説明

リテーナーコンベアに吊下げ走行するカップの熱シール閉塞の良,不良の検知方法とその装置

【課題】 本発明は連続充填包装ラインにおける熱シールの良,不良判定を正確に行うことのできる検知方法および装置を新規に提供することを解決する課題とするものである。
【構成】 本発明はリテーナーコンベアにて吊下げ走行するカップの食材充填後にシール蓋を該カップの上部開口端に被せ当てして熱シール閉塞するようにした際の熱シール閉塞の良,不良の検知方法であって、熱シール閉塞に伴う加熱膨張によりシール蓋が中心を高にして円曲形に膨らんでいる間に熱シール不良時の空気漏れを促進するように押体によりシール蓋を押圧した後、該カップの高さ位置を規制したうえで、センサー付の検知板でシール蓋を押し、シール蓋の膨らみ高さを測定してシール状態の良,不良を検知するようにしたことを特徴とするリテーナーコンベアに吊下げ走行するカップの熱シール閉塞の良,不良の検知方法にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リテーナーコンベアに吊下げ走行するカップの熱シール閉塞の良,不良の検知方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この主ものとしては、特開2001−58617号公報がある。該公報はシール蓋にて上端開口面を閉塞したあとにカップの側面を押してカップ内を昇圧してシール蓋14を膨出させ、この膨出面と圧下面との距離を測定して密封不良を検査するようにしたことを記載している。
【特許文献1】特開2001−58617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、密封したカップの側面を押してカップ内を昇圧することはカップを損壊させるおそれがあるので昇圧によるシール蓋14の膨らみは小さなものに限定されるために、圧下差による不良検査は確実性が小さなものになるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、熱シール閉塞に伴うカップ内の温度上昇によりシール蓋の中心を高とする円曲形の膨らみの生ずることを利用することにより、カップの側面を押して損壊させるおそれなしに、また熱膨張によるシール蓋の膨らみはカップ内の熱膨張によって大きいことから、検査板の押しによる熱シール閉塞の良,不良は前項の課題とは違って明瞭確実に測定されることとなる。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、熱シール閉塞時の温度上昇によるカップ内の空気の膨張とこれに伴うシール蓋の円曲形をした膨らみ中に熱シール不良時の空気漏れを促進するように押体によりシール蓋を押圧した後、検査のためにカップの高さを規制したうえでセンサー付の検査板の押しにてシール蓋の膨らみ高さを測定して熱シール閉塞の良,不良を検出するようにしたので、カップの側面を押して昇圧するなどの複雑な工程・装置を要せずして簡易に検査することができるという効果を生ずる。
【0006】
カップ内の空気の大きな熱膨張を利用して精度よく検査することができ、且つカップを損壊させるおそれが生じないという効果を生ずる。
【0007】
カップの底面を下支えすることにより検査板の押し時の変形を防止して検査精度を向上することができるという効果を生ずる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、リテーナーコンベアにて吊下げられて間歇走行中に食材の充填後、シール蓋を被せ当てして熱シール閉塞すると、この際の高熱によるカップ内温度の上昇によりシール蓋は中心を高にして円曲形にて膨らむ。この膨らみが持続している間に上方から押体の押しにてシール不良時の空気漏れを促進し、下台の上動またはカップの坂上がりにてカップの高さを規制したうえで、センサー付き検査板の押しにて膨らみの高さを測定して熱シールの良,不良を検知するようにしたのである。
【実施例】
【0009】
カップ1の吊下げ穴2を並設した単位リテーナー3を多数連結して間歇走行するリテーナーコンベア4を形成する。カップ1は外折りした開口縁1aを吊下げ穴2の上端部に段落して設ける掛止面2aに載せて吊下げ走行させる。
【0010】
1乃至数種の食材の充填a,b,c,dを完了したカップ1は次に開口縁1a上にシール蓋5を被せ当てして熱シール閉塞手段6により熱シールして閉塞される。この際の高熱によりシール蓋5はカップ1内の空気の膨張を受けて中心を高とする円曲形にて膨らむので、この膨らみの持続中に上方から押体7を下動押しして、シール蓋5の材料不良を含む熱シール閉塞部に不良があった場合の空気洩れを促進して、短時間で結果が現れるようにする。なお図1(b)に示す実施例では間歇走行する作業時間の短さを考慮して押体7を2列に設けてより早く確実に結果が現れるようにしている。
【0011】
次いで図1乃至図3に示すような紙,薄いプラスチックなどで底面が膨らむおそれのあるカップ1の場合は、下台8を底面1bに当てて上動させ、また図5に示すような発泡スチロール製などの変形しないカップ11の場合は傾斜板9上の走行により上動させて、熱シール閉塞部をリテーナーコンベアの掛止面2a上に浮かし離しておいて全カップ1,11の高さ位置を統一規制した状態においてセンサー10a付の検査板10の下動にて膨らんだシール蓋5を押して膨らみ高さを測定するのである。
【0012】
この測定値と予め入力してある誤差・許容範囲を含む数値とを照合して空気漏れの生じた、すなわち膨らみ高さの足りないカップはシール不良と判定されて排出処理されることとなる。この際底面1bの膨らみやすいカップ1も下台8の押し当てにて膨らみ変形が確実に防止されるのでシール蓋5の膨らみ高さを正確に測定することができる。また下台8または傾斜板9によってカップの高さ位置を統一規制しているので、単位リテーナー3のしなり,歪みなどによる高さの誤差は全く生じないこととなる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
この発明は以上のようにして、シール蓋を熱シール閉塞する工程を含むあらゆる充填包装ラインにおける熱シールの良,不良の判定に利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は連続充填包装ライン全体を示す側面図、(b)はリテーナーコンベアの部分拡大平面図
【図2】(a)(b)は押体による押し工程を示す部分拡大正面図
【図3】(a)(b)はセンサー付の検査板による高さ測定検査の工程を示す部分拡大正面図
【図4】紙,薄いプラスチック製などのカップにおける底面の膨らみを示す部分図
【図5】高さ測定検査時の他の実施例を示す部分側面図
【符号の説明】
【0015】
1,11はカップ
1aは開口縁
1bは底面
2は吊下げ穴
2aは掛止面
3は単位リテーナー
4はリテーナーコンベア
5はシール蓋
6は蓋被せ熱シール閉塞手段
7は押体
8は下台
9は傾斜板
10は膨らみ高さの検査板
10aはセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リテーナーコンベアにて吊下げ走行するカップの食材充填後にシール蓋を該カップの上部開口端に被せ当てして熱シール閉塞するようにした際の熱シール閉塞の良,不良の検知方法であって、熱シール閉塞に伴う加熱膨張によりシール蓋が中心を高にして円曲形に膨らんでいる間に熱シール不良時の空気漏れを促進するように押体によりシール蓋を押圧した後、該カップの高さ位置を規制したうえで、センサー付の検知板にてシール蓋を押し、シール蓋の膨らみ高さを測定してシール状態の良,不良を検知するようにしたことを特徴とするリテーナーコンベアに吊下げ走行するカップの熱シール閉塞の良,不良の検知方法。
【請求項2】
カップの底面を下台にて下支えして変形を防止する請求項1記載の検知方法。
【請求項3】
カップの吊下げ穴を並列した単位リテーナーの多数の連結にてなるリテーナーコンベアと、カップに食材を供給し充填する手段と、カップの上部開口端にシール蓋を被せ当て熱シール閉塞する手段と、シール蓋を押圧してシール不良時の空気漏れを促進する押体手段と、カップの高さ位置を規制する手段と、シール蓋の膨らみ高さを測定してシール状況の良,不良を検知するセンサー付の検知板手段とからなることを特徴とするリテーナーコンベアに吊下げ走行するカップの熱シール閉塞の良,不良の検知装置。
【請求項4】
カップの底面を下支えする下台を設けてカップの底面の変形を防止する請求項3記載の検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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