説明

ランマ

【課題】既存のランマを有効に利用して、ランマのバランスの安定化を向上させたランマを提供する。
【解決手段】エンジン2と、該エンジン2に固定されたランマヘッド6と、前記エンジン2の出力によって振動し、地盤を締め固めるための整地板を下端に有するランマフット8と、前記ランマヘッド6と前記ランマフット8とを接続する伸縮自在な伸縮部材7とを備えたランマ1において、前記ランマヘッド6は、重り部材10を取り付けるべき取付部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取扱い性を高めたランマに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランマは、底板で地盤をたたいて締め固めていくものである。軟らかい地盤のときは特に問題ないが、アスファルト等の比較的硬い路盤を突き固める場合には、反発力が強くなり、バランスが悪くなって取扱い性が悪化する。このようなランマの不安定な動作を抑制するためのランマが特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のランマは、硬い路盤を突き固める場合でも、不安定なジャンプ挙動を生ずることなく、安定したジャンプ挙動により適切な路盤の突き固め作業を行うことを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−273821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のランマは、底板の形状を変更させて不安定な挙動を抑制するものであるため、既存のランマを有効に利用することはできない。上述したようなランマのバランスの悪化を防止する手段として、汎用性の高い解決手段が望まれている。
【0005】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、既存のランマを有効に利用して、ランマのバランスの安定化を向上させたランマを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、エンジンと、該エンジンに固定されたランマヘッドと、前記エンジンの出力によって振動し、地盤を締め固めるための整地板を下端に有するランマフットと、前記ランマヘッドと前記ランマフットとを接続する伸縮自在な伸縮部材とを備えたランマにおいて、前記ランマヘッドは、重り部材を取り付けるべき取付部を有することを特徴とするランマを提供する。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記取付部は、重り部材を貫通するボルトが挿入されるボルト孔であることを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、前記取付部は、前記ランマヘッドの前記エンジンと対向している側であって、前記エンジンの出力軸が挿入される軸受けの上部に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、重り部材を取り付けることにより、ある程度地盤が固まって反発力が強くなっても、重り部材の重力によりこの反発力に適切に対応することができる。したがって、ランマとしての性能を向上させ、バランスが悪くなって取扱い性が悪化することを防止できる。また、重り部材はランマヘッドに取り付けられる。このため、振動するランマフットの軸心に対して近接して取り付けることができる。したがって、使用中に軸がぶれてバランスを崩すことを防止できる。
【0010】
請求項2の発明によれば、重り部材に設けられたボルトを挿通するための孔にボルトを通し、さらにランマヘッドに設けられたボルト孔に挿入することで、ボルトを介して重り部材とランマヘッドとを確実に固定することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、取付部をランマヘッドのエンジンと対向している側であって、前記エンジンの出力軸が挿入される軸受けの上部、すなわちランマヘッドとエンジンとの間に形成されている隙間に重り部材が取り付けられるため、ランマの外側にはみ出て取り付けられることはない。したがって、既存のランマに取り付けた場合はその取扱い性に影響を与えることなく、ランマの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るランマの概略側面図である。
【図2】図1のA−Aにおける一部断面図である。
【図3】ランマヘッドの概略図である。
【図4】ランマヘッドに重り部材を取り付けたときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2に示すように、本発明に係るランマ1は、動力源たるエンジン2と、ランマ本体3と、ハンドル4と、燃料タンク5とを有している。エンジン2は、燃料タンク5から燃料を供給される。ランマ本体3は、ランマヘッド6と、伸縮部材7と、ランマフット8とを有している。ランマヘッド6に収容された内部機構は、エンジン2の出力軸と連結されている。したがって、ランマヘッド6はエンジン2に固定されている。エンジン2の出力は、ランマヘッド6内に伝達される。より詳しくは、エンジン2がもたらす出力軸の回転駆動は、ランマヘッド6を形成するクランクケース内で往復直線運動に変換される。
【0014】
これにより、ランマヘッド6からランマフット8まで延びているランマ本体3内に収容されたピストンロッド(不図示)が上下運動する。これとともに、ピストンロッドと連動して伸縮する同じくランマ本体3内に収容された伸縮機構により、ランマフット8が振動する。ランマフット8の振動とともに、ランマフット8の下端に取り付けられた整地板9も振動する。整地板9の振動により、地面をたたいて締め固めていくことができる。具体的には、整地板9が地面をたたくことで、その反動がランマヘッド6を上下動させる。伸縮自在な伸縮部材7は、ランマヘッド6とランマフット8とを接続している。したがって、ランマヘッド6又はランマフット8の振動がダイレクトに互いに通じることはない。
【0015】
ランマヘッド6におけるエンジン2の出力軸が挿入される軸受け14(図4参照)の上部には重り部材10が取り付けられている。重り部材10を取り付け、ランマ1の重量を重くすることにより、ある程度硬い地盤でも、ランマ1の重量によりこの反発力を抑え込むことができ、ランマ1としての性能を向上させ、バランスが悪くなって取扱い性が悪化することを防止できる。すなわち、振動するランマフット8に取り付けた場合は、その振動運動を鈍らせるだけだが、ランマヘッド6に取り付けることにより、反力に対して安定度を上げることができる。
【0016】
また、重り部材10はランマヘッド6に取り付けられるため、ランマフット8が振動しても軸心Qに対して近接して取り付けることができる。したがって、使用中に軸がぶれて、ハンドル4を握って操作している使用者がバランスを崩すことを防止できる。この重り部材10は、図の例ではウエイトプレート(1kg程度のウエイトプレートを最大4枚取付可能)を使用しているが、例えば重り収容ボックスを取り付け、ここに重りを収容できるようにしてもよいし、あるいは液体が収容されたタンクを用いてもよい。
【0017】
図3を参照すれば明らかなように、このような重り部材10を取り付けることを可能とするため、ランマヘッド6におけるエンジン2の出力軸が挿入される軸受け14の上部には取付部たるボルト孔11が設けられている。ボルト孔11は、クランクケースたるランマヘッド6の肉厚部分である箇所を利用して設けられる。重り部材10を取り付ける場合は、図4に示されるように、重り部材10に設けられたボルト孔(不図示)にボルト12を通し、さらにランマヘッド6に設けられたボルト孔11にボルト12を挿入する。そして、ナット13でボルト12を固定する。これにより、ボルト12を介して重り部材10とランマヘッド6とを確実に固定することができる。図の例では、重り部材10は正面視略凸形状のものを用いている。
【0018】
このような重り部材10を取り付けるための取付部たるボルト孔11は、既存のランマに設けることができる。したがって、既存のランマを有効に利用して、重り部材10の効果であるランマ1の安定性の確保を実現することができる。
【0019】
図1に示されるように、重り部材10は、ランマヘッド6のエンジン2との隙間に取り付けられる。すなわち、ボルト孔11は、ランマヘッド6のエンジンと対向している側であって、エンジン2の出力軸が挿入される軸受け14の上部に設けられる。これにより、重り部材10がランマ1の外側にはみ出て取り付けられることはない。したがって、既存のランマ1にボルト孔11を設けて重り部材10を取り付けた場合、その取扱い性に影響を与えることなく、重り部材10がもたらす効果により、硬い地盤でもランマ1を安定して操作することができる。ランマヘッド6とエンジン2との間にスペースがない場合は、エンジン2の出力軸と、これに対応させたランマヘッドのハウジングとを伸ばし、重り部材10を取り付けるための隙間を形成することが好ましい。このような隙間をあえて形成することで、上述した重り部材10を軸心Qに近付けた位置に取り付けることを実現できる。なお、重り部材はランマヘッド6の表面であればどのような箇所に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 ランマ
2 エンジン
3 ランマ本体
4 ハンドル
5 燃料タンク
6 ランマヘッド
7 伸縮部材
8 ランマフット
9 整地板
10 重り部材
11 ボルト孔
12 ボルト
13 ナット
14 軸受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
該エンジンに固定されたランマヘッドと、
前記エンジンの出力によって振動し、地盤を締め固めるための整地板を下端に有するランマフットと、
前記ランマヘッドと前記ランマフットとを接続する伸縮自在な伸縮部材とを備えたランマにおいて、
前記ランマヘッドは、重り部材を取り付けるべき取付部を有することを特徴とするランマ。
【請求項2】
前記取付部は、重り部材に形成されたねじ座とともにボルトが挿入されるボルト孔であることを特徴とする請求項1に記載のランマ。
【請求項3】
前記取付部は、前記ランマヘッドの前記エンジンと対向している側であって、前記エンジンの出力軸が挿入される軸受けの上部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のランマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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