説明

ラマンプローブ及びその製法

【課題】所望の箇所のラマンスペクトルの測定を非破壊で長期にわたって安定して行う。
【解決手段】ラマンプローブ10は、ガラスキャピラリーチューブ12と、このガラスキャピラリーチューブ12の先端に形成された溶融封止部14と、ガラスキャピラリーチューブ12の内面のうち該ガラスキャピラリーチューブ12の基端から溶融封止部14の手前までを覆うように形成された内側金属膜16と、ガラスキャピラリーチューブ12の内面のうち溶融封止部14と内側金属膜16との間に形成された空白部18と、ガラスキャピラリーチューブ12の外面のうち空白部18に対応する部分を覆い且つ溶融封止部14の先端面を覆わないように形成された外側金属膜20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラマンスペクトル測定装置に利用されるラマンプローブ及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生物組織にラマンプローブを挿入し、その組織にレーザ光を照射したときのラマンスペクトルを取得することが行われている。例えば、非特許文献1には、図7に示すラマンプローブ110が開示されている。このラマンプローブ110は、アルミシース112の先端にボールレンズ114をマウントし、アルミシース112の基端から中空光ファイバー120を挿入した構造となっている。中空光ファイバー120は、コア径が320μm、外径が435μm、長さが1.5mであり、フレキシブルなガラスキャピラリーチューブ122の内面に銀薄膜124をコーティングしたものである。ボールレンズ114とアルミシース112の先端とは、エポキシ樹脂116を介して固定されている。また、中空光ファイバー120とアルミシース112の基端とは、同じくエポキシ樹脂118で固定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】アプライド・スペクトロスコーピー(Applied Spectroscopy)、第63巻、No.1、2009年、103頁−107頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池においても、電池の内部で起こる種々の変化を、電池を破壊することなくラマン分光分析により解析したいという要望があった。例えば、リチウムイオン二次電池においては、充放電を繰り返すことにより電解液の塩濃度が変化したり電極表面に被膜が生成したりすることがあるが、そうした現象をラマン分光分析により非破壊で追跡したいという要望があった。
【0005】
しかしながら、上述したラマンプローブ110では、ボールレンズ114とアルミシース112の先端とがエポキシ樹脂116によってシールされているため、エポキシ樹脂116が電解液によって劣化してしまい、電解液が中空光ファイバー120に浸入するおそれがあった。特に、リチウムイオン二次電池の電解液は、エチレンカーボネートなどの有機溶剤を用いることが多いため、こうした劣化が起きやすかった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、所望の箇所のラマンスペクトルの測定を非破壊で長期にわたって安定して行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラマンプローブは、
ガラスキャピラリーチューブと、
該ガラスキャピラリーチューブの先端に形成された溶融封止部と、
前記ガラスキャピラリーチューブの内面のうち該ガラスキャピラリーチューブの基端から前記溶融封止部の手前までを覆うように形成された内側金属膜と、
前記ガラスキャピラリーチューブの内面のうち前記溶融封止部と前記内側金属膜との間に形成された空白部と、
前記ガラスキャピラリーチューブの外面のうち前記空白部に対応する部分を覆い且つ前記溶融封止部の先端面を覆わないように形成された外側金属膜と、
を備えたものである。
【0008】
このラマンプローブを使用する場合、ラマンプローブの先端を所望の測定箇所に到達させる。そして、レーザー光をラマンプローブの基端から入射する。すると、レーザー光は、ラマンプローブの内側金属膜に反射しながら先端つまり溶融封止部へと導かれる。溶融封止部の手前には内側金属膜のない空白部があるため、レーザー光は空白部に至ると、ラマンプローブを内から外へ通過しようとする。しかし、空白部の外面には外側金属膜が形成されているため、ラマンプローブを内から外へ通過しようとするレーザー光は外側金属膜に反射しながら溶融封止部へ向かって進む。そして、レーザー光が溶融封止部の先端面に到達すると、そこから外へ出射する。その結果、測定箇所はレーザー光によって照射される。すると、測定箇所からラマン光が散乱されるため、そのラマン光がラマンプローブを基端に向かって逆戻りしていく。そして、ラマンプローブの基端から出射してくるラマン光を分光し、検出することで測定箇所のラマンスペクトルが得られる。
【0009】
このラマンプローブによれば、ガラスキャピラリーチューブを利用しているため、全体形状が非常に細い。このため、所望の測定箇所の周辺を破壊することなく、先端がその測定箇所に到達するように挿入してラマンスペクトルを測定することができる。また、従来のボールレンズを接着剤で固定した構造ではなく、チューブの先端を溶融して固化した溶融封止部を用いるため、接着剤が不要であり、接着剤の劣化によって測定が損なわれることがない。したがって、長期にわたって安定してラマンスペクトルを測定することができる。
【0010】
本発明のラマンプローブにおいて、前記溶融封止部の先端面には、貴金属製の島状膜が形成されていてもよい。こうすれば、島状膜の表面増強ラマン効果によってラマン強度が高くなるため、測定箇所に測定対象物が微量にしか存在しない場合でもラマンスペクトルの測定が可能となる。貴金属としては、例えば、金や銀、白金などが挙げられる。
【0011】
本発明のラマンプローブにおいて、前記溶融封止部は、前記ガラスキャピラリーチューブの中心線に対して所定の傾斜角を持つ光反射板を備えていてもよい。こうすれば、チューブを挿入した方向に対して屈曲した方向(例えば直角方向)に測定箇所がある場合でも、ラマンスペクトルの測定が可能となる。こうした光反射板は、前記外側金属膜の一部を利用して形成してもよい。こうすれば、外側金属膜を形成すると同時に光反射板も形成されるため、製造工程が煩雑にならない。
【0012】
本発明のラマンプローブの製法は、
(a)内面全体が内側金属膜で覆われたガラスキャピラリーチューブを準備する工程と、
(b)前記ガラスキャピラリーチューブの一端を加熱して溶融封止部を形成する工程と、
(c)前記ガラスキャピラリーチューブの外面のうち、前記工程(b)で加熱した際に前記内側金属膜が消失することにより生じた空白部に対応する部分を覆い且つ前記溶融封止部の先端面を覆わないように外側金属膜を形成する工程と、
を含むものである。
【0013】
この製法は、上述したラマンプローブを製造するのに適している。また、工程(b)で内側金属膜が消失して空白部が生じたあと、空白部のチューブ内面に金属膜を再生することも考えられるが、チューブの内径が小さいことから、そのような作業は困難である。そこで、工程(c)では、その空白部を覆うようにチューブの外面に外側金属膜を形成している。その結果、空白部の内面に金属膜を形成した場合と同等のラマンプローブを、簡便な製法で作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態であるラマンプローブ10の断面図である。
【図2】ラマンプローブ10の製造工程図である。
【図3】ラマンスペクトル測定装置50の説明図である。
【図4】電解液48のラマンスペクトルの一例を示すチャートである。
【図5】別の実施形態のラマンプローブ70の断面図である。
【図6】別の実施形態のラマンプローブ80の断面図である。
【図7】従来のラマンプローブ110の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態であるラマンプローブ10の断面図である。
【0016】
ラマンプローブ10は、ガラスキャピラリーチューブ12と、このガラスキャピラリーチューブ12の先端に形成された溶融封止部14とを備えている。ガラスキャピラリーチューブ12の内面には、内側金属膜16が形成されている。この内側金属膜16は、ガラスキャピラリーチューブ12の基端から溶融封止部14の手前までを覆うように形成されている。また、ガラスキャピラリーチューブ12の内面のうち、溶融封止部14と内側金属膜16との間には、空白部18が形成されている。空白部18は、金属膜が形成されておらず、ガラス面が露出している。ガラスキャピラリーチューブ12の外面には、外側金属膜20が形成されている。この外側金属膜20は、空白部18に対応する部分を覆い且つ溶融封止部14の先端面を覆わないように形成されている。なお、外側金属膜20は、ガラスキャピラリーチューブ12の外周をぐるりと取り囲む筒状に形成され、図示しないポリイミド保護層によってコーティングされている。
【0017】
次に、こうしたラマンプローブ10の製造手順を図2を参照しつつ説明する。図2はラマンプローブ10の製造工程図である。
【0018】
まず、内面全面に内側金属膜16が形成された未加工のガラスキャピラリーチューブ12を用意する(図2(a)参照)。こうしたガラスキャピラリーチューブ12としては、導光技術合同会社製のAgコート中空ファイバー(内径320μm、外径440μm)やジーエルサイエンス社製のフューズドシリカキャピラリーチューブ(内径50〜100μm、外径150〜200μm)を用いることができる。前者は既に内側金属膜16が形成されているが、後者は形成されていないため、別途、内側金属膜16を形成する必要がある。例えば、内側金属膜16がAg製の場合、銀鏡反応を利用して内側金属膜16を形成することができる。なお、銀鏡反応の詳細については後述する。
【0019】
続いて、ガラスキャピラリーチューブ12の先端部分をバーナーで加熱溶融し、その後冷却固化する。すると、先端部分は、半球状の溶融封止部14となる(図2(b)参照)。加熱溶融時、ガラスキャピラリーチューブ12の先端周辺の内側金属膜16は、高温に熱せられるため揮散して消失する。その結果、ガラスキャピラリーチューブ12の内面のうち溶融封止部14の基端周辺は、金属膜の存在しない空白部18となる。
【0020】
続いて、ガラスキャピラリーチューブ12の外面のうち空白部18に対応する部分を覆うように外側金属層20を形成する。金属として銀を用いる場合には、銀鏡反応を利用することができる。銀鏡反応は、例えば以下の手順で行う。
【0021】
(1)2%AgNO3水溶液(3mL)に3%KOH水溶液を滴下し、Ag2Oを完全に沈殿させる。なお、「%」は重量%を表す(以下同じ)。
(2)濃アンモニア水を滴下し、溶液が透明になるまで沈殿を完全に溶解する。
(3)6%AgNO3水溶液を溶液が薄茶色になるまで滴下する。
(4)6%アンモニア水を溶液が再び透明になるまで滴下する。
(5)35%グルコース水溶液1mL及びメタノール0.5mLを加える(この際、溶液は透明から茶色に変化する)。
(6)この溶液へガラスキャピラリーチューブ12を空白部18が沈むまで浸漬し(図2(c)参照)、1時間程度保持することにより、ガラスキャピラリーチューブ12の外面に銀を析出させる。
(7)ガラスキャピラリーチューブ12を取り出し、水で洗浄する(図2(d)参照)。
(8)レーザー光やラマン光を透過させるため、溶融封止部14の先端面のみの銀薄膜を綿棒等で剥離する。これにより、残った銀薄膜が外側金属膜20となる(図2(e)参照)。
(9)ポリアミック酸溶液にガラスキャピラリーチューブ12を銀薄膜の全体が沈むまで浸漬し、その後、ガラスキャピラリーチューブ12を取り出し、300〜500℃で熱処理することにより、外側金属膜20をポリイミド保護層でコーティングする。こうすることにより、ラマンプローブ10が得られる。なお、ポリイミド保護層の図示は省略した。
【0022】
次に、ラマンプローブ10を用いたラマンスペクトルの測定手順について、図3を参照しながら説明する。図3は、ラマンスペクトル測定装置50の説明図である。ここでは、リチウムイオン二次電池40の電解液48のラマンスペクトルを測定する手順について説明する。なお、リチウムイオン二次電池40は、正極42と負極44との間にセパレータ46と電解液48が介在した構造を持ち、電解液48は、LiPF6をエチレンカーボネートに溶解した非水電解液であるとする。
【0023】
ラマンスペクトル測定装置50は、ラマンプローブ10と、このラマンプローブ10へ向けてレーザー光を発射するレーザー光源52と、ラマンプローブ10からのラマン光を入射する電子冷却CCD搭載のラマン分光器54とを備えている。いま、図3に示すように、ラマンプローブ10の溶融封止部14が負極44とセパレータ46との間の電解液48に挿入されているとする。レーザー光源52から発射されたレーザー光は、ビームスプリッタ56によって対物レンズ58へ導かれ、対物レンズ58を通過してラマンプローブ10の基端に入射する。すると、レーザー光は、ラマンプローブ10の内側金属膜16に反射しながら先端つまり溶融封止部14へと導かれる。溶融封止部14の手前には内側金属膜16のない空白部18があるため、レーザー光は空白部18に至ると内から外へ通過しようとする。しかし、空白部18の外面には外側金属膜20が形成されているため、ラマンプローブ10を内から外へ通過しようとするレーザー光は外側金属膜20に反射しながら更に先端側に進む。そして、レーザー光が溶融封止部14の先端面に到達すると、そこから外へ出射する。その結果、電解液48はレーザー光によって照射される。すると、電解液48からラマン光が散乱されるため、そのラマン光がラマンプローブ10を基端に向かって逆戻りしていく。そして、ラマンプローブ10の基端から出射したラマン光は、対物レンズ58を通過したあとビームスプリッタ56によってノッチフィルタ60へと導かれ、ノッチフィルタ60で特定波長成分がカットされたあと、スリット62を経てラマン分光器54へと導かれる。このラマン分光器54がラマン光を分光し検出することで電解液48のラマンスペクトルが得られる。
【0024】
このようにして得られた電解液48のラマンスペクトルの一例を図4に示す。図4には、電解液由来のピークがいくつか検出されているが、このうち、740cm-1がPF6に由来するピークであり、900cm-1がエチレンカーボネートに由来するピークである。したがって、740cm-1のピーク強度をモニターすれば、PF6の濃度変化を知ることができる。また、900cm-1のピーク強度をモニターすれば、溶媒和状態の変化を知ることができる。
【0025】
以上詳述した本実施形態のラマンプローブ10によれば、直径が数100μmのガラスキャピラリーチューブを利用しているため、リチウムイオン二次電池40を破壊することなく、先端が電解液48に到達するように挿入してラマンスペクトルを測定することができる。また、従来のボールレンズを接着剤で固定した構造ではなく、ガラスキャピラリーチューブ12の先端を溶融して固化した溶融封止部14を用いるため、接着剤が不要であり、接着剤の劣化によって測定が損なわれることがない。したがって、長期にわたって安定してラマンスペクトルを測定することができる。
【0026】
また、上述したラマンプローブ10の製造方法では、図2(b)で空白部18が形成されたあと、その空白部18を覆うようにガラスキャピラリーチューブ12の内面に金属膜を再生することも考えられるが、ガラスキャピラリーチューブ12の内径が小さいことから、そのような作業は困難である。このため、上述した実施形態では、ガラスキャピラリーチューブ12の外面のうち空白部18に対応する部分を覆うように外側金属膜20を形成している。その結果、空白部18を覆うようにガラスキャピラリーチューブ12の内面に金属膜を形成した場合と同等のラマンプローブを、簡便な製法で作製することができる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0028】
例えば、上述した実施形態のラマンプローブ10の代わりに、図5に示すラマンプローブ70を採用してもよい。ラマンプローブ70は、溶融封止部14の先端面(光が通過する領域)に、膜厚10〜20nmの貴金属製の島状膜22を形成したものである。それ以外の構成要素は、ラマンプローブ10と同じであるため、ラマンプローブ10の構成要素と同じ符号を付し、その説明を省略する。このような極薄い島状膜22にレーザー光が照射されると、島状膜22の近傍に非常に強い電場が形成される。これを表面増強ラマン効果という。測定対象物が島状膜22に接触すると、この表面増強ラマン効果によってラマン強度が高くなる。このため、測定対象物が微量にしか存在しない場合でもラマンスペクトルの測定が可能となる。なお、島状膜22は、スパッタリングや蒸着によって形成することができる。また、貴金属としては、例えば金や銀、白金などが挙げられる。
【0029】
上述した実施形態のラマンプローブ10の代わりに、図6に示すラマンプローブ80を採用してもよい。ラマンプローブ80は、ガラスキャピラリーチューブ12の中心線に対して所定の傾斜角(例えば45°)にカットされた傾斜面24aを持つ溶融封止部24を備え、外側金属膜26は空白部18に対応する外面のみならずその傾斜面24aも覆うように形成されている。それ以外の構成要素は、ラマンプローブ10と同じであるため、ラマンプローブ10の構成要素と同じ符号を付し、その説明を省略する。傾斜面24aに形成された外側金属膜26は、光反射板の機能を果たすものであり、ガラスキャピラリーチューブ12を基端から先端に向かって進んできたレーザー光の進行方向を傾斜面24aの傾斜角に応じて屈曲させる。このため、ラマンプローブ80を挿入した方向に対して屈曲した方向(例えば直角方向)に測定箇所がある場合でも、ラマンスペクトルの測定が可能となる。図3の例では、負極44やセパレータ46のラマンスペクトルの測定が可能となる。傾斜面24aは、図2(b)に示す溶融封止部14をバフ研磨やラッピング研磨によって斜めに加工すれば作製できる。また、外側金属膜26は、上述した手順で銀鏡反応を行ったあと、傾斜面24aに析出した銀薄膜や空白部18に対応した部分の銀薄膜を残し、溶融封止部24の先端面の銀薄膜を綿棒等で剥離することで作製できる。なお、外側金属膜26につき、空白部18に対応する外面を覆う部分と、傾斜面24aを覆う部分とを別々に作製してもよい。しかし、図6のように、空白部18に対応する外面を覆う部分と傾斜面24aを覆う部分とを一体に形成した方が、製造工程が煩雑にならないため、好ましい。
【0030】
上述した実施形態では、ラマンスペクトルの測定対象物としてリチウムイオン二次電池40を例示したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、燃料電池や電気二重層キャパシタなどの他の蓄電装置を測定対象物としてもよいし、他の微小な電子部品や機械部品を測定対象物としてもよいし、生体組織を測定対象物としてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 ラマンプローブ、12 ガラスキャピラリーチューブ、14 溶融封止部、16 内側金属膜、18 空白部、20 外側金属膜、22 島状膜、24 溶融封止部、24a 傾斜面、26 外側金属膜、40 リチウムイオン二次電池、42 正極、44 負極、46 セパレータ、48 電解液、50 ラマンスペクトル測定装置、52 レーザー光源、54 ラマン分光器、56 ビームスプリッタ、58 対物レンズ、60 ノッチフィルタ、60 ラマンプローブ、62 スリット、70 ラマンプローブ、80 ラマンプローブ、110 ラマンプローブ、112 アルミシース、114 ボールレンズ、116,118 エポキシ樹脂、120 中空光ファイバー、122 ガラスキャピラリーチューブ、124 銀薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスキャピラリーチューブと、
該ガラスキャピラリーチューブの先端に形成された溶融封止部と、
前記ガラスキャピラリーチューブの内面のうち該ガラスキャピラリーチューブの基端から前記溶融封止部の手前までを覆うように形成された内側金属膜と、
前記ガラスキャピラリーチューブの内面のうち前記溶融封止部と前記内側金属膜との間に形成された空白部と、
前記ガラスキャピラリーチューブの外面のうち前記空白部に対応する部分を覆い且つ前記溶融封止部の先端面を覆わないように形成された外側金属膜と、
を備えたラマンプローブ。
【請求項2】
前記溶融封止部の先端面には、貴金属製の島状膜が形成されている、
請求項1に記載のラマンプローブ。
【請求項3】
前記溶融封止部は、前記ガラスキャピラリーチューブの中心線に対して所定の傾斜角を持つ光反射板を備えている、
請求項1又は2に記載のラマンプローブ。
【請求項4】
前記光反射板は、前記外側金属膜の一部を利用したものである、
請求項3に記載のラマンプローブ。
【請求項5】
(a)内面全体が内側金属膜で覆われたガラスキャピラリーチューブを準備する工程と、
(b)前記ガラスキャピラリーチューブの一端を加熱して溶融封止部を形成する工程と、
(c)前記ガラスキャピラリーチューブの外面のうち、前記工程(b)で加熱した際に前記内側金属膜が消失することにより生じた空白部に対応する部分を覆い且つ前記溶融封止部の先端面を覆わないように形成された外側金属膜と、
を含むラマンプローブの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−225719(P2012−225719A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92588(P2011−92588)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】