説明

ラベル印刷貼付装置

【課題】低コストかつ装置の構造の簡略化を図りつつ、イニシャライズ動作時のラベルの逆剥離を検出する。
【解決手段】イニシャライズ動作時において、ドア開閉センサ等がオンになると(S200,S202)、捌き検出センサ等は、封筒経路M2に封筒98が残っていないか否かを検出する(S204)。制御部は、封筒が封筒経路M2に残っている場合には封筒排出動作を行う(S210〜S214)。封筒排出動作が終了すると、ラベル先端検出動作が開始される(S208)。封筒先端検出センサは、ラベルの逆搬送時に剥離プレートでラベルの逆剥離が生じていないか否かを検出する(S216)。制御部は、ラベルの逆剥離が検出された場合にはラベル先端検出動作(逆搬送)を停止すると共にエラー表示を行う(S220)。ラベルの逆剥離が検出されない場合には、先頭のラベルをサーマルヘッドの印字位置まで搬送し(S222)、印刷貼付動作が開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離紙に貼り付けられたラベルに文字等を印刷した後に、印刷したラベルを剥離して搬送されてくる封筒等の物品に貼り付けて排出するラベル印刷貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、剥離紙に貼着されたラベルに文字等を印刷し、搬送されてくる封筒等の物品にラベルを貼り付けて排出するラベル印刷貼付装置が利用されている。ラベル印刷装置は、ラベルシートを搬送するラベル経路と、ラベルに文字等を印刷するサーマルヘッド等から構成される印刷部と、ラベルを剥離する剥離部と、封筒などの物品を搬送する封筒経路とを備えている。このように構成されたラベル印刷貼付装置において、ラベルは、イニシャライズ動作で印字位置まで搬送され、印刷部で所定の文字等が印刷される。文字等が印刷されたラベルは、剥離部で剥離され、封筒経路に沿って搬送されてくる封筒に貼り付けられ、その後、排出部から外部に排出される。
【0003】
例えば、特許文献1には、プリンタでのラベル発行速度の遅いプリンタに対してもある一定量で連続的に搬送される物品に、コンベアを停止することなく連続してラベルの自動貼付が可能なラベル自動貼付装置が開示されている。このラベル自動貼付装置によれば、ある限られた枚数であるが、物品へのラベルの連続貼付を行うことができるようになる。
【0004】
ここで、一般的なラベル印刷貼付装置では、印刷や貼り付け動作を開始する前に、ユーザがセットしたラベルシートを適正位置に戻すためのイニシャライズ動作が行われる。イニシャライズ動作とは、装置にセットしたラベルシートの先頭に貼着されたラベルを印刷部の印字位置に戻すための処理である。具体的には、ラベルシートを上流側の元巻リール側に巻き戻し搬送(逆搬送)を行い、印刷部の上流側に設置されたラベルエッジセンサでラベルのエッジを順次検出していき、最後に検出したラベルから所定の区間のラベルのエッジが検出されない場合に、そのラベルが先頭のラベルであると判断して先頭のラベルを印字位置に搬送する処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−34268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したようなイニシャライズ動作で以下のような問題がある。すなわち、仮にユーザがラベルシートのラベル箇所を剥離プレートの剥離箇所よりも下流側まで巻き取ってセットしてしまった場合においてイニシャライズ動作が開始されると、ラベルシートは逆搬送されるので、上流側の剥離プレートでラベルが異常状態で剥離(逆剥離)してしまう場合がある。この場合には、剥離紙からラベルが剥がれることでジャム等が発生し、その結果、イニシャライズ動作が停止してしまうという問題があった。
【0007】
この問題に対して、イニシャライズ動作時のラベルの逆剥離を検出するために、剥離検出センサを追加することで逆剥離(エラー)を検出する方法も提案されている。しかしながら、この場合には、剥離検出センサを追加することで機械構造が複雑化してしまうと共に装置の大型化を招くという問題がある。さらに、追加する剥離検出センサ分のコストも増えてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低コストかつ装置の構造の簡略化を図りつつ、イニシャライズ動作時のラベルの逆剥離を検出することが可能なラベル印刷貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るラベル印刷貼付装置は、剥離紙に貼着されたラベルが搬送される第1の搬送経路に設けられ、ラベルに所定の情報を印刷する印刷部と、印刷部よりも第1の搬送経路の下流側に設けられ、印刷部で情報が印刷されたラベルを剥離紙から剥離する剥離部と、被貼付部材が搬送される第2の搬送経路に設けられ、被貼付部材の先端を検出する先端検出センサ部と、先端検出センサ部の検出結果に基づいて、剥離部で剥離されたラベルを被貼付部材に貼り付けるための搬送制御を行う制御部とを備え、先端検出センサ部は、ラベルを逆搬送して当該剥離紙に貼着されたラベルのうち先頭のラベルを印刷部の印字位置に移動させるイニシャライズ動作時に、剥離部においてラベルが剥離紙から剥離したか否かを検出することを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、先端検出センサ部が、印刷貼付動作時に被貼付部材の先端を検出する機能に加えて、イニシャライズ動作時に剥離部で逆剥離したラベルを検出する機能を備えている。印刷貼付動作時において先端検出センサ部により封筒の先端が検出された場合には、剥離されたラベルが封筒の貼付指定位置に貼り付けられるようにラベルおよび被貼付部材の搬送制御が行われる。また、イニシャライズ動作時において先端検出センサ部によりラベルの先端が検出された場合には、イニシャライズ動作が停止されると共にジャムエラー表示が行われる。
【0011】
また、本発明に係るラベル印刷貼付装置は、剥離紙に貼着されたラベルが搬送される第1の搬送経路に設けられ、ラベルに所定の情報を印刷する印刷部と、印刷部よりも第1の搬送経路の下流側に設けられ、印刷部で情報が印刷されたラベルを剥離紙から剥離する剥離部と、剥離部により剥離されたラベルを、第2の搬送経路に沿って搬送されてくる被貼付部材に貼り付けて排出する制御部とを備え、制御部は、ラベルが貼着された剥離紙が第1の搬送経路にセットされた後に、剥離紙を第1の搬送経路の上流側に巻き戻す巻き戻し動作を行うことを特徴とするものである。
【0012】
本発明においては、剥離紙のセット時に剥離紙を第1の搬送経路の上流側に巻き戻すので、ラベルのセット時にラベルが剥離部よりも下流側に位置している場合には、この巻き戻し動作によりラベルが剥離部で逆剥離される。例えば、ラベル印刷貼付装置を開いた状態で巻き戻し動作を行うことで、ユーザは剥離部で剥離したラベルを直接視認して、ラベルの逆剥離を確認できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ラベルの印刷貼付制御に用いる先端検出センサ部によりイニシャライズ動作時のラベルの逆剥離を検出するので、イニシャライズ動作時の逆搬送を検出するために別途センサ部を追加する必要がない。その結果、ラベル印刷貼付装置の構造の簡易化を図ることができると共に、ラベル印刷貼付装置の大型化を回避できる。さらに、別途センサ部を追加する必要がないので、ラベル印刷貼付装置の低コスト化を図ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、ラベルが貼着された剥離紙がセットされた後に巻き戻し動作を行うので、剥離部よりも下流側にラベルがある場合には、この巻き戻し動作により剥離部でラベルを逆剥離させることができる。これにより、装置の運転開始前に、剥離部で剥離したラベルを剥がして装置から取り出すことができるので、ラベル詰まりによるジャム等を未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベル印刷貼付装置の断面構成例を示す図である。
【図2】ラベル印刷貼付装置のブロック構成例を示す図である。
【図3】ラベル印刷貼付装置の動作例を示すフローチャートである(その1)。
【図4】ラベル印刷貼付装置の動作例を示すフローチャートである(その2)。
【図5】イニシャライズの動作例を示すフローチャートである。
【図6】イニシャライズ動作時のラベルの逆剥離を説明するための図である。
【図7】従来のラベルシートの構成例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るラベル印刷貼付装置に用いられるラベルシートの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
<1.第1の実施の形態>
[ラベル印刷貼付装置の構成例]
図1は、本発明に係るラベル印刷貼付装置100の断面構成の一例を示している。以下の説明では、被貼付部材として封筒98を用いた例について説明する。また、元巻リール12から巻取リール14までのラベル94の搬送経路をラベル貼付経路M1(点線)と呼び、封筒98の載置部50から排出ローラ46までの封筒98の搬送経路を封筒経路M2(一点鎖線)と呼ぶ。なお、ラベル貼付経路M1は第1の搬送経路に対応し、封筒経路M2は第2の搬送経路に対応している。
【0017】
図1に示すように、ラベル印刷貼付装置100は、筐体10と印刷機構部UTと載置部50とピックアップローラ30と送りローラ32と搬送ローラ38と捌き検出センサ42と封筒先端検出センサ44と排出ローラ46とを備えている。本発明において、封筒先端検出センサ44は、ラベル94の印刷貼付動作時に封筒98の先端を検出する通常の検出に加えて、イニシャライズ動作時のラベル94の逆搬送時にラベル94の逆剥離を検出することを特徴としている。本例において印刷貼付動作とは、ラベル94に所定の文字等を印刷し、印刷したラベル94を剥離紙92から剥離して、搬送されてくる封筒98等に剥離したラベル94を貼り付けて外部に排出する一連の動作をいう。
【0018】
筐体10は、側面形状が略台形状をなす箱体であって、その内部にはピックアップローラ30や送りローラ34等が収容されている。印刷機構部UTは、元巻リール12と巻取リール14とラベルガイド16とラベルエッジセンサ18とサーマルヘッド20とプラテンローラ22と剥離プレート28とを有し、筐体10の上部側であってラベル貼付経路M1上に配置されている。印刷機構部UTは、印刷機構部UTの前部に設けられたヒンジ部Oに取り付けられ、ヒンジ部Oを支点として開閉可能となっている。
【0019】
元巻リール12は、元巻部の一例であり、筐体10の印刷機構部UTを構成する側板に取り付けられたリール軸(図示省略)に回転可能に軸支されている。元巻リール12には、剥離紙92にラベル94が貼着されたラベルシート90が巻回される(図7参照)。ラベル94は内側に向けられて元巻リール12に巻回される。ラベル94には、熱に反応して黒くなるよう加工された感熱紙(サーマル紙)を使用したものが用いられる。
【0020】
巻取リール14は、巻取部の一例であり、元巻リール12に隣接(近傍)して設けられ、印刷機構部UTの側板に取り付けられたリール軸(図示省略)に回転可能に軸支されている。巻取リール14は、後述する搬送モータ24に接続され、搬送モータ24の駆動によりプラテンローラ22等と連動して回転し、ラベルシート90(剥離プレート28でラベル94が剥離された剥離紙92)を巻き取る。
【0021】
ラベルガイド16は、金属材料等からなる一対の平板部材から構成され、元巻リール12および巻取リール14の幅方向の両端側にそれぞれ配設され、ラベルシート90の搬送方向を規制して直進性を確保する。本例では、ラベルガイド16は、元巻リール12の送り出し口と巻取リール14の巻き取り口とを跨るような形状に形成され、一対のガイドプレートにより元巻リール12および巻取リール14の双方のガイドを行っている。
【0022】
ラベルエッジセンサ18は、元巻リール12とサーマルヘッド20との間のラベル貼付経路M1に設けられ、イニシャライズ動作時に、上流側の元巻リール12側に搬送(逆搬送)されるラベル94の先端を検出して先頭のラベル94をサーマルヘッド20の印字位置に搬送させる。また、ラベルエッジセンサ18は、印刷貼付動作時に、ラベル貼付経路M1を搬送されるラベル94のエッジを検出して印刷されるラベル94をカウントしたり、印刷されたラベル94が剥離位置に到達したか等を検出する。
【0023】
サーマルヘッド20は、ラベルエッジセンサ18よりもラベル貼付経路M1の下流側に、プラテンローラ22に対向するようにして設けられている。サーマルヘッド20は、図示しないサーマルヘッド駆動回路による印刷データに対応した通電によりラベル94を選択的に加熱して、元巻リール12から送り出されるラベル表面に所定の文字等を印刷する。なお、サーマルヘッド20は印刷部の一例を構成している。
【0024】
プラテンローラ22は、ラベルエッジセンサ18よりもラベル貼付経路M1の下流側に、サーマルヘッド20に対向するようにして設けられている。プラテンローラ22は、サーマルヘッド20の上方に設けられた搬送モータ24に接続され、搬送モータ24の駆動によって正回転してサーマルヘッド20で印刷されたラベル94を下流側に搬送する。また、プラテンローラ22は、イニシャライズ動作時に、搬送モータ24の逆転駆動によって逆回転してラベルシート90を逆搬送させる。
【0025】
剥離プレート28は、サーマルヘッド20よりもラベル貼付経路M1の下流側に設けられ、例えば金属材料からなる平板部材から構成されている。剥離プレート28は、剥離部の一例であり、剥離プレート28の裏面側に設けられた剥離ガイド26により排出ローラ46に向かって(ラベル貼付経路M1に沿って)傾斜するように支持されている。剥離ガイド26は、印刷機構部UTを構成する側板に固定されている。
【0026】
ここで、ラベル貼付経路M1は、図1に示すように、元巻リール12から剥離プレート28に延在し、剥離プレート28の下流側の一端(以下、先端という)で鋭角に折り返して巻取リール14に向かって延在している。そのため、印刷貼付動作時において、ラベルシート90は、剥離プレート28の先端で折り曲げられて搬送されるので、この剥離プレート28の先端で剥離紙92からラベル94が剥離される。本例では、このラベル94が剥離される位置を剥離位置Hと呼ぶ。
【0027】
載置部50は、封筒98を載置すると共に封筒98の搬送補助を行うものであり、筐体10の後部側に排出ローラ46に向かって傾斜するように設けられている。載置部50の前部には、封筒98の先端を揃えたり、封筒98の移動を規制するための支持板52が設けられている。支持板52の下端部と載置部50の底面部との間には、封筒98を封筒経路M2に搬入するためのゲート54が設けられている。
【0028】
ピックアップローラ30は、載置部50の底面部に設けられて筐体10の側面部に回転可能に軸支されると共に、図示しない無端状のベルトを介して送りローラ32に接続されている。これにより、ピックアップローラ30は、送りローラ32の回転に連動して回転し、載置部50に載置された複数の封筒98のうち、例えば2〜3枚の封筒98をゲート54に搬入させる。
【0029】
送りローラ32は、ピックアップローラ30よりも封筒経路M2の下流側に設けられており、送りローラ32の下方に設けられたピックアップモータ36に接続され、ピックアップモータ36の駆動により回転する。ピックアップモータ36には、例えばステッピングモータが用いられる。送りローラ32の上部周面には、封筒98の捌き用の捌きローラ34が設けられている。送りローラ32および捌きローラ34は、ゲート54に侵入した複数枚の封筒98を1枚の封筒98に捌いて下流側の搬送ローラ38に搬送する。
【0030】
搬送ローラ38は、捌きローラ34よりも封筒経路M2の下流側に設けられており、搬送ローラ38の下方に設けられたフィードモータ40に接続され、フィードモータ40の駆動により回転する。フィードモータ40には、例えばステッピングモータが用いられる。搬送ローラ38の上部周面には、従動ローラ39が当接して設けられている。搬送ローラ38および従動ローラ39は、捌きローラ34で捌かれた封筒98を下流側のラベル剥離位置に引っ張って搬送する。
【0031】
捌き検出センサ42は、搬送ローラ38と封筒先端検出センサ44との間の封筒経路M2に設けられ、搬送ローラ38により引っ張られて搬送されてくる封筒98を検出する。捌き検出センサ42により封筒98が検出されると、ピックアップモータ36の駆動が停止されて送りローラ32の回転が停止され、封筒98のピックアップ動作が停止される。
【0032】
封筒先端検出センサ44は、捌き検出センサ42よりも封筒経路M2の下流側であって、剥離したラベル94を検出し易いように、剥離プレート28の剥離位置Hの封筒経路M2を介した下方(直下)の位置に設けられている。封筒先端検出センサ44は、ラベル印刷貼付動作時に搬送ローラ38の回転により封筒経路M2を搬送されてくる封筒98の先端部を検出すると共に、イニシャライズ動作時にラベルシート90を逆搬送したとき剥離プレート28で逆剥離するラベル94の先端を検出する。さらに、封筒先端検出センサ44は、イニシャライズ動作時のラベル94の逆搬送前に、封筒経路M2に封筒98が残っているか、または、詰まっているか否かを検出する。なお、封筒先端検出センサ44は先端検出センサ部の一例を構成しており、封筒先端検出センサ44には例えば光センサが用いられる。
【0033】
排出ローラ46は、封筒先端検出センサ44よりも封筒経路M2の下流側であって、封筒98が排出される排出口45に設けられている。排出ローラ46は、図示しない無端状のベルトにより搬送ローラ38に接続され、搬送ローラ38の回転に連動して回転する。排出ローラ46の上部周面には、貼付ローラ48が当接して設けられている。排出ローラ46および貼付ローラ48は、ラベル94が貼り付けられた封筒98を排出ローラ46と貼付ローラ48と間に挟持して圧着し、圧着した封筒98を排出口45から外部に排出する。
【0034】
[ラベル印刷貼付装置のブロック構成例]
図2は、本発明に係るラベル印刷貼付装置100のブロック構成の一例を示している。図2に示すように、ラベル印刷貼付装置100は制御部60を備えている。制御部60は、ラベル印刷貼付装置100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)62とROM(Read Only Memory)64とRAM(Random Access Memory)66とを有している。CPU62は、ROM64に記憶されているラベル印刷貼付装置100を動作させるためのプログラムをRAM66上に展開してプログラムを起動し、ラベル印刷貼付装置100の各部を制御する。
【0035】
制御部60には、操作部80、表示部82、ドア開閉センサ56、ヘッド昇降センサ58、ラベルエッジセンサ18、捌き検出センサ42、封筒先端検出センサ44、搬送モータ24、サーマルヘッド20、ピックアップモータ36、フィードモータ40およびインタフェース68のそれぞれが接続されている。
【0036】
操作部80は、例えば電源ボタン、停止ボタン、再スタートボタン、テストボタンおよび封筒98の貼付位置調整ダイヤル等の操作ボタンから構成されており、各ボタンが押下されると、押下された操作ボタンに対応した操作信号Slを生成して制御部60に出力する。電源ボタン等の操作ボタンは、例えば、筐体10の側面部に設けられる。
【0037】
表示部82は、例えばLED等から構成され、制御部60から供給される表示信号Smに基づいて、電源のオン/オフ時やジャムエラー、ヘッド位置エラー等の各エラー発生時に点灯または点滅する。LED等の表示部82は、例えば、筐体10の側面部であって、上述した操作部80の周辺部に設けられる。なお、本例では、表示部82としてLEDを用いたが、これに限定されることはなく、文字等の表示が可能な表示ディスプレイを用いても良い。
【0038】
ドア開閉センサ56は、印刷機構部の開閉を検出して検出信号Sjを制御部60に出力する。ヘッド昇降センサ58は、サーマルヘッド20が印字位置にセットされたか否かを検出して検出信号Skを制御部60に出力する。
【0039】
ラベルエッジセンサ18は、イニシャライズ動作時に、逆搬送されるラベル94のエッジを検出してエッジ検出信号Saを制御部60に出力する。エッジ検出信号Saは、ラベルシート90の先頭のラベル94T(図7参照)を検出するための信号として用いられる。また、ラベルエッジセンサ18は、印刷貼付動作時に、サーマルヘッド20に搬送されるラベル94のエッジを検出してエッジ検出信号Saを制御部60に出力する。このときのエッジ検出信号Saは、ラベル94をカウントしたり、ラベル94が剥離位置に到達したか否かを判断する際に用いられる。
【0040】
捌き検出センサ42は、搬送ローラ38によって1枚に捌かれた封筒98を検出して封筒検出信号Sbを制御部60に出力する。この封筒検出信号Sbは、ピックアップモータ36の駆動を停止してピックアップローラ30および送りローラ32を停止させるための信号である。
【0041】
封筒先端検出センサ44は、印刷貼付動作時に、搬送ローラ38により搬送されてくる封筒98の先端部を検出して先端検出信号Scを制御部60に出力する。先端検出信号Scは、封筒98の貼付指示位置までの距離に応じたパルス信号をフィードモータ40に供給するための信号である。また、封筒先端検出センサ44は、イニシャライズ動作時に、剥離プレート28で逆剥離するラベル94の先端部を検出して先端検出信号Scを制御部60に供給する。この先端検出信号Scによりユーザにラベル94の逆剥離が発生したことが報知される。
【0042】
搬送モータ24は、制御部60から供給される制御信号Seに基づいて駆動し、プラテンローラ22や巻取リール14等を正回転させてラベルシート90をラベル貼付経路M1に沿って搬送する。また、イニシャライズ動作時には、プラテンローラ22や巻取リール14等を逆回転させてラベルシート90を通常の印刷貼付動作時の搬送とは逆方向に搬送する。
【0043】
サーマルヘッド20は、制御部60から供給される印刷データに応じた制御信号Sfに基づいてラベル94を選択的に加熱して、ラベル94の表面に所定の文字等を印字する。
【0044】
ピックアップモータ36は、制御部60から供給される制御信号Sgに基づいて、送りローラ32およびこれに連動するピックアップローラ30を回転させて、載置部50から数枚の封筒98をピックアップし、その後、送りローラ32および捌きローラ34により一枚の封筒98に捌いて下流方向に搬送する。
【0045】
フィードモータ40は、制御部60から供給される制御信号(パルス信号)Shに基づいて搬送ローラ38およびこれに連動する排出ローラ46を回転させて、封筒98を貼付位置に搬送してラベル94を貼り付けて、その後、ラベル94が貼り付けられた封筒98を外部に排出させる。
【0046】
インタフェース68は、USB(Universal Serial Bus)等のハードウェアインタフェースから構成され、ケーブル等を介して外部入力装置300が接続される。インタフェース68と外部入力装置300とは無線通信により接続しても良い。外部入力装置300は、例えばパーソナルコンピュータ等から構成され、内蔵されているラベル編集ソフトにより住所や宛名等のレイアウト等を作成し、作成したレイアウトに基づく印刷データをラベル印刷貼付装置100に出力する。
【0047】
[ラベル印刷貼付装置の動作例]
図3および図4は、本発明に係るラベル印刷貼付装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、ステップS100で制御部60は、ユーザによりラベル印刷貼付装置100の電源がオンされたか否かを判断する。制御部60は、ラベル印刷貼付装置100の電源がオンされたと判断した場合にはステップS102に進み、ラベル印刷貼付装置100の電源がオンされていないと判断した場合には電源がオンされるまで待機する。
【0048】
ステップS102で制御部60は、イニシャライズ動作を実行するため、図5に示すサブルーチンに移行する。図5は、本発明のイニシャライズ動作の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、ステップS200で制御部60は、ドア開閉センサ56がオンとなったか否かを判断する。つまり、ユーザによりラベルシート90がラベル印刷貼付装置100にセットされて、印刷機構部が閉じられたか否かを判断する。制御部60は、ドア開閉センサ56がオンになったと判断した場合にはステップS202に進む。一方、制御部60は、ドア開閉センサ56がオフのままである場合には、筐体10が開いているものと判断してドア開閉センサ56がオンになるまで監視を継続する。
【0049】
ドア開閉センサ56がオンになると、ステップS202で制御部60は、ヘッド昇降センサ58がオンになったか否かを判断する。本例のラベル印刷貼付装置100の構成では、印刷機構部にサーマルヘッド20が内蔵されているので、印刷機構部の閉じ動作に応じてサーマルヘッド20が印字位置にセットされる。制御部60は、ヘッド昇降センサ58がオンになった場合には、サーマルヘッド20が印字位置にセットされたものと判断してステップS204に進む。一方、ヘッド昇降センサ58がオフのままの場合にはサーマルヘッド20が印字位置にセットされていないものと判断してステップS206に進み、ステップS206でヘッド位置エラー表示を行う。ヘッド位置エラー表示としては、例えば、表示部82としてのLEDを点灯、点滅させたり、外部入力装置300の表示画面にエラーが発生した旨を表示する。
【0050】
ステップS204で制御部60は、捌き検出センサ42および封筒先端検出センサ44の少なくとも一方がオンとなったか否かを判断する。制御部60は、捌き検出センサ42および封筒先端検出センサ44の少なくとも一方がオンとなったと判断した場合にはステップS210に進む。ステップS210で制御部60は、フィードモータ40を駆動することで、搬送ローラ38および排出ローラ46を回転させて、封筒経路M2に滞在している、または、封筒経路M2で詰まっている封筒98を外部に排出させる(以下、封筒排出動作という)。
【0051】
ステップS212で制御部60は、封筒排出動作を開始してから予め設定した時間(封筒排出タイマ時間)が経過したか否かを判断する。封筒排出タイマ時間は、外部入力装置300の操作ボタン等により任意の時間を設定することができる。制御部60は、予め設定した封筒排出タイマ時間が経過したと判断した場合には、封筒98が封筒経路M2で詰まったと判断してステップS214に進む。ステップS214では、フィードモータ40を停止させて封筒排出動作を停止させると共にジャムエラー表示を行う。ジャムエラー表示としては、例えば、表示部82としてのLEDを点灯、点滅させたり、外部入力装置300の表示画面にエラーが発生した旨を表示する。
【0052】
一方、予め設定した封筒排出時間が経過していないと判断した場合には、ステップS204に戻り、封筒経路M2に滞在している封筒98が搬送ローラ38等の回転により排出されたか否かを再度捌き検出センサ42等により検出し、監視を継続して行う。
【0053】
なお、封筒排出動作時において、封筒98の詰まり等によるエラーではなく、セットしたラベル94が逆剥離することでエラーとなる場合も考えられる。すなわち、ユーザがラベルシート90をセットしたときに、ラベル94が剥離プレート28の先端の剥離位置Hに位置してセット時には既にラベル94が剥離している場合である。この場合には、封筒98の詰まりによるエラーか、ラベル94の逆剥離による詰まりかを判断できないので、ラベル94の逆剥離による詰まりは封筒エラーとして扱われる。
【0054】
封筒排出動作が終了すると、ステップS208で制御部60はラベル先端検出動作を行う。具体的には、搬送モータ24を逆回転させてラベルシート90を逆転搬送し、ラベルシート90に貼着されたラベル94のうち先頭のラベル94をサーマルヘッド20の印字位置まで移動させる。
【0055】
ステップS216で制御部60は、封筒先端検出センサ44がオンとなったか否かを判断する。ここで、封筒先端検出センサ44がオンとなる場合(ラベル94の逆剥離)について説明する。図6(A)および図6(B)は、イニシャライズ動作時のラベル94の逆剥離を説明するための図である。例えば、図6(A)に示すように、ユーザがラベルシート90のセット時に、剥離プレート28よりも下流側にラベル部分をセットしてイニシャライズ動作(逆転搬送)を行った場合、図6(B)に示すように、剥離プレート28よりも下流側のラベル94が剥離プレート28で剥離してしまう。この場合には、封筒先端検出センサ44によって逆剥離したラベル94の先端部94aが検出されることになる。
【0056】
制御部60は、封筒先端検出センサ44がオンとなった場合には、逆剥離が発生したと判断してステップS220に進み、ステップS220で搬送モータ24を停止させてラベル先端検出動作を停止させると共に、ラベル94が封筒経路M2で詰まったと判断してジャムエラー表示を行う。ジャムエラー表示としては、例えば、表示部82としてのLEDを点灯、点滅させたり、外部入力装置300の表示画面にエラーが発生した旨を表示する。一方、封筒先端検出センサ44がオフの場合にはステップS218に進む。
【0057】
ステップS218で制御部60は、ラベルシート90の戻し動作により、ラベルエッジセンサ18がラベル94の先端を検出したか否かを判断する。制御部60は、ラベルエッジセンサ18がラベル94の先端を検出していないと判断した場合には、ラベルシート90に最初からラベル94が貼着されていなかったり、戻し動作においてラベルシート90が搬送途中で詰まったものと判断してステップS224に進む。ステップS224で制御部60は、搬送モータ24を停止させてラベル先端検出動作を停止させると共に、ジャムエラー表示を行う。ジャムエラー表示としては、例えば、表示部82としてのLEDを点灯、点滅させたり、外部入力装置300の表示画面にエラーが発生した旨を表示する。
【0058】
一方、制御部60は、ラベルエッジセンサ18がラベル94の先端を検出したと判断した場合にはステップS222に進む。ステップS222で制御部60は、ラベルシート90の先頭のラベル94Tを検出し、そのラベル94をサーマルヘッド20の印字位置まで搬送する。先頭のラベル94をサーマルヘッド20の印字位置まで搬送したらイニシャライズが完了する。イニシャライズ動作が終了したら、ステップS226に進み、外部入力装置300からの入力があるまで動作待機状態となる。
【0059】
ここで、ラベルシート90における先頭ラベル94Tの判断方法について説明する。ラベルシート90には、その長手方向に沿って複数のラベル94が貼着されている。隣接するラベル94,90同士は、所定の間隔(例えば10mmの区間)を隔てて剥離紙92に貼着されている。ラベルエッジセンサ18は、ラベル先端検出動作において、逆搬送されるラベル94のエッジを順次検出していく。制御部60は、ラベルエッジセンサ18により所定のラベル94のエッジ(先端)が検出されて所定の区間が進んだ後に、次のラベル94のエッジ(後端)が検出されない場合には、最後に検出したラベル94が最も先頭のラベル94であると判断する。
【0060】
図3に戻り、イニシャライズ動作が終了したら、ステップS104で制御部60は、ラベル印刷貼付装置100に接続されている外部入力装置300から、宛名や住所、印刷枚数等の印刷データの入力が有るか否かを判断する。制御部60は、外部入力装置300から印刷データの入力が有ると判断した場合にはステップS106に進み、印刷データの入力がないと判断した場合には外部入力装置300から印刷データが入力されるまで待機する。なお、以下では、印刷データの枚数を印刷データ数Nとし、そのカウンタをカウンタ値Xとする。
【0061】
ステップS106で制御部60は、外部入力装置300から入力された印刷データ数Nのうち、X番目のデータを展開して印刷動作を実行する。制御部60では、外部入力装置300でのデータフォーマットと同様のフォーマットで印刷データを展開し、サーマルヘッド20によりラベル表面に印刷データに応じた文字等を印字する。文字等が印字されたラベル94は剥離プレート28に搬送される。
【0062】
ステップS108で制御部60は、所定の文字等が印刷されたラベル94が剥離位置に到達したか否かを判断する。ラベル94が剥離位置に到達したか否かは、ラベルエッジセンサ18から出力されるエッジ検出信号Sa(図2参照)に基づいて判断できる。ラベルエッジセンサ18から剥離位置までの距離、ラベル94の長さ等の情報は予め制御部60のROM64に記憶されているので、制御部60ではこれらの情報から印刷されたラベル94が剥離位置に到達したか否かを判断する。制御部60は、ラベル94が剥離位置に到達したと判断した場合にはステップS110に進み、ラベル94が剥離位置に到達していないと判断した場合にはステップS112に進む。
【0063】
ステップS112で制御部60は、カウンタ値Xが印刷データ数Nと同一か否かを判断する。カウンタ値Xが印刷データ数Nと同一であると判断した場合にはステップS114に進み、ステップS114でラベル94を剥離位置Hまで搬送する。これは、文字等が印字されたラベル94は剥離位置Hに到達していないものの、印刷データ数Nが終了しているからである。一方、カウンタ値Xが印刷データ数Nと同一でないと判断した場合にはステップS116に進み、ステップS116でカウンタ値XをインクリメントしてステップS106に戻る。ステップS106では、次の印刷データが展開され、印刷動作が開始される。
【0064】
ラベル94が剥離位置Hまで到達すると、ステップS110で制御部60は、ピックアップモータ36を駆動して数枚の封筒98を載置部50からピックアップし、送りローラ32および捌きローラ34により封筒98を捌いて一枚の封筒98を封筒経路M2に搬送する。
【0065】
ステップS118で制御部60は、送りローラ32および捌きローラ34により捌かれた封筒98が捌き検出センサ42により検出されたか否かを判断する。制御部60は、封筒98が捌き検出センサ42により検出されたと判断した場合にはステップS120に進む。ステップS120で制御部60は、封筒先端検出センサ44の封筒先端の検出に基づいて、封筒98の貼付指示位置までの距離に応じたパルス信号をフィードモータ40に供給して封筒98をラベル94の剥離位置Hまで搬送する。一方、制御部60は、捌き検出センサ42により検出されていないと判断した場合にはステップS122に進む。ステップS122では、封筒98が正常に搬送されていないか、または、載置部50に最初から封筒98が入っていなかったものと判断して、封筒なしのエラー表示を筐体10のLEDを点灯等させることで行う。
【0066】
封筒98が貼付指示位置まで搬送されたら、図4に示すステップS124で制御部60は、カウンタ値Xが印刷データ数N以下であるか否かを判断する。カウンタ値Xが印刷データ数N以下であると判断した場合にはステップS126に進む。ステップS126で制御部60は、剥離プレート28の剥離箇所でラベル94を剥離し、剥離したラベル94を封筒98の貼付指示位置に貼り付ける。また、この貼付動作と同時に、カウンタ値Xが印刷データ数N以下なので、次の印刷データを展開してラベル94に印刷する印刷動作を行う。つまり、ラベル94の貼付動作とラベル94への印刷動作とを並列に実行する。
【0067】
一方、カウンタ値Xが印刷データ数Nを超えていると判断した場合には、ステップS128で制御部60は、剥離プレート28の剥離箇所でラベル94を剥離し、剥離したラベル94を封筒98の貼付指示位置に貼り付ける。ステップS128では、外部入力装置300から入力されたユーザの指示(印刷枚数等)は終了しているので、印刷動作は行われない。
【0068】
ステップS130で制御部60は、排出ローラ46を回転させてラベル94が貼り付けられた封筒98を外部に排出する。ステップS132で制御部60は、封筒98が排出されたか否かを判断する。封筒98が排出されたと判断した場合にはステップS134に進む。一方、封筒98が排出されていないと判断した場合にはステップS136に進み、ステップS136で筐体10に設けられた表示部82としてのLEDを点灯等させることで封筒排出エラー表示を行う。
【0069】
ステップS134で制御部60は、印刷済みラベル94があるか否かを判断する。印刷済みラベルがあるか否かは、封筒98の排出の検出結果とラベルエッジセンサ18のラベル94のカウンタ値(印刷データ数N)等との関係から判断される。制御部60は、印刷済みラベルがあると判断した場合にはステップS138に進み、カウンタ値Xをインクリメントして図3に示すステップS110に戻り、次のラベル94を封筒98に貼り付ける貼付動作を実行する。一方、印刷済みラベルがないと判断した場合には、ステップS140で無印字ラベルをサーマルヘッド20の印字位置まで戻す。その後、図3に示すステップS104に戻り、外部入力装置300から次回の印刷、貼付指示があるまで待機する。
【0070】
以上説明したように、第1の実施の形態では、一つの封筒先端検出センサ44が、印刷貼付動作時に封筒98の先端の検出に加えて、イニシャライズ動作時に剥離プレート28で逆剥離したラベル94の先端を検出する。そのため、第1の実施の形態によれば、動作モードに応じて封筒98の先端の検出とラベル94の逆剥離を検出とを行うので、イニシャライズ動作時のラベル94の逆搬送を検出するために別途センサを追加する必要がない。その結果、ラベル印刷貼付装置100の構造の簡易化を図ることができると共に、ラベル印刷貼付装置100の大型化を防止できる。さらに、別途センサを追加する必要がないので、ラベル印刷貼付装置100の低コスト化を図ることができる。
【0071】
また、これに伴い、制御部60では、印刷貼付動作時に封筒先端検出センサ44から先端検出信号Scが供給された場合にはラベル94や封筒98の搬送制御を行い、イニシャライズ動作時に封筒先端検出センサ44から先端検出信号Scが供給された場合にはイニシャライズ動作を停止すると共にエラー表示を行う。これにより、1つの封筒先端検出センサ44を用いた場合でも、動作モードに応じた処理を実行することができる。
【0072】
また、封筒先端検出センサ44を封筒経路M2であって、剥離プレート28の先端の下方(直下)に配置しているので、ラベル94の逆剥離と封筒98の先端とを効率的かつ高精度に検出することができる。
【0073】
さらに、第1の実施の形態によれば、イニシャライズ動作時の封筒排出動作において、封筒先端検出センサ44を、封筒98が封筒経路M2に残っているか、または、詰まっているか否かを検出するためのセンサとして用いている。これにより、別途センサを追加することなく、イニシャライズ動作時の封筒98の残りや詰まり等を検出することができる。その結果、ラベル印刷貼付装置100の構造の簡易化を図ることができると共に、装置の大型化を回避できる。さらに、別途センサを追加する必要がないので、装置の低コスト化を図ることができる。
【0074】
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、剥離紙202の両端のそれぞれにスペースを設けたラベルシート200を用いる点において、上記第1の実施の形態と相違している。なお、その他の構成および動作は、第1の実施の形態で説明したラベル印刷貼付装置100と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0075】
[ラベルシートの構成例]
図7は、上記第1の実施の形態で使用される一般的なラベルシート90の構成例を示している。図7に示すように、一般的なラベルシート90は、長尺状の剥離紙92と、剥離紙92の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて貼着された複数のラベル94とを有している。このラベルシート90において、先頭側のラベル94は剥離紙92の先端付近まで貼着されており、剥離紙92の先端92Tから先頭のラベル94Tまでの距離(間隔)C1が短くなっている。同様に、後尾側のラベル94は剥離紙92の後端付近まで貼着されており、剥離紙92の後端92Eから後尾のラベル94Eまでの距離C2が短くなっている。
【0076】
このように構成されたラベルシート90をラベル印刷貼付装置100にセットすると、先頭のラベル94Tが巻取リール14の先端まであるので、先端側のラベル94は剥離プレート28の下流側に位置してしまう。そのため、イニシャライズ動作時に、ラベル94が剥離プレート28の剥離位置Hで逆剥離し、その結果、ラベル94が剥がれてジャムの原因となってしまうという問題が発生する。これにより、イニシャライズ動作を実行できなくなってしまうと共に、剥離プレート28よりも下流側のラベル94が無駄になってしまう。
【0077】
また、ラベル94が剥離紙92の後端(元巻リール12側)まで付いていると、剥離紙92の後端92Eから後尾側のラベル94(ラベル94Eを含む)までの距離C2が元巻リール12から貼付位置(剥離位置H)までの距離よりも短い場合には、印刷したラベル94を貼付位置まで搬送できないという問題が発生する。この場合には、印刷したラベル94が無駄になってしまう。
【0078】
そこで、第2の実施の形態では、これらの問題を解決するために、以下に説明するラベルシート200を用いている。図8(A)および図8(B)は、第2の実施の形態に係るラベルシート200の構成例を示している。ラベルシート200は、図8(A)に示すように、長尺状の剥離紙202と、この剥離紙202の長手方向に沿って所定間隔を隔てて貼着された複数のラベル204とを有している。
【0079】
剥離紙202の先頭に貼着されるラベル204Tは、イニシャライズ動作時のラベル204の逆搬送による戻し量(移動量)を考慮した距離だけ剥離紙202の先端202Tから離れた位置に貼着される。具体的には、先頭のラベル204Tと剥離紙202の先端202Tとの間の距離D1は、少なくともラベル204の貼付位置から巻取リール14までの距離以上となるように選定される。つまり、剥離紙202の先端202Tから距離D1離れたラベル204Tまではラベル204を貼り付けないようにする。
【0080】
このように、先頭ラベル204Tの貼付位置を剥離紙202の先端202Tから距離D1だけ離すことにより、ラベルシート200を通常の方法(巻取リール14への巻き付け等)によりセットすれば、ラベルシート200の先頭のラベル204Tを剥離プレート28よりも上流側にセットすることができる。その結果、イニシャライズ動作時において、ラベルシート200を逆搬送しても、ラベル204が剥離プレート28で剥離することはないので、ラベル204の逆剥離を確実に防止できる。
【0081】
また、剥離紙202の後尾に貼着されるラベル204Eと剥離紙202の後端202Eとの距離D2は、少なくともラベル204の貼付位置から元巻リール12までの距離以上となるように選定される。つまり、剥離紙202の後端202Eから距離D2だけ離れたラベル204Eまではラベル204を貼り付けないようにする。
【0082】
このように、後尾のラベル204Eの貼付位置を剥離紙202の後端202Eから距離D2だけ離すことにより、印刷した全てのラベル204を貼付位置に搬送して剥離した後に封筒98に貼り付けることができる。これにより、ラベル204の無駄を防止できる。
【0083】
ラベルシート200の剥離紙202には、図8(B)に示すように、所定枚数のラベルおきに(間隔で)マークMKが設けられている。本例では、マークMKがラベル6枚おきに設けられた例を示している。マークMKは、例えば、ラベルシート200の再セット時にラベル204が剥離プレート28の下流側に位置しないようにするために、ラベルシート200のセット前に予めラベル204を剥がしておく区間(枚数)を示すための目印である。なお、マークMKの位置は、ラベル6枚おきに限定されることはなく、10枚おきでも良いし、20枚おきでも良く、任意の枚数を設定できる。また、マークMKの形状を三角形状としているが、この形状に限定されることない。
【0084】
ユーザは、ラベルシート200を再セットする場合、図8(B)に示すように、例えば、マークMK1とマークMK2との間に貼着されているラベル204を予め剥がしてから、このラベルシート200を通常の方法によりラベル印刷貼付装置100にセットする。これにより、ラベルシート200のセット時にラベル204を剥離プレート28の上流側に位置させることができ、イニシャライズ動作時のラベル204の逆剥離を防止することができる。
【0085】
また、現在使用しているラベルシート200を他のラベルシートに交換する場合には、ラベルシート200を所定箇所でカットする必要があるが、マークMKの位置でカットすれば、このラベルシート200を再セットする場合にラベル204の剥がし作業を効率的に行うことができる。
【0086】
<3.第3の実施の形態>
第1の実施の形態では、封筒先端検出センサ44を用いてイニシャライズ動作時のラベル94の逆剥離を検出していたが、第3の実施の形態では、印刷機構部UTを開いた状態でラベル94を逆搬送することにより逆剥離を検出する点において相違している。なお、その他のラベル印刷貼付装置の構成および動作は、上記第1の実施の形態で説明したラベル印刷貼付装置100と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0087】
第3の実施の形態に係るラベル印刷貼付装置100の操作部80は、上述した電源ボタン等に加えて、運転モードを逆剥離検出モードに切り替えるための逆剥離検出モードボタンを有している。逆剥離検出モードとは、ラベルシート90をラベル貼付経路M1にセットした後に、印刷機構部UTを開いた状態でラベルシート90を上流側の元巻リール12側に巻き戻し搬送させるモードである。逆剥離検出モードのオン/オフは、例えば、逆剥離検出モードボタンの押下により切り替えることができる。
【0088】
逆剥離検出モードを実行する場合には、まず、印刷機構部UTを開いて、ラベルシートを元巻リール12と巻取リール14との間のラベル貼付経路M1にセットする。続けて、ユーザは、印刷機構部UTを開いた状態で、筐体10に設けられた操作部80の逆剥離検出モードボタンを押下する。操作部80は、逆剥離検出モードボタンの押下に応じた検出信号を生成して制御部60に出力する。
【0089】
制御部60は、操作部80から供給された検出信号に基づいて逆剥離検出モードを実行する。逆剥離検出モードでは、イニシャライズ動作時と同様に、搬送モータ24を逆回転してプラテンローラ22等を逆回転させることでラベルシート90を元巻リール12側に逆搬送する。ラベルシート90のセット時に、剥離プレート28の下流側にラベル94が位置して(巻き付けられて)いる場合には、ラベルシート90の逆搬送により剥離プレート28でラベル94が剥離プレート28の巻き取り方向に剥離する。
【0090】
本発明に係る逆剥離検出モードでは、印刷機構部UTを開いた状態で巻き戻し動作を行っているので、剥離プレート28でラベル94が逆剥離したときには、ユーザは視認(目視)によりラベル94の逆剥離を確認できる。これにより、ユーザは直ちに剥離プレート28で剥離したラベル94を剥がしてラベル印刷貼付装置100から取り出すことができ、ラベル印刷貼付装置100の動作開始時におけるラベル94のジャム等を未然に回避することができる。
【0091】
また、ラベル印刷貼付装置100において、剥離プレート28の下流側のラベル貼付経路M1にガイド板が取り付けられていて、ラベルシート90を直接視認できない場合でも、通常は剥離プレート28の剥離位置Hまではガイド板がないので、逆剥離検出モードを実行することで、剥離プレート28でのラベル94の逆剥離をユーザが視認して検出することができる。
【0092】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上述した実施の形態では、被貼付部材の一例として封筒98を用いた例について説明したが、これに限定されることはなく、封筒98以外にもハガキや便箋等を用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
20・・・サーマルヘッド(印刷部)、22・・・プラテンローラ(印刷部)、26・・・剥離プレート(剥離部)、44・・・封筒先端検出センサ(先端検出センサ部)、60・・・制御部、90・・・ラベル、92・・・封筒(被貼付部材)、100・・・ラベル印刷貼付装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離紙に貼着されたラベルが搬送される第1の搬送経路に設けられ、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷部と、
前記印刷部よりも前記第1の搬送経路の下流側に設けられ、前記印刷部で前記情報が印刷された前記ラベルを前記剥離紙から剥離する剥離部と、
被貼付部材が搬送される第2の搬送経路に設けられ、前記被貼付部材の先端を検出する先端検出センサ部と、
前記先端検出センサ部の検出結果に基づいて、前記剥離部で剥離されたラベルを前記被貼付部材に貼り付けるための搬送制御を行う制御部とを備え、
前記先端検出センサ部は、前記ラベルを逆搬送して当該剥離紙に貼着された前記ラベルのうち先頭のラベルを前記印刷部の印字位置に移動させるイニシャライズ動作時に、前記剥離部において前記ラベルが前記剥離紙から剥離したか否かを検出する
ことを特徴とするラベル印刷貼付装置。
【請求項2】
前記先端検出センサ部は、前記剥離部の下方に設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載のラベル印刷貼付装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記イニシャライズ動作時に前記先端検出センサ部により前記ラベルの剥離が検出された場合、前記ラベルの逆剥離が検出された旨を表示部により報知すると共に前記イニシャライズ動作を停止させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラベル印刷貼付装置。
【請求項4】
前記先端検出センサ部は、前記イニシャライズ動作時であって、前記ラベルを逆搬送する前に、前記第2の搬送経路中に前記被貼付部材が残っているか否かを検出し、
前記制御部は、前記先端検出センサ部により前記被貼付部材が検出された場合、前記被貼付部材が前記第2の搬送経路中に残っている旨を表示部により報知する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のラベル印刷貼付装置。
【請求項5】
剥離紙に貼着されたラベルが搬送される第1の搬送経路に設けられ、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷部と、
前記印刷部よりも前記第1の搬送経路の下流側に設けられ、前記印刷部で前記情報が印刷された前記ラベルを前記剥離紙から剥離する剥離部と、
前記剥離部により剥離された前記ラベルを、第2の搬送経路に沿って搬送されてくる被貼付部材に貼り付けて排出する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ラベルが貼着された前記剥離紙が前記第1の搬送経路にセットされた後に、前記剥離紙を前記第1の搬送経路の上流側に巻き戻す巻き戻し動作を行う
ことを特徴とするラベル印刷貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−46229(P2012−46229A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191336(P2010−191336)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】