説明

リドカイン及び他の局所麻酔剤の標的運搬並びに咳そう及び咳の発作の処置のための方法

【解決手段】リドカインの伝導性及び中枢性の気道への標的運搬用の鎮咳の噴霧溶液。咳そう及び咳の発作又は発症を、前記リドカイン溶液を用いて処置するための方法。噴霧リドカイン溶液は、毎日ドーズにおいて約10mgから80mgまでのリドカインを塩類液中に溶解して施され、及び空気動力学的中央粒子径の3μmから10μmまでもの及び幾何学的標準偏差の1.7未満を持つエアロゾル中に電子噴霧機を用いて噴霧される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
この発明は、概して、咳嗽(がいそう)及び咳の発作及び発症の処置のための局所麻酔剤の標的運搬(targeted delivery)のための方法に関する。1種の局面において、本発明は、噴霧によっての局所麻酔剤の肺への標的運搬のための優れた鎮咳溶液に関する。とりわけ、本発明は、リドカインの伝導性及び中枢性の気道(conducting and central airways)への標的運搬用の改良された鎮咳リドカイン溶液、並びに前記リドカイン溶液を咳そう及び咳の発作又は発症の処置のために用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入のための溶液は、リドカイン又は別の局所麻酔剤を備え、約10mgから160mgまでの毎日の量(ドーズ)において施される。正常又は希釈される塩類液(saline)中に溶解されるリドカイン又は別の麻酔剤は、3μmから10μmの範囲内の空気動力学的中央粒子径(mass median aerodynamic diameter)(MMAD)を持つエアロゾル中に、電子噴霧機で、ほぼ単分散の粒子のスペクトルを生じさせ得るものを用いて噴霧される。リドカイン又は任意の他の麻酔剤を備える溶液は、本明細書に記載する本発明に従って噴霧され、咳そう受容体、すなわち、上の(upper)、伝導性の、及び中枢性の気道についてのものの標的領域において、主として堆積し、口咽頭の領域においてか、又は下肺(lower lung)において見出される麻酔剤の任意の相当な残余を伴わない。
【0003】
代わりに、咳そうの処置に適切な局所麻酔剤溶液は、鼻に、経口で、又は静脈内に施すことができ、そのとき、そのような使用のために適して調剤される。
【0004】
鼻の投与のためには、局所麻酔剤は、約2.5mgの薬物を0.3mLの溶媒中に備える滴(drops)として調剤される。経口投与のためには、50-100mgの薬物が、1日に1回又は2回経口的に施される。静脈内の投与のためには、毎日のドーズは、2000mgまでで、1日に1回又は数回(several times、5、6くらいの回数)施される。
【0005】
咳そう、喘息及び咳の喘息発作の処置のための方法は、以前に記述した処置よりも安全であり、そこでは、リドカイン又は別の麻酔性化合物の麻酔剤の特性による、気管支痙攣、咽頭反射の損失及び咽頭の領域の麻痺(numbing)のような二次的な望ましくない症状が妨げられる。また、この方法は、より一層効果的であり、それは、それがより一層小量のリドカインの使用を、溶液が電子噴霧機を用いて噴霧され、及びこの溶液がより一層短い時間において運搬されるときに可能にするからである。加えて、電子噴霧機は、実質的に単分散のスペクトルの粒子を、実質的にほぼ3μmから10μmの範囲内で生成し、その大きな割合が中枢性気道において堆積される。
【0006】
(背景及び関連する開示)
咳そうは気管及び気管支の機械的及び化学的な刺激作用への自然な応答である。咳そうの生理学的な役割は、呼吸路(respiratory tract)内での外来性対象体の吸引又は過剰な分泌を防ぎ、及び気管及び気管支からのかかる対象体又は分泌又は浸出物(exudates)を除去することである。
【0007】
咳そうは、肺炎、風邪又はインフルエンザ、又は喘息、気腫、肺癌、等のような、基礎疾病(underlying diseases)を含む大いに多様なウイルス又は細菌の感染を伴うので、医療の実行(medical practice、医療行為)における非常に一般的な問題である。
【0008】
数種の鎮咳の薬剤が市場において入手可能であるが、これらの薬剤のほとんどは、眠気、疲労のような、二次的な望ましくない症状を起こし、これらの薬剤のいくつか、例えば、コデインのようなものはまた、常習性である。
【0009】
したがって、かかる望ましくない二次的な症状を持たない、咳そうを制御する入手可能な方法を持つことが有利である。
【0010】
近年、リドカインの使用が、咳そうの抑止のための補助的処置として、及び気管支鏡検査又はX-線のような呼吸の検討が患者の咳そうによって影響を及ぼされる例においての予備処置として提案された。
【0011】
米国特許第6,362,197B1は、例えば、超音波の、メータ-ドーズ(meter-dose)の吸入機、ジェット噴霧機及び乾燥粉体吸入機を用いる噴霧によって施される、鎮咳活性を所有する組成物を記述する。新しい鎮咳の四級アンモニウム化合物を試験する予備処置として、クエン酸又はカプサイシンに暴露するモルモットにおいて、リドカインのエアロゾルを、UltraVilbis(ウルトラビルビス)の超音波噴霧機(0.15mL/分)を用いて発生させ、及び投与量(dosages)0.1、1、及び10のmg/mLにおいて施した。この予備処置は、最初の咳そうを0.1及び10のmg/mLの濃度で延期するが、1mg/mLでは延期せず、及び10mg/mLの濃度で多くの咳そうを有意に減少させることを示した。JAOA.(JOURNAL OF THE AMERICAN OSTEOPATHIC ASSOCIATION、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・オステオパシック・アソシエーション)98 (No 3): 170-172(1998年)は、持続性の抵抗性(refractory)咳失神に苦しむ受動体の処置を記述する。患者は多数の鎮咳薬物で不成功に処置された。結果的に、及びこれらの他の薬物と併せ、患者は1mLの1%の噴霧されるリドカインを用いて4時間毎に10日間処置された。リドカインと、噴霧によってか、又は静脈内で施される他の鎮咳薬物とのかかる組合せ処置は、失神性の発症を解決することができた。
【0012】
Chest(チェスト)、105:1592-93(1994年)は、3mLの1%の噴霧されるリドカインが補われるアセトアミノフェン及びコデインによる慢性の抵抗性咳そうの1日に2回の6-10週間の処置を記述する。噴霧されるリドカインと他の薬物と組合せは、抵抗性の咳そうの処置にとって有効であった。
【0013】
JAMA(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション). 252 (No 17) 2456-2457(1984年)は、吸入される10mLの4%(40mg)のリドカインで、DeVilbiss(デビルビッス)の噴霧機によって6L/分の流速でおよそ30分間施されるものでの咳そうの延長される抑止を記述する。これらの条件下では、最初の処置の後に、咳そうは、約9週間抑止され、及び第2の投与の後に7.5週間抑止された。しかし、この療法(レジメ)の間に、口腔咽頭の相当な麻酔が観察された。
【0014】
J. Canadian Assoc. Radiol.(JOURNAL OF THE CANADIAN ASSOCIATION OF RADIOLOGISTS、ジャーナル・オブ・ザ・カナディアン・アソシエーション・オブ・ラジオロジスツ), 22: 199-200(1971年)の参考文献(reference)は、気管支造影のための予備処理として局所麻酔剤の使用を一般的に記述する。局所麻酔剤は、最大の有効濃度、リドカインにとって4%であると定められるものでの手法に先立って舌の先端に施される。
【0015】
Am. J. Emerg. Med.(AMERICAN JOURNAL OF EMERGENCY MEDICINE、アメリカン・ジャーナル・オブ・イマージェンシ・メディシン), 19:206-207(2001年)は、噴霧されるアルブテロールの吸入によって先行される咳そうの抑止のためのリドカインの吸入を開示する。リドカイン(1mLの1%)溶液は、4mLの塩類液において希釈され、0.25%溶液を与えられ、酸素の4-6L/分で噴霧が完了するまで運搬された。次いで、2mLの1%溶液が4-6時間毎に施された。噴霧は1mLのアルブテロールの運搬によって先行され、及び更により一層高い濃度(4%まで)の溶液で4-6時間毎に繰返された。この参考文献は更に、リドカインの投与が、予備処置として、5mgの噴霧されるアルブテロール及び/又は0.5mgのブデソニドの投与を要求する気管支痙攣の引き金を引くことを開示する。リドカインのドージーズは4-6時間毎の10から20までのmgで、1日につき40-120mgまでであった。これらの条件下で、リドカインの吸入は咳そうを止めるが、気管支収縮は止めなかった。
【0016】
Regional Anesthetics(リージョナル・アネスセティックス) 18:312-314(1993年)は、持続性の咳そうの処置で星状神経節をブロックした後のものを記述する。処置は噴霧されるリドカイン(1mLの2%)で酸素マスクと同じ時間で投与される正常な塩類液溶液の2mLにおいてのもので達成された。
【0017】
British J. Pharmacol.(ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジ) 138:407-416(2003年)は、新しい鎮咳薬剤、RSD931を記述し、及びその活性を、噴霧されるリドカインのものに対しモルモットにおいて比較した。薬物は、超音波のDeVilbis Ultaneb(デビルビス・ウルトラネブ)2000の噴霧機を用いて噴霧し、及び0.1からの10までのmg/mLの量で投与された。リドカインの予備処置は、咳そうの応答の時間経過に及ぼす有意な効果を、これらの濃度においてエアロゾル溶液として投与するときには持たないが、最初の咳そうの開始を遅らせ、及び合計の咳そうの数を減少させると思われた。10から30までのmg/mLの濃度を用いるとき、リドカインの予備処置はカプサイシンによって誘導される咳そうの合計の数を減少させた。
【0018】
J. Appl. Physiol.(ジャーナル・オブ・アプライド・フィジオロジ), 74: 1419-1424(1993年)は、健康な対象体において、噴霧されるリドカインのCO2に対する通気性の応答に及ぼす効果を記述する。この調査では、10mLの4%のリドカインが、Pulmosonic(プルモソニック)の超音波噴霧機を用いるか、又はWright(ライト)のジェット噴霧機を用いて、20分間噴霧された。粒度(Particle size)分布及び噴霧機の出力が定められた。Pulmosonic噴霧機のための、リドカイン用のMMADは0.16g/分の噴霧機出力で5.28μmであったが一方、Wright噴霧機のためには、リドカイン用のMMADは0.25g/分で1.76であった。この参考文献は、CO2に対する通気性の応答が異なる噴霧機によって投与されるときに変化することをはっきりと示す。
【0019】
Am. Rev. Respir. Dis.(AMERICAN REVIEW OF RESPIRATORY DISEASE、アメリカン・レビュ・オブ・レスピレートリ・ディジーズ), 122:823-828(1980年)は、気管支喘息を有する患者における4%のリドカインのエアロゾルを用いる換気性の及び気道の応答に及ぼす吸入されるリドカインの効果を記述する。リドカイン溶液は、Vaponephrine(ベーポネフリン)の噴霧機を流速5L/分で用いてエアロゾル化された。粒度は、10及び15の間の分の時間運搬を伴い、5.6μmであった。
【0020】
Br. J. Anaest.(BRITISH JOURNAL OF ANAESTHESIA、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・アネスシージア), 54:853-856(1982年)は、咳をすること(coughing)の抑止のためのリグノカインの使用を記述する。リグノカインは光ファイバ(fibreoptic)の気管支鏡検査の前に施された(2mLの2%)。この参考文献は、噴霧されるリグノカインが鎮咳薬剤として光ファイバの気管支鏡検査の前に用いられるとき、それが、咳そうを10-15分内に抑止することを開示する。
【0021】
Thorax(ソラックス), 49: 1166-1168(1994年)は、噴霧されるリグノカイン単独又はアドレナリンとの組合わせでの使用を、カプサイシン-誘導の咳そうの抑止のために記述する。リグノカイン(20mg)又はリグノカインとアドレナリンとの混合物(20mg及び400μm)は咳をすることをかなり減らした。
【0022】
Br. J. Dis. Chest(BRITISH JOURNAL OF DISEASES OF THE CHEST、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ディジーズ・オブ・ザ・テェスト), 71: 19-24(1977年)は、難治性咳そうの処置のためのリグノカインのエアロゾルの使用を記述する。リグノカイン(4mLの10%、即ち、400mg)は、5及び20間のμmの粒子を運搬するMonaghan(モナハン)の噴霧機を用いて施された。吸入は15-20分を要した。吸入は、患者の応答によって指示される間隔において、いくらかの患者において6週間毎に、他において4週間又は3週間毎に繰り返された。繰り返される吸入は半年の間続けられた。この参考文献は、噴霧されるリグノカインが鎮咳として光ファイバの気管支鏡検査前に用いられるとき、それが咳そうを10-15分内に抑止することを開示する。しかし、用いる噴霧機は薬物の10倍高いドーズを要求する非常に大きな粒度を発生させる。
【0023】
Europ. J. Anaest.(EUROPEAN JOURNAL OF ANAESTHESIOLOGY、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・アネスシージオロジ), 14:616-622(1997年)は、気管内チューブの耐性の決定及び咳をすることを麻酔からの出現の間に抑止することについて、アルカリ化リグノカインの利点を記述する。リグノカイン(3mLの4%)又はアルカリ化リグノカイン(3mLの4%)は、気管中に施される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上記の刊行物すべてには、安全、時間の制約、リドカインの量及び吸入されるリドカイン又は別の麻酔剤についての許容性(tolerability)に関して一定の欠点を持つ。リドカインの投与に関連する望ましくない二次的症状は、咽頭反射の損失を伴う口咽頭の麻痺、流体及び食物の吸引の危険性、中等度から重度までの気管支痙攣、及び味覚の問題(taste problems)である。加えて、以前の処置のどれも、時間において短く、及び迅速な投与及び咳そうからの解放を提供するのに足りる有効性がない。
【0025】
上記の簡潔な説明から、有効で及び優れた治療法の継続する必要性が、急性及び慢性の咳そう又は咳の発作及び発症について、新しい組成物及び装置を用いる処置に関して存在することは明らかである。かかる治療法は、好ましくは、エアロゾル化する麻酔剤調剤物の吸入を含み、それは、治療上有効な量の薬物を直接的に気道の気管支内空間まで可能な限り最も短い時間において運搬する。
【0026】
したがって、この発明の主な目的は、咳そう及び/又は咳の発作及び発症の処置のための方法を提供することであり、それは、安全な、生理学的に受入れ可能な、及び効果的な調剤物を、純粋な、保存剤(preservative、防腐剤)を含まない溶液又は乾燥粉体でリドカイン又は別の麻酔剤化合物を備えるものを用いる吸入のために提供することによってなり、その調剤物は、十分な、しかし過剰な濃度でない活性薬物を含有し、その溶液は、電子噴霧機を用いる噴霧によって効率的に、3μmから10μmまでの実質的な範囲内のMMAD及び実質的な単分散の粒度スペクトルを持つエアロゾル中にまでエアロゾル化することができ、又は乾燥粉体調剤物は、乾燥粉体又はメータドドーズ吸入機によって投与される同様なエアロゾル特性を持つ。噴霧溶液(nebulized solution)及び乾燥粉体の双方は、患者(patients、受動体)によって良好に許容される。
【0027】
本明細書に引用するすべての特許、特許出願及び刊行物を、参考として本明細書に組み込む。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(概要)
この発明の1種の局面は、リドカイン又は別の麻酔剤を、リドカインが、肺の伝導性及び中枢性の気道中に、咳そう又は咳の発作又は発症の処置のために、又は煙(smoke)、スモッグ、粉塵(dust)又は空気汚染についての耐性の改善のために、標的運搬されるように備える吸入のための溶液である。
【0029】
本発明の別の局面は、リドカイン又は別の麻酔剤化合物を、肺の伝導性及び中枢性の気道中に運搬するための吸入用の溶液であり、前記溶液は、実質的な約3μmから10μmまでの範囲におけるMMAD、及び1.7よりも小さい幾何学的な標準偏差(GDS)を有する実質的に単分散の粒子スペクトルを有するエアロゾル中に噴霧され、そこでは、前記溶液は、電子噴霧機を用いて噴霧され、及び前記噴霧される溶液が、吸入によって、咳そう又は咳の発作又は発症に苦しむ対象体の伝導性及び中枢性の気道中に運搬される。
【0030】
本発明の更に別の局面は、咳そう又は咳の発作及び発症をリドカインの吸入によって処置するための方法であり、前記方法は、噴霧されるリドカイン溶液を、約10mgから約40mgまでの/1ドーズ当りの投与量において伝導性及び中枢性の気道中に施すことを含み、前記溶液がMMADを約3μmから約10μmまでの範囲において有するエアロゾル中に噴霧される。
【0031】
本発明の更に別の局面は、約10mgから約40mgまでの/1ドーズ当りのリドカインを含む噴霧されるリドカイン溶液であり、前記エアロゾルは、約3μmから約10μmまでの範囲においてMMADを持ち、そこでは、前記噴霧される溶液が、標的気道に対して、他の以前に既知で及び用いられるリドカイン溶液に比べて十分に改善されたリドカイン運搬を持つ。
【0032】
本発明のまだ別の局面は、約10から約80までのmgの、好ましくは約40mgの/1ドース当りの、リドカインで、正常又は希釈される塩類液の10分の1から正常な強度までのものにおいてか、又は別の塩化物を含む水性溶媒において溶解したものを備える調剤物であり、そこでは、前記調剤物は、5.5及び7.0間のpHを持ち、未緩衝化の(unbuffered)、150及び550間のmOsm/kgの浸透圧、31及び300間のmMの塩化物の浸透性陰イオン(permeant anion)としてのイオン濃度及び1.5cpよりも小さい粘性を持ち、そこでは、前記調剤物は噴霧によって約1-5mLの溶液において運搬され、そこでは、得られるエアロゾルは、3μm及び10μm間のMMAD、及び実質的に単分散の粒子スペクトルを持ち、及びそこでは、前記調剤物は電子噴霧機を用いて噴霧される。
【0033】
本発明のまだ更に別の局面は、リドカインの乾燥粉体の調剤物であり、その粒度分布は、リドカインの乾燥粉体の伝導性及び中枢性の気道への効率的堆積のための、約3.5μmから約10μmまでの間のMMADで、実質的に単分散の粒子スペクトルを伴うものを持つ。
【0034】
本発明のまだ更に別の局面は、約10から40までのmgのリドカインを備える乾燥粉体調剤物であり、そこでは、前記調剤物は、ミル(微粉砕)され、スプレイドライされ、又は沈降され、微粉体で、約3.5μm及び10μm間のMMAD、及び実質的に単分散の粒子スペクトル分布を有するものになり、そこでは、前記乾燥粉体調剤物を、1回から4回までで1日当りに150mgを超えない毎日のドーズを用いて施される吸入のために用いる。
【0035】
本発明の別の局面は、二部分の再構築(two-part reconstitution)システムであり、乾燥の又は凍結乾燥される粉体の形態におけるリドカイン、及び希釈剤を備え、用いるまで別々に貯蔵する。
【0036】
本発明の別の局面は、プラスチック製バイアルにおいて、室温での貯蔵及び容易な使用のために便利に提供される、リドカイン溶液又はリドカイン乾燥粉体である。
【0037】
本発明の別の局面は、咳そう又は咳の発作又は発症の、鼻による、口での、又は静脈内での、適正に調剤されたリドカイン又は別の麻酔剤を施すことによる処置であり、そこでは、経鼻投与については、リドカイン又は局所麻酔剤を、約2.5mgの薬物を0.3mgの溶媒において備える滴として調剤し、経口投与については、50-100mgの薬物を経口で日に1回又は2回投与し及び、静脈内投与については、毎日のドーズが、1日に1回又は数回投与される2000mgまでである。
【0038】
(図面の簡単な記載)
図1は、8種の異なる噴霧機での、薬物の合計の運搬されるドーズ及びアルブテロールの呼吸用の(respirable)ドーズを時間において定める比較調査の結果を示す。
【0039】
(定義)
本明細書で用いるように:
“MMAD”は、空気動力学的中央粒子径を意味する。
“正常塩類液”又は“NS”は、0.9%(w/v)NaClを含有する水溶液を意味する。
“希釈される塩類液”は、0.9%(w/v)NaClを含有する正常な塩類液を、そのより一層少ない強度で約0.04%から約0.8%までに希釈されるものを意味する。
“半正常塩類液”又は“1/2のNS”は、正常な塩類液をその半分の強度で0.45%(w/v)NaClを含有するものにまで希釈されるものを意味する。
“4分の1の塩類液”又は“1/4のNS”は、正常な塩類液をその4分の1の強度で0.225%(w/v)NaClを含有するものにまで希釈されるものを意味する。
“10分の1の正常塩類液”又は“1/10のNS”は、正常な塩類液をその10分の1の強度で0.09%(w/v)NaClを含有するものにまで希釈されるものを意味する。
“20分の1の正常塩類液”又は“1/20のNS”は、正常な塩類液をその20分の1の強度で0.045%(w/v)NaClを含有するものにまで希釈されるものを意味する。
“生理学的に受入れ可能な溶液”は、1/10のNS及び1のNS間にまで希釈される塩類液又は別の水性溶液で約31から約154までのmMの塩化物を備えるものを意味する。
“組成物”は、リドカイン含有調剤物で、追加的に、賦形剤、希釈剤、等張液、緩衝剤、等のような、他の成分を含むものを意味する。
“調剤物”は、リドカイン含有溶液の噴霧又はリドカイン乾燥粉体の噴霧のためのような、特定用途用に調剤されるの特定の組成物を意味する。
“リドカイン組成物”又は“リドカイン調剤物”は、示される量のリドカインを備える組成物又は調剤物を意味する。
“中枢性気道”は、気管、分岐櫛(carina)及び気管支によって規定される呼吸路における区分を意味する。
“分岐櫛”又は“気管分岐櫛”は、右側及び左側の主要な気管支の開口(opening)をそれらの気管支との接合部で分離する隆線(ridge)を意味する。
“LSI”は吸入用のリドカイン溶液を意味する。
“局所麻酔剤”は、プロパラカイン、コカイン、プロカイン、バドカイン(vadocaine)、テトラカイン、ヘキシルカイン(hexylcaine)、ブピバカイン、リドカイン、ベノキシネート(benoxinate)、メピバカイン、プリロカイン、メキシレテン(mexiletene、mexiletine(メキシレチン))及びエチドカインを意味する。
“主として”は少なくとも70%を意味するが、しかし、典型的に90%又はそれよりも多いことを意味する。
“実質的に(ほぼ)”は少なくとも80%を意味する。
“TOR”は合計の出力速度を意味する。
“GSD”は幾何学的標準偏差を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(発明の詳細な記載)
本発明は、局所麻酔剤、及び特に、リドカインで、吸入可能な調剤物として特別に調剤され、及び運搬されるもので、約3μm及び約10μm間の粒度中に電子噴霧機を用いて噴霧されるものが、任意の起源の咳そうの処置のために、及び特に咳の発作又は発症の処置のために安全で、及び効果的であるという発見に関する。
【0041】
結果的に、本発明は、リドカイン又は別の局所麻酔剤を備える吸入可能な組成物、及び咳そう、咳の発作又は咳の発症の処置のための方法に関する。吸入可能な組成物は、乾燥粉体としてか、又は吸入のための溶液として調剤され、及び受動体の伝導性及び中枢性の気道に対して、乾燥粉体又は吸入可能な溶液の約3μmから約10μmまでの、好ましくは約4μmから約5μmまでのMMADを持ち、1.7よりも小さい幾何学的標準偏差を有するエアロゾル中に噴霧されるものの吸入によって運搬される。吸入可能な組成物は、好ましくは、リドカイン溶液又は吸入のためのリドカイン乾燥粉体を備える。
【0042】
本発明は、このように、効果的で、安全、非刺激性及び生理学的に受入れ可能な及び適合性の吸入可能な鎮咳組成物に関し、これは咳そう又は咳の発作又は発症の処置にとって適切であり、前記組成物は、好ましくは、リドカインを活性原材料として備える。吸入可能なリドカイン組成物は、吸入可能なエアロゾルとしてか、又は吸入可能な乾燥粉体として運搬するために調剤される。エアロゾル化のためには、リドカインを最小容量の約1から約5までのmLの塩類液、好ましくは1-2mLの正常なものか、又は希釈された塩類液で、5.0及び7.5間の、好ましくは5.5及び6.5間のpHで、200及び400間のmOsm/kgの浸透圧で、好ましくは約250から約300までの間のものを持つものに溶解し、及びそれを3μmから10μmまでの間の空気動力学的中央粒子径(MMAD)で、好ましくは約4μmから約5μmまでの間のものを持つエアロゾル中に、リドカイン溶液が要求される寸法の粒子にまで約1から約3までの分の時間においてエアロゾル化し得る電子噴霧機を用いて噴霧する。
【0043】
(I.局所麻酔剤)
局所麻酔剤は、痛覚の神経伝達の妨害のために用いる薬物である。これらの薬物は、施し部位で痛みの知覚を妨げる。局所麻酔剤の例は、プロパラカイン、コカイン、プロカイン、テトラカイン、ヘキシルカイン、ブピバカイン、リドカイン、ベノキシネート、メピバカイン、プリロカイン、メキシレテン、バドカイン及びエチドカインである。代表的な及び好ましい局所麻酔剤はリドカインである。
【0044】
(A.リドカイン)
リドカインは、化学名でアセトアミド2-(ジエチルアミノ)-N-(2,6-ジメチルフェニル)の下で既知な局所麻酔剤である。
【0045】
本発明における使用に適するリドカインは、商業上入手可能であり、例えば、DSM Wyckoff(ワイコフ)、South Haven(サウス・ヘブン)、MI(米国ミシガン州)から可能で、及びCardinal Health Technologies(カーディナル・ヘルス・テクノロジ社)-STW、Woodstock(ウッドストック)、IL(米国イリノイ州)によって、次のように修飾される静脈内での使用のための1%又は4%のリドカイン溶液として包装される。
【0046】
(1.吸入用リドカイン溶液)
本発明において、吸入用のリドカイン溶液(LSI)は、特別に修飾される電子噴霧機で、好ましくは振動する穿孔膜(vibrating perforate membrane)を装備されるもので、及び好ましくはPARI eFlow(R)(商標)(パリ・イーフロウ)電子噴霧機のようなものを、組み合わせて用いることが意図される。LSI及び適正な電子噴霧機間の組合せにおいてのみ、本発明の利点が有効で、及び明らかになる。LSIは、吸入用に特別に調剤され、保存剤を含まず、及び浸透圧、pH、及び粘性に関して至適化され、電子噴霧機を介する噴霧にために適切である。
【0047】
吸入用リドカイン溶液(LSI)は1.0mLの滅菌した、保存剤を含まない、非発熱性(nonpyrogenic)の単一ドーズのものとして提供される。この溶液は、いずれかの10mg(1%)又は40(4%)の塩酸リドカインを、1mLの正常又は希釈された塩類液溶液当りに含み、pH5.0から7.5までの間の範囲に調整したpHを持つ。これらの溶液の浸透圧は好ましくは275-300のmOsm/kgに調整する。
【0048】
吸入用リドカイン(1%又は4%)は、吸入されるベータ-アゴニスト、例えばアルブテロールのようなものでの受動体の予備処置、更には肺の気管支痙攣からの保護を伴ってか、又は伴わずに、運搬することができる。
【0049】
(2.吸入用リドカイン乾燥粉体)
吸入用リドカインはまた、乾燥粉体として調剤し、及び乾燥粉体吸入機又はメータドドーズ吸入機を用いて運搬することができる。
【0050】
リドカイン乾燥粉体は、主として約3.5から約10までのμmの範囲における粒度を持つ粉体として調製する。
【0051】
(3.経鼻、経口又は静脈内使用のためのリドカイン)
経鼻、経口又は静脈内運搬のために適度に調剤したリドカインはまた、咳そう又は咳の発作又は発症の処置のために有利に用いることができる。
【0052】
経鼻投与のためには、リドカインをスプレイ又は経鼻ドロッパ(点滴機)として調剤する。咳そうの鼻による処置のための最も小さなドーズは1日に0.25%/0.3mLの1回であり、鼻の滴又はスプレイによって施される。鼻の投与のために用いる最も高いドーズは、およそ1%のLSI/0.5mLであり、日に3回10-15mgの毎日ドーズで施される。鼻に施されるリドカインの好ましいドーズは、0.5%/0.3mLであり、1日に2回、3mgの合計の毎日ドーズにおいて施される。
【0053】
経口投与のためには、リドカインを、液体又はカプセルとして調剤し、これは、50mgの1日に1回のリドカインの最も小さいドーズを商業上入手し得る経口の形態が用いられる。経口で施されるドーズの最も高いドーズは、300mg3回の毎日で900mgの毎日ドーズまでである。好ましいドーズは、100mgの2回1日で200mgの毎日ドーズを有する。
【0054】
リドカインの静脈内投与は、最も小さいドーズの0.5%/10mLの1回1日を構成し、及び最も高いドーズの2%/50mLが2回毎日施される。静脈内投与のための好ましいドーズは、1%/20mLの1回1日であり、それは200mg毎日ドーズである。
【0055】
(B.他の局所麻酔剤)
咳そうの吸入、経鼻、経口又は静脈内処置用の他の局所麻酔剤は、上述するように、リドカインと同様に調剤される。
【0056】
リドカインを局所麻酔剤の代表として利用する。しかし、リドカインに関連するすべての記述及び記載が、他の麻酔剤、本明細書において挙げ、及び記載したものに等しく適用される。
【0057】
(II.伝導性及び中枢性の気道及び咳そう)
咳そう又は咳の発作又は発症の吸入治療法は、領域を標的にし、そこは、咳そうの受容体が残留し、すなわち、伝導性及び中枢性の気道である。伝導性及び中枢性の気道は、気管、分岐櫛及び気管支を構成する。したがって、リドカイン又は他の局所麻酔剤調剤物は、主として及び優先的にこれらの3種の領域において堆積されるようにして調剤される。
【0058】
(III.咳そうの処置のための吸入可能な組成物)
本発明は主に、咳そう又は咳の発作又は発症の処置のための濃縮した吸入可能なリドカイン組成物に関する。リドカインは、吸入のためのリドカイン溶液のエアロゾル化によって、又はリドカインの乾燥粉体の噴霧によって、肺の伝導性及び中枢性気道中への効果的な運搬のために調剤される。
【0059】
吸入のためのリドカイン溶液は、エアロゾルを、約3μm及び10μm間の、好ましくは4及び5μm間のMMADを有し、ほぼ単分散の粒子スペクトルを有して生成する電子噴霧機又は乾燥粉体吸入機を排他的に用いるエアロゾル化によって運搬される。上に指し示す粒度は、リドカインの中枢性気道中への効果的な運搬に必要である一方、リドカインの口の及び咽頭の領域における堆積及び麻酔剤効果が最小にされる。この関連で、電子噴霧機の採択は本発明の実行のために絶対的である。
【0060】
ほとんどの現在入手可能な噴霧機は多分散性であり、及び従って多分散性の粒度スペクトルを持つエアロゾルを生成する。これらの噴霧機は主に、肺の疾病の処置用の末梢気道(下肺(lower lungs))において堆積する必要がある薬学的な薬物の運搬のために設計され、及び用いられる。かかる処置を達成するため、ほとんどの多分散性の噴霧機は1μmから100μmまでの範囲におけるMMADを有するエアロゾルを生成する。いくつかのより一層最近に開発された噴霧機は、主として1から5までのμmの領域における粒度を生成し得ることが示された。制限されない寸法のMMAD粒子を生成する多分散性噴霧機又は1から5までのμmのMMAD粒度を生成する噴霧機は、いずれも、エアロゾルの堆積を伝導性及び中枢性の気道において最大にし、及びかかる堆積を、口又は咽頭の領域において、又は下肺の末梢領域において最小にするのが求められる本発明の方法にとって適切でない。
【0061】
本発明は、リドカイン又は別の局所麻酔剤を備える溶液の吸入について、電子噴霧機と、特に特別に修飾された電子噴霧機のPARI eFlow(TM)(商標)とを併せて排他的に用いられるように設計され、及び開発される。PARI eFlow噴霧機は、単分散性であり、及び従って主として、実質的に約3から約10までのμm、好ましくは4及び5間のμmの範囲における単分散性の粒子を生成することができる。約3.5μm及び10μm間のMMADを有し、好ましくは4μm及び5μm間であるMMADを有するエアロゾルを生成する乾燥粉体又はメータドドーズ吸入機は、リドカイン乾燥粉体の噴霧のために用いる。かかる粒度は、リドカインの伝導性及び中枢性の気道中への効果的な運搬に必要である一方、リドカイン麻酔剤の、口咽頭による及び下肺における堆積を最小にする。
【0062】
(A.吸入のためのリドカイン溶液の特性)
噴霧用のリドカイン組成物を、エアロゾル化されるリドカインの、肺の伝導性及び中枢性の気道に対し最も効果的ではあるが、しかし安全な運搬のために調剤する。吸入のためのリドカイン溶液が、咳そう又は咳の発作又は発症の処置又は寛解のために有効であるために、溶液は、一定の範囲のpH、浸透圧、粘性、容量及び活性薬物の濃度のような、一定の予め定められる特性を持たなければならない。加えて、溶液は安全であり、受動体によって良好に許容され、及びその運搬は、合理的に迅速で、及び効果的でなければならない。
【0063】
リドカイン組成物は、10mg、40mgを、又はまれにであって及びいくつかの場合だけであるが、それは80mgの薬物を、1-5mL、好ましくは1mLの塩類液又は1種の吸入ドーズのための別の溶媒当りに含んでいるか、又は含むことができる。本発明の方法に従って調剤され、及び運搬されるとき、それは、治療上効果的なドーズのリドカインを、咳そうの標的部位にまで、咳そう又は咳の発作又は発症の処置に十分なリドカインの量において運搬する。
【0064】
リドカイン組成物と、ほぼ単分散性の粒子スペクトルを有するエアロゾルを生成する電子噴霧機で、特に、振動する穿孔膜を装備するPARI eFlow噴霧機(PARI GmbH(パリ社)、Munich(ミュンヘン)、Germany(ドイツ国))との組合せは、実質的に、全体のドーズのリドカインの、伝導性及び中枢性の気道中への運搬を可能にし、これは、任意の実質的なリドカインが、口咽頭空間で、局所的麻痺、及び咽頭反射の損失が起こすことが知られるものの中へ、又は下肺でそれが望ましくない副作用を生じさせることがあるものの中へ堆積するのを伴わずに、及び容易に体循環に入る。
【0065】
各ドーズのリドカイン溶液は、最小であってなお効果的な量のいずれかの10又は40のmgのリドカインを、1mLドーズ当りに含み、塩類液のできるだけ最も小さな容量(1mL)において調剤され、前記溶液は、275及び300間のmOsm/kgの浸透圧、約1.5cpの粘性及び5.0及び7.5間のpH、好ましくは約5.5-6間のpHを持つ。このように、吸入用の調剤されたリドカイン溶液は、安全で、及び受動体によって良好に許容されるリドカインのエアロゾルを生じさせ、及び気管支痙攣、咽頭反射の損失又は麻痺のような二次的な望ましくない副作用の発達を最小にし、及び最小の口咽頭の堆積を持つ。
【0066】
(1.安全性)
エアロゾル化される局所麻酔剤の調剤物のための主な要求はその安全である。安全は、呼吸路の他の領域上で現れる局所麻酔剤の麻酔剤効果によって、及び咳そうが発生する領域以外の他の領域の呼吸路におけるその堆積によって、及びその麻痺性効果によって測定される。咳そうにおける肺の気管支痙攣は、最も観察可能な症状の1種で、その文献で十分に記述されているようなものであり、及び従って、リドカインの上肺(upper lungs)への投与がもたらされないで、又は更に気管支痙攣を悪化させないで、それが、吸入可能なリドカイン溶液中に含有される任意の保存剤によるもので、及びそれに関連するものであり、又はそれが、リドカインエアロゾルの粒度に関連しないか、又はそれによって生じないことが重要である。リドカインの肺中への非-標的運搬(non-targeted delivery)に伴って、中枢神経システム(中枢神経系)、頭痛、振戦及び眩らん上の全身の効果(systemic effects)のような副作用が、発生することが知られており、及びそれらが安全の尺度である。
【0067】
吸入用のリドカインが公称上の量のリドカインだけを含むように調剤されるので、及びそれが標的の肺の領域において主として堆積される粒度において運搬されるので、咳そう又は咳の発作又は発症の処置のための方法は、共に安全で及び効果的である。
【0068】
(2.有効性)
有効性は、咳そうの寛解のために必要な薬物の量によって、咳の発作又は発症の抑止に必要な投与の頻度によって、薬物の量を運搬するのに必要な時間によって、特定の標的領域において、即ち、気管、分岐櫛及び気管支において堆積する薬物の割合、並びに他の領域、即ち、口、鼻、喉頭及び咽頭のような上気道、及び気管支梢及び肺胞のような下肺における堆積の欠損によって測定される。非常に重大なことに、有効性は、気道への環境負荷(environmental challenges)に対する受動体の許容、及び男性の/女性の煙、スモッグ、粉塵、アレルゲン及び空気汚染に対する許容によって測定される。
【0069】
このリドカイン調剤物の主要な利点は、その安全性、その咳そう寛解における有効性、そのより一層少ない麻酔剤効果、そのより一層少ない口咽頭の堆積、その気管支痙攣の欠損、そのより一層迅速な運搬及びその標的投薬(targeted dosing)、使用の実用性及び便利さ並びにその長い有効期間(shelf-life、寿命)、保存及び投与及び噴霧装置の取り扱いの容易性である。調剤物及び噴霧機の便利さ、安全性及び実用性のために、処置は、病院の設定において、医者のオフィスにおいてか、又は家庭で提供することができる。
【0070】
エアロゾル化リドカインについての安全性及び有効性の必要の双方は本明細書に記載のリドカイン調剤物によって適合することが今回見出された。
【0071】
(3.許容性)
適合する必要があるエアロゾル化暴露間での吸入用のリドカイン調剤物の気道許容性についての鍵となるパラメータは、浸透圧、pH、リドカイン濃度、イオン濃度、粘性及び保存剤の不存在である。これらのパラメータを、以下、表1においてに挙げる。
【0072】
【表1】

【0073】
表1において見られるように、本発明にかかるリドカイン溶液は、150及び550間のmOsm/kgの浸透圧、31及び300間のmMの浸透性陰イオンのイオン濃度、5.5及び7.0間のpH及び1.5センチポイズよりも低い粘性を持つ。リドカイン濃度は、10又は40のいずれかの、稀に80のmgで1mL当りの塩類液についてのものである。塩類液以外で、二次的副作用を引き起こすことがある他の保存剤は存在しない。1mLのリドカイン溶液の投与についての噴霧時間は、約1-2.5の分であり、そのとき、PARI eFlow電子噴霧機の出力速度上で電子噴霧機を用いて運搬され、PARIのそれは0.4g/分よりも高いか、又はそれに等しい合計の出力速度(TOR)を持つ。出力速度が約0.5g/分であるとき、1mLのリドカイン調剤物の運搬は、2分よりも少なくまで短くされる。
【0074】
上記の記載から、吸入用のリドカイン調剤物が、本明細書に記載するように、上述の特長を持つ電子噴霧機との組合せで、効果的な量のリドカインを、受動体の肺中に1から2までの分の内に、及び大抵は2.5-3分で運搬することが明らかである。受動体のリドカインへの暴露は、このように、すべてのリドカインを伴う従来の吸入の試みに比べて、実質的に短くされ、及び従って、かかる処置はより一層良好に許容される。
【0075】
(4.リドカインの投与量)
咳そう又は咳の発作又は発症の有効な処置は、咳をすることを抑止するのに十分な量の薬物を提供する処置療法を必要とする。かかる療法は、吸入可能なリドカインの1日当り1から4までの回数の投与を要する。しかし、最も好ましい受動体の便利さについての投薬療法は、1日当り1又は2回で、それは、リドカインの特定の麻酔剤効果が肺において現れるからであり、及びその約2.5時間の比較的短い有効期間のためであり、ときとして、1日当り2回よりも多い投薬が咳そう又は咳の発作又は発症の完全な管理にとって必要である。典型的には、本発明にかかる咳そうの処置のために、1日に2回(twice-a day)の療法が十分である一方、リドカイン調剤物は、1日に10回について及びそれまで10又は40のmgのいずれかのドーズにおいて安全に投与することができる。
【0076】
したがって、リドカインの合計の毎日のドーズは、日当り約10又は約160のmgのいずれかの間で1ドーズ当り10又は40のmgの1又はそれよりも多いドーズにおいて投与されるように設定される。合計の最大の推奨される毎日の量は、典型的に約200mgを超えないべきである。
【0077】
典型的に、調剤物及び電子噴霧機は、伝導性及び中枢性気道へのリドカインの運搬の少なくとも約25-40%で、好ましくは50%よりも高い有効性を提供するように選定する。したがって、10又は40のmgのドーズを伴い、ドーズが10mg/mLである場合、2.5から4までの間のmgを運搬する。ドーズが40mgであるとき、肺に運搬されるリドカインの量は、各投与中に10及び16間のmgである。肺に運搬される3mgのリドカインが、季節的な非-重度(non-severe)の咳そうに苦しむ受動体において効果的であることが見出された。重度の慢性咳そうでの抑止のためには、本発明に従い40mgドーズ/1mL塩類液として運搬される16mgのドーズが、非常に効果的であり、及びそれは、それが2分未満の時間の非常に短い期間において運搬され得るからであり、それは、口咽頭領域の麻痺、咽頭反射の損失又は増加した全身血漿レベルのような、任意の重度の望ましくない効果のないことが見出された。何の場合においても、1ドーズが80mgの肺ドーズを超えることはないべきである。
【0078】
投与されるリドカインの有効な投与量及び各受動体の処置のために用いる療法の決定は、処置に対する個々の受動体の反応性に依存する。最終的で決定的な因子は、咳そう受容体がエアロゾル化後に位置する領域においてリドカインの予測されるレベルである。加えて、また、肺のドーズはリドカイン血漿レベルに関連する。噴霧化直後の1mLの血漿におけるリドカインの最適な範囲は20-500ng/mLの範囲にあるべきである。このように、投与の頻度は、投与されるリドカインの有効性と関連する。
【0079】
小量でなお有効な量のリドカインの、直接的な伝導性及び中枢性の気道への、非侵襲性(noninvasive)の投与を可能にする新しい様式(モード)は、噴霧されるリドカインの運搬に用いられるすべての以前の既知方法に比べて十分な改良を提供する。
【0080】
(5.リドカインのエアロゾル調剤物に及ぼすpHの効果)
リドカインを含有する噴霧される調剤物のpHは、咳そうの処置のための重要な特色である。結果的に、リドカインのエアロゾルを調製するために用いる塩類液溶液は、一定の要求を持つ。かかるエアロゾルは、275及び300間のmOsm/kgの浸透圧を提供しなければならず、及びpH範囲に影響してはならず、それは、5.5から7.0まで、好ましくは、pH5.5及び6.5間である。
【0081】
LSI調剤物のpHの制御は、効果的な噴霧リドカインの運搬にとって必要である。リドカインのエアロゾルがより一層酸性又は塩基性のいずれかであるとき、それは上記に与えるpHの範囲の外側にあり、それは、気管支痙攣を中枢性気道において引き起こし、及び咳そうを悪化させることがある。pHの安全な範囲は相対的であり、及びいくらかの受動体が穏やかにより一層酸性のエアロゾルを許容するかもしれないが、他のものは気管支痙攣を経験する。任意のエアロゾルで、4.5よりも低いpHを有するものは、典型的に、気管支痙攣を誘導する。4.5及び5.5間のpHを有するエアロゾルにより、気管支痙攣が時折引き起こされる。リドカインのエアロゾルを試験することで、5.5及び7.0間のpHを持つエアロゾル化可能な(aerosolizable)リドカイン調剤物が良好に許容され、及び安全であることが発見された。8.5よりも高いpHを持つ任意のエアロゾルは避けるべきであり、それは、肺上皮が、より一層多くの量のアルカリ性エアロゾルを緩衝化できないからである。4.5より低く、及び8.5を超えるpHを有するエアロゾルは、肺の刺激作用をもたらし、それは、重度の気管支痙攣、悪化する咳そう、及び炎症反応を一緒に伴う。
【0082】
これらの理由から、並びに受動体における気管支痙攣、咳そう又は炎症の回避のため、リドカインのエアロゾル調剤物についての最適なpHが、pH5.5からpH7.0までの間で、pH5.0及び7.5間の許容可能なpHを伴っていると定められた。結果的に、リドカインのエアロゾル調剤物は、5.5及び7.0間のpHで、約5.5から6.5までの好ましいpH範囲を伴って調整される。最も好適なpH範囲は5.5から6までである。
【0083】
(6.リドカイン調剤物に及ぼす塩分の効果)
急性又は慢性の咳そう、特にそれらが慢性の咳そう及び再発する咳の発作又は発症を伴うものに苦しむ受動体は、種々の化学薬剤に対する増加した感受性及び気管支痙攣の高い発生頻度を持つ。この方法は、咳そうの処置のために設計されるので、局所麻酔剤溶液の塩分は非常に重要である。咳そうに苦しむ受動体の気道は、特に低張又は高張及び酸性又はアルカリ性条件に対し、及び浸透性イオンの塩素イオンの過剰、しかしまた、不存在に対して感受性である。これらの条件又は上記特定の値の塩素イオンの存在における任意の不均衡は、気管支痙攣又は炎症性事象及び/又は悪化した咳そうを導き、それは、吸入可能な調剤物での処置を著しく損う。これらの条件すべては、エアロゾル化リドカインの中枢性気道への有効な運搬を妨げる。気管支痙攣及び刺激される気道の炎症性臨床徴候は、咳そう又は咳の発作又は発症を、本発明に従って処置する方法にとって極めて望ましくない。
【0084】
リドカイン調剤物のための水性溶媒の使用は、健康な肺において見出される生理学的条件をまねる浸透圧の一定の程度を提供することのないものは望ましくない。
【0085】
結果的に、一定量の塩素陰イオンは好首尾の及び効果的なエアロゾル化リドカインの運搬にために必要であり、及びかかる量は他の化合物のエアロゾルについて提供され、及び典型的に用いられる量よりもなお一層特異的である。
【0086】
持続性の又は重度の咳そうは、気管支痙攣を一緒に伴うことが多く、それは、エアロゾル化に用いる希釈剤の同じ浸透圧に容易に応答しない。しかし、今回、かかる気管支痙攣を、希釈剤の浸透圧が一定の制限される範囲内にあるとき、十分に制御し、及び/又は抑止することができることを見出した。結果的に、持続性又は重度の咳そうの処置に適切なリドカインの噴霧のための好ましい溶液は、安全で、及び許容され、それは、275及び300間のmOsm/kgで、31mM及び300mM間の塩素イオン濃度の範囲を伴うものに制限される浸透圧を持つ。与えられる浸透圧は、気管支痙攣を制御し、及び塩素イオン濃度は、浸透性陰イオンとして、咳そう又は咳の発作又は発症の制御に寄与する。
【0087】
正常な塩類液(NS、0.9%)は、154mMの塩素イオンを含有するが、31mMの塩素イオンは約0.2%の正常な塩類液に相当する。リドカイン塩はリドカインHClとして製造される。より一層高い濃度の吸入用リドカイン溶液は、従ってより一層少ないNaClの添加しか必要とせず、150mMの塩素イオン含量に達する。
【0088】
今回、リドカインが、正常な塩類液、すなわち、塩類液は0.9%の塩化ナトリウムを含有するが、それよりも少ないものにおいて溶解されるとき、効果的に中枢性気道中に運搬され得ることが発見された。1/20Nの塩類液は、リドカインの中枢性気道への運搬を可能にし、及び確実にし、及び若干の場合、より一層良好な粒子堆積及び咳そうの処置を可能にする。
【0089】
結果的に、本発明にかかるリドカインのエアロゾルについての調剤物は、約10又は約40のいずれかのmg、好ましくは約40mgのリドカインを備え、1mLの正常な、又は希釈される塩類液で、約1/20の正常な塩類液(NS)から約及びせいぜい1の正常な塩類液の溶液にまでのものにおいて溶解される。
【0090】
約10mgのリドカインを、1mLの0.2NS当りに含有するリドカイン調剤物は、約290mOsm/Lの浸透圧を持つ。かかる浸透圧は、咳そうに苦しむ受動体及びまた、慢性の咳そうを有する受動体に施すのに適切なエアロゾルの安全な範囲内である。
【0091】
本明細書に記載するようにして調剤されるリドカインの運搬は、大いに一層効果的であるから、大いに少ない合計のドーズのリドカインしか、咳そうの完全な及び迅速な抑止を達成するのに必要でない。典型的に、約40mgの合計のドーズのリドカインで、1mLの溶液において溶解させるものは、電子噴霧機を用いて上述のように運搬されるとき、重度の及び持続性の咳そうを抑止するのに十分である。
【0092】
(7.浸透圧)
エアロゾル化溶液の浸透圧は、吸入中の気管支収縮の開始に直接関連する。咳そうは、浸透圧<100又は>1100mOsm/kgを有する溶液の吸入によって定期的に(regularly)誘導される。
【0093】
咳と一緒に伴われる穏やかな(mild、軽度の)喘息の9件の受動体の調査は、4%の塩化ナトリウム(1232mOsm)のような高浸透圧溶液、又は低浸透圧溶液、例えば、蒸留水、(零mOsm)が、噴霧されたエアロゾルを吸入するとき、気管支収縮を誘導することを示した。逆に、同浸透圧性(isoosmolar)溶液(308mOsm)は、気管支収縮を誘導しなかった。したがって、0.9%の塩化ナトリウム又はより一層少ない割合のもののような、等張溶液は、塩酸塩の塩を償うために、気管支収縮を最も引き起こし難い。
【0094】
考察の別の点は、溶液の浸透圧に及ぼす噴霧の効果である。噴霧中、浸透圧は、予備-噴霧値と比較して、11%から62%までに増加する。浸透圧におけるピーク増加は、典型的に、噴霧の10及び15の間の分に観察される。浸透圧のこの上昇は噴霧の機構によって説明することができる。ジェット噴霧機において、エアロゾルは、乾燥ガス(気体)の高速の流れにおいてせん断される流体によって生成される。一次の液滴(droplets)の発生後、水はエアロゾルの液滴の表面から蒸発して、空気を湿らせ、それによって液滴における浸透圧を高める。次いで、液滴のおよそ99%は、貯蔵所(リザーバ)に戻り、噴霧機において残る液体において溶質の濃度における連続的な増加及びエアロゾル液滴の浸透圧における連続的な増加を引き起こす。
【0095】
この観察可能な浸透圧における増加のために、噴霧の時間は10分を超えないまでに制限されるのを目指した。もちろん、噴霧がより一層短い時間において行われるとき、本発明におけるように、その場合、噴霧のための時間は、典型的に1及び2の間の分であり、及びせいぜい3分にまで制限され、浸透圧においての何らの又は小量の増加しか起こらない。
【0096】
例えば、PARI e-Flow又は他の同様に装備された電子噴霧機の1種のような、電子噴霧機の選定及び排他的な使用は、噴霧のための時間の1-2分までへの短縮をもたらし、それによって他の種類の噴霧機を用いて観察される濃縮効果(concentration effect、集中効果)が排除又は否定され、及び何らの薬物の濃縮も噴霧中に発生しない。
【0097】
(8.イオンの濃度及び透過性)
超音波により噴霧される溶液における浸透性陰イオンの不存在は、同浸透圧条件下でさえも咳そうについての刺激であり、咳そうの量は浸透性陰イオンの濃度に直接的に比例する。したがって、イオン濃度が気道の許容性について重要であるだけでなく、存在するイオンの種類もまた考慮されなければならない。225及び616間のmOsm/kgの浸透圧を有する溶液の吸入は、塩素イオン濃度が31mMよりも少ないときに、咳そうを誘導する。塩素イオンは理想的な浸透性イオンであることが見出され、その存在は、噴霧溶液の高浸透圧性によって引き起こされる悪影響のいくつかを軽減することを伴う。31-300間のmMの塩素イオン濃度が最適であると見出された。用いるイオンが塩素イオンでない場合、選定される代わりの陰イオンは自由に呼吸粘膜に浸透するべきである。
【0098】
適切な浸透性陰イオンを生成し、及びこのようにして代わりの塩化ナトリウムとして用いることができる塩の例は、塩化カルシウム、塩化コリン、リジン一塩酸塩、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム及びヨウ化ナトリウムである。
【0099】
しかし、これらの代わりのものを用いるのが可能である一方で、本発明の目的のためには、塩化ナトリウムの陰イオンが最も好ましい。
【0100】
(9.粘性)
噴霧の速度及び粒度分布は溶液の粘性に直接的に比例し、噴霧の速度及び粒度が減少するときほど、粘性が増加する。
【0101】
抗菌性(抗生物質)溶液の濃度で、1.5cpよりも高い粘性を生成するものは、噴霧速度に劇的な影響を持つことが見出された。結果的に、吸入用のリドカイン溶液の粘性は、1.5cp付近に設定され、及びそれに保たれるようにすべきである。
【0102】
(10.添加剤)
上記に既述のように、吸入用のリドカイン溶液は、保存剤を含まず、及び好ましくは、他の添加剤を用いない。
【0103】
添加剤を用いるための任意の使用又は意思は、溶液の気道の許容性及び毒性に及ぼすその効果に関連する注意深い考慮を要する。
【0104】
(11.好適なエアロゾル化可能なリドカイン調剤物)
咳そう又は咳の発作又は発症に苦しむ受動体は噴霧溶液のpH、浸透圧、及びイオン含量に対し敏感であり得る。したがって、これらのパラメータを調整して、リドカインの化学及び更に受動体への許容性に適合させる。
【0105】
本発明の好適な調剤物は、約10又は約40のいずれかのmgのリドカインを備え、約1から約5mLの塩類液において溶解し、5.5及び7.0間に調整されたpHを持ち、噴霧によって3.0μm及び10μm間の空気動力学的中央粒子径(MMAD)を持つエアロゾルにおいて運搬される調剤物で、そこでは、前記調剤物は、電子噴霧機で、好ましくは振動する穿孔膜を装備するものを用いて噴霧される。
【0106】
本発明の最も好適な調剤物は、約10又は約40のmgのドーズのリドカインを備え、約1mLの塩類液において溶解し、5.5及び6.5間に調整されたpHを持ち、噴霧によって3及び10間の、好ましくは4μm及び5μmのμmの空気動力学的中央粒子径(MMAD)を持つエアロゾルにおいて運搬される調剤物で、そこでは、前記調剤物は、PARI eFlow電子噴霧機で、特に振動する穿孔膜を装備するものを用いて噴霧される。
【0107】
表2は、2種の特定のリドカイン調剤物についてのこれらの及び他の好適なパラメータを示す。
【0108】
【表2】

【0109】
すべての調剤物を設計し、良好に許容され及び確かに及び完全に噴霧し、3μmから10μmまで、好ましくは4μm及び5μm内の呼吸用の寸法範囲内のエアロゾル粒子にし、迅速に1-2分内に及び主として伝導性及び中枢性気道中に堆積させる。
【0110】
ドーズは、リドカインの最も活性な形態の必要量までをも含むが、それを超えないで含むように設計され、重度の咳そう及び咳の発作及び発症を防ぎ、及び処置する。
【0111】
本発明にかかる調剤物は、薬物の中枢性気道までへの運搬を最適化する特長を有するエアロゾル中に噴霧され、そこでは、咳そう受容体が配置され、及び咳そうが起きる。
【0112】
リドカインの肺中枢性気道までのエアロゾルにおける効果的な運搬のために、3.5μmから10μmまでの間、好ましくは、約4μm及び約5μmの間の空気動力学的中央粒子径(MMAD)を持つエアロゾルの形成が必要である。咳そうの処置のために調剤され及び運搬されるリドカインの量は、肺の伝導性及び中枢性の気道を有効に標的にしなければならない。調剤物は、できるだけ最も小さいエアロゾル化可能な容量を持ち、有効なドーズのリドカインをできるだけ最も短い時間において運搬され得なければならない。調剤物は、加えて、中枢性気道の機能性に悪影響を与えない条件を提供しなければならない。結果的に、調剤物は、薬物の効果的な運搬を可能にする一方で、上呼吸路の麻痺及び咳によって影響されない肺のより低い領域における堆積を避ける条件下で調剤されるのに足りる薬物を含まなければならない。本発明にかかる新しい調剤物はこれらの要求のすべてを満たす。
【0113】
(B.リドカインの乾燥粉体組成物)
吸入可能なリドカインを、咳そう又は咳の発作又は発症の処置のために運搬する代わりの方法は、伝導性及び中枢性の気道に投与される乾燥した吸入可能な粉体の乾燥粉体又はメータドドーズの吸入機によるものである。
【0114】
乾燥粉体調剤物は、約10から80までのmg、好ましくは40mgのリドカインを備え、及び潜在的能力を持ち、質量に基づき(on a mass basis)、リドカインの乾燥粉体の十分な量を、乾燥粉体吸入機又はメータドドーズ吸入機を用いて肺の標的領域にまで運搬するのを可能にする。乾燥した吸入可能な粉体の運搬のために、リドカインをミルし、沈降させ、スプレイドライし、又は他の方法で処理して、乾燥粉体吸入機から放出されるとき、約3.5μm及び10μm間の、好ましくは約4μmから約5μmまでの空気動力学的中央粒子径を有するエアロゾルを形成する粒子になる。粉体の処理技術の例には、これらに制限されないが、媒体ミリング(微粉砕)、ジェットミリング、スプレイドライイング又は粒子沈降(particle precipitation)の技術が包含される。
【0115】
この局面では、乾燥粉体吸入機又はメータドドーズ吸入機は、リドカインの乾燥粉体運搬手段の手段として、実用的で、及び便利であり、それは、それが、乾燥粉体の希釈、又は噴霧機の充填のような任意の更なる取り扱いを必要としないからである。さらに、乾燥粉体又はメータドーズの吸入機は小さく及び十分に携帯可能なユニット(単位)である。
【0116】
乾燥粉体調剤物は、このように、実用的であり、及び便利で、及び特に移動式の使用に適切であり、それは、それが、希釈又は他の取り扱いを必要としないからであり、それは延ばされた有効期間及び貯蔵の安定性を持ち、及び乾燥粉体の吸入運搬装置は携帯可能であり、及びエアロゾルの噴霧機によって必要とされる大きな付属品を要求しない。
【0117】
乾燥した吸入可能な粉体の調製のために適切なすべての技術、及びそれらの任意のもの及びすべての改善、並びに任意の乾燥粉体の吸入機又は任意の他の乾燥粉体の運搬に適切な吸入機は、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0118】
(C.有効期間及び貯蔵)
調剤物の安定性は、効果的な調剤物についての別の非常に重要な問題である。薬物が噴霧前に分解する場合、より一層小量の薬物が肺に運搬され従って処置の有効性が損なわれる。さらに、保存されたリドカインの分解は、受動体によって不十分にしか許容されない物質を生じさせ得る。
【0119】
乾燥形態、即ち、吸入用リドカイン溶液又はリドカイン乾燥粉体の調製のための凍結乾燥リドカインは、少なくとも2年の長い有効期間を持つ。本発明によれば、エアロゾル化のためのリドカインは、好ましくは予め定めた凍結乾燥した剤形(dosage form)の10又は40のmgのもので、吸入治療前の再構築について意図されるものにおいて調剤される。リドカインの調剤物は、このように、凍結乾燥される粉体で、乾燥粉体運搬用又は再構築用の何れかとして、凍結溶液、リポソームの懸濁液として、又は顕微鏡的粒子として無菌的に調製することができる。延ばされた有効期間は、調剤物の容易な、及び信頼できる貯蔵を提供し、及びエアロゾル化のために適切な乾燥形態においてリドカインの容易な再構築又は使用を可能にする。
【0120】
エアロゾル化に適切な吸入用リドカイン溶液は、好ましくは、2種の別々の成分として提供され、1種は、乾燥リドカインの凍結乾燥物又は粉体、又はその塩を含有し、及び第2のものは、0.1から0.9までのNの塩類液のような、上述のような適正な希釈剤を含む。吸入用の溶液はエアロゾル化及び受動体への投与の直前に再構築される。貯蔵のための2種の成分の包装は水性溶媒におけるリドカインの長期安定性と関連がある問題を防ぐ。
【0121】
リドカインの液体の形態はまた(1%及び4%)、貯蔵される調剤物を用いる準備として便利に供給され、及び1mLの“Blow-Fill-Seal(ブロウ-フィル-シール)”のバイアル(ガラスびん)で、低密度ポリエチレン(LDPE)のバイアルのような、プラスチックのポリエチレン物質から作製され、例えば、Huntsman Rexene(ハンツマン・レクセン社)6010から得られる。Blow-Fill-Sealについての上包み(Overwrap)はFlexicon(フレキシコン社)Flexi(フレキシ)-2114から作製される。調剤物の使用のためのかかる準備用の選定物質は、バイアルのプラスチック壁上にリドカインが吸収されるのを防ぎ、吸収は他のプラスチック材料では共通に発生する。バイアルの1mLの充填容量は、薬物の正確な量を提供し、それは安全で、及び受動体の利便にとって効果的である。上述の種類のバイアルで、アルミニウム上包みで覆われたものにおいて、吸入用のリドカイン溶液(1%又は4%)は、少なくも9か月及び12か月の間、それぞれ、室温で安定である。強度の損失はこれらの条件下には存在しない。加速された条件で、バイアルが40℃の温度及び75%の相対湿度に曝されると、双方の調剤物は、少なくとも6か月間、それらの十分な活性を保持することが示された。
【0122】
(IV.局所麻酔剤の吸入による投与)
咳そう又は咳の発作又は発症の処置のために、局所麻酔剤、好ましくはリドカインを、上述のように調剤し、電子噴霧機を用いる噴霧によって投与する。
【0123】
(A. 2種のモードの吸入可能な投与)
本発明に従う吸入可能なリドカイン又は別の局所麻酔剤の、咳そう又は、咳の発作又は発症の処置のための投与は、上述のように、エアロゾル化リドカインの吸入用溶液を用いて、又は吸入可能な乾燥リドカイン粉体を用いて、のいずれかで達成される。薬物は、吸入用溶液として、凍結乾燥物又は粉体で、及び投与のまさしく前に塩類液において溶解されるものとして、又は投与のために直接用いられる粉体として、調製され、及び保存される。
【0124】
(B.投薬の頻度)
投薬の頻度は、咳の発作又は咳そうの発症の重症度又は生起において、並びに別の基礎疾病、例えば、喘息、慢性の閉塞性の肺疾病、気腫、肺癌、GER、肺炎、普通の風邪又はインフルエンザの存在のような他の条件において、依存する。
【0125】
処置療法は、1回から数回まで、好ましくは4回で、1日に、吸入可能な、リドカインのような局所麻酔剤の投与を提供する。しかし、受動体の利便に最も好適な投薬療法は、1日に1回又は2回であり、それは、迅速なリドカインの咳そう抑止効果のためであり、及びその比較的短い約8時間の有効期間(エアロゾル化によるリドカインの血漿半減期が2.5時間である)のためのであり、より一層のしばしばの投薬が咳そうの完全な抑止のために要求され得るからである。
【0126】
重度の及び持続性の咳そう、咳の発作又は咳の発症を有する受動体において、投薬の頻度は、約10-12の回数の1日当りの各時間まで、又は咳を抑止するのに必要なようなリドカインの量しか各時間で用いられないならば、必要に応じて、増加させることができる。
【0127】
吸入によって施されるリドカインのドーズは、典型的に、1ドーズにつき、リドカインの10又は40のmgのいずれかにまで制限される。毎日のドーズは、10mgほど小さく、典型的な上側の毎日の制限の160mgを有し、最大の毎日のドーズの典型的には200mgを超えないリドカインを多重の投与において運搬することを伴うことができる。非常に重度で、及び持続性の咳そうの極度で、及び稀な例では、ドーズは日当り400mgにまで達し、小量の増分において4又はそれよりも多いエアロゾル投与において運搬され得る。1つのエアロゾルの投与量のための典型的な、及び好適な範囲は、10及び40のmgの間で、日に2回投与され、又は40mgで日当りに3又は4回投与される。乾燥粉体吸入のためには、1つの投与のためのドーズは、典型的に、1ドーズ当り約5及び20の間のmgであり、及び最高では、1ドーズ当り200mgに達し得る。投薬の頻度は、典型的に、日に3又は4回であるが、また、1又は2又は4回よりも多い投薬療法が含まれ、それはこの療法が受動体の必要性及び条件に依存するからである。
【0128】
重度の咳そう、喘息、気管支痙攣を有する受動体、又はそれらの受動体で、例えば、手術後の咳そうを経験するものは、1つの非常に短い吸入しか一度に抵抗し得ないが、かかる吸入は、より一層小量のリドカインの各々2、3又は4時間で用いて繰り返し、咳そうを抑止するのに十分なレベルのリドカインを、受動体の気管支痙攣又は他の条件を引き起こすか、又は悪化させないで得ることができる。
【0129】
(V.エアロゾル化リドカインの運搬のための装置)
本発明の主な要求は、リドカインを、有効に、中枢性気道に、最も迅速で、有効で及び経済的なやり方で運搬することである。薬物の肺への運搬は、吸入されるエアロゾルの寸法分布、運搬システム、及び粒子の薬物含量の関数である。これらの局面の効果は、文献において良好に文書化されている(“The Mechanics of Inhaled Pharmaceutical Aerosols(吸入される薬剤エアロゾルの機構)”、W. H. Finlay(フィンリ)、Academic Press(アカデミック・プレス社)、2001年)。
【0130】
(A.噴霧機)
上述の本発明の組成物は、局所麻酔剤、好ましくはリドカインを、溶液において調剤し、それは薬物の治療上効果的な量の運搬を可能にし、噴霧によって発生するエアロゾルがかかる有効な運搬に求められる規準に合うのを条件とする。電子噴霧機で、局所麻酔剤、及び特にリドカインの調剤物を本発明に従ってエアロゾル化するものは、本発明の不可分な部分である。
【0131】
目下商業上入手可能な極めて少数の噴霧機の種類がある。それらは、しかし、いずれもが電子噴霧でも本発明の実行にとって適切でない。“電子噴霧機”は以下のようなものとして規定され、及び指し示される群からの1種の噴霧機として規定される。
【0132】
ほとんどの薬剤エアロゾルは、1μm及び100μm間の粒度の範囲を持ち、それは、この寸法範囲が最も良好なバランスの吸入能力(inhalability)及び薬物の輸送に対する能力を持つからである。この範囲内では、より一層小さい粒子は、肺においてより一層深く堆積する傾向があり、中間の寸法の粒子は、中枢性の肺において堆積しがちであり、及びより一層大きな粒子は口及び喉で堆積しがちである。小さい粒子がより一層少ない薬物を含むので(質量が直径の立方体として増加する)、効果的なドーズの薬物を肺にまで運搬する時間は、より一層小さな粒子を用いるとおおいに一層長い。かかるシステムでは、薬物を呼吸システムの任意の1部分へ選択的に運搬するのが問題である。
【0133】
伝導性及び中枢性の気道における堆積には、およそ4.5ミクロンの粒度が最適である。単分散性電子噴霧機の利点は、PARI eFlowの噴霧機である好適な噴霧機を用いると、粒度分布が、調整され、及び調節されて、粒子を、主として最適の寸法を持つ範囲において生成し、及び薬物を選択的に及びできるだけ速く標的領域に運搬することができる。
【0134】
ほとんどの現在入手可能な薬剤噴霧機は、多分散性のエアロゾルを生成する。多分散性のエアロゾルは、多くの粒度からなり、及び結果的に、より一層多分散性なエアロゾルは、粒子を呼吸路のより一層広い領域にわたって堆積し、標的領域に堆積する薬物のより一層少ないドーズを伴う傾向がある。eFlowによって生成されるエアロゾルは、単分散性であり、1.7よりも小さい幾何学的標準偏差(GSD)を持つ粒度を有するエアロゾルを生成する。結果的に、大半のエアロゾルの粒子は、3及び10間の、大部分で、典型的に70及び90間の%のこれらの粒子で、4及び5間のμmのMMADを持つ寸法である。
【0135】
好適な特長を有するエアロゾルを生成する電子噴霧機を用いる利点は、より一層多くの薬物が、作用の部位に、即ち、中枢性の気道に対し堆積し、より一層少ない残部の堆積しか、それが麻痺を起こさせる口及び喉に対して伴わず、又は体循環に入ることがある下肺において伴わないことである。
【0136】
乾燥粉体及びメータドドーズの吸入機が適切であり、及び乾燥粉体の運搬に用いることが考慮されるが、電子噴霧機はこれらの噴霧機にわたって好ましく、それは、口及び喉において過剰に堆積をもたらすような、装置を出るエアロゾルの弾道的な成分(ballistic component)がないからである。また、それは、受動体に、多くの乾燥粉体の吸入機を効率的に用いることを必要とする高い吸入流速を達成するように求めない。
【0137】
PARI eFlowのような電子噴霧機の他の噴霧機に対する主要な利点は運搬の速度である。PARI eFlowは、エアロゾルを他の噴霧器より大いに速く生成することができ、処置の時間を大幅に減らせる。また、他の噴霧機と比較して、eFlowは、処置後の装置において残る大いに小さい薬物の残余(残りの容積)しか持たず、運搬の有効性を高め、及び治療法の費用を減らす。
【0138】
これらの局面すべての結合によって、PARI eFlow又は別の匹敵する電子噴霧機は、肺への薬物適用(medication)のドーズをジェット噴霧機よりも2-5倍速く、及び正規の噴霧機よりも2-30倍速く運搬することができる一方、副作用を減少させ、それは、呼吸路の他の領域においてエアロゾルが堆積しないためである。
【0139】
したがって、電子噴霧機は概して、及びPARI eFlowは特に、最も好適な噴霧機であり、主として4μmから5μmまでの間のマスメジウム(質量媒体)平均直径及びほぼ単分散性の粒子スペクトルを持つリドカインのエアロゾルの形成を可能にすることに主に基づくものである。
【0140】
本発明のこの局面は、大いに重要であり、それは、重度の、及び持続性の咳そうの処置のため、又は咳の発作又は発症の処置のためであり、それは、リドカインの運搬される量が効果的でなければならず、及び運搬が迅速で、リドカインの麻酔剤の特性による気管支痙攣の発達を避けなければならないからである。このように、選定する噴霧機は、調剤物を効率的にエアロゾル化し得なければならず、それは、本発明に従い調整する、塩分、粘性、浸透圧性強度(osmotic strength)、及びpHを持ち、治療上有効で、及び受動体によって良好に許容されるリドカインのエアロゾルの発生を可能なようにされる。電子噴霧機は、できるだけ最も小さなエアロゾル化可能な容積を持ち、及びまだ有効なドーズのリドカインを作用の部位にまで運搬し得る調剤物を取り扱うことができなければならない。加えて、エアロゾル化調剤物は、上気道又は下裏打ち点(lining spot)の機能性を損なってはならず、及び望ましくない副作用を最小にしなければならない。
【0141】
一定の噴霧機が、治療上の量の薬物を均一な予め定めた粒度のエアロゾルにまで噴霧するのに能力がないことはよく知られている。リドカインの効果的な運搬のために、エアロゾル化粒子で薬物の中枢性気道にだけの、咳そう受容体の部位への運搬に必要なMMADを有するものの範囲は3-10間のμmである。多くの商業上入手可能な噴霧機は、大容量の溶液をエアロゾル化することができ、10μより上の大きなエアロゾルの粒子で、50-100μmの範囲にある非常に多数の粒子を有するものの前後90%を生成することによって、少なくとも10%の容量で肺にまで運搬する目的を有する。これらの噴霧機は、本発明に従うリドカインの運搬にとって非効率的であり、及び適切でない。
【0142】
以前、ジェット及び超音波の噴霧機のような、一定の種類の噴霧機は、1μm及び5μm間のMMADを有するエアロゾルを生成し、及び運搬することができるのを示された。これらのエアロゾルは、下肺に影響する肺の細菌、ウイルス又は寄生虫の感染の処置のために最適であるかもしれないが、しかし、それらは、主として伝導性及び中枢性の気道において堆積する粒子の生成において、十分には効果的でなく、及び選択的でない。加えて、これらの噴霧機は典型的に、治療上の効果を得るのに十分な量の薬物を投与するためにより一層大容量を必要とする。典型的に、例えば、ジェット噴霧機は臨床条件の下で約10%だけ有効である。このようにして、肺において堆積し、及び吸収される量は、噴霧機において設置される多量の薬物にもかかわらず一画分の10%である。
【0143】
【表3】

【0144】
【表4】

【0145】
インビボ堆積調査は、電子噴霧機のための合計ドーズのおよそ40%の全体の肺の堆積、PARI LC PLUS噴霧機を用いて施される合計のドーズのおよそ12%と比較して運搬効率において著しい増加を示した。
【0146】
加えて、口咽頭の堆積は5から10までの%で評価され、それは、ジェット噴霧機のものよりも実質的に低い(例えば、PARI LC PLUSではおよそ16%)。さらに、eFlow噴霧機の出力の8から10までのμL/秒は、PARI LC PLUSよりも2-4倍速い薬物物質の運搬を有効にする。eFlow噴霧機のための基本的な性能の仕様を表5において表示する。
【0147】
【表5】

【0148】
PARI eFlow噴霧機を設計し、装置において全体の1mLのリドカイン溶液を、装置の壁上に残る最大の150μLの堆積物の許容度を有するもので設置してエアロゾル化する。
【0149】
これらの利益の組合せは、現在の治療法の10分の1から半分より少なく、及び可能性としては、1mLのLSI溶液の噴霧あたり1-1.5分ほどの低い処置時間をもたらす。
【0150】
【表6】

【0151】
別の噴霧機の試験において、表6に見られるように、吸入用リドカイン溶液、14.6%及び17.5%、28.3 L/分での、R=585オーム-m)を、インビトロで、Battelle(バテル)HH5 Phaser(フェイザ)噴霧機を用いて噴霧した。エアロゾルの粒度、並びに吸入されたドーズに対応する薬物のフィルタ上での堆積を、多重作動(multiple actuations)により測定した。
【0152】
17.5%のリドカイン(175mg/mL、1つの作動につき16uL(μL)、2.8mgの公称ドーズ)を用いる試験の結果は、吸入フィルタ上の作動当りの2.15及び2.67間のmgの薬物の堆積(平均2.46±0.18mg、RSD 7.16%)を示す。すべての粒子の粒度分布は、2.1及び9の間のμmであり、3.65及び5.07間のμmの寸法を持つ72%の粒度分布を有した。
【0153】
リドカイン14.6%(146.5mg/mL、作動当りに16のuL、2.34mgの公称ドーズ)を用いる試験の結果は、吸入フィルタ上の作動当りの1.86及び2.13間のmgの薬物の堆積(平均2.03±0.08mg、RSD 3.85%)を示す。すべての粒子の粒度分布は、2.1及び9間のμmにあり、示される3.69及び4.13間の寸法を持つ89%の粒子を有した。これらの調査は、Battelle HH5 Phaser噴霧機が本発明のために可能性としては使用できるが、しかし、3μmよりも小さい粒子の一定の割合のために薬物の一定の損失があり得ることを示す。
【0154】
好適な電子噴霧機は、約4及び5間のMMADを有し、比較的単分散性の粒子スペクトル(GSD<1.7)を有するエアロゾルを生成することができるような電子噴霧機である。適切な電子噴霧機の例は、Aerogen Aeroneb Pro(アエロジェン・アエロネブ・プロ)、Aerogen AeroNeb Go(ゴー)、Batelle White Phaser(バテレ・ホワイト・フェイザ)及びその誘導体、Boehringer Spiromat(ベーリンガー・スピロマット)、及び好ましくはPARI eFlow噴霧機である。すべてのこれらの噴霧機は本発明の実行において用いることができる。
【0155】
最も好適なのは、PARI eFlow噴霧機であり、シュテルンベルク、ドイツ国のPARI GmbHによって製造され、振動する膜を装備し、及び修飾されたものである。しかし、好ましい一方で、PARI eFlowが本発明において用いるのに適切な可能性のある電子噴霧機の1種に過ぎないことを理解すべきである。
【0156】
1mL、2mL及び3mLのドーズのリドカイン又はリドカイン-様化合物を運搬するPARI eFlow電子噴霧機の、運搬時間に対する比較調査を、表7において示す。
【0157】
【表7】

【0158】
IMP=振動する穿孔膜を用いる改善。
表7において、PARI eFlow噴霧機を用い、薬物運搬の有効性を定めた。この調査を設計し、公称の薬物ドーズの噴霧を、溶媒の1における92mg、2mLにおける184mg、及び3mLにおける276mgで比較した。双方の運搬されたドーズ(DD)及び呼吸用ドーズ(RD)を、薬物のmgにおいて現わす。加えて、1分につき運搬される薬物(mg)(DDR及びRDDR)及び噴霧を定めた。噴霧時間の欄において見られる結果は、呼吸用ドーズ40.4mgが、2.21分において運搬され得、薬物の81.2mgが4.37分において運搬され得、及び122.6mgが6分の長い噴霧によって運搬され得ることを示す。
【0159】
表7で見られる結果は、はっきりと、PARI eFlow電子噴霧機の使用が、薬物運搬速度の十分な改善をもたらし、及び薬物運搬の時間を実質的に短くし得る一方、運搬の有効性がかかる時間の短縮によって影響されないことを示す。
【0160】
(B.乾燥粉体吸入機)
乾燥粉体は、乾燥粉体又はメータドーズの吸入機のような装置をそれ自体用いて施され、それは乾燥粉体を直接的に肺に運搬する。
【0161】
乾燥粉体吸入機での使用のために、リドカイン又はリドカイン-様化合物を、乾燥粉体として、上述のように、1-100mgからの、好ましくは10-50mgからの投与量において調剤する。粉体の粒度は、粉体が吸入機から出るとき、それが、約3.5-10間のμmの、好ましくはほぼ4μm及び約5μm間でのマスメジアン径を有するエアロゾルを形成するようなものである。
【0162】
(C.リドカイン又はリドカイン-様化合物噴霧の有効性)
上述のように、噴霧機の選定及び採択は、吸入可能なリドカイン又はリドカイン-様化合物の運搬の有効性に著しく影響を与える。
【0163】
リドカイン又はリドカイン-様化合物のエアロゾルの調剤及び噴霧する装置の組合せは、リドカイン又はリドカイン-様化合物の投与の効率及び速度を有意に高める。
【0164】
現在、例えば、吸入されるリドカイン又はリドカイン-様化合物の溶液の投与のための平均時間は、ドーズ当りに10-20分である。この時間では、リドカイン溶液の包装及び貯蔵のための安全で、及び便利なプラスチック製バイアルが有効でないので、受動体は、i.v.(静脈内)のリドカインのガラス製バイアルを用い、調剤物において保存剤がないこと保証し、バイアルからシリンジ(注射筒)の使用によってリドカインの定められた量を抽出し、及びジェット噴霧機を介して吸入する必要がある。かかる吸入は、典型的に、少なくとも10-20分を要する。
【0165】
現在入手可能な処置に要する時間は、薬物の有意な損失、時間の損失をもたらし、受動体上への不必要な負担を設置し、及び毎日の養法の減少した順守の原因となる。
【0166】
さらに、以前のリドカインの投与に用いる噴霧機システムは、新しい電子装置よりも有効でない。これらの噴霧機を用いての、薬物が肺において堆積した合計のドーズは、最大で、12から15%までである。およそ30%の分配された薬物は、処置の終わりに、エアロゾル化する部分の噴霧機において残り、約30%は粒子として放出され、中枢性気道に達するには大き過ぎるか、又は小さ過ぎる。口咽頭の麻痺、咽頭反射の障害、咳そう、息切れ及び息をつけないことは、周辺及び/又は上の肺において薬物が堆積することによって引き起こされ、及び他の全身性副作用がこれらの処置の結果である。
【0167】
8から10までのマイクロリッタ/秒、又は0.48から0.60までのmL/分の出力を有する、新しい電子噴霧機は、薬物物質を以前の噴霧機よりも2から30倍速く運搬することができる。さらに、新しい噴霧機は、分配されたドーズの90%よりも多くをエアロゾル化し得る。結果として、リドカイン又はリドカイン-様化合物の特別に設計された調剤物を、電子噴霧機を用いて投与することは、薬物を中枢性気道にまで運搬することにおいて、運搬のために要するより一層短い時間において、十分な改善を導き、及びリドカイン又はリドカイン-様化合物の吸入可能な溶液における終濃度に依存して、処置時間を1から2までの分ほど少ないものに減少させる。
【0168】
(VI.咳そう及び咳の発作及び発症の処置)
本発明の方法は咳そう、咳の発作及び発症の効果的な処置を提供する。
【0169】
(A.咳そうの処置)
本発明のエアロゾル治療法は、すべての起源の、咳そう、咳の発作及び発症に苦しむ受動体の処置のために特に有用である。加えて、治療法は肺疾病を伴う咳そうの寛解のために有用であり、及び特に、肺癌及び他のおそらく致命的な診断の排除の後の、難治性の咳そうを有する受動体の処置のために適切である。咳そうはまた、特に、喘息、慢性の閉塞性の肺疾病(COPD)、肺腫瘍、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、胃食道逆流、類肉腫症、等のような咳そうと共に起こる基礎疾病のための他の原因の処置と共に、吸入するリドカインを用いて処置することができる。
【0170】
また、慢性の咳そうを、上気道のウイルス感染の後に有する、即ち、感染後咳そうの多数の受動体が存在し、そのものらは本発明の処置から利益を享受する。
【0171】
加えて、咳そうの受動体で、煙、粉塵、及び気道汚染からの環境的気道負荷に対し高められた感受性を有するものが、10mg又は40mgの吸入されるリドカインを日に2回で本発明の方法を用いて処置されるときに、それらの症状の実質的な改善を持つのを示すことが観察された。
【0172】
また、吸入可能なリドカインが嚢胞性線維症、気管支拡張症又は他の化膿性の肺疾病を有する受動体において現われる咳そうのための好首尾の処置を提供することが発見された。
【0173】
これらの条件でエアロゾル化リドカインを用いる処置は、咳そうの抑止において好首尾であった。
【0174】
(B.吸入可能なリドカインの利点)
リドカインは数種の特色を所有し、それらは、それを受動体に対して投与するのを非常に魅力的にさせる。
【0175】
これらの特色の第一は、その機構の作用から由来し、それには、神経の伝導性の調節、及び気道の平滑筋の取り込みトランスポータの抑制及び麻痺による制御が包含される。
【0176】
医学的に、本発明の利点は、eFlowを用いる、十分に改善された安全、許容性、及び標的とされる投薬である。
【0177】
(VII.インビボ試験)
特別の注意が必要とされる条件は、喘息の間に起こるか、又はそれを伴う咳そう及び咳の発作である。
【0178】
エアロゾル化のための適正に調剤されたリドカインが、重度の及び持続性の咳そうの処置のために有効になり得るかどうか定めるために、エアロゾル化リドカインでの処置を開始し、及び咳そうを経験する喘息性の受動体において試験した。臨床的処置及びエアロゾル化リドカインを用いて得られる結果を、例4に記載する。
【0179】
(実用性)
本発明の方法は、咳そう及び咳の発作又は発症の処置のために適切である。本明細書に開示する吸入可能なリドカイン組成物は、咳そうの管理のために、咳そうの起源にかかわらないで効果的な手段を提供し、及び風邪、インフルエンザ、咳そう又は頻発する空咳において発生するような重度の、及び持続性の咳そうの処置に適切である。
【実施例】
【0180】
(例1)
(吸入用のリドカイン又はリドカイン-様化合物溶液)
この例は吸入用溶液の調製を記載し、それは、インビボ調査のために用いるリドカイン又はリドカイン-様化合物を備える。
【0181】
吸入用のリドカイン溶液(LSI)を、1.0mLの滅菌した、保存剤フリーの、非発熱性の単一ドーズのアンプルとして提供する。アンプルは、10又は40のmgの塩酸リドカインを、USP(1mLの1%又は4%のリドカイン)で、5.0から7.0までのpHの範囲において含む。添加した塩化ナトリウムの含量は、1%のリドカインのための塩化ナトリウムUSPの6.844g/L、及び4%のリドカインのための塩化ナトリウムUSPの0.351g/Lである。双方の溶液についての浸透圧はおよそ275-300mOsm/kgである。
【0182】
LSIはPARI eFlow噴霧機を伴って用いるために意図される。
リドカイン-様化合物を含む吸入可能な溶液の調製は、同じ調製プロトコルに従う。
【0183】
(例2)
(リドカイン又はリドカイン-様化合物を含む乾燥粉体の調製)
この例は吸入可能な乾燥粉体を含むリドカイン又はリドカイン-様化合物の調製のために用いる方法及び手法を提供する。
【0184】
本発明にかかる乾燥粉体調剤物のために、精製したリドカイン又はリドカイン-様化合物を、3μmから10μmまでに及ぶマスメジアン平均径を持つ粉体にまで、媒体ミリング、ジェットミリング、スプレイドライイング、又は粒子沈降技術によって加工する。
【0185】
媒体ミリングは、リドカイン又はリドカイン-様化合物の物質を、例えば、ステンレス鋼又はセラミックの球を含むミル中に設置し、物質を、望ましい薬物粒度範囲が達成されるまで、回転させるか、又は転倒することによって成し遂げることができる。
【0186】
ジェットミリングは、非常に高圧の空気流を用い、粒子が互いに衝突し、望ましい寸法の微細な粒子がミルから回収される。
【0187】
スプレイドライイングは、微細なミストのリドカイン又はリドカイン-様化合物溶液を支持体上にスプレイし、及び粒子を乾燥することによって達成する。次に粒子を収集する。
【0188】
粒子沈降は、共-溶媒を添加し、粒子をスプレイドライすることによって達成される。薬物の溶解性は、固形の薬物粒子が形成される点にまで下がる。粒子を3μmのフィルタ又は遠心分離によるろ過によって集める。沈降は高い再現性の利点を持ち、及び低温の条件の下で行うことができ、それは分解を減少させる。
【0189】
乾燥粉体の調製のために用いるのに入手可能な他の技術もまた使用することができる。
【0190】
(例3)
(リドカイン又はリドカイン-様化合物粉体での使用のための乾燥粉体吸入機)
本発明にかかるリドカイン又はリドカイン-様化合物の乾燥粉体調剤物は、メータドドーズ又は乾燥粉体の吸入機において直接用いることができる。
【0191】
メータドドーズ吸入機は、次の3種の成分からなる:推進剤のリドカイン又はリドカイン-様化合物の懸濁液を含むカニスタ(canister)、推進剤の懸濁液の正確に計測される容量を運搬するために設計されたメータリング弁、及び経口アダプタで、スプレイ開口部分を含み、そこからメータドドーズが運搬されるもの。残り位置では、弁のメータリング室(チャンバ)を、薬物懸濁液の貯蔵所に、充填溝(filling groove)又は開口部分を介して接続する。弁の俯角(depression)上で、この充填溝を封止し、及びメータリング室を大気圧に対し経口アダプタにおけるスプレイ開口部分及び弁ステム開口部分を介して暴露する。この急速な圧力減少は、推進剤の瞬間沸騰(flash boiling)及びメータリング室から急速に膨張する混合物を導く。液体/蒸気混合物は、次いで、霧箱(expansion chamber、膨張室)に入り、それは弁ステム及び経口アダプタの内部容量によって構成される。混合物は、更に、その自身の圧力の下で、スプレイノズルから排出される前に、膨張を経る。スプレイ開口部分からの出口上で、推進剤の蒸気において埋め込まれる液体のリガメント(靭帯)は空気動力学的力によって離れて引き裂かれる。典型的に、この段階で、液滴は直径において20から30までのμmであり、及び二相蒸気液体混合物(毎秒およそ30メータ)の音の速度で動いている。液滴の雲はスプレイノズルから離れて動くので、それは周囲からの空気を引きずり、及び減速し、推進剤は気化によって蒸発する一方で、引きずられた液滴は、結局それらの残りの直径に達する。
【0192】
この点で、粒子/液滴は、界面活性剤で被覆される粉体のリドカイン又はリドカイン-様化合物のコア(中心)からなる。懸濁する物質の濃度及び寸法によって、粉体の薬物コアは、個々の薬物の粒子又は集合体からなる。
【0193】
リドカイン又はリドカイン-様化合物の乾燥粉体運搬の代わりの経路は、乾燥粉体吸入機によって行う。
【0194】
乾燥粉体調剤物について普通に用いる賦形剤は、乳糖であるが、しかし、リドカイン又はリドカイン-様化合物の遊離塩基の場合においては、アミノ酸のリジン又はロイシンの添加は良好な粉体形成を導く。
【0195】
リドカイン又はリドカイン-様化合物の乾燥粉体吸入用の有効な投与量のレベルは、少なくとも約10mgの公称上のドーズの、及びより一層好ましくは約40mgのリドカイン又はリドカイン-様化合物の、処置を受ける受動体の伝導性及び中枢性の気道への適用をもたらす。堆積したドーズは、2及び20のmgで、伝導性及び中枢性の気道において、それぞれ、10mg及び40mgの公称上のドーズについてのものである。乾燥粉体運搬装置の効率に依存して、本発明における使用のために適切な乾燥粉体調剤物は約1.0から約50までのmgの、好ましくは約10から約40までのmgの粉体を、無定形又は結晶性のリドカイン又はリドカイン-様化合物において、3μm及び10μm間の粒度において、リドカイン又はリドカイン-様化合物の効果的な中枢性気道への運搬にとって必要なマスメジアン平均径において備える。乾燥粉体調剤物は、典型的に、主な薬物aの運搬と共に運搬され、及び1から4までの回数毎日起こすことができる。乾燥粉体調剤物は温度安定性であり、及び生理学的に受入れ可能な5.0から7.5まで、好ましくは5.5から7.0までのpH、及び長い有効期間を持つ。
【0196】
(例4)
(喘息受動体の処置のために用いる吸入用リドカイン溶液)
この例は、喘息受動体の処置用の吸入可能なリドカイン(10及び40のmg)を用いる臨床治験を記載し、そのうちの若干はまた、アルブテロールで処置した。
【0197】
臨床治験は、二重盲検の、プラセボ(偽薬)対照調査において、軽度から中等度までの喘息の受動体において行った。調査のために、吸入のための10mg(1mLの1%リドカイン/塩類液)、40mg(1mLの4%リドカイン/塩類液)のリドカイン溶液又は偽薬(1mLの塩類液)を、電子噴霧機PARI eFlowの、修飾したものによって施した。リドカイン溶液を、単独で又はアルブテロールの投与と共にのいずれかで2回毎日投与した。
【0198】
喘息の受動体(100の雌性及び54の雄性、31.3±1.8年齢、FEV1 78.4±1.8%予測される)を登録し、3種の群に無作為化し、及び12週間処置した。1mLの十分な個々のドーズを2-3分の処置時間において投与した。
【0199】
リドカインの双方のドーズは、良好に許容され、及び安全であることが見出され、相違は受動体の数においては見出されず、少なくとも1種の有害事象(adverse events)(AEs)が偽薬(30/48、63%)、10mgリドカイン(39/55、71%)、及び40mgリドカイン(33/51、65%)の間に見出された。特に、相違は、受動体の数において存在せず、1種又はそれよりも多くの呼吸性AEsが偽薬(14/48、29%)、10mgリドカイン又はリドカイン-様化合物(16/55、29%)、及び40mgリドカイン又はリドカイン-様化合物(18/51、35%)の間にあった。
【0200】
気道の刺激作用及び急性気管支痙攣を、エアロゾル投与の直前及びその完了後30分に肺活量測定することによって評価した。30分の肺活量測定試験における2分の1の(FEVl)>20%での強制呼気容量(forced expired volume)での減少は気管支痙攣の証拠と考えられた。すべての受動体は、上述のすべての3種のドーズ(LSI 1%、4%、及び偽薬)のエアロゾル化の際の気管支痙攣について試験し、及びFEVlを、薬物の薬物適用の前及び後に比較した。処置した154例のどれも気管支痙攣の発生がなかった。
【0201】
口咽頭麻痺についての苦情の量は、他の噴霧機によって与えられる吸入されたリドカインでの以前の調査と比較するとき、著しく減少した。すべての以前の調査での麻痺は、ほとんどすべての対象体において注目されるが、この臨床治験での麻痺の出現は、処置受動体の40%(22/55)及び31.45%(16/51)であり、少なくとも1回、12週の調査の過程間に注目され、及び1%の群での60%及び4%の群での68.6%のリドカイン処置受動体は、全然麻痺の苦情を持たなかった。
【0202】
咽頭反射の損失は報告されなかった。食物又は液体の気管の吸引の場合は報告されなかった。最も重要なことに、リドカインの運搬の際に気管支痙攣の報告ははなく、リドカインの吸入の際の臨床的に有意なFEV1低下(drop)の何らの報告もなかった(気管支痙攣のための測定)。
【0203】
Asthma Quality of Life Questionnaires(喘息の生活の質の質問表)(AQLQ)(環境のドメイン)内で、すべての受動体に、それらが、粉塵、煙、及び空気汚染の影響を如何にして許容したかについて尋ねた。AQLQsを分析するとき、十分な改善が、週12で処置群及び偽薬間のベースラインから、質問の環境のドメインにおいて観察された(平均の変化は、偽薬=0.35; 10mgリドカイン=2.09;及び40mgリドカイン=2.45; 10mgリドカイン対(V.)偽薬についてのp=0.012、40mg対偽薬についてのp=0.01)。
【0204】
これらの結果は、煙、粉塵、汚染、アレルゲン、等のような環境的気道負荷の許容における気道の感受性及び喘息の処置後の改善を指し示す。リドカインの肺の堆積は、2-から3-倍(fold)高められる。同じ効果的な量は、以前に使用される時間の1/3において運搬することができる。安全性プロファイルは、著しく改善され、消された気管支痙攣を伴い、口咽頭麻痺の出現、咽頭反射の損失で、下肺及び全身性のリドカイン堆積を伴うものが著しく減少する。
【0205】
これらの結果は、本発明に従って施される吸入可能なリドカイン又はリドカイン-様化合物が、その伝導性気道への運搬に際し安全で、及び許容可能であることを確認する。従来の技術の記載のものは、どれも、リドカイン又はリドカイン-様化合物の、上及び中枢性の気道に対しての、便利で、許容性があって、及び安全な投与を提供しなかった。
【0206】
(例5)
(臨床ケース)
この例は、1%のリドカインを用いる咳そうの処置のための臨床的調査を記載する。
【0207】
38歳の、他で健康な雄性受動体は、2週間、後鼻漏(postnasal drip)及び持続性の咳そうを経験し、持った後、上呼吸感染を持つ。咳そう発症は日中、一時間毎に起こり、及び夜での、受動体の眠りに影響を及ぼしていた。
【0208】
2.5mLのリドカイン1%(25mg)を、3及び10間のμmのMMADを有するエアロゾルを発生させるPARI eFlow噴霧機を経て、単一ドーズとして投与した。処置の間及びその後まもなく(それは持続期間でおよそ10分であった)、口腔咽頭の有意な麻痺も咽頭反射の損失も報告されず、及び舌の一時的な麻痺だけが注目された。また、受動体は良好な許容性を報告し、及び別の形での厄介な効果を報告しなかった。この単一の処置の後、受動体の咳そうは、次の日の過程にわたり著しく縮小され、及び受動体は、次の2週間、咳そうを本質的に含まないままであった。受動体は更に追跡されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】8種の異なる噴霧機での薬物の比較調査の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
咳そう、咳の発作又は咳の発症の処置のための方法であって、次の工程:
a)約10から約80までのmgの局所麻酔剤で;プロパラカイン、コカイン、プロカイン、テトラカイン、ヘキシルカイン、ブピバカイン、リドカイン、ベノキシネート、メピバカイン、プリロカイン、メキシレテン、バドカイン及びエチドカインからなる群より選ばれるものを備える吸入のための溶液又は乾燥粉体を調製する工程;
b)実質的に3.0及び10間のμmの粒度のエアロゾルを発生させ得る電子噴霧機、乾燥粉体吸入機又はメータドーズ吸入機を選ぶ工程;
c)前記麻酔剤溶液を、1.7よりも低い幾何学的標準偏差を持つ実質的に約3及び10間のμmの粒子の空気動力学的中央粒子径を持つエアロゾル中に噴霧する工程;
d)前記噴霧溶液を、受動体に、咳そう又は咳の発作又は発症の処置のために、1日に1、2又は数回施す工程
を備える、方法。
【請求項2】
前記麻酔剤が吸入のための溶液として調剤されるリドカインであり、前記溶液が、約10又は約40のmgのリドカインを、約1から約5までのmLの正常又は希釈塩類液又は別の溶媒において溶解されて含む請求項1の方法。
【請求項3】
塩類液が正常な強度のものである請求項2の方法。
【請求項4】
塩類液を1/20から9/10までの正常な強度にまで希釈する請求項2の方法。
【請求項5】
前記リドカインを約1mLの正常又は希釈される塩類液において溶解し、及び吸入のための前記溶液を、約pH5.5及びpH7.0間のpH、約275及び300間のmOsm/kgの浸透圧、約1.5センチポイズまでの粘性及び31及び300間のmMの浸透性陰イオン濃度に調整し、及び前記溶液が保存剤を含まない請求項2の方法。
【請求項6】
前記噴霧機が、1.7よりも低い幾何学的標準偏差を有する主として約4及び5間のμmの範囲での粒子の空気動力学的中央粒子径を持つエアロゾルを発生させる請求項2の方法。
【請求項7】
前記噴霧機が電子噴霧機である請求項6の方法。
【請求項8】
前記電子噴霧機がPARITM(パリ)(商標)イーフロウ電子噴霧機である請求項7の方法。
【請求項9】
パリイーフロウ電子噴霧機を修飾し、振動する穿孔膜を備える請求項8の方法。
【請求項10】
リドカインを備える吸入のための溶液を、貯蔵のために滅菌条件下に封止される低密度ポリエチレンバイアルにおいて、又は1種の成分において乾燥又は凍結乾燥されるリドカイン及び第2成分において正常又は希釈される塩類液を含む2種成分パッケージングにおいて包装する請求項2の方法。
【請求項11】
前記麻酔剤が乾燥粉体として調剤されるリドカインである請求項1の方法。
【請求項12】
前記リドカインの乾燥粉体を、乾燥粉体吸入機によって、1日に1から4までの回数、主として3.5及び10間のμmの粒度を持つ乾燥粉体のエアロゾルとして運搬する請求項11の方法。
【請求項13】
前記リドカインの乾燥粉体を、メータドドーズ吸入機によって、1日に1から4までの回数、主として3.5及び10間のμmの粒度を持つ乾燥粉体のエアロゾルとして運搬する請求項11の方法。
【請求項14】
上気道のウイルス又は細菌の感染でもたらされるか、又はそれに関連する、喘息、慢性閉塞性肺疾病、嚢胞性線維症、肺癌、肺腫瘍、慢性気管支炎、気管支拡張症、化膿性肺疾病、胃食道逆流、類肉腫症、又は急性又は慢性の咳そうからもたらされる咳そうに、又は咳の発作又は発症に苦しむ受動体の処置のために用いる請求項1の方法。
【請求項15】
吸入可能な組成物であって、咳そう、咳の発作及び咳の発症の処置のために適切な、約10から約80までのmgの局所麻酔剤が、吸入可能な乾燥粉体として、又はエアロゾル性(aerosolable)溶液として調製されて備わる吸入可能な組成物。
【請求項16】
局所麻酔剤がリドカインであり、前記リドカインが約1mLの正常又は希釈される塩類液において溶解され、及び吸入のための前記溶液が、約pH5.5及びpH7.0間のpH、約275及び300間のmOsm/kgの浸透圧、約1.5センチポイズまでの粘性及び31及び300間のmMの浸透性陰イオン濃度に調整され、及び前記溶液が保存剤を含まない請求項15の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、約10又は約40のmgのリドカインを、約1から約5までのmLの正常又は希釈される塩類液において溶解して備える吸入用溶液であり、約3μm及び約10μm間のマスメジアン径を持つエアロゾル中に噴霧され、1日に1、2又はそれよりも多くの回数投与される請求項16の組成物。
【請求項18】
前記pHがpHの5.5及び6.0間に調整される請求項17の組成物。
【請求項19】
吸入用の前記溶液が、噴霧機によって、1.7よりも低い幾何学的標準偏差を有する主として約4及び5間のμmの範囲での粒子の空気動力学的中央粒子径を持つエアロゾルにおいて運搬される請求項18の組成物。
【請求項20】
前記噴霧機が電子噴霧機である請求項19の組成物。
【請求項21】
前記電子噴霧機がパリイーフロウ電子噴霧機である請求項20の組成物。
【請求項22】
リドカインが乾燥粉体として調剤される請求項16の組成物。
【請求項23】
乾燥粉体が、ミリング、スプレイドライ又は粒子沈降によって、約3.5μmから約10μmまでの空気動力学的中央粒子径を有する粒度を持つ粉体に調製される請求項22の組成物。
【請求項24】
粉体が追加的に賦形剤の粒子を備える請求項23の組成物。
【請求項25】
賦形剤の粒子が、乳糖、リジン又はロイシンである請求項24の組成物。
【請求項26】
咳そう、咳の発作又は咳の発症の処置のための方法であって、前記方法が、約10mg又は約40mgのリドカインの1mLを吸入用の溶液として調剤して、電子噴霧機、乾燥粉体又はメータドドーズ吸入機で1.7よりも小さい幾何学的標準偏差を有する約3μm及び約10μm間のマスメジアン径を有するエアロゾルを生産するものを用いて、施す工程を備え、
前記リドカイン溶液の口咽頭の堆積が10%からより一層小さく;
前記電子噴霧機が少なくとも25%の合計の薬物を中枢性伝導性気道において堆積し;及び
前記処置を1日に1、2又は数回施す、方法。
【請求項27】
咳そうが難治性咳そうであり、別の基礎疾病からもたらされるか、又はそれに関連する請求項26の方法。
【請求項28】
基礎疾病が、喘息、慢性閉塞性肺疾病、肺腫瘍、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、気管支拡張症、化膿性肺疾患、胃食道逆流、類肉腫症、上気道のウイルス又は細菌の感染でもたらされるか、又はそれに関連する、急性又は慢性の咳そうである、請求項27の方法。
【請求項29】
基礎疾病が悪化するか、又は基礎疾病に苦しむ受動体が、煙、スモッグ、粉塵、過敏症(アレルギ)又は空気汚染からの環境的気道負荷に対する増加した感受性を被る、請求項28の方法。
【請求項30】
煙、スモッグ、空気汚染、粉塵又はアレルゲンによる環境的負荷に関連する咳そう又は咳の発作又は咳の発症の処置のための方法であって、次の工程:
a)約10mg又は40mgのリドカインを備える吸入可能な溶液又は乾燥粉体を調製する工程;
b)実質的に3.0及び10間のμmの粒度のエアロゾルを発生させ得る電子噴霧機又はメータドーズ吸入機を選ぶ工程;
c)前記リドカイン調剤物を1.7よりも低い幾何学的標準偏差を持つ実質的に約3μm及び約10間のμmの粒子の空気動力学的中央粒子径を持つエアロゾル中に噴霧する工程;
d)前記エアロゾル化する溶液又は乾燥粉体を、煙、スモッグ、空気汚染、粉塵又はアレルゲンに曝されたか、又は次いで曝されるヒト対象体に、その暴露直前又は直後に施す工程
を含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−513444(P2008−513444A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532307(P2007−532307)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/002555
【国際公開番号】WO2006/036180
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(505011095)コラス ファーマ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】