ラミネート装置、ダイヤフラム引っ張り治具およびダイヤフラム取付方法
【課題】少人数で安全にダイヤフラムを取り付けるためのダイヤフラム引っ張り治具、このダイヤフラム引っ張り治具を取付可能なラミネート装置、および、ダイヤフラムの取付方法を提供する。
【解決手段】引っ張り治具200は、ベース21と、下プレート22と、上プレート23と、2つの下方圧え型トグルクランプ24と、押し引きトグルクランプ25と、固定ピン26と、回転防止ピン27とを備えている。引っ張り治具200を用いてダイヤフラム8を引っ張って固定する。1つずつ引っ張り治具200にダイヤフラム8を固定していくことで、少人数で、かつ、皺が生じることなく、ダイヤフラム8の取付作業を行える。また、引っ張り治具200でダイヤフラム8を固定するため、作業者がラミネート装置100から離れた状態で上ケース7を下降させて、ダイヤフラム8を上ケース7に取り付けることができ、安全に取付作業を行える。
【解決手段】引っ張り治具200は、ベース21と、下プレート22と、上プレート23と、2つの下方圧え型トグルクランプ24と、押し引きトグルクランプ25と、固定ピン26と、回転防止ピン27とを備えている。引っ張り治具200を用いてダイヤフラム8を引っ張って固定する。1つずつ引っ張り治具200にダイヤフラム8を固定していくことで、少人数で、かつ、皺が生じることなく、ダイヤフラム8の取付作業を行える。また、引っ張り治具200でダイヤフラム8を固定するため、作業者がラミネート装置100から離れた状態で上ケース7を下降させて、ダイヤフラム8を上ケース7に取り付けることができ、安全に取付作業を行える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル等をラミネート加工するラミネート装置、ラミネート装置にダイヤフラムを取り付けるためのダイヤフラム引っ張り治具、および、ラミネート装置へのダイヤフラム取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルの材料として、例えばシリコンが用いられる。シリコンは化学変化を起こしやすく、また物理的衝撃にも弱いので、シリコンをカバーガラスなどでラミネート加工して太陽電池モジュールを製造するのが一般的である。
【0003】
ラミネート加工を行うラミネート装置は、上ケースの下側に取り付けられるダイヤフラムで被ラミネート体を狭圧しつつ、下ケースの上側に設けられるヒータ盤でこれを加熱し、太陽電池モジュールを製造する。
【0004】
ダイヤフラムは使用する度に劣化するので、定期的に交換しなければならない。特許文献1では、まず、ダイヤフラム取付枠上にダイヤフラムを拡げ、次に、上ケースをダイヤフラム上に下降させてダイヤフラム取付枠を上ケースに固定することにより、ダイヤフラムを上ケースに取り付けられる手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3890206号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイヤフラムに皺が生じるのを防ぐためには、作業者がダイヤフラムを手で四方に引っ張らなければならない。ダイヤフラムは、例えば2m×4m程度の大きさであり、これを四方に引っ張るためには大人数で作業を行う必要がある。また、ダイヤフラムを引っ張った状態で上ケースを下降させるため、ダイヤフラムを引っ張る手が上ケースとダイヤフラム取付枠との間に挟まれる危険がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少人数で安全にダイヤフラムを取り付けるためのダイヤフラム引っ張り治具、このダイヤフラム引っ張り治具を取付可能なラミネート装置、および、ダイヤフラムの取付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ラミネート装置にダイヤフラムを取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具が提供される。ダイヤフラム引っ張り治具は、ベースと、固定部材と、狭圧部材と、引っ張り部材とを備える。固定部材は、前記ベースを前記ラミネート装置に固定する。狭圧部材は、前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する。引っ張り部材は、前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、上面が開口した第1の下ケースと、下面が開口し、前記第1の下ケースと対向して配置される第1の上ケースと、上面が開口し、前記第1の上ケースの上方に設けられる第2の下ケースと、下面が開口し、前記第2の下ケースと対向して配置される第2の上ケースと、を備えるラミネート装置の前記第1および第2の上ケースに第1および第2のダイヤフラムをそれぞれ取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具が提供される。ダイヤフラム引っ張り治具は、第1および第2のベースと、連結部材と、固定部材と、第1の狭圧部材と、第1の引っ張り部材と、第2の狭圧部材と、第2の引っ張り部材とを備える。連結部材は、前記第1のベースと前記第2のベースとを連結する。固定部材は、前記第1のベースを前記ラミネート装置に固定する。第1の狭圧部材は、前記第1のベース上に設けられ、前記第1のダイヤフラムの一部を狭圧する。第1の引っ張り部材は、前記第1の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る。第2の狭圧部材は、前記第2のベース上に設けられ、前記第2のダイヤフラムの一部を狭圧する。第2の引っ張り部材は、前記第2の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、上面が開口した下ケースと、上ケースと、ヒータ盤と、架台フレームとを備えるラミネート装置が提供される。上ケースは、下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される。ヒータ盤は、前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行う。架台フレームは、前記下ケースを支持する。ラミネート装置は、前記ダイヤフラムを前記上ケースの下面側に取り付ける際に、ベースと、前記ベースを架台フレームに固定する固定部材と、前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する狭圧部材と、前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る引っ張り部材と、を有するダイヤフラム引っ張り治具を取付可能である。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、上面が開口した下ケースと、下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される上ケースと、前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、前記下ケースを支持する架台フレームと、を備えるラミネート装置の前記ダイヤフラムを、前記上ケースの下面側に取り付ける方法が提供される。まず、前記上ケースが上昇した状態で、前記下ケース上にダイヤフラム取付枠を置き、その上に前記ダイヤフラムを広げる。次に、前記架台フレームに固定された狭圧部材で、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する。次に、前記ダイヤフラムの一部を狭圧した状態で、前記ラミネート装置の外側に向かって前記狭圧部材を引っ張る。次に、前記上ケースを前記ダイヤフラム上に下降させる。さらに、前記ダイヤフラム取付枠を前記上ケースの下面側に取り付ける
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ラミネート装置にダイヤフラム引っ張り治具を設置し、このダイヤフラム引っ張り治具でダイヤフラムを引っ張るため、少人数で安全にダイヤフラムを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るラミネート装置100の平面図。
【図2】図1のA方向から見たラミネート装置100の短辺方向の側面図。
【図3】図1のB方向から見たラミネート装置100の長辺方向の側面図。
【図4】ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャート。
【図5】引っ張り治具200の平面図。
【図6】引っ張り治具200の側面図。
【図7】図5の引っ張り治具200の変形例。
【図8】ダイヤフラム8を取り付ける手順を示すフローチャート。
【図9】ヒータ盤4上にダイヤフラム8を広げた様子を示すラミネート装置100の短辺方向の側面図。
【図10】図9のC方向から見た平面図。
【図11】ダイヤフラム8を膨張させる様子を示すラミネート装置100の側面図。
【図12】ラミネート装置100と、その架台フレーム1に取り付けられた引っ張り治具200の短辺方向の側面図。
【図13】架台フレーム1に複数の引っ張り治具200が取り付けられたラミネート装置100の平面図。
【図14】ダイヤフラム8を引っ張る様子を示す図。
【図15】第2の実施形態に係るラミネート装置101の平面図。
【図16】図15のD方向から見たラミネート装置101の短辺方向の側面図。
【図17】図15のE方向から見たラミネート装置101の長辺方向の側面図。
【図18】図15のラミネート装置に用いられる引っ張り治具201の側面図。
【図19】ダイヤフラム8を取り付ける様子を示すラミネート装置101の短辺方向の側面図。
【図20】ダイヤフラム8bを取り付ける手順を示すフローチャート。
【図21】ラミネート装置100に用いられる昇降装置11の概略構成を示す側面図。
【図22】上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図23】上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の別の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るダイヤフラム引っ張り治具、ラミネート装置およびダイヤフラム取付方法の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るラミネート装置100の平面図、図2は、図1のA方向から見たラミネート装置100の短辺方向の側面図、図3は、図1のB方向から見たラミネート装置100の長辺方向の側面図である。ラミネート装置100は、架台フレーム1と、基台2と、下ケース3と、ヒータ盤4と、搬送シート5と、ローラ6と、上ケース7と、ダイヤフラム8と、ダイヤフラム取付枠9と、C型金具10と、シリンダ12およびリニアガイド13からなる昇降装置11とを備えている。
【0016】
架台フレーム1は、底面1aと、ラミネート装置100の長辺方向に沿って、底面1aに対してそれぞれ垂直に設けられる複数の支柱1bと、ラミネート装置100の長辺とそれぞれ平行に支柱1bの上に設けられる2本のパイプ1cとを有する。また、架台フレーム1のパイプ1c上部には、後述するダイヤフラム引っ張り治具(不図示)200を取り付けるための2種類の穴1d,1eが複数空けられている。架台フレーム1上には基台2が配置され、その上に下ケース3が配置される。
【0017】
ヒータ盤4は下ケース3内の上部に設けられる。ローラ6は、搬送シート5を下ケース3およびヒータ盤4に沿って、例えば反時計回りに移動させる。搬送シート5には、その右側に設けられる供給コンベア(不図示)から、例えば太陽電池モジュールとなる3組の被ラミネート体(不図示)が供給される。搬送シート5は被ラミネート体を搬送して、ヒータ盤4上の所定の位置に載置する。被ラミネート体の大きさは、例えば1000mm×1500mmである。
【0018】
ヒータ盤4は被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行い、太陽電池モジュールを製造する。ヒータ盤4上には3つの被ラミネート体を載置でき、ラミネート装置100は3つの被ラミネート体を同時にラミネート加工できる。形成された太陽電池モジュールは、搬送シート5から、その左側に設けられる搬出コンベア(不図示)に搬出される。
【0019】
一方、上ケース7は下ケース3と対向して配置される。上ケース7の下面側は開口しており、開口した部分にダイヤフラム8が設けられる。より具体的には、ダイヤフラム取付枠9と上ケース7の下側表面との間にダイヤフラム8が挟まれ、ダイヤフラム取付枠9はC型金具10を用いて上ケース7に固定される。C型金具10の代わりにボルト等、他の部材を用いてダイヤフラム取付枠9を上ケース7に固定してもよい。
【0020】
ダイヤフラム取付枠9の大きさは、例えば2150mm×4000mmである。また、ダイヤフラム8はダイヤフラム取付枠9より若干大きく、例えば2300mm×4200mmである。ダイヤフラム8は、上ケース7および下ケース8内の圧力差とヒータ盤4に加熱されることにより膨張し、被ラミネート体を支障なく狭圧できるよう、シリコン系またはブチル系等の弾性および耐熱性がある材料が用いられる。
【0021】
本明細書では、ダイヤフラム8および上ケース7の内壁面により囲まれた領域を上チャンバと呼ぶ。上ケース7には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、上チャンバ内を真空にすることができる。
【0022】
図1に示すように、昇降装置11は、ラミネート装置100の長辺方向に沿って各2箇所ずつに、合計4つ設けられる。図3に示すように、シリンダ12の先端は上ケース7に接続される。シリンダ12はリニアガイド13に取り付けられ、レール(不図示)上で伸縮する。シリンダ12が伸びると上ケース7が上昇して、被ラミネート体または形成された太陽電池モジュールは開放される。一方、シリンダ12が縮むと上ケース7が下降して、搬送シート5上の被ラミネート体とダイヤフラム8とが密着する。
【0023】
本明細書では、ダイヤフラム8および下ケース3の内壁面で囲まれる領域を下チャンバと呼ぶ。下ケース3には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、下チャンバ内を真空にすることができる。
【0024】
図4は、ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャートである。まず、上ケース7を上昇させた状態で、搬送シート5により被ラミネート体をヒータ盤4の上まで搬送する(ステップS1)。次に、上ケース7を下降させ、上ケース7と下ケース3とを密閉する(ステップS2)。これにより、上ケース7および下ケース3の内部に、ダイヤフラム8によって仕切られた上チャンバおよび下チャンバが形成される。続いて、この上チャンバおよび下チャンバを真空にする(ステップS3)。
【0025】
この状態で上チャンバに大気を導入すると、ダイヤフラム8が下方に膨張し、被ラミネート体が狭圧される(ステップS4)。さらに、ヒータ盤4で被ラミネート体を加熱する(ステップS5)。これにより被ラミネート体はラミネートされ、太陽電池モジュールが製造される。その後、下チャンバに大気を導入し(ステップS6)、上チャンバを上昇させた後(ステップS7)、搬送シート5により太陽電池モジュールを搬出する(ステップS8)。
【0026】
ラミネート装置100の製造時には、ダイヤフラム8を上ケース7に取り付けなければならない。また、ラミネート加工を繰り返し行うと、ダイヤフラム8は劣化し、ステップS3で上チャンバおよび下チャンバを真空に保つことができなくなる。そのため、定期的にダイヤフラム8を交換しなければならない。そこで、以下に説明するダイヤフラム引っ張り治具(以下、引っ張り治具)200を用いて、少人数で安全にダイヤフラム8を上ケース7に取り付ける。
【0027】
図5は、引っ張り治具200の平面図であり、図6は、引っ張り治具200の側面図である。図5および図6はダイヤフラム8を挟んだ状態を示している。引っ張り治具200は、ダイヤフラム8を挟んで引っ張った状態でダイヤフラム8を上ケース7に取り付けることにより、ダイヤフラム8に皺が生じるのを防止するためのものである。引っ張り治具200は、ベース21と、下プレート22と、上プレート23と、2つの下方圧え型トグルクランプ(第1のクランプ)24と、押し引きトグルクランプ(第2のクランプ)25と、固定ピン26と、回転防止ピン27とを備えている。
【0028】
図6に示すように、下プレート22はベース21上で移動可能に配置される。下方圧え型トグルクランプ24は下プレート22に固定される。下プレート22と上プレート23との間にダイヤフラム8の縁部の一部を挟み、下方圧え型トグルクランプ24のレバー24aを反時計回りに回してダイヤフラム8を狭圧することにより、ダイヤフラム8は引っ張り治具200に固定される。このように、下プレート22、上プレート23および下方圧え型トグルクランプ24は、狭圧部材を構成する。下方圧え型トグルクランプ24を用いることで、ダイヤフラム8の狭圧および取り外しを短時間で行うことができる。
【0029】
また、押し引きトグルクランプ25の固定部25aはベース21の上側に固定され、先端部25bは下プレート22に固定されている。押し引きトグルクランプ25のレバー25cを反時計回りに回すと、先端部25bが固定部25a側に引っ張られ、下プレート22はベース21上で外側へ移動する。これにより、下プレート22と上プレート23との間に固定されるダイヤフラム8は外側に引っ張られ、上ケース7への取付時にダイヤフラム8に皺が生じるのを防止できる。
【0030】
ここで、ダイヤフラム8を辺に対して垂直ではなく、皺が延びるように斜め方向に引っ張るのが望ましい。そのため、押し引きトグルクランプ25の先端部25bを下プレート22の中央付近に固定し、固定部25aをベース21の中央ではなく、左側あるいは右側に固定するのがよい。固定部25aをベース21の左側に固定した引っ張り治具200と、右側に固定した引っ張り治具200の2種類を用意しておき、ダイヤフラム8の取付時には、皺が生じない向きにダイヤフラム8を引っ張るよう、使い分ければよい。
【0031】
以下では、上記2種類を特に区別する場合に限って、図5のように固定部25aを左側に固定した引っ張り治具200を引っ張り治具200L、右側に固定した引っ張り治具200を引っ張り治具200Rと表記する。
【0032】
また、図6に示すように、固定ピン26はベース21の下側に取り付けられている。回転防止ピン27はベース21に空けられた穴に嵌挿する部材である。図1に示すように、ラミネート装置100の架台フレーム1には固定ピン26用の穴1dおよび回転防止ピン27用の穴1eが空けられている。穴1dに固定ピン26を差し込むことにより、引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付けることができる。さらに、穴1eに回転防止ピン27を差し込むことにより、ダイヤフラム8を斜め方向に引っ張る際に、ダイヤフラム8と同じ平面上で引っ張り治具200が回転するのを防止できる。このように、固定ピン26および回転防止ピン27は固定部材を構成する。穴1d,1eに固定ピン26および回転防止ピン27を差し込む方式であるので、簡易に引っ張り治具200を架台フレーム1に着脱できる。
【0033】
図7は、図5の引っ張り治具200の変形例である。図6との違いは、下方圧え型トグルクランプ24に代えて、ボルト28で下プレート22と上プレート23とを締め付けて、ダイヤフラム8を狭圧する点である。すなわち、図7では、下プレート22、上プレート23およびボルト28により狭圧部材を構成する。ボルト28を用いると、下方圧え型トグルクランプ24を用いる場合と比べ、ダイヤフラム8の固定および取り外しに時間を要するが、より確実かつ低コストでダイヤフラム8を固定できる。
【0034】
図8は、ダイヤフラム8を取り付ける手順を示すフローチャートである。まず、上ケース7を上昇させた状態で、下ケース3のヒータ盤4上にダイヤフラム取付枠9を置き、その上にダイヤフラム8を広げる(ステップS11)。図9は、ヒータ盤4上にダイヤフラム8を広げた様子を示すラミネート装置100の短辺方向の側面図であり、図10は、図9のC方向から見た平面図である。上述のように、ダイヤフラム8はダイヤフラム取付枠9より若干大きい。
【0035】
次に、上ケース7を下降させ、ヒータ盤4によりダイヤフラム8を加熱してダイヤフラム8を膨張させる(ステップS12)。図11は、ダイヤフラム8を膨張させる様子を示すラミネート装置100の側面図である。ラミネート加工を行う際にダイヤフラム8が熱膨張する(図4のステップS4)ことを念頭に置いて、予め熱膨張させておく。加熱後は上ケース7を上昇させておく(ステップS13)。
【0036】
その後、ダイヤフラム8を引っ張るための複数の引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付ける(ステップS14)。図12(a)は、ラミネート装置100と、その架台フレーム1に取り付けられた引っ張り治具200の短辺方向の側面図であり、同図(b)は、引っ張り治具200付近の拡大図である。上述のように、架台フレーム1のパイプ1cに空けられた固定ピン26用の穴1dおよび回転防止ピン27用の穴1eに、引っ張り治具200の固定ピン26および回転防止ピン27をそれぞれ差し込むことにより、引っ張り治具200を確実に架台フレーム1に取り付けることができる。
【0037】
図13は、架台フレーム1に複数の引っ張り治具200が取り付けられたラミネート装置100の平面図である。図示のように、ダイヤフラム8の長辺に沿って、複数の引っ張り治具200を取り付ける。ダイヤフラム8の長辺は例えば4200mmであり、この場合、引っ張り治具200同士の間隔を例えば700〜800mmとする。また、ダイヤフラム8に皺が生じないよう斜め方向に引っ張るために、架台フレーム1の位置に応じて、図示のように引っ張り治具200Lおよび引っ張り治具200Rのいずれかを適切に取り付ける。
【0038】
なお、本来であれば、ダイヤフラム8に皺が生じないようにするには、ダイヤフラム8の中心から放射状に引っ張るのがよい。ところが、放射状に引っ張るためには、引っ張り治具200を取り付ける架台フレーム1の位置ごとに、押し引きトグルクランプ25の角度を予め調整した引っ張り治具200を用意しなければならない。しかも、引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付ける際に、架台フレーム1の位置に応じた引っ張り治具200を見つける作業が必要となり、取付作業が煩雑になってしまう。
【0039】
しかしながら、ダイヤフラム8に皺が生じないようにするには、厳密に放射状に引っ張る必要はない。そのため、本実施形態では、2種類の引っ張り治具200L,200Rのみを用い、それぞれは互いに平行にダイヤフラム8を引っ張ることで、迅速に取付作業を行うことができる。
【0040】
引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付けた後、ダイヤフラム8をたるまないように引っ張り、ダイヤフラム8の縁部の一部を1つの引っ張り治具200に固定する(ステップS15)。より具体的には、ダイヤフラム8を下プレート22と上プレート23との間に挟んだ後、下方圧え型トグルクランプ24のレバー24aを回してダイヤフラム8を狭圧する。ここで、ダイヤフラム8をたるまないように引っ張る作業は、ダイヤフラム8を広げて皺を軽く伸ばす程度でも十分であり、例えば2人の作業者でダイヤフラム8の2つの長辺をそれぞれ持って引っ張ればよい。
【0041】
さらに、ダイヤフラム8を固定した引っ張り治具200の押し引きトグルクランプ25のレバー25cを回して、下プレート22および上プレート23を引っ張る(ステップS16)。これにより、ダイヤフラム8は外側に引っ張られる(ステップS16)。図14は、ダイヤフラム8を引っ張る様子を示す図である。同図に示すように、押し引きトグルクランプ25により、下プレート22および上プレート23に狭圧されるダイヤフラム8が斜め方向に引っ張られ、皺を伸ばすことができる。そして、引っ張り治具200は、ダイヤフラム8を引っ張った状態で固定することができる。
【0042】
次に、未だダイヤフラム8を引っ張っていない引っ張り治具200について、ステップS15,S16を順次行い、全ての引っ張り治具200でダイヤフラム8を引っ張る(ステップS17)。このとき、ダイヤフラム8の長辺の中央部から端部の順でダイヤフラム8を引っ張ることで、より皺を生じにくくすることができる。作業者がダイヤフラム8を引っ張るのではなく、ダイヤフラム8は引っ張り治具200で引っ張られた状態で固定されるため、これらの作業は2人程度の少人数で行うことができる。
【0043】
全ての引っ張り治具200でダイヤフラム8を引っ張った状態で、上ケース7を下降させる(ステップS18)。このとき、既にダイヤフラム8は引っ張り治具200に固定されているため、作業者はラミネート装置100から離れていてもよく、安全に上ケース7を下降させることができる。そして、C型金具10を用いて、ダイヤフラム取付枠9を上ケース7に固定する(ステップS19)。これにより、ダイヤフラム8はラミネート装置100の上ケース7に取り付けられる。
【0044】
このように、第1の実施形態では、引っ張り治具200を用いてダイヤフラム8を引っ張って固定する。1つずつ引っ張り治具200にダイヤフラム8を固定していくことで、少人数で、かつ、皺が生じることなく、ダイヤフラム8の取付作業を行える。また、引っ張り治具200でダイヤフラム8を固定するため、作業者がラミネート装置100から離れた状態で上ケース7を下降させて、ダイヤフラム8を上ケース7に取り付けることができ、安全に取付作業を行える。
【0045】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、ラミネート装置が上ケース7および下ケース3を1つずつ備えるものであった。これに対し、以下に説明する第2の実施形態は、ラミネート装置が上下に配置される2つずつの上ケース7および下ケース3を備えるものである。
【0046】
図15は、第2の実施形態に係るラミネート装置101の平面図、図16は、図15のD方向から見たラミネート装置101の短辺方向の側面図、図17は、図15のE方向から見たラミネート装置101の長辺方向の側面図である。図15〜図17では、図1〜図3と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0047】
図17に示すように、ラミネート装置101は、それぞれ2つずつの下ケース3a(第2の下ケース),3b(第1の下ケース)と、ヒータ盤4a,4bと、上ケース7a(第2の上ケース),7b(第1の上ケース)と、ダイヤフラム8a,8bと、ダイヤフラム取付枠9a,9cと、C型金具10a,10bと、昇降装置11a,11bとを備えている。下側の上ケース7bと上側の下ケース3aとはケース19として一体に形成されている。また、架台フレーム1は、図3と同様の支柱1bの他、昇降装置11a,11bを取り付ける支柱1fを有する。
【0048】
図16に示すように、ケース19は固定金具20で架台フレーム1に固定されている。これに対し、上側の上ケース7aは支柱1fの外側に取り付けられた昇降装置11aにより昇降可能である。上ケース7aが下降すると、ダイヤフラム8aおよび上ケース7aの内壁面により上側の上チャンバが形成され、ダイヤフラム8aおよび下ケース3aの内壁面により上側の下チャンバが形成される。
【0049】
一方、下側の下ケース3bは支柱1fの外側に取り付けられた昇降装置11bにより昇降可能である。下ケース3bが上昇すると、ダイヤフラム8bおよび上ケース7bの内壁面により下側の上チャンバが形成され、ダイヤフラム8bおよび下ケース3bの内壁面により下側の下チャンバが形成される。
【0050】
支柱1bの上に設けられるパイプ1cの上面は、ケース19の下面よりやや低い位置にある。また、ケース19の上方で上ケース7aを昇降できるよう、支柱1fは支柱1bより高い。
【0051】
図15〜図17のラミネート装置101は、上側の上チャンバと上側の下チャンバの間、および、下側の上チャンバと下側の下チャンバの間に被ラミネート体を挟んで同時にラミネート加工を行うことができるため、より効率よく太陽電池モジュール等を製造できる。なお、図面を簡略化するために、ヒータ盤4a上に被ラミネート体を搬送する搬送シートを省略している。
【0052】
図18は、図15のラミネート装置101に用いられる引っ張り治具201の側面図である。図18の引っ張り治具201は、図5および図6に示す2つの引っ張り治具200を、連結棒(連結部材)29で溶接して連結したものである。但し、上部のベース21には固定ピン26および回転防止ピン27は設けられない。
【0053】
図19は、ダイヤフラム8a,8bを取り付ける様子を示すラミネート装置101の短辺方向の側面図である。上段の上ケース7aに取り付けられるダイヤフラム8aは、第1の実施形態の図8とほぼ同様の手順により取り付けることができる。すなわち、上段の下ケース3a上にダイヤフラム取付枠9aを置き、その上にダイヤフラム8aを広げ、引っ張り治具201の上段を用いて取付作業を行うことができる。上記の作業ができるよう、引っ張り治具201はケース19の高さを考慮して連結棒29が形成される。
【0054】
一方、下段の上ケース7bには、以下のようにしてダイヤフラム8bを取り付ける。図20は、ダイヤフラム8bを取り付ける手順を示すフローチャートである。まず、下ケース3b上にダイヤフラム取付枠9bを置き、その上にダイヤフラム8bを広げる(ステップS21)。このとき、作業を行いやすいよう、昇降装置11bで下ケース3bを下降させて、下ケース3bとケース19との距離を十分に確保するのがよい。
【0055】
次に、下ケース3bを上昇させ、ダイヤフラム8bを加熱して膨張させる(ステップS22)。なお、下ケース3bを上昇させることにより、ダイヤフラム8bは上ケース7bの下側表面に接触する。続いて、引っ張り治具201を架台フレーム1に取り付ける(ステップS23)。下ケース3bを上昇させると、パイプ1cの上面と下ケース3b上に置いたダイヤフラム取付枠9の上面とがほぼ同じ高さになる。そのため、引っ張り治具201の下段の下プレート22および上プレート23でダイヤフラム8bを狭圧して引っ張ることができるようになる。このようにして、ダイヤフラム8bを全ての引っ張り治具201で引っ張る(ステップS24〜S26)。
【0056】
そして、C型金具10を用いて、ダイヤフラム取付枠9bを上ケース7bに固定する(ステップS27)。これにより、下側の上ケース7bにダイヤフラム8bが取り付けられる。
【0057】
このように、第2の実施形態の引っ張り治具201は、図5および図6に示す2つの引っ張り治具200を、ケース19の高さに合わせた連結棒29で連結して形成される。そのため、上チャンバおよび下チャンバが2つずつ形成されるラミネート装置101に、並行して効率よく2つのダイヤフラム8a,8bを取り付けることができる。
【0058】
なお、上述したラミネート装置101は、ケース19を固定とし、上段の上ケース7aおよび下段の下ケース7bを昇降可能としたが、下ケース7bを固定とし、ケース19および上ケース7aを昇降可能としてもよい。この場合、パイプ1cの高さを下ケース3bの上面に合わせればよい。また、3段以上の上ケース7および下ケース3を備えるラミネート装置の場合は、その段数と同数の引っ張り治具200を連結した引っ張り治具を形成してもよいし、図5および図6の引っ張り治具200や図16の引っ張り治具201を用いて、1つまたは2つずつダイヤフラム8を取り付けてもよい。
【0059】
(第3の実施形態)
ラミネート加工を行う際に、上ケース7を下降させたり(図4のステップS2)、上昇させたり(ステップS7)する。また、ダイヤフラム8の取付時にも上ケース7を下降させたり(図8のステップS12,S18)、上昇させたり(ステップS13)する。このとき、上ケース7が傾いていると、上チャンバおよび下チャンバを閉じることができない。また、リニアガイド13やシリンダ12が破損するおそれもある。そこで、以下に説明する第3の実施形態は、上ケース7の昇降時に、上ケース7の傾きを検出するものである。
【0060】
図21は、ラミネート装置100に用いられる昇降装置11の概略構成を示す側面図である。同図の昇降装置11は、シリンダ12と、リニアガイド13と、レール14と、ガイドプレート15と、検出ヘッド17およびスケール18からなるリニアスケール16とを有する。検出ヘッド17はリニアガイド13に取り付けられて、シリンダ12の伸縮に合わせて昇降する。検出ヘッド17は制御装置(不図示)に接続されている。スケール18は磁石でできており、レール14と平行に設けられる。
【0061】
シリンダ12が伸縮して検出ヘッド17が移動すると、検出ヘッド17により検出される磁極が切り替わる。その切り替わり数を制御装置でカウントすることにより、シリンダ12の高さ情報、すなわち、所定位置を基準とする検出ヘッド17の高さが検出される。
【0062】
4つの昇降装置11がラミネート装置100の4箇所に設けられるが、各昇降装置11の高さ情報の検出は制御装置により同時に一定間隔(例えば数ms)ごとに行われており、昇降を止めることなく検出可能である。4つの昇降装置11内のリニアスケール16が検出する各高さ情報に基づいて、上ケース7が傾いているか否かを判断できる。
【0063】
図22は、上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャートである。制御装置が上ケース7に対して下降指令を出すと(ステップS31)、4つの昇降装置11が稼働し、上ケース7が下降する(ステップS32)。次に、制御装置は4つのリニアスケール16の高さ情報を読み取る(ステップS33)。
【0064】
制御装置は読み取った4つの高さ情報の最大値と最小値とを比較する。これらの差が所定の閾値を超える場合(ステップS34のNO)、制御装置は上ケース7が傾いていると判断し、上ケース7の下降を停止させる(ステップS35)。さらに、警報を発し、作業者に上ケース7が傾いていることを知らせてもよい。一方、4つの高さ情報の最大値と最小値の差が、所定の閾値以下である場合(ステップS34のYES)、上ケース7が傾いていないと判断し、上ケース7の下降を続行する。以上の処理動作を、上ケース7が下降端に達するまで繰り返す(ステップS36)。
【0065】
なお、所定の閾値とは、ラミネート装置100が正常に動作できる許容範囲である。この許容範囲は上ケース7の面積やリニアスケール16の間隔に応じて定められる値であり、例えば10mmである。この閾値は、予めユーザインターフェースにより制御装置に設定される。また、制御装置は一定時間間隔ごとに4つの高さ情報を取得して、ステップS33〜S36の制御を行う。
【0066】
図23は、上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の別の一例を示すフローチャートである。本例は、上ケース7の傾きが検出された場合に、その傾きを自動補正するものである。そのために、シリンダ12を駆動する油圧ポンプ(不図示)とシリンダ12との間に電磁弁(不図示)を設け、電磁弁を開くことにより上ケース7を下降させることを念頭に置いている。
【0067】
まず、制御装置が上ケース7に対して下降指令を出すと(ステップS41)、各昇降装置11の電磁弁が開き(ステップS42)、上ケース7が下降する(ステップS43)。次に、制御装置は4つのリニアスケール16の高さ情報を読み取る(ステップS44)。
【0068】
そして、制御装置は、読み取った4つの高さ情報の最大値と最小値とを比較する。これらの差が所定の閾値を超える場合(ステップS45のNO)、制御装置は上ケース7が傾いていると判断する。そして、制御装置は最も高い位置にあるシリンダ12のみを下降させる(ステップS46)。より具体的には、制御装置は最も高さ情報が大きいシリンダ12を除く3本のシリンダ12の電磁弁を閉じる。
【0069】
電磁弁を閉じてから所定時間(例えば5秒間)経過するまで、ステップS43〜S47を繰り返し(ステップS47)、上ケース7の傾きを補正する。何らかの原因により、ステップS46で電磁弁を閉じて所定時間経過しても上ケース7が傾いている場合(ステップS47のYES)、制御装置は上ケース7の下降を停止させる(ステップS48)。さらに、警報を発し、作業者に上ケース7が傾いていることを知らせてもよい。
【0070】
一方、4つの高さ情報の最大値と最小値の差が閾値以下である場合(ステップS45のYES)、制御装置は上ケース7が傾いていないと判断する。そして、ステップS46で閉じられた電磁弁がある場合はそれらを開いて(ステップS49)、上ケース7の下降を続行する。以上の処理動作を、上ケース7が下降端に達するまで繰り返す(ステップS50)。
【0071】
なお、図22および図23は、上ケース7を下降させる場合を例に取って説明したが、上昇させる場合も同様の処理動作を行うことができる。また、図21は、リニアスケール16が昇降装置11内に設けられる例を示したが、例えば下ケース3の四隅に配置されてもよい。この場合、スケール18を下ケース3に、検出ヘッド17を上ケース7に取り付け、検出ヘッド17を上ケース7に同期して移動させることにより、上ケース7の高さ情報を検出できる。
【0072】
また、リニアスケール16に代えて、高精度な傾斜センサを用いて上ケース7の傾きを検出してもよい。例えば、昇降装置11の間隔が3000mm、上ケース7の傾きの許容範囲が10mmである場合、0.2度の傾斜角度を検出可能な傾斜センサであればよい。
【0073】
このように、第3の実施形態では、上ケース7を昇降させる際、上ケース7の傾きを検出し、傾いている場合は昇降を停止する。そのため、ラミネート装置100が破損するのを防止できる。
【0074】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 架台フレーム
2 基台
3 下ケース
4 ヒータ盤
7 上ケース
8 ダイヤフラム
9 ダイヤフラム取付枠
21 ベース
22 下プレート
23 上プレート
24 下方圧え型トグルクランプ
25 押し引きトグルクランプ
26 固定ピン
27 回転防止ピン
100,101 ラミネート装置
200,201 ダイヤフラム引っ張り治具
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル等をラミネート加工するラミネート装置、ラミネート装置にダイヤフラムを取り付けるためのダイヤフラム引っ張り治具、および、ラミネート装置へのダイヤフラム取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルの材料として、例えばシリコンが用いられる。シリコンは化学変化を起こしやすく、また物理的衝撃にも弱いので、シリコンをカバーガラスなどでラミネート加工して太陽電池モジュールを製造するのが一般的である。
【0003】
ラミネート加工を行うラミネート装置は、上ケースの下側に取り付けられるダイヤフラムで被ラミネート体を狭圧しつつ、下ケースの上側に設けられるヒータ盤でこれを加熱し、太陽電池モジュールを製造する。
【0004】
ダイヤフラムは使用する度に劣化するので、定期的に交換しなければならない。特許文献1では、まず、ダイヤフラム取付枠上にダイヤフラムを拡げ、次に、上ケースをダイヤフラム上に下降させてダイヤフラム取付枠を上ケースに固定することにより、ダイヤフラムを上ケースに取り付けられる手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3890206号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイヤフラムに皺が生じるのを防ぐためには、作業者がダイヤフラムを手で四方に引っ張らなければならない。ダイヤフラムは、例えば2m×4m程度の大きさであり、これを四方に引っ張るためには大人数で作業を行う必要がある。また、ダイヤフラムを引っ張った状態で上ケースを下降させるため、ダイヤフラムを引っ張る手が上ケースとダイヤフラム取付枠との間に挟まれる危険がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少人数で安全にダイヤフラムを取り付けるためのダイヤフラム引っ張り治具、このダイヤフラム引っ張り治具を取付可能なラミネート装置、および、ダイヤフラムの取付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ラミネート装置にダイヤフラムを取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具が提供される。ダイヤフラム引っ張り治具は、ベースと、固定部材と、狭圧部材と、引っ張り部材とを備える。固定部材は、前記ベースを前記ラミネート装置に固定する。狭圧部材は、前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する。引っ張り部材は、前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、上面が開口した第1の下ケースと、下面が開口し、前記第1の下ケースと対向して配置される第1の上ケースと、上面が開口し、前記第1の上ケースの上方に設けられる第2の下ケースと、下面が開口し、前記第2の下ケースと対向して配置される第2の上ケースと、を備えるラミネート装置の前記第1および第2の上ケースに第1および第2のダイヤフラムをそれぞれ取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具が提供される。ダイヤフラム引っ張り治具は、第1および第2のベースと、連結部材と、固定部材と、第1の狭圧部材と、第1の引っ張り部材と、第2の狭圧部材と、第2の引っ張り部材とを備える。連結部材は、前記第1のベースと前記第2のベースとを連結する。固定部材は、前記第1のベースを前記ラミネート装置に固定する。第1の狭圧部材は、前記第1のベース上に設けられ、前記第1のダイヤフラムの一部を狭圧する。第1の引っ張り部材は、前記第1の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る。第2の狭圧部材は、前記第2のベース上に設けられ、前記第2のダイヤフラムの一部を狭圧する。第2の引っ張り部材は、前記第2の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、上面が開口した下ケースと、上ケースと、ヒータ盤と、架台フレームとを備えるラミネート装置が提供される。上ケースは、下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される。ヒータ盤は、前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行う。架台フレームは、前記下ケースを支持する。ラミネート装置は、前記ダイヤフラムを前記上ケースの下面側に取り付ける際に、ベースと、前記ベースを架台フレームに固定する固定部材と、前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する狭圧部材と、前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る引っ張り部材と、を有するダイヤフラム引っ張り治具を取付可能である。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、上面が開口した下ケースと、下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される上ケースと、前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、前記下ケースを支持する架台フレームと、を備えるラミネート装置の前記ダイヤフラムを、前記上ケースの下面側に取り付ける方法が提供される。まず、前記上ケースが上昇した状態で、前記下ケース上にダイヤフラム取付枠を置き、その上に前記ダイヤフラムを広げる。次に、前記架台フレームに固定された狭圧部材で、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する。次に、前記ダイヤフラムの一部を狭圧した状態で、前記ラミネート装置の外側に向かって前記狭圧部材を引っ張る。次に、前記上ケースを前記ダイヤフラム上に下降させる。さらに、前記ダイヤフラム取付枠を前記上ケースの下面側に取り付ける
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ラミネート装置にダイヤフラム引っ張り治具を設置し、このダイヤフラム引っ張り治具でダイヤフラムを引っ張るため、少人数で安全にダイヤフラムを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るラミネート装置100の平面図。
【図2】図1のA方向から見たラミネート装置100の短辺方向の側面図。
【図3】図1のB方向から見たラミネート装置100の長辺方向の側面図。
【図4】ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャート。
【図5】引っ張り治具200の平面図。
【図6】引っ張り治具200の側面図。
【図7】図5の引っ張り治具200の変形例。
【図8】ダイヤフラム8を取り付ける手順を示すフローチャート。
【図9】ヒータ盤4上にダイヤフラム8を広げた様子を示すラミネート装置100の短辺方向の側面図。
【図10】図9のC方向から見た平面図。
【図11】ダイヤフラム8を膨張させる様子を示すラミネート装置100の側面図。
【図12】ラミネート装置100と、その架台フレーム1に取り付けられた引っ張り治具200の短辺方向の側面図。
【図13】架台フレーム1に複数の引っ張り治具200が取り付けられたラミネート装置100の平面図。
【図14】ダイヤフラム8を引っ張る様子を示す図。
【図15】第2の実施形態に係るラミネート装置101の平面図。
【図16】図15のD方向から見たラミネート装置101の短辺方向の側面図。
【図17】図15のE方向から見たラミネート装置101の長辺方向の側面図。
【図18】図15のラミネート装置に用いられる引っ張り治具201の側面図。
【図19】ダイヤフラム8を取り付ける様子を示すラミネート装置101の短辺方向の側面図。
【図20】ダイヤフラム8bを取り付ける手順を示すフローチャート。
【図21】ラミネート装置100に用いられる昇降装置11の概略構成を示す側面図。
【図22】上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図23】上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の別の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るダイヤフラム引っ張り治具、ラミネート装置およびダイヤフラム取付方法の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るラミネート装置100の平面図、図2は、図1のA方向から見たラミネート装置100の短辺方向の側面図、図3は、図1のB方向から見たラミネート装置100の長辺方向の側面図である。ラミネート装置100は、架台フレーム1と、基台2と、下ケース3と、ヒータ盤4と、搬送シート5と、ローラ6と、上ケース7と、ダイヤフラム8と、ダイヤフラム取付枠9と、C型金具10と、シリンダ12およびリニアガイド13からなる昇降装置11とを備えている。
【0016】
架台フレーム1は、底面1aと、ラミネート装置100の長辺方向に沿って、底面1aに対してそれぞれ垂直に設けられる複数の支柱1bと、ラミネート装置100の長辺とそれぞれ平行に支柱1bの上に設けられる2本のパイプ1cとを有する。また、架台フレーム1のパイプ1c上部には、後述するダイヤフラム引っ張り治具(不図示)200を取り付けるための2種類の穴1d,1eが複数空けられている。架台フレーム1上には基台2が配置され、その上に下ケース3が配置される。
【0017】
ヒータ盤4は下ケース3内の上部に設けられる。ローラ6は、搬送シート5を下ケース3およびヒータ盤4に沿って、例えば反時計回りに移動させる。搬送シート5には、その右側に設けられる供給コンベア(不図示)から、例えば太陽電池モジュールとなる3組の被ラミネート体(不図示)が供給される。搬送シート5は被ラミネート体を搬送して、ヒータ盤4上の所定の位置に載置する。被ラミネート体の大きさは、例えば1000mm×1500mmである。
【0018】
ヒータ盤4は被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行い、太陽電池モジュールを製造する。ヒータ盤4上には3つの被ラミネート体を載置でき、ラミネート装置100は3つの被ラミネート体を同時にラミネート加工できる。形成された太陽電池モジュールは、搬送シート5から、その左側に設けられる搬出コンベア(不図示)に搬出される。
【0019】
一方、上ケース7は下ケース3と対向して配置される。上ケース7の下面側は開口しており、開口した部分にダイヤフラム8が設けられる。より具体的には、ダイヤフラム取付枠9と上ケース7の下側表面との間にダイヤフラム8が挟まれ、ダイヤフラム取付枠9はC型金具10を用いて上ケース7に固定される。C型金具10の代わりにボルト等、他の部材を用いてダイヤフラム取付枠9を上ケース7に固定してもよい。
【0020】
ダイヤフラム取付枠9の大きさは、例えば2150mm×4000mmである。また、ダイヤフラム8はダイヤフラム取付枠9より若干大きく、例えば2300mm×4200mmである。ダイヤフラム8は、上ケース7および下ケース8内の圧力差とヒータ盤4に加熱されることにより膨張し、被ラミネート体を支障なく狭圧できるよう、シリコン系またはブチル系等の弾性および耐熱性がある材料が用いられる。
【0021】
本明細書では、ダイヤフラム8および上ケース7の内壁面により囲まれた領域を上チャンバと呼ぶ。上ケース7には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、上チャンバ内を真空にすることができる。
【0022】
図1に示すように、昇降装置11は、ラミネート装置100の長辺方向に沿って各2箇所ずつに、合計4つ設けられる。図3に示すように、シリンダ12の先端は上ケース7に接続される。シリンダ12はリニアガイド13に取り付けられ、レール(不図示)上で伸縮する。シリンダ12が伸びると上ケース7が上昇して、被ラミネート体または形成された太陽電池モジュールは開放される。一方、シリンダ12が縮むと上ケース7が下降して、搬送シート5上の被ラミネート体とダイヤフラム8とが密着する。
【0023】
本明細書では、ダイヤフラム8および下ケース3の内壁面で囲まれる領域を下チャンバと呼ぶ。下ケース3には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、下チャンバ内を真空にすることができる。
【0024】
図4は、ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャートである。まず、上ケース7を上昇させた状態で、搬送シート5により被ラミネート体をヒータ盤4の上まで搬送する(ステップS1)。次に、上ケース7を下降させ、上ケース7と下ケース3とを密閉する(ステップS2)。これにより、上ケース7および下ケース3の内部に、ダイヤフラム8によって仕切られた上チャンバおよび下チャンバが形成される。続いて、この上チャンバおよび下チャンバを真空にする(ステップS3)。
【0025】
この状態で上チャンバに大気を導入すると、ダイヤフラム8が下方に膨張し、被ラミネート体が狭圧される(ステップS4)。さらに、ヒータ盤4で被ラミネート体を加熱する(ステップS5)。これにより被ラミネート体はラミネートされ、太陽電池モジュールが製造される。その後、下チャンバに大気を導入し(ステップS6)、上チャンバを上昇させた後(ステップS7)、搬送シート5により太陽電池モジュールを搬出する(ステップS8)。
【0026】
ラミネート装置100の製造時には、ダイヤフラム8を上ケース7に取り付けなければならない。また、ラミネート加工を繰り返し行うと、ダイヤフラム8は劣化し、ステップS3で上チャンバおよび下チャンバを真空に保つことができなくなる。そのため、定期的にダイヤフラム8を交換しなければならない。そこで、以下に説明するダイヤフラム引っ張り治具(以下、引っ張り治具)200を用いて、少人数で安全にダイヤフラム8を上ケース7に取り付ける。
【0027】
図5は、引っ張り治具200の平面図であり、図6は、引っ張り治具200の側面図である。図5および図6はダイヤフラム8を挟んだ状態を示している。引っ張り治具200は、ダイヤフラム8を挟んで引っ張った状態でダイヤフラム8を上ケース7に取り付けることにより、ダイヤフラム8に皺が生じるのを防止するためのものである。引っ張り治具200は、ベース21と、下プレート22と、上プレート23と、2つの下方圧え型トグルクランプ(第1のクランプ)24と、押し引きトグルクランプ(第2のクランプ)25と、固定ピン26と、回転防止ピン27とを備えている。
【0028】
図6に示すように、下プレート22はベース21上で移動可能に配置される。下方圧え型トグルクランプ24は下プレート22に固定される。下プレート22と上プレート23との間にダイヤフラム8の縁部の一部を挟み、下方圧え型トグルクランプ24のレバー24aを反時計回りに回してダイヤフラム8を狭圧することにより、ダイヤフラム8は引っ張り治具200に固定される。このように、下プレート22、上プレート23および下方圧え型トグルクランプ24は、狭圧部材を構成する。下方圧え型トグルクランプ24を用いることで、ダイヤフラム8の狭圧および取り外しを短時間で行うことができる。
【0029】
また、押し引きトグルクランプ25の固定部25aはベース21の上側に固定され、先端部25bは下プレート22に固定されている。押し引きトグルクランプ25のレバー25cを反時計回りに回すと、先端部25bが固定部25a側に引っ張られ、下プレート22はベース21上で外側へ移動する。これにより、下プレート22と上プレート23との間に固定されるダイヤフラム8は外側に引っ張られ、上ケース7への取付時にダイヤフラム8に皺が生じるのを防止できる。
【0030】
ここで、ダイヤフラム8を辺に対して垂直ではなく、皺が延びるように斜め方向に引っ張るのが望ましい。そのため、押し引きトグルクランプ25の先端部25bを下プレート22の中央付近に固定し、固定部25aをベース21の中央ではなく、左側あるいは右側に固定するのがよい。固定部25aをベース21の左側に固定した引っ張り治具200と、右側に固定した引っ張り治具200の2種類を用意しておき、ダイヤフラム8の取付時には、皺が生じない向きにダイヤフラム8を引っ張るよう、使い分ければよい。
【0031】
以下では、上記2種類を特に区別する場合に限って、図5のように固定部25aを左側に固定した引っ張り治具200を引っ張り治具200L、右側に固定した引っ張り治具200を引っ張り治具200Rと表記する。
【0032】
また、図6に示すように、固定ピン26はベース21の下側に取り付けられている。回転防止ピン27はベース21に空けられた穴に嵌挿する部材である。図1に示すように、ラミネート装置100の架台フレーム1には固定ピン26用の穴1dおよび回転防止ピン27用の穴1eが空けられている。穴1dに固定ピン26を差し込むことにより、引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付けることができる。さらに、穴1eに回転防止ピン27を差し込むことにより、ダイヤフラム8を斜め方向に引っ張る際に、ダイヤフラム8と同じ平面上で引っ張り治具200が回転するのを防止できる。このように、固定ピン26および回転防止ピン27は固定部材を構成する。穴1d,1eに固定ピン26および回転防止ピン27を差し込む方式であるので、簡易に引っ張り治具200を架台フレーム1に着脱できる。
【0033】
図7は、図5の引っ張り治具200の変形例である。図6との違いは、下方圧え型トグルクランプ24に代えて、ボルト28で下プレート22と上プレート23とを締め付けて、ダイヤフラム8を狭圧する点である。すなわち、図7では、下プレート22、上プレート23およびボルト28により狭圧部材を構成する。ボルト28を用いると、下方圧え型トグルクランプ24を用いる場合と比べ、ダイヤフラム8の固定および取り外しに時間を要するが、より確実かつ低コストでダイヤフラム8を固定できる。
【0034】
図8は、ダイヤフラム8を取り付ける手順を示すフローチャートである。まず、上ケース7を上昇させた状態で、下ケース3のヒータ盤4上にダイヤフラム取付枠9を置き、その上にダイヤフラム8を広げる(ステップS11)。図9は、ヒータ盤4上にダイヤフラム8を広げた様子を示すラミネート装置100の短辺方向の側面図であり、図10は、図9のC方向から見た平面図である。上述のように、ダイヤフラム8はダイヤフラム取付枠9より若干大きい。
【0035】
次に、上ケース7を下降させ、ヒータ盤4によりダイヤフラム8を加熱してダイヤフラム8を膨張させる(ステップS12)。図11は、ダイヤフラム8を膨張させる様子を示すラミネート装置100の側面図である。ラミネート加工を行う際にダイヤフラム8が熱膨張する(図4のステップS4)ことを念頭に置いて、予め熱膨張させておく。加熱後は上ケース7を上昇させておく(ステップS13)。
【0036】
その後、ダイヤフラム8を引っ張るための複数の引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付ける(ステップS14)。図12(a)は、ラミネート装置100と、その架台フレーム1に取り付けられた引っ張り治具200の短辺方向の側面図であり、同図(b)は、引っ張り治具200付近の拡大図である。上述のように、架台フレーム1のパイプ1cに空けられた固定ピン26用の穴1dおよび回転防止ピン27用の穴1eに、引っ張り治具200の固定ピン26および回転防止ピン27をそれぞれ差し込むことにより、引っ張り治具200を確実に架台フレーム1に取り付けることができる。
【0037】
図13は、架台フレーム1に複数の引っ張り治具200が取り付けられたラミネート装置100の平面図である。図示のように、ダイヤフラム8の長辺に沿って、複数の引っ張り治具200を取り付ける。ダイヤフラム8の長辺は例えば4200mmであり、この場合、引っ張り治具200同士の間隔を例えば700〜800mmとする。また、ダイヤフラム8に皺が生じないよう斜め方向に引っ張るために、架台フレーム1の位置に応じて、図示のように引っ張り治具200Lおよび引っ張り治具200Rのいずれかを適切に取り付ける。
【0038】
なお、本来であれば、ダイヤフラム8に皺が生じないようにするには、ダイヤフラム8の中心から放射状に引っ張るのがよい。ところが、放射状に引っ張るためには、引っ張り治具200を取り付ける架台フレーム1の位置ごとに、押し引きトグルクランプ25の角度を予め調整した引っ張り治具200を用意しなければならない。しかも、引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付ける際に、架台フレーム1の位置に応じた引っ張り治具200を見つける作業が必要となり、取付作業が煩雑になってしまう。
【0039】
しかしながら、ダイヤフラム8に皺が生じないようにするには、厳密に放射状に引っ張る必要はない。そのため、本実施形態では、2種類の引っ張り治具200L,200Rのみを用い、それぞれは互いに平行にダイヤフラム8を引っ張ることで、迅速に取付作業を行うことができる。
【0040】
引っ張り治具200を架台フレーム1に取り付けた後、ダイヤフラム8をたるまないように引っ張り、ダイヤフラム8の縁部の一部を1つの引っ張り治具200に固定する(ステップS15)。より具体的には、ダイヤフラム8を下プレート22と上プレート23との間に挟んだ後、下方圧え型トグルクランプ24のレバー24aを回してダイヤフラム8を狭圧する。ここで、ダイヤフラム8をたるまないように引っ張る作業は、ダイヤフラム8を広げて皺を軽く伸ばす程度でも十分であり、例えば2人の作業者でダイヤフラム8の2つの長辺をそれぞれ持って引っ張ればよい。
【0041】
さらに、ダイヤフラム8を固定した引っ張り治具200の押し引きトグルクランプ25のレバー25cを回して、下プレート22および上プレート23を引っ張る(ステップS16)。これにより、ダイヤフラム8は外側に引っ張られる(ステップS16)。図14は、ダイヤフラム8を引っ張る様子を示す図である。同図に示すように、押し引きトグルクランプ25により、下プレート22および上プレート23に狭圧されるダイヤフラム8が斜め方向に引っ張られ、皺を伸ばすことができる。そして、引っ張り治具200は、ダイヤフラム8を引っ張った状態で固定することができる。
【0042】
次に、未だダイヤフラム8を引っ張っていない引っ張り治具200について、ステップS15,S16を順次行い、全ての引っ張り治具200でダイヤフラム8を引っ張る(ステップS17)。このとき、ダイヤフラム8の長辺の中央部から端部の順でダイヤフラム8を引っ張ることで、より皺を生じにくくすることができる。作業者がダイヤフラム8を引っ張るのではなく、ダイヤフラム8は引っ張り治具200で引っ張られた状態で固定されるため、これらの作業は2人程度の少人数で行うことができる。
【0043】
全ての引っ張り治具200でダイヤフラム8を引っ張った状態で、上ケース7を下降させる(ステップS18)。このとき、既にダイヤフラム8は引っ張り治具200に固定されているため、作業者はラミネート装置100から離れていてもよく、安全に上ケース7を下降させることができる。そして、C型金具10を用いて、ダイヤフラム取付枠9を上ケース7に固定する(ステップS19)。これにより、ダイヤフラム8はラミネート装置100の上ケース7に取り付けられる。
【0044】
このように、第1の実施形態では、引っ張り治具200を用いてダイヤフラム8を引っ張って固定する。1つずつ引っ張り治具200にダイヤフラム8を固定していくことで、少人数で、かつ、皺が生じることなく、ダイヤフラム8の取付作業を行える。また、引っ張り治具200でダイヤフラム8を固定するため、作業者がラミネート装置100から離れた状態で上ケース7を下降させて、ダイヤフラム8を上ケース7に取り付けることができ、安全に取付作業を行える。
【0045】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、ラミネート装置が上ケース7および下ケース3を1つずつ備えるものであった。これに対し、以下に説明する第2の実施形態は、ラミネート装置が上下に配置される2つずつの上ケース7および下ケース3を備えるものである。
【0046】
図15は、第2の実施形態に係るラミネート装置101の平面図、図16は、図15のD方向から見たラミネート装置101の短辺方向の側面図、図17は、図15のE方向から見たラミネート装置101の長辺方向の側面図である。図15〜図17では、図1〜図3と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0047】
図17に示すように、ラミネート装置101は、それぞれ2つずつの下ケース3a(第2の下ケース),3b(第1の下ケース)と、ヒータ盤4a,4bと、上ケース7a(第2の上ケース),7b(第1の上ケース)と、ダイヤフラム8a,8bと、ダイヤフラム取付枠9a,9cと、C型金具10a,10bと、昇降装置11a,11bとを備えている。下側の上ケース7bと上側の下ケース3aとはケース19として一体に形成されている。また、架台フレーム1は、図3と同様の支柱1bの他、昇降装置11a,11bを取り付ける支柱1fを有する。
【0048】
図16に示すように、ケース19は固定金具20で架台フレーム1に固定されている。これに対し、上側の上ケース7aは支柱1fの外側に取り付けられた昇降装置11aにより昇降可能である。上ケース7aが下降すると、ダイヤフラム8aおよび上ケース7aの内壁面により上側の上チャンバが形成され、ダイヤフラム8aおよび下ケース3aの内壁面により上側の下チャンバが形成される。
【0049】
一方、下側の下ケース3bは支柱1fの外側に取り付けられた昇降装置11bにより昇降可能である。下ケース3bが上昇すると、ダイヤフラム8bおよび上ケース7bの内壁面により下側の上チャンバが形成され、ダイヤフラム8bおよび下ケース3bの内壁面により下側の下チャンバが形成される。
【0050】
支柱1bの上に設けられるパイプ1cの上面は、ケース19の下面よりやや低い位置にある。また、ケース19の上方で上ケース7aを昇降できるよう、支柱1fは支柱1bより高い。
【0051】
図15〜図17のラミネート装置101は、上側の上チャンバと上側の下チャンバの間、および、下側の上チャンバと下側の下チャンバの間に被ラミネート体を挟んで同時にラミネート加工を行うことができるため、より効率よく太陽電池モジュール等を製造できる。なお、図面を簡略化するために、ヒータ盤4a上に被ラミネート体を搬送する搬送シートを省略している。
【0052】
図18は、図15のラミネート装置101に用いられる引っ張り治具201の側面図である。図18の引っ張り治具201は、図5および図6に示す2つの引っ張り治具200を、連結棒(連結部材)29で溶接して連結したものである。但し、上部のベース21には固定ピン26および回転防止ピン27は設けられない。
【0053】
図19は、ダイヤフラム8a,8bを取り付ける様子を示すラミネート装置101の短辺方向の側面図である。上段の上ケース7aに取り付けられるダイヤフラム8aは、第1の実施形態の図8とほぼ同様の手順により取り付けることができる。すなわち、上段の下ケース3a上にダイヤフラム取付枠9aを置き、その上にダイヤフラム8aを広げ、引っ張り治具201の上段を用いて取付作業を行うことができる。上記の作業ができるよう、引っ張り治具201はケース19の高さを考慮して連結棒29が形成される。
【0054】
一方、下段の上ケース7bには、以下のようにしてダイヤフラム8bを取り付ける。図20は、ダイヤフラム8bを取り付ける手順を示すフローチャートである。まず、下ケース3b上にダイヤフラム取付枠9bを置き、その上にダイヤフラム8bを広げる(ステップS21)。このとき、作業を行いやすいよう、昇降装置11bで下ケース3bを下降させて、下ケース3bとケース19との距離を十分に確保するのがよい。
【0055】
次に、下ケース3bを上昇させ、ダイヤフラム8bを加熱して膨張させる(ステップS22)。なお、下ケース3bを上昇させることにより、ダイヤフラム8bは上ケース7bの下側表面に接触する。続いて、引っ張り治具201を架台フレーム1に取り付ける(ステップS23)。下ケース3bを上昇させると、パイプ1cの上面と下ケース3b上に置いたダイヤフラム取付枠9の上面とがほぼ同じ高さになる。そのため、引っ張り治具201の下段の下プレート22および上プレート23でダイヤフラム8bを狭圧して引っ張ることができるようになる。このようにして、ダイヤフラム8bを全ての引っ張り治具201で引っ張る(ステップS24〜S26)。
【0056】
そして、C型金具10を用いて、ダイヤフラム取付枠9bを上ケース7bに固定する(ステップS27)。これにより、下側の上ケース7bにダイヤフラム8bが取り付けられる。
【0057】
このように、第2の実施形態の引っ張り治具201は、図5および図6に示す2つの引っ張り治具200を、ケース19の高さに合わせた連結棒29で連結して形成される。そのため、上チャンバおよび下チャンバが2つずつ形成されるラミネート装置101に、並行して効率よく2つのダイヤフラム8a,8bを取り付けることができる。
【0058】
なお、上述したラミネート装置101は、ケース19を固定とし、上段の上ケース7aおよび下段の下ケース7bを昇降可能としたが、下ケース7bを固定とし、ケース19および上ケース7aを昇降可能としてもよい。この場合、パイプ1cの高さを下ケース3bの上面に合わせればよい。また、3段以上の上ケース7および下ケース3を備えるラミネート装置の場合は、その段数と同数の引っ張り治具200を連結した引っ張り治具を形成してもよいし、図5および図6の引っ張り治具200や図16の引っ張り治具201を用いて、1つまたは2つずつダイヤフラム8を取り付けてもよい。
【0059】
(第3の実施形態)
ラミネート加工を行う際に、上ケース7を下降させたり(図4のステップS2)、上昇させたり(ステップS7)する。また、ダイヤフラム8の取付時にも上ケース7を下降させたり(図8のステップS12,S18)、上昇させたり(ステップS13)する。このとき、上ケース7が傾いていると、上チャンバおよび下チャンバを閉じることができない。また、リニアガイド13やシリンダ12が破損するおそれもある。そこで、以下に説明する第3の実施形態は、上ケース7の昇降時に、上ケース7の傾きを検出するものである。
【0060】
図21は、ラミネート装置100に用いられる昇降装置11の概略構成を示す側面図である。同図の昇降装置11は、シリンダ12と、リニアガイド13と、レール14と、ガイドプレート15と、検出ヘッド17およびスケール18からなるリニアスケール16とを有する。検出ヘッド17はリニアガイド13に取り付けられて、シリンダ12の伸縮に合わせて昇降する。検出ヘッド17は制御装置(不図示)に接続されている。スケール18は磁石でできており、レール14と平行に設けられる。
【0061】
シリンダ12が伸縮して検出ヘッド17が移動すると、検出ヘッド17により検出される磁極が切り替わる。その切り替わり数を制御装置でカウントすることにより、シリンダ12の高さ情報、すなわち、所定位置を基準とする検出ヘッド17の高さが検出される。
【0062】
4つの昇降装置11がラミネート装置100の4箇所に設けられるが、各昇降装置11の高さ情報の検出は制御装置により同時に一定間隔(例えば数ms)ごとに行われており、昇降を止めることなく検出可能である。4つの昇降装置11内のリニアスケール16が検出する各高さ情報に基づいて、上ケース7が傾いているか否かを判断できる。
【0063】
図22は、上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャートである。制御装置が上ケース7に対して下降指令を出すと(ステップS31)、4つの昇降装置11が稼働し、上ケース7が下降する(ステップS32)。次に、制御装置は4つのリニアスケール16の高さ情報を読み取る(ステップS33)。
【0064】
制御装置は読み取った4つの高さ情報の最大値と最小値とを比較する。これらの差が所定の閾値を超える場合(ステップS34のNO)、制御装置は上ケース7が傾いていると判断し、上ケース7の下降を停止させる(ステップS35)。さらに、警報を発し、作業者に上ケース7が傾いていることを知らせてもよい。一方、4つの高さ情報の最大値と最小値の差が、所定の閾値以下である場合(ステップS34のYES)、上ケース7が傾いていないと判断し、上ケース7の下降を続行する。以上の処理動作を、上ケース7が下降端に達するまで繰り返す(ステップS36)。
【0065】
なお、所定の閾値とは、ラミネート装置100が正常に動作できる許容範囲である。この許容範囲は上ケース7の面積やリニアスケール16の間隔に応じて定められる値であり、例えば10mmである。この閾値は、予めユーザインターフェースにより制御装置に設定される。また、制御装置は一定時間間隔ごとに4つの高さ情報を取得して、ステップS33〜S36の制御を行う。
【0066】
図23は、上ケース7を下降させる場合のラミネート装置100の処理動作の別の一例を示すフローチャートである。本例は、上ケース7の傾きが検出された場合に、その傾きを自動補正するものである。そのために、シリンダ12を駆動する油圧ポンプ(不図示)とシリンダ12との間に電磁弁(不図示)を設け、電磁弁を開くことにより上ケース7を下降させることを念頭に置いている。
【0067】
まず、制御装置が上ケース7に対して下降指令を出すと(ステップS41)、各昇降装置11の電磁弁が開き(ステップS42)、上ケース7が下降する(ステップS43)。次に、制御装置は4つのリニアスケール16の高さ情報を読み取る(ステップS44)。
【0068】
そして、制御装置は、読み取った4つの高さ情報の最大値と最小値とを比較する。これらの差が所定の閾値を超える場合(ステップS45のNO)、制御装置は上ケース7が傾いていると判断する。そして、制御装置は最も高い位置にあるシリンダ12のみを下降させる(ステップS46)。より具体的には、制御装置は最も高さ情報が大きいシリンダ12を除く3本のシリンダ12の電磁弁を閉じる。
【0069】
電磁弁を閉じてから所定時間(例えば5秒間)経過するまで、ステップS43〜S47を繰り返し(ステップS47)、上ケース7の傾きを補正する。何らかの原因により、ステップS46で電磁弁を閉じて所定時間経過しても上ケース7が傾いている場合(ステップS47のYES)、制御装置は上ケース7の下降を停止させる(ステップS48)。さらに、警報を発し、作業者に上ケース7が傾いていることを知らせてもよい。
【0070】
一方、4つの高さ情報の最大値と最小値の差が閾値以下である場合(ステップS45のYES)、制御装置は上ケース7が傾いていないと判断する。そして、ステップS46で閉じられた電磁弁がある場合はそれらを開いて(ステップS49)、上ケース7の下降を続行する。以上の処理動作を、上ケース7が下降端に達するまで繰り返す(ステップS50)。
【0071】
なお、図22および図23は、上ケース7を下降させる場合を例に取って説明したが、上昇させる場合も同様の処理動作を行うことができる。また、図21は、リニアスケール16が昇降装置11内に設けられる例を示したが、例えば下ケース3の四隅に配置されてもよい。この場合、スケール18を下ケース3に、検出ヘッド17を上ケース7に取り付け、検出ヘッド17を上ケース7に同期して移動させることにより、上ケース7の高さ情報を検出できる。
【0072】
また、リニアスケール16に代えて、高精度な傾斜センサを用いて上ケース7の傾きを検出してもよい。例えば、昇降装置11の間隔が3000mm、上ケース7の傾きの許容範囲が10mmである場合、0.2度の傾斜角度を検出可能な傾斜センサであればよい。
【0073】
このように、第3の実施形態では、上ケース7を昇降させる際、上ケース7の傾きを検出し、傾いている場合は昇降を停止する。そのため、ラミネート装置100が破損するのを防止できる。
【0074】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 架台フレーム
2 基台
3 下ケース
4 ヒータ盤
7 上ケース
8 ダイヤフラム
9 ダイヤフラム取付枠
21 ベース
22 下プレート
23 上プレート
24 下方圧え型トグルクランプ
25 押し引きトグルクランプ
26 固定ピン
27 回転防止ピン
100,101 ラミネート装置
200,201 ダイヤフラム引っ張り治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネート装置にダイヤフラムを取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具であって、
ベースと、
前記ベースを前記ラミネート装置に固定する固定部材と、
前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する狭圧部材と、
前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る引っ張り部材と、を備えることを特徴とするダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項2】
前記固定部材は、前記ラミネート装置に開けられた少なくとも2つの穴に嵌挿される、少なくとも2つのピンを有することを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項3】
前記引っ張り部材は、前記ダイヤフラムに皺が生じないよう、前記ダイヤフラムの一辺に対して斜め方向に前記狭圧部材を引っ張ることを特徴とする請求項1または2に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項4】
前記狭圧部材は、
前記ベース上で移動可能な下プレートと、
前記下プレートとの間に前記ダイヤフラムを挟む上プレートと、
前記上プレートを前記下プレートに押さえつけて前記ダイヤフラムを狭圧する固定する第1のクランプと、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項5】
前記狭圧部材は、
前記ベース上で移動可能な下プレートと、
前記下プレートとの間に前記ダイヤフラムを挟む上プレートと、
前記上プレートと前記下プレートとを締め付けて前記ダイヤフラムを狭圧するボルトと、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項6】
前記引っ張り部材は、前記下プレートを前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る第2のクランプを有することを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項7】
前記第2のクランプは、
前記下プレートの、前記ダイヤフラムの一辺方向の略中心部分に固定される先端部と、
前記ベースの、前記ダイヤフラムの一辺方向の中心に対して右側または左側に固定される固定部と、を有することを特徴とする請求項6に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項8】
上面が開口した第1の下ケースと、
下面が開口し、前記第1の下ケースと対向して配置される第1の上ケースと、
上面が開口し、前記第1の上ケースの上方に設けられる第2の下ケースと、
下面が開口し、前記第2の下ケースと対向して配置される第2の上ケースと、を備えるラミネート装置の前記第1および第2の上ケースに第1および第2のダイヤフラムをそれぞれ取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具であって、
第1および第2のベースと、
前記第1のベースと前記第2のベースとを連結する連結部材と、
前記第1のベースを前記ラミネート装置に固定する固定部材と、
前記第1のベース上に設けられ、前記第1のダイヤフラムの一部を狭圧する第1の狭圧部材と、
前記第1の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る第1の引っ張り部材と、
前記第2のベース上に設けられ、前記第2のダイヤフラムの一部を狭圧する第2の狭圧部材と、
前記第2の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る第2の引っ張り部材と、を備えることを特徴とするダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項9】
前記連結部材の長さは、前記第1の上ケースおよび前記第2の下ケースの高さを考慮して定められることを特徴とする請求項8に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項10】
上面が開口した下ケースと、
下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される上ケースと、
前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記下ケースを支持する架台フレームと、を備え、
前記ダイヤフラムを前記上ケースの下面側に取り付ける際に、
ベースと、
前記ベースを架台フレームに固定する固定部材と、
前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する狭圧部材と、
前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る引っ張り部材と、を有するダイヤフラム引っ張り治具を取付可能なラミネート装置。
【請求項11】
前記固定部材は、前記ベースを前記架台フレームに固定するための少なくとも2つのピンを有し、
前記架台フレームには、前記少なくとも2つのピンが嵌挿される少なくとも2つの穴が開けられていることを特徴とする請求項10に記載のラミネート装置。
【請求項12】
上面が開口した下ケースと、
下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される上ケースと、
前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記下ケースを支持する架台フレームと、を備えるラミネート装置の前記ダイヤフラムを、前記上ケースの下面側に取り付ける方法であって、
前記上ケースが上昇した状態で、前記下ケース上にダイヤフラム取付枠を置き、その上に前記ダイヤフラムを広げるステップと、
前記架台フレームに固定された狭圧部材で、前記ダイヤフラムの一部を狭圧するステップと、
前記ダイヤフラムの一部を狭圧した状態で、前記ラミネート装置の外側に向かって前記狭圧部材を引っ張るステップと、
前記上ケースを前記ダイヤフラム上に下降させるステップと、
前記ダイヤフラム取付枠を前記上ケースの下面側に取り付けるステップと、を備えることを特徴とするダイヤフラムの取付方法。
【請求項13】
前記狭圧部材を引っ張るステップは、前記ダイヤフラムに皺が生じないよう、前記ダイヤフラムの一辺に対して斜め方向に引っ張ることを特徴とする請求項12に記載のダイヤフラムの取付方法。
【請求項14】
前記ダイヤフラムの一部を狭圧するステップは、前記ダイヤフラムの長辺に沿って、複数の前記狭圧部材を用いて複数箇所を狭圧し、
前記狭圧部材を引っ張るステップは、前記ダイヤフラムの中央部に配置された前記狭圧部材から端部に配置された前記狭圧部材の順に前記狭圧部材を引っ張ることを特徴とする請求項12または13に記載のダイヤフラムの取付方法。
【請求項15】
前記ダイヤフラムの一部を狭圧部材で固定する前に、前記ヒータ盤で前記ダイヤフラムを加熱して膨張させるステップを備えることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載のダイヤフラムの取付方法。
【請求項1】
ラミネート装置にダイヤフラムを取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具であって、
ベースと、
前記ベースを前記ラミネート装置に固定する固定部材と、
前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する狭圧部材と、
前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る引っ張り部材と、を備えることを特徴とするダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項2】
前記固定部材は、前記ラミネート装置に開けられた少なくとも2つの穴に嵌挿される、少なくとも2つのピンを有することを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項3】
前記引っ張り部材は、前記ダイヤフラムに皺が生じないよう、前記ダイヤフラムの一辺に対して斜め方向に前記狭圧部材を引っ張ることを特徴とする請求項1または2に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項4】
前記狭圧部材は、
前記ベース上で移動可能な下プレートと、
前記下プレートとの間に前記ダイヤフラムを挟む上プレートと、
前記上プレートを前記下プレートに押さえつけて前記ダイヤフラムを狭圧する固定する第1のクランプと、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項5】
前記狭圧部材は、
前記ベース上で移動可能な下プレートと、
前記下プレートとの間に前記ダイヤフラムを挟む上プレートと、
前記上プレートと前記下プレートとを締め付けて前記ダイヤフラムを狭圧するボルトと、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項6】
前記引っ張り部材は、前記下プレートを前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る第2のクランプを有することを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項7】
前記第2のクランプは、
前記下プレートの、前記ダイヤフラムの一辺方向の略中心部分に固定される先端部と、
前記ベースの、前記ダイヤフラムの一辺方向の中心に対して右側または左側に固定される固定部と、を有することを特徴とする請求項6に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項8】
上面が開口した第1の下ケースと、
下面が開口し、前記第1の下ケースと対向して配置される第1の上ケースと、
上面が開口し、前記第1の上ケースの上方に設けられる第2の下ケースと、
下面が開口し、前記第2の下ケースと対向して配置される第2の上ケースと、を備えるラミネート装置の前記第1および第2の上ケースに第1および第2のダイヤフラムをそれぞれ取り付ける際に用いられるダイヤフラム引っ張り治具であって、
第1および第2のベースと、
前記第1のベースと前記第2のベースとを連結する連結部材と、
前記第1のベースを前記ラミネート装置に固定する固定部材と、
前記第1のベース上に設けられ、前記第1のダイヤフラムの一部を狭圧する第1の狭圧部材と、
前記第1の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る第1の引っ張り部材と、
前記第2のベース上に設けられ、前記第2のダイヤフラムの一部を狭圧する第2の狭圧部材と、
前記第2の狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る第2の引っ張り部材と、を備えることを特徴とするダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項9】
前記連結部材の長さは、前記第1の上ケースおよび前記第2の下ケースの高さを考慮して定められることを特徴とする請求項8に記載のダイヤフラム引っ張り治具。
【請求項10】
上面が開口した下ケースと、
下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される上ケースと、
前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記下ケースを支持する架台フレームと、を備え、
前記ダイヤフラムを前記上ケースの下面側に取り付ける際に、
ベースと、
前記ベースを架台フレームに固定する固定部材と、
前記ベース上に設けられ、前記ダイヤフラムの一部を狭圧する狭圧部材と、
前記狭圧部材を前記ラミネート装置の外側に向かって引っ張る引っ張り部材と、を有するダイヤフラム引っ張り治具を取付可能なラミネート装置。
【請求項11】
前記固定部材は、前記ベースを前記架台フレームに固定するための少なくとも2つのピンを有し、
前記架台フレームには、前記少なくとも2つのピンが嵌挿される少なくとも2つの穴が開けられていることを特徴とする請求項10に記載のラミネート装置。
【請求項12】
上面が開口した下ケースと、
下面が開口し、前記下ケースと対向して配置される上ケースと、
前記上ケースの下面側に取り付けられるダイヤフラムの下方で、前記下ケースの上面側に設けられ、前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記下ケースを支持する架台フレームと、を備えるラミネート装置の前記ダイヤフラムを、前記上ケースの下面側に取り付ける方法であって、
前記上ケースが上昇した状態で、前記下ケース上にダイヤフラム取付枠を置き、その上に前記ダイヤフラムを広げるステップと、
前記架台フレームに固定された狭圧部材で、前記ダイヤフラムの一部を狭圧するステップと、
前記ダイヤフラムの一部を狭圧した状態で、前記ラミネート装置の外側に向かって前記狭圧部材を引っ張るステップと、
前記上ケースを前記ダイヤフラム上に下降させるステップと、
前記ダイヤフラム取付枠を前記上ケースの下面側に取り付けるステップと、を備えることを特徴とするダイヤフラムの取付方法。
【請求項13】
前記狭圧部材を引っ張るステップは、前記ダイヤフラムに皺が生じないよう、前記ダイヤフラムの一辺に対して斜め方向に引っ張ることを特徴とする請求項12に記載のダイヤフラムの取付方法。
【請求項14】
前記ダイヤフラムの一部を狭圧するステップは、前記ダイヤフラムの長辺に沿って、複数の前記狭圧部材を用いて複数箇所を狭圧し、
前記狭圧部材を引っ張るステップは、前記ダイヤフラムの中央部に配置された前記狭圧部材から端部に配置された前記狭圧部材の順に前記狭圧部材を引っ張ることを特徴とする請求項12または13に記載のダイヤフラムの取付方法。
【請求項15】
前記ダイヤフラムの一部を狭圧部材で固定する前に、前記ヒータ盤で前記ダイヤフラムを加熱して膨張させるステップを備えることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載のダイヤフラムの取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【公開番号】特開2012−76379(P2012−76379A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224144(P2010−224144)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(595013427)株式会社エヌ・ピー・シー (54)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(595013427)株式会社エヌ・ピー・シー (54)
【Fターム(参考)】
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