説明

ラック搬送システム

【課題】複数の検体容器を保持収容したラックトレイを横から滑らせてラックトレイセット部に安全に載置しうるラック搬送システムを提供する。
【解決手段】 ラック脱落防止機構10bを有するラックトレイ10を使用するラック搬送システムにおいて、ラック脱落防止機構10bのロック解除機構8iを備える、複数の検体容器9aを支持したラックを複数配列して保持するラックトレイ10を載置するラックトレイセット部8Aを備え、ラック脱落防止機構10bのロック解除ボタンである突起部8hは、複数の検体容器9aを支持した複数のラックを保持収納するラックトレイ10を滑らせてラックトレイセット部8Aに載置しうる位置に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のラックを搬送するラック搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分注装置や自動分析装置は、検体を供給あるいは回収する際、複数の検体容器を支持したラックを複数配列させて保持できるラックトレイを使用してラックを搬送するシステムを採用する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−123146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたラックトレイは、ラックトレイを搬送する際に、収容するラックの脱落を防止するラック脱落防止機構を備え、ラック搬送システムのラックトレイ設置部にラック脱落防止機構の解除機構を有している。しかしながら、該解除機構のレバーは、ラックトレイ設置部のラック出口付近に設置されるため、ラックトレイを滑らせてトレイ設置部にセットしようとすると解除用レバーの突起にぶつかってしまうため、ラックトレイを真上から載置しなければならず、検体容器を複数保持するラックトレイは重いため、ラックトレイを載置する際の操作性が非常に悪いものであった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の検体容器を保持収容したラックトレイを横から滑らせてラックトレイセット部に安全に載置しうるラック搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のラック搬送システムは、脱落防止用レバーと、前記脱落防止用レバーをラックトレイに支持するシャフトと、前記シャフトを軸として前記脱落防止用レバーを上方に付勢することによりラックトレイ開口部から突出させてラックの脱落を防止するバネと、を備えるラック脱落防止機構を有するラックトレイを使用するラック搬送システムであって、前記ラック脱落防止機構のロック解除機構を備え、複数の検体容器を支持したラックを複数配列して保持する前記ラックトレイを載置するラックトレイセット部と、前記ラックトレイを空の状態で載置し、分注終了後の検体容器を支持したラックを回収するラック回収部と、前記ラックを前記ラックトレイセット部から分注機構まで搬送し、検体容器から検体を分注した後、前記ラック回収部まで前記ラックを搬送する搬送機構と、を備え、前記ロック解除機構のロック解除ボタンは、複数の検体容器を支持した複数のラックを保持収納する前記ラックトレイを滑らせてラックトレイセット部に設置しうる位置に形成されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラックトレイセット部は、ラックトレイを収容する収容部を備え、前記収容部の後方のガイド壁上から前記ラックトレイを滑らせてラックトレイセット部に載置することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ロック解除ボタンは、ラックトレイセット部後方のガイド壁近傍に形成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記脱落防止用レバーは、ラックトレイのラック進行方向の長さと略同じであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ロック解除機構は、前記ラックトレイセット部のラック進行方向の長さと略同じ長さを有するロック解除レバーと、前記ラックトレイセット部に前記ロック解除レバーを支持するシャフトと、前記ラックトレイセット部後方のガイド壁側のロック解除レバー端部を押し上げるよう付勢するバネと、を備え、前記ロック解除レバーの両端部は鉛直に立ち上がる突起部を有し、前記ラックトレイセット部後方のガイド壁側の突起部が前記ロック解除ボタンであって、前記ラックトレイセット部のラックトレイ収容部には前記突起部が突出するための穴部が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記バネは、前記ラックトレイセット部後方のガイド壁側の前記ロック解除レバー端部を押し上げて前記突起部が前記穴部より突出するよう付勢し、複数のラックを保持収納する前記ラックトレイを滑らせて前記ラックトレイセット部に載置する際、該ラックトレイ載置により前記突起部を押し下げて、他端突起部を押し上げることにより前記ラック移動防止機構のロックを解除することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ロック解除機構は、前記ラックトレイセット部の搬送機構側に設置されるロック解除レバーと、前記ラックトレイセット部後方のガイド壁近傍に設置され、複数のラックを保持収納する前記ラックトレイを滑らせて前記ラックトレイセット部に載置した際、該載置を感知するセンサと、前記センサが前記ラックトレイの前記ラックトレイセット部への載置を感知した後、前記ロック解除レバーを押し上げるモータと、を備え、前記センサが前記ロック解除ボタンであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラック回収部は、前記ラック脱落防止機構の前記ロック解除機構を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラックトレイは、複数のラックを保持収納するトレイベースと、前記トレイベース上を移動し、前記トレイベースに複数配列された前記ラックを前記ラックイ脱落防止機構側に押圧するラック移動防止機構と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラックトレイは、前記トレイベースに保持収納されるラック数に対応する位置に複数の係合部を有するガイドレールを備え、前記ラック移動防止機構が備える係止部を前記係合部に係合して前記ラックトレイ開口部後方へのラックの移動をロックすることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記係合部は、前記ガイドレール上に形成される突起であり、前記ラックトレイ開口部側の斜面傾斜を大きく、他方の斜面傾斜を小さくすることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラック移動防止機構は前記係止部を押し上げるハンドル部を備え、該ハンドル部を把持押圧して前記係止部を押し上げることにより前記係合部との係合を解除して、前記ラック移動防止機構を移動することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記トレイベースの前記ラックの配列方向と平行な対向する2辺に取手部材を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラック移動防止機構は、前記ハンドル部に支持されて前記ガイドレール下部まで延長するシャフトを備え、前記ガイドレールは、前記ラック移動防止機構の移動に伴い前記シャフトが通過する溝部を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ガイドレールは、前記トレイベースと独立して形成され、接合部材により前記トレイベースと接合され、前記接合部材と前記ガイドレールとの間には、前記ガイドレールを押し上げるよう付勢するバネを備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記トレイベースは、前記ラックの進行方向の開口部を除く三方にガイド壁を備え、進行方向と平行な2辺のいずれか一方のガイド壁は、該側面部に前記ラックと嵌合する嵌合部を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ガイド壁の嵌合部と嵌合する突起部を有するラックを保持収納することを特徴とする。
【0023】
前また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、記ラックの進行方向の開口部側に設置される前記取手部材は、保持部が前記取手部材の設置位置よりオフセットされることを特徴とする。
【0024】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラック回収部は、前記ラック移動防止機構のロック解除機構を備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラック移動防止機構の前記ロック解除機構は、前記ラックトレイの前記シャフト部を押し上げる押し上げ部材であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明のラック搬送システムは、上記の発明において、前記ラック移動防止機構の前記ロック解除機構は、前記ガイドレールを押し下げるよう前記ラックトレイの前記接合部材を押し上げる、押し上げ部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、ラック脱落防止機構のロックを解除するロック解除ボタンを、ラックトレイセット部後方のガイド壁近傍に形成することにより、複数の検体容器を支持した複数のラックを保持収納するラックトレイをラックトレイセット部に滑らせて載置することができるため、操作し易く安全に行ないうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、この発明の実施の形態にかかるラック搬送システムについて、血液などの液体検体をサンプルとして分析する自動分析装置を例に説明する。以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるラック搬送システム8を使用する自動分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、自動分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器5にそれぞれ分注し、分注した反応容器5内で生じる反応を光学的に測定する測定機構40と、測定機構40を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構40における測定結果の分析を行う制御機構50とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。
【0030】
測定機構40は、第1試薬庫2と、第2試薬庫3と、反応テーブル4と、第1試薬分注装置6と、第2試薬分注装置7と、ラック搬送システム8と、分析光学系11と、洗浄機構12と、第1攪拌装置13と、第2攪拌装置14と、検体分注装置20とを備えている。
【0031】
第1試薬庫2は、図1に示すように、第1試薬を収容する試薬容器2aが周方向に複数配置され、駆動手段(図示せず)により回転されて試薬容器2aを周方向に搬送する。複数の試薬容器2aは、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。ここで、第1試薬庫2の外周には、試薬容器2aに貼付した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置(図示せず)が設置されている。第1試薬庫2の上方には、試薬の蒸発や変性を抑制するため、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられており、第1試薬庫2の下方には試薬冷却用の恒温槽(図示せず)が設けられている。
【0032】
第2試薬庫3は、図1に示すように、第2試薬を収容する試薬容器3aが周方向に複数配置され、第1試薬庫2と同様に、駆動手段(図示せず)により回転されて試薬容器3aを周方向に搬送する。複数の試薬容器3aは、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。ここで、第2試薬庫3の外周には、試薬容器3aに貼付した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置(図示せず)が設置されている。第2試薬庫3の上方には、試薬の蒸発や変性を抑制するため、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられており、第2試薬庫3の下方には試薬冷却用の恒温槽(図示せず)が設けられている。
【0033】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、第1および第2試薬庫2、3を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を周方向に移動させる。反応テーブル4は、光源11aと分光部11bとの間に配置され、反応容器5を保持する保持部4aと光源11aが出射した光束を分光部11bへ導く円形の開口からなる光路4bとを有している。保持部4aは、反応テーブル4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる光路4bが形成されている。反応テーブル4の上方には開閉自在な蓋(図示せず)が、下方には検体と試薬の反応を促進させる温度に加温するための恒温槽(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0034】
反応容器5は、分析光学系11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。
【0035】
第1試薬分注装置6は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム6aを備える。このアーム6aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ6bが取り付けられている。第1試薬分注装置6は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第1試薬分注装置6は、上述した第1試薬庫2上の所定位置に移送された試薬容器2aの中からプローブ6bによって第1試薬を吸引し、アーム6aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に第1試薬を吐出して分注を行なう。また、プローブ6bの回動軌跡上には、洗浄水によってプローブ6bを洗浄する洗浄槽6dが設置される。
【0036】
第2試薬分注装置7は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム7aを備える。このアーム7aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ7bが取り付けられている。第2試薬分注装置7は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第2試薬分注装置7は、上述した第2試薬庫3上の所定位置に移送された試薬容器3aの中からプローブ7bによって第2試薬を吸引し、アーム7aを図中反時計回りに旋回させ、反応容器5に第2試薬を吐出して分注を行なう。また、プローブ7bの回動軌跡上には、洗浄水によってプローブ7bを洗浄する洗浄槽7dが設置される。
【0037】
分析光学系11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、光源11a、分光部11b及び受光部11cを有している。光源11aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部11bと対向する位置に設けた受光部11cによって受光される。
【0038】
第1および第2攪拌装置13、14は、分注された検体と試薬とを攪拌棒13a、14aによって攪拌し、反応を均一化させる。
【0039】
洗浄機構12は、ノズル12aによって、分析光学系11による測定が終了した反応容器5内の反応液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行なう。この洗浄した反応容器5は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器5を廃棄してもよい。
【0040】
検体分注装置20は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム20aを備える。このアーム20aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ20bが取り付けられている。検体分注装置20は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注装置20は、後述するラック搬送システム8により分注位置に移送された検体容器9aの中からプローブ20bによって検体を吸引し、アーム20aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に検体を吐出して分注を行なう。また、プローブ20bの回動軌跡上には、洗浄水によってプローブ20bを洗浄する洗浄槽20dが設置される。
【0041】
ラック搬送システム8は、図1に示すように、複数の検体容器9aを支持した複数のラック9を配列して保持するラックトレイ10を載置するラックトレイセット部8Aと、ラックトレイ10を空の状態で載置し、分注終了後の検体容器を支持したラックを回収するラック回収部8Cと、ラックトレイセット部8Aから押し出しレバー8aにより押し出されたラック9を検体分注装置20の分注位置まで搬送し、検体分注装置20によりラック9が支持するすべての検体容器9aから検体を分注した後、ラック回収部8Cまでラック9を搬送する搬送機構8Bと、を備える。
【0042】
検体容器9aを検体分注装置20に供給するために、ラックトレイ10をラックトレイセット部8A上に載置し、搬送機構8Bによりラックトレイ10にセットされた複数のラック9を押し出しレバー8aによって矢印D1で示す第1の方向に搬送し、複数のラック9を順次搬送機構8Bへ送り出す。押し出しレバー8aは、図示しないベルトコンベア等の搬送手段によって搬送される。搬送機構8Bは、押し出しレバー8aによって送り出されたラック10を検体分注装置20まで伸びる搬送機構8Bに沿って歩進させながら検体分注装置20の分注位置へと搬送する。なお、ラック搬送システム8に設置前のラックトレイ10は、ラック脱落防止機構10bがラックトレイ10の開口に突出して前記開口からラック9の脱落を防止するが(図2参照)、ラックトレイセット部8Aにラックトレイ10を設置すると、後述するラックトレイセット部8A上のラック脱落防止解除機構のロック解除ボタンである突起部8h(図10参照)が押し下げられることによりラック脱落防止機構のロックが解除され、押し出しレバー8aによる前記開口からラック9の搬送機構8Bへの搬送が可能となる。
【0043】
ラック9が支持する検体容器9aから検体分注装置20により検体を分注した後、搬送機構8Bは、検体分注装置20の分注位置からラック回収部8Cと対向する位置へラック9を搬送する。ラック9は図示しない押し出しレバーにより、矢印D2で示す方向に搬送機構8Bからラック回収部8Cに押し出され、ラックトレイ10に回収される。なお、ラック回収部8Cもラックトレイセット部8Aと同様にラック脱落防止解除機構のロック解除ボタンである突起部8hを備え(図7参照)、ラック回収部8Cに空のラックトレイ10を設置すると、ラック脱落防止機構10cのロックが解除され、図示しない押し出しレバーによるラック9の搬送機構8Bからラック回収部8Cへの搬送が可能となる。
【0044】
制御機構50は、制御部15と、入力部16と、分析部17と、記憶部18と、出力部19とを備える。制御部15は、測定機構40および制御機構50が備える各部と接続される。これら各部の作動を制御するため、制御部15には、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。制御部15は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、情報記録媒体から読み取った情報に基づき、試薬の有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。制御部15は、ラック搬送システム8の作動を制御する搬送制御部としての機能も備えている。
【0045】
入力部16は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部17は、分析光学系11から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。記憶部18は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部18は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。出力部19は、プリンタ、通信機構等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力し、ユーザーに報知する。
【0046】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器5に対して、第1試薬分注装置6が試薬容器2a中の第1試薬を分注した後、検体分注装置20が検体容器9a中の検体を分注し、さらに第2試薬分注装置7が試薬容器3a中の第2試薬を分注して、分析光学系11が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部18が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部12が分析光学系11による測定が終了した後に搬送される反応容器5を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0047】
つぎに、図2を参照して、実施の形態1のラックトレイ10について、詳細に説明する。図2は、実施の形態1にかかるラックトレイ10の斜視図である。ラックトレイ10は、大別して、トレイベース10aと、ラック脱落防止機構10bと、ラック移動防止機構10cと、取手部材10dと、ガイドレール10eと、を備える。トレイベース10aは、ラック9を支持する基板10gを有し、基板10gの三辺にはガイド壁10fが設けられる。ラックトレイ10は、ガイド壁10fのない辺が開口部となり、該開口部にラック脱落防止機構10bが突出して、トレイベース10aに複数収納されて配列するラック9の前記開口部からの脱落を防止する。取手部材10dは、前記開口部とそれに対向する辺のガイド壁10f上に設けられ、取手部材10dの保持部を把持してラックトレイ10を搬送する。図2に示す取手部材10dは、ガイド壁10fから鉛直方向に立ち上がり、保持部で曲折する逆U字形状をとるが、開口部上に設置される取手部材10dは、鉛直方向に立ち上がるパイプの途中にトレイベース10a外に水平に曲折可能な曲折部を有して、ラックトレイ10外部に保持部をオフセットさせることができるものであってもよい。取手部材10dのオフセットにより、ラック9の出し入れがより容易になる。ガイドレール10eは、トレイベース10aと一体であり、配列保持されるラック10の進行方向と平行に形成される。ガイドレール10eの中央部には溝10iを有し、溝10iは後述するシャフトの進行のために設けられる。ガイドレール10eの上面には収納されるラック数に対応する位置に複数の係合部10hが形成される。ラック移動防止機構10cは、ガイドレール10eを溝10jの側から挟み込むことによりガイドレール10eに支持される(図6参照)。ガイドレール10e上に形成された係合部10hに、後述するラック移動防止機構10cの係止部である突起10p(図4参照)を係合させることにより、ラック移動防止機構10cをロックし、保持収納するラック9の移動が防止される。
【0048】
つぎに、ラック移動防止機構10cについて図面を参照して説明する。図3は、検体容器9aを保持するラック9を収納したラックトレイ10の斜視図である。図4は、図3のラックトレイ10のA−A線断面図である。図5は、ラック移動防止機構10cの動作図である。図6は、ラック移動防止機構10cとガイドレール10eを含む係合部分の横断面図である。
【0049】
図3に示すように、検体容器9aを保持するラック9は、ラックトレイ10のトレイベース10aに開口部から平行に配列され、ラック9をラック移動防止機構10cにより開口部側に押圧してラック9の移動および転倒を防止する。図4に示すように、ラック移動防止機構10cは、仕切り10kと仕切り10lからなるハンドル部を有し、仕切り10kと仕切り10lとの間には押しバネ10mが設置され、仕切り10lを下方に付勢してある。仕切り10lの先端部には突起10pが形成され、ガイドレール10e上にラック9の幅を1ピッチとする間隔で複数設置された係合部10hの間に突起10pは係合される。また、仕切り10lには、ガイドレール10e下部まで延長するシャフト10nが支持され、シャフト10nと仕切り10l間にEリング10oが取り付けてある。シャフト10nは、ラック移動防止機構10cの移動の際、ガイドレール10e間に形成される溝部10iを移動する(図2、図4および図6参照)。シャフト10nは、ラックトレイ10を、ラック回収部8Cに載置した際、ラック移動防止機構10cによるラック9の移動防止を解除するロック解除機構の一部をなす。
【0050】
係合部10hは、ラック9の進行方向である開口部側の斜面傾斜を大きく、他方の斜面傾斜を小さくしてある。このため、ラック移動防止機構10cを前進方向である開口部側に移動させるには、ハンドル部である仕切り10kまたは仕切り10lを押せばよいが、仕切り10kまたは仕切り10lを反対方向に押しても、係合部10hの開口部側の傾斜が大きいため、ラック移動防止機構10cを前進方向と反対側の開口部後方に移動させることはできず、後方への移動がロックされる。ラック移動防止機構10cを前後に移動させるためには、図5に示すように、ハンドル部である仕切り10kと仕切り10lを上下方向から把持し、押圧すると、仕切り10lが押し上げられ(図(5−1)参照)、仕切り10lが押し上げられることにより、仕切り10lの先端部の突起10pが持ち上がる(図(5−2)参照)。この仕切り10lの押し上げにより、ラック移動防止機構10cの突起10pとガイドレール10e上の係合部10hとの係合が解除され、ラック移動防止機構10cはガイドレール10e上を開口部と反対方向へも移動可能となる。なお、ラックトレイ10に保持収納されるラック9は、ラック脱落防止機構10bおよびラック移動防止機構10cにより前後方向への移動が防止され、ラックトレイ10の対向するガイド壁10fにより側方への移動が防止されるが、上方向への移動は阻害されないため、ラック9の一部を上方向に引上げることにより、ラック移動防止機構10cを移動させることなく、収納されるいずれのラック9についてもラックトレイ10の任意の位置から自由に取り出すことが可能であり、ラック9の出し入れは非常に容易である。
【0051】
図7および図8を参照して、ラック移動防止機構10cのロック解除機構について説明する。図7はラック回収部8Cの斜視図である。図8はラック移動防止機構10cのロック解除の動作図である。ラック回収部8C上にラックトレイ10を設置してラック9を回収する際、ロックされているラック移動防止機構10cはラック9回収の邪魔になる。したがって、人手によりラック移動防止機構10cを移動させる手間を省略すべく、ラック移動防止機構10cのロック解除機構を設置する。図7に示すように、ラック回収部8Cは、ラックトレイ収容部8cと、ガイド壁8kと、穴部8dとを備え、ラックトレイ収容部8c上には、シャフト10nとともにラック移動防止機構10cのロック解除機構をなす押し上げ部10tが形成されるとともに、後述するラック脱落防止機構10bのロック解除ボタンである突起部8hが穴部8dから突出している。押し上げ部10tは、ラック回収部8Cの中央部にラック進行方向と平行に形成された細長い突条である。図8に示すように、ラック回収部8C上にラックトレイ10を設置すると、ガイドレール10e下部まで延長するシャフト10nがラック回収部8C上の押し上げ部10tと接触し、押し上げられる(図(8−1)参照)。シャフト10nの押し上げにより、シャフト10nと固着する仕切り10lも押し上げられるため、仕切り10lの先端の突起10pも持ち上げられて、ガイドレール10e上の係合部10hとの係合が解除される(図(8−2)参照)。ラック移動防止機構10cのロック解除機構を備えることにより、ハンドル部である仕切り10kと仕切り10lを上下方向から把持押圧することなく、ラック移動防止機構10cを開口部と反対方向へ移動させることが可能となる。これにより、搬送機構8Bの押し出しレバーによりラック9がラック回収部8C側に押し出されるのに伴って、ロックが解除されたラック移動防止機構10cもラック9とともにラックトレイ10開口部と反対方向側に移動される。
【0052】
つぎに、ラック脱落防止機構10bについて図面を参照して説明する。図9は図3のラックトレイ10のB−B線断面図である。図9に示すように、ラック脱落防止機構10bは、ラック9の開口部からの脱落を防止する脱落防止用レバー10sを有する。階段状に形成された平板の脱落防止用レバー10sは、基板10gの下部で水平に延長し、開口部近傍に形成された穴部10w(図2参照)から曲折して鉛直に立ち上がることによりラック9の脱落を防止している。また、脱落防止用レバー10sはシャフト10qによりトレイベース10aに支持され、バネ10rが基板10gの底面と脱落防止用レバー10sとの間に設置されて、穴部10wから立ち上がる脱落防止用レバー10sの端部を上方に付勢している。図9ではバネ10rにコイルバネを使用しているが、板バネや引っ張り圧縮バネ等であってもよい。
【0053】
つぎに、図10および図11を参照して、ラック脱落防止機構10bのロック解除機構について説明する。図10はラックトレイセット部8Aの斜視図である。図11は図3に示すラックトレイ10を図10のラックトレイセット部8Aに載置する途中のラックトレイセット部8AのC−C線断面図である。図10に示すように、ラックトレイセット部8Aは、ラックトレイ収容部8cと、ガイド壁8kと、穴部8dとを備え、ラックトレイ収容部8c上には、ラック9を搬送機構8B側に押し出す押し出しレバー8aが設置されるとともに、ラック脱落防止機構10bのロック解除ボタンである突起部8hが穴部8dから突出している。実施の形態1では、ラック脱落防止機構10bが左右2ケ所に設けられているため、ロック解除ボタンである突起部8hもガイド壁8k近傍の穴部8dの2ケ所から突出している。押し出しレバー8aは、ラックトレイ10設置前は通常ラックトレイセット部8A内に内蔵されており、ラックトレイ10設置後に溝8bおよびラックトレイ10の溝10jを介して進出して、開口部側にラック9を押し出す。
【0054】
図11に示すように、ラックトレイセット部8A下部に設置されるラック脱落防止機構10bのロック解除機構8iは、ロック解除レバー8gと、シャフト8fと、バネ8eとを備える。ロック解除レバー8gは、ラックトレイセット部8Aのラック進行方向の長さと略同じ長さを有し、ロック解除レバー8gの両端部は鉛直に立ち上がり突起部8hとなる。シャフト8fは、ラックトレイセット部8Cにロック解除レバー8gを支持する。バネ8eは、ラックトレイセット部8A後方のガイド壁側の突起部8h−1を押し上げるよう付勢する。これにより突起部8h−1は、ラックトレイ収容部8c上の穴部8dから突出する。なお、ユーザーは、検体容器9aを収容したラック9を複数保持収納したラックトレイ10をラックトレイセット部8Aに載置する際、ラックトレイ10のラック9が保持収納された取手部材10d−2側をラックトレイセット部8Aのラックトレイ収容部8cに載置し、取手部材10d−1側のラックトレイ10の底部をガイド壁8k上とし、取手部材10d−1を把持押圧することによりラックトレイ収容部8c上を滑らせてラックトレイセット部8Aにセットする。
【0055】
図12−1〜12−4はラックトレイセット部8Aへのラックトレイ10のセットの一連の動作図である。ラックトレイセット部8Aにラックトレイ10をセットする際、まず取手部材10d−1を把持し、ラックトレイ収容部8c側に押圧する(図12−1)。取手部材10d−1の把持押圧により、ラックトレイ10はラックトレイ収容部8c上を滑りながら進行し(図12−2)、ラックトレイ10の底部後端がガイド壁8k上まで進行すると、ガイド壁8kは途中傾斜部分を有しており、当該傾斜に沿ってラックトレイ10の底部はラックトレイ収容部8c中に滑り落ちる(図12−3)。ラックトレイ10がラックトレイ収容部8c中に完全に収納されると、ラックトレイ10の自重により穴部8dより突出している突起部8h−1は押し下げられる(図12−4)。この押下により、ロック解除レバー8gの他端はシャフト8fを回転軸として押し上げられ、ラック進行方向の穴部8dよりロック解除レバー8gの他端の突起部8h−2が突出する。これにより、ラック脱落防止機構10cの脱落防止用レバー10sの端部は押し上げられ、脱落防止用レバー10sの他端はシャフト10qを回転軸として押し下げられ、ロックが解除される。
【0056】
ラック移動防止機構10cは、ラックトレイセット部8Aに設置後、仕切り10kと仕切り10lからなるハンドル部を把持押圧して最後部まで移動させる。ラック移動防止機構10cの移動後、ラックトレイセット部8A内に内蔵される押し出しレバー8aを進出させて搬送機構8Bにラック9を押し出し、搬送機構8Bにより検体分注装置20にラック9の搬送が行なわれる。ラックトレイセット部8Aは、ラック移動防止機構10cのロック解除機構である押し上げ部10tを備えていないが、ラック移動防止機構10cの仕切り10kを軽く押すだけでラック移動防止機構10cを移動させられるため、ラックトレイセット部8Aに押し上げ部10tを備えていてもよい。
【0057】
自動分析装置1において、ラック脱落防止機構10bを有するラックトレイ10を使用し、ラックトレイセット部8A上のロック解除機構8iのロック解除ボタンである突起部8hを、ラックトレイセット部8A後方のガイド壁8k近傍に突出させる実施の形態1にかかるラック搬送システム8は、ラックトレイ9を滑らせてラックトレイセット部8Aに載置することが可能となり、ラックトレイ9の載置を安全かつ容易に行ないうる。なお、実施の形態1において、ラック回収部8Cはラックトレイセット部8Aのロック解除機構8iと同様のロック解除機構8iを備えるものであり、ラック回収部8C上のラック脱落防止機構10bロック解除ボタンである突起部8hはガイド壁8k近傍に突出させているが(図7参照)、ラック回収部8C上のラックトレイ10は略空の検体容器9aを収容するラック9を保持するものであるため、ラックトレイセット部8Aに載置されるラックトレイ10より軽く、回収する際に横から滑らせながら引上げる必要性があまり高くない。したがって、ロック解除機構のロック解除レバーは、ラック進行方向の長さと略同じ長さを有する必要はなく、ラック回収部8Cのラック搬入口付近に設置されていてもよい。
【0058】
実施の形態1においては、ラックトレイセット部8Aおよびラック回収部8Cを各1有するラック搬送システム8について説明したが、同数であればよく、各2以上有するシステムであってよい。さらに、図1においては、ラック搬送システム8を検体分注装置20の右側に有する自動分析装置を例示しているが、ラックトレイセット部8Aを検体分注装置20の近傍の右側に設置し、ラック回収部8Cを左側に設置して、ラックトレイセット部8Aとラック回収部8Cを連結するよう搬送機構8Bを分析装置下部に設置するラック搬送システムなど、本発明の目的を逸しない範囲で種々の変形例が使用されうる。
【0059】
なお、実施の形態1に使用されるラックトレイ10の変形例として、図13−1に示すように、ラック9の進行方向と平行な2辺のいずれか一方のガイド壁10fのラック9Aと接する側面部をくり貫いて、該側面部に嵌合部10xを形成したラックトレイ10Aが例示される。嵌合部10xは、ガイド壁10fの基板10gと接する側面下部全体に形成される。ラックトレイ10Aには、嵌合部10xと嵌合する突起部9xを有するラック9Aを収納するのが好ましい。ラックトレイ10Aとラック9Aが嵌合部10xと突起部9xを介して嵌合することにより、より安定したトレイの搬送および装置への設置が可能となる。嵌合部10xは、ラック移動防止機構10cとともにラック9の転倒および移動を防止する。図13−1では、嵌合部10xは方形の凹部、突起部9xはこれに嵌合する方形の凸部であるが、嵌合部10xと突起部9xが嵌合すればよく、台形その他の形状であってよい。図13−1に示すラック9Aおよびラックトレイ10Aを使用する場合には、図13−2に示すようなラック搬送システム8’を備える自動分析装置1Aが使用される。ラック9Aおよびラックトレイ10Aは、突起部9xおよび嵌合部10xの形成により左右非対称となるため、ラックトレイセット部8Aとラック回収部8Cでラックトレイ10Aを対向させると、ラック回収部8Cにラック9Aを回収することが困難となる。したがって、ラック9Aおよびラックトレイ10Aを使用する場合は、図13−2に示すように、ラックトレイセット部8Aとラック回収部8Cの配置を変更して、ラックトレイ10Aを同じ向きに配置するようにラック搬送システムを変更する必要がある。また、他の変形例として、図14に示すラックトレイ10Bが例示される。ラック移動防止機構10c’は、シャフト10nを有さず、また、ガイドレール10e上の係合部10h’の2つの斜面傾斜は同じに設定される。斜面傾斜を同じに設定することにより、ラック移動防止機構10c’は前後方向に同じ力で移動させることができ、搬送機構8Bの図示しない押し出しレバーによるラック9の押し込みによっても、突起10pは係合部10h’に乗り上げロックを解除することができる。
【0060】
さらに、実施の形態1に使用されるラックトレイ10の変形例として、図15および図16に示すラックトレイ10Cが例示される。図15は、ラック移動防止機構10c’’とガイドレール10e’を含む係合部分の横断面図である。図16は、ラックトレイ10Cを、ラック9、ラック回収部8C’と共に示す断面図である。ラックトレイ10Cにおいて、ガイドレール10e’は、トレイベース10a’と独立して形成される点で実施の形態1のラックトレイ10と大きく異なる。図15に示すように、ラック移動防止機構10c’’は、シャフト10n(図4参照)を有さず、したがってガイドレール10e’は、シャフト10nが通過する溝10iがなく、係合部10h’もガイドレール10e’上の各位置に各1設置する。また、仕切り10k’は、ガイドレール10e’ではなくトレイベース10a’に支持されるようその先端部に突起60を備え、トレイベース10a’に形成された係合部61に突起60を係合させる。図16に示すように、ガイドレール10e’は、トレイベース10a’と独立して形成され、接合部材30を介してトレイベース10a’と接合される。接合部材30とガイドレール10e’との間には、ガイドレール10e’を押し上げるよう付勢するバネ33を備える。ガイドレール10e’は、接合部31により接合部材30と接合され、接合部材30とトレイベース10a’との接合部であるシャフト32によりトレイベース10a’に支持される。ガイドレール10e’上の係合部10h’の形状や、係合部10h’と仕切り10l’の突起10pとの係合は、係合部10h’が’ガイドレール10e’上の各位置に各1形成される点を除き実施の形態1と同様であり、仕切り10k’ または仕切り10l’を押すことによりラックトレイ10Cの開口部側へのラック移動防止機構10c’’を移動することができるが、反対方向への移動は、仕切り10k’と仕切り10l’を上下から把持押圧して係合部10h’と突起10pとの係合を解除しなければ行なうことができない。なお、ラック脱落防止機構10bについては、その説明を省略するが、ラックトレイ10Cは実施の形態1と同様にラック脱落防止機構10bを備えるものである。
【0061】
つぎに、ラックトレイ10Cを使用するラック搬送システムについて説明する。ラックトレイ10Cを使用するラック搬送システムは、実施の形態1のラック搬送システムと同様に、ラックトレイセット部、搬送機構およびラック回収部を備えるが、実施の形態2のラック回収部8C’は、図16に示すように、シャフト10nの押上げ部10tの替わりに、ガイドレール10e’を押し下げるようラックトレイ10Cの接合部材30を押し上げる、押し上げ部材10t’を備える。押し上げ部材10t’は、ラック回収部8C’上であって、接合部材30下部に設置される。図(16−1)に示すように、上方からラックトレイ10Cをラック回収部8C’に設置すると、押し上げ部材10t’と接合部材30の外側部分は接触し、図(16−2)の矢印Y1で示すように、押し上げ部材10t’は外側から接合部材30を押し上げる。この押し上げにより、接合部材30はシャフト32を回転軸としてガイドレール10e’を押し下げるよう回転する。ガイドレール10e’が押し下げられることにより、仕切り10l’の先端部の突起10pと係合部10hの係合は解除され、ラック移動防止機構10c’’の後方(矢印Y2で示す)への移動が可能となる。
【0062】
さらにまた、実施の形態1に使用されるラックトレイ10の変形例として、図17に示すラックトレイ10Dが例示される。図17は、ラックトレイ10Dの断面図である。トレイベース10aの基板10g下部にシャフト10q’により支持されるラック脱落防止機構10b’の脱落防止用レバー10s’は、ラックトレイ10Dのラック進行方向の長さと略同じ長さとし、シャフト10q’は脱落防止用レバー10s’の中心部に設置される。バネ10r’はラックトレイ10と同様に、脱落防止用レバー10s’の端部を穴部10wから立ち上がるよう上方に付勢している。脱落防止用レバー10s’の長さをラックトレイ10Dのラック進行方向の長さと略同じ長さとすることにより、複雑なロック解除機構は不要となり、図18に示すラックトレイセット部8A’において、ラックトレイ収容部8c後方のガイド壁8k近傍に突起部8h’を形成するだけでラック脱落防止機構10b’のロックの解除が可能となり、また、ラックトレイ10Dを滑らせてラックトレイセット部8A’に載置しうるので、セットが安全かつ容易に行ないうるものである。
【0063】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかるラック搬送システムについて、図面を参照しつつ説明する。図19は、ラックトレイセット部8A’’にラックトレイ10を載置したときのラックトレイセット部8A’’の断面図である。ラックトレイセット部8A’’は、ラック脱落防止機構10bのロック解除機構8jを備え、ロック解除機構8jは、ロック解除レバー8mと、センサ8lと、モータ8kとを有する。ロック解除レバー8mは、ラック脱落防止機構10bの脱落防止用レバー10sを押し上げるレバーであって、ラックトレイセット部8A’’の搬送機構側に設置される。センサ8lは、複数のラックを保持収納するラックトレイ10を滑らせてラックトレイセット部8A’’に載置した際、該載置を感知するセンサであって、ラックトレイセット部8A’’後方のガイド壁8k近傍に設置される。実施の形態2において、センサ8lがラック脱落防止機構10bのロック解除ボタンとなる。モータ8kは、センサ8lがラックトレイ10のラックトレイセット部8A’’への載置を感知した後、ロック解除レバー8mを押し上げる。実施の形態2にかかるラック搬送システムにおいても、ロック解除ボタンであるセンサ8lはガイド壁8k近傍に設置するため、ラックトレイ10を滑らせてラックトレイセット部8A’’に載置しうるので、セットが安全かつ容易に行ないうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施の形態1にかかるラックトレイを使用する自動分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1にかかるラックトレイの斜視図である。
【図3】検体容器を保持するラックを収納したラックトレイの斜視図である。
【図4】図3のラックトレイのA−A線断面図である。
【図5】実施の形態1にかかるラック移動防止機構の動作図である。
【図6】実施の形態1にかかるラック移動防止機構とガイドレールを含む係合部分の横断面図である。
【図7】実施の形態1にかかるラック回収部の斜視図である。
【図8】実施の形態1にかかるラック移動防止機構のロック解除の動作図である。
【図9】図3のラックトレイのB−B線断面図である。
【図10】実施の形態1にかかるラックトレイセット部の斜視図である。
【図11】図3に示すラックトレイを図10のラックトレイセット部に載置する途中のC−C線断面図である。
【図12−1】実施の形態1にかかるラックトレイセット部へのラックトレイのセットの一連の動作図1である。
【図12−2】実施の形態1にかかるラックトレイセット部へのラックトレイのセットの一連の動作図2である。
【図12−3】実施の形態1にかかるラックトレイセット部へのラックトレイのセットの一連の動作図3である。
【図12−4】実施の形態1にかかるラックトレイセット部へのラックトレイのセットの一連の動作図4である。
【図13−1】実施の形態1にかかるラックトレイの変形例1を示す正面図である。
【図13−2】実施の形態1の変形例にかかるラックトレイを使用する自動分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図14】実施の形態1にかかるラックトレイの他の変形例2を、ラック、ラック回収部と共に示す断面図である。
【図15】実施の形態1の変形例3にかかるラック移動防止機構とガイドレールを含む係合部分の横断面図である。
【図16】実施の形態1の変形例3にかかるラックトレイを、ラック、ラック回収部と共に示す断面図である。
【図17】実施の形態1の変形例4にかかるラックトレイの断面図である。
【図18】実施の形態1の変形例4にかかるラックトレイセット部の斜視図である。
【図19】実施の形態2にかかるラックトレイセット部の断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1、1A 自動分析装置
2、3 第1および第2試薬庫
2a、3a 試薬容器
4 反応テーブル
4a 保持部
4b 光路
5 反応容器
6、7 第1および第2試薬分注装置
6a、7a アーム
6b、7b プローブ
8、8’ ラックトレイ搬送システム
8a 押し出しレバー
8c ラックトレイ収容部
8d 穴部
8e バネ
8f シャフト
8g ロック解除レバー
8h、8h’ 突起部
8i ロック解除機構
8k ガイド壁
8A、8A’、8A’’ ラックトレイセット部
8B、8B‘ 搬送機構
8C ラック回収部
9、9A ラック
9a 検体容器
10、10A、10B、10C、10D ラックトレイ
10a トレイベース
10b、10b’ ラック脱落防止機構
10c、10c’、10c’’ ラック移動防止機構
10d 取手部材
10e、10e’ ガイドレール
10f ガイド壁
10g 基板
10h、61 係合部
8b、10i、10j 溝
10k、10l、10k’、10l’ 仕切り
10m、10r、33 バネ
10n、10q、32 シャフト
10o Eリング
10p、60 突起
10s、10s’ 脱落防止用レバー
10t、10t’ 押し上げ部
11 分析光学系
12 洗浄機構
13、14 第1および第2攪拌装置
15 制御部
16 入力部
17 分析部
18 記憶部
19 出力部
20 検体分注装置
30 接合部材
31 接合部
40 測定機構
50 制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱落防止用レバーと、前記脱落防止用レバーをラックトレイに支持するシャフトと、前記シャフトを軸として前記脱落防止用レバーを上方に付勢することによりラックトレイ開口部から突出させてラックの脱落を防止するバネと、を備えるラック脱落防止機構を有するラックトレイを使用するラック搬送システムにおいて、
前記ラック脱落防止機構のロック解除機構を備え、複数の検体容器を支持したラックを複数配列して保持する前記ラックトレイを載置するラックトレイセット部と、
前記ラックトレイを空の状態で載置し、分注終了後の検体容器を支持したラックを回収するラック回収部と、
前記ラックを前記ラックトレイセット部から分注機構まで搬送し、検体容器から検体を分注した後、前記ラック回収部まで前記ラックを搬送する搬送機構と、
を備え、前記ロック解除機構のロック解除ボタンは、複数の検体容器を支持した複数のラックを収納する前記ラックトレイを滑らせてラックトレイセット部に載置しうる位置に形成されることを特徴とするラック搬送システム。
【請求項2】
前記ラックトレイセット部は、ラックトレイを収容する収容部を備え、前記収容部の後方のガイド壁上から前記ラックトレイを滑らせてラックトレイセット部に載置することを特徴とする請求項1に記載のラック搬送システム。
【請求項3】
前記ロック解除ボタンは、ラックトレイセット部後方のガイド壁近傍に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のラック搬送システム。
【請求項4】
前記脱落防止用レバーは、ラックトレイのラック進行方向の長さと略同じであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項5】
前記ロック解除機構は、
前記ラックトレイセット部のラック進行方向の長さと略同じ長さを有するロック解除レバーと、
前記ラックトレイセット部に前記ロック解除レバーを支持するシャフトと、
前記ラックトレイセット部後方のガイド壁側のロック解除レバー端部を押し上げるよう付勢するバネと、
を備え、前記ロック解除レバーの両端部は鉛直に立ち上がる突起部を有し、前記ラックトレイセット部後方のガイド壁側の突起部が前記ロック解除ボタンであって、前記ラックトレイセット部のラックトレイ収容部には前記突起部が突出するための穴部が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項6】
前記バネは、前記ラックトレイセット部後方のガイド壁側の前記ロック解除レバー突起部を押し上げて前記穴部より突出するよう付勢し、複数のラックを保持収納する前記ラックトレイを滑らせて前記ラックトレイセット部に載置する際、該ラックトレイ載置により前記突起部を押し下げて、他端突起部を押し上げることにより前記ラック移動防止機構のロックを解除することを特徴とする請求項5に記載のラック搬送システム。
【請求項7】
前記ロック解除機構は、
前記ラックトレイセット部の搬送機構側に設置されるロック解除レバーと、
前記ラックトレイセット部後方のガイド壁近傍に設置され、複数のラックを収納する前記ラックトレイを滑らせて前記ラックトレイセット部に載置した際、該載置を感知するセンサと、
前記センサが前記ラックトレイの前記ラックトレイセット部への載置を感知した後、前記ロック解除レバーを押し上げるモータと、
を備え、前記センサが前記ロック解除ボタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項8】
前記ラック回収部は、前記ラック脱落防止機構の前記ロック解除機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項9】
前記ラックトレイは、
複数のラックを保持収納するトレイベースと、
前記トレイベース上を移動し、前記トレイベースに複数配列された前記ラックを防止する前記ラック脱落防止機構側に押圧するラック移動防止機構と、
を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項10】
前記ラックトレイは、前記トレイベースに保持収納されるラック数に対応する位置に複数の係合部を有するガイドレールを備え、前記ラック移動防止機構が備える係止部を前記係合部に係合して前記ラックの移動をロックすることを特徴とする請求項9に記載のラック搬送システム。
【請求項11】
前記係合部は、前記ガイドレール上に形成される突起であり、前記ラックトレイ開口部側の斜面傾斜を大きく、他方の斜面傾斜を小さくすることを特徴とする請求項10に記載のラック搬送システム。
【請求項12】
前記ラック移動防止機構は前記係止部を押し上げるハンドル部を備え、該ハンドル部を把持押圧して前記係止部を押し上げることにより前記係合部との係合を解除して、前記ラック移動防止機構を移動することを特徴とする請求項10または11に記載のラック搬送システム。
【請求項13】
前記トレイベースの前記ラックの配列方向と平行な対向する2辺に取手部材を備えることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項14】
前記ラック移動防止機構は、前記ハンドル部に支持されて前記ガイドレール下部まで延長するシャフトを備え、前記ガイドレールは、前記ラック移動防止機構の移動に伴い前記シャフトが通過する溝部を備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項15】
前記ガイドレールは、前記トレイベースと独立して形成され、接合部材により前記トレイベースと接合され、前記接合部材と前記ガイドレールとの間には、前記ガイドレールを押し上げるよう付勢するバネを備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項16】
前記トレイベースは、前記ラックの進行方向の開口部を除く三方にガイド壁を備え、進行方向と平行な2辺のいずれか一方のガイド壁は、該側面部に前記ラックと嵌合する嵌合部を有することを特徴とする請求項9〜15のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項17】
前記ガイド壁の嵌合部と嵌合する突起部を有するラックを保持収納することを特徴とする請求項16に記載のラック搬送システム。
【請求項18】
前記ラックの進行方向の開口部側に設置される前記取手部材は、保持部が前記取手部材の設置位置よりオフセットされることを特徴とする請求項13〜17のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項19】
前記ラック回収部は、前記ラック移動防止機構のロック解除機構を備えることを特徴とする請求項9〜18のいずれか一つに記載のラック搬送システム。
【請求項20】
前記ラック移動防止機構の前記ロック解除機構は、前記ラックトレイの前記シャフト部を押し上げる押し上げ部材であることを特徴とする請求項19に記載のラック搬送システム。
【請求項21】
前記ラック移動防止機構の前記ロック解除機構は、前記ガイドレールを押し下げるよう前記ラックトレイの前記接合部材を押し上げる、押し上げ部材であることを特徴とする請求項19に記載のラック搬送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12−1】
image rotate

【図12−2】
image rotate

【図12−3】
image rotate

【図12−4】
image rotate

【図13−1】
image rotate

【図13−2】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate