ラベル高速移送貼着装置
【課題】
既存のラベルプリンタに取付け自在で、該ラベルプリンタにて印字され1枚毎に分離されたラベルを貼付け位置まで高速で移送し、ワーク(被貼着物)にラベルを貼付けるラベル移送貼着装置を提供する。
【解決手段】
印字され1枚毎に分離されたラベルを発行するラベルプリンタ1と、発行されたラベルを検知するセンサ15と、該ラベルプリンタ1の下流側に近接して設置された無端の吸着ベルト10からなるラベル移送手段6と、ワークの搬送位置を検出するワーク検知センサ16と、該ワーク検知センサ16の検知信号を受けワーク位置並びにラベル先端位置及び貼付け目標位置を演算する演算手段31と、該演算手段により演算された情報に基づきラベル移送手段6の駆動速度をワーク搬送コンベア17の移送速度に対応して可変に制御する制御部30を備える。
既存のラベルプリンタに取付け自在で、該ラベルプリンタにて印字され1枚毎に分離されたラベルを貼付け位置まで高速で移送し、ワーク(被貼着物)にラベルを貼付けるラベル移送貼着装置を提供する。
【解決手段】
印字され1枚毎に分離されたラベルを発行するラベルプリンタ1と、発行されたラベルを検知するセンサ15と、該ラベルプリンタ1の下流側に近接して設置された無端の吸着ベルト10からなるラベル移送手段6と、ワークの搬送位置を検出するワーク検知センサ16と、該ワーク検知センサ16の検知信号を受けワーク位置並びにラベル先端位置及び貼付け目標位置を演算する演算手段31と、該演算手段により演算された情報に基づきラベル移送手段6の駆動速度をワーク搬送コンベア17の移送速度に対応して可変に制御する制御部30を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタにて印字され1枚毎に分離されたラベルを貼着位置まで高速移送しながら別途搬送されてくる被貼着物の移送速度に合わせてラベルを貼着するラベル高速移送貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1枚毎の粘着ラベルを、被貼着物(以下、ワークという)に貼り付ける直前にラベルプリンタにて所要の印字をし、1枚毎に分離した後、貼着位置まで移送しワークに貼付けるラベル移送貼着装置が知られている。例えば、特開平6−239325号公報に示される装置は、剥離台紙に仮着された2枚の平行するラベルを吸着送りベルトにて吸着しながら貼付けローラ位置まで移送する技術が示される。又、本出願人が先に提案した特開2009−62087号公報にはプリンタにより印字されたラベルが1枚毎に分離され、無端の複数のゴムベルト上に載置されて貼付け位置まで水平搬送される技術が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−239325号公報
【特許文献2】特開2009−62087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラベルを貼付ける直前に所要の印字をするラベルプリンタにあっては、高効率化の要請から、ラベルプリンタにより印字され1枚毎に分離されたラベルを、ワーク搬送コンベアの移送速度に対応するラベル移送手段により移送し、且つラベル移送手段及びワーク搬送コンベアの駆動を停止することなく高効率でワークにラベルを貼付ける装置が必要とされる。
【0005】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、搬送コンベアにて移送されるワークの存在を検知してラベルプリンタにより1枚毎に異なるバーコードや日付等の情報を印字し、1枚毎に分離されたラベルをワーク搬送コンベアの移送速度に応じて可変制御された速度をもつラベル移送手段により吸着保持し、貼着位置でラベル移送手段及びワーク搬送コンベアの駆動を停止することなく高効率でワークに正確に貼付け得るラベル高速移送貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載のラベル高速移送貼着装置は、印字され1枚毎に分離されたラベルを発行するラベルプリンタと、発行されたラベルを検知するセンサと、ラベルプリンタの下流側に近接して設置された無端の吸着ベルトからなるラベル移送手段と、ワークの搬送位置を検出するワーク検知センサと、該ワーク検知センサの検知信号を受けワーク位置並びにラベル先端位置及び貼付け目標位置を演算する演算手段と、該演算手段により演算された情報に基づきラベル移送手段の駆動速度をワーク搬送コンベアの移送速度に対応して可変に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記ラベル移送手段の吸着ベルトは2列の吸着ベルト体で構成され、さらに前記ラベル移送手段の先端位置であって前記2列の吸着ベルト体の間に前記ラベルを前記ワークに押付けるラベル押付け手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、前記ラベル押付け手段は、付勢手段によって前記ラベル移送手段の先端位置から押出される方向に付勢され、前記ワークと当接し、該ワークの厚みに応じて前記付勢手段の付勢力に抗し前記ラベル移送手段の先端位置側に押戻される当接手段を有し、該当接手段の前記ワークへの当接により前記ラベルが前記ワークに押付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プリンタを内蔵し1枚毎のラベルに分離する剥離部を備えた既存のラベルプリンタにそのまま適用でき、しかも、ラベルは陰圧を受けて無端の吸着ベルト上を移送され、しかも別途搬送コンベアにより移送されるワークの搬送速度に対応してラベル移送手段である吸着ベルトの駆動速度が可変に調整され、貼付け時にはワーク搬送速度と同期するよう制御されるので、ワークの搬送速度如何に拘わらず正確なラベル貼付けができる。
【0010】
更に、ラベルプリンタにて1枚毎のラベル印字がされたラベルを高速で貼着位置まで移送しワークに貼付けるため、ラベルの貼付けミスが生じた場合もラベルプリンタによる印字のし直しで対応でき、印字済のラベルが待機しない点でラベルの無駄がない。従って、印字データが1枚毎に異なるワークに対して1枚ごとの高速でのラベル貼着が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のラベル高速移送貼着装置の第1実施形態の全体の概略構成を示す側面図である。
【図2】ラベル移送手段の側面図である。
【図3】制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】作動のフローチャートである。
【図5】ワーク検知してラベルが発行される推移の説明図である。
【図6】ラベルの発行を検知後、ワークの位置、発行されたラベルの位置を算出し、ラベラーの残り距離でワークに同期させる推移の説明図である。
【図7】ワーク速度とラベルの移送速度の変動を示す説明図である。
【図8】本発明のラベル高速移送貼着装置の第2実施形態の全体の概略構成を示す側面図である。
【図9】ラベル移送手段であるラベラーの概略平面図である。
【図10】ラベラーの貼付け待機状態時のラベル押付け体を示す側面図である。
【図11】ラベラーの貼付け状態時のラベル押付け体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。図1及び図2は、本発明のラベル高速移送貼着装置の第1実施形態の概略構成を示しており、1は既知のラベルプリンタを示し、ラベルLは剥離紙上に担持されて印字工程2を経て出口の鋭角なエッジ3を備えた剥離部4で折り返され、1枚毎ラベル排出部5より排出される。尚、該ラベルプリンタ1は既知の構成であるためその詳細は省略する。
【0013】
6はラベル移送手段であるラベラーを示し、ラベルプリンタ1に近接する側のローラ7とワーク搬送コンベア8側に近接する側のローラ9に無端の吸着ベルト10が掛け渡され、駆動ローラ11により駆動される。12はラベラー6の駆動用モータである。また、吸着ベルト10は平ベルト型の無端ベルトで、ベルト面にはラベルLを陰圧で吸着する複数の吸引穴(後述の図9の符号10cで示す)が長さ方向に所定ピッチにて形成され、ブロア(図示略)にて常時陰圧を受けている。図中、13は吸着ベルト10にテンションを掛けているテンションローラ、14は従動ローラを示す。
【0014】
15はラベルプリンタ1のラベル排出部5の下方に設置された発行完了したラベルLを検知するラベル発行完了確認センサで、発行したラベルLの後端を検知し、ラベル発行完了信号を制御部30に送る。16はワーク搬送コンベア8の搬送路の適所に設置されたワークWの移送位置を検知するワーク検知センサで、ワークW位置の検知信号を制御部30に送る。制御部30は演算手段31を含む。17はワーク搬送コンベア8の駆動用モータ、18は駆動手段である。19はラベラー6の先端にあってワークWへのラベル貼付けをサポートする2次押えローラである。
【0015】
また、20、21はエアブロノズルで、第1のエアブロノズル20はラベル排出部5の下方にあって排出されたラベルLを下方よりのエアブロによりラベラー6に円滑に乗り移るよう補助し、第2のエアブロノズル21はラベル貼着位置にあってラベラー6より移送されたラベルLを斜め上方からのエアブロによりワークW面に転移させる作用をする。このとき、ラベルLはローラ9位置で吸着ベルト10の吸引穴がローラ9により塞がれることで吸着力を失い、陰圧が働かなくなることからエアブロノズル21からのエアブロにてワーク面に転移される。
【0016】
また、22、23はエンコーダである。ただし、光パルスを検出するセンサ等の図示は省略している。エンコーダ22は、吸着ベルト10を回転駆動させるモータ12の回転方向、ベルトの移動量及び回転速度を検知する際に用いられる。エンコーダ23は、ワーク搬送コンベア8を回転駆動させるモータ17の回転方向、ワークの移動量及び回転速度を検知する際に用いられる。
【0017】
ここで、上述した制御部30は、たとえば図3に示すような構成となっている。すなわち、制御部30は、エンコーダ23からのパルスをカウントするカウンタ30aと、コンベア速度を検知するコンベア速度検知回路30bと、ワーク検知位置を保持するワーク検知位置保持回路30cと、ワーク現在位置を求めるワーク現在位置演算回路30dとを有している。また、制御部30は、予め設定されたラベル発行時間に合わせてラベル発行タイミングを補正するラベル発行タイミング補正回路30eと、ワーク搬送後にラベルプリンタ1へラベル発行指令を出すためのワーク検知保持リレー30fとを有している。
【0018】
なお、コンベア速度検知回路30bによる検知結果は、ラベラー6のラベルLの搬送速度をコンベア速度に同調させるために用いられる。また、コンベア速度検知回路30bによる検知結果は、ラベル発行指令を出すタイミングの調整にも用いられる。また、ワーク検知位置保持回路30cは、ワーク検知センサ16がワークWを検知した瞬間のカウンタ30aの値をワークWが貼付け位置Aを通過するまで保持する。また、ワーク現在位置演算回路30dは、ワーク検知センサ16がワークWを検知した瞬間のカウンタ30cの値と現在のカウンタ30aの差を計算してワークWの移動量を求める。
【0019】
また、制御部30は、ワーク検知センサ16からワークWへのラベル貼付け位置までの距離(Lph)とワークWに対する貼付け位置調整分(Pp)とからラベルLの貼付けのための目標位置を求める目標位置演算回路30gと、その目標位置と通過確認位置とを比較しワークWの通過判断を出力する比較回路30hとを有している。
【0020】
また、制御部30は、エンコーダ22からのパルスをカウントするカウンタ30iと、ベルト速度を検知するラベラー速度検知回路30jと、発行完了位置を保持する発行完了位置保持回路30kと、ラベル現在位置を求めるラベル現在位置演算回路30lとを有している。また、制御部30は、ラベル発行完了確認センサ15からラベルLの貼付け位置までの距離(Lchk)とラベルLの長さ(Ls)とからラベルLの先端位置を求めるラベル先端位置演算回路30mと、そのラベルLの先端位置から上述した目標位置を減算する減算器30nとを有している。
【0021】
なお、発行完了位置保持回路30kは、ラベル発行完了確認センサ15がラベルLの後端を検知した瞬間のカウンタ30iの値をワークWが貼付け位置Aを通過するまで保持する。また、ラベル現在位置演算回路30lは、ラベル発行完了確認センサ15がラベルLの後端を検知した瞬間のカウンタ30iの値に現在のカウンタ30iの値を加算してラベルLの移動量を求める。また、ラベル先端位置演算回路30mは、ラベルLの先端位置を求める際、ラベル発行完了確認センサ15がラベルLの後端を検知した瞬間のカウンタ30iの値と現在のカウンタ30iの値の差を計算してラベルLの移動量を求める。
【0022】
また、制御部30は、減算器30nからの値に基づきラベルLの先端位置を制御するための値を求める位置制御演算回路30oと、その先端位置を制御するための値を出力する位置制御動作リレー30pと、その先端位置を制御するための値と上述した搬送速度とを加算する加算器30qと、この加算器30qの出力からワークWの位置を保持し、速度指令回路30sを介して速度指令を出力させるワーク検知保持リレー30rとを有している。
【0023】
なお、位置制御演算回路30oは、ラベルLとワークWの相対位置が一致するように、ラベルLの搬送速度を制御する。また、速度指令回路30sは、ラベルLとワークWの相対位置を一致させるための制御値が所定の上限値又は下限値を超える場合、その範囲を超えないように制御する。
【0024】
次に本発明のラベル移送貼着装置の作用を図4のフローチャートに従って説明する。
ラベルプリンタ1自体は既知の一般的な構成であって作動の詳細は省略するが、ワーク搬送コンベア8により搬送されるワークWの存在をワーク検知センサ16が検知すると(ステップS1)、ラベルLの発行タイミングが調整される(ステップS2)。この場合の発行タイミングの調整においては、後述の図6に示すように、LdとWd+PpとがワークWの搬送速度が変わっても等しくなるようにすることである。
【0025】
ここで、後述のように、LdはラベルLの先端から貼付け位置Aまでの距離である。また、後述のように、WdはワークWの先端位置と貼付け位置Aまでの距離であり、PpはワークWに対する貼付け位置調整分の距離である。
【0026】
発行タイミングの調整について、さらに具体的に説明すると、発行タイミングの調整量であるTimmは、Timm=(Lhigh−Lcur)+Ppの演算によって求められる。
【0027】
ここで、Lhighは最高速度でのラベル発行中のワーク移動距離計算値であり、Lhigh=Smax×Tprtとして求められる。また、Lcurは実際の速度でのラベル発行中のワーク移動距離計算値であり、Lcur=Scur×Tprtとして求められる。また、ここで、Smaxは搬送速度最高速(mm/秒)、Scurはワーク検知時の搬送速度(mm/秒)、Tprtはラベルプリンタ1のラベル発行時間(秒)である。
【0028】
このとき、ラベラー6の運転が行われるとともに(ステップS3)、ワーク位置検知が開始される(ステップS4)。そして、ワークWの相対位置がラベルLの発行タイミングに合う位置に到達すると(ステップS5)、ラベルプリンタ1へラベルLの発行指令が出される(ステップS6)。
【0029】
このとき、ラベルプリンタ1にてラベルLに対してのバーコードや日付等の所要の印字がなされる。なお、ラベルLに対しての印字が行われることにより、ラベル排出部5に臨む剥離部4の鋭角な剥離エッジにて剥離紙が折り返され、ラベルLは1枚毎に発行される。
【0030】
そして、前記のラベル排出部5下方に設置したラベル発行完了確認センサ15の検出信号を受け取ることで、ラベルLの発行完了が確認されると(ステップS7)、ワークWの位置とラベルLの先端位置とから貼付け目標位置が演算処理され(ステップS8)、その貼付け目標位置に応じてラベラー6の吸着ベルト10の駆動が制御され(ステップS9)、貼付け位置Aにてワーク搬送コンベア8の移送速度と同期するよう制御されてワークWに対するラベル貼付けが完了する(ステップS10)。
【0031】
ここで、ラベラー6の吸着ベルト10の駆動の制御は、図5及び図6のようにして行われる。すなわち、図5のように、ワークWがワーク検知センサ16によって検知されると、ラベルプリンタ1によるラベルLへの印字が行われる。そして、図6のように、そのラベルLの発行の完了がラベル発行完了確認センサ15によって確認されるが、そのときワークWは貼付け位置A側に変位していることになる。
【0032】
このとき、図6において、Wd+Pp<Ldであるか、Wd+Pp>Ldであるかが求められる。ここで、WdはワークWの先端位置と貼付け位置Aまでの距離であり、PpはワークWに対する貼付け位置調整分の距離であり、LdはラベルLの先端から貼付け位置Aまでの距離である。
【0033】
そして、ラベルLの発行が完了すると、図7に示すように、Wd+Pp<Ldの場合、ラベラー6は一旦ワークWの搬送速度より速く駆動され、また、Wd+Pp>Ldの場合、ラベラー6は一旦ワークWの搬送速度より遅くなるよう駆動されることで、貼付け前にワークWの位置とラベルLの相対位置が合うように制御される。なお、相対位置が一致するとラベラー速度はワーク速度と同じになり、以後ワークWにラベルLを貼り付けるまで同期制御される。
【0034】
このように、第1実施形態では、制御部30により、ワークWの位置とラベルLの先端位置とラベルLの貼付け目標位置とのそれぞれに基づき、ワーク搬送コンベア8のワークWの移送速度に合うように、ラベルLの搬送速度を可変に制御するようにしたので、ワークWの搬送速度如何に拘わらず正確なラベルLの貼付けを行うことができる。
【0035】
(第2実施形態)
図8及び図9は、図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置の構成を変えた場合の第2実施形態の概略構成を示すものである。なお、以下に説明する図において、図1及び図2と共通する部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0036】
すなわち、第2実施形態においては、ラベラー6の先端位置である貼付け位置Aにラベル押付け手段であるラベル押付け体40を追加している点で、図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置とは構成が異なっている。また、第2実施形態では、図1及び図2に示した無端の吸着ベルト10が図9に示すように、吸着ベルト10a、10bの2つに分割されている点でも図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置とは構成が異なっている。なお、図9において、符号は10cは上述したラベルLを吸引する吸引穴である。その他の構成は、図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置と同じである。
【0037】
そして、ラベル押付け体40の詳細については後述するが、図8及び図9に示すように、ラベラー6の電源(切)時や電源(入り)時に応じ、吸着ベルト10a、10bの間でワーク搬送コンベア8面に向って飛び出たり引き込まれたりするようになっている。また、ラベラー6の貼付け状態時においては、ワークWの厚みに応じてその位置が変位するようになっている。
【0038】
すなわち、ラベル押付け体40は、図10及び図11に示すように、ラベル押付け部材41と押付け付勢部材46とを有している。ラベル押付け部材41は、軸42を介して回動自在に支持され、外周の一部に上記のワークWに当接する当接手段である当接部43を有する回動体44と、この回動体44に一体に上方に突出するように設けられた押さえレバー45とを備えて構成されている。
【0039】
押付け付勢部材46は、一端48aが押さえレバー45側に係止され、他端48bがロータリーシリンダ47側に係止されている付勢手段である引っ張りバネ48と、ロータリー軸47aに取り付けられたカム49とを備えて構成されている。
【0040】
このような構成では、ラベラー6が貼付け待機状態時である運転停止のとき、図10に示すように、ロータリーシリンダ47の駆動によりカム49が上方に回動し、引っ張りバネ48の付勢力に抗して押さえレバー45を押し付ける。このとき、ラベル押付け部材41の当接部43は上方に回動することで(図11にて2点鎖線で示す位置)、図9に示した吸着ベルト10a、10bの間から飛び出ないように引き戻される。
【0041】
一方、ラベラー6が貼付け状態時である運転開始のとき、図11に示すように、ロータリーシリンダ47の駆動によりカム49が下方に回動し、押さえレバー45から離される。これにより、押さえレバー45が引っ張りバネ48の付勢力によって引っ張られることで、当接部43が下方に回動する。これにより、ラベル押付け部材41の当接部43が図9に示した吸着ベルト10a、10bの間からワーク搬送コンベア8面に向って飛び出るように押し出される。
【0042】
このとき、上述したように、ワークWがワーク搬送コンベア8によって押付け位置Aまで搬送されると、ラベル押付け部材41の当接部43にワークWが当接し、ワークWの厚みに応じてその当接部43が引っ張りバネ48の付勢力に抗し押し上げられる。また、このとき、吸着ベルト10a、10bに陰圧で吸着されているラベルLは、吸着ベルト10a,10bの先端位置で吸引穴10cがローラ9により塞がれて陰圧が働かなくなることから吸着が解除され、ラベル押付け部材41の当接部43によりワークWに押し付けられ、さらに2次押えローラ19によりラベルLがワークWに押し付けられることにより、ラベルLの貼付けが確実に行われる。
【0043】
このように、第2実施形態では、ラベル押付け体40の当接部43が引っ張りバネ48によってラベラー6の先端位置から押出される方向に付勢され、ワークWとの当接により該ワークWの厚みに応じて引っ張りバネ48の付勢力に抗しラベラー6の先端位置側に押戻されるようにし、その当接部43のワークWへの当接によりラベルLがワークWに押付けられるようにしたので、ワークWの厚みにバラつきがあっても、そのバラつきを吸収し、ワークWに対してラベルLを確実に貼着することができる。
【0044】
本発明のラベル移送貼着装置は、既設されたラベルプリンタに対し任意に設置できるから、既存の工場等でのラベル貼付け工程に対し設置の自由度があり、広く活用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ラベルプリンタ
2 印字工程
3 エッジ
4 剥離部
5 ラベル排出部
6 ラベラー
8 ワーク搬送コンベア
10、10a、10b 吸着ベルト
10c 吸引穴
15 ラベル発行完了確認センサ
16 ワーク検知センサ
30 制御部
31 演算手段
40 ラベル押付け体
41 ラベル押付け部材
43 当接部
46 押付け付勢部材
48 引っ張りバネ
49 カム
L ラベル
W ワーク(被貼着物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタにて印字され1枚毎に分離されたラベルを貼着位置まで高速移送しながら別途搬送されてくる被貼着物の移送速度に合わせてラベルを貼着するラベル高速移送貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1枚毎の粘着ラベルを、被貼着物(以下、ワークという)に貼り付ける直前にラベルプリンタにて所要の印字をし、1枚毎に分離した後、貼着位置まで移送しワークに貼付けるラベル移送貼着装置が知られている。例えば、特開平6−239325号公報に示される装置は、剥離台紙に仮着された2枚の平行するラベルを吸着送りベルトにて吸着しながら貼付けローラ位置まで移送する技術が示される。又、本出願人が先に提案した特開2009−62087号公報にはプリンタにより印字されたラベルが1枚毎に分離され、無端の複数のゴムベルト上に載置されて貼付け位置まで水平搬送される技術が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−239325号公報
【特許文献2】特開2009−62087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラベルを貼付ける直前に所要の印字をするラベルプリンタにあっては、高効率化の要請から、ラベルプリンタにより印字され1枚毎に分離されたラベルを、ワーク搬送コンベアの移送速度に対応するラベル移送手段により移送し、且つラベル移送手段及びワーク搬送コンベアの駆動を停止することなく高効率でワークにラベルを貼付ける装置が必要とされる。
【0005】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、搬送コンベアにて移送されるワークの存在を検知してラベルプリンタにより1枚毎に異なるバーコードや日付等の情報を印字し、1枚毎に分離されたラベルをワーク搬送コンベアの移送速度に応じて可変制御された速度をもつラベル移送手段により吸着保持し、貼着位置でラベル移送手段及びワーク搬送コンベアの駆動を停止することなく高効率でワークに正確に貼付け得るラベル高速移送貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載のラベル高速移送貼着装置は、印字され1枚毎に分離されたラベルを発行するラベルプリンタと、発行されたラベルを検知するセンサと、ラベルプリンタの下流側に近接して設置された無端の吸着ベルトからなるラベル移送手段と、ワークの搬送位置を検出するワーク検知センサと、該ワーク検知センサの検知信号を受けワーク位置並びにラベル先端位置及び貼付け目標位置を演算する演算手段と、該演算手段により演算された情報に基づきラベル移送手段の駆動速度をワーク搬送コンベアの移送速度に対応して可変に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記ラベル移送手段の吸着ベルトは2列の吸着ベルト体で構成され、さらに前記ラベル移送手段の先端位置であって前記2列の吸着ベルト体の間に前記ラベルを前記ワークに押付けるラベル押付け手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、前記ラベル押付け手段は、付勢手段によって前記ラベル移送手段の先端位置から押出される方向に付勢され、前記ワークと当接し、該ワークの厚みに応じて前記付勢手段の付勢力に抗し前記ラベル移送手段の先端位置側に押戻される当接手段を有し、該当接手段の前記ワークへの当接により前記ラベルが前記ワークに押付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プリンタを内蔵し1枚毎のラベルに分離する剥離部を備えた既存のラベルプリンタにそのまま適用でき、しかも、ラベルは陰圧を受けて無端の吸着ベルト上を移送され、しかも別途搬送コンベアにより移送されるワークの搬送速度に対応してラベル移送手段である吸着ベルトの駆動速度が可変に調整され、貼付け時にはワーク搬送速度と同期するよう制御されるので、ワークの搬送速度如何に拘わらず正確なラベル貼付けができる。
【0010】
更に、ラベルプリンタにて1枚毎のラベル印字がされたラベルを高速で貼着位置まで移送しワークに貼付けるため、ラベルの貼付けミスが生じた場合もラベルプリンタによる印字のし直しで対応でき、印字済のラベルが待機しない点でラベルの無駄がない。従って、印字データが1枚毎に異なるワークに対して1枚ごとの高速でのラベル貼着が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のラベル高速移送貼着装置の第1実施形態の全体の概略構成を示す側面図である。
【図2】ラベル移送手段の側面図である。
【図3】制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】作動のフローチャートである。
【図5】ワーク検知してラベルが発行される推移の説明図である。
【図6】ラベルの発行を検知後、ワークの位置、発行されたラベルの位置を算出し、ラベラーの残り距離でワークに同期させる推移の説明図である。
【図7】ワーク速度とラベルの移送速度の変動を示す説明図である。
【図8】本発明のラベル高速移送貼着装置の第2実施形態の全体の概略構成を示す側面図である。
【図9】ラベル移送手段であるラベラーの概略平面図である。
【図10】ラベラーの貼付け待機状態時のラベル押付け体を示す側面図である。
【図11】ラベラーの貼付け状態時のラベル押付け体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。図1及び図2は、本発明のラベル高速移送貼着装置の第1実施形態の概略構成を示しており、1は既知のラベルプリンタを示し、ラベルLは剥離紙上に担持されて印字工程2を経て出口の鋭角なエッジ3を備えた剥離部4で折り返され、1枚毎ラベル排出部5より排出される。尚、該ラベルプリンタ1は既知の構成であるためその詳細は省略する。
【0013】
6はラベル移送手段であるラベラーを示し、ラベルプリンタ1に近接する側のローラ7とワーク搬送コンベア8側に近接する側のローラ9に無端の吸着ベルト10が掛け渡され、駆動ローラ11により駆動される。12はラベラー6の駆動用モータである。また、吸着ベルト10は平ベルト型の無端ベルトで、ベルト面にはラベルLを陰圧で吸着する複数の吸引穴(後述の図9の符号10cで示す)が長さ方向に所定ピッチにて形成され、ブロア(図示略)にて常時陰圧を受けている。図中、13は吸着ベルト10にテンションを掛けているテンションローラ、14は従動ローラを示す。
【0014】
15はラベルプリンタ1のラベル排出部5の下方に設置された発行完了したラベルLを検知するラベル発行完了確認センサで、発行したラベルLの後端を検知し、ラベル発行完了信号を制御部30に送る。16はワーク搬送コンベア8の搬送路の適所に設置されたワークWの移送位置を検知するワーク検知センサで、ワークW位置の検知信号を制御部30に送る。制御部30は演算手段31を含む。17はワーク搬送コンベア8の駆動用モータ、18は駆動手段である。19はラベラー6の先端にあってワークWへのラベル貼付けをサポートする2次押えローラである。
【0015】
また、20、21はエアブロノズルで、第1のエアブロノズル20はラベル排出部5の下方にあって排出されたラベルLを下方よりのエアブロによりラベラー6に円滑に乗り移るよう補助し、第2のエアブロノズル21はラベル貼着位置にあってラベラー6より移送されたラベルLを斜め上方からのエアブロによりワークW面に転移させる作用をする。このとき、ラベルLはローラ9位置で吸着ベルト10の吸引穴がローラ9により塞がれることで吸着力を失い、陰圧が働かなくなることからエアブロノズル21からのエアブロにてワーク面に転移される。
【0016】
また、22、23はエンコーダである。ただし、光パルスを検出するセンサ等の図示は省略している。エンコーダ22は、吸着ベルト10を回転駆動させるモータ12の回転方向、ベルトの移動量及び回転速度を検知する際に用いられる。エンコーダ23は、ワーク搬送コンベア8を回転駆動させるモータ17の回転方向、ワークの移動量及び回転速度を検知する際に用いられる。
【0017】
ここで、上述した制御部30は、たとえば図3に示すような構成となっている。すなわち、制御部30は、エンコーダ23からのパルスをカウントするカウンタ30aと、コンベア速度を検知するコンベア速度検知回路30bと、ワーク検知位置を保持するワーク検知位置保持回路30cと、ワーク現在位置を求めるワーク現在位置演算回路30dとを有している。また、制御部30は、予め設定されたラベル発行時間に合わせてラベル発行タイミングを補正するラベル発行タイミング補正回路30eと、ワーク搬送後にラベルプリンタ1へラベル発行指令を出すためのワーク検知保持リレー30fとを有している。
【0018】
なお、コンベア速度検知回路30bによる検知結果は、ラベラー6のラベルLの搬送速度をコンベア速度に同調させるために用いられる。また、コンベア速度検知回路30bによる検知結果は、ラベル発行指令を出すタイミングの調整にも用いられる。また、ワーク検知位置保持回路30cは、ワーク検知センサ16がワークWを検知した瞬間のカウンタ30aの値をワークWが貼付け位置Aを通過するまで保持する。また、ワーク現在位置演算回路30dは、ワーク検知センサ16がワークWを検知した瞬間のカウンタ30cの値と現在のカウンタ30aの差を計算してワークWの移動量を求める。
【0019】
また、制御部30は、ワーク検知センサ16からワークWへのラベル貼付け位置までの距離(Lph)とワークWに対する貼付け位置調整分(Pp)とからラベルLの貼付けのための目標位置を求める目標位置演算回路30gと、その目標位置と通過確認位置とを比較しワークWの通過判断を出力する比較回路30hとを有している。
【0020】
また、制御部30は、エンコーダ22からのパルスをカウントするカウンタ30iと、ベルト速度を検知するラベラー速度検知回路30jと、発行完了位置を保持する発行完了位置保持回路30kと、ラベル現在位置を求めるラベル現在位置演算回路30lとを有している。また、制御部30は、ラベル発行完了確認センサ15からラベルLの貼付け位置までの距離(Lchk)とラベルLの長さ(Ls)とからラベルLの先端位置を求めるラベル先端位置演算回路30mと、そのラベルLの先端位置から上述した目標位置を減算する減算器30nとを有している。
【0021】
なお、発行完了位置保持回路30kは、ラベル発行完了確認センサ15がラベルLの後端を検知した瞬間のカウンタ30iの値をワークWが貼付け位置Aを通過するまで保持する。また、ラベル現在位置演算回路30lは、ラベル発行完了確認センサ15がラベルLの後端を検知した瞬間のカウンタ30iの値に現在のカウンタ30iの値を加算してラベルLの移動量を求める。また、ラベル先端位置演算回路30mは、ラベルLの先端位置を求める際、ラベル発行完了確認センサ15がラベルLの後端を検知した瞬間のカウンタ30iの値と現在のカウンタ30iの値の差を計算してラベルLの移動量を求める。
【0022】
また、制御部30は、減算器30nからの値に基づきラベルLの先端位置を制御するための値を求める位置制御演算回路30oと、その先端位置を制御するための値を出力する位置制御動作リレー30pと、その先端位置を制御するための値と上述した搬送速度とを加算する加算器30qと、この加算器30qの出力からワークWの位置を保持し、速度指令回路30sを介して速度指令を出力させるワーク検知保持リレー30rとを有している。
【0023】
なお、位置制御演算回路30oは、ラベルLとワークWの相対位置が一致するように、ラベルLの搬送速度を制御する。また、速度指令回路30sは、ラベルLとワークWの相対位置を一致させるための制御値が所定の上限値又は下限値を超える場合、その範囲を超えないように制御する。
【0024】
次に本発明のラベル移送貼着装置の作用を図4のフローチャートに従って説明する。
ラベルプリンタ1自体は既知の一般的な構成であって作動の詳細は省略するが、ワーク搬送コンベア8により搬送されるワークWの存在をワーク検知センサ16が検知すると(ステップS1)、ラベルLの発行タイミングが調整される(ステップS2)。この場合の発行タイミングの調整においては、後述の図6に示すように、LdとWd+PpとがワークWの搬送速度が変わっても等しくなるようにすることである。
【0025】
ここで、後述のように、LdはラベルLの先端から貼付け位置Aまでの距離である。また、後述のように、WdはワークWの先端位置と貼付け位置Aまでの距離であり、PpはワークWに対する貼付け位置調整分の距離である。
【0026】
発行タイミングの調整について、さらに具体的に説明すると、発行タイミングの調整量であるTimmは、Timm=(Lhigh−Lcur)+Ppの演算によって求められる。
【0027】
ここで、Lhighは最高速度でのラベル発行中のワーク移動距離計算値であり、Lhigh=Smax×Tprtとして求められる。また、Lcurは実際の速度でのラベル発行中のワーク移動距離計算値であり、Lcur=Scur×Tprtとして求められる。また、ここで、Smaxは搬送速度最高速(mm/秒)、Scurはワーク検知時の搬送速度(mm/秒)、Tprtはラベルプリンタ1のラベル発行時間(秒)である。
【0028】
このとき、ラベラー6の運転が行われるとともに(ステップS3)、ワーク位置検知が開始される(ステップS4)。そして、ワークWの相対位置がラベルLの発行タイミングに合う位置に到達すると(ステップS5)、ラベルプリンタ1へラベルLの発行指令が出される(ステップS6)。
【0029】
このとき、ラベルプリンタ1にてラベルLに対してのバーコードや日付等の所要の印字がなされる。なお、ラベルLに対しての印字が行われることにより、ラベル排出部5に臨む剥離部4の鋭角な剥離エッジにて剥離紙が折り返され、ラベルLは1枚毎に発行される。
【0030】
そして、前記のラベル排出部5下方に設置したラベル発行完了確認センサ15の検出信号を受け取ることで、ラベルLの発行完了が確認されると(ステップS7)、ワークWの位置とラベルLの先端位置とから貼付け目標位置が演算処理され(ステップS8)、その貼付け目標位置に応じてラベラー6の吸着ベルト10の駆動が制御され(ステップS9)、貼付け位置Aにてワーク搬送コンベア8の移送速度と同期するよう制御されてワークWに対するラベル貼付けが完了する(ステップS10)。
【0031】
ここで、ラベラー6の吸着ベルト10の駆動の制御は、図5及び図6のようにして行われる。すなわち、図5のように、ワークWがワーク検知センサ16によって検知されると、ラベルプリンタ1によるラベルLへの印字が行われる。そして、図6のように、そのラベルLの発行の完了がラベル発行完了確認センサ15によって確認されるが、そのときワークWは貼付け位置A側に変位していることになる。
【0032】
このとき、図6において、Wd+Pp<Ldであるか、Wd+Pp>Ldであるかが求められる。ここで、WdはワークWの先端位置と貼付け位置Aまでの距離であり、PpはワークWに対する貼付け位置調整分の距離であり、LdはラベルLの先端から貼付け位置Aまでの距離である。
【0033】
そして、ラベルLの発行が完了すると、図7に示すように、Wd+Pp<Ldの場合、ラベラー6は一旦ワークWの搬送速度より速く駆動され、また、Wd+Pp>Ldの場合、ラベラー6は一旦ワークWの搬送速度より遅くなるよう駆動されることで、貼付け前にワークWの位置とラベルLの相対位置が合うように制御される。なお、相対位置が一致するとラベラー速度はワーク速度と同じになり、以後ワークWにラベルLを貼り付けるまで同期制御される。
【0034】
このように、第1実施形態では、制御部30により、ワークWの位置とラベルLの先端位置とラベルLの貼付け目標位置とのそれぞれに基づき、ワーク搬送コンベア8のワークWの移送速度に合うように、ラベルLの搬送速度を可変に制御するようにしたので、ワークWの搬送速度如何に拘わらず正確なラベルLの貼付けを行うことができる。
【0035】
(第2実施形態)
図8及び図9は、図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置の構成を変えた場合の第2実施形態の概略構成を示すものである。なお、以下に説明する図において、図1及び図2と共通する部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0036】
すなわち、第2実施形態においては、ラベラー6の先端位置である貼付け位置Aにラベル押付け手段であるラベル押付け体40を追加している点で、図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置とは構成が異なっている。また、第2実施形態では、図1及び図2に示した無端の吸着ベルト10が図9に示すように、吸着ベルト10a、10bの2つに分割されている点でも図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置とは構成が異なっている。なお、図9において、符号は10cは上述したラベルLを吸引する吸引穴である。その他の構成は、図1及び図2に示したラベル高速移送貼着装置と同じである。
【0037】
そして、ラベル押付け体40の詳細については後述するが、図8及び図9に示すように、ラベラー6の電源(切)時や電源(入り)時に応じ、吸着ベルト10a、10bの間でワーク搬送コンベア8面に向って飛び出たり引き込まれたりするようになっている。また、ラベラー6の貼付け状態時においては、ワークWの厚みに応じてその位置が変位するようになっている。
【0038】
すなわち、ラベル押付け体40は、図10及び図11に示すように、ラベル押付け部材41と押付け付勢部材46とを有している。ラベル押付け部材41は、軸42を介して回動自在に支持され、外周の一部に上記のワークWに当接する当接手段である当接部43を有する回動体44と、この回動体44に一体に上方に突出するように設けられた押さえレバー45とを備えて構成されている。
【0039】
押付け付勢部材46は、一端48aが押さえレバー45側に係止され、他端48bがロータリーシリンダ47側に係止されている付勢手段である引っ張りバネ48と、ロータリー軸47aに取り付けられたカム49とを備えて構成されている。
【0040】
このような構成では、ラベラー6が貼付け待機状態時である運転停止のとき、図10に示すように、ロータリーシリンダ47の駆動によりカム49が上方に回動し、引っ張りバネ48の付勢力に抗して押さえレバー45を押し付ける。このとき、ラベル押付け部材41の当接部43は上方に回動することで(図11にて2点鎖線で示す位置)、図9に示した吸着ベルト10a、10bの間から飛び出ないように引き戻される。
【0041】
一方、ラベラー6が貼付け状態時である運転開始のとき、図11に示すように、ロータリーシリンダ47の駆動によりカム49が下方に回動し、押さえレバー45から離される。これにより、押さえレバー45が引っ張りバネ48の付勢力によって引っ張られることで、当接部43が下方に回動する。これにより、ラベル押付け部材41の当接部43が図9に示した吸着ベルト10a、10bの間からワーク搬送コンベア8面に向って飛び出るように押し出される。
【0042】
このとき、上述したように、ワークWがワーク搬送コンベア8によって押付け位置Aまで搬送されると、ラベル押付け部材41の当接部43にワークWが当接し、ワークWの厚みに応じてその当接部43が引っ張りバネ48の付勢力に抗し押し上げられる。また、このとき、吸着ベルト10a、10bに陰圧で吸着されているラベルLは、吸着ベルト10a,10bの先端位置で吸引穴10cがローラ9により塞がれて陰圧が働かなくなることから吸着が解除され、ラベル押付け部材41の当接部43によりワークWに押し付けられ、さらに2次押えローラ19によりラベルLがワークWに押し付けられることにより、ラベルLの貼付けが確実に行われる。
【0043】
このように、第2実施形態では、ラベル押付け体40の当接部43が引っ張りバネ48によってラベラー6の先端位置から押出される方向に付勢され、ワークWとの当接により該ワークWの厚みに応じて引っ張りバネ48の付勢力に抗しラベラー6の先端位置側に押戻されるようにし、その当接部43のワークWへの当接によりラベルLがワークWに押付けられるようにしたので、ワークWの厚みにバラつきがあっても、そのバラつきを吸収し、ワークWに対してラベルLを確実に貼着することができる。
【0044】
本発明のラベル移送貼着装置は、既設されたラベルプリンタに対し任意に設置できるから、既存の工場等でのラベル貼付け工程に対し設置の自由度があり、広く活用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ラベルプリンタ
2 印字工程
3 エッジ
4 剥離部
5 ラベル排出部
6 ラベラー
8 ワーク搬送コンベア
10、10a、10b 吸着ベルト
10c 吸引穴
15 ラベル発行完了確認センサ
16 ワーク検知センサ
30 制御部
31 演算手段
40 ラベル押付け体
41 ラベル押付け部材
43 当接部
46 押付け付勢部材
48 引っ張りバネ
49 カム
L ラベル
W ワーク(被貼着物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字され1枚毎に分離されたラベルを発行するラベルプリンタと、発行されたラベルを検知するセンサと、ラベルプリンタの下流側に近接して設置された無端の吸着ベルトからなるラベル移送手段と、ワークの搬送位置を検出するワーク検知センサと、該ワーク検知センサの検知信号を受けワーク位置並びにラベル先端位置及び貼付け目標位置を演算する演算手段と、該演算手段により演算された情報に基づきラベル移送手段の駆動速度をワーク搬送コンベアの移送速度に対応して可変に制御する制御部を備えたことを特徴とするラベル高速移送貼着装置。
【請求項2】
前記ラベル移送手段の吸着ベルトは2列の吸着ベルト体で構成され、さらに前記ラベル移送手段の先端位置であって前記吸着ベルト体の間に前記ラベルを前記ワークに押付けるラベル押付け手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のラベル高速移送貼着装置。
【請求項3】
前記ラベル押付け手段は、付勢手段によって前記ラベル移送手段の先端位置から押出される方向に付勢され、前記ワークと当接し、該ワークの厚みに応じて前記付勢手段の付勢力に抗し前記ラベル移送手段の先端位置側に押戻される当接手段を有し、該当接手段の前記ワークへの当接により前記ラベルが前記ワークに押付けられることを特徴とする請求項2に記載のラベル高速移送貼着装置。
【請求項1】
印字され1枚毎に分離されたラベルを発行するラベルプリンタと、発行されたラベルを検知するセンサと、ラベルプリンタの下流側に近接して設置された無端の吸着ベルトからなるラベル移送手段と、ワークの搬送位置を検出するワーク検知センサと、該ワーク検知センサの検知信号を受けワーク位置並びにラベル先端位置及び貼付け目標位置を演算する演算手段と、該演算手段により演算された情報に基づきラベル移送手段の駆動速度をワーク搬送コンベアの移送速度に対応して可変に制御する制御部を備えたことを特徴とするラベル高速移送貼着装置。
【請求項2】
前記ラベル移送手段の吸着ベルトは2列の吸着ベルト体で構成され、さらに前記ラベル移送手段の先端位置であって前記吸着ベルト体の間に前記ラベルを前記ワークに押付けるラベル押付け手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のラベル高速移送貼着装置。
【請求項3】
前記ラベル押付け手段は、付勢手段によって前記ラベル移送手段の先端位置から押出される方向に付勢され、前記ワークと当接し、該ワークの厚みに応じて前記付勢手段の付勢力に抗し前記ラベル移送手段の先端位置側に押戻される当接手段を有し、該当接手段の前記ワークへの当接により前記ラベルが前記ワークに押付けられることを特徴とする請求項2に記載のラベル高速移送貼着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−195197(P2011−195197A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192053(P2010−192053)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(391011881)株式会社タカラ (20)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(391011881)株式会社タカラ (20)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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