説明

ラベル貼付装置

【課題】 易剥離ラベルであっても、長期間にわたって清掃無しにラベルの貼付作業を継続することができるラベル貼付装置を提供すること。
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、糊が塗布されたラベルを搬送しながら当該ラベルの位置を修正するための搬送ドラムであって、この搬送ドラムの外周面の円周方向に沿って所定の溝を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の内容表示等を行うラベルを製品容器等に貼り付けるためのラベル貼付装置に係り、特に、感熱型の糊が塗布されたラベルを、例えば瓶容器などに貼り付けるためのラベル貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なラベル貼付装置としては、以下のようなものがある。即ち、連続的に連なったロール状のラベルを順次送り出すデリバリローラと、デリバリローラから送り出されたラベルを1枚づつ切断するロータリカッタと、切断されたラベルに熱を加えるライスタと、切断されたラベルをライスタを通して瓶容器等の所定の貼付位置まで搬送する搬送ドラムとを備えたものである。ここで、ラベルに塗布されている糊は感熱性のものであり、ライスタからの熱により粘着性が発現するものである。
【0003】
ラベル貼付装置においては、瓶容器等に貼り付けられるラベルの位置が常に一定となるように修正するための修正ガイドが、搬送ドラムの外周面に対向する位置に設けられていることが多い。搬送ドラム及び修正ガイドについてより詳細に説明すると、従来の搬送ドラムは円盤状の形状を有しており、材質はアルミである。そして、搬送ドラムの平坦な外周面においてラベルを担持する。このとき、搬送ドラムの外周面には所定の吸引口が形成されており、この吸引口から空気を吸引することによって、ラベルを外周面に担持するようになっている。修正ガイドの設けられた部分では、吸引口からの空気の吸引を停止させるまたは弱めることによって、搬送ドラムの外周面での担持を一時的に解除し、修正ガイドによるラベルの位置修正ができるようになっている。
【0004】
具体的には、修正ガイドは、平面図として見た場合に、搬送ドラムの外周面の一部に沿って円弧状に形成されている。また、鉛直方向の断面図として見た場合、図8に示すように、板状の各ガイド部材121が鉛直方向に相互に離間して、水平状態で固定されている。そして、搬送ドラム111に対向する側の端部でラベルLの位置を修正するようになっている。当該従来例では、上下両端に2枚の主ガイド部材121a,121bが設けられ、各主ガイド部材121a,121bの相互間に複数の補助ガイド部材122が設けられている。ラベルLは、各主ガイド部材121a,121bの間に搬送されて位置修正される。そして、補助ガイド部材122によって撓みや浮き上がりが修正される。このため、主ガイド部材121a,121bの端部は搬送ドラム111の外周面を超えてより搬送ドラム111側に延びるのに対し、補助ガイド部材122の端部は、搬送ドラム111の外周面より僅かに退避した位置(図中の左方)となっている。
このような構成のラベル貼付装置を用いてラベル貼付作業を行う場合、ラベルLは主に下側の主ガイド部材121b上を滑りながら搬送される。
【0005】
ラベル貼付装置においては、搬送ドラムを一つまたは二つを有している。搬送ドラムが一つの場合は、ラベルの表面、すなわち糊が塗布されていない面で、内容表示等の表示・印刷が施された面を吸引してドラムに担持し、搬送する。そして、ライスタで感熱型糊の粘着性を発現させ、瓶容器等に貼付を行う(搬送ドラムが一つの場合、本ドラムを「貼付ドラム」)ともいう)。
搬送ドラムが二つの場合は、一つ目の搬送ドラム(以下、搬送ドラム1)でラベルの裏面、すなわち糊が塗布された面を吸引して搬送して二つ目の搬送ドラム(以下、搬送ドラム2;「貼付ドラム」ともいう)に受け渡し、搬送ドラム2でラベルの表面を吸引して搬送し、ライスタにより加熱して瓶容器等に貼付を行う。この場合、搬送ドラム1の周囲には、ラベルの表面に製造年月日や消費期限等の印字を行う印字手段を設けることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のラベル貼付装置には以下のような問題点があった。即ち、修正ガイドが設けられたラベル貼付装置においては、ラベルを多数搬送すると、経時的に、修正ガイドのラベルとの接触領域(図8の121b)に、ラベルの滑り接触によって付着するラベルの糊や紙屑が蓄積されてしまうという問題である。修正ガイドに糊などが付着すると、位置修正が不可能となり位置ずれが発生するばかりか、搬送不良まで引き起こしてしまう。
また、搬送ドラムを二つ備えたラベル貼付装置のように、ラベルの糊面を吸引する搬送ドラムを備えたラベル貼付装置においては、搬送ドラム1は外周面がアルミ材で形成されているため、ラベルを多数搬送すると経時的にラベルの糊や紙くずなどの付着物が蓄積されてしまう。搬送ドラムの外周面に糊などが付着すると、ラベルが搬送ドラムに貼り付いてしまい、搬送不良が発生したり、位置修正が不可能となってしまうという問題がある。
これを回避するために、従来のラベル貼付装置では、定期的に装置を停止させて清掃作業を行う必要があり、ラベル貼付装置の運転効率を向上させることができなかった。
【0007】
また、瓶容器のリサイクルを考慮して、近年易剥離ラベル等の種々の感熱型ラベルが開発されている。易剥離ラベルは、使用される糊が柔らかい傾向にあり、搬送ドラムや修正ガイドへの糊や紙くずなどの付着が著しい。特に、感熱型の糊は温度や湿度によっても硬さが変化するため、上記のような問題が顕著である。このような問題点は、易剥離ラベルの発明に関する先行技術(特開2004−85651号 段落[0011])に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、係る従来のラベル貼付装置の有する不都合を改善し、易剥離ラベルであっても、長期間にわたって清掃無しにラベルの貼付作業を継続することができるラベル貼付装置を提供することを、その目的とする。
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、搬送ドラムの外周面を単一な平面状ではなく凹凸状とする、すなわち搬送ドラムの外周面の円周方向に沿って所定の溝を形成すると、ラベルと搬送ドラムとの接触面積を低減することができ、結果として搬送ドラムへの糊の付着が低減されることを見出した。また、本発明者らは、このような凹凸状の搬送ドラムを用いた場合には、仮に搬送ドラムに糊等が付着した場合であっても、ラベルが接触する凸部にのみ糊等が付着するので、この凸部のみを効率的に清掃する手段を設ければよいとの考えに至り、搬送ドラムの外周面の凸部に接触する糊除去手段(プレート)を備えたところ、搬送ドラムの定期的な清掃無しに継続してラベルの貼付作業を継続することができることを確認した。
さらに、本発明者らは、修正ガイドに付着する糊を自動的に除去する手段として、搬送ドラムの所定位置に、一部が搬送ドラムから突出して、修正ガイドのラベルとの接触領域上を摺動する糊スイーパを設けたところ、この糊スイーパが常に修正ガイド上を摺動して糊を削ぎ落とすので、糊が修正ガイド上に蓄積しないことを確認した。
さらにまた、本発明者らは、修正ガイドとラベルとの接触領域を、カムフォロア構造の回転体で構成すると、修正ガイドとラベルの接触面積を低減でき糊の付着を低減できること、回転体によるラベルの搬送誘導により滑り摩擦が低減されるため糊の付着が低減できることを見出した。
そして、本発明者らは、かかる搬送ドラムや修正ガイドを備えたラベル貼付装置を用いたところ、長期間にわたって清掃無しに継続してラベルの貼付作業を継続することができることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)糊が塗布されたラベルを搬送するための搬送ドラムであって、この搬送ドラムの外周面の円周方向に沿って所定の溝を形成したことを特徴とする搬送ドラム、
(2)前記搬送ドラムの外周面に樹脂被覆層を形成したことを特徴とする上記(1)に記載の搬送ドラム、
(3)上記(1)または(2)に記載の搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面における前記溝以外の部分に接触する糊除去手段を備えたことを特徴とするラベル貼付装置、
(4)前記糊除去手段には、前記溝に対応する位置に所定の切欠きが形成されていることを特徴とする上記(3)記載のラベル貼付装置、
(5)糊が塗布されたラベルを搬送しながら当該ラベルの位置を修正するラベル貼付装置であって、搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、前記搬送ドラムの所定位置に、一部が搬送ドラムから突出して前記修正ガイド上を摺動する糊スイーパを設けたことを特徴とするラベル貼付装置、
(6)糊が塗布されたラベルを搬送しながら当該ラベルの位置を修正するラベル貼付装置であって、搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、前記修正ガイドの前記ラベルとの接触領域の一部または全部が、曲線状の形状であることを特徴とするラベル貼付装置、
(7)糊が塗布されたラベルを搬送しながら当該ラベルの位置を修正するラベル貼付装置であって、搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、前記修正ガイドの前記ラベルとの接触領域に、前記ラベルの搬送を誘導するラベル搬送誘導手段が設けられていることを特徴とするラベル貼付装置、および
(8)前記ラベル搬送誘導手段が、前記修正ガイドの円弧の一部または全部に沿って設けられた円筒状の回転体であることを特徴とする上記(6)に記載のラベル貼付装置、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のラベル貼付装置によれば、ラベルの種類や糊の性質に依存せず、安定してラベルの位置修正及び貼付を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[搬送ドラム]
本発明は、糊が塗布されたラベルを搬送するための搬送ドラムであって、この搬送ドラムの外周面の円周方向に沿って所定の溝を形成する、という構成を採っている。このように構成された搬送ドラムを用いる場合、搬送ドラムの外周面に担持されたラベルは搬送ドラムの回転に伴って搬送される。その際、ラベルと搬送ドラムの外周面の凸部とは接触するが、溝の部分とは接触しない。このため、ラベルと搬送ドラムとの接触面積が低減され、結果として搬送ドラムへの糊の付着が低減される。また、ラベルと搬送ドラムとの接触抵抗が低減されるので、ラベルの位置修正がより容易となる。
【0012】
上記搬送ドラムの外周面に形成される溝の数および形状は、何ら限定されず、搬送ドラムの外周面において、ラベルが撓むことなく安定して担持できる範囲内で適宜設計すればよい。ラベルが撓むと、搬送不良が生じたり、位置修正が不可能となったりすることから好ましくない。溝の深さは、ラベルの剛性等を考慮して、仮にラベルが撓んでも溝内部(凹部)に糊が付着しない程度の深さに設定するとよい。一例として、たて×よこが50mm×155mmの紙ラベルを用いた場合、幅が7〜8.5mm、深さが5mm程度の2本の溝(凹部)を設けた搬送ドラムが例示できる(図2)。なお、搬送ドラムの外周面に形成される吸引口は、溝(凹部)に形成するとラベルが撓んでしまうので、凸部にのみ形成させる。
【0013】
上記搬送ドラムの外周面に所定の樹脂被服層を形成させると、さらに搬送ドラムに糊が付着するのを抑制することができる(図3)。樹脂の材料としては、糊が付着しにくいものであれば何でもよく、例えば、ジュラコン、ソリジュール、MCナイロン、ニューライト、塩化ビニル、テフロンなどが使用できる。搬送ドラムは、近傍にライスタが設置されて高温に曝される場合もあることから、前記の例示の中でも、特に耐熱性を有するテフロンが好適に用いられる。
【0014】
[搬送ドラムの糊除去手段]
本発明に係るラベル貼付装置は、搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面における前記溝以外の部分に接触する糊除去手段を備える、という構成を採っている。このように構成されたラベル貼付装置を用いると、搬送ドラムの回転中、常に糊除去手段が搬送ドラムの外周面の凸部に接触している。このため、搬送ドラムの外周面の凸部に糊が付着した場合でも、直ちに除去されて清浄に保たれる。糊除去装置としてブラシ状の形態のものが従来のラベル貼付装置にも備えられていたが、本発明のラベル貼付装置では、糊の付着箇所がドラムの外周面の凸部と限定されるので、この凸部に付着する糊を効率的に除去する糊除去手段を備えることが好ましい。
【0015】
上記の糊除去手段としては、搬送ドラムに付着した糊や紙屑等を除去しうるものであれば形状は制限されないが、ブラシ状のものよりも板状プレート等、糊を削ぎ落とすタイプのものが効率的に糊を除去できることから好ましい。このようなプレートタイプの糊除去手段は、従来のラベル貼付装置では、搬送ドラムの外周面全面に接触しうるように設置する必要があるが、この場合、搬送ドラムの外周面と糊除去手段の接触摩擦が大きいために、搬送ドラムの傷付けや糊除去手段の破損が発生するため、設置することができなかった。しかし、本発明のラベル貼付装置では、糊の付着箇所がドラムの外周面の凸部と限定されるため、接触摩擦を低減することができ、糊除去として有用なプレートタイプの糊除去装置を設置することが可能となるのである。このプレートタイプの糊除去手段としては、搬送ドラムに傷を付けないものであればよく、樹脂製、ゴム製等の材質のものを例示できるが、糊除去効果の高い樹脂製のものが好適に用いられる。中でも、後述するように、糊除去装置をライスタの近傍に設置する場合には、比較的耐熱性を有する樹脂を選択するのがよい。なお、プレートタイプの糊除去手段とブラシ状の糊除去手段等を併用して用いてもよい。
【0016】
上記の糊除去手段を設置する場所は特に限定されないが、ライスタの近傍または搬送ドラムから貼付ドラムへのラベル受渡し地点直後付近に設置するのがよい。ライスタおよび/または貼付ドラムの熱で、搬送ドラムに付着した糊が柔らかくなっており、糊除去効果が向上するからである。また、糊除去手段を設置する近傍では、搬送ドラムの吸引口からの空気の吸引は停止するようにしておくのがよい。除去した後の糊が、吸引口に吸い込まれてしまうことを防止するためである。なお、除去した後の糊の吸引口への吸い込みを防止するため、前記のドラムの吸引口から空気が吐出するようにしたり、送風装置を設けたりしたりしてもよい。また、糊除去装置によって搬送ドラムから除去した糊や紙屑等を回収する除去糊回収装置を別途設けてもよい。
【0017】
[修正ガイド]
本発明に係るラベル貼付装置は、搬送ドラムと、この搬送ドラム外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、前記搬送ドラムの所定位置に、一部が搬送ドラムから突出して前記修正ガイド上を摺動する糊スイーパを設ける、という構成を採っている。このように構成されたラベル貼付装置を用いると、搬送ドラムの回転に伴って、糊スイーパが常に修正ガイド上を摺動して糊を削ぎ落とす。このため、糊が修正ガイド上に蓄積することはない。
【0018】
上記の糊スイーパの形状は、修正ガイド上に付着した糊を除去しうる形状のものであれば何ら制限されず、例えば、搬送ドラムから突出した先端の平面形状が三角形、半円形、半楕円形、四角形等、種々の形状のプレート状ものや、棒状のもの等を例示することができる。また、糊スイーパの材質は、修正ガイドに傷を付けないものであればよく、金属製、樹脂製、ゴム製等のものを例示できるが、搬送ドラムの近傍にはライスタが設置され、糊除去スイーパが高温に曝される場合もあることから耐熱性を有することが必要であり、金属製のものが好適に用いられる。特に、加工のしやすいアルミが最適である。
【0019】
上記の糊スイーパを設置する場所は、ラベルストッパの後方が好ましい。この位置であれば、搬送するラベルに糊スイーパが干渉しないからである。また、糊スイーパの洗浄や取替え等の観点から、糊スイーパはラベルストッパに設置するのがよい。ここで、ラベルストッパとは、搬送ドラムの吸引口からの吸引が停止されるまたは弱められた修正ガイド上でラベルを搬送するために、ラベルの搬送方向後部を押すためのもので、搬送ドラムの外周面の母線方向に柱状に形成されているものである。糊スイーパは、ラベルストッパにネジで固定してもよいし、一体成型としてもよい。
【0020】
更に、本発明に係るラベル貼付装置は、修正ガイドの他の態様として、次のような構成を採る。具体的には、搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、前記修正ガイドの前記ラベルとの接触領域の一部または全部が曲線状の形状である、という構成を採っている。このように構成されたラベル貼付装置を用いると、修正ガイドとラベルとの接触面積が低減されるために、糊の付着が低減される。曲線状の形状とは、具体的に接触面積が低減される形状を示し、具体的には、襞状、鋸刃状等を例示できる。また、後述するように、円柱状の回転体を用いてもよい。
【0021】
本発明に係るラベル貼付装置における修正ガイドの別の態様としては、前記修正ガイドの一部または全部にラベルの搬送を誘導するラベル搬送誘導手段を設ける、という構成を採っている。このように構成されたラベル貼付装置を用いると、ラベル搬送誘導手段によりラベルと修正ガイドとの滑り摩擦が低減されたり、修正ガイドとラベルとの接触面積が低減されたりするために、ラベルの糊は修正ガイドに付着し難い。前記ラベル誘導手段としては、修正ガイドとラベルとの滑り摩擦を低減できる構造のもであれば特に制限されず、例えば、修正ガイドとラベルとの接触領域の一部または全部に円柱状等の回転体を複数個設けたものや、修正ガイドのラベル接触面の一部または全部をベルト等のコンベア状で構成したもの等が挙げられる。
【0022】
上記の回転体としては、具体的に、回転輪と支持軸と針状ころから構成されるカムフォロアや、外輪と内輪と針状ころから構成されるローラフォロアの他、回転自在な円柱棒等を例示できる。これらの回転体を用いると、修正ガイドとラベルとの接触面積が低減されるために、糊の付着が低減される。また、回転体をラベルの搬送速度に対応して回転自在としておく、あるいは、回転体をラベルの搬送速度と同期して回転するようにしておくと、ラベルと修正ガイドとの滑り摩擦が低減されるので、修正ガイドへの糊の付着を抑制することができる。なお、回転体の大きさ及び個数は、適宜設定すればよい。上記の回転体の材質は、糊が付着し難い性質のものが望ましく、また、付着した糊を除去し易いものが望ましいことから、円筒状のフォロア本体表面にテフロン被覆層を形成したもの等が好適に用いられる。
【0023】
次に、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明の形態はこれらの例示に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るラベル貼付装置1を示す全体概要図である。ラベル貼付装置1は、連続的に連なったロール状のラベルLを順次送り出すデリバリローラ3と、デリバリローラ3から送り出されたラベルLを1枚づつ切断するロータリカッタ5と、切断されたラベルLの位置が常に一定となるように位置修正するための修正ガイド21と、位置修正されたラベルLに熱を加えるライスタ31とを備えている。図1に示すラベル貼付装置では、切断されたラベルLの位置を修正するための修正ガイドと対向した位置に備えられた搬送ドラム11と、ライスタ31を通って、ラベルLを瓶容器C等に貼り付ける貼付を行う貼付ドラム41とを備えている。また、ラベルLが貼り付けられる瓶容器Cはコンベア51によって貼付ドラム41の近傍に搬送される。ここで、ラベルLに塗布されている糊は感熱性のものであり、ライスタ31からの熱により粘着性が発現するものである。
【0024】
図2〜図4は、図1における一つ目の搬送ドラム11の拡大図であり、本発明の外周面の所定位置に溝が形成されている搬送ドラム11を示す図である。具体的に、図2は、搬送ドラム11の外周面の一部を示す斜視図であり、図3は図2のIII−III線における断面図である。これら図2及び図3に示すように、搬送ドラム11の外周面は所定の凹凸面となっている。本実施形態では、2本の溝13a,13bが外周面に沿って形成されている。また、搬送ドラム11の外周面には、図3に示すように、テフロンの樹脂被覆層19が施されている。
【0025】
図2に示すように、搬送ドラム11の外周面の凸部14には多数の吸引口15が形成されている。この吸引口15は、搬送ドラム11の外周面にラベルLを担持するためのものであり、吸引口15から空気を吸引することで、ラベルLを搬送ドラムの外周面に担持する。ここで、吸引口15を搬送ドラム11の溝13a,13bに形成するとラベルLが撓んでしまうので、これを防止するために吸引口15は凸部14のみに形成されている。
【0026】
また、図2及び図4に示すように、搬送ドラム11の表面には、所定のラベルストッパ17が固定されている。このラベルストッパ17は、吸引口15からの空気の吸引が停止されるまたは弱められた修正ガイド21上で、ラベルLが搬送ドラム11と同期して搬送されるように、ラベルLを押すためのものである。本実施形態のラベルストッパ17は、搬送ドラム11の外周面の母線方向に延びるアルミの部材からなる。具体的には、搬送ドラム11の母線方向に所定の縦溝が形成され、この縦溝内に柱状のストッパ本体17aが固定される。このストッパ本体17aの表面であって、搬送ドラム11の各溝に対応する位置には、ストッパ部材17bが設けられており、このストッパ部材17bによりラベルLは確実に搬送される。ここで、ストッパ部材17bが搬送ドラム11の各溝に対応する位置に設けられていつのは、後述する搬送ドラムの凸部の糊を除去する糊除去装置との接触を回避するためである。尚、図中では1つのラベルストッパ17のみが示されているが、実際には搬送ドラム11の外周面に複数のラベルストッパ17が固定されている。
【0027】
また、図2に示すように、搬送ドラム11の外周面であって、ラベルストッパ17の近傍には所定のプラテン部材18が配設されている。より詳しくは、搬送ドラム11の凸部14のうちで最下段であり、ラベルストッパ17の左方である。このプラテン部材18は、ラベルLによって覆われる位置に配置されており、印字機61によってラベルLに印字を行う際のプラテンの役割を果たす。但し、このプラテン部材18の位置は一例であり、他の場所に設けるようにしてもよい。
【0028】
次に、図1及び図5に基づいて搬送ドラム11用の糊除去手段33について説明する。糊除去手段33は板状の部材であり、図1に示すように、搬送ドラム11の外周面近傍であって、ライスタ31の近部に配置されている。糊除去手段33の具体的な形状としては、図5に示すように、搬送ドラム11の外周面の各溝13a,13bに対応する部分が凹状に切り欠かれている。このため、糊除去手段33の縁部が搬送ドラム11の凸部14に対応する位置と接触すると共に、搬送ドラム11の溝13a,13bの凹部とは接触しない。糊除去手段33がこのような形状に形成されているのは、搬送ドラム11の表面の糊を除去すると共に、図1及び図4に示したストッパ部材17bと接触しないようにするためである。
【0029】
次に、図1及び図3に基づいて、修正ガイド21について説明する。修正ガイド21は、搬送ドラム11の外周面に対向する位置に設けられている。具体的には、平面図として見た場合に、搬送ドラム11の外周面に沿って円弧状に形成されている。また、鉛直方向の断面図として見た場合、図3に示すように、板状の各ガイド部材21a,21b,22が鉛直方向に相互に離間して、水平状態で固定されている。そして、搬送ドラム11に対向する側の端部でラベルLの位置を修正するようになっている。当該実施形態では、上下両端に2枚の主ガイド部材21a,21bが設けられ、各主ガイド部材21a,21bの相互間に3枚の補助ガイド部材22が設けられている。ラベルLは、各主ガイド部材21a,21bの間に上下方向から挟まれ、また搬送ドラム11の外周面に設けられたラベルストッパ17のストッパ部材17bで押されて搬送されて位置修正される。そして、補助ガイド部材22によって撓みや浮き上がりが修正される。このため、主ガイド部材21a,21bの端部は搬送ドラム11の外周面を超えてより搬送ドラム側に延びているのに対し、補助ガイド部材22の端部は、搬送ドラム11の外周面より僅かに修正ガイド21側に退避した位置(図中の左方)となっている。
【0030】
次に、図2及び図4に基づいて、修正ガイド21用の糊スイーパ12について説明する。各図に示すように、糊スイーパ12はラベルストッパ17の下面にネジ12aで固定されている。糊スイーパ12の先端部は平面図として見た場合に三角形状となっており、搬送ドラム11より半径方向外側に突出し、下側の主ガイド部材21bの上面と接触するように構成されている。このため、搬送ドラム11が回転すると、糊スイーパ12は主ガイド部材21bの上面を摺動する。下側の主ガイド部材21bの上面にはラベルLが接触しながら搬送され、その際に糊が付着するが、糊スイーパ21によって付着した糊が削ぎ落とされるので、糊が蓄積することはない。なお、本実施形態では糊スイーパ12はラベルストッパ17にネジ12aで固定されている。糊スイーパ12が長期間の使用により磨耗した場合に、ネジ12aを外すことによって容易に交換できるようになっている。
【0031】
次に、図6及び図7に基づいて、修正ガイドの他の実施形態について説明する。当該実施形態に係る修正ガイド71では、下側の主ガイド部材71bに多数のカムフォロア73が配置されている。より詳しくは、円弧状の主ガイド部材71bに沿って、回転するカムフォロア73が配列されている。このカムフォロア73が並んでいる位置は、ラベルLが搬送されるときの位置に対応している。
【0032】
図7に示すように、ラベルLはカムフォロア73の上端部にのみ接触するため、板状の主ガイド部材21a(図3参照)と比べて接触面積が極めて小さくなる。従って、カムフォロア73の表面には糊が付着しにくい。また、カムフォロア73は回転自在な構造であり、ラベルLの滑り摩擦(接触抵抗)が大きい場合には、カムフォロア73が回転する。なお、カムフォロア73を搬送ドラム11と同期した速度でラベルLを搬送できるよう、カムフォロアを強制的に所定の回転速度で回転させてもよい。このようにカムフォロア73を回転させると、Lの滑り摩擦を極めて小さくすることができ、カムフォロア73の表面への糊の付着を抑制することができる。カムフォロアの構造を採用しても、カムフォロア73の表面に僅かながら糊が付着することも考えられるが、必要に応じてカムフォロア73の下方にブラシ(図示略)を配置し、このブラシでカムフォロア73の表面から糊を除去するように構成してもよい。
【実施例】
【0033】
[実施例1]
図1に〜図5に示すラベル貼付装置(1稼動:6,100c/s)を用い、たて×よこが50mm×155mmの感熱型の紙ラベルを瓶のボトル部の直径Φ62.5mm、内容量210mLの飲料用容器に貼付けた。比較例として従来のラベル貼付装置(搬送ドラムの溝なし、ドラムの糊除去装置なし、修正ガイドの糊スイーパなし)を用いて同じラベルの貼付けを行った。なお、従来のラベル貼付装置も、1稼動あたり6,100c/sで稼動するものである。
従来のラベル貼付装置では、搬送ドラムおよび修正ガイドに糊(白色の付着物)が付着していることが目視でも確認できた。40分毎に1度、修正ドラムおよび修正ガイドを清掃しないと、搬送不良およびシール不良(位置ずれ)が高い確率で発生した。一方、本発明のラベル貼付装置を用いた場合、9時間30分間連続的に運転を行っても、搬送ドラムおよび修正ガイドには目視による付着物が確認されなかった。
以上より、本発明の搬送ドラムおよびラベル貼付装置により、清掃無しで長時間安定的にラベル貼付作業が行えることが確認できた。
【0034】
[実施例2]
実施例1と同様の装置を用い、フィルムラベルのワインボトルへの貼付を行った。フィルムボトルを用いた場合も紙ラベルと同様に、清掃無しで長時間安定的にラベル貼付作業が行えることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
糊が塗布されたラベルを搬送して、瓶容器などの表面に貼り付けるラベル貼付装置に適用することができる。但し、瓶容器に限らず、缶容器などのその他の容器等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のラベル貼付装置の全体概要を示す平面図である。
【図2】図1に開示されたラベル貼付装置に使用される搬送ドラムの一部分を示す斜視図である。
【図3】図2のIII−III線における断面図を示す。
【図4】図2のIV−IV線における断面図を示す。
【図5】本発明の糊除去装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の修正ガイドの変形例に係る主ガイド部材を示す平面図である。
【図7】図6に開示した主ガイド部材を備えた修正ガイドの断面図を示す。
【図8】従来の搬送ドラム及び修正ガイドを示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ラベル貼付装置
11 搬送ドラム
12 糊スイーパ
13a,13b 溝
14 凸部
15 吸引口
17 ラベルストッパ
19 樹脂被覆層
21 修正ガイド
21a,21b 主ガイド部材
22 補助ガイド部材
33 糊除去手段
41 貼付ドラム
71a,71b 主ガイド部材
73 カムフォロア
L ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊が塗布されたラベルを搬送するための搬送ドラムであって、この搬送ドラムの外周面の円周方向に沿って所定の溝を形成したことを特徴とする搬送ドラム。
【請求項2】
前記搬送ドラムの外周面に樹脂被覆層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の搬送ドラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面における前記溝以外の部分に接触する糊除去手段を備えたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項4】
前記糊除去手段には、前記溝に対応する位置に所定の切欠きが形成されていることを特徴とする請求項3記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
糊が塗布されたラベルを搬送しながら当該ラベルの位置を修正するラベル貼付装置であって、
搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、
前記搬送ドラムの所定位置に、一部が搬送ドラムから突出して前記修正ガイド上を摺動する糊スイーパを設けたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項6】
糊が塗布されたラベルを搬送しながら当該ラベルの位置を修正するラベル貼付装置であって、
搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、
前記修正ガイドの前記ラベルとの接触領域の一部または全部が、曲線状の形状であることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項7】
糊が塗布されたラベルを搬送しながら当該ラベルの位置を修正するラベル貼付装置であって、
搬送ドラムと、この搬送ドラムの外周面の少なくとも一部に沿って対向する円弧状の修正ガイドとを備え、
前記修正ガイドの前記ラベルとの接触領域に、前記ラベルの搬送を誘導するラベル搬送誘導手段が設けられていることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項8】
前記ラベル搬送誘導手段が、前記修正ガイドの円弧の一部または全部に沿って設けられた円筒状の回転体であることを特徴とする請求項7に記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−306424(P2006−306424A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129725(P2005−129725)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】