説明

ラベル貼付装置

【課題】 簡単な構造で果物などのように丸みを帯びた形状で、かつ、傷つき易い貼付面をもつ被貼付物にRFID内蔵のラベルを貼付けることができるラベル貼付装置を提供すること。
【解決手段】 中空部を備えた貼付け本体部13と、貼付け本体部に対し回転自在に支持された第1および第2のローラ14、15と、両ローラ間に架け渡された無端状ベルト16と、無端状ベルトの外周面近辺に向けて伸延され、先端部よりエアーを吸引して無端状ベルトの外周面にラベル54を吸引・保持する吸引手段17と、ラベルを両ローラ間の中央部位に移送する駆動源18と、両ローラ間に掛け渡された無端状ベルトを張設および弛緩する張設・弛緩手段と、ラベルに内蔵されたRFIDインレットに情報の読込み・書込みを行うRFID書込み部19と、を備え、搬送手段9により搬送されてきた被貼付物8に向けて押圧手段2を進出させることにより貼付けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、卵や果物などのように丸みを帯びた形状で、かつ、傷つきやすい貼付面をもつ被貼付物にRFID内蔵のラベルをきれいに貼付けることができるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベル貼付部の吸着板にICタグのリーダーライター(RFID書込み部)ないしその通信用アンテナを取り付け、被着体(被貼付物)に関連するICタグとの間で行なう電子データの送受信を吸着板において行なうようにしたラベル貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
元来ラベル貼付装置の吸着板は、ラベルを吸引するための吸引孔を形成するため成形し易いもので、かつ、吸引孔より吸引したエアーによってラベルを吸引・保持して被着体に貼付ける際に衝撃が生じるため強度のある材質が求められており、これらの成形し易く、かつ、強度が強いという条件に対応するためアルミなどで作製されている。
しかしながら、吸着板がアルミで作製されているため、前記特許文献1のラベル貼付装置のように通信用アンテナなどを吸着板に取り付けると、電子データの送受信用の電磁波がアルミの吸着板に吸収もしくは干渉して送受信エラーの原因になるという問題がある。
上記問題点を解決するため、電磁波が干渉しない合成樹脂などで吸着板を作製することが考えられるが、送受信エラーは発生しなくなるものの、貼付け時の衝撃に対応するには強度が弱くなるという問題があった。
また、上記貼付け装置を用いて卵や果物のような貼付物に前記シート材を貼付しようとすると、吸着板に吸引・保持したラベルを進退動手段を用いて被貼付物に押し付ける必要があるため仮令、吸着板が合成樹脂などで作製されていたとしても、被貼付物が丸みを帯びた形状(球体状)であると、吸引・保持されたラベルと球体状の被貼付物とが球体状の面(球体面)において「点」で接触することになるので、ラベルが貼付け不良となり易く、ラベルを被貼付物の球体面に対し「点」ではなく「面」で貼り付けようとした場合、球体面に沿って吸着板を揺動させて移動状態の被貼付物(卵や果物)にラベルを押し付ける必要があるため、被貼付物(卵や果物)が傷つき易いという問題があった。
上記の問題を解決すべく、丸みを帯びた形状の貼付面を有する被貼付物にラベル(シート材)を貼り付けるラベル貼付装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この装置によれば、貼着面に押し付ける押圧部材を弾性変形可能な部材で予め凹状に形成し、被貼付物(試験管)の湾曲形状に形成された貼着面に仮着したラベルを押圧すると、押圧部材が貼着面の湾曲形状に追従して凹状に弾性変形し、この弾性変形が復元する方向に作用する押圧力によりラベルを貼り付けるようになっている。
しかしながら、特許文献2のラベル貼付装置では、特許文献1の装置に比し、卵や果物などのように丸みを帯びた形状で、かつ、やわらかくて傷つき易い被貼付物にラベルを貼り付けるには適しているものの、対象とする被貼付物の大きさによっては押圧部材を変えた方が効率が良いという問題がある。すなわち、卵の大きさからスイカ大の果物までの被貼付物を同じ押圧部材を用いて貼り付けるには、スイカ大の被貼付物に見合う大きな面積の押圧部材を予め用意し、大きな面積の押圧部材で卵にラベルを貼り付ける必要があり、圧力の具合によっては被貼付物が損傷しかねないという問題を含んでいる。
【特許文献1】特開2006−1616号公報
【特許文献2】特開平10−7119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、アルミなどで作製された貼付け本体部(吸着板)がRFID内蔵ラベルに対する書込み時に与える電磁波の吸収や干渉などの影響を軽減した上、簡単な構造で卵や果物などのように丸みを帯びた形状で、かつ、傷つき易い貼付面をもつ被貼付物にRFID内蔵のラベルをきれいに貼付けることができるラベル貼付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るラベル貼付装置は、RFIDインレットを内蔵した複数のラベルが仮着された帯状台紙を剥離手段で転向搬送して帯状台紙から前記ラベルを剥離させ、この剥離されたラベルを前記剥離手段の下流近傍に位置する貼付け手段にて吸引・保持するとともに、搬送手段により搬送されてきた被貼付物に対し進退動自在に移動する押圧手段にて押圧することにより前記ラベルを貼付するラベル貼付装置において、前記貼付け手段は、中空部を備えた貼付け本体部と、前記貼付け本体部に対し回転自在に支持されるとともに、前記剥離手段の近傍に設けられた第1のローラと、前記貼付け本体部に対し回転自在に支持されるとともに、前記第1のローラと適宜距離を隔てて設けられた第2のローラと、前記第1のローラと第2のローラの間に架け渡されるとともに、ローラの長手方向に任意の間隔をあけて複数本設けられた無端状ベルトと、前記第1および第2のローラ間に架け渡された無端状ベルトの外周面近辺に向けて前記貼付け本体部の中空部より筒状を呈して複数伸延されるとともに、この筒状の先端部より前記中空部を介してエアーを吸引することにより前記剥離されたラベルを前記無端状ベルトの外周面に吸引・保持する吸引手段と、前記第1または第2のローラを介して無端状ベルトを回動駆動し、前記剥離されたラベルを前記第1および第2のローラ間の中央部位に移送する駆動源と、前記第1または第2のローラの少なくとも一方に設けられ、前記第1および第2のローラ間を離間する方向、および接近する方向に作用させて前記第1および第2のローラ間に掛け渡された無端状ベルトを張設および弛緩する張設・弛緩手段と、前記貼付け本体部と前記無端状ベルトの外周面との間に配設されるとともに、前記ラベルに内蔵されたRFIDインレットとの間で情報の読込み・書込みを行うRFID書込み部と、を備え、前記吸引手段にて吸引・保持されつつ前記駆動源により無端状ベルトの第1および第2のローラ間の中央部位に移送された前記ラベルに対し、前記RFID書込み部により所望情報の書込みを行うとともに、前記搬送手段により搬送されてきた前記被貼付物に向けて前記押圧手段を進出させることにより貼付けることを特徴とする。
また、吸引ノズルは、合成樹脂やゴムなどの弾性体で作製されるようにできる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るラベル貼付装置は、無端状ベルトの外周面近辺に向けて伸延された筒状の複数の吸引手段の先端部よりエアーを吸引し、第1および第2のローラ間に掛け渡された無端状ベルトにラベルを吸引・保持するとともに、貼付け手段に設けたRFID書込み部にてラベルに対し所望情報を書込み、さらに、搬送されてきた被貼付物に対し押圧手段を進出させてラベルを貼付け、貼付け手段にラベルが吸引・保持された状態でラベルに対する所望情報の書込みが行なえるため、印字機構側にRFID書込み装置を設ける場合に比し、印字機構側の大型化が避けられるという効果がある。
また、RFID書込み装置を貼付け本体部より分離して、貼付け本体部と無端状ベルトの外周面との間に配設したので、無端状ベルトの外周面に吸引・保持したRFIDインレット内蔵のラベルに対するRFID書込み装置による所望情報の書込みの際、貼付け本体部の干渉を受ける恐れが軽減されるという効果がある。
また、押圧手段を進出させ、ラベルが被貼付物に接触して押し付けられた状態のとき、第1または第2のローラの少なくとも一方に設けられた張設・弛緩手段が、第1および第2のローラ間を近接する方向に作用させて、第1および第2のローラ間に掛け渡された無端状ベルトの張りを緩めるため、無端状ベルトの被貼付物に対する当たりが軽減されて被貼付物が傷つきにくいという効果がある。
また、張設・弛緩手段の作動により無端状ベルトが緩んだ状態においても、無端状ベルトが球体状の表面に沿って滑りながらラベルを上から被貼付物へ押し付けため、ラベルの貼付状態が良好となるものである。
さらに、吸引手段を合成樹脂やゴムなどの弾力性のある素材で作製するようにすれば、無端状ベルトの押し付けを深いものとして吸引手段が被貼付物に接触した場合であっても、傷をつけにくいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図10に基づき説明する。
【0007】
先ず、図1に基づき、本発明のラベル貼付装置で使用するRFID連続体50の一例につき説明する。
RFID連続体50には、ICチップ51およびアンテナ52を備えたRFIDインレット53が内蔵されたラベル54が台紙55上に等間隔で仮着されており、台紙55の裏面には識別マーク56が印刷されている。
RFIDインレット53は、RFID(Radio Frequency Identification)による情報の送受信が可能であり、アンテナ52を介してICチップ51に対し図示省略の価格や商品番号などの必要項目情報(所望情報)を書込めるようになっている。
また、識別マーク56は、「検出マーク」としての役割をもつものであり、検出した識別マーク56からの距離により印字位置が決められ、あるいは、識別マーク56間のピッチ(長さ)が図られ、さらには、1枚の「ラベル」が区画・形成されるようになっている。なお、RFID連続体50の表面側は、前記RFIDインレット53のICチップ51に書込む前述価格や商品番号などの必要項目情報(図示省略)と同様の情報が印字できるようになっている。
【0008】
次に、図2に基づき、ラベル貼付装置を説明する。
図2はラベル貼付装置1を側面より見た概略説明図であり、同図に示すようにラベル貼付装置1は、供給軸3と、印字機構4と、剥離手段としての剥離板5と、台紙巻取り軸6と、ラベルの「貼付け手段」としての貼付け機構7と、この貼付け機構7を進退動自在に移動する押圧手段2と、被貼付物8の搬送手段としての搬送ベルト9と、制御部10とを有する。なお、57は、搬送ベルト9に設けられた載置台であり、この載置台57は必要に応じて設けることができるようになっている。
供給軸3は、前記RFID連続体50を回転自在に支持する。
印字機構4は、必要に応じてこれを設けることができるもので、印字ヘッド、例えばサーマルヘッド11と、プラテン12とを有し、この間を移送される前記RFID連続体50のラベル54上に所望の印字を施す。
剥離板5は、この剥離板5において台紙55のみを転向と称する後方(搬送逆方向)への方向変換を行うことによりラベル54をRFID連続体50の台紙55より剥離する。
台紙巻取り軸6は、ラベル54を剥離したあとの台紙55のみを巻き取る。
押圧手段としてのアーム2は、先端部に貼付け機構7を支持するとともに、搬送ベルト9上を搬送される被貼付物8に対し進退動自在に設けられており、被貼付物8が搬送されてきたのに同期をとってアーム2を進出し、先端部の貼付け機構7を被貼付物8に押し付けるようになっている。なお、貼付け機構7の詳細については後述する。
また、制御部10は、前記各部と接続され、各部を制御するようになっている。
【0009】
次に、主に図3ないし図5に基づき、貼付け機構7の詳細につき説明する。
図3は図2中、矢示III方向より見た概略斜視説明図、図4は図2中、矢示IV方向より見た概略説明図、図5は貼付け機構7を側面より見た一部破断の要部拡大説明図である。
【0010】
貼付け機構7は、主に、貼付け本体部13と、第1のローラ14と、第2のローラ15と、無端状ベルト16と、吸引手段としての吸引ノズル17と、駆動源18と、RFID書込み部19と、張設・弛緩手段20と、を備える。
【0011】
貼付け本体部13は中空部60(図5参照)を備え、既知の真空装置(図示省略)などを使って前記中空部60を負圧にすることにより、外部からエアーAを吸引するようになっている。
第1および第2のローラ14、15は、貼付け本体部13の下方に回動自在に設けられている。第1のローラ14は貼付け本体部13の前記剥離板5側に、また、第2のローラ15は前記第1のローラ14とは適宜距離を隔てた下流側に設けられている。そして、第1のローラ14は駆動源としてのモータ18により貼付け本体部13の下方(下部)において回動自在とされるものである。
なお、上記および下記において、「下流」とは、供給軸3(図2参照)側を上流とした場合のRFID連続体50が繰り出される搬送方向F前方をいうものとする。
無端状ベルト16は、前記第1および第2のローラ14、15間に掛け渡された複数本の「丸ベルト」であり、第1および第2のローラ14、15の長手方向(前記搬送方向Fと交差する方向)に任意の間隔をあけて設けられている。
吸引手段としての吸引ノズル17は、「吸引中空部」が形成された筒状を呈し前記貼付け本体部13の下方に突出して前記第1および第2のローラ14、15間に設けられており、一部を切り欠いた図5にて主に示されるように、前記貼付け本体部13の中空部60に挿通されるとともに、先端部は前記無端状ベルト16の外周面16a近辺まで伸延して複数設けられている。そして、前記中空部60をコンプレッサなどの真空装置(図示省略)により負圧にすることによって吸引ノズル17の先端部よりエアーAを吸引するようになっている。なお、この吸引ノズル17は、合成樹脂やゴムなどの弾力性のある素材で作製する。
RFID書込み部19は、アンテナ21を備えており、支持部材58によって前記貼付け本体部13より適宜距離はなれた、前記貼付け本体部13と前記前記無端状ベルト16の外周面16aとの間に配設されるとともに、RFID連続体50のラベル54のRFIDインレット53との間で情報の読込み・書込み(送受信)を行なうようになっている。
【0012】
次に、主に、図5を用いて張設・弛緩手段20の一例を説明する。
張設・弛緩手段20は、第1のローラ14の軸22と、回動アーム23、貼付け本体部13に設けられた係止ピン24、回動軸25、およびコイルバネなどの弾性体26で形成される。回動アーム23は、先端部に前記第1のローラ14の軸22を回転自在に支持するとともに、長手方向の中間部位が貼付け本体部13に固定された前記回動軸25に軸支されている。また、回動アーム23の他端部は、貼付け本体部13に設けられた係止ピン28との間に架設された前記弾性体26と係合しており、この弾性体26により常時、第1のローラ14を第2のローラ15より離す方向Tに付勢するようになっている。すなわち、弾性体26により回動アーム23の他端部が、図5における左方向に引っ張られると回動軸25に長手方向の中央部位が軸支されている回動アーム23の先端部は図5における右方向に回動するため、先端部に支持されている軸22を介して第1のローラ14が右方向(第2のローラ15より離す方向T)に付勢されるものであり、この付勢力により第1および第2のローラ14、15間に掛け渡された無端状ベルト16は張った状態に保たれるようになっている。
一方、第1および第2のローラ14、15間にて張った状態に保たれた無端状ベルト16は、被貼付物8に押し付けられると内側(図5における上方である貼付け本体部13側)に撓み、第1のローラ14は弾性体26の付勢力に抗して第2のローラ15側(図5における左側)に引っ張られるが、第1のローラ14を回動自在に支持する回動アーム23の他端部が弾性体26により常時引っ張られているため、被貼付物8に対する押し付けを止めると元の張った状態に戻るようになっている。
【0013】
次に、ラベル54の吸引・保持状態を説明する。
主に図2に示すように、供給軸3に装着されたRFID連続体50は下流に繰り出され、印字機構4にて表面に所望事項が印字されたラベル54は、剥離板5にて台紙55より剥離される。
主に、図3および図4に示すように、剥離されたラベル54(説明の都合上、同図においては想像線にて示してある)は、図示省略の真空装置の作動により吸引ノズル17の先端部より吸引されるエアーAに引き付けられ、剥離板5近辺に設けられた第1のローラ14の無端ベルト16の外周面16aに吸引・保持された状態となり、モータ18の回転を介した第1のローラ14の回転により搬送方向F側へ移送され、第1および第2のローラ14、15間の中央部位の所定位置に位置決めされ、次いで、貼付け本体部13と前記無端状ベルト16の外周面16aとの間に配設されたRFID書込み部19のアンテナ21を介してラベル54は所望情報を書き込まれる。
【0014】
次に、図6ないし図10を用いて、ラベル貼付装置1の使用状態を説明する。
なお、説明の都合上、貼付け機構7は斜め上方より被貼付物8に対し進退動するようにしてある。
図6は、無端状ベルト16の外周面16a近辺に伸延させた吸引ノズル17の先端より吸い込んだエアーAにて無端ベルト16の下端に剥離板5にて剥離したラベル54を吸引・保持した状態を示す説明図であって、搬送ベルト9にて搬送されてきた球体状の被貼付物8、例えばメロンに対し、押圧手段としてのアーム2を進出させる状態を示している。
図7は、被貼付物8の球体状の表面にラベ54が到達し軽く押し付けられた状態を示している。
図8は、さらに、アーム2を進出した状態を示し、ラベル54を吸引・保持している無端状ベルト16がアーム2の進出により撓んだ状態を示している。このとき無端状ベルト18が「丸ベルト」で形成されているので、被貼付物8が傷つき易い果物であっても当たりが柔らかで傷つきにくい。また、この被貼付物8に対し無端状ベルト16をさらに押し付けると第1のローラ14が張設・弛緩手段20の弾性体26の付勢力に抗して内側(第2のローラ15側)に移動し、第1および第2のローラ14、15間に掛け渡された無端状ベルト16を緩めるため、球体状の表面に無端状ベルト16が優しく押し付けられて果物などの被貼付物が傷つきにくいものである。
図9は、図8中、矢示IX方向より貼付け本体部13やRFID書込み部19などを透視してラベル54の貼り付け状況を見た説明図であり、張設・弛緩手段20の作動により無端状ベルト16が緩んだ状態においても、無端状ベルト16が球体状の表面に沿って滑りながらラベル54を上から被貼付物8へ押し付けるため、ラベル54の貼付け状態が良好となるものである。
図10は、アーム2を退動させた状態を示し、この退動の段階で張設・弛緩手段20の弾性体26が常時第1のローラ14を図5における右方向(第2のローラ15より離す方向T)に付勢しているため、第1のローラ14が第2のローラ17より離れる方向Tへと移動して第1および第2のローラ14、15間に掛け渡された無端状ベルト16を張りつめた状態に復帰する。アーム2は、剥離板5の近傍まで貼付け機構7を移動して位置決めし、次のラベル54が剥離されるのを待つ。
【0015】
上述したように、無端状ベルト16の外周面16a近辺に向けて伸延される吸引ノズル17の先端部よりエアーAを吸引し、第1および第2のローラ14、15間に掛け渡された無端状ベルト16にラベル54を吸引・保持するとともに、RFID書込み部19にてラベル54に対し所望の電子的データ(所望情報)を書込み・記憶させ、さらに、搬送されてきた被貼付物8に対しアーム2を進出させてラベル54を貼付けるので、貼付け機構7にラベル54が吸引・保持された状態でラベル54に対する所望情報が書き込めるため、印字機構4の前後(好ましくは直前)に「RFID書込み部」を別途設ける場合に比し、「印字機構」側の装置の大型化が避けられるものである。
また、RFID書込み装置19は、アルミなどの金属で作製された貼付け本体部13と、無端状ベルト16の外周面16aとの間に配設し、支持部材58を介してRFID書込み部19より離して浮かすようにしたので、RFID書込み部19のアンテナ21による書込み(送受信)の際、電磁波が貼付け本体部13に吸収・干渉される恐れが軽減される。
さらに、アーム2を進出させ、ラベル54が被貼付物8に接触して押し付けられた状態のとき、張設・弛緩手段20の弾性体27が作用し常時、付勢している付勢力に抗して第1のローラ14を内側(図5における左方向であり、第2のローラ15に近付ける方向)に移動し、第1のローラ14の位置移動を介して第1および第2のローラ14、15間に掛け渡された無端状ベルト16の張りを緩めるため、丸ベルトで形成された無端状ベルト16の被貼付物8に対する当たりの柔らかさと相俟って、果物などの被貼付物8が傷つきにくいものある。
また、張設・弛緩手段20の作動により無端状ベルト16が緩んだ状態においても、無端状ベルト18が球体状の表面に沿って滑りながらラベル54を上から被貼付物8へ押し付けるため、ラベル54の貼付状態が良好となるものである。
さらに、吸引ノズル17を合成樹脂やゴムなどの弾力性のある素材で作製するようにしたので、丸みが大きい被貼付物8に対し、アーム2の進出を介した無端状ベルト16の押し付けを深いものとする必要があるときに、吸引ノズル17が被貼付物8に接触した場合であっても、傷をつけにくいものである。
【0016】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0017】
例えば、説明の都合上、RFID連続体50として台紙55にラベル54が仮着された剥離タイプのもので説明したがこれに限定されないことは勿論であり、台紙なしのRFID連続体を採用し、剥離板5に代えて「カッタ装置」などを用いてラベル片に切断し、これを貼付ける「ラベル貼付装置」であっても構わない。
【0018】
また、張設・弛緩手段20は、第1のローラ14に設けた例で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、第2のローラ15側に設けても、あるいは、第1および第2のローラ14、15の双方に設けても構わないものである。
【0019】
また、剥離板5にて剥離したラベル54を無端状ベルト16に吸引・保持し、かつ、第1および第2のローラ14、15間の中央部位に移送する際、ラベル54に向けてエアーを噴きつける「噴射手段」(例えば、噴射ノズル)を設け、無端状ベルト16に対するラベル54の吸引・保持力を増大させる補助的な役割を担わすようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のラベル貼付装置で使用するRFID連続体を例示した概略斜視図である。
【図2】本発明のラベル貼付装置を側面より見た概略説明図である。
【図3】同、図2中、矢示III方向より見た概略斜視説明図である。
【図4】同、図2中、矢示IV方向より見た概略説明図である。
【図5】同、貼付け機構を側面より見た一部破断の要部拡大説明図である。
【図6】同、無端状ベルトの外周面にラベルを吸引・保持した状態を示す説明図である。
【図7】同、ラベルを吸引・保持した無端状ベルトが被貼付物に当接した状態を示す説明図である。
【図8】同、無端状ベルトを、より被貼付物に押圧しラベルが被貼付物に貼付された状態を示す説明図である。
【図9】同、図8中、矢示IX方向より貼付け機構を透視して見た説明図である。
【図10】同、貼付け機構を被貼付物より退動した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
A エアー
1 ラベル貼付装置
2 押圧手段(アーム)
3 供給軸
4 印字機構
5 剥離板(剥離手段)
6 台紙巻取り軸
7 貼付け機構(貼付け手段)
8 被貼付物
9 搬送ベルト(搬送手段)
10 制御部
11 サーマルヘッド(印字ヘッド)
12 プラテン
13 貼付け本体部
14 第1のローラ
15 第2のローラ
16 無端状ベルト
16a 外周面
17 吸引ノズル(吸引手段)
18 駆動源(モータ)
19 RFID書込み部
20 張設・弛緩手段
21 アンテナ
22 軸
23 回動アーム
24 係止ピン
25 回動軸
26 弾性体
50 RFID連続体
51 ICチップ
52 アンテナ
53 RFIDインレット
54 ラベル
55 台紙
56 識別マーク
57 載置台
58 支持部材
60 中空部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDインレットを内蔵した複数のラベルが仮着された帯状台紙を剥離手段で転向搬送して帯状台紙から前記ラベルを剥離させ、この剥離されたラベルを前記剥離手段の下流近傍に位置する貼付け手段にて吸引・保持するとともに、搬送手段により搬送されてきた被貼付物に対し進退動自在に移動する押圧手段にて押圧することにより前記ラベルを貼付するラベル貼付装置において、
前記貼付け手段は、
中空部を備えた貼付け本体部と、
前記貼付け本体部に対し回転自在に支持されるとともに、前記剥離手段の近傍に設けられた第1のローラと、
前記貼付け本体部に対し回転自在に支持されるとともに、前記第1のローラと適宜距離を隔てて設けられた第2のローラと、
前記第1のローラと第2のローラの間に架け渡されるとともに、ローラの長手方向に任意の間隔をあけて複数本設けられた無端状ベルトと、
前記第1および第2のローラ間に架け渡された無端状ベルトの外周面近辺に向けて前記貼付け本体部の中空部より筒状を呈して複数伸延されるとともに、この筒状の先端部より前記中空部を介してエアーを吸引することにより前記剥離されたラベルを前記無端状ベルトの外周面に吸引・保持する吸引手段と、
前記第1または第2のローラを介して無端状ベルトを回動駆動し、前記剥離されたラベルを前記第1および第2のローラ間の中央部位に移送する駆動源と、
前記第1または第2のローラの少なくとも一方に設けられ、前記第1および第2のローラ間を離間する方向、および接近する方向に作用させて前記第1および第2のローラ間に掛け渡された無端状ベルトを張設および弛緩する張設・弛緩手段と、
前記貼付け本体部と前記無端状ベルトの外周面との間に配設されるとともに、前記ラベルに内蔵されたRFIDインレットとの間で情報の読込み・書込みを行うRFID書込み部と、を備え、
前記吸引手段にて吸引・保持されつつ前記駆動源により無端状ベルトの第1および第2のローラ間の中央部位に移送された前記ラベルに対し、前記RFID書込み部により所望情報の書込みを行うとともに、前記搬送手段により搬送されてきた前記被貼付物に向けて前記押圧手段を進出させることにより貼付けることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記吸引ノズルは、合成樹脂やゴムなどの弾性体で作製されることを特徴とする請求項1に記載のラベル貼付装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−246133(P2007−246133A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73543(P2006−73543)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】