説明

ランダムアクセスチャネル受信装置およびその受信方法

【課題】環境により変動する遅延プロファイルの状況に応じて、上述トレードオフの関係にある閾値を、容易な手段で最良点に合わせられるランダムアクセスチャネル受信装置およびその受信方法を提供する。
【解決手段】移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信装置において、各移動局からの受信データから各電力プロファイルを合成して遅延プロファイルを作成するプロファイル合成部7と、遅延プロファイルの中に、移動局からフレームの始まりを合図するために送られるプリアンブルの有無検出を行うプリアンブル検出部9と、プリアンブルの誤検出の確率を算出する誤検出確率算出部11と、誤検出確率算出部により得られる誤検出確率に対応して閾値を算出する検出閾値算出部12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局におけるランダムアクセスチャネル受信装置およびその受信方法に関し、好適にはLTE(Long Term Evolution)移動通信システムを構成する基地局のランダムアクセス受信装置およびその受信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいては、複数の移動局が共通チャネルを用いて任意のタイミングで基地局にアクセスを行い、基地局はこの移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信方法が採られている。
【0003】
この際、移動局はメッセージの送信に先立ち、基地局に対してメッセージが発生したことを通知するプリアンブルを送信する。
【0004】
図5は、ランダムアクセスチャネル受信装置の従来の構成を示すブロック図である。このランダムアクセスチャネル受信装置に対して、ベースバンド周波数帯域の受信データがアナログ→ディジタル変換されたフォーマットで上り受信データとして入力される。上り受信データは、任意のアンテナ数分パラレルに入力され、ランダムアクセスチャネル受信装置の構成も、プロファイル合成前まではアンテナ数分パラレルな構成となる。
【0005】
図5において、前段処理部1〜1は、ランダムアクセスチャネル受信装置に入力される受信データに対し、以下の3つの処理を行う。
【0006】
(1)回転除去
ランダムアクセスチャネル送信信号生成で掛けられる回転を除去するもので、受信データに対し回転子テーブルを複素乗算することで除去する。
【0007】
(2)周波数シフト
周波数帯域上、ランダムアクセスチャネルは任意の周波数位置に配置されるため、周波数をシフトし、ランダムアクセスチャネル信号が周波数軸上の中心にくるようシフトする処理となる。周波数のシフトは、回転子テーブルの複素乗算で行う。
【0008】
(3)フィルタリング
周波数帯域上のランダムアクセスチャネル以外の信号を除去するために行う、フィルタリング処理であり、タップ長有限のFIRディジタルフィルタを通過させる処理となる。
【0009】
DFT(Discrete Fourier Transform)2〜2は離散フーリエ変換器であり、時間軸から周波数軸への変換を行う。
【0010】
系列除去部3〜3は、受信データに対し、別途レプリカ系列発生部4から得られる既知のレプリカ系列を乗算することで相関値を得る。LTE移動通信システムでは直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)通信方式を用いるため、この系列除去処理は前段処理後のデータに対し、DFT(時間軸→周波数軸)変換を行った受信データに対し行う。
【0011】
IFFT(Inverse FFT)5〜5は、逆離散フーリエ変換器であり、系列除去後は逆変換(周波数軸→時間軸変換)を経て、電力プロファイル6〜6で得られた相関値をプロファイル合成部7でアンテナ数分加算すること(プロファイル合成)で遅延プロファィルを得る。この遅延プロファイルは、電波の遅延について調べるために、いろいろな状況を与えて、どれだけ電波が遅延したかのデータを集めることです。
【0012】
プリアンブル検出部9では、雑音電力算出部8で得られたプロファイルの干渉電力レベルを基準に、固定値であるプリアンブル検出閾値を加算し、これをプリアンブル検出の閾値とし、閾値以上であればプリアンブル検出、閾値未満であればプリアンブル未検出と判定する処理を行う。
【0013】
タイミング調整算出部10は、プリアンブル検出部9でプリアンブル検出と判定されたプリアンブルについて、ピーク位置よりタイミング調整値を算出する。
【0014】
この点、従来は、ランダムアクセス信号受信装置において、プリアンブル信号を受信したか否かを判定するために、プリアンブル受信信号の遅延プロファイルから相関値の平均値に対する分散度を示す相関値分散度を算出する相関値分散度算出手段と、相関値分散度から閾値を算出する閾値算出手段とを具備する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−356725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、従来技術(特許文献1)においては、プリアンブル検出閾値を求める手段として相関値の分散起因を用いるが、それ以外の誤検出発生要因も存在することから、閾値を最適化できるわけではなかった。
【0017】
図6を参照して、従来の問題点を具体的に説明する。
【0018】
図6は、図5に示すプリアンブル検出部9の波形図である。図6の左上図に示すように、プリアンブルが送信されていない状態の遅延プロファイルには、プリアンブルによる本来のピーク値は存在しないはずだが、系列の特性で発生してしまう相関や、受信データにノイズあるいは、フェージングが乗った状態で系列除去した際に発生してしまう擬似ピーク点が、プロファイル長の任意の場所に存在する状態となる。
【0019】
図6の左下図のように、プリアンブル検出閾値では、擬似ピーク点をプリアンブル検出と誤判定し、プリアンブル誤検出となる。
【0020】
図6の右図は、実際にプリアンブルが送信されて得られるプロファイル検出にも用いられるため、プリアンブル検出閾値(固定値)は、誤検出を起こさない程度に高く、且つ、本物のプリアンブルは正しく検出できる程度に低くする必要があり、トレードオフの関係にある値となる。
【0021】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、環境により変動する遅延プロファイルの状況に応じて、上述トレードオフの関係にある閾値を、容易な手段で最良点に合わせられるランダムアクセスチャネル受信装置およびその受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するための装置の一観点は、複数の移動局が共通のチャネルを用いて任意のタイミングで基地局にアクセスを行い、基地局は前記移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信装置において、各移動局からの受信データから各電力プロファイルを合成して遅延プロファイルを作成するプロファイル合成部と、前記遅延プロファイルの中に、前記移動局からフレームの始まりを合図するために送られるプリアンブルの有無検出を行うプリアンブル検出部と、前記プリアンブルの誤検出の確率を算出する誤検出確率算出部と、前記誤検出確率算出部により得られる誤検出確率に対応して閾値を算出する検出閾値算出部とを設けた。
【0023】
装置の一観点によれば、ランダムアクセスチャネル受信装置に入力される受信データの干渉電力レベル、伝搬環境および系列起因で生じてしまう相関等に応じ、所望な誤検出確率となるプリアンブル検出閾値を動的に適用できる。更に、固定値であるプリアンブル検出閾値をマニュアル操作で各環境に応じて変更する必要が無くなるランダムアクセスチャネル受信装置を提供できる。
【0024】
方法は、複数の移動局が共通のチャネルを用いて任意のタイミングで基地局にアクセスを行い、基地局は前記移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信方法であって、各移動局からの受信データから各電力プロファイルを合成して遅延プロファイルを作成するステップと、前記遅延プロファイルの中に、前記移動局からフレームの始まりを合図するために送られるプリアンブルの有無検出を行うステップと、前記プリアンブルの誤検出の確率を算出するステップと、得られた誤検出確率に対応して閾値を算出するステップとを含んでいる。
【0025】
この方法によれば、ランダムアクセスチャネル受信装置に入力される受信データの干渉電力レベル、伝搬環境および系列起因で生じてしまう相関等に応じ、所望な誤検出確率となるプリアンブル検出閾値を動的に適用できる。更に、固定値であるプリアンブル検出閾値をマニュアル操作で各環境に応じて変更する必要が無くなるランダムアクセスチャネル受信装置を提供できる。
【発明の効果】
【0026】
以上、開示の技術によれば、ランダムアクセスチャネル受信装置に入力される受信データの干渉電力レベル、伝搬環境および系列起因で生じてしまう相関等に応じ、所望な誤検出確率となるプリアンブル検出閾値を動的に適用できる。更に、固定値であるプリアンブル検出閾値をマニュアル操作で各環境に応じて変更する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明が対象とするランダムアクセスチャネル遅延プロファイルの構成図である。
【図2】本発明によるランダムアクセスチャネル受信装置の構成を示すブロック図(実施例1)である。
【図3】本発明によるランダムアクセスチャネル受信装置の構成を示すブロック図(実施例2)である。
【図4】本発明によるランダムアクセスチャネル受信方法を示すフローチャートである。
【図5】ランダムアクセスチャネル受信装置の従来の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示すプリアンブル検出部の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明が対象とするランダムアクセスチャネル遅延プロファイルの構成図であり、特にLTE(Long Term Evolution)移動通信システムを構成する装置における、ランダムアクセスチャネル受信装置で得られる遅延プロファイルの一例を示す。LTEとは、携帯電話の高速なデータ通信仕様の一つで、第3世代携帯電話方式「W−CDMA」の高速データ通信規格をさらに進化させたもので、標準化が進められている。
【0030】
LTEにおけるランダムアクセスチャネルでは、プリアンブル系列として、Zadoff−Chu(ZC)系列が用いられる。実際に送信される系列としては、任意のZC系列をサイクリックシフト間隔で巡回シフトされた形となる。図1は、サイクリックシフト数=4の場合である。
【0031】
このサイクリックシフト間隔で区切られた遅延プロファイル範囲(図1のA)が、それぞれ1UE(User Equipment)に対応する。また、図1のBは、受信装置に設定される基地局のセル半径に対応するプロファイル範囲であり、図1のCは,誤検出確率算出に用いるプロファイル範囲となる。
【0032】
受信装置に設定される基地局のセル半径は、マージンを考慮し、1UEに対応する遅延プロファイル範囲(図1のA)より狭く設定され、セル半径設定以上の遅延プロファイルについては、プリアンブル検出のサーチ対象とはしない。
【0033】
従って、図1のAとBの差分(=C)の余剰となる遅延プロファイル範囲が存在することとなる。
【0034】
この余剰遅延プロファイル部分は、移動機(UE:User Equipment)が存在し得ない範囲であり、よって、本物の相関ピークが現れることは無く、この範囲で閾値を超えるピーク点は全て誤検出であると見なすことが出来る。
【0035】
本特許では,図1のCの範囲の遅延プロファイルを誤検出確率算出に用いる。
【0036】
図2は、本発明によるランダムアクセスチャネル受信装置の構成を示すブロック図(実施例1)である。以下に、図4で説明した従来方式との差分をメインに説明する。
【0037】
プリアンブル検出部(セル半径内)9aは、図1のBの遅延プロファイル部分をサーチする「セル半径内」用であり、プリアンブル検出部(セル半径外)9bは、図1のCの遅延プロファイル部分をサーチする「セル半径外」用である。
【0038】
それぞれの、プリアンブル検出部(セル半径内)9aとプリアンブル検出部(セル半径外)9bには、プロファイル合成部7から得られる遅延プロファイルが入力される。
【0039】
プリアンブル検出部(セル半径外)9bには、プリアンブル検出閾値(初期値)が入力される。この初期値は、任意の値で良いが、例えば雑音電力算出部8で得られる干渉電力レベルを用いることができる。
【0040】
さらに、プリアンブル検出部(セル半径外)9bには、検出閾値算出部12から得られる閾値と、雑音電力算出部8から得られる干渉レベルを加算した値が入力される。
【0041】
これは、プリアンブル検出部(セル半径外)9b→誤検出確率算出部11→検出閾値算出部12の一連の処理を閾値を変えながら所望の誤検出確率が得られるまで、繰り返す際に用いるフィードバック情報となる。
【0042】
また、誤検出確率算出部11は、プリアンブル検出閾値を上下させるために必要となる情報(=誤検出確率)を算出する。
【0043】
算出式としては、以下となる。
【0044】
誤検出確率=プリアンブル誤検出回数/物理ランダムアクセスチャネル受信回数
ここで、上式中の分子に相当するプリアンブル誤検出回数は、誤検出確率算出部11に用いる「任意時間当たりに検出したプリアンブル検出数」であり、「セル半径外」用のプリアンブル検出部9bで検出した回数そのものである。これは、プロファイルの余剰部分を用いるため、「セル半径外プリアンブル検出=誤検出」と見なすことができるためである。
【0045】
また、上式中の分母に相当する「物理ランダムアクセスチャネル受信回数」は、誤検出確率算出部11に用いる「任意時間当たりに含まれる物理ランダムアクセスチャネル受信回数×サイクリックシフト数」で求められる。
【0046】
任意時間当たりに含まれる物理ランダムアクセスチャネル受信回数は、物理ランダムアクセスチャネル構造の配置により決まり、例えば、物理ランダムアクセスチャネル構造の配置=3の場合、ランダムアクセスチャネルは、10ms間に1ms存在し、誤検出確率算出部11の任意時間を10msとした場合、任意時間当たりに含まれる物理ランダムアクセスチャネル受信回数=1となる。
【0047】
サイクリックシフト数は、低移動性または高移動性といった条件の違いで算出式が異なるが、既知の数式により、容易に算出できる。
【0048】
検出閾値算出部12では、誤検出確率算出部11で得られた誤検出確率から、プリアンブル検出閾値を上下どちらに動かせば良いかを判定し、閾値を決定する機能部となる。
【0049】
以下に閾値決定例を示す。
【0050】
目標の誤検出確率を99.0%と設定した際
(1)誤検出確率算出部で求められた誤検出確率が98.0%の場合
誤検出が目標より多いと見なし、検出閾値を0.1dΒステップで上げる。
(2)誤検出確率算出部で求められた誤検出確率が99.9%の場合
誤検出が目標より少ないと見なし、検出閾値を0.1dΒステップで下げる。
【0051】
以上のように、検出閾値を上下に変更する度に、誤検出確率を求め、プリアンブル検出(セル半径外)部9bにフィードバックする一連のプロセスを繰り返すことで、所望の誤検出確率となる閾値を決めることができる。
【0052】
また、検出閾値を更新するステップ幅とプロセス繰り返し回数を関連させ、プロセス繰返し回数が小の場合には、ステップ幅を大に設定し、プロセス繰返し回数が大の場合には、ステップ幅を小に設定する。これにより、より少ないプロセス繰返し回数(時間)で所望の誤検出確率となる、検出閾値を求める(収束させる)ことが可能となる。
【0053】
本発明によるプリアンブル検出閾値の動的算出から、プリアンブル検出閾値を適用する構成では、実運用に入る前の装置立ち上げ期間の一部にトレーニング期間を設け、適切な閾値を決める方法と共に、未使用のプロファイル範囲を用いるため、実運用中での適用も可能である。
【0054】
図3は、本発明によるランダムアクセスチャネル受信装置の構成を示すブロック図(実施例2)である。以下に、図2で説明した本発明によるランダムアクセスチャネル受信装置の構成を示すブロック図(実施例1)との相違点について説明する。
【0055】
図3では、2種設けたプリアンブル検出部9a、9bを1種のプリアンブル検出部(セル半径内・外)9に統合してある点である。
【0056】
統合後のプリアンブル検出部(セル半径内・外)9は、図1のB(基地局のセル半径内)と図1のC(基地局のセル半径外)の両方のプリアンブル検出を時分割多重で行う。
【0057】
図4は、本発明によるランダムアクセスチャネル受信方法を示すフローチャートである。以下に、移動局から基地局へ送信される上り受信データのランダムアクセスチャネル受信方法について、図2、図3を参照して説明する。
【0058】
S1.各前段処理部1〜1にて、任意のアンテナ数分パラレルに入力される上り受信データに対して、前述したとおりの前段処理を行う。
【0059】
S2.離散フーリエ変換器(DFT)2〜2にて、時間軸から周波数軸への変換を行う。
【0060】
S3.系列除去部3〜3にて、レプリカ系列を乗算することで相関値を得る。
【0061】
S4.逆離散フーリエ変換器(IFFT)5〜5にて、周波数軸から時間軸への変換を行う。
【0062】
S5.電力プロファイル6〜6にて、相関値を得る。
【0063】
S6.プロファイル合成部7にて、相関値をアンテナ数分加算することで、遅延プロファイルを得る。
【0064】
S7.雑音電力算出部8にて、プロファイルの干渉電力レベルを得る。
【0065】
S8.プリアンブル検出部(セル半径外)9bにて、プロファイル合成部7から得られる遅延プロファイルが入力され、余剰プロファイル区間(図1のC)のみを用いてプリアンブル検出閾値を確定し、プロファイル状態に応じ動的に更新・適用していく。
【0066】
S9.ランダムアクセスチャネル受信回数は、任意時間当たりに含まれる物理ランダムアクセスチャネル受信回数×サイクリックシフト数の値であり、予め定められた値に到達したか否かを判断する。
【0067】
S10.誤検出確率算出部11にて、プリアンブル誤検出数/物理ランダムアクセスチャネル受信回数により、誤検出確率を算出する。前述したとおり、セル半径外プリアンブル検出=誤検出と見なすことができる。
【0068】
S11.検出閾値算出部12にて、S10で得られた誤検出確率から閾値を決定する。初回は初期値を設定し、初回以外は任意のステップで閾値を増減させる。
【0069】
S12.プリアンブル検出閾値を更新するステップ幅と、プロセス繰返し回数を関連させてプリアンブル検出閾値を収束させる。
【0070】
S13.プリアンブル検出部(セル半径内)9aにて、プロファイル合成部7から得られる遅延プロファイルが入力され、収束されたプリアンブル検出閾値が入力されることにより、閾値以上であればプリアンブル検出、閾値未満であればプリアンブル未検出と判定する。
【0071】
S14.タイミング調整算出部10にて、プリアンブル判定と検出されたプリアンブルについて、そのピーク位置よりタイミング調整値を算出し、プリアンブル検出情報として出力する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、受信データの所望な誤検出確率となるプリアンブル検出閾値を動的に適用できるランダムアクセスチャネル受信装置にて利用できる。
【0073】
以上の実施例1〜2を含む実施態様に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の移動局が共通のチャネルを用いて任意のタイミングで基地局にアクセスを行い、基地局は前記移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信装置において、
各移動局からの受信データから各電力プロファイルを合成して遅延プロファイルを作成するプロファイル合成部と、
前記遅延プロファイルの中に、前記移動局からフレームの始まりを合図するために送られるプリアンブルの有無検出を行うプリアンブル検出部と、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出する誤検出確率算出部と、
前記誤検出確率算出部により得られる誤検出確率に対応して閾値を算出する検出閾値算出部と、
を有することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
(付記2)
付記1記載のランダムアクセスチャネル受信装置において、
前記プリアンブル検出部は、前記基地局のセル半径内とセル半径外の2種類の範囲を切り替える手段を有することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
(付記3)
付記1記載のランダムアクセスチャネル受信装置において、
前記プリアンブル誤検出確率算出部は、前記基地局のセル半径外である余剰プロファイル区間からプリアンブル誤検出回数を求めることを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
(付記4)
付記3記載のランダムアクセスチャネル受信装置において、
前記プリアンブル誤検出確率算出部は、前記プリアンブル誤検出回数と前記ランダムアクセスチャネル受信回数によりプリアンブル誤検出確率を算出することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
(付記5)
付記4記載のランダムアクセスチャネル受信装置において、
前記プリアンブル誤検出確率算出部は、時間平均を用いてプリアンブル誤検出確率を算出することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
(付記6)
付記1記載のランダムアクセスチャネル受信装置において、
前記検出閾値算出部は、検出閾値を更新するステップ幅に対応して閾値決定プロセス繰り返し数を決定することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
(付記7)
複数の移動局が共通のチャネルを用いて任意のタイミングで基地局にアクセスを行い、基地局は前記移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信方法であって、
各移動局からの受信データから各電力プロファイルを合成して遅延プロファイルを作成するステップと、
前記遅延プロファイルの中に、前記移動局からフレームの始まりを合図するために送られるプリアンブルの有無検出を行うステップと、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出するステップと、
得られた誤検出確率に対応して閾値を算出するステップと、
を含むことを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。
(付記8)
付記7記載のランダムアクセスチャネル受信方法であって、
前記プリアンブルの有無を検出するステップは、前記基地局のセル半径内とセル半径外の2種類の範囲を切り替えるステップを含むことを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。
(付記9)
付記7記載のランダムアクセスチャネル受信方法であって、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出するステップは、前記基地局のセル半径外である余剰プロファイル区間からプリアンブル誤検出回数を求めることを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。
(付記10)
付記9記載のランダムアクセスチャネル受信方法であって、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出するステップは、前記プリアンブル誤検出回数と前記ランダムアクセスチャネル受信回数によりプリアンブル誤検出確率を算出することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。
(付記11)
付記10記載のランダムアクセスチャネル受信方法であって、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出するステップは、時間平均を用いてプリアンブル誤検出確率を算出することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。
(付記12)
付記7記載のランダムアクセスチャネル受信方法であって、
前記閾値を算出するステップは、検出閾値を更新するステップ幅に対応して閾値決定プロセス繰り返し数を決定することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。
【符号の説明】
【0074】
〜1 前段処理部
〜2 離散フーリエ変換器(DFT:Discrete Fourier Transform)
〜3 系列除去部
4 レプリカ系列発生部
〜5 逆離散フーリエ変換器(IFFT:Inverse FET)
〜6 電力プロファイル
7 プロファイル合成部
8 雑音電力算出部
9 プリアンブル検出部(パワー判定)
9’ プリアンブル検出部(セル半径内・外)
9a プリアンブル検出部(セル半径内)
9b プリアンブル検出部(セル半径外)
10 タイミング調整算出部
11 誤検出確率算出部(時間平均)
12 検出閾値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動局が共通のチャネルを用いて任意のタイミングで基地局にアクセスを行い、基地局は前記移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信装置において、
各移動局からの受信データから各電力プロファイルを合成して遅延プロファイルを作成するプロファイル合成部と、
前記遅延プロファイルの中に、前記移動局からフレームの始まりを合図するために送られるプリアンブルの有無検出を行うプリアンブル検出部と、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出する誤検出確率算出部と、
前記誤検出確率算出部により得られる誤検出確率に対応して閾値を算出する検出閾値算出部と、
を有することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
【請求項2】
請求項1記載のランダムアクセスチャネル受信装置において、
前記プリアンブル誤検出確率算出部は、前記基地局のセル半径外である余剰プロファイル区間からプリアンブル誤検出回数を求めることを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
【請求項3】
請求項1記載のランダムアクセスチャネル受信装置において、
前記検出閾値算出部は、検出閾値を更新するステップ幅に対応して閾値決定プロセス繰り返し数を決定することを特徴とするランダムアクセスチャネル受信装置。
【請求項4】
複数の移動局が共通のチャネルを用いて任意のタイミングで基地局にアクセスを行い、基地局は前記移動局からのメッセージ送信を受信し制御するランダムアクセスチャネル受信方法であって、
各移動局からの受信データから各電力プロファイルを合成して遅延プロファイルを作成するステップと、
前記遅延プロファイルの中に、前記移動局からフレームの始まりを合図するために送られるプリアンブルの有無検出を行うステップと、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出するステップと、
得られた誤検出確率に対応して閾値を算出するステップと、
を含むことを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。
【請求項5】
請求項4記載のランダムアクセスチャネル受信方法であって、
前記プリアンブルの誤検出の確率を算出するステップは、前記基地局のセル半径外である余剰プロファイル区間からプリアンブル誤検出回数を求めることを特徴とするランダムアクセスチャネル受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−114716(P2011−114716A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270697(P2009−270697)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】