説明

ランキンサイクル装置

【課題】可動スクロールに背圧力を作用させて膨張室の密閉性を高めつつ機械的エネルギーの出力効率の低下を防止することができるランキンサイクル装置を提供すること。
【解決手段】ランキンサイクル装置60において、膨張部40は、固定スクロール46、及び可動スクロール44を備えるとともに、可動スクロール44の背面44c側に背圧室51を備える。膨張部40は、駆動軸21の軸方向に沿って可動スクロール44を固定スクロール46に押し付けるための背圧力を発生させるために、背圧室51より高圧領域から背圧室51に作動流体を導入するための導入路54を備える。そして、高圧領域は、ギヤポンプ30の吐出側から熱交換器62の入口側までの領域である貯留部53となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体を吐出するポンプと、ポンプから吐出された作動流体と排熱源からの流体との間で熱交換させる熱交換器と、熱交換器で熱交換された作動流体を膨張させて機械的エネルギーを出力する膨張部と、を有する回路を備えるランキンサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ランキンサイクル装置に用いられるスクロール式の膨張部は、駆動軸の回転によって旋回する可動スクロールと、ハウジングに固定された固定スクロールとを備える。可動スクロールの可動側端板には可動側渦巻壁が立設されるとともに、固定スクロールの固定側端板には固定側渦巻壁が立設され、可動側渦巻壁と固定側渦巻壁との間には、膨張室が区画形成されている。そして、熱交換器で熱エネルギーを得た作動流体は、膨張部の吸入室に導入された後、膨張室に導入されて膨張し、この作動流体の膨張による可動スクロールの旋回に伴い機械的エネルギー(駆動力)が出力される。
【0003】
ランキンサイクル装置において、スクロール式の膨張部での機械的エネルギーの出力効率を高めるには、作動流体を膨張室で効率良く膨張させることが重要であり、このためには、作動流体が膨張室から漏れないようにすること(密閉性)が重要である。スクロール式の膨張部において、膨張室の密閉性を高めるようにした技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【0004】
特許文献1においては、可動側端板の背面側(固定スクロールに対向する面とは反対側の面側)に区画された背圧室に背圧を導入することで、可動スクロールの背面に背圧力を作用させ、この背圧力により、駆動軸の軸方向に沿って可動スクロールを固定スクロールに押し付けている。その結果、可動側渦巻壁の先端が、固定側端板に押し付けられるとともに、可動側端板が固定側渦巻壁の先端に押し付けられ、膨張室の密閉性が高められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−184567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1においては、背圧力は、膨張室に導入された作動流体を、ガス通路を経由して背圧室に導入することにより発生させている。このため、背圧室に導入された作動流体の持つ熱エネルギーは機械的エネルギーを出力させるために使用されておらず、ランキンサイクル装置としては、膨張室の密閉性を高めながらも、熱エネルギーから機械的エネルギーへの変換ロスが発生し、機械的エネルギーの出力効率が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、可動スクロールに背圧力を作用させて膨張室の密閉性を高めつつ機械的エネルギーの出力効率の低下を防止することができるランキンサイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、作動流体を吐出するポンプと、前記ポンプから吐出された作動流体と排熱源からの流体との間で熱交換させる熱交換器と、前記熱交換器で熱交換された作動流体を膨張させて機械的エネルギーを出力する膨張部と、を有する回路を備えるランキンサイクル装置に関する。そして、前記膨張部は、固定スクロール、及び前記固定スクロールに対して駆動軸の回転によって旋回する可動スクロールを備え、前記可動スクロールにおける前記固定スクロールへの対向面と反対側の背面側に背圧室を備える。さらに、膨張部は、前記駆動軸の軸方向に沿って前記可動スクロールを前記固定スクロールに押し付ける背圧力を発生させるために、高圧領域から前記背圧室に前記作動流体を導入するための導入手段を備えており、前記高圧領域は、前記ポンプの吐出側から前記熱交換器の入口側までの領域である。
【0009】
この発明によれば、背圧力を発生させるため、背圧室に導入される作動流体は、ポンプの吐出側から熱交換器の入口側までの領域に存在する作動流体である。この領域に存在する作動流体は、熱交換器で熱エネルギーを受け取る前の作動流体である。このため、背圧室には、熱交換器で熱エネルギーを受け取った作動流体は導入されないのである。よって、本発明では、熱エネルギーを受け取った作動流体を、背圧力を発生させるために用いる場合のような、熱エネルギーから機械的エネルギーへの変換ロスが生じない。その結果、熱交換器で作動流体が受け取った熱エネルギーは、全て膨張部での機械的エネルギーの変換に用いられる。したがって、背圧力によって可動スクロールを固定スクロールに押し付け、膨張室の密閉性を高める構成としても、機械的エネルギーの出力効率が低下することがない。
【0010】
また、前記導入手段は、前記高圧領域と前記背圧室を連通させる導入通路であり、該導入通路に、液状の前記作動流体を気化させる熱交換部を備えていてもよい。
これによれば、背圧力を発生させるため、背圧室に導入される作動流体は、ポンプの吐出側から熱交換器の入口側までの領域に存在する作動流体であり、この領域に存在する作動流体は、液状である。そして、この液状の作動流体は、導入通路を流れる際、熱交換部との熱交換により気化される。したがって、背圧室には、気体の作動流体が導入されるため、背圧室内で駆動軸と共に回転部材が回転しても、背圧室の作動流体が液体の場合と比べると、作動流体による抵抗を小さくすることができる。
【0011】
また、前記熱交換部は、前記膨張部において、前記熱交換器で熱交換された作動流体からの熱が伝達される部位であってもよい。
これによれば、膨張部は、廃熱源からの熱を受け取った高温の作動流体によって加熱されている。よって、膨張部を用いて作動流体を気化することができ、新たに部品を追加することなく作動流体を気化することができる。
【0012】
また、前記熱交換部は、前記膨張部の吐出側の作動流体と前記液状の作動流体とを熱交換させる熱交換部材であってもよい。
これによれば、熱交換部材を用いることで、その熱交換部材に熱交換率を高めるための構成を付加することができ、作動流体同士の熱交換面積を適宜設定して、作動流体を効率良く気化させることができる。
【0013】
また、前記導入手段には、前記背圧室と、該背圧室より低圧領域との差圧を適正値に調整する導入側差圧調整機構が設けられていてもよい。
これによれば、背圧室と低圧領域との差圧を導入側差圧調整機構により適正値に調整することができるため、可動スクロールの押し付け力を安定させることができる。
【0014】
また、前記背圧室には、該背圧室より低圧領域と前記背圧室を連通させる導出路が接続され、該導出路には前記背圧室と前記低圧領域との差圧を適正値に調整する導出側差圧調整機構が設けられていてもよい。
【0015】
これによれば、背圧室と低圧領域との差圧を導出側差圧調整機構により適正値に調整することができるため、可動スクロールの押し付け力を安定させることができる。
また、前記膨張部及び前記導入手段は、複合流体機械のハウジング内に設けられていてもよい。
【0016】
これによれば、複合流体機械を短くすることができる。
また、前記膨張部及び前記ポンプは、複合流体機械のハウジング内に設けられるとともに、前記導入手段は前記ハウジング内に設けられていてもよい。
【0017】
これによれば、例えば、ポンプと膨張部とを別体に分け、ポンプの吐出側から熱交換器の入口側までの領域に存在する作動流体をハウジング外で配管を介して背圧室に導入するようにする場合と比べると、配管が必要無いことから、ランキンサイクル装置の設置スペースをコンパクトにすることができる。
【0018】
また、前記ハウジング内では、前記軸方向に沿って前記ポンプと前記膨張部が隣り合うように並設されていてもよい。
これによれば、ポンプと膨張部の間の距離を短くすることができる。その結果、導入手段の長さも短くすることができ、ポンプの吐出側から熱交換器の入口側までの領域に存在する作動流体を背圧室に速やかに導入することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可動スクロールに背圧力を作用させて膨張室の密閉性を高めつつ機械的エネルギーの出力効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は第1の実施形態の複合流体機械及びランキンサイクル装置を示す図、(b)は導入路を示す拡大図、(c)は導出路を示す拡大図。
【図2】ギヤポンプを示す図1(a)のA−A線断面図。
【図3】第2の実施形態の複合流体機械及びランキンサイクル装置を示す図。
【図4】第3の実施形態の複合流体機械及びランキンサイクル装置を示す図。
【図5】第4の実施形態の複合流体機械及びランキンサイクル装置を示す図。
【図6】(a)は導入通路の入口付近を拡大して示す図、(b)は導入通路の出口付近を拡大して示す図、(c)はプレート及び気化通路を示す平面図。
【図7】(a)は第5の実施形態の複合流体機械及びランキンサイクル装置を示す図、(b)は導入通路の出口付近を拡大して示す図、(c)は導入通路の入口付近を拡大して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図2にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、複合流体機械11のハウジング12は、筒状をなすセンタハウジング13と、このセンタハウジング13の一端(図1では左端)に接合されたフロントハウジング14と、センタハウジング13の他端(図1では右端)に接合されたリヤハウジング15と、から形成されている。センタハウジング13の内周面には、センタハウジング13内に向けて延びる仕切壁13aが形成されるとともに、この仕切壁13aによってハウジング12内が2つの空間に仕切られている。
【0022】
ハウジング12において、仕切壁13aとフロントハウジング14との間の空間には、回転電機としてのモータ・ジェネレータ20が収容されるとともに、仕切壁13aとリヤハウジング15との間の空間には、支持ブロック25及び膨張部40が収容されている。
【0023】
モータ・ジェネレータ20の駆動軸21は、フロントハウジング14、仕切壁13a、及び支持ブロック25に支持された軸受16によって回転可能に支持されている。駆動軸21には、モータロータ20aが駆動軸21と一体回転可能に固定されている。また、センタハウジング13の内周面には、ステータ20bがモータロータ20aを取り囲むように固定されている。
【0024】
そして、モータ・ジェネレータ20は、ステータ20bのコイル20cへの通電によりモータロータ20aを回転させる電動機としての機能と、モータロータ20aが回転されることでステータ20bのコイル20cに電力を生じさせる発電機としての機能とを併せ持つ。なお、モータ・ジェネレータ20にはインバータ22を介してバッテリ23が接続されるとともに、モータ・ジェネレータ20で生じた電力はインバータ22を介してバッテリ23に蓄電されるようになっている。
【0025】
仕切壁13aのリヤハウジング15側(図1では右側)の面には、駆動軸21を取り囲むように長円状の凹部13cが形成されている。そして、仕切壁13aのリヤハウジング15側の面にサイドプレート17が固着されることにより、凹部13cが閉鎖されて仕切壁13aとサイドプレート17との間にポンプ室18が区画されている。また、図2に示すように、ポンプ室18には従動ギヤ19が収容されるとともに、仕切壁13aとサイドプレート17には、従動ギヤ19の軸部19aが回転可能に支持されている。また、ポンプ室18内には、駆動軸21に取着された主動ギヤ21aが収容されている。そして、ポンプ室18では、従動ギヤ19と主動ギヤ21aとが互いに噛み合わされた状態で配設されるとともに、ポンプ室18と、従動ギヤ19と、主動ギヤ21aとからギヤポンプ30が形成されている。
【0026】
仕切壁13aにおけるポンプ室18より下側には、吸入通路13dが形成されている。この吸入通路13dは、一端がセンタハウジング13の外面(下面)に開口するとともに、他端がポンプ室18に連通するように形成されている。また、仕切壁13aにおけるポンプ室18より上側には、吐出通路13eが形成されている。この吐出通路13eは、一端がポンプ室18に連通するとともに、他端がサイドプレート17の周縁を越えて仕切壁13aの端面に開口している。
【0027】
図1に示すように、仕切壁13aとリヤハウジング15との間の空間には、上述のように支持ブロック25が固設されるとともに、支持ブロック25とリヤハウジング15の間にスクロール式の膨張部40が設けられている。駆動軸21は支持ブロック25を貫通するとともに、支持ブロック25の内周面にはOリング製の軸シール28が装着されている。この軸シール28により、駆動軸21の周面と支持ブロック25の内周面との間がシールされている。
【0028】
支持ブロック25を貫通した駆動軸21の先端には、駆動軸21の中心軸Lに対して偏心した位置に偏心軸41が設けられるとともに、偏心軸41は駆動軸21の回転により中心軸Lの周りを公転するようになっている。偏心軸41にはブッシュ42が固定されるとともに、ブッシュ42は偏心軸41と共に中心軸Lの周りを公転するようになっている。このブッシュ42には軸受43を介して可動スクロール44が回転可能に支持されるとともに、カウンタウェイト45が固定されている。
【0029】
可動スクロール44は、軸受43に支持された円盤状をなす可動側端板44aと、この可動側端板44aから突設された渦巻状の可動側渦巻壁44bとからなる。また、支持ブロック25のリヤハウジング15側には、固定スクロール46が可動スクロール44と対向するように固設されるとともに、支持ブロック25と固定スクロール46の対向する端面の間には、環状をなすプレート49が介装されている。
【0030】
そして、支持ブロック25と固定スクロール46との間に可動スクロール44が配設されるとともに、可動スクロール44はプレート49の内側で旋回可能になっている。また、可動スクロール44の外周部において、プレート49に対向する端面には、Oリングよりなるシール部材52が装着されるとともに、このシール部材52によってプレート49と可動スクロール44との間がシールされている。
【0031】
そして、可動スクロール44において、シール部材52より内周側と、支持ブロック25の内側によって囲まれる空間により背圧室51が区画されている。この背圧室51は、可動スクロール44に設けられたシール部材52と、支持ブロック25に設けられた軸シール28とによって気密にシールされている。そして、可動スクロール44において、固定スクロール46への対向面と反対側の面(支持ブロック25側の面)であり、背圧室51に露出する面が背面44cとなっている。
【0032】
固定スクロール46は、円盤状をなす固定側端板46aと、この固定側端板46aから可動スクロール44に向けて突設された渦巻状の固定側渦巻壁46bとを一体に備えている。そして、可動スクロール44の可動側渦巻壁44bと、固定スクロール46の固定側渦巻壁46bとは互いに噛み合わされ、可動スクロール44と固定スクロール46の間に容積変更可能な膨張室47が区画される。
【0033】
また、固定スクロール46における固定側端板46aの中央部には吸入口46cが形成されている。固定側端板46aとリヤハウジング15との間には、吸入室48が区画されるとともに、この吸入室48には吸入口46cを介して膨張前の膨張室47に連通している。また、リヤハウジング15には、吸入室48に連通する吸入ポート15aが形成されている。さらに、固定スクロール46の内周面と、可動スクロール44における可動側渦巻壁44bの最外周面との間、及び吸入室48の外周側には吐出室50が区画形成されるとともに、センタハウジング13には吐出室50に連通する吐出ポート13gが形成されている。
【0034】
複合流体機械11において、センタハウジング13の内周面と、サイドプレート17と、支持ブロック25との間には、貯留部53が区画されている。この貯留部53は、駆動軸21を取り囲むように環状に形成されている。また、貯留部53は、仕切壁13aに形成された吐出通路13eを介して、ポンプ室18に連通している。このため、ギヤポンプ30のポンプ作用によって、ポンプ室18から吐出通路13eに吐出された高圧の作動流体は、吐出通路13eを介して貯留部53へ吐出されるようになっている。そして、貯留部53の圧力は、背圧室51の圧力よりも高い高圧領域となっている。また、センタハウジング13の上部には、貯留部53に連通する吐出孔13hが形成されている。そして、貯留部53へ吐出された作動流体は、吐出孔13hを介して後述するランキンサイクル装置60の熱交換器62へ導出されるようになっている。
【0035】
次に、上記複合流体機械11が組み込まれたランキンサイクル装置60について説明する。図1(a)に示すように、貯留部53に連通する吐出孔13hには第1流路60aを介して熱交換器62の吸熱器62aが接続されている。熱交換器62は、吸熱器62aに加え放熱器62bを備える。この放熱器62bは、排熱源としてのエンジン64に接続された冷却水循環経路65上に設けられている。冷却水循環経路65上にはラジエータ65aが設けられている。そして、冷却水循環経路65では、廃熱源としてのエンジン64からの流体として、冷却水が循環するようになっている。
【0036】
熱交換器62における吸熱器62aの吐出側には、第2流路60cを介して膨張部40における吸入ポート15aが接続されている。膨張部40の吐出ポート13gには、第3流路60dを介して凝縮器61が接続されている。凝縮器61の吐出側には第4流路60eを介してギヤポンプ30の吸入通路13dが接続されている。
【0037】
そして、上記構成のランキンサイクル装置60においては、バッテリ23からの電力がインバータ22を介してモータ・ジェネレータ20に供給されるとモータ・ジェネレータ20が電動機として駆動され、ギヤポンプ30が駆動される。このギヤポンプ30から吐出された作動流体は、吐出通路13e、貯留部53、及び吐出孔13hを経由して、第1流路60aから熱交換器62に導出される。よって、本実施形態では、吐出通路13e、貯留部53、及び、吐出孔13hにより、ギヤポンプ30からの作動流体を熱交換器62に導出する主流路が形成されている。
【0038】
そして、熱交換器62において、吸熱器62aと放熱器62bとの間での熱交換により、作動流体がエンジン64からの排熱によって加熱されるとともに、熱エネルギーを受け取る。加熱後の高温高圧の作動流体は、第2流路60cを介して吸入ポート15aから膨張部40の膨張室47に導入されて膨張し、この膨張により膨張部40が機械的エネルギー(駆動力)を出力する。そして、この駆動力によって可動スクロール44が旋回し、モータ・ジェネレータ20の駆動軸21が回転されるとともにギヤポンプ30が駆動される。
【0039】
このとき、エンジン64からの排熱量が大きく、膨張部40からの出力により、駆動軸21が予め設定された所定回転数を越えて回転する場合には、モータ・ジェネレータ20を発電機として機能させて駆動軸21の回転数を抑えるようにする。そして、所定回転数を越える出力は電力に変換され、インバータ22を介してバッテリ23に充電される。
【0040】
膨張を終えて圧力が低下した高温の作動流体は、吐出室50に吐出された後、吐出ポート13gを介して第3流路60dへ吐出される。第3流路60dへ吐出された作動流体は、凝縮器61を通過して液化し、第4流路60eを介して吸入通路13dからポンプ室18に導入される。そして、膨張部40からの出力により駆動されるギヤポンプ30により、ポンプ室18に導入された作動流体は、吐出通路13eを経由して貯留部53へ吐出される。
【0041】
貯留部53が作動流体により満たされると、オーバーフローした作動流体が吐出孔13hから第1流路60aに吐出され、第1流路60aを介して熱交換器62へ供給される。以後、上述したように、作動流体は、膨張部40、凝縮器61、及びギヤポンプ30を流れて、エンジン64が駆動されている間は、作動流体はランキンサイクル装置60の回路を循環する。
【0042】
次に、可動スクロール44を固定スクロール46に押し付けるため、ギヤポンプ30から吐出された作動流体を背圧室51に導入するための導入手段について説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、支持ブロック25には、導入手段としての導入路54が形成されるとともに、この導入路54によって、ギヤポンプ30の吐出側から熱交換器62の入口側までの高圧領域(貯留部53)の作動流体を背圧室51に導入できるようになっている。導入路54は、ギヤポンプ30から熱交換器62に作動流体を導出する主流路(吐出通路13e、貯留部53、吐出孔13h)から分岐した流路である。
【0043】
導入路54において、貯留部53側の開口端にはフィルタ55が固設されるとともに、このフィルタ55によって貯留部53から背圧室51に導入される作動流体中の異物が除去されるようになっている。また、導入路54において、フィルタ55より背圧室51側には、絞りプレート56が固定されるとともに、この絞りプレート56には、導入路54の流路径を小さくする(絞る)絞り孔56aが形成されている。
【0044】
図1(c)に示すように、固定スクロール46において、可動スクロール44の外周側に区画された吐出室50よりも外側には、導出路57が形成されている。この導出路57は、一端がプレート49に形成された連通孔49aを介して背圧室51に連通するとともに、他端が吸入室48の外周側に区画された吐出室50に連通している。なお、吐出室50は、膨張室47で膨張した低圧の作動流体が吐出される領域であり、背圧室51より低圧の低圧領域となっている。
【0045】
導出路57には、導出路57をプレート49側から吐出室50に向けて拡径させることで形成された段差によって弁座57aが形成されている。また、導出路57内には、バネ受け58が固定されるとともに、このバネ受け58には圧縮状態のコイルバネ59の一端が支持されている。また、バネ受け58には逃がし通路58aが形成されるとともに、この逃がし通路58aによって、バネ受け58よりもコイルバネ59側の空間と、バネ受け58よりも吐出室50側の空間とを連通させている。コイルバネ59の他端にはボールバルブ59aが固定されるとともに、コイルバネ59の伸縮によりボールバルブ59aは弁座57aに対し接離可能になっている。
【0046】
コイルバネ59のバネ力は、背圧室51の圧力が予め設定された適正値を越えると収縮するように設定されている。そして、コイルバネ59の伸縮に伴うボールバルブ59aの弁座57aに対する接離により、背圧室51と吐出室50との差圧が予め設定された適正値に調整されるようになっている。すなわち、背圧室51の圧力が予め設定された値を越え、吐出室50との差圧が予め設定された適正値より高くなると、ボールバルブ59aが弁座57aから離間して、背圧室51の圧力を低下させ、差圧を低下させる。このとき、背圧室51から導出路57に導出された作動流体は、逃がし通路58aを介して吐出室50に排出される。
【0047】
一方、背圧室51の圧力が予め設定された適正値を下回り、吐出室50との差圧が予め設定された適正値より低くなると、ボールバルブ59aが弁座57aに着座して、背圧室51の圧力を上昇させ、差圧を上昇させる。したがって、本実施形態では、弁座57aと、コイルバネ59と、ボールバルブ59aと、バネ受け58とから導出側差圧調整機構70が構成されている。
【0048】
次に、上記複合流体機械11が組み込まれたランキンサイクル装置60の作用について説明する。ランキンサイクル装置60において、貯留部53には高圧の作動流体が貯留されている。そして、この貯留部53と背圧室51とは、導入路54を介して連通されるとともに、導入路54内の絞り孔56aにより、貯留部53の作動流体が背圧室51に噴霧される。すなわち、背圧室51には、熱交換器62に導出される前の作動流体、詳細には熱交換器62から熱エネルギーを受け取る前の作動流体が導入される。
【0049】
そして、背圧室51に高圧の作動流体が導入されることにより、可動スクロール44の可動側端板44aの背面44cには背圧力が作用し、可動スクロール44が、軸方向に沿って固定スクロール46に押し付けられる。このため、可動スクロール44の可動側端板44aと、固定スクロール46の固定側渦巻壁46bの先端、及び可動スクロール44の可動側渦巻壁44bの先端と、固定スクロール46の固定側端板46aが、互いに押し付けられ、膨張室47の密閉性が高められる。その結果、膨張室47からの作動流体の漏れが抑制され、膨張室47で効率良く膨張させることができる。
【0050】
なお、背圧室51への作動流体の導入により、背圧室51の背圧力が変動するが、導出側差圧調整機構70によって、背圧室51と吐出室50の差圧が適正値に調整される。このため、背圧室51の背圧力が適正値に調整され、可動スクロール44の固定スクロール46への押し付け力を安定させることができる。
【0051】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)膨張部40における可動スクロール44の背面44c側に背圧室51を形成するとともに、この背圧室51に、ギヤポンプ30の吐出側から熱交換器62の入口側までの高圧領域の作動流体を導入するようにした。この作動流体の導入により背圧室51の背圧力を高め、可動スクロール44を固定スクロール46に押し付けるようにして、膨張室47の密閉性を高めるようにした。すなわち、背圧力を発生させるため、背圧室51に導入される作動流体は、熱交換器62で熱エネルギーを受け取る前の作動流体である。よって、熱交換器62で作動流体が受け取った熱エネルギーは、背圧力を発生させるために用いられず、全て膨張部40での機械的エネルギーの変換に用いられる。その結果として、背圧力によって膨張室47の密閉性を高める構成としても、機械的エネルギーの出力効率が低下することがない。
【0052】
(2)ギヤポンプ30と膨張部40をハウジング12内に収容した複合流体機械11をランキンサイクル装置60に組み込むとともに、複合流体機械11のハウジング12内に導入路54を設け、この導入路54を経由して高圧の作動流体を背圧室51に導入するようにした。このため、例えば、ギヤポンプ30と膨張部40とを別体に分け、ギヤポンプ30から吐出された作動流体をハウジング12外で配管を介して背圧室51に導入するようにする場合と比べると、配管が必要無いことから、ランキンサイクル装置60の設置スペースをコンパクトにすることができる。
【0053】
(3)ギヤポンプ30と膨張部40をハウジング12内に収容した複合流体機械11をランキンサイクル装置60に組み込むとともに、複合流体機械11の軸方向に沿ってギヤポンプ30に隣り合わせて膨張部40を並設した。このため、例えば、複合流体機械11の軸方向に沿って、ギヤポンプ30、モータ・ジェネレータ20、及び膨張部40が並設されている場合と比べると、ギヤポンプ30と膨張部40との間にモータ・ジェネレータ20が介在しない分だけ、ギヤポンプ30と膨張部40の間の距離を短くすることができる。その結果、導入路54の通路長さも短くすることができ、ギヤポンプ30から吐出された作動流体を背圧室51に速やかに導入することができる。
【0054】
(4)背圧室51と、この背圧室51より低圧の吐出室50とを導出路57で連通させるとともに、導出路57内に導出側差圧調整機構70として弁座57a、コイルバネ59、ボールバルブ59a、及びバネ受け58を設けた。そして、ボールバルブ59aの弁座57aに対する接離により、背圧室51と吐出室50との差圧を適正値に調整するようにしたため、可動スクロール44の固定スクロール46に向けた押し付け力を安定させることができる。
【0055】
(5)導入路54内に絞りプレート56を設け、この絞りプレート56に小径の絞り孔56aを形成することで、ギヤポンプ30の吐出側から熱交換器62の入口側までの高圧領域の作動流体を背圧室51に導入するようにした。そして、導入路54にフィルタ55を設けた。このため、フィルタ55によって作動流体に含まれる異物を除去することができ、絞り孔56aが異物で詰まることを防止することができる。
【0056】
(6)ハウジング12内に、ギヤポンプ30から吐出された作動流体の貯留部53を設けるとともに、ハウジング12に貯留部53から熱交換器62へ作動流体を導出するための吐出孔13hを形成した。そして、ギヤポンプ30から熱交換器62へ作動流体を導出するための主流路を貯留部53内とした。また、この貯留部53に面する支持ブロック25に、貯留部53(主流路)から分岐する導入路54を形成し、この導入路54によって高圧の作動流体を背圧室51に導入するようにした。そして、この導入路54内にフィルタ55を設けた。その結果、作動流体は貯留部53(主流路)を流れて熱交換器62に導出されるため、作動流体中に含まれる異物のほとんどは主流路での流れに乗って熱交換器62に向けて流れる。よって、導入路54には異物がほとんど流れ込まないため、フィルタ55の表面積を小さくすることができる、すなわち、フィルタ55をコンパクトにすることができる。
【0057】
(7)背圧室51に高圧の作動流体を導入し、背圧力によって可動スクロール44を固定スクロール46に押し付けるようにした。背圧力は、差圧調整機構70により適正値に調整することができるため、可動スクロール44の押し付け力を安定させることができる。このため、可動スクロール44の固定スクロール46への押し付けを、付勢バネ等の機械的構成を用いて行う場合と異なり、押し付け力不足による作動流体の漏れ損失や過剰な押し付け力による機械的損失を低減することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図3にしたがって説明する。また、第1の実施形態の複合流体機械11と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態で導入手段を構成した導入路54は形成されていない。
【0059】
図3に示すように、複合流体機械71のハウジング72は、筒状をなすセンタハウジング73と、センタハウジング73の一端(図3では左端)に接合されたサイドプレート74と、サイドプレート74に接合されたフロントハウジング75と、センタハウジング73の他端(図1では右端)に接合されたリヤハウジング76とから形成されている。また、センタハウジング73内には支持ブロック25が固設されるとともに、支持ブロック25とリヤハウジング76との間には膨張部40が収容されている。さらに、センタハウジング73内にはモータ・ジェネレータ20が収容されている。
【0060】
サイドプレート74のフロントハウジング75側の面には、駆動軸21を取り囲むように円形状の凹部74aが形成されている。そして、サイドプレート74にフロントハウジング75が接合されることにより、凹部74aが閉鎖されてポンプ室77が区画されている。ポンプ室77には従動ギヤ(図示せず)及び駆動軸21に取着された主動ギヤ80が収容されている。そして、ポンプ室77では、従動ギヤと主動ギヤ80とが互いに噛み合わされた状態で配設されるとともに、ポンプ室77と、従動ギヤと、主動ギヤ80とからギヤポンプ90が形成されている。本実施形態の複合流体機械71は、軸方向に沿ってギヤポンプ90、モータ・ジェネレータ20、及び膨張部40が並設されている。
【0061】
サイドプレート74におけるポンプ室77より下側には、吸入通路74bが形成されている。この吸入通路74bは、一端(図3では下端)がサイドプレート74の外面に開口するとともに、他端がポンプ室77に連通するように形成されている。また、サイドプレート74におけるポンプ室77より上側には、吐出通路74cが形成されている。この吐出通路74cは、一端がポンプ室77に連通するとともに、他端がサイドプレート74の外面に開口している。そして、吸入通路74bには、凝縮器61に接続された第4流路60eが接続されるとともに、吐出通路74cには第1流路60aを介して熱交換器62の吸熱器62aが接続されている。
【0062】
さらに、サイドプレート74及びセンタハウジング73には、第1連通路82が形成されている。この第1連通路82は、ギヤポンプ90の吐出側から熱交換器62の入口側までの領域の一部である吐出通路74cに連通している。また、支持ブロック25には、第1連通路82と背圧室51とを連通させる第2連通路83が形成されている。そして、ギヤポンプ90の吐出口付近の高圧の作動流体は、第1連通路82及び第2連通路83を介して背圧室51に導入されるようになっている。よって、本実施形態では、第1連通路82と第2連通路83とが、ギヤポンプ90の吐出側から熱交換器62の入口側までの高圧領域から背圧室51に作動流体を導入する導入手段を形成している。なお、図示しないが、第1連通路82又は第2連通路83内にはフィルタが設けられている。
【0063】
したがって、上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、(4)、(6)及び(7)と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(8)ギヤポンプ90と膨張部40を一体化した複合流体機械71をランキンサイクル装置60に組み込むとともに、複合流体機械11の軸方向に沿ってギヤポンプ90、モータ・ジェネレータ20、及び膨張部40を並設した。そして、ハウジング72の厚み内に第1連通路82を形成するとともに、支持ブロック25に第2連通路83を形成し、ギヤポンプ90と背圧室51とを連通させた。このため、ギヤポンプ90と膨張部40との間にモータ・ジェネレータ20が介在していても、ギヤポンプ90から吐出された作動流体を背圧室51に導入することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図4にしたがって説明する。また、第1の実施形態の複合流体機械11と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態で導入手段を形成した導入路54は形成されていない。
【0065】
図4に示すように、複合流体機械91において、支持ブロック25の内周面には、第1の実施形態のOリング製の軸シール28と異なり、Vパッキン製の軸シール93が装着されるとともに、この軸シール93により駆動軸21の周面と支持ブロック25の内周面との間がシールされている。また、サイドプレート17と、支持ブロック25の先端との間には、駆動軸21を取り囲むようにOリング製のシール部材94が介装されるとともに、このシール部材94により支持ブロック25とサイドプレート17との間がシールされている。なお、第3の実施形態では、吐出通路13eは、貯留部53に連通せず、センタハウジング13の外面に開口している。
【0066】
そして、ギヤポンプ30の吐出側(吐出通路13e側)において、駆動軸21の付近は、吸入通路13d側の低圧と、吐出通路13e側の高圧との間の圧力であり、やや高圧よりの中間圧となっている。この中間圧は、背圧室51の圧力より高くなっているため、駆動軸21付近の作動流体は、ギヤポンプ30から背圧室51に向けて流れようとする。ここで、軸シール93の駆動軸21に対する密接力を緩めに設定しておき、駆動軸21に沿ったギヤポンプ30から背圧室51への作動流体の漏れを許容させる。すると、ギヤポンプ30の駆動軸21付近の作動流体は、駆動軸21に沿って背圧室51に向けて流れ、この作動流体により背圧室51の背圧力を高めることができる。したがって、本実施形態では、駆動軸21及び軸シール93が、ギヤポンプ30の吐出側から熱交換器62の入口側までの高圧領域の作動流体を背圧室51に導入するための導入手段を構成している。
【0067】
したがって、上記第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、(6)及び(7)と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(9)ギヤポンプ30の駆動軸21付近の作動流体を、駆動軸21に沿って背圧室51に導入するようにした。このため、ギヤポンプ30から吐出された高圧の作動流体を背圧室51に導入するため、ハウジング12や支持ブロック25に導入路を形成する場合と比べると、より簡単な構成とすることができる。
【0068】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を図5及び図6にしたがって説明する。また、第1の実施形態の複合流体機械11と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。なお、第4の実施形態では、第1の実施形態で導入手段を形成した導入路54は形成されていない。
【0069】
図5及び図6(a)に示すように、支持ブロック25には、供給路100が厚み方向に貫通して形成されるとともに、この供給路100は一端が貯留部53に向けて開口するとともに、他端がプレート49に向けて開口している。また、図6(a)及び図6(c)に示すように、プレート49には、気化通路49bがプレート49の周方向に沿って半周に亘って延びるとともに、プレート49を厚み方向を貫通して形成されている。そして、プレート49は、支持ブロック25と固定スクロール46の対向する端面の間に挟持されていることから、それら端面によって気化通路49bはシールされている。
【0070】
気化通路49bの一端は、供給路100の他端に連通するとともに、気化通路49bの他端は、背圧室51に連通している。貯留部53と、背圧室51とは、供給路100及び気化通路49bを介して連通するとともに、本実施形態では、供給路100及び気化通路49bによって、導入手段としての導入通路が構成されている。
【0071】
さて、貯留部53の高圧の作動流体(液体)は、貯留部53と背圧室51との圧力差に基づいて、供給路100によって絞られつつ、気化通路49bに供給される。ここで、気化通路49bを区画する固定スクロール46は、膨張部40で膨張した後の高温の作動流体によって加熱されている。このため、気化通路49bを流れる液状の作動流体は、気化通路49bを通過する際に固定スクロール46との熱交換により、加熱され、気化する。よって、本実施形態では、固定スクロール46が、膨張部40の吐出側の作動流体と液状の作動流体とを熱交換させる熱交換部として機能する。そして、背圧室51には、気化した作動流体が導入される。
【0072】
したがって、第4の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(4)、(6)及び(7)と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(10)貯留部53の液状の作動流体を、支持ブロック25に形成した供給路100及びプレート49に形成した気化通路49bを介して背圧室51に導入するようにした。プレート49は、高温の固定スクロール46に熱的に結合されているため、気化通路49bを作動流体が流れる際、固定スクロール46の熱により作動流体を気化させることができる。したがって、背圧室51には、気体の作動流体が導入されるため、背圧室51内でカウンタウェイト45及び偏心軸41が回転しても、背圧室51の作動流体が液体の場合と比べると、作動流体による抵抗を小さくすることができ、モータ・ジェネレータ20の動力損失を低減することができる。
【0073】
(11)気化通路49bは、プレート49に形成されるとともに、プレート49の周方向へ半周に亘って延びるように形成されている。そして、この気化通路49bを通過する作動流体そのものにより、プレート49を可動スクロール44に向けて押し付けて可動スクロール44を固定スクロール46に押し付けることができる。したがって、背圧室51からの背圧力に加え、プレート49を介した押し付け力により、可動スクロール44を固定スクロール46により強く押し付けることができる。
【0074】
(12)貯留部53の液状の作動流体を気化させるため、プレート49に気化通路49bを形成した。すなわち、プレート49を用いて可動スクロール44を背圧力によって固定スクロール46に押し付けるようにした。そして、プレート49の材質を選定することで、可動スクロール44の端面に対する摺動性を向上させることができる。また、プレート49は、金属板状の部材であるため、例えば、気化通路49bを支持ブロック25や固定スクロール46に形成する場合と比べると、気化通路49bを簡単に形成することができる。
【0075】
(13)貯留部53の液状の作動流体は、固定スクロール46と熱交換して気化する。固定スクロール46は、エンジン64からの熱を受け取った高温の作動流体によって加熱されている。よって、膨張部40の一部である固定スクロール46を用いて作動流体を気化することができ、新たに部品を追加することなく作動流体を気化することができる。
【0076】
(第5の実施形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施形態を図7にしたがって説明する。また、第1の実施形態の複合流体機械11と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。なお、第5の実施形態では、第1の実施形態で導入手段を形成した導入路54は形成されていない。
【0077】
図7(a)及び図7(b)に示すように、支持ブロック25は、プレート49に対向する側に第1圧入部25aが円板状に形成されるとともに、その第1圧入部25aよりもギヤポンプ30側に、第1圧入部25aよりも小径の第2圧入部25bが形成されている。第1圧入部25aにおいて、プレート49と反対側(ギヤポンプ30側)の端面には、膨張部40からの作動流体が供給される供給空間25cが環状に凹設されるとともに、導入空間25cの開口端には支持面25dが形成されている。なお、図7(c)に示すように、センタハウジング13には、供給空間25cと吐出室50とを連通させる供給通路102が形成されている。そして、供給空間25cには、供給通路102を介して膨張後の高温の作動流体が供給されている。
【0078】
図7(b)及び図7(c)に示すように、センタハウジング13においては、第1圧入部25aの外周側に第1壁部131が形成されるとともに、この第1壁部131の内側に膨張部40が設けられている。また、センタハウジング13において、第1壁部131よりもギヤポンプ30側に、第1壁部131よりも小径の第2壁部132が形成されている。センタハウジング13の内周面には、第1壁部131と第2壁部132との内径差により、第1段差部133が環状に形成されている。さらに、センタハウジング13において、第2壁部132よりもギヤポンプ30側に、第2壁部132より小径の第3壁部134が形成されている。センタハウジング13の内周面には、第2壁部132と第3壁部134との内径差により、第2段差部135が環状に形成されている。
【0079】
そして、支持ブロック25は、第1圧入部25aが第1壁部131の内側に圧入されるとともに、第2圧入部25bが第3壁部134の内側に圧入されている。支持ブロック25における支持面25dと、センタハウジング13における段差部133との間には、熱交換部のうちの熱交換部材としての熱交換プレート101の外周部が挟持されている。この熱交換プレート101の外周側には、熱交換フィン101aが蛇腹状に形成されている。
【0080】
また、支持ブロック25における第2圧入部25bの外周面と、センタハウジング13における第2壁部132の内周面と、第2段差部135と、熱交換プレート101とで区画される空間には、導入空間103が環状に区画されている。この導入空間103は、支持ブロック25の供給空間25cと対向する位置に形成されている。
【0081】
図7(c)に示すように、センタハウジング13には、貯留部53と導入空間103とを連通させる第1導入流路104が形成されている。また、図7(b)に示すように、支持ブロック25には、導入空間103と背圧室51とを連通させる第2導入通路108が形成されている。そして、貯留部53と背圧室51とは、第1導入流路104と、導入空間103と、第2導入通路108とを介して連通している。よって、本実施形態では、第1導入流路104と、導入空間103と、第2導入通路108とから導入手段としての導入通路が構成されている。
【0082】
第1導入流路104には、背圧室51と吐出室50との差圧を調整する導入側差圧調整機構110が設けられている。導入側差圧調整機構110は、外部制御弁として構成されており、第1導入流路104に制御弁を配置するとともに、この制御弁を、コントローラに信号接続する。また、背圧室51及び吐出室50(低圧領域)それぞれの圧力を圧力センサ等により検出可能にする。そして、圧力センサによって検出された背圧室51及び吐出室50の圧力に基づき、コントローラが制御弁の開度を調整し、差圧を調整する。
【0083】
そして、背圧室51と吐出室50との差圧が予め設定された適正値に調整されるようになっている。すなわち、背圧室51の圧力が予め設定された値を越え、吐出室50との差圧が予め設定された適正値より高いことを適宜の検出手段で検出すると、導入側差圧調整機構110により第1導入流路104が絞られる。その結果、背圧室51に導入される作動流体が減少し、背圧室51の圧力を低下させ、差圧を低下させる。
【0084】
一方、背圧室51の圧力が予め設定された適正値を下回り、吐出室50との差圧が予め設定された適正値より低くなると、導入側差圧調整機構110による第1導入流路104の絞り量が減少する。その結果、背圧室51に導入される作動流体が増加し、背圧室51がの圧力を上昇させ、差圧を上昇させる。
【0085】
さて、貯留部53の高圧の作動流体(液体)は、第1導入流路104の導入側差圧調整機構110によって絞られつつ、導入空間103に導入される。また、熱交換プレート101を挟んで導入空間103に対向する供給空間25cには、膨張部40で膨張した高温の作動流体が供給されている。
【0086】
よって、熱交換プレート101は、供給空間25cに供給された作動流体によって加熱されている。このため、導入空間103に導入された作動流体は、熱交換プレート101との熱交換により、加熱され、気化する。よって、本実施形態では、熱交換プレート101が熱交換部のうちの熱交換部材として機能する。そして、背圧室51には、気化した作動流体が導入される。
【0087】
なお、背圧室51への作動流体の導入により、背圧室51の背圧力が変動するが、導入側差圧調整機構110によって、背圧室51と吐出室50の差圧が適正値に調整される。このため、背圧室51の背圧力が適正値に調整され、可動スクロール44の固定スクロール46への押し付け力を安定させることができる。
【0088】
したがって、第5の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(4)、(6)及び(7)と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(14)貯留部53の液状の作動流体を、センタハウジング13に形成した第1導入流路104、導入空間103、及び第2導入通路108を介して背圧室51に導入するようにした。導入空間103は、熱交換プレート101を挟んで供給空間25cに対向しており、この供給空間25cには、膨張部40で膨張した後の高温の作動流体が供給される。このため、熱交換プレート101は、高温の作動流体によって加熱されているため、導入空間103に作動流体が導入されると、その作動流体を気化させることができる。したがって、背圧室51には、気体の作動流体が導入されるため、背圧室51内でカウンタウェイト45及び偏心軸41が回転しても、背圧室51の作動流体が液体の場合と比べると、作動流体による抵抗を小さくすることができ、モータ・ジェネレータ20の動力損失を低減することができる。
【0089】
(15)作動流体を気化させるため、膨張後の作動流体と熱交換プレート101を介して熱交換させた。そして、熱交換プレート101には、熱交換率を高めるため、熱交換フィン101aを形成した。熱交換プレート101のように膨張部40とは別部材を用いることで、作動流体同士の熱交換面積を適宜設定することができ、作動流体を効率良く気化させることができる。
【0090】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第4の実施形態において、気化通路49bをプレート49に形成したが、支持ブロック25又は固定スクロール46に形成してもよい。
【0091】
○ 第4の実施形態において、気化通路49bの通路幅は任意に変更してもよい。例えば、気化通路49bにおいて、供給路100と対向する一端を小径の孔とし、その孔より他端側を幅広に形成し、気化通路49bに絞りを形成してもよい。
【0092】
○ 図3の2点鎖線に示すように、第1流路60aにおいて、熱交換器62の入口付近から分岐された分岐流路95を第2連通路83に連通させてもよい。そして、ギヤポンプ90から吐出され、かつ熱交換器62に導入される前の高圧の作動流体を、第1流路60a、分岐流路95、及び第2連通路83を経由して背圧室51に導入してもよい。この場合、分岐流路95、及び第2連通路83により導入手段が形成される。なお、分岐流路95又は第2連通路83に導入側差圧調整機構を設けて背圧室51と吐出室50との差圧を適正値に調整するようにしてもよい。
【0093】
○ 第1及び第2の実施形態では、導出路57に導出側差圧調整機構70を設けて背圧室51と吐出室50との差圧を適正値に調整するようにしたが、これに限らない。導出側差圧調整機構70の代わりに、第1の実施形態では導入路54に導入側差圧調整機構を設け、第2の実施形態では第1連通路82又は第2連通路83に導入側差圧調整機構を設けて差圧を調整してもよい。
【0094】
○ 第3の実施形態では、駆動軸21及び軸シール93が導入手段を構成したが、この第3の実施形態において、軸シール93を圧力差によって駆動軸21に対する密接力(シール力)を変更可能に構成し導入側差圧調整機構としてもよい。この場合、導出側差圧調整機構70は削除する。\'81@○ 第4の実施形態では、導出路57に導出側差圧調整機構70を設けて背圧室51と吐出室50との差圧を適正値に調整するようにしたが、導出側差圧調整機構70の代わりに、供給路100に導入側差圧調整機構を設けて背圧室51と吐出室50との差圧を調整してもよい。
【0095】
○ 第5の実施形態では、第1導入流路104に導入側差圧調整機構110を設けて背圧室51と吐出室50との差圧を適正値に調整するようにしたが、導入側差圧調整機構110の代わりに、第1の実施形態のように導出路57に導出側差圧調整機構70を設けて差圧を調整してもよい。
【0096】
○ 各実施形態では、モータ・ジェネレータ20、ギヤポンプ30,90、及び膨張部40が一体化された複合流体機械11,71,91をランキンサイクル装置60に組み込んで回路を構成したが、モータ・ジェネレータ、ギヤポンプ、及び膨張部をそれぞれ単体として回路に組み込んでもよい。そして、ギヤポンプと膨張部の背圧室とを導入手段としての配管で接続し、ギヤポンプから吐出された高圧の作動流体を配管を介して背圧室に導入するようにしてもよい。
【0097】
○ 各実施形態では、複合流体機械11,71,91のハウジング内にモータ・ジェネレータ20、ギヤポンプ30,90、膨張部40、及び導入手段が収容されていたが、複合流体機械のハウジング内には、ギヤポンプ30,90、膨張部40、及び導入手段が収容され、ギヤポンプ30,90はハウジング外に設けられていてもよい。これによれば、ギヤポンプ30,90がハウジング内に設けられている場合と比べると、複合流体機械を短くすることができる。
【0098】
○ 各実施形態において、ポンプはギヤポンプ30,90の他の形態のポンプとしてもよい。
○ 各実施形態では、複合流体機械11,71,91をランキンサイクル装置60のみに用いたが、複合流体機械11,71,91に圧縮部及びクラッチ機構を一体に設けて、冷凍サイクルを並設してもよい。
【0099】
○ 排熱源からの流体は、エンジン64からの排気ガスであってもよい。
○ 駆動軸21をハウジング12の外に突出させ、その駆動軸21の突出端が動力伝達手段(クラッチ、プーリ、ベルト等)を介してエンジン64に連結されていてもよい。
【0100】
○ モータ・ジェネレータ20をオルタネータに変更してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記導出手段にはフィルタが設けられている請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【0101】
(ロ)作動流体を吐出するポンプ、前記ポンプから吐出された作動流体と排熱源からの流体との間で熱交換させる熱交換器、前記熱交換器で熱交換された作動流体を膨張させて機械的エネルギーを出力する膨張部、を有する回路を備えるランキンサイクル装置に用いられ、前記膨張部、及び前記ポンプをハウジング内に一体に備える複合流体機械であって、前記膨張部は、固定スクロール、及び前記固定スクロールに対して駆動軸の回転によって旋回する可動スクロールを備え、前記可動スクロールにおける前記固定スクロールへの対向面と反対側の背面側に背圧室を備え、さらに、前記駆動軸の軸方向に沿って前記可動スクロールを前記固定スクロールに押し付ける背圧力を発生させるために、前記ポンプの吐出側から前記熱交換器の入口側までの高圧領域から前記背圧室に前記作動流体を導入するための導入手段を備えることを特徴とする複合流体機械。
【0102】
(ハ)前記導入手段は、前記高圧領域と前記背圧室を連通させる導入通路であり、該導入通路に、液状の前記作動流体を気化させる熱交換部を備える技術的思想(ロ)に記載の複合流体機械。
【0103】
(ニ)前記熱交換部は、前記膨張部において、前記熱交換器で熱交換された作動流体からの熱が伝達される部位である技術的思想(ハ)に記載の複合流体機械。
(ホ)前記熱交換部は、前記膨張部の吐出側の作動流体と前記液状の作動流体とを熱交換させる熱交換部材である技術的思想(ハ)に記載の複合流体機械。
【0104】
(ヘ)前記導入手段には、前記背圧室と、該背圧室より低圧領域との差圧を適正値に調整する導入側差圧調整機構が設けられている技術的思想(ハ)〜(ホ)のうちいずれか一項に記載の複合流体機械。
【0105】
(ト)前記背圧室には、該背圧室より低圧領域と前記背圧室を連通させる導出路が接続され、該導出路には前記背圧室と前記低圧領域との差圧を適正値に調整する導出側差圧調整機構が設けられている技術的思想(ロ)〜(ヘ)のうちいずれか一項に記載の複合流体機械。
【0106】
(チ)前記膨張部及び前記導入手段は、複合流体機械のハウジング内に設けられている技術的思想(ロ)〜(ト)のうちいずれか一項に記載の複合流体機械。
(リ)前記膨張部及び前記ポンプは、複合流体機械のハウジング内に設けられるとともに、前記導入手段は前記ハウジング内に設けられている技術的思想(ロ)〜(ト)のうちいずれか一項に記載の複合流体機械。
【0107】
(ヌ)前記ハウジング内では、前記軸方向に沿って前記ポンプと前記膨張部が隣り合うように並設されている技術的思想(リ)に記載の複合流体機械。
【符号の説明】
【0108】
11,71,91…複合流体機械、12,72…ハウジング、21…駆動軸(導入手段)、30,90…ポンプとしてのギヤポンプ、40…膨張部、44…可動スクロール、44c…背面、46…熱交換部としての固定スクロール、49b…導入手段としての導入通路を構成する気化通路、51…背圧室、53…高圧領域としての貯留部、54…導入手段としての導入路、57…導出路、60…ランキンサイクル装置、62…熱交換器、64…排熱源としてのエンジン、70…導出側差圧調整機構、82…導入手段を形成する第1連通路、83…導入手段を形成する第2連通路、93…導入手段を形成する軸シール、100…導入手段としての導入通路を構成する供給路、103…導入手段としての導入通路を形成する導入空間、104…導入手段としての導入通路を形成する第1導入流路、108…導入手段としての導入通路を形成する第2導入通路、110…導入側差圧調整機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された作動流体と排熱源からの流体との間で熱交換させる熱交換器と、
前記熱交換器で熱交換された作動流体を膨張させて機械的エネルギーを出力する膨張部と、を有する回路を備えるランキンサイクル装置であって、
前記膨張部は、固定スクロール、及び前記固定スクロールに対して駆動軸の回転によって旋回する可動スクロールを備え、前記可動スクロールにおける前記固定スクロールへの対向面と反対側の背面側に背圧室を備え、
さらに、前記駆動軸の軸方向に沿って前記可動スクロールを前記固定スクロールに押し付ける背圧力を発生させるために、高圧領域から前記背圧室に前記作動流体を導入するための導入手段を備えており、
前記高圧領域は、前記ポンプの吐出側から前記熱交換器の入口側までの領域であることを特徴とするランキンサイクル装置。
【請求項2】
前記導入手段は、前記高圧領域と前記背圧室を連通させる導入通路であり、該導入通路に、液状の前記作動流体を気化させる熱交換部を備える請求項1に記載のランキンサイクル装置。
【請求項3】
前記熱交換部は、前記膨張部において、前記熱交換器で熱交換された作動流体からの熱が伝達される部位である請求項2に記載のランキンサイクル装置。
【請求項4】
前記熱交換部は、前記膨張部の吐出側の作動流体と前記液状の作動流体とを熱交換させる熱交換部材である請求項2に記載のランキンサイクル装置。
【請求項5】
前記導入手段には、前記背圧室と、該背圧室より低圧領域との差圧を適正値に調整する導入側差圧調整機構が設けられている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項6】
前記背圧室には、該背圧室より低圧領域と前記背圧室を連通させる導出路が接続され、該導出路には前記背圧室と前記低圧領域との差圧を適正値に調整する導出側差圧調整機構が設けられている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項7】
前記膨張部及び前記導入手段は、複合流体機械のハウジング内に設けられている請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項8】
前記膨張部及び前記ポンプは、複合流体機械のハウジング内に設けられるとともに、前記導入手段は前記ハウジング内に設けられている請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項9】
前記ハウジング内では、前記軸方向に沿って前記ポンプと前記膨張部が隣り合うように並設されている請求項8に記載のランキンサイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−207655(P2012−207655A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186221(P2011−186221)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)