説明

ラベル用塗工紙およびその製造方法

【課題】原紙の表面強度の低下を防止でき、また、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できるラベル用塗工紙を提供する。さらには、そのようなラベル用塗工紙を高い生産性で製造できるラベル用塗工紙の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のラベル用塗工紙は、抄紙速度600m/分以上で抄紙された原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工層が設けられ、原紙の縦方向と横方向の比率が1.0〜1.6で、原紙のカール度が50度〜140度/cmである。本発明のラベル用塗工紙の製造方法は、シェーキング強度1,800〜12,000で振動させたワイヤーを用い、抄紙速度600m/分以上で抄紙して、原紙を得る工程と、該原紙上に顔料および接着剤を主成分とする塗工液を塗工して塗工層を得る工程と、該塗工層の表面を平滑化処理する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶や缶に貼付されるラベル用塗工紙およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、酒、ビール、ワイン、ウィスキー、清涼飲料水、醤油等の瓶詰め品や、缶詰等には、商品としての顔の役割を果たすラベルが貼付されている。通常、ラベルは、ラベル用紙を印刷した後に小裁ちすることにより作製され、ラベラー(ラベル貼り機)などによって瓶や缶に貼付される。ラベル用紙としては、原紙上に顔料及び接着剤を含む塗工層を有するラベル用塗工紙が好んで使用されている。これは、ラベル用塗工紙は、高級な多色印刷や加工が可能であり、一層の高級化や差別化の面で有利なためである。
【0003】
ラベル用塗工紙においては、一般の印刷用紙に要求される印刷適性に加えて、糊付け後のカール防止などの特性が要求される。
また、ラベルを瓶等に貼付けする際には、部分糊付けすることがあるが、糊が乾燥した後に糊が存在する部分と糊が存在しない部分での乾燥収縮差によって、ラベル自体に膨れや皺が発生することがあった。膨れや皺が顕著に現れると商品価値が損なわれるため、ラベル用塗工紙においては部分糊付け時の膨れや皺が発生しにくいことが要求される。
【0004】
上記要求を満足させるため、例えば、特許文献1では、αオレフィンおよびその誘導体と一塩基性または二塩基性のビニルカルボン酸などと共重合して得られる水溶性高分子で処理した原紙上に、澱粉誘導体と合成樹脂を含む塗工液を塗工して、ラベル用塗工紙を製造する方法が提案されている。
また、特許文献2では、原紙を2分間水浸漬した後の伸び率などを特定の範囲にすることで、ラベル用塗工紙の部分糊付け時の膨れや皺を防止できる旨が開示されている。
【特許文献1】特開昭51−147605号公報
【特許文献2】特開平05−279992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の方法では、ラベルの糊付け後のカールや部分糊付け後の膨れや皺を抑えることができなかった。
また、特許文献2に記載の原紙を得るためには、抄紙速度を低速にする必要があり、ラベル用紙の生産性が低くなるという問題があった。また、原紙の水浸漬後の伸び率を特定の範囲とするためには、パルプの叩解条件を緩和する方法が考えられるが、パルプの叩解条件を緩和した場合には、仕上がった原紙の表面強度が低下した。そのため、表面サイズ液を多く塗布したり、サイズ液にポリビニルアルコールを添加したりして表面強度の低下を防ぐ対策を採る必要があった。
本発明は、原紙の表面強度の低下を防止でき、また、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できるラベル用塗工紙を提供することを目的とする。さらには、そのようなラベル用塗工紙を高い生産性で製造できるラベル用塗工紙の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが調べた結果、パルプ繊維の抄紙方向(縦方向)への配向が顕著になると、糊付け後のカール、膨れ、皺が発生しやすくなることを見出した。特に、近年普及している高速抄紙機では配向がより顕著になるため、カール、膨れ、皺がより発生しやすいことを見出した。そして、この知見に基づき、さらに検討して、以下のラベル用塗工紙およびその製造方法を発明した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
[1] 抄紙速度600m/分以上で抄紙された原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工層が設けられたラベル用塗工紙において、
原紙は、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦方向の超音波伝播速度/横方向の超音波伝播速度)が1.0〜1.6であり、TAPPI T466hm−82に準拠して測定されるカール度が50〜140度/cmであることを特徴とするラベル用塗工紙。
[2] 原紙は、JIS P 8140に準拠して測定されるコッブ法によるサイズ度が5〜20g/mである請求項1に記載のラベル用塗工紙。
[3] シェーキング強度1,800〜12,000でワイヤーを振動させ、ジェット/ワイヤー比0.950〜1.050にて、抄紙速度600m/分以上で抄紙して、原紙を得る工程と、
該原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工液を塗工して、塗工層を得る工程と、
該塗工層の表面を平滑化処理する工程とを有することを特徴とするラベル用塗工紙の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のラベル用塗工紙は、原紙の表面強度の低下を防止でき、また、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できる。
本発明のラベル用塗工紙の製造方法は、原紙の表面強度の低下を防止でき、また、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺が防止されたラベル用塗工紙を高い生産性で製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(ラベル用塗工紙)
本発明のラベル用塗工紙は、原紙上に塗工層が設けられたものである。
【0010】
[原紙]
原紙は、抄紙速度600m/分以上で抄紙されたものである。抄紙速度600m/分未満で抄紙された原紙は生産性が低く、本発明の目的にそぐわない。また、抄紙速度は1300m/分以下であることが好ましい。1300m/分を超える抄紙速度では、ブレストロールへの負荷がかかりすぎるため、ワイヤーを振動させたときに所望のシェーキング強度が得られ難い。ここで、ブレストロールとは、後述する図1に示す製造装置の符号11aの部材である。
【0011】
所望とするラベル用塗工紙を得るためには、原紙にて音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦方向の超音波伝播速度/横方向の超音波伝播速度)を1.0〜1.6、好ましくは1.0〜1.5、より好ましくは1.0〜1.4にする必要がある。超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率が1.6以下であることにより、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できる。
なお、超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率が1.6を超えると糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できず、1.0未満では工業的な製造が困難である上に、1.0未満になると縦方向の紙力が低下するため、抄紙時の操業性が低下する。
ここで、音速法による超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率は、野村商事製SST−3000(Sonic Sheet Tester)により測定された値である。
【0012】
超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率を1.6以下にする方法としては、例えば、抄紙の際のジェット/ワイヤー比を適宜に調整する方法、ヘッドボックスのL/b値を適宜に調整する方法(Lはスライスリップの上リップに対する下リップの突き出し長さ、bはスライス開度のことである。)、ワイヤーシェーキングのシェーキング強度を高くする方法、パルプ原料や叩解条件を適宜選択する方法等が挙げられる。ここで、ジェット/ワイヤー比とは、ヘッドボックスから噴出する原料の速度、すなわちスライスジェットの速度と、ワイヤーの速度との比のことである。一般に、ジェット/ワイヤー比のことを、J/W比と表記することもある。
これらの中でも、ワイヤーのシェーキング強度を1,800〜12,000、ジェット/ワイヤー比を0.950〜1.050にて抄紙することで、原紙の、超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率を容易に1.6以下にでき、地合いに優れたラベル用塗工紙を得ることができる。
【0013】
また、原紙は、TAPPI T466hm−82に準拠して測定されるカール度が50〜140度/cmである。カール度が50〜140度/cmであることで、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できる。カール度が50度/cm未満であると、糊が紙に浸透しにくくなり、接着力の低下による接着不足となるおそれがあり、140度/cmを超えると、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できなくなる。
原紙のカール度を50〜140度/cmに調整する方法としては、超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率、ジェット/ワイヤー比、ヘッドボックスのL/b値を適宜に調整する方法が挙げられる。例えば、ワイヤーのシェーキング強度を1,800〜12,000、ジェット/ワイヤー比を0.950〜1.050にて抄紙することで、原紙のカール度を50〜140度/cmにできる。
【0014】
また、原紙は、JIS P 8140に準拠して測定されるコッブ法のサイズ度(以下、コッブサイズ度という。)が5〜20g/mであることが好ましく、5〜18g/mであることがより好ましい。コッブサイズ度が20g/m以下であれば、糊付け時の糊の紙への浸透をより抑えることができ、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺をより防止できる。ただし、コッブサイズ度が5g/m未満になると、原紙への糊の浸透を抑え過ぎて、糊付け時の強度が低下してしまい、接着不足となる。
コッブサイズ度を前記範囲にするためには、原紙に添加する内添サイズ剤やサイズプレス液の塗布量、サイズプレス液内に添加される表面サイズ剤の添加量を適宜調節する方法を適用できる。具体的には、内添サイズ剤、サイズプレス液の塗布量、サイズプレス液内の表面サイズ剤等の添加量を多くすることでコッブサイズ度は小さくなり、これらの添加量や塗布量を調整することで、コッブサイズ度を前記範囲内にすることができる。通常、内添サイズ剤および表面サイズ剤は0.1〜2.0質量%で、サイズプレス塗布量は0.5〜5.0g/mの範囲で調整される。また、前記コッブサイズ度を得るためには、内添サイズ剤および表面サイズ剤の両方を上記範囲内で適量添加することが好ましい。内添サイズ剤と表面サイズ剤の一方のみを添加しても、前記コッブサイズ度を得ることもできるが、表面サイズ剤のみでは原紙表面でコッブサイズ度を調整するために多量に添加する必要があり、コスト的に不利である。一方、内添サイズ剤のみでは原紙表面から塗料や糊の浸透が速く、所望とするコッブサイズ度が得られ難い他、塗工時の塗料の浸透も速くなり、塗工面の平滑性を低下させる傾向にある。
【0015】
原紙を構成するパルプ繊維としては、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、あるいは、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0016】
原紙には、必要に応じて、各種の填料が含まれてもよい。填料としては、例えば、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無定形シリケート、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、スチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機系填料が挙げられる。
【0017】
原紙は、内添サイズ剤や表面サイズ剤を適宜添加することによって上記コッブサイズ度となるよう調節する。
内添サイズ剤としては、例えば、ロジンエマルジョン等のロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、無水ステアリン酸系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、ワックス系サイズ剤、あるいはカチオン性合成サイズ剤等が挙げられる。
表面サイズ剤としては、例えば、各種の澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、アクリル酸エステル、ラテックスやα−オレフィン無水マレイン酸共重合体、スチレンアクリル系共重合体、あるいは高級脂肪酸系等の合成サイズ剤やカチオン性合成サイズ剤等が挙げられる。
【0018】
原紙の米坪は30〜150g/m程度であることが好ましい。米坪30g/m未満の原紙では、充分な強度が確保され難く、150g/mを超える原紙では、抄紙速度が低下し、ブレストロールへの負荷が大きくなってしまい、操業に支障をきたす恐れがある。
【0019】
[塗工層]
塗工層は、顔料および接着剤を必須成分として含有し、必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0020】
塗工層を構成する顔料としては、例えば、クレー、カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、プラスチックピグメント等が挙げられる。
【0021】
塗工層に含まれる接着剤としては、例えば、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白質;スチレン・ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン・酢酸ビニル系重合体ラテックス;あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシ基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ溶解性或いはアルカリ非溶解性の重合体ラテックス;ポリビニルアルコール、オレフィン・無水マレイン酸樹脂、メラニン樹脂等の合成樹脂系接着剤;酵素変性澱粉や酸化変性澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。接着剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
塗工層における接着剤含有量は、顔料100質量部に対して5〜40質量部が好ましく、10〜35質量部がより好ましい。接着剤含有量が5質量部以上であれば、耐水性や強度が向上し、40質量部以下であれば、ラベルを貼付した瓶の洗瓶適性を確保できる。
【0023】
塗工層に含まれるその他の成分としては、例えば、染料等の着色剤、蛍光増白剤などが挙げられる。
【0024】
また、塗工紙のコッブサイズ度も、原紙と同様の理由から5〜20g/mであることが好ましく、5〜18g/mであることがより好ましい。
塗工紙のコッブサイズ度を前記範囲にするためには、例えば、原紙に添加する内添サイズ剤や表面サイズ剤の種類、添加量を適宜調節すればよい。具体的には、表面サイズ剤の添加量を多くすれば、コッブサイズ度が小さくなる。
【0025】
(ラベル用塗工紙の製造方法)
本発明のラベル用塗工紙の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態では、図1に示す製造装置を用いてラベル用塗工紙を製造する。図1に示す製造装置1は、原紙Aを作製する製紙装置1aと、製紙装置1aにより作製した原紙上に塗工液を塗工して塗工層を形成する塗工装置1bと、塗工層の表面を平滑化する平滑化装置1cとを具備するものである。
【0026】
製紙装置1aは、ワイヤーパート10と、プレスパート20と、ドライヤーパート30とを有する。
製紙装置1aのワイヤーパート10は、ロール11a,11bに掛け回されて循環走行し、パルプスラリーを抄紙するワイヤー11と、ワイヤー11を振動させるワイヤーシェーキング機12と、パルプスラリーをワイヤー11に吐出するヘッドボックス13とを備える。
【0027】
本実施形態におけるワイヤーシェーキング機12は、ヘッドボックス13側のブレストロール(ロール11a)を軸方向に振動させてワイヤー上の原料を振動させることにより、パルプ繊維の抄紙方向の配向性を低下させるものである。このようなワイヤーシェーキング機12によれば、シェーキング強度を容易に高くできる。
上記ワイヤーシェーキング機12としては、例えば、フォイト社の商品名デュオ・シェイク(Duo−shake)等が市販されている。
【0028】
ワイヤーパート10は、ワイヤー11を振動させやすいことから、長網式抄紙機またはオントップフォーマーなどの抄紙機が好ましく使用される。
【0029】
製紙装置1aのプレスパート20は、湿紙Wを支持して搬送するフェルト21と、フェルト21で支持した湿紙Wを圧搾して脱水するプレスロール22とを備える。
【0030】
ドライヤーパート30は、湿紙Wを支持して搬送するカンバス31a,31bと、湿紙Wに直接接する加熱ドラム32a,32bと、カンバス31a,31bの走行方向を反転させる反転用ロール33a,33bとを備える。なお、加熱ドラム32a,32bのうち、相対的に下側にあるものを下側加熱ドラム32aといい、上側にあるものを上側加熱ドラム32bという。同様に、反転用ロール33a,33bのうち、相対的に下側にあるものを下側反転用ロール33aといい、上側にあるものを上側反転用ロール33bという。
ドライヤーパート30では、下側反転用ロール33aによりカンバス31aの走行方向を反転させることにより、カンバス31aが下側加熱ドラム32aの下部に隣接しながら走行するようになっている。このように走行するカンバス31aによって湿紙Wを下側加熱ドラム32aの下部に押し付けるようになっている。
また、上側反転用ロール33bによりカンバス31bの走行方向を反転させることにより、カンバス31bが上側加熱ドラム32bの上部に隣接しながら走行するようになっている。このように走行するカンバス31bによって湿紙Wを上側加熱ドラム32bの上部に押し付けるようになっている。
【0031】
塗工装置1bは、塗工機40と乾燥機50とを有する。
塗工機40としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、ブラシコータ、カーテンコータ、チャンプレックスコータ、バーコータ、グラビアコータ、サイズプレスコータ等が挙げられる。なお、図示例の塗工装置1bは、ブレードコータである。
【0032】
乾燥機50としては、例えば、蒸気加熱、熱風加熱、ガスヒータ加熱、電気ヒータ加熱、赤外線ヒータ加熱、高周波加熱、レーザ加熱、電子線加熱等各種の方式の乾燥機が挙げられる。
【0033】
平滑化装置1cは、塗工層表面の光沢度および/または平滑性を上げる装置であり、本実施形態においてはキャレンダである。キャレンダとしては、例えば、スーパーキャレンダ、グロスキャレンダ等の金属ロールやドラムと弾性ロールよりなる各種キャレンダ等が挙げられる。これらは、オンマシン、オフマシンのいずれであってもよい。
【0034】
上記製造装置1を用いた本実施形態の製造方法では、まず、ワイヤーパート10にて、ヘッドボックス13から、循環走行するワイヤー11上にパルプスラリーを吐出する。
パルプスラリーは、パルプ繊維が水中に分散したものであり、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等の各種抄紙用内添助剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤が添加されていてもよい。
抄紙pH条件は、酸性、アルカリ性のいずれであってもよい。
【0035】
パルプスラリーの固形分濃度は0.3〜1.0質量%であることが好ましく、0.5〜0.6質量%であることがより好ましい。パルプスラリーの固形分濃度が0.3質量%以上であれば、抄紙の生産性を高めることができ、1.0質量%以下であれば、ワイヤー11を振動させた際にパルプ繊維の抄紙方向の配向性をより低くできる。
【0036】
パルプスラリーを吐出する際のジェット/ワイヤー比は0.950〜1.050である。ジェット/ワイヤー比が1.050以下であることにより、パルプ繊維の抄紙方向の配向性を低くできる。ただし、ジェット/ワイヤー比が0.950未満もしくは1.050を超えると、所望する縦横比が得られ難く、地合いが悪化してしまう。
また、パルプスラリーの吐出方向とワイヤー11の走行方向との角度(以下、この角度のことを吐出角度という。)は30°〜90°であることが好ましい。吐出角度が30°以上であれば、パルプ繊維の抄紙方向の配向性をより低くできる。吐出角度を90°より大きくすることは、ワイヤー11の走行方向と反対に吐出させることであるため、実用的でない。
【0037】
次いで、ワイヤーシェーキング機12により、ヘッドボックス13側のロール11aを軸方向に振動させ、その振動によりワイヤー11上の原料を振動させながら、パルプスラリーをプレスパート20に向けて搬送すると同時に脱水する。これにより抄紙して、湿紙Wを得る。
【0038】
抄紙速度は600m/分以上である。抄紙速度が600m/分未満であると、生産性が低くなる。
また、抄紙速度は1300m/分以下であることが好ましい。抄紙速度1300m/分を超えると、ロール11aに負荷がかかりすぎるため、所望のシェーキング強度が得られにくくなり、原紙の品質が低下する。
【0039】
ワイヤーシェーキング機12による振動では、シェーキング強度を1,800以上、好ましくは2,200以上、より好ましくは3,000以上、特に好ましくは3,500以上にする。シェーキング強度を1,800以上にすることで、抄紙速度を600m/分以上とした場合でも、得られる原紙の超音波伝播速度の縦方向(抄紙方向)と横方向(幅方向)の比率を低下させ、具体的には1.6以下にすることができ、ラベル適性を向上させることができる。
さらに、シェーキング強度を1,800以上にすることにより、原紙の抄紙速度を向上させることができ、また、パルプの叩解を進める(フリーネスを低下させる)ことができ、表面強度を高くできる。そのため、原紙に添加する澱粉や紙力剤、原紙表面に塗布する澱粉やPVA等の薬品を削減できる。
シェーキング強度の上限は12,000である。シェーキング強度が12,000を超えると、超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率が1.0未満になる。また、シェーキング強度を12,000にすることは工業的には容易ではない。
【0040】
ここでいうシェーキング強度とは、下記式(1)で表される値である。このシェーキング強度は、シェーキングエネルギーの指標であり、具体的には、シェーキング強度が高くなる程、シェーキングエネルギーが大きくなる。
I = f × s / V (1)
I: シェーキング強度
f: 振動数(回/分)
s: 振幅(mm)
V: 抄紙速度(m/分)
【0041】
シェーキング強度を高くする際には、ラベル用塗工紙に適した原紙が得られることから、振動数を大きくするよりも振幅を大きくすることが好ましい。さらには、ラベル適性により優れたものになることから、振幅を10mm以上に調節することが好ましく、15mm以上に調節することがより好ましく、20mm以上に調節することが特に好ましい。振幅の上限は25mmであることが好ましい。振幅が25mmを超えると、振幅と振動数をそれぞれ独立して制御することが困難になる。
また、振動数は、300〜500回/分の範囲で調節することが好ましい。振動数が300回/分以上であれば、得られる原紙の超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率を容易に1.6以下にでき、500回/分以下であれば、容易に1.0以上にできる。
【0042】
次いで、プレスパート20にて、ワイヤーパート10から移送された湿紙Wを、フェルト21により支持して搬送しながら、プレスロール22により圧搾して脱水する。
さらに、ドライヤーパート30にて、プレスパート20から移送された湿紙Wを、まず、カンバス31aにより支持して搬送しながら、下側加熱ドラム32aに接触させ、次いで、カンバス31bにより支持して搬送しながら、上側加熱ドラム32bに接触させて、乾燥する。これを繰り返して乾燥度合いを高める。
【0043】
ドライヤーパート30で乾燥した後には、オンマシンの状態で、表面サイズ剤を塗布する表面サイズ処理を施してもよい。
表面サイズ剤を塗布する方法としては、例えば、ツーロールまたはロッドメタリング式のサイズプレス、ゲートロール、ビルブレード、ショートドウェルコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、ブレードコータやスプレー等の各種装置を使用する方法が挙げられる。
【0044】
上記工程により原紙Aを得た後、塗工機40により原紙A上に塗工液を塗工し、乾燥機50により乾燥して塗工層を形成する。塗工液は一層のみを塗工してもよいし、多層に分けて塗工してもよい。
塗工液の塗工量(乾燥塗工量)としては5〜30g/mであることが好ましい。塗工液の塗工量が5g/m以上であれば、一回の塗工で塗工層の厚みを充分に確保できる。しかし、30g/mを超えると、塗工品質の向上が見られなくなる。また、品質や操業性等を考慮すると、塗工量は8〜25g/mの範囲がより好ましい。
【0045】
塗工液に含まれる顔料および接着剤は、塗工層に含まれるものと同様である。
また、塗工液には、必要に応じて、消泡剤、流動変性剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。また、塗工した塗工液の固化を促進する助剤を添加してもよい。固化を促進する助剤として、例えば、アミン、アミド、ポリアクリルアミン等や亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムの多価金属の塩等が挙げられる。
該助剤の添加量は、顔料100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。該助剤の添加量が0.1質量部以上であれば、塗工した塗工液の固化を充分に促進できる。ただし、10質量部を超えて添加しても、その添加量に応じた効果が得られず、実益がない。
【0046】
塗工液の固形分濃度は40〜75質量%であることが好ましい。塗工液の濃度が40質量%以上であれば、一回の塗工で塗工層の厚みを充分に確保でき、75質量%以下であれば、塗工時の操業が安定する。また、操業性等を考慮すると、塗工液の固形分濃度は45〜70質量%であることがより好ましい。
【0047】
塗工装置1bにより塗工層を形成した後には、平滑化装置1cにより、塗工層の表面を平滑化処理する。
平滑化処理において、キャレンダのニップに入る前の水分は、表面を容易に平滑化できることから、3〜10質量%程度が好ましい。キャレンダの仕上げ速度は、紙の米坪、品種等に応じて適宜選択され、例えば、100〜1300m/分程度の範囲で適宜調節される。
【0048】
上記ラベル用塗工紙の製造方法では、平滑化処理前後に、塗工紙の調湿を目的として、ブレードコータやロールコータなどによる水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を設置してもよい。
特に、塗工層を片面のみに設けた場合には、カールを起こし易いことから、カール矯正のため、平滑化処理前後に非塗工面に上記水塗り装置や加湿装置により、水、澱粉、カルボキシメチルセルロース(CMC)、グリセリン、尿素系樹脂、無機塩類等の水性液を塗工することが好ましい。
【0049】
以上のようにして、原紙上に塗工層が形成されたラベル用塗工紙が得られる。
ラベル用塗工紙は、塗工層側に印刷が施された後、小裁ちされ、ラベル貼り機(ラベラー)などにより、瓶や缶に貼付される。貼付の際に使用する糊としては、例えば、澱粉系、ポバール系、ガゼイン系、ゴム系および樹脂系のものが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
糊の粘度は、紙への糊の浸透が少なく、貼付前のカールを抑制できることから、200mPa以上が好ましい。
【0050】
以上説明した製造方法では、抄紙に使用するワイヤーを激しく振動させ、ジェット/ワイヤー比を0.950〜1.050としているため、抄紙速度を600m/分以上の高速にしても、パルプ繊維を再分散でき、抄紙方向以外の方向にも向けさせることができる。その結果、原紙の超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率を1.0〜1.6にできるため、ラベル用塗工紙の、糊付け後のカールおよび部分糊付け後の膨れや皺を防止できる。さらに、パルプ繊維の抄紙方向への配向性が小さくなったことにより、ラベルとして小裁ちしたときの寸法安定性も高くなる。
また、このラベル用塗工紙の製造方法によれば、叩解度の低いパルプを使用しなくてもよいため、原紙の表面強度低下を防止できる。
しかも、上記製造方法では、抄紙速度が速いため、生産性が高い。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態例では、平滑化処理としてキャレンダを適用したが、ウェットキャスト法やリウェットキャスト法、ゲル化キャスト法などの塗工層が湿潤状態にある間にキャストドラムに圧接する方法を適用してもよい。
【実施例】
【0052】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」のことである。
【0053】
(実施例1)
NBKP10%(フリーネス/CSF:520ml)とLBKP90%(CSF:500ml)とを混合して混合パルプを得た。この混合パルプにロジン系サイズ剤0.2%(サイズパインE/荒川化学工業製)、硫酸バンド1.2%、填料であるタルク(NK−H80/兼松ケミカル社製)10%を添加してパルプスラリー(固形分濃度0.5質量%)を調製した。そして、このパルプスラリーを原料とし、オントップフォーマーを用いて、酸性条件下、抄紙速度650m/分で抄紙して湿紙を得た。
ここで使用したオントップフォーマーにおいては、ワイヤーが2つのロールに掛け回されており、それらのロールのうち、ヘッドボックス側のものにワイヤーシェーキング機(フォイト社製商品名デュオ・シェイク)が取り付けられている。そして、このワイヤーシェーキング装置によって、ブレストロールを振動させ、その振動によりワイヤーを振動させた。
抄紙では、ジェット/ワイヤー比を0.990とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅9mm、振動数550回/分(シェーキング強度 4,188)に設定した。
次いで、湿紙を圧搾し、乾燥した後、オンマシン仕様の2ロールサイズプレス装置により、サイズプレス液を、固形分で2.2g/mとなるように塗布する表面サイズ処理を行った。サイズプレス液としては、酵素変性澱粉5%およびα−オレフィン無水マレイン酸共重合体系表面サイズ剤(ポリマロン1329/荒川化学工業製)0.3%よりなるものを用いた。
このようにして、米坪64g/m、コッブサイズ度15g/mの原紙を得た。
【0054】
また、カオリン(商品名;UW−90/エンゲルハード社製)60部、重質炭酸カルシウム(商品名;FMT−90/ファイマテック社製)40部、酸化変性澱粉(商品名;エースA/王子コーンスターチ社製)2部(固形分)、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名;T−2581A/JSR社製)12部からなる固形分濃度が65%の塗工液を調製した。
この塗工液を上記で得た原紙の片面に乾燥後の塗工量が21g/mとなるようにブレードコータを用いて塗工、乾燥した。その後、さらにもう一方の片面に、カール矯正を目的として、ブレードコータを用いて水を10cm/mで塗工、乾燥した後、スーパーキャレンダにより平滑化処理をして、米坪84.9g/m2 のラベル用塗工紙を得た。
【0055】
(実施例2)
ワイヤーシェーキング条件を、振幅12mm、振動数400回/分(シェーキング強度2,954)とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0056】
(実施例3)
ワイヤーシェーキング条件を、振幅17mm、振動数350回/分(シェーキング強度3,204)とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0057】
(実施例4)
ワイヤーシェーキング条件を、振幅24mm、振動数350回/分(シェーキング強度4,520)とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0058】
(実施例5)
抄紙速度を800m/分とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0059】
(実施例6)
抄紙速度を800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を、振幅12mm、振動数400回/分(シェーキング強度2,400)とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0060】
(実施例7)
抄紙速度を800m/分とし、パルプへ添加するロジン系サイズ剤(サイズパインE/荒川化学工業製)の量を0.5%としサイズプレス液内の表面サイズ剤の量を1.0%とした以外は実施例1と同様の方法により原紙を得た。原紙のコッブサイズ度は10g/mであった。そして、この原紙を用いたこと以外は実施例1と同様にしてラベル用塗工紙を得た。
【0061】
(実施例8)
抄紙速度を800m/分とし、ジェット/ワイヤー比を1.020とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0062】
(実施例9)
サイズプレス液の塗布を行わなかった以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0063】
(比較例1)
ワイヤーシェーキングを行わなかった以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0064】
(比較例2)
抄紙速度を500m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を、振幅9mm、振動数185回/分(シェーキング強度616)とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0065】
(比較例3)
ワイヤーシェーキング条件を、振幅9mm、振動数250回/分(シェーキング強度865)とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0066】
(比較例4)
ジェット/ワイヤー比を1.100とした以外は実施例1と同様の方法でラベル用塗工紙を得た。
【0067】
実施例1〜9および比較例1〜4で得られた原紙およびラベル用塗工紙について、以下のように評価し、その評価結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
[原紙評価]
・超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率
野村商事製SST−3000(Sonic Sheet Tester)を用い、原紙の超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率を測定した。なお、表1中では、「縦/横比」と略記する。
・コッブサイズ度
JIS P 8140に従って測定した。コッブサイズ度が低い程、表面強度が高くなる。
・ カール度
TAPPI T466hm−82に準拠して測定した。
・ 地合い
○: 地合いが良好である。
△: やや地合いが劣るが、実用上は問題ない。
×: 地合いが劣り、実用上問題となる。
・水塗布後のカール防止性
ラベル用塗工紙を縦5cm×横8cmに断裁し、非塗工面(裏面)の全面に水をNo.8のワイヤーバーで塗布後のカールの状況を目視により観察し、下記基準により評価した。
◎: 非塗工面に水を塗布した後、カールしない。
○: 非塗工面に水を塗布した後、ややカールするが、実用上は問題ない。
△: 非塗工面に水を塗布した後、カールし、実用上やや問題になる。
【0070】
[塗工紙評価]
・部分糊付け後の膨れ、皺の防止性
ラベル用塗工紙を縦5cm×横8cmに断裁してラベル状とし、非塗工面(裏面)にPVA糊(アラビック ヤマト/ヤマト製)をNo.8のワイヤーバーを用い、図2に示すように縦方向の両端側と中央に塗布して糊塗布部Cを形成した。その塗布した糊により、ラベルを瓶に貼付け、48時間放置して乾燥した後、ラベル表面の膨れや皺発生の状況を目視により観察し、下記基準により評価した。
◎: 膨れ、皺発生が全く見られない。
○: 膨れ、皺発生がやや見られるが、実用上は問題ない。
×: 膨れ、皺発生が認められ、実用上問題になる。
【0071】
シェーキング強度1800以上で振動させたワイヤーを用い、ジェット/ワイヤー比を0.950〜1.050として原紙を作製した実施例1〜9の製造方法では、抄紙速度が600m/分以上であったにもかかわらず、得られた原紙の超音波伝播速度の縦方向と横方向との比率が1.0〜1.6の範囲内にあり、水塗布後のカールが防止されていた。この原紙を用いた塗工紙は、部分糊付け後の膨れ、皺の発生が防止されていた。この結果は、原紙の抄紙速度を500m/分とした比較例2の結果に対して同等以上であった。また、表面強度についても比較例2の結果と同等であった。
ワイヤーを振動させなかった比較例1、シェーキング強度を1800未満とした比較例2,3の製造方法では、得られた原紙の超音波伝播速度の縦方向と横方向との比率が1.6を超え、カール度が140度/cmを超えており、水塗布後に実用上問題になる程度のカールが発生した。この原紙を用いた塗工紙は、部分糊付け後の膨れ、皺の発生が認められた。
ジェット/ワイヤー比が1.050を超えて原紙を作製した比較例4の製造方法でも、比較例1〜3と同様に、得られた塗工紙において、部分糊付け後の膨れ、皺の発生が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のラベル用塗工紙の製造方法の一実施形態で使用する製造装置を示す模式図である。
【図2】ラベルの部分糊付けを説明する図である。
【符号の説明】
【0073】
1 製造装置
1a 製紙装置
1b 塗工装置
1c 平滑化装置
10 ワイヤーパート
11 ワイヤー
11a ブレストロール
11b ピックアップロール
12 ワイヤーシェーキング機
13 ヘッドボックス
20 プレスパート
21 フェルト
22 プレスロール
30 ドライヤーパート
31a,31b カンバス
32a 下側加熱ドラム(加熱ドラム)
32b 上側加熱ドラム(加熱ドラム)
33a 下側反転用ロール(反転用ロール)
33b 上側反転用ロール(反転用ロール)
40 塗工機
50 乾燥機
A 原紙
,W 湿紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙速度600m/分以上で抄紙された原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工層が設けられたラベル用塗工紙において、
原紙は、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦方向の超音波伝播速度/横方向の超音波伝播速度)が1.0〜1.6であり、TAPPI T466hm−82に準拠して測定されるカール度が50〜140度/cmであることを特徴とするラベル用塗工紙。
【請求項2】
原紙は、JIS P 8140に準拠して測定されるコッブ法によるサイズ度が5〜20g/mである請求項1に記載のラベル用塗工紙。
【請求項3】
シェーキング強度1,800〜12,000でワイヤーを振動させ、ジェット/ワイヤー比0.950〜1.050にて、抄紙速度600m/分以上で抄紙して、原紙を得る工程と、
該原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工液を塗工して、塗工層を得る工程と、
該塗工層の表面を平滑化処理する工程とを有することを特徴とするラベル用塗工紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−261068(P2008−261068A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103698(P2007−103698)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】