説明

ラベル印刷装置およびラベル印刷方法

【課題】外部装置と通信を行なう通信プロトコルにSNMP通信を用いることにより通信負荷が軽減されたラベル印刷装置およびラベル印刷方法を提供する。
【解決手段】管理データを読み取る読取部25と、SNMP通信により外部装置と通信を行い、読取部が読み取った管理データに対応する印字イメージを外部装置から取得する通信部28と、通信部が取得した印字イメージに基づいて記録媒体上にラベル画像を印刷する印刷部21を有するラベル印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ等を用いてラベル等を印刷するラベル印刷装置に関し、外部の携帯端末等に対してSNMP(Simple Network Management Protocol)の通信機能により通信を行うラベル印刷装置およびラベル印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、通信機能を用いて、外部の情報処理装置から印字イメージやコマンドを受け取りこれらに基づいて記録媒体上に画像形成を行うことが知られている。このような画像形成装置においては、通信上のセキュリティや通信負荷を考慮する工夫がなされる場合がある。
【0003】
特許文献1は、使用者の利便性を低下させることなく、外部装置からの要求信号に対して不正行為を検知する不正検知手段を設けることで、動作信頼性を向上させる画像形成装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1が示す画像形成装置は、外部装置との通信において通信負荷を抑制させる技術については説明を行なっていない。すなわち、ラベル印刷装置は、一例として、外部のホストコンピュータの機能を利用することができるが本体には本格的な機能をもっていない使用形態を意味する、クライアント機能しかもっていない。このようなクライアント機能しかもっていないラベル印刷装置がホストと通信する際には、ホストコンピュータ側からコネクトを行う必要がある。しかし、ラベル印刷装置から通信が行われるのはバーコード等をスキャニングしたときで、スキャニングは不定期に発生するため、常時コネクト状態にしておく必要がでてくる。しかし、ラベル印刷装置の通信機能を常時コネクト状態とすることにより、他の通信の妨げや通信障害の原因となるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、外部装置と通信を行なう通信プロトコルにSNMP通信を用いることにより通信負荷が軽減されたラベル印刷装置およびラベル印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する一実施形態は、
管理データを読み取る読取部(25)と、
SNMP通信により外部装置と通信を行なって、前記読取部が読み取った管理データに対応する印字イメージを前記外部装置から取得する通信部(16)と、
前記通信部が取得した印字イメージに基づいて、記録媒体上にラベル画像を印刷する印刷部(21)と、を具備することを特徴とするラベル印刷装置である。
【発明の効果】
【0007】
ラベル印刷装置と外部装置との間をSNMPにより通信を行なうことにより、バーコードのスキャニングのために常時コネクト状態にする必要がなくなるため、通信負荷が非常に軽減されたラベル印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置の一例を示すブロック図。
【図2】同じくラベル印刷装置の概観の一例を示す概観図。
【図3】同じくラベル印刷装置の周辺機器との接続状態の一例を説明する説明図。
【図4】同じくラベル印刷装置のスキャニング処理の一例を示すフローチャート。
【図5】同じくラベル印刷装置と通信を行なう携帯端末の印刷データの送信処理の一例を示すフローチャート。
【図6】同じくラベル印刷装置の印刷処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置の一例を示すブロック図、図2は、同じくラベル印刷装置の概観の一例を示す概観図である。
【0011】
本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置1は、図1に示すように、ネットワーク等を介してホストコンピュータ4に接続されており、全体の動作を制御し履歴情報管理部の機能を持っているCPU11と、CPU11に接続されているFROM12と、バーコード等が示す管理データやこれに対応した印字イメージ等を記憶するRAM13を有している。
【0012】
さらに、ラベル印刷装置1は、上述したCPU11にそれぞれ接続される、表示制御回路14と、表示制御回路14により表示が制御され操作情報やラベル情報を表示する表示器15と、スキャニングが成功したことをユーザ等に音声で知らせるためのスピーカ等の音声通知部16と、モータ制御回路17と、モータ制御回路17により動作が制御されるステッピングモータ18と、ユーザにより操作情報等が入力されるキー入力部19と、ラベル等の媒体上へのラベル画像の印字のためのヘッド制御回路20と、ヘッド制御回路20により動作が制御されることでラベル等の媒体上へ印字を行なうサーマルヘッド21と、各部への電源を供給する電源回路22と、電源回路22に電源を供給するバッテリ23と、スキャナ制御回路24と、スキャナ制御回路24に制御されバーコード等を読み取るための読取部であるスキャナ25と、携帯端末3やホストコンピュータ4とSNMP通信を行なって管理データおよび管理データに対応した印字イメージ等を送受信するための通信部である通信制御部28を有している。
【0013】
また、携帯端末3は、一例として、SNMP通信を用いた通信制御部31と、送信部33において印刷コマンド生成部36と、受信部32において、データ監視部34と、データ解析部35を有している。
【0014】
このような構成による本発明の一実施形態であるラベル印刷装置1は、値引きラベルを印刷する場合、携帯端末3やホストコンピュータ4にデータを送信するときにSNMP通信を使用することで通信負荷を軽減する。すなわち、ホスト間でのやり取りは、PLUの情報を問い合わせるのに必要となる。ラベル印刷装置1は、スキャナ25で読込んだバーコード等の管理データを携帯端末3やホストコンピュータ4に送信し、携帯端末3やホストコンピュータ4はその管理データから印刷コマンドを生成してラベル印刷装置1に送信し、ラベル印刷装置1は、例えばラベル画像が印刷されたラベルである値引きラベルを発行する。
【0015】
ここで、一般の通信プロトコルであると、ラベル印刷装置1と携帯端末3やホストコンピュータ4の間で通信を行うには常にコネクト状態にしておく必要があり、他の通信の妨げになったり、通信障害の原因になる。
【0016】
本発明の一実施形態においては、ラベル印刷装置1からの通信をSNMPのTRAP通信を使用することで、ラベル印刷装置1から携帯端末3やホストコンピュータ4への通信は、常にコネクト状態にする必要がなくなるため、通信負荷を軽減することが可能となる。ここで、SNMPのTRAP通信とは、SNMPを使用したネットワーク管理であり、管理対象となる端末から管理サーバーに届けられる状況通知用のレポートである。このレポートは、SNMPエージェントが稼動するラベル印刷装置1上で、あらかじめ指定したイベントが発生したり、しきい値に達したときに、携帯端末3やホストコンピュータ4等に送信するものである。
【0017】
すなわち、ラベル印刷装置1は、スキャナ25で読込んだ管理データを、SNMPのTRAP通信で携帯端末3やホストコンピュータ4へ送信し、携帯端末3やホストコンピュータ4はSNMPのTRAP通信を受けたら、その管理データから印刷コマンドを生成し、
ホストからラベル印刷装置1に送信するときに初めてコネクトし、通信を行い、切断を行う。従って、本発明の方法であれば、他の通信プロトコルとは異なり、コネクトする時間を最小化することによって、通信負荷を軽減することができる。
【0018】
なお、SNMPはUDP(User Datagram Protocol)のため、コネクト概念がないので、ホストからの受信応答による信頼性は保障されない。すなわち、UDPとは、インターネット標準プロトコルTCP/IPの基盤となるプロトコルであり、TCP/IPでは、ネットワーク層プロトコルのIPと、トランスポート層プロトコルのTCPまたはUDPのいずれかの組み合わせでデータをやり取りする。TCPは、セッション(コネクト)を確立してから通信を開始するが、UDPでは、セッション(コネクト)を確立せずにデータをあて先に送り出すデータグラム方式を採用している。従って、UDPではプロトコル処理が高速であるが、TCPのように誤り訂正再送機能を持たないため信頼性が低い。従って、UDPは信頼性よりも高速性が求められる状況で使用されることが多い。
【0019】
従って、頻度は低いものの、スキャニングは成功しているがホストにそのデータが送信されないケースがまれに発生する。しかしながら、UDPのエラーによるスキャニングデータの送信できない状況は、スキャニングのミスと見かけ上同じくユーザにはみえるため、ユーザがここで再スキャニングすることにより、スキャニングは滞りなく行なわれるため、このラベル印刷装置によってバーコード等をスキャニングする際の使用上の不具合は回避することができる。
【0020】
(動作)
次に、このような構成を有するラベル印刷装置1における印字処理をフローチャートを用いて以下に詳細に説明する。図4は、ラベル印刷装置のスキャニング処理の一例を示すフローチャート、図5は、ラベル印刷装置と通信を行なう携帯端末の印刷データの送信処理の一例を示すフローチャート、図6は、ラベル印刷装置の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0021】
本発明に係る発行システムは、図1のブロック図に示すように、一例として、ラベル印刷装置1と発行命令を行う携帯端末(PDA)3を用いることで、ラベル印刷を行う。初めに、ラベル印刷装置1は、図4のフローチャートに示すように、CPU11の制御下において、スキャナ25によりバーコード等の管理データをスキャニングする(ステップS11)。CPU11は、スキャニングが成功したことを認識すると(ステップS12)、スピーカ等の音声通知部16によってユーザにスキャニングが成功したことを音声で知らせる(ステップS13)。そして、CPU11は、スキャニングしたバーコード等の管理データを、通信制御部28を介して、SNMPのTRAP通信を用いて、携帯端末3に送信する(ステップS14)。また、携帯端末(PDA)3がPLUなどの情報を取得するときには、ホストコンピュータ4をさらに配置する。
【0022】
携帯端末(PDA)3においては、データ監視を行うアプリケーション、データ解析を行うアプリケーション、印刷コマンド生成を行うアプリケーション等のアプリケーションがインストールされており、図5のフローチャートに示すように、データ監視部34は、ラベル印刷装置1のSNMPのTRAP通信を監視し(ステップS21)、TRAP通信を受信した場合、データ解析部35によりスキャンデータを取得する(ステップS22)。次に、ラベル印刷装置1のイメージ描画部27は、取得したスキャンデータを使用して印刷データを生成する(ステップS23)。端末装置3の送信部33および通信制御部31は、印刷コマンド生成部36が生成した印刷データを、フォーマット番号、変更データ、ラベル発行要求という信号形態で、SNMPのSET要求を用いてラベル印刷装置1に送信する(ステップS24)。ここで、SET要求とは、SNMPの3つの通信方法、SET要求、GET、TRAP通信の内の一つであり、SET要求は通信相手である装置のある記憶領域に所望の値をセットする働きをもっている。なお、予め、ラベル印刷装置1には通信する相手の携帯端末3のアドレスを設定することが望ましい。
【0023】
すなわち、予めラベルイメージの複数のフォーマットをラベル印刷装置1のRAM13等の記憶領域に登録しておき、端末装置3からラベル印刷装置1へ、SNMPのSET要求を用いて、例えば、フォーマット番号、変更データ、ラベル発行要求を送信する。このような方法を取ることにより、端末装置3からラベル印刷装置1への最小の通信容量によって、ラベルイメージのフォーマットの特定と変更を指示することにより、印刷データを指示することができる。
【0024】
一方、ラベル印刷装置1においては、図6のフローチャートに示すように、通信制御部28で携帯端末3から印刷データの指示信号があるかどうかを監視し(ステップS31)、印刷データの指示信号であるフォーマット番号、変更データ、ラベル発行要求を受信すると、CPU11の制御下にある印刷コマンド解析部26により、これらフォーマット番号に応じて、予め登録されたラベルイメージのフォーマットの一つを特定し、これを変更データに従って変更する(ステップS32)。そして、イメージ描画部27は、印刷コマンド解析部26が特定して変更したラベルイメージのフォーマットに従ってイメージを生成する(ステップS33)。次に、CPU11の制御下において、ヘッド制御回路20およびサーマルヘッド21は、イメージ描画部27により生成したイメージに基づいて、ラベル上にラベル印刷を行う(ステップS34)。
【0025】
なお、上述したように、SNMP通信は、UDPを用いており、UDPではセッション(コネクト)を確立せずにデータをあて先に送り出すデータグラム方式を採用しているのでプロトコル処理が高速であるが、TCPのように誤り訂正再送機能を持たないため信頼性が低い。従って、頻度は低いが通信に失敗することがあると思われる。
【0026】
しかしながら、スキャン成功後まもなくラベルが発行されなければ、ユーザは、この時点でスキャニングを再度実行するという使用方法をユーザに対して明確に認識させておくことで、頻度の低い通信の失敗に対応することができる。すなわち、スキャニングをユーザが再度実行すれば、連続して通信が失敗する可能性は非常に低いため、二度目のスキャニングにより通信は成功するので、ラベル印刷装置1と外部の携帯端末3との間の通信は実行され、その後の印刷処理が滞りなく行なわれることとなる。
【0027】
従って、ラベル印刷装置1と外部の携帯端末3の間の通信プロトコルにSNMP通信を適用した本発明の実施形態であるラベル印刷装置1は、ラベル印刷装置と外部装置との間をSNMPにより通信を行なうことにより、バーコードのスキャニングのために常時コネクト状態にする必要がなくなるため、通信負荷が非常に軽減されることで、総合的にみてラベル印刷装置1と外部の携帯端末3の間の通信状態は格段に向上することになる。
【0028】
以上、詳細に説明したように、本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置1においては、携帯端末3またはホストコンピュータ4等の外部装置に対する通信制御部28において、通信プロトコルにSNMP通信を用いることにより、バーコードのスキャニングのために常時コネクト状態にする必要がなくなるため、通信負荷が非常に軽減されたラベル印刷装置を提供することができる。
【0029】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
1…ラベル印刷装置、3…携帯端末、11…CPU、12…FROM、13…RAM、14…表示制御回路、15…表示器、16…音声通知部、17…モータ制御回路、18…ステッピングモータ、19…キー入力部、20…ヘッド制御回路、21…サーマルヘッド、22…電源回路、23…バッテリ、24…スキャナ制御回路、25…スキャナ、28…通信制御部(SNMP)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2009−90471号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理データを読み取る読取部と、
SNMP通信により外部装置と通信を行なって、前記読取部が読み取った管理データに対応する印字イメージを前記外部装置から取得する通信部と、
前記通信部が取得した印字イメージに基づいて、記録媒体上にラベル画像を印刷する印刷部と、を具備することを特徴とするラベル印刷装置。
【請求項2】
前記通信部が前記外部装置にデータを送信するときは、SNMPのTRAP通信を用いて送信することを特徴とする請求項1記載のラベル印刷装置。
【請求項3】
前記通信部が前記外部装置からデータを受信するときは、SNMPのSET要求を用いて受信することを特徴とする請求項1記載のラベル印刷装置。
【請求項4】
前記読取部により前記管理データが読み取れた場合、音声通知を行なう音声通知部を具備することを特徴とする請求項1記載のラベル印刷装置。
【請求項5】
管理データを読み出す読取部を備えたラベル印刷装置を用いたラベル印刷方法であって、
管理データを前記読取部で読み取って、
SNMP通信により外部装置と通信を行い、前記読み取った管理データに対応する印字イメージを前記外部装置から取得し、
前記取得した印字イメージに基づいて、記録媒体上にラベル画像を印刷することを特徴とするラベル印刷装置のラベル印刷方法。
【請求項6】
前記ラベル印刷装置から前記外部装置にデータを送信するときは、SNMPのTRAP通信を用いて送信し、前記ラベル印刷装置が前記外部装置からデータを受信するときは、SNMPのSET要求を用いて受信することを特徴とする請求項5記載のラベル印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−56718(P2011−56718A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207334(P2009−207334)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】