説明

ラベリングマシン

【課題】容器の高速搬送とラベルの高精度貼付の両立が可能であること。
【解決手段】ロータリー搬送装置は周面に形成した複数のポケットに容器を収容して公転搬送するスター回転体と、スター回転体の外方に配置し、外方への飛び出しを規制しながら容器を誘導する搬送ガイドと、公転搬送中の容器の底面を支持する支持床とを具備し、スター回転体は縦向きで互いに平行に配置し、前記ポケット内に周面の一部を突出させて空転自在に設けた一対のローラを具備し、ラベル貼付区間に亘って、前記一対のローラの円周面と貼付ドラムの円周面との間で容器の胴部の三箇所を線接触させて回転可能に支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータリー搬送装置を具備したラベリングマシンに関し、より詳細には毎分1000BPM以上の超高速で運転できるラベリングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル貼付時に容器を強制的に回転(自転)させるラベリングマシンが特許文献1(特開昭53−123100号公報)により公知である。
このラベリングマシンは、貼付ドラムの円周面と対向して設けた固定式の湾曲壁と、貼付ドラムの円周面との間に蛇行したラベル貼付区間を形成し、容器を円弧状の湾曲壁へ押し付けながら回転させている。
【0003】
ロータリー式搬送装置を具備したラベリングマシンが、特許文献2(特開昭59−209823号公報)、特許文献3(特開平11−59639号公報)に開示されている。
ロータリー式搬送装置は容器の上下部を把持する上下一対のホルダを具備していて、公転中の容器に対しラベル貼付区間に亘り容器を強制的に回転させる自転機構を具備している。
【0004】
特許文献2はラベル貼付区間に亘って配置したエンドレス形の循環ベルトの回転を容器へ伝えるベルト式の回転機構が開示され、また特許文献3は歯車やカム等を利用して、容器の上下部を保持する上下一対のホルダを強制回転させるホルダの回転機構が開示されている。
【0005】
また特許文献4(特開平5−262339号公報)には、ロータリー式搬送装置を具備したラベリングマシンであって、ラベル貼付区間に亘って貼付ドラムの円周面の湾曲形状に追従するように、上下一対のホルダを揺動自在に構成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭53−123100号公報
【特許文献2】特開昭59−209823号公報
【特許文献3】特開平11−59639号公報
【特許文献4】特開平5−262339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のラベリングマシンにあってはつぎのような問題点がある。
<1>特許文献1にあっては、ラベル貼付時における容器の支持形態が、貼付ドラムと湾曲壁とにより容器の両側二箇所を線接触させて支持するだけであるから、ラベル貼付区間を通過する容器が不安定な姿勢になり易い。
殊に容器の搬送速度を速くするほど容器の鉛直性が保ち難い。容器の僅かな傾きは貼付したラベルの位置ずれを生じ不良製品の発生率を高める。
さらに特許文献1のラベリングマシンは、貼付を終えたラベルがシワになり易い問題と、湾曲壁の全長を越える長さのラベルを貼付できないといった問題もある。
<2>特許文献2,3に開示されたラベリングマシンは、容器の上下部を把持するホルダの昇降機構に加えて、容器の強制回転機構を追加して組み込むため、構造が複雑でコスト高の問題がある。
<3>特許文献4のラベリングマシンにあっても、容器の上下部を把持するホルダの昇降機構に加えて、上下ホルダの揺動機構を組み込むため、構造が複雑でコスト高の問題がある。
<4>特許文献2〜4に開示されたラベリングマシンは、貼付ドラムを使ってラベルを容器に移し替えただけでラベルの付着が十分とはいえない。
そのため、貼付後のラベル表面をブラシ等で押し付けて仕上げるために専用の仕上げ設備を配置する必要がある。
<5>ラベルを毎分1000枚(BPM)以上の超高速で貼付する高性能のラベリングマシンの研究開発が進められている。
ラベリングマシンの高速化をすすめるうえで、容器の高速搬送とラベルの高貼付精度の両立を図ることが非常に困難である。
例えば特許文献2〜4に開示されたロータリー式搬送装置は、公転速度が低速域であれば上下一対のホルダによって容器の鉛直性を確保できるが、容器の公転速度を高速化すると、昇降速度を増したホルダが容器に強く当たって容器が損傷を受けたり、或いは上下のホルダ間でのセンタリングに失敗して容器の鉛直性が失われるといった問題を引き起こす。
このようにロータリー式搬送装置を具備した従来のラベリングマシンはその最大運転速度が毎分600枚(BPM)程度が限界であった。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、少なくともつぎの何れかひとつのラベリングマシンを提供することにある。
(1)容器の高速搬送とラベルの高精度貼付の両立が可能であること。
(2)毎分1000枚以上の超高速で運転できるラベリングマシンを提供すること。
(3)簡易な構成で以ってラベリングマシンの低コスト化を図ること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の第1発明は、容器を公転搬送するロータリー搬送装置と、容器の周面にラベルを貼付する貼付ドラムとを具備し、ラベル貼付区間に亘って貼付ドラムの円周面に当接させて容器を回転させてラベルを貼付するラベリングマシンであって、前記ロータリー搬送装置は周面に形成した複数のポケットに容器を収容して公転搬送するスター回転体と、スター回転体の外方に配置し、外方への飛び出しを規制しながら容器を誘導する搬送ガイドと、公転搬送中の容器の底面を支持する支持床とを具備し、前記スター回転体は縦向きで互いに平行に配置し、前記ポケット内に周面の一部を突出させて空転自在に設けた一対のローラを具備し、
ラベル貼付区間に亘って、前記一対のローラの円周面と貼付ドラムの円周面との間で容器の胴部の三箇所を線接触させて回転可能に支持したことを特徴とする。
本願の第2発明は、前記第1発明において、前記スター回転体は回転軸と一体の回転テーブルと、回転テーブルの周縁部に放射状に配置し、回転テーブルの径方向に沿ってスライド可能な複数の横向きホルダとを具備することを特徴とする。
本願の第3発明は、前記第2発明において、前記横向きホルダが回転テーブルの周縁部に固定した基台と、基台を水平に貫通したプッシュロッドと、プッシュロッドの前部に水平に向けて設けた爪板と、プッシュロッドの前部に鉛直に設けた一対のローラと、プッシュロッドを前部へ向けて常時付勢するばねとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明はつぎの何れかひとつの効果を奏する。
(1)ラベル貼付区間に亘って、一対のローラの円周面と貼付ドラムの円周面との間で容器の胴部の三箇所を線接触させて回転可能に支持したことことにより、容器が高速で回転しても容器の良好な鉛直性を保つことができる。
(2)一対のローラと貼付ドラムとにより、公転する容器の鉛直性を保った状態で回転できるので、ラベルを正確な位置にきれいに貼付することができる。
(3)本発明は従来装置のように容器の上下部を把持しない。
本発明は容器の胴部に直接搬送力を加えて公転搬送する形態を採用した。
したがって、容器の高速搬送とラベルの高精度貼付の両立が可能でとなって、従来まで実現が困難とされていた毎分1000枚以上の超高速で運転できるラベリングマシンを提供することができる。
(4)ロータリー搬送装置は従来装置のような容器の上下部を把持するための上下一対のホルダと、容器を強制的に回転するための専用の回転機構が不要である。
ロータリー搬送装置はスター回転体と、容器の飛び出しを規制しながら誘導する搬送ガイドと、容器を支持する支持床とを具備した簡易な構造である。
したがって、ラベリングマシンの構造の簡略化と低コスト化を実現できる。
(5)容器の胴部の二箇所を線接触させて支持する一対のローラによって、容器に貼付したラベルを繰り返し転圧することができる。すなわち、ラベルの貼付と並行してラベルの仕上げ処理を行うことができる。
したがって、専用のラベル仕上げ設備を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係るラベリングマシンの平面図
【図2】図1におけるII−IIの断面図
【図3】図2におけるIII−IIIの断面図
【図4】横向きホルダの全体斜視図
【図5】ラベルの貼付工程を説明するためのモデル図
【図6】ラベルの貼付工程を説明するためのモデル図
【図7】ローラによるラベルの転圧仕上げ作用を説明するためのモデル図で、(A)はラベルの転圧前のモデル図、(B)はラベルの転圧後のモデル図
【図8】実施例2に係る説明図であって、一部を省略したロータリー搬送装置の正面図
【図9】一部を省略した横向きホルダの平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照しながら本発明に係るラベリングマシンについて説明する。
【実施例1】
【0013】
<1>ラベリングマシンの概要
図1に本発明に係るラベリングマシンの一例を示す。
ラベリングマシンは少なくとも容器10を公転搬送するロータリー搬送装置20と、容器10の周面にラベルを貼付する貼付ドラム30とを具備する。
貼付ドラム30の周速度V1はロータリー搬送装置20の周速度V2よりも大きく設定されている。
【0014】
容器10の搬入路11の終端側に搬入スター12および固定式の搬入ガイド13が設けられていて、搬入路11を通じて供給される容器10をロータリー搬送装置20へ順次移送できるようになっている。
また容器10の搬出路14の始端側に搬出スター15および固定式の搬出ガイド16が設けられていて、ラベルの貼付を終えた容器10をロータリー搬送装置20から搬出路14へ搬出できるようになっている。
【0015】
両スター12,15はその周面に容器10を収容可能な複数のポケットを形成した公知のスターホイールで、回転軸を中心に一方向(図1では時計回り方向)へ向けて回転する。
【0016】
各スター12,15に対向して設けた各ガイド13,16は、スター12,15の半径より大径の円弧状のガイド面13a,16aを形成していて、飛び出しを規制しながら容器10をガイド面13a,16aに沿って誘導する。
【0017】
貼付ドラム30へラベルを供給する手段としては、例えば枚葉タイプやロールテープから引き出したテープを貼着直前にラベルサイズに切断するロールラベルタイプであってもよい。ラベルの素材は紙、樹脂フイルム等の公知の素材を使用できる。
【0018】
<2>貼付ドラム
貼付ドラム30は鉛直の回転軸31を中心に一方向(図1では時計回り方向)に回転する公知の負圧吸引式の回転ドラムで、そのドラムの円周面に複数の吸引孔32を有する。
各吸引孔32は、ラベルを受け取って容器10へ貼付するまでの区間33を通過するときに負圧によるラベルの吸着力を発生し、区間33以外を通過するときに負圧が切れる構造になっている。
図2では貼付ドラム30の底部に固定式のエア分配器34を配設した場合を示すが、負圧孔32の負圧をオンオフする構造は周知であるので、その詳しい説明は省略する。
【0019】
<3>ロータリー搬送装置
上下一対のホルダで以って容器の上下部を把持する従来のロータリー搬送装置は容器の搬送速度が低かった。
そこで本発明では、容器10の搬送速度を高めるため容器10の胴部に直接公転搬送力を加える形態を採用した。
【0020】
図1に示すように、ロータリー搬送装置20は鉛直の回転軸21を中心に一方向(図1では反時計回り方向)へ向けて回転するスター回転体22と、スター回転体22の外方に配置し、外方への飛び出しを規制しながら容器10を誘導する搬送ガイド17と、公転搬送中の容器10の底面を支持する支持床23とを具備する。
【0021】
<3.1>スター回転体
スター回転体22は容器10の胴部を収容して公転移送するための回転体で、回転軸21と一体の回転テーブル24と、回転テーブル24の周縁部に当間隔に配置した複数の横向きホルダ40とを具備し、全体として周面に複数のポケットを形成したスターホイールに似た形状をしている。
回転テーブル24に対して放射状に配置した各横向きホルダ40は、回転テーブル24の径方向に沿ってスライド可能である。
【0022】
<3.1.1>回転テーブル
回転テーブル24は複数の各横向きホルダ40を搭載する円形板であり、回転軸21の回転を受けて一方向へ回転する。
【0023】
<3.1.2>横向きホルダ
図2〜4を参照して横向きホルダ40を説明する。
横向きホルダ40は容器10の胴部11を収容して公転搬送するホルダで、回転テーブル22の周縁部に固定した基台25と、基台25を水平に貫通した単数又は複数のプッシュロッド41と、プッシュロッド41,41の前部に水平に向けて設けた単数又は複数の爪板42と、プッシュロッド41,41の前部に鉛直に設けた一対のローラ43,43と、プッシュロッド41を前部へ向けて常時付勢するばね44とを具備する。
【0024】
(プッシュロッド)
図2に示すように、プッシュロッド41は爪板42および一対のローラ43,43を水平スライド自在に支持するためのロッドである。
本例では複数のプッシュロッド41,41を基台24の上下に配置した場合について示すが、左右に配置してもよい。
各プッシュロッド41は筒状のスリーブ26を介して支持することが望ましい。
【0025】
プッシュロッド41をスライド自在に支持するのは、容器10の径の大小にかかわらず、ラベル貼付区間に亘って容器10を貼付ドラム30の円周面に当接させるためである。
【0026】
プッシュロッド41,41の前端および後端はそれぞれ連結板45,46を連結し、前方の連結板45の前面には水平に向けて爪板42を固定し、後方の連結板46にはストッパを兼ねた調整子47を螺着する。
調整子47はボルトからなり、その先端が基台25の側面に当接することで、プッシュロッド41,41の前進方向(図2,3の左方)へ向けたスライドを規制する。調整子46を回転操作することでプッシュロッド41の前進方向へ向けたストローク量が調整可能である。
換言すれば、調整子46を回転操作することでスター回転体22の回転半径が調整可能である。
【0027】
(爪板)
爪板42は容器10の胴部11を収容するためのU字形のポケット42aを形成した板体である。
本例では連結板46の上下部に2枚の爪板42を設けた場合について図示するが、上下何れか一方の爪板42だけでもよい。
【0028】
(ローラ)
ローラ43,43は容器10を公転搬送する機能と、容器10を鉛直に支持する機能と、容器10の回転(自転)抵抗を小さくする機能と、貼付を終えたラベルの仕上げ機能を兼備した容器10より小径の空転ローラである。
ローラ43,43は、互いに所定の距離を隔てて上下の爪板42,42間に縦向きに配置して回転自在に軸支する。
【0029】
ローラ43の全長は少なくともラベルの仕上げができる長さを有する。
ローラ43の表面は硬質に形成してもよいが、ラベルの仕上げ機能を十分に発揮するためにはゴム製または樹脂製であることが好ましい。
【0030】
左右一対のローラ43,43を軸支するにあたり、プッシュロッド41の軸線上にある爪板42の中心線に対して等距離の位置に軸支することが望ましい。容器10を高速回転したときに良好な鉛直性を得るためである。
【0031】
図3に示すように、左右一対のローラ43,43を縦向きに設置するにあたり、一対のローラ43,43が互いに平行であることと、各ローラ43,43の円周面の一部が、爪板42のポケット42a内に突出していることが構造上重要なことである。
【0032】
一対のローラ43,43の一部をポケット42a内に突出させた理由は、図3に示すように容器10にラベルLを貼付する際に、左右一対のローラ43,43の円周面と貼付ドラム30の円周面とにより、容器10の胴部11の三箇所P1〜P3を安定的に支持して容器10の良好な鉛直性を保つためである。
しかも容器10の鉛直性を保って高速搬送をするために、容器10の三箇所P1〜P3の接触形態は、点接触ではなく、容器10の軸方向に沿った線接触であることが肝要である。
【0033】
(容器を三箇所で支持する理由)
例えば横向きホルダ40側に1つだけローラ43を設け、貼付ドラム30の円周面との間で容器10の周面を二箇所で支持することを想定した場合は、ポケット42a内で容器10の自由移動を規制できず、容器10の安定支持ができない。
また例えば横向きホルダ40にポケット42aに沿って3つ以上のローラ43を設け、容器10の周面を四箇所以上で支持することを想定した場合は、容器10の製造公差やローラ10の設置誤差等の要因により、一部のローラが容器10と接触しなかったり、接触が弱かったりして容器10と多数のローラ43との接触状態にバラツキを生じる。容器10に対して多数のローラ43の接触状態が不均一であると、容器10の支持が不安定となって容器10の鉛直性を維持することが難しい。特に容器10の公転速度と自転速度が高速化するほど、容器10のブレが激しくなる。
【0034】
本発明は上記した問題を解消するために、横向きホルダ40側に二つのローラ43,43を設け、貼付ドラム30の円周面による支持を加えて、容器10の胴部11の三箇所P1〜P3を点ではなく線(又は面)で支持することとしたものである。
【0035】
(ばね)
ばね44はコイルスプリング等の公知の弾性材で、本例では連結板46と基台24の間に縮設する。
ばね44の配設位置は本例に限定されず、プッシュロッド41と、プッシュロッド41に一体に取り付けた一対のローラ43,43をはじめとする関連部品を回転テーブル24の遠心方向へ向けて付勢できる位置であれば設置位置は限定されない。またばね力を調整可能に構成してもよい。
【0036】
<3.2>搬送ガイド
搬送ガイド17は容器10の飛び出しを規制しつつ、スター回転体22と協働して容器10を公転搬送するためのガイド材で、スター回転体22の外方に配置する。
搬送ガイド17はスター回転体22の回転半径より大径の円弧状のガイド面17aを形成している。本例では搬送ガイド17を平板で形成する場合について図示するが、棒材を湾曲して形成してもよい。
搬送ガイド17は容器10に貼り終えたラベルを棄損しないように、ラベルの貼付範囲から外れた高さに設けることが望ましい。
【0037】
<3.3>支持床
ロータリー搬送装置20の周囲には、搬入路11の終端から搬出路14の始端へかけて容器10の底面を支持するための支持床23を水平に設ける。本例では、支持床23をマシン本体に固定した場合を示す。
図2に示すように、支持床23の外縁側に底部ガイド23aを設けて容器10の底部をガイドするように構成するが、底部ガイド23aは必須の要素ではなく、例えば距離を隔てて搬送ガイド17が上下二段に配置してあって、搬送ガイド17だけで容器10の飛び出しを規制しながら公転搬送できる場合には底部ガイド23aを省略してもよい。
【0038】
[作用]
つぎにラベリングマシンの作動について説明する。
【0039】
<1>容器の公転搬送
図1において、搬入スター12と搬入ガイド13とにより搬入路11の容器10を回転するロータリー搬送装置10の外縁部へ順次移送する。
移送した容器10はスター回転体22の横向きホルダ40と出会い、ポケット42aに収容される。その後、ポケット42aに収容した容器10は、その底部を支持床23に支持された状態で搬送ガイド17に誘導されながら貼付ドラム30へ向けて公転搬送される。容器10の公転搬送中、容器10は回転(自転)しない。
【0040】
<2>ラベルの貼付
公転搬送中の容器10がラベル貼付区間を通過するとき、以下の要領で容器10の周面にラベルLが貼付される。
【0041】
<2.1>ラベル先端の貼付
図3は容器10がラベル貼付区間の開始地点に達した状態を示す。
同図において、貼付ドラム30は時計回り方向に回転し、また容器10は反時計回り方向へ向けて公転搬送される。
貼付ドラム30の円周面に吸着されたラベルLの先端部は容器10と出会って貼付される。
【0042】
<2.2>容器の回転支持
図3,5,6はラベル貼付区間を通過する容器10の支持位置の変化を示したものである。
ラベルLを介して、或いはラベルLを介さずに容器10が貼付ドラム30の円周面と接触すると、貼付ドラム30の回転を伝えられた容器10が公転しながら反時計回り方向へ向けて回転(自転)を開始する。
容器10の回転(自転)に伴い、貼付ドラム30のラベルLが順次容器10の周面へ貼付される。
【0043】
尚、図5,6において、説明の便宜上、ラベルLが容器10の円周面から離隔した状態で図示しているが、実際には隙間なく貼付される。
【0044】
このように、容器10がラベル貼付区間を通過する間に亘り、貼付ドラム30の円周面と一対のローラ43,43の円周面とにり容器10胴部11の三箇所P1〜P3を支持し続ける。
しかも容器10胴部11を支持する三箇所P1〜P3の間隔は、ラベル貼付区間においてほとんど変わることがない。
したがって、容器10の公転速度と容器10の回転(自転)速度を高速にしても、容器10の良好な鉛直性を維持することができる。
したがって、鉛直の容器10に対してラベルLを正確な位置に貼付することができる。
【0045】
<2.3>容器の公転
図5,6に示すように、横向きホルダ40が反時計回り方向へ向けて公転すると、ばね44を収縮させてた後に復元してプッシュロッド44が図面右方へ後退スライドした後に図面左方へ前進スライドする。
【0046】
<3>ローラの機能
一対のローラ43,43が容器10を公転搬送する機能と、容器10を鉛直に支持する機能を有することは既述した通りであるが、それ以外の機能について詳しく説明する。
【0047】
<3.1>回転抵抗の低減機能
ポケット42a内の容器10はその胴部11を空転式のローラ43,43と線接触しながら回転(自転)する。
そのため、ローラを省略したポケット内で回転する場合と比べて容器10の回転(自転)抵抗が極めて小さくなる。
容器10の回転(自転)抵抗が小さくなるほど、容器10の回転(自転)速度を高速にするうえで有利である。
【0048】
<3.2>ラベルの仕上げ機能
ポケット42a内で容器10が回転(自転)する際、容器10の周面のラベルLも回転して二つのローラ43,43を通過する。
容器10と線接触した二つのローラ43,43は、ばね力で容器10に押し付けられているので、ラベルLがローラ43と容器10の間を通過する都度、転圧を行なう。
このようにラベルLの全長に亘って容器10の円周面と密着するように、二つのローラ43,43で以ってラベルLの仕上げを繰り返し行なう。
本発明では容器10の回転(自転)中にラベルLの貼付と並行してラベルLの仕上げ作業を行えるので、従来のラベリングマシンのように、ラベル貼付区間の以降にラベルの仕上げをするための専用設備を配備する必要がない。
また全周巻きラベルLで、容器10の回転区間を長く設定した場合は、ラベル始端とラベル後端が重なった重合部を繰り返し転圧することもできる。
【0049】
<3.3>ラベル始端の折れ曲がり修正機能
一般に容器の自転速度と公転速度を高速にしてラベルを貼付すると、ラベルと容器の接着が不十分となって、ラベル始端の角部が折れ曲がって貼付されたり、或いはラベル始端がめくれ上がるといった問題があった。
【0050】
これに対し本発明では、図7に拡大して示すように、容器10の回転を受けて回転する小径のローラ43の回転数が容器10の回転数よりも格段に大きく、さらに小径のローラ43の回転方向が、ラベルLを容器10の円周面へ押し付ける方向に回転する。
【0051】
そのため、図7(A)に示すようにラベルLの始端部の接着が不十分であっても、或いはラベルLの始端がめくれ上がっていても、小径のローラ43と容器10の間を通過するときに、図7(B)のように小径のローラ43の回転と押圧力によってラベルLの始端部のめくれを修正して容器10の周面へ強制的に押し付ける。
このように、ラベルLの始端の折れ曲がりや、めくれ上がりを単に防止するだけでなく、折れ曲がりやめくれ上がりを修正して貼付することができる。
【0052】
以上説明したように、本発明に係るラベリングマシンは、容器10を三箇所で支持して容器の鉛直性を維持することと、二つの小径のローラ43,43によるラベルLの転圧仕上げ作用によって、容器10の公転速度と回転(自転)速度を高速にしても、ラベルLを容器10の所定の位置に正確に貼付することが可能となる。
【0053】
<4>ラベルの搬出
図1に示すように、ラベルLの貼付を終えた容器10は、その底部を支持床23に支持された状態で搬送ガイド17に誘導されながら搬出スター15へ向けて公転搬送され、搬出スター15と搬出ガイド16を通じて搬出路14へ順次移送される。
【実施例2】
【0054】
以降に実施例2について説明するが、その説明に際し、前記した実施例1と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0055】
図8,9に実施例2に係るラベリングマシンの要部を示す。
図8は一部を省略したロータリー搬送装置20の正面図を示し、図9は一部を省略した横向きホルダ40の平面図を示す。
【0056】
実施例1では横向きホルダ40を回転テーブル24の上面に搭載した場合について説明したが、図8に示すように回転テーブル24の下面に横向きホルダ40を取り付けてもよい。
【0057】
また実施例1では容器10の底面を支持するための支持床23を固定式に構成した場合について説明したが、支持床23を回転式に構成してもよい。
図8は回転テーブル24の下方に回転テーブル24と同期して同一方向に回転する補助テーブル27を設け、この補助テーブル27の外縁の横向きホルダ40と対応する位置に複数の皿状の支持床23を設けた形態を示す。
【0058】
また実施例1では横向きホルダ40のポケット42aをU字形に形成した場合について説明したが、図9に示すように左右一対の小径のローラ43,43の中間にコ字形のポケット42aを形成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10・・・・・容器
17・・・・・搬送ガイド
20・・・・・ロータリー搬送装置
30・・・・・貼付ドラム
41・・・・・プッシュロッド
40・・・・・横向きホルダ
43,43・・ローラ
44・・・・・ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を公転搬送するロータリー搬送装置と、容器の周面にラベルを貼付する貼付ドラムとを具備し、ラベル貼付区間に亘って貼付ドラムの円周面に当接させて容器を回転させてラベルを貼付するラベリングマシンであって、
前記ロータリー搬送装置は周面に形成した複数のポケットに容器を収容して公転搬送するスター回転体と、
スター回転体の外方に配置し、外方への飛び出しを規制しながら容器を誘導する搬送ガイドと、
公転搬送中の容器の底面を支持する支持床とを具備し、
前記スター回転体は縦向きで互いに平行に配置し、前記ポケット内に周面の一部を突出させて空転自在に設けた一対のローラを具備し、
ラベル貼付区間に亘って、前記一対のローラの円周面と貼付ドラムの円周面との間で容器の胴部の三箇所を線接触させて回転可能に支持したことを特徴とする、
ラベリングマシン。
【請求項2】
請求項1において、前記スター回転体は回転軸と一体の回転テーブルと、回転テーブルの周縁部に放射状に配置し、回転テーブルの径方向に沿ってスライド可能な複数の横向きホルダとを具備することを特徴とする、ラベリングマシン。
【請求項3】
請求項2において、前記横向きホルダが回転テーブルの周縁部に固定した基台と、基台を水平に貫通したプッシュロッドと、プッシュロッドの前部に水平に向けて設けた爪板と、プッシュロッドの前部に鉛直に設けた一対のローラと、プッシュロッドを前部へ向けて常時付勢するばねとを具備することを特徴とする、ラベリングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−215244(P2010−215244A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61365(P2009−61365)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(391005949)光洋自動機株式会社 (39)
【Fターム(参考)】