説明

リチウムイオンキャパシタ及びその製造方法

【課題】本発明は、リチウムイオンキャパシタの製造方法及びこれによって製造されたリチウムイオンキャパシタを提供する。
【解決手段】セパレータ113の一面にリチウム薄膜114を形成し、該リチウム薄膜114と負極112とを互いに接触させ、該セパレータ113を介して交互に負極112及び正極111を配設して電極セル110を形成し、該電極セル110及び電解液をハワジング150に収容し、負極12にリチウム薄膜114からリチウムイオンをプレドーピングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオンキャパシタに関し、一面に配設されたリチウム薄膜を備えるセパレータを用いて、負極のリチウムイオンプレドーピング工程を行うリチウムイオンキャパシタの製造方法及びこれによって製造されたリチウムイオンキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気化学的エネルギー保存装置は、全ての携帯用情報通信機器、電子機器に必須で用いられる完成品機器の核心部品である。また、電気化学的エネルギー保存装置は、未来型電気自動車及び携帯用電子装置等に適用可能な新再生エネルギー分野の高品質エネルギー源として確かに用いられるはずである。
【0003】
電気化学的エネルギー保存装置のうち電気化学キャパシタは、電気二重層原理を用いる電気二重層キャパシタ(Electrical Double Layer Capacitor)と電気化学的酸環−還元反応を用いるハイブリッドスーパーキャパシタ(Hybrid super capacitor)とに大別される。
【0004】
電気二重層キャパシタは、高出力エネルギー特性を必要とする分野において多用されているが、小容量という問題を有している。これに比べて、ハイブリッドスーパーキャパシタは、電気二重層キャパシタの容量特性を改善するための新たな対案として多くの研究がなされている。
特に、ハイブリッドスーパーキャパシタのうちリチウムイオンキャパシタ(Lithium ion capacitor:LIC)は、負極にリチウムイオンをドーピングすることによって、電気二重層キャパシタに比べて3〜4倍程度の充電容量を有して、大きいエネルギー密度を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許出願公開第1999−086847号
【特許文献2】韓国特許出願公開第2008−0080134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
負極にリチウムイオンをプレドーピングするための工程は、電極セルの最上端層と最下端層とに各々リチウム金属膜を設けた後、電解質溶液に浸漬させることによって行われる。該リチウム金属膜は電極セルの両端に各々設けられるため、積層された負極全体にリチウムイオンが不均一にドーピングされるだけではなく、プレドーピング工程完了後にリチウム金属膜が残存し、リチウムイオンキャパシタの作動時に該リチウム金属が析出され、リチウムイオンキャパシタの信頼性が低下することがある。
【0007】
また、リチウムイオンが電極セルの内部に設けられた負極に均一にドーピングされるまでの時間が20日程度が要され、量産への適用に困難さがあった。即ち、リチウムイオンキャパシタは、容量特性を向上させるために負極にプレドーピング工程を必須で行わなければならないが、負極のプレドーピング工程によりリチウムイオンキャパシタの信頼性が低下するかまたは量産へ適用するのに限界があった。
【0008】
そのため、高容量のリチウムイオンキャパシタを量産へ適用するために、負極にリチウムイオンを均一に且つ速やかにドーピング可能な新たな負極プレドーピング工程が要求されている。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、一面に配設されたリチウム薄膜を備えるセパレータを用いて、負極のリチウムイオンプレドーピング工程を行うリチウムイオンキャパシタの製造方法及びこれによって製造されたリチウムイオンキャパシタを提供するに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を解決するために、本実施形態によるリチウムイオンキャパシタの製造方法は、セパレータの一面にリチウム薄膜を形成するステップと、前記リチウム薄膜と前記負極とを互いに接触させ、該セパレータを介して交互に前記負極及び前記正極を配設して電極セルを形成するステップと、前記電極セル及び電解液をハウジングに収容して、前記負極に前記リチウム薄膜からリチウムイオンをプレドーピングするステップと、を含むことができる。
【0011】
前記負極は、負極集電体と該負極集電体の一面に負極活物質層とを備えることができる。
【0012】
また、前記リチウム薄膜と前記負極とを互いに接触させ、該セパレータを介して交互に前記負極及び前記正極を配設して電極セルを形成するステップにて、前記負極集電体と前記リチウム薄膜とは互いに接触することができる。
【0013】
また、前記負極集電体は、多数の貫通孔を備えるメッシュタイプに形成されることができる。
【0014】
また、前記正極は、正極集電体と該正極集電体の両面に各々配設された正極活物質層とを含むことができる。
【0015】
また、前記正極集電体は、無孔のシート形態を有することができる。
【0016】
また、前記リチウム薄膜は、1〜10μmの厚さ範囲を有することができる。
【0017】
また、前記セパレータの一面にリチウム薄膜を形成するステップにて、前記リチウム薄膜の形成は、真空蒸着法によって行われることができる。
【0018】
また、上記目的を解決するために、他の実施形態によるリチウムイオンキャパシタは、セパレータを介して交互に配設された正極及び負極を含むリチウムイオンキャパシタであって、前記正極は、無孔の正極集電体と該正極集電体の両面に各々配設された正極活物質層とを含み、前記負極は、メッシュタイプの負極集電体と該負極集電体の一面に配設された負極活物質層とを含むことができる。
【0019】
前記負極活物質層には、リチウムイオンがドーピングされることができる。
【0020】
また、前記負極活物質層は、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化炭素繊維、難黒鉛性カーボン及びカーボンナノチューブのうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0021】
また、前記正極活物質層は、活性炭を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本実施形態によれば、セパレータに形成されたリチウム薄膜を用いて、負極に直接的にリチウムイオンをプレドーピングすることによって、プレドーピング工程時間を短縮すると共に該負極に均一にリチウムイオンをドーピングすることができる。
【0023】
また、負極に均一に且つ速やかにリチウムイオンをドーピングして、高容量のリチウムイオンキャパシタの製造が可能であると共に信頼性及び量産性を確保することができる。
【0024】
また、電極のプレドーピング工程は、電極セルを収容するハウジング内部で行われ、該工程を進行するために別途にグローブボックスを備えなくてもよく、リチウムイオンキャパシタの工程単価を減らすことができる。
【0025】
また、正極は、無孔の形態を有する集電体を備え、リチウムイオンキャパシタの内部抵抗を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態によるリチウムイオンキャパシタの製造工程を示す斜視図である。
【図2】同じく、リチウムイオンキャパシタの製造工程を示す斜視図である。
【図3】同じく、リチウムイオンキャパシタの製造工程を示す斜視図である。
【図4】同じく、リチウムイオンキャパシタの製造工程を示す斜視図である。
【図5】同じく、リチウムイオンキャパシタの製造工程を示す斜視図である。
【図6】同じく、リチウムイオンキャパシタの製造工程を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態によるリチウムイオンキャパシタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態では具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0028】
図1〜図6は、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオンキャパシタの製造工程を示す斜視図である。
【0029】
図1を参照して、リチウムイオンキャパシタ100を製造するために、まず、セパレータ113の一面にリチウム薄膜114を形成する。
【0030】
該セパレータ113は、後述の負極112と正極111とを互いに電気的に分離する役割をする。セパレータ113はイオンの移動のために多孔性を有することができる。セパレータ113を形成する材料の例としては、紙、不織布及びセルロース系樹脂等が挙げられるが、本発明の実施形態ではこれに限定するものではない。
【0031】
リチウム薄膜114は、後述の負極112にリチウムイオンを供給するための供給源の役割をする。該リチウム薄膜114は真空蒸着法によって形成されることができる。リチウム薄膜114は1〜10μmの厚さ範囲を有することができる。リチウム薄膜の厚さが1μm未満の場合、負極112にドーピングされるためのリチウムの量があまり少なく、負極活物質層112bとリチウム薄膜114との間の接触抵抗が増大して、プレドーピング工程が十分に行われなくなる。一方、リチウム薄膜の厚さが10μm超の場合、負極112にプレドーピング工程を行った後セパレータ113上に残されることになる。リチウム薄膜114の厚さに対して限定するわけではなく、負極材料の材料や厚さによって変更されてもよい。
【0032】
図2を参照して、セパレータ113上にリチウム薄膜114を形成することとは別途に、負極112を提供する。該負極112は、負極集電体112aと該負極集電体112aの一面に配設された負極活物質層112bとを含むことができる。
【0033】
負極集電体112aは金属、例えば銅、ニッケル及びステンレスのうちいずれか1つを含むことができる。負極集電体112aはイオンの移動を効率よく行って均一なドーピング工程のために多数の貫通孔を備えるメッシュ形態を有することができる。
【0034】
負極活物質層112bは、リチウムイオンを可逆的にドーピング及び脱ドーピング可能な炭素材料、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、MCF(Mesophasepitchbased Carbon Fiber)、MCMB(Meso Carbon Micro Bead)、黒鉛ウイスカ(whisker)、黒鉛化炭素繊維、難黒鉛性カーボン、ポリアセン(polyacene)系有機半導体、カーボンナノチューブ、炭素材料材料と黒鉛材料との複合炭素材料、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)樹脂の熱分解物、ノボラック(novolac)樹脂の熱分解物、ピッチ(pitch)及びコークス等の縮合多環炭化水素化物の熱分解物のうちのいずれか1つまたは2つ以上の混合物から成ることができる。
【0035】
また、負極活物質層112bはバインダをさらに含むことができる。該バインダを形成する材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等の熱可塑性樹脂、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系樹脂、エチレンプロピレンジエン共重合体(EPDM)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びポリビニリピロリドン(PVP)のうちのいずれか一つまたは2つ以上が挙げられる。
【0036】
また、負極活物質層112bは、カーボンブラックのような導電材と溶媒とをさらに含むことができる。
【0037】
負極112は、外部電源と接続するための負極端子130を備えることができる。該負極端子130は、負極集電体112aから延びていることができる。該負極端子130は、各々の負極集電体112aから延びて多数積層されるため、外部電源と容易に接触するために積層された負極端子130は超音波融着により一体化されることができる。また、負極端子130は別途の外部端子を備え、該外部端子と融着または溶接により接続されることができる。
【0038】
図3を参照して、負極を提供することとは別途に、正極111を提供する。
【0039】
正極111は、正極集電体111aと該正極集電体111aの両面に各々配設された正極活物質層111bとを含むことができる。
【0040】
正極集電体111aは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、チタン、タンタル及びニオブのうちいずれか1つからなることができる。正極集電体111aは無孔のシート形態を有することができる。これは、後続工程において負極にリチウム薄膜を直接接触してプレドーピング工程を進行するため、正極集電体111aにリチウムイオンの移動のために貫通孔を備える必要がないためである。これにより、正極集電体111aは無孔のシート形態を有することによって、リチウムイオンキャパシタの内部抵抗を減らすことができる。
【0041】
正極活物質層111bは、イオンを可逆的にドーピング及び脱ドーピング可能な炭素材料、即ち活性炭を含むことができる。また、正極活物質層111bはバインダをさらに含むことができる。該バインダを形成する材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等の熱可塑性樹脂、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系樹脂、エチレンプロピレンジエン共重合体(EPDM)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びポリビニリピロリドン(PVP)等から1つまたは2つ以上が挙げられる。また、正極活物質層222は導電材、例えばカーボンブラック、溶媒などをさらに含むことができる。
【0042】
正極111は、外部電源と接続するための正極端子120を備えることができる。該正極端子120は別途の端子を融着して形成されるか、または正極111の正極集電体111aから延びて形成されることができる。
【0043】
図4を参照して、リチウム薄膜114の形成されたセパレータ113、正極111及び負極112を提供した後、該セパレータ113を介して正極111及び負極112を順次配設して電極セル110を形成する。該負極112にリチウムイオンをプレドーピングするために、セパレータ113のリチウム薄膜114と負極112の負極集電体112aとを互いに接触させる。これは、負極活物質層112bは炭素素材からなるため、リチウム薄膜114と直接接触する場合、抵抗の発生で負極活物質層112bにリチウムイオンをドーピングしにくいためである。ここで、導体からなる負極集電体112aとリチウム薄膜114とを互いに接触させて、負極活物質層112bにリチウムイオンをドーピングすることによって、ドーピング時の抵抗を低くし、負極活物質層112bにリチウムイオンが均一にドーピングすることができる。
【0044】
本発明の実施形態では、電極セル110はパウチタイプであると示したが、これに限定されるわけではない。例えば、電極セル110は正極111、負極112及びセパレータ113がロール形態で巻き取られた巻取タイプであってもよい。
【0045】
図5を参照して、多数に積層された負極端子130及び多数に積層された正極端子120を融着して各々一体化する。該融着工程方法の例としては、超音波溶接、レーザ溶接及びスポット溶接等が挙げられるが、本発明の実施形態ではこれに限定するわけではない。また、融着した負極端子130と正極端子120との各々に別途に外部端子を接続することができる。
【0046】
電極セル110を形成した後、電極セル110及び電解液をハウジング150で封止することによって、リチウムイオンキャパシタ100を形成することができる。
【0047】
電極セル110の封止工程を具体的に説明する。まず、電極セル110を挟んで2枚のラミネートフィルムを提供する。続いて、該2枚のラミネートフィルムを熱融着することにより、電極セル110はハウジング150に収容されることができる。該融着した正極端子120及び負極端子130は外部電源と電気的に接続されるためにハウジング150から露出されている。
【0048】
該熱融着工程は、2枚のラミネートフィルムのエッジに沿って行われる。また、該工程は、該2枚のラミネートフィルム間に介在する電極セル110に電解液を投入するためのスキ間を残すように行われる。該スキ間を通じて、ハウジング150の内部に電解液を充填する場合、該電解液は電極セル110、即ちセパレータ113、負極活物質層112b及び正極活物質層111bに含浸されることができる。
【0049】
また、互いに電気的に短絡したリチウム薄膜114と負極活物質層112bとの電位差によって、リチウムイオンはリチウム薄膜114から負極集電体112aの貫通孔を通過して負極活物質層112bにプレドーピングされることになる。
【0050】
該電解液は、電解質及び溶媒を含むことができる。該電解質は、塩の状態で、例えばリチウム塩またはアンモニウム塩等であってもよい。該溶媒は、非プロトン性有機溶媒を用いてもよい。該溶媒は、電解質の溶解性、電極との反応性、粘性及び使用温度範囲を考慮して選択することができる。該溶媒の例としては、プロピレンカルボネート、ジエチルカルボネート、エチレンカルボネート、スルホラン、アセトンニトリル、ジメトキシエタン及びテトラヒドロフラン、エチルメチルカルボネート等が挙げられる。ここで、溶媒は、1つまたは2つ以上を混合して用いられてもよい。例えば、該溶媒は、エチレンカーボンとエチルメチルカルボネートとを混合して用いてもよい。ここで、エチレンカーボンとエチルメチルカルボネートとの混合比は、1:1〜1:2であってもよい。
【0051】
電解液の充填を完了した後、スキ間を真空封止することによって、リチウムイオンキャパシタ100を形成することができる。
【0052】
ここで、ハウジング150はラミネートフィルムを用いて形成することと示したが、これに限定するものではなく、金属缶を用いてもよい。
【0053】
本発明の実施形態のように、セパレータを介して積層された負極112に各々リチウム薄膜を直接接触してリチウムイオンをプレドーピングさせることによって、プレドーピング工程時間を短縮することができる。これにより、リチウムイオンキャパシタの量産性を高めることができる。
【0054】
また、負極112のプレドーピング工程は、ハウジング150の内部で行われ、負極112のプレドーピング工程のためのグローブボックスを備えなくてもよく、生産設備の投資を縮小でき、リチウムイオンキャパシタの生産コストを減らすことができる。
【0055】
また、負極112にリチウム薄膜114を直接接触してリチウムイオンをプレドーピングさせることによって、リチウムイオンが正極集電体111aで移動しなくてもよく、正極集電体111aは無孔のシート形態を有することができ、リチウムイオンキャパシタの抵抗を減らすことができる。
【0056】
本発明の実施形態によるリチウムイオンキャパシタは、3.8V〜2.0の高電圧範囲で60℃サイクルに優れて大容量を得ることができる。これにより、2次のプレドーピング工程で負極にリチウムイオンをプレドーピングすることによって、エネルギー密度を向上させ、信頼性を確保することができるものが認められた。
【0057】
以下、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオンキャパシタの製造方法によって製造されたリチウムイオンキャパシタについて説明することにする。
【0058】
図7は、本発明の第2の実施形態によるリチウムイオンキャパシタの断面図である。
【0059】
図7を参照して、本発明の第2の実施形態によるリチウムイオンキャパシタは、電極セル110と、電解液に含浸された電極セル110を封止するハウジング(図6の150)とを含むことができる。
【0060】
該電極セル110は、セパレータ110を介して交互に配設された正極111と負極112とを備えることができる。
【0061】
正極111は、正極集電体111aと該正極集電体111aの両面に各々配設された正極活物質層111bとを含むことができる。ここで、負極112のプレドーピング工程が負極112にリチウム薄膜114を直接接触して行われるため、リチウムイオンが正極集電体111aを通過する必要がなく、正極集電体111aは無孔のシート形態を有することができる。これにより、リチウムイオンキャパシタ100の内部抵抗を低くすることができる。
【0062】
正極活物質層111bは、リチウムイオンを可逆的にドーピング及び脱ドーピング可能な炭素材料、例えば活性炭を含むことができる。
【0063】
正極111は、正極集電体111aの一側に配設された正極端子120を備えることができる。
【0064】
負極112は、負極集電体112aと該負極集電体112aの一面に配設された負極活物質層112bとを含むことができる。これは負極のプレドーピング工程で負極活物質層112bとリチウム薄膜との間の抵抗を低くするために、負極集電体112aとリチウム薄膜とを互いに接触させるためである。
【0065】
ここで、負極集電体112aに用いられる材料の例としては、銅及びニッケルのうちの少なくともいずれか一つからなるホイルが挙げられる。負極集電体112aは、負極活物質層112bにリチウムイオンを移動させるために多数の貫通孔を有するメッシュ形態を有することができる。
【0066】
負極活物質層は、リチウムイオンを可逆的にドーピング及び脱ドーピング可能な炭素材料、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化炭素繊維、難黒鉛性カーボン及びカーボンナノチューブのうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。負極活物質層112bにリチウムイオンがプレドーピングされており、負極活物質層112bの電位は、リチウムを基準に0Vに近接し、リチウムイオンキャパシタのエネルギー密度を増大させて充放電サイクルの信頼性を向上させることができる。ここで、負極活物質層112bの電位は、リチウムイオンのプレドーピング工程の制御で適用製品によって多様に変更されてもよい。
【0067】
負極112は、負極集電体112aの一側に配設された負極端子130を備えることができる。
【0068】
従って、本発明の実施形態のように、負極は負極集電体の一面にのみ負極活物質層を備えることによって、従来厚さを維持しつつリチウムイオンキャパシタに積層される電極数を増大させることができ、リチウムイオンキャパシタの内部抵抗を低くすることができる。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
100 リチウムイオンキャパシタ
110 電極セル
111 正極
112 負極
113 セパレータ
114 リチウム薄膜
120 正極端子
130 負極端子
150 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータの一面にリチウム薄膜を形成するステップと、
前記リチウム薄膜と負極とを互いに接触させ、該セパレータを介して交互に前記負極及び正極を配設して電極セルを形成するステップと、
前記電極セル及び電解液をハウジングに収容し、前記負極に前記リチウム薄膜からリチウムイオンをプレドーピングするステップと、
を含むリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項2】
前記負極は、負極集電体と該負極集電体の一面に負極活物質層とを備える請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項3】
前記リチウム薄膜と前記負極とを互いに接触させ、該セパレータを介して交互に前記負極及び前記正極を配設して電極セルを形成するステップにて、
前記負極集電体と前記リチウム薄膜とは、互いに接触する請求項2に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項4】
前記負極集電体は、多数の貫通孔を備えるメッシュタイプで形成される請求項2に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項5】
前記正極は、正極集電体と該正極集電体の両面に各々配設された正極活物質層とを含む請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項6】
前記正極集電体は、無孔のシート形態を有する請求項5に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項7】
前記リチウム薄膜は、1〜10μmの厚さ範囲を有する請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記セパレータの一面にリチウム薄膜を形成するステップにて、
前記リチウム薄膜の形成は、真空蒸着法によって行われる請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタの製造方法。
【請求項9】
セパレータを挟んで交互に配設される正極及び負極を含むリチウムイオンキャパシタであって、
前記正極は、無孔の正極集電体と該正極集電体の両面に各々配設された正極活物質層とを含み、
前記負極は、メッシュタイプの負極集電体と該負極集電体の一面に配設された負極活物質層とを含むリチウムイオンキャパシタ。
【請求項10】
前記負極活物質層には、リチウムイオンがドーピングされている請求項9に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【請求項11】
前記負極活物質層は、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化炭素繊維、難黒鉛性カーボン及びカーボンナノチューブのうちの少なくともいずれか一つを含む請求項9に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【請求項12】
前記正極活物質層は、活性炭を含む請求項9に記載のリチウムイオンキャパシタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−54524(P2012−54524A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12760(P2011−12760)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】