説明

リアコンビネーションランプ用多色成形レンズ

【課題】複数の色彩を有するレンズを一体成形して複数の灯具を構成するリアコンビネーションランプにおいては、昼間の消灯時には、外光により複数の色彩のレンズ接続面に混色を生じて見栄えを損なうという問題点を生じていた。
【解決手段】本発明により、色彩の濃い方のレンズ3に入射した外光を内部で反射面5により反射させ、色彩の薄い方のレンズ2を透過させて、再度、外部に射出させ観視者に達する構成としたことで、あたかも色彩の濃い方のレンズが色彩の薄い方のレンズの方向に延長されたように見え、接続面6が目立つのを防止して見栄えを向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプなど複数の目的の灯具が複合されて一体化された、リアコンビネーションランプの構成に係るものであり、詳細には、不点灯時にレンズを通して灯具の内部に入射する外光が内部の反射鏡などに反射して、再度レンズを通して外部に放出されるときの見栄えの向上に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、車両用灯具における非点灯時の見栄え向上手段の例を示すものが、図3であり、この車両用灯具は反射面34に対してレンズ30の寸法が大きく設定されており、前記レンズ30の上下方向に設定されたW2、W3の範囲はバルブ16の点灯時においても、殆ど、光源16からの光が到達することのない構成とされている。
【0003】
よって、夜間時にはバルブ16の点滅によりレンズ30の中心部W1は、この車両用灯具の目的、例えば、ターンシグナルの発信などの目的は達するものとなるが、上下方向に存在するW2、W3の範囲は光輝することはないが、周囲が暗いので、W2、W3の範囲の存在そのものが判然とせず、観視者にはそれ程の違和感は生じさせないものと思われる。
【0004】
しかしながら、昼間時はレンズの中心部W1以外の部分も外光Rにより照射されるので
、レンズ全体の存在が意識され、バルブ16の点灯によりW1の部分が特に明るくなり、上記したレンズ30の上下部分であるW2、W3の範囲は、そのままでは入射した光が帰って来ることはなく、レンズ30の中心部に比べて暗く見え、見栄えを損なうものとなる。
【0005】
そこで、従来例の車両用灯具においては、前記W2、W3の範囲には、レンズ30と対向する凹部36と凸部38とから成る鋸歯状面を設け、この鋸歯状面で外光Rを所定方向に反射させてレンズ30の全面を光輝させ、昼間時における見栄えの改善を行っている。
【特許文献1】特開平09−312101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記に説明した車両用灯具の昼間時の見栄えの向上手段は、単一の色彩のレンズ30に対応するものでありるが、近来の自動車においては、例えば、フロントコンビネーションランプ、あるいは、リアコンビネーションランプなど、複数の用途の灯具が一体化されたものとなり、これに伴い、レンズにおいても、赤色、アンバー色、透明色など複数の色彩を持つレンズが組合わされて、一面のレンズが構成されている場合が多く、また、このように、色彩が異なるレンズが接合されている所は昼間時に光らせることが困難であり、また、仮に光らせることが可能であっても、双方の色が共に発色して、見栄えを逆に悪化させる恐れを生じるという問題点を生じるものとなっている。
【0007】
また、上記のように、各色毎の接合部に、昼間時の見場う向上のためだけに従来例の鋸歯状の部分を形成するのは、構成的にも煩雑化し、コストアップの要因となるという問題点も、併せて生じるものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記した従来の課題を解決するための手段として、赤色レンズとアンバー色レンズとの接合部分において、前記赤色レンズの背面側には、と前記アンバー色レンズとの前記接合部分の近傍には、前記赤色レンズの側から入射する外光が、前記アンバーレンズ側を透過して観視者の視線に達する角度として反射する反射面が設けられていることを特徴とするリアコンビネーションランプ用多色成形レンズを提供することで、波長幅の広い色彩のレンズ中を波長幅の狭い色彩の光を透過させることで、二色のレンズに対して1箇所の反射面を設けることでよいものとして、構成の簡素化を可能として課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、二色の反射面に対して1箇所の反射面を設ければ良いものとしたことで、特に、リアコンビネーションランプなど、多数で、且つ、灯色の異なる灯具が集合されている灯具に対しても、従来と同程度の簡単な構成で、昼間時の見栄えの向上を可能とし、構成の簡素化により、コストダウンに優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に符号1で示すものは、リアコンビネーションランプの第一実施例の要部であり、図中に符号2で示すものは、例えば、方向指示灯用レンズであり、この方向指示灯用レンズ2は橙色、所謂アンバー色の透明部材で形成されている。
【0011】
そして、図中に符号3で示すものは、例えば、ストップ/テール用レンズであり、赤色の透明部材で成形されている。このときに、前記方向指示灯用レンズ2と前記ストップ/テール用レンズ3とは、予めに形成しておいた前記方向指示灯用レンズ2を、前記ストップ/テール用レンズ3を形成するための金型の所定位置に保持しておき、その状態で前記
ストップ/テール用レンズ3を成形するための樹脂部材を注入する、所謂インサート成型と称せられている成形手段により、一体として成型されている。
【0012】
尚、上記のようにして、成型を行うときには、前記方向指示灯用レンズ2と、テール/ストップ用レンズ3との密着強度を増すために、前記方向指示灯用レンズ2の外周にはフランジ2aが設けられ、前記ストップ/テール用レンズ3の側も、前記フランジ2aに対応する部分は厚みを増してフランジ受3aが形成されるものとされている。
【0013】
このように、形成されたことで、前記方向指示灯用レンズ2と、テール/ストップ用レ2aとには、フランジ2a、フランジ受3aが形成された分だけの厚みを生じるものとなるが、夜間時の光源点灯時には、前記フランジ2a、フランジ受3aを覆う部分に遮蔽部4を設けるなどして、光源7からの直射光を遮蔽することで、フランジ2a、および、フランジ受3aの部分、一方の光源7の点灯により、他方のレンズが発光することを防ぐことができる。
【0014】
しかしながら、昼間時においては、レンズの表面側から太陽光などの外光Nが入射するものとなり、前記遮蔽部4の構成によっては、一方のレンズ、例えば、フランジ受3aを含む赤色レンズ3を透過した外光Nが遮蔽部4に達し、この遮蔽部4で反射を生じて、再度、前記レンズ2、3を透過して観視者に観視されるものとなる状況を生じることも考えられる。
【0015】
即ち、外光Nは、上記した光源7のように各レンズ2、3に対して適切に光を照射すべく専用に設けられたものではなく入射する位置は、天候、時間、周囲の環境などにより様々な方向かに変化するものとなり、これにより、アンバー色レンズ2から入射し、内面反射により再びアンバー色レンズ2から外部に射出されて、観視者に達する状況も生じ得る。
【0016】
更には、前記外光Nは、アンバー色レンズ2から入射して赤色レンズ3から外部に射出され観視者に達する状況、赤色レンズ3から入射して赤色レンズ3から外部に射出され観視者に達する状況の四種類が、主として、起こりえる可能性が高い状況として考えられる。
【0017】
ここで、上記にも記載したように昼間時に、前記遮光部4に反射して2枚のレンズ2→レンズ3(あるいは、レンズ3→レンズ2、レンズ2→レンズ2、レンズ3→レンズ3)を透過し観視者に意識をさせるほどの強さ(照度)を有する外光Nとしては、太陽光、あるいは、薄暮時などに後続車が点灯したヘッドランプからの光以外には、存在し得ないと考えられる。
【0018】
よって、本発明では、外光Nは太陽光、あるいは、ヘッドランプからの光であるとして、以下の説明を行う。先ず、外光Nが太陽光、あるいは、ヘッドランプからの光と設定したことで、第一には、光の色は標準的には白色光であるとして考えることができる。そして、大部分の条件で、水平若しくは下向きに照射されている光として、レンズ2、3および、遮光部4などに対する光路などの設定が可能となる。
【0019】
本発明では、赤色レンズ3側から外光Nを前記レンズ3内に入射させるようにし、アンバー色レンズ2側から外部に射出されせるように設定するものであり、従って、図1に示すように、例えば遮光部4の、フランジ受3aを含む赤色レンズ3を透過した後に、フランジ2aを含むアンバー色レンズ2を透過した光の達する位置には、反射面5が設けられている。
【0020】
この反射面5は、例えば、前記遮光部4を形成するときに一体化して形成しても良く、あるいは、ハウジング8などと一体化して設けられても良く、要は、上記したように、赤色レンズ3から入射し、アンバー色レンズ2若しくはフランジ2aを透過してきた光を反射し、アンバー色レンズ2を透過して外部、即ち観視者側に射出可能な位置であれば、本発明のリアコンビネーションランプ1を構成する部品の何れと一体化して設けられていても良いものである。
【0021】
このようにしたことで、外光Nが入射しているときには、前記反射面5により、赤色レンズ3を透過した光が、より透過波長の広いアンバー色レンズ2を透過して射出され、観視者に達するものとなるので、より濃い色の赤色レンズ2の幅が拡がって見え、後続車からは、アンバー色レンズ2と赤色レンズ2との接続面6は目立たなくなり、見栄えが向上する。
【0022】
このときに、先行車が旋回するために、ターンシグナルランプ、即ち、アンバー色レンズ2の側の光源7を点灯すると、外光Nよりも格段に光量に優る光源7からの直射光に、前記した赤色レンズ2を透過した光は打ち消され、本来のアンバー色レンズ2の全面が、規定の発光色であるアンバー色で発光するものとなり、所謂、ターンシグナルランプとしての機能を損じることはない。
【0023】
図2は本発明に係るリアコンビネーションランプ1の第二実施例の要部であり、前の実施例では、アンバー色レンズ2と、赤色レンズ3との接続面6の近傍には一面の反射面5のみが設けられているものであった。
【0024】
しかしながら、この第二実施例では、前記反射面5は複数、例えば、反射面5aと、反射面5bと、反射面5cとの三面が設けられていて、且つ、反射面5a〜5cのそれぞれは、ほぼ平行光として赤色レンズ3に入射する光に対する反射角が、前記アンバー色レンズ2と赤色レンズ3との接合面6から、ほぼ等距離の位置から外部に射出するように設定されている。
【0025】
このようにすることで、より多量の赤色レンズ3を透過した光が、レンズが前記アンバー色レンズ2から射出するものとなり、昼間時などにおける前記接続面6は一層に視認することが困難となる。また、前記反射面5a〜5cの角度を調整し、前記アンバー色レンズ2から外部に射出される接続面6からの距離を変更することで、見かけ上の前記アンバー色レンズ2の非点灯時の大きさ、幅などを変更することが可能であり、デザイン的向上も可能となる。
【0026】
本発明により、アンバー色レンズ2と、赤色レンズ3とが接合されている接続面6の近傍に、赤色レンズ3から入射した外光Nを、フランジ受3a、フランジ2aを透過させた後に、赤色レンズ3から外部に放射させる反射面5を設けた、リアコンビネーションランプ1としたことで、昼間時においては、より濃色に着色された側のレンズ(赤色レンズ3)から入射した光を、比較的に薄色に着色された側のレンズ(アンバー色レンズ2)から外部に放出させ、観視者に達するようにしたことで、見かけ上で濃色の側のレンズの色が、淡色の側のレンズに映り込み、接続面6を目立たせないようにして、美感の向上を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るリアコンビネーションランプの第一実施例を要部で示す説明図である。
【図2】本発明に係るリアコンビネーションランプの第二実施例を要部で示す説明図である。
【図3】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1…リアコンビネーションランプ
2…アンバ色レンズ
2a…フランジ
3…赤色レンズ
3a…フランジ受
4…遮光部
5…反射面
6…接続面
7…光源
8…ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色レンズとアンバー色レンズとの接合部分において、前記赤色レンズの背面側には、と前記アンバー色レンズとの前記接合部分の近傍には、前記赤色レンズの側から入射する外光が、前記アンバーレンズ側を透過して観視者の視線に達する角度として反射する反射面が設けられていることを特徴とするリアコンビネーションランプ用多色成形レンズ。
【請求項2】
前記反射面は、複数が設けられていて、それぞれの反射面は反射角を、前記赤色レンズの端部近傍に略平行として入射した外光を、前記赤色レンズとアンバー色レンズとの前記接合部分からほぼ同一距離とする前記アンバー色レンズ側から外部に出射する角度として設定されていることを特徴とする請求項1記載のリアコンビネーションランプ用多色成形レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−158277(P2009−158277A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334808(P2007−334808)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】