説明

ラベルプリンタ

【課題】簡単な構成でラベルの剥離を確実に行うことが可能なラベルプリンタを提供する。
【解決手段】ラベルプリンタ1Aは、長手方向に沿ってラベル11が貼着された長尺状のラベル用紙12を搬送するプラテンローラ3と、ラベル11に印刷を行う印刷ヘッド4Aと、ラベル用紙12の搬送方向に対して交差する方向に延在する屈曲ガイド部70が設けられ、屈曲ガイド部70でラベル用紙12を屈曲させる搬送経路を構成して、ラベル用紙12からラベル11を剥離する剥離プレート7を備える。印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する形状を有し、剥離プレート7と対向する基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のラベル用紙を搬送してラベルに印刷を行うラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、長尺の台紙に貼り付けられたラベルに印刷を行うと共に、印刷が行われたラベルを台紙から剥離して排出するラベルプリンタが提案されている。ラベルを台紙から剥離する機構としては、台紙にラベルが貼着されたラベル用紙を屈曲部材で鋭角に屈曲させるとことによる離反性を利用して、ラベルを剥離する機構が知られている。
【0003】
ラベル用紙を鋭角に屈曲させる搬送経路では、台紙とラベルの腰により屈曲部分でラベル用紙が浮き上がり、屈曲部分の上流側でラベル用紙が円弧状となる場合がある。ラベル用紙の屈曲部分が円弧状になると、ラベル用紙がラベルの剥離に適した所定の鋭角に屈曲されなくなり、剥離性能が低下する。
【0004】
そこで、ラベル用紙を押さえて浮き上がりを防止する機構を備えたラベルプリンタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ラベル用紙の屈曲部分の上流側と下流側で搬送速度に差を設けることで、ラベル用紙に張力を与えてラベル用紙の浮き上がりを防止する機構を備えたラベルプリンタが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3404226号公報
【特許文献2】特開平9−164742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、別部品によりラベル用紙の押さえ部材を備える構成では、部品点数が多くなり構造が簡素化できない。また、装置の小型化も困難である。更に、ラベルから押さえ部材に汚れやラベルの粘着剤の成分が付着する可能性を考慮して、押さえ部材を清掃するための開放機構が必要となり、構造が複雑になると共に、ラベルのセット、清掃等に手間が掛かる。
【0007】
また、台紙に張力を与える機構を備える構成では、張力を与えるための駆動伝達機構やワンウエイクラッチ等を必要とし、部品点数が多くなり構造が簡素化できない。また、装置のコストを抑えることができない。
【0008】
このように、従来のラベルプリンタでは、ラベル用紙を屈曲させる搬送経路で発生するラベル用紙の浮き上がりを、別部品を設けることなく解消して、剥離性能を向上させることは考慮されていない。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成でラベルの剥離を確実に行うことが可能なラベルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、長手方向に沿ってラベルが貼着された長尺状のラベル用紙を搬送する搬送手段と、搬送手段で搬送されるラベル用紙に対向する配置で設けられ、搬送手段で搬送されるラベル用紙のラベルに印刷を行う印刷手段と、ラベル用紙の搬送方向に対して交差する方向に延在する屈曲ガイド部が設けられ、屈曲ガイド部でラベル用紙を屈曲させる搬送経路を構成して、ラベル用紙からラベルを剥離する剥離手段とを備え、印刷手段は、ラベル用紙と対向する部位が、搬送手段と対向すると共に、搬送手段の下流側に設けられる剥離手段と対向する形状を有し、剥離手段の屈曲ガイド部で屈曲されるラベル用紙が、屈曲ガイド部の上流側で面方向に浮き上がることによるラベル用紙の湾曲部を押さえる配置としたラベルプリンタである。
【0011】
本発明のラベルプリンタでは、剥離手段でラベル用紙を屈曲させる搬送経路を構成することで、屈曲ガイド部の上流側で発生するラベル用紙の湾曲部が、印刷手段で押さえられる。これにより、屈曲ガイド部の上流側でのラベル用紙の面方向の形状が所定の形状に保たれ、ラベル用紙がラベルの剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のラベルプリンタによれば、印刷手段でラベル用紙の押さえ部材を構成して、ラベルをラベル用紙から確実に剥離することができる。また、別部品によるラベル用紙の押さえ部材が不要であり、構造が簡素化できると共に、部品点数を減らすことで、装置の小型化を図ることができる。
【0013】
更に、ラベル用紙の面方向の形状を、湾曲しないような所定の形状に保つために、屈曲ガイド部の上流側と下流側でラベル用紙の搬送速度に差を設ける機構は不要であり、装置のコストアップを抑えることができる。
【0014】
また、ラベル用紙のセット時に、搬送手段に対して印刷手段を開放する構成であれば、印刷手段でラベル用紙の湾曲部を押さえる部位に、ラベルあるいはラベル用紙からの汚れが付着したような場合、あるいは、ラベルが剥離された後にラベル用紙側に残る粘着剤の成分が付着したような場合であっても、清掃を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す側断面図である。
【図2】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す要部側断面図である。
【図3】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す印刷ヘッドの斜視図である。
【図4】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図である。
【図7】本実施の形態のラベルプリンタの変形例を示す側断面図である。
【図8】本実施の形態のラベルプリンタの別の変形例を示す印刷ヘッドの斜視図である。
【図9】本実施の形態のラベルプリンタの他の変形例を示す印刷ヘッドの斜視図である。
【図10】本実施の形態のラベルプリンタの他の変形例を示す印刷ヘッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明のラベルプリンタの実施の形態について説明する。
【0017】
<本実施の形態のラベルプリンタの構成例>
図1は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す側断面図、図2は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す要部側断面図であり、図1及び図2では、ラベルプリンタにおける印刷搬送機構を示す。また、図3は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す印刷ヘッドの斜視図である。
【0018】
更に、図4〜図6は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図であり、図4では、カバーを開いてラベル用紙をセットした状態を示し、図5では、カバーを開いてラベル用紙をセットする前の状態を示し、図6では、カバーを閉じた状態を示す。
【0019】
本実施の形態のラベルプリンタ1Aは、ラベル11が貼着された長尺状のラベル用紙12を搬送して、ラベル11に印刷を行うと共に、ラベル11をラベル用紙12から剥離して排出する機構を備える。ラベル用紙12は、長尺状の台紙に、当該台紙の長手方向に沿ってラベル11が貼着され、ラベル11が並ぶ長手方向に搬送される。
【0020】
ラベルプリンタ1Aは、ラベル11が貼着された一の面である表面が内向きとなる内巻きと称される形態で、ラベル用紙12が巻かれて提供されるラベルロール13が装着される装着部2を備える。なお、本実施の形態では、内巻きと称される形態のラベルロール13を用いる例で説明するが、使用されるラベルロールとしては、ラベルが貼着された表面が外向きとなる外巻きと称される形態で、ラベル用紙が巻かれて提供されるラベルロールでも良く、本発明のラベルプリンタで使用されるラベルロールは、内巻きの形態に限定されるものではない。
【0021】
また、ラベルプリンタ1Aは、装着部2に装着されたラベルロール13から引き出されたラベル用紙12を搬送するプラテンローラ3と、プラテンローラ3で搬送されるラベル用紙12のラベル11に印刷を行う印刷ヘッド4Aを備える。
【0022】
更に、ラベルプリンタ1Aは、プラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aでラベル11に印刷を行って排出する動作におけるラベル用紙12の搬送方向である順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aの上流側に、ラベル用紙12の搬送経路を構成する搬送路5を備える。
【0023】
搬送路5は、装着部2とプラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aとの間に、ラベル11の非貼着面であるラベル用紙12の裏面と対向するガイド部材50と、ラベルロール13から引き出されたラベル用紙12をガイド部材50に誘導するガイドローラ51を設けて構成される。
【0024】
また、ラベルプリンタ1Aは、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aの下流側に、ラベル11が剥離されるラベル用紙12の搬送経路を構成する排出搬送路6を備える。
【0025】
排出搬送路6は、印刷ヘッド4Aを押さえ部材としてラベル用紙12を屈曲させる搬送経路を形成し、ラベル11の剛性を利用して、ラベル用紙12からラベル11を剥離する剥離プレート7を設けて構成される。
【0026】
また、ラベルプリンタ1Aは、剥離プレート7で排出搬送路6から分岐して、ラベル11が剥離されたラベル用紙12の搬送経路を構成する剥離搬送路8を備える。剥離搬送路8は、剥離プレート7でラベル11が剥離されたラベル用紙12を、プラテンローラ3に従動して搬送する剥離ローラ80を設けて構成される。
【0027】
装着部2は、所定の径を有するラベルロール13を収納可能な空間を設けて構成され、ラベルロール13の芯14に挿入されるラベルホルダ20を支持するホルダ受け部21が、対向する側面の内側に設けられる。
【0028】
プラテンローラ3は搬送手段の一例で、図示しないモータによって正逆両方向に回転駆動される本例では1本のローラで構成される。プラテンローラ3は、径方向に沿った上側で円周面が印刷ヘッド4Aと対向し、径方向に沿った下側で円周面が剥離ローラ80と対向する配置で、搬送路5及び排出搬送路6におけるラベル用紙12の搬送経路の下側に設けられる。
【0029】
プラテンローラ3は、軸方向に沿った円周面の長さが、処理対象とするラベル用紙12の短手方向の幅より長く構成される。プラテンローラ3は、ラベル用紙12の裏面の幅方向の全体に円周面が接するようにして、ラベル用紙12を印刷ヘッド4Aに押圧し、プラテンローラ3の軸方向に対して交差する方向、本例では軸方向に対して直交する方向にラベル用紙12を搬送する。
【0030】
ラベルプリンタ1Aでは、プラテンローラ3が正方向に回転駆動されると、搬送路5にセットされたラベル用紙12が順送り方向に搬送され、順送り方向に搬送されるラベル11に印刷ヘッド4Aで印刷が行われる。また、ラベルロール13からラベル用紙12が引き出される。プラテンローラ3が逆方向に回転駆動されると、搬送路5にセットされたラベル用紙12が逆送り方向に搬送され、印刷ヘッド4Aに対する印刷開始位置への位置合わせが行われる。
【0031】
印刷ヘッド4Aは印刷手段の一例で、本例ではラベル11が感熱紙であるため、サーマルヘッドで構成される。印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3と対向すると共に、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7と対向する形状を有し、搬送路5及び排出搬送路6におけるラベル用紙12の搬送経路の上側に設けられる。
【0032】
印刷ヘッド4Aは、図示しないバネでプラテンローラ3方向に付勢され、プラテンローラ3によってラベル用紙12が押圧される。また、印刷ヘッド4Aは、剥離プレート7との間に排出搬送路6が形成される所定の空間を設けて剥離プレート7と対向する。印刷ヘッド4Aは、剥離プレート7でラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲するように、排出搬送路6に搬送されたラベル用紙12の面方向の形状を所定の形状に保つ。
【0033】
印刷ヘッド4Aは、ライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Aと、基板41Aに取り付けられた放熱板42Aを備える。印刷ヘッド4Aは、ライン状の素子40がプラテンローラ3の軸方向に沿った向きで、プラテンローラ3と対向する配置で設けられ、素子40の長手方向の長さが、処理対象とするラベル用紙12の短手方向の幅より長く構成される。
【0034】
印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する側が基板41Aで構成される。基板41Aは、本例ではセラミック基板で構成され、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する面が平面で構成される。
【0035】
剥離プレート7は剥離手段の一例で、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対してプラテンローラ3の下流側で、プラテンローラ3の円周面と印刷ヘッド4Aの基板41Aとの間に形成される空間に設けられる。
【0036】
剥離プレート7は、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に沿った先端側に屈曲ガイド部70が設けられる。屈曲ガイド部70は、処理対象とするラベル用紙12の短手方向の幅より長く構成され、ラベル用紙12の搬送方向と交差する方向に延在する。
【0037】
ラベル用紙12は、搬送路5ではプラテンローラ3と印刷ヘッド4Aとの間に挟持され、排出搬送路6では剥離プレート7の屈曲ガイド部70に当てられるようにして下方に屈曲され、剥離搬送路8ではプラテンローラ3と剥離ローラ80の間に挟持される搬送経路が構成される。
【0038】
そして、排出搬送路6では、ラベル用紙12の搬送経路を所定の鋭角で屈曲させるため、剥離プレート7は、プラテンローラ3の円周面より前方に突出させて屈曲ガイド部70が設けられる。
【0039】
排出搬送路6では、ラベル用紙12が剥離プレート7の屈曲ガイド部70で屈曲されると、屈曲ガイド部70の上流側では、ラベル用紙12の剛性によってラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かる。
【0040】
排出搬送路6では、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aによってラベル用紙12が挟持される。これにより、ラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かると、プラテンローラ3と屈曲ガイド部70との間でラベル用紙12が上方に湾曲して、プラテンローラ3により押さえられていない屈曲ガイド部70側に頂点P1を有した湾曲部12aが形成される。
【0041】
印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する形状を有し、剥離プレート7と対向する部位が、ラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍、本例では頂点P1より下流側に設けられる。
【0042】
排出搬送路6では、印刷ヘッド4Aの基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられることで、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Aの基板41Aで剥離プレート7方向に押さえられる。
【0043】
これにより、排出搬送路6では、プラテンローラ3の下流側に搬送されたラベル用紙12の屈曲ガイド部70の上流側での面方向の形状が所定の形状に保たれ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。
【0044】
ラベルプリンタ1Aは、搬送路5を搬送されるラベル用紙12のラベル11を検出するラベルセンサ52Sを備える。ラベルセンサ52Sはラベル検出手段の一例で、ガイドローラ51とプラテンローラ3の間の搬送経路に設けられる。
【0045】
ラベルセンサ52Sは、本例ではラベル用紙12の搬送経路を挟んで対向する一対の受発光素子を備えた透過型の光センサで構成され、ラベル用紙12において、ラベル11と台紙の光の透過率の違いから、ラベル11の先端を検出する。
【0046】
ラベルセンサ52Sは、ラベル11が検出位置にあるときの出力を例えばONとし、台紙が検出位置にあるときの出力を例えばOFFとする。これにより、ラベル用紙12の順送りの搬送動作では、ラベルセンサ52Sの出力がOFFからONに変化することで、ラベル11の先端を検出したことを示すラベル先端検出信号が出力される。
【0047】
これに対し、ラベル用紙12を戻す逆送りの搬送動作では、ラベルセンサ52Sの出力がONからOFFに変化することで、ラベル11の先端を検出したことを示すラベル先端検出信号が出力される。
【0048】
ラベルプリンタ1Aは、排出搬送路6を搬送されるラベル用紙12からラベル11が剥離されたことを検出する剥離センサ61Sを備える。剥離センサ61Sは剥離検出手段の一例で、剥離プレート7より下流側の搬送経路に設けられる。
【0049】
剥離センサ61Sは、本例ではラベル11の搬送経路を挟んで対向する一対の受発光素子を備えた透過型の光センサで構成され、ラベル11の光の透過率でラベル11の有無を検出する。
【0050】
剥離センサ61Sは、ラベル11が検出位置にあるときの出力を例えばONとし、ラベル11が無いときの出力を例えばOFFとする。これにより、ラベル用紙12の順送りの搬送動作で、剥離センサ61Sの出力がOFFからONに変化することで、ラベル11が排出位置にあることを示すラベル検出信号が出力される。また、剥離センサ61Sの出力がONからOFFに変化することで、ラベル11がラベル用紙12から剥離されたことを示す剥離検出信号が出力される。
【0051】
上述したように、剥離センサ61Sは、排出搬送路6を挟んで対向する一対の光センサで構成される。このため、印刷ヘッド4Aの先端P2は、剥離センサ61Sの光軸を遮らないように、剥離センサによる検出位置よりは上流側となるように構成される。
【0052】
ラベルプリンタ1Aは、装着部2、プラテンローラ3、搬送路5を構成するガイド部材50、及び排出搬送路6を構成する剥離プレート7等を有したプリンタ本体90を備える。また、搬送路5を構成するガイドローラ51、印刷ヘッド4A、及び操作部91等を有し、プリンタ本体90に軸部90aを支点に開閉可能に設けられたカバー92を備える。
【0053】
ラベルプリンタ1Aは、図4及び図5に示すように、カバー92を開くと、ガイドローラ51が上方に退避して、ラベルロール13が装着部2に装着可能で、ラベルロール13から引き出したラベル用紙12を、搬送路5及び排出搬送路6にセット可能な状態になる。また、ラベル11を剥離したラベル用紙12を、剥離プレート7で屈曲させて剥離搬送路8にセット可能な状態となる。
【0054】
ラベルプリンタ1Aは、図6に示すようにカバー92が閉じられると、図1に示すように、ガイド部材50とガイドローラ51が対向して搬送路5が形成される。また、ラベルプリンタ1Aは、カバー92が閉じられると、印刷ヘッド4Aと、プラテンローラ3及び剥離プレート7が対向し、搬送路5にセットされたラベル用紙12がプラテンローラ3で印刷ヘッド4Aに押圧されると共に、印刷ヘッド4Aと剥離プレート7の間に排出搬送路6が形成される。
【0055】
更に、ラベルプリンタ1Aは、カバー92が閉じられると、操作部91の操作が可能となる。操作部91は、文字、数字等の情報の入力、動作の設定及び実行等の操作が行われるボタン91aと、各種情報の表示が行われる表示部91bを備える。
【0056】
<本実施の形態のラベルプリンタの動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態のラベルプリンタ1Aの動作について説明する。ラベル用紙12をセットする動作では、カバー92が開けられ、ラベルロール13の芯14にラベルホルダ20が挿入され、ラベルロール13に挿入されたラベルホルダ20がホルダ受け部21に取り付けられる。
【0057】
装着部2に装着されたラベルロール13からラベル用紙12が引き出され、ガイド部材50及びプラテンローラ3に沿わせるようにセットされる。また、引き出されたラベル用紙12の先端側から所定枚数のラベル11が剥離され、ラベル11が剥離されたラベル用紙12が、剥離プレート7の屈曲ガイド部70に当てられるようにして屈曲され、プラテンローラ3と剥離ローラ80が対向する剥離搬送路8側にセットされる。
【0058】
このとき、ラベル用紙12に貼着されている先頭のラベル11の先端が、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、剥離プレート7の屈曲ガイド部70より上流側に位置するように、ラベル用紙12がセットされる。そして、カバー92が閉じられる。
【0059】
ラベル用紙12がセットされてカバー92が閉じられると、ラベルプリンタ1Aでは、ガイド部材50とガイドローラ51が対向して形成される搬送路5で、ガイド部材50に沿ってラベル用紙12がガイドされる。また、搬送路5でガイドされるラベル用紙12が、プラテンローラ3で印刷ヘッド4Aに押圧される。
【0060】
更に、印刷ヘッド4Aと剥離プレート7との間に形成される排出搬送路6で、ラベル用紙12の湾曲部12aが印刷ヘッド4Aの基板41Aによって押さえられ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲されると共に、剥離搬送路8方向にガイドされる。
【0061】
ラベル用紙12がセットされたラベルプリンタ1Aでは、プラテンローラ3が正方向に回転駆動されると、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aに挟持されたラベル用紙12が順送り方向に搬送される。
【0062】
ラベル用紙12が順送り方向に搬送されると、ラベル11の先端がラベルセンサ52Sによる検出位置に到達することで、ラベルセンサ52Sでラベル先端検出信号が出力されてラベル11の先端が検出される。
【0063】
ラベルセンサ52Sでラベル11の先端が検出されると、印刷ヘッド4Aに対するラベル11の位置に関する情報が取得され、ラベル用紙12が印刷ヘッド4Aに対して所定の位置に搬送される。
【0064】
本例では、印刷データに応じて設定されるラベル11における印刷開始位置が、印刷ヘッド4Aと対向する位置となるように、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されて、印刷ヘッド4Aでラベル11に印刷が行われる。
【0065】
印刷ヘッド4Aで印刷が行われたラベル11は、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されることで、剥離プレート7でラベル用紙12から剥離される。すなわち、ラベル用紙12は、搬送路5ではプラテンローラ3と印刷ヘッド4Aとの間に挟持され、排出搬送路6では剥離プレート7の屈曲ガイド部70で下方に屈曲され、剥離搬送路8ではプラテンローラ3と剥離ローラ80の間に挟持される搬送経路が構成される。
【0066】
プラテンローラ3を正方向に回転させて、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されると、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aより下流側の搬送経路では、剥離搬送路8でプラテンローラ3と剥離ローラ80との間に挟持されているラベル用紙12が、プラテンローラ3の回転により順送り方向に搬送される。
【0067】
このように、プラテンローラ3の駆動力を利用して、搬送路5及び排出搬送路6と、剥離搬送路8でラベル用紙12を搬送する構成であるので、搬送路5及び排出搬送路6と、剥離搬送路8におけるラベル用紙12の搬送速度は同じである。
【0068】
排出搬送路6では、ラベル用紙12が剥離プレート7の屈曲ガイド部70で屈曲されることで、屈曲ガイド部70の上流側では、ラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かる。
【0069】
上述したように、搬送路5及び排出搬送路6と、剥離搬送路8におけるラベル用紙12の搬送速度は同じであるので、屈曲ガイド部70の下流側でラベル用紙12を搬送する力では、屈曲ガイド部70の上流側でのラベル用紙12の浮き上がりを解消するような力は生じない。
【0070】
これにより、ラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かると、プラテンローラ3と屈曲ガイド部70との間でラベル用紙12が上方に湾曲して、プラテンローラ3により押さえられていない屈曲ガイド部70側に頂点P1を有した湾曲部12aが形成される。
【0071】
そこで、排出搬送路6では、印刷ヘッド4Aの基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられ、かつ、ラベル用紙12の面に対して垂直な方向である上下方向における基板41Aの下面が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1を押さえる位置に設けられる。
【0072】
これにより、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Aの基板41Aで剥離プレート7方向に押さえられる。
【0073】
従って、排出搬送路6では、プラテンローラ3の下流側に搬送されたラベル用紙12の屈曲ガイド部70の上流側での面方向の形状が所定の形状に保たれ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。
【0074】
剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12が所定の鋭角に屈曲されていると、順送り方向に搬送されるラベル用紙12に貼着されているラベル11は、剥離プレート7で屈曲したラベル用紙12の搬送経路に追従しない。
【0075】
これにより、ラベル用紙12に貼着されているラベル11は、先端が剥離プレート7の屈曲ガイド部70を通過することで、ラベル用紙12の順送り方向の搬送によって、先端側からラベル用紙12より剥離される。
【0076】
ラベル用紙12が順送り方向に搬送されて、先頭のラベル11の後端が、剥離プレート7の屈曲ガイド部70より上流側にあって、ラベル11の後端がラベル用紙12に貼着された状態で保持される位置までラベル11が搬送されると、プラテンローラ3が停止される。
【0077】
剥離センサ61Sから剥離検出信号が出力されることで、ラベル11がラベル用紙12から剥離されて取られたことが検出されると、プラテンローラ3が逆方向に回転駆動されて、次のラベル11の位置合わせが行われる。
【0078】
プラテンローラ3が逆方向に回転駆動されると、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aに挟持されたラベル用紙12が逆送り方向に搬送される。先行するラベル11が剥離されたラベル用紙12は、後続のラベル11の先端が印刷開始位置にくるよう所定量搬送されて、プラテンローラ3が停止される。
【0079】
本例では、先行するラベル11の搬送・印刷時に、後続のラベル11の先端がラベルセンサ52Sで検出され、ラベル11の先端がラベルセンサ52Sで検出されてからのラベル用紙12の正逆両方向の搬送量に基づいて、ラベル11の位置が制御される。このため、先行するラベル11が剥離されたラベル用紙12は、後続のラベル11の先端が印刷開始位置にくるよう所定量逆送り方向に搬送されて、プラテンローラ3が停止される。
【0080】
<本実施の形態のラベルプリンタの作用効果例>
上述したように、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する形状を有する。印刷ヘッド4Aでは、剥離プレート7と対向する部位が、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、ラベル用紙12と対向する基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられる。
【0081】
これにより、ラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Aの基板41Aで剥離プレート7方向に押さえられ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲するように、屈曲ガイド部70の上流側でのラベル用紙12の面方向の形状を、所定の形状に保つことができる。
【0082】
従って、印刷ヘッド4Aでラベル用紙12の押さえ部材を構成して、ラベル11を確実に剥離することができる。また、別部品によるラベル用紙12の押さえ部材が不要であり、構造が簡素化できると共に、部品点数を減らすことで、装置の小型化を図ることができる。
【0083】
更に、ラベル用紙12の面方向の形状を、湾曲しないような所定の形状に保つために、屈曲ガイド部70の上流側と下流側でラベル用紙12の搬送速度に差を設ける機構は不要であり、装置のコストアップを抑えることができる。
【0084】
また、図4及び図5に示すように、カバー92を開くと、ラベル用紙12と接する印刷ヘッド4Aの基板41Aが露出するので、ラベル11あるいはラベル用紙12から付着した汚れ、ラベル11からラベル用紙12の台紙を介して転写される粘着剤等の清掃が容易に行える。印刷ヘッド4Aの基板41Aの清掃は、素子40の清掃と合わせて行うことができ、作業は容易である。
【0085】
更に、印刷ヘッド4Aにおいて素子40が実装された基板41Aでラベル11を押さえる部位を構成することで、ラベル用紙12と対向する面が平面で構成されて、ラベル用紙12の搬送経路に段差が設けられることはない。これにより、ラベル用紙12に貼着されているラベル11が段差部分に引っ掛かることによるラベル11の詰まり、ラベル11の剥がれや折れを防ぐことができ、印字不良等の発生を防ぐことができる。
【0086】
<本実施の形態のラベルプリンタの変形例>
図7は、本実施の形態のラベルプリンタの変形例を示す側断面図である。本実施の形態の変形例のラベルプリンタ1Bは、長尺状のラベル用紙12を搬送するプラテンローラ3と、プラテンローラ3で搬送されるラベル用紙12のラベル11に印刷を行う印刷ヘッド4Bを備える。
【0087】
印刷ヘッド4Bは印刷手段の一例で、ライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Bと、基板41Bに取り付けられた放熱板42Bを備える。
【0088】
印刷ヘッド4Bは、基板41Bがプラテンローラ3と対向すると共に、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7と放熱板42Bが対向する形状を有し、ラベル用紙12の搬送経路の上側に設けられる。
【0089】
基板41Bは、本例ではセラミック基板で構成され、ライン状の素子40がプラテンローラ3の軸方向に沿った向きで、プラテンローラ3と対向する配置で設けられる。
【0090】
印刷ヘッド4Bは、図示しないバネでプラテンローラ3方向に付勢され、プラテンローラ3によってラベル用紙12が押圧される。また、印刷ヘッド4Bは、放熱板42Bと剥離プレート7との間に排出搬送路6が形成される所定の空間を設けて剥離プレート7と対向する。
【0091】
印刷ヘッド4Bは、剥離プレート7と対向する部位が、ラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、放熱板42Bの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍、本例では頂点P1より下流側に設けられる。
【0092】
排出搬送路6では、印刷ヘッド4Bの放熱板42Bの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられることで、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Bの放熱板42Bで剥離プレート7方向に押さえられる。
【0093】
これにより、排出搬送路6では、プラテンローラ3の下流側に搬送されたラベル用紙12の屈曲ガイド部70の上流側での面方向の形状が所定の形状に保たれ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。従って、変形例のラベルプリンタ1Bでも、印刷ヘッド4Bでラベル用紙12の押さえ部材を構成して、ラベル11を確実に剥離することができる。
【0094】
図8は、本実施の形態のラベルプリンタの別の変形例を示す印刷ヘッドの斜視図である。変形例の印刷ヘッド4Cは印刷手段の一例で、ライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Cと、基板41Cに取り付けられた放熱板42Cを備える。
【0095】
印刷ヘッド4Cは、図1等に示すプラテンローラ3と対向すると共に、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7と対向する形状を有し、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する側が基板41Cで構成される。基板41Cは、本例ではセラミック基板で構成される。
【0096】
印刷ヘッド4Cは、図2等で説明したラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、基板41Cの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍、本例では頂点P1より下流側に設けられる。
【0097】
これにより、ラベル用紙12を屈曲させることで発生する湾曲部12aが、印刷ヘッド4Cの基板41Cで押さえられ、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。従って、変形例のラベルプリンタ1Cでも、印刷ヘッド4Cでラベル用紙12の押さえ部材を構成して、ラベル11を確実に剥離することができる。
【0098】
さて、ラベル用紙12を屈曲させることで発生する湾曲部12aが、印刷ヘッド4Cの基板41Cで押さえられることで、搬送されるラベル11及びラベル用紙12が基板41Cに接する。このため、ラベル11あるいはラベル用紙12からの汚れが基板41Cに付着する可能性がある。また、ラベル11が剥離された後にラベル用紙12側に残る粘着剤の成分が、基板41Cに付着する可能性がある。
【0099】
そこで、印刷ヘッド4Cでは、基板41Cにおいて、ラベル用紙12の湾曲部12aと対向してラベル用紙12が接する可能性がある範囲に、非粘着部材を設ける。図8の例では、基板41Cの幅方向において、所定の間隔で非粘着部材43による被覆が設けられる。
【0100】
非粘着部材43による被覆は所定の厚さがあるので、印刷ヘッド4Cにおいて、ラベル用紙12の湾曲部12aを押さえる部位が凹凸形状となり、ラベル11あるいはラベル用紙12が基板41Cに直接接触することを抑えて接触面積を減らすことができる。ラベル11あるいはラベル用紙12との接触面積を減らすことで、汚れや粘着剤の成分等の付着を抑えることができると共に、搬送時の抵抗を減らすことができる。
【0101】
また、ラベル11あるいはラベル用紙12が接触する箇所は、非粘着部材43で被覆されているので、汚れや粘着剤の成分等の付着を防止することができる。なお、基板41Cの幅方向の全体に、非粘着部材43による被覆が設けられる構成でも良い。
【0102】
図9は、本実施の形態のラベルプリンタの他の変形例を示す印刷ヘッドの斜視図である。他の変形例の印刷ヘッド4Dは印刷手段の一例で、ライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Dと、基板41Dに取り付けられた放熱板42Dを備える。
【0103】
印刷ヘッド4Dは、図1等に示すプラテンローラ3と対向すると共に、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7と対向する形状を有し、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する側が基板41Dで構成される。基板41Dは、本例ではセラミック基板で構成される。
【0104】
印刷ヘッド4Dは、図2等で説明したラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、基板41Dの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍、本例では頂点P1より下流側に設けられる。
【0105】
これにより、ラベル用紙12を屈曲させることで発生する湾曲部12aが、印刷ヘッド4Dの基板41Dで押さえられ、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。従って、変形例のラベルプリンタ1Dでも、印刷ヘッド4Dでラベル用紙12の押さえ部材を構成して、ラベル11を確実に剥離することができる。
【0106】
印刷ヘッド4Dでは、基板41Dにおいて、ラベル用紙12の湾曲部12aと対向してラベル用紙12が接する可能性がある範囲に溝部44を設ける。図9の例では、基板41Dの幅方向において、所定の間隔で複数個所に溝部44が設けられる。
【0107】
基板41Dの幅方向において、所定の間隔で複数個所に溝部44を設けることで、ラベル11あるいはラベル用紙12が基板41Dに直接接触することを抑えて接触面積を減らすことができる。ラベル11あるいはラベル用紙12との接触面積を減らすことで、汚れや粘着剤の成分等の付着を抑えることができると共に、搬送時の抵抗を減らすことができる。
【0108】
図10は、本実施の形態のラベルプリンタの他の変形例を示す印刷ヘッドの斜視図である。他の変形例の印刷ヘッド4Eは、図9で説明した印刷ヘッド4Dにおいて、非粘着部材を更に設けた構成である。印刷ヘッド4Eは印刷手段の一例で、ライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Eと、基板41Eに取り付けられた放熱板42Eを備える。
【0109】
印刷ヘッド4Eは、図1等に示すプラテンローラ3と対向すると共に、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7と対向する形状を有し、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する側が基板41Eで構成される。基板41Eは、本例ではセラミック基板で構成される。
【0110】
印刷ヘッド4Eは、図2等で説明したラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、基板41Eの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍、本例では頂点P1より下流側に設けられる。
【0111】
これにより、ラベル用紙12を屈曲させることで発生する湾曲部12aが、印刷ヘッド4Eの基板41Eで押さえられ、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。従って、変形例のラベルプリンタ1Eでも、印刷ヘッド4Eでラベル用紙12の押さえ部材を構成して、ラベル11を確実に剥離することができる。
【0112】
印刷ヘッド4Eでは、基板41Eにおいて、ラベル用紙12の湾曲部12aと対向してラベル用紙12が接する可能性がある範囲に、溝部を設けると共に非粘着部材を設ける。図10の例では、基板41Eの幅方向において、所定の間隔で複数個所に溝部44が設けられると共に、幅方向の全体に非粘着部材45による被覆が設けられる。
【0113】
基板41Eの幅方向において、所定の間隔で複数個所に溝部44を設けることで、ラベル11あるいはラベル用紙12が基板41Eに直接接触することを抑えて接触面積を減らすことができる。ラベル11あるいはラベル用紙12との接触面積を減らすことで、汚れや粘着剤の成分等の付着を抑えることができると共に、搬送時の抵抗を減らすことができる。また、ラベル11あるいはラベル用紙12が接触する箇所は、非粘着部材45で被覆されているので、汚れや粘着剤の成分等の付着を更に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、ラベル用紙を屈曲させる搬送経路を構成してラベルの剥離を行う機構を備えたラベルプリンタ、ラベル貼付機、剥離機、ラベラーに適用される。
【符号の説明】
【0115】
1A,1B・・・ラベルプリンタ、11・・・ラベル、12・・・ラベル用紙、13・・・ラベルロール、2・・・装着部、3・・・プラテンローラ、4A,4B,4C,4D,4E・・・印刷ヘッド、40・・・素子、41A,41B,41C,41D,4E・・・基板、42A,42B,42C,42D,4E・・・放熱版、43,45・・・非粘着部材、44・・・溝部、5・・・搬送路、6・・・排出搬送路、7・・・剥離プレート、70・・・屈曲ガイド部、8・・・剥離搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿ってラベルが貼着された長尺状のラベル用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送されるラベル用紙に対向する配置で設けられ、前記搬送手段で搬送されるラベル用紙のラベルに印刷を行う印刷手段と、
ラベル用紙の搬送方向に対して交差する方向に延在する屈曲ガイド部が設けられ、前記屈曲ガイド部でラベル用紙を屈曲させる搬送経路を構成して、ラベル用紙からラベルを剥離する剥離手段とを備え、
前記印刷手段は、ラベル用紙と対向する部位が、前記搬送手段と対向すると共に、前記搬送手段の下流側に設けられる前記剥離手段と対向する形状を有し、
前記剥離手段の前記屈曲ガイド部で屈曲されるラベル用紙が、前記屈曲ガイド部の上流側で面方向に浮き上がることによるラベル用紙の湾曲部を押さえる配置とした
ことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記印刷手段は、ラベル用紙の搬送方向に沿った先端側の位置が、ラベル用紙の湾曲部の頂点より下流側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記搬送手段は、回転駆動されるプラテンローラで構成され、
前記印刷手段は、前記プラテンローラと対向する素子が実装される基板が設けられたサーマルヘッドで構成され、ラベル用紙の湾曲部を押さえる部位が前記基板で構成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記搬送手段は、回転駆動されるプラテンローラで構成され、
前記印刷手段は、前記プラテンローラと対向する素子が実装される基板及び基板に実装される放熱部材が設けられたサーマルヘッドで構成され、ラベル用紙の湾曲部を押さえる部位が前記放熱部材で構成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記印刷手段は、ラベル用紙の湾曲部を押さえる部位に非粘着部材が設けられる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記印刷手段は、前記非粘着部材による被覆を、間隔を開けた複数箇所に設け、ラベル用紙の湾曲部を押さえる部位を、前記非粘着部材の被覆の厚さで凹凸形状とした
ことを特徴とする請求項5に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
前記印刷手段は、ラベル用紙の湾曲部を押さえる部位の複数箇所に、間隔を開けて溝部を設けた
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−240201(P2012−240201A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108823(P2011−108823)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】