説明

リチウムイオン電池に使用するための負電極材料中のナノスケールシリコン粒子

本発明はリチウムイオン電池用電極材料に関する。前記材料は、BET表面積5〜700m/gおよび平均一次粒子直径5〜200nmを有するナノスケールシリコン粒子5〜85質量%、導電性カーボンブラック0〜10質量%、平均粒子直径1〜100μmを有する黒鉛5〜80質量%、および結合剤5〜25質量%を含有し、成分の割合の合計は全部で最大100質量%になることを特徴とする。本発明は更にリチウムイオン電池を製造するための本発明の電極材料の使用および本発明の電極材料を含有する負電極を有するリチウムイオン電池に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極材料およびリチウムイオン電池でのその使用に関する。
【0002】
リチウムイオン電池は、実際に使用できる公知の化学的および電気化学的エネルギー貯蔵体の中で180Wh/kgまでの最も高いエネルギー密度を有するので、技術的にきわめて興味深いエネルギー貯蔵装置である。リチウムイオン電池は特に、例えばラップトップまたは移動電話のような携帯可能な電子部品の分野で使用される。例えば自転車または自動車のような移動手段の分野でのリチウムイオン電池の使用はすでに議論されている。
【0003】
負電極材料(アノード)として特にグラファイトカーボンが使用される。グラファイトカーボンはその安定なサイクル特性およびいわゆるリチウム電池に使用されるリチウム金属に比べて取り扱いに関するきわめて高い安全性により際立っている。負電極材料でのグラファイトカーボンの使用に関する実質的な議論は、リチウムの貯蔵および排出と結びついたホスト材料の小さい体積の変化であり、すなわち電極が大体安定に維持される。従ってLiCの限定する化学量論に関する約10%のみの体積の増加はグラファイトカーボンでのリチウム貯蔵として測定できる。しかしグラファイトカーボンのLi/Liに関する約100〜200mVのきわめて低い電位は不利である。他方でグラファイトカーボンの他の欠点は理論的に372mAh/gのグラファイトのそのかなり低い電気化学的容量であり、これはリチウム金属を使用して理論的に達成されるリチウム4235mAh/gの電気化学的容量のわずか1/10にほぼ相当する。
【0004】
従って選択的材料の探求が、例えばアルミニウムベースの二成分合金(Lindsay等、J.Power Sources119(2003)、84)、錫ベースの二成分合金(Winter等、Electrochim.Acta45(1999)、31、Tirado Mater.Sci.Eng.R−Rep.40(2003)、103)またはアンチモンベースの二成分合金(Tirado Mater.Sci.Eng.R−Rep.40(2003)、103)、銅−錫ベースの三成分合金(Kepler等、Electrochem.Solid−State Lett.2(1999)、307)または銅−アンチモンベースの三成分合金(Yang等、Electrochem.Solid State Lett.2(1999)、161)または酸化錫ベース金属酸化物(Huggins Solid State Ion.152(2002)、61)のような特に合金の分野で長い間継続している。これらの材料は、例えば錫の場合に994mAh/gの高い理論的比容量を有する。これらの高い理論的容量を可逆的に使用することができる場合は、リチウムイオン電池のエネルギー密度の実質的な増加が可能である。
【0005】
金属リチウムに比較して、合金をベースとするアノード材料はリチウム堆積の間に樹脂状結晶の形成が起こらない利点を有する。グラファイト材料と異なり、合金をベースとするアノード材料はプロピレンカーボネートをベースとする電解質と一緒に使用するために適している。これは低温でのリチウムイオン電池の使用を可能にする。しかしこれらの合金の欠点は、サイクル中、すなわちリチウムの貯蔵および排出の間の大きな体積膨張であり、これは200%より大きく、若干の場合は200%にまでなる(Basenはrd等、J.Power Sources68(1997)、87)。
【0006】
電極材料として金属酸化物を使用して、最初のリチウム貯蔵の間に金属酸化物の金属および酸化リチウムへの還元が行われ、酸化リチウムがマトリックスの方式で微細な金属粒子に埋め込まれる。従って、引き続くサイクルの間に体積膨張を部分的に吸収することができ、実質的にサイクル特性が改良する。
【0007】
シリコンは、錫と同様に、電気化学的に活性なリチウム二成分化合物と一緒に形成されるので、同様に探求された(Weydanz等、Journal of Power Sources 82(1999)、237、Seefurth等、J.Electrochem.Soc.124(1977)、1207、Lai J.Electrochem.Soc.123(1976)、1196)。リチウムおよびシリコンのこれらの二成分化合物はきわめて高いリチウム含量を有する。リチウム含量の理論的最大値はLi4.2Siであり、シリコンの約440mAh/gのきわめて高い理論的比容量に相当する(Lupu等、Inorg.Chem.42(2003)3765)。これらの二成分化合物はLi/Liに対して(すなわち参考として使用される金属リチウムの電位に対して)500mVより少ない、グラファイト中のリチウムの挿入化合物の場合の電位と同様に低い電位で形成される。前記二成分合金の場合のように、リチウムの貯蔵および排出はシリコンの場合も同様に323%以下のきわめて大きい体積膨張と結びつく。この体積膨張は結晶子のかなりの機械的負荷、従って非晶質化を生じ、電気的接触の損失とともに粒子の分解を生じる(Winter等、Adv.Mater.10(1998)、725、Yang等、Solid State Ion.90(1996)、281、Bourderau等、J.Power Sources82(1999)、233)。
【0008】
例えば数時間の粉砕(Dimov等、Electrochim.Acta48(2003)1579、Niu等、Electrochem.Solid State Lett.5.(2002)A107)、気相からの炭素の被覆(Wilson等、J.Electrochem.Soc.142(1995)326)およびそれぞれの前駆物質の緊密な混合物の熱分解(Larcher等、Solid State Ion.122(1999)、71、Wen等、Electrochem.Commun5(2003)、165)のような、シリコンと支持体材料の付着を改良するために、種々の技術が使用される。シリコンの多い組成物(Si60〜80質量%)およびシリコンの少ない組成物(Si5〜20質量%)で実験が行われた。
【0009】
約100nmの粒度を有するナノスケール材料での実験は、Graetz等、Electrochem.Solid State Lett.6(2003)Al94、Li等、Electrochem.Solid State Lett.2(1999)、547、Yang等、Electrochem.Solid State Lett.6(2003)A154およびGao等、Adv.Mater.13(2001)、816に記載されている。Graetz等は、2300mAh/gより大きい(化学的蒸着により堆積した皮膜の場合に)または1100mAh/g(粒子上の皮膜形成の場合に)の可逆的容量を有するナノスケールシリコン皮膜の製造を記載するが、減衰がかなり高い。Li等はナノスケールシリコンおよびカーボンブラックの混合物を使用し、同様に最初は2000mAh/gより大きいまでのきわめて高い容量を有するが、サイクルによりかなり低下し、25サイクル未満が記載される。Yang等は活性材料を製造するためにナノシリコン含有出発混合物の熱分解を使用し、30サイクルの間に700mAh/gより大きい可逆的容量が得られるが、この場合も減衰が避けられない。Gao等はリチウムと一緒にレーザー切除により得られるシリコンの電気化学的反応を記載するが、最初に約700mAh/gの可逆的容量が得られる。
【0010】
本発明の課題は、高い可逆的容量を有する電極材料を提供することであり、好ましくは同時にわずかな減衰および/または第1サイクルでの少ない可逆的容量損失を達成すべきである。特に本発明の課題は、サイクルの間に十分な機械的安定性を有する電極材料を提供することである。
【0011】
本発明の範囲で減衰は継続したサイクル中の可逆的容量の減少を意味すると理解される。
【0012】
意想外にも、BET表面積5〜700m/gおよび平均粒子直径5〜200nmを有するナノスケールシリコン粒子を有する電極材料が、特に技術水準によるリチウムイオン電池用のシリコンベース負電極と比較して、良好なサイクル特性を生じることが見出された。これらの電極がきわめて高い可逆的容量を有し、サイクルの経過中にほぼ一定に維持され、わずかな減衰のみが認められることが見出されたがゆえに、前記課題の解決はすべて意想外なことであった。更にこれらのナノスケールシリコン粒子の使用の結果として、電極材料がかなり改良した機械的安定性を有することが見出された。第1サイクルの間の不可逆的容量損失が減少する事実も意想外であった。
【0013】
従って本発明はリチウムイオン電池用の電極材料に関し、前記電極材料が、
BET表面積5〜700m/gおよび平均一次粒子直径5〜200nmを有するナノスケールシリコン粒子5〜85質量%、
導電性カーボンブラック0〜10質量%、
平均粒子直径1〜100μmを有する黒鉛5〜80質量%、および
結合剤5〜25質量%を含有し、成分の割合の合計は最大で100質量%であることを特徴とする。
【0014】
本発明は更にリチウムイオン電池を製造するための本発明による電極材料の使用に関する。本発明は更に本発明による電極材料を有する負電極を有するリチウムイオン電池に関する。
【0015】
本発明による電極材料が使用される電極はきわめて高い可逆的容量を有する。これはナノスケールシリコン粒子の高い含量を有する本発明による電極材料およびナノスケールシリコン粒子の低い含量を有する本発明による電極材料の両方に該当する。この可逆的容量はサイクルの経過中にほぼ一定に維持され、わずかな減衰のみが認められる。更に本発明による電極材料は良好な安定性を有する。これは例えば本発明による電極材料の機械的破壊のような疲労現象がかなり長いサイクルの間でもほとんど起こらないことを意味する。技術水準によるリチウムイオン電池用の相当するシリコンを含有する合金ベース電極材料と比較して本発明による電極材料を使用して第1サイクルの間の不可逆的容量損失を減少することができる。一般に本発明による電極材料は良好なサイクル特性を有する。更に本発明による電極材料はプロピレンカーボネートをベースとする電解質に対する十分な安定性が存在する利点を有する。
【0016】
本発明によるリチウムイオン電池用電極材料は、電極材料が、
BET表面積5〜700m/gおよび平均一次粒子直径5〜200nmを有するナノスケールシリコン粒子5〜85質量%、
導電性カーボンブラック0〜10質量%、
平均粒子直径1〜100μmを有する黒鉛5〜80質量%、および
結合剤5〜25質量%を含有し、成分の割合の合計は最大で100質量%であることを特徴とする。
【0017】
本発明の範囲で、電極材料は、混合物が酸化および/または還元反応により電池中に電気化学的エネルギーを貯蔵できる1種の物質または2種以上の物質からなる混合物であると理解される。(充電した)電池中でエネルギーを放出する電気化学的反応が酸化または還元であるかに依存して、負電極材料または正電極材料の用語またはアノード材料またはカソード材料の用語が使用される。
【0018】
本発明による電極材料が導電性カーボンブラック0〜5質量%、有利に0.5〜4質量%を含有する場合が有利である。有利に本発明による電極材料は導電性カーボンブラックとして高純度合成カーボンブラックを含有する。これは有利に20〜60nm、特に30〜50nmの平均粒度を有する。更に本発明による電極材料に含まれる導電性カーボンブラックがBET表面積50〜80m/g、有利に55〜70m/gを有する場合が有利である。本発明による電極材料の特別の実施態様において、電極材料は導電性カーボンブラックとして、35〜45nmの平均粒度および57〜67m/gのBET表面積を有する高純度合成カーボンブラックを含有する。
【0019】
本発明による電極材料が結合剤5〜25質量%、有利に5〜10質量%および特に10質量%を含有する場合が有利である。本発明の範囲で結合剤はシリコン粒子、黒鉛および場合により導電性カーボンブラックを互いにおよび有利に銅、ニッケルまたはステンレス鋼からなる支持体材料と結合できる化合物を意味すると理解される。本発明による電極材料は有利にポリマー結合剤、有利にポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリオレフィンを含有するが、特に有利に熱可塑性エラストマー、特にエチレン/プロピレン−ジエンターポリマーを含有する。本発明による電極材料の特別な実施態様において、電極材料は結合剤としてゼラチンまたは変性セルロースを含有する。
【0020】
本発明による電極材料は、有利に平均粒子直径1〜100μm、有利に2〜50μmを有する黒鉛5〜80質量%を含有する。本発明による電極材料に含まれる黒鉛は有利にd90値5〜10μmを有する。本発明の範囲で6μmのd90値はすべての粒子の90%が6μmに等しいかまたは小さい粒度を有することであると理解される。更に本発明による電極材料に含まれる黒鉛は有利に5〜30m/g、有利に10〜20m/gのBET表面積を有する。
【0021】
本発明による電極材料は更に平均一次粒子直径5〜200nm、有利に5〜100nmを有するナノスケールシリコン粒子5〜85質量%を含有する。凝集物または凝結物を形成するために凝集した一次粒子は有利に20〜1000nmの大きさを有する。粒子直径は透過電子顕微鏡(TEM)により得られる顕微鏡写真にもとづき決定される。
【0022】
有利な実施態様において、本発明による電極材料は有利に黒鉛8〜20質量%、有利に10〜15質量%およびナノスケールシリコン粒子65〜86.5質量%、有利に70〜84.5質量%を含有する。本発明によるリチウムイオン電池用電極材料の特に有利な実施態様において、前記電極材料は、
ナノスケールシリコン粒子65〜86.5質量%、
導電性カーボンブラック0.5〜10質量%、
平均粒子直径1〜100μmを有する黒鉛8〜20質量%および
結合剤5〜10質量%を有する。
【0023】
本発明による電極材料の以下の組成が特に有利である。
ナノスケールシリコン粒子80質量%、
導電性カーボンブラック0.5〜10質量%、
平均粒子直径1〜100μmを有する黒鉛10〜15質量%および
結合剤5〜10質量%。
【0024】
本発明による電極材料の他の実施態様において、電極材料は、黒鉛55〜85質量%、有利に65〜80質量%およびナノスケールシリコン粒子5〜40質量%、有利に10〜30質量%を含有する。有利な実施態様において、本発明によるこの電極材料は、
ナノスケールシリコン粒子5〜40質量%
平均粒子直径2〜50μmを有する黒鉛55〜85質量%および
結合剤5〜10質量%を含有する。
【0025】
本発明による電極材料の以下の組成が特に有利である。
ナノスケールシリコン粒子20質量%
平均粒子直径2〜50μmを有する黒鉛70〜75質量%および
結合剤5〜10質量%。
【0026】
本発明による電極材料はシリコン粒子として、有利に5〜700m/g、有利に6〜140m/g、特に7〜50m/g、特に有利に10〜20m/gのBET表面積を有するナノスケールシリコン粉末、凝結物シリコン粉末、結晶質シリコン粉末を含有する。本発明による電極材料の特別な実施態様において、前記電極材料は少なくとも150m/g、有利に160〜450m/gのBET表面積を有するナノスケールシリコン粉末、凝結物シリコン粉末、結晶質シリコン粉末を含有することができる。本発明により、BET表面積はDIN66131に代わるISO9277(1995)により決定される。
【0027】
本発明の範囲で、凝結物は、反応中に最初に形成される球状またはきわめて球状に近い一次粒子が引き続く反応の経過中に結合して凝結物を形成することであると理解される。凝結物の互いの成長の程度は処理パラメーターに影響される。これらの凝結物は引き続く反応の経過中に凝集物を形成することができる。部分的に一次粒子に分配される凝結物と異なり、凝集物は本発明の範囲で、凝結物に容易に分解できる凝結物のゆるい結合のみを表わすと理解される。
【0028】
結晶質は、新たに製造したシリコン粉末の少なくとも90%が結晶質であることを表すと理解される。本発明の範囲で、新たに製造した粉末は製造工程を通過した粉末であり、例えば表面での酸化によるような老化現象をなお示さない粉末であると理解される。このような結晶構造は、例えばX線回折法により、公知の結晶構造および結晶子の大きさのシリコン粉末と使用したシリコン粉末の[111]、[220]および[311]信号の強度の比較により決定できる。少なくとも95%の結晶構造を有するシリコン粉末が有利であり、少なくとも98%の結晶構造を有するシリコン粉末が特に有利である。例えば透過電子顕微鏡(TEM)の顕微鏡写真の評価および結晶状態の特徴として格子ラインを有する一次粒子の算定はこの結晶構造を決定するために適している。
【0029】
更に本発明による電極材料はドープされたシリコン粒子を含有することができる。ドーピング成分として、元素、燐、ヒ素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムが存在することができる。本発明の範囲で、ドーピング成分はシリコン粒子中に存在する元素を表すと理解される。シリコン粒子中のこれらのドーピング成分の割合は1質量%までであることができる。一般にシリコン粒子はドーピング成分をppmまたはppb範囲で含有する。ドーピング成分の原子1013〜1015/cmの範囲が有利である。
【0030】
本発明による電極材料中のシリコン粒子がドーピング成分としてリチウムを含有することが可能である。シリコン粒子中のリチウムの割合は53質量%までであることができる。特に有利にシリコン粒子中に20〜40質量%までのリチウムが含有されていることができる。
【0031】
ドーピング成分はシリコン粒子中に均一に分配されているかまたは蓄積されているかまたは一次粒子の被膜またはコアに挿入されていることができる。有利にドーピング成分はシリコンの格子部位として組み込むことができる。これはドーピング物質の種類およびシリコン粒子の製造での反応に依存する。
【0032】
本発明による電極材料は、新しく製造される限りで、粒子表面でのシリコンに対してなお98モル%までの水素負荷を有するシリコン粒子を含有することができ、30〜95モル%の範囲が特に有利である。NMR分光分析法、例えばH−MAS−NMR分光分析、加水分解による水素除去後のヘッドスペースガスクロマトグラフィーまたは熱による水素除去後の浸出分光分析が水素負荷を決定するために適している。水素負荷の定量的決定のためにIR分光分析を使用できる。
【0033】
本発明による電極材料に含まれるシリコン粒子の製造は、有利に
蒸気または気体の形の少なくとも1種のシランおよび場合により蒸気または気体の形の少なくとも1種のドーピング物質、不活性ガスおよび水素を熱い壁の反応器中で熱処理し、
反応混合物は冷却されているかまたはすでに冷却されており、
反応生成物を気体の物質から粉末の形で分離する
ことを特徴とする方法により行うことができ、シランの割合はシラン、ドーピング物質、水素および不活性ガスの合計に対して0.1〜90質量%であり、水素の割合は水素、シラン、不活性ガスおよび場合によりドーピング物質の合計に対して1〜96モル%の範囲である。壁が加熱された厚い壁の反応器を特に有利に使用することができ、出発物質および場合によりドーピング物質の最も完全な変換が達成されるように熱い壁の反応器の寸法を調節することが必要である。一般的に熱い壁の反応器中の滞留時間は0.1〜2秒である。熱い壁の反応器中の最高温度は1000℃を上まわらないように有利に選択する。反応混合物の冷却は、例えば反応器の外部の壁の冷却によりまたは不活性ガスを急冷して導入することにより行うことができる。有利にドーピング物質として、燐、ヒ素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよび/またはリチウムの水素含有化合物を使用できる。ジボランおよびホスファンまたはtBuPH、tBuP、tBuPhPのような置換されたホスファンおよびトリスメチルアミノホスファン((CHN)Pが特に有利である。ドーピング成分としてリチウムの場合は、ドーピング物質として金属リチウムまたはリチウムアミドLiNHを使用することが最も有利である。この製造方法を使用してBET表面積5〜150m/gを有する凝結した、結晶質シリコン粉末を製造することができる。
【0034】
ドーピング物質はドーピング成分を得るために前記方法に使用される化合物を意味すると理解すべきである。
【0035】
本発明の電極材料は、シリコン粒子として、
蒸気または気体の形の少なくとも1種のシランおよび場合により蒸気または気体の形の少なくとも1種のドーピング物質を不活性ガスと一緒に
連続的に反応器に搬送し、そこで混合し、
シランの割合はシラン、ドーピング物質および不活性ガスの合計に対して0.1〜90質量%であり、10〜1100ミリバールの圧力で、マイクロ波範囲の電磁線を使用するエネルギー入力によりプラズマを製造し、反応混合物を冷却するかまたは冷却され、気体の物質から反応生成物を粉末の形で分離することを特徴とする方法により製造された、ナノスケールの凝結したシリコン粉末を含有することができる。この製造方法は安定なプラズマを製造し、前記プラズマがきわめて均一な生成物を生じ、高い真空中で運転する方法と異なり、高い変換率を可能にする。一般にシランの変換率は少なくとも98%である。前記方法はガス流中のシランの割合が、場合によりドーピング成分を含めて0.1〜90質量%になるようにして実施する。1〜10質量%のシランの割合が有利である。この割合の場合に、一般に1μm未満の直径を有する凝結物が得られる。電力の入力は限定されない。反射されて戻される吸収されないマイクロ波出力が最低であり、安定なプラズマが形成されるように入力を有利に選択すべきである。この製造方法でのエネルギー入力は一般に100W〜100kWであり、特に500W〜6kWである。マイクロ波入力により粒度分布を変動できる。従って同じガス組成および体積流動速度の場合に、より高いマイクロ波出力がより小さい粒度およびより狭い粒度分布を生じる。この製造方法により、50m/gより大きいBET表面積を有する凝結した結晶質シリコン粒子を製造できる。
【0036】
シリコン粒子の両方の製造方法において、シランは有利に反応条件下でシリコン、水素、窒素および/またはハロゲンを生じる珪素含有化合物である。これらは有利にSiH、Si、ClSiH、ClSiH、ClSiHおよび/またはSiClであり、SiHが特に有利である。N(SiH、HN(SiH、HN(SiH)、(HSi)NH(SiH、(HSi)NHNH(SiH)、HNH(SiHを使用することもできる。
【0037】
これらの2つの製造方法において、ドーピング物質はドーピング成分を共有結合したまたはイオン結合した形で含有し、反応条件下でドーピング成分、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素および/またはハロゲンを生じる化合物である。燐、ヒ素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよび/またはリチウムの水素含有化合物を有利に使用できる。ジボランおよびホスファンまたはtBuPH、tBuP、tBuPhPまたはtBuPhPのような置換されたホスファンおよびトリメチルアミノホスファン((CHN)Pが特に有利である。ドーピング成分としてリチウムの場合はドーピング物質として金属リチウムまたはリチウムアミドLiNHを使用することが最も有利である。
【0038】
シリコン粒子の両方の製造方法において、不活性ガスとして主に窒素、ヘリウム、ネオンまたはアルゴンを使用することができ、アルゴンが特に有利である。
【0039】
本発明は更にリチウムイオン電池を製造するための本発明による電極材料の使用に関する。本発明による電極材料は有利にリチウムイオン電池の負電極を製造するために使用される。ここで本発明による電極材料を、2〜500μm、有利に10〜300μmの層厚で、銅被膜または他の電流コレクターにナイフ塗布により塗布することができる。他の被覆法も使用できる。本発明による電極材料で銅フィルムを被覆する前に、銅被膜を一般的なポリマー樹脂ベースプライマーでの処理を有利に行う。プライマーは銅に対する付着を高めるが、それ自体はほとんど電気化学的活性を有しない。プライマーは有利にポリクロロプレンをベースとする重金属不含ポリマー接着剤である。プライマーは有利に1〜100μm、有利に5〜30μmの層厚で塗布する。しかし他の接着推進剤を使用することもできるし、接着推進剤の使用を完全に省くこともできる。
【0040】
本発明による電極材料は、電解質として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネートおよびその異性体、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジアルキルエステル、ジオキソラン、プロピレンオキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、ニトロメタン、γ−ブチロラクトン、カルボン酸のアルキルエステルおよび/またはメチルラクテートから選択される少なくとも1種の有機溶剤、および導電性塩として、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO,LiN(CFSO、LiN(SOCFCF、LiSbF、LiAlCl、LiGaCl、LiCl、LiNO、LiSCN、LiOSCFCF、LiCSO、LiOCCF、LiFSO、LiB(C、LiB(Cおよびリチウムフルオロアルキルホスフェートから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有する電解質組成物を有するリチウムイオン電池の製造に有利に使用される。導電性塩の濃度は有利に0.5モル/lから相当する塩の溶解度限界までであるが、2モル/lが有利である。
【0041】
しかしリチウムイオン電池はビニレンカーボネート0.5〜10質量%、有利に2〜5質量%を含有する電解質を有することもできる。
【0042】
本発明による電極材料を本発明によりリチウムイオン電池の製造に使用する場合に、エチレンカーボネート20〜70体積%および/またはジメチルカーボネート20〜70体積%、LiPF60.5〜2モル/lおよびビニレンカーボネート0.5〜5質量%の付加物からなる電解質を有利に使用する。LiPF0.5〜2モル/lおよびビニレンカーボネート0.5〜5質量%の付加物を有するプロピレンカーボネートを特に有利に使用する。
【0043】
本発明は更に本発明による電極材料からなる負電極を有するリチウムイオン電池に関する。
【0044】
以下の実施例は本発明による電極材料をより詳しく説明することを目的としており、本発明はこの実施例に限定されない。
【0045】
1.ナノスケールシリコン粒子の製造
1.1熱い壁の反応器中のナノスケールシリコン粒子の製造
長さ200cmおよび直径dを有する垂直に配置された熱い壁の反応器中でナノスケールシリコン粒子Si1、Si2およびSi3を製造した。管は100cmの帯域にわたる1000℃までの抵抗加熱により外部に開始される石英ガラスインライナーを有する石英ガラスまたはSi/SiCからなる。シラン(SiH)、アルゴンおよび水素からなる出発材料混合物をこの熱い壁の反応器に上から二元ノズルにより供給する。試験装置の図面による構成を図1に示す。下流フィルター装置中で、粉末状生成物を気体の物質から分離する。表1はナノスケールシリコン粒子Si1、Si2およびSi3を製造するためのそれぞれの処理パラメーターを含む。
【表1】

sccmは1分当たりの標準的立方センチメートルであり、1sccmは0℃および大気圧にもとづく1分当たりのガス1cmに相当する。
1.2マイクロ波反応器中のホウ素でドーピングされたナノスケールシリコン粒子の製造
プラズマを製造するためにマイクロ波発生器(Muegge)を使用する。マイクロ波放射線を反応空間にチューナー(3ロッドチューナー)を使用して収束する。波ガイドの構成、チューナーによる微調整および電極として作用するノズルの正確な配置の結果として、10ミリバール〜1100ミリバールの圧力範囲および100〜6000Wのマイクロ波出力で安定なプラズマが製造される。マイクロ波反応器は外径30mmおよび長さ120mmを有する石英ガラス管からなり、前記ガラス管をプラズマアプリケーターに挿入する。SiBタイプのナノスケールシリコン粒子を前記マイクロ波反応器により製造する。このためにシラン200sccmおよびアルゴン1800sccmからなるSiH/アルゴン混合物をマイクロ波反応器に二元ノズルにより供給し、水素10000sccmおよびB20sccmからなる他の混合物を前記反応器に第2ノズルにより供給する。マイクロ波により1000Wの出力をガス混合物に導入し、こうしてプラズマを製造する。ノズルにより反応器から放出するプラズマトーチが反応器と比べて約201でかなり大きい体積を有する空間に拡大する。この空間と反応器の圧力を80ミリバールに調節する。下流フィルター装置中で粉末状生成物を気体の物質から分離する。
【0046】
2.ナノスケールシリコン粒子の特性化
ISO9277(1995)によりナノスケールシリコン粒子のBET表面積を決定した。透過電子顕微鏡写真にもとづき粒度を決定した。図2aおよび2bはナノスケールシリコン粒子Si3の異なる解像度での透過電子顕微鏡写真を示す(バーは図2aで50nmに相当し、図2bで0.5μmに相当する)。表1は実施例に使用されるナノスケールシリコン粒子のリストを示す。
【0047】
【表2】

【0048】
3.電極材料の製造
材料をまず機械的に混合し、引き続きN−メチルピロリドン懸濁液中で高速撹拌機を使用して再び混合し、引き続きプライマーで前処理した厚さ20μmの市販の銅被膜に、ナイフコーターを使用して有利に250μmの厚さで塗布する。こうして被覆した銅被膜を引き続き真空中で80℃に乾燥する。一部の場合に材料を引き続き約80℃で圧延した。引き続きこの被覆した銅被膜から円形として電極を打ち抜いた。
【0049】
本発明による電極材料で被覆する前の銅被膜の処理はポリマー樹脂をベースとする市販のプライマーを使用して実施した。前記プライマーは銅に対する付着を高めるが、それ自体ほとんど電気化学的活性を有しない。本発明に使用されるプライマーはConti Plus adhesion promoter、ContiTechであった。これはポリクロロプレンをベースとする重金属不含のポリマー接着剤である。プライマーを5〜30μmの層厚で塗布する。
【0050】
表2は実施例に使用される本発明による電極材料およびその組成のリストを示す。
【0051】
【表3】

【0052】
使用される導電性カーボンブラックは製品名Super P(製造、TIMCAL、SA、スイス)を有する導電性カーボンブラックであった。これは平均粒径約40nmおよびBET表面積62m/g(±5m/g)を有する高純度合成カーボンブラックである。
【0053】
使用される黒鉛は製品名KS6(製造、TIMCAL SA、スイス)を有する黒鉛であった。これはd90値約6μmおよびBET表面積約13.8m/gを有する合成黒鉛である。この黒鉛の粒子の形は円形である傾向を有する。しかし表5の例B9では製品名SFG6(製造TIMCAL、SA、スイス)を使用した。これはd90値約6μmおよびBET表面積約17.1m/gを有する合成黒鉛である。この黒鉛の粒子の形は平坦である傾向を有する。KS6と比べてSFG6は例B9に使用されるプロピレンカーボネートベース電解質に対する高い安定性を有する。
【0054】
4.電気化学的試験の実施
電気化学的サイクルをいわゆる半電池装置および完全電池装置中で実施した。半電池装置に関して、本発明による電極材料を、サンドイッチ配置、作業電極−セパレーター/電解質−対向電極および参照電極としてリチウムディスクに対する対向電極/参照電極中の作業電極として測定する。電位限界としてLi/Liに対して100mVおよび1.0Vを使用する。完全電池の場合は、材料を、完全電池装置、作業電極(黒鉛)−セパレーター/電解質−標準カソード材料LiCoOに対する対向電極(LiCoO)中で測定する。この場合に使用される電位限界は2.5〜3Vおよび4〜4.2Vである。サイクル速度は活性材料当たりの電流密度として示され、これはシリコン粒子および黒鉛、電極材料の全質量に相当する。このために使用される値は74〜372mA/gである。
【0055】
10mA/gに相当する値より低い電圧限界に到達した場合に電流を減少して充電する。この電流減少の使用は起こりうる不可逆的損傷(全容量の減少中の、すなわち定電位工程で流れるものを含む)からの電極の効率(定電流方式で流れる電流の割合またはガルバノスタティック割合)の分離を可能にする(これに関してH.Buqa等、ITE Battery Letters、4(2003)、38参照)。
【0056】
2つの異なる種類の試験法を実施した。
1.電位限界の上限と下限のみにもとづく個々の半サイクルの分離方式を有する典型的な方法。これはすべての一般的な電池の場合に使用される方式である。
2.充電工程での低い電位限界のほかに最大容量を設定する、いわゆる容量限定法。これは過剰な充電を防ぎ、シリコン上の機械的応力を減少し、電極の寿命を増加する。
【0057】
5.電解質の組成
使用される電解質の組成を表3に示す。
【0058】
【表4】

【0059】
6.半電池装置を使用する電気化学的試験
表4は典型的な方式による試験法による試験パラメーターを示し、表5は容量限定方式による試験法による試験パラメーターを示す。
【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
例B1に使用される本発明による電極材料は1000mAh/gより大きいまでの高い可逆的容量および50サイクルにわたり持続する安定性を有する。しかし第1サイクルでかなり高い不可逆的容量が認められる。例B2はきわめて安定な特性、きわめて高い容量、わずかな減衰および特に第1サイクルでのかなり低い不可逆的容量を示し、これはわずか26%である。例B3およびB4は本発明による電極材料が、容量が限定された場合に、80回以上または100回以上のサイクルで安定なサイクルを可能にすることを示す。これらの例は本発明の電極材料のサイクル安定性が文献に記載されたシリコンベース電極材料より高いことを示す。これは達成される不可逆的容量にも該当する。更に不可逆的容量損失もサイクル当たり約1.5%で少ない。例B5は200サイクルにわたり安定なサイクルを示す。更に図6はここで本発明による電極材料を使用して良好な電流保持能力が達成されることを示し、その能力は典型的な電極材料の領域にほぼ存在する。例B6により150サイクルにわたる安定なサイクルが示される。ここでより高いサイクル数で本発明による他の電極材料と比較していくらか低い不可逆的損失が認められるが、この損失は第1サイクルでより高い。例B7は同様に安定なサイクルを示す。ここでより高いサイクル数での不可逆的損失が実施例に使用される本発明による他の電極材料の場合よりいくらか高い。例B8により20サイクルにわたり安定なサイクルが示されるが、ここでもより高い不可逆的損失が生じるが、これは被膜形成添加剤、ビニレンカーボネートのない電解質の使用による。例B9は130より大きいサイクルにわたり安定なサイクルを示す。第1サイクルでわずかに高い不可逆的損失が生じるが、高いサイクル数できわめて小さい不可逆的損失のみが生じる。例B10により第2サイクルからの低い不可逆的容量を有して180より多いサイクル数にわたりきわめて安定なサイクルが示される。例B11において第2サイクルからの低い不可逆的容量を有してきわめて安定なサイクルが認められる。
【0063】
7.完全電池の試験
LiCoO電極に対する完全電池中でサイクルを実施した。図15に示されるこの例において、本発明による電極材料EM_Si2_80および電解質EL1を使用して完全電池の運転を試験する。530mA/gに容量を限定した方式で、372mA/gでのサイクルで、完全電池を運転した。容量の一時的減少および再度の増加は上側分離電位を4.0Vから4.2Vに引き続き上昇することにもとづく。測定はこの完全電池の運転能力をかなり少ない不可逆的損失を伴って50サイクルまで満足する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による試験装置の構成を示す図である。
【図2a】本発明によるシリコン粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図2b】本発明によるシリコン粒子の異なる解像度の透過電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の例B1による電池の典型的方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の例B2による電池の典型的方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の例B3による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の例B4による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の例B5による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の例B5による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量およびC率の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の例B6による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図10】本発明の例B7による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の例B8による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の例B9による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図13】本発明の例B10による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図14】本発明の例B11による電池の容量が限定された方式でのサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。
【図15】本発明による電極材料EMSi2 80および電解質EL1を使用する完全電池のサイクル数と比容量および不可逆的容量損失の関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池用電極材料において、電極材料が、BET表面積5〜700m/gおよび平均一次粒子直径5〜200nmを有するナノスケールシリコン粒子5〜85質量%、導電性カーボンブラック0〜10質量%、平均粒子直径1〜100μmを有する黒鉛5〜80質量%、および結合剤5〜25質量%を含有し、成分の割合の合計は最大で100質量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用電極材料。
【請求項2】
電極材料が、ナノスケールシリコン粒子65〜86.5質量%、導電性カーボンブラック0.5〜5質量%、平均粒子直径2〜50μmを有する黒鉛8〜20質量%および結合剤5〜10質量%を有する請求項1記載の電極材料。
【請求項3】
電極材料が、ナノスケールシリコン粒子5〜40質量%、平均粒子直径2〜50μmを有する黒鉛55〜85質量%および結合剤5〜10質量%を有する請求項1記載の電極材料。
【請求項4】
ナノスケールシリコン粒子がドーピングされている請求項1から3までのいずれか1項記載の電極材料。
【請求項5】
ナノスケールシリコン粒子がドーピング成分としてリチウム最大53質量%を有する請求項4記載の電極材料。
【請求項6】
ナノスケールシリコン粒子がBET表面積6〜140m/gを有する請求項1から5までのいずれか1項記載の電極材料。
【請求項7】
リチウムイオン電池を製造するための請求項1から6までのいずれか1項記載の電極材料の使用。
【請求項8】
電解質として、ビニレンカーボネート0.5〜10質量%を有する電解質組成物を使用する請求項7記載の使用。
【請求項9】
電解質として、少なくとも1種の有機溶剤および少なくとも1種のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる電解質組成物を使用する請求項7または8記載の使用。
【請求項10】
電解質として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、およびその異性体、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジアルキルエステル、ジオキソラン、プロピレンオキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、ニトロメタン、γ−ブチロラクトン、カルボン酸アルキルエステルおよび/またはメチルラクテートから選択される1種の有機溶剤を有する電解質組成物を使用する請求項9記載の使用。
【請求項11】
電解質として、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(SOCFCF、LiSbF、LiAlCl、LiGaCl、LiCl、LiNO、LiSCN、LiOSCFCF、LiCSO,LiOCCF、LiFSO、LIB(C,LiB(Cおよび/またはリチウムフルオロアルキルホスフェートから選択される導電性塩を有する電解質組成物を使用する請求項9または10記載の使用。
【請求項12】
電解質として導電性塩の濃度が0.5モル/lから相当する塩の溶解限界までである電解質組成物を使用する請求項7から11までのいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
請求項1から6までのいずれか1項記載の電極材料を有する負電極を有するリチウムイオン電池。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−534118(P2007−534118A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505541(P2007−505541)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051238
【国際公開番号】WO2005/096414
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】