説明

ラベルシート

【課題】ラベルシートからラベルのみを直接剥がし取る場合にミシン目に沿って正確に切り取りが行えるようにするとともに、ミシン目の切り取り方向の制約を受けずにどちらの方向からでもラベルを剥がし易いラベルシートを提供する。
【解決手段】シート状の剥離紙11にラベル紙12を剥離可能に貼り合わせ、それをロール状に巻回してなるラベルシート10において、シートの長手方向に所定間隔ごとに切り取り用のミシン目21,21,…を設定して複数の単片ラベル15,15,…を区画する。またミシン目21をラベル紙12の幅方向に平行な上下二列のミシン目とし、上側のミシン目21Aにはラベル紙12の右側の側辺に切り込み部24を形成して摘み用のコーナー部25を連設するとともに、下側のミシン目21Bにはラベル紙12の左側の側辺に切り込み部24を形成して摘み用のコーナー部25を連設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンディターミナルプリンタで使用するラベルロール製品として好適なラベルシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば店舗で商品管理を行う場合、ハンディターミナルプリンタでバーコード等の管理用の情報を印刷したラベルを商品に貼り付け、そのラベル付きの商品を陳列して管理することが広く行われている。
【0003】
図4はこの種のハンディターミナルプリンタで使用するラベルシートの一例を示したものである。同図のラベルシート40は、シート状の剥離紙41の上にラベル紙42が剥離可能に貼り合わされてロール状に巻回されている。またシートの長手方向には所定間隔ごとに切り取り用のミシン目43,43,…が設定されており、これらのミシン目43を介して複数の単片ラベル44,44,…が区画されている。そして同図のようにロール状に巻回したラベルシート40をプリンタ内にセットし、所定ピッチでラベルシート40を繰り出しながら各単片ラベル44に所定情報を印刷して使用するようになっている。
【0004】
ところで、このような構成からなるラベルシート40について、印刷済みの単片ラベル44を使用する場合には、次のような二通りの方法が考えられる。まず一つの方法は、同図(ア)に示すように、ハンディターミナルプリンタに設けられたカッター(図示略)によってラベルシート40を単片ラベル44,44,…単位に切断した後、各単片ラベル44からラベル45を剥がし取る方法である。この方法の場合、ラベル紙42と剥離紙41をまとめて分離したときにミシン目43が切断され、既にミシン目43がなくなった後の単片ラベル44から個別にラベル45を剥がし取るので特に問題は生じない。
【0005】
それに対し、もう一つの方法は、同図(イ)に示すようにラベルシート40をカッターで切断せず、シート状態のままでラベル45のみを剥がし取ろうとする方法である。ところが、この方法の場合にはミシン目43に従って上手く切り取ることができず、図示したようにラベル45が紙破壊を起こすことがある。その理由は、一般にラベル紙42の方が剥離紙41に比べて紙厚が薄くて腰が弱く、しかもラベル45を剥がそうとする力(図中矢印で示す)がミシン目43から離れていく方向に作用することにより、実際の切断ラインLがミシン目43から逸れていってしまうためである。このように、ラベルシート40からラベル45のみを直接剥がし取ろうとするとラベル45が破れて使用できないことがあり、この場合ラベル45を新たに印刷し直さなければならず、余計な手間が掛かる上にラベルを無駄に消費するのでコスト面でも問題があった。
【0006】
なお、ラベルシートに関するものではないが、ミシン目の形状を工夫することによって紙剥けを起こさずに開封できるようにした技術が提案されている(例えば下記の特許文献1参照)。同文献に開示された開封構造は、開封ラインに沿って平行な二列のミシン目を設けたもので、そのミシン目は開封ライン上に変形Y字型の切れ目を横にして並べた形状を有している。この開封構造によると開封開始位置からミシン目を裂いていけば綺麗に開封できるものの、開封開始位置から反対側に向かってミシン目を裂くのは切れ目の構造上難しく、開封方向が一方向に制約されるという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】特開2004−26178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ラベルシートからラベルのみを直接剥がし取ろうとした場合であっても、切断ラインがミシン目から逸れてラベルを破くことがないようにするとともに、ミシン目の切り取り方向の制約を受けずにどちらの方向からでもラベルを剥がし取り易くしたラベルシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のラベルシートは、前記の目的を達成するため、表面に剥離剤が塗布されたシート状の剥離紙の上に、裏面に粘着剤が塗布されたシート状のラベル紙を剥離可能に貼り合わせるとともに、それをロール状に巻回してなるラベルシートにおいて、当該ラベルシートの長手方向に所定間隔ごとに設定された切り取り用のミシン目を介して複数の単片ラベルが分離可能に区画されるとともに、前記ミシン目は前記ラベル紙の幅方向に平行な二列のミシン目からなり、その二列のミシン目のうち、一方のミシン目には前記ラベル紙の片側の側辺に切り込みを入れて摘み用のコーナー部が連設され、他方のミシン目には前記ラベル紙の反対側の側辺に切り込みを入れて摘み用のコーナー部が連設されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、ラベル紙を構成する粘着剤は、常温で被着体に接着できるものであれば種類は問わず、例えばゴム系(天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム)、アクリル系(エマルジョン型、ホットメルト型)、シリコーン系など各種の主成分からなる粘着剤を使用できるが、これらの中ではアクリル系の粘着剤が好適である。また、その接着力については、永久接着(強粘着)タイプ、再剥離(弱粘着)タイプ、再剥離再貼付タイプのいずれであってもよい。
【0011】
切り取り用のミシン目については、少なくともラベル紙にミシン刃によるカット加工を施したカット部が形成されていればよく、剥離紙へのカット加工は任意である。
【0012】
また、本発明では、前記構成からなるラベルシートにおいて、前記二列のミシン目における個々のカット部が、切り取りラインに沿った本線と斜線からなる略L字型を有するL型カット部であり、かつ、そのL型カット部の斜線が前記コーナー部側に配置されている構成を採用することができる。
【0013】
また、本発明では、前記構成からなるラベルシートにおいて、前記L型カット部の斜線が当該ラベルシートにおけるロールの繰り出し始端側を向くように配置されている構成を採用してもよい。
【0014】
また、本発明では、前記構成からなるラベルシートにおいて、前記二列のミシン目のうち、一方のミシン目のカット部と他方のミシン目のカット部とが互い違いの千鳥状に並んでいる構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラベルシートによれば、以下のような効果が得られる。
【0016】
(1)二列のミシン目のうち、一方のミシン目にラベル紙の片側の側辺から切り込みを入れてコーナー部を連設し、他方のミシン目にはラベル紙の反対側の側辺から切り込みを入れてコーナー部を連設したことにより、ラベル紙の両側の切断開始位置にコーナー部が設けられることになる。その結果、剥離紙からラベルを剥がし取る際にラベルを摘むきっかけができ、剥離作業を容易に行うことができるとともに、ミシン目の切り取り方向の制約がなくなり、ラベル紙のどちら側からでもラベルを剥がし取ることが可能なユニバーサルデザインとすることができる。
【0017】
(2)ミシン目における個々のカット部を本線と斜線とからなる略L字型のL型カット部とし、そのL型カット部の斜線をコーナー部側に配置することにより、コーナー部と同じ側にある切り込み部から開始した切断ラインがL型カット部の本線から逸れたとしても、その次にあるL型カット部の斜線に確実に到達して本線に復帰するので、ラベル紙を破くことなくミシン目に従った正確な切り取りを行うことができる。
【0018】
(3)L型カット部の斜線がラベルシートにおけるロールの繰り出し始端側を向くように配置することにより、ラベルを剥がそうとする力がミシン目からロールの繰り出し始端側へと離れていく方向に作用し、その結果切断ラインがL型カット部の本線から逸れたとしても、その逸れた切断ラインをL型カット部の斜線で確実に捕捉でき、ミシン目に沿った正確な切り取りが可能になる。
【0019】
(4)二列のミシン目のうち、一方のミシン目のカット部と他方のミシン目のカット部とを互い違いの千鳥状に並べることにより、同位置に並べた場合に比べてラベル紙の腰が極度に弱くなることを防ぐことができるとともに、プリンタへのセット時、並びに印刷時においてミシン目が不用意に破断してラベルが脱落することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は本発明のラベルシートの全体構造を示す外観図、図2は同ラベルシートにおけるミシン目付近の拡大図、図3は同ラベルシートの作用を示す説明図である。
【0022】
図1に示したように、本実施形態のラベルシート10はシート状の剥離紙11と、剥離紙11よりもやや幅狭なシート状のラベル紙12とからなり、剥離紙11の表面に塗布された剥離剤13とラベル紙12の裏面に塗布された粘着剤14とを剥離可能に貼り合わせて構成されている。ラベルシート10の長手方向には、所定間隔ごとに複数の切り取り用のミシン目21,21,…が設定されており、これらのミシン目21を介して複数の単片ラベル15,15,…が分離可能に区画されている。単片ラベル15の境界にあるミシン目21を切断して剥離紙11からラベル紙12を剥がすと被着体に貼付可能なラベル16になる。また、このラベルシート10はハンディターミナルプリンタで使用するためにラベル紙12を表側にしてロール状に巻回されている。
【0023】
本発明においては、ラベルシート10を単片ラベル15,15,…単位に切断せず、シート状態のままでもラベル16のみを確実に剥がし取れるようにするために、以下のような特徴的な構成を採用している。
【0024】
図2に拡大して示したように、各単片ラベル15を区画するミシン目21は、シートの幅方向に平行な上下二列のミシン目21A,21Bから構成されている。この二列のミシン目のうち、上側のミシン目21Aはラベル16を右側から剥がし取るために設けたミシン目であり、ラベル紙12の右側辺にV字型の切り込み部24を形成し、その切り込み部24のV字突端に上側のミシン目21Aのカット部22を繋げることにより、コーナー部25が連設されている。一方、下側のミシン目21Bはラベル16を左側から剥がし取るために設けたミシン目であり、ラベル紙12の左側辺に同じくV字型の切り込み部24を形成し、そのV字突端に下側のミシン目21Bのカット部22を繋げることにより、コーナー部25が連設されている。
【0025】
このように、上下二列のミシン目21A,21Bにはそれぞれ切断開始位置にコーナー部25が設けられているため、剥離紙11からラベル16を剥がし取る際にラベル16を摘むきっかけができ、剥離作業を容易に行える。また切り込み部24のV字突端がカット部22に繋がっているので、切断の開始から切断ラインを確実にミシン目21上に乗せることができる。なお、切り込み部24の形状は同図に示したV字型に限らず、角を切り落とした湾曲形や、その他の形状にしてもよい。
【0026】
また、上下二列のミシン目21A,21Bはその形状にも特徴がある。同図のように切り取りラインに沿ってカット部22とタイ部23とを交互に配置するとともに、個々のカット部22を切り取りラインに沿った本線22aとその本線22aから傾斜した斜線22bとからなる略L字型に形成したL型カット部22とした。しかも、そのL型カット部22の斜線22bを前記コーナー部25側に配置した構造になっている。つまり、本実施形態において、上側のミシン目21AについてはすべてのL型カット部22の斜線22bが右側に並んで配置されているのに対し、下側のミシン目21Bについては逆にすべてのL型カット部22の斜線22bが左側に並んで配置されている。
【0027】
このように、カット部22の形状を略L型とし、その斜線22bをコーナー部25側に配置することにより、コーナー部25と同じ側にある切り込み部24から開始した切断ラインがL型カット部22の本線22aから逸れたとしても、その次にあるL型カット部22の斜線22bに確実に到達する。その結果、切断ラインがL型カット部22の本線22aに復帰するので、ラベル紙12を破くことなくミシン目21に沿った正確な切り取りを行うことが可能になる。なお、切断ラインのずれを確実に吸収する観点からすると、L型カット部22の斜線22bの先端が、隣のL型カット部22の本線22aの先端よりも先まで食い込んでいることが望ましい。
【0028】
また、上下二列のミシン目21A,21Bに共通する構造として、L型カット部22の斜線22bがラベルシート10におけるロールの繰り出し始端側(図面において下側)を向くように配置してある。つまり、本実施形態では、上側のミシン目21Aと下側のミシン目21Bについて、すべてのL型カット部22の斜線22bが下側を向いて配置されている。その理由は、ラベル16を剥がし取るときには、前述した通りラベル16を剥がそうとする力がミシン目21からロールの繰り出し始端側へと離れていく方向に作用し、その結果、切断ラインがL型カット部22の本線22aから下側へ逸れる傾向が強いことから、その下側へ逸れた切断ラインをL型カット部22の斜線22bで確実に捕捉するためである。
【0029】
さらに、上下二列のミシン目21A,21Bは、上側のミシン目21AのL型カット部22と下側のミシン目22BのL型カット部22とを互い違いの千鳥状に並べた構造を採用している。つまり、本実施形態では、上側のミシン目21AのL型カット部22の直下に下側のミシン目22Bのタイ部23が位置するとともに、上側のミシン目21Aのタイ部23の直下に下側のミシン目21BのL型カット部22が位置するような配置になっている。このように上下二列のミシン目21A,21BのL型カット部22,22どうしを互い違いの千鳥状に並べることによって、同位置に並べた場合に比べてラベル紙12の腰が極度に弱くなることを防ぐことができるとともに、プリンタへのセット時、並びに印刷時においてミシン目21が不用意に破断してラベル16が脱落することを防止できる。
【0030】
以上のように構成されたラベルシート10によれば、単片ラベル15,15,…単位に切断しなくてもラベル16のみを一枚ずつ確実に剥がし取れるとともに、その剥がし取りの際にミシン目21の切り取り方向の制約がなくなり、左右どちら側からでもラベル16を剥がし取ることができる。
【0031】
すなわち、図3(ア)に示すようにラベル16を左側から剥がし取る場合には、左側のコーナー部25aを指で摘み、下側のミシン目21Bを切断してラベル16を剥がすようにする。このとき、切り込み部24のV字突端がL型カット部22の本線22aに繋がっているので、切り取りの開始から切断ラインLを確実にミシン目21B上に乗せることが可能になる。また切り取り途中でその切断ラインLがL型カット部22の本線22aから逸れたとしても、次の位置にあるL型カット部22の斜線22bに到達して本線22aに復帰するので、従来のようにラベル紙12を破くことがなくなり、ミシン目21に従って正確な切り取りが行え、ラベル16を確実に剥がし取ることができる。
【0032】
なお、これとは逆に、図3(イ)に示すようにラベル16を右側から剥がし取る場合には、右側のコーナー部25bを指で摘み、上側のミシン目21Aを切断してラベル16を剥がせばよい。
【0033】
このように、本実施形態のラベルシート10はミシン目21の切り取り方向の制約がなくなり、例えば右利きのユーザは右側のコーナー部25bを摘んで剥がす、左利きのユーザは逆に左側のコーナー部25aを摘んで剥がすといった使い分けができ、ラベル紙12の左右どちらの側からでもラベル16を剥がし取ることが可能なユニバーサルデザインとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のラベルシートの全体構造を示す外観図である。
【図2】本発明のラベルシートにおいて、図1中Aで示すミシン目付近の拡大平面図である。
【図3】本発明のラベルシートにおいて、同図(ア)はラベルを左側から剥がしたとき、同図(イ)はラベルを右側から剥がしたときの様子を示す拡大平面図である。
【図4】従来のラベルシートにおいて、同図(ア)は単片ラベル単位に切断した後でラベルを剥がしたとき、同図(イ)はシート状態のままでラベルを剥がしたときの様子を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ラベルシート
11 剥離紙
12 ラベル紙
13 剥離剤
14 粘着剤
15 単片ラベル
16 ラベル
21 ミシン目
21A 上側のミシン目
21B 下側のミシン目
22 カット部(L型カット部)
22a 本線
22b 斜線
23 タイ部
24 切り込み部
25 コーナー部
25a 右側のコーナー部
25b 左側のコーナー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に剥離剤が塗布されたシート状の剥離紙の上に、裏面に粘着剤が塗布されたシート状のラベル紙を剥離可能に貼り合わせるとともに、それをロール状に巻回してなるラベルシートにおいて、当該ラベルシートの長手方向に所定間隔ごとに設定された切り取り用のミシン目を介して複数の単片ラベルが分離可能に区画されるとともに、前記ミシン目は前記ラベル紙の幅方向に平行な二列のミシン目からなり、その二列のミシン目のうち、一方のミシン目には前記ラベル紙の片側の側辺に切り込みを入れて摘み用のコーナー部が連設され、他方のミシン目には前記ラベル紙の反対側の側辺に切り込みを入れて摘み用のコーナー部が連設されていることを特徴とするラベルシート。
【請求項2】
請求項1に記載のラベルシートにおいて、前記二列のミシン目における個々のカット部が、切り取りラインに沿った本線と斜線からなる略L字型を有するL型カット部であり、かつ、そのL型カット部の斜線が前記コーナー部側に配置されていることを特徴とするラベルシート。
【請求項3】
請求項2に記載のラベルシートにおいて、前記L型カット部の斜線が当該ラベルシートにおけるロールの繰り出し始端側を向くように配置されていることを特徴とするラベルシート。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のラベルシートにおいて、前記二列のミシン目のうち、一方のミシン目のカット部と他方のミシン目のカット部とが互い違いの千鳥状に並んでいることを特徴とするラベルシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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