説明

ラベルへのRFIDインレット装着方法、及びRFIDラベル

【課題】 RFIDラベルを物や人に貼り付けた場合に、粘着部全ての貼り付けができ、また、RFIDインレットがずれ落ちることもない、ラベルへのRFIDインレット装着方法を提供する。
【解決手段】 上層ラベルの剥離紙のうち剥離紙の一部131を剥がし、剥離紙131を剥がすことで露出した粘着部12を下層ラベルのラベル部21に貼り付け、RFIDラベル100の型になるように、かつ下層ラベルの剥離紙23のみを残すように切り抜き加工をし、RFIDインレット30を下層ラベルのラベル部21上に載せ、上層ラベルの剥離紙の剥がされていない部分132を剥がし、剥離紙132を剥がすことで露出した粘着部12を下層ラベルのラベル部21及びRFIDインレット30に貼り付けて作成するラベルへのRFIDインレット装着方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルへRFIDインレットを装着する方法、ならびにRFIDラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)は、アンテナとコントローラからなるリーダライタと、情報を電子回路に記憶可能なIDタグとで構成され、無線通信によりデータ交信できる自動認識技術である。RFIDは、非接触で読み書きができ、かつ繰り返して使用でき、また、バーコードと違って、表面が汚れている場合や、物陰に隠れている場合でも読み書きができる特徴を有しており、さらに、複数のRFIDに対して、一度に読み書きができるといった特徴も有している。
【0003】
従来、こうしたRFID機能を有するRFIDインレットをラベルの粘着部に貼り付けたRFIDラベルがある(例えば特許文献1)。RFIDラベルは物や人に貼り付けて使用され、これにより、非接触で物や人の個々の情報を簡単に識別、管理することができる。RFIDラベルは、通信距離が約70cmと長く、大量生産時には安価であり、バーコードの代替として物流分野や個人IDなどへの導入が期待されている。
【特許文献1】特開2002‐72886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のRFIDラベルは、ラベルの粘着部にRFIDインレットが単に貼り付けられたものであるため、RFIDインレットを貼り付けた箇所にあたる粘着部はその機能を果たせないという問題があった。すなわち、RFIDラベルを物や人に貼り付ける場合は、RFIDインレットを貼り付けた箇所以外の粘着部のみを使用して貼り付けることになり、十分な粘着力を期待することができないという問題があった。また、ラベルの粘着部にRFIDインレットが単に貼り付けられたものであるため、ずれ落ちてしまうという問題もあった。さらに、上記従来のRFIDラベルは、その製造を専用の機械で全て自動的に行う場合は、RFIDインレットのICメモリ部分を圧力で破壊してしまうおそれがあり、一方、その製造を全て手作業で行う場合は、コストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題点に着目し、RFIDラベルを物や人に貼り付けた場合に、十分な粘着力を期待することができ、また、RFIDインレットがずれ落ちてしまうおそれもなく、さらに、RFIDインレットのICメモリ部分を破壊せずに、低コストでRFIDラベルの製造が実現できる、ラベルへのRFIDインレット装着方法、及びRFIDラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、上層ラベル及び下層ラベルの間にRFIDインレットを装着する方法であって、上層ラベルの剥離紙のうち剥離紙の一部を剥がす工程と、前記剥離紙を剥がすことで露出した粘着部を下層ラベルのラベル部に貼り付ける工程と、前記上層ラベル及び下層ラベルをRFIDラベルの型になるように、かつ下層ラベルの剥離紙のみを残すように切り抜き加工をする工程と、RFIDインレットを前記下層ラベルのラベル部上に載せる工程と、前記上層ラベルの剥離紙の剥がされていない部分を剥がす工程と、前記剥離紙を剥がすことで露出した粘着部を前記下層ラベルのラベル部及び前記RFIDインレットに貼り付ける工程とを有することを特徴とするラベルへのRFIDインレット装着方法である。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、ラベル部と、該ラベル部に対して粘着加工が施された粘着部を備えた上層ラベルと、ラベル部と、該ラベル部に対して粘着加工が施された粘着部と、該粘着部を覆う剥離紙を備えた下層ラベル部と、前記上層ラベルと前記下層ラベル部との間に挟まれて装着されるRFIDインレットとを備えることを特徴とするRFIDラベルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上層ラベル及び下層ラベルを用いて、ラベル間へRFIDインレットを挟むことにより、下層部のラベルの剥離紙を剥がしたときに粘着部が全面使用できるRFIDラベルを作成することができる。そして、このRFIDラベルを物や人に貼り付けた場合には、粘着部を全面使用できるので、十分な粘着力を期待することができる。さらに、RFIDインレットのICメモリ部分を破壊せずに、低コストでRFIDラベルの製造が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲であれば、適宜に変更、実施できるものである。
【0010】
図1(作成前)または図9(完成状態)に示すように、本発明のRFIDラベル100は、上層ラベル10、下層ラベル20、及びRFIDインレット30から構成されている。作成前において、上層ラベル10は、ラベル部11、粘着部12、及び剥離紙13を備えており、同様に下層ラベル20も、ラベル部21、粘着部22、及び剥離紙23を備えている。上層ラベル10のラベル部11には印刷加工やラミネート加工が施されており、また、粘着部12には粘着加工が施されている。また、剥離紙13にはスリット部133が施されている。一方、下層ラベル20のラベル部21はラベル部11とは異なり、印刷加工やラミネート加工は施されておらず、また、剥離紙23も剥離紙13とは異なり、スリット部は施されていない。なお、粘着部22は粘着部12と同様に粘着加工が施されている。
【0011】
また、RFIDインレット30は、ICメモリと通信回線からなるCMOSチップと超小型アンテナを内蔵している。また、RFIDインレット30は、対応するリーダライタにより読み書きされると、無線を通じて誘電され、通信を行うことができる。このRFIDインレット30を上層ラベル10と下層ラベル20との間に挟んで装着することによりRFIDラベル100が構成される。そして、剥離紙23を剥がすことで粘着部22は全面露出して使用でき、RFIDラベル100を物や人に対して貼り付けた場合、十分な粘着力を期待することができる。
【0012】
以下、図2乃至図9を用いて、RFIDラベル100を作成する手順について説明する。本実施の形態において、RFIDラベル100の作成はステップ1乃至4を有しており、ステップ1及び2は専用の機械を用いて自動的に処理され、一方、ステップ3及び4は手作業で処理する。
【0013】
ステップ1では、上層ラベル10の剥離紙13のうち剥離紙131を剥がし(図2(a),図3参照)、剥離紙131を剥がすことで露出した粘着部12が下層ラベル20のラベル部21に貼り付けられる(図4参照)。次にステップ2では、貼り付けられた上層ラベル10及び下層ラベル20に対し、金型40を用いて、RFIDラベル100の型になるように、かつ剥離紙23だけを残すように、切り抜き加工が施され(図2(b),図5参照)、その後は、RFIDラベル100に使用されない部分の上層ラベル10及び下層ラベル20が剥がされる(図2(c),図6参照)。このような処理は、通称、かす取りと呼ばれている。
【0014】
つづいてステップ3では、RFIDインレット30をラベル部21上に載せる(図2(d),図7参照)。ステップ4では、上層ラベル10の剥離紙13の剥がされていない方132を剥がし(図2(e),図8参照),最後に剥離紙132を剥がすことで露出した粘着部12をラベル部21に貼り付けることにより、上層ラベル10及び下層ラベル20の間にRFIDインレット30を挟んで装着し、RFIDラベル100の作成が終了する(図2(f),図9参照)。
【0015】
以上のステップによりRFIDラベル100が作成される。RFIDラベル100を使用する際は、剥離紙23を剥がすことで粘着部22が全面露出して使用でき、RFIDラベル100を物や人に対して貼り付けた場合、十分な粘着力を期待することができる。
【0016】
以上、本実施の形態によれば、上層ラベル10及び下層ラベル20の間にRFIDインレット30が挟まれて装着されることにより、下層部のラベルの剥離紙23を剥がしたときに粘着部22が全面使用できるRFIDラベル100を作成することができる。これにより、RFIDラベル100を物や人に貼り付けた場合に、十分な粘着力を期待することができ、また、RFIDインレットがずれ落ちてしまうおそれもない。
【0017】
また、上記したようにステップ1及び2では専用の機械を用いて自動的に処理されており、このステップではラベル10,20間にRFIDインレット30を挟む処理は行われないので、インレットのICメモリ部分が破壊されることはない。また、専用の機械により処理されるので、殆どコストもかからない。一方、ステップ3及び4は手作業で処理されており、このステップではラベル10,20間にRFIDインレット30を挟む処理を手作業で行うのでICメモリ部分は破壊されることはない。また、このステップのみを手作業処理としているので、低コストが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の十分な粘着力を期待できるRFIDラベルは、産業上のあらゆる分野において利用可能である。例えば、物流、流通、製造などの分野においては、RFIDラベルを商品や製品などに取り付けることにより、それらの在庫や入出荷等の管理をすることができ、また、セキュリティを要する分野においては、RFIDラベルを社員証などに取り付けることにより、正社員の入退室などを管理することができる。また、RFIDラベルをイベントの入場券などに取り付けることにより、イベント会場への入場管理はもちろん、売り上げ管理をすることもできる。さらに、レンタル商品を扱う分野においては、RFIDラベルをレンタル商品に取り付けることにより、レンタル商品が貸し出し中なのか否か、あるいは貸し出し期限日が過ぎているかなどを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のRFIDラベルの各構成を示す図
【図2】本発明のRFIDラベルを作成する手順を示す図(断面図)
【図3】本発明のRFIDラベルを作成する一工程の状態を示す図(平面図)
【図4】本発明のRFIDラベルを作成する一工程の状態を示す図(平面図)
【図5】本発明のRFIDラベルを作成する一工程の状態を示す図(平面図)
【図6】本発明のRFIDラベルを作成する一工程の状態を示す図(平面図)
【図7】本発明のRFIDラベルを作成する一工程の状態を示す図(平面図)
【図8】本発明のRFIDラベルを作成する一工程の状態を示す図(平面図)
【図9】本発明のRFIDラベルが完成した状態を示す図(平面図)
【符号の説明】
【0020】
10 上層ラベル
11 ラベル部
12 粘着部
13 剥離紙
20 下層ラベル
21 ラベル部
22 粘着部
23 剥離紙
30 RFIDインレット
40 金型
100 RFIDラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層ラベル及び下層ラベルの間にRFIDインレットを装着する方法であって、
上層ラベルの剥離紙のうち剥離紙の一部を剥がす工程と、
前記剥離紙を剥がすことで露出した粘着部を下層ラベルのラベル部に貼り付ける工程と、
前記上層ラベル及び下層ラベルをRFIDラベルの型になるように、かつ下層ラベルの剥離紙のみを残すように切り抜き加工をする工程と、
RFIDインレットを前記下層ラベルのラベル部上に載せる工程と、
前記上層ラベルの剥離紙の剥がされていない部分を剥がす工程と、
前記剥離紙を剥がすことで露出した粘着部を前記下層ラベルのラベル部及び前記RFIDインレットに貼り付ける工程とを有することを特徴とするラベルへのRFIDインレット装着方法。
【請求項2】
ラベル部と、該ラベル部に対して粘着加工が施された粘着部を備えた上層ラベルと、
ラベル部と、該ラベル部に対して粘着加工が施された粘着部と、該粘着部を覆う剥離紙を備えた下層ラベル部と、
前記上層ラベルと前記下層ラベル部との間に挟まれて装着されるRFIDインレットとを備えることを特徴とするRFIDラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−145609(P2006−145609A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331852(P2004−331852)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000153111)株式会社日本管理ラベル (5)
【Fターム(参考)】