リアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の検出方法
本発明は、リアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用した方法に関するもので、より詳細には、多様な種類の多数の生物学的試料から、試料に相応する遺伝子の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の検出方法であり、前記本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の検出方法は、多様な検体から求められる多様なターゲットの検査が、迅速且つ正確に一度に処理されるため、病気の診断が必要な病院などで効率的に用いることができる長所がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の検出方法に関し、より詳細には、多様な種類の多数の生物学的試料から、試料に相応する遺伝子の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体外診断検査(in vitro diagnostic testing:IVD testing)は、疾病の感染有無などを判定することを目的に、血液、尿(urine)、唾液(saliva)など人体に由来する試料を検体として特定指標物質を検出したり、定量分析する検査である。分子診断検査(Molecular diagnostic testing)または核酸診断検査(NAT;nucleic acid testing)は、体外診断検査市場において最も速い速度で成長している分野であるが、操作の複雑性のため大型病院及び臨床検査専門機関を中心に検査が行われている。
【0003】
分子診断検査は、現在、感染疾患、即ちウイルス、細菌などの定性、定量検査が主となっており、感染疾患の診断検査の結果を独立的に確認したり、変異株を確認するための確認検査(confirmatory test)などが行われている。腫瘍の早期確認、治療法の効能増加のための診断検査(diagnostic test)も速い速度で増えており、個人の遺伝子の遺伝的素因(genetic predisposition)による疾病に係わる異常遺伝子を検出したり、治療法の決定と薬物選択及び薬効評価のための個別化医療(personalized medicine)の分野で多様に応用されている。
【0004】
現在利用されている分子診断検査の自動化システムは、核酸の抽出、増幅、確認の全過程が自動化される方式に発展している。その一例として、Gen−Probe社のタイグリスダイレクトチューブサンプリング(TIGRIS Direct Tube Sampling、TIGRIS DTS)システムは、米国食品医薬品局により承認を受けた最初の自動化システムであり、標的捕獲、増幅、確認、検査結果の出力過程が自動化されており、代表的な性病の一つである淋病の原因菌である淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と性感染疾患の原因菌であるクラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)の感染有無を検査することができる。他の例としては、Roche Molecular Systems社のCOBASシステム(Ampliprep、Taqman analyzer)、Abbott社のm2000システム(m2000sp、m2000rt)、Cepheid社のGeneXpertシステム、IQuum IncのLiat(Lab−in−a−tube)analyzerなども重合酵素連鎖反応(PCR)基盤の自動化システムに開発され、市場で販売されている。
【0005】
しかし、上記のような既存の自動化システムは、一種類の試料に対して、試料の準備(Prep)−リアルタイム定量分析−記録(report)まで一つのステップで検査が行われるようになされているため、複数の異なる種類の試料に対して、試料の準備−リアルタイム定量、定性分析−記録まで同時に検査を行うことが不可能である。
【0006】
特に、B型肝炎の場合は患者数が多い反面、結核の場合は患者数が多くない。この場合、検査を行うために、一定数量の検体が得られるまで数日間待たなければならないという不便がある。複数の異なる種類の検体を診断検査する場合には、種類毎に異なる検査を行わなければならず、繰り返して実験を行わなければならないため、一日に多くの検査を行うことができないという欠点がある。B型肝炎ウイルスを検出するためには、B型感染の検出のための検体試料を集めて核酸を分離精製し、増幅するためには多くの時間が必要となる。
【0007】
上記の場合のように、同一の種類の検体試料を多数得るまでは多くの時間がかかり、少ない数のB型肝炎検出試料を分析するためには、現在の96ウェル核酸増幅反応器を用いるには多くの浪費が生じる。この場合には、結局、装置の作動を浪費するようになるか、または検体試料が得られるまで数日間待たなければならない。このような理由で、中小規模の病院で比較的少ない数の臨床検体から多様な臨床検査を行うことは、経済的且つ時間的に制限があるため、外部の検査機関に委託するようになり、むしろより多くの時間、コスト及び手間がかかるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明者らは一度に多様な種類のターゲットを同時に抽出及び分析し、報告(report)まですることができる自動化システムを研究した結果、比較的検体試料数が多くない中小規模の病院で多様な診断検査を効率的に行うために、多様な種類の検体試料を集めて当日に多様な種類の検体から核酸を抽出し、一つの核酸増幅器で同時に検出するリアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の分析方法を開発し、本発明を完成した。
【0009】
本発明の目的は、多様な種類の多数の生物学的試料から、試料に相応する遺伝子の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記リアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、多様な種類の生物学的試料に相応する核酸の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、核酸を含む生物学的試料から、前記本発明のリアルタイム核酸分析統合装置を利用してターゲット核酸を検出する方法を提供する。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明によると、多様な種類の生物学的試料に相応するターゲット核酸の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置であって、ターゲット核酸を含む多様な生物学的試料からターゲット核酸を分離精製する、多数の自動精製分注装置100と、マルチウェル温度循環ブロック(multi-well temperature circulation block)210を含み、前記多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なるターゲット核酸の量をリアルタイムで測定するリアルタイム核酸増幅器200と、を含み、夫々の前記自動精製分注装置100毎に分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、前記リアルタイム核酸増幅器200の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定(assign:割当)し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存し、前記温度循環ブロックの同一の条件下で同時増幅を行って、夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析する増幅結果が、前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々の生物学的試料に相応するように統合的に管理する制御部と、前記制御部の定性分析または定量分析の結果をリアルタイムで出力するディスプレイ部300と、を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0015】
本発明によると、前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存するにあたり、陽性標準試料、陰性標準試料、または定量標準試料の情報をさらに保存することを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0016】
本発明によると、前記リアルタイム核酸増幅器200は、前記マルチウェル温度循環ブロック210に、多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なる核酸を含む診断キットが載置されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0017】
本発明によると、前記マルチウェル温度循環ブロック210は、12列×8行のウェルからなる96ウェルの温度循環ブロックであることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0018】
本発明によると、前記マルチウェル温度循環ブロック210は、列単位で選択的に測定項目が設定されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0019】
本発明によると、前記制御部は、夫々の前記自動精製分注装置100で多様な種類の生物学的試料とともにインターナルコントロール(IPC)を分離する場合、前記自動精製分注装置100による核酸分離の成功有無を前記リアルタイム核酸増幅器200での増幅産物から判断し、核酸分離の再遂行有無を決めることができることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0020】
本発明によると、前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200の同一の条件下での同時増幅により得られる夫々の生物学的試料のターゲット核酸のCt値を臨界Ct値と比較し、ターゲット核酸の存在有無を定性的に検出することを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0021】
本発明によると、前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200で同一の条件で既知の濃度の定量標準試料と夫々の生物学的試料を同時に増幅して得られる夫々のCt値を定量標準試料のCt値の定量グラフと比較し、ターゲット核酸の数を計算して試料内のターゲット核酸を定量的に決めることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0022】
本発明によると、前記自動精製分注装置100は、核酸を含む多様な生物学的試料とこれから核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジ、冷蔵ブロック、高温ブロック、廃液筒、ピペットカートリッジが備えられた基板上への移動が可能で、ピペットの装着及び脱着が可能であり、前記ピペットの磁場の印加または解除のための磁場印加手段を備えるピペットブロックを含み、前記自動精製分注装置100による夫々の標準試料及び生物学的試料の情報とターゲット核酸の情報が制御部に保存されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0023】
本発明によると、前記リアルタイム核酸増幅器200は、温度が所定温度に変更されるマルチウェル温度循環ブロック210と、前記温度循環ブロックに装着された反応チューブへ光を照射するための照射光源と、前記反応チューブから発生する光を受光するための蛍光検出センサと、を備え、前記設定された列毎に測定項目が設定されて保存されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0024】
本発明によると、前記リアルタイム核酸分析統合装置は、分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0025】
本発明によると、1)多数の自動精製分注装置100で、標準試料と核酸を含む多様な生物学的試料から各試料に含まれた核酸を分離精製した後、分離精製された溶液を核酸増幅反応混合物の反応チューブに加えて混合する段階と、2)前記核酸増幅反応混合物の反応チューブが装着されるマルチウェル温度循環ブロック210と前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々のターゲット核酸が相応するように、マルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して、前記自動精製分注装置100で分離される標準試料と生物学的試料の情報を保存する段階と、3)段階2)で保存されたリアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルの生物学的試料の情報に一致するように、段階1)で準備された反応チューブを各ウェルに装着する段階と、4)前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210に装着された夫々のターゲット核酸を同一の条件下で同時に増幅して、多数の生物学的試料に対する夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析し、増幅結果を得る段階と、を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0026】
本発明において、前記段階2)と段階3)は同時に行ってもよく、または段階3)が段階2)より先に行われてもよい。
【0027】
本発明によると、前記自動精製分注装置100で生物学的試料にインターナルコントロール(IPC)を添加して核酸を分離し、前記増幅結果から、自動精製分注装置100でのターゲット核酸分離の成功有無と増幅効率を判断して、ターゲット核酸の検出の有効性を決めることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0028】
本発明によると、前記1)段階において、前記核酸増幅反応混合物の反応チューブは、前記分離精製された核酸溶液を核酸増幅に必要な成分が乾燥された形態で含まれた反応チューブに加え、前記溶液と前記成分を混合することにより製造されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0029】
本発明によると、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がRNAである場合、タバコモザイクウイルス粒子であることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0030】
本発明によると、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がDNAである場合、プラスミドDNAまたはPCR増幅産物(PCR product)であることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、少なくとも二つ以上の自動精製分注装置を利用して多様な種類の生物学的試料から自動で核酸を分離及び精製することができ、リアルタイム核酸増幅器で多様な試料を同一の条件で一度に同時に分析することができ、自動精製分注装置とリアルタイム核酸増幅器を管理する制御部により、検査時間を短縮し、コストを低減することができる長所がある。
【0032】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法は、自動精製分注装置で生物学的試料とともに本発明のインターナルコントロールを添加して分離精製することにより、生物学的試料夫々に対する核酸分離の有無及びリアルタイム核酸増幅器での核酸増幅過程の問題を確認することができる長所がある。
【0033】
また、夫々の自動精製分注装置で分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、列単位でマルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に設定することができるため、多様な検体から求められる多様なターゲット検査が一連の一段階過程により並列的に処理されることにより、病気の迅速な診断が必要である病院などで効率的に使用することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置の概略図である。
【図2】本発明によるリアルタイム核酸増幅器200に備えられたマルチウェル温度循環ブロック210の図面である。
【図3】本発明によるディスプレイ部300を示す図面である。
【図4】本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置の全体フローダイアグラム(flow diagram)を示す図面である。
【図5】本発明による自動精製分注装置において、カートリッジの試料ローディングウェル部分を示す図面である。
【図6】本発明のタバコモザイクウイルス粒子(IPC)によるタバコモザイクウイルス(TMV)標準テンプレートのリアルタイム重合酵素連鎖反応を示すグラフである。
【図7】本発明のタバコモザイクウイルス粒子(IPC)によるタバコモザイクウイルス(TMV)標準テンプレートのリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフに対する標準曲線(勾配:−0.283、R2:1)を示す図面である。
【図8】本発明のHBV Quantitative PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHBV標準テンプレートDNAに対するリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフを示す図面である。
【図9】本発明のHBV Quantitative PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHBV標準テンプレートDNAに対するリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフに対する標準曲線(勾配:−0.2882、R2:0.9997)を示す図面である。
【図10】本発明のHCV Quantitative RT−PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHCV標準テンプレートRNAのリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフを示す図面である。
【図11】本発明のHCV Quantitative RT−PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHCV標準テンプレートRNAのリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフに対する標準曲線(勾配:−0.2970、R2:0.9998)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明のリアルタイム核酸分析統合装置を詳細に説明する。以下で紹介される図面は、当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために例として提供されるものであり、誇張されて図示されることができる。
【0036】
この際、用いられる技術用語及び科学用語において、他に定義されない限り、この発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、下記の説明及び添付図面において、本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある公知機能及び構成についての説明は省略する。
【0037】
[実施例1]
実施例1は、本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置に関するものである。図1は本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置の概略図を示すものであり、以下、本発明をより詳細に説明する。
【0038】
前記リアルタイム核酸分析統合装置は、核酸を含む多様な種類の生物学的試料から互いに異なる核酸を分離精製するための多数の自動精製分注装置100を備える。前記生物学的試料は、自然環境から分離され、核酸を含む生物学的物質を意味する。本発明による生物学的試料は、精製または分離された核酸溶液、微生物、組職、生物学的流体、または細胞であることができる。生物学的流体には、血液、血漿、痰、尿、脳脊髄液、胃洗浄液、ロイコフォレーシス(leukophoresis)、人体から得られた各種検体試料などが含まれるが、これに限定されるものではない。本発明の試料は、核酸を含む任意植物、動物、人体、細菌またはウイルスに由来するサンプルで構成されることができる。本発明において、核酸は通常DNA、RNA、PNA、DNAとRNAのハイブリッド及びこれらを含む物質を意味するが、これに限定されず、本発明の装置をタンパク質などの物質を分離、検出するために採択して用いることができるであろう。
【0039】
図1を参照すると、本発明の自動精製分注装置100は、単一または複数、多様な種類の試料から核酸を分離するために、好ましくは2〜6個に、多数装着することを特徴とする。本発明の自動精製分注装置100は、多数の生物学的試料溶液から核酸を分離するために磁性粒子を利用し、磁性粒子と核酸を可逆的に結合させて核酸を分離することを特徴とする。
【0040】
前記自動精製分注装置100は、核酸を自動で精製及び分注する装置であり、核酸を含む多様な生物学的試料とこれらから核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジ、冷蔵ブロック、高温ブロック、廃液筒、ピペットカートリッジ、このようなブロック及びカートリッジが備えられた基板上への移動が可能で、ピペットの装着及び脱着が可能であり、前記ピペットの磁場の印加または解除のための磁場印加手段を備えるピペットブロックを含む。前記ピペットブロックは8〜16個のピペットが装着及び脱着されることができる。
【0041】
多数の生物学的試料溶液から核酸を分離するために利用される磁性粒子は、バッファー溶液内で核酸と結合するようになり、ピペット内部に磁性粒子と結合された核酸が吸入された状態で磁場をピペットに印加する場合、核酸が結合された磁性粒子はピペット内部に凝集して付着され、その他の溶液はピペットの外に排出される。
【0042】
本発明の磁性粒子は、表面積が広く、微細な磁性粒子を用いることが好ましい。
【0043】
本発明において、ピペットに磁場を加えるための磁場印加手段としては、永久磁石または電磁石が用いられることができ、ピペットに可逆的に磁場を加えるようになる。ピペットの作動は、ピペットに連結されたピストンによって溶液が排出されることができ、ピペット移動手段によって移動が可能である。
【0044】
本発明の自動精製分注装置100は、通常の公知された自動精製分注装置を用いることができ、例えば、韓国登録特許148239号、US5702590、US5647994、EP0691541、US5336760号、US5897783号、US6187270号、韓国特許出願10−2008−0032904号に記載された装置が用いられることができる。また、バイオニア社のExiPrepTM(登録商標)16−fully Automated DNA/RNA/Proteins Purification Systemが本発明の自動精製分注装置100として好ましく用いられることができる。
【0045】
前記自動精製分注装置100で分離/精製された核酸は、予め装着された単位反応チューブからなる診断キットに分注される。使用者は、自動精製分注装置100内で分注された8−ウェルストリップチューブからなる診断キットを取り出して透明フィルムで密封した後、リアルタイム核酸定量増幅器の設定された列に載置した後動作して、結果を自動で導出させる。
【0046】
前記核酸を含む生物学的試料から核酸を分離、精製するための多数の自動精製分注装置100は、バーコード(bar code)認識装置(不図示)をさらに備えることができる。バーコード認識装置により認識された生物学的試料の情報は、データベース化されてリアルタイム核酸分析統合装置内のシステム管理(manager)ソフトウェアである制御部に保存され、このような情報はリアルタイム核酸増幅器200にも自動適用されることができる。前記バーコードは、生物学的試料の性別、年、種類など、試料を識別するために必要な内容を示す。
【0047】
本発明は、前記多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なるターゲット核酸をリアルタイムで増幅するリアルタイム核酸増幅器200を含む。
【0048】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、前記自動精製分注装置100から分離及び精製された核酸に相応する診断キットが載置され、所定温度(設定温度)に変更されるマルチウェル温度循環ブロック210と、前記温度循環ブロックに装着された反応チューブ内に光を照射するための光源と、反応チューブ内の検出標識から発生する光を受光するための蛍光検出センサと、を含んで構成される。前記蛍光検出センサは、ターゲット核酸に対するリアルタイム定量及び定性分析を可能にする。
【0049】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、リアルタイム重合酵素連鎖反応が可能な装置であり、公知されたリアルタイム核酸重合酵素連鎖反応用装置が用いられることができる。好ましくは、韓国特許第794703号に記載された装置、PCT/KR2008/064558号に記載された装置、またはバイオニア社のExicyclerTM 96 Real−Time Quantitative Thermal Block製品を採択して用いることができる。
【0050】
前記リアルタイム核酸増幅器200はマルチウェル温度循環ブロック210を含み、前記マルチウェル温度循環ブロックは12列×8行のウェルからなる96ウェルで構成されており、前記各ウェルは列単位で区分されて列単位で設定される。従って、互いに異なるターゲット核酸の種類による夫々のターゲット核酸の増幅量及びターゲット情報が、列単位でリアルタイムでディスプレイ部300に表示されることができる。本発明では、列単位でターゲット核酸の検出項目が設定されているが、これに限定されず、行またはウェル毎に変形して設定することが可能である。
【0051】
本発明において、前記リアルタイム核酸分析統合装置は、分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることができる。
【0052】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、前記自動精製分注装置100で分離精製されるターゲット核酸の種類及び生物学的試料に関する情報を保存する。また、前記リアルタイム核酸増幅器200は、夫々の自動精製分注装置100で分離された夫々のターゲット核酸の種類によって、列単位でマルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェル領域を設定する。前記マルチウェル温度循環ブロックで1個以上の列に設定することが好ましい。同一の検出ターゲットを有する設定領域内の各ウェルには、生物学的試料から分離された核酸と標準試料が入れられ、これらに関する情報が各ウェル毎に保存される。
【0053】
本発明において、ウェル211aは、診断キットの反応チューブが載置されることができるマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルを意味する。診断キットの種類によって、核酸増幅器の温度循環ブロック上の列単位で夫々の検出ターゲットを設定する。
【0054】
本発明は、自動精製分注装置100及びリアルタイム核酸増幅器200をコルトロ−ルし、前記自動精製分注装置からの情報をリアルタイム核酸増幅器に伝達して、前記リアルタイム核酸増幅器の情報を保存及び管理するリアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェアを含む。
【0055】
本発明で用いられる診断キットは、検出可能な標識を含み、特定ターゲット核酸を増幅するための同量のプライマー及び緩衝溶液が入っている反応チューブ500からなっている。
【0056】
本発明において、「反応チューブ500」は試料を含むことができる容器を意味するものであり、1〜96個、好ましくは8個、12個、16個、96個である。これは、プラスチックまたは類似材料に形成された凹みまたはチューブであることができ、好ましくは、規則的なパターン、例えば、格子状に96ウェル反応プレート(12列×8行)、384ウェル反応プレート、または8−ウェルストリップ形態からなるチューブであることができる。
【0057】
前記診断キットの反応チューブ500には、ターゲット核酸を増幅するためのプライマー、検出可能な標識及び緩衝溶液を含み、前記分離された核酸が加えられて、総量は10〜50μlが好ましいが、これに限定されない。多数の診断キットの互いに異なるプライマー及び/またはプローブは同一のアニール(T1)温度によって増幅され、前記診断キットの単位反応チューブ毎に互いに異なるターゲット核酸を増幅するように操作されたプライマーとプローブを含む。
【0058】
本発明における診断キットは、核酸の特定部分を増幅するための特異的プライマー(specific primer)、蛍光が付着されたプローブ、DNA重合酵素、dNTPを混合した組成物が乾燥されて製造される。安定化剤を追加して乾燥することができる。乾燥方法としては、凍結乾燥、加温乾燥、真空減圧乾燥などが用いられることができる。従って、本発明における診断キットは乾燥された形態であるため、量を調節することなく分離精製された核酸溶液の一定量を添加して、直ちに核酸増幅反応混合物を製造することができる。
【0059】
本発明において、夫々の診断キットに用いられるターゲット核酸の検出のためのプライマーは、各ターゲット核酸の診断検査のためにTm(melting point、℃)が類似するようにデザインされた塩基配列を利用する。前記Tm(melting point、℃)はターゲット核酸の一部塩基配列に基づいて設計され、アニール温度に基づいて多様なターゲット核酸を同時に選択的に増幅するために、同一の反応温度条件に設定することが重要である。本発明によると、一人からの検体試料、または多数の人からの検体試料から同時に多数のターゲット核酸を検出することができる。例えば、AIDS、B型肝炎、C型肝炎、性病診断を、同一の増幅条件で一度に一つのリアルタイム核酸増幅器で行うことができる。
【0060】
図2は前記多数の診断キットの反応チューブ500が夫々対応して載置される多数のウェルを備えるマルチウェル温度循環ブロック210の図面である。本発明において、反応チューブ500は、好ましくは8ストリップ、16ストリップまたは96ウェルプレートの形態からなることができる。
【0061】
図2を参照すると、前記設定された列のウェル211aに、同種の生物学的試料から分離精製された核酸が注入された反応チューブが載置され、同一の列に載置された反応チューブ夫々に、同一のターゲット核酸を増幅するように操作されたプライマー及び/またはプローブが含まれている。
【0062】
図2を参照すると、前記マルチウェル温度循環ブロック210は、多数のウェル211からなる。夫々のウェル211aに診断キットの反応チューブ500が載置されることができる。本発明では、マルチウェル温度循環ブロック上に互いに異なる多数の診断キットの反応チューブが載置されることができ、列単位で、マルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に設定する。マルチウェル温度循環ブロック上に互いに異なるターゲット核酸を含む多数の診断キットが載置され、これにより、互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、列単位で、マルチウェル温度循環ブロック上のマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に指定するが、増幅反応条件は同一に行われることを特徴とする。
【0063】
本発明のリアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロック210は、96ウェル(12列×8行)形態であることができ、前記マルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域は、隣接した一つまたは二つの列単位で検出ターゲットを設定することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0064】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、後述する制御部の制御により、第1温度であるアニール(T1)温度と第2温度である拡張(T2)温度に繰り返して変化される。
【0065】
従って、ウェル211aに載置される診断キットの反応チューブは、第1温度であるアニール(T1)温度と第2温度である拡張(T2)温度との間で変化されることにより核酸が増幅され、第3温度が変性のためにさらに求められることもできる。前記マルチウェル温度循環ブロック210の第1温度であるアニール(T1)温度、第2温度である拡張(T2)温度及び第3温度が、ターゲット核酸によって多様に設定されることができる。
【0066】
リアルタイム核酸増幅器200は、マルチウェル温度循環ブロック上の設定領域のターゲット核酸の種類及び生物学的試料に関する情報に基づいて、夫々のターゲット核酸の増幅程度及び量を同時に測定し、前記ターゲット核酸の測定は、反応チューブに含まれた検出可能な検出標識のシグナルの数値によって測定される。
【0067】
前記標識によって発生したシグナルの水準は、増幅される標的核酸の量に比例する。検出標識のシグナルは、例えば、発光シグナル、色染料シグナル、または放射性シグナルを含む何れかの種類のシグナルであることができる。好ましい様態として、検出可能なシグナルは発光シグナルである。発光シグナルは、蛍光シグナルまたは化学発光シグナルであることができる。ターゲット核酸の増幅が始まることにより光が発光し、ターゲット核酸の増幅量によって発光時期及び発光強さが変わるようになり、ターゲット核酸の増幅された量をモニタリングすることができるようにする。
【0068】
本発明では、シグナル検出のために蛍光色素が結合されたプローブまたはインターカレート色素などの蛍光色素が用いられることができる。好ましくは、核酸増幅のために、デュアルラベルプローブ(dual−labeled probe)を主に用いることができる。
【0069】
前記リアルタイム核酸増幅器200は制御部を備える。前記制御部は、前記自動精製分注装置100で分離されるターゲット核酸の種類及び前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々の生物学的試料に関する情報を保存し、夫々の自動精製分注装置100で分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、列単位で、マルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に設定し、前記温度循環ブロック上の全てのターゲット核酸が同一の条件下で同時に増幅されるようにして、前記設定された列に相応するターゲット核酸の種類及び夫々のウェルに対する生物学的試料に関する情報に基づいて、同時増幅された夫々のターゲット核酸を測定して判断する。
【0070】
前記制御部に保持される全ての情報は使用者により入力され、入力された情報を保存及び維持できるようにセットされる。
【0071】
前記リアルタイム核酸増幅器200は、前記マルチウェル温度循環ブロック210に装着された列毎に、またはウェル毎に、互いに異なるターゲット核酸を検出するための診断キットの種類によって夫々のターゲット核酸の増幅量及びターゲット情報をリアルタイムでディスプレイ部300に表示する。
【0072】
図3は本発明によるディスプレイ部300を示す図面である。図3を参照すると、ディスプレイ部300は、リアルタイム核酸増幅器200の前記設定された列情報を表示する第1ディスプレイ部302と、単位反応チューブで増幅されるターゲット核酸の量を測定して図示化する第2ディスプレイ部301と、使用者がウェル211aを個別的に選択して見ることができるウェル選択部303と、を備える。前記ウェル選択部303による使用者の選択に応じて、一つまたはそれ以上の単位反応チューブの診断結果を多様な色で一度に表示することにより、その差異を明瞭に区分して表示することができる。
【0073】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、自動精製分注装置及びリアルタイム核酸増幅器を統合的に管理し、より詳細には、生物学的試料のデータを自動精製分注装置からリアルタイム核酸増幅器に伝達し、リアルタイム核酸増幅器から得られる互いに異なるターゲット核酸の種類による夫々のターゲット核酸情報及び増幅結果を定性分析または定量分析する制御部を含む。
【0074】
本発明のリアルタイム核酸分析統合装置は、制御部のソフトウェアにより作動され、これは、図4に示すように、大きく1.情報入力、2.自動精製分注装置100での核酸の分離精製、3.リアルタイム核酸増幅器200での作動(RUN)、4.結果分析(Update Result/Analysis)の四つに分類される。本発明の制御部のソフトウェアは全体的な運営を掌る。ソフトウェアの役割は、大きくDB機能及び維持、自動精製分注装置の制御維持、リアルタイム核酸増幅器の作動及び分析制御維持などの役割を遂行する。
【0075】
本発明のリアルタイム核酸分析統合装置は、二つのコンピュータと三つの自動精製分注装置と一つのリアルタイム核酸増幅器で構成される。まず、制御部のソフトウェアは、使用者がリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアに入力したデータを基盤とする。二つのコンピュータのうち一つは、ローカルDB、リアルタイム核酸分析統合システムの管理ソフトウェア及び自動精製分注装置プログラムが設けられるリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア用コンピュータである。他の一つのコンピュータは、リアルタイム核酸増幅器プログラム用である。各コンピュータは、TCP/IP通信を介してデータを送受する。リアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェア用コンピュータは、三つの自動精製分注装置とTCP/IPを介して通信する。リアルタイム核酸増幅用コンピュータは、核酸増幅器とUSBを介して通信する。前記リアルタイム核酸分析統合装置は、コンピュータ間のクライアントサーバ環境、リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア及び自動精製分注装置間のクライアントのサーバ環境で構成される。
【0076】
より詳細には、各病院サイトにはメインDBが存在する。メインDBへの試料入力作業をリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアを利用して行う。この作業は、本発明のリアルタイム核酸分析統合装置に用いられるローカルDBに作業リスト(worklist)を搭載する過程である。搭載された作業リストは、バーコードまたは自動割り当て方式によって、使用者により各自動精製分注装置に割り当てられる。全て割り当てられた後、自動精製分注装置を運営する。運営が全て完了すると、完了と同時に動作完了によるアップデートを行う。リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア用コンピュータは、アップデートをチェックし、ローカルDBを更新する。本発明の統合管理ソフトウェアは、複数の核酸精製分注装置を同時に夫々制御することができ、これらの動作状態を提供する。
【0077】
前記リアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェア用コンピュータは、リアルタイム核酸増幅器が準備されたことを使用者に知らせる。使用者は知らせの指示を受け、96ウェルマルチウェル温度循環ブロックに反応チューブを装着する。反応チューブの装着が完了すると、リアルタイム核酸増幅器の作動を行う。動作が完了すると、使用者に分析(analysis)プログラムを実行させるかを知らせる。分析が完了すると、使用者により完了及び終了が実行される。統合管理ソフトウェア用コンピュータは、全ての作動及び分析が完了したかをチェックし、チェックの完了後、ローカルDBを更新する。
【0078】
まず、本発明のリアルタイム核酸分析統合装置を作動するためには、情報(データ)が入力されなければならない。データ情報の入力は、使用者が、検体試料毎にリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア用コンピュータの統合管理プログラム内のデータベースに従ってデータ情報を入力するという意味である。データ情報の入力によって該当診断キット毎に用いられるプロトコルが決まっている。即ち、試料の名前を入力し、診断キット、核酸類型、サンプルソースタイプ(sample source type)、分離プロトコルを選択する。入力すべき試料数を選択して「input」ボタンを押す。自動精製分注装置では、入力された情報(データ)を利用して各自動精製分注装置のカートリッジウェルに「Assign(割当)」する。本発明において、「Assign」は「Auto assign(自動割当)」とバーコード「assign」を支援する。本発明は、精製すべき試料をクリックする順に、自動で「assign」する。各自動精製分注装置の「assign」が完了すると、自動精製分注装置が動作できる状態となる。使用者は、自動精製分注装置で夫々の装置を動作させる。自動精製分注装置ソフトウェアは、動作に関する全ての情報を保存する。自動精製分注装置ソフトウェアは、作動時間、進行状態などの進行情報を使用者に提供する。自動精製分注装置の動作時間は、約40〜50分がかかる。自動精製分注装置の作動が完了すると、リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアが自動検知を行う。自動検知により、次の工程であるリアルタイム核酸増幅器の作動を指示する。
【0079】
本発明の実施例では、リアルタイム核酸増幅器の該当コンピュータが別に分けられているため、使用者がリアルタイム核酸増幅器プログラムを実行する。実行時、作業リストが自動精製分注装置からリアルタイム核酸増幅器に伝送され、使用者に自動で提供される。統合管理ソフトウェアによって実行された核酸増幅器ソフトウェアにより、実験する診断キットを選択する。本発明では、選択された診断キットによってコントロールは自動で「assign」されるようになっている。使用者は、核酸精製分注装置で遂行された作業リストを呼び出して実行する。サンプルをクリックする順に応じてマルチウェルに「assign」される。該当設定された情報に相応する診断キットを装着し、核酸増幅器の動作を実行する。リアルタイム核酸増幅器の動作は約2〜3時間かかる。核酸増幅器の作動s/wの動作が終わると、該当結果ファイルを管理s/wに伝送する。動作が完了すると、リアルタイム核酸分析統合装置の「管理(manager)」ソフトウェアで動作状態を自動で認知して結果をアップデートし、作業リストを次の工程に移管する。「manager」プログラムは、結果アップデートを行うことにより全ての結果をアップデートする。マルチウェルのウェル毎にアップデートすべき試料を選択する。失敗したものはアップデートせず、分離工程または増幅工程の該当工程にさらに戻す。現在の全ての分析状態を示す「Analysis」ウィンドウを実行することにより、使用者が増幅状態を分析することができる。
【0080】
本発明のリアルタイム核酸分析統合装置の制御部は、「work list」ローカルデータベース、リアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェア、自動精製分注装置ソフトウェア、リアルタイム核酸増幅器の作動ソフトウェア、リアルタイム核酸増幅器の分析ソフトウェアの五つのプログラムを自動で連結させて、一連の自動化工程を提供する。動作時のヒューマンエラーを防止するために、「assign」時に関連画面を提供し、全てのデータを追跡することができるようにしている。全ての装備運用時、ログファイルが生成される。
【0081】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、上記の夫々の診断キットの単位反応チューブの分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることができる。
【0082】
[実施例2]
実施例2は、本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法に関するものであり、以下、より詳細に説明する。
【0083】
本発明によると、1)多数の自動精製分注装置100で標準試料と核酸を含む多様な生物学的試料から、各試料に含まれた核酸を分離精製した後、分離精製された溶液を核酸増幅反応混合物の反応チューブに加えて混合する段階と、2)前記核酸増幅反応混合物の反応チューブが装着されるマルチウェル温度循環ブロック210と前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々のターゲット核酸が相応するように、マルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェルをターゲット核酸の種類毎に列単位で分割してブロックを設定し、前記設定されたブロック内の夫々のウェル毎に、前記自動精製分注装置100で分離される標準試料と生物学的試料の情報を保存する段階と、3)段階2)で保存されたリアルタイム核酸増幅器200のマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルの生物学的試料の情報に一致するように、段階1)で準備された反応チューブを各ウェルに装着する段階と、4)前記リアルタイム核酸増幅器200の温度循環ブロックに装着された夫々のターゲット核酸を同一の条件下で同時に増幅し、多数の生物学的試料に対する夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析して増幅結果を得る段階と、を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0084】
本発明において、前記段階2)と段階3)は同時に行ってもよく、または段階3)が段階2)より先に行ってもよい。
【0085】
本発明において、前記1)段階の自動精製分注装置100で精製及び分注される核酸は夫々互いに異なる核酸であることができ、多様な種類の生物学的試料が核酸分離に用いられることができる。
【0086】
本発明において、前記自動精製分注装置100で生物学的試料にインターナルコントロール(internal positive control、IPC)を添加して核酸を分離し、前記増幅結果から自動精製分注装置100でのターゲット核酸分離の成功有無及び増幅効率を判断して、ターゲット核酸の検出の有効性を決めることを特徴とする。
【0087】
本発明において、前記1)段階における反応チューブは核酸増幅に必要な成分が乾燥された形態で含まれたものであり、これに分離精製された核酸溶液を加えて混合することにより、核酸増幅反応混合物の反応チューブを製造することを特徴とする。
【0088】
本発明の診断キットは乾燥組成物からなっているため、分離精製された核酸溶液を加えて直ちに混合物を製造することができる。溶液状態の診断キットは、分離された核酸溶液を添加すると、反応容量が多くなるという問題が生じ、分離された核酸濃度が低くなる。
【0089】
本発明において、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がRNAである場合、タバコモザイクウイルス粒子であることを特徴とする。
【0090】
本発明において、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がDNAである場合、プラスミドDNAまたはPCR増幅産物(PCR product)であることを特徴とする。PCR増幅産物は、PCR増幅によって作られたDNAを意味する。
【0091】
前記1)段階において、インターナルコントロールは、既知の濃度毎に追加した定量標準試料をさらに含んで分離することを特徴とする。
【0092】
前記1)段階において、標準試料として陰性コントロール(NTC)と陽性コントロール(PC)をさらに用いて分離することを特徴とする。
【0093】
前記インターナルコントロールの増幅のためのプライマー、プローブは、下記表1に提示された配列を用いることを特徴とする。
【0094】
本発明では、前記インターナルコントロール(または内部対照群、internal positive control、IPC)を核酸の分離精製段階から適用して、試料から核酸を分離した後、リアルタイム核酸増幅器で増幅を行う。これは、核酸の不十分な増幅の原因が、精製過程にあるか、または増幅過程にあるかを確認することが困難であるという問題を解決するために利用される。本発明では、分離過程から既知の濃度のインターナルコントロール(internal positive control、IPC)を試料に添加して、ともに分離、精製することにより、自動核酸精製分注装置で分離がまともになされたかと確認することができるだけでなく、分離後に増幅過程で核酸増幅がまともになされなかった場合、分離段階から問題があったか、核酸増幅段階で問題があったか、その原因を容易に分かるようになる。本発明では、タバコモザイクウイルスをインターナルコントロール(IPC)として用いた。タバコモザイクウイルス(TMV)は、RNAウイルスであり、新種インフルエンザH1N1ウイルスのようなRNAウイルスの検出をターゲットとする場合に適したインターナルコントロール(IPC)として用いることができる。
【0095】
タバコモザイクウイルス(TMV)を用いる利点は次のとおりである。既存の場合、検体試料から核酸を分離する時にインターナルコントロール(IPC)をともに用いず、核酸の増幅反応時にのみ特定種類のRNAを分離された核酸試料に添加して反応させた。本発明では、ウイルス粒子自体を検体試料の分離段階からともに分離、精製して、リアルタイム核酸増幅反応までともに進行するため、効率検定に有用である。植物ウイルスであるタバコモザイクウイルス(TMV)は、大量精製が可能であり、取り扱いに危険負担がない。人体ウイルスと植物ウイルスは、反応する「receptor」が夫々異なるため植物ウイルスが人に感染されることがなく、ターゲットとする人体ウイルスとは類縁関係が遠いため、プライマー及び探針の製作時、または核酸の増幅反応時、所望の人体核酸ターゲットと塩基配列が一致する現象が少ないか、殆どないという長所がある。
【0096】
本発明において、診断キットは、単位反応チューブにインターナルコントロ−ル(IPC)と増幅されるターゲット核酸に相応するプライマー、ターゲット核酸を検出するための検出標識及び緩衝溶液が同量に備えられることを特徴とする。単位反応チューブとしては、8−ウェルストリップが用いられることができる。また、前記単位反応チューブ内の核酸増幅の反応物は、乾燥された形態であることを特徴とする。
【0097】
本発明において、前記リアルタイム核酸増幅器200で生物学的試料にインターナルコントロール(internal positive control、 IPC)を添加して核酸を分離して確認するための増幅結果は、前記自動精製分注装置100で得られた核酸分離の有無及び前記リアルタイム核酸増幅器200を利用して同一の条件下で同時に増幅して得られる増幅過程により確認することができる。
【0098】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、多数の自動精製分注装置から分離された核酸をリアルタイム核酸増幅器200を利用して一度に同時に増幅することができる。
【0099】
また、同時に増幅された夫々の核酸から、検出しようとするターゲット核酸の情報を収集する段階をさらに含む。
【0100】
例えば、血液、小便、痰、細胞などから核酸を分離する過程は異なることがありえるが、これらから分離された核酸は一つの増幅器で同時に増幅することができる。本発明では、多数の核酸自動精製分注装置で核酸を分離する。三つの自動精製分注装置で夫々血液、小便、痰の試料から核酸を分離する。分離された核酸は、例えばAIDS、B型肝炎、C型肝炎、マラリア、結核、性病の診断キットを利用してこれらを同時に検出するために適用されることができる。
【0101】
リアルタイム核酸増幅器でこれらの疾病原因を同時に検出するために、本発明では、マルチウェル温度循環ブロックを列毎に分け、特定領域を指定することができる。例えば、1列はAIDS、2列はB型肝炎、3列はC型肝炎、4列は性病に、マルチウェル温度循環ブロックの列を指定した後、これらの増幅条件を同一に設定した後、分離された核酸を含む夫々の診断キットをマルチウェル温度循環ブロック上の夫々の設定領域に合わせて装着し、増幅反応を行う。増幅反応の条件を同一に設定するために、各診断キットの反応条件のTm値を全て同一または類似するように設定した。プライマーまたはプローブのTm値が同一に設定される同一の重合酵素連鎖反応(PCR)条件下で、96ウェル核酸増幅器で同時増幅を行う。その結果、便利性が増加し、検出時間が短縮することができる。さらに、多数の種類のターゲットを一つずつ順に検出することによって発生する時間の誤差を減らすことができる。また、一度に一種類のターゲット病源菌を検出していたことに代えて、同時に同一の条件下でリアルタイム核酸増幅器で多数のターゲットDNAまたはRNAを検出するため、確認仮定を容易に行うことができる。一人に由来する多数の種類の試料、または多数の人に由来する試料から核酸を分離し、これらから多様なターゲット核酸を一度に同時に検出するため、多数の病原体を速い時間内に同時に確認することができる長所がある。本発明では、マルチウェル温度循環ブロックの列単位で、特定病原体の検査項目を指定することができる。
【0102】
本発明によって多数の自動精製分注装置100を利用して生物学的試料から核酸を分離、精製する過程は、次のとおりである。本発明の実施例では、自動核酸分注装置としてバイオニア社のExiPrepTM Fully automated nucleic acid extraction instrumentを採択して使用し、バイオニア社の ExiPrepTM extraction kitを核酸精製キットとして採択及び変形して使用した。
【0103】
本発明において、自動精製分注装置の核酸精製キットは、核酸を含む多様な生物学的試料から核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジセットと、精製するために用いられるプラスチック消耗品セットと、で構成される。カートリッジセットは、細胞内のタンパク質を分解するためのタンパク質分解酵素、細胞を分解するための分解溶液、溶出された核酸を結合させるためのシリカ磁性粒子と溶出された核酸とシリカ磁性粒子との結合のための結合溶液が含まれているカートリッジ(1)と、シリカ磁性粒子の表面に付着された核酸以外の物質を洗浄するための1種以上の洗浄溶液、シリカ磁性粒子の表面から核酸を効率的に分離させるための溶出溶液を含んでいるカートリッジ(2)と、で構成される。プラスチック消耗品セットは、核酸の精製過程で各種緩衝溶液を運搬、移送するために用いられる使い捨てフィルタチップ、タンパク質分解酵素による細胞分解の過程で用いるための反応用チューブ、最終精製された核酸を貯蔵するための溶出(elution)チューブで構成される。
【0104】
核酸精製キットのカートリッジはマルチウェルカートリッジであり、96ウェル型カートリッジが好ましく使用される。新種インフルエンザA(H1N1)RNAの分離のための核酸精製キットとしては、バイオニア社のExiPrepTM viral DNA/RNA kitを採択して使用することができる。ウイルスRNAの抽出過程は、サンプルの前処理過程と、標準試料としてポジティブコントロール(Positive Control)、ネガティブコントロール(Negative Control)、インターナルコントロール(IPC)、検体試料を添加する過程と、自動精製分注装置を利用した核酸の抽出過程と、からなる。抽出された核酸は自動でリアルタイムRT−PCR用診断キットと混合されるため、核酸の抽出後、手動で診断キットにウイルスRNAを入れる必要がなくなる。
【0105】
具体的な一例として、リアルタイム核酸分析統合装置の核酸自動精製分注装置と核酸精製キットを利用して、新種インフルエンザAウイルスのウイルスRNAを精製する過程は、次のとおりである。
【0106】
綿棒を利用して患者の口腔及び鼻咽腔から検体を採取する。核酸の精製に用いる前に、ウイルス輸送培地(VTm media、Virus Transport Media)が入っている検体保管用チューブをボルテックスミキサーを利用して1分間強く振って、ウイルスが綿棒からウイルス運送バッジに効果的に移るようにする。綿棒に付いているウイルスが溶液(PBS、normal saline、 Transport mediaなど)に移るようにボルテックスミキサーを利用して1分以上混ぜる。1.5mlテストチューブに混合された試料溶液1mlを移し、13,000rpmで5秒〜10秒間遠心分離する。上層液200μlを回収し、ウイルスRNA抽出に用いる。
【0107】
自動精製分注装置の電源を押して初期化を進行する。本発明のリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア(manager software)は大きく二つの部分に分けられるが、一つは自動核酸精製分注装置を制御する部分とリアルタイム核酸増幅器を制御する部分とからなる。ウイルスRNAを抽出するために、ソフトウェアのメイン画面の左側の自動精製分注装置の絵をクリックして、検査に使用する診断キットを選択する。診断キットの入力をクリックして新種インフルエンザ検査用診断キットを選択すると、抽出すべき核酸の種類が自動で選択される。「sample source type」入力ウィンドウに患者の検体類型による検体種類を入力する。検体種類を入力すると、自動でカートリッジ状態を問うポップアップウィンドウが表示される。バッファーカートリッジ(1)を参考して使用されたウェルがあるか否かを確認し、使用されたウェルがある場合は、これ以上使用されないように該当ウェルをクリックして表示する。自動でカートリッジ(1)の残っているウェルにネガティブコントロール(Negative control)、ポジティブコントロール(Positive control)位置が表示される。基本設定はNTC、PC夫々一つずつであり、二つずつに変更してセットすることができる。もし、再検が必要なリストがある場合、この段階で再検すべきリストが表示され、リストのうち再検すべき検体番号を選択すると、順に「assign」が完了される。「sample name」をクリックし、バーコードリーダーやキーボードを利用して検体情報を入力する。今まで入力された情報をリアルタイム核酸分析統合装置に適用させるために、「Apply」ボタンをクリックする。
【0108】
作業台で、核酸精製キットのカートリッジ(1)の1列と2列にインターナルコントロール(IPC)を夫々20μlずつ入れる。リアルタイム核酸分析統合装置で入力した内容に合わせて、カートリッジ(1)のポジティブコントロール(PC)の位置に、即ち、A−1の位置のウェルに標準物質(positive control、PC)を200μl入れ、カートリッジ(1)のネガティブコントロール(NTC)の位置に、即ち、B−1の位置のウェルにDEPC処理された3次滅菌水(negative control、NTC)200μlを入れる。その他には、C−1でH−1、A−2でH−2の位置には患者の検体を200μlずつ入れる。この際、必ずリアルタイム核酸分析統合装置で入力した位置に合わせて核酸試料をカートリッジに入れなければならない。夫々の標準物質、DEPC処理された3次滅菌水、患者の検体が入っているカートリッジのウェル位置に合わせて、使い捨てフィルターチップ、単位反応チューブを各自動精製分注装置内のラックに装着する。
【0109】
また、精製された核酸が入っている溶出(elution)チューブと新種インフルエンザ診断検査用診断キットを冷蔵ブロックに装着する。準備されたカートリッジセットとプラスチック消耗品セットを自動精製分注装置に装着した後、リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアの「RUN]ボタンをクリックすることにより自動精製分注装置を作動させ、患者の検体から新種インフルエンザウイルスのRNAを精製する。核酸精製が完了されると、核酸保管のための溶出(elution)チューブと診断検査用診断キットを冷蔵ブロックから分離し、核酸保管用チューブは提供されたチューブキャップを利用してキャッピングした後、−80℃で保管する。診断キットは、光学接着剤(adhesive optical)フィルムを利用してストリップチューブの上端をシーリングした後、リアルタイム核酸増幅器に移してリアルタイムRT−PCRを行う。抽出が完了すると、核酸分注精製装置内の溶出(elution)チューブと診断キットの反応チューブには50uLずつの抽出された核酸溶液が入っている。
【0110】
本発明の実施例では、リアルタイム核酸増幅器としてはexicyclerTM96 Real−Time Quantitative Thermal Blockを採択して使用し、バイオニア社のAccuPowerDiagnostics Kitを診断キットとして採択して使用した。
【0111】
リアルタイム核酸増幅器で得られる増幅結果は、次の過程によってなされる。まず、リアルタイム核酸統合分析装置でリアルタイム核酸増幅器の絵をクリックする。管理ソフトウェアには抽出が終わった検体リストが左側上端にキット毎に保存されている。該当するリストを選択して、「Get Sample List(サンプルリスト取得)」ボタンをクリックする。
【0112】
この際、選択された診断キットをマルチウェル温度循環ブロックのどの位置に入れるかを指定するためのポップアップウィンドウが表示される。反応チューブストリップ毎のサンプルリストのチェックボックス(check box)を選択し、マルチウェルに検体を「assign」する。各ウェルを選択すると位置が指定できるようになり、画面のマルチウェルの絵を見て所望の位置を選択する。
【0113】
診断キットストリップの数に合わせて、温度循環ブロックのどこにストリップを装着するか、列と行の数字を選択する。例えば、核酸が分注された診断キットが8−ストリップである場合、核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロックの中間部に位置するように、96ウェルの該当位置のボタンをクリックする。選択が完了すると、データ名を入力できるウィンドウが表示され、所望のデータ名を入力した後ボントンをクリックすると、核酸増幅すべき作業リストが生成される。
【0114】
診断キットを「assign」された位置に合わせて、リアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロックに装着した後、リアルタイム核酸増幅器のrun softwareを実行する。リアルタイム核酸増幅器で作動が完了すると、管理ソフトウェアに結果データが送信される。リアルタイム核酸分析統合装置において、制御部の管理ソフトウェアのメニュー部で確認することができる「tap」をクリックし、「update result(結果更新)」を選択して重合酵素連鎖反応(PCR)結果を呼び出す。新たに表示されたウィンドウの左側上端に生成された「work list(作業リスト)」を選択して結果を呼び出す。結果値は「assign」された順にエクセルファイルの形式で確認することができる。各検体毎の結果グラフは連結されている分析プログラムと連動されて分析することができる。結果が確認された検体は管理プログラム上に結果をアップデートし、結果が確認されなかった場合は増幅段階から再検査または分離(Prep)段階から再検査を選択して再検査リストが生成される。
【0115】
より詳細には、BSC(biological safety cabinet)内で準備された自動精製分注装置のプレートに、各反応(Reaction)チューブラック、使い捨てチップ(Disposable tip)ラック、溶出(Elution)チューブラック、バッファーカートリッジ(buffer Cartridge)(1)を載置する。検体試料の数に合わせて反応チューブ、使い捨てフィルターチップ(Disposable filter tip)、溶出(Elution)チューブ、診断キットを各ラックに挿入する。提供された「hole−punch」を利用して、検体試料の数と標準試料として用いられるポジティブコントロール(PC)とネガティブコントロール(NTC)の数に合わせて、バッファーカートリッジ(buffer Cartridge)(1)とバッファーカートリッジ(Buffer Cartridge)(2)のシーリングフィルムに孔を空ける。図5に示す図面を参照して、検体試料とポジティブコントロール(PC)、ネガティブコントロール(NTC)を入れる位置に合わせて20μlの植物性インターナルコントロール(IPC)をウェルに入れる。ネガティブコントロール(NTC)ウェルにDEPC処理した蒸溜水200μlを入れる。ポジティブコントロール(PC)ウェルに200μlのポジティブコントロール(PC)を添加する。カートリッジウェルに、上記のように準備された患者の検体試料200μlを入れる。透明アクリル蓋を閉じた後、自動精製分注装置に入れる。
【0116】
自動精製分注装置を駆動させて、新種インフルエンザ検査用プログラムを呼び出す。使用する装備を確認した後、標準試料として用いられるポジティブコントロール(PC)とネガティブコントロール(NTC)が入ったウェルを表示する。ポジティブコントロール(PC)、ネガティブコントロール(NTC)が入ったウェルを除いた検体ウェルに、バーコードリーダーまたは手動で患者の検体試料に対する患者の情報(名前、性別、担当課など)を入力する。「RUN」ボタンを押してウイルスRNA抽出を始める。
【0117】
前 記ウイルスRNAの抽出過程が完了すると、「Door」を開いて「Base plate」を前方に引き出すと溶出(elution)チューブと診断キットが装着された溶出(Elution)チューブラックを見ることができる。
【0118】
溶出(Elution)チューブと診断キットには、抽出されたウイルスRNAが夫々50μlずつ入っている。従って、RNAやDEPC処理した蒸溜水をさらに入れる過程は必要ではない。新種インフルエンザ検査に必要な診断キットは、溶出(Elution)チューブラックから取り出して直ちにリアルタイム核酸増幅器を利用してリアルタイムRT−PCRに適用することができ、溶出(Elution)チューブに入っているウイルスRNAは再検査時に用いる。抽出されたウイルスRNAは、できるかぎり使用時まで−80℃で保管する。溶出(Elution)チューブラックは抽出された核酸を保管するために4℃の状態に維持される。
【0119】
本発明に用いられる診断キットに含まれている核酸増幅分析試薬は、ターゲット核酸増幅に必要な全ての成分が入っている分析試薬を含み、前記分析試薬は、リアルタイム核酸増幅器を利用して検体試料内のターゲットDNAまたはRNAをリアルタイム定性または定量的に検出するために、「ready−to−use(そのまますぐに使える)」方式で構成されている。
【0120】
前記本発明に用いられる診断キット内の分析試薬は、核酸増幅に必要な反応のために、緩衝溶液、MgCl2、4種のdNTP、重合酵素、プライマー及び検出標識、及び選択的に安定剤を含み、乾燥された状態である。検出標識は、蛍光染料または蛍光染料が標識されたプローブであることを特徴とする。また、本発明によると、分析試薬組成物は、凍結乾燥、真空乾燥、加温乾燥、または減圧乾燥などによって乾燥された形態の組成物であることが好ましい。
【0121】
本発明で用いられる診断キットは、例えば、バイオニア社のAccuPower PCR kitを採択して使用することができる。バイオニア社のNew InfA(H1N1)&Inf A Premixには新種インフルエンザA(H1N1)とインフルエンザAウイルスのゲノムの特定部分を増幅するためのプライマー、dual−labeled fluorogenic probe、DNA polymerase、dNTPs及び安定剤が含まれている。増幅産物は、熱サイクリング(thermal cycling)の間に特定プローブに結合された蛍光を測定して確認することができる。重合酵素連鎖反応(PCR)産物のサイクルによる増幅は、プローブから離れたレポーター色素(reporter dye)を測定することによりリアルタイムで測定される。また、診断キットには、試料の定性分析のためにNew Inf A H1N1&Inf A Positive controlsが含まれている。
【0122】
核酸増幅分析試薬を増幅段階で用いる場合、分析試薬が入っているストリップ(Strip)に分離された核酸を入れる。この際、New Inf A H1N1& Inf A ポジティブコントロールRNAとインターナルコントロール(IPC)RNA試薬をチューブに添加する。DEPCを処理した蒸溜水とインターナルコントロール(IPC)RNAとを計算された数量だけ混合して混合液を製造し、ストリップの各ウェルに45μlずつ分注する。
【0123】
全ての試薬及びRNA分注の完了されたストリップは、蓋で閉じるか、またはシーリングフィルムでシーリングした後、混合液の内容物が完全に混じるようにする。この際、バイオニア社のExispinTM(Cat.No:A−7040、バイオニア社製.韓国)を利用して混合した後、スピン過程を行うことが好ましい。その後、ストリップをリアルタイム核酸増幅器(ExicyclerTM 96 Real−Time Quantitative Thermal Block、バイオニア社製)のマルチウェル温度循環ブロックに載置し、リアルタイム核酸増幅器を実行させる。
【0124】
前記リアルタイム核酸増幅器(ExicyclerTM96)の裏面下端のメインパワースイッチをオンする。96ウェルのマルチウェル温度循環ブロックが機械の前に出ると、重合酵素連鎖反応(PCR)ストリップまたはプレートをマルチウェル温度循環ブロックのウェル方向に合わせて入れる。「door」ボタンをさらに押すと、96ウェルのマルチウェル温度循環ブロック(thermal block)が内側に入る。ExicyclerTM96のオペレーティングプログラム(Run ExiDiagnosis icon)を実行する。重合酵素連鎖反応(PCR)に必要な作動方法を実行するために、上端の「File−Design Experiment(ファイル−デザイン実験)」をクリックする。
【0125】
次に、「Select Diagnostics Kit window(診断キットウインドウ選択)」が表示されると、「New Inf A and InfA Real−Time PCR Kit」を選択する。前記「Select Diagnostics Kit」選択が完了すると、96ウェルのマルチウェル温度循環ブロック内のストリップ位置情報が入力されたエクセルファイルを選択して実行させる。
【0126】
全ての選択が終わると、キットに適した重合酵素連鎖反応(PCR)条件と選択した位置情報が見られるプロトコルとプレート情報のディスプレイウィンドウを確認することができる。
【0127】
「Run tap」ボタンをクリックすると、結果を保存するためのファイル名が入力できる新しいウィンドウが表示される。実験日付及びサンプルに関する情報を入力して「OK」ボタンを押すと、重合酵素連鎖反応(PCR)が始まる。入力したファイル名を利用して分析プログラムで結果を確認することができる。
【0128】
前記核酸増幅に対する増幅結果は、ExicyclerTM96 分析プログラムを利用して分析される。分析しようとする「PCR data file(.ex3)」を選択する。増幅結果の「Flu.Graph」画面で「Baseline subtraction(manual方式)によって個別化分析が可能であり、「auto scale button」を用いて分析プログラムで提供する基本的な分析結果を確認することもできる。ネガティブコントロール(NTC)ウェルの場合、New Inf A & Inf A RNAが添加されていないため、FAMとTexasred蛍光値が測定される必要がない。インターナルコントロール(IPC)RNAウェルの場合、全てのウェルでTAMRA蛍光値が測定することが必要である。
【0129】
重合酵素連鎖反応(PCR)を行う際、ウェルのうち一定ウェルを指定する。例えば、A1、B1はネガティブコントロール(NTC)、C1、D1はポジティブコントロール(PC)に指定する。ポジティブコントロールとネガティブコントロールは標準試料として用いられる。前記二つのコントロールが基準に合わない場合、分析プログラムでエラー(error)メッセージが発生する可能性がある。本発明では、診断分析時、ソフトウェアが「Auto」分析機能をし、結果分析を自動で分析して示す。
【0130】
[実施例3]
実施例3は、本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法において、核酸の分離精製に用いられるインターナルコントロール及び多数の検体の同時検出に関するものであり、以下、本発明をより詳細に説明する。
【0131】
(1)植物性インターナルコントロールプライマー、プローブのデザイン及び適用
植物性インターナルコントロール(Internal Positive Control、IPC)は、タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic Virus、TMV)のゲノムRNA(GeneBank.ACCESSION No.NC001367)の塩基配列4903から5709(Movement protein gene、MP)、5712から6191(Coat protein gene、CP)の間で、長さは18〜28bp、Tm値は55℃〜62℃となるように、任意で塩基配列を選択して正方向及び逆方向プライマーとして用いた。
【0132】
また、前記塩基配列の間で、長さは19〜30bpの間、Tm値は67〜72℃の間で任意で塩基配列を選択して探針として用い(表1)、Tm値はPrimer3Plusプログラムを利用してチェックした。
【0133】
【表1】
【0134】
まず、タバコモザイクウイルス(TMV)のプライマーセット毎に組み合わせて、SYBR Green(核酸検出用の染色試薬)とリアルタイム定量増幅器としてExicyclerTM Quantitative Thermal Block(バイオニア社製、韓国)を利用して、適したプライマーの組み合わせを選定するための過程を行った。
【0135】
6セットに組み合わせたタバコモザイクウイルス(TMV)プライマー、核酸染色用試薬、蒸溜水(D.W.)、タバコモザイクウイルステンプレートを添加して、リアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を行った。これを95℃で10分間変性させた後、95℃で20秒、55℃で30秒ずつ45サイクルを進行させた。増幅された蛍光値は、各重合酵素連鎖反応(PCR)サイクルが進行されるに伴って、55℃で30秒反応後に1回ずつ持続的に測定する。
【0136】
その結果、前記プライマーセットのうち1、2、3番(MP1、2、3セット)が4、5、6(CP1、2、3セット)に比べ増幅反応速度が速いため、前者のセットを選択した。
【0137】
以後の実験では、非特異的な核酸染色用試薬の代わりに特異的配列の核酸を検出するプローブを利用して、適したプローブセットを選択する過程を追加に行った。10×バッファー 5μl、MMLV 600U、Taq 7.5unit、dNTP 20mM 3μl、安定剤(stabilizer)、最適化された濃度(15p)のプライマー、プローブなどと罹病葉から抽出したタバコモザイクウイルス(TMV)RNAを添加して、蒸溜水で総容量が50μlになるように一つのチューブに入れて、リアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を行った。これを45℃で15分間逆転写反応させた後、95℃で5分間変性させた後、95℃で5秒、55℃で5秒ずつ45サイクルを進行させた。
【0138】
タバコモザイクウイルスのプライマー及びプローブセット1、2、3のうち重合酵素連鎖反応(PCR)の増幅効率がもっとも良好であったものはセット1(MP1)で、次はセット3(MP3)、セット2(MP2)の順であった。
【0139】
これらのうちセット1、3の二つのセットを利用して、上記のような組成のRT−PCR混合液にタバコモザイクウイルスをインターナルコントロールRNAとして使用し、新種インフルエンザRNAをテンプレートとして添加して、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の適用実験を行った。実験結果、セット1(MP1)、セット3(MP3)全て1×106copyインターナルコントロールRNAをともに反応させたにも関わらず、新種インフルエンザRNAテンプレートの増幅に大きい影響を与えず、インターナルコントロールの増幅が独立的になされたことを確認した。
【0140】
(2)植物性インターナルコントロールの製造、核酸の抽出過程での適用及びリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の適用
生物学的試料とともに使用可能な植物性インターナルコントロールを製造するために、まず、タバコモザイクウイルスを増殖した。タバコNicotiana tabaccum cv.Samsun種子(韓国農村振興庁の植物ウイルス研究室で分譲)を100〜200粒播種した後、10日後に芽が生じるとそれから10日後に各個体毎に小さな植木鉢に移植し、さらに10日間育てた。タバコモザイクウイルス(TMV)罹病葉(韓国農村振興庁の植物ウイルス研究室で分譲)をモルタルに入れて0.01M リン酸塩バッファー(Phosphate Buffer)(pH7.2)とともに粉砕して汁液を製造し、カーボランダム(carborundum)を吹き付けたタバコ葉に汁液を塗布し、傷を介してTMVの接種がなされるようにした。
【0141】
接種10日後、タバコ葉でモザイク斑と葉の奇形などが観察された。さらに20日程度育て、タバコモザイクウイルスの増殖量を増やした。その後、TMV罹病葉30gを収穫し、ウイルス粒子を精製するための実験を行った。
【0142】
具体的には、ミキサーにタバコモザイクウイルス(TMV)罹病葉30g、0.1M リン酸塩バッファー(Phosphate buffer)(pH7.2)90ml、β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol)0.6mlを入れ、葉を磨砕してガーゼでろ過した後、12mlのn−ブタノールを添加して1時間30分間混合した(4℃維持)。混合液を8000rpm、4℃で20分間遠心分離機で分離した後、上層液のみを回収してMira fiber clothでろ過し、上層液の体積の8%PEG、0.1M NaClを添加して3時間混合した(4℃維持)。
【0143】
その後、前記混合液を10000rpm、4℃で20分間遠心分離機で分離した後、上層液は除去し、ペレットを0.1M リン酸塩バッファー(Phosphate buffer)7.5mlに溶かした。これを再び10000rpm、4℃で20分間遠心分離機で分離した後、上層液を回収して越原心分離機で28000rpm、4℃で2時間30分間分離させた。上層液を除去した後、残りのペレットを300μlのDEPCを添加した蒸溜水で溶かし、タバコモザイクウイルス(TMV)粒子を抽出した。抽出した粒子は、SDS−PAGEと電子顕微鏡写真を利用して確認し、UV分光計(Shimazu社製、日本)で吸光度(260nm)を測定した後、下記の公式を利用してウイルス濃度を定量した。
【0144】
[260nmで吸光度/3.0(TMV吸光係数)]×稀釈倍数
【0145】
濃度定量の結果に基づいて、RNAコピー数(copy number)を下記の公式によって計算した。
【0146】
6.02×1023×濃度(UV分光計で測定された濃度mg/ml)/6395(タバコモザイクウイルスゲノムのサイズ(bp))×330
【0147】
前記実験で抽出したタバコモザイクウイルス粒子をRNA抽出段階である分離(Preparation)から適用するための適正濃度を選定する実験を行った。まず、タバコモザイクウイルス粒子を濃度毎に稀釈し、200μlを添加して核酸分離精製装置(ExiPrepTM、バイオニア社製、韓国)で50μl抽出した後、これをインターナルコントロールRNAとして1μl使用し、10×バッファー5μl、MMLV 600U、Taq 7.5unit、dNTP20 mM 3μl、安定剤(stabilizer)、最適化された濃度(15p)のプライマー、プローブなどと新種インフルエンザRNAを標準テンプレートとして添加し、蒸溜水で総容量が50μlになるように一つのチューブに入れて、核酸増幅器でリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を行った。これを45℃で15分間逆転写反応させた後、95℃で5分間変性させた後、95℃で5秒、55℃で5秒ずつ45サイクルを進行させた。
【0148】
その結果、分離精製時、一つの反応液当たり2×108〜2×109/200μlがインターナルコントロールRNAとしての適正な重合酵素連鎖反応(PCR)効率を示すことを確認した。
【0149】
次に、RNA抽出段階からタバコモザイク粒子を新種インフルエンザ検体試料とともに抽出し、リアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応までの適用実験を行い、既存に使用されていたインターナルコントロール(バイオニア社AccuPower Diagnostics kitに含まれたインターナルコントロール(マウスDVL遺伝子プラスミド))と比較した。RNA抽出時、前記実験で選定した二つの濃度に合わせて、2×108〜2×109copy/20μlを新種インフルエンザ検体試料200μlと交ぜてともに核酸分注精製装置で分離、抽出した。また、核酸増幅器でリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応時には、前記実施例2で選択したプライマー、プローブセット1、3(MP1、MP3)を利用した。
【0150】
実験結果、RNA抽出時のタバコモザイクウイルス粒子の適正濃度は2×108copy/20μlである。従って、精製(Prep)段階で200μlの1×107copyのタバコモザイクウイルス粒子を検体試料200μlと交ぜることが好ましい。また、TMVインターナルコントロールを増幅するためのプライマー、プローブセットは、1番(MP1)がより効率性が高いことを確認した。
【0151】
また、これを同じ新種インフルエンザ検体試料に対する既存のインターナルコントロールの反応結果と比較すると、タバコモザイクウイルスを検体試料とともに抽出、反応させたにも関わらず、新種インフルエンザRNAテンプレートの増幅に影響を与えず、植物性インターナルコントロールの増幅が独立的になされたことを確認し、結果が良好であることを確認した。さらに、既存のバイオニア社で診断キットに使用していたインターナルコントロールに比べ、蛍光値がより高く出て、反応強度が高いということを確認した。
【0152】
また、定量的分析が可能であるかを確認するために、タバコモザイクウイルス粒子を102〜108copy/reaction濃度で夫々使用し、核酸分離精製装置でRNAを抽出して、核酸増幅器でリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を実施した。
【0153】
その結果、102〜108copy/reaction濃度を適用したTMV粒子は、最低103コピーまで検出が可能であった(図6)、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、勾配は−0.28、R2値は1であった(図6)。ここで、R2はリアルタイム重合酵素連鎖反応の標準グラフで、グラフの直線性を示す相関係数であり、1に近いほど(直線に近いほど)、重合酵素連鎖反応(PCR)がまともに進行されたことを意味する。TMV RNAで標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を実施した標準グラフと比較すると、タバコモザイクウイルス粒子の濃度はRNA抽出後に1/10程度に減少される傾向があるが、濃度毎に一定の間隔を有して標準グラフを示すため、定量的分析が可能であるということを確認した。
【0154】
(3)互いに異なる4種の核酸(DNA/RNA)を利用したリアルタイム重合酵素連鎖反応
多様な生物学的試料から分離精製された互いに異なる種類のターゲット核酸を、同時に検出及び診断することが可能であるかを確認した。本発明のリアルタイム核酸分析統合システム内に構成されている核酸増幅器としてはExicyclerTM Quantitative Thermal Block(バイオニア社製、韓国)を使用し、バイオニア社の診断キットを用いた。リアルタイム重合酵素連鎖反応に使用された診断キットは、HBV Quantitative PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.HBV−1111)、HCV Quantitative RT−PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.HCV−1111)、New InfA(H1N1)Real−Time RT−PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.SIV−1111)、CT&NG Real−Time PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.STD2A−1111)の4種を使用した。
【0155】
HBV Quantitative PCR Kitは、B型肝炎の感染有無を確認するために、血清の検体試料から抽出されたHBV DNAを増幅して定量的な分析をすることができるように構成されたキットであり、10×PCR バッファー 5μl、wTfi polymerase 5U、dNTP 20mM 5μl、Thermostable Pyrophosphatase、PPi、安定化剤などの重合酵素連鎖反応(PCR)混合液と、HBV DNAのみを特異的に増幅するようにデザインしたプライマー及びプローブが凍結乾燥されている(表2)。
【0156】
CT&NG Real−Time PCR Kitは、性病の感染有無を確認するために、尿またはスワッブ検体試料から抽出されたCT(Chlamydia Trachomatis)DNAとNG(Neisseria gonorrhoeae)DNAを一つの反応チューブ内で同時に増幅するキットであり、HBV診断キットと同一の重合酵素連鎖反応(PCR)混合液を含み、CT DNAまたはNG DNAのみを特異的に増幅するようにデザインされたプライマー及びプローブが凍結乾燥されている(表2)。
【0157】
前記の二つのキットは、ターゲットとしてDNAを増幅するという類似点を有するが、HBV診断キットの場合には血清から抽出したウイルスDNAを単一増幅し、CT&NG診断キットの場合には小便から抽出したCTとNGの二つの種類のバクテリアDNAを一度に同時増幅するという差異を有しており、HBV診断キットの場合はDNAの定量的分析のために、CT&NGキットの場合はDNAの定性的分析のために考案されたものであるという差がある。
【0158】
【表2】
【0159】
C型肝炎の感染有無を診断するために開発されたHCV Quantitative RT−PCR Kitは、血清から抽出した核酸を増幅し、定量的に分析することができるという点でHBV診断キットと類似するが、HBV診断キットの場合はウイルスDNAを増幅し、HCV診断キットの場合はウイルスRNAを逆転写重合酵素連鎖反応(RT−PCR)によって増幅するという差異を有する。
【0160】
新種インフルエンザの感染有無を診断するために最近開発されたNew InfA(H1N1)Real−Time RT−PCR Kitは、RNAターゲットを増幅するという点でHCV診断キットと類似するが、血清でなく呼吸器の検体からRNAを抽出するという差異があり、定量分析が可能であるHCV診断キットと異なって、定性分析のために考案されたものであるという差がある。RNA逆転写重合酵素連鎖反応のためのHCV診断キット、またはNew InfA(H1N1)診断キットには、具体的に10×RT バッファー 5μl、MMLV 600U、wTfi 5 unit、dNTP 20mM 3μl、DTT 50mM、RNasin 15U、安定化剤などのRT−PCR混合液と、HCV RNAまたはNew InfA(H1N1)RNAを選択的に増幅するようにデザインされたプライマー及びプローブ、が凍結乾燥されている(表2)。各診断キットに含まれたプライマー及びプローブは、55℃〜57℃の範囲で類似のTm値を有するようにデザインされており、互いに異なる4種のキットも同時に重合酵素連鎖反応を進行することが可能である。
【0161】
前記の4種のキットを利用したリアルタイム重合酵素連鎖反応、または逆転写重合酵素連鎖反応を核酸増幅器で同時に進行するために、まず、各キットの乾燥重合酵素連鎖反応(PCR)混合物にテンプレートDNAまたはRNA 5μl、インターナルコントロール用(内部対照群、IPC)DNAまたはRNA 1μl、蒸溜水44μlを入れて、総容量が50μlになるように混合した。テンプレートDNAまたはRNAは、各ターゲットの特定部位をアライメント(alignment)過程によって選択した後、遺伝子合成法(NBiochem.Biophys.Res.Commun.1998,248,200−203)を利用してバイオニア社で合成し、pGEM−T−Easy Vector(Promega社、米国)によりクローニングしたものである。
【0162】
一つのリアルタイム核酸増幅器(ExicyclerTM、バイオニア社)の温度循環ブロックに、総容量50μlに混合されたHBV、HCV、CT&NG、New InfA(H1N1)診断キットを装着し、装着された領域と合うようにソフトウェアプログラム上で列及びウェルを設定し、重合酵素連鎖反応条件は45℃で15分間逆転写反応を進行し、95℃で5分間変性過程を経た後、95℃で5秒、55℃で5秒ずつ45サイクルでプログラムを設定して、一度に反応させた。HBV診断キットとHCV診断キットの場合、定量的分析のために、テンプレートDNA101〜107copy/reaction濃度を夫々使用し、CT&NG診断キットとNew InfA(H1N1)診断キットの場合、定性分析のためのポジティブコントロールテンプレートDNAまたはRNAの一つの濃度のみを使用した。
【0163】
インターナルコントロール用DNAまたはRNAは、テンプレートDNAまたはRNAの増幅に何の影響を与えることなく、独立的に増幅がなされるように考案された遺伝子であり、テンプレートDNAまたはRNA増幅が全くなされていないネガティブコントロール結果から、インターナルコントロールDNAまたはRNAの増幅がまともになされたか否かを確認することにより、重合酵素連鎖反応には何らの問題もないということを検証するために用いられる。
【0164】
その結果、定量的分析のために101〜107copy/reaction濃度を適用したHBV診断キットのテンプレートDNAは、最低10コピーまで検出が可能であった(図8)。また、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成すた時、勾配は−0.28、R2値は0.9997であった(図9)。ここで、R2は、リアルタイム重合酵素連鎖反応の標準グラフで、グラフの直線性を示す相関係数であり、1に近いほど(直線に近いほど)、重合酵素連鎖反応(PCR)がまともに進行されたことを意味する。HCV診断キットの場合にも、最低10コピーまでテンプレートRNAの検出が可能であった(図10)。また、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、勾配は−0.29、R2値は0.9998であった(図11)。前記結果から、RNAとDNAの差に関わらず、一つのリアルタイム核酸増幅器で重合酵素連鎖反応を同時に進行することができるという点を確認した。
【0165】
定性的分析のために考案されたCT&NG診断キットの場合にも、定量分析キットであるHBV、HCV診断キットと重合酵素連鎖反応を同時に進行した場合、CTポジティブコントロールDNA、NGポジティブコントロールDNA及びインターナルコントロール用DNAの全てが正常に増幅された。検出可能限界を確認するために、101〜107copy/reaction濃度のCT及びNGテンプレートDNAを準備して反応を進行した結果、CT及びNGの全て10コピー検出が可能であるということを確認し、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、CTの勾配は−0.28、R2値は0.9997であり、NGの勾配は−0.30、R2値は0.9996であった。
【0166】
CT&NGキットと類似の方法でNew InfA(H1N1)キットを適用した場合にも、ポジティブコントロールRNAが正常に増幅されることが確認された。検出可能限界を確認するために、101〜107copy/reaction濃度のNew InfA(H1N1)テンプレートRNAを準備して反応を進行した結果、10コピーが検出可能であることを確認し、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、勾配は−0.28、R2値は0.9996であった。これにより、定量的分析または定性的分析のために考案されたキットでも、重合酵素連鎖反応を同時に進行することができるという点が確認された。
【0167】
前記の実験結果から、リアルタイム核酸分析統合システム内に構成されている一つのリアルタイム核酸増幅器を使用して、重合酵素連鎖反応及び逆転写重合酵素連鎖反応を進行するにあたり、定量分析及び定性分析のために考案された互いに異なる4種の診断キットを利用しても、血清、尿、呼吸器などの互いに異なる検体から抽出されたDNA及びRNAを同一の条件で同時に増幅することができることが確認された。
【符号の説明】
【0168】
100 自動精製分注装置
200 リアルタイム核酸増幅器
300 ディスプレイ部
400 保存データベース装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の検出方法に関し、より詳細には、多様な種類の多数の生物学的試料から、試料に相応する遺伝子の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体外診断検査(in vitro diagnostic testing:IVD testing)は、疾病の感染有無などを判定することを目的に、血液、尿(urine)、唾液(saliva)など人体に由来する試料を検体として特定指標物質を検出したり、定量分析する検査である。分子診断検査(Molecular diagnostic testing)または核酸診断検査(NAT;nucleic acid testing)は、体外診断検査市場において最も速い速度で成長している分野であるが、操作の複雑性のため大型病院及び臨床検査専門機関を中心に検査が行われている。
【0003】
分子診断検査は、現在、感染疾患、即ちウイルス、細菌などの定性、定量検査が主となっており、感染疾患の診断検査の結果を独立的に確認したり、変異株を確認するための確認検査(confirmatory test)などが行われている。腫瘍の早期確認、治療法の効能増加のための診断検査(diagnostic test)も速い速度で増えており、個人の遺伝子の遺伝的素因(genetic predisposition)による疾病に係わる異常遺伝子を検出したり、治療法の決定と薬物選択及び薬効評価のための個別化医療(personalized medicine)の分野で多様に応用されている。
【0004】
現在利用されている分子診断検査の自動化システムは、核酸の抽出、増幅、確認の全過程が自動化される方式に発展している。その一例として、Gen−Probe社のタイグリスダイレクトチューブサンプリング(TIGRIS Direct Tube Sampling、TIGRIS DTS)システムは、米国食品医薬品局により承認を受けた最初の自動化システムであり、標的捕獲、増幅、確認、検査結果の出力過程が自動化されており、代表的な性病の一つである淋病の原因菌である淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と性感染疾患の原因菌であるクラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)の感染有無を検査することができる。他の例としては、Roche Molecular Systems社のCOBASシステム(Ampliprep、Taqman analyzer)、Abbott社のm2000システム(m2000sp、m2000rt)、Cepheid社のGeneXpertシステム、IQuum IncのLiat(Lab−in−a−tube)analyzerなども重合酵素連鎖反応(PCR)基盤の自動化システムに開発され、市場で販売されている。
【0005】
しかし、上記のような既存の自動化システムは、一種類の試料に対して、試料の準備(Prep)−リアルタイム定量分析−記録(report)まで一つのステップで検査が行われるようになされているため、複数の異なる種類の試料に対して、試料の準備−リアルタイム定量、定性分析−記録まで同時に検査を行うことが不可能である。
【0006】
特に、B型肝炎の場合は患者数が多い反面、結核の場合は患者数が多くない。この場合、検査を行うために、一定数量の検体が得られるまで数日間待たなければならないという不便がある。複数の異なる種類の検体を診断検査する場合には、種類毎に異なる検査を行わなければならず、繰り返して実験を行わなければならないため、一日に多くの検査を行うことができないという欠点がある。B型肝炎ウイルスを検出するためには、B型感染の検出のための検体試料を集めて核酸を分離精製し、増幅するためには多くの時間が必要となる。
【0007】
上記の場合のように、同一の種類の検体試料を多数得るまでは多くの時間がかかり、少ない数のB型肝炎検出試料を分析するためには、現在の96ウェル核酸増幅反応器を用いるには多くの浪費が生じる。この場合には、結局、装置の作動を浪費するようになるか、または検体試料が得られるまで数日間待たなければならない。このような理由で、中小規模の病院で比較的少ない数の臨床検体から多様な臨床検査を行うことは、経済的且つ時間的に制限があるため、外部の検査機関に委託するようになり、むしろより多くの時間、コスト及び手間がかかるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明者らは一度に多様な種類のターゲットを同時に抽出及び分析し、報告(report)まですることができる自動化システムを研究した結果、比較的検体試料数が多くない中小規模の病院で多様な診断検査を効率的に行うために、多様な種類の検体試料を集めて当日に多様な種類の検体から核酸を抽出し、一つの核酸増幅器で同時に検出するリアルタイム核酸分析統合装置及びそれを利用したターゲット核酸の分析方法を開発し、本発明を完成した。
【0009】
本発明の目的は、多様な種類の多数の生物学的試料から、試料に相応する遺伝子の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記リアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、多様な種類の生物学的試料に相応する核酸の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、核酸を含む生物学的試料から、前記本発明のリアルタイム核酸分析統合装置を利用してターゲット核酸を検出する方法を提供する。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明によると、多様な種類の生物学的試料に相応するターゲット核酸の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置であって、ターゲット核酸を含む多様な生物学的試料からターゲット核酸を分離精製する、多数の自動精製分注装置100と、マルチウェル温度循環ブロック(multi-well temperature circulation block)210を含み、前記多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なるターゲット核酸の量をリアルタイムで測定するリアルタイム核酸増幅器200と、を含み、夫々の前記自動精製分注装置100毎に分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、前記リアルタイム核酸増幅器200の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定(assign:割当)し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存し、前記温度循環ブロックの同一の条件下で同時増幅を行って、夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析する増幅結果が、前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々の生物学的試料に相応するように統合的に管理する制御部と、前記制御部の定性分析または定量分析の結果をリアルタイムで出力するディスプレイ部300と、を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0015】
本発明によると、前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存するにあたり、陽性標準試料、陰性標準試料、または定量標準試料の情報をさらに保存することを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0016】
本発明によると、前記リアルタイム核酸増幅器200は、前記マルチウェル温度循環ブロック210に、多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なる核酸を含む診断キットが載置されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0017】
本発明によると、前記マルチウェル温度循環ブロック210は、12列×8行のウェルからなる96ウェルの温度循環ブロックであることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0018】
本発明によると、前記マルチウェル温度循環ブロック210は、列単位で選択的に測定項目が設定されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0019】
本発明によると、前記制御部は、夫々の前記自動精製分注装置100で多様な種類の生物学的試料とともにインターナルコントロール(IPC)を分離する場合、前記自動精製分注装置100による核酸分離の成功有無を前記リアルタイム核酸増幅器200での増幅産物から判断し、核酸分離の再遂行有無を決めることができることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0020】
本発明によると、前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200の同一の条件下での同時増幅により得られる夫々の生物学的試料のターゲット核酸のCt値を臨界Ct値と比較し、ターゲット核酸の存在有無を定性的に検出することを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0021】
本発明によると、前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200で同一の条件で既知の濃度の定量標準試料と夫々の生物学的試料を同時に増幅して得られる夫々のCt値を定量標準試料のCt値の定量グラフと比較し、ターゲット核酸の数を計算して試料内のターゲット核酸を定量的に決めることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0022】
本発明によると、前記自動精製分注装置100は、核酸を含む多様な生物学的試料とこれから核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジ、冷蔵ブロック、高温ブロック、廃液筒、ピペットカートリッジが備えられた基板上への移動が可能で、ピペットの装着及び脱着が可能であり、前記ピペットの磁場の印加または解除のための磁場印加手段を備えるピペットブロックを含み、前記自動精製分注装置100による夫々の標準試料及び生物学的試料の情報とターゲット核酸の情報が制御部に保存されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0023】
本発明によると、前記リアルタイム核酸増幅器200は、温度が所定温度に変更されるマルチウェル温度循環ブロック210と、前記温度循環ブロックに装着された反応チューブへ光を照射するための照射光源と、前記反応チューブから発生する光を受光するための蛍光検出センサと、を備え、前記設定された列毎に測定項目が設定されて保存されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0024】
本発明によると、前記リアルタイム核酸分析統合装置は、分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置が提供される。
【0025】
本発明によると、1)多数の自動精製分注装置100で、標準試料と核酸を含む多様な生物学的試料から各試料に含まれた核酸を分離精製した後、分離精製された溶液を核酸増幅反応混合物の反応チューブに加えて混合する段階と、2)前記核酸増幅反応混合物の反応チューブが装着されるマルチウェル温度循環ブロック210と前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々のターゲット核酸が相応するように、マルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して、前記自動精製分注装置100で分離される標準試料と生物学的試料の情報を保存する段階と、3)段階2)で保存されたリアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルの生物学的試料の情報に一致するように、段階1)で準備された反応チューブを各ウェルに装着する段階と、4)前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210に装着された夫々のターゲット核酸を同一の条件下で同時に増幅して、多数の生物学的試料に対する夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析し、増幅結果を得る段階と、を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0026】
本発明において、前記段階2)と段階3)は同時に行ってもよく、または段階3)が段階2)より先に行われてもよい。
【0027】
本発明によると、前記自動精製分注装置100で生物学的試料にインターナルコントロール(IPC)を添加して核酸を分離し、前記増幅結果から、自動精製分注装置100でのターゲット核酸分離の成功有無と増幅効率を判断して、ターゲット核酸の検出の有効性を決めることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0028】
本発明によると、前記1)段階において、前記核酸増幅反応混合物の反応チューブは、前記分離精製された核酸溶液を核酸増幅に必要な成分が乾燥された形態で含まれた反応チューブに加え、前記溶液と前記成分を混合することにより製造されることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0029】
本発明によると、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がRNAである場合、タバコモザイクウイルス粒子であることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0030】
本発明によると、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がDNAである場合、プラスミドDNAまたはPCR増幅産物(PCR product)であることを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、少なくとも二つ以上の自動精製分注装置を利用して多様な種類の生物学的試料から自動で核酸を分離及び精製することができ、リアルタイム核酸増幅器で多様な試料を同一の条件で一度に同時に分析することができ、自動精製分注装置とリアルタイム核酸増幅器を管理する制御部により、検査時間を短縮し、コストを低減することができる長所がある。
【0032】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法は、自動精製分注装置で生物学的試料とともに本発明のインターナルコントロールを添加して分離精製することにより、生物学的試料夫々に対する核酸分離の有無及びリアルタイム核酸増幅器での核酸増幅過程の問題を確認することができる長所がある。
【0033】
また、夫々の自動精製分注装置で分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、列単位でマルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に設定することができるため、多様な検体から求められる多様なターゲット検査が一連の一段階過程により並列的に処理されることにより、病気の迅速な診断が必要である病院などで効率的に使用することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置の概略図である。
【図2】本発明によるリアルタイム核酸増幅器200に備えられたマルチウェル温度循環ブロック210の図面である。
【図3】本発明によるディスプレイ部300を示す図面である。
【図4】本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置の全体フローダイアグラム(flow diagram)を示す図面である。
【図5】本発明による自動精製分注装置において、カートリッジの試料ローディングウェル部分を示す図面である。
【図6】本発明のタバコモザイクウイルス粒子(IPC)によるタバコモザイクウイルス(TMV)標準テンプレートのリアルタイム重合酵素連鎖反応を示すグラフである。
【図7】本発明のタバコモザイクウイルス粒子(IPC)によるタバコモザイクウイルス(TMV)標準テンプレートのリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフに対する標準曲線(勾配:−0.283、R2:1)を示す図面である。
【図8】本発明のHBV Quantitative PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHBV標準テンプレートDNAに対するリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフを示す図面である。
【図9】本発明のHBV Quantitative PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHBV標準テンプレートDNAに対するリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフに対する標準曲線(勾配:−0.2882、R2:0.9997)を示す図面である。
【図10】本発明のHCV Quantitative RT−PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHCV標準テンプレートRNAのリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフを示す図面である。
【図11】本発明のHCV Quantitative RT−PCR Kitを利用して、リアルタイム核酸増幅器でHCV標準テンプレートRNAのリアルタイム重合酵素連鎖反応のグラフに対する標準曲線(勾配:−0.2970、R2:0.9998)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明のリアルタイム核酸分析統合装置を詳細に説明する。以下で紹介される図面は、当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために例として提供されるものであり、誇張されて図示されることができる。
【0036】
この際、用いられる技術用語及び科学用語において、他に定義されない限り、この発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、下記の説明及び添付図面において、本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある公知機能及び構成についての説明は省略する。
【0037】
[実施例1]
実施例1は、本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置に関するものである。図1は本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置の概略図を示すものであり、以下、本発明をより詳細に説明する。
【0038】
前記リアルタイム核酸分析統合装置は、核酸を含む多様な種類の生物学的試料から互いに異なる核酸を分離精製するための多数の自動精製分注装置100を備える。前記生物学的試料は、自然環境から分離され、核酸を含む生物学的物質を意味する。本発明による生物学的試料は、精製または分離された核酸溶液、微生物、組職、生物学的流体、または細胞であることができる。生物学的流体には、血液、血漿、痰、尿、脳脊髄液、胃洗浄液、ロイコフォレーシス(leukophoresis)、人体から得られた各種検体試料などが含まれるが、これに限定されるものではない。本発明の試料は、核酸を含む任意植物、動物、人体、細菌またはウイルスに由来するサンプルで構成されることができる。本発明において、核酸は通常DNA、RNA、PNA、DNAとRNAのハイブリッド及びこれらを含む物質を意味するが、これに限定されず、本発明の装置をタンパク質などの物質を分離、検出するために採択して用いることができるであろう。
【0039】
図1を参照すると、本発明の自動精製分注装置100は、単一または複数、多様な種類の試料から核酸を分離するために、好ましくは2〜6個に、多数装着することを特徴とする。本発明の自動精製分注装置100は、多数の生物学的試料溶液から核酸を分離するために磁性粒子を利用し、磁性粒子と核酸を可逆的に結合させて核酸を分離することを特徴とする。
【0040】
前記自動精製分注装置100は、核酸を自動で精製及び分注する装置であり、核酸を含む多様な生物学的試料とこれらから核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジ、冷蔵ブロック、高温ブロック、廃液筒、ピペットカートリッジ、このようなブロック及びカートリッジが備えられた基板上への移動が可能で、ピペットの装着及び脱着が可能であり、前記ピペットの磁場の印加または解除のための磁場印加手段を備えるピペットブロックを含む。前記ピペットブロックは8〜16個のピペットが装着及び脱着されることができる。
【0041】
多数の生物学的試料溶液から核酸を分離するために利用される磁性粒子は、バッファー溶液内で核酸と結合するようになり、ピペット内部に磁性粒子と結合された核酸が吸入された状態で磁場をピペットに印加する場合、核酸が結合された磁性粒子はピペット内部に凝集して付着され、その他の溶液はピペットの外に排出される。
【0042】
本発明の磁性粒子は、表面積が広く、微細な磁性粒子を用いることが好ましい。
【0043】
本発明において、ピペットに磁場を加えるための磁場印加手段としては、永久磁石または電磁石が用いられることができ、ピペットに可逆的に磁場を加えるようになる。ピペットの作動は、ピペットに連結されたピストンによって溶液が排出されることができ、ピペット移動手段によって移動が可能である。
【0044】
本発明の自動精製分注装置100は、通常の公知された自動精製分注装置を用いることができ、例えば、韓国登録特許148239号、US5702590、US5647994、EP0691541、US5336760号、US5897783号、US6187270号、韓国特許出願10−2008−0032904号に記載された装置が用いられることができる。また、バイオニア社のExiPrepTM(登録商標)16−fully Automated DNA/RNA/Proteins Purification Systemが本発明の自動精製分注装置100として好ましく用いられることができる。
【0045】
前記自動精製分注装置100で分離/精製された核酸は、予め装着された単位反応チューブからなる診断キットに分注される。使用者は、自動精製分注装置100内で分注された8−ウェルストリップチューブからなる診断キットを取り出して透明フィルムで密封した後、リアルタイム核酸定量増幅器の設定された列に載置した後動作して、結果を自動で導出させる。
【0046】
前記核酸を含む生物学的試料から核酸を分離、精製するための多数の自動精製分注装置100は、バーコード(bar code)認識装置(不図示)をさらに備えることができる。バーコード認識装置により認識された生物学的試料の情報は、データベース化されてリアルタイム核酸分析統合装置内のシステム管理(manager)ソフトウェアである制御部に保存され、このような情報はリアルタイム核酸増幅器200にも自動適用されることができる。前記バーコードは、生物学的試料の性別、年、種類など、試料を識別するために必要な内容を示す。
【0047】
本発明は、前記多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なるターゲット核酸をリアルタイムで増幅するリアルタイム核酸増幅器200を含む。
【0048】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、前記自動精製分注装置100から分離及び精製された核酸に相応する診断キットが載置され、所定温度(設定温度)に変更されるマルチウェル温度循環ブロック210と、前記温度循環ブロックに装着された反応チューブ内に光を照射するための光源と、反応チューブ内の検出標識から発生する光を受光するための蛍光検出センサと、を含んで構成される。前記蛍光検出センサは、ターゲット核酸に対するリアルタイム定量及び定性分析を可能にする。
【0049】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、リアルタイム重合酵素連鎖反応が可能な装置であり、公知されたリアルタイム核酸重合酵素連鎖反応用装置が用いられることができる。好ましくは、韓国特許第794703号に記載された装置、PCT/KR2008/064558号に記載された装置、またはバイオニア社のExicyclerTM 96 Real−Time Quantitative Thermal Block製品を採択して用いることができる。
【0050】
前記リアルタイム核酸増幅器200はマルチウェル温度循環ブロック210を含み、前記マルチウェル温度循環ブロックは12列×8行のウェルからなる96ウェルで構成されており、前記各ウェルは列単位で区分されて列単位で設定される。従って、互いに異なるターゲット核酸の種類による夫々のターゲット核酸の増幅量及びターゲット情報が、列単位でリアルタイムでディスプレイ部300に表示されることができる。本発明では、列単位でターゲット核酸の検出項目が設定されているが、これに限定されず、行またはウェル毎に変形して設定することが可能である。
【0051】
本発明において、前記リアルタイム核酸分析統合装置は、分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることができる。
【0052】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、前記自動精製分注装置100で分離精製されるターゲット核酸の種類及び生物学的試料に関する情報を保存する。また、前記リアルタイム核酸増幅器200は、夫々の自動精製分注装置100で分離された夫々のターゲット核酸の種類によって、列単位でマルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェル領域を設定する。前記マルチウェル温度循環ブロックで1個以上の列に設定することが好ましい。同一の検出ターゲットを有する設定領域内の各ウェルには、生物学的試料から分離された核酸と標準試料が入れられ、これらに関する情報が各ウェル毎に保存される。
【0053】
本発明において、ウェル211aは、診断キットの反応チューブが載置されることができるマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルを意味する。診断キットの種類によって、核酸増幅器の温度循環ブロック上の列単位で夫々の検出ターゲットを設定する。
【0054】
本発明は、自動精製分注装置100及びリアルタイム核酸増幅器200をコルトロ−ルし、前記自動精製分注装置からの情報をリアルタイム核酸増幅器に伝達して、前記リアルタイム核酸増幅器の情報を保存及び管理するリアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェアを含む。
【0055】
本発明で用いられる診断キットは、検出可能な標識を含み、特定ターゲット核酸を増幅するための同量のプライマー及び緩衝溶液が入っている反応チューブ500からなっている。
【0056】
本発明において、「反応チューブ500」は試料を含むことができる容器を意味するものであり、1〜96個、好ましくは8個、12個、16個、96個である。これは、プラスチックまたは類似材料に形成された凹みまたはチューブであることができ、好ましくは、規則的なパターン、例えば、格子状に96ウェル反応プレート(12列×8行)、384ウェル反応プレート、または8−ウェルストリップ形態からなるチューブであることができる。
【0057】
前記診断キットの反応チューブ500には、ターゲット核酸を増幅するためのプライマー、検出可能な標識及び緩衝溶液を含み、前記分離された核酸が加えられて、総量は10〜50μlが好ましいが、これに限定されない。多数の診断キットの互いに異なるプライマー及び/またはプローブは同一のアニール(T1)温度によって増幅され、前記診断キットの単位反応チューブ毎に互いに異なるターゲット核酸を増幅するように操作されたプライマーとプローブを含む。
【0058】
本発明における診断キットは、核酸の特定部分を増幅するための特異的プライマー(specific primer)、蛍光が付着されたプローブ、DNA重合酵素、dNTPを混合した組成物が乾燥されて製造される。安定化剤を追加して乾燥することができる。乾燥方法としては、凍結乾燥、加温乾燥、真空減圧乾燥などが用いられることができる。従って、本発明における診断キットは乾燥された形態であるため、量を調節することなく分離精製された核酸溶液の一定量を添加して、直ちに核酸増幅反応混合物を製造することができる。
【0059】
本発明において、夫々の診断キットに用いられるターゲット核酸の検出のためのプライマーは、各ターゲット核酸の診断検査のためにTm(melting point、℃)が類似するようにデザインされた塩基配列を利用する。前記Tm(melting point、℃)はターゲット核酸の一部塩基配列に基づいて設計され、アニール温度に基づいて多様なターゲット核酸を同時に選択的に増幅するために、同一の反応温度条件に設定することが重要である。本発明によると、一人からの検体試料、または多数の人からの検体試料から同時に多数のターゲット核酸を検出することができる。例えば、AIDS、B型肝炎、C型肝炎、性病診断を、同一の増幅条件で一度に一つのリアルタイム核酸増幅器で行うことができる。
【0060】
図2は前記多数の診断キットの反応チューブ500が夫々対応して載置される多数のウェルを備えるマルチウェル温度循環ブロック210の図面である。本発明において、反応チューブ500は、好ましくは8ストリップ、16ストリップまたは96ウェルプレートの形態からなることができる。
【0061】
図2を参照すると、前記設定された列のウェル211aに、同種の生物学的試料から分離精製された核酸が注入された反応チューブが載置され、同一の列に載置された反応チューブ夫々に、同一のターゲット核酸を増幅するように操作されたプライマー及び/またはプローブが含まれている。
【0062】
図2を参照すると、前記マルチウェル温度循環ブロック210は、多数のウェル211からなる。夫々のウェル211aに診断キットの反応チューブ500が載置されることができる。本発明では、マルチウェル温度循環ブロック上に互いに異なる多数の診断キットの反応チューブが載置されることができ、列単位で、マルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に設定する。マルチウェル温度循環ブロック上に互いに異なるターゲット核酸を含む多数の診断キットが載置され、これにより、互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、列単位で、マルチウェル温度循環ブロック上のマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に指定するが、増幅反応条件は同一に行われることを特徴とする。
【0063】
本発明のリアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロック210は、96ウェル(12列×8行)形態であることができ、前記マルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域は、隣接した一つまたは二つの列単位で検出ターゲットを設定することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0064】
本発明のリアルタイム核酸増幅器200は、後述する制御部の制御により、第1温度であるアニール(T1)温度と第2温度である拡張(T2)温度に繰り返して変化される。
【0065】
従って、ウェル211aに載置される診断キットの反応チューブは、第1温度であるアニール(T1)温度と第2温度である拡張(T2)温度との間で変化されることにより核酸が増幅され、第3温度が変性のためにさらに求められることもできる。前記マルチウェル温度循環ブロック210の第1温度であるアニール(T1)温度、第2温度である拡張(T2)温度及び第3温度が、ターゲット核酸によって多様に設定されることができる。
【0066】
リアルタイム核酸増幅器200は、マルチウェル温度循環ブロック上の設定領域のターゲット核酸の種類及び生物学的試料に関する情報に基づいて、夫々のターゲット核酸の増幅程度及び量を同時に測定し、前記ターゲット核酸の測定は、反応チューブに含まれた検出可能な検出標識のシグナルの数値によって測定される。
【0067】
前記標識によって発生したシグナルの水準は、増幅される標的核酸の量に比例する。検出標識のシグナルは、例えば、発光シグナル、色染料シグナル、または放射性シグナルを含む何れかの種類のシグナルであることができる。好ましい様態として、検出可能なシグナルは発光シグナルである。発光シグナルは、蛍光シグナルまたは化学発光シグナルであることができる。ターゲット核酸の増幅が始まることにより光が発光し、ターゲット核酸の増幅量によって発光時期及び発光強さが変わるようになり、ターゲット核酸の増幅された量をモニタリングすることができるようにする。
【0068】
本発明では、シグナル検出のために蛍光色素が結合されたプローブまたはインターカレート色素などの蛍光色素が用いられることができる。好ましくは、核酸増幅のために、デュアルラベルプローブ(dual−labeled probe)を主に用いることができる。
【0069】
前記リアルタイム核酸増幅器200は制御部を備える。前記制御部は、前記自動精製分注装置100で分離されるターゲット核酸の種類及び前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々の生物学的試料に関する情報を保存し、夫々の自動精製分注装置100で分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、列単位で、マルチウェル温度循環ブロックのマルチウェル領域をターゲット核酸の種類毎に設定し、前記温度循環ブロック上の全てのターゲット核酸が同一の条件下で同時に増幅されるようにして、前記設定された列に相応するターゲット核酸の種類及び夫々のウェルに対する生物学的試料に関する情報に基づいて、同時増幅された夫々のターゲット核酸を測定して判断する。
【0070】
前記制御部に保持される全ての情報は使用者により入力され、入力された情報を保存及び維持できるようにセットされる。
【0071】
前記リアルタイム核酸増幅器200は、前記マルチウェル温度循環ブロック210に装着された列毎に、またはウェル毎に、互いに異なるターゲット核酸を検出するための診断キットの種類によって夫々のターゲット核酸の増幅量及びターゲット情報をリアルタイムでディスプレイ部300に表示する。
【0072】
図3は本発明によるディスプレイ部300を示す図面である。図3を参照すると、ディスプレイ部300は、リアルタイム核酸増幅器200の前記設定された列情報を表示する第1ディスプレイ部302と、単位反応チューブで増幅されるターゲット核酸の量を測定して図示化する第2ディスプレイ部301と、使用者がウェル211aを個別的に選択して見ることができるウェル選択部303と、を備える。前記ウェル選択部303による使用者の選択に応じて、一つまたはそれ以上の単位反応チューブの診断結果を多様な色で一度に表示することにより、その差異を明瞭に区分して表示することができる。
【0073】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、自動精製分注装置及びリアルタイム核酸増幅器を統合的に管理し、より詳細には、生物学的試料のデータを自動精製分注装置からリアルタイム核酸増幅器に伝達し、リアルタイム核酸増幅器から得られる互いに異なるターゲット核酸の種類による夫々のターゲット核酸情報及び増幅結果を定性分析または定量分析する制御部を含む。
【0074】
本発明のリアルタイム核酸分析統合装置は、制御部のソフトウェアにより作動され、これは、図4に示すように、大きく1.情報入力、2.自動精製分注装置100での核酸の分離精製、3.リアルタイム核酸増幅器200での作動(RUN)、4.結果分析(Update Result/Analysis)の四つに分類される。本発明の制御部のソフトウェアは全体的な運営を掌る。ソフトウェアの役割は、大きくDB機能及び維持、自動精製分注装置の制御維持、リアルタイム核酸増幅器の作動及び分析制御維持などの役割を遂行する。
【0075】
本発明のリアルタイム核酸分析統合装置は、二つのコンピュータと三つの自動精製分注装置と一つのリアルタイム核酸増幅器で構成される。まず、制御部のソフトウェアは、使用者がリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアに入力したデータを基盤とする。二つのコンピュータのうち一つは、ローカルDB、リアルタイム核酸分析統合システムの管理ソフトウェア及び自動精製分注装置プログラムが設けられるリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア用コンピュータである。他の一つのコンピュータは、リアルタイム核酸増幅器プログラム用である。各コンピュータは、TCP/IP通信を介してデータを送受する。リアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェア用コンピュータは、三つの自動精製分注装置とTCP/IPを介して通信する。リアルタイム核酸増幅用コンピュータは、核酸増幅器とUSBを介して通信する。前記リアルタイム核酸分析統合装置は、コンピュータ間のクライアントサーバ環境、リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア及び自動精製分注装置間のクライアントのサーバ環境で構成される。
【0076】
より詳細には、各病院サイトにはメインDBが存在する。メインDBへの試料入力作業をリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアを利用して行う。この作業は、本発明のリアルタイム核酸分析統合装置に用いられるローカルDBに作業リスト(worklist)を搭載する過程である。搭載された作業リストは、バーコードまたは自動割り当て方式によって、使用者により各自動精製分注装置に割り当てられる。全て割り当てられた後、自動精製分注装置を運営する。運営が全て完了すると、完了と同時に動作完了によるアップデートを行う。リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア用コンピュータは、アップデートをチェックし、ローカルDBを更新する。本発明の統合管理ソフトウェアは、複数の核酸精製分注装置を同時に夫々制御することができ、これらの動作状態を提供する。
【0077】
前記リアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェア用コンピュータは、リアルタイム核酸増幅器が準備されたことを使用者に知らせる。使用者は知らせの指示を受け、96ウェルマルチウェル温度循環ブロックに反応チューブを装着する。反応チューブの装着が完了すると、リアルタイム核酸増幅器の作動を行う。動作が完了すると、使用者に分析(analysis)プログラムを実行させるかを知らせる。分析が完了すると、使用者により完了及び終了が実行される。統合管理ソフトウェア用コンピュータは、全ての作動及び分析が完了したかをチェックし、チェックの完了後、ローカルDBを更新する。
【0078】
まず、本発明のリアルタイム核酸分析統合装置を作動するためには、情報(データ)が入力されなければならない。データ情報の入力は、使用者が、検体試料毎にリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア用コンピュータの統合管理プログラム内のデータベースに従ってデータ情報を入力するという意味である。データ情報の入力によって該当診断キット毎に用いられるプロトコルが決まっている。即ち、試料の名前を入力し、診断キット、核酸類型、サンプルソースタイプ(sample source type)、分離プロトコルを選択する。入力すべき試料数を選択して「input」ボタンを押す。自動精製分注装置では、入力された情報(データ)を利用して各自動精製分注装置のカートリッジウェルに「Assign(割当)」する。本発明において、「Assign」は「Auto assign(自動割当)」とバーコード「assign」を支援する。本発明は、精製すべき試料をクリックする順に、自動で「assign」する。各自動精製分注装置の「assign」が完了すると、自動精製分注装置が動作できる状態となる。使用者は、自動精製分注装置で夫々の装置を動作させる。自動精製分注装置ソフトウェアは、動作に関する全ての情報を保存する。自動精製分注装置ソフトウェアは、作動時間、進行状態などの進行情報を使用者に提供する。自動精製分注装置の動作時間は、約40〜50分がかかる。自動精製分注装置の作動が完了すると、リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアが自動検知を行う。自動検知により、次の工程であるリアルタイム核酸増幅器の作動を指示する。
【0079】
本発明の実施例では、リアルタイム核酸増幅器の該当コンピュータが別に分けられているため、使用者がリアルタイム核酸増幅器プログラムを実行する。実行時、作業リストが自動精製分注装置からリアルタイム核酸増幅器に伝送され、使用者に自動で提供される。統合管理ソフトウェアによって実行された核酸増幅器ソフトウェアにより、実験する診断キットを選択する。本発明では、選択された診断キットによってコントロールは自動で「assign」されるようになっている。使用者は、核酸精製分注装置で遂行された作業リストを呼び出して実行する。サンプルをクリックする順に応じてマルチウェルに「assign」される。該当設定された情報に相応する診断キットを装着し、核酸増幅器の動作を実行する。リアルタイム核酸増幅器の動作は約2〜3時間かかる。核酸増幅器の作動s/wの動作が終わると、該当結果ファイルを管理s/wに伝送する。動作が完了すると、リアルタイム核酸分析統合装置の「管理(manager)」ソフトウェアで動作状態を自動で認知して結果をアップデートし、作業リストを次の工程に移管する。「manager」プログラムは、結果アップデートを行うことにより全ての結果をアップデートする。マルチウェルのウェル毎にアップデートすべき試料を選択する。失敗したものはアップデートせず、分離工程または増幅工程の該当工程にさらに戻す。現在の全ての分析状態を示す「Analysis」ウィンドウを実行することにより、使用者が増幅状態を分析することができる。
【0080】
本発明のリアルタイム核酸分析統合装置の制御部は、「work list」ローカルデータベース、リアルタイム核酸分析統合装置の管理(manager)ソフトウェア、自動精製分注装置ソフトウェア、リアルタイム核酸増幅器の作動ソフトウェア、リアルタイム核酸増幅器の分析ソフトウェアの五つのプログラムを自動で連結させて、一連の自動化工程を提供する。動作時のヒューマンエラーを防止するために、「assign」時に関連画面を提供し、全てのデータを追跡することができるようにしている。全ての装備運用時、ログファイルが生成される。
【0081】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、上記の夫々の診断キットの単位反応チューブの分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることができる。
【0082】
[実施例2]
実施例2は、本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法に関するものであり、以下、より詳細に説明する。
【0083】
本発明によると、1)多数の自動精製分注装置100で標準試料と核酸を含む多様な生物学的試料から、各試料に含まれた核酸を分離精製した後、分離精製された溶液を核酸増幅反応混合物の反応チューブに加えて混合する段階と、2)前記核酸増幅反応混合物の反応チューブが装着されるマルチウェル温度循環ブロック210と前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々のターゲット核酸が相応するように、マルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェルをターゲット核酸の種類毎に列単位で分割してブロックを設定し、前記設定されたブロック内の夫々のウェル毎に、前記自動精製分注装置100で分離される標準試料と生物学的試料の情報を保存する段階と、3)段階2)で保存されたリアルタイム核酸増幅器200のマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルの生物学的試料の情報に一致するように、段階1)で準備された反応チューブを各ウェルに装着する段階と、4)前記リアルタイム核酸増幅器200の温度循環ブロックに装着された夫々のターゲット核酸を同一の条件下で同時に増幅し、多数の生物学的試料に対する夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析して増幅結果を得る段階と、を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法が提供される。
【0084】
本発明において、前記段階2)と段階3)は同時に行ってもよく、または段階3)が段階2)より先に行ってもよい。
【0085】
本発明において、前記1)段階の自動精製分注装置100で精製及び分注される核酸は夫々互いに異なる核酸であることができ、多様な種類の生物学的試料が核酸分離に用いられることができる。
【0086】
本発明において、前記自動精製分注装置100で生物学的試料にインターナルコントロール(internal positive control、IPC)を添加して核酸を分離し、前記増幅結果から自動精製分注装置100でのターゲット核酸分離の成功有無及び増幅効率を判断して、ターゲット核酸の検出の有効性を決めることを特徴とする。
【0087】
本発明において、前記1)段階における反応チューブは核酸増幅に必要な成分が乾燥された形態で含まれたものであり、これに分離精製された核酸溶液を加えて混合することにより、核酸増幅反応混合物の反応チューブを製造することを特徴とする。
【0088】
本発明の診断キットは乾燥組成物からなっているため、分離精製された核酸溶液を加えて直ちに混合物を製造することができる。溶液状態の診断キットは、分離された核酸溶液を添加すると、反応容量が多くなるという問題が生じ、分離された核酸濃度が低くなる。
【0089】
本発明において、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がRNAである場合、タバコモザイクウイルス粒子であることを特徴とする。
【0090】
本発明において、前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がDNAである場合、プラスミドDNAまたはPCR増幅産物(PCR product)であることを特徴とする。PCR増幅産物は、PCR増幅によって作られたDNAを意味する。
【0091】
前記1)段階において、インターナルコントロールは、既知の濃度毎に追加した定量標準試料をさらに含んで分離することを特徴とする。
【0092】
前記1)段階において、標準試料として陰性コントロール(NTC)と陽性コントロール(PC)をさらに用いて分離することを特徴とする。
【0093】
前記インターナルコントロールの増幅のためのプライマー、プローブは、下記表1に提示された配列を用いることを特徴とする。
【0094】
本発明では、前記インターナルコントロール(または内部対照群、internal positive control、IPC)を核酸の分離精製段階から適用して、試料から核酸を分離した後、リアルタイム核酸増幅器で増幅を行う。これは、核酸の不十分な増幅の原因が、精製過程にあるか、または増幅過程にあるかを確認することが困難であるという問題を解決するために利用される。本発明では、分離過程から既知の濃度のインターナルコントロール(internal positive control、IPC)を試料に添加して、ともに分離、精製することにより、自動核酸精製分注装置で分離がまともになされたかと確認することができるだけでなく、分離後に増幅過程で核酸増幅がまともになされなかった場合、分離段階から問題があったか、核酸増幅段階で問題があったか、その原因を容易に分かるようになる。本発明では、タバコモザイクウイルスをインターナルコントロール(IPC)として用いた。タバコモザイクウイルス(TMV)は、RNAウイルスであり、新種インフルエンザH1N1ウイルスのようなRNAウイルスの検出をターゲットとする場合に適したインターナルコントロール(IPC)として用いることができる。
【0095】
タバコモザイクウイルス(TMV)を用いる利点は次のとおりである。既存の場合、検体試料から核酸を分離する時にインターナルコントロール(IPC)をともに用いず、核酸の増幅反応時にのみ特定種類のRNAを分離された核酸試料に添加して反応させた。本発明では、ウイルス粒子自体を検体試料の分離段階からともに分離、精製して、リアルタイム核酸増幅反応までともに進行するため、効率検定に有用である。植物ウイルスであるタバコモザイクウイルス(TMV)は、大量精製が可能であり、取り扱いに危険負担がない。人体ウイルスと植物ウイルスは、反応する「receptor」が夫々異なるため植物ウイルスが人に感染されることがなく、ターゲットとする人体ウイルスとは類縁関係が遠いため、プライマー及び探針の製作時、または核酸の増幅反応時、所望の人体核酸ターゲットと塩基配列が一致する現象が少ないか、殆どないという長所がある。
【0096】
本発明において、診断キットは、単位反応チューブにインターナルコントロ−ル(IPC)と増幅されるターゲット核酸に相応するプライマー、ターゲット核酸を検出するための検出標識及び緩衝溶液が同量に備えられることを特徴とする。単位反応チューブとしては、8−ウェルストリップが用いられることができる。また、前記単位反応チューブ内の核酸増幅の反応物は、乾燥された形態であることを特徴とする。
【0097】
本発明において、前記リアルタイム核酸増幅器200で生物学的試料にインターナルコントロール(internal positive control、 IPC)を添加して核酸を分離して確認するための増幅結果は、前記自動精製分注装置100で得られた核酸分離の有無及び前記リアルタイム核酸増幅器200を利用して同一の条件下で同時に増幅して得られる増幅過程により確認することができる。
【0098】
本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置は、多数の自動精製分注装置から分離された核酸をリアルタイム核酸増幅器200を利用して一度に同時に増幅することができる。
【0099】
また、同時に増幅された夫々の核酸から、検出しようとするターゲット核酸の情報を収集する段階をさらに含む。
【0100】
例えば、血液、小便、痰、細胞などから核酸を分離する過程は異なることがありえるが、これらから分離された核酸は一つの増幅器で同時に増幅することができる。本発明では、多数の核酸自動精製分注装置で核酸を分離する。三つの自動精製分注装置で夫々血液、小便、痰の試料から核酸を分離する。分離された核酸は、例えばAIDS、B型肝炎、C型肝炎、マラリア、結核、性病の診断キットを利用してこれらを同時に検出するために適用されることができる。
【0101】
リアルタイム核酸増幅器でこれらの疾病原因を同時に検出するために、本発明では、マルチウェル温度循環ブロックを列毎に分け、特定領域を指定することができる。例えば、1列はAIDS、2列はB型肝炎、3列はC型肝炎、4列は性病に、マルチウェル温度循環ブロックの列を指定した後、これらの増幅条件を同一に設定した後、分離された核酸を含む夫々の診断キットをマルチウェル温度循環ブロック上の夫々の設定領域に合わせて装着し、増幅反応を行う。増幅反応の条件を同一に設定するために、各診断キットの反応条件のTm値を全て同一または類似するように設定した。プライマーまたはプローブのTm値が同一に設定される同一の重合酵素連鎖反応(PCR)条件下で、96ウェル核酸増幅器で同時増幅を行う。その結果、便利性が増加し、検出時間が短縮することができる。さらに、多数の種類のターゲットを一つずつ順に検出することによって発生する時間の誤差を減らすことができる。また、一度に一種類のターゲット病源菌を検出していたことに代えて、同時に同一の条件下でリアルタイム核酸増幅器で多数のターゲットDNAまたはRNAを検出するため、確認仮定を容易に行うことができる。一人に由来する多数の種類の試料、または多数の人に由来する試料から核酸を分離し、これらから多様なターゲット核酸を一度に同時に検出するため、多数の病原体を速い時間内に同時に確認することができる長所がある。本発明では、マルチウェル温度循環ブロックの列単位で、特定病原体の検査項目を指定することができる。
【0102】
本発明によって多数の自動精製分注装置100を利用して生物学的試料から核酸を分離、精製する過程は、次のとおりである。本発明の実施例では、自動核酸分注装置としてバイオニア社のExiPrepTM Fully automated nucleic acid extraction instrumentを採択して使用し、バイオニア社の ExiPrepTM extraction kitを核酸精製キットとして採択及び変形して使用した。
【0103】
本発明において、自動精製分注装置の核酸精製キットは、核酸を含む多様な生物学的試料から核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジセットと、精製するために用いられるプラスチック消耗品セットと、で構成される。カートリッジセットは、細胞内のタンパク質を分解するためのタンパク質分解酵素、細胞を分解するための分解溶液、溶出された核酸を結合させるためのシリカ磁性粒子と溶出された核酸とシリカ磁性粒子との結合のための結合溶液が含まれているカートリッジ(1)と、シリカ磁性粒子の表面に付着された核酸以外の物質を洗浄するための1種以上の洗浄溶液、シリカ磁性粒子の表面から核酸を効率的に分離させるための溶出溶液を含んでいるカートリッジ(2)と、で構成される。プラスチック消耗品セットは、核酸の精製過程で各種緩衝溶液を運搬、移送するために用いられる使い捨てフィルタチップ、タンパク質分解酵素による細胞分解の過程で用いるための反応用チューブ、最終精製された核酸を貯蔵するための溶出(elution)チューブで構成される。
【0104】
核酸精製キットのカートリッジはマルチウェルカートリッジであり、96ウェル型カートリッジが好ましく使用される。新種インフルエンザA(H1N1)RNAの分離のための核酸精製キットとしては、バイオニア社のExiPrepTM viral DNA/RNA kitを採択して使用することができる。ウイルスRNAの抽出過程は、サンプルの前処理過程と、標準試料としてポジティブコントロール(Positive Control)、ネガティブコントロール(Negative Control)、インターナルコントロール(IPC)、検体試料を添加する過程と、自動精製分注装置を利用した核酸の抽出過程と、からなる。抽出された核酸は自動でリアルタイムRT−PCR用診断キットと混合されるため、核酸の抽出後、手動で診断キットにウイルスRNAを入れる必要がなくなる。
【0105】
具体的な一例として、リアルタイム核酸分析統合装置の核酸自動精製分注装置と核酸精製キットを利用して、新種インフルエンザAウイルスのウイルスRNAを精製する過程は、次のとおりである。
【0106】
綿棒を利用して患者の口腔及び鼻咽腔から検体を採取する。核酸の精製に用いる前に、ウイルス輸送培地(VTm media、Virus Transport Media)が入っている検体保管用チューブをボルテックスミキサーを利用して1分間強く振って、ウイルスが綿棒からウイルス運送バッジに効果的に移るようにする。綿棒に付いているウイルスが溶液(PBS、normal saline、 Transport mediaなど)に移るようにボルテックスミキサーを利用して1分以上混ぜる。1.5mlテストチューブに混合された試料溶液1mlを移し、13,000rpmで5秒〜10秒間遠心分離する。上層液200μlを回収し、ウイルスRNA抽出に用いる。
【0107】
自動精製分注装置の電源を押して初期化を進行する。本発明のリアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェア(manager software)は大きく二つの部分に分けられるが、一つは自動核酸精製分注装置を制御する部分とリアルタイム核酸増幅器を制御する部分とからなる。ウイルスRNAを抽出するために、ソフトウェアのメイン画面の左側の自動精製分注装置の絵をクリックして、検査に使用する診断キットを選択する。診断キットの入力をクリックして新種インフルエンザ検査用診断キットを選択すると、抽出すべき核酸の種類が自動で選択される。「sample source type」入力ウィンドウに患者の検体類型による検体種類を入力する。検体種類を入力すると、自動でカートリッジ状態を問うポップアップウィンドウが表示される。バッファーカートリッジ(1)を参考して使用されたウェルがあるか否かを確認し、使用されたウェルがある場合は、これ以上使用されないように該当ウェルをクリックして表示する。自動でカートリッジ(1)の残っているウェルにネガティブコントロール(Negative control)、ポジティブコントロール(Positive control)位置が表示される。基本設定はNTC、PC夫々一つずつであり、二つずつに変更してセットすることができる。もし、再検が必要なリストがある場合、この段階で再検すべきリストが表示され、リストのうち再検すべき検体番号を選択すると、順に「assign」が完了される。「sample name」をクリックし、バーコードリーダーやキーボードを利用して検体情報を入力する。今まで入力された情報をリアルタイム核酸分析統合装置に適用させるために、「Apply」ボタンをクリックする。
【0108】
作業台で、核酸精製キットのカートリッジ(1)の1列と2列にインターナルコントロール(IPC)を夫々20μlずつ入れる。リアルタイム核酸分析統合装置で入力した内容に合わせて、カートリッジ(1)のポジティブコントロール(PC)の位置に、即ち、A−1の位置のウェルに標準物質(positive control、PC)を200μl入れ、カートリッジ(1)のネガティブコントロール(NTC)の位置に、即ち、B−1の位置のウェルにDEPC処理された3次滅菌水(negative control、NTC)200μlを入れる。その他には、C−1でH−1、A−2でH−2の位置には患者の検体を200μlずつ入れる。この際、必ずリアルタイム核酸分析統合装置で入力した位置に合わせて核酸試料をカートリッジに入れなければならない。夫々の標準物質、DEPC処理された3次滅菌水、患者の検体が入っているカートリッジのウェル位置に合わせて、使い捨てフィルターチップ、単位反応チューブを各自動精製分注装置内のラックに装着する。
【0109】
また、精製された核酸が入っている溶出(elution)チューブと新種インフルエンザ診断検査用診断キットを冷蔵ブロックに装着する。準備されたカートリッジセットとプラスチック消耗品セットを自動精製分注装置に装着した後、リアルタイム核酸分析統合装置の管理ソフトウェアの「RUN]ボタンをクリックすることにより自動精製分注装置を作動させ、患者の検体から新種インフルエンザウイルスのRNAを精製する。核酸精製が完了されると、核酸保管のための溶出(elution)チューブと診断検査用診断キットを冷蔵ブロックから分離し、核酸保管用チューブは提供されたチューブキャップを利用してキャッピングした後、−80℃で保管する。診断キットは、光学接着剤(adhesive optical)フィルムを利用してストリップチューブの上端をシーリングした後、リアルタイム核酸増幅器に移してリアルタイムRT−PCRを行う。抽出が完了すると、核酸分注精製装置内の溶出(elution)チューブと診断キットの反応チューブには50uLずつの抽出された核酸溶液が入っている。
【0110】
本発明の実施例では、リアルタイム核酸増幅器としてはexicyclerTM96 Real−Time Quantitative Thermal Blockを採択して使用し、バイオニア社のAccuPowerDiagnostics Kitを診断キットとして採択して使用した。
【0111】
リアルタイム核酸増幅器で得られる増幅結果は、次の過程によってなされる。まず、リアルタイム核酸統合分析装置でリアルタイム核酸増幅器の絵をクリックする。管理ソフトウェアには抽出が終わった検体リストが左側上端にキット毎に保存されている。該当するリストを選択して、「Get Sample List(サンプルリスト取得)」ボタンをクリックする。
【0112】
この際、選択された診断キットをマルチウェル温度循環ブロックのどの位置に入れるかを指定するためのポップアップウィンドウが表示される。反応チューブストリップ毎のサンプルリストのチェックボックス(check box)を選択し、マルチウェルに検体を「assign」する。各ウェルを選択すると位置が指定できるようになり、画面のマルチウェルの絵を見て所望の位置を選択する。
【0113】
診断キットストリップの数に合わせて、温度循環ブロックのどこにストリップを装着するか、列と行の数字を選択する。例えば、核酸が分注された診断キットが8−ストリップである場合、核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロックの中間部に位置するように、96ウェルの該当位置のボタンをクリックする。選択が完了すると、データ名を入力できるウィンドウが表示され、所望のデータ名を入力した後ボントンをクリックすると、核酸増幅すべき作業リストが生成される。
【0114】
診断キットを「assign」された位置に合わせて、リアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロックに装着した後、リアルタイム核酸増幅器のrun softwareを実行する。リアルタイム核酸増幅器で作動が完了すると、管理ソフトウェアに結果データが送信される。リアルタイム核酸分析統合装置において、制御部の管理ソフトウェアのメニュー部で確認することができる「tap」をクリックし、「update result(結果更新)」を選択して重合酵素連鎖反応(PCR)結果を呼び出す。新たに表示されたウィンドウの左側上端に生成された「work list(作業リスト)」を選択して結果を呼び出す。結果値は「assign」された順にエクセルファイルの形式で確認することができる。各検体毎の結果グラフは連結されている分析プログラムと連動されて分析することができる。結果が確認された検体は管理プログラム上に結果をアップデートし、結果が確認されなかった場合は増幅段階から再検査または分離(Prep)段階から再検査を選択して再検査リストが生成される。
【0115】
より詳細には、BSC(biological safety cabinet)内で準備された自動精製分注装置のプレートに、各反応(Reaction)チューブラック、使い捨てチップ(Disposable tip)ラック、溶出(Elution)チューブラック、バッファーカートリッジ(buffer Cartridge)(1)を載置する。検体試料の数に合わせて反応チューブ、使い捨てフィルターチップ(Disposable filter tip)、溶出(Elution)チューブ、診断キットを各ラックに挿入する。提供された「hole−punch」を利用して、検体試料の数と標準試料として用いられるポジティブコントロール(PC)とネガティブコントロール(NTC)の数に合わせて、バッファーカートリッジ(buffer Cartridge)(1)とバッファーカートリッジ(Buffer Cartridge)(2)のシーリングフィルムに孔を空ける。図5に示す図面を参照して、検体試料とポジティブコントロール(PC)、ネガティブコントロール(NTC)を入れる位置に合わせて20μlの植物性インターナルコントロール(IPC)をウェルに入れる。ネガティブコントロール(NTC)ウェルにDEPC処理した蒸溜水200μlを入れる。ポジティブコントロール(PC)ウェルに200μlのポジティブコントロール(PC)を添加する。カートリッジウェルに、上記のように準備された患者の検体試料200μlを入れる。透明アクリル蓋を閉じた後、自動精製分注装置に入れる。
【0116】
自動精製分注装置を駆動させて、新種インフルエンザ検査用プログラムを呼び出す。使用する装備を確認した後、標準試料として用いられるポジティブコントロール(PC)とネガティブコントロール(NTC)が入ったウェルを表示する。ポジティブコントロール(PC)、ネガティブコントロール(NTC)が入ったウェルを除いた検体ウェルに、バーコードリーダーまたは手動で患者の検体試料に対する患者の情報(名前、性別、担当課など)を入力する。「RUN」ボタンを押してウイルスRNA抽出を始める。
【0117】
前 記ウイルスRNAの抽出過程が完了すると、「Door」を開いて「Base plate」を前方に引き出すと溶出(elution)チューブと診断キットが装着された溶出(Elution)チューブラックを見ることができる。
【0118】
溶出(Elution)チューブと診断キットには、抽出されたウイルスRNAが夫々50μlずつ入っている。従って、RNAやDEPC処理した蒸溜水をさらに入れる過程は必要ではない。新種インフルエンザ検査に必要な診断キットは、溶出(Elution)チューブラックから取り出して直ちにリアルタイム核酸増幅器を利用してリアルタイムRT−PCRに適用することができ、溶出(Elution)チューブに入っているウイルスRNAは再検査時に用いる。抽出されたウイルスRNAは、できるかぎり使用時まで−80℃で保管する。溶出(Elution)チューブラックは抽出された核酸を保管するために4℃の状態に維持される。
【0119】
本発明に用いられる診断キットに含まれている核酸増幅分析試薬は、ターゲット核酸増幅に必要な全ての成分が入っている分析試薬を含み、前記分析試薬は、リアルタイム核酸増幅器を利用して検体試料内のターゲットDNAまたはRNAをリアルタイム定性または定量的に検出するために、「ready−to−use(そのまますぐに使える)」方式で構成されている。
【0120】
前記本発明に用いられる診断キット内の分析試薬は、核酸増幅に必要な反応のために、緩衝溶液、MgCl2、4種のdNTP、重合酵素、プライマー及び検出標識、及び選択的に安定剤を含み、乾燥された状態である。検出標識は、蛍光染料または蛍光染料が標識されたプローブであることを特徴とする。また、本発明によると、分析試薬組成物は、凍結乾燥、真空乾燥、加温乾燥、または減圧乾燥などによって乾燥された形態の組成物であることが好ましい。
【0121】
本発明で用いられる診断キットは、例えば、バイオニア社のAccuPower PCR kitを採択して使用することができる。バイオニア社のNew InfA(H1N1)&Inf A Premixには新種インフルエンザA(H1N1)とインフルエンザAウイルスのゲノムの特定部分を増幅するためのプライマー、dual−labeled fluorogenic probe、DNA polymerase、dNTPs及び安定剤が含まれている。増幅産物は、熱サイクリング(thermal cycling)の間に特定プローブに結合された蛍光を測定して確認することができる。重合酵素連鎖反応(PCR)産物のサイクルによる増幅は、プローブから離れたレポーター色素(reporter dye)を測定することによりリアルタイムで測定される。また、診断キットには、試料の定性分析のためにNew Inf A H1N1&Inf A Positive controlsが含まれている。
【0122】
核酸増幅分析試薬を増幅段階で用いる場合、分析試薬が入っているストリップ(Strip)に分離された核酸を入れる。この際、New Inf A H1N1& Inf A ポジティブコントロールRNAとインターナルコントロール(IPC)RNA試薬をチューブに添加する。DEPCを処理した蒸溜水とインターナルコントロール(IPC)RNAとを計算された数量だけ混合して混合液を製造し、ストリップの各ウェルに45μlずつ分注する。
【0123】
全ての試薬及びRNA分注の完了されたストリップは、蓋で閉じるか、またはシーリングフィルムでシーリングした後、混合液の内容物が完全に混じるようにする。この際、バイオニア社のExispinTM(Cat.No:A−7040、バイオニア社製.韓国)を利用して混合した後、スピン過程を行うことが好ましい。その後、ストリップをリアルタイム核酸増幅器(ExicyclerTM 96 Real−Time Quantitative Thermal Block、バイオニア社製)のマルチウェル温度循環ブロックに載置し、リアルタイム核酸増幅器を実行させる。
【0124】
前記リアルタイム核酸増幅器(ExicyclerTM96)の裏面下端のメインパワースイッチをオンする。96ウェルのマルチウェル温度循環ブロックが機械の前に出ると、重合酵素連鎖反応(PCR)ストリップまたはプレートをマルチウェル温度循環ブロックのウェル方向に合わせて入れる。「door」ボタンをさらに押すと、96ウェルのマルチウェル温度循環ブロック(thermal block)が内側に入る。ExicyclerTM96のオペレーティングプログラム(Run ExiDiagnosis icon)を実行する。重合酵素連鎖反応(PCR)に必要な作動方法を実行するために、上端の「File−Design Experiment(ファイル−デザイン実験)」をクリックする。
【0125】
次に、「Select Diagnostics Kit window(診断キットウインドウ選択)」が表示されると、「New Inf A and InfA Real−Time PCR Kit」を選択する。前記「Select Diagnostics Kit」選択が完了すると、96ウェルのマルチウェル温度循環ブロック内のストリップ位置情報が入力されたエクセルファイルを選択して実行させる。
【0126】
全ての選択が終わると、キットに適した重合酵素連鎖反応(PCR)条件と選択した位置情報が見られるプロトコルとプレート情報のディスプレイウィンドウを確認することができる。
【0127】
「Run tap」ボタンをクリックすると、結果を保存するためのファイル名が入力できる新しいウィンドウが表示される。実験日付及びサンプルに関する情報を入力して「OK」ボタンを押すと、重合酵素連鎖反応(PCR)が始まる。入力したファイル名を利用して分析プログラムで結果を確認することができる。
【0128】
前記核酸増幅に対する増幅結果は、ExicyclerTM96 分析プログラムを利用して分析される。分析しようとする「PCR data file(.ex3)」を選択する。増幅結果の「Flu.Graph」画面で「Baseline subtraction(manual方式)によって個別化分析が可能であり、「auto scale button」を用いて分析プログラムで提供する基本的な分析結果を確認することもできる。ネガティブコントロール(NTC)ウェルの場合、New Inf A & Inf A RNAが添加されていないため、FAMとTexasred蛍光値が測定される必要がない。インターナルコントロール(IPC)RNAウェルの場合、全てのウェルでTAMRA蛍光値が測定することが必要である。
【0129】
重合酵素連鎖反応(PCR)を行う際、ウェルのうち一定ウェルを指定する。例えば、A1、B1はネガティブコントロール(NTC)、C1、D1はポジティブコントロール(PC)に指定する。ポジティブコントロールとネガティブコントロールは標準試料として用いられる。前記二つのコントロールが基準に合わない場合、分析プログラムでエラー(error)メッセージが発生する可能性がある。本発明では、診断分析時、ソフトウェアが「Auto」分析機能をし、結果分析を自動で分析して示す。
【0130】
[実施例3]
実施例3は、本発明によるリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法において、核酸の分離精製に用いられるインターナルコントロール及び多数の検体の同時検出に関するものであり、以下、本発明をより詳細に説明する。
【0131】
(1)植物性インターナルコントロールプライマー、プローブのデザイン及び適用
植物性インターナルコントロール(Internal Positive Control、IPC)は、タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic Virus、TMV)のゲノムRNA(GeneBank.ACCESSION No.NC001367)の塩基配列4903から5709(Movement protein gene、MP)、5712から6191(Coat protein gene、CP)の間で、長さは18〜28bp、Tm値は55℃〜62℃となるように、任意で塩基配列を選択して正方向及び逆方向プライマーとして用いた。
【0132】
また、前記塩基配列の間で、長さは19〜30bpの間、Tm値は67〜72℃の間で任意で塩基配列を選択して探針として用い(表1)、Tm値はPrimer3Plusプログラムを利用してチェックした。
【0133】
【表1】
【0134】
まず、タバコモザイクウイルス(TMV)のプライマーセット毎に組み合わせて、SYBR Green(核酸検出用の染色試薬)とリアルタイム定量増幅器としてExicyclerTM Quantitative Thermal Block(バイオニア社製、韓国)を利用して、適したプライマーの組み合わせを選定するための過程を行った。
【0135】
6セットに組み合わせたタバコモザイクウイルス(TMV)プライマー、核酸染色用試薬、蒸溜水(D.W.)、タバコモザイクウイルステンプレートを添加して、リアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を行った。これを95℃で10分間変性させた後、95℃で20秒、55℃で30秒ずつ45サイクルを進行させた。増幅された蛍光値は、各重合酵素連鎖反応(PCR)サイクルが進行されるに伴って、55℃で30秒反応後に1回ずつ持続的に測定する。
【0136】
その結果、前記プライマーセットのうち1、2、3番(MP1、2、3セット)が4、5、6(CP1、2、3セット)に比べ増幅反応速度が速いため、前者のセットを選択した。
【0137】
以後の実験では、非特異的な核酸染色用試薬の代わりに特異的配列の核酸を検出するプローブを利用して、適したプローブセットを選択する過程を追加に行った。10×バッファー 5μl、MMLV 600U、Taq 7.5unit、dNTP 20mM 3μl、安定剤(stabilizer)、最適化された濃度(15p)のプライマー、プローブなどと罹病葉から抽出したタバコモザイクウイルス(TMV)RNAを添加して、蒸溜水で総容量が50μlになるように一つのチューブに入れて、リアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を行った。これを45℃で15分間逆転写反応させた後、95℃で5分間変性させた後、95℃で5秒、55℃で5秒ずつ45サイクルを進行させた。
【0138】
タバコモザイクウイルスのプライマー及びプローブセット1、2、3のうち重合酵素連鎖反応(PCR)の増幅効率がもっとも良好であったものはセット1(MP1)で、次はセット3(MP3)、セット2(MP2)の順であった。
【0139】
これらのうちセット1、3の二つのセットを利用して、上記のような組成のRT−PCR混合液にタバコモザイクウイルスをインターナルコントロールRNAとして使用し、新種インフルエンザRNAをテンプレートとして添加して、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の適用実験を行った。実験結果、セット1(MP1)、セット3(MP3)全て1×106copyインターナルコントロールRNAをともに反応させたにも関わらず、新種インフルエンザRNAテンプレートの増幅に大きい影響を与えず、インターナルコントロールの増幅が独立的になされたことを確認した。
【0140】
(2)植物性インターナルコントロールの製造、核酸の抽出過程での適用及びリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の適用
生物学的試料とともに使用可能な植物性インターナルコントロールを製造するために、まず、タバコモザイクウイルスを増殖した。タバコNicotiana tabaccum cv.Samsun種子(韓国農村振興庁の植物ウイルス研究室で分譲)を100〜200粒播種した後、10日後に芽が生じるとそれから10日後に各個体毎に小さな植木鉢に移植し、さらに10日間育てた。タバコモザイクウイルス(TMV)罹病葉(韓国農村振興庁の植物ウイルス研究室で分譲)をモルタルに入れて0.01M リン酸塩バッファー(Phosphate Buffer)(pH7.2)とともに粉砕して汁液を製造し、カーボランダム(carborundum)を吹き付けたタバコ葉に汁液を塗布し、傷を介してTMVの接種がなされるようにした。
【0141】
接種10日後、タバコ葉でモザイク斑と葉の奇形などが観察された。さらに20日程度育て、タバコモザイクウイルスの増殖量を増やした。その後、TMV罹病葉30gを収穫し、ウイルス粒子を精製するための実験を行った。
【0142】
具体的には、ミキサーにタバコモザイクウイルス(TMV)罹病葉30g、0.1M リン酸塩バッファー(Phosphate buffer)(pH7.2)90ml、β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol)0.6mlを入れ、葉を磨砕してガーゼでろ過した後、12mlのn−ブタノールを添加して1時間30分間混合した(4℃維持)。混合液を8000rpm、4℃で20分間遠心分離機で分離した後、上層液のみを回収してMira fiber clothでろ過し、上層液の体積の8%PEG、0.1M NaClを添加して3時間混合した(4℃維持)。
【0143】
その後、前記混合液を10000rpm、4℃で20分間遠心分離機で分離した後、上層液は除去し、ペレットを0.1M リン酸塩バッファー(Phosphate buffer)7.5mlに溶かした。これを再び10000rpm、4℃で20分間遠心分離機で分離した後、上層液を回収して越原心分離機で28000rpm、4℃で2時間30分間分離させた。上層液を除去した後、残りのペレットを300μlのDEPCを添加した蒸溜水で溶かし、タバコモザイクウイルス(TMV)粒子を抽出した。抽出した粒子は、SDS−PAGEと電子顕微鏡写真を利用して確認し、UV分光計(Shimazu社製、日本)で吸光度(260nm)を測定した後、下記の公式を利用してウイルス濃度を定量した。
【0144】
[260nmで吸光度/3.0(TMV吸光係数)]×稀釈倍数
【0145】
濃度定量の結果に基づいて、RNAコピー数(copy number)を下記の公式によって計算した。
【0146】
6.02×1023×濃度(UV分光計で測定された濃度mg/ml)/6395(タバコモザイクウイルスゲノムのサイズ(bp))×330
【0147】
前記実験で抽出したタバコモザイクウイルス粒子をRNA抽出段階である分離(Preparation)から適用するための適正濃度を選定する実験を行った。まず、タバコモザイクウイルス粒子を濃度毎に稀釈し、200μlを添加して核酸分離精製装置(ExiPrepTM、バイオニア社製、韓国)で50μl抽出した後、これをインターナルコントロールRNAとして1μl使用し、10×バッファー5μl、MMLV 600U、Taq 7.5unit、dNTP20 mM 3μl、安定剤(stabilizer)、最適化された濃度(15p)のプライマー、プローブなどと新種インフルエンザRNAを標準テンプレートとして添加し、蒸溜水で総容量が50μlになるように一つのチューブに入れて、核酸増幅器でリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を行った。これを45℃で15分間逆転写反応させた後、95℃で5分間変性させた後、95℃で5秒、55℃で5秒ずつ45サイクルを進行させた。
【0148】
その結果、分離精製時、一つの反応液当たり2×108〜2×109/200μlがインターナルコントロールRNAとしての適正な重合酵素連鎖反応(PCR)効率を示すことを確認した。
【0149】
次に、RNA抽出段階からタバコモザイク粒子を新種インフルエンザ検体試料とともに抽出し、リアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応までの適用実験を行い、既存に使用されていたインターナルコントロール(バイオニア社AccuPower Diagnostics kitに含まれたインターナルコントロール(マウスDVL遺伝子プラスミド))と比較した。RNA抽出時、前記実験で選定した二つの濃度に合わせて、2×108〜2×109copy/20μlを新種インフルエンザ検体試料200μlと交ぜてともに核酸分注精製装置で分離、抽出した。また、核酸増幅器でリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応時には、前記実施例2で選択したプライマー、プローブセット1、3(MP1、MP3)を利用した。
【0150】
実験結果、RNA抽出時のタバコモザイクウイルス粒子の適正濃度は2×108copy/20μlである。従って、精製(Prep)段階で200μlの1×107copyのタバコモザイクウイルス粒子を検体試料200μlと交ぜることが好ましい。また、TMVインターナルコントロールを増幅するためのプライマー、プローブセットは、1番(MP1)がより効率性が高いことを確認した。
【0151】
また、これを同じ新種インフルエンザ検体試料に対する既存のインターナルコントロールの反応結果と比較すると、タバコモザイクウイルスを検体試料とともに抽出、反応させたにも関わらず、新種インフルエンザRNAテンプレートの増幅に影響を与えず、植物性インターナルコントロールの増幅が独立的になされたことを確認し、結果が良好であることを確認した。さらに、既存のバイオニア社で診断キットに使用していたインターナルコントロールに比べ、蛍光値がより高く出て、反応強度が高いということを確認した。
【0152】
また、定量的分析が可能であるかを確認するために、タバコモザイクウイルス粒子を102〜108copy/reaction濃度で夫々使用し、核酸分離精製装置でRNAを抽出して、核酸増幅器でリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を実施した。
【0153】
その結果、102〜108copy/reaction濃度を適用したTMV粒子は、最低103コピーまで検出が可能であった(図6)、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、勾配は−0.28、R2値は1であった(図6)。ここで、R2はリアルタイム重合酵素連鎖反応の標準グラフで、グラフの直線性を示す相関係数であり、1に近いほど(直線に近いほど)、重合酵素連鎖反応(PCR)がまともに進行されたことを意味する。TMV RNAで標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応を実施した標準グラフと比較すると、タバコモザイクウイルス粒子の濃度はRNA抽出後に1/10程度に減少される傾向があるが、濃度毎に一定の間隔を有して標準グラフを示すため、定量的分析が可能であるということを確認した。
【0154】
(3)互いに異なる4種の核酸(DNA/RNA)を利用したリアルタイム重合酵素連鎖反応
多様な生物学的試料から分離精製された互いに異なる種類のターゲット核酸を、同時に検出及び診断することが可能であるかを確認した。本発明のリアルタイム核酸分析統合システム内に構成されている核酸増幅器としてはExicyclerTM Quantitative Thermal Block(バイオニア社製、韓国)を使用し、バイオニア社の診断キットを用いた。リアルタイム重合酵素連鎖反応に使用された診断キットは、HBV Quantitative PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.HBV−1111)、HCV Quantitative RT−PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.HCV−1111)、New InfA(H1N1)Real−Time RT−PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.SIV−1111)、CT&NG Real−Time PCR Kit(バイオニア社製、Cat.No.STD2A−1111)の4種を使用した。
【0155】
HBV Quantitative PCR Kitは、B型肝炎の感染有無を確認するために、血清の検体試料から抽出されたHBV DNAを増幅して定量的な分析をすることができるように構成されたキットであり、10×PCR バッファー 5μl、wTfi polymerase 5U、dNTP 20mM 5μl、Thermostable Pyrophosphatase、PPi、安定化剤などの重合酵素連鎖反応(PCR)混合液と、HBV DNAのみを特異的に増幅するようにデザインしたプライマー及びプローブが凍結乾燥されている(表2)。
【0156】
CT&NG Real−Time PCR Kitは、性病の感染有無を確認するために、尿またはスワッブ検体試料から抽出されたCT(Chlamydia Trachomatis)DNAとNG(Neisseria gonorrhoeae)DNAを一つの反応チューブ内で同時に増幅するキットであり、HBV診断キットと同一の重合酵素連鎖反応(PCR)混合液を含み、CT DNAまたはNG DNAのみを特異的に増幅するようにデザインされたプライマー及びプローブが凍結乾燥されている(表2)。
【0157】
前記の二つのキットは、ターゲットとしてDNAを増幅するという類似点を有するが、HBV診断キットの場合には血清から抽出したウイルスDNAを単一増幅し、CT&NG診断キットの場合には小便から抽出したCTとNGの二つの種類のバクテリアDNAを一度に同時増幅するという差異を有しており、HBV診断キットの場合はDNAの定量的分析のために、CT&NGキットの場合はDNAの定性的分析のために考案されたものであるという差がある。
【0158】
【表2】
【0159】
C型肝炎の感染有無を診断するために開発されたHCV Quantitative RT−PCR Kitは、血清から抽出した核酸を増幅し、定量的に分析することができるという点でHBV診断キットと類似するが、HBV診断キットの場合はウイルスDNAを増幅し、HCV診断キットの場合はウイルスRNAを逆転写重合酵素連鎖反応(RT−PCR)によって増幅するという差異を有する。
【0160】
新種インフルエンザの感染有無を診断するために最近開発されたNew InfA(H1N1)Real−Time RT−PCR Kitは、RNAターゲットを増幅するという点でHCV診断キットと類似するが、血清でなく呼吸器の検体からRNAを抽出するという差異があり、定量分析が可能であるHCV診断キットと異なって、定性分析のために考案されたものであるという差がある。RNA逆転写重合酵素連鎖反応のためのHCV診断キット、またはNew InfA(H1N1)診断キットには、具体的に10×RT バッファー 5μl、MMLV 600U、wTfi 5 unit、dNTP 20mM 3μl、DTT 50mM、RNasin 15U、安定化剤などのRT−PCR混合液と、HCV RNAまたはNew InfA(H1N1)RNAを選択的に増幅するようにデザインされたプライマー及びプローブ、が凍結乾燥されている(表2)。各診断キットに含まれたプライマー及びプローブは、55℃〜57℃の範囲で類似のTm値を有するようにデザインされており、互いに異なる4種のキットも同時に重合酵素連鎖反応を進行することが可能である。
【0161】
前記の4種のキットを利用したリアルタイム重合酵素連鎖反応、または逆転写重合酵素連鎖反応を核酸増幅器で同時に進行するために、まず、各キットの乾燥重合酵素連鎖反応(PCR)混合物にテンプレートDNAまたはRNA 5μl、インターナルコントロール用(内部対照群、IPC)DNAまたはRNA 1μl、蒸溜水44μlを入れて、総容量が50μlになるように混合した。テンプレートDNAまたはRNAは、各ターゲットの特定部位をアライメント(alignment)過程によって選択した後、遺伝子合成法(NBiochem.Biophys.Res.Commun.1998,248,200−203)を利用してバイオニア社で合成し、pGEM−T−Easy Vector(Promega社、米国)によりクローニングしたものである。
【0162】
一つのリアルタイム核酸増幅器(ExicyclerTM、バイオニア社)の温度循環ブロックに、総容量50μlに混合されたHBV、HCV、CT&NG、New InfA(H1N1)診断キットを装着し、装着された領域と合うようにソフトウェアプログラム上で列及びウェルを設定し、重合酵素連鎖反応条件は45℃で15分間逆転写反応を進行し、95℃で5分間変性過程を経た後、95℃で5秒、55℃で5秒ずつ45サイクルでプログラムを設定して、一度に反応させた。HBV診断キットとHCV診断キットの場合、定量的分析のために、テンプレートDNA101〜107copy/reaction濃度を夫々使用し、CT&NG診断キットとNew InfA(H1N1)診断キットの場合、定性分析のためのポジティブコントロールテンプレートDNAまたはRNAの一つの濃度のみを使用した。
【0163】
インターナルコントロール用DNAまたはRNAは、テンプレートDNAまたはRNAの増幅に何の影響を与えることなく、独立的に増幅がなされるように考案された遺伝子であり、テンプレートDNAまたはRNA増幅が全くなされていないネガティブコントロール結果から、インターナルコントロールDNAまたはRNAの増幅がまともになされたか否かを確認することにより、重合酵素連鎖反応には何らの問題もないということを検証するために用いられる。
【0164】
その結果、定量的分析のために101〜107copy/reaction濃度を適用したHBV診断キットのテンプレートDNAは、最低10コピーまで検出が可能であった(図8)。また、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成すた時、勾配は−0.28、R2値は0.9997であった(図9)。ここで、R2は、リアルタイム重合酵素連鎖反応の標準グラフで、グラフの直線性を示す相関係数であり、1に近いほど(直線に近いほど)、重合酵素連鎖反応(PCR)がまともに進行されたことを意味する。HCV診断キットの場合にも、最低10コピーまでテンプレートRNAの検出が可能であった(図10)。また、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、勾配は−0.29、R2値は0.9998であった(図11)。前記結果から、RNAとDNAの差に関わらず、一つのリアルタイム核酸増幅器で重合酵素連鎖反応を同時に進行することができるという点を確認した。
【0165】
定性的分析のために考案されたCT&NG診断キットの場合にも、定量分析キットであるHBV、HCV診断キットと重合酵素連鎖反応を同時に進行した場合、CTポジティブコントロールDNA、NGポジティブコントロールDNA及びインターナルコントロール用DNAの全てが正常に増幅された。検出可能限界を確認するために、101〜107copy/reaction濃度のCT及びNGテンプレートDNAを準備して反応を進行した結果、CT及びNGの全て10コピー検出が可能であるということを確認し、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、CTの勾配は−0.28、R2値は0.9997であり、NGの勾配は−0.30、R2値は0.9996であった。
【0166】
CT&NGキットと類似の方法でNew InfA(H1N1)キットを適用した場合にも、ポジティブコントロールRNAが正常に増幅されることが確認された。検出可能限界を確認するために、101〜107copy/reaction濃度のNew InfA(H1N1)テンプレートRNAを準備して反応を進行した結果、10コピーが検出可能であることを確認し、標準テンプレートリアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応の標準グラフを作成した時、勾配は−0.28、R2値は0.9996であった。これにより、定量的分析または定性的分析のために考案されたキットでも、重合酵素連鎖反応を同時に進行することができるという点が確認された。
【0167】
前記の実験結果から、リアルタイム核酸分析統合システム内に構成されている一つのリアルタイム核酸増幅器を使用して、重合酵素連鎖反応及び逆転写重合酵素連鎖反応を進行するにあたり、定量分析及び定性分析のために考案された互いに異なる4種の診断キットを利用しても、血清、尿、呼吸器などの互いに異なる検体から抽出されたDNA及びRNAを同一の条件で同時に増幅することができることが確認された。
【符号の説明】
【0168】
100 自動精製分注装置
200 リアルタイム核酸増幅器
300 ディスプレイ部
400 保存データベース装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多様な種類の生物学的試料に相応するターゲット核酸の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置であって、
ターゲット核酸を含む多様な生物学的試料からターゲット核酸を分離精製する、多数の自動精製分注装置100と、
マルチウェル温度循環ブロック210を含み、前記多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なるターゲット核酸の量をリアルタイムで測定するリアルタイム核酸増幅器200と、を含み、
夫々の前記自動精製分注装置100毎に分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、前記リアルタイム核酸増幅器200の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存し、前記温度循環ブロックの同一の条件下で同時増幅を行って、夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析する増幅結果が、前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々の生物学的試料に相応するように統合的に管理する制御部と、
前記制御部の定性分析または定量分析の結果をリアルタイムで出力するディスプレイ部300と、
を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項2】
前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存するにあたり、陽性標準試料、陰性標準試料、または定量標準試料の情報をさらに保存することを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項3】
前記リアルタイム核酸増幅器200には、前記マルチウェル温度循環ブロック210に、多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なる核酸を含む診断キットが載置されることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項4】
前記マルチウェル温度循環ブロック210は、12列×8行のウェルからなる96ウェルの温度循環ブロックであることを特徴とする請求項3に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項5】
前記マルチウェル温度循環ブロック210には、列単位で選択的に測定項目が設定されることを特徴とする請求項4に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項6】
前記制御部は、夫々の前記自動精製分注装置100で多様な種類の生物学的試料とともにインターナルコントロール(IPC)を分離する場合、前記自動精製分注装置100による核酸分離の成功有無を前記リアルタイム核酸増幅器200での増幅産物から判断し、核酸分離の再遂行有無を決めることができることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200の同一の条件下での同時増幅により得られる夫々の生物学的試料のターゲット核酸のCt値を臨界Ct値と比較し、ターゲット核酸の存在有無を定性的に検出することを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200で同一の条件で既知の濃度の定量標準試料と夫々の生物学的試料を同時に増幅して得られる夫々のCt値を定量標準試料のCt値の定量グラフと比較し、ターゲット核酸の数を計算して試料内のターゲット核酸を定量的に決めることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項9】
前記自動精製分注装置100は、核酸を含む多様な生物学的試料とこれから核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジ、冷蔵ブロック、高温ブロック、廃液筒、ピペットカートリッジが備えられた基板上への移動が可能で、ピペットの装着及び脱着が可能であり、前記ピペットの磁場の印加または解除のための磁場印加手段を備えるピペットブロックを含み、前記自動精製分注装置100による夫々の標準試料及び生物学的試料の情報とターゲット核酸の情報が制御部に保存されることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項10】
前記リアルタイム核酸増幅器200は、温度が所定温度に変更されるマルチウェル温度循環ブロックと、前記温度循環ブロックに装着された反応チューブへ光を照射するための照射光源と、前記反応チューブから発生する光を受光するための蛍光検出センサと、を備え、前記設定された列毎に測定項目が設定されて保存されることを特徴とする請求項3に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項11】
前記リアルタイム核酸分析統合装置は、分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項12】
1)多数の自動精製分注装置100で、標準試料と核酸を含む多様な生物学的試料から各試料に含まれた核酸を分離精製した後、分離精製された溶液を核酸増幅反応混合物の反応チューブに加えて混合する段階と、
2)前記核酸増幅反応混合物の反応チューブが装着されるマルチウェル温度循環ブロック210と前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々のターゲット核酸が相応するように、マルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して、前記自動精製分注装置100で分離される標準試料と生物学的試料の情報を保存する段階と、
3)上記段階2)で保存されたリアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルの生物学的試料の情報に一致するように、段階1)で準備された反応チューブを各ウェルに装着する段階と、
4)前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210に装着された夫々のターゲット核酸を同一の条件下で同時に増幅して、多数の生物学的試料に対する夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析し、増幅結果を得る段階と、
を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項13】
前記1)段階は、自動精製分注装置100で生物学的試料にインターナルコントロール(internal positive control、IPC)を添加して核酸を分離し、前記増幅結果から、自動精製分注装置100でのターゲット核酸分離の成功有無と増幅効率を判断して、ターゲット核酸の検出の有効性を決めることを特徴とする請求項12に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項14】
前記1)段階において、前記核酸増幅反応混合物の反応チューブは、前記分離精製された核酸溶液を核酸増幅に必要な成分が乾燥された形態で含まれた反応チューブに加え、前記溶液と前記成分を混合することにより製造されることを特徴とする請求項12に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項15】
前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がRNAである場合、タバコモザイクウイルス粒子であることを特徴とする請求項13に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項16】
前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がDNAである場合、プラスミドDNAまたはPCR増幅産物であることを特徴とする請求項13に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項1】
多様な種類の生物学的試料に相応するターゲット核酸の定性分析または定量分析を同時に行うリアルタイム核酸分析統合装置であって、
ターゲット核酸を含む多様な生物学的試料からターゲット核酸を分離精製する、多数の自動精製分注装置100と、
マルチウェル温度循環ブロック210を含み、前記多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なるターゲット核酸の量をリアルタイムで測定するリアルタイム核酸増幅器200と、を含み、
夫々の前記自動精製分注装置100毎に分離精製される互いに異なるターゲット核酸の種類に相応するように、前記リアルタイム核酸増幅器200の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存し、前記温度循環ブロックの同一の条件下で同時増幅を行って、夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析する増幅結果が、前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々の生物学的試料に相応するように統合的に管理する制御部と、
前記制御部の定性分析または定量分析の結果をリアルタイムで出力するディスプレイ部300と、
を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項2】
前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210上のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記自動精製分注装置100による生物学的試料の情報を、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して保存するにあたり、陽性標準試料、陰性標準試料、または定量標準試料の情報をさらに保存することを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項3】
前記リアルタイム核酸増幅器200には、前記マルチウェル温度循環ブロック210に、多数の自動精製分注装置100から得られた互いに異なる核酸を含む診断キットが載置されることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項4】
前記マルチウェル温度循環ブロック210は、12列×8行のウェルからなる96ウェルの温度循環ブロックであることを特徴とする請求項3に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項5】
前記マルチウェル温度循環ブロック210には、列単位で選択的に測定項目が設定されることを特徴とする請求項4に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項6】
前記制御部は、夫々の前記自動精製分注装置100で多様な種類の生物学的試料とともにインターナルコントロール(IPC)を分離する場合、前記自動精製分注装置100による核酸分離の成功有無を前記リアルタイム核酸増幅器200での増幅産物から判断し、核酸分離の再遂行有無を決めることができることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200の同一の条件下での同時増幅により得られる夫々の生物学的試料のターゲット核酸のCt値を臨界Ct値と比較し、ターゲット核酸の存在有無を定性的に検出することを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記リアルタイム核酸増幅器200で同一の条件で既知の濃度の定量標準試料と夫々の生物学的試料を同時に増幅して得られる夫々のCt値を定量標準試料のCt値の定量グラフと比較し、ターゲット核酸の数を計算して試料内のターゲット核酸を定量的に決めることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項9】
前記自動精製分注装置100は、核酸を含む多様な生物学的試料とこれから核酸を抽出するために用いられるバッファーが含まれているカートリッジ、冷蔵ブロック、高温ブロック、廃液筒、ピペットカートリッジが備えられた基板上への移動が可能で、ピペットの装着及び脱着が可能であり、前記ピペットの磁場の印加または解除のための磁場印加手段を備えるピペットブロックを含み、前記自動精製分注装置100による夫々の標準試料及び生物学的試料の情報とターゲット核酸の情報が制御部に保存されることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項10】
前記リアルタイム核酸増幅器200は、温度が所定温度に変更されるマルチウェル温度循環ブロックと、前記温度循環ブロックに装着された反応チューブへ光を照射するための照射光源と、前記反応チューブから発生する光を受光するための蛍光検出センサと、を備え、前記設定された列毎に測定項目が設定されて保存されることを特徴とする請求項3に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項11】
前記リアルタイム核酸分析統合装置は、分析結果を保存する保存データベース装置400をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム核酸分析統合装置。
【請求項12】
1)多数の自動精製分注装置100で、標準試料と核酸を含む多様な生物学的試料から各試料に含まれた核酸を分離精製した後、分離精製された溶液を核酸増幅反応混合物の反応チューブに加えて混合する段階と、
2)前記核酸増幅反応混合物の反応チューブが装着されるマルチウェル温度循環ブロック210と前記自動精製分注装置100で分離精製される夫々のターゲット核酸が相応するように、マルチウェル温度循環ブロック210のマルチウェルをターゲット核酸の種類によって列単位で設定し、前記列単位で設定された夫々のウェルに対応して、前記自動精製分注装置100で分離される標準試料と生物学的試料の情報を保存する段階と、
3)上記段階2)で保存されたリアルタイム核酸増幅器のマルチウェル温度循環ブロック210の各ウェルの生物学的試料の情報に一致するように、段階1)で準備された反応チューブを各ウェルに装着する段階と、
4)前記リアルタイム核酸増幅器の温度循環ブロック210に装着された夫々のターゲット核酸を同一の条件下で同時に増幅して、多数の生物学的試料に対する夫々のターゲット核酸を定性分析または定量分析し、増幅結果を得る段階と、
を含むことを特徴とするリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項13】
前記1)段階は、自動精製分注装置100で生物学的試料にインターナルコントロール(internal positive control、IPC)を添加して核酸を分離し、前記増幅結果から、自動精製分注装置100でのターゲット核酸分離の成功有無と増幅効率を判断して、ターゲット核酸の検出の有効性を決めることを特徴とする請求項12に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項14】
前記1)段階において、前記核酸増幅反応混合物の反応チューブは、前記分離精製された核酸溶液を核酸増幅に必要な成分が乾燥された形態で含まれた反応チューブに加え、前記溶液と前記成分を混合することにより製造されることを特徴とする請求項12に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項15】
前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がRNAである場合、タバコモザイクウイルス粒子であることを特徴とする請求項13に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【請求項16】
前記インターナルコントロールは、ターゲット核酸がDNAである場合、プラスミドDNAまたはPCR増幅産物であることを特徴とする請求項13に記載のリアルタイム核酸分析統合装置を利用したターゲット核酸の検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−523820(P2012−523820A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553957(P2011−553957)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001530
【国際公開番号】WO2010/104345
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(502235773)バイオニア コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001530
【国際公開番号】WO2010/104345
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(502235773)バイオニア コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】
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