説明

リクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステム

【課題】本発明は、リクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムに関し、不特定の利用者に対して歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として正確かつ容易に報知可能とさせることを目的とする。
【解決手段】パーソナル曲目取得手段52Aが利用者DBよりそれぞれの利用者IDに基づいてパーソナル曲目を取得し、また、リクエスト楽曲登録手段38Aが所定の利用者に不特定の利用者へのリクエスト楽曲を登録させてリクエスト楽曲登録リスト57を作成し、リクエスト曲目対象者別特定手段51が、利用者別に、上記取得したパーソナル曲目のうちのリクエスト楽曲登録リスト57に存在する楽曲を抽出してリクエストリスト55Bを選曲可能に作成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の利用者がリクエストする楽曲を歌唱可能な利用者に報知するリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケ施設や飲食店でカラオケシステムを利用するに際して、自ら歌唱するほかに、好みの楽曲を他者の歌唱で聴きたい場合もある。このような場合に、他人にはリクエストし難く、仮にリクエストする場合であっても、また一方で知人に気安くリクエストする場合であってもリクエスト曲を口頭で伝えようとしてもカラオケ利用中の大音響の中で正確に伝わらないことがあると共に、また、直接楽曲を検索しようとしてもリクエスト曲を正確に記憶していない場合には正確にリクエストできないこともある。そのため、歌唱してもらいたいリクエスト曲を正確かつ容易に報知できることが望まれ、一方で当該リクエスト曲を歌唱する利用者が歌唱可能であることが必要である。
【0003】
従来、カラオケシステムにおいて、他者へのリクエスト楽曲であっても歌唱対象の楽曲を予め登録しておく必要がある。カラオケシステムにおけるリクエスト曲報知の文献等は不知であり、楽曲の予約登録に関する技術は以下の特許文献で開示されている。特許文献1は、携帯電話等の利用者情報端末に歌唱対象の楽曲のリストを入力し、カラオケ装置との通信により当該利用者情報端末から曲目リストをアップロードして登録することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、デュエット曲を予め登録しておくものとして、利用者IDに紐付けてデュエット曲の楽曲コード毎に合唱相手のIDを所定数登録し、合唱相手が当該楽曲を歌唱した場合には録音しておくことで、合唱相手が同席していなくとも当該デュエット曲を合唱相手の録音再生で歌唱できることが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3588594号公報(特開2002−287775号公報)
【特許文献2】特開2006−208961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2を、他者に歌唱してもらいたいリクエスト曲を報知する場合に適用しても、上記特許文献1で開示されているものは登録した本人が歌唱するものであるから、他者がリクエスト曲を歌唱できない場合もあり、また、リクエストされているかどうかも知ることができず、結局口頭で伝えるか、リクエストする利用者に対して楽曲検索により指定せざるを得ない。
【0007】
また、上記特許文献2においても、対応楽曲について合唱相手が予め録音しておくことを前提としていることから、合唱相手は歌唱経験があるものの、自分がリクエスト曲の歌唱対象とされているかどうかを知ることができず、結局口頭で伝えるか、リクエストする利用者に対して楽曲検索により指定せざるを得ない。
【0008】
すなわち、何れの特許文献においても、リクエスト曲を口頭で伝えようとしてもカラオケ利用中の大音響の中で正確に伝わらないこともあり、また、直接楽曲を検索しようとしてもリクエスト曲を正確に記憶していない場合には正確にリクエストできないこともあるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、不特定の利用者に対して歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として正確かつ容易に報知可能なリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、利用者IDに関連付けられた利用者情報中に所定のパーソナル曲目が記憶される利用者データベースを備え、所定の利用者から不特定の利用者へのリクエスト曲を報知するリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムであって、利用者ID取得部、パーソナル曲目取得手段、リクエスト楽曲登録手段、リクエスト曲目利用者別特定手段を有するものであり、前記利用者ID取得部は、利用者より利用者IDを取得し、前記パーソナル曲目取得手段は、前記取得したそれぞれの利用者IDに基づいて、少なくとも、前記利用者データベースより前記パーソナル曲目を取得し、前記リクエスト楽曲登録手段は、所定の利用者に不特定の利用者へのリクエスト楽曲を登録させて登録リクエスト楽曲リストを作成し、前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、利用者別に、前記取得したパーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する、構成とする。
【0011】
請求項2〜4の発明では、「前記利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させ、前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、前記パーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、前記歌唱採点が所定基準値以上の楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する」構成であり、
「前記利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させ、前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、前記パーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、対象とされる楽曲が利用者間で重複する場合に前記歌唱採点が最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する」構成であり、
「前記利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させ、前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、前記パーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、前記歌唱採点が所定基準値以上であり、かつ、対象とされる楽曲が利用者間で重複する場合に最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する」構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、利用者データベースよりそれぞれの利用者IDに基づいてパーソナル曲目を取得し、また、所定の利用者に不特定の利用者へのリクエスト楽曲を登録させて登録リクエスト楽曲リストを作成し、利用者別に、上記取得したパーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する構成とすることにより、不特定の利用者に対して歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として正確かつ容易に報知させることができるものである。
【0013】
請求項2の発明によれば、利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させておき、パーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、当該歌唱採点が所定基準値以上の楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する構成とすることにより、歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として歌唱能力の高い不特定の利用者に対して正確かつ容易に報知させることができるものである。
【0014】
請求項3の発明によれば、利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させておき、パーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、対象とされる楽曲が利用者間で重複する場合に歌唱採点が最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する構成とすることにより、不特定の利用者に対して歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として重複を回避させて正確かつ容易に報知させることができるものである。
【0015】
請求項4の発明によれば、利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させておき、パーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、歌唱採点が所定基準値以上であり、かつ、対象とされる楽曲が利用者間で重複する場合に最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する構成とすることにより、歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として重複を回避させて歌唱能力の高い不特定の利用者に対して正確かつ容易に報知させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係るカラオケシステムの系統構成図を示す。図1(A)は通信ネットワークを使用して本システムを構成させた場合のネットワーク模式図、図1(B)はホスト装置の概要ブロック構成図、図1(C)は利用者データベースの説明図である。
【0017】
図1(A)において、ホスト装置11はカラオケシステムの一部を構成するものとして、通信ネットワーク12を介して所定数のカラオケ演奏端末13(13A〜13N)を管理するものであり、相互にデータ授受自在に接続されたものである。上記通信ネットワーク12としては、例えば、一般公衆電話回線やこれを用いたADSLや光通信回線或いはインターネット、さらにはLANがあるが、インターネット上に構築されるVPNが好ましい。
【0018】
ホスト装置11は、図1(B)に示すように、少なくとも送受信手段21、制御手段22及び利用者データベース(DB)23を備え、当該利用者DB23は利用者毎の利用者情報を備える。上記送受信手段21は、各カラオケ演奏端末13(13A〜13N)との通信(データ授受)を行うために、通信ネットワーク12の通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成される。
【0019】
上記制御手段22は、当該ホスト装置11を統括的に制御するもので、例えば物理的なCPUであり、図示しないROMに格納されているプログラムのアルゴリズム処理を行う。ここでは、所定のカラオケ演奏端末13より利用者IDに基づいて利用者情報が要求されたときに、利用者DB23より当該利用者IDに関連付けられた基本的な情報等を当該カラオケ演奏端末13に送出する。
【0020】
上記利用者DB23は、図1(C)に示すように、利用者毎に所定の情報が登録されたデータベースであり、例えば氏名、住所、ニックネーム、登録者の顔写真等のイメージファイル名などの利用者基本情報の他に、パーソナル曲目として楽曲ID、歌唱採点値が登録されているものである。当該パーソナル曲目は、歌唱の有無に拘わらず利用者自身が登録した楽曲や、過去に歌唱した楽曲ID、及びその歌唱採点値の情報を含む概念であり、ここでは歌唱履歴の楽曲ID及び歌唱採点値の情報として説明する。
【0021】
続いて、図2に、本発明のカラオケシステムに係るカラオケ演奏端末のブロック構成図を示す。図2に示すカラオケ演奏端末13は、主要装置としてのカラオケ演奏装置31に有線又は無線で外部接続されるものとして、表示部32、ミキシングアンプ33、マイク34、スピーカ35を備える。また、有線又は無線で遠隔入出力端末36が接続され、当該遠隔入出力端末36は、図示しない主要構成の他に楽曲検索手段37、リクエスト楽曲登録手段38A、リクエスト楽曲選曲手段38B、利用者ID取得部39及び端末表示部40を備える。
【0022】
上記表示部32は、通常の楽曲選曲表示やカラオケ演奏時の映像、歌詞テロップを表示するもので、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、その他種々のディスプレイを採用することができる。上記ミキシングアンプ33は、カラオケ演奏装置31より送られてくる演奏データとマイク34からの音声信号をミキシングし、増幅してスピーカ35より出力する。
【0023】
上記遠隔入出力端末36は、ユーザインタフェース機能を備えて対応のカラオケ演奏装置31(後述の送受信部53A)に対して有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース(登録商標)機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、そのための回路基板及びプログラムを備える。上記ユーザインタフェース機能としては、端末表示部40としての液晶ディスプレイ(LCD)とタッチセンサとを積層して入出力用とし、表示されるアイコン等に対応して当該タッチセンサにより楽曲の選択などのデータを入力することができるGUIである。
【0024】
また、遠隔入出力端末36の備える上記楽曲検索手段37は、上記ユーザインタフェース機能により利用者に楽曲を検索させるプログラムである。遠隔入出力端末36の備える上記リクエスト楽曲登録手段38Aは、所定の利用者に不特定の利用者へのリクエスト楽曲を登録させて登録リクエスト楽曲リストを作成して、後述のカラオケ演奏装置31のRAM44の登録リクエスト楽曲リスト57として記憶させるためのプログラムである(図3で詳述する)。
【0025】
遠隔入出力端末36の備える上記リクエスト楽曲選曲手段38Bは、後述のカラオケ演奏装置31におけるリクエスト曲目利用者別特定手段51が作成してRAM44の利用者別情報記憶部55に記憶したリクエストリスト55Bが端末表示部40に表示されて利用者に選曲可能とさせるプログラムである(図6等で説明する)。
【0026】
遠隔入出力端末36の備える上記利用者ID取得部39は、利用者のログイン要求で所持するICカード等が提示された時に、当該ICカード等から利用者IDを取得して、図示しないRAMに記憶させ、またカラオケ演奏装置31に送出する。なお、利用者ID取得部39を、カラオケ演奏装置31に備えさせてもよい。
【0027】
上記カラオケ演奏装置31は、バス41、中央制御部42、ROM43、RAM44、楽曲DB45、映像DB46、再生制御部47、A/D変換部48、音楽曲出力部49、採点処理手段50、リクエスト曲目利用者別特定手段51、パーソナル曲目取得手段52Aを備える利用者情報取得手段52、送受信部53A,53B及び演奏ログ処理手段54を適宜備える。また、RAM44には、所定の利用者IDに関連付けられた他の利用者からのパーソナル曲目55A及びリクエストリスト55Bを含む利用者別情報記憶部55、予約待ち行列56、登録リクエスト楽曲リスト57及び演奏ログ記憶部58の領域が形成される。なお、上記各構成について、本発明の要旨と直接関連しない要素部分であっても、従前のカラオケ装置においても大部分が適用可能であることを示すために、装置全体を説明する。
【0028】
中央制御部42は、このシステムを統括的に処理制御する物理的なCPUであり、ROM43に記憶されているプログラムに基づくアルゴリズム処理を行う。上記RAM44は、後述する利用者別情報記憶部55、予約待ち行列56及び演奏ログ記憶部58の領域が形成される他に、上記種々のプログラムを展開、実行させるための作業領域としての役割をなすもので、例えば半導体メモリで構成され、仮想的にハードディスク上に構築される場合をも含む概念である。
【0029】
上記楽曲DB45は、楽曲ID、曲名及びアーチスト名が関連付けられた楽曲テーブルを有し、楽曲IDで管理される所定データ形式のカラオケ楽曲の演奏データ(MIDIデータ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データ(ファイル)について楽曲コードをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースであり、映像DB46に格納された当該楽曲毎の背景映像を表示するための所定数のシーン映像を割り当てる割当データが関連付けられる。当該映像DB46は、背景映像表示のための所定数のシーン映像データを所定数格納するデータベースである。なお、この楽曲DB45及び映像DB46を、カラオケ演奏装置31ではなく、上記ホスト装置11に備えさせることとしてもよい。
【0030】
上記再生制御部47は、演奏時に、映像DB46より抽出された所定数のシーン映像データ及び楽曲コードで楽曲DB45より抽出された歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の演奏データに同期させて表示部32に出力する電子回路である。上記音楽曲出力部49は、楽曲コードで楽曲DB45より抽出された演奏データをデジタル再生し、アナログ変換してミキシングアンプ33に出力する電子回路である。
【0031】
上記採点処理手段50は、任意の楽曲を歌唱した際の前記入力した歌唱音声に基づき、当該楽曲における所定の歌唱区間の歌唱による歌唱採点を算出するプログラムである。ここで、歌唱区間とは、1フレーズ単位、数フレーズ単位若しくは歌詞1文字を含む所定歌詞文字数毎をいい、任意に設定することができる。例えば採点テーブルを備え、選択された楽曲元データに基づいて音楽曲出力部49でデジタル再生された楽曲の主旋律のピッチ基準条件と、マイク34より入力されてくる歌唱データをA/D変換部48でデジタル変換したデジタル歌唱データから抽出した歌唱ピッチとを上記採点テーブルを参照して比較し、これを例えば1小節ごとの区間毎の比較した結果の得点として例えば平均することにより採点結果とするものである。
【0032】
上記リクエスト曲目利用者別特定手段51は、利用者別に、上記取得したパーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リスト57(図3で説明する)に存在する楽曲を抽出してリストを選曲可能に作成し、RAM44の利用者別情報記憶部55にリクエストリスト55Bとして記憶させるプログラムである。また、リクエスト曲目利用者別特定手段51は、利用者別のリクエストリスト55Bに、利用者間で重複しているものがあって何れかの利用者が選曲した場合には、当該選曲された楽曲は重複した利用者のリクエストリスト55Bより削除する機能をも備える(図5等で説明する)。なお、リクエスト曲目利用者別特定手段51は、図8〜図10で示すように、ホスト装置11より送出されてきたパーソナル曲目(楽曲ID、歌唱採点値)のうち、所定の条件における曲目を抽出するプログラムをも備える。
【0033】
上記利用者情報取得手段52は、遠隔入出力端末36より送信されてきた利用者IDに基づき後述の送受信部53B、通信ネットワーク12を介してホスト装置11の利用者DB23より利用者情報を取得し、当該利用者IDに関連付けて後述のRAM44の利用者別情報記憶部55に記憶させるプログラムである。利用者情報とは、例えば図1(C)で示すニックネーム、イメージ(顔写真等)の基本的利用者情報の他に、パーソナル曲目(楽曲ID、歌唱採点値)を附帯させたものである。なお、利用者別情報記憶部55に記憶させる情報を遠隔入出力端末36の図示しないRAMにも記憶させることとしてもよい。
【0034】
上記送受信部53Aは、遠隔入出力端末36との間で有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、そのための電子回路及びプログラムである。上記送受信部53Bは、上記ホスト装置11と上記通信ネットワーク12を介してデータ授受を行うためのもので、通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成されるものである。
【0035】
上記演奏ログ処理手段54は、利用者(利用者ID)がこのカラオケ演奏装置31で歌唱した楽曲ID、歌唱採点をRAM44の演奏ログ記憶部58に一旦記憶しておき、例えばその都度、若しくは当該利用者のログアウト時、若しくは所定期間毎(1日単位等)に利用者別情報記憶部55に記憶した対応の利用者IDの歌唱履歴(歌唱採点値を含む)を更新してホスト装置11に送出し、当該利用者DB23の内容を更新させるためのプログラムである。なお、上記演奏ログ記憶部58に記憶させる演奏ログを、遠隔入出力端末36の図示しないRAMにも記憶させることとしてもよい。
【0036】
なお、RAM44に形成される予約待ち行列56は、中央制御部42が利用者により選曲された楽曲IDを予約順に記憶させていくデータであり、選曲した利用者の情報を附帯させて記憶させてもよい。
【0037】
また、図示しないが、当該カラオケ演奏装置31には、利用者が楽曲番号を直接入力したり、演奏楽曲のテンポや、歌唱音声に対する種々の調節を行うためのボタンやツマミ類が可変抵抗器等の電子素子に直結された操作パネルも接続される。ところで、カラオケ演奏端末13をスタンドアローンのカラオケシステムとして適用させる場合には上記利用者DB23を備えさせる構成とすることにより実現することができるものである。
【0038】
ここで、図3に、図2のカラオケ演奏端末における登録リクエスト楽曲リストの説明図を示す。図3に示す登録リクエスト楽曲リスト57は、上述のように遠隔入出力端末36のリクエスト楽曲登録手段38Aが、所定の利用者が不特定の利用者に対してリクエストした楽曲をリストとして作成するもので、リクエスト楽曲選曲手段38Bによってリクエストされた楽曲IDに選曲状態のフラグ(図では、「○」、「×」として説明する)が附帯されるものである。この選曲状態は、「○」が選曲可能な楽曲を意味し、「×」は既に予約待ち行列56に登録されて選曲不能な楽曲を意味する。
【0039】
すなわち、リクエスト楽曲選曲手段38Bは、選曲されて予約待ち行列56に登録されたリクエスト楽曲を選曲不能(「×」)に変更し、RAM44に記憶された登録リクエスト楽曲リスト57をその都度更新する。なお、中央制御部42が、予約待ち行列56に登録されたリクエスト楽曲が演奏されると、当該登録リクエスト楽曲リスト57より当該楽曲(楽曲ID、選曲状態フラグ)を削除するもので、当該演奏毎にRAM44に記憶された登録リクエスト楽曲リスト57をその都度更新するものである。
【0040】
そこで、図4に図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエスト楽曲報知処理の第1実施形態の処理フローチャートを示し、図5に図4における対象者別リクエストリストの説明図、図6に図4における作成した対象者別リクエストリストの表示形態の説明図、図7に図4における選曲後の対象者別リクエストリスト及び登録リクエスト楽曲リストの説明図を示す。ここでは、所定の利用者より不特定の利用者に対してリクエスト楽曲が登録され、図3に示す登録リクエスト楽曲リスト57がRAM44に記憶されていることを前提としている。
【0041】
図4(A)はリクエスト曲目対象者別特定手段57によるリクエストリストの作成を示したもので、図4(B)は遠隔入出力端末36のリクエスト楽曲選曲手段38Bによる選曲等を示したものである。
【0042】
図4(A)において、リクエスト曲目利用者別特定手段51が、利用者別に、RAM44の利用者別情報記憶部55のパーソナル曲目55Aを参照して、登録リクエスト楽曲リスト57に存在するリクエスト楽曲を抽出し(ステップ(S)1)、利用者別に、抽出された楽曲で選曲可能にリクエストリスト55Bを作成してRAM44に記憶するものである(S2)。
【0043】
例えば、図5に示すように、利用者A〜利用者Cがシステムログインし、各利用者のパーソナル曲目(ここでは、楽曲IDのみで充分である)55AがRAM44の利用者別情報記憶部55に記憶されているものとした場合、利用者別のパーソナル曲目の楽曲のうち、図3に示すような登録リクエスト楽曲リスト57に存在する楽曲を抽出してそれぞれのリクエストリスト55Bが作成されて記憶される。図では、例えば利用者Aのリクエストリスト55Bは「***a」、「***d」が抽出され、利用者Bのリクエストリスト55Bは「***a」、「***f」、「***g」が抽出され、利用者Cのリクエストリスト55Bは「***a」、「***b」、「***i」、「***h」が抽出された場合として示している。
【0044】
そこで、図4(B)において、所定の利用者による自己の利用者別リクエストリストの表示要求があると、これに応じてリクエスト楽曲選曲手段38Bが、上記作成された当該利用者のリクエストリスト55Bを端末表示部40に表示する(S11)。例えば、図6に示すように、利用者Aより表示要求があった場合、利用者Aの個別楽曲リストとして、タブ形式のパーソナル曲目、リクエストリストが選択的に表示され、リクエストリストのタブにおいて他者からのリクエスト楽曲(「***a」、「***d」)が選曲可能に表示されるものである。
【0045】
そして、表示された自己のリクエストリスト55Bからの所定楽曲(例えば、「***a」)について選曲されると、リクエスト楽曲選曲手段38Bは当該楽曲をカラオケ演奏装置31に送信してRAM44の予約待ち行列56に登録すると共に、全部の利用者別リクエストリスト55Bから当該予約登録された楽曲を削除し、また、登録リクエスト楽曲リスト57の当該楽曲に対する選曲状態を選曲不能状態に変更して更新する(S12)。
【0046】
例えば、楽曲「***a」が選曲された場合、図7(A)に示すように、利用者A〜Bの全部の利用者別リクエストリスト55Bより楽曲「***a」が削除され、また、図7(B)に示すように、登録リクエスト楽曲リスト57の楽曲「***a」に対する選曲状態を折曲不能状態「×」に変更して更新する。
【0047】
そして、中央制御部42が予約待ち行列56にしたがって予約待ち順に演奏を開始させ、当該楽曲「***a」が演奏されると(S13)、演奏された楽曲「***a」を当該当該予約待ち行列56より削除すると共に、図7(C)に示すように、登録リクエスト楽曲リスト57より当該楽曲「***a」を削除するものである(S14)。
【0048】
このように、不特定の利用者に対して歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として正確かつ容易に報知させることができるものである。
【0049】
次に、図8に、図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエストリスト作成の第2実施形態の説明図を示す。図8(A)において、カラオケ演奏装置31のリクエスト曲目利用者別特定手段51が基準値クリア判定手段61を備えるもので、当該基準値クリア判定手段61は、基準値が予め設定されるもので、例えば「90点」に設定されているものとして説明する。
【0050】
そして、当該リクエスト曲目利用者別特定手段51は、利用者別にパーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リスト57に存在する楽曲を抽出するに際して、歌唱採点の採点値が基準値クリア判定手段61で設定された基準値(90点)以上の楽曲を抽出してリクエストリスト55Bを選曲可能に作成するものである。
【0051】
例えば、図8(B)に示すように、利用者A〜Cの各パーソナル曲目55Aにおいて、登録リクエスト楽曲リスト57に存在し、かつ、歌唱採点値が90点以上の楽曲として、利用者Aのリクエストリスト55Bは「***a」、「***d」が抽出され、利用者Bのリクエストリスト55Bは「***a」、「***g」が抽出され、利用者Cのリクエストリスト55Bは「***a」、「***b」、「***h」が抽出されるものである。
【0052】
このように構成することにより、歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として歌唱能力の高い不特定の利用者に対して正確かつ容易に報知させることができるものである。
【0053】
次に、図9に、図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエストリスト作成の第3実施形態の説明図を示す。図9(A)において、カラオケ演奏装置31のリクエスト曲目利用者別特定手段51が最高値判断手段62を備えるもので、当該最高値判断手段62は、全部の利用者(A〜C)間における重複した楽曲の歌唱採点の採点値のうち、最高値の利用者から当該楽曲を判断するプログラムである。
【0054】
そして、当該リクエスト曲目利用者別特定手段51は、パーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リスト57に存在する楽曲を抽出するに際して、対象とされる楽曲が全部の利用者(A〜C)間で重複する場合に上記最高値判断手段62が判断した歌唱採点の最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリスト55Bを選曲可能に作成するものである。
【0055】
リクエスト曲目利用者別特定手段51において、例えば、図9(B)に示すように、利用者A〜Cの各パーソナル曲目55Aにおいて、登録リクエスト楽曲リスト57に存在する楽曲のうち、各利用者A〜Cで抽出された楽曲「***a」が重複したときに、最高値判断手段62が歌唱採点の最高値となる利用者Aの楽曲「***a」と判断することにより、登録リクエスト楽曲リスト57において当該楽曲「***a」については利用者Aから抽出対象とされるものである。
【0056】
このように構成することにより、不特定の利用者に対して歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として重複を回避させて正確かつ容易に報知させることができるものである。
【0057】
次に、図10に、図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエストリスト作成の第4実施形態の説明図を示す。図10(A)において、カラオケ演奏装置31のリクエスト曲目利用者別特定手段51が上述した基準値クリア判定手段61及び最高値判断手段62を備えるものである。
【0058】
そして、当該リクエスト曲目利用者別特定手段51は、利用者別にパーソナル曲目のうちの登録リクエスト楽曲リスト57に存在する楽曲を抽出するに際して、歌唱採点の採点値が基準値クリア判定手段61で設定された基準値(90点)以上であり、かつ、対象とされる楽曲が全部の利用者(A〜C)間で重複する場合に上記最高値判断手段62が判断した歌唱採点の最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリスト55Bを選曲可能に作成するものである。
【0059】
リクエスト曲目利用者別特定手段51において、例えば、図10(B)に示すように、利用者A〜Cの各パーソナル曲目55Aにおいて、登録リクエスト楽曲リスト57に存在し、かつ、歌唱採点値が90点以上の楽曲として、利用者Aのリクエストリスト55Bは「***a」、「***d」が抽出され、利用者Bのリクエストリスト55Bは「***a」、「***g」が抽出され、利用者Cのリクエストリスト55Bは「***a」、「***b」、「***h」が抽出され、そのうち、各利用者A〜C間で重複した楽曲「***a」に対して最高値判断手段62が歌唱採点の最高値となる利用者Aの楽曲「***a」と判断することにより、登録リクエスト楽曲リスト57において当該楽曲「***a」については利用者Aから抽出対象とされるものである。
【0060】
このように構成することにより、歌唱してもらいたい楽曲をリクエスト曲として重複を回避させて歌唱能力の高い不特定の利用者に対して正確かつ容易に報知させることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムは、カラオケの基本的機能を備えるカラオケ装置の分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るカラオケシステムの系統構成図である。
【図2】本発明のカラオケシステムに係るカラオケ演奏端末のブロック構成図である。
【図3】図2のカラオケ演奏端末における登録リクエスト楽曲リストの説明図である。
【図4】図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエスト楽曲報知処理の第1実施形態の処理フローチャートである。
【図5】図4における対象者別リクエストリストの説明図である。
【図6】図4における作成した対象者別リクエストリストの表示形態の説明図である。
【図7】図4における選曲後の対象者別リクエストリスト及び登録リクエスト楽曲リストの説明図である。
【図8】図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエストリスト作成の第2実施形態の説明図である。
【図9】図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエストリスト作成の第3実施形態の説明図である。
【図10】図2のカラオケ演奏端末におけるリクエスト曲目利用者別特定手段におけるリクエストリスト作成の第4実施形態の説明図である。
【符号の説明】
【0063】
11 ホスト装置
13 カラオケ演奏端末
23 利用者DB
31 カラオケ演奏装置
36 遠隔入出力端末
38A リクエスト楽曲登録手段
38B リクエスト楽曲選曲手段
50 採点処理手段
51 リクエスト曲目利用者別特定手段
55A パーソナル曲目
55B リクエストリスト
56 予約待ち行列
57 登録リクエスト楽曲リスト
61 基準値クリア判定手段
62 最高値判断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者IDに関連付けられた利用者情報中に所定のパーソナル曲目が記憶される利用者データベースを備え、所定の利用者から不特定の利用者へのリクエスト曲を報知するリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムであって、
利用者ID取得部、パーソナル曲目取得手段、リクエスト楽曲登録手段、リクエスト曲目利用者別特定手段を有するものであり、
前記利用者ID取得部は、利用者より利用者IDを取得し、
前記パーソナル曲目取得手段は、前記取得したそれぞれの利用者IDに基づいて、少なくとも、前記利用者データベースより前記パーソナル曲目を取得し、
前記リクエスト楽曲登録手段は、所定の利用者に不特定の利用者へのリクエスト楽曲を登録させて登録リクエスト楽曲リストを作成し、
前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、利用者別に、前記取得したパーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する、
ことを特徴とするリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステム。
【請求項2】
請求項1記載のリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムであって、
前記利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させ、
前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、前記パーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、前記歌唱採点が所定基準値以上の楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する、
ことを特徴とするリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステム。
【請求項3】
請求項1記載のリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムであって、
前記利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させ、
前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、前記パーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、対象とされる楽曲が利用者間で重複する場合に前記歌唱採点が最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する、
ことを特徴とするリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステム。
【請求項4】
請求項1記載のリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステムであって、
前記利用者データベースに記憶される利用者毎のパーソナル曲目に歌唱採点を附帯させ、
前記リクエスト曲目利用者別特定手段は、前記パーソナル曲目のうちの前記登録リクエスト楽曲リストに存在する楽曲を抽出するに際して、前記歌唱採点が所定基準値以上であり、かつ、対象とされる楽曲が利用者間で重複する場合に最高値の利用者から当該楽曲を抽出してリクエストリストを選曲可能に作成する、
ことを特徴とするリクエスト曲報知機能を備えるカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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