説明

リサイクル処理管理システムおよびリサイクル処理管理方法

【課題】 リサイクルの処理状況を逐次把握することができ、外部からデータの提示を求められた場合、即座に回答することができるリサイクル処理管理システムおよびリサイクル処理管理方法を提供する。
【解決手段】 処理対象物の入着から出荷に至るまでの一連の複数の処理を行うリサイクル処理工場に適用されるリサイクル処理管理システムにおいて、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施した際に、前記処理対象物に関する処理データを取得して、この取得された処理データを前記複数の処理のそれぞれが行われる度にデータベースに入力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、家電あるいは自動車等のリサイクルに関し、特にリサイクルの処理状況を逐次把握することができ、外部からデータの提示を求められた場合には即座に回答することが可能で、詳細なリサイクル率の算出やリサイクル工場の運転計画立案に役立つデータを提供することが可能なリサイクル処理管理システムおよびリサイクル処理管理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図16は、従来の自動車のリサイクル工場内の処理の流れの一例を示すフローチャートである。自動車のリサイクルにおいては、まずリサイクル工場に使用済みの自動車が搬入される(ステップS101)。その後、シュレッダー破砕処理が行われ(ステップS102)、更に風選処理(風力選別機)が行われる(ステップS103)。そして、シュレッダー破砕処理と風選処理にて発生したダストは、粉塵処理(サイクロン)に運ばれる(ステップS104)。
【0003】その後、廃棄物は、磁選処理(磁力選別機)によって、鉄と非鉄に選別される(ステップS105)。そして、鉄はリサイクル物として抽出される。その後、非鉄は、非鉄金属磁選処理によって、非鉄金属とシュレッダーダストに選別される(ステップS106)。そして、非鉄金属はリサイクル物として抽出されるが、シュレッダーダストは埋め立てられる(ステップS107)。
【0004】このような構成のリサイクル工場においては、上述のような複数の工程を経て、鉄、アルミや銅等の非鉄金属、ガラス、発砲ウレタン・繊維、樹脂・ゴム等が破砕選別物として抽出される。このうち、金属類を主体としてリサイクルが行われてきた。
【0005】そして従来は、リサイクル工場内のリサイクル処理状況について、他の機関から状況を尋ねられても報告する義務はなく、また、定期的な監査も実施されていなかった。そのため、どれくらいの量がリサイクル物として抽出されていたかデータとして記録されず、また、リサイクル率等も算出されていなかった。
【0006】また、一部データを取るようなリサイクル工場も存在していたが、データは長いスパンにて概略が集計され、例えばメーカーや機種別のデータとして細かく集計されてはいなかった。
【0007】さらに、従来の廃棄物処理では、廃棄物が誰の責任でどう処理されたかをマニフェスト伝票にて明らかにする方法が取られてきた。図17は、従来のマニフェスト伝票によるデータ管理及び提供方法の一例を示した説明図である。AないしD伝票の4枚つづりのマニフェスト伝票は、廃棄物の排出者が廃棄物の種類、名称、形状、数量、有害物の有無などのデータを記載し、廃棄物とともに収集・運搬業者に引き渡される。収集・運搬業者は、排出者から廃棄物の依頼を受けた時点でAないしD票にその日時を記入し、A票を排出者に戻す。
【0008】排出者はA票を控えとして保管する。B票ないしD票は廃棄物と共に、有用物の選別及び回収、エネルギーの回収、無害化、減容化、原材料への還元、埋立、海洋投棄などの最終処分に係る処理業者に引き渡される。処理業者は、収集・運搬業者から廃棄物を引き受けた時点でBないしD票に引き受け日時を記載し、収集・運搬業者にB票を戻す。
【0009】収集・運搬業者はB票を控えとして保管する。処理業者は廃棄物処理が完了した時点でCおよびD票にその日時を記載し、C票を控えとして保管し、D票を排出者に送付する。排出者は、D票を受け取った時点で廃棄物の処理が完了したことを確認できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来、各排出事業者は、県あるいは自治体に、産業廃棄物の処理の結果を報告することが義務づけられているものの、従来のマニフェスト伝票によるデータ管理および提供方法では、排出事業者はすべての処理が完了してD票が戻ってくるまでの間、依頼した廃棄物の処理経過を確認することができず、また、処理業者により行われる処理の全ての処理段階のデータを管理および提供することができないという問題があった。
【0011】近年、例えば2001年より「家電等再商品化法」(いわゆる家電リサイクル)の施行が予定されている。この家電リサイクル法においては、従来の廃棄物の処理の報告義務をより徹底し、国、自治体、排出者、小売業者等からリサイクル処理状況を聞かれた場合に、即座に回答する義務がある。そのため、リサイクル処理を行う処理業者等は逐次廃棄物の処理状況を把握することが必要である。
【0012】また、例えば廃棄物中の再利用可能な部品を取り出してメーカー側に返却するためにメーカーと連携してリサイクルを行うような場合、メーカー側が指定するある機種の指定台数を、指定された解体方法で解体して返却物を回収し、指定時期までに納入したり、あるいは粉砕・選別処理後に得られる例えばプラスチック等の有価物のメーカー要求量を指定時期までに納入する必要がある。これらのことを滞りなく処理するには、やはり逐次廃棄物の処理状況を把握することが必要である。
【0013】さらに、従来において廃棄物処理業者は、複数種類の廃棄物及び複数メーカーの廃棄物等多くの廃棄物の処理を請け負い、これら複数の廃棄物を一括して処理していることが一般的であり、依頼を受けた個々の廃棄物が廃棄物処理工場内でどの処理段階にあるのか、または依頼を受けた個々の廃棄物からどの程度の量の有用物が出て、どの程度の量の原材料に還元されたのか等を把握することができなかった。
【0014】2001年に施行されるリサイクル法では、家電品のリサイクルが家電品メーカーに義務づけられているため、各家電品メーカーは廃棄物となった各自が製造し廃棄物となった家電品のリサイクル処理の状況を把握しておく必要がある。またさらに、家電品のリサイクル率を一定値以上にすることが義務づけられており、各家電品メーカーにとって廃棄物となった家電品のリサイクル率算定の基礎となるデータの入手が必要である。
【0015】この場合、複数種類の家電品や複数メーカーの家電品のリサイクル処理を請け負うリサイクル処理工場では、上述の状況を各家電品メーカーに対して報告することはできずリサイクル処理工場の運営に支障をきたすこととなる。
【0016】この発明は、家電リサイクル法に向けて上述のような課題を解決するためになされたもので、リサイクルの処理状況を逐次把握することができ、外部からデータの提示を求められた場合、即座に回答することが可能なリサイクル処理管理システムおよびリサイクル処理管理方法を提供することを第1の目的とする。
【0017】また、リサイクル処理の対象となる処理対象物のリサイクル率算定の基礎となるデータを効率的に取り出すことが可能なリサイクル処理管理システムおよびリサイクル処理管理方法を提供することを第2の目的とする。
【0018】さらに、リサイクル工場の運転計画支援に役立つデータを提供することが可能なリサイクル処理管理システムおよびリサイクル処理管理方法を提供することを第3の目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係るリサイクル処理管理システムは、処理対象物の入着から出荷に至るまでの一連の複数の処理を行うリサイクル処理工場に適用されるリサイクル処理管理システムにおいて、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施した際に、前記処理対象物に関する処理データを取得するデータ取得手段と、該データ取得手段により取得された処理データを前記複数の処理のそれぞれが行われる度にデータベースに入力する入力手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】また、前記データベースに入力された処理データの出力要求があったとき、出力要求のあった処理データを前記データベースから出力する出力手段を備えたものであってもよい。
【0021】また、前記処理対象物の処理状況の出力要求があったとき、前記データベースに入力された処理データに基づいて、出力要求のあった処理対象物の処理状況を出力する出力手段と、を備えたものであってもよい。
【0022】また、前記処理データは、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施した処理時刻を含むものであってもよい。
【0023】また、前記処理データは、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施すに要した処理時間を含むものであってもよい。
【0024】また、前記複数の処理は、前記リサイクル処理工場が前記処理対象物を受け入れる入着処理を含み、前記データ取得手段は、前記処理対象物に対して作成されたマニフェストを含む入着処理に関連する入着データを前記処理データとして取得し、前記入力手段は、前記複数の処理のそれぞれに対応する前記処理データを、前記マニフェストに関連付けをして前記データベースに入力するものであってもよい。
【0025】また、前記複数の処理は、前記リサイクル処理工場が前記処理対象物を受け入れる入着処理を含み、前記データ取得手段は、前記処理対象物に対して作成されたマニフェストを含む入着処理に関連する入着データを前記処理データとして取得し、前記入力手段は、前記入着データに基づき、入着処理に対応した受取伝票データを作成して前記データベースに入力するものであってもよい。
【0026】また、前記受取伝票データを表示した紙の受取伝票を印字出力する出力手段を有するものであってもよい。
【0027】また、前記複数の処理は、前記処理対象物を運搬してきた車両から処理対象物が荷降ろしされる荷降ろし処理を含み、前記データ取得手段は、前記荷降ろし処理時に、前記処理対象物の重量を表す重量データを前記処理データとして取得するものであってもよい。
【0028】また、前記複数の処理は、前記処理対象物がロット単位に分配される荷捌き処理を含み、前記データ取得手段は、前記荷捌き処理に関連する荷捌きデータを前記処理データとして取得し、前記入力手段は、前記荷捌き処理を含む該荷捌き処理後の各処理時に、前記処理データを対応する各ロットに関連付けしてデータベースに入力するものであってもよい。
【0029】また、前記入力手段は、前記荷捌きデータに基づき、荷捌き処理に対応した荷捌き伝票データを各ロット毎に作成して前記データベースに入力するものであってもよい。
【0030】また、前記荷捌き伝票データを表示した紙の荷捌き伝票を印字出力する出力手段を有するものであってもよい。
【0031】また、前記荷捌きデータは、前記処理対象物の前記荷捌き処理に要した荷捌き時間を表す荷捌き時間データを含むものであってもよい。
【0032】また、前記複数の処理は、前記処理対象物が解体される解体処理を含み、前記データ取得手段は、前記処理対象物が前記解体処理に要した解体処理時間を表す解体処理時間データを前記処理データとして取得するものであってもよい。
【0033】また、前記複数の処理は、前記処理対象物を破砕し、材料別に選別することにより、前記処理対象物を出荷用の破砕取り出し物として取り出す破砕選別処理を含み、前記データ取得手段は、前記破砕取出し物に関する破砕取出し物データを前記処理データとして取得するものであってもよい。
【0034】また、前記入力手段は、前記破砕取出し物データに基づき、破砕取出し物の出荷伝票データを所定の出荷単位毎に作成して前記データベースに入力するものであってもよい。
【0035】また、前記複数の処理は、破砕選別処理前に前記処理対象物を解体して、処理対象物の一部を破砕処理を施さないで出荷用の非破砕取出し物として取り出す解体処理を含み、前記データ取得手段は、前記非破砕取出し物に関する非破砕取出し物データを前記処理データとして取得するものであってもよい。
【0036】また、前記入力手段は、前記非破砕取出し物データに基づき、非破砕取出し物の出荷伝票データを所定の出荷単位毎に作成して前記データベースに入力するものであってもよい。
【0037】また、前記出荷伝票データを表示した紙の出荷伝票を印字出力する出力手段を有するものであってもよい。
【0038】また、前記データベースに入力された処理データに基づいて、処理対象物のリサイクル率を算出するリサイクル率算出手段を備えたものであってもよい。
【0039】また、前記データベースに入力された処理データに基づいて、前記リサイクル処理工場の運転計画を算出する運転計画算出手段を含むものであってもよい。
【0040】また、前記複数の処理は、前記処理対象物を解体する解体処理および該解体処理後の処理対象物を破砕する破砕処理を含み、前記運転計画算出手段は、前記解体処理の計画稼動人員数および計画稼動時間の少なくとも一方を、前記データベースに入力された処理データおよび前記破砕処理に用いられる破砕装置の能力に基づいて算出するものであってもよい。
【0041】また、前記データベースに入力された処理データに基づいて、前記リサイクル処理工場に持ち込まれる前記処理対象物の将来の入着量を予測する予測手段を備え、前記運転計画算出手段は、前記予測手段の予測結果に基づいて、前記リサイクル処理工場の運転計画を作成するものであってもよい。
【0042】また、前記データベースに入力された処理データに基づいて、前記リサイクル処理工場で使用される将来の電力量を予測する予測手段を備え、前記運転計画算出手段は、前記予測手段の予測結果に基づいて、前記リサイクル処理工場の運転計画を作成するものであってもよい。
【0043】本発明に係るリサイクル処理管理方法は、処理対象物の入着から出荷に至るまでの一連の複数の処理を行うリサイクル処理工場に適用されるリサイクル処理管理方法において、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施した際に、前記処理対象物に関する処理データを取得するデータ取得工程と、該データ取得手段により取得された処理データを前記複数の処理のそれぞれが行われる度にデータベースに入力する入力工程と、前記処理対象物の処理状況の出力の要求があったとき、前記データベースに入力された処理データに基づいて、要求のあった処理対象物の処理状況を出力する処理状況出力工程と、を備えたことを特徴とするものである。
【0044】
【発明の実施の形態】図1はこの発明のリサイクル処理管理システムの機器構成を示す図である。本リサイクル処理管理システムを採用したリサイクル処理工場内には、複数のデータベース管理計算機1000が配設されている。データベース管理計算機1000は、本体1000a、CRT1000b、キーボード1000cからなり、さらにトラックスケール1000d、ハンディターミナル受信部1000e、及びプリンタ1000fが接続されている。
【0045】トラックスケール1000dは、トラックの重量を積載物を載せたまま計測することができる巨大なはかりである。また、ハンディターミナル受信部1000eは、バーコード等を読み込むことが可能な後述の各種入力機器から、赤外線通信等の無線伝送あるいはケーブル伝送によりデータを受信する受信部である。
【0046】データベース管理計算機1000は、他のデータベース管理計算機1000やネットワークサーバ1001とLAN接続され、更には、ルータ1002を介して、他のLANにも接続されている。そして、更には、ファイヤーオール1003、ネットワークサーバ1004及びゲートウェイ1005を介してインターネットに接続されている。そして、インターネットには、引取り業者用の計算機1006、依頼業者用の計算機1007及び運搬業者用の計算機1008が接続されている。
【0047】なお、以下の説明では、後述のデータベース8からの出力は、リサイクル工場内で通常行う作業に必要なものだけが記述されているが、データベース管理計算機1000は、要求があれば何時でもデータベースに蓄積されている処理データを検索し、表示や印字出力あるいはネットワークを介して出力させることができ、場合によっては、データベースから検索した処理データを加工して出力することができる。
【0048】ネットワークサーバ1001には、リサイクル処理工場外から受け取った、あるいは工場内で算出される後述の種々なリサイクル処理データがデータベースとして記憶されている。データベース管理計算機1000は、例えば、表計算ソフト等の各種プログラムによって、このリサイクル処理データを管理している。また、トラックスケール1000dやハンディターミナル受信部1000eから入力されたデータは、自動的にリサイクル処理データに記憶される。このリサイクル処理データは、インターネットを介して、引取り業者用の計算機1006、依頼業者用の計算機1007及び運搬業者用の計算機1008にて参照可能とされている。
【0049】図2は、この発明のリサイクル処理管理システムにおけるコンピュータ処理に伴う各機能要素を示すブロック構成図であり、図1の機器構成の主要部分を機能要素単位でより詳細に示したものである。リサイクル処理管理システムは、入力部1、重量測定部2、演算部3、荷捌き時間測定部4、解体時間測定部5、手解体後重量測定部6、電力量測定部7、データベース8、出力部9、手解体量推定部10、リサイクル率算出部11、有害物処理率算出部12、入着量推定部13、電力量推定部14、運転計画作成部15とから構成されている。
【0050】入力部1は、データベース8へのデータの入力を行うためのものであり、上述のキーボード1000cやハンディターミナル受信部1000eに加えて、各種リサイクルデータを入力してハンディターミナル受信部1000eに伝送する携帯端末100m、バーコードリーダ100n等から構成されている。この入力部1には、キーボード1000c、ハンディターミナル1000e、携帯端末100m、バーコードリーダ100n以外にもデータベース8へのデータの入力を可能とするさまざまな入力機器が含まれる。
【0051】重量測定部2は、上述のトラックスケール1000dに加えて、ローディングベイ200m等から構成されている。演算部3は、重量測定部2によって測定された重量データについて四則演算等を行うものである。荷捌き時間測定部4は、後述の荷捌き処理に要した時間を測定するものである。解体時間測定部5は、後述の手解体処理に要した時間を測定するものである。なお、手解体処理とは、単に手作業だけ指すのではなく、シュレッダーによる破砕を除く分解作業全般を指すものであり、単に解体処理と呼ぶことができる。
【0052】手解体後重量測定部6は、後述の手解体処理が施された後の廃棄物の重量を測定するものである。電力量測定部7は、リサイクル処理工場で使用した電力量を逐次測定するものである。データベース8は、801〜813までの複数の記憶部から構成されており、複数のデータを後述する関連付けをもたせて、それぞれ記憶部に記憶させるものである。このデータベース8は、上述のネットワークサーバ1001に設けられている。
【0053】データベース8内の、入着データ記憶部801、荷捌き伝票データ記憶部804、保管位置データ記憶部805、取り出し物データ記憶部808、出荷伝票データ記憶部810、人員・作業時間記憶部811、解体マニュアル記憶部812は、入力部1から入力されるデータを記憶するものである。
【0054】また、データベース8の内、受取伝票データ記憶部802は入着データ801を基に作成した運搬業者等に渡すための受取伝票およびマニフェスト用に加工されたデータを記憶するものであり、重量データ記憶部803は演算部3によって演算された重量データを記憶するものである。荷捌き時間記憶部806は荷捌き時間測定部4によって測定された荷捌き時間データを記憶するものであり、解体時間記憶部807は解体時間測定部5によって測定された解体時間データを記憶するものであり、手解体後重量記憶部809は手解体後重量測定部6によって測定された手解体後重量データを記憶するものである。電力量記憶部813は電力量測定部7によって逐次測定された電力量を時系列データとして記憶するものである。
【0055】出力部9は、データベース8に記憶されたデータを出力するものであり、具体的には上述のプリンタ1000fやディスプレイ1000b等から構成される。手解体量推定部10は手解体後重量記憶部809に記憶された手解体後重量データや人員・作業時間記憶部812に記憶された人員・作業時間データを基に手解体量を算術的に推定するものである。この手解体量推定部10は、図2では手解体後重量記憶部809に記憶された手解体後重量データや人員・作業時間記憶部812に記憶された人員・作業時間データを基に手解体量を算術的に推定する場合を示しているが、過去の手解体量を時系列データとして記憶しておき、過去の時系列データから将来の手解体量を推定するものであってもよい。この手解体量の推定手法については後述する。尚、ここで手解体量とは、手解体処理が行われた廃棄物の量のことである。
【0056】リサイクル率算出部11は、荷捌き伝票データ記憶部804に記憶された荷捌き伝票データや取り出し物データ記憶部808に記憶された取り出し物データや出荷伝票データ記憶部809に記憶された出荷伝票データを基に、リサイクル率を算出するものである。このリサイクル率の算出方法については、後述する。
【0057】有害物処理率算出部12は、荷捌き伝票データ記憶部804に記憶された荷捌き伝票データや取り出し物データ記憶部808に記憶された取り出し物データや出荷伝票データ記憶部809に記憶された出荷伝票データに加えて、人員作業時間記憶部811に記憶された人員作業時間データを基に、有害物処理率を算出する。この有害物処理率の算出方法についても後述する。
【0058】入着量推定部13は、入着データ記憶部801に記憶された過去の入着データを基に将来の入着データを推定するものである。この入着量の推定方法についてはも後述する。電力量推定部14は、電力量記憶部813に記憶された電力量の時系列データを基に将来の電力量を推定するものである。この電力量の推定方法についても後述する。
【0059】運転計画作成部15は、手解体量推定部10、入着量推定部13、電力量推定部14による推定結果に基づいて、リサイクル工場の運転計画を作成し、作成した運転計画を出力部9に対して出力するものである。以上説明したリサイクル工場管理システムの各ブロックは、上述のデータベース管理計算機1000による各種プログラムの実行または図示していない他の計算機による各プログラムの実行によって生成される指令に応じて夫々機能する。
【0060】本発明のデータ取得手段は、上述の入力部1、重量測定部3、荷捌き時間測定部4、解体時間測定部5、手解体後重量測定部6および電力測定部7により構成される。また、本発明の入力手段は、データベース管理計算機1000および該計算機が実行するプログラムにより構成され、出力手段は出力部9により構成される。本発明のリサイクル算出手段は、リサイクル算出部11により構成され、運転計画算出手段は、運転計画作成部15により構成される。また、本発明の入着量を予測する予測手段は入着量推定部13により構成され、電力量を予測する予測手段は、電力量推定部14により構成される。
【0061】図3はこの発明のリサイクル処理管理システムの処理手順を示す概略のフローチャートである。図3R>3のフローチャートにおいては、例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコン等の電気・電子機器の廃棄物が処理対象物としてリサイクル工場に入着してから、複数のリサイクル処理が行われて、リサイクル原料がリサイクル工場から出荷されるまでの流れを示している。
【0062】まず、廃棄物が例えば運搬業者によってトラックに積載されてリサイクル工場に入着すると(ステップS1)、まずマニフェストのデータおよびこのマニフェスト以外の運搬業者側の管理伝票として用いられている引き渡し伝票のデータが入力される(ステップS2)。この工程においては、マニフェストデータ、引き渡し伝票データおよび入着時刻データが、入着データとして、データベース管理計算機1000に入力され、データベース8に記憶される。ステップS1のトラック入着とステップS2のデータ入力とで、入着処理を構成している。尚、データベース管理計算機1000には、図示しないバックアップ計算機が接続されている。
【0063】続いて、廃棄物が例えば運搬業者のトラックから荷降ろしされる(ステップS3)。このとき重量測定部1によって計測された廃棄物の重量データが、データベース管理計算機1000に入力され、データベース8に記憶される。その後、受取伝票がデータデータベース管理計算機1000から出力される(ステップS4)。
【0064】続いて、荷捌き処理が行われ、荷捌き伝票データおよび荷捌き処理時に計測した荷捌き時間が、データベース管理計算機1000に入力され、データベース8に記憶される(ステップS5)。その後、荷捌き伝票が、データベース管理計算機1000から出力される(ステップS6)。荷捌き処理とは、廃棄物の種類やメーカー、機種ごとに入着した廃棄物を分別する処理である。続いて、手解体処理が行われ、手解体で取り出された物に関する取りだし物データと、手解体処理時に計測した手解体時間が、データベース管理計算機1000に入力され、データベース8に記憶される(ステップS7)。手解体処理とは、粉砕処理を行わないものを廃棄物から取り外す処理であり、具体的には廃棄物からのメーカ返却部品の取り外しや有害物・破砕不適物の取り外し作業を指す。
【0065】その後、手解体処理が行われた廃棄物をシュレッダーによって破砕し、得られた破砕物をリサイクル原料として出荷可能な状態に選別する破砕/選別処理が行われる(ステップS8)。例えば、破砕/選別処理では、破砕物を鉄、アルミ、銅等に選別したり、プラスチックの材質ごとに選別したりする処理が行われる。そして、この破砕/選別処理によって取り出された物に関する情報を表わす取り出し物データがデータベース管理計算機1000に入力され、データベース8に記憶される。次いで、手解体処理によって取り出されたメーカー返却品をメーカーへ、有害物については二次処理業者へ、破砕/選別処理によって選別されたリサイクル原料をリサイクル原料の引き取り業者へ出荷する。(ステップS9)。
【0066】図4は、図3のトラック入着(ステップS1)から荷降ろし(ステップS3)までを更に詳細に示すフローチャートである。まず、廃棄物が例えば運搬業者によってトラックに積載されたリサイクル工場に入着すると(ステップS15)、運搬業者側の管理伝票として用いられている引き渡し伝票のデータ、廃棄物に対して付されているマニフェストのデータ(以下、マニフェストデータと記す)及び入着時刻データが入力部1によって入力されるが、このとき引き渡し伝票やマニフェストが紙に印字された文字情報であるか、あるいは紙等に印字されたバーコードや電子的記憶媒体に記憶された情報等の電子データであるか判断され(ステップS16)、電子データの場合は、例えばバーコードリーダー11を用いて自動入力され(ステップS17)、紙の場合には、キーボード1000cを用い、手入力にて必要事項がデータ入力される(ステップS18)。
【0067】この工程においては、上述のように、マニフェストデータ、引き渡し伝票データおよび入着時刻データが、入着データとして、データベース管理計算機1000に入力される。マニフェストデータとしては、具体的にはマニフェストに付されているマニフェスト番号データ、廃棄物の種類、機種、重量、メーカー、リサイクル委託者等が含まれる。引き渡し伝票データとしては、廃棄物の運搬を請け負った運搬業者名、運搬に用いられた車輌プレートNOや、運搬を行った運転手名、搬入した廃棄物の総重量を示す搬入重量、搬入した品名・数量等が含まれる。
【0068】その後、データベース管理計算機1000がステップS17やS18で入力されたデータが正常かどうか判断し(ステップS19)、正常な場合はS17やS18で入力されたマニフェストデータ、引き渡し伝票データ及び入着時刻データは入着データとしてデータベース8の入着データ記憶部801に記憶される。次いで、トラックスケール1000dにより、廃棄物をトラックに搭載した状態での初期トラック重量測定が行われる(ステップS20)。
【0069】その後、複数の廃棄物がトラックに混載されて来たか、廃棄物が単一で積載されて来たかが判断され(ステップS21)、単一の場合は、トラックスケール内において、荷降ろしが行われる(ステップS22)。そして、廃棄物が荷降ろしされた後のトラックの重量をトラックスケール1000dによって測定する(ステップS23)。
【0070】一方、ステップS22において、混載と判断された場合には、複数の廃棄物をメーカーごと機種ごとに分ける荷捌き処理が実行される(ステップS24)。この荷捌き処理については、後述する。
【0071】荷捌き処理(ステップS24)が実行された後、ローディングベイ21を使用して個別の廃棄物の重量測定を行われ、測定された個別重量がデータベース8の重量データ記憶部803に記憶される(ステップS25)。荷捌き処理(ステップS24)において、メーカーごと機種ごとに廃棄物を分けたため、ステップ25ではメーカー別、あるいは機種別に重量測定が行われる。複数のメーカーの廃棄物が入着した場合や複数の機種の廃棄物が入着した場合にはそれぞれの廃棄物の重量測定が行われる。但し、過去において既に個別重量が測定され、データベース8の重量データ記憶部803に記憶されている場合には、ステップ25は省略してもよい。また、この実施の形態においては、荷捌き処理が実行された後に個別重量測定を行っているが、荷捌き処理の途中で個別重量測定を実行してもよい。
【0072】その後ステップS20において測定した初期トラック重量からステップ25にて測定した個別重量を個々に差分する差分演算を演算部3で行う(ステップS26)。既に個別重量が測定されデータベース8に記憶されているために、ステップ25が省略された場合には、演算部3は、記憶されている重量データを使用して差分演算を行う。個別差分演算(ステップ26)では、トラックに搭載されていた複数の廃棄物すべての重量が差し引かれる。
【0073】そして、廃棄物がすべて降ろされたトラックの重量測定が行われる(ステップS23)。その後、ステップS23において測定した荷降ろし後のトラック重量を用いて演算部3は差分演算を行い(ステップS27)、その演算重量はデータベース管理計算機1000を介してデータベース8の重量データ記憶部803に記憶する。
【0074】詳しくは、ステップS27では、トラックに搭載された廃棄物が混載の場合には、下記の演算を行う。
(初期トラック重量)−(荷降ろし後トラック重量)
一方、トラックに搭載された廃棄物が単一の場合には、下記の演算を行う。
(S26における差分演算結果)−(荷降ろし後トラック重量)
【0075】ステップ27の差分演算によって得られた差分演算後の重量データは、重量データ記憶部803に記憶される。この差分演算後の重量データは、単一搭載の場合には、搭載された廃棄物の重量として重量データとして重量データ記憶部803に記憶される。混載の場合には、入着した廃棄物が既に破損していた等の原因によりトラック内に取り残された部分の重量を示すデータとして重量データ記憶部803に記憶される。この重量データは、入着した廃棄物の状態、運搬状況などを把握するデータとなる。
【0076】その後、データベース管理計算機1000は、既に入着データ記憶部801に記憶された入着データを読み出し、受取伝票に必要な事項を記載した受取伝票2000をプリンタ1000fにより出力する。(ステップS27)。この受取伝票とは、運搬業者に対して渡す伝票であり、運搬業者から廃棄物を受け取ったことを示す伝票である。この実施の形態では、受取伝票を紙形式で出力しているが、ディスプレイ1000b上に表示したり、運搬業者側の端末に受取伝票に関するデータを送信したりして出力することも可能である。
【0077】一方、ステップS19において入力データが正常でないと判断された場合、データベース管理計算機1000から異常通知が出され(ステップS29)、手入力によりステップS17やステップS18で入力したデータの修正処理がされる(ステップS30)。修正処理の後、入力されたデータが正常の場合は(ステップS31)、修正後のマニフェストデータ、引き渡し伝票データ及び入着時刻データがデータベース管理計算機1000に入力され、入着データとして入着データ記憶部801に記憶される。また、入着データ記憶部801に記憶された入着データを読み込んで、受取伝票作成に必要な事項をまとめた仮受取伝票が出力される(ステップS34)。
【0078】ステップS31にて、入力データが正常であると判断された場合には、入着データ記憶部801へ入着データが記憶されることなく処理を終了する。以上の処理を終えた後、最後にトラックがスケールから移動する。
【0079】図5はステップS27にて出力される受取伝票(荷降ろし伝票)2000に記載されるデータの内容を示す図である。図5に示される様に、受取伝票には、リサイクル委託者、運搬業者、車輌プレート番号、運転手名、搬入重量(個別重量)、マニフェスト番号、入着時刻、受け取った家電品の品名・数、ロット管理される場合には、トラック番号、及びこれら情報をまとめたバーコードが記載されている。これらデータは、ステップS17やステップ18において入力され、入着データ記憶部801に記憶されたマニフェストデータ、引き渡し伝票データ及び入着時刻データの中から必要なデータを取り出して出力されたものである。
【0080】図6は、図3の荷捌き処理を詳細に示すフローチャートである。図6において、荷捌き処理が開始すると、まず、荷捌きを行う廃棄物が小型かどうか、すなわち今後の搬送や処理を、パレットや籠(台や容器)を用いて行うのか、用いないで行うのかが判断される(ステップS45)。廃棄物が大型の場合は、パレットや籠を使用せず、そのままの形態でメーカ、製品種類、機種あるいは品番毎に分類し、そのまとまりを一つの処理単位として取り扱い、この処理単位をロットと呼ぶ。廃棄物が小型の場合は、段積みが可能かどうか判断され(ステップS46)、可能な場合は、廃棄物がパレットに搬入される(ステップS47)。段積みが不可能な場合には、廃棄物が籠に搬入される(ステップS48)。このパレット及び籠は、廃棄物のメーカーや種類、機種ごとに分けて使用され、これらのパレットや籠によるまとまりを一つの処理単位、すなわちロットとして取り扱う。各ロットには固有のロット番号が付されており、荷捌き処理以降は、このロット単位で処理が実行される。
【0081】ロットが設定されるごとに、各ロットごとに荷捌き伝票データを入力する(ステップS49)。ステップS49で入力されるデータとしては、廃棄物のリサイクルを委託したリサイクル委託者名、マニフェスト番号、荷捌き処理を行った日付・時刻及びロットごとに付されたロット番号がある。各ロット単位の廃棄物の数量については、例えばリサイクル処理管理システムに設けたカウンターによって、廃棄物の投入ごとにカウントしていき最終的な数量を入力することができる。
【0082】このデータの入力は、携帯端末100mによって行われ、携帯端末100mからデータベース管理計算機1000への荷捌き伝票データの入力は赤外線通信等の無線通信によって行われる。データベース管理計算機1000に入力された荷捌き伝票データは、データベース8内の荷捌き伝票データ記憶部804に記憶される。尚、廃棄物が小型の場合、ステップS49はパレットや籠が満杯になるまで繰り返し実行されるが、重複するデータについては入力を省略することができる。
【0083】そして更に、廃棄物のパレット又はかごへの初期投入かどうかが判断され(ステップS50)、廃棄物をパレット又はかごへ初めて投入する場合には、荷捌き時間の測定が開始される(ステップS51)。初期投入かどうかの判断とは、パレットや籠に投入した廃棄物が、最初の1個目か否かの判断を指す。その後、籠あるいはパレットが、非満杯かどうか判断され(ステップS53)、非満杯の場合には、幾つかの伝票処理を飛ばしてステップS62に飛び、更なる荷捌き物があるかどうかが判断される。この手順を繰り返すことにより、パレット又はかごに廃棄物が一杯になるまで廃棄物の投入が続けられる。
【0084】一方、パレットや籠が満杯の場合には、ステップS49において入力された荷捌き伝票データに基づいて、荷捌き伝票2110aが印字出力される(ステップS55)。また、廃棄物が大型の場合には、分類した単位(ロット)において一定の割合(例えば5台に一枚の割合)で荷捌き伝票が印字出力される。携帯端末12に荷捌き伝票2100aが出力される場合には、データベース管理計算機1000から無線や赤外線によって転送されて出力が実行される。また、現場に設置された端末に出力される場合には、データベース管理計算機1000から有線LAN等によって転送される。
【0085】その後、ステップS55において出力された荷捌き伝票が籠またはパレットに添付される(ステップS56)。また、廃棄物が大型の場合には、上述の一定の割合で荷捌き伝票が添付される。その後、籠またはパレットは、ロット毎に各保管場所に保管され、保管場所の位置データが、データベース管理計算機1000に入力される(ステップS58)。廃棄物が大型の場合には、上述の一定の割合(例えば5台)毎にロープでくくるあるいはパーティションで区切る等をして保管する。このとき、荷捌き伝票は、そのグループの廃棄物の何れかに添付してもよく、またそのグループを認識できる個所であれば、ロープやパーティション等に貼り付けるようにしてもよい。その後、荷捌き時間の測定を終了し(ステップS60)、測定した荷捌き時間のデータをデータベース8の荷捌き時間記憶部806に記憶される。
【0086】その後、更なる荷捌き物があるかどうかが判断され(ステップS62)、ある場合には、ステップS45に戻る。また、更なる荷捌き物がない場合には、作業時間および人員数が入力されて(ステップS64)、入力された作業時間・人員数がデータベース8内の人員・作業時間記憶部812に記憶される。荷捌きする廃棄物が大型の場合の荷捌き時間計測開始ステップの記述が図6には省略されているが、メーカ、製品種類、機種あるいは品番毎の上述のグループに分類するまでの人数や人員計測し入力する。以上で荷捌き処理が終了する。
【0087】図7はステップS55にて出力される荷捌き伝票2110aのデータの内容を示す図である。図7に示されるように、荷捌き伝票2110aには、リサイクル委託者名、廃棄物の品名、数量、マニフェスト番号、荷捌き処理が実行された日付・時刻、パレット又は籠に付されたロット番号、及びこれら情報を示すバーコードが記載されている。
【0088】図8および図9は、図3の手解体処理および破砕/選別処理を詳細に示すフローチャートである。まず、荷捌き処理が実行され、保管場所に保管されていた廃棄物が手解体対象品として保管場所からロット単位で移動される(ステップS70)。そして、バーコードリーダ11によってパレットや籠に添付された荷捌き伝票のバーコードを読み取ることで、荷捌き伝票データがデータベース管理計算機1000に入力され(ステップS71)、その後、手解体確認通知がデータベース管理計算機1000に入力される。
【0089】データベース管理計算機1000ではステップS71で入力された荷捌き伝票データのロット番号や廃棄物の名称、機種、メーカー等を基にして、新規の解体品かどうかを判断し(ステップS72)、新規の解体品であれば、解体時間計測部5が解体時間の計測を開始する(ステップS73)。この新規の解体品とは、本リサイクル処理システムで解体時間がデーターベースに蓄積されていない機種の廃棄物を指す。
【0090】その後、ステップS71で入力された荷捌き伝票データと運転計画で予め決まられた手解体対象品との照合を行い、ステップS70において移動してきたロットの廃棄物が計画上の解体品かどうかを判断し(ステップS75)、計画上の解体品でなければ、保管場所である倉庫へ返却される(ステップS76)。
【0091】尚、この実施の形態では、ステップS71において荷捌き伝票データを入力していたが、ステップS71ではロット番号を入力し、このロット番号をキーにして荷捌き伝票データ記憶部804に記憶されている荷捌き伝票データを入手するようにしてもよい。
【0092】ステップS70において移動してきたロットの廃棄物が計画上の解体品であれば、手解体開始が通知される。そして、手解体対象品に解体マニュアル指標があるかどうかが判断され、ある場合には解体指標が入力される(ステップS80)。この解体指標は、具体的には、解体マニュアルのIDである。S81において解体指標が入力されると、データベース8の解体マニュアル記憶部813に記憶されている解体マニュアルを読み出し、ディスプレイ1000bに表示する(ステップS81)。
【0093】次に、解体マニュアルを基に解体対象品にメーカー返却部品が有るかどうかが判断される(ステップS81)。解体対象品にメーカー返却部品が有る場合には、返却部品の取り外しを行い(ステップS83)、返却部品が全て取り外されたか否かを確認するために各部品毎の員数をチェックし(ステップS84)、メーカー返却部品の取り出し物データを入力する(ステップS85)。ここで、メーカー返却部品の取り出し物データはロット番号ごとに作成され、ロット番号、メーカー返却部品の品名、数量、返却先、メーカー返却部品の重量等のデータを含んで構成される。入力された取り出し物データは、データベース8の取り出し物データ記憶部810に記憶される。
【0094】その後、取り出し物データ記憶部810に記憶された取り出し物データを基に、出荷伝票データを作成し、出荷伝票をプリントアウトする(ステップS86)。例えば、複数のロットのメーカー返却部品をまとめて出荷する場合等は、複数の取り出し物データを取り出し物データ記憶部808から読み出し、これらをまとめて一つの出荷伝票データを作成し、出荷伝票として出力する。
【0095】次いで、解体マニュアルを基に解体対象品に有害物・破砕不適物があるかどうかが判断される(ステップS87)。解体対象品に有害物・破砕不適物がある場合には、有害物・破砕不適物の取り外しを行い(ステップS88)、有害物・破砕不適物の取り出し物データを入力する(ステップS89)。ここで、有害物・破砕不適物の取り出し物データはロット番号ごとに作成され、ロット番号、有害物・破砕不適物の品名、数量、二次処理業者、有害物・破砕不適物の重量等のデータを含んで構成される。入力された取り出し物データは、データベース8の取り出し物データ記憶部810に記憶される。
【0096】その後、取り出し物データ記憶部810に記憶された取り出し物データを基に、出荷伝票データを作成し、出荷伝票をプリントアウトする(ステップS90)。この出荷伝票もメーカー返却部品の出荷伝票と同様に、複数のロットの解体対象品から取り出されたものを一括して作成してもよい。
【0097】以上のようにメーカー返却部品の除去及び有害物・破砕不適物の除去が終了した後、解体時間測定部5は手解体時間の測定を終了し、測定された手解体時間をデータベース8の解体時間記憶部807に記憶する。さらに、手解体後重量測定部6を用いて、手解体処理が終了した後の手解体対象品の重量を測定する(ステップS92)。
【0098】次いで、手解体処理が終了した廃棄物がシュレッダーラインへ投入され、シュレッダーによる廃棄物の破砕が行われる(ステップS91)。その後、シュレッダーによって破砕された破砕物をリサイクル原料として出荷可能な状態に選別を行い(ステップS94)、選別処理によって取り出された物の取り出し物データを入力する。ここで、シュレッダーによって破砕された物の取り出し物データはロット番号ごとに作成され、ロット番号、破砕物の材質、数量、出荷先、破砕物の重量等のデータを含んで構成される。入力された取り出し物データは、データベース8の取り出し物データ記憶部810に記憶される。
【0099】その後、シュレッダーによって破砕された物の出荷伝票がプリントアウトされるが、この手順についてはステップS86,S90と同様であるので説明は省略する。以上のように出荷伝票が出力された後、返却先のメーカーや二次処理業者やリサイクル原料の取り扱い業者に出荷する(ステップS97)。
【0100】図10はステップS86,S90,S96でプリントアウトされる出荷伝票の一例を示す図である。出荷伝票の内容には、出荷する物の品名、数量、出荷先等が記載される。図11は各々のデータの関連づけを示す図である。上述のリサイクル処理においてデータベース8の各記憶部に記憶されたデータは、それぞれ単独に記憶されているのではなく、互いに関連付けをもって記憶されている。図11においては、この関連付けを矢印で示している。
【0101】以下では、各データの関連付けを具体的に説明する。入着時刻データ2500とマニフェストデータ2100と受取伝票データ2000は、入着データとして入着データ記憶部801に記憶されるが、これらのデータは互いにマニフェスト番号で対応づけがなされている。そのため、マニフェスト番号を指定することによって、指定されたマニフェスト番号に対応したマニフェストデータ2100、受取伝票データ2000及び入着時刻データ2500を取り出すことが可能となる。図11R>1において、受取伝票データ2000は複数のマニフェストデータ2100、2200、2300に対応づけがなされているが、これは複数の廃棄物が工場に混載されて入着したため、受取伝票データがまとめて作成された状態を示している。
【0102】次に、荷捌き伝票データ2110a、重量データ2110b、保管位置データ2110c、荷捌き時間2110d、解体時間2110e、手分解後重量2110f、取り出し物データ(メーカー返却部品)2110a、取り出し物データ(有害物)2111b、取り出し物データ(シュレッダー)2111c、取り出し物データ(有価物)2111dとそれぞれに対応する出荷伝票データ2111e〜2111hは、互いに該当するロットのロット番号で関連付けがなされている。は互いに該当するロットのロット番号で関連付けがなされている。従って、ロット番号を指定することによって、該当するロットの各データ2110a〜2110eを取り出すことが可能である。
【0103】さらに、マニフェストデータ2100と荷捌き伝票データ2110aとは、マニフェスト番号で関連付けがなされている。したがって、マニフェスト番号を指定することによって、荷捌き伝票データを得ることができ、さらにこの荷捌き伝票データに関連付けがなされている複数のデータを取り出すことができる。このように、関連付けがなされていることによって、リサイクル工場に対して運搬業者や依頼業者等から廃棄物の処理状況について問い合わせがあった場合でも、問い合わせの合った廃棄物のマニフェスト番号を基にデータベース8に記憶されている複数のデータを取り出すことによって、廃棄物の処理状況を把握することができ、報告することができる。
【0104】尚、図11では、1つの取り出し物データ2111aに対応して1つの出荷伝票データ2111e〜2111hがデータベース8に記憶されている状態を示しているが、複数のロットから取り出された物をまとめて出荷する場合等の場合には、複数のロットに該当する取り出し物データに対応して一つの出荷伝票データが記憶されてもよい。この場合にも、ロット番号によって関連付けがなされる。
【0105】上述のように構成されたリサイクル処理管理システムでは、データベース管理計算機1000が、データベース8に蓄積されたデータを基にリサイクル率及び有害物処理率を下記の(1)から(6)式を使って算出する。
リサイクル率= (入着ロット重量−リサイクル不可物質重量)/入着ロット重量 (1)上記(1)式から分かるように、リサイクル率はロット単位で算出される。つまり、荷捌き処理後のロット毎にリサイクル率を算出し、例えば客先毎に1週間単位で集計してデーターベース8に蓄積する。そして、定期的あるいは客先からの要求時に、データベース管理計算機1000は、画面表示や印刷あるいはネットワークを介してのデータ転送によって、客先にリサイクル率を提示する。
【0106】また、上記(1)式中のリサイクル不可物質は、一般的に廃家電品のリサイクル処理で発生するマテリアルリサイクル可能物質(鉄、非鉄金属)、ケミカルリサイクル可能物質(プラスチック類)及びサーマルリサイクル可能物質(廃プラ類、可燃性ダスト類)以外に発生した物質であり、またこのリサイクル不可物質は、さらなる処理が必要な有害物質と処理が不要な無害物質に分けることができる。
【0107】また、データベース管理計算機1000は、機種毎の平均リサイクル率も下記の(2)式により算出する。
機種毎のリサイクル率= (入着重量−手分解除去物重量)×リサイクル可能物質含有率/入着重量 (2)上記(2)式中のリサイクル可能物質含有率は、データベース管理計算機1000によってデータベース8に蓄積されたデータを基に機種毎に算出される。
【0108】さらに、データベース管理計算機1000は、全体の推定リサイクル率も下記の式(3)により算出する。
全体のリサイクル率= 入着重量−(手分解ごみ+(入着重量−手分解除去重量)
×リサイクル不可物質含有率)/入着重量 (3)上記(3)式中の手分解ごみとは、例えば洗濯機の給水/排出ホース、冷蔵庫の扉のパッキン、回収されたフロン、エアコンの消音材(グラスウール)、複写機やプリンタに残っていた紙やトナー等の埋め立てや焼却処理にまわされるものを意味する。
【0109】一方、有害物処理率は、以下の数式4により求めることが出来る。
有害物処理率=無害化処理コスト/全体リサイクルコスト (4)
【0110】上記(4)式中の無害化処理コスト及び全体リサイクルコストは、それぞれ下記の(5)、(6)式により算出される。
無害化処理コスト= 有害物質の無害化処理コスト + 埋め立て等の最終処分前に必要な濃縮等の前処理コスト +運送コスト (5) 全体リサイクルコスト= 排出からリサイクルまでにかかる全ての処理処分運搬等のコスト (6)上記無害化処理コストおよび全体リサイクルコストの定義については、上記(5)、(6)式に限定されるものではなく、運搬コストを省く等の他の式により定義することもできる。
【0111】図12は、リサイクル処理管理システムの工場運転計画支援のためのデータベース管理計算機1000による演算処理の概略を示す図である。図12において、データベース管理計算機1000は、データベース8の手解体後重量記憶部809に蓄積されたデータから、機種別の手解体後単位重量(ton/台)を、またデータベース8の解体時間記憶部8に蓄積されたデータから、機種別の標準手解体時間(hr/台)をリサイクル基礎データとして取り出し、以下の(7)式により、手解体量(シュレッダー投入量)の算術的推定を行う。このときの標準手解体時間は、有価物取り出し時間と、有害物除去時間と、破砕不適物の除去時間とのトータル時間を指す。
【数1】


【0112】そして、この手解体量を、以下の(8)式によって表されるシュレッダーの最大処理量と、比較検討することにより、シュレッダーラインを効率的に運用することができる。
シュレッダー最大処理量= シュレッダーライン能力(ton/hr)×稼動時間(hr)
(8)
【0113】例えば、シュレッダーラインを最大処理能力で常に運用することを目的とした場合には、上記(7)式と(8)式が等しくなるような、ライン稼動時間とライン投入人員数を求めて、実際に、このライン稼動時間とライン投入人員数でラインを運用させることにより上記目的を達成することができる。なお、上記(7)式の手解体後単位重量は各機種毎の重量であるが、これらのデータを製品種類毎に平均した平均手解体後単位重量を、(7)式の手解体後単位重量として用いてもよい。
【0114】また、データーベース管理計算機1000は、実際にライン稼動時に、図2に示した手解体後重量測定部6により測定される重量データを一定時間間隔、例えば10分間隔でサンプリングして手解体量の増減をモニタする。このとき、データベース管理計算機1000が、手解体量が増加する傾向にあることを検知した場合、データベース管理計算機1000は手解体量を減少させる指示をモニタ画面等を通して通知する。
【0115】一方、手解体量が減少する傾向にあることが検知された場合には、データベース管理計算機1000は手解体量を増加させる指示をモニタ画面等を通して通知する。このようにリアルタイムで手解体量をチェックして修正を指示することによって、上記(7)式の推定値が何らかの原因で実際の解体量と合わなくなってきた場合にも、シュレッダーラインを常に能率良く運転することができる。
【0116】さらに、データベース管理計算機1000は、リサイクル処理工場への廃棄物の入着量およびリサイクル処理工場の消費電力量を予測する。これら入着量および電力量は、例えば図13に示す手順で予測する。
【0117】図13に示すように、予測対象値の実測データを時系列データとして蓄積する(ステップT10)。入着量および電力量の実測データは、図2に示すデータベース8の入着データ記憶部801および電力量記憶部813に逐次記憶される。次いで、論理モデルに用いられるパラメータを設定する(ステップT11)。この論理モデルとしては、時系列予測データの線形的予測としての自己回帰モデルや、時系列予測データの非線形的予測としてのカオス時系列予測モデルを使うことができる。
【0118】パラメータの設定終了後、論理モデルによるシミュレーションにより予測値を算出し、この予測値を実測値と比較する(ステップT12)。次いで予測値の予測精度が基準値を上回るか否かを判別する(ステップT13)。予測値が基準値以下であれば、ステップT11に戻り、パラメータを再設定して主みゅレーションを繰り返す。予測精度が基準値を上回れば、論理モデルを使ってる将来の予測データ、すなわち本例では、将来の入着量の予測および電力量の予測を行う。
【0119】なお、上述のカオス時系列予測等の時系列データ非線形的予測は、時系列データから、アトラクタ(時系列データの性質を表現する軌道)を再構成することにより将来の時系列データを予測する手法であり、上記適用例以外にも、上下水道の水道料予測やトンネル内交通量の予測等に適用されている。また、自己回帰モデル等の時系列データ線形的予測は、システム全体を過去のシステム変数の線形結合部分と、その時点におけるその変数固有の白色雑音部分(非線形部分)の和として表現する」統計的モデルを用いるものであり、次式で表わされる。
【0120】
【数2】


なお、X(s)は時刻sにおけるシステム変数Xの値、A(m)はモデルの回帰係数、Mはモデル次数、e(s)は時刻sにおけるシステム変数Xの白色の固有ノイズである。
【0121】上述の予測入着量とリサイクル処理工場の運転計画との関係を、破砕処理前の廃棄物を工場内に保管しておくことができる保管可能量およびシュレッダーの破砕可能量を含めて説明する。
【0122】まず、ある時点での予測入着量A[ton/day]と保管可能量B2[ton/day]及び破砕可能量C[ton/day]を比較して運転計画に反映する。予測入着量Aについては、過去の処理データを基に、季節、月、日、時間を考慮に入れて予測する。そして、予測入着量A>(保管可能量B2+破砕可能量C)
のとき、一日あたりの入着量を(予測入着量A−保管可能量B2)分だけ削減する(入着量を制限する)。
予測入着量A≦(保管可能量B2+破砕可能量C)
のとき、入着量は調整しない。
【0123】また、ある時点での有価物の計画出荷量D[ton/day]に見合う入着量を確保する。すなわち、ある時点での予測入着量A[ton/day]と保管量B1[ton/day]及び入着廃棄物から最終的に得られる有価物の割合をαとし、計画出荷量D[ton/day]と比較した場合、(予測入着量A+保管量B1)×α>計画出荷量Dの場合、1日あたりの搬入量を(予測入着量A−(計画出荷量D/α−保管量B1))だけ削減する。また、(予測入着量A+保管量B1)×α≦計画出荷量Dの場合、1日あたりの搬入量を(予測入着量A−(計画出荷量D/α−保管量B1))だけ追加する。
【0124】ただし、予測入着量A≦(保管可能量B2+破砕可能量C)かつ(予測入着量A+保管量B1)≦破砕可能量Cを満たす必要がある。
【0125】次に、予想電力量と運転計画の関係について述べる。まず、図14に示すように任意に設定した最大許容電力Emax[Kw]を越えないようピークカット制御を行う。図14において、縦軸は電力の大きさを示し、横軸は時間を示す。現在時刻からT時刻後の予測電力E(t+T)[Kw]とし、予測電力E(t+T)≦最大許容電力Emax[Kw]のとき、運転継続を行い、予測電力E(t+T)>最大許容電力Emax[Kw]のとき、運転負荷を下げる。具体的には、破砕機のパワーや破砕機への投入量を減らす。
【0126】また、深夜電力を活用して電力使用量を安くするような運転計画を立案する。すなわち、昼間電力使用コスト+夜間電力使用コスト+昼間作業コスト+夜間作業コストの合計が最小になるような運転計画を立てる。昼間電気使用単価K1[円/kwh]、昼間電力使用時間H1[hr](=昼間作業時間)、昼間使用電力量P1[kwh]、夜間電気使用単価K2[円/kwh]、夜間電力使用時間H2[hr](=昼間作業時間)、夜間使用電力量P2[kwh]、昼間時給L1[円/hr]、昼間終業人数N1[人]、夜間時給L2[円/hr]、夜間終業人数N2[人]において、(K1×P1+L1×N1×H1)+(K2×P2+L2×N2×H2)
が最小となるように運転計画を立てる。ただし、K1>K2(K1、K2は定数)、L1>L2(L1、L2は定数)とする。
【0127】図15は電力量の変化を表す図である。図1515において、縦軸は電力の大きさを示し、横軸は時間を示す。昼間使用電力量P1[kwh]及び夜間使用電力量P2[kwh]は、それぞれ昼間電力使用時間H1、夜間電力使用時間H2時間内の予測使用電力E[Kw]の積分値で求められる。また、昼間使用電力量P1[kwh]及び夜間使用電力量P2[kwh]は、予測電力値を積分して求められる。昼間電力使用時間H1、夜間電力使用時間H2、昼間終業人数N1及び夜間終業人数N2は、処理量とのバランスをとった上で限られた範囲内で設定し最小値を求める。
【0128】上述のように、このような構成のリサイクル処理管理システムにおいては、各処理を実行する度に、処理データをデータベースに記憶しているので、このデータベースを、リサイクル処理に関する詳細な情報を含んだ情報源として提供することができる。
【0129】また、データベースに蓄積された処理データは、ディスプレイやプリンタあるいはネットワーク等の出力手段を通して出力することができ、データベースを有効に活用することができる。
【0130】また、処理対象物の処理状況の問い合わせに対しては、処理がなされる度に処理データを蓄積しているので、処理対象物の詳細な処理状況を処理の細かい進捗状況まで含んだ情報として、上記出力手段を通して即座に出力することができる。
【0131】また、各処理の処理時刻をデータベースに蓄積しているので、各処理が何時、処理対象物に対して施されたかを正確に把握することができる。
【0132】また、各処理に要した処理時間をデータベースに蓄積しているので、処理コストの算出やリサイクル工場の運転計画立案等に役立てることができる。
【0133】また、入着処理においては、処理対象物に対して作成されたマニフェストの情報を処理データとして取得するともに、入着処理を含む後の各処理において、処理データをマニフェストに関連付けをしてデータベースに入力しているので、マニフェスト情報に基づいたデータベースの検索が可能になる。
【0134】また、マニフェスト情報を含む受取伝票データを作成してデータベースに入力しているので、入着した処理対象物の受け取り完了を表わすデータを何時でも出力することができる。
【0135】また、入着があると自動的に受取伝票を印字出力するので、処理対象物を運搬してきた業者等にそのまま手渡すことができ、伝票作成等の手間を省くことができる。
【0136】また、運搬車両からの処理対象物の荷降ろし処理において、処理対象物の重量を個別に計測しているので、重量計測のための運搬作業等を特別に設ける必要がなくなり手間を省くことができ、さらにリサイクル率の算出や工場の運転計画立案等に役立てることができる。
【0137】また、荷捌き処理では、処理対象物をロット単位に分類し、処理データをロットに関連付けしてデータベースに入力しているので、処理対象物個々ではなく、例えば運搬作業に適したあるまとまった単位での処理対象物を扱う場合にも、ロットの情報に基づいてデータベースを検索することができる。
【0138】また、荷捌き処理に対応した荷捌き伝票データをロット単位で作成してデータベースに入力しているので、荷捌き処理の完了を表わす荷捌き伝票を何時でも表示や印字等の出力をすることができる。
【0139】また、荷捌きが終了すると自動的に荷捌き伝票を印字出力するので、荷捌き後の処理対象物の入れ物等に荷捌き伝票を添付することにより、荷捌き後の処理対象物を作業者等に容易に認識させることができる。
【0140】また、荷捌き処理において、荷捌きに要した時間を計測しているので、リサイクル率の算出や工場の運転計画立案等に役立てることができる。
【0141】また、解体処理において、解体に要した時間を計測しているので、リサイクル率の算出や工場の運転計画立案等に役立てることができる。
【0142】また、破砕選別処理においては、破砕後の処理対象物を材料別に選別された出荷用の破砕取り出し物に関するデータを処理データとして取得し、データベースに入力しているので、破砕物からなる出荷物に関するデータとして役立てることができる。
【0143】また、破砕取り出し物の出荷伝票データを作成してデータベースに入力しているので、出荷内容を表わす出荷伝票を何時でも表示や印字等の出力をすることができる。
【0144】また、破砕選別処理においては、非破砕取り出し物に関するデータも処理データとして取得し、データベースに入力しているので、非破砕物からなる出荷物に関するデータとして役立てることができる。
【0145】また、破砕取り出し物および非破砕取り出し物の出荷伝票データを作成してデータベースに入力しているので、出荷内容を表わす出荷伝票を何時でも表示や印字等の出力をすることができる。
【0146】また、破砕選別処理が終了すると自動的に出荷伝票を印字出力するので、出荷物と照らし合わせて出荷伝票を作成する等の作業を省くことができる。
【0147】また、各処理毎に取得した処理データをデータベースに入力し、このデータベースに蓄積された処理データに基づいてリサイクル率を算出しているので、メーカ、製品種別、機種毎等の細かい分類で、しかも正確なリサイクル率を得ることができる。
【0148】また、各処理毎に取得した処理データをデータベースに入力し、このデータベースに蓄積された処理データに基づいてリサイクル工場の運転計画を作成しているので、運転計画を工場内の各処理毎に算出することができ、また実際の作業とのずれの少ない計画を立てることができる。
【0149】また、設備の増強や補充が困難な破砕処理装置(シュレッダー)に能力にあわせて、運転計画としての稼動人員および稼動時間を算出しているので、非常に効率的な運転計画を立てることができる。
【0150】また、データベースに基づいて処理対象物の入着量を予測して、運転計画に反映させているので、仮定した複数の入着量に対しての運転計画を計算をすることなく、一つの入着量に対する計画をたてるだけで、正確な運転計画を算出することができる。
【0151】また、データベースに基づいて工場の電力量を予測して、運転計画に反映させているので、電力料金が安価な期間や時間帯を活用して運転計画を算出することができる。
【0152】なお、本実施の形態のデータベース管理計算機1000は、LANやインターネットに接続され、データベース化されたリサイクル処理データは、他の計算機から参照可能とされているが、必ずしもこのような構成とされる必要はなく、データベース管理計算機1000がスタンドアロンとされ、プリンタ等が接続されて伝票が逐次出力可能とされていれば、ある程度の効果を有することができる。
【0153】
【発明の効果】この発明は、リサイクル工場におけるリサイクルの処理状況を逐次把握することができ、外部からデータの提示を求められた場合、即座に回答することができる。また、リサイクル処理の対象となる処理対象物のリサイクル率算定の基礎となるデータを効率的に取り出すことができる。さらに、リサイクル工場の運転計画支援に役立つ詳細なデータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリサイクル処理管理システムの概略構成図である。
【図2】 図1のリサイクル処理システムにおける各機能要素を示すブロック図である。
【図3】 図1のリサイクル処理管理システムにおける処理手順の概略を示すフローチャートである。
【図4】 図3のトラック入着から荷降ろしまでを更に詳細に示すフローチャートである。
【図5】 受取伝票(荷降ろし伝票)データの内容を示す図である。
【図6】 図3の荷捌き処理を詳細に示すフローチャートである。
【図7】 荷捌き伝票のデータの内容を示す図である。
【図8】 図3の手解体及び破砕/選別処理を詳細に示すフローチャートである。
【図9】 図3のフローチャートに続く手解体及び破砕/選別処理を詳細に示すフローチャートである。
【図10】 出荷伝票の一例を示す図である。
【図11】 図2に示すデータベースに蓄積された各種データ間の関連づけを説明する図である。
【図12】 リサイクル処理工場におけるライン稼動時間およびライン投入人員数の決定方法を説明するである。
【図13】 リサイクル処理工場における廃棄物の入着量予測および工場処理設備の電力量予測の算出手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】 リサイクル処理工場の使用電力の変動の様子を示すグラフである。
【図15】 図1のリサイクル処理管理システムにより運転計画を実行したときの、によりリサイクル処理工場における予測電力量の変動の様子を示すグラフである。
【図16】 従来のリサイクル工場内の処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】 従来の廃棄物のマニフェストの受け渡し形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 入力部1、2 重量測定部、4 荷捌き時間測定部、5 解体時間測定部、6 手解体後重量測定部、7 電力量測定部、8 データベース、9 出力部、10 手解体量推定部、11 リサイクル率算出部、12 有害物処理率算出部、13 入着量推定部、14 電力量推定部、15 運転計画作成部、1000b CRT、1000c キーボード、1000d トラックスケール、1000e ハンディターミナル受信部、1000f プリンタ、1001 ネットワークサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 処理対象物の入着から出荷に至るまでの一連の複数の処理を行うリサイクル処理工場に適用されるリサイクル処理管理システムにおいて、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施した際に、前記処理対象物に関する処理データを取得するデータ取得手段と、該データ取得手段により取得された処理データを前記複数の処理のそれぞれが行われる度にデータベースに入力する入力手段と、を備えたことを特徴とするリサイクル処理管理システム。
【請求項2】 前記データベースに入力された処理データの出力要求があったとき、出力要求のあった処理データを前記データベースから出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項3】 前記処理対象物の処理状況の出力要求があったとき、前記データベースに入力された処理データに基づいて、出力要求のあった処理対象物の処理状況を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項4】 前記処理データは、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施した処理時刻を含むことを特徴とする請求項1記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項5】 前記処理データは、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施すに要した処理時間を含むことを特徴とする請求項1記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項6】 前記複数の処理は、前記リサイクル処理工場が前記処理対象物を受け入れる入着処理を含み、前記データ取得手段は、前記処理対象物に対して作成されたマニフェストを含む入着処理に関連する入着データを前記処理データとして取得し、前記入力手段は、前記複数の処理のそれぞれに対応する前記処理データを、前記マニフェストに関連付けをして前記データベースに入力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項7】 前記複数の処理は、前記リサイクル処理工場が前記処理対象物を受け入れる入着処理を含み、前記データ取得手段は、前記処理対象物に対して作成されたマニフェストを含む入着処理に関連する入着データを前記処理データとして取得し、前記入力手段は、前記入着データに基づき、入着処理に対応した受取伝票データを作成して前記データベースに入力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項8】 前記受取伝票データを表示した紙の受取伝票を印字出力する出力手段を有することを特徴とする請求項7記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項9】 前記複数の処理は、前記処理対象物を運搬してきた車両から処理対象物が荷降ろしされる荷降ろし処理を含み、前記データ取得手段は、前記荷降ろし処理時に、前記処理対象物の重量を表す重量データを前記処理データとして取得することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項10】 前記複数の処理は、前記処理対象物がロット単位に分配される荷捌き処理を含み、前記データ取得手段は、前記荷捌き処理に関連する荷捌きデータを前記処理データとして取得し、前記入力手段は、前記荷捌き処理を含む該荷捌き処理後の各処理時に、前記処理データを対応する各ロットに関連付けしてデータベースに入力することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項11】 前記入力手段は、前記荷捌きデータに基づき、荷捌き処理に対応した荷捌き伝票データを各ロット毎に作成して前記データベースに入力することを特徴とする請求項10記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項12】 前記荷捌き伝票データを表示した紙の荷捌き伝票を印字出力する出力手段を有することを特徴とする請求項11記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項13】 前記荷捌きデータは、前記処理対象物の前記荷捌き処理に要した荷捌き時間を表す荷捌き時間データを含むことを特徴とする請求項11または12記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項14】 前記複数の処理は、前記処理対象物が解体される解体処理を含み、前記データ取得手段は、前記処理対象物が前記解体処理に要した解体処理時間を表す解体処理時間データを前記処理データとして取得することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項15】 前記複数の処理は、前記処理対象物を破砕し、材料別に選別することにより、前記処理対象物を出荷用の破砕取り出し物として取り出す破砕選別処理を含み、前記データ取得手段は、前記破砕取出し物に関する破砕取出し物データを前記処理データとして取得することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項16】 前記入力手段は、前記破砕取出し物データに基づき、破砕取出し物の出荷伝票データを所定の出荷単位毎に作成して前記データベースに入力することを特徴とする請求項15記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項17】 前記複数の処理は、破砕選別処理前に前記処理対象物を解体して、処理対象物の一部を破砕処理を施さないで出荷用の非破砕取出し物として取り出す解体処理を含み、前記データ取得手段は、前記非破砕取出し物に関する非破砕取出し物データを前記処理データとして取得することを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項18】 前記入力手段は、前記非破砕取出し物データに基づき、非破砕取出し物の出荷伝票データを所定の出荷単位毎に作成して前記データベースに入力することを特徴とする請求項17記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項19】 前記出荷伝票データを表示した紙の出荷伝票を印字出力する出力手段を有することを特徴とする請求項16または請求項18記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項20】 前記データベースに入力された処理データに基づいて、処理対象物のリサイクル率を算出するリサイクル率算出手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項21】 前記データベースに入力された処理データに基づいて、前記リサイクル処理工場の運転計画を算出する運転計画算出手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項22】 前記複数の処理は、前記処理対象物を解体する解体処理および該解体処理後の処理対象物を破砕する破砕処理を含み、前記運転計画算出手段は、前記解体処理の計画稼動人員数および計画稼動時間の少なくとも一方を、前記データベースに入力された処理データおよび前記破砕処理に用いられる破砕装置の能力に基づいて算出することを特徴とする請求項21記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項23】 前記データベースに入力された処理データに基づいて、前記リサイクル処理工場に持ち込まれる前記処理対象物の将来の入着量を予測する予測手段を備え、前記運転計画算出手段は、前記予測手段の予測結果に基づいて、前記リサイクル処理工場の運転計画を作成することを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項24】 前記データベースに入力された処理データに基づいて、前記リサイクル処理工場で使用される将来の電力量を予測する予測手段を備え、前記運転計画算出手段は、前記予測手段の予測結果に基づいて、前記リサイクル処理工場の運転計画を作成することを特徴とする請求項1から請求項23のいずれか一つに記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項25】 処理対象物の入着から出荷に至るまでの一連の複数の処理を行うリサイクル処理工場に適用されるリサイクル処理管理方法において、前記処理対象物に対して前記複数の処理のそれぞれを施した際に、前記処理対象物に関する処理データを取得するデータ取得工程と、該データ取得手段により取得された処理データを前記複数の処理のそれぞれが行われる度にデータベースに入力する入力工程と、前記処理対象物の処理状況の出力の要求があったとき、前記データベースに入力された処理データに基づいて、要求のあった処理対象物の処理状況を出力する処理状況出力工程と、を備えたことを特徴とするリサイクル処理管理方法。

【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【図11】
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【図4】
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【図6】
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【図12】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2000−126749(P2000−126749A)
【公開日】平成12年5月9日(2000.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−308892
【出願日】平成10年10月29日(1998.10.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】