
データセンターに配設された複数のラック及び電子機器の位置情報に関するデータベースを有する管理サーバと、この管理サーバと有線又は無線のいずれかで接続されたLANと、このLANに接続され、かつ前記複数のラックに搭載された複数の電子機器に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段と、前記電子機器にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグとから成り、前記管理サーバは、前記送受信手段から発信されるID要求無線信号及び前記ラックの位置情報を含む前記電子機器IDタグからの応答無線信号を介して、かつ、前記データベースの情報に基づいて、前記前記各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力するラック実装機器の位置情報管理システム。
【請求項3】
データセンターに配設された複数のラック及び電子機器の位置情報に関するデータベースを有する管理サーバと、この管理サーバと有線又は無線のいずれかで接続されたLANと、このLANに接続され、かつ、前記複数のラックに搭載された複数の電子機器に対して所要の距離を有してそれぞれ配設された複数の送受信手段と、前記電子機器にそれぞれ取り付けられていると共に、送受信アンテナを有し、かつID情報を送信することが可能な複数の電子機器IDタグとから成り、前記送受信手段は、前記複数の電子機器IDタグにそれぞれ対応するように各ラックにそれぞれ配設された上下方向のアンテナを含み、また前記管理サーバは、前記送受信手段から発信されるID要求無線信号及び前記電子機器IDタグからの応答無線信号並びに前記アンテナの位置情報を把握する送信認証部6Aを介して、かつ前記データベースの情報に基づいて、前記各ラックの各電子機器の位置情報や電子機器の内容情報を出力するラック実装機器の位置情報管理システム。
【請求項4】
請求項3に於いて、アンテナは、上下方向に配列された複数の単位アンテナで構成され、送信認証部6Aは、前記単位アンテナが何番目の単位アンテナであるかを認証することを特徴とするラック実装機器の位置情報管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−238253(P2012−238253A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107925(P2011−107925)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(500172449)エフ・アイ・ティー・パシフィック株式会社 (3)
【出願人】(511117130)アーテーウントツェー エーデーフィー ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】AT+C EDV GmbH
【住所又は居所原語表記】Liebfrauenstrasse 22 D−61440 Oberursel Germany
【Fターム(参考)】